JP6332584B2 - Acremoniumcellulolyticus(アクレモニウム・セルロリティカス)由来のβ−グルコシダーゼ及びその利用 - Google Patents

Acremoniumcellulolyticus(アクレモニウム・セルロリティカス)由来のβ−グルコシダーゼ及びその利用 Download PDF

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本発明は、アクレモニウム・セルロリティカス由来の新規なβ−グルコシダーゼ及びその利用に関する。
農産廃棄物や木質などのリグノセルロース系バイオマスからグルコース等の糖を製造する糖化プロセスにおいて、セルラーゼをはじめとするバイオマス分解糖質関連酵素を用いた酵素糖化法が広く知られている。セルラーゼは、セルロースをセロオリゴ糖、セロビオース、最終的にはグルコースにまで分解する反応を触媒する酵素群の総称であり、その作用様式によって、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、β−グルコシダーゼなどに大別される。β−グルコシダーゼは、セロオリゴ糖、セロビオース等からグルコースを遊離させる反応を触媒する。
セルラーゼ中のβ−グルコシダーゼ活性が低い場合、セロオリゴ糖やセロビオース等が蓄積し、効率的なグルコース生産は著しく妨げられることが知られている。セルラーゼ高生産菌として知られるTrichoderma reesei(トリコデルマ・リーゼイ)は、β−グルコシダーゼ活性が低いことが知られている。そのため、本菌を用いてリグノセルロース系バイオマスから糖を製造する酵素糖化プロセスにおいては、β-グルコシダーゼを外から添加してグルコースを得る手法、又はβ-グルコシダーゼ活性を強化した改良株を用いる手法が取られている。
一方、セルラーゼ高生産菌として知られるアクレモニウム・セルロリティカス(特許文献1)は、セルラーゼ中のβ−グルコシダーゼ活性がトリコデルマ・リーゼイよりも高く、リグノセルロースからのグルコース生成も高い(非特許文献1)。しかしながら、さらに効率よくグルコースを得るためには、β-グルコシダーゼを外から添加することが望ましい(非特許文献2)。
アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ-グルコシダーゼは、これまでに数件報告されている(特許文献2〜4及び非特許文献3)。しかし、酵素を用いたリグノセルロースの糖化は、更に効率を高めることが好ましく、その為には、より優れた性質を有するβ−グルコシダーゼの提供が求められている。
特開2008-271927 特許第4689807号 第4801872号 特開2011-193773
Biotechnol Biofuels 2(1):24 Biotechnol Biofuels 1(1):2 Agric. Biol. Chem. 53(12):3359-3360, 1989年
上記の現状の下、本発明は、効率的にリグノセルロース系バイオマスを糖化することを可能にする、優れた性質を有するβ−グルコシダーゼ及びそれをコードするポリヌクレオチドを提供することを1つの目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、日夜研究を重ねていたところ、画期的な精製手法を駆使することによってアクレモニウム・セルロリティカスから、β−グルコシダーゼ活性を有する2種類の新たなポリペプチドを単離することに成功した。本発明者等は、当該ポリペプチドがβ−グルコシダーゼとして優れた性質(特に、他のセルラーゼと組み合わせて使用することにより、他のセルラーゼの活性を向上させ、基質の加水分解を相乗的に加速させることができる性質)を有することを見出した。更に、本発明者等は、当該2つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の同定に成功し、驚くべきことに、それらのポリペプチドが同一のポリヌクレオチドよってコードされていることを見出した。本発明者等は、斯かる知見に基づき更なる検討と改良を重ね、本発明を完成するに至った。
代表的な本発明を以下に示す。
項1.
下記の(a)又は(b)のポリヌクレオチド:
(a)配列番号1又は2の塩基配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号1又は2の塩基配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
項2.
下記の(A)〜(E)のいずれかのポリペプチド:
(A)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(B)配列番号3のアミノ酸配列において第1位〜第18位の全部又は一部アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(C)配列番号3のアミノ酸配列において第734位〜第812位のアミノ酸残基の全部又は一部が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(D)配列番号3のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド;及び
(E)上記(A)〜(C)のポリペプチドのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
項3.
項2に記載のβ−グルコシダーゼ、並びに、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼから成る群より選択される1種以上から成る群より選択される1種以上のセルラーゼを含む、セルロース糖化用組成物。
項4.
項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
項5.
項4に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
項6.
宿主が、大腸菌、酵母、放線菌、又は糸状菌である、項5に記載の形質転換体。
項7.
酵母が、サッカロミセス属、ハンゼヌラ属、ピキア属、又はScheffersomyces属に属する、項6に記載の形質転換体。
項8.
糸状菌が、アクレモニウム属、トリコデルマ属、Hypocrea属、アスペルギルス属、フミコーラ属、ペニシリウム属、Talaromyces属、クリスポリウム属、又はMyceliophthaora属に属する、項6に記載の形質転換体。
項9.
項5〜8のいずれかに記載の形質転換体を培養する工程を含む、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
項10.
項9に記載の方法によって製造されるβ−グルコシダーゼ。
項11.
