JP2020020905A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電性能及び耐久性に優れる電子写真感光体を備え、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる画像形成装置を提供する。【解決手段】本発明の画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、帯電された像担持体の表面を露光して像担持体の表面に静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像にトナーを供給して静電潜像をトナー像として現像する現像部と、トナー像を像担持体から被転写体へ転写する転写部とを備える。像担持体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.00×10-7cm2/V/秒以上である。正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比は1/50.0以上1/1.0以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター、及び複合機)は、像担持体として電子写真感光体を備える。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体、及び積層型電子写真感光体が挙げられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。積層型電子写真感光体は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含む感光層を備える。
特許文献1に記載の画像形成装置が備える電子写真感光体は、電子の移動度が一定以上である電子輸送剤を含有する感光層を有する。
特開2012−155202号公報
しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献1に記載の画像形成装置は、電子写真感光体の帯電性能及び耐久性、並びに転写メモリーに起因する画像ゴーストの抑制において改善の余地があることが判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯電性能及び耐久性に優れる電子写真感光体を備え、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部とを備える。前記像担持体は、導電性基体と、感光層とを備える正帯電単層型電子写真感光体である。前記感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される前記感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.00×10-7cm2/V/秒以上である。前記正孔の移動度μhに対する前記電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下である。
本発明の画像形成方法は、上述の画像形成装置を用いた画像形成方法である。前記画像形成装置は、前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電部を更に備える。本発明の画像形成方法は、前記像担持体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、除電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、前記像担持体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と、前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電工程とを有する。前記像担持体の前記表面における所定の箇所が前記除電工程で除電されてから前記帯電工程によって帯電されるまでの時間は、200ミリ秒以下である。
本発明の画像形成装置は、帯電性能及び耐久性に優れる電子写真感光体を備え、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる。本発明の画像形成方法は、使用する電子写真感光体の帯電性能及び耐久性が優れ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる。
本発明の第一実施形態に係る画像形成装置が備える正帯電単層型電子写真感光体の構造の一例を示す部分断面図である。 本発明の第一実施形態に係る画像形成装置が備える正帯電単層型電子写真感光体の構造の一例を示す部分断面図である。 本発明の第一実施形態に係る画像形成装置が備える正帯電単層型電子写真感光体の構造の一例を示す部分断面図である。 本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。 画像ゴーストが発生した画像を示す図である。 実施例で測定した正孔輸送剤の含有割合と、正孔の移動度との関係を示すグラフである。 実施例で測定した電子輸送剤の含有割合と、電子の移動度との関係を示すグラフである。 実施例で測定した感光層における表面電荷密度と、表面電位との関係を示すグラフである。 実施例で測定したプロセス時間と表面電位との関係を示すグラフである。 実施例で測定したプロセス時間と表面電位との関係を示すグラフである。 実施例で測定したコピー量と摩耗量との関係を示すグラフである。 実施例で測定したコピー量と帯電電流との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)としては、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)及びヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、直鎖状又は分枝鎖状のヘキシル基、直鎖状又は分枝鎖状のヘプチル基、及び直鎖状又は分枝鎖状のオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上5以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、それぞれ炭素原子数1以上5以下の基又は炭素原子数1以上4以下の基である。
炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、及びtert−ブトキシ基が挙げられる。
<第一実施形態:画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する現像部と、トナー像を像担持体から被転写体へ転写する転写部とを備える。像担持体は、導電性基体と、感光層とを備える正帯電単層型電子写真感光体である。感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.00×10-7cm2/V/秒以上である。正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下である。
[正帯電単層型電子写真感光体]
まず、本実施形態に係る画像形成装置が像担持体として備える正帯電単層型電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)について説明する。図1、図2及び図3は、感光体1の構造を示す部分断面図である。
図1に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は単層(一層)である。感光体1は、単層の感光層3を備える正帯電単層型電子写真感光体である。
図2に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に設けられる。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接設けられてもよい。或いは、図2に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して設けられてもよい。中間層4は、一層であってもよく、複数の層であってもよい。
図3に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、感光層3上に設けられる。保護層5は、一層であってもよく、複数の層であってもよい。
感光層3の厚さは、感光層3としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層3の厚さとしては、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。
以上、図1〜図3を参照して、感光体1の構造について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。
〔導電性基体〕
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
〔感光層〕
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。感光層は、任意成分として、添加剤等の他の成分を更に含有してもよい。
