JP2020021855A - 撮像素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長域の選択性に優れて2以上の波長域の光の情報を波長域毎に独立して取得可能であり、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好な撮像素子を提供する。【解決手段】撮像素子10は、Si基板70に形成されたトランジスタ71と埋込フォトダイオード72を備えるCMOSイメージセンサである第2撮像素子12の上に、高温プロセスで形成されたTFTを有する読出回路21と有機光電変換膜61とを順に積層した第1撮像素子11を備え、さらに第1撮像素子11と第2撮像素子12の間に、フォトニック結晶構造を有するカラーフィルタアレイ80を備える。光の入射側の第1撮像素子11が近赤外線画像を取得し、第2撮像素子12がカラー画像を取得する。【選択図】図2

Description

本発明は、撮像素子およびその製造方法に関する。
カラー撮像素子のように、複数の波長域の光の情報を波長域毎に取得する撮像素子(イメージセンサ)には、単板式と3板式が存在する。3板式は、レンズを通してカメラに入射された光を色分解プリズムで赤(R)、緑(G)、青(B)の単色光に分解して、各色の光を別々の撮像素子に入射させる。3板式は、高解像度と高感度が要求されるテレビジョン(TV)カメラ等に採用されるが、3枚の撮像素子が色分解プリズムの各色の光の取出し面に配置されるため、カメラ等の小型化、軽量化が困難である。これに対して、単板式は、赤、緑、青の各色の光を透過する微小なカラーフィルタを1枚の固体撮像素子上にモザイク状に配列して備え、カラーフィルタ毎に透過した光を電気信号に変換する。単板式は、撮像素子が1枚で足りるので、比較的小型であり、民生用のビデオカメラやデジタルカメラ等に主に採用される。
単板式のカラー撮像素子用の固体撮像素子(以下、撮像素子)は、可視〜赤外領域を含む広い分光感度を有するシリコン(Si)を光電変換材料に適用し、Si基板に埋込みフォトダイオードとして、電気信号の読出回路のトランジスタと共に形成される(例えば、特許文献1,2)。また、可視領域全体に分光感度を有し、かつSiよりも光電変換効率の高い光電変換材料として、結晶セレン(c−Se)(例えば、非特許文献1)や、組成CuIn1-xGax(Se1-yy)のカルコパイライト構造の化合物半導体(CIGS)(例えば、特許文献3,4)が開発されている。これらの材料からなる光電変換膜を対向電極と画素毎に区画された画素電極とで挟み、画素電極を読出回路に接続して撮像素子が構成される。
さらに、防犯や防災といったセキュリティ用途、工場での品質検査等のマシンビジョン用途、自動運転等の車載用途等に向けて、可視光と同時に近赤外線(NIR)の情報も取得するシステムが要求されている。そこで、前記のSiフォトダイオードを有する単板式のカラー撮像素子において、カラーフィルタに近赤外線を透過するものを追加して、赤外線画像の撮像を可能としたカラー撮像素子が開発されている(例えば、特許文献5、非特許文献2)。なお、カラーフィルタは、各色の顔料等を含有する有機材料で、フォトリソグラフィ等によってパターニングされて形成される(例えば、特許文献5)。また、近年、耐久性に優れた無機材料からなり、より狭い波長域の光を選別することができるフォトニック結晶構造による光学フィルタが開発されている(例えば、非特許文献3)。
また、固有の波長域の光を吸収して電荷に変換し、それ以外の光を透過する光電変換膜を、複数種類積層した撮像素子が開発されている(例えば、特許文献6,7)。さらに、可視光に感度を有する光電変換膜と近赤外線に感度を有する光電変換膜とを積層した二層膜を備え、この二層膜をまとめて挟む画素電極と対向電極から印加される電圧の大きさを切り替えることにより、共通の読出回路でカラー(可視光)画像と赤外線画像の撮像を可能とする撮像素子が開発されている(例えば、非特許文献4)。
特許第3759435号公報 特開2015−56518号公報 特開2017−10999号公報 特開2018−56589号公報 特開2017−139286号公報 特開2002−217174号公報 特許第5572108号公報
為村成亨,他,"結晶セレンヘテロ接合ダイオードを積層した高感度イメージセンサ" ,映像情報メディア学会技術報告,Vol. 39,No. 16,IST2015-17,p. 29-32,2015年3月 Hayato Teranaka, Yusuke Monno, Masayuki Tanaka, Masatoshi Okutomi, "Single-Sensor RGB and NIR Image Acquisition: Toward Optimal Performance by Taking Account of CFA Pattern, Demosaicking, and Color Correction", Electronic Imaging, Digital Photography and Mobile Imaging XII, pp. 1-6(6), February 2016 Yuichi Inaba, Masahiro Kasano, Kohichi Tanaka, T. Yamaguchi, "Degradation-free MOS image sensor with photonic crystal color filter", IEEE Electron Device Letters, Volume 27, Number 6, pp 457-459, October 2006 町田真一,他,"有機薄膜の積層構造を用いたイメージセンサの近赤外感度可変技術" ,映像情報メディア学会技術報告,Vol. 41,No. 10,IST2017-19,p. 43-46,2017年3月
しかしながら、特許文献5および非特許文献2に記載された撮像素子は、赤外線の撮像領域が1/4の面積であるので感度が低く、撮像素子と共にデジタルカメラ等のシステムに搭載される近赤外光源の光の強度を高くする必要がある。また、カラー撮像素子のカラーフィルタは、視感度の高い緑色光を多く受光するように、2×2に配列した4画素を一組として対角上の2画素を緑色に、残りを赤色と青色に1画素ずつ割り当てたベイヤー配列が一般的である。ところが、近赤外線用のカラーフィルタを追加すると、各色1画素ずつとなって緑色の受光領域が赤色、青色と同面積になるので、カラー画像の見かけ上の解像度が低くなる。
非特許文献4に記載された撮像素子は、小さな電圧で可視光の情報のみを、大きな電圧で可視光および赤外線の両方の情報を取得するので、可視光のカラー画像を撮像するために大きな電圧を印加することができず、感度を高くすることができない。また、可視光が照射されている昼間等には赤外線画像のみを撮像することができない。光を透過するように薄膜トランジスタ(TFT)で形成された読出回路を、光電変換膜毎に備える垂直色分離型のカラー撮像素子も開発されているが(例えば、特許文献6,7)、薄膜トランジスタが室温等、150℃程度以下の低温で成膜可能な半導体材料に限られる。これは、色(波長域)選択性および光電変換効率に優れた光電変換膜が熱に弱い有機材料からなるものが多く、その耐熱温度よりも高温での処理ができないことによる。このような低温で形成された薄膜トランジスタは、300〜400℃程度で成膜された半導体材料で構成されるものと比較して電子移動度が低く、読出回路が高い読出し特性を得られない。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、波長域の選択性に優れて2以上の波長域の光の情報を波長域毎に独立して取得可能とし、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好な撮像素子を提供することを課題とする。
本発明に係る撮像素子は、1以上の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ1以上の波長域の光を透過させる第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第1の読出回路と、前記第1の光電変換層を透過した1以上の波長域の光を吸収して電荷に変換する第2の光電変換層と、を上から順に備え、さらに前記第2の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第2の読出回路を前記第1の読出回路よりも下方に備え、複数の波長域を含む光を上から入射されるものである。そして、前記第1の光電変換層が、耐熱温度が300℃未満の材料を含有し、両面を透明電極膜で挟まれ、前記第1の読出回路が薄膜トランジスタを備え、前記第2の光電変換層が耐熱温度300℃以上の材料からなる構成とする。
かかる構成により、撮像素子は、光の入射方向に2層の光電変換層を備えて、それぞれで異なる波長域の光を変換させるので、複数の波長域の光のそれぞれについて受光面積が小さくならず、感度および解像度が低いものとならない。そして、光の入射側の第1の光電変換層が、耐熱性の低い有機材料等を含有することによって光電変換効率や選択性の高いものとすることができ、入射した光から特定の波長域の光を選択的に吸収しかつ高効率で変換しつつ、前記波長域外の光を多く透過して、第2の光電変換層において感度を高いものとする。また、第2の光電変換層が耐熱性の高い材料を適用されることによって、その上の第1の読出回路を、下の第2の読出回路と同様に高温プロセスで形成された読出し特性の高いものとすることができる。
本発明に係る撮像素子の製造方法は、1以上の波長域の光を前記波長域毎に電気信号に変換して出力する下部撮像手段を形成する下部撮像手段形成工程と、前記下部撮像手段上に、前記1以上の波長域と異なる1以上の波長域の光を電気信号に変換して出力する上部撮像手段を形成する上部撮像手段形成工程と、を行う。そして、前記下部撮像手段形成工程は、光電変換層およびトランジスタを形成し、前記上部撮像手段形成工程は、薄膜トランジスタを形成する工程と、透明電極膜を所定の領域に形成する画素電極形成工程と、前記透明電極膜が形成された側に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、前記光電変換層に透明電極膜を積層する対向電極成膜工程と、を行い、さらに前記光電変換層形成工程よりも前に熱処理を行う手順とする。
かかる手順により、煩雑な工程によらずに、上下2つの読出回路を共に高温で形成し、かつ上部撮像手段の光電変換層を耐熱性の低い材料で形成することができる。
本発明に係る撮像素子によれば、波長域の選択性に優れて2以上の波長域の光の情報を波長域毎に独立して取得可能であり、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好な撮像素子が得られる。本発明に係る撮像素子の製造方法によれば、前記撮像素子を簡易に製造することができる。
本発明に係る撮像素子の概念を説明する分解図である。 本発明の第1実施形態に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 本発明の第1実施形態に係る撮像素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係る撮像素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態の変形例に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る撮像素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態の変形例に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第4実施形態に係る撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第4実施形態に係る撮像素子の製造方法を説明するフローチャートである。
本発明に係る撮像素子およびその製造方法を実施するための形態について、図を参照して説明する。図面に示す撮像素子およびその要素は、説明を明確にするために、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。
〔第1実施形態〕