項1又は10に記載のβ−グルコシダーゼ及びセルラーゼを、セルロースを含む試料に作用させる工程を含む、糖の製造方法。
本発明のβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド(以下、単に「β−グルコシダーゼ」と称する場合もある。)は、エンドグルカナーゼ及び/又はエキソグルカナーゼ等の他のセルラーゼと共に使用することにより、リグノセルロース等を基質とした場合に、他のセルラーゼの活性を向上させ、結果として全体的な糖化活性を相乗的に高めることができる。また、好適な実施形態において、本発明のβ−グルコシダーゼは、多くのエンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼの至適pHであるpH5付近に至適pHを有する。よって、このような観点からも、本発明のβ−グルコシダーゼは、他のセルラーゼと共に使用することに適している。更に、本発明のポリヌクレオチドは、その発現によって、2種類の異なるβ−グルコシダーゼを生成するという驚くべき効果を有する。よって、本発明のポリヌクレオチドを利用することにより、上記の優れた性質を有する2種類のβ−グルコシダーゼを同時に効率的に製造することを可能にする。
図1は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析によって得られたべβ−グルコシダーゼ(Bgl3-S)の単一バンドを示す。 図2は、2種類のβ−グルコシダーゼ(Bgl3-S及びBgl3-L)の至適pHを調べた結果を示す。 図3は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析によって得られたべβ−グルコシダーゼ(Bgl3-L)の単一バンドを示す。 図4は、単離されたβ−グルコシダーゼを他のセルラーゼと組み合わせてリグノセルロースを糖化した場合の生成糖量を調べた結果を示す。 図5は、2種類のβ−グルコシダーゼ(Bgl3-S及びBgl3-L)をコードするポリヌクレオチドを導入した組み換え体によって生産されたセルラーゼ混合物によるバイオマスの糖化活性を調べた結果を示す。
1.ポリヌクレオチド
ポリヌクレオチドは、(a)配列番号1又は2の塩基配列を有するポリヌクレオチド、或いは(b)配列番号1又は2の塩基配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであることが好ましい。
配列番号1の塩基配列は、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチドであるβ−グルコシダーゼ(Bgl3-L)をコードする。配列番号2の塩基配列は、配列番号1の塩基配列において、イントロンに相当する配列が取り除かれた塩基配列であり、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする。
(b)のポリヌクレオチドに関し、配列番号1又は2の塩基配列との同一性は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは92%以上、更に好ましくは94%以上、より更に好ましくは96%以上、一層好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。塩基配列の同一性は、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツール(例えば、FASTA、BLAST、PSI−BLAST、SSEARCH等のソフトウェア)を用いて算出することができる。より具体的には、Advanced BLAST 2.1において、各種パラメータはデフォルト値に設定して解析を実行することにより、塩基配列の同一性の値(%)を算出することができる。
配列番号1又は2の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列の中には、コーディング領域中にストップコドンを有するものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれ得る。しかし、そのようなポリヌクレオチドは、部位特異的な変異を加えることで回避可能であり、公知の手法で酵素活性を測定して容易に取り除くこともできる。
ポリヌクレオチドは、単離された状態で存在するポリヌクレオチドであることが好ましい。ここで「単離された」とは、天然状態で共存するその他の核酸やタンパク質等の成分から分離された状態であることをいう。天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)等の一部の他の核酸成分を含んでいてもよく、それらを含んでいなくても良い。cDNA分子等の遺伝子工学的手法によって調製されるポリヌクレオチドの場合の「単離された」とは、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まないことを意味する。同様に、化学合成によって調製されるポリヌクレオチドの場合の「単離された」とは、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まないことを意味する。
(a)及び(b)のポリヌクレオチドは、配列番号1又は2の塩基配列の情報に基づいて、化学的なDNAの合成法(例えば、フォスフォアミダイト法)や遺伝子工学的手法を用いて容易に取得することができる。また、公知の手法を用いてアクレモニウム・セルロリティカスから単離することも可能である。
例えば、アクレモニウム・セルロリティカスの菌体から、慣行法によりゲノムDNAを抽出する。このゲノムDNAを適当な制限酵素にて消化後、適当なベクターと連結することにより、アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNAライブラリーを作製する。適当なベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクター、BACベクター等、多様なものが使用できる。
次に、配列番号1又は2の塩基配列に基づいて適当なプローブを作成し、ゲノムDNAライブラリーからハイブリダイゼーションによってβ−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含むDNA断片を単離することができる。また、配列番号1又は2の塩基配列に基づいて所望の遺伝子を増幅させるためのプライマーを作成し、アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNAを鋳型としてPCRを実施し、増幅したDNA断片を適当なベクターと連結することにより所望の遺伝子を単離することができる。
上記の通り、(a)及び(b)のポリヌクレオチドは、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするが、これらのポリペプチドを微生物中で発現させると、互いに異なる2種類のβ−グルコシダーゼが得られる。2種類のβ−グルコシダーゼの種類は、特に制限されないが、好ましくは、1つは配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド(Bgl3-L)であり、もう一方のβ−グルコシダーゼは、配列番号3のアミノ酸配列の一部が欠失したポリペプチド(Bgl3-S)である。これらのポリペプチドについて、以下により詳しく説明する。
2.ポリペプチド
ポリペプチドは、下記の(A)〜(E)のいずれかであることが好ましい。
