JP2020025468A - キシラナーゼ及びその利用 - Google Patents

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Yusuke Nakamichi
優介 中道
井上 宏之
Hiroyuki Inoue
宏之 井上
ティエリ フーケ
Fouquet Thierry
ティエリ フーケ
祥太郎 伊藤
Shotaro Ito
祥太郎 伊藤
昭則 松鹿
Akinori Matsushika
昭則 松鹿
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Abstract

【課題】新たなキシラナーゼの提供。【解決手段】下記(A)または(B)のアミノ酸配列、及び下記特性(C)を有する、ポリペプチド:(A)特定のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列、(B)特定のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するアミノ酸配列、(C)エンド型キシラナーゼ活性。【選択図】なし

Description

キシラナーゼに関する技術が開示される。
キシランは広く天然に存在する多糖の1つであり、農産廃棄物や木質などのリグノセルロースの主要構成成分である。その構造は、キシロースを単位とするβ−1,4結合により重合した主鎖を有する高分子多糖である。キシランは、天然には、キシロース残基のO−2またはO−3あるいはその両方で、4−O−メチルグルクロン酸側鎖、アラビノフラノシル側鎖やアセチル側鎖などの残基やキシロース、アラビノース、ガラクトース、グルコースなどからなるオリゴ糖側鎖が結合されたヘテロキシランとして存在し、その主要な構造に基づいて、グルクロノキシラン、アラビノグルクロノキシラン、アラビノキシランなどに分類される。広葉樹材はグルクロノキシランを、イネ科草本はアラビノグルクロノキシランを主に含む。アラビノキシランは、ムギ、エンバク、コメ、アワ、トウモロコシ、ソルガムのような穀物やタケノコなどの植物に分布している。
キシランの加水分解物であるキシロオリゴ糖は、キシロースが2〜7個程度、β−1,4結合した構造を持つ糖の総称である。多くの場合、キシランを構成するキシロースには4−O−メチルグルクロン酸側鎖、アラビノフラノシル側鎖等が結合している。キシロオリゴ糖は、それら側鎖を有する酸性キシロオリゴ糖やアラビノキシロオリゴ糖と側鎖をもたない中性キシロキシロオリゴ糖に分類される。
キシロオリゴ糖は、ラクトバチルス種およびビフィズス菌種等の腸内有用菌の栄養源となるプレバイオティクな性質を示すため、食品用ならびに家畜の飼料の添加剤として有用である(非特許文献1及び特許文献1)。一方で、オリゴ糖をラクトバチルス種およびビフィズス菌種等の栄養源にするためには、胃酸や消化液による加水分解による重合度の低下が問題になることから、重合度の高い長鎖キシロオリゴ糖は、高いプレバイオテック効果が期待できる。しかし、中性キシロオリゴ糖は、鎖長が長くなるにつれて水溶性が低下するため、長鎖中性キシロオリゴ糖の生産や取扱は容易ではない。4−O−メチルグルクロン酸側鎖をもつ酸性キシロオリゴ糖になると、親水性のカルボキシル基をもつため重合度が高くとも高い水溶性を示すことが知られており、上記の課題を解決できる。加えて、酸性キシロオリゴ糖は、アトピー性皮膚炎の改善(特許文献2)、免疫調節(特許文献3)、胃上皮細胞の保護(特許文献4)などの機能をもつことが報告されている。
キシロースまたはキシロオリゴ糖は、配糖化反応により、アルコール・フェノール類が付与され配糖体としても利用される(特許文献5)。配糖化は、化合物の可溶化、安定化といった修飾法として注目されており、配糖体は、その生理活性から、食品、医薬品、化粧品としての利用が期待されている。
キシロオリゴ糖の製造方法としては、キシランを加水分解する方法、もしくはキシロースまたはキシロオリゴ糖の糖鎖長を、糖転移反応により伸長する方法が用いられる。キシランの分解によるオリゴ糖の製造方法としては、高温高圧水により、ヘミセルロースを加水分解抽出する方法(特許文献6)や、加水分解酵素であるキシラナーゼでキシランを処理する方法(特許文献7)などが知られている。キシラナーゼを用いたキシロオリゴ糖の生成には、キシラン主鎖をランダムに分解するエンド型キシラナーゼが主に使用されている。キシロースまたはキシロオリゴ糖を用いた糖転移反応によるオリゴ糖の製造方法としては、糸状菌のキシロシル糖転移酵素を用いて、キシロオリゴ糖を糖供与体並びに受容体基質としてキシロオリゴ糖を製造する方法が知られている(特許文献8)。また、エンド型キシラナーゼを用いて、キシランあるいはキシロオリゴ糖を糖供与体として、キシロースをプシコースに転移させる新規なオリゴ糖の製造法も報告されている(特許文献9)。
特許第2629006号 特開2004−210666 特開2009−96729 特開2010−77044 特開2008−187927 特開2006−75067 特開昭61−242592 特開平01−171484 特開2006−169124
日本栄養・食糧学会誌 43巻395−401,1990958.
新たなキシラナーゼの提供が1つの課題である。
下記に代表される発明が提供される。
項1.
下記(A)または(B)のアミノ酸配列、及び下記特性(C)を有する、ポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(B)配列番号1のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するアミノ酸配列
(C)エンド型キシラナーゼ活性。
項2.
エンド型キシラナーゼ活性が4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するキシロースの還元末端側に隣接するキシロースとその更に還元末端側に隣接するキシロースとの間のβ1−4結合を切断する活性である、項1に記載のポリペプチド。
項3.
更に、下記特性(D)を有する、項1又は2 に記載のポリペプチド:
(D)エキソ型キシラナーゼ活性。
項4.
エキソ型キシラナーゼ活性がキシランの非還元末端側からキシロビオース単位でβ1−4結合を切断する活性である、項3に記載のポリペプチド。
項5.
更に下記特性(E)を有する、項1又は2〜4のいずれかに記載のポリペプチド:
(E)キシロオリゴ糖またはキシランを糖供与体とするキシロビオース転移活性。
項6.
配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されている、項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド:
24Arg、180Glu、275Glu。
項7.
配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されているか、又は保存的に置換されている、項1〜6のいずれかに記載のポリペプチド:
68Ser、69Thr、70Ser、71Asn、72Leu。
項8.
配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されている、項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド:
11Gln、15Gly、17Gly、19Ser、21Ala、22Phe、39Gln、52Gly、57Ile、59Arg、60Asn、62Ile、76Ile、78Pro、81Pro、84Pro、90Tyr、99Gln、106Ala、115Tyr、116Ala、117Asp、118Ala、119Trp、121Ala、122Pro、123Gly、125Met、126Lys、127Thr、135Gly、138Cys、139Gly、142Gly、145Cys、149Asp、150Trp、151Arg、152Gln、153Ala、154Tyr、155Ala、158Leu、159Val、160Gln、161Tyr、165Tyr、169Gly、176Gly、179Asn、180Glu、181Pro、187Tyr、190Met、192Ser、197Ala、200Phe、204Leu、219Cys、220Cys、221Asp、224Gly、235Leu、239Gly、248Tyr、253Thr、255His、257Tyr、259Ser、264Pro、274Thr、275Glu、287Thr、292Gly、296Glu、297Gly、300Trp、301Ala、309Val、314Ser、319Trp、334Leu、342Ser、346Trp、349Ala、356Arg、357Pro、361Arg、378Asn、389Asn、418Asn。
項9.
項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
項10.
ポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列と80%以上の同一性を有する、項9に記載のポリヌクレオチド。
項11.
項9又は10に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
項12.
項9又は10に記載のポリヌクレオチド、或いは項11に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
項13.
項12に記載の宿主細胞を培養することを含む、項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを製造する方法。
項14.