温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.00×10-7cm2/V/秒以上である。また、正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下である。
本発明者らは、画像形成装置において、感光体の感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeをそれぞれ一定以上とし、かつ電子の移動度μe及び正孔の移動度μhのバランスを取ることで、感光層で発生した電荷(正孔及び電子)が効率的に輸送されて残留電荷が低減されることを見出した。そして、本発明者らは、これにより画像形成装置が備える感光体の帯電性能及び耐久性が向上し、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストが抑制されることを見出した。
より詳細に説明すると、上述の特許文献1に記載されているように、従来から感光層の機能向上においては電荷輸送剤単独の電荷の移動度(正孔輸送剤の正孔の移動度及び電子輸送剤の電子の移動度)が着目されている。ここで、感光体では、露光による電荷の発生は感光層の比較的表面付近で発生する。そして、発生した電荷のうち、正孔は導電性基体までの比較的長距離を移動する必要があるのに対し、電子は感光層の表面までの比較的短距離を移動すればよい。また、正孔輸送剤の正孔の移動度(例えば、1.0×10-5(cm2/V/秒)以上)は、電子輸送剤の電子の移動度よりも大きい傾向にある。そのため、従来の知見では、電子輸送剤の電子の移動度は正孔輸送材料の正孔の移動度よりも大幅に少なく規定することが好ましいとされる(例えば、1/20,000倍以上1/10倍以下程度)。
しかしながら、本発明者らは、鋭意検討の結果、感光体の帯電性能、転写メモリーの抑制性能及び耐久性の向上において重要なことは、電荷輸送剤単体の電荷の移動度ではなく、正孔輸送剤及び電子輸送剤が混合されて両者が相互作用する系となっている感光層における正孔及び電子の移動度であることを見出した。特に、感光層全体での正孔及び電子の移動度のバランスが重要であることを見出した。そして、本発明者らは、従来のように正孔輸送材料の正孔の移動度が電子輸送剤材料の電子の移動度よりも大幅に大きい必要はないことを見出した。特に、画像形成装置においては、高速化及び省スペース化への要求に応えるため、画像形成プロセスにおける除電から帯電までのプロセス時間が短縮される傾向にある。そのため、画像形成装置においては、除電工程で光励起により生成した正孔及び電子が次工程の帯電工程までに両方とも感光層から十分に除去される(即ち、感光層表面又は導電性基板まで輸送される)ことが重要となっている。これは、正孔及び電子の一方でも感光層中に残存すると、この残存キャリアが次工程の帯電を阻害するためである。そのため、感光体には、感光層における正孔及び電子の移動度の設定が求められる。本発明者らは、以上を考慮し、本発明を完成するに至った。
感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における正孔の移動度μhとしては、4.00×10-7cm2/V/秒以上が好ましい。同様の観点から、感光層における正孔の移動度μhとしては、5.00×10-5cm2/V/秒以下が好ましく、2.00×10-6cm2/V/秒以下がより好ましい。
感光層における正孔の移動度μhは、主に正孔輸送剤の種類及び含有量によって調節できる。具体的には、正孔輸送剤の含有量を増やせば正孔の移動度μhが増大する傾向にある。また、正孔の輸送効率に優れる正孔輸送剤を用いれば正孔の移動度μhが増大する傾向にある。
感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における電子の移動度μeとしては、2.00×10-7cm2/V/秒以上が好ましい。同様の観点から、感光層における電子の移動度μeとしては、5.00×10-5cm2/V/秒以下が好ましく、5.00×10-6cm2/V/秒以下がより好ましく、1.00×10-6cm2/V/秒以下が更に好ましい。
感光層における電子の移動度μeは、主に電子輸送剤の種類及び含有量によって調節できる。具体的には、電子輸送剤の含有量を増やせば電子の移動度μeが増大する傾向にある。また、電子の輸送効率に優れる電子輸送剤を用いれば電子の移動度μeが増大する傾向にある。
感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される感光層における正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比(μe/μh)としては、1/10.0以上1/1.0以下が好ましく、1/5.0以上1/1.0以下がより好ましい。
感光層における正孔及び電子の移動度は、以下の方法により測定できる。まず、アルミニウム基板上に、バインダー樹脂、正孔輸送剤、電子輸送剤及び溶剤を含有するサンプル塗布液を塗布し、サンプル層(例えば、膜厚5μm)を形成する。サンプル塗布液におけるバインダー樹脂、正孔輸送剤及び電子輸送剤の種類は、測定対象の感光層と同一とする。また、サンプル塗布液には、電荷発生剤及び添加剤等の他の成分は含有させない。更に、サンプル塗布液における正孔輸送剤及び電子輸送剤の含有量は、形成されるサンプル層における正孔輸送剤及び電子輸送剤の含有割合(質量%)が測定対象の感光層と同一となるように調整する。このサンプル塗布液により形成されるサンプル層は、測定対象となる感光層と比較し、電荷発生剤及び添加剤等を同量のバインダー樹脂で置き換え、それ以外は同一とした層に相当する。そして、得られたサンプル層上に真空蒸着法にて半透明金電極を形成することでサンドイッチセルを作製する。次に、得られたサンドイッチセルについて、温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件にてTOF法(Time of Flight)を行うことで正孔の移動度μh及び電子の移動度μeを測定することができる。
以下、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び任意成分である添加剤について説明する。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。チタニルフタロシアニンは、下記化学式(CG−1)で表される。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。電荷発生剤としては、下記化学式(CG−1)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2020020905
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、α型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
Y型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析(DSC)スペクトルにおける熱特性によって、例えば、下記(A)〜(C)に示す3種類に分類される。
(A)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有するY型チタニルフタロシアニン。
(B)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しないY型チタニルフタロシアニン。
(C)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有するY型チタニルフタロシアニン。
Y型チタニルフタロシアニンとしては、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有するものがより好ましい。このようなピークを有するY型チタニルフタロシアニンとしては、270℃以上400℃以下の範囲に一つのピークを有するものが好ましく、296℃に一つのピークを有するものがより好ましい。
示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の一例について説明する。サンプルパンに試料(チタニルフタロシアニン)を載せて、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて、示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、例えば40℃以上400℃以下である。昇温速度は、例えば20℃/分である。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
感光層における電荷発生剤の含有割合としては、0.2質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上1.7質量%以下が更に好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下が特に好ましい。