カラー画像を撮像することが可能な撮像素子は、入射する光に含まれる青色光LB(ピーク波長λB=450nm)、緑色光LG(ピーク波長λG=500〜540nm)、赤色光LR(ピーク波長λR=650nm)を、それぞれ個別に電気信号に変換して出力し、さらに近赤外線画像を撮像するためには、入射する光に含まれる近赤外線LIR(波長750〜900nm)を、光LB,LG,LRとは別に電気信号に変換して出力する。そのために、本発明の第1実施形態に係る撮像素子10は、図1に示すように、上から順に、マイクロレンズ9を画素毎に配列したマイクロレンズアレイ(MLA)90と、画素毎に近赤外線LIRを電気信号に変換して出力する第1撮像素子11と、カラーフィルタ8r,8g,8g,8bを画素に合わせてかつ周期的に配列したカラーフィルタアレイ(CFA)80と、画素毎に光LB,LG,LRの1つを電気信号に変換して出力する第2撮像素子12と、を備える。
第1撮像素子11および第2撮像素子12はそれぞれ、構造上の最小単位である画素が二次元配列されている。第1撮像素子11は、近赤外線画像の撮像素子であり、また、平面視で各画素の少なくとも一部の領域において、可視光(光LB,LG,LR)を透過するように構成される。そのために、第1撮像素子11は、近赤外線LIRを吸収して電荷に変換し、かつ光LB,LG,LRを透過する第1の光電変換層61と、その下に、第1の光電変換層61が変換した電荷を電気信号として出力する第1の読出回路21を備える。第2撮像素子12は、カラーフィルタアレイ80と併せて単板式カラー撮像素子を構成し、そのために、光LB,LG,LRを含む波長域の光を吸収して電荷に変換する第2の光電変換層72、および第2の光電変換層72が変換した電荷を電気信号として出力する第2の読出回路22を備える。読出回路21,22はそれぞれ、画素の配列方向に延設した信号線を備え、水平信号線は外部の垂直走査回路に、垂直信号線は外部の水平走査回路に、それぞれ接続される(図示省略)。図1では簡潔に表すために、水平方向と垂直方向に1本ずつの信号線SL,OLを示すが、後記するように、読出回路21,22の構成に応じて信号線が増加する。
このような撮像素子10に入射した光(可視〜近赤外領域を含む光)は、マイクロレンズ9によって画素の中心へ集光されながら下方へ進行する。なお、図1においては、この光を、光LB,LG,LR,LIRをそれぞれ表した矢印の束で示す。そして、第1撮像素子11に入射した光のうち、近赤外線LIRが第1の光電変換層61で吸収されて電荷に変換され、画素毎に第1の読出回路21で電気信号として読出線OLに出力し、その他の光、すなわち可視光は透過する。そして、カラーフィルタアレイ80において、カラーフィルタ8rで赤色光LR以外の可視光が、カラーフィルタ8gで緑色光LG以外の可視光が、カラーフィルタ8bで青色光LB以外の可視光が、それぞれ遮光され、その結果、画素毎に光LB,LG,LRの一つの色(波長域)の光が透過する。第2撮像素子12に入射した光LB,LG,LRは、第2の光電変換層72で吸収されて電荷に変換される。第2撮像素子12において、光LB,LG,LRは、画素毎に一色(1波長域)ずつ入射するので、画素毎に第2の読出回路22でそれぞれ個別の電気信号として読出線OLに出力する。
本実施形態に係る撮像素子10の詳細な構造を、図2を参照して説明する。第1撮像素子11は、上下面を対向電極52と画素電極51とに挟まれた有機光電変換膜(第1の光電変換層)61、第1回路層(第1の読出回路)21、および対向電極52を被覆する保護膜46を備える。第2撮像素子12は、裏面照射型CMOSイメージセンサ(例えば、特許文献1,2)であり、フォトダイオード(第2の光電変換層)72、およびフォトダイオード72が形成されたSi基板70とその下に形成された配線33とからなる第2回路部(第2の読出回路)22を備え、さらに、Si基板70の下に配線33間を絶縁する絶縁層41を備える。また、第2撮像素子12の上(Si基板70の上)にカラーフィルタアレイ80を備え、さらにその上に層間膜42を備える。すなわち、撮像素子10は、上から順に、マイクロレンズアレイ90、保護膜46、対向電極52、有機光電変換膜61、画素電極51、第1回路層21、層間膜42、カラーフィルタアレイ80、Si基板70、配線33および絶縁層41を備える。なお、図2に、撮像素子10の画素間の境界を一点鎖線で表す。
撮像素子10は、有機光電変換膜61の上面(光の入射側の面、受光面)からフォトダイオード72の受光面までの距離(厚さ方向長)が短いことが好ましい。前記距離が短いほど、有機光電変換膜61およびフォトダイオード72の両方において、入射光の焦点のずれが抑制される。具体的には、有機光電変換膜61の上面からフォトダイオード72の受光面までの距離(以下、受光面差)が10μm以下であることが好ましい。フォトダイオード72の受光面は、Si基板70の上面から所定深さの位置であり、受光する波長域によって異なる。また、撮像素子10は、マイクロレンズアレイ90からフォトダイオード72の受光面までの距離が短いことが好ましい。そのため、第1撮像素子11およびカラーフィルタアレイ80については、全体の厚さが厚過ぎないように、各要素について、必要かつ過剰とならない膜厚に設計されることが好ましい。
第1撮像素子11は、1画素が、例えば図3または図4に示す等価回路図で表される。第1撮像素子11は、厚さを抑制し、かつ、少なくとも一部の領域で可視光(光LB,LG,LR)を透過するように、第1回路層21が薄膜トランジスタ(TFT)構造を有する。一方、第2撮像素子12は、1画素が、例えば図5に示す等価回路図で表される。第2撮像素子12は、光を透過する必要がなく、また、フォトダイオード72と同じくSi基板70に第2回路部22を形成するために、第2回路部22がMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を備える。
図3は、フォトダイオードPDおよび選択トランジスタT1を備える最も簡易な構成の画素を示す。フォトダイオードPDは、第1撮像素子11における一対の電極51,52に挟まれた1画素分の有機光電変換膜61である。そして、電極51,52は、フォトダイオードPDの端子である。そして、フォトダイオードPDの画素電極51に接続する側が選択トランジスタT1のソースまたはドレインに接続される。フォトダイオードPDは、逆バイアスに接続されてコンデンサとして機能し、受光により電荷を蓄積する。図3では、アノードが選択トランジスタT1に接続され、カソードが共通の外部の電源PSに接続されている。前記したように、画素選択線SLは外部の垂直走査回路に、読出線OLは外部の水平走査回路に、それぞれ接続される。垂直走査回路によって画素選択線SLで選択トランジスタT1が選択されると、蓄積した電荷が選択トランジスタT1を経由して読出線OLに電気信号として出力される。
図4は、3つのトランジスタT1,T2,T3を備える1画素3T型のイメージセンサの画素を示し、選択トランジスタT1には増幅トランジスタT2が接続され、フォトダイオードPDが増幅トランジスタT2のゲートに接続されている。このような構成により、ドレイン電源VDDから増幅トランジスタT2と選択トランジスタT1を経由して、フォトダイオードPDの電気信号が電圧として出力される。リセットトランジスタT3は、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を、リセット選択線RLで選択されたときに初期化する。なお、リセット電源VRSTはドレイン電源VDDと共通でもよい。
図5は、4つのトランジスタT1,T2,T3,T4を備える1画素4T型の、埋込みフォトダイオードを備える相補型金属−酸化物半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:CMOS)イメージセンサの画素の一例を示し、フォトダイオードPDは、第2撮像素子12におけるフォトダイオード72である。第2撮像素子12は、図4に示す1画素3T型の第1撮像素子11のフォトダイオードPDと増幅トランジスタT2のゲートとの間に、転送トランジスタT4を挿入し、フォトダイオードPDのアノードとカソードを入れ替えてアノードをGNDに接続した構成である。転送トランジスタT4は、フォトダイオードPDの浮遊拡散層(FD)に蓄積された電荷を、転送選択線TLで選択されたときに完全に転送し、これによって残留電荷による残像とノイズの発生をなくす。なお、第1撮像素子11についても、1画素4T型の画素としてもよく、この場合、図4のフォトダイオードPDと増幅トランジスタT2のゲートとの間に転送トランジスタT4を挿入する。
以下、撮像素子10の各要素について詳細に説明する。
(有機光電変換膜)
有機光電変換膜61は、固有の波長域の光に感度を有してこれを吸収して電荷に変換し、その余の光を透過させる有機材料からなる。本実施形態に係る撮像素子10においては第1撮像素子11が近赤外線画像を撮像するために、有機光電変換膜61は、近赤外線LIRに感度を有し、可視光(光LB,LG,LR)を透過させる有機材料が適用される。このような有機材料としては、フェニレンビニレン誘導体、スクエアリリウム誘導体、ポリメチン誘導体、ナフトキノン誘導体等が挙げられる。光の入射側の第1撮像素子11に光電変換層としてこのような材料を適用することにより、第2撮像素子12が可視光を受光することができる。有機光電変換膜61は、膜厚が50nm以上であることが好ましく、光吸収極大波長での吸収率が90%以上、すなわち吸光度A(A=−log(I/I0)、(I/I0:透過率))が1.0以上であることが好ましい。一方で、第1撮像素子11の全体の厚さが厚過ぎないことが好ましいので、有機光電変換膜61の膜厚が1μm以下であることが好ましい。
有機光電変換膜61は、暗電流(光が入射されていない時に出力される電流)の低減や当該有機光電変換膜61の量子効率向上のために、電子輸送材料、正孔輸送材料、電子注入阻止(電子ブロッキング)材料、正孔注入阻止(正孔ブロッキング)材料等を、前記有機材料(有機光電変換材料)に混合または積層して備えてもよい。電子注入阻止材料としては、トリフェニルアミン系化合物、スチリルアミン系化合物、カルバゾール系化合物等が挙げられ、正孔注入阻止材料としては、フェナンスロリン系化合物、アルミニウムキノリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等が挙げられ、一般に有機デバイスで扱われている材料を適用することができる。電子注入阻止材料、正孔注入阻止材料についてはさらに、酸化ガリウム、酸化ニッケル等の無機材料を用いることもできる。これらの材料を備える場合、有機光電変換層の片面に電子注入阻止層または正孔注入阻止層を、あるいは上下から挟むように電子注入阻止層と正孔注入阻止層をそれぞれの面に積層することが好ましい。
(画素電極、対向電極)
画素電極51と対向電極52は有機光電変換膜61の両面に接続される一対の電極である。画素電極51は、撮像素子10の画素毎に区画、離間したパターンに形成され、第1回路層21のトランジスタ(図3のトランジスタT1、図4のトランジスタT3)に電気的に接続する。対向電極52は、全面に形成され、外部の電源やGNDに接続する。画素電極51および対向電極52は、必要な導電性が得られる膜厚以上に形成され、具体的には、それぞれの膜厚が1〜100nmであることが好ましい。
画素電極51は、第2撮像素子12に光LB,LG,LRを到達させるために、可視光の透過率の高い透明電極材料で形成される。透明電極材料としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等が挙げられ、また、これらの膜を2種類以上積層してもよい。対向電極52は、画素電極51と同様に、前記の透明電極材料で形成することができ、光LB,LG,LRを透過させると共に、有機光電変換膜61に近赤外線LIRを到達させるために、可視〜近赤外領域の光の透過率の高い透明電極材料で形成される。また、対向電極52は、有機光電変換膜61の上に成膜されるため、無加熱(室温等)成膜でも比較的良好な導電性が得られるITO,IZO等が好適である。また、対向電極52は、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系に代表される導電性高分子を用いることもできる。
有機光電変換膜61と対向電極52の間にバッファ層を備えてもよい(図示せず)。バッファ層が設けられていることによって、対向電極52が成膜される際に、有機光電変換膜61へのダメージを低減することができる。バッファ層は、膜厚が10〜500nmであることが好ましい。バッファ層としては、ジピラジノ[2,3−f:2',3'−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)や、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)等を適用することができる。
