以下、本開示による運転支援方法及び運転支援装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1における運転支援方法及び運転支援装置は、自動運転モードを選択すると、生成された目標走行経路に沿って走行するように駆動/制動/舵角が自動制御される自動運転車両(運転支援車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「停止位置コントローラの制御ブロック構成」、「停止位置制御処理構成」に分けて説明する。
以下、図1に基づいて、実施例1の全体システム構成を説明する。
自動運転システム10は、車載センサ1と、地図データ記憶部2と、外部データ通信器3と、自動運転制御ユニット4と、アクチュエータ5と、HMIデバイス6と、を備えている。
車載センサ1は、カメラ11と、レーダー12と、GPS13と、車載データ通信器14と、を有する。車載センサ1により取得したセンサ情報(自車周囲情報)は、自動運転制御ユニット4へ出力される。
カメラ11は、自動運転で求められる機能として、車線や先行車や歩行者等の自車の周囲情報を画像データにより取得する機能を実現する周囲認識センサである。このカメラ11は、例えば、自車の前方認識カメラ、後方認識カメラ、右方認識カメラ、左方認識カメラ等を組み合わせることにより構成される。
カメラ11では、自車走行路上物体・自車走行路外物体(道路構造物、先行車、後続車、対向車、周囲車両、歩行者、自転車、二輪車)・自車走行路(道路白線、道路境界、停止線、横断歩道)・道路標識(制限速度)等が検知される。
レーダー12は、自動運転で求められる機能として、自車周囲の物体の存在を検知する機能と共に、自車周囲の物体までの距離を検知する機能を実現する測距センサである。すなわち、レーダー12では、上述の自車走行路上物体や自車走行路外物体等の位置が検知されると共に、各物体までの距離が検知される。なお、検知角が不足するときには、適宜追加しても良い。ここで、「レーダー12」とは、電波を用いたレーダーと、光を用いたライダーと、超音波を用いたソナーと、を含む総称をいう。レーダー12としては、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波レーダー、レーザーレンジファインダー等を用いることができる。このレーダー12は、例えば、自車の前方レーダー、後方レーダー、右方レーダー、左方レーダー等を組み合わせることにより構成される。
GPS13は、GNSSアンテナ13aを有し、衛星通信を利用することで自車位置(緯度・経度)を検知する自車位置センサである。なお、「GNSS」は「Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム」の略称であり、「GPS」は「Global Positioning System:グローバル・ポジショニング・システム」の略称である。また、GPS13は、トンネルや建造物が比較的多い区間等では自車位置の検知精度が低下する場合がある。そのため、このような場合には、カメラ11やレーダー12、デットレコニング等の情報に基づいて自車位置を算出により推定する。
車載データ通信器14は、外部データ通信器3との間で送受信アンテナ3a,14aを介して無線通信を行うことで、自車で取得することができない情報を外部から取得する外部データセンサである。
外部データ通信器3は、例えば、自車の周辺を走行する他車に搭載されたデータ通信器の場合、自車と他車の間で車車間通信を行う。この車車間通信により、他車が保有する様々な情報のうち、自車で必要な情報を車載データ通信器14からのリクエストにより取得することができる。また、この外部データ通信器3は、例えば、インフラストラクチャ設備に設けられたデータ通信器の場合、自車とインフラストラクチャ設備の間でインフラ通信を行う。このインフラ通信により、インフラストラクチャ設備が保有する様々な情報のうち、自車で必要な情報を車載データ通信器14からのリクエストにより取得することができる。
すなわち、外部データ通信器3による外部機器との通信によって、例えば、地図データ記憶部2に保存されている地図データでは不足する情報や地図データから変更された情報がある場合、不足情報/変更情報を補うことができる。また、自車が走行を予定している目標走行経路上での渋滞情報や走行規制情報等の交通情報を取得することもできる。
地図データ記憶部2は、緯度経度と地図情報が対応づけられた、いわゆる電子地図データが格納された車載メモリにより構成される。
ここで、電子地図データには、GPS地図データと、高精度三次元地図データ(ダイナミックマップ)を含む。GPS地図データは、通常の経路案内に用いる地図データであり、車両が走行可能なほぼすべての領域で整備されている。一方、高精度三次元地図データは、GPS地図データよりもさらに高精細な三次元空間情報を持ち、少なくとも複数の車線を有する道路で各車線の認識ができるレベルの精度を持つ地図データである。高精度三次元地図データは、自動車線変更の実行等に用いる。この高精度三次元地図データを用いることにより、自動運転において複数車線の中で自車がどの車線を走るかという目標走行経路や、一つの車線の中での車幅方向の目標走行位置や停止位置を設定することができる。
なお、「自動車線変更」とは、自車位置情報及び車線情報に基づいて、ドライバー操作の介入を必要とせずに、所定の車線変更条件を満たしたことで自車が走行する車線を自動的に変更することである。
高精度三次元地図データは、各地点に対応づけられた道路情報を有し、道路情報は、ノードと、ノード間を接続するリンクにより定義される。道路情報は、道路の位置/領域により道路を特定する情報と、道路ごとの道路種別、道路ごとの道路幅、道路の形状情報とを含む。道路情報は、各道路リンクの識別情報ごとに、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報を対応づけて記憶されている。また、道路情報は、各道路リンクの識別情報ごとに、道路種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追越しの可否(隣接車線への進入の可否)、制限速度、道路標識、その他の道路に関する情報を対応づけて記憶されている。
自動運転制御ユニット4は、GPS13にて検知される自車位置を自己位置情報として認識すると、自車位置を中心とする地図データ情報を地図データ記憶部2へ要求し、必要な地図データ情報を取得する。さらに、この自動運転制御ユニット4では、地図データ情報と、車載センサ1等から入力された各種の情報(自車情報、自車位置情報、自車周囲情報、目的地情報等)を統合処理し、目標走行経路や目標車速プロファイル(加速プロファイルや減速プロファイルを含む)等を生成する。すなわち、この自動運転制御ユニット4は、現在地から目的地までの走行車線レベルによる目標走行経路を、地図データ記憶部2からの高精度地図データや所定のルート検索手法等に基づいて生成すると共に、目標走行経路に沿った目標車速プロファイル等を生成する。さらに、自動運転制御ユニット4では、目標走行経路に沿って自車の車速制御や操舵制御している間、車載センサ1による自車周囲のセンシング結果により自動運転を維持できないと判断すると、自車周囲のセンシング結果に基づいて、目標走行経路や目標車速プロファイル等を逐次修正する。
自動運転制御ユニット4は、目標走行経路を生成すると、目標走行経路に沿って走行するように走行制御指令や停止制御指令を出力し、必要な駆動指令値/制動指令値/舵角指令値を演算する。自動運転制御ユニット4にて演算された指令値は、自動運転制御ユニット4から各アクチュエータ51〜53に出力され、自車は目標走行経路に沿って車速制御や操舵制御を行う。具体的には、自動運転制御ユニット4は、駆動指令値の演算結果を駆動アクチュエータ51へ出力し、制動指令値の演算結果を制動アクチュエータ52へ出力し、舵角指令値の演算結果を舵角アクチュエータ53へ出力する。
アクチュエータ5は、自車の車速制御や操舵制御を行う制御アクチュエータであり、駆動アクチュエータ51と、制動アクチュエータ52と、舵角アクチュエータ53と、を有する。
駆動アクチュエータ51は、自動運転制御ユニット4から駆動指令値を入力し、駆動輪へ出力する駆動力を制御するアクチュエータである。駆動アクチュエータ51としては、例えば、エンジン車の場合にエンジンを用い、ハイブリッド車の場合にエンジンとモータ/ジェネレータ(力行)を用い、電気自動車の場合にモータ/ジェネレータ(力行)を用いる。
制動アクチュエータ52は、自動運転制御ユニット4から制動指令値を入力し、駆動輪へ出力する制動力を制御するアクチュエータである。制動アクチュエータ52としては、例えば、油圧ブースタや電動ブースタやブレーキ液圧アクチュエータやブレーキモータアクチュエータやモータ/ジェネレータ(回生)等を用いる。
舵角アクチュエータ53は、自動運転制御ユニット4から舵角指令値を入力し、操舵輪の転舵角を制御するアクチュエータである。なお、舵角アクチュエータ53としては、ステアリングシステムの操舵力伝達系に設けられる転舵モータ等を用いる。
