JP7265425B2

JP7265425B2 - 複合パネル及び複合パネルの形成方法

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Publication number: JP7265425B2
Application number: JP2019109996A
Authority: JP
Inventors: クマルフルヴァンガラクリシュナッパアルナ; プラサッドマハパトラグル
Original assignee: グッドリッチコーポレイション
Priority date: 2018-06-27
Filing date: 2019-06-13
Publication date: 2023-04-26
Anticipated expiration: 2039-06-13
Also published as: US20200001966A1; EP3587097B1; JP2020001387A; EP3587097A1; US11040765B2; CA3048075A1; ES2905714T3; BR102019012609A2

Description

本発明は、複合パネル及び複合パネルの形成方法に関する。

低い床下温度の影響を軽減するため及び快適な客室温度の維持に役立てるために、航空機の中で床暖房パネルがしばしば使用される。床パネルは、典型的には、例えば格子パターンに配置された航空機構造体によって支持される。床パネルは、パネルの上に載っている人や物の重さを支えるのに十分な構造的一体性を有する。ハイヒールによる穴開き、落下物による削れ、引きずられた荷物による擦り傷、及び／または他の床を通るものによる危険から、下にある層（例えば重量支持層及び／または加熱層）を保護するために、典型的には表面シートがパネルの上面に形成される。そのような表面シートは、例えばｘ平面及びｙ平面内に広がる二次元（２Ｄ）生地から形成することができる。

２Ｄ生地は、面外の機械的特性が劣っており、そのため衝撃荷重を受けた際の表面亀裂および／または層間剥離に対して脆弱である。層間剥離は、個々の層間の結合が衝撃または他の力によって破壊された場合に発生する可能性がある。表面のひび割れによる浸透や吸湿は、パネル材料の特性を劣化させ、その後の現場での故障をもたらす場合がある。さらに、複数の下にある層は、比較的低い熱伝導率を有する材料から形成されている場合があり、パネル表面温度を維持するために加熱要素へより大きな電力を入力することが必要とされる。そのため、改善された機械的及び熱的特性を有するパネルが必要とされている。

環境を加熱するために適した複合パネルは、３Ｄ織物構造物を有し環境に接する表面シートと、環境とは反対側の表面シートの面に配置された第１のコア層とを含む。３Ｄ織物構造物は、第１の方向に延びる少なくとも１本のｚ繊維を含み、第１の方向は表面シートの厚さを示す。織物構造物はさらに、それぞれ第２の方向に延びる横糸繊維を有する複数の横糸層と、複数の横糸層の間に配置された縦糸層とを含み、縦糸層は第３の方向に延びる縦糸繊維を有する。ｚ繊維は、第１の方向に３Ｄ織物構造物の全範囲にわたって複数の横糸層に沿って延びる。

環境を加熱するために適した複合パネルの形成方法は、環境と通じるように３Ｄ織物構造物を有する表面シートを配置することと、環境とは反対側の表面シートの面に第１のコア層を配置することとを含む。３Ｄ織物構造物は、第１の方向に延びる少なくとも１本のｚ繊維を含み、第１の方向は表面シートの厚さを示す。織物構造物はさらに、それぞれ第２の方向に延びる横糸繊維を有する複数の横糸層と、複数の横糸層の間に配置された縦糸層とを含み、縦糸層は第３の方向に延びる縦糸繊維を有する。ｚ繊維は、第１の方向に３Ｄ織物構造物の全範囲にわたって複数の横糸層に沿って延びる。

複合パネルの様々な層を示す簡略化された断面図である。複合パネルに属する３Ｄ織物表面シートの簡略化された断面図である。

本発明は複合パネルに関し、より具体的には、三次元（３Ｄ）織物表面シートを有する床暖房パネルに関する。表面シートは、多層の中に３つの直交する繊維成分を含む。結合「ｚ繊維」は、他の層を連結させて層間剥離を防止する。パネルは、ｚ繊維と共に、発熱体の上に金属コア層をさらに含み、これはパネル表面への熱伝導性を改善する。

図１は、複合パネル１０の簡略化された断面図である。パネル１０は、加熱層１２、接着剤層１４及び１６、ハニカムコア層１８及び２０、構造層２２及び２４、並びに表面シート２６を含む。表面シート２６の表面２８は、パネル１０の上側（外側）表面を成す。パネル１０は、基材Ｓを覆うように位置し、パネル１０の基板Ｓとは反対側の面に位置する環境Ｅに熱を供給する。