(第1回路層)
第1回路層21は、TFT構造を有し、一例として図2に示すように、半導体層2と、ゲート絶縁膜43と、絶縁膜44と、ゲート電極31と、ソース・ドレイン電極32と、水平信号線(図3および図4に示す画素選択線SL、リセット選択線RL)および垂直信号線(図3および図4に示す読出線OL、VDD電源配線、VRST電源配線)と、保護膜45と、を備える。第1回路層21は、これらの各要素について、後記製造方法で説明するように、材料を成膜し、エッチングでパターニングして形成される。第1回路層21は、画素毎に少なくとも一部の領域が光LB,LG,LRを透過する構造とし、より高い面積率でこれらの光を透過することが好ましい。また、第1回路層21は、厚さが最大1μm以下であることが好ましい。そのために、保護膜45等は、必要な絶縁性等を確保できる程度の膜厚として、過剰に厚く形成しないことが好ましい。なお、図2、および後記のその他断面図においては、第1撮像素子11は、半導体層2等を有するTFT構造を形成された部分の断面を示す。
半導体層2は、TFTに適用される半導体材料を適用することができ、高い電子移動度を有する材料が好ましい。半導体層2の電子移動度は、5cm2/V・s以上が好ましく、10cm2/V・s以上がさらに好ましい。半導体層2は、材料等によるが、成膜温度やアニール温度が300〜450℃程度でこのような高い電子移動度を示すものが形成される。また、半導体層2は、第2撮像素子12(Si基板70、配線33)の耐熱温度以下で形成される材料を適用する。具体的には、配線33の材料等によるが、半導体層2は、成膜温度またはアニール温度が400℃以上で形成されるものが好ましく、より好ましくは350℃以上で、さらに好ましくは300℃以上である。また、半導体層2は、可視光(光LR,LG,LB)を吸収して半導体のスイッチング応答が変化することを防止するために、3.0eV以上のバンドギャップを有する材料が好ましく、透明度の高い材料が好ましい。このような半導体材料として、酸化亜鉛(ZnO)やアモルファス酸化物半導体(インジウム・ガリウム・酸化亜鉛:InGaZnO4)等が挙げられる。
ゲート電極31、ソース・ドレイン電極32、ならびに水平信号線および垂直信号線は、Al,Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Fe,Co,Ni,Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Ta,Ru等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料やC(炭素)等で形成することができる。これらの電極31,32や信号線等は、必要な導電性を確保できる程度に幅を小さく設計したり、画素の中央を避けて境界近傍や四隅に配置する等の光を多く遮らない形状、レイアウトとすることが好ましい。あるいは、電極31,32および信号線は、一部または全部を前記の画素電極51と同様の透明電極材料で形成することもできる。電極31,32等を、光を遮らない透明電極材料で形成することにより、第1回路層21は、レイアウトを自由に設計することができる。ただし、ITOは、大気中等の酸化雰囲気で300℃を超えると、導電性が低下する。そのため、特に半導体層2の前に形成されるゲート電極31および水平信号線は、金属電極材料か、透明電極材料の中でも耐熱性に優れたSnO2,FTO等を適用することが好ましい。
ゲート絶縁膜43は、ゲート電極31を被覆して半導体層2との間に形成される。絶縁膜44は、チャネル保護膜として半導体層2を被覆する。保護膜45は、第1回路層21の最上層に設けられる絶縁膜であり、第1回路層21とその上の画素電極51とを電気的に接続するために、所定の領域にコンタクトホールが形成されている。ゲート絶縁膜43、絶縁膜44、および保護膜45は、TFTに適用される絶縁材料のうち、前記の半導体層2と同様、第2撮像素子12の耐熱温度以下で成膜される材料を適用することができる。具体的には、シリコン窒化物(Si34等、SiNと表す)、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン酸窒化物(SiON)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル、窒化アルミニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化亜鉛やアモルファス酸化物(インジウム・ガリウム・酸化亜鉛)等の無機材料が挙げられる。
(保護膜)
保護膜46は、第1撮像素子11の対向電極52を保護する絶縁膜であり、また、必要に応じて、当該保護膜46の表面を平坦な面とするための平坦化膜である。本実施形態に係る撮像素子10においては、有機光電変換膜61およびその上の対向電極52が均一な膜厚で形成されているため、第1回路層21および画素電極51の表面(有機光電変換膜61に対面する側の面)の凹凸が対向電極52の表面に持ち越されている。そのため、保護膜46は、この凹凸に対応して厚さが不均一に形成される。保護膜46は、有機光電変換膜61の対向電極52を挟んだ上に成膜されるため、対向電極52と同様、150℃以下の低温で成膜可能な、可視〜近赤外領域の光を透過する材料で形成される。具体的には、SiO2,SiN,Al23,TiO2等の無機材料が挙げられ、これらの材料を2種以上積層してもよい。あるいは、ポリシラン、ポリビニルカルバゾール、ポリイミド、ポリパラキシレンビニレン等の樹脂材料で形成することができる。保護膜46は、膜厚が0.1μm以上であることが好ましく、成膜後にCMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)法で表面を平滑に加工されて形成される場合には、最小で1μm以上であることが好ましい。一方で、マイクロレンズアレイ90から第2撮像素子12のフォトダイオード72までの距離を抑えるために、膜厚が最大で3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
(Si基板)
Si基板70は、第2回路部22のトランジスタT1,T2,T3,T4を構成するトランジスタ71、およびフォトダイオード72の材料であり、これらを形成するための土台である。本実施形態では、トランジスタ71がMOSFETで形成されるため、Si基板70は、単結晶シリコン基板を材料とすることが好ましく、ここでは、フォトダイオード72の構成に対応して、p型Si基板(p−sub)を適用する。また、第2撮像素子12が裏面照射型CMOSイメージセンサであることから、Si基板70は、下側(光の入射側の反対側)の表層にトランジスタ71が形成され、裏面からの研削により厚さが数μm〜数十μmに薄化され、研削された裏面が上に向けられている。
(フォトダイオード)
フォトダイオード72は、Si基板70に形成された埋込みフォトダイオード(Pinned Photodiode)である。Siは、可視〜赤外領域を含む広い分光感度を有するので、第2撮像素子12は、いずれの波長域の光(LB,LG,LR,LIR)も電荷に変換することができる。撮像素子10においては、近赤外線LIRが有機光電変換膜61に吸収されているので、フォトダイオード72は可視光(光LB,LG,LR)を入射されて受光する。可視光のうちSiに最も深く進入する赤色光LRを受光するために、フォトダイオード72は、Si基板70の上面(カラーフィルタアレイ80との界面)から少なくとも3μm程度の深さの領域に形成される。本実施形態では、p型のSi基板70において下から順に、n-エピタキシャル層(図中、「n−epi」)70n、p-エピタキシャル層(図中、「p−epi」)70pが積層されたnp二重エピタキシャル基板でフォトダイオード72が形成される。また、Si基板70は、n-エピタキシャル層70n内に、画素毎に当該画素を囲うようにpウェル(図中、「p−well」)71pが形成されている。フォトダイオード72はさらに、Si基板70の下側表層に、n-エピタキシャル層70nのpウェル71pに囲われた領域を覆うn+拡散層(図中、「n+」)72n、およびn+拡散層72nに積層されたp+拡散層(図中、「p+」)72pを備える。また、Si基板70のp+層(図中、「p−sub」)70sは、フォトダイオード72のアノードとして、GNDに接続されるため、撮像素子10の周縁部において、Si基板70の上面に接続する電極(図示省略)が形成されている。
(第2回路部)
トランジスタ71は、Si基板70に形成されたpウェル71p、pウェル71p内に形成されたn+拡散層(図中、「n+」)71n、およびSi基板70の下面に薄い酸化膜(ゲート酸化膜)を挟んで形成されたpoly−Si膜からなるゲート71gからなる。さらに、pウェル71p内には、pウェル71pをGND(0V)に電気的に接続するためのp+拡散層(図示省略)が形成されている。そして、ゲート71g、n+拡散層71n、およびp+拡散層には、配線33が接続される。なお、図2においては、第2回路部22の一部の、n型MOS(NMOS)からなるトランジスタを示す。p型MOS(PMOS)は、pウェル71p内にnウェル(n−well)を形成し、このnウェル内にさらにp+拡散層を形成して、トランジスタのソース、ドレインとする。
配線33は、トランジスタ71に接続するゲート電極およびソース・ドレイン電極、ならびに第2回路部22の水平信号線および垂直信号線(図5に示す画素選択線SL、読出線OL、リセット選択線RL、転送選択線TL、VDD電源配線、VRST電源配線)を構成し、Si基板70の下側に形成される。すなわち、配線33は、撮像素子10の最下層に設けられるので、光を透過しなくてよい。したがって、配線33は、幅および厚さならびに層数に制約なく、所望の領域に配置することができる。このような配線33は、Al,Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Fe,Co,Ni,Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Ta,Ru等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成することができる。特に、半導体素子の配線に一般に適用されるAlやCuが好ましく、さらに必要に応じてTi,W等からなるバリア膜(バリアメタル膜)が設けられる。ここでは、配線33は、耐熱性に比較的優れ、加工の容易なAlまたはAl合金で形成される。このような構成により、第2撮像素子12の耐熱温度は450℃程度となり、第1撮像素子11の第1回路層21(半導体層2)を高温プロセスで形成することができる。
絶縁層41は、Si基板70の下面を被覆し、配線33、トランジスタ71間や配線33同士等を絶縁する。絶縁層41は、半導体装置の層間絶縁膜に適用される絶縁材料を適用することができる。具体的には、SiO2,SiN,SiON,Al23,MgO,MgF2,SiC(シリコンカーバイド)等の無機材料が挙げられる。SiO2には、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)、PSG(Phosphorus Silicon Glass)も含まれる。絶縁層41は、単一の材料でなくてよく、層や領域によって異なる材料で形成されてもよい。
(カラーフィルタアレイ)
カラーフィルタアレイ80は、画素別に固有の波長域の光を入射させるために設けられる。本実施形態に係る撮像素子10において、第2撮像素子12は、光LB,LG,LRを個別の電気信号として出力するが、フォトダイオード72が可視〜赤外領域の光に感度を有する。一方、近赤外線LIRは、有機光電変換膜61に吸収されているので、第2撮像素子12には入射しない。そのために、カラーフィルタアレイ80は、それぞれ、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの一つを透過して、少なくとも可視領域におけるその余の光を遮光するカラーフィルタ8r,8g,8bを、画素毎に配列する。ここでは、図1に示すように、2×2に配列した4画素の対角上の2画素にカラーフィルタ8g,8gを、残りに1画素ずつカラーフィルタ8r,8bを、それぞれ配列したベイヤー配列とする。さらに、カラーフィルタ8r,8g,8bは、第2撮像素子12の耐熱温度以下で形成され、かつ上に半導体層2を形成されるための耐熱性を有するように、可視光の透過率の高い無機材料からなる。このようなカラーフィルタ8r,8g,8bは、フォトニック結晶構造による公知の光学フィルタを適用することができる。以下、カラーフィルタ8r,8g,8bについて、いずれか特定しない場合にはカラーフィルタ8と称して説明する。
