以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
なお、説明中で同じ符号、記号、数字は、特に説明が無い限り、同じ構成要素を示すものとする。また、特に説明が無い限り本発明に必須でない構成要素は図示しないものとする。
なお、以下では、実施の形態1〜3で蛍光体ホイール装置について説明し、実施の形態4、5で蛍光体ホイール装置を収納する筐体(以下、「蛍光体ホイール装置収納筐体」、または、単に「収納筐体」と記す)について説明し、実施の形態6、7で投写型映像表示装置について説明する。
また、以下の実施の形態では、励起光を青色光Bとする例を示すが、励起光は他の波長の光であってもよい。
(実施の形態1)
以下、図1A〜図3Cを用いて、実施の形態1の蛍光体ホイール装置100を説明する。
[1−1.構成]
図1Aは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の表(おもて)面を示す平面図である。図1Bは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の側面図である。図1Cは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の裏面を示す平面図である。
図2Aは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の表(おもて)面を示す斜視図である。図2Bは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の裏面を示す斜視図である。
図3Aは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100が備えるファン部材210の側面図である。図3Bは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100が備えるファン部材210の平面図である。図3Cは、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100が備えるファン部材210の斜視図である。
蛍光体ホイール装置100は、蛍光体ホイール103を有する。蛍光体ホイール103は、熱伝導性材料からなる円盤状の基板101と、基板101の外周近傍に、実質的に一定の幅で円周方向に沿って配設された蛍光体102と、を備える。
蛍光体102は、基板101の一方の面の、基板101の中心Oから所定の距離(例えば、3cm程度)を隔てた円周上に、所定の幅(例えば、5mm程度)の円環状に配設されている。なお、本実施の形態では、便宜的に、基板101の一方の面を表(おもて)面とする。この蛍光体102は、例えば黄色光Yeを発光する蛍光体材料で形成される。蛍光体102は、例えば、蛍光体粉末を熱硬化性樹脂と混合し、その混合物を基板101の表(おもて)面に、スクリーン印刷によって円環状に塗布し、その後、加熱炉で加熱硬化させることで形成することができる。なお、上記した数値は単なる一例に過ぎず、本開示は何らこれらの数値に限定されない。また、上記した製法も単なる一例に過ぎない。
基板101を構成する熱伝導性材料には、例えばアルミニウム材やサファイアガラス材を使用できる。しかし、本開示は何らこの構成に限定されない。基板101を構成する熱伝導性材料は、熱伝導性の良好な材料であり、かつ基板としての加工が容易な材料であればよい。
蛍光体ホイール103には、基板101を回転駆動するモータ104が取り付けられている。モータ104は例えばスピンドルモータであるが、本開示はモータ104の種類を限定しない。
図2Bに示すように、基板101の他方の面(蛍光体102が配設された面の裏面)にモータ104のロータ104aが取り付けられ、蛍光体ホイール装置100を支持する支持部材(図示せず)にモータ104のステータ104bが取り付けられている。なお、本実施の形態では、便宜的に、基板101の他方の面を裏面とする。そして、モータ104では、ステータ104bにフレキシブル基板105を通じて駆動電圧が供給されることによって、ロータ104aが回転駆動される。
図1C、図2Bに示すように、基板101の裏面には、ステンレス板金を折曲加工して複数の羽根211が形成されたファン部材210が取り付けられている。
図1A〜図3Cに示すように、羽根211は、ファン部材210が基板101に取り付けられたとき、基板101に対して実質的に垂直になるように、ステンレス板金を切り起こして形成されている。また、羽根211は、ファン部材210が基板101に取り付けられたとき、基板101の中心O(モータ104の回転軸)から蛍光体ホイール103の径方向に対して所定の傾き(例えば、30度)を持ちながら直線状に伸びるとともに、蛍光体102の配設位置よりも内側(中心O側)に位置するように、実質的に等間隔に成型されている。また、ファン部材210は、ファン部材210が基板101に取り付けられたとき、羽根211から蛍光体102までの距離が、羽根211の高さ(例えば、5mm)以上になるように形成されている。なお、上記の数値は単なる一例に過ぎず、本開示は何らこれらの数値に限定されない。
また、ファン部材210には、基板101のネジ孔106にあわせたネジ孔213が設けられ、ファン部材210の中央にはモータ104のロータ104aにあわせた開口部212が設けられている。
ファン部材210の開口部212にはモータ104のロータ104aが嵌入される。そして、ファン部材210は、基板101の表(おもて)面側からネジ孔106に差し込まれたネジ(図示せず)がファン部材210のネジ孔213にネジ止めされることで、基板101に固定される。また、このネジにより、モータ104のロータ104aも、基板101にネジ止めされて固定される。すなわち、ファン部材210とモータ104のロータ104aとは、ネジ孔106とネジ孔213とをネジ止めするネジによって、基板101に共締めされて固定されている。
このように、ファン部材210は、蛍光体ホイール103と一体で回転するように、基板101に取り付けられている。したがって、モータ104によって蛍光体ホイール103が回転駆動されると、複数の羽根211も、モータ104の回転軸を中心にして蛍光体ホイール103の円周方向に回転する。こうして、複数の羽根211による空気流が発生する。
投写型映像表示装置において、表示映像を高輝度化するために、励起光源から出力される励起光の輝度を高めると、励起光を照射される蛍光体はより高温になり、蛍光体の劣化が進行しやすくなる。また、蛍光体は高温になると発光光率が低下し、発光輝度が低下する。また、モータも、高温下では劣化が進行しやすい。したがって、モータが一体化された蛍光体ホイールは、適切に冷却しながら使用されることが望ましい。
本実施の形態における蛍光体ホイール103は、上述したように、モータ104によって蛍光体ホイール103が回転駆動されると、複数の羽根211による空気流が発生する。したがって、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体102や蛍光体102の熱で加熱された基板101を、基板101とともに複数の羽根211が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
本実施の形態の蛍光体ホイール装置100では、ファン部材210にステンレス板金を用いているので、薄い材料でも丈夫に、かつ安価に、ファン部材210を形成できる。
なお、ファン部材210の材料は、何らステンレスに限定されない。ファン部材210は、鉄板に防錆処理した鋼板、等で形成されてもよい。
[1−2.構造]
次に、図4〜図6を用いて、蛍光体ホイール装置100の構造を説明する。
図4は、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の第1の構造の一例を模式的に示す図である。
図5は、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の第2の構造の一例を模式的に示す図である。
