JP2000171988A - 電子写真用正帯電型有機感光体および画像形成プロセス - Google Patents

電子写真用正帯電型有機感光体および画像形成プロセス

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JP2000171988A
JP2000171988A JP34282198A JP34282198A JP2000171988A JP 2000171988 A JP2000171988 A JP 2000171988A JP 34282198 A JP34282198 A JP 34282198A JP 34282198 A JP34282198 A JP 34282198A JP 2000171988 A JP2000171988 A JP 2000171988A
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photoreceptor
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forming process
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Haruo Kawakami
春雄 川上
Seizo Kitagawa
清三 北川
Hiroshi Yamaguchi
啓 山口
Shinichi Omokawa
真一 面川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高速応答性,長寿命の電子写真用正帯電型有機
感光体およびその感光体に適用される画像形成プロセス
を提供する。 【解決手段】導電性基体上に電荷発生材,正孔輸送材,
電子輸送材および樹脂バインダーを含む単層の感光層を
備えた感光体であって、感光層の厚さA,感光層での正
孔移動度μh ,電子移動度μe 、使用時の感光層への入
射光の透過深さをB、感光体への帯電電圧をVとすると
き、下記(1)式および(2)式の関係が成立する感光
体とし、画像形成に際しては前記BおよびVが下記
(1)式および(2)式を充たすように選定された画像
形成プロセスを適用する。 【数1】(μh ×V)≧20×A2 (cm2 /s)
(1) (μe ×V)≧20×AB(cm2 /s)
(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子写真応用装
置のプリンタ,複写機などに用いられる電子写真用正帯
電型有機感光体およびそれを用いる画像形成プロセスに
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体は導電性基体上に少な
くとも光導電機能を有する感光層を設けて構成される。
このうち、感光層の電荷の発生や輸送を担う機能成分と
して有機化合物を利用する有機感光体(OPC)では、
主として電荷発生の機能を有する層(電荷発生層(CG
L))と主として電荷輸送の機能を有する層(電荷輸送
層(CTL))とに機能分離した各層が積層されてなる
感光層を備えた積層型OPCと、これらの機能を合わせ
て持つ単一層の感光層を備えた単層型OPCが知られて
いる。
【0003】現在用いられているOPCは、ほとんど表
面を負帯電して用いられる負帯電積層型OPCである。
導電性基体上にCGL,CTLの順に積層された構成で
あり、機能上サブミクロンオーダーの薄膜とされるべき
CGLが内層となるので耐刷性は良好であるが、感光体
表面の帯電に負のコロナ放電が行われることになり、放
電が不安定で帯電が不均一となり易く、また、コロナ放
電時オゾン発生が多いという問題点があった。
【0004】正帯電型の感光体であれば、正のコロナ放
電が行われることになり、上述のようなコロナ放電に起
因する欠点は除去されるが、一般に有機化合物は負電荷
を輸送しにくく、有効な負電荷輸送材は現在まだ見出さ
れておらず、上述の導電性基体上にCGL,CTLの順
に積層された構成では有効な正帯電型の感光体は得られ
ない。導電性基体上にCTL,CGLの順に積層する構
成とすれば正帯電型となるが、この場合には薄層である
CGLが感光体の表面にくるので感光体の耐刷性が問題
となってくる。CGL上にさらに保護層を形成すれば耐
刷性の低下は防止できるが、保護層としての好適な材料
の選択が難しく、また、生産性も低下する。
【0005】従って、積層型OPCで正帯電型を得るこ
とは現在では困難であり、正帯電型のOPCとしては単
層型が多い。しかし、単層型OPCは積層型OPCに比
して生産性が高くコスト的にも有利であるが、高感度の
感光体が得られ難いという欠点を有し、感度向上の研究
が進められている。例えば、特開平6−59467号公
報では、少なくとも電荷発生物質,有機正孔移動材料,
有機アクセプタ性化合物とこれらを分散含有する結着剤
とからなり、50V/μmの電界を印加されたときの正
孔移動度が10-6cm2 /Vs以上である単層の感光層
を設けることによって高感度で画像形成プロセスの高速
化に対応する高速応答性に優れた正帯電単層型OPCが
得られることが開示されている。この感光体では、画像
露光後現像までに至る時間が0.1s〜0.5s程度の
高速画像形成プロセスに対応可能とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子写真応用装