カラーフィルタ8は、屈折率の異なる2種類以上の膜を積層した誘電体多層膜であり、特定の波長域の光を透過し、それ以外の光を反射し、または打ち消すことができる。詳しくは、カラーフィルタ8は、高屈折率層81、ならびに高屈折率層81よりも屈折率の低い低屈折率層82および欠陥層83を備え、上から順に、層81,82,81,83,81,82,81を積層し、さらに最下層に低屈折率層82を備える。高屈折率層81および低屈折率層82の各層は、カラーフィルタ8r,8g,8bで同じ膜厚であり、欠陥層83のみが異なる膜厚に形成される。カラーフィルタ8は、このような構成とすることにより、層数が多くなくても十分に狭い波長域の光を選別することができ、カラーフィルタアレイ80の全体の厚さが抑制される。また、カラーフィルタ8r,8g,8bで、欠陥層83の1層のみが異なる膜厚であればよいので、カラーフィルタアレイ80を形成するための工数が多くならない。
高屈折率層81は、第2撮像素子12の耐熱温度以下で成膜可能な無機材料のうち、屈折率の比較的高いものが選択され、例えば、Si34等のSiN(2.0〜2.6、数値は屈折率であり、組成により変化する)、TiO2(2.5)、ZrO(2.4)、Nb25(2.33)、Ta25(2.16)、HfO2(1.95)が挙げられる。低屈折率層82および欠陥層83は、高屈折率層81に対して十分に屈折率の低い無機材料が選択され、例えば、MgF2(1.38)、SiO2(1.46)、CaF2(1.39)、BaF2(1.49)、LiF(1.39)、NaCl(1.49)、KBr(1.52)、KCl(1.45)が挙げられる。低屈折率層82と欠陥層83は、同一の材料であっても異なる種類の材料であってもよい。
欠陥層83の上下それぞれに設けられた、高屈折率層81と低屈折率層82を交互に積層した多層膜は、可視領域全体の光を反射させるように設計され、高屈折率層81および低屈折率層82は、それぞれ屈折率をn、膜厚をdで表すと、n・d=(2N−1)/4・λ0(N:任意の自然数、好ましくはN=1)の関係となるように、材料に応じて膜厚が設定される。λ0は、可視光の中心波長であり、例えば、緑色光LGのピーク波長λGと同じ540nmと設定する。また、欠陥層83の屈折率をn3、膜厚をd3でそれぞれ表すと、カラーフィルタ8を透過する光のピーク波長は、n3・d3+λ0(ただし、n3・d3<λ0/4)またはn3・d3+λ0/2(ただし、λ0/4<n3・d3<3/4・λ0)となる。
前記したようにλ0=λGであるから、緑色光LGを透過するカラーフィルタ8gは、欠陥層83についてn3・d3=0、すなわち膜厚d3が0であり、図2の右側の画素に示すように、欠陥層83を設けない構成となる。また、赤色光LRを透過するカラーフィルタ8rは、欠陥層83についてn3・d3=λR−λ0に、青色光LBを透過するカラーフィルタ8bは、欠陥層83についてn3・d3=λB−λ0/2に、それぞれ設計される。λB=450nm、λR=650nmの場合、カラーフィルタ8bの欠陥層83の方が、カラーフィルタ8rの欠陥層83よりも厚い。このように、欠陥層83の膜厚を異なるものとすることにより、光LB,LG,LRの1つを透過するカラーフィルタ8b,8g,8rが得られる。
(層間膜)
層間膜42は、第1撮像素子11とカラーフィルタアレイ80の間に設けられて第1回路層21の下地となる絶縁膜であり、必要に応じて、カラーフィルタアレイ80の上面のカラーフィルタ8r,8g,8b間の段差を平坦化する。層間膜42は、カラーフィルタアレイ80と同様、上に半導体層2を形成されるための耐熱性を有し、また、光LB,LG,LRを透過するように、絶縁層41等と同様の無機絶縁材料で形成することができる。層間膜42の膜厚は、0.1μm以上であることが好ましく、一方で、マイクロレンズアレイ90から第2撮像素子12のフォトダイオード72までの距離を抑えるために、最大で3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。また、層間膜42は、成膜後にCMP法で表面を平坦化される場合には、加工し易いSiO2が好ましく、また、カラーフィルタアレイ80との合計の厚さが最小で1μm以上であることが好ましい。
(マイクロレンズアレイ)
マイクロレンズアレイ90は、第1撮像素子11および第2撮像素子12のそれぞれの受光部(開口部)に光を効率的に入射して感度を向上させるために設けられる。第1撮像素子11の受光部は、有機光電変換膜61における、画素電極51の直上の領域であり、第2撮像素子12の受光部はフォトダイオード72である。なお、第1撮像素子11および第2撮像素子12は、それぞれ画素の中央部を受光部とする。本実施形態に係る撮像素子10においては、各画素のフォトダイオード72に集光されるように、上面が略球面の凸レンズ形状のマイクロレンズ9を画素毎に備える。マイクロレンズ9の形状は、マイクロレンズ9からフォトダイオード72の受光面までの距離、第1撮像素子11における第1回路層21の信号線等で遮光される領域、第2撮像素子12の開口率等に応じて設計され、可視〜近赤外領域の光の透過率の高い樹脂や無機材料で形成される。また、マイクロレンズアレイ90は、最薄部であるマイクロレンズ9の端における厚さが1μm以下であることが好ましい。
撮像素子10は、必要に応じて、第2撮像素子12の下に、これを支持するための土台として支持基板を備える(図示省略)。支持基板は、Si基板70を裏面研削で薄化する際に、表側の絶縁層41の表面に貼り合わされる。支持基板は、第1撮像素子11、特に半導体層2を形成されるための耐熱性を有する、公知の基板材料が適用される。
フォトダイオード72を構成するSiは、可視〜近赤外領域外の光(紫外線等)にも感度を有するので、撮像素子10は、このような光を遮光するフィルタを、Si基板70よりも上に、例えば第1撮像素子11とマイクロレンズアレイ90の間に備えることが好ましい(図示省略)。
〔撮像素子の製造方法〕
本発明の第1実施形態に係る撮像素子の製造方法について、図6を参照して説明する。本実施形態に係る撮像素子10は、第2撮像素子12を形成する第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)S10と、カラーフィルタアレイ80を形成する層内カラーフィルタアレイ形成工程S20と、第1撮像素子11を形成する第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)S40と、マイクロレンズアレイ90を形成するマイクロレンズアレイ形成工程S32と、を行って得られる。
(第2撮像素子形成工程)
第2撮像素子形成工程S10は、Si基板70にトランジスタ71およびフォトダイオード72を形成し、その上に配線33および配線33間の絶縁層41を形成するシリコン処理工程S11と、Si基板70の裏面を研削して薄化する裏面研削工程S12と、を行う。第2撮像素子形成工程S10は、裏面照射型CMOSイメージセンサの公知の製造方法を適用することができる(例えば、特許文献2参照)。
シリコン処理工程S11においては、図2における下側を上として各工程を行う。p型Si基板であるSi基板70に、p-エピタキシャル層70p、n-エピタキシャル層70nを順次形成して、np二重エピタキシャル基板とする。次に、Si基板70の表面(n-エピタキシャル層70nの側)から不純物を注入し、熱拡散して所定の領域にpウェル71pを形成する。Si基板70の表面に薄いSiO2膜(ゲート酸化膜)を成膜し、その上にpoly−Si膜を成膜して、トランジスタ71のゲート71gを形成する。さらに不純物を注入して、n+拡散層71n,72nおよびp+拡散層72pを形成する。トランジスタ71およびフォトダイオード72を形成したSi基板70の上に、絶縁層41を構成する絶縁膜を成膜してこの絶縁膜にコンタクトホールを形成し、トランジスタ71に接続する配線33をAl等の金属電極材料で形成する。同様に、絶縁膜と金属電極材料の成膜および加工を繰り返して、配線33および絶縁層41を形成する。そして、Si基板70の表側(絶縁層41上)に支持基板(図示省略)を貼り合わせ、Si基板70の裏面を研削して所定の厚さとして(裏面研削工程S12)、第2撮像素子12が得られる。
(層内カラーフィルタアレイ形成工程)
層内カラーフィルタアレイ形成工程S20は、Si基板70の研削された裏面上に、カラーフィルタアレイ80を形成する。まず、全面に、低屈折率層82としてSiO2を、高屈折率層81としてSiNを、それぞれ所定の厚さで交互に2回ずつスパッタ法等により成膜して、計4層に積層する。次に、高屈折率層81上のカラーフィルタ8r,8bを形成するそれぞれの領域に、欠陥層83,83を互いに異なる膜厚で形成する。一例として、膜厚の厚いカラーフィルタ8bの欠陥層83を2回に分けて成膜する。まず、全面にSiO2を、カラーフィルタ8r,8bの欠陥層83の膜厚差の厚さに成膜する。SiO2膜の上にカラーフィルタ8bを形成する領域を覆うレジストマスクを形成し、例えば反応性イオンエッチング(RIE)のようなエッチング選択性の高いエッチングで、SiN膜(高屈折率層81)をエッチングストッパ膜として、SiO2膜を完全に除去する。レジストマスクを除去し、SiO2をカラーフィルタ8rの欠陥層83の膜厚に成膜する。SiO2膜の上にカラーフィルタ8gを形成する領域を空けたレジストマスクを形成し、再びSiO2膜を完全に除去して、レジストマスクを除去する。これにより、2通りの膜厚の欠陥層83,83が形成される。この上に、SiN、SiO2、SiNを順次成膜して積層し、カラーフィルタアレイ80が得られる。
(第1撮像素子形成工程)
第1撮像素子形成工程S40は、カラーフィルタアレイ80上に層間膜42を形成して平坦な表面とする層間膜形成工程S41と、層間膜42上に薄膜トランジスタで第1回路層21を形成する薄膜トランジスタ形成工程S42と、透明電極膜で所定の領域に画素電極51を形成する画素電極形成工程S43と、有機光電変換膜61を形成する光電変換膜形成工程S44と、有機光電変換膜61に透明電極膜を積層して対向電極52を形成する対向電極成膜工程S45と、対向電極52上に保護膜46を成膜する保護膜形成工程S46と、を行う。
層間膜形成工程S41を行う。カラーフィルタアレイ80上に、SiO2をカラーフィルタアレイ80の段差に対して十分な膜厚に成膜し、CMP法により平坦な表面に加工して、層間膜42を形成する。または、Si化合物を塗布してSiO2に転化して層間膜42とすることもできる。
薄膜トランジスタ形成工程S42を行う。層間膜42上に電極材料を成膜し、この電極膜を加工して、ゲート電極31および画素選択線SL等の水平信号線を形成する。この上にSiN等の絶縁膜を成膜して、ゲート絶縁膜43とする。ゲート絶縁膜43上に酸化物半導体材料を成膜、加工して、半導体層2を形成する。さらに絶縁膜44を構成するSiO2等の絶縁膜を成膜し、この絶縁膜44およびゲート絶縁膜43を加工する。この上に電極材料を成膜、加工して、ソース・ドレイン電極32および読出線OL等の垂直信号線を形成する。さらに、保護膜45を構成する絶縁膜を成膜し、コンタクトホールを形成する。各材料の成膜方法はスパッタ法等、その材料に対応した方法を適用し、加工はフォトリソグラフィとエッチングまたはリフトオフ法で行うことができる。また、半導体層2を構成する酸化物半導体材料は、300℃以上かつ第2撮像素子12の耐熱温度(例えば450℃)以下で成膜するか、成膜後に前記温度範囲でのアニール処理を行う。半導体層2のアニール処理は、光電変換膜形成工程S44よりも前であればどの段階でも行うことができるが、処理温度が画素電極51の耐熱温度を超える場合には画素電極形成工程S43よりも前に行う。さらに、ソース・ドレイン電極32等に耐熱温度の低い透明電極材料を適用する場合には、この透明電極材料の成膜よりも前にアニール処理を行う。
画素電極形成工程S43を行う。第1回路層21の上に透明電極材料を成膜し、この透明電極膜を加工して画素電極51とする。透明電極材料は、スパッタ法、真空蒸着法、または塗布法等の公知の方法により成膜される。さらに、ITO等の結晶性の透明電極材料の場合には、室温等の低温(無加熱)にて成膜後に、ポストアニールを施して結晶化させてもよい。また、透明電極膜の加工はフォトリソグラフィとエッチングで行うことができる。
次に、有機光電変換膜61を、真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、ディップ法等の公知の方法で成膜する(光電変換膜形成工程S44)。さらに、有機光電変換膜61上に透明電極材料を成膜して、対向電極52とする(対向電極成膜工程S45)。透明電極材料は、画素電極形成工程S43と同様にスパッタ法等で成膜することができるが、室温等、有機光電変換膜61の耐熱温度を超えない低温(無加熱)で行う。
