JP2020023570A6 - 2,6−ジ置換ピリジン誘導体 - Google Patents

2,6−ジ置換ピリジン誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】不安関連障害の症状の治療剤として有用なピリジン誘導体およびその製薬学的に許容される塩に関する。
【解決手段】次式で表される化合物。
Figure 2020023570

[式中、Rは、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、または置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基を表し;Rは、ハロゲン原子、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ、または同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノを表し;破線を含む結合は、単結合または二重結合を表す]
【選択図】なし

Description

本発明は、セロトニン5−HT1A受容体およびドパミンD受容体の双方に対するアゴニスト活性を有する2,6−ジ置換ピリジン誘導体またはその製薬学的に許容される塩、並びに該誘導体を有効成分とする不安関連障害の症状の治療剤に関する。
中枢神経系における主要な神経伝達物質の一つとして知られるセロトニン(5-hydroxytryptamne:5−HT)は、情動反応、認知機能をはじめとする様々な脳機能に関与することが知られている。5−HT受容体のサブタイプの一つであるセロトニン5−HT1A受容体(以下、5−HT1A受容体)は、大脳皮質、海馬、縫線核、扁桃体などに高発現している。不安や恐怖記憶形成には、扁桃体の過活動が関与すると考えられており、5−HT1A受容体を刺激することで扁桃体の活性が抑制されることから、5−HT1Aアゴニストは、不安・恐怖に関する神経回路を抑制的に制御すると考えられている(非特許文献1)。
一方、ドパミン受容体のサブタイプの一つであるドパミンD受容体(以下、D受容体)も、不安・恐怖形成に関する神経回路を制御することが知られている。すなわち、D受容体は大脳皮質の一部である内側前頭前野に高発現しており、一方で前述した不安形成の責任部位である扁桃体も内側前頭前野と相互的な神経結合を有していることから、D受容体を刺激することで扁桃体の活性が抑制的に制御され、不安・恐怖の制御へと作用していることが示唆されている(非特許文献2)。
以上の薬理学的観点から、5−HT1A受容体およびD受容体を双方同時に刺激し、不安に関与する神経回路機能を複数方向から制御することによって、既存の5−HT1Aアゴニストより強く広範囲の抗不安作用を有する薬剤を創出することが期待される。しかしながら、これら2つの受容体双方に選択的にアゴニスト活性を示す薬剤は、具体的に知られていない。
特許文献1には、D受容体に対して作動性を有するピリジルピペリジン誘導体等が開示されている。特許文献2には、抗不安薬として有用なピリジルピペラジン誘導体等が開示されている。
国際公開第2014/192868号公報 特開昭59−29665号公報
Psychopharmacology 2014, 231(4), 623-36 昭和大学薬学雑誌 第1巻 第1号 2010年、17−28頁
本発明の課題は、5−HT1A受容体およびD受容体の双方に対するアゴニスト活性を併せ持ち、不安関連障害の症状の治療剤として有用な新規化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、下記式(1)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩(以下必要に応じ「本発明化合物」と略称することがある。)が5−HT1A受容体およびD受容体の双方に対するアゴニスト活性を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
〔項1〕 式(1):
Figure 2020023570
[式中、Rは、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、または置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基を表し;
は、ハロゲン原子、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ、または同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノを表し;
破線を含む結合は、単結合または二重結合を表す]で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項2〕 Rが、
(1)ハロゲン原子、ヒドロキシ、C3−7シクロアルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、
(2)ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルコキシ、および同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、または
(3)ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルコキシ、および同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項3〕 Rが、
(1)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、または
(2)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項4〕 Rが、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、または1〜4個のフッ素で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項5〕 Rが、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいシクロヘキシル、あるいはテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、またはジヒドロフリルである、項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項6〕 Rが、ジフルオロシクロヘキシル、またはテトラヒドロピラニルである、項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項7〕 Rが、ハロゲン原子、または同種もしくは異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルである、項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項8〕 Rが、1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルである、項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項9〕 破線を含む結合が単結合である、項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
〔項10〕 以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
4,4−ジフルオロ−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(実施例1)、
N−{2−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例8)、
2,2−ジメチル−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)プロパンアミド(実施例9)、および
N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例11)。
〔項11〕 以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
4,4−ジフルオロ−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(実施例1)、
N−{2−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例8)、および
N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例11)。
〔項12〕 項1に記載の以下の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
4,4−ジフルオロ−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(実施例1)。
〔項13〕 項1に記載の以下の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
N−{2−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例8)。
〔項14〕 項1に記載の以下の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
2,2−ジメチル−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)プロパンアミド(実施例9)。
〔項15〕 項1に記載の以下の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド(実施例11)。
〔項16〕 項1〜15のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
〔項17〕 項1〜15のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム障害、または認知症の治療剤。
〔項18〕 治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1〜15のいずれか一項に記載の化合物、またはその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム障害、または認知症を治療するための方法。
〔項19〕 全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム障害、または認知症の治療剤を製造するための、項1〜15のいずれか一項に記載の化合物、またはその製薬学的に許容される塩の使用。
〔項20〕 全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム障害、または認知症の治療に使用するための、項1〜15のいずれか一項に記載の化合物、またはその製薬学的に許容される塩。
〔項21〕 項1〜15のいずれか一項に記載の医薬と、抗不安薬または抗うつ剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の他の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
〔項22〕 抗不安薬または抗うつ剤に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の他の薬剤と併用して全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム障害、または認知症を治療するための、項1〜15のいずれか一項に記載の医薬。
〔項23〕 抗不安薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、項21または22に記載の医薬。
〔項24〕 選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、セルトラリン、エスシタロプラム、フルボキサミン、フロキセチン、パロキセチン、クロミプラミン、ならびにこれらの製薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種以上である、項23に記載の医薬。
〔項25〕 抗うつ剤が、セロトニン再取り込み阻害剤である、項21〜24のいずれか一項に記載の医薬。
〔項26〕 セロトニン再取り込み阻害剤が、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン、アモキサピン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、イミプラミン、ボルチオキセチン、ならびにこれらの製薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種以上である、項25に記載の医薬。
本発明化合物は、5−HT1A受容体およびD受容体の双方に対するアゴニスト活性を有する。また、好ましい態様においては、代謝安定性に優れ、ヒトにおける消失半減期(T1/2)が長く、かつ他のGPCRであるドパミンD受容体(以下、D受容体)やhERGチャネルへの阻害作用が弱い。したがって、本発明化合物のうち好ましいものは、ヒトの生体内において長い持続性を有し、かつ安全性の高い不安関連障害の症状の治療剤として有用である。