HMIデバイス6は、自動運転中、自車が地図上で何処を移動しているか等の情報をドライバーや乗員に提供するデバイスである。なお、「HMI」とは、「Human Machine Interface」の略称である。HMIデバイス6は、例えばHUD(Head−UP Display:ヘッドアップディスプレイ)、メータ表示、ナビゲーションモニタ(車室内モニタ)等であり、これらを一つまたは複数組み合わせてもよい。
そして、この実施例1の自動運転制御ユニット4は、自車前方を横断しようとする横断予定者の手前で自車を停止させる際、自車の走行路内での停止位置を設定する停止位置制御(運転支援制御)を行う停止位置コントローラ40(コントローラ)を備える。
ここで、「横断予定者」とは、自車の前方を車両によらない方法で移動して自車の前方を横切ろうとする者を意味する。具体的には、歩行者や、身体障害者用の車いすやベビーカー等を通行させている者、自動二輪車や自転車等を押して歩いている者等であって、自車の進路の前方を横切ることが予測できる者である。なお、自車前方を横切るとの予測は、当該横断予定者の向きや移動方向に基づいて行う。また、「横断予定者の手前」とは、横断予定者が横断のために通行すると予測される進路(横断者進路)の手前の位置である。ここで、横断予定者が横断歩道を渡ろうとしているときは、横断歩道が「横断者進路」に相当し、「横断予定者の手前」は「横断歩道の手前」を意味する。なお、「横断歩道」は、道路標識や道路標示によって、歩行者等が道路を横断するための場所であることが示されている道路上の区域である。この「横断歩道」には、道路標識等により自転車の横断の用に供するための場所であることが示された「自転車横断帯」を含んでもよい。
さらに、「横断予定者の手前」の位置は、「横断予定者の手前」が「横断歩道の手前」を意味する場合には、横断歩道の直前位置である。また、横断者進路の手前に停止線が設けられている場合には、その停止線の直前位置である。横断歩道や停止線が設けられていない場合には、予測された横断者進路の直前位置となる。
そして、「自車の走行路」とは、横断予定者が横断しようとする車道が一車線のときには「自車が走行している車線(自車線)」を意味し、横断予定者が横断しようとする車道が複数車線ときには「横断予定者が横断しようとする車道」を意味する。さらに、「停止位置」とは、自車が停止する際の走行路(自車線又は車道)に対する車幅方向の位置である。つまり、横断予定者の手前で停止するときの自車の位置は、横断者進路の位置に応じて前後方向の位置が決められ、車幅方向の位置は「停止位置」を設定することで決められる。
なお、「自車を停止させる」ことには、横断者進路の直前で停止することができるような速度で走行する(徐行する)ことも含む。この場合、「自車の停止位置」は、「横断者進路の直前で停止することができるような速度で走行するときの走行路に対する車幅方向の位置」を意味する。
以下、図2に基づいて、実施例1の停止位置コントローラ40の制御ブロックの構成を説明する。
停止位置コントローラ40は、図2に示すように、横断歩道判断部41と、車線判断部42と、横断者判断部43と、位置判断部44と、停止位置設定部45と、発進制御部46と、目標走行経路修正部47と、を備えている。
横断歩道判断部41には、自車位置情報と地図データ情報等が入力される。この横断歩道判断部41では、入力された各種の情報に基づき、自車前方の目標走行経路における所定範囲内に、信号機が設置されていない横断歩道が存在するか否かを判断し、横断歩道判断情報を出力する。出力された横断歩道判断情報は、車線判断部42及び横断者判断部43に入力される。ここで、横断歩道判断部41は、自車位置情報と地図データ情報とを照合することで自車前方の横断歩道の有無を判断する。つまり、横断歩道判断部41では、地図データ上に自車位置を重ね合わせ、自車前方の目標走行経路に沿った所定の範囲を設定する。そして、地図データ情報に基づいて、この所定範囲内に信号機が設置されていない横断歩道が存在するか否かを判断する。この横断歩道判断部41による横断歩道の有無判断は、自車が当該横断歩道の手前に設定された停止位置に到着する前に行う。
なお、横断歩道判断部41では、カメラ11等の車載センサ1によって取得した自車周囲情報を取得し、この自車周囲情報に基づいて横断歩道の有無を判断してもよい。
また、「自車前方の所定範囲」とは、自車が横断歩道の手前に設定された停止位置に到着するまでの間に車線変更や同一車線内での走行位置の変更を実施可能であって、車載センサ1によって横断歩道を横断しようとする横断予定者を検出可能な範囲である。具体的には、横断歩道の手前100〜200mの範囲とする。そして、「信号機が設置されていない横断歩道」とは、横断予定者が横断歩道を渡るタイミングや、車両が横断歩道を横切るタイミングを制御する信号機が設置されていない横断歩道である。このような横断歩道では、横断予定者が横断歩道を渡るタイミングや、車両が横断歩道を横切るタイミング等は、横断予定者や車両の位置等に基づいて任意に決めることができる。
車線判断部42には、横断歩道判断部41の判断結果(横断歩道判断情報)と、自車位置情報、地図データ情報等が入力される。この車線判断部42では、横断歩道判断部41から、自車前方の所定範囲内に信号機が設置されていない横断歩道が存在するとの判断結果が入力されたことにより、当該横断歩道が設置された車道の車線数を検出し、この車道が一車線であるか複数車線であるかを判断し、車線情報を出力する。出力された車線情報は、停止位置設定部45に入力される。ここで、車線数は、地図データ情報に基づいて検出する。この車線判断部42による車線数の検出及び判断は、自車が横断歩道の手前に設定された停止位置に到着する前に行う。
なお、車線判断部42では、カメラ11等の車載センサ1によって取得した自車周囲情報入力し、この自車周囲情報に基づいて車線数を検出してもよい。
横断者判断部43には、横断歩道判断部41の判断結果(横断歩道判断情報)と、車載センサ1により取得した自車周囲情報等が入力される。この横断者判断部43では、横断歩道判断部41から、自車前方の所定範囲内に信号機が設置されていない横断歩道が存在するとの判断結果が入力されたことにより、当該横断歩道を横断しようとする横断予定者が存在するか否かを判断し、横断者情報を出力する。また、この横断者判断部43では、自車前方の信号機が設置されていない横断歩道を横断中の横断実行者が存在するか否かについても判断し、横断者情報を出力する。出力された横断者情報は、位置判断部44及び停止位置設定部45に入力される。ここで、横断者判断部43は、車載センサ1の検出範囲内の画像情報等を解析し、横断歩道の端部から横断歩道の内部に向かって所定速度(例えば時速5km程度)で移動する物体を検知したとき、横断予定者が存在すると判断する。また、横断歩道上を一方の端部から他方の端部に向かって所定速度で移動する物体を検知した場合には、横断実行者が存在すると判断する。この横断者判断部43による横断予定者又は横断実行者の有無判断は、自車が横断歩道の手前に設定された停止位置に到着する前に行う。
位置判断部44には、横断者判断部43の判断結果(横断者情報)と、車載センサ1により取得した自車周囲情報等が入力される。この位置判断部44では、横断者判断部43から、横断予定者が存在するとの判断結果が入力されたことにより、自車に対する当該横断予定者の位置を判断し、横断者位置情報を出力する。出力された横断者位置情報は、停止位置設定部45に入力される。ここで、位置判断部44は、車載センサ1の検出範囲内の画像情報等を解析し、自車前方の横断歩道の左端部から当該横断歩道の内部に向かう移動体のみを検出したとき、「横断予定者が自車の左側のみに存在する」と判断する。また、自車前方の横断歩道の右端部から当該横断歩道の内部に向かう移動体のみを検出したとき、「横断予定者が自車の右側のみに存在する」と判断する。さらに、自車前方の横断歩道の左端部及び右端部の双方からそれぞれ当該横断歩道の内部に向かう移動体を検出したとき、「横断予定者が自車の左右両側に存在する」と判断する。この位置判断部44による横断予定者の位置判断は、自車が横断歩道の手前に設定された停止位置に到着する前に行う。
停止位置設定部45には、車線判断部42の検出結果(車線情報)と、横断者判断部43の判断結果(横断者情報)と、位置判断部44の判断結果(横断者位置情報)と、自車位置情報、地図データ情報等が入力される。この停止位置設定部45では、入力された各種の情報に基づき、自車前方の信号機が設置されていない横断歩道の手前での自車の停止位置を設定し、停止位置情報を出力する。出力された停止位置情報は、目標走行経路修正部47に入力される。この停止位置設定部45による停止位置の設定は、自車が横断歩道の手前に設定された停止位置に到着する前に行う。
ここで、停止位置設定部45は、横断歩道手前での停止位置を以下に列挙するように設定する。
・横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左側のみに存在するときには、停止位置を自車が横断歩道に向かって走行している車線の車幅方向中央よりも左側の位置に設定する。
・横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の右側のみに存在するときには、停止位置を自車が横断歩道に向かって走行している車線の車幅方向中央よりも右側の位置に設定する。