図6は、実施の形態1における蛍光体ホイール装置100の第3の構造の一例を模式的に示す図である。
なお、以下では、便宜上、XYZ直交座標系を用いて説明を行う。図4〜図6では、基板101の裏面に垂直な方向を+Y方向とし、基板101の半径方向を+X方向とし、X軸に直交する基板101の半径方向を+Z方向とする。
また、以下では、第1の構造(蛍光体ホイール装置100)、第2の構造(蛍光体ホイール装置100a)、第3の構造(蛍光体ホイール装置100b)、の順で説明する。
[1−2−1.第1の構造]
蛍光体ホイール装置の基板は、光を反射しやすい材料(反射材料)で形成されていてもよい。
図4に示す第1の構造では、蛍光体ホイール装置100の基板101は、例えばアルミニウム等の反射材料で形成されている。
そして、基板101の表(おもて)面の、少なくとも蛍光体102が配設された領域は、蛍光体102の発光を反射するように表(ひょう)面が加工(例えば、鏡面加工)されて形成されている。基板101の表(おもて)面は、例えば全面が鏡面加工されていてもよい。
第1の構造では、励起光源(図示せず)から出射される青色の励起光Bを、図4に示すように、+Y方向へ(図面において下から上に)進行させて蛍光体102を照射する。蛍光体102が赤色蛍光体であれば、励起光Bを照射された蛍光体102は赤色光Rを発光する。蛍光体102が緑色蛍光体であれば、励起光Bを照射された蛍光体102は緑色光Gを発光する。これら蛍光体102の発光(R、G)の一部は、蛍光体102から−Y方向に(図面において上から下に)出射される。また、蛍光体102の発光(R、G)の他の一部は、蛍光体102から+Y方向に出射され、基板101の表(ひょう)面で反射して、基板101の表(おもて)面から−Y方向に出射される。
このように、第1の構造では、蛍光体ホイール装置100から−Y方向に出射される赤色光R、緑色光Gを得ることができる。
そして、蛍光体ホイール装置100では、羽根211から蛍光体102までの距離Lは、羽根211の高さH以上に設定されている。これは以下の理由による。回転する羽根211により生じる空気流は、図中に実線の矢印で示す方向に、徐々に速度を上げながら移動する。蛍光体ホイール装置100では、蛍光体102を冷却するために、蛍光体102の配設位置付近で十分な速度の空気流が生じることが要求される。しかし、羽根211が長過ぎると、空気流は蛍光体102の配設位置付近で十分な速度を得られず、十分な冷却効果を得ることができないことが実験により確認された。一方で、羽根211から蛍光体102までの距離Lを、羽根211の高さH以上に設定することで、その距離Lの間に空気流が速度を上げ、蛍光体102の配設位置付近で、蛍光体102を冷却するのに十分な空気流が生じることが、実験により確認された。
このような理由により、蛍光体ホイール装置100では、羽根211から蛍光体102までの距離Lを、羽根211の高さH以上に設定しており、これにより、十分な冷却効果を実現している。なお、実験では、蛍光体ホイール装置100に上述した条件で羽根211を設けることで、50℃〜80℃の冷却効果が得られることが確認された。しかし、この冷却効果は、各種条件によって異なり、本開示はこれらの数値に限定されない。
[1−2−2.第2の構造]
蛍光体ホイール装置の基板は、光を反射しにくい材料(非反射材料)で形成されていてもよい。
図5に示す第2の構造では、蛍光体ホイール装置100aの基板101aは、非反射材料で形成されている。
ただし、このような場合、蛍光体ホイール装置100aでは、基板101aにおける蛍光体102が配設された領域の、基板101aと蛍光体102との間に、光を反射するように表面が加工(例えば、鏡面加工)された反射膜300をコーテイングして設けるものとする。すなわち、第2の構造では、基板101a上に反射膜300を設け、反射膜300上に蛍光体102を配設する。したがって、第2の構造では、蛍光体ホイール装置100aは、基板101aと反射膜300と蛍光体102とを有する蛍光体ホイール103a、を備える。
第2の構造では、第1の構造と同様に、励起光源(図示せず)から出射される青色の励起光Bを、+Y方向へ進行させて蛍光体102を照射する。励起光Bを照射された蛍光体102は、発光(R、G)の一部を蛍光体102から−Y方向に出射し、発光(R、G)の他の一部を蛍光体102から+Y方向に出射する。+Y方向に進行する蛍光体102の発光(R、G)は、基板101aに設けられた反射膜300の表(ひょう)面で反射して、図4に示した第1の構造と同様に基板101aの表(おもて)面から−Y方向に出射される。
このように、第2の構造では、第1の構造と同様に、蛍光体ホイール装置100aから−Y方向に出射される赤色光R、緑色光Gを得ることができる。
なお、第2の構造では、反射膜300は、少なくとも蛍光体102が配設された領域に対応するように基板101aに設けるものとするが、基板101aの蛍光体102が配設された面の全面に反射膜300が設けられてもよい。
そして、蛍光体ホイール装置100aにおいても、羽根211から蛍光体102までの距離Lは、羽根211の高さH以上に設定されており、これにより、十分な冷却効果を実現している。
[1−2−3.第3の構造]
蛍光体ホイール装置の基板は、光を透過する材料(光透過材料)で形成されていてもよい。
図6に示す第3の構造では、蛍光体ホイール装置100bの基板101bは、例えばサファイアガラス等の、光透過材料で形成されている。
このような場合、蛍光体ホイール装置100bでは、基板101bにおける蛍光体102が配設された面に、励起光(例えば、青色光B)を透過し、蛍光体102の発光(例えば、緑色光Gと赤色光Rの混合光。以下、黄色光Yeと記す)を反射する特性を有するダイクロイック膜400を、コーテイングして設けるものとする。すなわち、第3の構造では、基板101b上にダイクロイック膜400を設け、ダイクロイック膜400上に蛍光体102を配設する。したがって、第3の構造では、蛍光体ホイール装置100bは、基板101bとダイクロイック膜400と蛍光体102とを有する蛍光体ホイール103b、を備える。なお、以下では、励起光は青色光Bであり、蛍光体102は黄色光Yeを発光する蛍光体材料で形成された例を示す。
第3の構造では、第1、第2の構造とは異なり、励起光源(図示せず)から出射される青色の励起光(青色光B)を、図6に示すように、−Y方向へ(図面において上から下に)進行させて、基板101bの裏面側から、蛍光体102へ向けて照射する。励起光Bは、基板101bとダイクロイック膜400とを透過して蛍光体102に照射され、蛍光体102を励起する。
励起光Bを照射された蛍光体102は、発光(黄色光Ye)の一部を蛍光体102から−Y方向に出射し、発光(黄色光Ye)の他の一部を蛍光体102から+Y方向に出射する。+Y方向に進行する蛍光体102の発光(黄色光Ye)は、基板101bに設けられたダイクロイック膜400で反射して、基板101bの表(おもて)面から−Y方向に出射される。
なお、励起光(青色光B)の一部は、蛍光体102の励起に使用されずに蛍光体102を透過して、蛍光体102から−Y方向に出射される。この結果、蛍光体102から出射される光は、黄色光Yeと青色光Bとの混合光、すなわち白色光W、となる。
このように、第3の構造では、蛍光体ホイール装置100bから−Y方向に出射される光として、白色光Wを得ることができる。
そして、蛍光体ホイール装置100bにおいても、羽根211から蛍光体102までの距離Lは、羽根211の高さH以上に設定されており、これにより、十分な冷却効果を実現している。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。
この蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
この蛍光体ホイール装置では、複数の羽根を有するファン部材が、基板の他方の面に固定して設けられてもよい。
この蛍光体ホイール装置において、ファン部材は、金属板を折曲加工して形成されてもよい。
この蛍光体ホイール装置において、基板の一方の面の少なくとも蛍光体が配設された領域は、蛍光体の発光を反射するように表(ひょう)面が加工されてもよい。