(A)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド
(B)配列番号3のアミノ酸配列において第1位〜第18位の全部又は一部アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド
(C)配列番号3のアミノ酸配列において第734位〜第812位のアミノ酸残基の全部又は一部が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド
(D)配列番号3のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド
(E)上記(A)〜(C)のポリペプチドのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
配列番号3のアミノ酸配列は、アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株から単離され、後述する実施例においてβ−グルコシダーゼ活性を有することが確認されたポリペプチドのアミノ酸配列である。β−グルコシダーゼ活性は、公知の任意の手法によって確認することができる。例えば、p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシドを基質に用いて酵素を作用させ、アルカリ(例えば、炭酸ナトリウム)溶液の添加で反応を停止させ、酵素反応によってp−ニトロフェニル基が切断されて生成するp−ニトロフェノールの量を分光光度計(400 nm)で測定することによって求めることができる。本書において、特に断らない限り、β−グルコシダーゼについての「活性」とは、この方法で測定された活性を意味する。
配列番号3のアミノ酸配列の第1位〜第18位のアミノ酸残基からなるペプチド断片は、分泌シグナル配列であり、β−グルコシダーゼ活性の保持に必要ではない。よって、β−グルコシダーゼは、配列番号3の第1位〜第18位のアミノ酸の一部又は全部が欠失したアミノ酸配列を含んでいてもよく、一部又は全部が他のアミノ酸に置換されていても良く、この領域の任意の位置に更なる1又は複数の他のアミノ酸残基が挿入されていても良い。
配列番号3のアミノ酸配列において第734位〜第778位のアミノ酸残基からなるペプチド断片はリンカー配列であり、第779〜第812位のアミノ酸残基はセルロース結合モジュール1(CBM1)に相当する。従って、配列番号3のアミノ酸配列において、第734位〜第812位の領域は、β−グルコシダーゼ活性自体に直接関与しないため、この領域に存在する一部又は全部のアミノ酸残基は欠失及び/又は置換されていても良く、またこの領域において1又は複数のアミノ酸残基が挿入されていても良い。
CBM1は、多くのエンドグルカナーゼやエキソグルカナーゼに存在するモジュールとして知られており、本発明者等が知る限り、β−グルコシダーゼでのその報告はない。CBM1は、酵素のセルロースに対する親和性を高める機能を有するため、CBM1を有することにより、β−グルコシダーゼは、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼ等の他のセルラーゼと基質(例えば、リグノセルロース等)上でより近い距離で存在し続けることを可能にし、結果としてより効率的な基質の糖化を可能にすると考えられる。また、他のセルラーゼとの距離が縮まることにより、他のセルラーゼの活性を高めることも可能となり得ると考えられる。このような観点から、好適な一実施形態において、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列の第779〜第812位のアミノ酸残基の一部又は全部を有することが好ましい。
ここで、「一部」とは、任意のアミノ酸残基数を意味するが、例えば、アミノ酸残基数が1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、又は33個であることを意味する。
(D)のポリペプチドに関し、「数個」とは、β−グルコシダーゼ活性を有する限り、特に制限されないが、例えば、50個、45個、30個、25個、20個、15個、10個、5個、3個、又は2個である。配列番号3のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換される場合、置換の種類は特に制限されないが、ポリペプチドの高次構造、表現形又は特性に顕著な負の影響を与えないという観点から保存的アミノ酸置換であることが好ましい。「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。
アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、同様の性質を有するファミリーに分類することができる。よって、アミノ酸置換は、もとのアミノ酸配列に存在するアミノ酸と同一の上記カテゴリーに属する他のアミノ酸残基間で置換されることが好ましい。
(D)のポリペプチドに関して、アミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加等の変異は、ポリペプチドの高次構造に顕著に影響しない領域や触媒活性に直接的に関与しない領域において成されることが好ましい。高次構造に顕著に影響しない領域としては、例えば、N末端領域及びC末端領域等を挙げることができる。触媒活性に直接関与するアミノ酸としては、例えば、配列番号3のアミノ酸配列において、第139位のアルギニン、第172位のリジン、第173位のヒスチジン、第215位のメチオニン、第250位のアスパラギン酸、第251位のトリプトファン、第403位のトリプトファンを挙げることができる。従って、一実施形態において、これらのアミノ酸残基の周辺領域(例えば、前後3個、2個又は1個のアミノ酸残基)については、変異を導入しないことが好ましく、その他の領域については、変異を導入しても良い。
アミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入若しくは付加といった変異を加える技術は当該技術分野において成熟しており、任意の手法を用いて行うことができる。例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法、ランダム突然変異導入法等を利用して行なうことができる。
(E)のポリペプチドに関し、アミノ酸配列の同一性は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは92%以上、更に好ましくは94%以上、より更に好ましくは96%以上、一層好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。アミノ酸配列の同一性は、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、例えば、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLASTにおいてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、算出することができる。