・横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左右両側に存在するときには、停止位置を自車が横断歩道に向かって走行している車線の車幅方向中央位置に設定する。
・横断歩道が設置された車道が複数車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左側のみに存在するときには、停止位置を左端車線の車幅方向中央位置に設定する。
・横断歩道が設置された車道が複数車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の右側のみに存在するときには、停止位置を右端車線の車幅方向中央位置に設定する。
・横断歩道が設置された車道が複数車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左右両側に存在するときには、停止位置を中央線に隣接した車線の車幅方向中央位置に設定する。
・横断実行者が存在するときには、車線数に拘らず、停止位置を自車が横断歩道に向かって走行している車線の車幅方向中央位置に設定する。
なお、この停止位置設定部45では、設定予定の停止位置に向かうための車線変更が生じるときには、停止位置を設定する前に必要な車線変更の実行可否を判断する。そして、停止位置に向かうための車線変更が実行可能であると判断した場合に、停止位置を上記の記載の通りに設定する。一方、車線変更が実行不可能であると判断した場合には、停止位置を自車が走行中の車線の車幅方向中央位置に設定する。
そして、目標走行経路修正部47では、停止位置設定部45から入力された停止位置情報に基づいて、自車が停止位置に向かって走行するように目標走行経路を修正する。目標走行経路修正部47によって目標走行経路が修正されると、自動運転制御ユニット4から修正された目標走行経路に基づく走行制御指令を出力される。自車では、この走行制御指令に基づいて、停止位置が設定された車線に向かう車線変更や、停止位置に向かう走行位置の変更が行なわれる。そして、自車が停止位置に到着したと判断されたとき、自動運転制御ユニット4から停止制御指令が出力されて、自車は停止する。
発進制御部46には、停止位置設定部45の設定結果(停止位置情報)と、自車位置情報、地図データ情報、自車周囲情報等が入力される。この発進制御部46では、自車位置情報及び地図データ情報等に基づいて自車が停止位置で停止したと判断したら、入力された自車周囲情報に基づいて予め設定した発進条件が成立したか否かを判断する。そして、発進制御部46は、発進条件が成立したと判断した場合には、自車の停止位置からの発進を許可し、発進許可信号を出力する。
ここで、「発進条件」とは、自車が横断歩道を通過する際に走行すると予測される領域(走行予定領域)を、全ての横断実行者及び全ての横断予定者が通り過ぎ、横断実行者等の背後(進行方向の逆側)に自車が走行可能なスペースが生じることである。なお、横断実行者や横断予定者の背後に自車が走行できるスペースができればよいため、自車が停止位置で停止している状態で全ての横断実行者等が走行予定領域を通り過ぎたときに発進条件が成立したと判断してもよい。また、自車の予測走行速度や、横断実行者等の進行方向や予測される進行速度から逆算し、自車が横断歩道上に到達すると予測したタイミングで全ての横断実行者等が走行予定領域を通り過ぎていると予測できた場合には、全ての横断実行者等が走行予定領域を通り過ぎる前に発進条件が成立したと判断してもよい。
また、発進制御部46から発進許可信号が出力された場合、自動運転制御ユニット4から走行制御指令が出力され、この走行制御指令に基づいてアクチュエータ5に対して必要な演算値が出力されて、自車が発進する。なお、このとき、車速制御が行われて、直ちに停止することができるような速度で自車を走行させる徐行運転が実行される。また、発進後の目標走行経路は、停止位置から車線に沿った方向(道なり方向)に設定される。つまり、例えば、停止位置が車線の車幅方向中央よりも左側の位置に設定されている場合には、発進後の目標走行経路は、車線の車幅方向中央よりも左側の位置に沿って設定される。
さらに、この発進制御部46では、入力された自車位置情報と地図データ情報とを照合し、自車が横断歩道を通過したか否かを判断する。そして、横断歩道を通過したと判断した場合には、横断歩道通過情報を出力する。出力された横断歩道通過情報は、目標走行経路修正部47に入力される。なお、発進制御部46では、カメラ11等の車載センサ1によって取得した自車周囲情報を入力し、この自車周囲情報に基づいて横断歩道の通過判断を行ってもよい。
そして、目標走行経路修正部47では、発進制御部46から横断歩道通過情報が入力されたことにより、自車が走行中の車線の車幅方向中央位置に沿うように目標走行経路を新たに設定する。ここで、停止位置が車線の車幅方向中央位置からずれていた場合には、目標走行経路は進行方向が車線の車幅方向中央位置に向かって変化する。一方、停止位置が車線の車幅方向中央位置に設定されているときには、目標走行経路は進行方向が道なり方向に沿ったままになる。
目標走行経路修正部47によって目標走行経路が新たに設定されると、自動運転制御ユニット4から走行制御指令が出力され、この走行制御指令に基づいてアクチュエータ5に対して必要な演算値が出力されて、自車は新たに設定された目標走行経路に沿って走行する。つまり、自車は、停止位置が車線の車幅方向中央位置からずれていたときには、車線の車幅方向中央位置に向かって走行する。なお、このとき、自車は道路標識等により指定されている最高速度等に応じた車速制御がなされる。すなわち、自車が横断歩道を通過した後には、自車が車線の車幅方向中央位置を通常速度にて走行するように制御される。
以下、実施例1の停止位置コントローラ40にて実行する停止位置制御処理の構成を、図3A〜図3Dに示す停止位置制御のフローチャートに基づいて説明する。なお、この停止位置制御は、原則として自車が出発地から目的地に到着するまでの間繰り返し実行される。
図3Aに示すステップS1では、自車前方の目標走行経路における所定範囲内に、信号機が設置されていない横断歩道が存在するか否かを判断する。YES(横断歩道あり)の場合にはステップS2へ進む。NO(横断歩道なし)の場合にはステップS1を繰り返す。なお、ステップS1が横断歩道判断部41に相当する。
ステップS2では、ステップS1での横断歩道ありとの判断に続き、存在すると判断された横断歩道が設置された車道が一車線であるか否かを判断する。YES(一車線)の場合にはステップS3へ進む。NO(複数車線)の場合にはステップS10へ進む。なお、ステップS2が車線判断部42に相当する。
図3Bに示すステップS3では、自車前方の横断歩道が設置された車道が一車線との判断に続き、当該横断歩道を横断中の横断実行者が存在するか否かを判断する。YES(横断実行者あり)の場合にはステップS6へ進む。NO(横断実行者なし)の場合にはステップS4へ進む。
ステップS4では、ステップS3での横断実行者なしとの判断に続き、自車前方の横断歩道を横断しようとする横断予定者が存在するか否かを判断する。YES(横断予定者あり)の場合にはステップS5へ進む。NO(横断予定者なし)の場合にはステップS30へ進む。なお、ステップS3及びステップS4が横断者判断部43に相当する。
ステップS5では、ステップS4での横断予定者ありとの判断に続き、当該横断予定者が自車の左右両側に存在するか否かを判断する。YES(両側に横断予定者あり)の場合にはステップS6へ進む。NO(片側のみに横断予定者あり)の場合にはステップS7へ進む。
ステップS6では、ステップS3での横断実行者ありとの判断、又はステップS5での横断予定者が自車の左右両側に存在するとの判断のいずれかに続き、横断歩道手前に設定される停止位置を、当該横断歩道が設置された車線の車幅方向中央位置に設定し、ステップS24へ進む(図3D参照)。
ステップS7では、ステップS5での自車の片側のみに横断予定者ありとの判断に続き、横断予定者が自車の左側に存在するか否かを判断する。YES(横断予定者が自車の左側に存在)の場合にはステップS8へ進む。NO(横断予定者が自車の右側に存在する)の場合にはステップS9へ進む。なお、ステップS5及びステップS7が位置判断部44に相当する。
ステップS8では、ステップS7での横断予定者が自車の左側のみに存在するとの判断に続き、横断歩道手前に設定される停止位置を、当該横断歩道が設置された車線の車幅方向中央よりも左側の位置に設定し、ステップS24へ進む(図3D参照)。
ステップS9では、ステップS7での横断予定者が自車の右側のみに存在するとの判断に続き、横断歩道手前に設定される停止位置を、当該横断歩道が設置された車線の車幅方向中央よりも右側の位置に設定し、ステップS24へ進む(図3D参照)。なお、ステップS6,ステップS8,ステップS9が停止位置設定部45に相当する。
図3Cに示すステップS10では、ステップS2での自車前方の横断歩道が設置された車道が複数車線との判断に続き、当該横断歩道を横断中の横断実行者が存在するか否かを判断する。YES(横断実行者あり)の場合にはステップS22へ進む。NO(横断実行者なし)の場合にはステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS10での横断実行者なしとの判断に続き、自車前方の横断歩道を横断しようとする横断予定者が存在するか否かを判断する。YES(横断予定者あり)の場合にはステップS12へ進む。NO(横断予定者なし)の場合にはステップS30へ進む。なお、ステップS10及びステップS11が横断者判断部43に相当する。