この蛍光体ホイール装置において、基板は、熱伝導性材料で形成されてもよい。
本実施の形態によれば、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等を、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、蛍光体ホイール装置100、100a、100bは、それぞれが蛍光体ホイール装置の一例である。蛍光体ホイール103、103a、103bは、それぞれが蛍光体ホイールの一例である。モータ104はモータの一例である。羽根211は羽根の一例である。基板101、101a、101bは、それぞれが基板の一例である。蛍光体102は蛍光体の一例である。ファン部材210はファン部材の一例である。ステンレス板金は、ファン部材を形成する金属板の一例である。アルミニウム、サファイアガラスは、それぞれが、基板を形成する熱伝導性材料の一例である。また、アルミニウムは、蛍光体の発光を反射するように表(ひょう)面を加工できる材料の一例である。また、反射膜300は、蛍光体の発光を反射するように加工された表(ひょう)面の一例である。青色光Bは励起光の一例である。
(実施の形態2)
以下、図7A〜図10を用いて、実施の形態2の蛍光体ホイール装置120を説明する。
[2−1.構成]
図7Aは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120の表(おもて)面を示す平面図である。図7Bは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120の側面図である。図7Cは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120の裏面を示す平面図である。
図8Aは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120の表(おもて)面を示す斜視図である。図8Bは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120の裏面を示す斜視図である。
図9Aは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120が備えるファン部材220の裏面を示す平面図である。図9Bは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120が備えるファン部材220の側面図である。図9Cは、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120が備えるファン部材220の表(おもて)面を示す平面図である。
図10は、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120が備えるファン部材220の斜視図である。
なお、実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明を省略する。
実施の形態1では、ステンレス板金を折曲加工することで複数の羽根211が形成されたファン部材210を説明した。実施の形態2に示す蛍光体ホイール装置120が、実施の形態1に示す蛍光体ホイール装置100と異なる点は、アルミニウムを切削加工することで、複数の羽根221を有するファン部材220を形成している点にある。なお、この点を除き、実施の形態2における蛍光体ホイール装置120は、実施の形態1に示した蛍光体ホイール装置100、または蛍光体ホイール装置100a、または蛍光体ホイール装置100b、と実質的に同じであるので、重複説明は省略する。
図9A〜図10に示すように、複数の羽根221はファン部材220に一体的に形成されている。
羽根221は、図7A〜図10に示すように、ファン部材220が基板101に取り付けられたとき、基板101に対して実質的に垂直になるように形成されている。また、羽根221の形状は、ファン部材220が基板101に取り付けられたとき、基板の中心O(モータ104の回転軸)から蛍光体ホイール103の径方向に対して所定の傾きを持ちながら湾曲して伸びるとともに、蛍光体102の配設位置よりも内側(中心O側)に位置するように、実質的に等間隔に成型されている。また、ファン部材220は、ファン部材220が基板101に取り付けられたとき、羽根221から蛍光体102までの距離が、羽根221の高さ以上になるように形成されている。
なお、羽根221は湾曲してなくてもよい。羽根221は、例えば、実施の形態1に示した羽根211と同様の形状であってもよい。
また、ファン部材220には、基板101のネジ孔106にあわせたネジ孔223が設けられ、ファン部材220の中央にはモータ104のロータ104aにあわせた開口部222が設けられている。
ファン部材220の開口部222にはモータ104のロータ104aが嵌入される。そして、図7A〜図8Bに示すように、ファン部材220は、基板101のネジ孔106とファン部材220のネジ孔223とがネジ(図示せず)によってネジ止めされることで、モータ104のロータ104aとともに基板101に固定される。
このように、実施の形態2において、ファン部材220は、実施の形態1と同様に、蛍光体ホイール103と一体で回転するように基板101に取り付けられている。したがって、モータ104によって蛍光体ホイール103が回転駆動されると、複数の羽根221も、モータ104の回転軸を中心にして蛍光体ホイール103の円周方向に回転する。こうして、複数の羽根221による空気流が発生する。
したがって、本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体102や基板101等を、基板101とともに複数の羽根221が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、金属板をプレス加工する際には加工上の制約が生じるが、蛍光体ホイール装置120のファン部材220はアルミニウムを切削加工することによって形成されるので、本実施の形態では、そのような制約に縛られずにファン部材220を形成できる。例えば、ホイール(基板に接する部分)とファン(複数の羽根)を別構成にできるのでそれらを互いに異なる性質のアルミニウムで形成することもできる。例えば、ホイールの材料には熱伝導率に優れた高純度アルミニウム合金を用い、ファン部分には加工性に優れ剛性が高いアルミニウム合金を用いる、といったこともできる。
なお、実施の形態2では、ファン部材220を、実施の形態1で図4に示した第1の構造を有する蛍光体ホイール103に取り付ける構成例を説明したが、ファン部材220は、図5に示した第2の構造を有する蛍光体ホイール103a、または図6に示した第3の構造を有する蛍光体ホイール103b、に取り付けてもよい。
[2−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。
この蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
したがって、本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等を、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、蛍光体ホイール装置120は、蛍光体ホイール装置の一例である。アルミニウムを切削加工することでファン部材220に一体的に形成された羽根221は、羽根の一例である。
(実施の形態3)
以下、図11A、11Bを用いて、実施の形態3の蛍光体ホイール装置130を説明する。
[3−1.構成]
図11Aは、実施の形態3における蛍光体ホイール装置130の表(おもて)面を示す斜視図である。図11Bは、実施の形態3における蛍光体ホイール装置130の裏面を示す斜視図である。
なお、実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明を省略する。