β−グルコシダーゼは、pH5付近に至適活性pHを有することが好ましい。pH5付近に至適活性pHを有するとは、pH4.5及び5.5のいずれの環境下での活性よりもpH5における活性の方が高いことを意味する。エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼを含む他の多くのリグノセルロースを糖化するために使用される酵素の至適pHは、pH5付近である。よって、β−グルコシダーゼの至適活性pHがpH5付近であることは、pH5付近の条件下で、β−グルコシダーゼ及び他の酵素を利用することにより、全ての酵素に高い活性を発揮させることが可能であるという観点から好ましい。
至適活性pHがpH5付近である他の酵素としては、例えば、以下を挙げることができる:Acremonium cellulolyticus由来のエンドグルカナーゼ(セルラーゼI;J. Appl. Glycosci., 50, 21-23, 2003)、Acremonium cellulolyticus由来のエンドグルカナーゼ(セルラーゼIII-A及びIII-B;J. Appl. Glycosci. Vol. 47, p. 293-302, 2004)、アビセラーゼ(Agric. Biol. Chem., 51 (1), p. 65-74, 1987)、及びChrysosporium lucknowense由来のエキソグルカナーゼ(CBH1;Enzyme and Microbial Technology, 36, p. 57-69, 2005)。
上述するポリヌクレオチドを微生物中で発現させることによって得られる2種類のβ−グルコシダーゼ(Bgl3-S及びBgl3-L)は、互いに異なる分子量を有することが好ましい。分子量が大きい方のβ−グルコシダーゼ(Bgl3-L)は、SDS−PAGEによって測定した場合の分子量が、約86,000Daであることが好ましい。一方、分子量が小さい方のβ−グルコシダーゼ(Bgl3-S)は、SDS−PAGEによって測定した場合の分子量が、約69,000Daであることが好ましい。ここで、約86,000Da及び約69,000Daとは、通常、SDS−PAGE上でタンパク質の分子量を測定した場合に、約86,000Da及び約69,000Daと判定できる一定の範囲を含むことを意味する。
3.組成物
Bgl3-S及びBgl3-Lは、いずれもエンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼを含む他のリグノセルロースの糖化に使用される酵素と共に使用されることにより、他の酵素の活性を賦活化し、全体としての糖化活性を相乗的に高める性質を有する。よって、このような観点からも、Bgl3-S及びBgl3-Lは、他の酵素と組み合わせた使用に特に適している。従って、β−グルコシダーゼは、他の酵素と組み合わされた、セルロース糖化用組成物として存在し得る。
Bgl3-S及び/又はBgl3-Lと組み合わせた使用に適した他の酵素は、特に制限されないが、例えば、リグノセルロース系バイオマスの糖化に使用される各種の酵素を挙げることができる。そのような酵素としては、例えば、セルラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、キシロシダーゼ、マンノシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、及びポリガラクツロン酸リアーゼ等を挙げることができる。好ましい他の酵素は、セルラーゼであり、セルラーゼには、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼが含まれる。
Bgl3-S及び/又はBgl3-Lを他の酵素と組み合わせる場合、Bgl3-S及び/又はBgl3-Lと他の酵素との存在比は特に制限されない。例えば、全酵素に占めるBgl3-S及び/又はBgl3-Lの存在割合を0.1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%とすることが出来る。
他の酵素の由来としては特に限定されないが、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属、Hypocrea属、ペニシリウム属、及びタラノマイセス(Talaromyces)属の微生物などに由来する酵素が挙げられ、好ましくはトリコデルマ属、アクレモニウム属、アスペルギルス属、Hypocrea属、ペニシリウム属、及びタラノマイセス(Talaromyces)属由来の酵素である。
他の酵素は、微生物等から単離したものであっても、市販されているものであってもよい。使用可能な市販の酵素製剤としては、例えば、ノボザイムズ社製のCellicシリーズ(CTec2、HTec2、CTec、Htec)、ノボザイム188、Celluclast、Pulpzyme、ジェネンコア社製のAccelleraseシリーズ(Duet、1500、XY、XC、BG)、Multifectシリーズ、明治製菓社製のメイセラーゼ、ヤクルト社製のオノズカ、アマノエンザイム社製のセルラーゼ(A、T)などが挙げられる。好ましくはCellic CTec2、CellicHTec2、AccelleraseDuetである。これらの酵素製剤はセロビオヒドロラーゼ、β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼ、β−キシロシダーゼを含んでおり、原料のリグノセルロース系バイオマスの組成や含有酵素活性を考慮して、単独、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。セルラーゼ活性の高い酵素製剤とヘミセルラーゼ活性の高い酵素製剤を組み合わせて用いる方法は本発明の好適な実施形態であり、特にCellic CTec2とCellicHTec2を組み合わせて混合して用いることが好ましい。本発明のβ−グルコシダーゼは、これらの酵素と組み合わせることにより、全体的な糖化活性を相乗的に高めることができる。
組成物中に含まれるβ−グルコシダーゼの量は、特に制限されないが、例えば、0.1〜90重量%、0.1〜20重量%、3〜15重量%の割合で含むことができる。
4.ベクター
ベクターは、上述する(a)又は(b)のポリヌクレオチドを含むことが好ましい。ベクターは、(a)又は(b)のポリヌクレオチドを発現可能な状態で含む限り、他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを更に含んでいてもよい。
ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適宜選択することができる。例えば、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。
大腸菌で発現可能なベクターとしては、例えば、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218、及びpET等を挙げることができる。酵母で発現可能なベクターとしては、例えば、pBR322、pJDB207、pSH15、pSH19、pYepSec1、pMFa、pYES2等を挙げることが出来る。昆虫で発現可能なベクターとしては、例えば、pAc及びpVL等を挙げることが出来る。
宿主細胞として真核細胞を使用する場合は、発現ベクターとして、発現しようとするポリヌクレオチドの上流にプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位及び転写終了配列等を保有するものを好適に使用することができ、更に必要により複製起点、エンハンサー、及び/又は選択マーカーを有していてもよい。宿主として、アクレモニウム属に属する微生物を使用する場合、ハイグロマイシン耐性を付与するベクター(AMB Express 1(1):15, 2011)、又はウラシル要求性を相補するOrotidine 5'-phosphate decarboxylase遺伝子を含むベクター(Biosci Biotechnol Biochem 76:245-249)を好適に用いることができる。