ステップS12では、ステップS11での横断予定者ありとの判断に続き、当該横断予定者が自車の左右両側に存在するか否かを判断する。YES(両側に横断予定者あり)の場合にはステップS13へ進む。NO(片側のみに横断予定者あり)の場合にはステップS15へ進む。
ステップS13では、ステップS12での横断予定者が自車の左右両側に存在するとの判断に続き、自車線(自車が走行中の車線)から横断歩道が設置された車道の中央線に隣接する車線へ車線変更が実行可能であるか否かを判断する。YES(車線変更可能)の場合にはステップS14へ進む。NO(車線変更不可能)の場合にはステップS22へ進む。
ここで、「中央線」とは、車両の通行を方向別に区分するため、道路に標示された線や道路に設置された構造物(中央分離帯)である。「中央線に隣接する車線」とは、左側通行の場合には右端車線を意味し、右側通行の場合には左端車線を意味する。そして、車線変更の可否は、自車位置情報や自車周囲情報に基づいて判断する。つまり、自車が既に中央線に隣接する車線を走行しているときや、中央線に隣接する車線を走行中の他車の走行予測状況等に基づいて車線変更ができないと判断されたとき、中央線に隣接する車線に進行方向別通行区分の道路標識等が設定されている場合であって、この進行方向別通行区分が自車Vの進行方向に合致しないとき等は、車線変更不可能と判断する。
ステップS14では、ステップS13での中央線に隣接する車線への車線変更可能との判断に続き、自車を走行させる目標車線を「中央線に隣接する車線」に設定し、ステップS20へ進む。
ステップS15では、ステップS12での自車の片側のみに横断予定者ありとの判断に続き、横断予定者が自車の左側に存在するか否かを判断する。YES(横断予定者が自車の左側に存在)の場合にはステップS16へ進む。NO(横断予定者が自車の右側に存在する)の場合にはステップS18へ進む。なお、ステップS12及びステップS15が位置判断部44に相当する。
ステップS16では、ステップS15での横断予定者が自車の左側のみに存在するとの判断に続き、自車線(自車が走行中の車線)から横断歩道が設置された車道の左端車線へ車線変更が実行可能であるか否かを判断する。YES(車線変更可能)の場合にはステップS17へ進む。NO(車線変更不可能)の場合にはステップS22へ進む。ここで、車線変更の可否は、自車位置情報や自車周囲情報に基づいて判断する。つまり、自車が既に左端車線を走行しているときや、左端車線を走行中の他車の走行予測状況等に基づいて車線変更ができないと判断されたとき、さらに左端車線に設定された進行方向別通行区分が自車の進行方向に合致しないとき等は、車線変更不可能と判断する。
ステップS17では、ステップS16での左端車線への車線変更可能との判断に続き、自車を走行させる目標車線を「左端車線」に設定し、ステップS20へ進む。
ステップS18では、ステップS15での横断予定者が自車の右側のみに存在するとの判断に続き、自車線(自車が走行中の車線)から横断歩道が設置された車道の右端車線へ車線変更が実行可能であるか否かを判断する。YES(車線変更可能)の場合にはステップS19へ進む。NO(車線変更不可能)の場合にはステップS22へ進む。ここで、車線変更の可否は、自車位置情報や自車周囲情報に基づいて判断する。つまり、自車が既に右端車線を走行しているときや、右端車線を走行中の他車の走行予測状況等に基づいて車線変更ができないと判断されたとき、右端車線に設定された進行方向別通行区分が自車の進行方向に合致しないとき等は、車線変更不可能と判断する。
ステップS19では、ステップS18での右端車線への車線変更可能との判断に続き、自車を走行させる目標車線を「右端車線」に設定し、ステップS20へ進む。
ステップS20では、ステップS14、ステップS17、ステップS19でのいずれかの目標車線の設定に続き、横断歩道手前に設定される停止位置を、各ステップにて目標車線に設定された車線の車幅方向中央位置に設定し、ステップS21へ進む。
ステップS21では、ステップS20での停止位置の設定に続き、自動運転制御ユニット4から車線変更制御指令が出力され、自車では、ステップS14、ステップS17、ステップS19のいずれかで設定された目標車線に向かう車線変更を実行され、ステップS24へ進む(図3D参照)。
ステップS22では、ステップS10での横断実行者ありとの判断、ステップS13での中央線に隣接する車線への車線変更不可能との判断、ステップS16での左端車線への車線変更不可能との判断、ステップS18での右端車線への車線変更不可能との判断のいずれかに続き、自車を走行させる目標車線を「自車線(自車が走行中の車線)」のまま維持し、ステップS23へ進む。これにより、自車は自車線の走行を維持する。
ステップS23では、ステップS22での目標車線の設定(自車線の走行を維持)に続き、横断歩道手前に設定される停止位置を、自車線の車幅方向中央位置に設定し、ステップS24へ進む(図3D参照)。なお、ステップS13,ステップS14,ステップS16〜20,ステップS22,ステップS23が停止位置設定部45に相当する。
ステップS24では、ステップS6、ステップS8、ステップS9での停止位置の設定、ステップS21での車線変更の実行、ステップS23での停止位置の設定のいずれかに続き、設定した停止位置に向かうように目標走行経路を必要に応じて修正しながら走行を継続し、ステップS25へ進む。なお、ステップS24が目標走行経路修正部47に相当する。
ステップS25では、ステップS24での停止位置に向けた走行継続に続き、自動運転制御ユニット4において横断歩道の手前に設定した停止位置に自車が到着したか否かが判断される。YES(停止位置に到着)の場合にはステップS26へ進む。NO(停止位置に未到着)の場合にはステップS24へ戻る。ここで、自車が停止位置に到着したか否かは、自己位置情報と地図データ情報を照合して判断する。
ステップS26では、ステップS25での自車が停止位置に到着との判断に続き、自動運転制御ユニット4から停止制御指令が出力されて自車が停止し、ステップS27へ進む。
ステップS27では、ステップS26での自車の停止に続き、予め設定した発進条件が成立したか否かを判断する。YES(発進条件成立)の場合にはステップS28へ進む。NO(発進条件不成立)の場合にはステップS26へ戻り、自車の停止を継続する。
ステップS28では、ステップS27での発進条件成立との判断に続き、自車の発進を許可し、発進許可信号を出力して、ステップS29へ進む。
ステップS29では、ステップS28での発進許可の出力に続き、自動運転制御ユニット4から走行制御指令が出力され、アクチュエータ5に対して必要な演算値が出力されて自車を発進させ、ステップS30へ進む。
ステップS30では、ステップS29での自車の発進に続き、自動運転制御ユニット4から車速制御指令が出力され、自車では、直ちに停止することができるような速度で走行する徐行運転が実行され、ステップS31へ進む。
ステップS31では、ステップS30での徐行運転の実行に続き、自車が横断歩道を通過したか否かを判断する。YES(横断歩道通過)の場合にはステップS32へ進む。NO(横断歩道未通過)の場合にはステップS30に戻る。なお、ステップS27、ステップS28及びステップS31が発進制御部46に相当する。
ステップS32では、ステップS31での横断歩道通過との判断に続き、目標走行経路を自車が走行中の車線の車幅方向中央位置に沿うように設定し、ステップS33へ進む。ここで、横断歩道の手前での自車の停止位置が車線の車幅方向中央位置からずれていた場合には、目標走行経路が向かう方向が車線の車幅方向中央位置に向かって変化する。一方、横断歩道手前での自車の停止位置が車線の車幅方向中央位置に設定されているときには、目標走行経路は道なり方向に沿ったものとなる。なお、ステップS32が目標走行経路修正部47に相当する。
ステップS33では、ステップS32での目標走行経路の設定に続き、自動運転制御ユニット4から走行制御指令が出力されて、自車では、ステップS32にて設定された目標走行経路に沿って、道路標識等により指定されている最高速度等に応じた速度で走行する通常運転が実行され、エンドへ進む。
次に、図4及び図5に基づき、信号機が設置されていない横断歩道の手前において、横断予定者の存在位置に拘らず、横断歩道の手前での停止位置を、当該横断歩道が設置された車道(車線)の車幅方向中央位置に設定する第1比較例の運転支援方法を説明する。
図4に示す走行シーンにおいて、時刻t1時点で自車Vの前方に信号機が設置されていない横断歩道Aと、当該横断歩道Aを渡ろうとしている横断予定者100を検出する。そして、時刻t2時点で横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で停止する。このとき、停止位置(自車線J内での車幅方向の位置)は、自車線Jの車幅方向中央位置αに設定される。一方、図4では、横断予定者100は自車Vの左側のみに存在する。