実施の形態1では、複数の羽根211を有するファン部材210を基板101に取り付けて蛍光体ホイール装置100を構成する実施例を説明した。実施の形態2では、複数の羽根221を有するファン部材220を基板101に取り付けて蛍光体ホイール装置120を構成する実施例を説明した。実施の形態3に示す蛍光体ホイール装置130が、実施の形態1、2に示す蛍光体ホイール装置100、120と異なる点は、複数の羽根230を基板111と一体成型して基板111を形成している点にある。なお、この点を除き、実施の形態3における蛍光体ホイール装置130は、実施の形態1に示した蛍光体ホイール装置100、または蛍光体ホイール装置100a、または蛍光体ホイール装置100b、と実質的に同じであるので、重複説明は省略する。
蛍光体ホイール装置130は、熱伝導性材料で形成された円盤状の基板111を備える。基板111の裏面(モータ104を取付ける方の面)には複数の羽根230が基板111と一体的に形成されている。また、基板111には、モータ104のロータ104aをネジ止めするためのネジ孔223が設けられている。基板111は、例えば、アルミニウムを材料とするダイキャストによって、複数の羽根230とともに形成される。基板111の表(おもて)面(モータ104を取付けない方の面)には、実施の形態1と同様の方法で、蛍光体102が形成されている。そして、モータ104のロータ104aが、基板111のネジ孔223にネジ止めされることによって、基板101に固定される。なお、羽根230の形状は、実施の形態2で説明した羽根221と実質的に同じであるので、重複説明を省略する。
実施の形態3においても、羽根230は、実施の形態1、2と同様に、基板111と一体で回転する。したがって、モータ104によって基板111が回転駆動されると、複数の羽根230も同様に回転し、複数の羽根230による空気流が発生する。
したがって、本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体102や基板111等を、基板111とともに複数の羽根230が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、本実施の形態では、複数の羽根230が基板111に一体成型されるので、基板と別にファン部材を設けなくてもよい。
また、複数の羽根230が基板111に一体成型されるので、ファン部材を基板に取り付ける構成と比較して、基板111から羽根230への熱伝導性は高い。したがって、基板111では、羽根230自体が放熱部材として機能する。そのため、本実施の形態では、蛍光体ホイール装置130をより効果的に冷却することができる。
なお、基板111の製造方法は何らダイキャストに限定されるものではなく、例えば冷間鍛造で形成されてもよい。
なお、実施の形態3において、基板111は、実施の形態1で図4に示した第1の構造を有するが、図5に示した第2の構造、または図6に示した第3の構造であってもよい。
[3−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。
この蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
この蛍光体ホイール装置では、複数の羽根と基板とが一体的に形成されてもよい。
本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等を、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、蛍光体ホイール装置130は、蛍光体ホイール装置の一例である。基板111は基板の一例である。アルミニウムを材料とするダイキャストによって基板111に一体的に形成された羽根230は、羽根の一例である。
(実施の形態4)
以下、図12を用いて実施の形態4の蛍光体ホイール装置収納筐体500を説明する。
[4−1.構成]
図12は、実施の形態4における蛍光体ホイール装置収納筐体500の断面図である。なお、本実施の形態では、図12に示すように、便宜上、図4と同様に設定されたXYZ直交座標系を用いて説明を行う。
本実施の形態では、収納筐体500に、実施の形態1で説明した蛍光体ホイール装置100を収納する構成例を説明する。しかし、収納筐体500に収納される蛍光体ホイール装置は、実施の形態2で説明した蛍光体ホイール装置120または実施の形態3で説明した蛍光体ホイール装置130であってもよい。
また、収納筐体500に収納される蛍光体ホイール装置100は、実施の形態1で図4に示した第1の構造を有するが、図5に示した第2の構造を有する蛍光体ホイール装置100aが収納筐体500に収納されてもよい。
なお、実施の形態4において、実施の形態1〜3と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明を省略する。
蛍光体ホイール装置100に形成された蛍光体102をレーザ光等の励起光で励起して発光させ、その発光を照明装置の光源として使用する場合、塵埃等が蛍光体102の表面に付着すると、蛍光体102にその塵埃が焼き付き、蛍光体102の発光輝度が低下する可能性がある。そのため、蛍光体ホイール装置100は、収納筐体500内に密閉されることが望ましい。
収納筐体500は、蓋体510および容器体520を備える。蓋体510および容器体520は、例えばアルミニウム等の、熱伝導性に優れた材料で形成されている。すなわち、収納筐体500は、熱伝導性に優れた材料で形成されている。
容器体520は、内部に蛍光体ホイール装置100を収納して蓋体510を取り付けられるように構成されている。容器体520に蓋体510を取り付けることで、収納筐体500は、扁平直方体形状となる。また、容器体520には、収納筐体500内に収納された蛍光体ホイール装置100の蛍光体102に対向する位置に、励起光を入射するとともに蛍光体102の発光を出射するための第1の窓部530が開設されている。第1の窓部530は、第1レンズユニット540を嵌め込むことができる形状に形成されている。収納筐体500は、例えば投写型映像表示装置のキャビネット600に取り付けられる。
蓋体510が取り付けられた容器体520は、第1の窓部530に第1レンズユニット540が嵌め込まれることにより、内部が密閉された状態となる。すなわち、収納筐体500は密閉筐体となり、外部から収納筐体500内への塵埃の侵入が防止される。
第1レンズユニット540は、レンズ保持枠543に保持された第1レンズ541および第2レンズ542を有する。キャビネット600内には、励起光源(図示せず)から出射される励起光が、図12に一点鎖線で示すように、+Y方向に(図面において下から上に)照射されるように光学系が設定されている。
なお、第1レンズユニット540と蛍光体102との離間距離は、第1レンズユニット540の焦点距離にもとづき設定される必要がある。そのため、蛍光体ホイール装置において蛍光体102が配設された面と同じ面に羽根211が設けられると、羽根211の高さが制限されたりする等、設計上の制約が生じる。しかし、蛍光体ホイール装置100では、蛍光体102が配設された面の裏面に羽根211を設けているので、そのような制約は生じず、設計上の自由度は相対的に高い。これは、本開示に示す他の蛍光体ホイール装置でも同様である。
励起光は、第1レンズ541と第2レンズ542によって、蛍光体ホイール装置100の基板101に形成された蛍光体102に集光される。そして、集光された励起光は、蛍光体102に照射され、蛍光体102を励起する。このとき、集光された励起光により、基板101に形成された蛍光体102は加熱され、蛍光体102および基板101の温度が上昇する。一般的に、蛍光体102は、高温になると劣化が進行し、発光効率が低下するので、それらを抑制するために冷却されることが望ましい。
励起光によって励起された蛍光体102からの発光は、図12に一点鎖線で示すように、第2レンズ542および第1レンズ541を通して−Y方向に(図面において上から下に)出射される。
