以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
以下、図1〜図8Cを参照して、実施の形態1に係る波長変換ホイール装置を備えた照明装置を説明する。本実施の形態では、波長変換器の材料として、青色光の波長から黄色光の波長へ変換する蛍光体を用いている。
[1−1.構成]
[1−1−1.照明装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190を備えた照明装置100の構成を示す模式図である。照明装置100は、青色レーザダイオード101a〜101e、コリメートレンズ102a〜102e、レンズ13,14,17,18,20,22,23、拡散板15,21、ダイクロイックミラー16、波長変換ホイール装置190、モータ194、及びロッドインテグレータ24を備える。
図1の照明装置100において、青色レーザダイオード101a〜101cは、波長変換ホイール装置190の蛍光体(後述)を励起させて黄色光を発生するための励起光の光源素子として使用される。青色レーザダイオード101a〜101cは、青色のレーザ光を−Y方向に出射する。出射された青色光は、コリメートレンズ102a〜102cでコリメートされる。コリメートされた青色光は、レンズ13及び14により構成されるアフォーカル光学系によって収束され、拡散板15に入射する。拡散板15に入射された青色光は、拡散板15により拡散され、ダイクロイックミラー16に入射する。ダイクロイックミラー16は、青色光を透過し、それ以外の可視光を反射する。
ダイクロイックミラー16は、光軸に対して45度傾斜して配置されている。ダイクロイックミラー16は、拡散板15から入射する青色光を透過する。この青色光は、レンズ17及び18を透過して、波長変換ホイール装置190に入射する。
コリメートレンズ102a〜102c、レンズ13及び14、拡散板15、ダイクロイックミラー16、及びレンズ17及び18は、青色レーザダイオード101a〜101cによって発生された光を波長変換器191に導く導光光学系である。
波長変換ホイール装置190は、波長変換器191、基材192、及び反射膜193を備える。基材192は例えば円盤(ディスク)形状を有する。波長変換器191は、波長変換ホイール装置190の基材192の前面において環状に形成されている。反射膜193は、波長変換器191と基材192の間に形成されている。波長変換ホイール装置190の基材192は、モータ194によって回転される。
波長変換ホイール装置190に入射した青色光は、波長変換器191を照射する。基材192の回転にともなって、基材192に設けられた波長変換器191も回転する。波長変換器191が回転することにより、波長変換器191の上に青色光が入射する位置が時間とともに変化する。これにより、波長変換器191が青色光により加熱される面積を拡大できる。これにより、照射される青色光のエネルギーが高い場合でも、波長変換器191の温度上昇を抑制できる。
波長変換器191は、入射光の波長とは異なる波長を有する光を発生する。波長変換器191は、照射された青色光(励起光)により励起されて、黄色の蛍光を発生する蛍光体により構成される。波長変換器191が発した黄色光の大部分は、+Y方向に出射される。いったん−Y方向に出射された黄色光も、基材192の上に形成された反射膜193で反射されて、+Y方向に戻される。この後、黄色光は、レンズ18及び17を透過してダイクロイックミラー16に入射する。ダイクロイックミラー16は青色光以外の可視光を反射するので、入射した黄色光は、ダイクロイックミラー16により反射されて+X方向に進む。黄色光は、レンズ23に入射し、レンズ23の出射面側に配置された矩形開口を持つロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
このように、青色レーザダイオード101a〜101cから出射された青色光は、波長変換器191を励起して黄色光を発生する。
一方、青色レーザダイオード101d及び101eは、照明装置100の出力光のうち、波長を変換することなく出力される青色光の成分のための光源素子として使用される。青色レーザダイオード101d及び101eから+X方向に出射された青色光は、コリメートレンズ102d及び102eでコリメートされる。コリメートされた青色光は、レンズ20によって拡散板21に集光される。拡散板21によって拡散された青色光はレンズ22でほぼ平行光となる。レンズ22を透過した青色光は、ダイクロイックミラー16に入射して+X方向に透過し、レンズ23に入射する。
青色レーザダイオード101d及び101eからの青色光は、青色レーザダイオード101a〜101c及び波長変換ホイール装置190によって発生した黄色光と合成されて、白色光となる。このように、照明装置100は、青色レーザダイオード101a〜101eの青色光から白色光を得る。この白色光は、レンズ23の出射面側に配置された矩形開口を持つロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
この構成においては、ロッドインテグレータ24の出射面から照明装置100の出力光が得られる。さらに、必要に応じてロッドインテグレータ24の出射面の側に追加の光学系を設け、出射光をその光学系に入射させてもよい。なお、レンズ23及びロッドインテグレータ24に代えて、矩形形状のレンズからなるレンズアレイを用いて構成してもよい。
[1−1−2.波長変換ホイール装置の構成]
次に、図2A及び図2Bを参照して、波長変換ホイール装置190の詳細構成について説明する。図2Aは、図1の波長変換ホイール装置190の前面192aを示す図である。図2Bは、図1の波長変換ホイール装置190の後面192bを示す図である。本明細書では、波長変換ホイール装置190の基材192において、青色レーザダイオード101a〜101cからの青色光が入射する側の面を「前面192a」といい、その対面となる面を「後面192b」という。また、本明細書では、図2B他に示すように、「r」は、基材192の仮想的な回転軸Jを中心とした円の放射方向(径方向)を示し、「θ」は、回転軸Jを中心とした円の角度方向(周方向)を示す。
図2A及び図2Bに示すように、基材192は、回転軸Jを中心として回転可能であるように形成される。基材192は、例えば、直径11cm及び厚さ1mmを有する円盤形状に形成されるが、この寸法に限定されない。基材192が円盤形状を有するので、2つの円形状の平面を有し、その一方を前面192a、対面となるもう一方を後面192bとする。また、基材192は、回転軸Jを中心とした、基材192と同心円の、円形の開口195を有する。また、開口195の周囲には、複数のネジ穴198が設けられている。基材192は、開口195及びネジ穴198を介して、基材192を回転するためのモータ194に取り付けられる。モータ194の一部が、後面192b側から基材192の開口195に嵌合し、ネジ穴198においてネジ止めされる。モータ194により、基材192は回転軸Jを中心に回転する。
図2Aに示すように、波長変換器191は、基材192の前面192aにおいて環状に形成されている。具体的には、波長変換器191は、波長変換ホイール装置190の回転軸Jから放射方向rへ所定の距離を隔てた円周上において、この円周の内外に所定の幅をもって角度方向θに沿って環状に形成されている。波長変換器191は、蛍光体粉末を熱硬化性樹脂と混合し、それを基材192へスクリーン印刷によって塗布し、その後、加熱炉で加熱硬化させることによって形成することができる。本実施の形態では、青色光により励起されて黄色光を発光する蛍光体粉末を用いて波長変換器191を形成する。
なお、波長変換器191は、蛍光体粉末を熱硬化性樹脂と混合して基材192上に固定して形成するとしたが、この形成方法に限定されない。例えば、基材192の上に無機材料で波長変換器191を形成してもよい。また、有機接着剤を用いて無機材料を基材192に接着しても、同様の効果を期待できる。
投写型映像表示装置の照明装置のように、高い輝度の照明光を求められるシステムにおいては、蛍光体を励起するために大きなエネルギーを有する励起光が用いられる。蛍光体は、励起光を吸収して蛍光を発光するとき、励起光のエネルギーの約半分が波長変換に使われるが、残りのエネルギーは熱となる。そのため、強い励起光が照射される蛍光体は、非常に高温となる。一方で、蛍光体の温度が高いと、蛍光体の劣化が速まり、波長変換ホイール装置としての信頼性が低下する。そのため、蛍光体から効果的に放熱することが求められる。そこで、波長変換ホイール装置190の基材192には、高い熱伝導率を有する材料を用いることが多い。実施の形態1の波長変換ホイール装置190では、基材192の材料として、アルミニウム材を使用するが、基材192の材料はこれに限定されない。