時刻t3時点において、横断予定者100が横断歩道Aの横断を開始し、横断歩道Aを渡り始める。そして、時刻t4時点で、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、発進許可信号が出力される。そして、走行制御指令が出力されて、時刻t5時点で自車Vは発進する。
一方、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t4時点で、この横断予定者100は横断歩道Aを半分程度通過した位置まで移動している。そして、自車Vが発進した時刻t5時点では、横断予定者100は横断歩道Aを半分以上通過している。すなわち、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するシーンにおいて、横断歩道Aが設置された車道の自車線Jの車幅方向中央位置αに停止位置を設定した場合では、この横断予定者100が横断歩道Aを半分程度通過した位置(対向車線E上)まで移動しなければ、自車Vは発進することができない。
また、図5に示す走行シーンにおいて、時刻t11時点で自車Vの前方に信号機が設置されていない横断歩道Aと、当該横断歩道Aを渡ろうとしている横断予定者100を検出する。そして、時刻t12時点で横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で停止する。このとき、停止位置(自車線J内での車幅方向の位置)は、自車線Jの車幅方向中央位置αに設定される。一方、図5では、横断予定者は自車Vの右側のみに存在する。
時刻t13時点において、横断予定者100が横断歩道Aの横断を開始し、横断歩道Aを渡り始める。そして、時刻t14時点で、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、発進許可信号が出力される。そして、走行制御指令が出力されて、時刻t15時点で自車Vは発進する。
一方、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t14時点で、この横断予定者100は横断歩道Aをほぼ通過した位置(横断歩道Aの左端)まで移動している。そして、自車Vが発進した時刻t15時点では、横断予定者100は横断歩道Aを渡り切り、歩道に達している。すなわち、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するシーンにおいて、横断歩道Aが設置された車道の自車線Jの車幅方向中央位置αに停止位置を設定した場合では、この横断予定者100が横断歩道Aをほぼ渡りきる位置まで移動しなければ、自車Vは発進することができない。
以下、図6に基づいて、横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左側のみに存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、自車Vが自動運転にて走行中、信号機が設置されていない横断歩道Aへと近づき、時刻t21時点において、この横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、図3Aに示すステップS1にて肯定判断がなされて、ステップS2へ進む。図6に示す走行シーンでは、横断歩道Aが設置された車道が一車線であるので、ステップS2にて肯定判断がなされて図3Bに示すステップS3へと進み、横断実行者がいないためにステップS3では否定判断がなされる。
そして、図6に示す走行シーンでは、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するため、ステップS4にて肯定判断がなされ、続いてステップS5にて否定判断がなされ、続いてステップS7にて肯定判断がなされてステップS8へと進む。この結果、自車Vの停止位置は、自車線Jの車幅方向中央位置αよりも左側の位置βに設定される。
そして、図3Dに示すステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t22時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αよりも左側の位置βにて停止する。このため、自車Vを横断予定者100がいる側に寄せて停止することができる。
その後、時刻t23時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t24時点において、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t25時点において自車Vは自動的に発進する。ここで、横断歩道Aを通過するまではステップS30を繰り返すため、自車Vは徐行運転となる。
そして、時刻t26時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線Jの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。
ここで、横断予定者100が走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t24時点において、横断予定者100は横断歩道Aを三分の一程度しか移動していない。つまり、実施例1の停止位置コントローラ40による停止位置制御では、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するシーンにおいて、この横断予定者100が横断歩道Aを半分程度移動する前(自車線J上に存在する間)に自車Vが発進させることができる。
これにより、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在しているときに、横断歩道Aが設置された車線(自車線J)の車幅方向中央位置αに停止位置を設定する場合(図4)と比べて、横断歩道Aの手前での停止位置を、横断予定者100が存在する側に寄った位置(左側の位置β)に設定することで、横断歩道Aの手前で停止させたときの停止時間を短縮することができる。
以下、図7に基づいて、横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の右側のみに存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、図7に示す走行シーンにおいて、自車Vが自動運転にて走行中、時刻t31時点で信号機が設置されていない横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、ステップS1、ステップS2と順に肯定判断がなされ、ステップS3では否定判断がなされる。
そして、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するために、ステップS4にて肯定判断がなされた後、ステップS5、ステップS7にて順に否定判断がなされてステップS9へと進む。この結果、自車Vの停止位置は、自車線Jの車幅方向中央位置αよりも右側の位置γに設定される。
そして、ステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t32時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αよりも右側の位置γにて停止する。このため、自車Vを横断予定者100がいる側に寄せて停止することができる。
その後、時刻t33時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t34時点において、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t35時点において自車Vは自動的に発進すると共に、徐行運転が行われる。
そして、時刻t36時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線Jの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。
ここで、横断予定者100が走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t34時点において、横断予定者100は横断歩道Aを渡り切っていない。つまり、実施例1の停止位置コントローラ40による停止位置制御では、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するシーンにおいて、この横断予定者100が横断歩道Aを渡り切る前(自車線J上に存在する間)に自車Vが発進させることができる。
これにより、横断予定者100が自車の右側のみに存在しているときに、横断歩道Aが設置された車線(自車線J)の車幅方向中央位置αに停止位置を設定する場合(図5)と比べて、横断歩道Aの手前での停止位置を、横断予定者100が存在する側に寄った位置(右側の位置γ)に設定することで、横断歩道Aの手前で停止させたときの停止時間を短縮することができる。