感光層における電荷発生剤の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下が好ましく、1.0質量部以上10質量部以下がより好ましく、1.5質量部以上4.0質量部以下が特に好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体;ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、ジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等);オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等);スチリル系化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等);カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤は、感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、下記一般式(10)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(10)と記載することがある)を含むことが好ましい。
Figure 2020020905
一般式(10)中、R16〜R18は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基を表す。m及びnは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。p及びrは、各々独立に、0又は1を表す。qは、0以上2以下の整数を表す。
一般式(10)中、R17としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、n−ブチル基がより好ましい。
一般式(10)中、p及びrは、0を表すことが好ましい。一般式(10)中、qは、1を表すことが好ましい。
一般式(10)中、n及びmは、1又は2を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。
正孔輸送剤(10)としては、下記化学式(HTM−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 2020020905
感光層における正孔輸送剤の含有割合としては、10.0質量%以上40.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上35.0質量%以下がより好ましい。
感光層における正孔輸送剤の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下が好ましく、35質量部以上120質量部以下がより好ましく、45質量部以上70質量部以下が更に好ましい。
(電子輸送剤)
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電子輸送剤は、感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物(以下、それぞれ電子輸送剤(1)〜(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。
Figure 2020020905
一般式(1)〜(3)中、R1〜R4及びR9〜R12は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R5〜R8は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。
一般式(1)〜(3)中、R1〜R4及びR9〜R12で表されるアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、tert−ブチル基、又は1,1−ジメチルプロピル基が更に好ましい。
一般式(1)〜(3)中、R5〜R8としては、水素原子が好ましい。
電子輸送剤(1)〜(3)としては、感光体の帯電性能及び耐久性をより向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストをより効果的に抑制する観点から、下記化学式(ETM−1)〜(ETM−3)で表される化合物(以下、それぞれ電子輸送剤(ETM−1)〜(ETM−3)と記載することがある)が好ましい。なお、電子輸送剤(1)の好適な例が、電子輸送剤(ETM−1)である。電子輸送剤(2)の好適な例が、電子輸送剤(ETM−3)である。電子輸送剤(3)の好適な例が、電子輸送剤(ETM−2)である。
Figure 2020020905
感光層が2種以上の電子輸送剤を含有する場合、感光層は、電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−2)を含むか、又は電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−3)を含むことが好ましい。感光層が2種の電子輸送剤を含有する場合、2種の電子輸送剤を略同量ずつ含有することが好ましい。具体的には、感光層における一方の電子輸送剤の含有量と、他方の電子輸送剤の含有量との比としては、40:60以上60:40以下が好ましい。
感光層における電子輸送剤の含有割合としては、10.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上45.0質量%以下がより好ましく、15.0質量%以上40.0質量%以下が更に好ましく、20.0質量%以上30.0質量%以下が特に好ましい。
感光層における電子輸送剤の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対して、15質量部以上160質量部以下が好ましく、30質量部以上100質量部以下がより好ましく、40質量部以上60質量部以下が更に好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。感光層は、これらのバインダー樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
バインダー樹脂は、下記一般式(20)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(20)と記載することがある)を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PA)と記載することがある)を含むことが好ましい。
Figure 2020020905
一般式(20)中、R20及びR21は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R22及びR23は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表す。R22及びR23は、互いに結合して下記一般式(W)で表される2価の基を表してもよい。Yは、下記化学式(Y1)、(Y2)、(Y3)、(Y4)、(Y5)又は(Y6)で表される2価の基を表す。
Figure 2020020905
一般式(W)中、tは、1以上3以下の整数を表す。*は、結合手を表す。
Figure 2020020905
一般式(20)中、R20及びR21としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(20)中、R22及びR23は、互いに結合して一般式(W)で表される2価の基を表すことが好ましい。
一般式(20)中、Yとしては、化学式(Y1)又は(Y3)で表される2価の基が好ましい。
一般式(W)中、tとしては、2が好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(20)のみを有していることが好ましいが、他の繰り返し単位を更に有していてもよい。ポリアリレート樹脂(PA)中の繰り返し単位の合計物質量に対する他の繰り返し単位の物質量の比率(モル分率)は、0.20以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.00が更に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(20)の1種を有してもよく、2種以上(例えば、2種)を有してもよい。
なお、本願明細書において、ポリアリレート樹脂(PA)における各繰り返し単位の物質量は、1本の樹脂鎖から得られる値ではなく、感光層に含有されるポリアリレート樹脂(PA)全体(複数の樹脂鎖)から得られる数平均値である。また、各繰り返し単位の物質量は、例えばプロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA)の1H−NMRスペクトルを測定し、得られた1H−NMRスペクトルから算出することができる。
ポリアリレート樹脂(PA)は、下記化学式(20−a)及び(20−b)で表される繰り返し単位(以下、それぞれ繰り返し単位(20−a)又は(20−b)と記載することがある)のうち少なくとも一方を有することが好ましく、繰り返し単位(20−a)及び(20−b)の両方を有することがより好ましい。