図2A及び図2Bに示すように、基材192には、複数の開口196及び複数の突起197が設けられている。各開口196は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191の外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。各開口196は基材192を貫通する。各突起197もまた、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191の外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。各突起197は各開口196の近傍に形成される。本実施の形態では、各突起197は、基材192において、波長変換器191が形成された面とは異なる面、すなわち後面192bに形成される。各突起197は、例えば、基材192と同一の材料からなる。各突起197は、例えば、プレス加工などを用いて基材192と一体的に形成される。また、各突起197は、回転軸Jの周りの放射方向rに関して所定の長さを有する。各突起197は、放射方向rに関して回転軸Jから波長変換器191の外側へ向かって風を発生させることができるように、放射状に形成される。ここで、「放射状」とは、例えば、各突起197が放射方向rに沿って形成される場合を含み、さらに、各突起197が放射方向rに対して斜めに形成される場合も含む。後者は、例えば、本実施の形態に示すように、ひとつの突起197の放射方向rの長さが角度方向θの長さよりも長くなる場合を含む。本実施の形態では、例えば、各開口196は直径4mmの円形形状を有し、各突起197は、幅1mm、長さ10mm、及び高さ1mmを有するが、各開口196及び各突起197の寸法は、これらに限定されない。
本明細書において、開口196を「第1の開口」ともいい、突起197を「第1の突起」ともいう。
[1−2.作用]
次に、図3〜図4を参照して、このような開口196及び突起197の配置によって得られる作用について説明する。図3は、図1の波長変換ホイール装置190の模式断面図である。図3は、図2AのA−A’線における断面を示す。なお、図3では、モータ194も模式的に示す。図4は、図1の波長変換ホイール装置190の突起197の周囲における風の流れを示す模式図である。図4は、基材192の後面192bを示す。モータ194は、図2B、図3、及び図4に示すように、基材192の後面192bから見たときに時計回りの方向に、基材192を回転させる。本明細書では、基材192が回転する方向を、角度方向θに関して正方向とする。
図3に示すように、基材192の前面192aには波長変換器191が形成され、基材192の後面192bには複数の放射状の突起197が形成される。モータ194によって基材192が回転すると、基材192の近傍では、基材192の中心から外周に向かって風Wが発生する。また、開口196及び突起197が形成されているので、前面192aから開口196を介して後面192bへ向かう風Wa、もしくは、後面192bから開口196を介して前面192aに向かう風Wb、のどちらかが発生する。図4を参照して、これらの風Wa又はWbの発生メカニズムについて説明する。
まず、図4を参照して、突起197の近傍の風の挙動を説明する。ここで、理解のしやすさのため、突起197が放射方向rに平行な側面を含む直方体の形状を有すると仮定する。ここで、放射方向rに平行な側面のうち、+θ側を側面L1とし、−θ側を側面L2とし、放射方向rに垂直な側面のうち、+r側を側面L3とし、−θ側を側面L4とする。
上述のように、波長変換ホイール装置190の基材192が角度方向θに関して正方向に回転すると、基材192の近傍には、基材192の中心から外周に向かって風Wが自然発生する。この風Wは、遠心力により生じる放射方向rの成分(Wr)と、摩擦力及び粘性により生じる角度方向θに関して負方向の成分(Wθ)を含む。
突起197があると、側面L1に向かう風の成分Wθは、側面L1で遮られて向きを変え、側面L1に沿って流れる。従って、側面L1において風の成分Wrが増加する[現象1]。一方、基材192の中心から側面L4に向かう風の成分Wrは、側面L4で遮られて向きを変え、側面L1又は側面L2に沿って流れる。従って、側面L1及び側面L2において風の成分Wrが増加する。この際、基材192が回転しているので、風の成分Wrは、基材192の回転方向に関して前方の側面L1よりも後方の側面L2のほうに流れやすい[現象2]。風の成分Wrの増加は、放射方向rの風速の増加を意味する。また、風の成分Wθが側面L1に衝突することで、側面L1の近傍(図4の領域U)において気圧が高くなる[現象3]。一方、側面L2の両端(側面L3及びL4と接する位置)では、風の流れが乱れて突起197から剥離し、側面L2の近傍(図4の領域D)において気圧が低くなる[現象4]。
すなわち、突起197の近傍では、側面L1での風速の増加[現象1]と気圧の増加[現象3]、側面L2での風速の増加[現象2]と気圧の低下[現象4]、という4つの現象が同時に起こる。また、気体は、風速(動圧)が増加すると気圧(静圧)が低下する性質があり、また、高圧の領域から低圧の領域へと流れる性質がある。開口196を形成すると、これら気体の性質と、上述した4つの現象とが組み合わさり、開口196における風の流れが決定される。
続いて、図3及び図4を参照して、風Waの流れが起きるメカニズムについて説明する。上述のように、図4の側面L2の近傍では、風の剥離により気圧が低下し、それに加えて、現象2による風速の増加によっても気圧が低下している。従って、図4の領域Dにおいて基材192を貫通する開口196を設けると、図3に示すように、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって空気が流れ、風Waが発生する。本実施の形態では、開口196は、側面L2の近傍に形成されているので、風Waが生じやすくなる。
次に、図3及び図4を参照して、風Wbの流れが起きるメカニズムについて説明する。上述のように、図4の側面L1の近傍では、現象1による風速の増加により気圧が低下するが、その一方、風の成分Wθが衝突することにより気圧が上昇し、これらがバランスしている。この際、図4の領域Uにおいて、気圧の上昇(現象3)の影響が風速の上昇(現象2)の影響を上回っている位置に基材192を貫通する開口196を設けると、図3に示すように、後面192bから開口196を通って前面192aへ空気が流れ、風Wbが発生する。一方、図4の領域Uにおいて、風速の上昇(現象2)の影響が気圧の上昇(現象3)の影響を上回っている位置に開口196を設けると、風Waが発生する。
風Waもしくは風Wbのどちらが発生するかは、各開口196及び各突起197の形状に依存して変化し、また、各開口196及び各突起197の位置関係に依存して変化する。また、風Waもしくは風Wbのどちらが発生するかは、さらに、基材192の厚さ及び大きさ、回転速度の条件、及び、波長変換ホイール装置を設置する空間の形状にも依存して変化する。
図4では、突起197が放射方向rに沿って形成される場合を示したが、図2B及び図7Bなどに示すように、突起197が放射方向rに対して斜めに形成される場合もまた、突起197の近傍において、上述の現象1〜4が同様に発生する。突起197を放射方向rに対して傾けて形成することで、風Wを遮る側面の範囲を大きくし、突起197の近傍における風速の増加及び風の剥離が促進される。
[1−3.効果]
次に、図5A及び図5Bを参照して、開口196及び突起197の作用による冷却効果について説明する。図5Aは、図1の波長変換ホイール装置190の基材192の周囲の温度分布を示す図であって、開口196を通らない位置における模式断面図である。図5Bは、図1の波長変換ホイール装置190の基材192の周囲の温度分布を示す図であって、開口196を通る位置における模式断面図である。図5A及び図5Bは、波長変換器191の周囲における放射方向rに沿った切断面を拡大して示している。なお、図5A及び図5Bでは、突起197は省略している。また、図5A及び図5Bにおける温度値は、理解のしやすさために記載した例示であり、この値に限定されない。
図5Aに示すように、基材192において開口196から遠隔した位置では、波長変換器191の発熱によって高温となった基材192と、環境温度(25°C)の空気との間で、温度境界層が発達する。風Wの流れは、前面192a又は後面192bと平行な方向に限られるので、基材192の中心から外周に向かって進むにつれて温度境界層の厚さは発達し、基材192及び波長変換器191は120°C以上の空気層に囲まれる。
開口を持たない基材においても、図5Aのものと実質的に同様の温度分布が生じる。
一方、図5Bに示すように、開口196がある場合、開口196を通過する風Waもしくは風Wbが発生する。これにより、開口196の近傍では、環境温度(25°C)の空気と基材192との間の温度境界層が薄くなる。従って、ここでは、基材192及び波長変換器191は、環境温度の空気(又は、少なくとも120°Cより低温の空気)に接近する。温度境界層が薄くなると、対流熱伝達率が上がり、基材192の放熱効果が増す。これにより、基材192及び波長変換器191が放熱しやすくなる。なお、図5A及び図5Bに示す温度境界層では、理解のしやすさを優先して、波長変換器191の温度が基材192よりも高温になるという事実は考慮せず、簡単化された形状で示す。