保護膜形成工程S46を行う。対向電極52上に樹脂材料をスピンコート法等により塗布して、平坦な表面の保護膜46とする。あるいは、SiO2等の絶縁膜をプラズマ化学気相成長(PECVD)法やスパッタ法等で成膜し、CMP法により平坦な表面に加工して、保護膜46を形成することもできる。
(マイクロレンズアレイ形成工程)
マイクロレンズアレイ形成工程S32は、150℃以下の低温で形成する方法として、例えばエッチバック法を適用することができる。保護膜46上に、マイクロレンズアレイ90の材料として樹脂材料を塗布または無機材料をスパッタ法等で成膜して、透明な膜を形成する。この透明膜上に、マイクロレンズアレイ90と同じ凹凸形状の表面のレジストマスクを形成する。詳しくは、ポジレジストに、光の透過量を連続的に変化させたフォトマスク(グレースケールマスク)でハーフ露光することにより、現像で表層を溶解させて凹凸形状を形成する。または光ナノインプリント法で形成することができ、透明膜上に塗布した紫外線硬化樹脂に、石英やアクリル等からなる金型(モールド)を押し付けて前記凹凸形状を転写し、金型の上から紫外線を照射して硬化させた後、金型を離型する。形成したマスクの上から、異方性エッチングを行って、マスクを完全に除去し、さらにその下の透明膜を部分的に除去する。これにより、エッチング前のマスクの表面の凹凸形状が透明膜の表面に転写されて、マイクロレンズアレイ90が形成される。また、マイクロレンズアレイ90は、紫外線硬化樹脂で、マスクを使用せず直接に光ナノインプリント法によって形成することもできる。また、インクジェットプリンタ等のノズルから樹脂材料を画素毎に滴下して、表面張力で凸レンズ形状とし、硬化させてもよい(インクジェット法)。
(変形例)
マイクロレンズアレイ90をガラス等の透明基板(図示せず)上に形成して、透明基板を上に向けて第1撮像素子11(保護膜46)上に貼り付けてもよい。このような構成によれば、マイクロレンズアレイ形成工程S32において、有機光電変換膜61の耐熱温度に制約されない。したがって、例えば、マイクロレンズアレイ90をエッチバック加工するためのレジストマスクを、レジストを画素毎に円柱形状にパターン露光した後に200℃程度に加熱して溶融させること(リフロー)により凸レンズ形状に変形させて形成することができる。あるいは、マイクロレンズアレイ90を、感光性樹脂で直接に、パターン露光とリフローにより成形することができる(溶融法)。また、マイクロレンズアレイ90を、熱硬化樹脂で、熱ナノインプリント法や射出成形により形成することができる。
マイクロレンズアレイ90は、上下を反転して、マイクロレンズ9の下面を略球面としてもよい。このようなマイクロレンズアレイ90は、樹脂材料や無機材料を第1撮像素子11上に成膜し、この膜にエッチバック法等によって画素毎に凹みを形成し、その上に凹みを形成した膜よりも高屈折率の樹脂材料を塗布して凹みに充填して形成される。また、マイクロレンズ9は、凸レンズ形状の他に、平面視でサブ波長幅に同心円状の刻みを形成したデジタルマイクロレンズを適用することもできる。このようなマイクロレンズアレイ90は、無機材料を成膜して、エッチングで加工して形成される。また、カラーフィルタアレイ80は、カラーフィルタ8r,8g,8g,8bのベイヤー配列に限定されない。
第1回路層21の画素電極51に接続するソース・ドレイン電極(図3のトランジスタT1、図4のトランジスタT3)は、画素電極51と一体に透明電極膜で形成されてもよい。また、画素の微細化のために、撮像素子11,12のそれぞれは、隣り合う2以上の所定数の画素で、トランジスタT1,T2,T3,T4(図4、図5参照)の一部または全部を共有してもよい。また、第2撮像素子12は、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)イメージセンサであってもよい。
撮像素子10は、第1撮像素子11および第2撮像素子12のそれぞれの開口率が十分に高い等、感度が不足していなければ、マイクロレンズアレイ90を備えなくてよい。特に、本実施形態においては、第2撮像素子12が、比較的開口率の高い裏面照射型CMOSイメージセンサであり、第1撮像素子11が、画素サイズや第1回路層21の構成にもよるが十分に高い開口率で、さらに光電変換効率の高い有機光電変換膜61を備えるので、撮像素子10の入射面全面にまとめて集光するメインレンズ(図示省略)のみで、カラー画像および赤外線画像を撮像し得る。
撮像素子10において、第1撮像素子11と第2撮像素子12は、同じ画素サイズでなくてもよく、例えば、第2撮像素子12が第1撮像素子11の1/4(縦横1/2)の画素サイズとして、カラー画像の解像度が高くなるように設計することもできる。第2撮像素子12は、比較的微細化し易いMOSFETで第1回路層21が形成されているので、TFT構造を有する第1撮像素子11の画素サイズに合わせずに、高精細化してもよい。また、第2撮像素子12が第1撮像素子11の1/2(1/2×1)の画素サイズとしてもよい。このように、第1撮像素子11が第2撮像素子12の整数倍の画素サイズであればよく、カラー画像および近赤外線画像の所望する解像度に応じて、第1撮像素子11および第2撮像素子12のそれぞれの画素サイズを設計すればよい。なお、第1撮像素子11と第2撮像素子12で画素サイズが異なる場合には、マイクロレンズアレイ90は、小さい方の第2撮像素子12の画素に合わせてマイクロレンズ9を配列する。
第2撮像素子12は、表面照射型CMOSイメージセンサであってもよく、Si基板の裏面を研削する必要がないので工程を削減することができる。ただし、表面照射型CMOSイメージセンサは光の入射側に配線(信号線)が設けられるので、マイクロレンズアレイからフォトダイオードの受光面までの距離が長く、この距離が第2撮像素子12の画素サイズ比で大きいと、撮像可能な光の入射角の範囲が狭くなる。そのため、表面照射型CMOSイメージセンサは、画素のサイズがあまり小さくない場合に適用することが好ましく、また、配線33の層数が少なくなるように設計する等、前記距離をより短くすることが好ましい(後記第2実施形態参照)。
本実施形態に係る撮像素子10は、カラー画像のみを撮像する撮像素子とすることもできる。すなわち、第1撮像素子11を、光LB,LG,LRのうちの1波長域の光の撮像素子とし、第2撮像素子12を、残りの2波長域の光の撮像素子とする。この場合、第1撮像素子11を、視感度の高い緑色光LGの撮像素子とすることが好ましい。そのために、有機光電変換膜61は、緑色光LGを吸収して電荷に変換し、光LB,LRを透過する有機材料を適用する。このような緑色光LGのみに感度を有する有機材料としては、例えばキナクリドン誘導体やペリレン誘導体が挙げられる。一方、第2撮像素子12は、画素毎に赤色光LRまたは青色光LBを電気信号に変換して出力する。そのために、カラーフィルタアレイ80は、カラーフィルタ8rとカラーフィルタ8bとが、画素に合わせて市松模様状やストライプ状に配置されてなる。また、第2撮像素子12のフォトダイオード72を構成するSiが赤外線にも感度を有するので、撮像素子10は、赤外線カットフィルタを、例えば第1撮像素子11の上に備えることが好ましい。
有機光電変換膜61の材料およびカラーフィルタアレイ80の構成によって、第1撮像素子11を青色光LBまたは赤色光LRの撮像素子として、第2撮像素子12を、残りの2波長域の光の撮像素子とすることもできる。青色光のみに感度を有する有機材料としてはクマリン誘導体やポルフィリン誘導体が、赤色光のみに感度を有する有機材料としてはフタロシアニン誘導体やナフタロシアニン誘導体が挙げられる。その他に、アクリジン、シアニン、スクエアリリウム、オキサジン、キサンテントリフェニルアミン、ベンジジン、ピラゾリン、スチリルアミン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、カルバゾール、ポリシラン、チオフェン、ポリアミン、オキサジアゾール、トリアゾール、トリアジン、キノキサリン、フェナンスロリン、フラーレン、アルミニウムキノリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリチオール、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらの誘導体等を単独で、もしくはこれらに代表される有機材料を2種類以上混合ないし積層することで、青色光、緑色光、または赤色光のみに感度を有する有機材料を調製することが可能である。また、カラーフィルタアレイ80の構成によって、近赤外線LIRを透過するカラーフィルタ8を設けることもでき、例えば、第1撮像素子11を、光LB,LG,LRのうちの1波長域の光の撮像素子とし、第2撮像素子12を、可視光の残りの2波長域の光および近赤外線LIRの撮像素子としてもよい。
以上のように、本発明の第1実施形態およびその変形例に係る撮像素子によれば、光の入射側の第1撮像素子が、色選択性および光電変換効率に優れた有機光電変換膜と、高温プロセスで形成された読出し特性の良好なTFT構造を有する読出回路とを備える。また、第2撮像素子は、広い分光感度を有するSiフォトダイオードとMOSFETとを単結晶シリコン基板に備えることで、信号の読出し特性に特に優れ、また、カラーフィルタアレイと組み合わせて複数の波長域の光の情報を取得することができ、さらに、裏面照射型CMOSイメージセンサとすることで、画素の開口率が第1撮像素子と同様に高くなる。また、カラーフィルタアレイが第1撮像素子と第2撮像素子の間に設けられていることにより、第1撮像素子が取得する光がカラーフィルタアレイに吸収されないので感度が低下しない。したがって、第1撮像素子、第2撮像素子のそれぞれが、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好となり、特に、第1撮像素子が、全画素で1波長域の光の情報を取得し、かつ有機光電変換膜を備えるので高感度となる。
〔第2実施形態〕
第2撮像素子は表面照射型CMOSイメージセンサであってもよく、Si基板の裏面を研削する必要がないので工程を削減することができる。一方で、表面照射型CMOSイメージセンサは、裏面照射型CMOSイメージセンサと比較して、Si基板の表層にフォトダイオードと共にトランジスタが形成されていることにより開口率が低いので、感度を確保するためにマイクロレンズアレイが必要となる。しかし、第2撮像素子の入射側に配線(信号線)が設けられるので、最上層のマイクロレンズアレイからフォトダイオードの受光面までの距離が長く、特に画素サイズが小さいと、撮像可能な光の入射角の範囲が狭くなる。そこで、表面照射型CMOSイメージセンサを備える撮像素子を以下の構成とする。以下、第2実施形態に係る撮像素子について説明する。第1実施形態およびその変形例と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
本発明の第2実施形態に係る撮像素子10Aは、図7に示すように、上から順に、近赤外線画像を撮像する第1撮像素子11と、マイクロレンズアレイ90Aと、カラーフィルタアレイ80と、カラー画像を撮像する第2撮像素子12Aと、を備える。撮像素子10Aは、第1実施形態に係る撮像素子10について、第2撮像素子12を第2撮像素子12Aに置き換え、また、最上層のマイクロレンズアレイ90に代えて第1撮像素子11の下にマイクロレンズアレイ90Aを配置したものである。
第1撮像素子11およびカラーフィルタアレイ80の構成は、第1実施形態に説明した通りである。ただし、第1撮像素子11は、上方に画素毎に集光するマイクロレンズアレイが配置されていないので、十分に開口率が高くなるように、第1回路層21のレイアウト等を設計することが好ましい。第2撮像素子12Aは表面照射型CMOSイメージセンサであり、フォトダイオード72Aおよび第2回路部22のトランジスタ71を表層に形成されたSi基板70Aと、Si基板70Aの上に形成された配線33Aおよび絶縁層41を備える。
(Si基板)
Si基板70Aは、第2回路部22のトランジスタ71およびフォトダイオード72Aの材料であり、これらを形成するための土台である。本実施形態では、フォトダイオード72Aの構成に対応して、n型Si基板(n−sub)を適用する。
(フォトダイオード)