項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
項15.
セルラーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ガラクツロン酸リアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、α−グルクロニダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−キシロシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、及びフェルラ酸エステラーゼからなる群より選択される一種以上の酵素を更に含む、項14に記載の組成物。
項16.
項1〜8のいずれかに記載のポリペプチド、項12に記載の宿主細胞、或いは、項14又は15に記載の組成物を、キシランに作用させることを含む、キシロオリゴ糖の製造方法。
項17.
キシロオリゴ糖がキシロビオース、キシロテトラオース、及び又はキシロヘキサオースを含む、項16に記載の方法。
項18.
キシロオリゴ糖及びキシランからなる群より選択される糖供与体、並びに糖受容体に、項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを作用させることを含む、キシロビオースの還元末端に糖受容体が結合した糖転移物を製造する方法。
新たなキシラナーゼが提供される。好適な一実施形態において、キシランから効率的にキシロオリゴ糖を製造する手段が提供される。
精製Xyn30BのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動分析 Xyn30Bの最適活性pH Xyn30BのpH安定性 Xyn30Bの最適活性温度 Xyn30Bの温度安定性 Xyn30Bによる分解物のイオン交換クロマトグラフによる分析図 Xyn30Bによる分解物の質量分析図 Xyn30BによるBeechwoodキシランからの中性キシロオリゴ糖の生産 Xyn30Bのエキソ型キシラナーゼ活性の40℃における最適pH Xyn30Bの転移活性の40℃における最適pH Xyn30Bの各種糖類を受容体とした転移反応 Xyn30Bの結晶 Xyn30Bの立体構造 Xyn30Bによるエンド型キシラナーゼ反応の模式図 Xyn30Bによるエキソ型キシラナーゼ反応の模式図 Xyn30Bのアミノ酸配列と他のキシラナーゼのアミノ酸配列とのマルチプルアライメント:「T.reesei_Xyn6」は、Trichoderma reesei由来のXyn VIのアミノ酸配列(配列番号7)であり、「P.subrubescens」は、Penicillium subrubescens由来のキシラナーゼのアミノ酸配列(配列番号8)であり、「Xyn30B」は、Xyn30Bのシグナル配列を含むアミノ酸配列(配列番号9)であり、「T.reesei_Xyn4」は、Trichoderma reesei由来のXyn IVのアミノ酸配列(配列番号10)である。網掛け部分はキシロビオース単位での転移活性に関与するループ構造を形成すると考えられる領域である。「*」は全てのアミノ酸配列に共通しているアミノ酸残基であることを示し、「:」は全てのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基が類似していることを示す。
1.ポリペプチド
ポリペプチドは、下記(A)または(B)のアミノ酸配列、及び下記特性(C)を有することが好ましい。
(A)配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(B)配列番号1のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するアミノ酸配列
(C)エンド型キシラナーゼ活性
配列番号1のアミノ酸配列は、後述する実施例で同定したタラロマイセス・セルロリティカスCF−2612株由来のキシラナーゼ(Xyn30B)のアミノ酸配列(シグナルペプチドを含まない)である。ポリペプチドを構成するアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と60%以上、70%以上、80%、85%以上、90%、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有することが好ましい。
アミノ酸配列の同一性は、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えば、
ClustalW ver2.1 Pairwise Alignment(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/index.php?lang=ja)を使用し、デフォルトのパラメータを用いて算出することができる。また、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、算出することができる。
上記(B)のポリペプチドに関し、「数個」とは、例えば、50個以下、45個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、3個以下、又は2個以下である。
1又は数個のアミノ酸残基が置換されている場合、置換の種類は、特に制限されないが、ポリペプチドの高次構造、表現形又は特性に顕著な負の影響を与えないという観点から保存的アミノ酸置換が好ましい。「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、同様の性質を有するファミリーに分類することができる。よって、アミノ酸置換は、置換前のアミノ酸残基と同一の上記カテゴリーに属する他のアミノ酸残基間で置換されることが好ましい。
配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの高次構造、表現形又は特性に顕著な負の影響を与えないという観点から、(A)及び(B)のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列からなるキシラナーゼに特徴的なアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。保存されているとは、あるアミノ酸残基が、(A)又は(B)のアミノ酸配列において、配列番号1における位置と同等の位置に存在することを意味する。
一実施形態において、配列番号1のアミノ酸配列を構成するアミノ酸残基のうち、次のアミノ酸残基は、上記(A)及び(B)のアミノ酸配列において保存されていることが好ましい:11Gln、15Gly、17Gly、19Ser、21Ala、22Phe、39Gln、52Gly、57Ile、59Arg、60Asn、62Ile、76Ile、78Pro、81Pro、84Pro、90Tyr、99Gln、106Ala、115Tyr、116Ala、117Asp、118Ala、119Trp、121Ala、122Pro、123Gly、125Met、126Lys、127Thr、135Gly、138Cys、139Gly、142Gly、145Cys、149Asp、150Trp、151Arg、152Gln、153Ala、154Tyr、155Ala、158Leu、159Val、160Gln、161Tyr、165Tyr、169Gly、176Gly、179Asn、180Glu、181Pro、187Tyr、190Met、192Ser、197Ala、200Phe、204Leu、219Cys、220Cys、221Asp、224Gly、235Leu、239Gly、248Tyr、253Thr、255His、257Tyr、259Ser、264Pro、274Thr、275Glu、287Thr、292Gly、296Glu、297Gly、300Trp、301Ala、309Val、314Ser、319Trp、334Leu、342Ser、346Trp、349Ala、356Arg、357Pro、361Arg、378Asn、389Asn、418Asn。ここで、「11Gln」とは、配列番号1のアミノ酸配列における11番目のグルタミン残基を意味し、他の標記についても同様である。一実施形態において、これらのアミノ酸残基の1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、70以上、75以上、80以上、又は85以上が保存されていることが好ましい。
好適な一実施形態において、配列番号1のアミノ酸配列を構成するアミノ酸残基のうち、次のアミノ酸残基は、上記(A)及び(B)のアミノ酸配列において保存されていることが好ましい:2Ile、4Val、5Asp、10Tyr、13Val、44Asp、46Met、47Tyr、55Phe、56Thr、58Leu、64Ser、83Ser、96Asn、100Phe、103Ser、104Gln、114Ile、137Leu、156Asp、157Tyr、162Val、163Lys、172Val、175Leu、182Gln、186Ser、193Asn、196Gln、201Val、203Ile、207Thr、208Leu、209Glu、217Leu、218Thr、228Gln、249Leu、265Leu、283Phe、288Phe、298Met、304Ile、308Phe、310Asn、312Asn、316Phe、323Glu、345Phe、347Ser、348Met、351Phe、353Lys、354Phe、359Ala、362Val、364Ala、365Thr、373Val、375Ala、376Phe、380Asn、383Val、399Ile、401Leu、414Trp、430Val、434Ser、435Phe、438Ser、439Val、444Leu、446Ser。一実施形態において、これらのアミノ酸残基の1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、又は70以上が保存されていることが好ましい。これらのアミノ酸残基は、そのまま保存されているか類似アミノ酸に置換されていてもよい。