上述したように、開口196を通過する風Waもしくは風Wbにより、基材192の前面又は後面に垂直な方向において温度境界層が薄くなることで基材192の放熱効果が増す。また、波長変換器191の温度を低減させるには、前面192a側の温度境界層を薄くすることが効果的である。従って、波長変換器191の上を通過した後で開口196に流入する風Waが多いほど、波長変換器191の温度を低減する効果は増す。
以下、図6を参照して、風Waが発生しやすい開口196及び突起197の配置について説明する。
図6は、図1の波長変換ホイール装置190の開口196及び突起197の配置を説明するための模式図である。図6は、基材192の後面192bの一部を拡大して示す。なお、図6では、突起197と波長変換器191との位置関係がわかるように、前面192aに形成される波長変換器191を点線で示す。
前述のように、複数の開口196(196−1,196−2,…)及び複数の突起197(197−1,197−2,…)は、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。ここで、回転軸Jの周りの角度方向θに関して単位周期だけ離れて互いに隣接する一対の突起197−1及び197−2を考える。基材192が角度方向θに関して正方向に回転するとき、突起197−1は基材192の回転方向に関して前方に形成され、突起197−2は基材192の回転方向に関して後方に形成される。このとき、開口196−1は、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197−2よりも、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197−1に近接して形成される。他の開口196及び他の突起197についても、開口196−1、突起197−1及び197−2と同様に配置される。言い換えると、各開口196は図4の領域Dに配置される。
各開口196と各突起197との距離は、例えば、基材192の後面192bにおける各開口196の輪郭と各突起197の輪郭との最短距離によって定義されてもよい。図6の例では、開口196−1の輪郭と突起197−1の輪郭とは最短距離d1を有して互いに離隔し、開口196−1の輪郭と突起197−2の輪郭とは最短距離d2を有して互いに離隔し、d1<d2が成り立つ。
それに代わって、各開口196と各突起197との距離は、基材192の後面192bにおいて、各開口196の輪郭が形成する図形の幾何学的重心と、各突起197の輪郭が形成する図形の幾何学的重心との距離によって定義されてもよい。
それに代わって、各開口196と各突起197との距離は、各開口196の輪郭が形成する図形における任意の点(例えば幾何学的重心)と回転軸Jとを結ぶ直線と、各突起197の輪郭が形成する図形における任意の点(例えば幾何学的重心)と回転軸Jとを結ぶ直線とが、回転軸Jのまわりに形成する角度の差によって定義されてもよい。
このように開口196及び突起197を配置することにより、図3及び図4を参照して説明したように、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waが発生しやすくなる。
各開口196は、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197よりも、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197に近接して形成されてもよい。これは、各開口196が図4の領域Uに配置される場合に対応する。図3及び図4を参照して説明したように、領域Uでは、風Waが発生する条件(現象1)と風Wbが発生する条件(現象3)とが混在する。従って、このように開口196及び突起197を配置する場合であっても、基材192の厚さ及び大きさ、各開口196の形状、各突起197の形状、回転速度の条件、及び、波長変換ホイール装置を設置する空間の形状を調整することにより、現象1の発生を促進させ、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waを発生しやすくすることができる。
各開口196は、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197と、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197とのほぼ中間の位置に形成されてもよい。基材192の厚さ及び大きさ、各開口196の形状、各突起197の形状、回転速度の条件、及び、波長変換ホイール装置を設置する空間の形状を調整することにより、各突起間の風速を上昇させることができるので(現象1及び現象2)、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waを発生しやすくすることができる。
本実施の形態に係る波長変換ホイール装置190によれば、上述のように開口196及び突起197を配置することにより、波長変換器191で発生する熱を効果的に放熱することができる。
[1−4.変形例]
以下、図7A〜図8Cを参照して、上述した開口196及び突起197の形状の変形例について述べる。これらの変形例では、風Waの発生を促すように各開口196及び各突起197を形成する。風Waの発生には、図4を参照して説明した、現象1、現象2、及び現象4が関連する。各突起197は、上述の現象1、現象2、及び現象4のいずれかの発生を促す。各開口196は、現象1、現象2、及び現象4の発生するいずれかの領域に形成される。
図7Aは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Aの後面192bを示す図である。図7Aの波長変換ホイール装置190Aは、図2Bの突起197に代えて、放射方向rに沿って形成された突起197Aを備える。図7Aの突起197Aもまた、図2Bの突起197と同様に、現象1、現象2、及び現象4を発生させることができる。
図7Bは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Bの後面192bを示す図である。図7Bの波長変換ホイール装置190Bは、図2Bの突起197に代えて、放射方向rに対して図2Bの突起197及び図7Aの突起197Aとは異なる角度を有する突起197Bを備える。図7Bの突起197Bもまた、図2Bの突起197及び図7Aの突起197Aと同様に、現象1、現象2、及び現象4を発生させることができる。
図2Bの突起197、図7Aの突起197A、及び図7Bの突起197Bの配置に限らず、現象1、現象2、及び現象4を発生させることができるのであれば、突起を任意に配置することができる。
図7Cは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Cの後面192bを示す図である。図7Cの波長変換ホイール装置190Cは、図2Bの開口196に代えて、図2Bの開口196とは異なる形状を有する開口196Cを備える。図7Cの開口196Cもまた、図2Bの開口196と同様に、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waを発生させることができる。
図7Dは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Dの後面192bを示す図である。図7Dの波長変換ホイール装置190Dは、図2Bの開口196に代えて、図2Bの開口196及び図7Cの開口196Cとは異なる位置及びサイズを有する開口196Dを備える。各開口は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191よりも外側であれば、現象1、現象2、及び現象4が発生する任意の位置に形成されてもよい。図7Dの開口196Dもまた、図2Bの開口196及び図7Cの開口196Cと同様に、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waを発生させることができる。
図2Bの開口196、図7Cの開口196C、及び図7Dの開口196Dの形状、位置、及びサイズに限らず、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waを発生させることができるのであれば、任意の形状、任意の位置、及び任意のサイズを有する開口を形成することができる。
図7Eは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Eの後面192bを示す図である。図7Eの波長変換ホイール装置190Eは、図2Bの開口196に代えて、形状、サイズ、回転軸Jからの距離、各突起197からの距離のうちの少なくとも1つの属性について、互いに異なる少なくとも2種類の開口196Ea,196Ebを備える。各開口196Eaは、各開口196Ebよりも大きなサイズを有する。また、各開口196Eaは、各開口196Ebよりも、回転軸Jから遠隔して形成される。サイズ及び位置が異なる開口196Ea,196Ebを組み合わせることにより、前面192aから開口196Ea,196Ebを通って後面192bへ向かって流れる風Waを増加させ、所望の放熱効果を達成することができる。