実施例1、8及び11の化合物の文脈的恐怖条件付け試験(試験例6)の結果を示す図である。 実施例1及び11の化合物のガラス玉覆い隠し試験(試験例7)の結果を示す図である。 実施例1の化合物とエスシタロプラム、及び実施例11の化合物とエスシタロプラムを併用した場合における、ガラス玉覆い隠し試験(試験例7)の結果を示す図である。 実施例1及び11の化合物の強制水泳試験(試験例8)の結果を示す図である。 実施例11、及び実施例11の化合物とセルトラリンを併用した場合における、化合物のマイクロダイアリシス試験(試験例9)の結果を示す図である。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1−6」等と表記する場合もある。具体的には、「C1−6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
「C1−6アルキル」は、炭素数1〜6個を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1−4アルキル」である。「C1−6アルキル」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
「C3−10シクロアルキル」は、3員〜10員の単環式もしくは多環式環状の飽和または部分不飽和の炭化水素基を意味する。なお、部分不飽和とは、一部の結合が不飽和結合となった状態をいい、完全に不飽和な芳香族環に至っていない状態をいう(以下、「部分不飽和」は同義)。好ましくは、「C3−7シクロアルキル」である。「C3−10シクロアルキル」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等が挙げられる。
「C1−6アルコキシ」の「C1−6アルキル」部分は、前記「C1−6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1−4アルコキシ」である。「C1−6アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
「5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1〜3個有する5員〜10員の単環式もしくは多環式の飽和または部分不飽和のヘテロ環基等が挙げられる。具体的には、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル等が挙げられる。なお、該基の結合手は、環を構成する炭素原子上および窒素原子上のいずれであってもよい。
好ましくは、5員もしくは6員の飽和ヘテロ環基が挙げられる。より好ましくは、下記式(11)、(12)、(13)、および(14)で表される基が挙げられる。
Figure 2020023570
(式中において環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する)
更に好ましくは、式(11)で表される基が挙げられる。
「置換されていてもよいC1−6アルキル」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C3−7シクロアルキル、およびC1−6アルコキシ等が挙げられ、好ましくはフッ素原子が挙げられる。
「置換されていてもよいC3−10シクロアルキル」、「置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基」における置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、
(e)同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルコキシ、および
(f)同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノ
等が挙げられる。
好ましくは、ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルであり;好ましくは、フッ素である。
式(1)で表される本発明化合物の中でも、破線を含む結合、RおよびRとして好ましいものは以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
破線を含む結合として好ましくは単結合である。
として好ましくは、
(1)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、および
(2)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基が挙げられる。
としてより好ましくは、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、および1〜4個のフッ素で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基が挙げられる。更に好ましくは、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいシクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、およびジヒドロフリルが挙げられる。更に好ましくは、ジフルオロシクロヘキシル、およびテトラヒドロピラニルが挙げられる。更に好ましくは、4,4−ジフルオロシクロヘキシル、および4−テトラヒドロピラニルが挙げられる。
として好ましくは、ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルであり;更に好ましくは、1〜3個のフッ素で置換されていてもよいメチルである。
式(1)で表される化合物は、互変異性体として存在する場合もあり得る。従って、本発明化合物は、式(1)で表される化合物の互変異性体も包含する。
式(1)で表される化合物は、少なくとも一つの不斉炭素原子を有する場合もあり得る。従って、本発明化合物は、式(1)で表される化合物のラセミ体のみならず、これらの化合物の光学活性体も包含する。式(1)で表される化合物が、2個以上の不斉炭素原子を有する場合、立体異性を生じる場合がある。従って、本発明化合物は、これらの化合物の立体異性体およびその混合物も包含する。
また、式(1)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上のHをH(D)に変換した重水素変換体も式(1)で表される化合物に包含される。
式(1)で表される化合物およびその製薬学的に許容される塩は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物またはエタノール溶媒和物等の溶媒和物も本発明化合物に含まれる。さらに、本発明化合物はあらゆる態様の結晶形のものも包含している。
製薬学的に許容される塩としては、式(1)で表される化合物が酸性基を有する場合は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の無機金属塩;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、アミノ酸等の有機塩基塩等が挙げられる。
式(1)で表される化合物が塩基性基を有する場合は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
以下に、本発明化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれらに限定されるものではない。
製造法
本発明化合物は、下記に示す製造法、および公知の合成方法を組み合わせた方法により合成される。
反応式中の化合物はそれぞれ塩を形成している場合も含み、該塩としては、例えば、本明細書で例示される式(1)の化合物の塩と同様のものが挙げられる。なお、これらの反応は単なる例示であり、有機合成に習熟している者の知識に基づき、適宜、他の方法で本発明化合物を製造することもできる。
下記において説明する各製造法において、具体的に保護基の使用を明示していない場合であっても、保護が必要な官能基が存在する場合は、当該官能基を必要に応じて保護し、反応終了後または一連の反応を行った後に脱保護することにより目的物を得ることもある。
保護基としては、文献(T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York(1999))などに記載されている通常の保護基を用いることができ、更に具体的には、アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アセチル、ベンジル等を、またヒドロキシ基の保護としては、例えば、トリアルキルシリル、アセチル、ベンジル等をそれぞれ挙げることができる。
保護基の導入及び脱離は、有機合成化学で常用される方法(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York(1999)に記載されている方法等)またはそれに準じた方法により行うことができる。
製造法1
式(1)で表される化合物は、例えば下記に示す方法によって製造される。
Figure 2020023570
(式中、RおよびRは、前記項1と同義であり;破線を含む結合は、単結合または二重結合を表し;LGは脱離基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、置換スルホニル(例えば、メタンスルホニル、p-トルエンスルホニル等)等)を表し;Proはアミノ基の保護基を表す。)
工程1−1:化合物(1−3)の製造工程
化合物(1−3)は、適当な不活性溶媒中、塩基存在下または非存在下、化合物(1−1)と化合物(1−2)とを反応させることにより製造される。本工程は、必要に応じ塩基の存在下、また、必要に応じ相関移動触媒の存在下に行なってもよい。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
化合物(1−1)は、市販の化合物、または公知の方法(例えば、国際公開第2014/192868号公報)により製造されたものを用いることができる。
化合物(1−2)は、市販の化合物、または公知の方法(例えば、J. Org. Chem. 1988, 53, 2226-2232)により製造されたものを用いることができる。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、カリウム tert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
相関移動触媒としては、例えば、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
不活性溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
工程1−2:化合物(1−4)の製造工程
化合物(1−4)は、化合物(1−3)のアミノ基の保護基Proを、公知の方法(例えば、Protective Group in Organic Synthesis第3版(Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts著,John Wiley&Sons Inc発行、1999年)で脱保護することにより製造される。
工程1−3:化合物(1)の製造工程
化合物(1)は、化合物(1−4)を、不活性溶媒中、縮合剤の存在下、式(1−5)で表されるカルボン酸と反応させることにより製造される。当該反応はさらに塩基の存在下で行ってもよい。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
化合物(1)は、化合物(1−4)を、不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物(1−5)から誘導される酸ハロゲン化物または酸無水物等と反応させることによっても製造される。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
縮合剤の具体例としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(WSC)、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロリン化物塩(BOP)、ジフェニルホスホニルジアミド(DPPA)、N,N−カルボニルジミイダゾール(CDI)、ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン化物塩(HBTU)などが挙げられる。
必要に応じて、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)等の添加剤を加えてもよい。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、カリウム tert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;ピリジン等の塩基性溶媒;もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
製造法2
式(1−1b)で表される化合物は、下記に示す方法によって式(1−1a)で表される化合物から製造される。
Figure 2020023570
(式中、Rは、前記項1と同義である。)