Figure 2020020905
ポリアリレート樹脂(PA)としては、例えば、繰り返し単位(20−a)及び繰り返し単位(20−b)を有する樹脂を用いることができる。この場合、繰り返し単位(20−a)及び(20−b)の配列は特に限定されない。つまり、繰り返し単位(20−a)及び(20−b)を有するポリアリレート樹脂(PA)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、周期的共重合体及び交互共重合体のいずれであってもよい。この場合、ポリアリレート樹脂(PA)が有する繰り返し単位(20−a)及び繰り返し単位(20−b)のそれぞれの物質量は、略同一であることが好ましい。具体的には、ポリアリレート樹脂(PA)が有する繰り返し単位(20−a)の物質量と、繰り返し単位(20−b)の物質量との比率(モル分率)は、49:51以上51:49以下が好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)は、下記化学式(Z)で表される末端基を有していてもよい。下記化学式(Z)中、*は、結合手を表す。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(20−a)及び繰り返し単位(20−b)と、下記化学式(Z)で表される末端基とを有する場合、この末端基は繰り返し単位(20−a)及び繰り返し単位(20−b)のうちいずれに結合していてもよい。
Figure 2020020905
ポリアリレート樹脂(PA)としては、下記化学式(PA−1a)で表される主鎖と、化学式(Z)で表される末端基とを有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PA−1)と記載することがある)が好ましい。なお、下記化学式(PA−1a)中、繰り返し単位の右下に付した数字は、ポリアリレート樹脂(PA−1)が有する全繰り返し単位の物質量に対する、数字が付された繰り返し単位の物質量の比率(モル分率)を示す。ポリアリレート樹脂(PA−1)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、周期的共重合体及び交互共重合体の何れでもよい。
Figure 2020020905
バインダー樹脂の粘度平均分子量としては、10,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、30,000以上が更に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が10,000以上であると、感光体の耐摩耗性が向上する傾向がある。一方、バインダー樹脂の粘度平均分子量としては、80,000以下が好ましく、70,000以下がより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が80,000以下であると、バインダー樹脂が感光層形成用の溶剤に溶解し易くなり、感光層の形成が容易になる傾向がある。
(添加剤)
任意成分である添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、及びレベリング剤が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイルが挙げられる。添加剤を感光層に添加する場合、これらの添加剤の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(組み合わせ)
感光層における正孔輸送剤及び電子輸送剤の組み合わせとしては、
正孔輸送剤(HTM−1)と、電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−2)との組み合わせ、又は
正孔輸送剤(HTM−1)と、電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−3)との組み合わせが好ましい。
感光層における電荷発生剤、正孔輸送剤及び電子輸送剤の組み合わせとしては、
チタニルフタロシアニンと、正孔輸送剤(HTM−1)と、電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−2)との組み合わせ、又は
チタニルフタロシアニンと、正孔輸送剤(HTM−1)と、電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−3)との組み合わせが好ましい。
[中間層]
上述したように感光体は、中間層(例えば、下引き層)を有してもよい。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リークを抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛等)の粒子、及び非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができれば、特に限定されない。
〔感光体の製造方法〕
感光体は、例えば、感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造される。感光層形成用塗布液は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂と、必要に応じて添加される任意成分とを、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層形成用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
感光層形成用塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層形成用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層形成用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
感光層形成用塗布液を乾燥させる方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されないが、例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理温度としては、例えば、40℃以上150℃以下である。熱処理時間としては、例えば、3分間以上120分間以下である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
[タンデム方式のカラー画像形成装置]
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一態様について、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、上述の感光体1である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、像担持体30の表面と記録媒体P(被転写体)とを接触させながらトナー像を像担持体30から記録媒体Pへ転写する。以上、本実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明した。
本実施形態に係る画像形成装置100は、帯電性能及び耐久性に優れる感光体1を備え、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる。画像形成装置100が転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる理由は、以下の通り推察される。即ち、感光体1は、上述の通り転写メモリーを抑制することができる。よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、例えば後述する画像ゴースト等の画像不良を抑制することができる。以下、転写メモリーに起因する画像ゴーストについて説明する。
画像形成プロセスで転写メモリーが発生すると、像担持体30の表面における基準周(連続的に画像が形成される場合の任意の1周)の周回の非露光領域は、基準周の周回の露光領域に比べ、基準周の次周回の帯電時に電位が低下する傾向がある。このため、基準周の非露光領域は、次周回の現像工程において正常時よりも正帯電トナーを引き付け易くなる。その結果、基準周の次周回において、基準周の非画像部(非露光領域)を反映した画像が形成され易い。このような基準周の非画像部を反映した画像が次周回で形成される画像不良が、転写メモリーに起因して発生する画像ゴーストである。
図5を参照して、画像ゴーストについて説明する。図5は、画像ゴーストが発生した画像60を示す図である。画像60は、領域62及び領域64を含む。領域62は像担持体1周分(基準周の1周分)に相当する領域であり、領域64も像担持体1周分(基準周の次周回1周分)に相当する領域である。領域62は画像66を含む。画像66は、正方形状のソリッド画像から構成される。領域64は画像68及び画像69を含む。画像68は、正方形状のハーフトーン画像である。画像69は、領域64における画像68を除いた領域のハーフトーン画像である。なお、領域64の設計画像は、全面一様なハーフトーン画像である。図5に示すように、画像69は、画像68に比べ画像濃度が濃い。画像69は、領域62の非露光領域を反映し、設計画像濃度より濃くなった画像不良(画像ゴースト)である。