5.形質転換体
形質転換体は、上記組換えベクターで形質転換され、それを発現可能な状態で保持していることが好ましい。形質転換に使用される宿主細胞は、上述する(a)又は(b)のポリヌクレオチドを発現することにより、β−グルコシダーゼを産生できる限り特に制限されず、原核細胞及び真核細胞のいずれでも良い。具体的には、エシェリヒア・コリ等の大腸菌(例えば、HB101、MC1061、JM109、CJ236、MV1184等)、コリネバクテリウム・グルタミカム等のコリネ型細菌、ストレプトミセス属細菌等の放線菌、バチルス・サブチリス等のバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌、スタフィロコッカス属細菌等の原核細胞;サッカロミセス属、バンゼヌラ属、ピキラ属、Scheffersomyces属、及びクルイベロマイセス属等の酵母、アスペルギルス属、ペニシリウム属、Myceliophtaora属、Hypocrea属、Talaromyces属、クリスポリウム属、トリコデルマ属及びアクレモニウム属等の糸状菌;ドロソフィラS2、スポドプテラSf9、カイコ培養細胞等の昆虫細胞;並びに植物細胞等を挙げることができる。枯草菌、酵母、麹菌、放線菌等のタンパク質分泌能を利用して、ポリペプチドを培地中に生産させることもできる。Bgl3-S及びBgl3-Lという2種類のβ−グルコシダーゼを発現させるという観点から好ましい宿主は、アクレモニウム属、ペニシリウム属、及びTalaromyces属に属する微生物であり、より好ましくはアクレモニウム属に属する微生物である。
組換え発現ベクターの宿主細胞内への導入方法は、従来の慣用的に用いられている方法により行うことができる。例えば、コンピテントセル法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポソーム融合法等の種々の方法が挙げられる。コリネ型細菌への導入方法としては、具体的には例えば、プロトプラスト法(Gene, 39, 281−286(1985))、エレクトロポレーション法(Bio/Technology, 7, 1067−1070)(1989))等を使用することができるが、これらに限定されない。
形質転換体は、上述する2種類又は何れか一方のβ−グルコシダーゼを産生可能であるため、それらを製造するために用いることが可能であり、また形質転換体の状態で、リグノセルロースから糖を製造するために使用することもできる。
6.形質転換体を用いたポリペプチドの製造方法
上記の形質転換体を培養し、培養物からβ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドを回収することにより、β−グルコシダーゼを製造することができる。培養は、宿主に適した培地を用いて継代培養又はバッチ培養を行うことができる。また、培養は、形質転換体の内外に生産されたポリペプチドの活性を指標にして、適当量得られるまで実施することができる。
培地としては、宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施できる。例えば、大腸菌の培養にはLB培地などの栄養培地や、M9培地などの最少培地に炭素源、窒素源、ビタミン源等を添加した培地を用いることができる。
培養条件も宿主の種類に応じて適宜設定することができる。通常、16〜42℃、好ましくは25〜37℃で5〜168時間、好ましくは8〜120時間培養される。宿主に依存して、振盪培養と静置培養のいずれも可能であるが、必要に応じて攪拌を行ってもよく、通気を行ってもよい。発現のために誘導型プロモーターを用いる場合は、培地にプロモーター誘導剤を添加して培養を行うこともできる。
培養上清からのβ−グルコシダーゼの精製又は単離は、公知の手法を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール等の溶媒沈殿、透析、限外濾過、酸抽出、及び各種クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等)等を用いた手法が挙げられる。アフィニティークロマトグラフィーに用いる担体としては、例えば、β−グルコシダーゼに対する抗体を結合させた担体や、β−グルコシダーゼにペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合した担体を利用することもできる。
β−グルコシダーゼが宿主の細胞内に蓄積される場合は、形質転換細胞を破砕し、破砕物の遠心上清から上記と同様にしてβ−グルコシダーゼを精製又は単離することができる。例えば、培養終了後、遠心により集菌した菌体を菌体破砕用バッファー(20〜100 mM Tris−HCl(pH8.0)、5mM EDTA)に懸濁し、超音波破砕し、破砕処理液を10000〜15000rpmで10〜15分間遠心して上清を得ることができる。遠心後の沈殿は、必要に応じて塩酸グアニジウム又は尿素などで可溶化したのち更に精製することもできる。
得られたポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性の測定は、公知の手法により確認可能であり、例えば、上述するpNPGを基質とした活性の測定方法を用いて確認することができる。
7.β−グルコシダーゼを用いた糖化方法
β−グルコシダーゼを単独又は他の酵素との組合せでセルロースを含む試料(即ち、リグノセルロース系バイオマス)に作用させることにより、セルロースを分解し、グルコースに糖化することができる。上述の通り、本発明のβ−グルコシダーゼは、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼを含む他のセルロースと組み合わせて使用することにより、それらの活性を賦活化し、全体的な糖化活性を相乗的に高めることが可能である。よってβ−グルコシダーゼは、他の酵素との組み合わせで試料に作用させることが、効率的な糖化を実現するという観点から好ましい。尚、β−グルコシダーゼは、活性を発揮し得る限り、単離精製されたものであっても、粗精製されたものであっても、培養上清のような精製処理されていない状態であっても、組換え微生物の状態であっても良い。好適な一実施形態においては、本発明のβ−グルコシダーゼを産生するように、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された微生物(形質転換体)が、そのまま使用される。当該形質転換体は、上述するような他の酵素も同時に産生する能力を有することが好ましい。
リグノセルロース系バイオマスは、主としてセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されており、木本植物、草本植物、それらの加工品、それらの廃棄物などが該当する。具体的には、例えば、木材、間伐材、製材残材、建築廃材、樹皮、果房、果実殻、茎葉、稲わら、麦わら、バガス、古紙などが挙げられる。好ましくは、アブラヤシ、ナツメヤシ、サゴヤシ、ココヤシ等のヤシ類(幹、茎葉、空果房、果実繊維)、サトウキビ(バガス、葉)、トウモロコシ(穂軸、茎葉)、稲わら、麦わら、スウィッチグラス、及び、ユーカリ、ポプラ、スギ等の木材(樹皮、木部)である。より好ましくは、サトウキビバガス、トウモロコシ(穂軸、茎葉)、稲わら、麦わら、ユーカリである。リグノセルロース系バイオマスの大きさ、形状等は特に限定されないが、各工程における反応効率を向上させる観点から、予め粉砕され、チップ状にされたものが好ましい。