蓋体510の内面側と外面側には複数のフィン581を備えたヒートシンク構造580が設けられている。ヒートシンク構造580は熱交換素子の一例である。また、容器体520の側面の内面側と外面側には複数のフィン551を備えたヒートシンク構造550が設けられている。ヒートシンク構造550は熱交換素子の一例である。このように、収納筐体500は、熱交換素子の一例であるヒートシンク構造550、580を備える。
蛍光体ホイール装置100は、基板101がA−A軸を回転軸として回転するように収納筐体500内に設置される。蛍光体ホイール103がモータ104によって回転駆動されると、基板101とともに複数の羽根211が回転し、回転する複数の羽根211によって収納筐体500内に空気流が発生する。
図13は、実施の形態4における蛍光体ホイール装置収納筐体500に生じる空気流を模式的に示す図である。図13では、蛍光体ホイール103の回転方向および空気流の大まかな流れを矢印で示す。なお、図13には、蛍光体ホイール装置100を裏面側から見た平面図を示す。
図13に示すように、複数の羽根211が回転することで生成された空気流は、ヒートシンク構造550に向かって流れ、ヒートシンク構造550を構成する複数のフィン551の面に沿って流れる。ヒートシンク構造550は、そのような位置に配置されている。図示しないが、ヒートシンク構造580についても同様である。これにより、蛍光体ホイール103で加熱された空気の熱がヒートシンク構造550、580に伝導して、ヒートシンク構造550、580が加熱される。ヒートシンク構造550、580は、上述したように、例えばアルミニウム等の熱伝導性に優れた材料で形成されているので、フィン551、581を通して外部の空気と常時熱交換が行われている。これによりヒートシンク構造550、580は冷却され、フィン551、581を通る空気が冷却される。こうして冷却された空気が、再び蛍光体ホイール103に戻り、これにより蛍光体ホイール103が冷却される。
図12に示すように、収納筐体500の側面の近傍に、冷却ファン610をそれぞれ設けてもよい。この冷却ファン610によって発生する送風が冷却風としてヒートシンク構造550、580を冷却することで、より効率的に収納筐体500内部の空気を冷却することができる。
このように、収納筐体500では、蛍光体102に励起光を照射したときに生じる熱によって加熱された空気が、ファン部材210の羽根211によって空気流となり、その空気流はヒートシンク構造550、580の面に沿うように流れる。これにより、収納筐体500内の熱はヒートシンク構造550、580を通して外部に放熱される。
本実施の形態では、ヒートシンク構造580は蓋体510と、ヒートシンク構造550は容器体520と、それぞれ一体的に形成されている。したがって、ヒートシンクを収納筐体500と別に設けなくてもよい。
なお、図12には、蓋体510にヒートシンク構造580を設ける構成例を示したが、蓋体にヒートシンク構造を設けずに収納筐体を構成してもよい。
図14は、実施の形態4における蛍光体ホイール装置収納筐体501の他の一例を示す断面図である。
収納筐体501は、蓋体561と、図12に示した容器体520と、を備える。
図14に示す蓋体561は、図12に示した蓋体510と異なり、ヒートシンク構造を備えていない。なお、この点を除き、図14に示す収納筐体501は、図12に示した収納筐体500と実質的に同じであるので、重複説明は省略する。
このように、蓋体561にヒートシンク構造を設けず、容器体520だけにヒートシンク構造550を設けて収納筐体501を構成してもよい。この構成では、蓋体561の形成が容易になる。
[4−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蛍光体ホイール装置収納筐体は、熱交換素子を有し、蛍光体ホイール装置を密閉して収納する。蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、その基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。
この蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
この蛍光体ホイール装置収納筐体は、励起光を入射するとともに蛍光体の発光を出射する第1の窓部、を備えてもよい。第1の窓部に第1レンズユニットが嵌め込まれることで、蛍光体ホイール装置は蛍光体ホイール装置収納筐体に密閉して収納される。
本実施の形態において、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等は、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
また、収納筐体内の熱は、熱交換素子を介して外部に放熱することができる。
なお、収納筐体500、501は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体の一例である。蛍光体ホイール装置100、100a、120、130は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体に密閉して収納される蛍光体ホイール装置の一例である。ヒートシンク構造550、580は、それぞれが熱交換素子の一例である。第1の窓部530は、第1の窓部の一例である。第1レンズユニット540は第1レンズユニットの一例である。蛍光体ホイール103は蛍光体ホイールの一例である。モータ104はモータの一例である。基板101は基板の一例である。羽根211は羽根の一例である。蛍光体102は蛍光体の一例である。
(実施の形態5)
以下、図15を用いて実施の形態5の蛍光体ホイール装置収納筐体502を説明する。
[5−1.構成]
図15は、実施の形態5における蛍光体ホイール装置収納筐体502の断面図である。なお、本実施の形態では、図15に示すように、便宜上、図6と同様に設定されたXYZ直交座標系を用いて説明を行う。
本実施の形態では、扁平直方体形状の収納筐体502に、実施の形態1で図6に示した第3の構造を有する蛍光体ホイール装置100bを収納する構成例を説明する。なお、収納筐体502に収納される蛍光体ホイール装置は、実施の形態2で説明した蛍光体ホイール装置120または実施の形態3で説明した蛍光体ホイール装置130であってもよい。ただし、この蛍光体ホイール装置は、図6に示した第3の構造を有するものとする。
なお、実施の形態5において、実施の形態1〜4と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明を省略する。
収納筐体502は、実施の形態4に示した蓋体510とは構造が異なる蓋体562と、実施の形態4に示した容器体520と実質的に同じ構造の容器体520と、を備える。蓋体562および容器体520は、例えばアルミニウム等の、熱伝導性に優れた材料で形成されている。すなわち、収納筐体502は、熱伝導性に優れた材料で形成されている。なお、容器体520についての重複説明は省略する。
なお、収納筐体502において基板101bを冷却する機構は、実施の形態4で説明した収納筐体500、501において基板101を冷却する機構と実質的に同じであるので、重複説明を省略する。
蓋体562には、収納筐体502内に収納された蛍光体ホイール装置100bの蛍光体102の背面側に、励起光を入射するための第2の窓部563が開設されている。第2の窓部563は、第2レンズユニット570を嵌め込むことができる形状に形成されている。容器体520の第1の窓部530に第1レンズユニット540が嵌め込まれ、蓋体562の第2の窓部563に第2レンズユニット570が嵌め込まれることにより、収納筐体502は内部が密閉された状態となる。すなわち、収納筐体502は密閉筐体となり、外部からの塵埃の侵入が防止される。収納筐体502は、例えば機器のキャビネット602に取り付けられる。
なお、第2レンズユニット570は、入射される励起光を集光するための第3レンズ572が光入射部材571に取り付けられて構成されている。
キャビネット602内には、励起光源から出射される励起光が、図15に一点鎖線で示すように、−Y方向に(図面において上から下に)照射されるように、光学系が設定されている。