置,特にプリンタに対する高速化,高耐刷化の要求がさ
らに強くなり、それに伴い、感光体に対しても高速応答
性,長寿命化が求められている。応答性については50
ms程度以下が要求されるようになってきているが、寿
命に関しては、プリンタ内における感光層の膜削れが制
限要因となり、これに対応するには感光層の厚さを予め
厚くしておくとともに、耐刷性に優れた樹脂バインダー
の感光層材料中の濃度を高くしておくことが有効であ
る。しかしながら、感光層の厚さを厚くすると、露光に
より発生させた電荷の移動距離が長くなるとともに、同
じ帯電電圧では電界強度(=帯電電圧/膜厚)も小さく
なるため、電荷の移動が遅くなり応答性が損なわれると
いう問題があった。また、樹脂バインダーの濃度を高く
するためには、正孔輸送材,電子輸送材の濃度を抑制す
る必要があり、感光体の移動度が低下して同様に応答性
が損なわれるという問題につながる。感光体に求められ
る応答時間は、露光により発生した電荷が基体もしくは
感光体表面の電荷と結合するための時間であり、これが
画像形成プロセスの露光してから現像にいたるまでの時
間より長い場合には、静電潜像が適正に形成されず、良
好な画像が得られなくなる。
【0007】このような理由から、従来の感光層の厚さ
は通常25μm程度に抑えられており、応答時間も実用
上100ms程度にとどまるなどの限界があった。これ
に対し、高速化,高耐刷化の市場要求に答えるために
は、少なくとも、感光層の厚さは30μm以上、正孔輸
送材,電子輸送材の濃度はそれぞれ30重量%以下とし
て、しかも応答時間は50ms以下であることが望まれ
る。この発明は、上述の点に鑑みてなされたものであっ
て、市場より要求される高速応答性,長寿命を確保でき
る電子写真用正帯電型有機感光体およびその感光体に適
用される画像形成プロセスを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
によれば、導電性基体上に電荷発生材,正孔輸送材,電
子輸送材および樹脂バインダーを含む感光層を設けてな
る電子写真用正帯電型有機感光体において、前記感光層
の厚さをA,感光層での正孔移動度をμh ,電子移動度
をμe ,使用時の感光層への入射光の透過深さをB,感
光体への帯電電圧をVとするとき、下記(1)式および
(2)式の関係が成立している電子写真用正帯電型有機
感光体とすることによって解決される。
【0009】
【数2】 (μh ×V)≧20×A2 (cm2 /s) (1) (μe ×V)≧20×AB(cm2 /s) (2) 感光層の厚さAはA≧0.003cmであると好適であ
る。また、感光層の正孔輸送材と電子輸送材の濃度は、
それぞれ30重量%以下であることが望ましい。
【0010】上述の感光体を、感光体への帯電電圧V,
感光層への入射光の透過深さBがそれぞれ前記(1)式
および(2)式を充たすように選定された画像形成プロ
セスで使用することにより、市場要求を満足する高速応
答性,高耐刷性を実現することができる。
【0011】以下、プリンタについてこの発明の作用効
果について具体的に説明する。プリンタの印刷プロセス
において、感光体はまず暗所でコロナ放電などで正の高
電圧に帯電される。ついで、光照射により感光層内部に
はプラス電荷(正孔)とマイナス電荷(電子)が発生す
る。発生した電荷の一部は再結合により消滅するが、大
部分の電荷は感光層に付加されている電界により光電流
として基体および感光体表面に移動して表面電荷を打ち
消す。このプロセスにより、感光体表面の光照射を受け
た部分の電位が下がり光照射を受けない部分は高電位の
ままなので、電気的潜像が形成される。この状態で正の
中間電位に帯電されたトナーを感光体表面に付着させる
と、トナーは光照射を受け電位が下がった部分に選択的
に付着する。このようにして形成されたトナー像を紙な
どの支持体上に転写,定着することにより、印刷が完了
する。
【0012】露光による電荷の発生は、感光層表面で最
も大きく、入射光の吸収に伴い深さ方向に減衰する。発
生した電荷について、正孔については、基体の負電荷と
再結合するためにその移動距離は感光層の膜厚Aとな
る。一方、電子については、感光層表面の正電荷と再結
合するためにその移動距離は入射光の透過深さBとな
る。入射光は感光層深さに対して指数関数的に減衰する
が、ここで透過深さBは、入射光が表面の1/eの光量
となる深さと定義する。
【0013】電荷の移動速度vは、Eを電界強度とし
て、
【0014】
【数3】 v=μ×E=μ×V/A (3) で表される。
【0015】正孔の移動度μh ,電子の移動度μe は、
それぞれ正孔輸送材,電子輸送材の種類,濃度に依存す
るものであり、これは感光層の組成により決定される。
また、移動度は電界強度Eにも依存することが知られて
おり、一般にはE1/2 に比例すると言われている。上記
(3)式より、正孔,電子がそれぞれ必要な距離を移動
するに要する時間は、
【0016】
【数4】 正孔の移動時間=A2 /(μh ×V) (4) 電子の移動時間=AB/(μe ×V) (5) で表される。実際の感光体では、電荷が感光層内で捕獲
され空間電荷として残留する場合があり、移動時間は上
式より長くなる場合もあるが、少なくとも上記の値が5
0ms以下の値であれば、実際の感光体でも露光─現像