更に好適な一実施形態において、配列番号1のアミノ酸配列を構成するアミノ酸残基のうち、次のアミノ酸残基は、上記(A)及び(B)のアミノ酸配列において保存されていることが好ましい:3Asn、25Ala、30Gly、36Pro、42Val、48Ser、53Ala、63Gly、65Ser、82Gly、85Ser、97Ser、110Gly、120Ser、189Ser、194Gly、199Glu、214Asp、222Gly、238Val、245Ala、250Ser、266Ser、278Asp、282Ala、291Asp、307Ala、311Ala、315Ala、318Tyr、330Gly、358Asn、366Ser、370Ser、371Val、379Thr、384Ala、387Val、391Gly、394Ala、396Ser、400Asp、410Lys、417Ser、419Asp、431Lys、433Asn、437Ala、443Ser、447Phe。一実施形態において、これらのアミノ酸残基の1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、又は45以上が保存されていることが好ましい。これらのアミノ酸残基は、そのまま保存されているか類似アミノ酸に置換されていてもよい。
配列番号1のアミノ酸配列において、24Argはグルクロン酸認識に関与している。配列番号1のアミノ酸配列において、68Ser、69Thr、70Ser、71Asn、及び72Leuは、後述するキシロビオース単位でのエキソ型キシラナーゼならびに転移活性に関与するループ構造を形成すると考えられる。配列番号1のアミノ酸配列において、180Glu及び275Gluは、触媒作用に必須である。よって、これらのアミノ酸残基は上記(A)又は(B)のアミノ酸配列において保存されていることが好ましい。一実施形態において、68Ser、69Thr、70Ser、71Asn、及び72Leuのアミノ酸残基については、ループ構造を形成する限り、他のアミノ酸残基に置換(好ましくは、保存的置換)されていてもよい。例えば、連続した3つの親水性アミノ酸残基と5番目に疎水性アミノ酸残基を有するフラグメントを構成していればよい。
上記(A)又は(B)のアミノ酸配列は、所望の特性を妨げない限り、N末端及び/又はC末端に更に任意のアミノ酸残基(配列)を有していてもよい。例えば、上記(A)又は(B)のアミノ酸配列は、N末端にシグナルペプチドを有していてもよい。また、(A)及び(B)のアミノ酸配列は、そのC末端にリンカー配列及びセルロース結合モジュールに相当するアミノ酸配列を有していてもよい。
エンド型キシラナーゼ活性とは、キシロースで形成されるキシランの主鎖をその末端からではなく、内部から切断する活性を意味する。エンド型キシラナーゼ活性は、ポリペプチドをキシランに作用させることにより、比較的長い主鎖を有するキシロオリゴ糖(例えば、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、又はそれ以上の高次オリゴマー)が生成されることに基づいて確認することができる。また、キシラナーゼ活性の有無は、例えば、ソモギ-ネルソン法等の公知の手法を用いて確認することができる。
一実施形態において、エンド型キシラナーゼ活性は、キシラン又はキシロオリゴ糖に存在する4−O−メチルグルクロン酸側鎖を認識して、一定の様式で主鎖を切断する活性であることが好ましい。例えば、図14に示すように、キシラン又はキシロオリゴ糖における4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するキシロースの還元末端側に隣接するキシロースとその更に還元末端側に隣接するキシロースとの間のβ−1,4結合を特異的に切断する活性であることが好ましい。このようなエンド型キシラナーゼ活性を有することは、後述する実施例の試験4で用いた測定方法にて確認することができる。
ポリペプチドは、4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するキシランだけでなく、アラビノフラノシル側鎖を有するキシランに対してもエンド型キシラナーゼ活性を示してもよい。一実施形態において、ポリペプチドは、アラビノフラノシル側鎖を有するキシランに対してエンド型キシラナーゼ活性を有さないことが好ましい。4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するキシランとしては、例えば、Beechwoodキシラン及びBirchwoodキシランを挙げることができる。アラビノフラノシル側鎖を有するキシランとしては、小麦アラビノキシランを挙げることができる。
一実施形態において、ポリペプチドはエキソ型キシラナーゼ活性を有することが好ましい。エキソ型キシラナーゼ活性とは、キシロースで形成されるキシランの主鎖をその末端から切断する活性を意味する。エキソ型キシラナーゼ活性は、ポリペプチドをキシランに作用させることにより、一定の長さのキシロオリゴ糖もしくはキシロースが蓄積される。エキソ型キシラナーゼ活性の有無は、例えば、HPLC法等の公知の手法を用いて確認することができる。一実施形態において、エキソ型キシラナーゼ活性は、図15に示すように、キシランまたはキシロオリゴ糖の非還元末端からキシロビオース単位で分解活性を有することが好ましい。ここで、基質となるキシランおよびキシロオリゴ糖の種類は特に制限されず、4−O−メチルグルクロン酸側鎖、アラビノフラノシル側鎖、アセチル側鎖、ガラクトシル側鎖、アラビノフラノシル側鎖等の側鎖を1種以上有していてもよく、これらの側鎖を有さない中性キシロオリゴ糖またはキシランであってもよい。また、キシロオリゴ糖及びキシランは、非還元末端から2番目までのキシロース残基に側鎖を有さないか、還元末端に修飾基がO−グリコシド結合で結合した構造を有していてもよい。
一実施形態において、ポリペプチドは、キシロオリゴ糖またはキシランを糖供与体とするキシロビオース転移活性を有することが好ましい。ここで、キシロビオース転移活性とは、キシロオリゴ糖またはキシランからキシロビオースを切断し、それを糖受容体に結合させる(転移させる)活性を意味する。キシロオリゴ糖またはキシランからキシロビオースを切断する様式は特に制限されないが、例えば、図15に示すように、キシロオリゴ糖またはキシランの非還元末端からキシロビオースを上記で述べたエキソ型キシラナーゼ活性により切断し、切り出したキシロビオース側の還元末端に糖受容体を結合させる様式が好ましい。糖供与体となるキシロオリゴ糖及びキシランの種類は特に制限されず、4−O−メチルグルクロン酸側鎖、アラビノフラノシル側鎖、アセチル側鎖、ガラクトシル側鎖、アラビノフラノシル側鎖等の側鎖を1種以上有していてもよく、これらの側鎖を有さない中性キシロオリゴ糖またはキシランであってもよい。また、キシロオリゴ糖及びキシランは、非還元末端から2番目までのキシロース残基に側鎖を有さないか、還元末端に修飾基がO−グリコシド結合で結合した構造を有していてもよい。
糖受容体は、キシロビオースと結合可能である限り特に制限されない。例えば、糖受容体としては、単糖、その誘導体又は配糖体等の単糖類、二糖以上のオリゴ糖、その誘導体又は配糖体、及び第一級水酸基又はフェノール性水酸基を有する化合物を挙げることができる。単糖類としては、例えば、グルコース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース及びN-アセチルグルコサミン等のヘキソース;ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン)及びアルドトリオース(グリセルアルデヒド)等のトリオース;エリトリロース、エリトロース及びトレオース等のテトロース;及びリブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース及びデオキシリボース等のペントース等を挙げることができる。二糖類としては、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、マンノビオース、キシロビオース、ツラノース及びセロビオース等を挙げることができる。三糖類としては、例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、マンノトリオース、キシロトリオース、セロトリオース及び1−ケストース(GF2)等を挙げることができる。四糖類としては、例えば、グリコーゲン、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、デキストリン、グルカン、キチン質及びイヌリン(フラクトフラノシルニストース:GF4を含む)等を挙げることができる。糖アルコールとしては、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトールおよび還元パラチノース等を挙げることができる。一実施形態において好ましい糖受容体は、例えば、キシロース、キシロビオース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、スクロース、ラクトース、N−アセチルグルコサミン、及びキシリトール等を挙げることができる。