また、実施例1の運転支援方法及び運転支援装置では、停止位置で自車を停止した後、予め設定した発進条件を満足したと判断した場合には、自車Vの発進を許可する。また、自車Vが横断歩道Aを通過した後の目標走行経路Lを、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿うように設定する。これにより、自車Vは、停止位置から道なり方向に走行して横断歩道Aを通過し、横断歩道Aの通過後、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿った目標走行経路Lに沿って通常運転にて走行する。
そのため、自車Vが横断歩道Aを通過している間に自車Vの走行位置が車幅方向にぶれてしまうことを防止でき、自車Vは横断歩道Aを速やかに通過することができる。また、自車Vが横断歩道Aの通過中に横断予定者100に寄っていくことがなく、横断予定者100から離れた位置で横断歩道Aを通過することができる。
以下、図8に基づいて、横断歩道が設置された車道が一車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左右両側に存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、図8に示す走行シーンにおいて、自車Vが自動運転にて走行中、時刻t41時点で信号機が設置されていない横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、ステップS1、ステップS2と順に肯定判断がなされ、ステップS3では否定判断がなされる。
そして、ここでは横断予定者100が自車Vの左右両側に存在するため、ステップS4にて肯定判断がなされた後、ステップS5においても肯定判断がなされてステップS6へと進む。この結果、自車Vの停止位置は、自車線Jの車幅方向中央位置αに設定される。
そして、ステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t42時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αにて停止する。
その後、時刻t43時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t44時点において、左右双方の横断予定者100がいずれも自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t45時点において、自車Vは自動的に発進すると共に、徐行運転が行われる。
そして、時刻t46時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線Jの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。なお、図8に示す走行シーンでは、横断歩道Aの手前での停止位置が、自車線Jの車幅方向中央位置αに設定されている。このため、自車Vの走行位置は車幅方向に変動することなく、自車Vは停止位置から道なり方向に沿って走行する。
このように、実施例1の運転支援方法及び運転支援装置では、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する場合であって、横断歩道Aが設置された車道が一車線の場合、当該横断歩道Aの手前での自車Vの停止位置を、自車線Jの車幅方向中央位置αに設定する。
これにより、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する状態で、車幅方向中央位置αに対して仮に自車線Jの中で左右いずれかの位置に寄って停止した場合と比べ、停止時間を短縮することが可能となる。さらに、左右双方の横断予定者100がいずれも走行予定領域Xを通り過ぎた後、全ての横断予定者100の背後を速やかに通過することができるため、横断予定者100に無用な不安感を感じさせることなく、適切なタイミングで横断歩道Aを通過することができる。
次に、図9に基づき、信号機が設置されていない横断歩道の手前において、当該横断歩道が設置された車道が複数車線のとき、横断予定者の存在位置に拘らず、横断歩道の手前での停止位置を自車線上に設定する第2比較例の運転支援方法を説明する。
図9に示す走行シーンにおいて、時刻t51時点で自車Vの前方に信号機が設置されていない横断歩道Aと、当該横断歩道Aを渡ろうとしている横断予定者100を検出する。そして、時刻t52時点で横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で停止する。このとき、横断歩道Aが設置された車道が二車線(複数車線)であるが、停止位置(自車線内での車幅方向の位置)は、自車Vが走行中の車線(右車線C)の車幅方向中央位置αに設定される。一方、図9では、横断予定者100は自車Vの左側のみに存在する。
時刻t53時点において、横断予定者100が横断歩道Aの横断を開始し、横断歩道Aを渡り始める。そして、時刻t54時点で、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断されて時刻t55時点で自車Vは発進する。
一方、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t54時点で、この横断予定者100は横断歩道Aを三分の二程度通過した位置まで移動している。そして、自車Vが発進した時刻t55時点では、横断予定者100は対向車線E上まで移動している。すなわち、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するシーンにおいて、横断歩道Aが設置された車道が二車線のときに自車線上に停止位置を設定した場合では、自車線が右車線Cの場合、横断予定者100が横断歩道Aを三分の二程度通過した位置(対向車線E上)まで移動しなければ、自車Vは発進することができない。
以下、図10に基づいて、横断歩道が設置された車道が複数車線(二車線)であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左側のみに存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、自車Vが自動運転にて走行中、信号機が設置されていない横断歩道Aへと近づき、時刻t61時点において、この横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、ステップS1にて肯定判断がなされて、ステップS2へ進む。図10に示す走行シーンでは、横断歩道Aが設置された車道が二車線であるので、ステップS2にて否定判断がなされて図3Cに示すステップS10へと進み、横断実行者がいないためにステップS10では否定判断がなされる。
そして、図10に示す走行シーンでは、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するため、ステップS11にて肯定判断がなされ、続いてステップS12にて否定判断がなされ、続いてステップS15にて肯定判断がなされてステップS16へと進む。
図10に示す走行シーンでは、自車Vが右車線Cを走行する一方、左車線Dに他車が存在していないため、左車線D(左端車線)への車線変更が可能である。そのため、ステップS16にて肯定判断がなされてステップS17へ進み、自車Vを走行させる目標車線が左車線D(左端車線)に設定される。そして、ステップS20に進んで、自車Vの停止位置が、左車線Dの車幅方向中央位置αに設定される。
横断歩道Aの手前での停止位置が設定されたら、ステップS21へと進んで、自車Vが設定された停止位置(左車線Dの車幅方向中央位置α)にて停止するように車線変更が実行される。
その後、図3Dに示すステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t62時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、左車線D(左端車線)の車幅方向中央位置αにて停止する。このため、自車Vを横断予定者100がいる側に寄せて停止することができる。
その後、時刻t63時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t64時点において、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t65時点において自車Vは自動的に発進する。ここで、横断歩道Aを通過するまではステップS30を繰り返すため、自車Vは徐行運転となる。
そして、時刻t66時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線である左車線Dの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、左車線Dの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。なお、図10に示す走行シーンでは、横断歩道Aの手前での停止位置が、左車線Dの車幅方向中央位置αに設定されている。このため、自車Vの走行位置は車幅方向に変動することなく、自車Vは停止位置から道なり方向に沿って走行する。