加熱層１２は、熱電発熱体（図示せず）を含んでいてもよい。発熱体は、例えば、金属材料、正温度制御（ＰＴＣ）セラミック、ＰＴＣポリマー、または炭素同素体材料から形成された抵抗発熱体であってもよい。発熱体は、エッチングされた箔、ワイヤ、または印刷インク要素として配置することができる。本明細書では他の適切な発熱体も想定される。加熱層１２は、パネル１０の表面２８の温度を制御するために使用することができ、これは例えば航空機の客室またはコックピットに設置することができる。特定の実施形態では、発熱体は加熱層１２の領域全体にわたって延びていてもよい。別の実施形態では、発熱体は、パネル１０に沿った流体の流出または端部での損傷から発熱体を保護するために加熱層１２の端部から少し離してはめ込まれていてもよい。

コア層１８及び２０はパネル１０に耐衝撃性を付与し、剪断荷重を支えることで床パネル１０を強固にする。例示的な実施形態では、上側コア層１８は、アルミニウムなどの金属材料から形成された高密度ハニカムコアであってもよい。下側コア層２０は、アラミド（例えばＫｅｖｌａｒ（登録商標）またはＮｏｍｅｘ（登録商標））などの発泡ハニカムポリマー、ならびに連続気泡または独立気泡のポリマー発泡体から形成されていてもよい。一般的に言えば、金属製の上側コア層１８はポリマー製の下側コア層２０よりも大きな熱伝導率を有し、これは加熱が望まれる表面２８の方向におけるパネル１０の熱伝導性を改善する。しかしながら、別の実施形態では、両方のコア層１８及び２０が同じ材料（例えば金属またはポリマー）から形成されていてもよく、そのような配置は、重量制限及びパネルの加熱／断熱の要件などの因子に依存するであろう。

接着剤層１４及び１６は、加熱層の周りのコア構造の固定を補助するために、加熱層１２とコア層１８及び２０との間にそれぞれ配置することができる。接着剤層１４及び１６は、高樹脂含有率のフィルム接着剤（例えばエポキシ）またはプリプレグ（マトリックス材料で含浸された複合繊維）を含んでいてもよい。パネル構造をさらに固化するために、追加の及び／または代替の接着剤層を層の間または層の中の他の位置に配置してもよい。

構造層２２及び２４は、パネル１０をさらに補強する。構造層２２及び２４は、エポキシ、ポリウレタン、フェノール、シアネートエステル、ビスマレイミド、または他の適切な樹脂などの樹脂系で含浸された炭素繊維またはガラス繊維などの強化ポリマーであってもよい。構造層２２及び２４のそれぞれは、例えば、構造層を形成するために選択された材料、または補強のための具体的な必要性に応じて、単一の層または複数の層を含むことができる。別の実施形態では、追加の及び／または別の構造層も付加されてもよい。

図２は、簡略化するためにパネル１０の他の層なしで示されている表面シート２６の簡略化された断面図である。表面シート２６は、構造的支持、より具体的には、環境Ｅに曝されるパネル１０の面での衝撃強さをパネル１０に付与し、これは、例えば航空機の客室、コックピット、またはその他の仕切られた部屋であってもよい。例示的な実施形態では、表面シート２６は、図２で表示されているように、３つの略直交する軸（ｘ、ｙ、ｚ）に繊維成分を有する３Ｄ織物複合材料として構造化されている。表面シート２６は、ｘ軸に沿って延びる複数の縦糸層３０を含む。各縦糸層３０は、単一の縦糸繊維３２から形成されていてもよく、あるいは例えば繊維の束（例えば糸）として配置された多数の縦糸繊維３２から形成されていてもよい。横糸層３４は、縦糸層３０と交互にｙ軸に沿って延びる。横糸層３４は、１つ以上の横糸繊維３６から形成されていてもよい。

表面シート２６は、ｚ軸（これは図示のように表面シート２６の厚さ方向である）に沿って延びる少なくとも１本のｚ繊維３８をさらに含む。図示の実施形態では、１本のｚ繊維３８が複数の横糸層３４に沿って（表面２８に対して）一番上の横糸層３４から延び、隣接する一番下の横糸層３４に沿って交差している。第２のｚ繊維３８は、２本のｚ繊維３８が個々の横糸の列４０（すなわち、厚さ方向の個々の横糸層３４の「重なり」）の間で互いに交差するように、表面の厚さを反対方向に横切り、結果として表面シート２６の厚さを通って横糸層３４が相互に連結及び固定される。繊維のこの特定の配置は、一般的に直交繊維構造として知られている。代替の実施形態では、製造能力、繊維材料、または表面シート２６の望まれる面内及び／または面外の機械的特性などの因子に応じて、横糸、縦糸、及びｚ繊維成分は、例えば層ごとの相互連結構造、または厚さ方向角度の相互連結構造などで様々に配置されていてもよい。