フォトダイオード72Aは、Si基板70Aに形成された埋込みフォトダイオードであり、Si基板70Aのpウェル71p内に形成されたn+拡散層(図中、「n+」)、およびこのn+拡散層に積層したp+拡散層(図中、「p+」)を備える。撮像素子10Aにおいては、第1実施形態と同様に、フォトダイオード72Aは、光LB,LG,LRを入射されて受光するため、Si基板70Aの上面から少なくとも3μm程度の深さの領域に形成される。また、第2撮像素子12Aが表面照射型CMOSイメージセンサで、Si基板70Aの光の入射側寄りの表層にトランジスタ71を形成されているので、画素に占めるフォトダイオード72Aの面積(開口率)が大きくなるように、フォトダイオード72Aおよびトランジスタ71のレイアウトを設計されることが好ましい。
(第2回路部)
第2回路部22のトランジスタ71は、第1実施形態で説明した通り、Si基板70Aに形成されたpウェル71p、pウェル71p内に形成されたn+拡散層71n、およびSi基板70Aの上面にゲート酸化膜を挟んで形成されたゲート71gからなる。そして、ゲート71gおよびn+拡散層71nには、配線33Aが接続される。また、pウェル71p内に、GNDに配線33Aで電気的に接続するためのp+拡散層(図示省略)が形成されている。なお、図7においては、第2回路部22の一部のトランジスタおよび配線を示す。
配線33Aは、第1実施形態の配線33と同様に、トランジスタ71に接続する電極、ならびに第2回路部22の水平信号線および垂直信号線を構成し、金属電極材料で形成することができる。ただし、配線33Aは、フォトダイオード72Aの上側、すなわち光の入射側に配置される。そのため、配線33Aは、フォトダイオード72Aに入射される光を遮らないように、フォトダイオード72Aの直上を避けて配置される。かつ、配線33Aは、フォトダイオード72Aとマイクロレンズアレイ90Aとの距離が大きく空かないように、層数を少なく設計されることが好ましい。そのために、配線33Aは、導電性に特に優れたCuで形成されることが好ましい。配線33Aは一方で、トランジスタ71に光が到達しないように、平面視で、ダミー配線等も含めて、トランジスタ71が形成された領域全体に配置されるように設計される。
(マイクロレンズアレイ)
マイクロレンズアレイ90Aは、第2撮像素子12Aのフォトダイオード72Aに光を効率的に入射して感度を向上させるために設けられる。マイクロレンズアレイ90Aは、第1実施形態のマイクロレンズアレイ90と同様に、凸レンズ形状のマイクロレンズ9を画素毎に備える。マイクロレンズアレイ90Aは、上に第1撮像素子11を形成されるために、カラーフィルタアレイ80と同様に、第2撮像素子12Aの耐熱温度以下で形成され、かつ上に半導体層2を形成されるための耐熱性を有するように、無機材料からなる。また、マイクロレンズアレイ90Aは、高屈折率層91とその上を被覆する低屈折率層92とからなる。高屈折率層91は、マイクロレンズアレイ90Aの本体であり、マイクロレンズアレイ90と同様の形状で上面に凹凸を有する。低屈折率層92は、高屈折率層91よりも屈折率が低く、高屈折率層91の上面を被覆して表面を平坦化するために設けられる。高屈折率層91および低屈折率層92は、それぞれカラーフィルタアレイ80の高屈折率層81および低屈折率層82と同様の材料を適用することができ、低屈折率層92はCMP法で平坦化され易いSiO2が好ましい。低屈折率層92の膜厚は、0.1μm以上であることが好ましく、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。また、マイクロレンズアレイ90Aの全体の厚さは、1μm以上であることが好ましい。
〔撮像素子の製造方法〕
本発明の第2実施形態に係る撮像素子の製造方法について、図8を参照して説明する。本実施形態に係る撮像素子10Aは、第2撮像素子12Aを形成する第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)S10Aと、カラーフィルタアレイ80を形成する層内カラーフィルタアレイ形成工程S20と、マイクロレンズアレイ90Aを形成するマイクロレンズアレイ形成工程S31と、第1撮像素子11を形成する第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)S40と、を行って得られる。以下、第1実施形態と異なる工程について詳細に説明する。
(第2撮像素子形成工程)
第2撮像素子形成工程S10Aは、シリコン処理工程S11Aのみを行う。シリコン処理工程S11Aは、第1実施形態のシリコン処理工程S11(図6参照)と同様に、Si基板70Aに第2回路部22のトランジスタ71およびフォトダイオード72Aを形成し、その上に配線33Aおよび絶縁層41を形成する。
(層内カラーフィルタアレイ形成工程)
層内カラーフィルタアレイ形成工程S20は、カラーフィルタアレイ80をSi基板70Aの表側の絶縁層41上に形成すること以外は、第1実施形態で説明した通りである。また、配線33AがCuで形成されている場合、第2撮像素子12Aの耐熱温度は350℃程度となるので、この温度を超えない処理条件で行う。
(マイクロレンズアレイ形成工程)
マイクロレンズアレイ形成工程S31は、高屈折率層91を、第1実施形態のマイクロレンズアレイ形成工程S32と同様にエッチバック法で形成する。例えばSiNをスパッタ法等で成膜し、その上に表面に凹凸を有するレジストマスクを形成し、異方性エッチングを行ってSiN膜の表面にレジストマスクの凹凸形状を転写する(エッチバック法)。本実施形態では、第2撮像素子12Aの耐熱温度以下の範囲で高温処理が可能であるので、レジストマスクの表面の凹凸をリフローで成形することができる。
(第1撮像素子形成工程)
第1撮像素子形成工程S40は、層間膜形成工程S41で、層間膜42に代えてマイクロレンズアレイ90Aの低屈折率層92を形成すること以外は、第1実施形態で説明した通りである。また、第2撮像素子12Aの耐熱温度以下で形成する(特に、薄膜トランジスタ形成工程S42の半導体層2の成膜またはアニール処理)。
(変形例)
撮像素子10Aは、第1実施形態と同様に、カラーフィルタアレイ80上を層間膜42で平坦化して、その上にマイクロレンズアレイ90Aを形成してもよい。また、撮像素子10Aは、最上層すなわち第1撮像素子11の上にさらに、マイクロレンズ9を配列したマイクロレンズアレイ90を備えてもよい(図示せず)。第1実施形態に係る撮像素子10のように、第1撮像素子11の上側にマイクロレンズアレイ90を設けることにより、赤外線画像の感度が向上する。また、マイクロレンズアレイ90Aを、カラーフィルタアレイ80の下に、すなわち第2撮像素子12Aのすぐ上に設けてもよい。マイクロレンズアレイ90Aは、カラーフィルタアレイ80の下に設けられることにより、フォトダイオード72Aまでの距離を短縮されてフォトダイオード72Aへの集光効率がいっそう向上する。すなわち、本発明の第2実施形態の変形例に係る撮像素子10Bは、図9に示すように、上から順に、マイクロレンズアレイ90と、第1撮像素子11と、層間膜42と、カラーフィルタアレイ80と、マイクロレンズアレイ90Aと、第2撮像素子12Aと、を備える。以下、第2実施形態の変形例に係る撮像素子について説明する。第1実施形態および第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
第1撮像素子11、第2撮像素子12A、層間膜42、カラーフィルタアレイ80およびマイクロレンズアレイ90,90Aのそれぞれの構成は、第1、第2実施形態で説明した通りである。また、撮像素子10Bにおいて、マイクロレンズアレイ90およびマイクロレンズアレイ90Aのそれぞれのマイクロレンズ9は、それぞれトップレンズとインナーレンズ(層内レンズ)であり、2層に設けられることによって、第2撮像素子12Aの受光部であるフォトダイオード72Aへの集光効率をいっそう高くする。また、マイクロレンズアレイ90で第1撮像素子11の、マイクロレンズアレイ90Aで第2撮像素子12Aの、各受光部に合わせて集光することができる。
本変形例に係る撮像素子10Bは、第2撮像素子12を形成する第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)S10Aと、マイクロレンズアレイ90Aを形成するマイクロレンズアレイ形成工程S31と、カラーフィルタアレイ80を形成する層内カラーフィルタアレイ形成工程S20と、第1撮像素子11を形成する第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)S40と、マイクロレンズアレイ90を形成するマイクロレンズアレイ形成工程S32と、を行って得られる。すなわち、第2実施形態において、層内カラーフィルタアレイ形成工程S20とマイクロレンズアレイ形成工程S31の順序を入れ替え、さらにマイクロレンズアレイ形成工程S31において、高屈折率層91を形成した次に、層間膜形成工程S41のように低屈折率層92を形成して表面を平坦化する。また、第1実施形態と同様に、第1撮像素子形成工程S40の次にマイクロレンズアレイ形成工程S32を行う。その他の各工程は、第1実施形態および第2実施形態で説明した通りである。
第2実施形態およびその変形例に係る撮像素子10A,10Bは、第1実施形態に係る撮像素子10と同様に、カラー画像のみを撮像する撮像素子とすることもできる。すなわち、第1撮像素子11を緑色光LGの撮像素子とし、カラーフィルタアレイ80をカラーフィルタ8r,8bを配列したものとして、第2撮像素子12Aを赤色光LRと青色光LBの撮像素子とし、さらに赤外線カットフィルタを備える。
以上のように、本発明の第2実施形態およびその変形例に係る撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、第1撮像素子が、色選択性および光電変換効率に優れた有機光電変換膜と、高温プロセスで形成されたTFT構造を有する読出回路とを備え、第2撮像素子が、単結晶シリコン基板に形成されたSiフォトダイオードと読出回路を備える。さらに、第2撮像素子を表面照射型CMOSイメージセンサとすることでより簡易に製造することができる一方、第1撮像素子の下にマイクロレンズアレイを設けたことにより、第2撮像素子の開口率が高くなくても十分な感度が得られる。したがって、第1撮像素子、第2撮像素子のそれぞれが、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好となる。
〔第3実施形態〕
カラーフィルタは、顔料等を含有する有機材料を適用して簡易にパターン形成することもできる。このようなカラーフィルタは、可視光における特定の波長域の光と共に赤外線を透過させるものが多く、近赤外線画像を撮像する第1撮像素子の上に設けることができる。以下、第3実施形態に係る撮像素子について説明する。第1実施形態および第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
本発明の第3実施形態に係る撮像素子10Cは、図10に示すように、上から順に、マイクロレンズアレイ90と、カラーフィルタアレイ80Aと、近赤外線画像を撮像する第1撮像素子11と、層間膜42Aと、カラー画像を撮像する第2撮像素子12と、を備える。撮像素子10Cは、第1実施形態に係る撮像素子10(図2参照)について、カラーフィルタアレイ80を第1撮像素子11の下から上に配置を替えると共に、カラーフィルタアレイ80Aに置き換えたものである。また、第1撮像素子11の第1回路層21と第2撮像素子12のSi基板70とを絶縁するために、間に層間膜42Aを備える。第1撮像素子11、第2撮像素子12、およびマイクロレンズアレイ90のそれぞれの構成は、第1実施形態で説明した通りである。層間膜42Aは、第1実施形態の層間膜42と同様に無機絶縁材料からなるが、平坦化処理を要せず、絶縁を確保できる範囲で膜厚が薄いことが好ましい。以下に、カラーフィルタアレイ80Aの構成について説明する。
(カラーフィルタアレイ)