リグノセルロース系バイオマスは、酵素糖化効率を高めるために、前処理されたものであってもよい。前処理を行うことにより、セルロース及びヘミセルロースへの酵素の接触が容易となり、酵素反応の効率が向上する。リグノセルロース系バイオマスの酵素糖化効率を高める前処理は、特に制限されないが、例えば、リグニンを可溶化する処理、セルロース及びヘミセルロースとリグニンとの結合を切断する処理、セルロース及びヘミセルロースの表面積を増大させる処理、セルロースの結晶性を低下させる処理等が挙げられる。前処理方法は、公知の方法から適宜選択することができる。例えば、アルカリ処理、酸処理、水熱処理、爆砕処理、有機溶媒処理、イオン性液体処理、マイクロ波処理、白色腐朽菌等のリグニン分解菌による処理、粉砕処理などが挙げられ、好ましくはアルカリ処理、酸処理、水熱処理であり、さらに好ましくは酸処理、水熱処理である。
リグノセルロース系バイオマスをβ−グルコシダーゼを含む酵素で処理して糖化する方法は特に限定されず、リグノセルロース系バイオマスを含む原料と酵素が接触して単糖が生成される方法であればよい。例えば、バイオマス原料に酵素及び水を添加してスラリーを調製し、攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。スラリーを攪拌せずに静置状態で反応を行ってもよいが、糖化反応促進のため攪拌することが好ましい。酵素の使用量としては特に限定されないが、好ましくはバイオマス原料に対して、酵素活性成分の重量として、約0.1〜10wt%、より好ましくは約0.2〜2wt%添加する。水の添加量としては特に限定されないが、好ましくはバイオマス原料(乾燥重量)に対して約1〜20倍、さらに好ましくは3〜10倍量添加する。反応系には、酵素反応の妨げとならない限りバイオマス原料及び酵素以外のものが添加されてもよい。例えば、テトラサイクリン塩酸塩、シクロヘキシミドなどの抗生物質を雑菌による糖消費の抑制の目的で添加してもよい。
反応条件は、酵素による加水分解が進行する条件であれば特に限定されない。反応温度は通常約20〜80℃、好ましくは約30〜60℃である。反応時間は通常約1〜200時間、好ましくは約10〜100時間である。反応pHは酵素の至適pHに従って設定すればよいが、通常pH約3〜7、好ましくはpH約4.5〜6である。
pHコントロールのために、酢酸、クエン酸、コハク酸、リン酸などのバッファー成分を添加してもよい。pH調整には、酸、アルカリを適宜選択して用いることができる。一般に前処理工程としてアルカリ処理を行った場合には、バイオマス原料がアルカリ性になっているため、酸を使用して糖化に適したpHに調整する。この場合、使用する酸としては特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、二酸化炭素などが挙げられ、好ましくは硫酸、塩酸、酢酸、二酸化炭素である。
酵素のバイオマス原料への非特異的吸着を低減させるために、反応液には、添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、タンパク質、界面活性剤、リグニン分解物などが挙げられ、好ましくは真菌や細菌などの微生物を培養して得られるタンパク質(菌体由来、および菌体外分泌タンパク質)、非イオン性界面活性剤、及び脂肪酸由来の界面活性剤である。
(1)Bgl3-Sの精製
アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株を特開2008-271927に記載の方法でセルロースパウダーを炭素源として培養し、培養液を遠心して上澄み液を得た。上澄み液を20 mM 2-(N-morpholino) ethanesulfonic acid(MES) 緩衝液 (pH 6.5)で平衡化したHiprep 26/1脱塩カラム(GE ヘルスケア製)で脱塩した。脱塩溶液を同緩衝液で平衡化したSource 15Q陰イオン交換カラム(GE ヘルスケア製)に供し、0.5 M塩化ナトリウムを含む同緩衝液にてグラジエント溶出を行い、β-グルコシダーゼ活性及びエキソグルカナーゼ活性の両方を有する画分を得た。得られた画分に最終濃度が1.2 Mになるように硫酸アンモニウムを加え、1.2 M硫酸アンモニウムを含む20 mM酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.5)で平衡化したSource 15ISO疎水性相互作用カラム(GE ヘルスケア製)に供し、硫酸アンモニウムを含まない20 mM酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.5)にてグラジエント溶出を行ったが、依然としてβ-グルコシダーゼ活性及びエキソグルカナーゼ活性の両方を有する画分が得られた。また、本画分中の両活性は、Source 15ETH疎水性相互作用カラム(GE ヘルスケア製)、及びSource 15PHE疎水性相互作用カラム(GE ヘルスケア製)を用いても分離することが出来なかった。即ち、当該画分に存在するβ-グルコシダーゼ及びエキソグルカナーゼの疎水相互作用やイオン的な相互作用は殆ど同じであることが判明した。更に、Superdex 75ゲル濾過カラム(GE ヘルスケア製)によっても両者を分離することは出来なかった。以上のように、種々の手法によりβ−グルコシダーゼとエキソグルカナーゼとを容易に分離することはできなかった。
その後、試行錯誤の末、p-アミノフェニル-β-D-セロビオシドと市販のアフィゲル10クロマトグラフィー担体(バイオ・ラッド社製)を用いて、エキソグルカナーゼが特異的に結合するアフィニティークロマトグラフィー担体を合成することに成功し、得られたアフィニティーカラムに活性画分を供した。その結果、β-グルコシダーゼ活性のみを含む画分を非吸着画分として回収することに成功し、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動分析によって電気泳動的に単一なβ-グルコシダーゼ(以下Bgl3-S)が得られた(図1)。図1から、Bgl3-Sの分子量は、69,000と推定された。
(2)Bgl3-Sをコードする遺伝子配列の同定
Bgl3-Sをポリアクリルアミドゲル内でトリプシン消化し、得られたペプチド断片をTOF-MSを用いて解析した。ペプチド断片の分子量は、Mascot Search法を用いてアクレモニウム・セルロリティカスのゲノム情報に基づいて解析した。その結果、Bgl3-Sの内部配列に相当する7種類のペプチド断片(LDDMVTR(配列番号4)、HYIGNEQELNR(配列番号5)、 LSLAAGASGTATFDLTR(配列番号6)、WVVPSGAFTVYVGASSR(配列番号7)、TLHELYLWPFADAVR(配列番号8)、YANPVTAFPAGTNAGMTWDR(配列番号9)、QASDYGTAVVSGSDNYPEGLFIDYR(配列番号10)に相当することが明らかになった。これらの内部アミノ酸配列及びアクレモニウム・セルロリティカスのゲノム情報から、Bgl3-Sは配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチドによってコードされることが判明した。
(3)Bgl3-Sの特性