図7Fは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Fの後面192bを示す図である。図7Fの波長変換ホイール装置190Fは、図2Bの開口196に代えて、形状、サイズ、回転軸Jからの距離、各突起197からの距離のうちの少なくとも1つの属性について、互いに異なる少なくとも2種類の開口196Fa,196Fbを備える。各開口196Faは、各開口196Fbよりも大きなサイズを有する。また、各開口196Faは、各開口196Fbよりも、回転軸Jから遠隔して形成される。また、各開口196Faは、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197よりも、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197に近接して形成される。一方、各開口196Fbは、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197よりも、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197に近接して形成される。各開口196Faを設けることによって、図3及び図4を参照して説明したように、前面192aから開口196を通って後面192bへ向かって流れる風Waが発生しやすくなる。一方、各開口196Fbを設けることによって、図4を参照して説明した現象1の影響が大きい位置に形成されているので、風Waが発生しやすくなる。サイズ及び位置が異なる開口196Fa,196Fbを組み合わせることにより、基材192において風Waを増加させ、所望の放熱効果を達成することができる。
図7Gは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Gの後面192bを示す図である。図7Gの波長変換ホイール装置190Gは、図2Bの直方体の突起197に代えて、基材192の後面192bにおいて湾曲した輪郭形状を有する突起197Gを備える。各突起197Gは、基材192の後面192bにおいて回転軸Jから外周に向かって進むにつれて角度方向θに関して正方向に湾曲するように形成される。このような突起197Gを備えた波長変換ホイール装置190Gにおいて、基材192の回転方向に関して突起197Gの後方に開口196を形成すると、基材192の回転方向に関係なく、基材192の前面192aから後面192bへの風Waが流れやすくなる。基材192が角度方向θに関して正方向に回転するとき、基材192の回転方向に関して突起197Gの後方において風の剥離が起きやすくなり、これにより、突起197Gの後方で圧力が下がり(現象4)、風Waが流れやすくなる。一方、基材192が角度方向θに関して負方向(すなわち本変形例とは逆方向)に回転するとき、基材192の回転方向に関して突起197Gの前方に風が衝突して突起197Gに沿って風が流れ、突起197Gの前方の風速が増し(現象1)、これにより、風Waが流れやすくなる。
図7Hは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Hの後面192bを示す図である。図7Hの波長変換ホイール装置190Hは、図2Bの突起197に代えて、基材192において放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から内側の領域まで延在する突起197Hを備える。図7Hでは、前面192aに形成される波長変換器191を点線で示す。各突起197Hは、例えば、幅1mm、長さ25mm、及び高さ1mmを有するが、各突起197の寸法は、これに限定されない。図2Bの突起197は、放射方向rに関して波長変換器191の外側のみに延在するように形成された。一方、図7Hの突起197Hは、放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から内側の領域まで延在することにより、突起197Hの側面(図4の説明を参照)に沿って風を方向変換させる領域が広くなり、突起197Hの側面における風速を増加させやすくなる。風速を増加させることにより、前面192aから後面192bへの空気の流れも多くなり、基材192の放熱効果が向上する。また、突起197Hの長さを伸長させることで、基材192の表面積が増加するので、これによる放熱効果の増加も期待できる。従って、図7Hの突起197Hによれば、波長変換器191によって発生した熱を、図2Bの突起197の場合よりも効果的に放熱することができる。
図7Iは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Iの後面192bを示す図である。図7Iの波長変換ホイール装置190Iは、図7Hの開口196に代えて、開口196I(196I−1,196I−2,…)を備える。また、図7Iの波長変換ホイール装置190Iは、図7Hの突起197Hに代えて、形状、サイズ、回転軸Jからの距離、各開口196Iからの距離のうちの少なくとも1つの属性について、互いに異なる少なくとも2種類の突起197Ia,197Ib(197Ia−1,197Ia−2,…;197Ib−1,197Ib−2,…)を備える。各突起197Ibは、各突起197Iaよりも、回転軸Jから遠隔して形成される。各突起197Ibは、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から波長変換器191が形成された領域まで延在する。各突起197Iaは、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から内側の領域まで延在する。また、各開口196Iは、各突起197Ibよりも各突起197Iaに近接して形成される。複数の突起197Iaは、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成され、複数の突起197Ibもまた、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。ここで、回転軸Jの周りの角度方向θに関して単位周期だけ離れて互いに隣接する一対の突起197Ia−1及び197Ia−2を考える。基材192が角度方向θに関して正方向に回転するとき、突起197Ia−1は基材192の回転方向に関して前方に形成され、突起197Ia−2は基材192の回転方向に関して後方に形成される。このとき、開口196I−1は、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197Ia−2よりも、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197Ia−1に近接して形成される。2種類の突起197Ia,197Ibを組み合わせることにより、1種類のみの突起を用いる場合(例えば図7Hの場合)よりも突起間の風速を増加させることができ(現象1及び現象2)、前面192aから開口196Iを通って後面192bへ向かって流れる風Waを効果的に発生することができる。また、基材192の表面積が増加するので、これによる放熱効果の増加も期待できる。
図7Jは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Jの後面192bを示す図である。図7Jの突起197Ja,197Jb(197Ja−1,197Ja−2,…;197Jb−1,197Jb−2,…)は、図7Iの突起197Ia,197Ibと同様に形成される。各開口196J(196J−1,196J−2,…)は、各突起197Jaよりも各突起197Jbに近接して形成される。ここで、回転軸Jの周りの角度方向θに関して単位周期だけ離れて互いに隣接する一対の突起197Jb−1及び197Jb−2を考える。基材192が角度方向θに関して正方向に回転するとき、突起197Jb−1は基材192の回転方向に関して前方に形成され、突起197Jb−2は基材192の回転方向に関して後方に形成される。このとき、開口196J−1は、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197Jb−2よりも、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197Jb−1に近接して形成される。2種類の突起197Ja,197Jbを組み合わせることにより、1種類のみの突起を用いる場合(例えば図7Hの場合)よりも突起間の風速を増加させることができ(現象1及び現象2)、前面192aから開口196Jを通って後面192bへ向かって流れる風Waを効果的に発生することができる。また、基材192の表面積が増加するので、これによる放熱効果の増加も期待できる。