工程2:化合物(1−1b)の製造工程
化合物(1−1b)は、適当な不活性溶媒中で、常圧もしくは加圧水素雰囲気下、化合物(1−1a)を接触還元して製造される。この還元反応に用いる触媒の具体例としては、パラジウム炭素等のパラジウム系の触媒、ロジウム炭素等のロジウム系の触媒、白金炭素等の白金系の触媒、ルテニウム炭素等のルテニウム系の触媒が挙げられる。反応温度は通常0℃から50℃の範囲である。反応時間は、反応温度、使用される触媒、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
他の式(1−1)で表される化合物は、市販されているか、公知の製造法あるいはそれに準じた製造法を用いて製造することができる。
製造法3
式(1−3b)で表される化合物は、下記に示す方法によって式(1−3a)で表される化合物から製造される。
Figure 2020023570
(式中、Rは、前記項1と同義であり;Proはアミノ基の保護基を表す。)
工程3:化合物(1−3b)の製造工程
化合物(1−3b)は、適当な不活性溶媒中で、常圧もしくは加圧水素雰囲気下、化合物(1−3a)を接触還元して製造される。この還元反応に用いる触媒の具体例としては、パラジウム炭素等のパラジウム系の触媒、ロジウム炭素等のロジウム系の触媒、白金炭素等の白金系の触媒、ルテニウム炭素等のルテニウム系の触媒が挙げられる。反応温度は通常0℃から50℃の範囲である。反応時間は、反応温度、使用される触媒、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
上記の製造法を適宜組み合わせて実施することにより、所望の位置に所望の置換基を有する本発明の化合物を得ることができる。上記製造法における中間体および生成物の単離、精製は、通常の有機合成で用いられる方法、例えばろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、各種クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行うことができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することもできる。
上記の製造法における原料化合物または中間体は、反応条件等により、例えば塩酸塩等の塩の形態で存在し得るものもあるが、そのまま、または遊離の形で使用することができる。原料化合物または中間体が塩の形態で得られ、原料化合物または中間体を遊離の形で使用または取得したい場合には、これらを適当な溶媒に溶解または懸濁し、例えば炭酸水素ナトリウム水溶液等の塩基等で中和することにより遊離の形へ変換できる。
式(1)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩の中には、ケトエノール体のような互変異性体、位置異性体、幾何異性体または光学異性体のような異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め可能な全ての異性体および該異性体のいかなる比率における混合物も本発明に包含される。
また、光学異性体は前記製造法の適切な工程で、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法などの公知の分離工程を実施することで分離することができる。また、出発原料として光学活性体を使用することもできる。
式(1)で表される化合物の塩を取得したい場合は、式(1)で表される化合物の塩が得られる場合はそのまま精製すればよく、また式(1)で表される化合物が遊離の形で得られる場合は、式(1)で表される化合物を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。また、化合物(1)またはその製薬学的に許容される塩は、水または各種溶媒との溶媒和物の形で存在することもあるが、それら溶媒和物も本発明に包含される。
5−HT1A受容体は、大脳皮質、海馬、縫線核、扁桃体などに高発現している。不安や恐怖記憶形成には、扁桃体の過活動が関与すると考えられており、5−HT1A受容体を刺激することで扁桃体の活性が抑制されることから、5−HT1Aアゴニストは、不安・恐怖に関する神経回路を抑制的に制御すると考えられている(非特許文献1)。例えば、5−HT1Aアゴニストであるブスピロンおよびタンドスピロンは、全般性不安障害(generalized anxiety disorder:GAD)に対する治療薬として用いられる。加えて、5−HT1Aアゴニストは、GADとは異なる中枢神経性疾患、例えば、大うつ病、強迫性障害、パーキンソン病、レット症候群、認知症等の治療薬となることが期待される。
GADの治療としては、特に、GADにおける精神症状および/または身体症状の改善に好適に用いられる。
大うつ病の治療としては、特に、大うつ病における精神症状および/または身体症状の改善に好適に用いられる。
強迫性障害の治療としては、特に、強迫性障害における強迫行為および/または強迫観念の改善に好適に用いられる。
パーキンソン病の治療としては、特に、パーキンソン病におけるL−DOPA誘発ジスキネジア症状の改善に好適に用いられる。
レット症候群の治療としては、特に、レット症候群における無呼吸症状の改善に好適に用いられる。
認知症の具体例としては、例えば、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症が挙げられ、特にこれらの認知症における周辺症状(例えば、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害等)の治療に好適に用いられる。
受容体は、不安・恐怖形成に関する神経回路を制御することが知られている。内側前頭前野に高発現するD受容体を刺激することで、扁桃体の活性を抑制的に制御することができると期待されることから、Dアゴニストは、5−HT1Aアゴニスト同様、抗不安作用を示すことが期待できる。
以上の薬理学的観点から、5−HT1A受容体およびD受容体を双方同時に刺激し、不安に関与する神経回路機能を複数方向から制御することにより、既存の5−HT1Aアゴニストより強く広範囲の抗不安作用を有する薬剤を創出することが期待される。
また、本発明化合物は、D受容体に対して作動性を有することから、注意欠如多動性障害(ADHD:精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM−5)におけるADHDであって、従来のDSM−IVにおいて、注意欠陥多動性障害と分類されていた診断名)、およびADHDと類似の症状を示す中枢神経性疾患、例えば、自閉症スペクトラム障害(精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM−5)における自閉症スペクトラム障害であって、従来のDSM−IVにおいて、自閉症、アスペルガー症候群、非定型広汎性発達障害、および小児崩壊性障害と分類されていた診断名)、ADHD様の症状を示す統合失調症、気分障害、認知機能障害等の治療薬となることが期待される。
ADHDの治療としては、特に、注意欠如(inattention)、多動性(hyperactivity)、および衝動性(impulsivity)を主症状とするADHDに好適に用いられる。
自閉症スペクトラム障害の治療としては、特に、社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な欠陥、および制限された反復される行動、興味、活動等の様式を主症状とする自閉症スペクトラム障害に好適に用いられる。
本発明化合物は、5−HT1A受容体およびD受容体に対してアゴニスト活性を有する。具体的には、本発明化合物は、5−HT1A受容体およびD受容体への最大アゴニスト活性を表すEmax値が50%以上、もしくはアゴニスト活性を表すEC50値が100nmol/L以下を示す(試験例1)。
また本発明化合物は、5−HT1A受容体およびD受容体に対して強い結合親和性を示す(試験例2)。本発明の好ましい態様としては、5−HT1A受容体およびD受容体への結合親和性が、D受容体の結合親和性と比較して100倍以上強いため、D拮抗作用に起因すると考えられる錐体外路症状や高プロラクチン血症といった副作用が発現しない血中濃度で、5−HT1AおよびD受容体アゴニスト性に基づいた薬理作用を発揮することができる。
また、本発明化合物の好ましい態様においては、QT延長による不整脈の発現指標であるhERGチャネル阻害濃度と、期待する薬理作用の発現濃度とが乖離しているため(試験例5)、心血管系に対する影響が小さいことが期待できる。
薬剤における消失半減期(T1/2)は、その効果を持続させるための服薬回数を決定する要素である。短いT1/2に伴う1日複数回の投薬は、飲み忘れや飲み残しに繋がり、適切な薬物治療の妨げになると考えられる。また、投薬回数が増えることで副作用発現率の上昇、もしくは高用量投与への制限に伴って忍容性が低下することが懸念される。以上の観点から、長いT1/2を達成することで、上記した懸念の小さい長時間作用型薬剤を創出し、服薬する患者の負担軽減に繋がることが期待できる。
本発明化合物の好ましい態様においては、予測ヒト消失半減期(T1/2)が8時間以上と長いことから(試験例4)、薬効がヒトの生体内において長い持続性を有し、薬物治療患者の服薬アドヒアランスを改善させ、投薬時に高い忍容性を示すことが期待される。
本発明化合物は、経口的または非経口的に投与することができる。経口的に投与する場合、通常用いられる投与形態で投与することができる。非経口的には、局所投与剤、注射剤、経皮剤、経鼻剤等の形で投与することができる。経口剤または直腸投与剤としては、例えば、カプセル、錠剤、ピル、散剤、カシェ剤、坐剤、液剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば、無菌の溶液または懸濁液等が挙げられる。局所投与剤としては、例えば、クリーム、軟膏、ロ−ション、経皮剤(通常のパッチ剤、マトリクス剤)等が挙げられる。
上記の剤形は通常の方法で、薬学的に許容される賦形剤、添加剤とともに製剤される。薬学的に許容される賦形剤、添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロ−ス、低融点ワックス、カカオバター等が挙げられる。カプセルは、本発明化合物を薬学的に許容される担体と共に中に入れることにより製剤できる。本発明化合物は薬学的に許容される賦形剤と共に混合し、または賦形剤なしにカプセルの中に入れることができる。カシェ剤も同様の方法で製造できる。
注射用液剤としては、溶液、懸濁液、乳剤等が挙げられる。例えば、水溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。液剤は、水を含んでもよい、ポリエチレングリコールまたは/およびプロピレングリコールの溶液の形で製造することもできる。経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を水に加え、着色剤、香料、安定化剤、甘味剤、溶解剤、増粘剤等を必要に応じて加え製造することができる。また経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を分散剤とともに水に加え、粘稠にすることによっても製造できる。増粘剤としては、例えば、薬学的に許容される天然または合成ガム、レジン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは公知の懸濁化剤等が挙げられる。
用量は、個々の化合物により、また患者の疾患、年齢、体重、性別、症状、投与経路等により変化するが、通常は成人(体重50kg)に対して、本発明化合物を、0.1〜1000mg/日、好ましくは0.1〜300mg/日を1日1回または2ないし3回に分けて投与する。また、数日〜数週に1回投与することもできる。
本発明化合物は、その効果の増強および/または副作用の軽減を目的として、他の薬物と併用して用いることができる。例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤等の抗不安薬と併用することができる。また、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤等の抗うつ剤と併用することもできる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤としては、例えば、セルトラリン、エスシタロプラム、フルボキサミン、フロキセチン、パロキセチン、クロミプラミン等が挙げられる。セロトニン再取り込み阻害剤としては、例えば、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン、アモキサピン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、イミプラミン、ボルチオキセチン等が挙げられる。以下、本発明化合物と併用し得る薬物を、併用薬剤と略記する。
本発明化合物および併用薬剤の投与期間は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。また、その副作用抑制の目的として、制吐剤、睡眠導入剤、抗痙攣薬などの薬剤(併用薬剤)と組み合わせて用いることができる。
以下に本発明を、参考例、実施例および試験例により、更に具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。なお、記載の簡略化のために略語を使用することもあるが、これらの略号は前記記載と同義である。