以下、図4を再び参照して画像形成装置100の各部について詳細に説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。つまり、画像形成装置100では、転写部48が、像担持体30の表面と記録媒体Pとを接触させながらトナー像を記録媒体Pに転写する。通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体が転写バイアスの影響を受けやすいため、転写メモリーが発生し易い。しかし、本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として上述の感光体1を備えるため、転写メモリーを効果的に抑制することができる。このように、像担持体30として感光体1を備えるため、直接転写方式を採用する画像形成装置100であっても、転写メモリーに起因する画像不良が抑制される。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48と、像担持体30の表面を清掃するクリーニング部52とを備える。クリーニング部52は、クリーニングブレードである。通常、クリーニングブレードを備えた画像形成装置では、像担持体とクリーニングブレードとが接触することにより、像担持体が摩擦帯電し易い。そのため、クリーニングブレードを備えた画像形成装置は、摩擦帯電により発生した電荷が像担持体中に残留することによって、転写メモリーが発生し易い。しかし、本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として上述の感光体1を備える。感光体1は、転写メモリーを抑制することができる。よって、像担持体30として上述の感光体1を備えることで、クリーニングブレードを備えた画像形成装置100であっても、転写メモリーに起因する画像不良を効果的に抑制できる。
像担持体30は、画像形成ユニット40の中央位置において、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体30の周囲には、帯電部42を基準として像担持体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48、及びクリーニング部52が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、トナー像を被転写体へ転写した後の像担持体30の表面を除電する除電部(不図示)が更に備えられていることが好ましい。この場合、像担持体30の表面における所定の箇所が除電部によって除電されてから帯電部42によって再度帯電されるまでの時間(除電から帯電までのプロセス時間)としては、200ミリ秒以下が好ましい。このように、除電から帯電までのプロセス時間を200ミリ秒以下とすることで、画像形成装置100の高速化及び小型化が可能となる。なお、所定の箇所は、例えば、像担持体30の表面上の1箇所(例えば、1点)である。一方、従来の画像形成装置では、除電から帯電までのプロセス時間を短くすると、像担持体の表面を所望の電位に帯電させることが難しくなる傾向にある。しかし、本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として上述の感光体1を備える。感光体1は、帯電性能に優れる。よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として上述の感光体1を備えることで、除電から帯電までのプロセス時間を200ミリ秒以下としても、像担持体30を所望の電位に帯電させることができる。なお、除電から帯電までのプロセス時間の下限としては、特に限定されないが、30ミリ秒以上が好ましく、80ミリ秒以上がより好ましい。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
帯電部42は、帯電ローラーである。帯電ローラーは、像担持体30の表面と接触しながら像担持体30の表面を帯電する。なお、他の接触帯電方式の帯電部としては、例えば、帯電ブラシが挙げられる。また、帯電部は、非接触方式であってもよい。非接触方式の帯電部としては、例えば、コロトロン帯電部、及びスコロトロン帯電部が挙げられる。
帯電部42が印加する電圧は、特に限定されない。帯電部42が印加する電圧としては、直流電圧、交流電圧、及び重畳電圧(直流電圧に交流電圧が重畳した電圧)が挙げられ、より好ましくは直流電圧が挙げられる。直流電圧は交流電圧及び重畳電圧に比べ、以下に示す優位性がある。帯電部42が直流電圧のみを印加すると、像担持体30に印加される電圧値が一定であるため、像担持体30の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部42が直流電圧のみを印加すると、感光層の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。帯電部42は、像担持体30と接触して像担持体30に直流電圧を印加することができる。
露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光する。これにより、像担持体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、像担持体30の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。現像部46としては、例えば、像担持体30の表面と接触しながら静電潜像をトナー像として現像する現像部を採用することができる。
転写ベルト50は、像担持体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、像担持体30の表面から記録媒体Pへ転写する。像担持体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、像担持体30は記録媒体Pと接触している。転写部48としては、例えば、転写ローラーが挙げられる。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、本実施形態に係る画像形成装置の一例について説明したが、本実施形態に係る画像形成装置は、上述した画像形成装置100に限定されない。例えば、上述した画像形成装置100はタンデム方式の画像形成装置であったが、本実施形態に係る画像形成装置はこれに限定されず、例えばロータリー方式の画像形成装置であってもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であってもよい。この場合、画像形成装置は、例えば画像形成ユニットを1つだけ備えていればよい。また、本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写方式を採用してもよい。本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式を採用する場合、被転写体は中間転写ベルトに相当する。
<第二実施形態:画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成方法は、第一実施形態に係る画像形成装置を用いた画像形成方法である。この画像形成装置は、トナー像を被転写体へ転写した後の像担持体の表面を除電する除電部を更に備える。本実施形態に係る画像形成方法は、像担持体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、像担持体から被転写体へトナー像を転写する転写工程と、トナー像を被転写体へ転写した後の像担持体の表面を除電する除電工程とを有する。像担持体の表面における所定の箇所が除電工程で除電されてから帯電工程によって帯電されるまでの時間(除電から帯電までのプロセス時間)は、200ミリ秒以下である。除電から帯電までのプロセス時間の下限としては、特に限定されないが、30ミリ秒以上が好ましく、80ミリ秒以上がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光層を形成するための材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニンを準備した。Y型チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CG−1)で表され、Y型の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンであった。このY型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有していた(具体的には、296℃に1つのピークを有していた)。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた正孔輸送剤(HTM−1)を準備した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた電子輸送剤(ETM−1)〜(ETM−3)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(PA−1)を準備した。ポリアリレート樹脂(PA−1)の粘度平均分子量は、60,000であった。