図7Kは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Kの後面192bを示す図である。図7Kの突起197Ka,197Kb(197Ka−1,197Ka−2,…;197Kb−1,197Kb−2,…)は、図7Iの突起197Ia,197Ibと同様に形成される。各開口196K(196K−1,196K−2,…)は、突起197Ka及び197Kbに等距離の位置に形成される。2種類の突起197Ka,197Kbを組み合わせることにより、1種類のみの突起を用いる場合(例えば図7Hの場合)よりも突起間の風速を増加させることができ(現象1及び現象2)、前面192aから開口196Kを通って後面192bへ向かって流れる風Waを効果的に発生することができる。また、基材192の表面積が増加するので、これによる放熱効果の増加も期待できる。
図7Lは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Lの後面192bを示す図である。図7Lの波長変換ホイール装置190Lは、図7I〜7Kの直方体の突起197I〜197Kに代えて、基材192の後面192bにおいて湾曲した輪郭形状を有する突起197La,197Lb(197La−1,197La−2,…;197Lb−1,197Lb−2,…)を備える。各突起197La,197Lbは、図7Gの場合と同様に、基材192の後面192bにおいて回転軸Jから外周に向かって進むにつれて角度方向θに関して正方向に湾曲するように形成される。このような突起197La,197Lbを備えた波長変換ホイール装置190Lにおいて、基材192の回転方向に関して突起197La,197Lbの後方に開口196L(196L−1,196L−2,…)を形成すると、図7Gの場合と同様に、回転方向に関係なく、基材192の前面192aから後面192bへの風Waが流れやすくなる。また、図7I〜図7Kの場合と同様に、2種類の突起を用いることで突起間の風速を増加させることができ(現象1及び現象2)、さらに、基材192の表面積が増加するので、放熱効果が増す。
図8Aは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Mの模式断面図である。図8Bは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Nの模式断面図である。図8Cは、実施の形態1の変形例に係る波長変換ホイール装置190Oの模式断面図である。図8A〜図8Cは、開口の側面の傾きに係る変形例を示す。各開口は、図3に示すように、基材192の前面192a及び後面192bに対して垂直な側面を有してもよく、図8A〜図8Cに示すように、垂直面に対して傾斜した側面を有してもよい。図8Aの波長変換ホイール装置190Mは、後面192bから前面192aに進むにつれて次第に広がるように傾斜した側面を有する開口196Mを備える。図8Bの波長変換ホイール装置190Nは、等幅で傾斜した側面を有する開口196Nを備える。図8Cの波長変換ホイール装置190Oは、前面192aから後面192bに進むにつれて次第に広がるように傾斜した側面を有する開口196Oを備える。各開口の側面の傾斜は、開口を介して前面192aから後面192bへ進む風Wa、又はその逆に進む風Wbの流れやすさに影響を与える。従って、各開口の側面の傾斜は、開口を形成のための基材192の加工のしやすさと、放熱効果とを総合的に考慮して決められる。
以下の説明では、図7A〜図8Cの各開口及び各突起もまた、符号196及び197によりそれぞれ表す。
以下、本実施の形態に係る波長変換ホイール装置のさらなる変形例について説明する。
各突起197は、上述のように基材192の後面192bに対して垂直な側面を有してもよく、図8A〜図8Cに示す各開口の側面と同様に、垂直面に対して傾斜した側面を有してもよい。
また、本実施の形態では、各開口196を円形(図2A他を参照)又は楕円形(図7Cを参照)に形成したが、各開口196の形状はこれらに限定されない。各開口196は、例えば、特許文献1に開示されているような、放射方向rに長いレーストラックの形状を有してもよく、多角形(例えばひし形)の形状を有してもよい。
また、本実施の形態では、各突起197を基材192と同一の材料から一体的に形成するものとして説明したが、これらを別の部材として構成してもよい。特許文献1に開示されているように、各突起197を金属製の板金部材により構成してもよい。また、良好な熱伝導性を有する剛体を用いて各突起197を設けた部材を基材192とは別途に作製し、この部材を基材192の後面192bに接着剤等で貼り付けてもよい。
また、本実施の形態の構成によれば、各突起197を基材192の後面192bに形成するので、基材192の前面192aは平坦である。従って、例えばスクリーン印刷を用いるとき、各突起197を前面192aに形成する場合よりも、波長変換器191を基材192に容易に形成することができる。1mm程度の高さを有する突起197を形成することにより放熱効果が向上するので、放熱のために、波長変換ホイール装置190の後面192bの側において大きな占有スペースは不要である。従って、照明装置100を小型化することができる。ただし、各突起197を基材192の前面192aに形成しないことは、本開示の必須事項ではなく、波長変換器191が設けられた側の面に各突起197を形成してもよい。
また、図1の照明装置100から、青色光を発生する構成要素(図1の青色レーザダイオード101d及び101eからレンズ22までの導光光学系)を除くことにより、黄色光を発生する照明装置を提供してもよい。
[1−5.実施の形態1のまとめ]
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190は、基材192、波長変換器191、複数の開口196、及び複数の突起197を備える。基材192は、回転軸Jの周りに回転可能である。波長変換器191は、基材192において回転軸Jから所定半径を有する円周上に形成され、入射光の波長とは異なる波長を有する光を発生する。複数の開口196は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191の外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。複数の突起197は、基材192において、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191の外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成され、回転軸Jの周りの放射方向rに関して所定の長さを有する。
これにより、波長変換器191で発生する熱を効果的に放熱することができる。
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190において、各開口196は、回転軸Jの周りの角度方向θに関して単位周期だけ離れて互いに隣接する各一対の突起197のうち、基材192の回転方向に関して後方に形成された突起197よりも、基材192の回転方向に関して前方に形成された突起197に近接して形成されてもよい。
これにより、基材192の前面192aから各開口196を介して基材192の後面192bに流れる風を生じやすくすることができる。
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190において、各突起197は、基材192において、波長変換器191が形成された面とは異なる面に形成されてもよい。この場合、各突起197は、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から波長変換器191が形成された領域まで延在してもよい。それに代わって、各突起197は、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191の外側の領域から内側の領域まで延在してもよい。
これにより、基材192の前面192aから各開口196を介して基材192の後面192bに流れる風量を増大させ、基材192の放熱効果を向上することができる。
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190において、複数の開口196は、形状、サイズ、回転軸Jからの距離、各突起197からの距離のうちの少なくとも1つの属性について、互いに異なる少なくとも2種類の開口を含んでもよい。
これにより、基材192の前面192aから各開口196を介して基材192の後面192bに流れる風量を増大させ、基材192の放熱効果を向上することができる。
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190において、複数の突起197は、形状、サイズ、回転軸Jからの距離、各開口196からの距離のうちの少なくとも1つの属性について、互いに異なる少なくとも2種類の突起を含んでもよい。