本明細書において次の略号を使用することもある。
参考例ならびに実施例のNMRデータにおいては以下の略号を使用する。
Me:メチル
DMF:N、N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
tert- :ターシャリー
CDCl3: 重クロロホルム
DMSO−d6: 重ジメチルスルホキシド
プロトン核磁気共鳴スペクトルは、JEOL社製FT−NMR測定装置(300MHzまたは400MHz)を用いて測定した。ケミカルシフト値はδ値(ppm)にて記載した。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、dtは二重の三重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、及びJは結合定数を意味する。
実施例1
4,4−ジフルオロ−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)シクロヘキサンカルボキサミド
Figure 2020023570
参考例4の化合物(600mg)、トリエチルアミン(1.31mL)、4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボン酸(257mg)およびDMF(5.0mL)の混合物にO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(654mg)を加えた。室温で8時間撹拌後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物(406mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.48-2.06 (10H, m), 2.09-2.30 (5H, m), 2.54 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.77-2.88 (1H, m), 2.97-3.08 (2H, m), 3.38 (2H, dt, J = 5.5, 5.5 Hz), 6.22 (1H, brs), 7.37 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.52 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.80 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
実施例2〜7
実施例1に記載の方法に準じ、対応する参考例の化合物より、実施例2〜7の化合物を得た。
Figure 2020023570
実施例8
N−{2−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
参考例6の化合物(500mg)、トリエチルアミン(1.27mL)およびジクロロメタン(5.0mL)の混合物に、氷冷下テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニルクロライド(0.207mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物(451mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.90 (6H, m), 1.91-2.01 (2H, m), 2.08-2.19 (2H, m), 2.31-2.43 (1H, m), 2.51 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.54 (3H, s), 2.63-2.76 (1H, m), 2.95-3.04 (2H, m), 3.33-3.50 (4H, m), 3.99-4.07 (2H, m), 6.20 (1H, brs), 6.98 (1H, d, J = 7.7 Hz), 6.99 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.52 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz).
実施例9〜10
実施例8に記載の方法に準じ、対応する参考例の化合物より、実施例9〜10の化合物を得た。
Figure 2020023570
実施例11
N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
参考例4の化合物(350mg)、トリエチルアミン(0.765mL)およびジクロロメタン(3.0mL)の混合物に、氷冷下テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニルクロライド(0.124mL)を加えた。室温で12時間撹拌後、反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物(232mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.71-2.02 (8H, m), 2.08-2.21 (2H, m), 2.32-2.44 (1H, m), 2.52 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.75-2.88 (1H, m), 2.95-3.05 (2H, m), 3.33-3.50 (4H, m), 3.99-4.08 (2H, m), 6.15 (1H, brs), 7.37 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.52 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.79 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
実施例12
4,4−ジフルオロ−N−{2−[6−(トリフルオロメチル)−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル]エチル}−シクロヘキサン−1−カルボキサミド
Figure 2020023570
4,4−ジフルオロシクロヘキサン−1−カルボキシリックアシッド(42.0 mg)、トリエチルアミン(0.178 mL)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウム−3−オキシド ヘキサフルオロホスファート(89.0 mg)とN,N−ジメチルホルムアミド(1.0 mL)の混合物を室温で20分間攪拌した後、参考例7の化合物(81.2 mg)を加えた。室温で24時間攪拌後、反応混合物に水(30 mL)を加え、酢酸エチル(30 mL×2回)で抽出し、1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥しろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で分離精製し、表題化合物(40 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 1.50-1.90 (6H, m), 2.01 (2H, t, J = 11.3 Hz), 2.18-2.34 (2H, m), 2.50-2.58 (3H, m), 2.66 (2H, t, J = 5.6 Hz), 3.15-3.27 (4H, m), 6.81 (1H, s), 7.73 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.79 (1H, t, J = 5.6 Hz), 7.85 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.04 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
実施例13〜15
実施例12に記載の方法に準じ、対応する参考例の化合物より、実施例13〜15の化合物を得た。

Figure 2020023570
実施例16
N−{2−[6−(トリフルオロメチル)−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキサミド
Figure 2020023570
オキサン−3−カルボキシリックアシッド(41.0 mg)、トリエチルアミン(0.263 mL)とアセトニトリル(2.0 mL)の混合物に50%プロピルホスホン酸無水物−アセトニトリル溶液(301 mg)を滴下し、室温で10分間攪拌した。その後、参考例7の化合物(144 mg)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物から溶媒を留去後、残渣に水(30 mL)を加え、酢酸エチル(30 mL×2回)で抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥しろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で分離精製し、表題化合物(22.0 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.44-1.78 (4H, m), 1.81-2.00 (2H, m), 2.37-2.49 (1H, m), 2.63-2.83 (4H, m), 3.28 (2H, q, J = 2.9 Hz), 3.39-3.50 (2H, m), 3.55 (1H, ddd, J = 11.3, 9.1, 3.3 Hz), 3.68 (1H, dd, J = 11.5, 8.2 Hz), 3.80 (1H, td, J = 11.4, 4.4 Hz), 3.92 (1H, dd, J = 11.7, 3.8 Hz), 6.47 (1H, s), 6.80 (1H, tt, J = 3.6, 1.5 Hz), 7.45-7.62 (2H, m), 7.76-7.89 (1H, m).
実施例17〜28
実施例16に記載の方法に準じ、対応する参考例の化合物より、実施例17〜28の化合物を得た。
Figure 2020023570

Figure 2020023570

Figure 2020023570
実施例29
N−[2−(6−メチル−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル)エチル]−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
参考例8の化合物(150 mg)、炭酸水素ナトリウム(231 mg)とジクロロメタン(5.0 mL)の混合物に氷冷下、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニルクロライド(81.8 mg)をゆっくりと加えた。室温で20時間攪拌後、反応混合物へ10%炭酸カリウム水溶液(30 mL)を加え、15分間室温で攪拌した。その後、有機層を分注し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(クロロホルム/3 mol/Lアンモニア-メタノール溶液)で分離精製し、表題化合物(99.0 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.90 (4H, m), 2.30-2.43 (1H, m), 2.57 (3H, s), 2.64-2.75 (4H, m), 2.75-2.83 (2H, m), 3.23-3.31 (2H, m), 3.37-3.52 (4H, m), 3.98-4.08 (2H, m), 6.27 (1H, s), 6.63-6.71 (1H, m), 7.04 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.17 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.56 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz).
実施例30
2,2−ジメチル−N−[2−(6−メチル−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル)エチル]プロパナミド
Figure 2020023570
参考例8の化合物(150 mg)から実施例29と同様の手法により、表題化合物(48 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 1.08 (9H, s), 2.45 (3H, s), 2.47-2.54 (4H, m), 2.65 (2H, t, J = 5.6 Hz), 3.13-3.18 (2H, m), 3.19-3.26 (2H, m), 6.58-6.72 (1H, m), 7.09 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.29 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.38 (1H, dd, J = 5.6, 5.6 Hz), 7.63 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz).