この励起光は、第3レンズ572によって、蛍光体ホイール装置100bの基板101bに形成された蛍光体102に集光される。このとき、この励起光は、図6に示したように基板101bの裏面側から基板101bおよびダイクロイック膜400を透過して蛍光体102に照射され、蛍光体102を励起する。この集光された励起光により、基板101bに形成された蛍光体102は加熱され、基板101bの温度が上昇する。そして、加熱された蛍光体102は、上述したように、冷却されることが望ましい。
励起光によって励起された蛍光体102からの発光と、励起に使用されず蛍光体102を通過した励起光との混合光(白色光W)は、図15に一点鎖線で示すように、第2レンズ542および第1レンズ541を通過して−Y方向に(図面において上から下に)出射される。
このように構成された収納筐体502においても、実施の形態4で説明した収納筐体500、501と同様に、蛍光体102に励起光を照射したときに生じる熱によって加熱された空気は、ファン部材210の羽根211によって空気流となりヒートシンク構造550の面に沿うように流れ、収納筐体502内の熱はヒートシンク構造550を通して外部に放熱される。
[5−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蛍光体ホイール装置収納筐体は、熱交換素子を有し、蛍光体ホイール装置を密閉して収納する。蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、その基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。
この蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
この蛍光体ホイール装置収納筐体は、蛍光体の発光を出射する第1の窓部と、励起光を入射する第2の窓部と、を備えてもよい。第1の窓部に第1レンズユニットが嵌め込まれ、第2の窓部に第2レンズユニットが嵌め込まれることで、蛍光体ホイール装置は密閉して収納される。
本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等を、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
また、収納筐体内の熱は、熱交換素子を介して外部に放熱することができる。
なお、収納筐体502は蛍光体ホイール装置収納筐体の一例である。蛍光体ホイール装置100b、120、130は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体に密閉して収納される蛍光体ホイール装置の一例である。ヒートシンク構造550は熱交換素子の一例である。第1の窓部530は第1の窓部の一例である。第2の窓部563は第2の窓部の一例である。第1レンズユニット540は第1レンズユニットの一例である。第2レンズユニット570は第2レンズユニットの一例である。基板101bは基板の一例である。羽根211は羽根の一例である。蛍光体102は蛍光体の一例である。
(実施の形態6)
以下、図16を用いて実施の形態6の投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」とも記す)を説明する。
[6−1.構成]
図16は、実施の形態6における投写型映像表示装置(プロジェクタ1000)の一構成例を模式的に示す図である。図16に示すプロジェクタ1000は、光変調素子に液晶パネルを使用した液晶プロジェクタである。
なお、光変調素子は、映像信号にもとづき赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bを変調し、映像光を生成するための素子である。
本実施の形態では、プロジェクタ1000が、実施の形態1で図6に示した第3の構造を有する蛍光体ホイール装置100bを備えた構成例を説明する。また、本実施の形態では、上述した収納筺体を使用せず、蛍光体ホイール装置100bをプロジェクタ1000内に直接設置した構成例を示す。なお、プロジェクタ1000が備える蛍光体ホイール装置は、実施の形態2で説明した蛍光体ホイール装置120または実施の形態3で説明した蛍光体ホイール装置130であってもよい。ただし、この蛍光体ホイール装置は、図6に示した第3の構造を有するものとする。
本実施の形態では、図16に示すように、便宜上、XYZ直交座標系を用いて説明を行う。図16では、蛍光体ホイール装置100bの基板101bに垂直な方向(励起光の進行方向)を+X方向とし、基板101bの半径方向を+Y方向とし、Y軸に直交する基板101bの半径方向を+Z方向とする。
なお、実施の形態6において、実施の形態1〜5と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明を省略する。
プロジェクタ1000は、キャビネット601と、青色レーザダイオード710と、コリメートレンズ720と、レンズ730、740、820と、拡散板750と、光入射部材571と、蛍光体ホイール装置100bと、レンズ保持枠543と、第1レンズ541と、第2レンズ542と、第3レンズ572と、インテグレータレンズ811、812と、第1ダイクロイックミラー841と、第2ダイクロイックミラー842と、第1ミラー843と、第2ミラー844と、第3ミラー845と、偏光板851、852、853と、青色液晶パネル装置861と、緑色液晶パネル装置862と、赤色液晶パネル装置863と、プリズム870と、投写レンズ880と、を備える。
プロジェクタ1000では、各構成部品は、二重線で示すキャビネット601内に収納されている。プロジェクタ1000は、キャビネット601内の発熱部品を冷却するための吸気ファン(図示せず)を備えている。プロジェクタ1000は、吸気ファンによって外気をキャビネット601内に取り入れ、発熱部品により加熱され温まった空気をキャビネット601外へ排気するように構成されている。
プロジェクタ1000は、吸気の際に塵埃が取り込まれないように、フィルタ(図示せず)を通して外気を取り入れるように構成されている。したがって、プロジェクタ1000では、このフィルタにより、外部からプロジェクタ1000内への塵埃の侵入を防止している。
励起光源の一例である青色レーザダイオード710は、励起光として青色光Bを+X方向に(図面において左から右に)出射するように構成されている。青色レーザダイオード710から出射される青色光Bは、コリメートレンズ720でコリメートされ、アフォーカル系を構成するレンズ730およびレンズ740で収束された後、拡散板750に入射する。
拡散板750に入射した青色光Bは、拡散板750で拡散されて、光入射部材571内に配置された第3レンズ572に入射する。第3レンズ572を通過した青色光Bは、蛍光体ホイール装置100bの基板101bに形成された蛍光体102に集光する。このとき、この青色光B(励起光)は、図6に示したように、基板101bの裏面側から基板101bおよびダイクロイック膜400を透過して蛍光体102に照射され、蛍光体102を励起する。この集光された励起光により、基板101bに形成された蛍光体102は加熱され、基板101bの温度が上昇する。加熱された蛍光体102は、上述したように、冷却されることが望ましい。
励起光によって励起された蛍光体102からの発光(黄色光Ye)と、励起に使用されず蛍光体102を通過した励起光(青色光B)との混合光(白色光W)は、図16に一点鎖線で示すように、レンズ保持枠543に保持された第2レンズ542および第1レンズ541を通過して+X方向(図面において左から右に)に出射される。
第1レンズ541から出射された白色光Wは、一対のインテグレータレンズ811、812を通過して均一化され、レンズ820を通過して第1ダイクロイックミラー841に入射する。第1ダイクロイックミラー841は、青色光Bを透過し、その他の色の光(緑色光G、赤色光R)は反射する特性を有する。したがって、第1レンズ541から出射された白色光Wのうち、青色光Bは第1ダイクロイックミラー841を透過し、その他の色の光は第1ダイクロイックミラー841で反射する。第1ダイクロイックミラー841を透過した青色光Bは、第1ミラー843で反射し、偏光板851を通過して青色液晶パネル装置861に入射する。