これにより、基材192の前面192aから各開口196を介して基材192の後面192bに流れる風を効果的に発生させることができる。また、基材192の表面積を増加させ、基材192の放熱効果を向上することができる。
実施の形態1に係る照明装置100は、波長変換ホイール装置190、モータ194、青色レーザダイオード101a〜101e、及び導光光学系を備える。モータ194は、波長変換ホイール装置190を回転させる。青色レーザダイオード101a〜101eは、波長変換器191の励起波長の光を発生する。導光光学系の一部は、青色レーザダイオード101a〜101cによって発生された光を波長変換器191に導く。
これにより、波長変換器191で発生する熱を効果的に放熱することができるので、波長変換ホイール装置190の劣化を生じにくくし、照明装置100を安定的に動作させることができる。
(実施の形態2)
以下、図9〜図10Bを参照して、実施の形態2に係る波長変換ホイール装置を備えた照明装置を説明する。これら図9〜図10Bにおいて、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付す。また、重複する説明は省略する。
[2−1.構成]
[2−1−1.照明装置の構成]
図9は、実施の形態2に係る波長変換ホイール装置290を備えた照明装置200の構成を示す模式図である。図9の照明装置200は、図1の照明装置100の波長変換ホイール装置190に代えて、波長変換ホイール装置290を備える。また、照明装置200では、青色レーザダイオード101a〜101eの駆動方法が照明装置100の場合とは異なっている。
図10Aは、図9の波長変換ホイール装置290の前面192aを示す図である。図10Bは、図9の波長変換ホイール装置290の後面192bを示す図である。波長変換ホイール装置290は、図2Aの波長変換器191に代えて、波長変換器191Aを備える。波長変換器191Aは、回転軸Jから所定半径を有する円周を含む領域のうち、回転軸Jからみて所定の角度幅を有する領域にそれぞれ形成された緑色蛍光体191a、赤色蛍光体191b、及び非蛍光体領域191cを含む。これら3つの領域が角度方向θに配列されている。緑色蛍光体191aは、照射された青色光により励起されて、緑色の蛍光を発生する。赤色蛍光体191bは、照射された青色光により励起されて、赤色の蛍光を発生する。非蛍光体領域191cには、蛍光体が形成されていない。このように、波長変換器191Aの緑色蛍光体191a及び赤色蛍光体191bは、入射光の波長とは異なる波長を有する光を発生する。
図9の照明装置200において、青色レーザダイオード101a〜101cから−Y方向に出射された青色光は、図1の照明装置100の場合と同様に、コリメートレンズ102a〜102c、レンズ13及び14、拡散板15、ダイクロイックミラー16、及びレンズ17及び18を介して、波長変換ホイール装置290へ入射する。
波長変換ホイール装置290に入射した青色光は、波長変換器191Aを照射する。図1の照明装置100の場合と同様にモータ194が基材192を回転させ、基材192の回転にともなって、基材192に設けられた波長変換器191Aも回転する。波長変換器191Aが回転することにより、波長変換器191Aの上に青色光が入射する位置が時間とともに変化する。従って、青色光により、緑色蛍光体191a、赤色蛍光体191b、及び非蛍光体領域191cが順に交替して照射される。また、波長変換器191Aの上に青色光が入射する位置が時間とともに変化するので、波長変換器191Aが青色光により加熱される面積を拡大できる。これにより、照射される青色光のエネルギーが高い場合でも、緑色蛍光体191a及び赤色蛍光体191bの温度上昇を抑制できる。
前述のように、緑色蛍光体191aは、照射された青色光により励起されて、緑色の蛍光を発生する。赤色蛍光体191bは、照射された青色光により励起されて、赤色の蛍光を発生する。緑色蛍光体191aが発した緑色光及び赤色蛍光体191bが発した赤色光の大部分は、+Y方向に出射される。いったん−Y方向に出射された緑色光及び赤色光も、基材192の上に形成された反射膜193で反射されて、+Y方向に戻される。この後、緑色光及び赤色光は、レンズ18及び17を透過してダイクロイックミラー16に入射する。ダイクロイックミラー16は青色光以外の可視光を反射するので、入射した緑色光及び赤色光は、ダイクロイックミラー16により反射されて+X方向に進み、レンズ23を介してロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
一方、青色レーザダイオード101d及び101eから+X方向に出射された青色光は、コリメートレンズ102d及び102e、レンズ20、拡散板21、レンズ22、及びダイクロイックミラー16、及びレンズ23を介して、ロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
なお、緑色蛍光体191a及び赤色蛍光体191bを励起させるための青色レーザダイオード101a〜101cと、照明装置200から出力する青色光の光源として使用される青色レーザダイオード101d及び101eとは、排他的に動作する。青色レーザダイオード101a〜101cがオンされ、それらの青色光が緑色蛍光体191a及び赤色蛍光体191bを照射するとき、青色レーザダイオード101d及び101eはオフされる。一方、非蛍光体領域191cが、青色レーザダイオード101d及び101eによって照射される位置にくるとき、青色レーザダイオード101d及び101eがオンされ、青色レーザダイオード101a〜101cはオフされる。これにより、ロッドインテグレータ24の出射面より出射する光は、一定の時間周期で緑色光、赤色光、及び青色光に順に切り換えられる。
ロッドインテグレータ24の出射面から出射される緑色光、赤色光、及び青色光は、時間的に合成されて、白色光となる。このように、照明装置200は、青色レーザダイオード101a〜101eの青色光から白色光を得る。
なお、本実施の形態では、赤色蛍光体191bにより赤色光が発生される場合について説明したが、赤色蛍光体191bに代えて黄色蛍光体を備え、黄色光を発生してもよい。この場合、ロッドインテグレータ24の入射側又は出射側において、黄色光から赤色光の成分を取り出すためのカラーホイールを設ければよい。
また、本実施の形態では、緑色蛍光体191aの領域と赤色蛍光体191bの領域とが互いに接している場合について説明したが、各蛍光体領域の間に非蛍光体領域をさらに設けてもよい。
また、本実施の形態では、基材192に2つの蛍光体領域(緑色蛍光体191aの領域及び赤色蛍光体191bの領域)を形成する場合について説明したが、1つのみの蛍光体領域を形成してもよく、3つ以上の蛍光体領域を形成してもよい。黄色光を発生する1つのみの蛍光体領域のみを形成する場合、ロッドインテグレータ24の入射側又は出射側において、黄色光から赤色光及び緑色光の成分を取り出すためのカラーホイールを設ければよい。
また、青色レーザダイオード101a〜101cに代えて、紫外域の光を出射するレーザを備えてもよい。この場合、基材192は、非蛍光体領域191cに代えて、青色光を発生する蛍光体を形成し、この蛍光体に紫外域の光を照射することにより青色光を発生すればよい。この場合、図9の照明装置200から、青色光を発生する構成要素(図9の青色レーザダイオード101d及び101eからレンズ22までの導光光学系)を除いてもよい。
[2−1−2.波長変換ホイール装置の構成]
図10Bに示すように、基材192には、例えば図7Hと同様に、複数の開口196及び複数の突起197Hが形成される。各開口及び各突起は、図7Hに代えて、図2B、図7A〜図7G、図7I〜図8Cのいずれかに示すものと同様に形成されてもよい。
[2−2.作用及び効果]
本実施の形態に係る波長変換ホイール装置290によれば、各開口196及び各突起197Hを配置することにより、実施の形態1と同様に、波長変換器191Aで発生する熱を効果的に放熱することができる。
[2−3.実施の形態2のまとめ]
実施の形態2に係る波長変換ホイール装置290は、基材192、波長変換器191A、複数の開口196、及び複数の突起197Hを備える。基材192は、回転軸Jの周りに回転可能である。波長変換器191Aは、基材192において回転軸Jから所定半径を有する円周上に形成され、入射光の波長とは異なる波長を有する光を発生する。複数の開口196は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191Aの外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。複数の突起197Hは、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191Aの外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成され、回転軸Jの周りの放射方向rに関して所定の長さを有する。
これにより、波長変換器191Aで発生する熱を効果的に放熱することができる。