<感光層における正孔及び電子の移動度>
以下の参考例1〜9のサンプル層における正孔及び電子の移動度を測定した。
(参考例1)
容器内に、正孔輸送剤(HTM−1)64.7質量部、電子輸送剤(ETM−1)32.3質量部、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(PA−1)120.0質量部、及び溶剤(テトラヒドロフラン)を投入した。正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂の合計に対するそれぞれ含有割合は、29.8質量%、14.9質量%及び55.3質量%であった。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料(正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂)を分散させた。これにより、サンプル塗布液を得た。このサンプル塗布液を、ワイヤーバーを用いてアルミニウム基材上に膜厚5μmとなるように塗布した後、乾燥させることで薄膜(サンプル層)を形成した。その後、この薄膜上に半透明金電極を真空蒸着し、サンドイッチセルを作製した。得られたサンドイッチセルについて、温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で以下に示すTOF法(Time of Flight)にて正孔の移動度μh及び電子の移動度μeを測定した。測定結果を下記表1に示す。
TOF法による正孔の移動度μh及び電子の移動度μeの測定では、サンドイッチセルの電極(半透明金電極及びアルミニウム基材)間に電圧(絶対値において75V)を印加した状態で半透明金電極を介して薄膜にパルス光(波長:337nm)を照射した。パルス光の光源としては、パルスレーザー発生装置(株式会社宇翔製「UVL−50」)を用いた。パルス光の照射によって生じた電流の経時変化をストレージスコープ(岩崎通信機株式会社製「TS−8123」)で観察した。電流の経時変化は両対数グラフで表し、その傾きの変化に基づいてトランジットタイム(tr、単位:秒)を求めた。薄膜の膜厚(L)、トランジットタイム(tr)、電圧(V)を以下の関係式(μ)に代入し、電荷の移動度を算出した。
電荷の移動度=(L/tr)/(V/L)・・・(μ)
(参考例2〜9)
次の点を変更した以外は、参考例1のサンプル層の製造及び測定と同じ方法で、参考例2〜9のサンプル層の製造及び測定を行った。参考例1のサンプル層の製造及び測定においては正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂の含有割合を上述の通りとしたが、参考例2〜9のサンプル層の製造及び評価においては下記表1に示す含有割合とした。測定結果を下記表1に示す。
下記表1において、「wt%」、「樹脂(PA−1)」、「HTM」、及び「ETM」は、それぞれ「バインダー樹脂、正孔輸送剤及び電子輸送剤の合計に対する含有割合(質量%)」「ポリアリレート樹脂(PA−1)」、「正孔輸送剤」、及び「電子輸送剤」を示す。また、下記表1において、「−」は、該当する項目を測定しなかったことを示す。
Figure 2020020905
図6は、正孔輸送剤を含有する参考例1〜7における正孔輸送剤の含有割合と、正孔の移動度との関係を示すグラフである。図6において、「HTM+ETM」は、正孔輸送剤及び電子輸送剤の両方を含有する参考例1〜4を示す。また、図6において、「HTM」は、正孔輸送剤を含有するが電子輸送剤を含有しない参考例5〜7を示す。
表1及び図6から明らかなように、正孔輸送剤及び電子輸送剤の両方を含有する参考例1〜4は、正孔輸送剤を含有するが電子輸送剤を含有しない参考例5〜6と比較し、正孔輸送剤の含有割合が同程度であっても正孔の移動度が高くなる傾向が確認された。
図7は、電子輸送剤を含有する参考例1〜4、8及び9における電子輸送剤の含有割合と、電子の移動度との関係を示すグラフである。図7において、「HTM+ETM」は、正孔輸送剤及び電子輸送剤の両方を含有する参考例1〜4を示す。また、図7において、「ETM」は、電子輸送剤を含有するが正孔輸送剤を含有しない参考例8及び9を示す。
表1及び図7から明らかなように、正孔輸送剤及び電子輸送剤の両方を含有する参考例1〜4は、電子輸送剤を含有するが正孔輸送剤を含有しない参考例8及び9と比較し、電子輸送剤の含有割合が同程度であっても電子の移動度が大幅に高くなる傾向が確認された(具体的には、10倍程度)。
以上から、電子輸送剤は正孔輸送剤による正孔の移動度を向上させ、正孔輸送剤は電子輸送剤による電子の移動度を向上させることが確認された。つまり、電子輸送剤及び正孔輸送剤は相互に影響することが確認された。このことから、感光体の性能を向上させるためには、電荷輸送剤単体での電荷の移動度を検討するよりも、感光層全体での電荷の移動度を検討することが重要であると判断される。そこで、以下においては、感光層全体での電荷の移動度と、感光体の性能との関係について検討した。
<感光体の帯電性能>
以下の点を変更した以外は、参考例1におけるサンプル塗布液の調製と同様の方法で感光体(A−1)に用いる感光層形成用塗布液を調製した。参考例1におけるサンプル塗布液の調製においては、原料として上述の種類及び量の電子輸送剤、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を用いた。一方、感光体(A−1)に用いる感光層形成用塗布液の調製においては、原料として正孔輸送剤(HTM−1)20.0質量%、電子輸送剤(ETM−1)12.0質量%、電子輸送剤(ETM−2)12.0質量%、ポリアクリル酸樹脂(PA−1)55.0質量%及び電荷発生剤としてY型チタニルフタロシアニン1.0質量%を用いた。
次に、調製した感光層形成用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上にディップコート法を用いて塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層の感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
感光体(A−1)の感光層における正孔及び電子の移動度を測定した。まず、測定用のサンプルとして、感光体(A−1)の感光層と比較し、電荷発生剤を同量のバインダー樹脂で置き換え、それ以外は同一とした層に相当するサンプル層を形成した。このサンプル層の形成には、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び溶剤のみを含有するサンプル塗布液を用いた。サンプル塗布液と、対応する感光体(A−1)の形成に用いた感光層形成用塗布液とは、バインダー樹脂、正孔輸送剤及び電子輸送剤の種類については同一とした。一方、サンプル塗布液は、対応する感光体(A−1)の形成に用いた感光層形成用塗布液と比較し、電荷発生剤は含有せず、その代わりに、電荷発生剤の含有量に相当する質量部だけバインダー樹脂の含有量を増加させた点で相違させた。具体的には、感光体(A−1)に対応するサンプル塗布液の固形分組成は、正孔輸送剤(HT−1)20.0質量%、電子輸送剤(ET−1)12.0質量%、電子輸送剤(ET−2)12.0質量%、及びポリアリレート樹脂(PA−1)56.0質量%とした。感光層形成用塗布液の代わりに感光体(A−1)に対応するサンプル塗布液を用いた以外は、参考例1と同様の方法により正孔及び電子の移動度を測定した。これを感光体(A−1)の感光層における電子の移動度μe及び正孔の移動度μhとした。測定結果を下記表2に示す。
正孔輸送剤及び電子輸送剤の種類及び含有割合を下記表2に示す通りに変更した以外は、感光体(A−1)の製造及び電荷の移動度の測定と同様の方法により、感光体(B−1)の製造及び電荷の移動度の測定を行った。測定結果を下記表2に示す。
下記表2において、「wt%」、「μe」、「μh」、「樹脂」、「PA−1」及び「CGM」は、それぞれ「感光層における含有割合(質量%)」、「電子の移動度」、「正孔の移動度」、「バインダー樹脂」、「ポリアリレート樹脂(PA−1)」及び「Y型チタニルフタロシアニン」を示す。また、下記表2において、「−」は、該当する成分を含有していないことを示す。
Figure 2020020905
[プロセス時間180ミリ秒での帯電性能]
感光体(A−1)及び(B−1)を評価装置(ジェンテック株式会社製「CYNTHIA30M」)にそれぞれ装着し、帯電性能の評価を行った。評価装置は、帯電部としての帯電ローラーと、除電部としてのLEDランプとを備え、感光体を回転させながら、感光体の表面を帯電部で帯電させると共に、帯電した感光体の表面を除電部で除電する装置であった。評価装置の露光位置に、感光体の表面電位を測定するための透明プローブを取り付けた。評価においては、帯電ローラーに印加する電圧を適宜調節することにより感光体の表面電荷密度を調節しながら感光体の表面電位を測定した。各種条件は、以下の通りとした。温度及び相対湿度は、25℃、40%RHとした。プロセススピード(感光体の周速)は、215mm/秒とした。感光体の表面の所定の部位が除電部によって除電されてから帯電ローラー(長さ232mm)によって帯電されるまでのプロセス時間は180ミリ秒とした。測定結果を下記表3及び図8に示す。