実施例31
2,2−ジメチル−N−{2−[6−(トリフルオロメチル)−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル]エチル}プロパナミド
Figure 2020023570
参考例7の化合物(160 mg)、トリエチルアミン(0.319 mL)とジクロロメタン(2.0 mL)の混合物にピバロイルクロライド(46.0 mg)をゆっくりと加え、室温で20時間攪拌した。その後、反応混合物に水(30 mL)を加え、酢酸エチル(30 mL×2回)で抽出し飽和食塩水(30 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。残渣を分取HPLCで分離精製し、表題化合物(23 mg)をギ酸塩として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.23 (9H, s), 2.84-2.97 (2H, m), 3.05-3.13 (2H, m), 3.18 (2H, t, J = 5.7 Hz), 3.58-3.64 (2H, m), 3.66-3.70 (2H, m), 6.75 (1H, s), 6.92 (1H, s), 7.61 (2H, dd, J = 10.5, 7.8 Hz), 7.88 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
実施例32〜34
実施例31に記載の方法に準じ、対応する参考例の化合物より、実施例32〜34の化合物を得た。
Figure 2020023570
実施例35
N−{2−[4−(6−シアノピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
実施例32の化合物(180 mg)、シアン化ナトリウム(500 mg)とジメチルスルホキシド(10 mL)の混合物を150℃で72時間攪拌した。その後、反応混合物に水(100 mL)を加え酢酸エチル(100 mL×2回)で抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/3 mol/L アンモニア−メタノール溶液)で分離精製し、表題化合物(11.0 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 1.52-1.60 (4H, m), 1.62-1.87 (4H, m), 1.94-2.17 (2H, m), 2.25-2.43 (3H, m), 2.66-2.80 (1H, m), 2.96 (2H, d, J = 10.9 Hz), 3.09-3.31 (4H, m), 3.85 (2H, td, J = 11.2, 3.4 Hz), 7.67 (2H, dd, J = 8.0, 1.1 Hz), 7.87 (1H, dd, J = 7.7, 1.1 Hz), 7.98 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
実施例36
N−{2−[4−(6−アミノピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチル}−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
参考例15の化合物(270 mg)、50%ラネーニッケル−水懸濁液(0.2 mL)とメタノール(5.0 mL)の混合物を水素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。その後、反応混合物をセライトろ過し、メタノール(10 mL×2回)で洗浄し、ろ液を濃縮した。残渣をジクロロメタンとジエチルエーテルとの混合溶媒でトリチュレーションすることで、表題化合物(22 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 1.49-1.61 (4H, m), 1.62-1.77 (4H, m), 1.99 (2H, td, J = 11.3, 3.0 Hz), 2.25-2.42 (4H, m), 2.87-2.98 (2H, m), 3.17 (2H, q, J = 6.5 Hz), 3.23-3.32 (2H, m), 3.85 (2H, td, J = 11.2, 3.4 Hz), 5.72 (2H, s), 6.25 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.34 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.27 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz), 7.68 (1H, J = 5.6, 5.6 Hz).
実施例37
N−(2−{4−[6−(メチルアミノ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
実施例36の化合物(100 mg)のメタノール溶液(1.0 mL)にパラホルムアルデヒド(36.0 mg)とナトリウムメトキシド(81.0 mg)を加えた。2時間加熱還流後、反応混合物に氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(46.0 mg)を加え、2時間加熱還流した。その後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5.0 mL)を加え、酢酸エチル(30 mL×2回)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/3 mol/L アンモニア-メタノール溶液)で分離精製し、表題化合物(36.0 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.68-1.89 (6H, m), 1.89-2.01 (2H, m), 2.04-2.22 (2H, m), 2.39 (1H, tt, J = 10.4, 5.3 Hz), 2.46-2.60 (3H, m), 2.92 (3H, d, J - 5.1 Hz), 2.95-3.07 (2H, m), 3.29-3.54 (4H, m), 4.05 (2H, td, J = 11.5, 3.6 Hz), 4.36-4.62 (1H, m), 6.25 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.49 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.43 (1H, dd, J = 8.2, 7.4 Hz).
実施例38
N−(2−{4−[6−(ジメチルアミノ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
参考例36の化合物(50.0 mg)のジクロロエタン溶液(1.5 mL)にパラホルムアルデヒド(18.0 mg)を加え、室温で1時間攪拌した。水素化シアノホウ素ナトリウム(23.9 mg)を加え、室温で24時間攪拌した。その後、反応混合物にジクロロメタン(30 mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL×2回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。残渣を分取薄層カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/3 mol/L アンモニア−メタノール溶液)で分離精製し、表題化合物(36.0 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.75-2.02 (8H, m), 2.15 (2H, t, J = 11.5 Hz), 2.32-2.46 (1H, m), 2.48-2.64 (3H, m), 3.00 (2H, d, J = 11.3 Hz), 3.10 (6H, s), 3.33-3.53 (4H, m), 4.04 (2H, td, J = 11.4, 3.4 Hz), 6.28 (1H, s), 6.37 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.44 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.40 (1H, dd, J = 8.4, 7.3 Hz).
参考例1
6−(トリフルオロメチル)−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−2,4’−ビピリジン
Figure 2020023570
N−Boc−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(41.0g)、ジメトキシエタン(221mL)および水(111mL)の混合物に、2−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン(30.0g)、炭酸ナトリウム(70.3g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.67g)を加えた。80℃で15時間撹拌後、反応混合物に濃塩酸(300mL)をゆっくりと滴下した。室温で1時間撹拌後、反応混合物をセライトろ過し、ろ液をクロロホルムで洗浄した。水層に20%水酸化ナトリウム水溶液(375mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮し、表題化合物(26.9g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.53-2.59 (2H, m), 3.11 (2H, t, J = 5.7 Hz), 3.59 (2H, q, J = 3.0 Hz), 6.81-6.84 (1H, m), 7.48 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.51 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
参考例2
2−(ピペリジン−4−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン
Figure 2020023570
参考例1の化合物(53.8g)のメタノール溶液(236mL)に10%パラジウム/炭素(12.5g)を加え、水素雰囲気下、室温で15時間撹拌した。その後、セライトろ過し、溶媒を減圧濃縮し、表題化合物(54.1g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.73-1.85 (2H, m), 1.95-2.02 (2H, m), 2.76-2.85 (2H, m), 2.90-2.99 (1H, m), 3.23-3.30 (2H, m), 7.36 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.49 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.78 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
参考例3
tert−ブチル(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)カルバメート
Figure 2020023570
参考例2の化合物(9.62g)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(1.35g)、50%炭酸カリウム水溶液(57.7g)およびTHF(84mL)の混合物にtert−ブチル(2−ブロモエチル)カルバメート(9.83g)を加えた。70℃で15時間撹拌後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物(11.0g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.44 (9H, s), 1.76-1.97 (4H, m), 2.05-2.14 (2H, m), 2.47 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.73-2.84 (1H, m), 2.95-3.03 (2H, m), 3.17-3.28 (2H, m), 5.01 (1H, brs), 7.35 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.49 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.77 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
参考例4
2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例3の化合物(1.57g)のジクロロメタン溶液(8.4mL)に4mol/L塩酸 酢酸エチル溶液(10.5mL)を加えた。室温で4時間撹拌後、溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテル中で撹拌後ろ取することで、表題化合物(1.37g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ: 2.06-2.17 (4H, m), 3.07-3.22 (3H, m), 3.27-3.45 (4H, m), 3.63-3.71 (2H, m), 7.65 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.78 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.08 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 8.43 (3H, brs).
参考例5
6−メチル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−2,4’−ビピリジン
Figure 2020023570
2−ブロモ−6−メチルピリジン(5.11g)、ジメトキシエタン(79mL)および水(20mL)の混合物に、N−Boc−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(11.0g)、炭酸カリウム(8.21g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.43g)を加えた。80℃で4時間撹拌後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。
得られた精製物の酢酸エチル溶液(20mL)に4mol/L塩酸 酢酸エチル溶液(20mL)を加えた。室温で24時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルム/メタノール溶液で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、表題化合物(4.88g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.51-2.57 (5H, m), 3.12 (2H, t, J = 5.7 Hz), 3.58 (2H, q, J = 3.1 Hz), 6.70-6.74 (1H, m), 7.00 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.13 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
参考例6
2−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例2〜4と同様の手法により、参考例5の化合物から表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ: 2.11-2.35 (4H, m), 2.78 (3H, s), 3.13-3.29 (2H, m), 3.31-3.46 (4H, m), 3.47-3.61 (1H, m), 3.66-3.78 (2H, m), 7.65 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.77 (1H, d, J = 7.5 Hz), 8.41 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 8.47 (3H, brs), 11.30 (1H, brs).