実施の形態2に係る照明装置200は、波長変換ホイール装置290、モータ194、青色レーザダイオード101a〜101e、及び導光光学系を備える。モータ194は、波長変換ホイール装置290を回転させる。青色レーザダイオード101a〜101eは、波長変換器191Aの励起波長の光を発生する。導光光学系の一部は、青色レーザダイオード101a〜101cによって発生された光を波長変換器191Aに導く。
これにより、波長変換器191Aで発生する熱を効果的に放熱することができるので、波長変換ホイール装置290の劣化を生じにくくし、照明装置200を安定的に動作させることができる。
(実施の形態3)
以下、図11〜15を参照して、実施の形態3に係る波長変換ホイール装置を備えた照明装置を説明する。これら図11〜図15において、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成要素には同一の符号を付す。また、重複する説明は省略する。
[3−1.構成]
[3−1−1.照明装置の構成]
図11は、実施の形態3に係る波長変換ホイール装置390を備えた照明装置300の構成を示す模式図である。図11の照明装置300は、図9の照明装置200の波長変換ホイール装置290に代えて、波長変換ホイール装置390を備える。また、照明装置300では、照明装置200の青色光を発生する構成要素(図9の青色レーザダイオード101d及び101eからレンズ22までの導光光学系)を除去し、青色レーザダイオード101a〜101cを、波長変換ホイール装置390の蛍光体(後述)を励起させるために使用するとともに、照明装置300から出力する青色光の光源としても使用する。
照明装置300は、青色レーザダイオード101a〜101c、コリメートレンズ102a〜102c、レンズ13,14,17,18,23,25,26,28,30,32、拡散板15、ダイクロイックミラー16、波長変換ホイール装置390、モータ194、ロッドインテグレータ24、及びミラー27,29,31を備える。
波長変換ホイール装置390は、図12A及び図12Bに示す波長変換ホイール310と、図13に示すフィン部材320とを備える。
図12Aは、図11の波長変換ホイール装置390の波長変換ホイール310の前面192aを示す図である。図12Bは、図11の波長変換ホイール装置390の波長変換ホイール310の後面192bを示す図である。図13は、図11の波長変換ホイール装置390のフィン部材320の構成を示す斜視図である。図14Aは、図11の波長変換ホイール装置390の後面192bを示す図である。図14Bは、図11の波長変換ホイール装置390の分解斜視図である。
波長変換ホイール装置390は、図10Aの波長変換器191Aに代えて、波長変換器191Bを備える。波長変換器191Bは、回転軸Jから所定半径を有する円周を含む領域のうち、回転軸Jからみて所定の角度幅を有する領域にそれぞれ形成された緑色蛍光体191a、赤色蛍光体191b、及び透過窓191dを含む。これら3つの領域が角度方向θに配列されている。図12Aの緑色蛍光体191a及び赤色蛍光体191bは、図10Aの対応する蛍光体と同様に形成される。透過窓191dは、図10Aの非蛍光体領域191cを基材192から取り除いて構成される。従って、透過窓191dは、円弧状の貫通孔として形成される。
図11の照明装置300において、青色レーザダイオード101a〜101cから−Y方向に出射された青色光は、図9の照明装置200の場合と同様に、コリメートレンズ102a〜102c、レンズ13及び14、拡散板15、ダイクロイックミラー16、及びレンズ17及び18を介して、波長変換ホイール装置390へ入射する。
波長変換ホイール装置390に入射した青色光は、波長変換器191Bを照射する。図1の照明装置100の場合と同様にモータ194が基材192を回転させ、基材192の回転にともなって、基材192に設けられた波長変換器191Bも回転する。波長変換器191Bが回転することにより、波長変換器191Bの上に青色光が入射する位置が時間とともに変化する。従って、青色光により、緑色蛍光体191a、赤色蛍光体191b、及び透過窓191dが順に交替して照射される。
以降、上述した順番にて、青色光が照射された場合の波長変換器191Bの挙動について説明する。
まず、緑色蛍光体191aに青色光が照射されたとき、緑色蛍光体191aは、照射された青色光により励起されて、緑色の蛍光を発生する。緑色蛍光体191aが発した緑色光の大部分は、+Y方向に出射される。いったん−Y方向に出射された緑色光も、基材192の上に形成された反射膜193で反射されて、+Y方向に戻される。この後、緑色光は、レンズ18及び17を透過してダイクロイックミラー16に入射する。
続いて、赤色蛍光体191bに青色光が照射されたとき、赤色蛍光体191bは、照射された青色光により励起されて、赤色の蛍光を発生する。赤色蛍光体191bが発した赤色光の大部分は、+Y方向に出射される。いったん−Y方向に出射された赤色光も、基材192の上に形成された反射膜193で反射されて、+Y方向に戻される。この後、赤色光は、レンズ18及び17を透過してダイクロイックミラー16に入射する。
ダイクロイックミラー16は青色光以外の可視光を反射するので、入射した緑色光及び赤色光は、ダイクロイックミラー16により反射されて+X方向に進み、レンズ23を介してロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
最後に、透過窓191dに青色光が照射されたとき、青色光は、透過窓191dを通って、波長変換ホイール装置390の−Y方向に配置されたレンズ25及び26の順に入射し、レンズ26から−Y方向に平行光化した光が出射される。レンズ26を出射した光は、3枚のミラー27、29、31及び3枚のレンズ28、30、32で構成されたリレー光学系により、その進行方向を変える。最終的に、レンズ32によって再び平行光化された+X方向に進む青色光が、ダイクロイックミラー16及びレンズ23を介して、ロッドインテグレータ24の入射面に集光される。
ロッドインテグレータ24の出射面より出射する光は、一定の時間周期で緑色光、赤色光、及び青色光に順に切り換えられる。ロッドインテグレータ24の出射面から出射される緑色光、赤色光、及び青色光は、時間的に合成されて、白色光となる。このように、照明装置300は、青色レーザダイオード101a〜101cの青色光から白色光を得る。
なお、本実施の形態では、赤色蛍光体191bにより赤色光が発生される場合について説明したが、赤色蛍光体191bに代えて黄色蛍光体を備え、黄色光を発生してもよい。この場合、ロッドインテグレータ24の入射側又は出射側において、黄色光から赤色光の成分を取り出すためのカラーホイールを設ければよい。
また、本実施の形態では、緑色蛍光体191aの領域と赤色蛍光体191bの領域とが互いに接している場合について説明したが、各蛍光体領域の間に透過窓をさらに設けてもよい。
また、本実施の形態では、基材192に2つの蛍光体領域(緑色蛍光体191aの領域及び赤色蛍光体191bの領域)を形成する場合について説明したが、1つのみの蛍光体領域を形成してもよく、3つ以上の蛍光体領域を形成してもよい。黄色光を発生する1つのみの蛍光体領域のみを形成する場合、ロッドインテグレータ24の入射側又は出射側において、黄色光から赤色光及び緑色光の成分を取り出すためのカラーホイールを設ければもよい。
[3−1−2.波長変換ホイール装置の構成]
以下、図12A〜図14Bを参照して、本実施の形態の波長変換ホイール装置390の構成について説明する。
上述のように波長変換ホイール装置390は、波長変換ホイール310を備える。図12A及び図12Bに示すように、波長変換ホイール310は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191Bの内側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成された複数の開口199をさらに備える。また、図12Bに示すように、基材192には、例えば図7Hと同様に、複数の開口196及び複数の突起197Hが形成される。各開口及び各突起は、図7Hに代えて、図2B、図7A〜図7G、図7I〜図8Cのいずれかに示すものと同様に形成されてもよい。各突起197Hが基材192において放射方向rに関して波長変換器191Bの外側の領域から内側の領域まで延在する場合、図12Bに示すように、透過窓191dが形成されている領域では突起は除去される。