一実施形態において、エンド型キシラナーゼ活性を有するポリペプチドは、至適活性温度が約50℃であることが好ましい。至適活性温度が約50℃であるとは、50℃におけるエンド型キシラナーゼ活性が45℃及び55℃におけるエンド型キシラナーゼ活性よりも高いことを意味する。一実施形態において、エンド型キシラナーゼ活性を有するポリペプチドは、40℃以下の温度で安定であることが好ましい。40℃以下の温度で安定であるとは、40℃以下の温度の緩衝液中に24時間保持しても、保存前と比較して95%以上の活性を維持していることを意味する。一実施形態において、エンド型キシラナーゼ活性を有するポリペプチドは、至適pHが約4.0であることが好ましい。至適pHが約4.0であるとは、pH4.0でのエンド型キシラナーゼ活性がpH3及び5における同活性よりも高いことを意味する。一実施形態において、エンド型キシラナーゼ活性を有するポリペプチドは、pH3〜6.5で安定であることが好ましい。pH3〜6.5で安定であるとは、pH3〜6.5の緩衝液中で30分保持した後の残存活性が95%以上であることを意味する。
一実施形態において、ポリペプチドのエキソ型キシラナーゼ活性を利用する際の反応液のpHおよび温度等の条件は、ポリペプチドが失活しない範囲であればよい。例えば、エンド型キシラナーゼ活性と同様の至適温度およびpH安定性の範囲でエキソ型キシラナーゼ活性の条件を採用することが効率的に基質を分解し、キシロビオースを得るという観点から好ましい。一実施形態において、エキソ型キシラナーゼ活性は、至適pHが約3.5〜4.0付近であることが好ましい。至適pHが約3.5〜4.0付近であるとは、pH3.5〜4.0付近でのエキソ型キシラナーゼ活性がpH3及び4.5における同活性よりも高いことを意味する。
一実施形態において、ポリペプチドのキシロビオース転移活性を利用する際の反応液のpHおよび温度等の条件は、ポリペプチドが失活しない範囲であればよい。例えば、エンド型キシラナーゼ活性と同様の至適温度およびpH安定性の範囲でキシロビオース転移活性の条件を採用することが好ましい。一実施形態において、キシロビオース転移活性は、至適pHが約3付近であることが好ましい。至適pHが約3付近であるとは、pH3でのキシロビオース転移活性がpH2及び4における同活性よりも高いことを意味する。
上述のポリペプチドは、後述するポリヌクレオチドを利用して、遺伝子工学的な手法で製造することができる。同ポリペプチドは、配列番号1又は9に示されるアミノ酸配列の情報に基づいて、一般的なタンパク質の化学合成法(例えば、液相法及び固相法)を用いて製造することも可能である。
2.ポリヌクレオチド
上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列は特に制限されない。一実施形態において、ポリヌクレオチドの塩基配列は、配列番号2の塩基配列と一定以上の同一性を有することが好ましい。一定以上の同一性とは、例えば、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。一実施形態においてポリヌクレオチドはDNAであることが好ましい。
塩基配列の同一性は、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えば、FASTA、BLAST、PSI−BLAST、SSEARCH等のソフトウェアを用いて計算される。具体的には、BLAST検索に一般的に用いられる主な初期条件は、以下の通りである。即ち、Advanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、ヌクレオチド配列の相同性の値(%)を算出することができる。
一実施形態において、ポリヌクレオチドは、単離された状態で存在するDNAであることが好ましい。ここで「単離されたDNA」とは、天然状態において共存するその他の核酸やタンパク質等の成分から分離された状態であることをいう。但し、天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。cDNA分子など遺伝子工学的手法によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態は、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない。同様に、化学合成によって調製されるDNAの場合の「単離されたDNA」は、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まないこと。
ポリヌクレオチドは、配列番号2の塩基配列に基づいて、化学的なDNAの合成法(例えば、フォスフォアミダイト法)や遺伝子工学的手法を用いて容易に取得することができる。
3.ベクター
ベクターは、上記ポリヌクレオチドを発現可能な様式で含むことが好ましい。ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適宜選択することができる。例えば、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。
大腸菌で発現可能なベクターとしては、例えば、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218、pQE、及びpET等を挙げることができる。酵母で発現可能なベクターとしては、例えば、pBR322、pJDB207、pSH15、pSH19、pYepSec1、pMFa、pYES2、pHIL、pPIC、pAO815、及びpPink等を挙げることが出来る。昆虫で発現可能なベクターとしては、例えば、pAc、pVL、及びpFastbac等を挙げることが出来る。
宿主細胞として真核細胞を使用する場合は、発現ベクターとして、発現しようとするポリヌクレオチドの上流にプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位及び転写終了配列等を保有するものを使用することができ、更に必要により複製起点、エンハンサー、及び/又は選択マーカーを有していてもよい。
4.形質転換体
形質転換体は、上記ベクターで形質転換されているものが好ましい。形質転換体中において、ベクターは、宿主細胞中において自律的に存在してもゲノム中に相同組換え的または非相同組換え的に組み込まれて存在してもよい。形質転換に使用する宿主細胞は、上記ポリペプチドを産生できる限り特に制限されず、原核細胞及び真核細胞のいずれでもよい。具体的には、エシェリヒア・コリ等のエシェリヒア属細菌(例えば、HB101、MC1061、JM109、CJ236、MV1184等)、コリネバクテリウム・グルタミカム等のコリネ型細菌、ストレプトミセス属細菌等の放線菌、バチルス・サブチリス等のバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌、スタフィロコッカス属細菌等の原核細胞;サッカロミセス属、ピシア属及びクルイベロマイセス属等の酵母、アスペルギルス属、ペニシリウム属、タラロマイセス属、トリコデルマ属、ハイポクレア属及びアクレモニウム属等の真菌細胞;ドロソフィラS2、スポドプテラSf9、カイコ培養細胞等の昆虫細胞;並びに植物細胞等を挙げることができる。枯草菌、酵母、真菌、放線菌等のタンパク質分泌能を利用して、ポリペプチドを培地中に生産させることもできる。一実施形態において好ましい宿主細胞は、タラロマイセス属菌であり、より好ましくはタラロマイセス・セルロリティカス(例えば、ウラシル要求性株)である。
組換え発現ベクターの宿主細胞内への導入方法は、従来の慣用的に用いられている方法により行うことができる。例えば、コンピテントセル法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポソーム融合法等の種々の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
形質転換体は、ポリペプチドを産生可能であるため、ポリペプチドを製造するために用いることが可能であり、また形質転換体の状態で、キシランを含む試料からキシロース及び/又はキシロオリゴ糖を製造するために使用することもできる。
5.形質転換体を用いたポリペプチドの製造方法
上記形質転換体を培養し、培養物からエンド型キシラナーゼ活性及び/又は上述の他の特性を有するポリペプチドを回収することにより、上述のポリペプチドを製造することができる。培養は、宿主に適した培地を用いて継代培養又はバッチ培養を行うことができる。また、培養は、形質転換体の内外に生産されたポリペプチドの活性を指標にして、適当量得られるまで実施することができる。
培地としては、宿主細胞の種類に応じて慣用される各種のものを適宜選択利用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施できる。例えば、大腸菌の培養にはLB培地などの栄養培地や、M9培地などの最少培地に炭素源、窒素源、ビタミン源等を添加した培地を用いることができる。