第1ダイクロイックミラー841で反射した光(緑色光G、赤色光R)は、第2ダイクロイックミラー842に入射する。第2ダイクロイックミラー842は、緑色光Gを反射し、赤色光Rを透過する特性を有する。したがって、第1ダイクロイックミラー841で反射した光のうち、緑色光Gは第2ダイクロイックミラー842で反射し、赤色光Rは第2ダイクロイックミラー842を透過する。第2ダイクロイックミラー842で反射した緑色光Gは、偏光板852を通過して緑色液晶パネル装置862に入射する。
第2ダイクロイックミラー842を透過した赤色光Rは、第2ミラー844および第3ミラー845で反射し、偏光板853を通過して赤色液晶パネル装置863に入射する。
青色液晶パネル装置861に入射した青色光Bは、青色の映像信号にもとづき変調され、青色映像光となる。緑色液晶パネル装置862に入射した緑色光Gは、緑色の映像信号にもとづき変調され、緑色映像光となる。赤色液晶パネル装置863に入射した赤色光Rは、赤色の映像信号にもとづき変調され、赤色映像光となる。青色映像光、緑色映像光、および赤色映像光は、プリズム870で合成されて投写レンズ880に入射する。投写レンズ880は、プリズム870で合成された映像光を、スクリーン(図示せず)に拡大投写する。
このように構成されたプロジェクタ1000では、基板101bとともに複数の羽根211が回転することで、回転する複数の羽根211による空気流がプロジェクタ1000内に発生する。したがって、蛍光体102に励起光を照射したときに生じる熱によって加熱された空気は、プロジェクタ1000が有する吸気ファン(図示せず)が取り込んだ外気によって冷却される。したがって、プロジェクタ1000では、励起光により加熱された蛍光体102や基板101b等を、効率的に冷却することができる。
なお、図16には、収納筺体を使用せず、蛍光体ホイール装置100bをプロジェクタ1000内に直接設置する構成例を示した。しかし、蛍光体ホイール装置100bに塵埃が付着することを防止する効果を高めるためには、蛍光体ホイール装置100bを収納筺体内に収納してプロジェクタ内に設置することが望ましい。
図17は、実施の形態6における投写型映像表示装置(プロジェクタ1010)の他の構成例を模式的に示す図である。図17に示すプロジェクタ1010は、図16に示したプロジェクタ1000と同様に、光変調素子に液晶パネルを使用した液晶プロジェクタである。
プロジェクタ1010では、図16に示したプロジェクタ1000と異なり、蛍光体ホイール装置100bを、実施の形態5で図14に示した収納筺体502内に収納してキャビネット602内に設置している。また、収納筺体502を冷却するための冷却ファン610を、収納筐体502のヒートシンク構造550に送風できる位置に備えている。
なお、これらの点を除き、図17に示すプロジェクタ1010は、図16に示したプロジェクタ1000と実質的に同じであるので、重複説明は省略する。
図17に示す構成例では、蛍光体ホイール装置100bが収納筺体502内に収納されているので、塵埃が蛍光体102に付着することを防止する効果を高めることができる。すなわち、塵埃の付着により蛍光体102の発光が低下することを防止する効果を高めることができる。
このように構成されたプロジェクタ1010においても、基板101bとともに複数の羽根211が回転することで、回転する複数の羽根211による空気流が収納筺体502内に発生する。したがって、蛍光体102に励起光を照射したときに生じる熱によって加熱された空気は、収納筺体502が有するヒートシンク構造550を介して、効率的に冷却される。すなわち、プロジェクタ1010では、励起光により加熱された蛍光体102や基板101b等を、効率的に冷却することができる。
[6−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、投写型映像表示装置は、蛍光体ホイール装置と、蛍光体ホイール装置収納筐体と、蛍光体を励起する励起光を発生する励起光源と、映像信号にもとづき蛍光体の発光を変調して映像光を生成する光変調素子と、を備える。蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、その基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。蛍光体ホイール装置収納筐体は、熱交換素子を有し、蛍光体ホイール装置を密閉して収納する。
蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
本実施の形態において、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等は、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に冷却することができる。
なお、プロジェクタ1000、1010は、それぞれが投写型映像表示装置の一例である。青色液晶パネル装置861、緑色液晶パネル装置862、赤色液晶パネル装置863は、それぞれが光変調素子の一例である。青色レーザダイオード710は励起光源の一例である。蛍光体ホイール装置100b、120、130は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体に密閉して収納される蛍光体ホイール装置の一例である。基板101bは基板の一例である。蛍光体102は蛍光体の一例である。収納筐体502は蛍光体ホイール装置収納筐体の一例である。ヒートシンク構造550、580は熱交換素子の一例である。羽根211は羽根の一例である。
(実施の形態7)
以下、図18、図19を用いて実施の形態7の投写型映像表示装置を説明する。
[7−1.構成]
図18は、実施の形態7における投写型映像表示装置(プロジェクタ1020)の一構成例を模式的に示す図である。図18に示すプロジェクタ1020は、光変調素子にDMD(Digital Mirror Device)を使用した、DMDプロジェクタである。
図19は、実施の形態7における投写型映像表示装置(プロジェクタ1020)が備える蛍光体ホイール装置100の、蛍光体102が形成された面を示す平面図である。
本実施の形態では、プロジェクタ1020において、実施の形態4で図12に示した収納筺体500内に、実施の形態1で図4に示した第1の構造を有する蛍光体ホイール装置100を収納して、キャビネット600内に設置した構成例を説明する。なお、プロジェクタ1020が備える蛍光体ホイール装置は、実施の形態2で説明した蛍光体ホイール装置120または実施の形態3で説明した蛍光体ホイール装置130であってもよい。また、収納筐体500に収納される蛍光体ホイール装置100は、実施の形態1で図4に示した第1の構造を有するが、図5に示した第2の構造を有する蛍光体ホイール装置100aが収納筐体500に収納されてもよい。また、蛍光体ホイール装置100を収納する収納筺体は、図13に示した収納筺体501であってもよい。
また、プロジェクタ1020は、収納筺体500を冷却するための冷却ファン610を、収納筺体500のヒートシンク構造550、580に送風できる位置に備えている。
本実施の形態では、図18に示すように、便宜上、XYZ直交座標系を用いて説明を行う。図18では、蛍光体ホイール装置100の基板101に垂直な方向(励起光の進行方向と逆方向)を+Y方向とし、基板101の半径方向を+X方向とし、X軸に直交する基板101の半径方向を+Z方向とする。
収納筐体500に収納される蛍光体ホイール装置100において、基板101上には、図19に示すように、赤色蛍光体102aと、緑色蛍光体102bと、蛍光体102が形成されていない非蛍光体形成部102cと、が実質的に一定の幅で、円周方向に沿って順番に形成されている。
なお、実施の形態7において、実施の形態1〜6と同じ構成要素については同一の符号を付与して重複説明は省略する。