表面シート２６の様々な繊維は、表面シートの複合体のスケールに応じて様々な材料から形成されていてもよい。例えば、表面シート２６がナノコンポジットとして形成される場合、縦糸繊維３２及び横糸繊維３６はガラス、アラミド、炭素、または金属材料から形成されていてもよい一方で、ｚ繊維３８はスチールナノチューブまたはカーボンナノチューブから形成されていてもよい。より大きな（例えばマクロ）スケールの複合材料については、縦糸繊維３２、横糸繊維３６、及びｚ繊維３８は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。他の適切な高強度、高剛性、及び低密度の材料が本明細書で想定される。表面シート２６は、さらに、縦糸、横糸、及びｚ繊維の間の空間として図２に表されるポリマーマトリックス４２で強化されていてもよい。マトリックス４２は、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）もしくはポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂もしくはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂から形成されていてもよい。

３Ｄ織物構造物及びマトリックス４２は、２Ｄ構造に対して改善された損傷許容性を表面シート２６に付与する。例えば、Ｚ繊維３８は、個々の縦糸層と横糸層の分離を防止することを補助するために横糸層３４を厚さ方向に沿って固定する。さらに、ｚ繊維３８は、厚さ方向のエネルギーを吸収し、衝撃力の消散を促進することができる。マトリックス４２は、繊維成分を結合して表面シート２６の形状を維持するために役立つ。マトリックス４２は、繊維成分に荷重を伝達することにも役立つ。マトリックス４２と比較して相対的に熱伝導性の材料（例えば炭素、金属等）から形成され得るｚ繊維３８の存在のため、表面シート２６は改善された熱伝導性も有しており、これは加熱層１２から表面２８および環境Ｅへ（ｚ軸に沿って）上方へ放射される熱を伝達するのに役立つ。表面シート２６の厚さは、その熱的及び機械的特性をさらに最適化するために変更することができる。

本開示のパネルは、表面シート１０の３Ｄ織物構造物のため大きい耐衝撃性を有する。
表面シート２６と金属の上側コア層１８との組み合わせは、熱伝導率の改善も与え、これにより加熱層１２の中の発熱体（複数可）のための電力要件の低減がもたらされる。パネル１０の高い強度対重量比は、これを航空宇宙用途に理想的なものにするが、これは海洋、鉄道、及び自動車の用途だけでなく建築産業においても使用することができる。
可能な実施形態の説明
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。

前述の段落のパネルは、任意選択的には、追加的に及び／または代わりに、次の特徴、構成、及び／または追加的な構成要素のうちの任意の１つ以上を含んでいてもよい：
上述したパネルにおいて、第１のコア層はアルミニウムから形成された高密度ハニカムコアを含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかは、表面シートとは反対側の第１のコア層の面に配置された第２のコア層をさらに含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、第２のコア層はポリマー発泡体またはポリマーハニカムを含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、少なくとも１本のｚ繊維は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、少なくとも１本のｚ繊維は、スチールナノチューブまたはカーボンナノチューブから形成されたナノ構造物を含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、少なくとも１本のｚ繊維は複数のｚ繊維を含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、横糸繊維は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、縦糸繊維は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、表面シートは、熱硬化性材料または熱可塑性材料から形成されたマトリックスをさらに含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、ｚ繊維はマトリックスよりも高い熱伝導率を有していてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、第１、第２、及び第３の方向は互いに直交する。

上述したパネルのいずれかは、第１のコア層に接する第１の補強層と、第２のコア層に接する第２の補強層とをさらに含んでいてもよい。

上述したパネルのいずれかにおいて、環境は航空機の客室であってもよい。

前述の段落の方法は、任意選択的には、追加的に及び／または代わりに、次の特徴、構成、及び／または追加的な構成要素のうちの任意の１つ以上を含んでいてもよい：
上述した方法において、第１のコア層はアルミニウムから形成された高密度ハニカムコアを含んでいてもよい。

上述した方法のいずれかにおいて、少なくとも１本のｚ繊維は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。