参考例7
2−[6−(トリフルオロメチル)−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル]エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例3〜4と同様の手法により、参考例1の化合物から表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) δ: 2.84-3.02 (2H, m), 3.44-3.55 (2H, m), 3.56-3.69 (4H, m), 3.99-4.10 (2H, m), 6.50-6.59 (1H, m), 7.72 (1H, d, J = 3.7 Hz), 7.75 (1H, d, J = 3.3 Hz), 8.00 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
参考例8
2−(6−メチル−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル)エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例3〜4と同様の手法により、参考例5の化合物から表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 2.68 (3H, s), 2.95-3.07 (2H, m), 3.33-3.45 (3H, m),3.48-3.56 (2H, m), 3.70-3.84 (1H, m), 3.94-4.07 (1H, m), 4.12-4.27 (1H, m), 6.83 (1H, d, J = 3.9 Hz), 7.55 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.69 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.12 (1H, dd, J = 8.2, 8.2 Hz), 8.60 (3H, s), 11.64 (1H, s).
参考例9
tert−ブチル{2−[6−(トリフルオロメトキシ)−3’,6’−ジヒドロ[2,4’−ビピリジン]−1’(2’H)−イル]エチル}カルバメイト
Figure 2020023570
参考例1および3と同様の手法により、2−クロロ−6−トリフルオロメトキシピリジンから表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.47 (9H, s), 2.58-2.70 (4H, m), 2.71-2.79 (2H, m), 3.20-3.28 (2H, m), 3.28-3.36 (2H, m), 6.73-6.82 (1H, m), 6.85 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.23-7.30 (1H, m), 7.74 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
参考例10
tert−ブチル(2−{4−[6−(トリフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)カルバメイト
Figure 2020023570
参考例2と同様の手法により、参考例9の化合物から表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.47 (9H, s), 1.82-2.07 (4H, m), 2.18-2.30 (2H, m), 2.49-2.62 (2H, m), 2.66-2.79 (1H, m), 3.10 (2H, d, J = 11.2 Hz), 3.24-3.40 (2H, m), 6.87 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.11 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.73 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz).
参考例11
2−{4−[6−(トリフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例4と同様の手法により、参考例10の化合物から表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) δ: 1.93-2.14 (2H, m), 2.15-2.26 (2H, m), 3.04-3.13 (1H, m), 3.16-3.33 (2H, m), 3.38-3.54 (4H, m), 3.62-3.77 (2H, m), 7.13 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.31 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.91 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
参考例12
2−[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例9〜11と同様の手法により、2−ブロモ−6−フルオロピリジンから表題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 2.02-2.19 (4H, m), 2.91-3.06 (1H, m), 3.11-3.21 (2H, m), 3.31-3.44 (4H, m), 3.66 (2H, d, J = 12.2 Hz), 7.05 (1H, dd, J = 8.1, 2.7 Hz), 7.27 (1H, dd, J = 7.4, 2.6 Hz), 7.97 (1H, dd, J = 8.1, 8.1 Hz), 8.54 (3H, s), 11.04 (1H, s).
参考例13
2−[4−(6−メトキシピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イル]エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例9〜11と同様の手法により、2−ブロモ−6−メトキシピリジンから表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) δ: 1.93-2.14 (2H, m), 2.19-2.33 (2H, m), 3.05-3.33 (3H, m), 3.39-3.55 (4H, m), 3.69-3.80 (2H, m), 4.02 (3H, s), 7.16 (2H, dd, J = 15.3, 8.2 Hz), 8.13 (1H, d, J = 8.7, 7.6 Hz).
参考例14
2−{4−[6−(ジフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチルアミン 三塩酸塩
Figure 2020023570
参考例9〜11と同様の手法により、2−ブロモ−6−ジフルオロメチルピリジンから表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) δ: 1.78-1.92 (2H, m), 1.91-2.10 (2H, m), 2.63 (2H, t, J = 12.1 Hz), 2.83-3.02 (3H, m), 3.09-3.33 (4H, m), 6.71 (1H, t, J = 55.0 Hz), 7.41-7.50 (1H, m), 7.53 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.86-7.96 (1H, m).
参考例15
N−(2−{4−[(6E)−6−ヒドラジニリデン−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキサミド
Figure 2020023570
実施例32の化合物(300 mg)の1,4−ジオキサン溶液(2.0 mL)に、50−60%ヒドラジン水溶液(2.9 mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、ジクロロメタン(10 mL)を加え、飽和食塩水(10 mL×2回)で洗浄後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で分離精製し、表題化合物(270 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.63-1.90 (6H, m), 1.90-2.00 (2H, m), 2.14 (2H, td, J =11.7, 2.6 Hz), 2.39 (1H, tt, J = 10.4, 5.3 Hz), 2.47-2.65 (3H, m), 2.91-3.06 (2H, m), 3.28-3.52 (4H, m), 4.05 (2H, td, J = 11.5, 3.6 Hz), 5.74 (1H, s), 6.22 (1H, s), 6.52-6.62 (2H, m), 7.46 (1H, dd, J = 8.2, 7.4 Hz).
試験例1:ヒト型5−HT 1A 受容体およびヒト型D 受容体に対するアゴニスト活性評価
エクオリン、Gα16蛋白、各々の受容体を一過的にCHO−K1細胞(Chinese hamster ovary)に発現させた後に、384穴プレートに藩種し、COインキュベーター内で37℃にて24時間培養した。DMSOに溶解した各種化合物を添加し、発光量の変化をFDSS/μCELL創薬スクリーニング支援システム(浜松ホトニクス社製)で測定した。アゴニスト活性については、化合物を添加しないウェルの発光量を0%とし、10μmol/L内因性リガンドを添加したウェルの発光量を100%として、各種化合物の最大活性(Emax)を算出した。結果を下表に示す。
Figure 2020023570

Figure 2020023570
試験例2:ヒト型5−HT 1A 受容体、ヒト型D 受容体、およびヒト型D 受容体に対する結合活性評価
本発明化合物のヒト型5−HT1A受容体、ヒト型D受容体、およびヒト型D受容体に対する結合親和性を、以下の方法により測定した。