Bgl3-Sの各種基質に対する活性を調べた。即ち、2量体から6量体のセロオリゴ糖に酵素を作用させたところ、いずれの場合もグルコースを生成した。また、p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(以下pNPG)にBgl3-Sを作用させたところ、グルコースを生成した。pNPG分解活性は、pH約4.0〜 6.0において高い活性を有し、バイオマス糖化に適した多くのセルラーゼの作用最適pHと同じpH 5.0で最も高い活性を示した(図2の菱形凡例)。pNPG分解活性における至適温度は、約40〜55℃であった。Bgl3-SのpNPGを基質とした場合の活性(U)を、1 min間に1 μmolのpNPGを生成する酵素量として決定した。45℃、pH 5.0にて反応させた時の酵素の比活性(U/mg蛋白質量)は、52.2 U/mgであった。
(4)Bgl3-Lの精製
上記(1)と同様に、アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株を特開2008-271927に記載の方法に従ってセルロースパウダーを炭素源として培養した。培養液を遠心して上澄み液を得た。この上澄み液を20 mM 2-(N-morpholino) ethanesulfonic acid(MES) 緩衝液 (pH 6.5)で平衡化したHiprep 26/1脱塩カラム(GE ヘルスケア製)で脱塩した。脱塩溶液を同緩衝液で平衡化したSource 15Q陰イオン交換カラム(GE ヘルスケア製)に供し、0.5 M塩化ナトリウムを含む同緩衝液にてグラジエント溶出を行い、β-グルコシダーゼ活性のみを有する画分を得た。得られた画分に最終濃度1.2 Mになるように硫酸アンモニウムを加え、1.2 M硫酸アンモニウムを含む20 mM酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.5)で平衡化したSource 15ISO疎水性相互作用カラム(GE ヘルスケア製)に供し、硫酸アンモニウムを含まない20 mM酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.5)にてグラジエント溶出を行った。その結果、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動分析によって電気泳動的に単一な精製β-グルコシダーゼ(以下Bgl3-L)を含む画分(図3)を得た。図3からBgl3-Lの分子量は、86,000と推定された。また、TSKgel G3000SWXLサイズ排除クロマトグラフィーカラム(東ソー製)を用いたHPLC分析により、Bgl3-Lは、分子量92,000の単量体酵素と見積もられた。このように、Bgl3-Lは、上記Bgl3-Sと明らかに異なる分子量を有することが判明した。
(5)Bgl3-Lの特性
Bgl3-Lの各種基質に対する活性を調べた。即ち、2量体から6量体のセロオリゴ糖に酵素を作用させたところ、いずれの場合もグルコースを生成した。また、pNPGにBgl3-Lを作用させたところ、グルコースを生成した。pNPG分解活性は、pH約4.0〜 6.0において高い活性を有し、バイオマス糖化に適した多くのセルラーゼの作用最適pHと同じpH 5.0で最も高い活性を示した(図2の丸型凡例)。pNPG分解活性における至適温度は、約40〜55℃であった。Bgl3-Lの変性温度は、66℃であった。Bgl3-LのpNPGを基質とした場合の活性(U)を、1 min間に1 μmolのpNPを生成する酵素量として決定した。45℃、pH 5.0にて反応させ時の酵素の比活性(U/mg蛋白質量)は、27.0 U/mgであった。以上から、上記(1)で得られたBgl3-SとBgl3-Lとは、多くの酵素特性が共通するが、分子量及びpNPGを基質とした場合の比活性が大きく異なることが判明した。即ち、Bgl3-Sは、Bgl3-Lの約2倍の比活性を有する。
(6)他のセルラーゼと組み合わせた場合のバイオマスの糖化性
特開2008-271927に記載の方法でアクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株からセルラーゼを製造し、これに、精製Bgl3-S、Bgl3-L及び市販β-グルコシダーゼ(Novozyme 188)のいずれかを添加して酵素混合液を調製した。水熱前処理を施した農産廃棄物由来のリグノセルロース基質に酵素混合液を作用させ、酵素糖化性を比較した。糖化反応条件は以下の通りである。2%(w/v)の基質に対し、基質1gあたり2.5 mgのセルラーゼ及び0.1 mgの上記いずれかのβ-グルコシダーゼを混合し、45℃、pH 5.0で24時間反応させた後に生成したグルコース及びセロビオースを高速液体クロマトグラフィーによって測定した(図4左)。
β-グルコシダーゼを添加しないCF-2612由来セルラーゼのみによる酵素糖化では、セロビオースの著しい蓄積が観察された。市販β-グルコシダーゼの添加は、蓄積されたセロビオースをグルコースに変換する効果が見られたが、生成糖量はほとんど変化しなかった。一方、精製Bgl3-S及びBgl3-Lは、予想される生成糖量を上回る糖の生成が観察された。これは、Bgl3-S及びBgl3-Lが、単にセロビオースからグルコース生成するだけでなく、セルラーゼ活性を促進する作用を有することを意味する。
上記と同様の試験を、CF-2612株から製造したセルラーゼに代えて、β-グルコシダーゼが多量に含まれる市販のセルラーゼ(Cellic Ctec2, Novozymes社製)を用いて実施した。その結果、CF-2612株由来のセルラーゼを用いた場合と同様の結果が得られた(図4右)。但し、市販セルラーゼを用いた前処理バイオマスの糖化では、セロビオースが観察されなかった。また、市販セルラーゼに市販β-グルコシダーゼを添加した場合は、グルコースの生成量は変化しなかった。一方、Bgl3-S又はBgl3-Lを加えた場合は、グルコースの生成量が有意に増加することが示された。これは、Bgl3-S及びBgl3-L が、他のセルラーゼとより協調して機能することにより、他のβ−グルコシダーゼと比較して、よりバイオマスの酵素糖化性を促進することができる機能を有することを示す。
(7)Bgl3-Lのアミノ酸配列及び遺伝子配列の同定
上記(4)で精製したBgl3-L をポリアクリルアミドゲル内でリジルエンドペプチダーゼ消化し、得られたペプチド断片のN-末配列を分析することにより、Bgl3の内部配列を8アミノ酸残基決定した。決定されたアミノ酸配列は、GLGVHVQL(配列番号11)であった。この内部アミノ酸配列及び既に独自に同定しているアクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株のゲノム情報からBgl3-Lをコードする塩基配列を同定した。驚くべきことに、同定したBgl3-Lをコードする塩基配列は、上記(2)で同定したBgl3-Sをコードする2633bpの塩基配列(配列番号1)と同一であった。即ち、Bgl3-LとBgl3-Sとは、同じ遺伝子によってコードされることが判明した。Bgl3-Sは、遺伝子の発現からタンパク質として菌体外に分泌されるまでの間にアミノ酸配列の一部が切除され、結果としてBgl3-Lとは異なる性質を獲得したものと考えられる。