時間が50msで問題のないことが見出された。すなわ
ち、
【0017】
【数5】 A2 /(μh ×V)≦5×10-2(s) (6) AB/(μe ×V)≦5×10-2(s) (7) これは、感光体での正孔移動度μh ,電子移動度μ
e と、印字時のプリンタにおける帯電電圧および照射光
の透過深さを
【0018】
【数6】 (μh ×V)≧20×A2 (cm2 /s) (1) (μe ×V)≧20×AB(cm2 /s) (2) となるように選定することにより、耐刷性の確保に必要
な感光層の膜厚を30μm以上とする場合にも高耐刷性
と高速応答性を兼ね備えた感光体が得られることを示す
ものである。μh ,μe は、前述のように、正孔輸送
材,電子輸送材の種類,濃度および電界強度Eに依存す
るが、例えば、V=600V,A=0.003cm,B
=0.0005cmのとき、濃度30%以下の条件で、
【0019】
【数7】 μh ≧3×10-7(cm2 /Vs) (8) μe ≧5×10-8(cm2 /Vs) (9) であることが条件となる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係わる正帯電
有機感光体の層構成を示す概念的断面図である。図1
(a)に示す感光体は、導電性基体1とその上に設けら
れた感光層2とからなる。また、場合によっては、図1
(b)に示すように導電性基体1と感光層2との間に下
引き層3を設ける場合もある。下引き層3は感光体の帯
電性確保,感光層の密着性向上のために設けられるもの
であり、下引き層3を設けた感光体においても、設けな
い感光体の場合と同様にこの発明は有効である。
【0021】導電性基体1としては、各種金属(アルミ
ニウムなど)製円筒や導電性プラスチック製フィルムな
どを用いることができる。また、透明基体としては、ガ
ラスやアクリル,ポリアミド,ポリエチレンテレフタレ
ートなどの成形体やシート材などに透明電極を付与した
ものを用いることができる。
【0022】下引き層としては、高分子分散皮膜が利用
される。材料としては、カゼイン,ポリビニルアルコー
ル,ポリビニルアセタール,ポリアミド,メラミン,セ
ルロースなどの絶縁性高分子、あるいはポリチオフェ
ン,ポリピロール,ポリアニリンなどの導電性高分子、
あるいはこれらの高分子に二酸化チタン,酸化亜鉛など
の金属酸化物粉末を含有させたものを用いることができ
る。また、導電性基体の表面をアルマイト化してこのア
ルマイト層を、あるいは導電性基体表面を樹脂皮膜で表
面装飾した層を下引き層として機能させることもでき
る。
【0023】感光層は、主として、電荷発生材,電荷輸
送材とこれらを分散含有する樹脂バインダーからなる。
電荷発生材としては、各種フタロシアニン化合物,アゾ
化合物,多環キノン化合物,およびこれらの誘導体を用
いることができる。電荷輸送材は、正孔輸送材としては
各種ヒドラゾン,スチリル,ジアミン,ブタジエン,イ
ンドール化合物,およびこれらの混合物が用いられ、電
子輸送材としては各種ベンゾキノン誘導体,フェナント
レンキノン誘導体,スチルベンキノン誘導体などが用い
られる。電荷輸送材の具体例としては次の材料が挙げら
れる。
【0024】
【化1】 感光層のバインダーとしては、膜強度ならびに耐刷性の
面でポリカーボネートが現在最も優れた材料系として広
く実用に供されている。このようなポリカーボネートと
しては、ビスフェノールA型,ビスフェノールZ型など
および各種共重合体が挙げられる。かかるポリカーボネ
ート樹脂の最適平均分子量範囲は1万〜10万である。
この他には、ポリエチレン,ポリフェニレンエーテルア
クリル,ポリエステル,ポリアミド,ポリウレタン,エ
ポキシ,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセター
ル,フェノキシ樹脂,シリコーン樹脂,アクリル樹脂,
塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂,酢酸ビニル樹
脂,ホルマール樹脂,セルロース樹脂,またはこれらの
共重合体,およびこれらのハロゲン化物やシアノエチル
化合物を用いることができる。
【0025】感光層には、この他に、酸化防止材などを
含有させることができる。これらの材料を用いて、導電
性基体上に、例えば塗布法により、感光層を形成するこ
とにより、高速応答性,高寿命の優れた電子写真用正帯
電型有機感光体を得ることができる。
【0026】
【実施例】以下、具体的な実施例について説明する。 実施例1 導電性基体としてアルミニウム合金(JIS 300
3)円筒の外表面を切削加工により表面粗さが中心線平
均粗さRa で0.1μm以下となるように仕上げたもの
を用い、この上に、樹脂バインダーとしてビスフェノー
ルZ型ポリカーボネート(帝人(株)製;TS205
0)を用い、電荷発生材として無金属フタロシアニン
(結晶形χ型)とチタニルフタロシアニン(結晶形Y
型)を重量比で1:1に混合したものが濃度1.5重量
%、正孔輸送材として前記具体例1の材料が濃度25重
量%、電子輸送材として前記具体例2の材料が濃度15
重量%、酸化防止材が濃度5重量%、残部が樹脂の組成
となるように混合分散させた材料を浸漬塗布法で塗布し
て、膜厚25μmの感光層を形成して感光体を作製し
た。