カラーフィルタアレイ80Aは、第1、第2実施形態のカラーフィルタアレイ80(図1参照)と同様に、画素別に固有の波長域の光を入射させるために設けられ、カラーフィルタ8r,8g,8g,8bを配列してなる。本実施形態に係る撮像素子10Cにおいては、カラーフィルタアレイ80Aが第1撮像素子11の上に設けられるため、カラーフィルタ8r,8g,8bは、それぞれ、可視光のうちの赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの一つを透過してその余の光を遮光すると共に、少なくとも一種が近赤外線LIRを透過するものとし、3種すべてが近赤外線LIRを透過することが好ましく、さらにその透過率がより高いことが好ましい。このようなカラーフィルタアレイ80Aのカラーフィルタ8r,8g,8bは、それぞれ赤、緑、青の各色の顔料や染料等の着色材を、可視〜近赤外領域の光を透過する樹脂に分散させたもので形成される。具体的には、公知のカラーフィルタ材料である、感光性樹脂に顔料を分散させたカラーレジストや、インクジェット用インクを適用することができるが、ベーク(プリベーク、ポストベーク)温度や乾燥温度等が150℃以下の材料を選択する。カラーフィルタ8r,8g,8bの厚さは、必要とする透過する光の波長域の幅や感度が得られるように設計されるが、より薄いことが好ましい。具体的には、厚さ1.5μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましく、このような厚さに形成される材料を選択する。また、カラーフィルタアレイ80Aは、カラーフィルタ8r,8g,8bで厚さが異なっていてもよく、この場合には、必要に応じて表面を透明な樹脂膜で被覆して平坦化される。
〔撮像素子の製造方法〕
本発明の第3実施形態に係る撮像素子の製造方法について、図11を参照して説明する。本実施形態に係る撮像素子10Cは、第2撮像素子12を形成する第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)S10と、第1撮像素子11を形成する第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)S40と、カラーフィルタアレイ80Aを形成するカラーフィルタアレイ形成工程S50と、マイクロレンズアレイ90を形成するマイクロレンズアレイ形成工程S32と、を行って得られる。
第2撮像素子形成工程S10は、第1実施形態で説明した通りである。第1撮像素子形成工程S40は、層間膜形成工程S41で、層間膜42Aの平坦化処理が不要であること以外は、第1実施形態で説明した通りである。以下に、カラーフィルタアレイ形成工程S50について詳細に説明する。
(カラーフィルタアレイ形成工程)
カラーフィルタアレイ80Aは、例えばレジスト法(フォトリソグラフィ法)で形成することができる。赤色の顔料を含有するカラーレジストを保護膜46上の全面に塗布し、フォトマスク(レチクル)を介してカラーフィルタ8rを形成する領域に紫外線を照射する(パターン露光)。露光領域外のカラーレジストを現像液で除去し(現像)、熱処理でカラーレジストを硬化して(ポストベーク)カラーフィルタ8rを形成する。同様に塗布からポストベークまでの工程をさらに2回行ってカラーフィルタ8b,8gを順次形成し、カラーフィルタアレイ80Aが得られる。さらに、必要に応じて、透明な樹脂材料を全面に塗布して、表面を平坦化してもよい。なお、カラーフィルタ8r,8g,8bを形成する順序は、特に規定されない。また、インクジェットプリンタでカラーフィルタ8r,8g,8bの材料となる各色のインクを印刷して、カラーフィルタアレイ80Aを形成することもできる(インクジェット法)。
マイクロレンズアレイ形成工程S32は、マイクロレンズアレイ90をカラーフィルタアレイ80A上に形成すること以外は、第1実施形態で説明した通りである。また、第1実施形態で説明したように、マイクロレンズアレイ90を透明基板上に形成してから貼り付けてもよく、この場合、カラーフィルタアレイ80Aを、透明基板上に形成したマイクロレンズアレイ90上に形成して、第1撮像素子11(保護膜46)上に貼り付けることができる。
カラーフィルタアレイ80Aは、補色カラーフィルタを適用してもよい(図示省略)。すなわち、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの補色である、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄(Y)、そして緑を加えた計4色を1色ずつ画素に配置する。
(変形例)
本実施形態に係る撮像素子10Cは、第2撮像素子12に代えて表面照射型CMOSイメージセンサである第2撮像素子12Aを備えてもよく、さらに、画素が小さい場合には、第2撮像素子12Aのすぐ上にマイクロレンズアレイ90Aを備えることが好ましい。すなわち、上から順に、マイクロレンズアレイ90と、カラーフィルタアレイ80Aと、第1撮像素子11と、マイクロレンズアレイ90Aと、第2撮像素子12Aと、を備える。この撮像素子(図示せず)は、第2実施形態の変形例に係る撮像素子10B(図10参照)について、カラーフィルタアレイ80を第1撮像素子11の下から上に配置を替えると共に、カラーフィルタアレイ80Aに置き換えたものである。
第3実施形態およびその変形例に係る撮像素子10Cは、第1、第2実施形態に係る撮像素子10(10A,10B)と同様に、カラー画像のみを撮像する撮像素子とすることもできる。すなわち、第1撮像素子11を緑色光LGの撮像素子とし、カラーフィルタアレイ80Aをカラーフィルタ8r,8bを配列したものとして、第2撮像素子12(12A)を赤色光LRと青色光LBの撮像素子とし、さらに赤外線カットフィルタを備える。
第3実施形態に係る撮像素子は、光の入射側の第1撮像素子をカラー画像の撮像素子、第2撮像素子を赤外線の撮像素子とすることもできる。そのために、本発明の第3実施形態の変形例に係る撮像素子10Dは、可視光(光LB,LG,LR)を吸収して電荷に変換し、かつ近赤外線LIRを透過する第1の光電変換層61Aを備える。すなわち、撮像素子10Dは、図12に示すように、上から順に、カラーフィルタアレイ80Aと、第1の光電変換層61Aを備えてカラー画像を撮像する第1撮像素子11Aと、マイクロレンズアレイ90Aと、近赤外線画像を撮像する第2撮像素子12Aと、を備える。
第1の光電変換層61Aは、可視領域全体の光に感度を有してこれを吸収して電荷に変換し、これよりも長波長の光である近赤外線LIRを透過させる材料からなる。このような材料として、セレン(Se)が挙げられ、特に光電変換効率の高い結晶セレン(c−Se)を適用する。多結晶光電変換膜(第1の光電変換層)61Aは、有機光電変換膜61と同様、膜厚が50nm以上1μm以下であることが好ましく、光吸収極大波長での吸収率が90%以上であることが好ましい。多結晶光電変換膜61Aは、結晶セレン層の下地に、テルル(Te)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)の一種以上からなる、厚さ0.1〜10nmの接合膜を備え、特にTe膜が好ましい。結晶セレンは、真空蒸着法で、Te、Se(非晶質)を順次成膜し、次に大気中に曝露して約200℃に加熱することにより、アモルファスセレンが結晶化して得られる。また、多結晶光電変換膜61Aは、結晶セレン層の片面に、n型半導体として機能する、酸化ガリウム(Ga23)、酸化セリウム(CeO2)、または酸化インジウム(In23)等からなる正孔注入阻止層を積層して備えることが好ましく、さらにもう片面に、三硫化アンチモン(Sb23)からなる電子注入阻止層を積層して備えてもよい。
第1撮像素子11Aの、多結晶光電変換膜61A以外の要素の構成は、第1実施形態の第1撮像素子11と同様である。ただし、結晶セレンの耐熱温度が250℃程度であるので、多結晶光電変換膜61Aよりも上に形成される対向電極52および保護膜46は、250℃以下で形成可能な構成とする。
第2撮像素子12Aの構成は、第2実施形態で説明した通りであるが、フォトダイオード72Aが近赤外線LIRを受光するために、Si基板70Aの上面から少なくとも7μm程度の深さの領域に形成される。また、カラーフィルタアレイ80Aの構成は、第3実施形態で説明した通りであり、ただし、結晶セレンの耐熱温度である250℃以下で形成可能な構成とする。また、マイクロレンズアレイ90Aの構成は、第2実施形態で説明した通りである。本変形例においては、第1撮像素子11Aの下側にマイクロレンズアレイ90Aを備えて、表面照射型CMOSイメージセンサである第2撮像素子12Aのフォトダイオード72Aへの集光効率を高くする。一方、カラー画像を撮像する第1撮像素子11Aは、開口率が高くかつ光電変換効率が高く、さらにすぐ上にカラーフィルタアレイ80Aが設けられているため、メインレンズ(図示省略)のみで集光する構成とする。なお、さらにマイクロレンズアレイ90をカラーフィルタアレイ80A上に備えてもよいし、フォトダイオード72Aへの集光効率が十分に得られれば、マイクロレンズアレイ90のみを備える構成としてもよい。また、撮像素子10Dは、第2撮像素子12Aに代えて、裏面照射型CMOSイメージセンサである第2撮像素子12を備えてもよい。
撮像素子10C,10Dは、カラー画像が不要であれば、カラーフィルタアレイ80Aを備えず、可視光のモノクロ画像と近赤外線画像を撮像する撮像素子とすることもできる。このような構成によれば、撮像素子10Cの第2撮像素子12や撮像素子10Dの第1撮像素子11Aで高精細なモノクロ画像を撮像することができる。また、カラーフィルタアレイ80Aがないので、撮像素子10Cの第1撮像素子11や撮像素子10Dの第2撮像素子12Aに近赤外線LIRが全面に均一かつ多く入射されて、近赤外線画像を感度よく撮像することができる。
以上のように、本発明の第3実施形態およびその変形例に係る撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、第1撮像素子が、色選択性および光電変換効率に優れた有機光電変換膜と、高温プロセスで形成されたTFT構造を有する読出回路とを備え、第2撮像素子が、単結晶シリコン基板に形成されたSiフォトダイオードと読出回路を備える。したがって、第1撮像素子、第2撮像素子のそれぞれが、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好となる。さらに、有機材料からなるカラーフィルタを適用することにより、より簡易に製造することができる。そして、第1撮像素子が有機光電変換膜を備えるので、上に設けられたカラーフィルタによってある程度光を吸収されても十分な感度が得られる。または、第1撮像素子が、カラーフィルタと組み合わせて複数の波長域の光の情報を取得することもできる。
〔第4実施形態〕
第1、第2、第3実施形態では、下側の第2撮像素子が光電変換層としてSiフォトダイオードを備えるが、可視領域全体に感度を有しかつ耐熱性を有する材料であればこれに限られない。以下、第4実施形態に係る撮像素子について説明する。第1〜第3実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
本発明の第4実施形態に係る撮像素子10Eは、図13に示すように、上から順に、近赤外線画像を撮像する第1撮像素子11と、層間膜42と、カラーフィルタアレイ80と、層間膜48と、無機光電変換膜(第2の光電変換層)62および第2回路層(第2の読出回路)22Bを備えてカラー画像を撮像する第2撮像素子12Bと、基板40と、を備える。撮像素子10Eは、第1実施形態に係る撮像素子10(図2参照)について、第2撮像素子12を第2撮像素子12Bに置き換え、マイクロレンズアレイ90を削除したものである。以下に、第2撮像素子12Bの構成について説明する。
(第2撮像素子)
第2撮像素子12Bは、上下面を画素電極53と対向電極34に挟まれた無機光電変換膜(第2の光電変換層)62、第2回路層(第2の読出回路)22B、および第2回路層22Bの下に絶縁膜47を備える。すなわち、第2撮像素子12Bは、下から順に、対向電極34、無機光電変換膜62、画素電極53、絶縁膜47、第2回路層22Bを備える。第2撮像素子12Bを構成するこれらの要素はいずれも、耐熱温度が、第1撮像素子11、特に第1回路層21の半導体層2の形成温度以上で、具体的には300℃超、好ましくは350℃以上とする。第2撮像素子12Bは、第1撮像素子11とは逆に無機光電変換膜62の上に第2回路層22Bを配置した構成であり、このような構成とすることで、無機光電変換膜62に高温(例えば500℃以上)で形成される材料を適用することができる。
無機光電変換膜62は、第1撮像素子11の有機光電変換膜61に相当する光電変換層として、画素におけるフォトダイオードPD(図3、図4参照)を構成する。無機光電変換膜62は、前記したように、可視領域全体に感度を有しかつ耐熱性を有する材料からなる。具体的には、Cuと、In,Gaの少なくとも1種と、S,Seの少なくとも1種とを含有する組成CuIn1-xGax(Se1-yy)のカルコパイライト構造の化合物半導体(CIGS)膜が挙げられ、可視領域全体および近赤外線に感度を有する。さらに、無機光電変換膜62は、CIGS膜の上に、正孔注入阻止層として酸化ガリウム(Ga23)を積層して備えることが好ましい。