培養条件は宿主の種類に応じて適宜設定することができる。通常、16〜42℃、好ましくは25〜37℃で5〜168時間、好ましくは8〜120時間培養される。宿主に依存して、振盪培養と静置培養のいずれも可能であるが、必要に応じて攪拌及び/又は通気を行ってもよい。遺伝子発現のために誘導型プロモーターを用いる場合は、培地にプロモーター誘導剤を添加して培養を行うこともできる。
培養上清からのポリペプチドの精製又は単離は、公知の手法を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール等の溶媒沈殿、透析、限外濾過、酸抽出、及び各種クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等)等を用いた手法が挙げられる。アフィニティークロマトグラフィーに用いる担体としては、例えば、ポリペプチドに対する抗体を結合させた担体や、ポリペプチドにペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合した担体を利用することもできる。
ポリペプチドが宿主の細胞内に蓄積される場合は、形質転換細胞を破砕し、破砕物の遠心上清から上記と同様にしてポリペプチドを精製又は単離することができる。例えば、培養終了後、遠心により集菌した菌体を菌体破砕用バッファー(20〜100mM Tris−HCl(pH8.0)、5mM EDTA)に懸濁し、超音波破砕し、破砕処理液を10000〜15000rpmで10〜15分間遠心して上清を得ることができる。遠心後の沈殿は、必要に応じて塩酸グアニジウム又は尿素などで可溶化したのち更に精製することもできる。
6.ポリペプチドを用いたキシロオリゴ糖の製造方法
エンド型キシラナーゼ活性を有するポリペプチドをキシランを含む試料(例えば、バイオマス資源)に接触させることにより、キシランを分解し、酸性キシロオリゴ糖(例えば、4−O−メチルグルクロン酸側鎖を一つ含みキシロース残基数が2〜10であるキシロース主鎖を有するキシロオリゴ糖)を含む糖液を製造することができる。上述のエンド型キシラナーゼ活性は、4−O−メチルグルクロン酸側鎖に対する基質特異性が高く、キシランから酸性キシロオリゴ糖を高濃度で含有する糖液の生産が可能である。
さらにエキソ型キシラナーゼ活性ならびに糖転移活性を有するポリペプチドを4−O−メチルグルクロン酸側鎖をほとんど含まないキシランを含む試料に接触させることにより、キシランを分解し、中性キシロオリゴ糖(例えば、キシロビオースおよびその糖転移物としてのキシロテトラオースならびにキシロヘキサオース)を含む糖液を製造することができる。
上述のポリペプチドに加えて、他のセルラーゼ等の酵素を併用し、より効率的に酸性ならびに中性キシロオリゴ糖を高濃度で含有する糖液を製造することが好ましい。
キシランを含む試料の種類は、ポリペプチドによって分解可能である限り特に制限されないが、例えば、バガス、木材、ふすま、麦わら、稲わら、イネ科もしくはマメ科等の牧草、コーンコブ、ササ、パルプ、もみがら、小麦フスマ、大豆粕、大豆オカラ、コーヒー粕、コメ糠等を挙げることができる。
キシランを含む試料からキシロオリゴ糖を含む糖液を製造する方法は、公知の手法に従って行うことができる。利用するバイオマス資源は、乾燥物でも、湿潤物でもよいが、処理効率を高めるために予め100〜10000μmサイズに粉砕されていることが好ましい。粉砕はボールミル、振動ミル、カッターミル、ハンマーミル等の装置を用いて行うことができる。そして、粉砕したバイオマス資源は、水、蒸気もしくはアルカリ溶液などに浸漬して60〜200℃の間で高温処理もしくは高温高圧処理を施して、酵素処理効率をさらに高めることもできる。例えば、アルカリ処理は、苛性ソーダやアンモニア等を用いて行うことができる。このような前処理がされたバイオマス試料を水性媒体中に懸濁し、ポリペプチドと他のセルラーゼを加え、攪拌しながら加温して、バイオマス資源を分解または糖化し、キシロオリゴ糖を含む糖液を得ることができる。
ポリペプチドを水溶液中でキシランを含む試料に接触させる場合は、反応液のpHおよび温度等の条件は、ポリペプチドが失活しない範囲であればよい。例えば、上述の至適温度及び至適pH付近の条件を採用することが効率的に試料を分解し、糖液を得るという観点から好ましい。
キシロース及び/又はキシロオリゴ糖を含有する糖液は、そのまま利用しても良く、水分を除去して乾燥物として使用しても良く、目的に応じて、更に化学反応又は酵素反応によって異性化又は分解することも可能である。糖液又はその分画物は、例えば、発酵法によりメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ブタンジオール等のアルコールの原料として使用することができる。
7.ポリペプチドを含む組成物
組成物は、上記ポリペプチドを含むことが好ましい。そのような組成物は、キシランから効率的にキシロオリゴ糖を生産するために使用することができる。また、組成物は、ポリペプチドに加えて、任意の他の物質を含みえる。他の物質は、例えば、他の酵素であってもよい。他の酵素としては、例えば、セルラーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ガラクツロン酸リアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、α−グルクロニダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−キシロシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、及びフェルラ酸エステラーゼからなる群より選択される一種以上であり得る。これらの他の酵素の一種以上との組み合わせでポリペプチドを含むことにより、効率的にバイオマスからキシロオリゴ糖を得ることができる。
組成物に含まれる他の物質は上述のキシランを含む試料(例えば、リグノセルロース)であってもよい。上記ポリペプチド及びキシランを含む試料を含む組成物は、家畜などの飼料として有用である。
8.糖転移物の製造方法
上述のキシロビオース転移活性を有するポリペプチドを用いて、糖転移物を製造することができる。例えば、糖供与体となるキシロオリゴ糖及び/又はキシラン並びに糖受容体にポリペプチドを作用させることにより、糖供与体からキシロビオースを切り取り、それを糖受容体に転移(付加)し、種々の糖転移物を製造することができる。糖転移物は、キシロビオースの還元末端に糖受容体がO−グリコシド結合した構造を有することが好ましい。糖供与体及び糖受容体の種類は特に制限されず、例えば、上述したものを利用できる。反応条件は、ポリペプチドによる糖転移活性が発揮される限り特に制限されない。反応液のpHおよび温度等の条件は、ポリペプチドが失活しない範囲であればよい。例えば、上述のエンド型キシラナーゼ活性の至適温度及びpH安定性の範囲で糖転移活性の条件を採用することは、効率的に糖転移物を提供できるという観点から好ましい。一実施形態において、糖転移活性は、至適pHが約3.0であることが好ましい。至適pHが約3.0であるとは、pH3.0での糖転移活性がpH2及び4における同活性よりも高いことを意味する。よって、一実施形態において糖転移活性を利用する際の反応液のpHは約3であることが好ましい。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
1.GH30タンパク質遺伝子の同定
タラロマイセス・セルロリティカスCF−2612株を特開2008−271927に記載の方法に基づき、セルロースパウダーの代わりに広葉樹Birchwoodキシランを炭素源として培養した。培養液を遠心し、上澄み液を得た。上澄み液中には種々のセルラーゼやキシラナーゼを含む糖化酵素が含まれる。酵素液中の個々の酵素を二次元ゲル電気泳動法を用いて分離、染色後、分子量約58kDa、pI値約4.7付近に展開された染色スポットを切り出してタンパク質を抽出した。抽出されたタンパク質をトリプシン分解して得られた2種類のペプチド断片のアミノ酸配列を決定した。アミノ酸配列はSAEDYLS(配列番号3)及びFYAESGVPVTHL(配列番号4)であった。これらについてタラロマイセス・セルロリティカスのゲノムデータを対象に検索を行い、これらは、GH30ファミリーの機能未知のタンパク質(Xyn30B)に由来することが分かった。ゲノム配列上のタンパク質遺伝子は、1425bpであり、ストップコドンに相当する部分を除いたポリペプチドをコードする遺伝子配列1422bpを決定した(配列番号2)。配列番号2に基づいて推定される474アミノ酸残基からなるXyn30Bのポリペプチド配列(配列番号9)を決定した。
Xyn30Bの分泌シグナル配列(第1位〜第22位)は、Signal−P Serverを用いてを決定した。シグナル配列は、タンパク質の分泌生産に必要であり、菌体外へ分泌後に切断される。分泌シグナル配列を除いたタンパク質の理論上の分子量およびpI値は、それぞれ49402および4.54と見積もられた。Xyn30Bのポリペプチド配列は、グルクロノキシラナーゼとして機能が明らかとなっているTrichoderma reesei由来のキシラナーゼVI(FEBS J. 2014, 281 (17):3894−3903.)のポリペプチド配列と38%の同一性を示した。キシラナーゼVIとの比較から、Xyn30Bは、触媒作用に必須な2つのグルタミン酸残基(第202位、第297位)が保存されていることが判明した。
2.GH30タンパク質の発現と精製