Figure 2020020905
表3及び図8から明らかなように、感光体(A−1)(移動度比(μe/μh)が1/3.7)は、感光体(B−1)(移動度比(μe/μh)が1/66.0)と比較し、表面電荷密度が同一であっても高い表面電位が得られた。即ち、感光体(A−1)は、感光体(B−1)よりも帯電性能に優れていた。このことから、感光体は、感光層における正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比(μe/μh)を1に近づけることにより、帯電性能が向上することが確認された。
[帯電性能のプロセス時間依存性]
感光層における正孔及び電子の移動度と、除電から帯電までのプロセス時間が感光体の帯電性能に及ぼす影響との関係を検討した。まず、正孔輸送剤及び電子輸送剤の種類及び含有割合を下記表4に示す通りとした以外は、感光体(A−1)の製造及び電荷の移動度の測定と同様の方法により、感光体(A−2)〜(A−6)及び(B−1)及び(B−5)の製造及び電荷の移動度の測定を行った。
感光体(A−1)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−5)を上述の評価機に装着し、表面電荷密度を6.00×10-4(C/m2)、除電から帯電までのプロセス時間を100ミリ秒、150ミリ秒、180ミリ秒、200ミリ秒、250ミリ秒又は300ミリ秒としたときの感光体の表面電位を測定した。測定結果を下記表4、図9及び図10に示す。
下記表4において、「含有割合(wt%)」は、「感光層における含有割合(質量%)」を示す。電子輸送剤の種類の「ETM−1/ETM−2」及び「ETM−1/ETM−3」は、それぞれ電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−2)、又は電子輸送剤(ETM−1)及び(ETM−3)を同量ずつ含有することを示す。表面電位(V)の「100ミリ秒」は、除電から帯電までのプロセス時間を100ミリ秒としたときの表面電位を示す。表面電位(V)の「150ミリ秒」、「180ミリ秒」、「200ミリ秒」、「250ミリ秒」及び「300ミリ秒」についても同様である。
Figure 2020020905
表4、図9及び図10から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−6)(移動度比(μe/μh)が1/50.0以上1/1.0以下)は、感光体(B−1)〜(B−5)(移動度比(μe/μh)が1/50.0未満)よりも表面電位が高かった。また、感光体(A−1)〜(A−6)は、除電から帯電までのプロセス時間に関わらず表面電位がほぼ一定であった。一方、感光体(B−1)〜(B−5)は、除電から帯電までのプロセス時間が短い場合(例えば200ミリ秒以下)には表面電位が著しく低下した。このことから、感光体は、感光層における正孔の移動度に対する電子の移動度の比(μe/μh)を1/50.0以上1/1.0以下とすることで、優れた帯電性能を発揮でき、特に除電から帯電までのプロセス時間を短くした場合(例えば200ミリ秒以下とした場合)においても優れた帯電性能を維持できると判断される。一方、感光体は、電子の移動度の比(μe/μh)を1/50.0以上とした場合、即ち正孔の移動度が電子の移動度よりも大きすぎる場合、除電から帯電までのプロセス時間を短くした場合に感光体の帯電性能が大幅に低下すると判断される。
<転写メモリーの抑制性能>
感光体(A−1)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−5)を評価機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 356ci」、除電から帯電までのプロセス時間が約180ミリ)に像担持体として装着することにより、実施例1〜6及び比較例1〜5の画像形成装置を得た。この評価機は、帯電部としてのローラー帯電装置と、除電部としての除電ランプとを備えていた。像担持体の帯電電位は+500Vに設定した。像担持体の転写バイアスを、−10μAに設定した。この画像形成装置を用い、転写メモリーに起因する画像ゴーストの発生の有無を評価した。評価は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。
まず、記録媒体(A4サイズ用紙)に2秒間隔で印字パターン(印字率5%)を100枚印刷した。その後、評価用画像を作成した。
評価用画像は、感光体の基準周1周分に相当する領域(領域A)と、基準周の次周一周分に相当する領域(領域B)とにより構成した。領域Aは、ソリッド画像(画像濃度100%)と、このソリッド画像領域中の白抜き画像(画像濃度0%)とにより構成した。つまり、領域Aには、白抜き画像がソリッド画像で囲繞されている画像を形成した。領域Bには、全面ハーフトーン画像(画像濃度40%)を形成した。
評価用画像の領域Bにおいて、領域Aの白抜き画像に対応する箇所を肉眼及びルーペ(倍率10倍、TRUSCO社製、TL−SL10K)で観察した。転写メモリーが発生すると、領域Bにおいて、基準周の非画像部(長方形状の白抜き画像)に対応する箇所の画像濃度が、基準周の画像部(ソリッド画像)に対応する箇所の画像濃度よりも濃くなる。下記基準に基づいて、評価用画像の観察結果から転写メモリーに起因する画像ゴーストの有無を評価した。評価結果を下記表5に示す。なお、評価Aを合格とした。
(転写メモリーに起因する画像ゴーストの評価基準)
評価A:画像Aに対応する画像ゴーストが観察されないか、又は観察されても実用上問題のない水準であった。
評価B:画像Aに対応する画像ゴーストが明確に観察され、実用上問題のある水準であった。
Figure 2020020905
表5から明らかなように、実施例1〜6(移動度比(μe/μh)が1/50.0以上1/1.0以下)は、いずれも転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制することができた。一方、比較例1〜5(移動度比(μe/μh)が1/50.0未満)は、いずれも転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制することができなかった。このことから、画像形成装置は、感光体の感光層において、正孔の移動度に対する電子の移動度の比(μe/μh)を1/50.0以上1/1.0以下とすることで、転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制し、良好な画像を得ることができると判断される。
<感光体の耐久性>
次に、実施例1、実施例5及び比較例1の画像形成装置で連続印刷を行い、これらに装着した感光体(A−1)、(A−5)及び(B−1)の耐久性(摩耗量の少なさ)を評価した。ここで、感光体の摩耗量は、例えば、感光層に含有されるバインダー樹脂の樹脂強度と、帯電電流量との影響を受ける傾向がある。具体的には、感光体の摩耗量は、感光層に含有されるバインダー樹脂の樹脂強度が高いほど減少する。また、感光体の摩耗量は、帯電電流量を低減するほど減少する。実施例1及び5、並びに比較例1の画像形成装置の感光体は、感光層に含有されるバインダー樹脂がいずれも同一であるため、その摩耗量は帯電電流量の影響を受ける傾向があると推測される。このことを確認するため、感光体の耐久性の評価では、摩耗量の測定と同時に帯電電流についても測定した。
具体的には、まず各感光体の感光層の厚さを渦電流膜厚計(株式会社ケツト科学研究所製「LH−373」)により測定し、これを感光層の初期厚さT0(μm)とした。次に、各画像形成装置によって記録媒体(A4サイズ用紙)に2秒間隔で印字パターン(印字率5%)を連続印刷した。1枚目を印刷する際の帯電電流を電流計により測定した。測定、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。帯電電位は+500Vに設定した。
50,000枚(50K)を印刷した段階で、感光体の感光層の厚さを測定し、これを50,000枚印刷時の感光層の厚さT500K(μm)とした。T0−T500Kから、50,000枚印刷時の感光層の摩耗量を算出した。また、50,000枚目を印刷する際の帯電電流を横河電機株式会社製「アナログ携帯直流電流計 mode201132」により測定した。
同様に、100,000枚(100K)、150,000枚(150K)、200,000枚(200K)、250,000枚(250K)、280,000枚(280K)、330,000枚(330K)及び380,000枚(380K)印刷した段階で、それぞれ感光層の摩耗量と帯電電流とを測定した。結果を下記表6、表7、図11及び図12に示す。なお、図11及び図12中の「コピー量(K)」は、「印刷枚数(単位:キロ枚)」を示す。
Figure 2020020905
Figure 2020020905