画素電極53と対向電極34は、無機光電変換膜62の両面に接続する一対の電極である。無機光電変換膜62の上面に接続する画素電極53は、第1撮像素子11の画素電極51と同様に、可視光の透過率の高い透明電極材料からなり、さらに、上に第2回路層22Bおよび第1回路層21の半導体層2を形成されるための耐熱性を有するように、透明電極材料の中でも耐熱性に優れたSnO2,FTO等を適用することが好ましい。対向電極34は、無機光電変換膜62の下面に接続するため、光を透過しなくてよく、一方で、無機光電変換膜62、特にCIGS膜の形成時の温度に対する耐熱性を有する導電材料からなり、具体的にはMo等の高融点金属を適用する。
第2回路層22Bは、第1回路層21(図2参照)と同様に、薄膜トランジスタ(TFT)構造を有する。ただし、第2回路層22Bは、上に第1回路層21を形成されるので、すべての要素が半導体層2を形成されるための耐熱性を有する材料で形成される。また、第2回路層22Bは、無機光電変換膜62の上側に設けられるため、下側の画素電極53に絶縁膜47のコンタクトホールを通じて接続するように、ソース・ドレイン電極32のパターンが設計される。一方、最上層の保護膜45は、コンタクトホールが形成されず、全面を被覆する。
絶縁膜47は、第1回路層21における保護膜45のように、画素電極53と第1回路層21の間に設けられて、コンタクトホールを通じて互いを接続する。層間膜48は、第1撮像素子11の保護膜46のように、必要に応じて第2回路層22Bの表面の凹凸を平坦な面とするために設けられる。絶縁膜47および層間膜48は、第1回路層21や第2回路層22Bにおける絶縁材料と同様に、無機材料で形成され、特に層間膜48はCMP法で加工し易いSiO2が好ましい。
(基板)
基板40は、第2撮像素子12Bを形成するための土台であり、無機光電変換膜62の形成時の温度に対する耐熱性を有する公知の基板材料からなり、例えば高耐熱ガラス基板が適用される。
〔撮像素子の製造方法〕
本発明の第4実施形態に係る撮像素子の製造方法について、図14を参照して説明する。本実施形態に係る撮像素子10Eは、第2撮像素子12Bを形成する第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)S10Bと、カラーフィルタアレイ80を形成する層内カラーフィルタアレイ形成工程S20と、第1撮像素子11を形成する第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)S40と、を行って得られる。すなわち、本発明の第1実施形態に係る撮像素子の製造方法(図6参照)について、第2撮像素子形成工程S10を置き換え、また、マイクロレンズアレイ形成工程S32を除いた手順である。層内カラーフィルタアレイ形成工程S20および第1撮像素子形成工程S40は、第1実施形態で説明した通りである。以下に、第2撮像素子形成工程S10Bについて説明する。
(第2撮像素子形成工程)
第2撮像素子形成工程S10Bは、基板40上に金属膜を成膜して対向電極34を形成する対向電極成膜工程S13と、対向電極34上に無機光電変換膜62を形成する光電変換膜形成工程S14と、透明電極膜で所定の領域に画素電極53を形成する画素電極形成工程S15と、無機材料を成膜して絶縁膜47を形成する絶縁膜成膜工程S16と、薄膜トランジスタで第2回路層22Bを形成する薄膜トランジスタ形成工程S17と、層間膜48を形成して平坦な表面とする層間膜形成工程S18と、を行う。
基板40上に、スパッタ法でMoを成膜して対向電極34を形成する(対向電極成膜工程S13)。この上に、多元蒸着法でCIGS膜を成膜し、さらにスパッタ法でGa23膜を積層して、無機光電変換膜62とする(光電変換膜形成工程S14)。無機光電変換膜62の上に透明電極材料を成膜し、この透明電極膜を加工して画素電極53とする(画素電極形成工程S15)。画素電極形成工程S15は、第1撮像素子形成工程S40の画素電極形成工程S43と同様である。
さらに、絶縁膜47を構成するSiN等を成膜し(絶縁膜成膜工程S16)、この絶縁膜47の上に第2回路層22Bを形成する(薄膜トランジスタ形成工程S17)。薄膜トランジスタ形成工程S17は、第1撮像素子形成工程S40の薄膜トランジスタ形成工程S42と同様である。ただし、絶縁膜44およびゲート絶縁膜43と共に絶縁膜47を加工して、画素電極53上にコンタクトホールを形成する。一方、保護膜45は、成膜のみで、コンタクトホールの形成は不要である。
層間膜形成工程S18は、第1撮像素子形成工程S40の層間膜形成工程S41と同様である。なお、第2回路層22Bの保護膜45を層間膜48と一体の膜として形成してもよい。
(変形例)
第2撮像素子12Bは、第1実施形態等の第2撮像素子12と同様に、MOSFETで形成された第2回路部22を備えてもよい。この場合には、Si基板にトランジスタ71を形成し、Si基板の上に配線33および絶縁層41を形成し、さらにトランジスタ71と電気的に接続する画素電極を表面に露出させて形成する。このSi基板を、基板40上に形成した無機光電変換膜62に貼り合わせた後、基板40を剥離する。そして、無機光電変換膜62の基板40を剥離された面に透明電極材料を成膜して、対向電極とする。そして、この対向電極の側を上として、第1撮像素子11を形成する。
撮像素子10Eは、第1撮像素子11と第2撮像素子12Bが共に、開口率および光電変換効率が高く、さらに第2撮像素子12Bのすぐ上にカラーフィルタアレイ80を備えるので、メインレンズ(図示省略)のみで集光する構成としているが、第1撮像素子11の上にマイクロレンズアレイ90を備えてもよい。さらに、カラーフィルタアレイ80に代えて、第1撮像素子11の上(マイクロレンズアレイ90との間)にカラーフィルタアレイ80Aを備えてもよい。また、撮像素子10Eは、第3実施形態と同様に、カラー画像のみを撮像する撮像素子とすることもできる。すなわち、第1撮像素子11を緑色光LGの撮像素子とし、カラーフィルタアレイ80(80A)をカラーフィルタ8r,8bを配列したものとして、第2撮像素子12Bを赤色光LRと青色光LBの撮像素子とし、さらに赤外線カットフィルタを備える。
以上のように、本発明の第4実施形態およびその変形例に係る撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、第1撮像素子が、色選択性および光電変換効率に優れた有機光電変換膜と、高温プロセスで形成されたTFT構造を有する読出回路とを備え、第2撮像素子も、光電変換効率に優れた光電変換膜と、高温プロセスで形成されたTFT構造を有する読出回路または単結晶シリコン基板に形成された読出回路とを備える。したがって、第1撮像素子、第2撮像素子のそれぞれが、感度および解像度が高く、信号の読出し特性が良好となる。
以上、本発明に係る撮像素子およびその製造方法を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
10,10A,10B,10C,10D,10E 撮像素子
11,11A 第1撮像素子
12,12A,12B 第2撮像素子
21 第1回路層(第1の読出回路)
22 第2回路部(第2の読出回路)
22B 第2回路層(第2の読出回路)
2 半導体層
31 ゲート電極
32 ソース電極、ドレイン電極
33,33A 配線
34 対向電極
40 基板
41 絶縁層
42,48 層間膜
43 ゲート絶縁膜
44 絶縁膜
45 保護膜
46 保護膜
47 絶縁膜
51,53 画素電極
52 対向電極
61 有機光電変換膜(第1の光電変換層)多結晶光電変換膜
61A 多結晶光電変換膜(第1の光電変換層)
62 無機光電変換膜(第2の光電変換層)
70,70A Si基板
70n n-エピタキシャル層
70p p-エピタキシャル層
70s p+
71 トランジスタ
71g ゲート
71n n+拡散層
71p pウェル
72,72A フォトダイオード(第2の光電変換層)
72n n+拡散層
72p p+拡散層
80,80A カラーフィルタアレイ
81 高屈折率層
82 低屈折率層
83 欠陥層
8r,8g,8b カラーフィルタ
90,90A マイクロレンズアレイ
9 マイクロレンズ
91 高屈折率層
92 低屈折率層
S10,S10A,S10B 第2撮像素子形成工程(下部撮像手段形成工程)
S11,S11A シリコン処理工程
S12 裏面研削工程
S13 対向電極成膜工程
S14 光電変換膜形成工程
S15 画素電極形成工程
S16 絶縁膜成膜工程
S17 薄膜トランジスタ形成工程
S18 層間膜形成工程
S20 層内カラーフィルタアレイ形成工程
S31,S32 マイクロレンズアレイ形成工程
S40 第1撮像素子形成工程(上部撮像手段形成工程)
S41 層間膜形成工程
S42 薄膜トランジスタ形成工程
S43 画素電極形成工程
S44 光電変換膜形成工程
S45 対向電極成膜工程
S46 保護膜形成工程
S50 カラーフィルタアレイ形成工程

Claims (10)

  1. 1以上の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ1以上の波長域の光を透過させる第1の光電変換層と、前記第1の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第1の読出回路と、前記第1の光電変換層を透過した1以上の波長域の光を吸収して電荷に変換する第2の光電変換層と、を上から順に備え、さらに前記第2の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第2の読出回路を前記第1の読出回路よりも下方に備え、複数の波長域を含む光を上から入射される撮像素子であって、
    前記第1の光電変換層は、耐熱温度が300℃未満の材料を含有し、両面を透明電極膜で挟まれ、
    前記第1の読出回路は、薄膜トランジスタを備え、
    前記第2の光電変換層は、耐熱温度が300℃以上の材料からなることを特徴とする撮像素子。
  2. 前記第1の光電変換層は、有機材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
  3. 前記第1の光電変換層は、近赤外線を吸収することを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
  4. 前記第1の光電変換層は、結晶セレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
  5. 前記第2の読出回路は、結晶シリコンを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子。
  6. 前記第2の光電変換層は、結晶シリコンを含むことを特徴とする請求項5に記載の撮像素子。
  7. 前記第2の光電変換層よりも上方に、前記第2の光電変換層が吸収する波長域の光を透過するカラーフィルタを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の撮像素子。
  8. 前記第2の光電変換層は2以上の波長域の光を吸収し、
    前記カラーフィルタは、前記第2の光電変換層が吸収する光のうちの固有の1波長域の光を透過しその余を吸収する2種類以上を周期的に配列して備えることを特徴とする請求項7に記載の撮像素子。
  9. 前記第1の光電変換層は2以上の波長域の光を吸収し、
    前記カラーフィルタは、前記第1の光電変換層の上に設けられ、前記第1の光電変換層が吸収する光のうちの固有の1波長域の光を透過しその余を吸収する2種類以上を周期的に配列して備えることを特徴とする請求項7に記載の撮像素子。
  10. 1以上の波長域の光を前記波長域毎に電気信号に変換して出力する下部撮像手段を形成する下部撮像手段形成工程と、前記下部撮像手段上に、前記1以上の波長域と異なる1以上の波長域の光を電気信号に変換して出力する上部撮像手段を形成する上部撮像手段形成工程と、を行う撮像素子の製造方法であって、
    前記下部撮像手段形成工程は、光電変換層およびトランジスタを形成し、
    前記上部撮像手段形成工程は、薄膜トランジスタを形成する工程と、透明電極膜を所定の領域に形成する画素電極形成工程と、前記透明電極膜が形成された側に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、前記光電変換層に透明電極膜を積層する対向電極成膜工程と、を行い、さらに前記光電変換層形成工程よりも前に熱処理を行うことを特徴とする撮像素子の製造方法。
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