Xyn30B遺伝子のN末端配列およびC末端配列がコードされる遺伝子配列から、以下の2種類のオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー1、プライマー2)を作成した。
プライマー1:ATTGTTAACAGAATGGTGTTCAGCAAAGTCGCCG(配列番号5)
プライマー2:AATCCTGCAGGTCACTCGCACTCTGTAACAAAGCTTG(配列番号6)
タラロマイセス・セルロリティカスCF−2612株のゲノムDNAを鋳型としてプライマー1および2を用いて配列番号2を含む約1.4KbのXyn30B遺伝子断片を増幅した。本遺伝子をHpaIおよびSbfIで切断し、pANC202(J.Ind.Microbiol.Biotechnol.2013,40(8):823−830)のEcoRV−SbfI間に導入し、グルコアミラーゼプロモーターの支配下にてXyn30B遺伝子を発現させる発現プラスミドpANC215を得た。本プラスミドは、プロトプラスト−PEG法を用いて、アクレモニウム(現タラロマイセス)・セルロリティカスのウラシル要求性YP−4株(J.Ind.Microbiol.Biotechnol.2013,40(8):823−830)の染色体に、非相同的に組み込まれた。
Xyn30B遺伝子を組み込まれた形質転換株は、文献(J.Ind.Microbiol. Biotechnol.2013,40(8):823−830)に記載されるデンプンを炭素源とする液体培地で30℃、120時間しんとう培養することによって組換えXyn30Bを菌体外に分泌生産した。培養液を遠心した上澄み液を用いて、Xyn30Bの精製を行った。上澄み液は、先ず20mM 2−(N−morpholino)ethanesulfonic acid(MES)緩衝液(pH6.5)で平衡化したHiprep26/1脱塩カラム(GEヘルスケア製)で脱塩された。脱塩溶液は、同緩衝液で平衡化したSource15Q陰イオン交換カラム(GEヘルスケア製)に供され、0.5M塩化ナトリウムを含む同緩衝液にてグラジエント溶出された。得られた画分は、最終濃度2.0Mになるように硫酸アンモニウムを加えられ、2.0M硫酸アンモニウムを含む20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化したSource15ISO疎水性相互作用カラム(GEヘルスケア製)に供された。Xyn30Bは、硫酸アンモニウムを含まない20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)にてグラジエント溶出され、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動分析によって電気泳動的に単一であることが確認された(図1)。分子量既知のタンパク質マーカーとの泳動度の比較によって、Xyn30Bの分子量は、53.4kDaと見積もられた。得られた精製酵素画分は、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)で置換後に冷蔵保存された。
3.Xyn30Bの酵素学的諸性質
(1)基質特異性
各種基質に対するXyn30Bの酵素活性を調べた。50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)に上記で得たXyn30B及び各種基質を加え、40℃で15分間保温した後、遊離した還元糖濃度をDNS法によって定量した。酵素活性1Uは、1分間に1μmolの還元糖を遊離する酵素量と定義し、酵素1mgあたりの酵素活性(U/mg)を算出した(表1)。なお、酵素のタンパク質濃度の測定は、PierceTM BCA Protein Assay Kit (Thermo Fisher製)を用いて行った。タンパク質濃度定量用の標準物質としては、濃度既知のウシ血清アルブミン(Thermo Fisher製)を使用した。
表1に示す通り、4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するBeechwoodキシランおよびBirchwoodキシランに対し酵素活性が確認され、精製酵素がキシラナーゼであることが示された。しかしながら、アラビノフラノシル側鎖を有する小麦アラビノキシランに対してエンド型キシラナーゼ活性を示さなかったことから、本酵素は、4−O−メチルグルクロン酸側鎖を認識してエンド型キシラナーゼ活性を示すグルクロノキシラナーゼであることが示された。
(2)至適pH
Xyn30Bの至適pHを調べた。McIlvaine緩衝液にてpHを調整し、酵素を10mg/mlのBeechwoodキシランと共に40℃で15分処理後に生成した還元糖濃度を定量し、相対酵素活性を算出した。相対酵素活性とpHとの関係を図2に示す。図2に示されるとおり、Xyn30Bは、pH4.0付近で最大の活性を示し、約pH3.0〜5.0において最大活性の80%以上の相対活性を有する。
(3)pH安定性
Xyn30BのpH安定性を調べた。McIlvaine緩衝液にてpHを調整し、酵素を40℃で30分処理後、これらを希釈し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて10mg/mlのBeechwoodキシランと共に40℃で30分処理後に生成した還元糖濃度を定量し、残存酵素活性を算出した。残存酵素活性とpHとの関係を図3に示す。図3に示されるとおり、本酵素はpH3.0〜6.5の範囲で安定である。
(4)至適温度
Xyn30Bの至適温度(作用最適温度)を調べた。50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて10mg/mlのBeechwoodキシランを酵素と共に35〜60℃で15分処理後に生成した還元糖濃度を定量し、相対酵素活性を算出した。相対酵素活性と温度との関係を図4に示す。図4から明らかなように、本酵素の至適温度は50℃付近であり、約40〜55℃の範囲において高い活性を有している。
(5)温度安定性
Xyn30Bの熱安定性を調べた。50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて1mg/mlの酵素を35〜60℃にて30分処理した後、これらを希釈し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて10mg/mlBeechwoodキシランと共に40℃で15分処理後に生成した還元糖濃度を定量し、残存酵素活性を算出した。残存酵素活性と温度との関係を図5に示す。図5から明らかなように、本酵素は、45℃以下の範囲で安定である。熱処理の時間を24時間まで延長した場合、本酵素は40℃以下の範囲で安定であり、45℃処理においては85%以上の残存活性を有していた。
4.Xyn30BによるBeechwoodキシランからの酸性キシロオリゴ糖製造
10mg/mlのBeechwoodキシランに対し、基質1gあたり0.5mgのXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて45℃で3時間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。反応液中に含まれるオリゴ糖をパルスアンペロメトリ検出器と陰イオン交換法を組合せたHPAEC−PAD法並びにamaZon SL-STT2(Bruker社)を用いるエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI(-)−MS)によって分析した(図6、図7)。図6中に示されるように、中性キシロオリゴ糖はほとんど生産されずに、実質的に酸性キシロオリゴ糖のみが生産されていた。図7中では、4−O−メチルグルクロン酸側鎖を1つ持つ酸性キシロオリゴ糖の構造を、キシロースの重合度をnとしてMeGlcA−Xylnと表す。図7に示されるように、n=2〜10で4−O−メチルグルクロン酸側鎖を1つ持つ酸性キシロオリゴ糖が特異的に生成されることが分かった。さらに、逐次的ESI−マルチステージ質量分析(ESI(-)−MSn;n=3)により、生成した酸性キシロオリゴ糖は、キシロース主鎖の還元末端から2番目のキシロース残基に4−O−メチルグルクロン酸側鎖をもつことが見出され、図14に示すようなエンド型キシラナーゼ活性により、酸性キシロオリゴ糖を生産することが分かった。
5.Xyn30Bによるキシランからの中性キシロオリゴ糖製造
10mg/mlのBeechwoodキシランに対し、基質1gあたり10 mgのXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて40℃で1、6、12時間処理した後、それぞれ99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。反応液中に含まれる中性オリゴ糖をHPAEC−PAD法によって定量した(図8)。定量に用いる標準物質としては、キシロース、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、並びにキシロヘキサオース(Megazyme社製)を用いた。BeechwoodキシランにXyn30Bを作用させると、上記4の試験で示したように、酸性キシロオリゴ糖が優先的に生成されるが、本実施例においては酵素量を上記4の試験の20倍量添加したことにより、キシロビオース、キシロテトラオース、キシロヘキサオースを主成分とする中性オリゴ糖が観察された(図8)。また、図8から、反応開始1時間後において特にキシロビオースが優先的に生産され、キシロビオースよりも長鎖の中性キシロオリゴ糖やキシロースはほとんど生産されないことが見出された。つまり、中性キシロオリゴ糖の生成は、キシラン主鎖にランダムに作用するエンド型ではなく、キシラン主鎖の末端に作用するエキソ型キシラナーゼ活性によって生じることがわかった。一方、図6に示されるようなBeechwoodキシランのXyn30B分解物である酸性オリゴ糖のピークは、時間とともに減少する傾向にあった。Xyn30B分解物である酸性オリゴ糖は、キシロース主鎖の還元末端から2番目のキシロース残基に4−O−メチルグルクロン酸側鎖をもつことから、Xyn30Bが生成する中性キシロオリゴ糖は、基質キシランならびに酸性キシロオリゴ糖の非還元末端側から主として2糖ずつ分解してキシロビオースが生じ、キシロテトラオース、キシロヘキサオースは、糖転移活性による産物であることが示唆された。