プロジェクタ1020は、キャビネット600と、青色レーザダイオード710、711と、コリメートレンズ720、721と、レンズ730、731、740、741、913、914と、拡散板750、751と、ダイクロイックミラー910と、第1レンズ541と、第2レンズ542と、蛍光体ホイール装置100と、冷却ファン610と、収納筺体500と、集光レンズ911と、ロッドインテグレータ912と、ミラー915、916と、DMD917と、投写レンズ918と、を備える。
プロジェクタ1020では、各構成部品は、キャビネット600内に収納されている。プロジェクタ1020は、キャビネット600内の発熱部品を冷却するための吸気ファン(図示せず)を備えている。プロジェクタ1020は、吸気ファンによって外気をキャビネット600内に取り入れ、発熱部品により加熱され温まった空気をキャビネット600外へ排気するように構成されている。
励起光源の一例である青色レーザダイオード710は、励起光として青色光Bを−Y方向に(図面において上から下に)出射するように構成されている。青色レーザダイオード710から出射される青色光Bは、コリメートレンズ720でコリメートされ、アフォーカル系を構成するレンズ730およびレンズ740で収束された後、拡散板750に入射する。
拡散板750に入射した青色光Bは、拡散板750で拡散された後、ダイクロイックミラー910に入射する。
ダイクロイックミラー910は、光軸に対して45度傾斜して配置されている。また、ダイクロイックミラー910は、青色光Bを透過し、それ以外の色の光(赤色光R、緑色光G)を反射する特性を有する。したがって、拡散板750を通過した青色光Bは、ダイクロイックミラー910を透過する。ダイクロイックミラー910を透過した青色光Bは、第1レンズ541、第2レンズ542により、蛍光体ホイール装置100の基板101に形成された蛍光体102に集光し、蛍光体102を照射する。
蛍光体ホイール装置100の基板101は、モータ104により回転駆動されているので、第1レンズ541および第2レンズ542の集光位置にある蛍光体ホイール装置100の領域(励起用の青色光Bが照射される領域)は、赤色蛍光体102a、緑色蛍光体102b、非蛍光体形成部102c、と、順次変化する。励起用の青色光Bが赤色蛍光体102aに照射される期間は、赤色蛍光体102aが励起され赤色蛍光体102aは赤色光Rを発光する。励起用の青色光Bが緑色蛍光体102bに照射される期間は、緑色蛍光体102bが励起され緑色蛍光体102bは緑色光Gを発光する。この集光された励起光により、基板101に形成された赤色蛍光体102aおよび緑色蛍光体102bは加熱され、基板101の温度が上昇する。加熱された赤色蛍光体102aおよび緑色蛍光体102bは、上述したように、冷却されることが望ましい。
なお、第1レンズ541および第2レンズ542の集光位置に非蛍光体形成部102cがある期間は、青色レーザダイオード710は、消灯するように制御される。したがって、励起用の青色光Bは、非蛍光体形成部102cには照射されない。
赤色蛍光体102aで発光した赤色光R、および緑色蛍光体102bで発光した緑色光Gは、それぞれ基板101から−Y方向に出射する。そして、−Y方向に出射した赤色光R、緑色光Gは、第2レンズ542、第1レンズ541を通過してダイクロイックミラー910で反射し、集光レンズ911で集光された後、ロッドインテグレータ912の入射端に入射する。
プロジェクタのキャビネット600内には、青色レーザダイオード710とは別に、青色光Bを+X方向に(図面において左から右に)出射するように構成された青色レーザダイオード711が設けられている。青色レーザダイオード711は、青色レーザダイオード710が消灯する期間(すなわち、第1レンズ541および第2レンズ542の集光位置に非蛍光体形成部102cがある期間)だけ点灯し、青色レーザダイオード710が点灯する期間は消灯する、ように制御される。
青色レーザダイオード711から出射される青色光Bは、コリメートレンズ721でコリメートされた後、レンズ731に入射する。レンズ731を通過した青色光Bは、レンズ741で平行化されて拡散板751に入射し、拡散板751で拡散される。拡散板751を通過した青色光Bは、ダイクロイックミラー910を透過し、集光レンズ911で集光された後、ロッドインテグレータ912の入射端に入射する。
このようにしてロッドインテグレータ912の入射端には、赤色光R、緑色光G、青色光B、が順次(すなわち、時分割で)入射する。これら赤色光R、青色光B、緑色光Gは、ロッドインテグレータ912の内部を伝搬し、ロッドインテグレータ912の出射端から順次出射される。
ロッドインテグレータ912から出射した光は、レンズ913およびレンズ914を通過し、ミラー915、ミラー916で反射して、DMD917に入射する。DMD917は、映像信号にもとづき赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bを変調し、映像光を生成する。
DMD917で生成された映像光は、DMD917から+Y方向に出射され、投写レンズ918に入射する。投写レンズ918は、DMD917から出射された映像光を、スクリーン(図示せず)に拡大投写する。
このように構成されたプロジェクタ1020においても、基板101とともに複数の羽根211が回転することで、回転する複数の羽根211による空気流が収納筺体500内に発生する。したがって、蛍光体102に励起光を照射したときに生じる熱によって加熱された空気は、収納筺体500が有するヒートシンク構造550、580を介して、効率的に冷却される。すなわち、プロジェクタ1020では、励起光により加熱された蛍光体102や基板101等を、効率的に冷却することができる。
[7−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、投写型映像表示装置は、蛍光体ホイール装置と、蛍光体ホイール装置収納筐体と、蛍光体を励起する励起光を発生する励起光源と、映像信号にもとづき蛍光体の発光を変調して映像光を生成する光変調素子と、を備える。蛍光体ホイール装置は、蛍光体ホイールと、モータと、複数の羽根と、を備える。蛍光体ホイールは、円盤状の基板と、その基板の一方の面に円周方向に配設された蛍光体と、を有する。モータは、蛍光体ホイールを回転駆動する。複数の羽根は、蛍光体ホイールと一体で回転するように基板の他方の面に固定され、モータの回転軸から蛍光体ホイールの径方向に伸びている。蛍光体ホイール装置収納筐体は、熱交換素子を有し、蛍光体ホイール装置を密閉して収納する。
蛍光体ホイール装置では、羽根は、蛍光体の配設位置よりも内側に位置するように基板の他方の面に配置されることが望ましい。また、羽根から蛍光体までの距離は、羽根の高さ以上に設定されていることが望ましい。
本実施の形態においても、励起光により加熱され温度が上昇した蛍光体や基板等を、基板とともに複数の羽根が回転することによって生じる空気流によって効果的に放冷却することができる。
なお、プロジェクタ1020は投写型映像表示装置の一例である。DMD917は、光変調素子の一例である。青色レーザダイオード710は励起光源の一例である。蛍光体ホイール装置100、120、130は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体に密閉して収納される蛍光体ホイール装置の一例である。モータ104はモータの一例である。基板101は基板の一例である。蛍光体102、赤色蛍光体102a、緑色蛍光体102bは、それぞれが蛍光体の一例である。収納筐体500、501は、それぞれが蛍光体ホイール装置収納筐体の一例である。ヒートシンク構造550、580は熱交換素子の一例である。羽根211は羽根の一例である。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1〜7を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1〜7で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。