ここで、横断予定者100が走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t64時点において、横断予定者100は横断歩道Aを三分の一程度しか移動していない。つまり、実施例1の停止位置コントローラ40による停止位置制御では、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するシーンにおいて、この横断予定者100が横断歩道Aを半分程度移動する前(対向車線E上に移動する前)に自車Vが発進させることができる。
これにより、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在しているときに右車線Cの走行を継続し、右車線Cにて停止した場合(図9)と比べて、横断歩道Aの手前での停止位置を、横断予定者100が存在する側に寄った位置(左車線D)に設定することで、横断歩道Aの手前で停止させたときの停止時間を短縮することが可能となる。
以下、図11に基づいて、横断歩道が設置された車道が複数車線(二車線)であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の右側のみに存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、図11に示す走行シーンにおいて、自車Vが自動運転にて走行中、時刻t71時点で信号機が設置されていない横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、ステップS1にて肯定判断がなされた後、横断歩道Aが設置された車道が二車線であることからステップS2において否定判断が行われ、ステップS10へ進む。
そして、図11に示す走行シーンでは、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するため、ステップS10にて否定判断がなされ、続いてステップS11にて肯定判断がなされた後、ステップS12、ステップS15にて順に否定判断がなされてステップS18へと進む。
図11に示す走行シーンでは、自車Vが左車線Dを走行する一方、右車線Cに他車が存在していないため、右車線C(右端車線)への車線変更が可能である。そのため、ステップS18にて肯定判断がなされてステップS19へ進み、自車Vを走行させる目標車線が右車線C(右端車線)に設定される。そして、ステップS20に進んで、自車Vの停止位置が、右車線Cの車幅方向中央位置αに設定される。
横断歩道Aの手前での停止位置が設定されたら、ステップS21へと進んで、自車Vが設定された停止位置(右車線Cの車幅方向中央位置α)にて停止するように車線変更が実行される。
その後、図3Dに示すステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t72時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、右車線C(右端車線)の車幅方向中央位置αにて停止する。このため、自車Vを横断予定者100がいる側に寄せて停止することができる。
そして、時刻t73時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t74時点において、横断予定者100が自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t75時点において自車Vは自動的に発進する。ここで、横断歩道Aを通過するまではステップS30を繰り返すため、自車Vは徐行運転となる。
そして、時刻t76時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線である右車線Cの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、右車線Cの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。なお、図11に示す走行シーンでは、横断歩道Aの手前での停止位置が、右車線Cの車幅方向中央位置αに設定されている。このため、自車Vの走行位置は車幅方向に変動することなく、自車Vは停止位置から道なり方向に沿って走行する。
ここで、横断予定者100が走行予定領域Xを通り過ぎたと判断した時刻t74時点において、横断予定者100は横断歩道Aを半分程度しか移動していない。つまり、実施例1の停止位置コントローラ40による停止位置制御では、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するシーンにおいて、この横断予定者100が横断歩道Aを半分以上移動する前(左車線D上に移動する前)に自車Vが発進させることができる。
これにより、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在しているときに左車線Dの走行を継続し、左車線Dにて停止した場合(不図示)と比べて、横断歩道Aの手前での停止位置を、横断予定者100が存在する側に寄った位置(右車線C)に設定することで、横断歩道Aの手前で停止させたときの停止時間を短縮することが可能となる。
つまり、自車前方の横断歩道Aを横断しようとする横断予定者100が、自車Vに対して左右いずれか一方のみに存在する場合には、横断歩道Aの手前での自車Vの停止位置を自車Vの走行路(自車線又は自車Vが走行中の車道)の車幅方向中央よりも横断予定者100が存在する方に寄って設定することで、横断歩道Aの手前での停止時間を短縮することができる。
以下、図12に基づいて、横断歩道が設置された車道が複数車線であり、横断実行者が存在せず、横断予定者が自車の左右両側に存在するシーンでの実施例1の運転支援方法及び運転支援装置における横断歩道通過作用を説明する。
すなわち、図12に示す走行シーンにおいて、自車Vが自動運転にて走行中、時刻t81時点で信号機が設置されていない横断歩道Aが自車前方の所定範囲内に入ると、ステップS1にて肯定判断がなされた後、横断歩道Aが設置された車道が二車線であることからステップS2において否定判断が行われ、ステップS10へ進む。
そして、ここでは横断予定者100が自車Vの左右両側に存在するため、ステップS10にて否定判断がなされた後、ステップS11、ステップS12にて順に肯定判断がなされてステップS13へと進む。
ここで、「中央線Fに隣接する車線」とは右車線Cである。これに対し、図12に示す走行シーンでは、自車Vが左車線Dを走行する一方、右車線Cに他車が存在していない。そのため、中央線Fに隣接する車線である右車線Cへの車線変更が可能である。よって、ステップS13にて肯定判断がなされてステップS14へ進み、自車Vを走行させる目標車線が右車線C(中央線Fに隣接する車線)に設定される。そして、ステップS20に進んで、自車Vの停止位置が、右車線Cの車幅方向中央位置αに設定される。
横断歩道Aの手前での停止位置が設定されたら、ステップS21へと進んで、自車Vが設定された停止位置(右車線Cの車幅方向中央位置α)にて停止するように車線変更が実行される。
そして、ステップS24、ステップS25、ステップS26へと順に進み、時刻t82時点において停止制御指令が出力され、自車Vは、横断歩道Aの手前に設定された停止線Bの直前位置で自動的に停止する。このとき、自車Vは、右車線Cの車幅方向中央位置αにて停止する。
その後、時刻t83時点において、横断予定者100が横断歩道Aの通行を開始し、時刻t84時点において、左右双方の横断予定者100がいずれも自車Vの走行予定領域Xを通り過ぎる。これにより、発進条件が成立したと判断され、ステップS27にて肯定判断がなされてステップS28へと進む。この結果、発進許可信号が出力されてステップS29、ステップS30と順に進み、走行制御指令が出力されて、時刻t85時点において自車Vが自動的に発進すると共に徐行運転が行われる。
そして、時刻t86時点において自車Vが横断歩道Aを通過したと判断されてステップS31にて肯定判断がなされたら、ステップS32、ステップS33へと順に進む。これにより、目標走行経路Lが自車線である右車線Cの車幅方向中央位置αに沿うように設定され、自車Vは、右車線Cの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。なお、図12に示す走行シーンでは、横断歩道Aの手前での停止位置が、右車線Cの車幅方向中央位置αに設定されている。このため、自車Vの走行位置は車幅方向に変動することなく、自車Vは停止位置から道なり方向に沿って走行する。
このように、実施例1の運転支援方法及び運転支援装置では、横断歩道Aが設置された車道が複数車線であって、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する場合には、当該横断歩道Aの手前での自車Vの停止位置を、中央線Fに隣接した車線(右車線C)に設定する。
これにより、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する状態で、中央線Fに隣接した車線(右車線C)以外の車線(例えば左車線D)の走行を継続し、この車線(例えば左車線D)にて仮に停止した場合(不図示)と比べ、停止時間を短縮することが可能となる。さらに、左右双方の横断予定者100がいずれも走行予定領域Xを通り過ぎた後、全ての横断予定者100の背後を速やかに通過することができるため、横断予定者100に無用な不安感を感じさせることなく、適切なタイミングで横断歩道Aを通過することができる。