10mg/mlの小麦アラビノキシランに対し、基質1gあたり10mgのXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて40℃で6時間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。反応液中に含まれる中性オリゴ糖をHPAEC−PAD法によって定量した。定量に用いる標準物質としては、キシロース、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、並びにキシロヘキサオース(Megazyme社製)を用いた。小麦アラビノキシランにXyn30Bを作用させると、キシロビオース主成分とする中性キシロオリゴ糖(0.014mMのキシロース、0.38mMのキシロビオース、他の中性キシロオリゴ糖は検出限界以下)が観察された。本反応もまた、上記5の試験同様にキシラン主鎖の末端に作用するエキソ型キシラナーゼ活性によって生じると考えられる。すなわち、Xyn30Bが有するエキソ型キシラナーゼ活性は、エンド型キシラナーゼ活性と異なり、キシラン側鎖に依存しないことが示された。
次に、Xyn30Bのエキソ型キシラナーゼ活性の至適pHを調べた。McIlvaine緩衝液にてpHを調整し、酵素を10mg/mlの小麦アラビノキシランと共に40℃で6時間処理後に生成したキシロビオースの濃度をHPAEC−PAD法によって分析し、相対酵素活性を算出した。相対酵素活性とpHとの関係を図9に示す。図9に示されるとおり、Xyn30Bは、約pH3.5〜4.0において最大のエキソ型キシラナーゼ活性を示した。
6.Xyn30Bによる中性キシロオリゴ糖の分解特性
100mMのキシロビオース、10mMのキシロトリオース、又は10mMのキシロテトラオースに対し、0.1mg/mlXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて40℃で30分間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。反応液中に含まれる中性オリゴ糖をHPAEC−PAD法によって分析した。その結果、キシロビオースは全く分解されず、基質よりも重合度が高いオリゴ糖も生成されなかった。キシロトリオースおよびキシロテトラオースを基質にした際のキシロオリゴ糖の生成量を表2に示す。表2に示されるように、キシロトリオースを基質とした場合、酵素処理後の反応液中には、主分解産物としてキシロース1.3mM、キシロビオース1.0mMが含まれていた。また、キシロテトラオースを基質とした場合、酵素処理後の反応液中には、主分解産物として、キシロビオース3.2mMが含まれていた。この結果から、Xyn30Bは中性キシロオリゴ糖を2糖(キシロビオース)単位で分解することが分かった。さらに、キシロトリオースを基質とした場合、酵素処理後の反応液中には、基質よりも2残基分伸長されたキシロペンタオースが有意に生成されていた。キシロテトラオースを基質とした場合、酵素処理後の反応液中には、基質よりも2残基分伸長されたキシロヘキサオースが有意に生成されていた。この結果から、Xyn30Bは、中性キシロオリゴ糖をキシロビオース単位で分解する過程において、反応中に生成したキシロビオースをキシロトリオースならびにキシロテトラオースに転移させる活性も有することが示された。
「X1」はキシロース、「X2」はキシロビオース、「X3」キシロトリオース、「X4」はキシロテトラオース、「X5」はキシロペンタオース、「X6」はキシロヘキサオースを示す。
7.Xyn30Bのキシロビオース転移反応に関する至適pH
Xyn30Bのキシロビオース転移反応について、至適反応pHを調べた。10mMのキシロトリオース、50mMのキシロビオース、並びに0.1mg/mlのXyn30Bを混合し、McIlvaine緩衝液にてpHを調整した反応液について、40℃で1時間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。反応液中に含まれるキシロトリオースを糖供与体、キシロビオースを糖受容体として生成したと考えられるキシロテトラオースの濃度をHPAEC−PAD法によって分析し、相対酵素活性を算出した。相対酵素活性とpHとの関係を図10に示す。図10に示されるとおり、Xyn30Bは、pH3.0付近で最大の糖転移活性を示した。
8.Beechwoodキシランを供与体としたXyn30Bの糖転移反応によるキシロオリゴ糖製造
10mg/mlのBeechwoodキシラン、または10mg/mlのBeechwoodキシランに100mMのキシロースを加えた混合物、または10mg/mlのBeechwoodキシランに100mMのキシロビオースを加えた混合物を基質とした3条件について、Beechwoodキシラン1gあたり10mgのXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて40℃で12時間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。上記5の試験と同様の方法で、各反応液中に含まれる中性オリゴ糖を定量した(表3)。
「X1」はキシロース、「X2」はキシロビオース、「X3」キシロトリオース、「X4」はキシロテトラオース、「X5」はキシロペンタオース、「X6」はキシロヘキサオースを示す。
「−」は添加した過剰量が存在することを示す。
「ND」は検出限界以下であることを示す。
表3に示されるように、100mMキシロースを加えた条件では、キシロースを加えなかった条件と比較してキシロトリオースの生成量が2.6mMまで増加し、キシロトリオースの生成量が42倍増加した。キシロトリオースの増加は、Xyn30Bの転移反応によって、供与体基質であるBeechwoodキシランに由来するキシロビオースが、受容体基質(キシロース)に転移されたことによると考えられる。さらに、同反応においては、キシロペンタオースの量(0.27mM)も7.8倍増加した。この現象は、転移反応で生成されたキシロトリオースに、キシロビオースが転移されためと考えられる。また、表2に示されるように、100mMキシロビオースを加えた条件では、キシロビオースを加えなかった条件と比較してキシロテトラオースの生成量が3.8mMまで増加し、キシロテトラオースの生成量を11倍増加させることに成功した。キシロテトラオースの増加は、Xyn30Bの転移反応によって、供与体基質であるBeechwoodキシランに由来するキシロビオースが、受容体基質(キシロビオース)に転移されたためと考えられる。
上記5、6、7、8の試験結果から、Xyn30Bによって転移されるキシロビオースは、酸性キシロオリゴ糖並びにキシランの非還元末端側のキシロビオースに由来し、系外から加えたキシロビオースは、糖供与体基質として作用しないことが分かる。従って、Xyn30Bによる転移反応は、連続した2段階の反応からなる。すなわち、1段目の加水分解反応においてキシラン基質が分解され、その分解過程でキシロビオースが生じ、2段目の転移反応において糖受容体基質に転移される。
9.Xyn30Bの糖転移反応によるヘテロオリゴ糖製造
10mg/mlのBeechwoodキシランに100mMのグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、スクロース、ラクトース、N−アセチルグルコサミン、又はキシリトールの糖類を加え、0.1mg/mlのXyn30Bを混合し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中にて40℃で12時間処理した後、99℃で5分間インキュベートすることにより反応を停止した。コントロールとして、Beechwoodキシランに糖類を加えずに同反応を行った。反応液をHPAEC−PAD法によって分析したところ、いずれの糖類を添加した場合も、Beechwoodキシランのみを基質とした条件では確認されなかった生成物の存在が確認された(図11、矢印)。Beechwoodキシランを糖供与体としたXyn30Bの糖転移反応によって各種糖類にキシロビオースが付加されたと考えられる。
10.Xyn30Bの結晶化