また、Bgl3-Lをコードする塩基配列から、イントロンに相当する部分を除いたポリペプチドをコードする遺伝子配列2439bpを決定した(配列番号2)。また、配列番号2に基づいて推定されるBgl3の812アミノ酸残基からなるポリペプチド配列(配列番号3)及び分泌シグナル配列(第1位〜第18位)を決定した。更に、Bgl3のポリペプチド配列は、第734位〜第778位にリンカー配列を有し、第779位〜第812位にセルロース結合モジュール1(CBM1)を有することが判明した。これらシグナル配列、リンカー配列及びCBM1の配列は、触媒機能とは直接関係なく、欠失されてβ-グルコシダーゼ活性は維持されるが、CBM1はセルロースとの結合力を高める機能を有する。よって、CBM1の存在により、他のセルラーゼ(例えば、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼ)と共にセルロース系バイオマスに働く場合、それらの他の酵素とより至近距離で機能することが可能であるため、それらの酵素とより協調して機能すると考えられる。
(8)Bgl3-S及びBgl3-Lの組換え発現
Bgl3-S及びBgl3-Lをコードする遺伝子を発現させる発現プラスミドを構築するため、特許4257759号に記載のセルロースで誘導されるセロビオヒドロラーゼ遺伝子のプロモーター領域の1376 bpを含むDNA断片を、アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株のゲノムDNAを鋳型としてPCR反応により増幅させた。以下の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。
プライマー1:5’-ATTGAATTCGGAAAGTATTTAAGCTTGGAAGC(配列番号12)
プライマー2:5’-TATGATATCTGTGTCGATTGCTTCTGACTGTTGC(配列番号13)
ターミネーター配列として、グルコアミラーゼ遺伝子(DDBJアクセッションNo.AB781686)の3’-下流領域に相当する399 bpのDNA断片を、アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株のゲノムDNAを鋳型としてPCR反応によって増幅した。以下の2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。
プライマー3:5’-TTTGATATCCTGCAGGAGAATTACCGGGGTAGGATATG(配列番号14)
プライマー4:5’-TAAGTCGACTCGACTGATTACTAATCGTTTGATAG(配列番号15)
プロモーター領域を含むDNA断片をEcoRI及びEcoRVで切断し、プラスミドpbs-pylF (Biosci Biotechnol Biochem 76:245-249(以下、「文献1」))のEcoRI-EcoRV間に導入した。更に得られたプラスミドのEcoRV-SalI間に、EcoRV及びSalIで切断されたターミネーター領域を含むDNA断片を導入し、プラスミドpANC301を得た。本プラスミドは、エキソグルカナーゼ遺伝子プロモーター及びグルコアミラーゼ遺伝子ターミネーターの間に、発現させたい遺伝子を導入するためのEcoRV及びSbfIのクローニングサイトを有する。
Bgl3-Lをコードする遺伝子のN末端配列及びC末端配列がコードされる遺伝子配列から、以下の2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを作成した。
プライマー5:ATTGTTAACAGAATGTATTCCGCATTTCTTTTGC(配列番号16)
プライマー6:AATCCTGCAGGCTATTGTAGGCATTGAGAATACCATT(配列番号17)
アクレモニウム・セルロリティカスCF-2612株のゲノムDNAを鋳型としてプライマー5及び6を用いてイントロンを含む2.6 KbのBgl3-Lをコードするポリヌクレオチド断片を増幅した。これをHpaI及びSbfIで切断し、pANC301のEcoRV-SbfI間に導入し、Bgl3-S及びBgl3-Lを発現させるプラスミドpANC311を得た。
pANC311を、プロトプラスト-PEG法を用いて、文献1に記載される方法に従って取得されたアクレモニウム・セルロリティカスCF-2612由来のウラシル要求性株(CFP-8株)の染色体に、非相同的に組み込んで形質転換株(C-311株)を取得した。C-311株中のpANC311由来Bgl3遺伝子は、C-311の染色体DNAをプライマー1及びプライマー4を用いてPCR反応を行なうことで確認された。
組み換え体C-311及びCF-2612から得られたセルラーゼ中のβ-グルコシダーゼ活性を比較した結果、C-311株由来のものは、8.2 U/mgであり、CF-2612株由来のものは、2.4 U/mgであった。このように、組み換え体において、有意にβ-グルコシダーゼの生産性が増加したことが確認された。
(9)C-311及びCF-2612由来のセルラーゼによる糖化性
C-311株又はCF-2612株からセルラーゼ(培養上清)を取得し、これらを用いて希硫酸前処理した農産廃棄物を基質として酵素糖化性を評価した。糖化反応条件は以下の通りである。3%(w/v)の基質に対し、基質1gあたり3 mgの酵素を加えて45℃、pH 5.0で24時間保温した。糖化反応終了後に生じたグルコースをグルコースセンサーによって測定した。その結果、C-311株由来のセルラーゼは、CF-2612株由来のセルラーゼに比較して基質1gあたり生成するグルコース量が30%増加することが示された(図5)。

Claims (5)

  1. 下記の(a)又は(b)のポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換された形質転換体を培養する工程(1):
    (a)配列番号1又は2の塩基配列を有するポリヌクレオチド;
    (b)配列番号1又は2の塩基配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;及び
    工程(1)で得られた培養物から、SDS-PAGEによって測定した分子量が約86kDaであるポリペプチド及び約69kDaであるポリペプチドを別個に単離する工程(2)
    を含む、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
  2. セルラーゼの活性を高めるための、下記の(A)〜(D)のいずれかのポリペプチドの使用

    (A)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (B)配列番号3のアミノ酸配列において第1位〜第18位の全部又は一部アミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (C)配列番号3のアミノ酸配列において第734位〜第812位のアミノ酸残基の全部又は一部が欠失したアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (D)上記(A)〜(C)のポリペプチドのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、且つ、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
  3. 形質転換体の宿主が、大腸菌、酵母、放線菌、又は糸状菌である、請求項1に記載の方法。
  4. 酵母が、サッカロミセス属、ハンゼヌラ属、ピキア属、又はScheffersomyces属に属する、請求項3に記載の方法。
  5. 糸状菌が、アクレモニウム属、トリコデルマ属、Hypocrea属、アスペルギルス属、フミコーラ属、ペニシリウム属、Talaromyces属、クリスポリウム属、又はMyceliophthaora属に属する、請求項3に記載の方法。
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