上述した方法のいずれかにおいて、少なくとも１本のｚ繊維は、スチールナノチューブまたはカーボンナノチューブから形成されたナノ構造物を含んでいてもよい。

上述した方法のいずれかにおいて、横糸繊維及び縦糸繊維は、ガラス、アラミド、または金属材料から形成されていてもよい。

上述した方法のいずれかにおいて、表面シートは、熱硬化性材料または熱可塑性材料から形成されたマトリックスをさらに含んでいてもよい。

本発明を、例示的な実施形態を参照しつつ説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなしに様々な変更を加えることができ、またそれらの要素を均等物で置き換えられることは当業者に理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなしに、具体的な状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は開示されている具体的な実施形態に限定されず、本発明は添付の請求項の範囲内に含まれる全ての実施形態を含むことが意図されている。

Claims

環境を加熱するために適した複合パネルであって、
環境に接しており３Ｄ織物構造物を含む表面シートと、
前記環境とは反対側の前記表面シートの面に配置された第１のコア層と、を含み、前記３Ｄ織物構造物が、
前記表面シートの厚さを示す第１の方向に延びる少なくとも１本のｚ繊維と、
第２の方向に延びる横糸繊維をそれぞれ含む複数の横糸層と、
前記複数の横糸層の間に配置された、第３の方向に延びる縦糸繊維を含む縦糸層と、を含み、
前記少なくとも１本のｚ繊維が、前記第１の方向で前記複数の横糸層に沿って前記３Ｄ織物構造物の全範囲にわたって延びており、
前記少なくとも１本のｚ繊維が、スチールナノチューブまたはカーボンナノチューブから形成されたナノ構造物を含む、複合パネル。
前記第１のコア層がアルミニウムから形成された高密度ハニカムコアを含む、請求項１に記載のパネル。
前記表面シートとは反対側の前記第１のコア層の面に設けられた第２のコア層をさらに含む、請求項２に記載のパネル。
前記第２のコア層がポリマー発泡体またはポリマーハニカムを含む、請求項３に記載のパネル。
前記少なくとも１本のｚ繊維が、ガラス、アラミド、または金属材料から形成される、請求項１に記載のパネル。
前記少なくとも１本のｚ繊維が複数のｚ繊維を含む、請求項１に記載のパネル。
前記横糸繊維が、ガラス、アラミド、または金属材料から形成される、請求項１に記載のパネル。
前記縦糸繊維が、ガラス、アラミド、または金属材料から形成される、請求項１に記載のパネル。
前記表面シートが、熱硬化性材料または熱可塑性材料から形成されたマトリックスをさらに含む、請求項１に記載のパネル。
前記ｚ繊維が前記マトリックスよりも高い熱伝導率を有する、請求項９に記載のパネル。
前記第１、第２、及び第３の方向が互いに直交する、請求項１に記載のパネル。
前記第１のコア層に接する第１の補強層と、前記第２のコア層に接する第２の補強層とをさらに含む、請求項１に記載のパネル。
前記環境が航空機の客室である、請求項１に記載のパネル。
環境を加熱するために適した複合パネルの形成方法であって、
３Ｄ織物構造物を含む表面シートを環境と通じるように配置することと、
前記環境とは反対側の前記表面シートの面に第１のコア層を配置することと、を含み、前記３Ｄ織物構造物が、
前記表面シートの厚さを示す第１の方向に延びる少なくとも１本のｚ繊維と、
第２の方向に延びる横糸繊維をそれぞれ含む複数の横糸層と、
前記複数の横糸層の間に配置された、第３の方向に延びる縦糸繊維を含む縦糸層と、を含み、
前記少なくとも１本のｚ繊維が、前記第１の方向で前記複数の横糸層に沿って前記３Ｄ織物構造物の全範囲にわたって延びており、
前記少なくとも１本のｚ繊維が、スチールナノチューブまたはカーボンナノチューブから形成されたナノ構造物を含む、方法。
前記第１のコア層がアルミニウムから形成された高密度ハニカムコアを含む、請求項１４に記載の方法。
前記少なくとも１本のｚ繊維が、ガラス、アラミド、または金属材料から形成される、請求項１４に記載の方法。
前記横糸繊維及び縦糸繊維が、ガラス、アラミド、または金属材料から形成される、請求項１４に記載の方法。
前記表面シートが、熱硬化性材料または熱可塑性材料から形成されたマトリックスをさらに含む、請求項１４に記載の方法。