精製されたXyn30Bを用いて、次の手順で結晶化を行った。Xyn30Bの濃度が30mg/mlとなるように濃縮し、ポアサイズ0.20μmの限外ろ過膜を通して得たろ液をサンプル溶液とした。200mM酢酸ナトリウム、100mMトリス塩酸pH8.0、30%(w/v)ポリエチレングリコール4000から成るリザーバー溶液(母液)を調製した。公知のハンギングドロップ蒸気拡散法に従い、まず前記のリザーバー溶液を、細胞培養プレート(TPP社、24穴)の各穴に500μlずつ入れた。次に、シリコナイズ処理したカバーガラス(Hampton Research社)の中央に前記サンプル溶液を1μlのせ、すぐに同量(1μl)の前記リザーバー溶液を加え、蛋白質溶液とした。最後にカバーグラスを静かに反転させ、穴の上に載せ、グリースにより密閉した。20℃で3日間以上静置することにより結晶を析出させた(ROCK IMAGER(FORMULATRIX社)を使用して撮影;図12)。
11.Xyn30Bの立体構造解析
上記結晶についてX線回折測定を行った。回折強度データを収集するためのX線の発生器には、理化学研究所播磨SPring−8の放射光を用い、また検出器としては、EIGER X 16M(Dectris社)を使用した。Xyn30Bの結晶を、終濃度が30%(v/v)となるようにグリセリンを添加した前記リザーバー溶液に浸した後、液体窒素で凍結後、X線回折実験に使用した。X線の波長は0.90Åとし、温度は100KでX線回折強度データの収集を行った。得られたX線回折強度データの処理はプログラム・プロセス(XDS)を用いて行った。得られた結晶学的パラメーターは、次のとおりである:Xyn30Bの結晶の属する晶系は、斜方晶系であり、空間群はP212121であり、格子定数は格子定数がa=83.2Å、b=114.9Å、c=118.5Åであり、α=β=γ=90°である。また計算によって導き出される結晶の溶媒含有率は53.6%であり、非対称単位中にXyn30B分子を2分子含むものと推定された。また、X線回折強度データの分解能は2.25Åであり、側鎖の向きも含めた三次元構造の決定が可能なレベルにあった。
X線回折強度データに基づき、該結晶を構成する分子の電子密度図を導き出すため、分子置換法によって位相を決定した。 得られた初期位相から、プログラムAutobuildを用いて自動でモデルを改良した後、プログラムcootを用いて手動でモデリングしてXyn30B 2分子の三次元構造の構築を行った。構築したモデルは、プログラムPhenix.refineとRefmac5を用いてさらに精密化した。そしてRefmacによる精密化とプログラムcootを用いた修正作業とを駆使して、構造の修正を繰り返した。精密化の指標となるR因子並びにFree R因子の値は15.96%並びに20.06%まで下がった。このようにして得られたXyn30Bの三次元構造のモデルを図13に示す。
上記三次元構造から、Xyn30Bの活性中心の構造を正確に知ることができる。グルクロノキシランのメチルグルクロン酸認識部位に(配列番号1のアミノ酸配列における)第24位のアルギニンの側鎖が配置していることが分かった。本アルギニン残基が、糸状菌のGH30グルクロノキシラナーゼにおけるメチルグルクロン酸の認識に寄与することが判明した。また、触媒グルタミン酸残基(第180位、第275位)から二糖分ほど離れた位置にある残基番号68−72のループ構造がキシランのキシロビオース単位での分解と転移に関わると考えられる。本ループ構造は、既知のGH30酵素の一次構造には保存されておらず、Xyn30Bに特徴的なものである。

Claims (18)

  1. 下記(A)または(B)のアミノ酸配列、及び下記特性(C)を有する、ポリペプチド:
    (A)配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
    (B)配列番号1のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するアミノ酸配列
    (C)エンド型キシラナーゼ活性。
  2. エンド型キシラナーゼ活性が4−O−メチルグルクロン酸側鎖を有するキシロースの還元末端側に隣接するキシロースとその更に還元末端側に隣接するキシロースとの間のβ1−4結合を切断する活性である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 更に下記特性(D)を有する、請求項1又は2に記載のポリペプチド:
    (D)エキソ型キシラナーゼ活性。
  4. エキソ型キシラナーゼ活性がキシランの非還元末端側からキシロビオース単位でβ1−4結合を切断する活性である、請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 更に下記特性(E)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド:
    (E)キシロオリゴ糖またはキシランを糖供与体とするキシロビオース転移活性。
  6. 配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されている、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド:
    24Arg、180Glu、275Glu。
  7. 配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されているか、又は保存的に置換されている、請求項1〜6のいずれかに記載のポリペプチド:
    68Ser、69Thr、70Ser、71Asn、72Leu。
  8. 配列番号1のアミノ酸配列における下記のアミノ酸残基が保存されている、請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド:
    11Gln、15Gly、17Gly、19Ser、21Ala、22Phe、39Gln、52Gly、57Ile、59Arg、60Asn、62Ile、76Ile、78Pro、81Pro、84Pro、90Tyr、99Gln、106Ala、115Tyr、116Ala、117Asp、118Ala、119Trp、121Ala、122Pro、123Gly、125Met、126Lys、127Thr、135Gly、138Cys、139Gly、142Gly、145Cys、149Asp、150Trp、151Arg、152Gln、153Ala、154Tyr、155Ala、158Leu、159Val、160Gln、161Tyr、165Tyr、169Gly、176Gly、179Asn、180Glu、181Pro、187Tyr、190Met、192Ser、197Ala、200Phe、204Leu、219Cys、220Cys、221Asp、224Gly、235Leu、239Gly、248Tyr、253Thr、255His、257Tyr、259Ser、264Pro、274Thr、275Glu、287Thr、292Gly、296Glu、297Gly、300Trp、301Ala、309Val、314Ser、319Trp、334Leu、342Ser、346Trp、349Ala、356Arg、357Pro、361Arg、378Asn、389Asn、418Asn。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  10. ポリヌクレオチドが、配列番号2の塩基配列と80%以上の同一性を有する、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 請求項9又は10に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  12. 請求項9又は10に記載のポリヌクレオチド、或いは請求項11に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  13. 請求項12に記載の宿主細胞を培養することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを製造する方法。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
  15. セルラーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ガラクツロン酸リアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、α−グルクロニダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−キシロシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、及びフェルラ酸エステラーゼからなる群より選択される一種以上の酵素を更に含む、請求項14に記載の組成物。
  16. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチド、請求項12に記載の宿主細胞、或いは、請求項14又は15に記載の組成物を、キシランに作用させることを含む、キシロオリゴ糖の製造方法。
  17. キシロオリゴ糖がキシロビオース、キシロテトラオース、又はキシロヘキサオースを含む、請求項16に記載の方法。
  18. キシロオリゴ糖及びキシランからなる群より選択される糖供与体、並びに糖受容体に、請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを作用させることを含む、キシロビオースの還元末端に糖受容体が結合した糖転移物を製造する方法。
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