なお、自車Vの前方の信号機が設置されていない横断歩道A上に、横断中の横断実行者が存在する場合には、横断歩道Aが設置された車道が一車線のときでは、図3Bに示すステップS3において肯定判断がなされ、ステップS6へ進む。これにより、横断歩道Aの手前での停止位置は自車線Jの車幅方向中央位置αに設定され、車線内での車幅方向位置の変動は防止できる。また、横断歩道Aが設置された車道が複数車線のときでは、図3Cに示すステップS10において肯定判断がなされ、ステップS22へ進む。これにより、横断歩道Aの手前での停止位置は自車線Jの車幅方向中央位置αに設定される。よって、横断歩道Aの手前での車線変更の実施が抑制できる。
さらに、自車Vの前方の信号機が設置されていない横断歩道Aに横断実行者及び横断予定者のいずれも存在しない場合では、ステップS3及びステップS4においていずれも否定判断がなされるか、ステップS10及びステップS11においていずれも否定判断がなされる。そして、いずれの場合であってもステップS30へと進み、徐行運転にて横断歩道Aを通過した後、目標走行経路が自車線Jの車幅方向中央位置αに設定され、自車Vは、自車線Jの車幅方向中央位置αに沿って通常運転にて走行する。
次に、効果を説明する。実施例1の運転支援方法及び運転支援装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
つまり、自車Vが走行中の走行路(自車線J又は車道)を横断しようとする横断予定者100の手前で自車Vを停止する際に運転支援制御(停止位置制御)を行うコントローラ(停止位置コントローラ40)による運転支援方法において、自車Vの前方の所定範囲内に横断予定者100が存在するか否かを判断し、横断予定者100が存在すると判断した場合には、自車Vに対する横断予定者100の位置を判断し、横断予定者100が自車Vの左側のみに存在すると判断した場合には、自車Vの停止位置を走行路(自車線J又は車道)の車幅方向中央よりも左側の位置(位置β又は左車線D)に設定し、横断予定者100が自車Vの右側のみに存在すると判断した場合には、停止位置を走行路(自車線J又は車道)の車幅方向中央よりも右側の位置(位置γ又は右車線C)に設定する構成とした。
これにより、自車前方を横断しようとする横断予定者100の手前で自車Vを停止させたときの停止時間を短縮することができる。
また、自車Vが横断予定者100の手前で停止した場合には、予め設定した発進条件を満足したか否かを判断し、発進条件を満足したと判断した場合には、自車Vの発進を許可し、自車Vが横断者進路(横断歩道A)を通過した後、自車Vの目標走行経路Lを自車Vが走行中の車線(自車線J)の車幅方向中央位置αに沿うように設定する構成とした。
これにより、自車Vが横断者進路(横断歩道A)を通過中に自車Vの走行位置が車幅方向にぶれることがなく、横断者進路(横断歩道A)を速やかに通過することができる。また、自車Vが横断者進路(横断歩道A)の通過中に横断予定者100に寄っていくことがないので、自車Vは横断予定者100から離れた位置で横断者進路(横断歩道A)を通過することができる。
また、横断予定者100が存在すると判断した場合、横断予定者100が横断しようとする車道の車線数を判断し、この車道が一車線であると判断した場合であって、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在すると判断したときには、停止位置を自車Vが走行中の車線(自車線J)の車幅方向中央位置αに設定する構成とした。
これにより、仮に横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する状態で自車線Jの中で車幅方向中央位置αに対して左右いずれかの位置に寄って停止した場合と比べると、停止時間を短縮することが可能となる。
また、横断予定者100が存在すると判断した場合、横断予定者100が横断しようとする車道の車線数を判断し、この車道が複数車線であると判断した場合であって、横断予定者100が自車Vの左右両側に存在すると判断したときには、停止位置を車道に設けられた中央線Fに寄った車線(右車線C)上に設定する構成とした。
これにより、仮に横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する状態で中央線Fに寄った車線(右車線C)以外の車線(例えば左車線D)上で停止した場合と比べると、停止時間を短縮することが可能となる。
さらに、自車Vが走行中の走行路(自車線J又は車道)を横断しようとする横断予定者100の手前で自車Vを停止する際に運転支援制御(停止位置制御)を行うコントローラ(停止位置コントローラ40)を備えた運転支援装置において、コントローラ(停止位置コントローラ40)は、横断予定者100が存在するか否かを判断する横断者判断部43と、横断者判断部43から横断予定者100が存在するとの判断結果(横断者情報)が入力したときに、自車Vに対する横断予定者100の位置を判断する位置判断部44と、位置判断部44から横断予定者100が自車Vの左側のみに存在するとの判断結果(横断者位置情報)が入力したときに、自車Vの停止位置を自車Vの走行路(自車線J又は車道)の車幅方向中央よりも左側の位置(位置β又は左車線D)に設定し、位置判断部44から横断予定者100が自車Vの右側のみに存在するとの判断結果(横断者位置情報)が入力したときに、停止位置を自車Vの走行路(自車線J又は車道)の車幅方向中央よりも右側の位置(位置γ又は右車線C)に設定する停止位置設定部45と、を備える構成とした。
これにより、自車前方を横断しようとする横断予定者100がいるために自車Vを停止させたときの停止時間を短縮することができる。
以上、本開示の運転支援方法及び運転支援装置を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、自車前方に信号機の設置されていない横断歩道Aを検出したときに図3A〜図3Dに示す停止位置制御を実行する例を示した。しかしながら、これに限らない。例えば、横断歩道が設置されていない交差点において、自車Vが走行中の車道を横断しようとする横断予定者が存在する場合であっても、本開示の停止位置制御(運転支援制御)を行うことができる。この場合、予測される横断者進路の手前で自車Vを停止させ、そのときの停止位置を横断予定者の位置に応じて設定する。また、直線状の走行路を走行中に、横断歩道が設定されていない位置で自車Vの前方を横断しようとする横断予定者を検出し、その横断者進路の手前で停止するときであっても、本開示の停止位置制御(運転支援制御)を適用することができる。つまり、自車Vが走行中の走行路(自車線J又は車道)を横断しようとする横断予定者100が存在し、その手前で停止するときには、本開示の停止位置制御(運転支援制御)を適用することができる。
実施例1では、発進条件が成立したと判断したら直ちに自車Vの発進を許可する例を示したがこれに限らない。例えば、停止位置を車線の車幅方向中央位置αに設定した場合(第1比較例)の発進タイミングと同じタイミングで自車Vの発進を許可してもよい。このときには、停止時間は第1比較例と同等となるが、自車Vから横断予定者100までの距離をより広く確保することができる。そのため、自車Vが横断歩道Aを通過する際に横断予定者100に不安感を与えてしまうことを防止できる。
実施例1では、横断歩道Aが設置された車道が複数車線のときには、横断予定者100の存在位置に基づいて停止位置を設定する車線を選択し、選択した車線の車幅方向中央位置αに停止位置を設定する例を示したが、これに限らない。例えば、二車線道路において横断予定者100が自車Vの左側のみに存在する場合、左車線Dに車線変更した上、当該左車線Dの車幅方向中央位置αよりも左側の位置βに停止位置を設定してもよい。また、二車線道路において横断予定者100が自車Vの右側のみに存在する場合、右車線Cに車線変更した上、当該右車線Cの車幅方向中央位置αよりも右側の位置γに停止位置を設定してもよい。これらの場合では、横断予定者100がいる方へさらに寄って停止することができる。
実施例1では、横断歩道Aが設置された車道が複数車線のときに横断予定者100が自車Vの左右両側に存在する場合、停止位置を中央線Fに隣接する車線(右車線C)に設定する例を示した。しかしながら、この場合での停止位置は、できるだけ中央線Fに近い車線上に設定すればよい。そのため、例えば中央線Fに隣接する車線が渋滞している場合には、この中央線Fに隣接する車線の隣の車線上に停止位置を設定してもよい。
実施例1では、自動運転による走行中に横断歩道Aの手前での停止位置を設定し、設定した停止位置に向かって自動運転にて走行させて停止する運転支援制御を実行する例を示した。しかしながら、これに限らず、ドライバーが自らの意図によって自車を走行や停止させるマニュアル運転での走行中であっても、上記運転支援制御を実行してもよい。この場合には、自車前方に横断歩道Aが存在すると判断し、横断予定者100の存在位置に応じて停止位置を設定したら、HMIデバイス6を介してこの停止位置の情報をドライバーに提示する。また、音声等によってドライバーに停止位置の情報を知らせてもよい。さらに、停止後の発進タイミングについてもHMIデバイス6を用いてドライバーに知らせるようにしてもよい。