ヒト型5−HT1A受容体、ヒト型D受容体、およびヒト型D受容体を発現させたCHO細胞膜画分はパーキンエルマー社より購入した。結合評価試験においては、DMSOに溶解した被験化合物、緩衝液にて希釈した各種受容体膜標本、および5−HT1A受容体については[3H]8−OH−DPAT、D受容体については[3H]Dopamine、D受容体については[3H]Spiperone(以上、全てパーキンエルマー社製)を混合し、それぞれ室温にて30分もしくは60分インキュベーションした。受容体への非特異的結合は、それぞれ10μmol/L 8−OH−DPAT 10μmol/L Dopamine、10μmol/L Spiperoneの存在下での競合結合試験より求めた。液体シンチレーションカウンター(パーキンエルマー社製)を用いて受容体に結合した放射活性を測定した後、50%阻害濃度を算出し、飽和結合試験より算出した解離定数、および基質濃度からKi値を評価し、結合親和性として使用した。結果を下表に示す。
Figure 2020023570

Figure 2020023570
試験例3−1:ヒト肝ミクロソーム代謝安定性試験
本発明化合物のヒト肝ミクロソーム代謝安定性を、以下の方法により評価した。ヒト肝ミクロソームはXenontech社製を使用した。ヒト肝ミクロソーム、NADPH、被験物質を25mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)中で以下の濃度になるように混合し、37℃で30分間インキュベーションした。
・ヒト肝ミクロソーム:0.1mg/mL
・NAPDH:3.2mmol/L
・被験物質:0.1μmol/L
30分後のサンプル中の被験物質の残存率をLC-MSにて測定し、以下の式からヒト肝ミクロソーム代謝安定性を算出した。
ヒト肝ミクロソーム代謝安定性(mL/min/mg protein)=-LN(残存率)/反応時間/ヒト肝ミクロソーム濃度
結果を下表に示す。
Figure 2020023570

Figure 2020023570
試験例3−2:ヒト肝ミクロソーム代謝安定性試験
ヒト肝ミクロソーム代謝安定性をより正確に評価するため、適切なヒト肝ミクロソーム濃度にて本発明化合物のヒト肝ミクロソーム代謝安定性を、以下の方法により評価した。ヒト肝ミクロソームはXenontech社製を使用した。ヒト肝ミクロソーム、NADPH、被験物質を25mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)中で以下の濃度になるように混合し、37℃で30分間インキュベーションした。
・ヒト肝ミクロソーム:0.5または1.0mg/mL
・NAPDH:3.2mmol/L
・被験物質:0.1μmol/L
30分後のサンプル中の被験物質の残存率をLC-MSにて測定し、以下の式からヒト肝ミクロソーム代謝安定性を算出した。
ヒト肝ミクロソーム代謝安定性(mL/min/mg protein)=-LN(残存率)/反応時間/ヒト肝ミクロソーム濃度
結果を下表に示す。
Figure 2020023570
試験例4−1:ヒト半減期予測試験
本発明化合物のヒトにおける消失半減期を、以下の方法により予測した。
カニクイザルに対して、本発明化合物を0.01mol/L塩酸水溶液にて静脈投与し、投与後5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間で血液を採取した。採取した血液から血漿を得、LC-MSにて血漿中薬物濃度を測定し、この濃度推移からサル分布容積を算出した。
本発明化合物のヒト及びサルの血清中非結合形分率を、平衡透析法を用いて測定した。
サル分布容積、ヒト及びサルの血清中非結合形分率、試験例3−1により得たヒト肝ミクロソーム代謝安定性の結果を用いてヒトにおける半減期を以下の式に当てはめることにより算出した。
・ヒト分布容積=サル分布容積×ヒト血清中非結合形分率/サル血清中非結合形分率
・ヒト肝クリアランス=
(ヒト肝血流量×ヒト血清中非結合形分率×56.7×ヒト肝ミクロソーム代謝安定性)/(ヒト肝血流量+ヒト血清中非結合形分率×56.7×ヒト肝ミロソーム代謝安定性)
・ヒト半減期=0.693×ヒト分布容積/ヒト肝クリアランス
結果を下表に示す。
Figure 2020023570
試験例4−2:ヒト半減期予測試験
本発明化合物のヒトにおける消失半減期を、より正確に見積もるため試験例3−2で得られたヒト肝ミクロソーム代謝安定性の結果を用いて以下の方法により予測した。
カニクイザルに対して、本発明化合物を0.01mol/L塩酸水溶液にて静脈投与し、投与後5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間で血液を採取した。採取した血液から血漿を得、LC-MSにて血漿中薬物濃度を測定し、この濃度推移からサル分布容積を算出した。
本発明化合物のヒト及びサルの血清中非結合形分率を、平衡透析法を用いて測定した。
サル分布容積、ヒト及びサルの血清中非結合形分率、試験例3−2により得たヒト肝ミクロソーム代謝安定性の結果を用いてヒトにおける半減期を以下の式に当てはめることにより算出した。
・ヒト分布容積=サル分布容積×ヒト血清中非結合形分率/サル血清中非結合形分率
・ヒト肝クリアランス=
(ヒト肝血流量×ヒト血清中非結合形分率×56.7×ヒト肝ミクロソーム代謝安定性)/(ヒト肝血流量+ヒト血清中非結合形分率×56.7×ヒト肝ミロソーム代謝安定性)
・ヒト半減期=0.693×ヒト分布容積/ヒト肝クリアランス
結果を下表に示す。
Figure 2020023570
試験例5−1:hERGチャネル阻害活性の評価
本発明化合物のhERGチャネル阻害作用を、ヒト急速活性型遅延整流カリウム電流(IKr)に関与するhERGチャネルを強制発現させたCHO細胞を用い、オートパッチクランプシステムを用いたホールセルパッチクランプ法により測定した。
(細胞懸濁液の調製)
ChanTest社より購入したhERG−CHO細胞を、COインキュベータ内で37℃で培養し、hERG電流測定直前にトリプシンを用いてフラスコから剥離し、細胞懸濁液を調製した。
(溶液調製)
測定に使用する細胞外液、細胞内液を以下の通り調製した。
細胞外液:2mmol/L CaCl、1mmol/L MgCl、10mmol/L HEPES、4mmol/L KCl、145mmol/L NaCl、10mmol/L Glucose
細胞内液:5.4mmol/L CaCl、1.8mmol/L MgCl、10mmol/L HEPES、31mmol/L KOH、10mmol/L EGTA、120mmol/L KCl、4mmol/L Na−ATP
被験物質溶液:被験物質を2mmol/Lもしくは20mmol/LとなるようにDMSOに溶解し、被験物質溶液を調製した。さらに被験物質溶液は細胞外液で200倍希釈し、それを細胞外液で段階希釈することによりhERG阻害IC50値の算出に必要な各濃度の被験物質溶液を調製し、適用した。
(電流値測定およびデータ解析)
オートパッチクランプシステムに、細胞懸濁液、細胞外液、細胞内液、および測定用プレートを設置し、ホールセルパッチクランプ法によるhERG電流測定を実施した。電圧プロトコールは、保持電位を−80mVとし、脱分極パルスを−50mVから+20mVで5秒間加えた後、再分極パルスを−50mVで5秒間加え、保持電位に戻した。各パルス間隔は15秒とした。データ解析には、Qpatchシステム用Assayソフトウェア(Biolin Scientific社製)を使用した。各被験物質ごとに4濃度を漸増的に適用し、各適用濃度の最終3回の刺激で得られる最大外向き電流(Tail peak current)の平均値を評価データとした。また、適用前値に対する各被験物質の各濃度における電流の阻害率から、当該ソフトウェアを用いてヒルの式(Hill equation)によりIC50値を算出した。
結果を下表に示す。
Figure 2020023570
試験例5−2:hERGチャネル阻害活性の評価
本発明化合物のhERGチャネル阻害作用を、ヒト急速活性型遅延整流カリウム電流(IKr)に関与するhERGチャネルを強制発現させたCHO細胞を用い、オートパッチクランプシステムを用いたホールセルパッチクランプ法により測定した。
(細胞懸濁液の調製)
ChanTest社より購入したhERG−CHO細胞を、COインキュベータ内で37℃で培養し、hERG電流測定直前にトリプシンを用いてフラスコから剥離し、細胞懸濁液を調製した。
(溶液調製)
測定に使用する細胞外液、細胞内液を以下の通り調製した。
細胞外液:2mmol/L CaCl、1mmol/L MgCl、10mmol/L HEPES、4mmol/L KCl、145mmol/L NaCl、10mmol/L Glucose
細胞内液:10mmol/L HEPES、10mmol/L EGTA、20mmol/L KCl、130mmol/L KF
被験物質溶液:被験物質を2mmol/Lもしくは20mmol/LとなるようにDMSOに溶解し、被験物質溶液を調製した。さらに被験物質溶液は細胞外液で200倍希釈し、それを細胞外液で段階希釈することによりhERG阻害IC50値の算出に必要な各濃度の被験物質溶液を調製し、適用した。
(電流値測定およびデータ解析)
オートパッチクランプシステムに、細胞懸濁液、細胞外液、細胞内液、および測定用プレートを設置し、ホールセルパッチクランプ法によるhERG電流測定を実施した。電圧プロトコールは、保持電位を−80mVとし、脱分極パルスを−50mVから+20mVで5秒間加えた後、再分極パルスを−50mVで5秒間加え、保持電位に戻した。各パルス間隔は15秒とした。データ解析には、Qube用解析ソフトウェア(Sophion Scientific社製)を使用した。各被験物質ごとに4濃度を漸増的に適用し、各適用濃度の最終3回の刺激で得られる最大外向き電流(Tail peak current)の平均値を評価データとした。また、適用前値に対する各被験物質の各濃度における電流の阻害率から、当該ソフトウェアを用いてヒルの式(Hill equation)によりIC50値を算出した。
結果を下表に示す。
Figure 2020023570
試験例6:文脈的恐怖条件付け試験
本発明化合物の抗不安作用は、以下の方法により評価した。
8週齢のSD系雄性ラットを用いた恐怖条件付け実験装置(小原医科産業株式会社)による評価を、2日間の試験スケジュールで実施した。試験1日目に0.5mAの電気ショックを非条件刺激として6分間に5回呈示し、条件刺激として呈示した文脈(ケージ内照度200lx)と恐怖刺激との関連性を学習させた。試験2日目にラットに対して本発明化合物を生理食塩水溶液にて皮下投与またはメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、投与後0.5時間後あるいは1時間後に、文脈内に非条件刺激を呈示しない条件下でラットを静かに入れた。5分間の自由行動中にラットが示したすくみ反応の時間とその割合を計測し、媒体投与群と本発明化合物投与群におけるすくみ反応率を比較し、統計学的処理を実施した。実施例1(15mg/kg投与)、実施例8(10mg/kg投与)、および実施例11(30mg/kg投与)の化合物を投与した群では溶媒投与群と比較して、それぞれ82.5%、41.0%、65.5%すくみ反応率の減少を示した(図1参照)。