波長変換ホイール装置390は、図13に示すフィン部材320をさらに備える。フィン部材320は、図14A及び図14Bに示すように、波長変換ホイール310の基材192の後面192bに取り付けられる。図13に示すように、フィン部材320は、複数の羽根321、複数の開口322、複数のネジ穴323、及び中央の開口324を備える。フィン部材320の各開口322、ネジ穴323、及び開口324は、それぞれ、基材192の各開口199、ネジ穴198、及び開口195のものと実質的に同じ形状、サイズ、及び相対位置を有するように形成される。図14Aに示すように、フィン部材320は、各開口322、ネジ穴323、及び開口324の位置が、基材192の各開口199、ネジ穴198、及び開口195の位置にそれぞれ一致するように、基材192に取り付けられる。また、図14Bに示すように、フィン部材320は、各羽根321が突出している面とは逆の面が、基材192の後面192bと接するように、基材192に取り付けられる。フィン部材320の各羽根321は、フィン部材320が基材192に取り付けられた状態では、放射方向rに関して波長変換器191Bの内側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。フィン部材320の各羽根321は、フィン部材320が基材192に取り付けられた状態では、回転軸Jの周りの放射方向rに関して所定の長さを有する。フィン部材320及び基材192は、基材192の前面192aからネジ穴198及び323を介してネジ(図示せず)を挿入することにより、モータ194に固定される。
このようにして、フィン部材320は、基材192と一体となって回転する。モータ194によって基材192が回転するとともに、フィン部材320の羽根321が回転すると、羽根321においても、基材192の中心から外周に向けて空気の流れが発生する。
フィン部材320は、例えば、ステンレス板を折り曲げて形成される。具体的には、ステンレスの平板の一部を切り、その部分を図13のように折り曲げることによって羽根321を形成する。これにより、フィン部材320を安価に構成することができる。
本明細書において、開口199及び開口322を「第2の開口」ともいい、羽根321を「第2の突起」ともいう。
[3−2.作用及び効果]
次に、図15を参照して、このような開口199、開口322、及び羽根321の配置によって得られる効果について説明する。図15は、図11の波長変換ホイール装置390の模式断面図である。
実施の形態1及び2と同様に、開口196及び突起197Hを形成することにより、開口196において、前面192aから後面192bに向かって流れる風Wa1、もしくは、後面192bから前面192aに向かって流れる風Wb1が発生する。
本実施の形態では、上述した風Wa1又はWb1に加え、フィン部材320の開口322及び基材192の開口199において、前面192aから後面192bに向かって流れる風Wa2、もしくは、後面192bから前面192aに向かって流れる風Wb2も発生する。風Wa2及びWb2の発生メカニズムは、開口196における風Wa1及びWb1の発生メカニズムと同じであるが、本実施の形態では、基材192の回転方向に関して羽根321の前方の全域に開口322及び199が位置するので、風Wb2が発生する。
これら風Wa1もしくは風Wb1、風Wa2もしくは風Wb2により、基材192の周囲での温度境界層が薄くなり、基材192の放熱性能が向上する。
本実施の形態では、開口196の近傍において温度境界層が薄くなることに加えて、開口199の近傍においても温度境界層が薄くなるので、実施の形態1及び2よりも、基材192の放熱性能が向上する。
本実施の形態では、フィン部材320の材料をステンレスとしたが、これに限定されない。例えば、フィン部材の材料として鉄板又は銅板を用いてもよく、フィン部材の表面にメッキ処理をしてもよい。また、良好な熱伝導性を有する剛体を用いてフィン部材320を作製し、この部材を基材192の後面192bに接着剤等で貼り付けてもよい。また、基材192とフィン部材320を、一体的に形成してもよい。
[3−3.実施の形態3のまとめ]
実施の形態3に係る波長変換ホイール装置390は、基材192、波長変換器191B、複数の開口196、及び複数の突起197Hを備える。基材192は、回転軸Jの周りに回転可能である。波長変換器191Bは、基材192において回転軸Jから所定半径を有する円周上に形成され、入射光の波長とは異なる波長を有する光を発生する。複数の開口196は、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191Bの外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成される。複数の突起197Hは、基材192において、放射方向rに関して波長変換器191Aの外側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成され、回転軸Jの周りの放射方向rに関して所定の長さを有する。
これにより、波長変換器191Bで発生する熱を効果的に放熱することができる。
実施の形態3に係る波長変換ホイール装置390は、基材192において、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191Bの内側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成された複数の開口199,322をさらに備える。
これにより、基材192の放熱効果を向上することができる。
実施の形態3に係る波長変換ホイール装置390は、基材192において、回転軸Jの周りの放射方向rに関して波長変換器191Bの内側に、かつ、回転軸Jの周りの角度方向θに関して周期的に形成され、回転軸Jの周りの放射方向に関して所定の長さを有する複数の羽根321を備える。
これにより、基材192の放熱効果を向上することができる。
実施の形態3に係る照明装置300は、波長変換ホイール装置390、モータ194、青色レーザダイオード101a〜101c、及び導光光学系を備える。モータ194は、波長変換ホイール装置390を回転させる。青色レーザダイオード101a〜101cは、波長変換器191Bの励起波長の光を発生する。導光光学系の一部は、青色レーザダイオード101a〜101cによって発生された光を波長変換器191Bに導く。
これにより、波長変換器191Bで発生する熱を効果的に放熱することができるので、波長変換ホイール装置390の劣化を生じにくくし、照明装置300を安定的に動作させることができる。
実施の形態1に係る波長変換ホイール装置190又は実施の形態2に係る波長変換ホイール装置290において、実施の形態3に係る波長変換ホイール装置390と同様に、複数の開口199,322及び/又は複数の羽根321をさらに備えてもよい。
(実施の形態4)
[4−1.投写型映像表示装置の構成]
次に、図16を参照して、実施の形態3の照明装置300を用いた投写型映像表示装置の構成を説明する。
図16は、実施の形態4に係る波長変換ホイール装置390を備えた照明装置300を搭載した投写型映像表示装置を示す模式図である。図16の投写型映像表示装置は、照明装置300、ミラー35,36、レンズ33,34、光変調素子37、及び投写レンズ38を備える。
図16の照明装置300は、図11の照明装置300と同様に構成されるので、その詳細に関しては省略して、ロッドインテグレータ24より後段の構成要素及び出射した光の挙動について説明する。
ロッドインテグレータ24から出射した白色光は、リレー光学系を構成するレンズ33及び34を通過し、ミラー35及び36で反射されて、光変調素子37に入射する。光変調素子37は例えばDMD(digital micromirror device)である。光変調素子37に入射した光は、光変調素子37において映像信号によって変調されて映像光が生成される。光変調素子37で生成された映像光は、+Y方向に出射され、投写光学系である投写レンズ38で拡大されて、スクリーン(図示せず)に投写される。
なお、図16の投写型映像表示装置は、図11の照明装置300に代えて、図9の照明装置200を備えてもよい。それに代わって、図1の照明装置100を備えた投写型映像表示装置を構成してもよい。
[4−2.実施の形態4のまとめ]
実施の形態4に係る投写型映像表示装置は、実施の形態1〜3に係る照明装置100〜300と、照明装置から出力された照明光を映像信号に応じて変調して映像光を生成する光変調素子37と、映像光を投写する投写光学系とを備える。
これにより、波長変換器191Bで発生する熱を効果的に放熱することができるので、波長変換ホイール装置390の劣化を生じにくくし、投写型映像表示装置を安定的に動作させることができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本開示に係る技術の例示として、実施の形態1〜4を説明した。しかしながら、本開示に係る技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1〜4で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
放射状の突起は、全周に相似形状で設けなくてもよい。例えば、透過窓は冷却の必要がないので、その周囲の突起を省略してもよい。また、波長変換ホイール装置の重量のバランスを取るために、突起の一部が切削などにより除去されてもよい。
また、説明した実施の形態では、基材の前面のみに蛍光体を配したが、基材の前面及び後面の双方に蛍光体が形成されていてもよい。