表6及び図11から明らかなように、実施例1及び実施例5の画像形成装置の感光体(A−1)及び(A−5)(移動度比(μe/μh)が1/50.0以上1/1.0以下)は、比較例5の画像形成装置の感光体(B−5)(移動度比(μe/μh)が1/50.0未満)よりも摩耗量が少なく、耐久性に優れていた。また、表6、表7、図11及び図12から明らかなように、実施例1、実施例5及び比較例5において、コピー量の増加に伴う感光体の摩耗量の増加と帯電電流の増加との間には、同様の傾向が見られた。このことから、感光体(A−1)、(A−5)及び(B−5)の摩耗量の差の一因は、帯電電流の差であると判断される。即ち、感光体(A−1)及び(A−5)は、帯電性能に優れていたため、所望の帯電電位を維持するために比較的少量の帯電電流量しか必要とせず、その結果、摩耗量を低減できたと判断される。一方、感光体(B−5)は、帯電性能に劣っていたため、所望の帯電電位を維持するために比較的多量の帯電電流量を必要とし、その結果、摩耗量が増大したと判断される。このように、感光体は、感光層における正孔の移動度に対する電子の移動度の比(μe/μh)を1/50.0以上1/1.0以下とすることで、所望の表面電位を維持するために必要な帯電電流量を低減でき、その結果、優れた耐久性を発揮できると判断される。
以上のことから、画像形成装置及び画像形成方法は、感光体の感光層における移動度の比(μe/μh)を1/50.0以上1/1.0以下とすることで、感光体の帯電性能及び耐久性を向上させ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できることが確認された。また、上述の感光体は、除電から帯電までのプロセス時間を短くしても優れた帯電性能が維持されることが確認された。
本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、画像の形成に利用することがきる。
1 感光体
2 導電性基体
3 感光層
4 中間層
5 保護層
30 像担持体
40a、40b、40c:画像形成ユニット
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
50 転写ベルト
52 クリーニング部
54 定着部
100 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (14)

  1. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、
    帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記像担持体は、
    導電性基体と、感光層とを備える正帯電単層型電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有し、
    温度23℃かつ電界強度1.50×105V/cmの条件で測定される前記感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.00×10-7cm2/V/秒以上であり、
    前記正孔の移動度μhに対する前記電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下である、画像形成装置。
  2. 前記帯電部は、前記像担持体と接触して前記像担持体に直流電圧を印加する、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記正孔の移動度μhに対する前記電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/5.0以上1/1.0以下である、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記正孔の移動度μh及び前記電子の移動度μeは、いずれも5.00×10-5cm2/V/秒以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記電荷発生剤は、下記化学式(CG−1)で表される化合物を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
  6. 前記電子輸送剤は、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
    (前記一般式(1)〜(3)中、
    1〜R4及びR9〜R12は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
    5〜R8は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
  7. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記化学式(ETM−1)で表され、前記一般式(2)で表される化合物は、下記化学式(ETM−3)で表され、前記一般式(3)で表される化合物は、下記化学式(ETM−2)で表される、請求項6に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
  8. 前記正孔輸送剤は、下記一般式(10)で表される化合物を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
    (前記一般式(10)中、
    16〜R18は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基を表し、
    m及びnは、各々独立に、1以上3以下の整数を表し、
    p及びrは、各々独立に、0又は1を表し、
    qは、0以上2以下の整数を表す。)
  9. 前記一般式(10)で表される化合物は、下記化学式(HTM−1)で表される、請求項8に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
  10. 前記バインダー樹脂は、下記一般式(20)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
    (前記一般式(20)中、
    20及びR21は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
    22及びR23は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表し、
    22及びR23は、互いに結合して下記一般式(W)で表される2価の基を表してもよく、
    Yは、下記化学式(Y1)、(Y2)、(Y3)、(Y4)、(Y5)又は(Y6)で表される2価の基を表す。)
    Figure 2020020905
    (前記一般式(W)中、
    tは、1以上3以下の整数を表し、
    *は、結合手を表す。)
    Figure 2020020905
  11. 前記ポリアリレート樹脂は、下記化学式(PA−1a)で表される主鎖と、下記化学式(Z)で表される末端基とを有する、請求項10に記載の画像形成装置。
    Figure 2020020905
    (前記化学式(Z)中、*は、結合手を表す。)
  12. 前記感光層において、
    前記正孔輸送剤の含有割合は、10.0質量%以上40.0質量%以下であり、
    前記電子輸送剤の含有割合は、15.0質量%以上45.0質量%以下である、請求項1〜11の何れか一項に記載の画像形成装置。
  13. 前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電部を更に備え、
    前記像担持体の前記表面における所定の箇所が前記除電部によって除電されてから前記帯電部によって帯電されるまでの時間は、200ミリ秒以下である、請求項1〜12の何れか一項に記載の画像形成装置。
  14. 請求項1〜12の何れか一項に記載の画像形成装置を用いた画像形成方法であって、
    前記画像形成装置は、前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電部を更に備え、
    前記像担持体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、
    帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、
    前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、
    前記像担持体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と、
    前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電工程と
    を有し、
    前記像担持体の前記表面における所定の箇所が前記除電工程で除電されてから前記帯電工程によって帯電されるまでの時間は、200ミリ秒以下である、画像形成方法。
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