試験例7:ガラス玉覆い隠し試験
本発明化合物の強迫性障害様行動に対する作用は、以下の方法により評価した。
プラスチックケージ内(床面積778cm)に450〜500gの紙製床敷を敷き詰め、その上にガラス製ビー玉20個を等間隔に配置した。5週齢のICR系雄性マウスに対して本発明化合物を生理食塩水溶液にて腹腔内投与した。投与後15分後にケージの隅に静かにマウスを入れ、ケージ内で15分間自由行動をさせた後、マウスをケージから取り出した。床敷の中に埋められたビー玉の数を計測し、媒体投与群と本発明化合物投与群においてその数を比較し、統計学的処理を実施した。実施例1(0.5mg/kg投与)、および実施例11(2mg/kg投与)の化合物投与群は溶媒投与群に対し、それぞれ44.8%、64.8%床敷の中に埋められたビー玉の数を減少させた(図2参照)。
また、代表的な選択的セロトニン取り込み阻害剤であるエスシタロプラムのみを単独で投与した場合と比較して、実施例1(0.3mg/kg投与)、および実施例11(1mg/kg投与)の化合物を併用投与した場合、埋められたビー玉の数を減少させる作用において有意な増強が認められた(43.8%、42.9%)(図3参照)。
試験例8:強制水泳試験
本発明化合物の抗うつ作用は、以下の方法により評価した。
8週齢のWistar系雄性ラットを使用し、4日間の試験スケジュールで実施した。試験1日目に水泳訓練として、水温25℃の水道水5.8Lを満たした透明プラスチック製水槽にラットをいれて15分間泳がせた。水泳訓練終了後、速やかに動物に付着している水滴を拭い取ってホームケージにもどし、訓練終了15分後に本発明化合物もしくは陽性対照化合物をメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与した。訓練翌日および翌々日には1日1回本発明化合物もしくは陽性対照化合物をメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、4日目に水泳試験を実施した。水泳試験当日は、試験開始1時間前に本発明化合物もしくは陽性対照化合物をメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、前述の水槽にて5分間水泳させて実施した。各個体の水泳行動を水槽の側面からビデオ撮影し、無動時間をストップウォッチで計測した。なお、無動とは、動物が水槽中で前肢および胴体を動かさずに浮遊している状態とし、動物が浮遊姿勢を保つために必要とする僅かな動作も無動に含むものと判定した。無動を示した時間の累積値を、その個体の無動時間とした。媒体投与群と本発明化合物投与群における無動時間を比較し、統計学的処理を実施した。実施例1(5mg/kg投与)、および実施例11(10mg/kg投与)の化合物投与群は溶媒投与群に対し、それぞれ74.7%、59.2%無動時間の減少を示した(図4参照)。
試験例9:マイクロダイアリシス試験
本発明化合物の脳内モノアミン遊離量は以下の方法により評価した。
8週齢のWistar系雄性ラットを使用し、麻酔下で脳定位固定装置に固定した。頭皮を切開し皮下組織を取り除き、ブレグマの位置を測定してガイドカニューレ設置位置(Paxinos & Watosonの頭脳譜に従って眼窩前頭皮質の位置(bregma寄り右側方に2.0 mm、前方に4.2 mm))を算出した。ガイドカニューレ設置位置に歯科用ドリルで穴をあけ、約1cm後方にアンカービスを設置した。ガイドカニューレを設置し、歯科用セメントで固定した後、頭皮を縫合し、動物を脳定位固定装置から外し、飼育ケージに戻した。測定時はアクリル製観察ケージにラットを入れ、透析プローブをガイドカニューレに沿って挿入し、フリームービングチューブに繋いだ。インフュージョンポンプを用いて、リンゲル液を2μL/minの速度で灌流し、透析液を20分毎に回収した。回収開始後、3サンプルを回収した後に本発明化合物をメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、投与後180分(9サンプル)まで透析液を回収した。回収した透析液は、HPLC−ECDシステムを用いてノルエピネフリン(NE)、ドパミン(DA)及びセロトニン(5−HT)含量を測定した。実施例11(10mg/kg投与)の化合物投与群は溶媒投与群と比較して透析液中のセロトニン含量の減少(20.6%)、ノルエピネフリン、ドパミン含量の増加(18.3%、12.4%)が認められた。また、セルトラリンを単独投与した場合と比較し、実施例11(10mg/kg投与)を併用投与した場合、透析液中の有意なノルエピネフリン及びドパミン含量の増加(100%、119%)が認められた(図5参照)。
セロトニン5−HT1Aアゴニストは、単回投与ではセロトニン含量が減少することが知られている。一方、反復投与により自己受容体の感受性が低下することで、セロトニン放出の抑制が解除され、抗うつ作用を発揮すると考えられている(Neuroscience. 1999, 93(4): 1251-1262, Neurochem Int. 2002, 40(4): 355-360)。実施例11はセルトラリンとの併用において、単回投与でもセロトニンは減少しなかった。この点は他のセロトニン5−HT1Aアゴニストとは大きく異なり、セルトラリンとの併用による早期からの抗うつ作用の増強が期待される。
本発明化合物は、セロトニン5−HT1A受容体およびドパミンD受容体の双方に対してアゴニスト活性を示すことから、不安関連障害の症状の治療剤として有用である。

Claims (10)

  1. 式(1):
    Figure 2020023570
    [式中、Rは、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、または置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基を表し;
    は、ハロゲン原子、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ、または同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノを表し;
    破線を含む結合は、単結合または二重結合を表す]で表される化合物(但し、Rがジフルオロシクロヘキシルまたはテトラヒドロピラニルであり、Rが1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルであり、破線が単結合である化合物を除く)またはその製薬学的に許容される塩。
  2. が、
    (1)ハロゲン原子、ヒドロキシ、C3−7シクロアルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、
    (2)ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルコキシ、および同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、または
    (3)ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルコキシ、および同種または異種の1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいアミノからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよい5員〜10員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  3. が、
    (1)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、または
    (2)ハロゲン原子、および同種または異種の1〜3個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシで置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜4個の基で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、請求項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  4. が、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいC3−7シクロアルキル、または1〜4個のフッ素で置換されていてもよい5員もしくは6員の飽和または部分不飽和のヘテロ環基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  5. が、1〜4個のフッ素で置換されていてもよいシクロヘキシル、あるいはテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、またはジヒドロフリルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  6. が、ジフルオロシクロヘキシル、またはテトラヒドロピラニルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  7. が、ハロゲン原子、または同種もしくは異種の1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  8. が、1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  9. 破線を含む結合が単結合である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  10. 請求項1に記載の以下の化合物またはその製薬学的に許容される塩:
    2,2−ジメチル−N−(2−{4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−イル}エチル)プロパンアミド。
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