【0027】実施例2 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を1.0
%、正孔輸送材の濃度を30%、電子輸送材の濃度を2
0%、感光層膜厚を35μmと変えたこと以外は、実施
例1と同様にして感光体を作製した。
【0028】実施例3 実施例1において、感光層の正孔輸送材を前記具体例3
の材料で濃度20%と変え、さらに感光層膜厚を35μ
mと変えたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を
作製した。
【0029】実施例4 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を0.9
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材の濃度を25%、感光層膜厚を35μmと変え
たこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し
た。
【0030】実施例5 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を0.9
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材を前記具体例4の材料で濃度15%、感光層膜
厚を35μmと変えたこと以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
【0031】実施例6 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を1.0
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材を前記具体例4の材料で濃度25%、感光層膜
厚を35μmと変えたこと以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
【0032】実施例7 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を1.0
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材を前記具体例4の材料で濃度20%、感光層膜
厚を40μmと変えたこと以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
【0033】比較例1 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を1.0
%、正孔輸送材の濃度を20%、電子輸送材の濃度を1
0%、膜厚を35μmと変えたこと以外は、実施例1と
同様にして感光体を作製した。
【0034】比較例2 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を0.9
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材の濃度を15%、感光層膜厚を35μmと変え
たこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し
た。
【0035】比較例3 実施例1において、感光層の電荷発生材の濃度を0.9
%、正孔輸送材を前記具体例3の材料で濃度25%、電
子輸送材の濃度を10%、感光層膜厚を40μmと変え
たこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し
た。
【0036】以上のようにして作製した実施例,比較例
の各感光体の特性を評価する。評価は、帯電機構,露光
機構,除電機構を備えたレーザービームプリンタに感光
体を搭載し、常温常湿(温度20℃,相対湿度50%)
の雰囲気下で実施した。初期帯電電位を600V(実施
例5の感光体のみ800V)に設定した後、波長780
nmの単色レーザー光を1μJ/cm2 露光し、露光部
電位を測定する。露光からの経過時間が50msと10
0msでの電位を測定し、両者を比較することで、50
ms時点での電荷の移動の進行度合いを判定した。50
ms時点での露光部電位が低く,かつ,両者の差が少な
い程応答時間が速く高速印字に対応できることになる。
【0037】なお、感光層への入射光の透過深さBは、
感光体に用いたのと同じ材料を透明ガラス基板に塗布
し、分光光度計により測定した。また、感光体の正孔,
電子の移動度は、アルミニウム合金基体上に電荷発生層
を形成した後、それぞれの材料を上記と同濃度とした材
料を成膜し、Time of flight法により測
定した。このときの電界強度は20V/μmとした。評
価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】 表1に見られるように、正孔輸送材と電子輸送材の濃度
がそれぞれ30%以下で前記(1)式および(2)式が
満足される場合には、50msと100msでの露光部
電位の差は10V以下と小さく、充分な高速応答性が得
られていることが判る。また、これらの実施例の各感光
体では、感光層の膜厚は30μm以上であり、かつ、樹
脂バインダーの濃度はすべて46%以上となっており、
十分な耐刷性を有するものであった。
【0039】
【発明の効果】この発明によれば、導電性基体上に電荷
発生材,正孔輸送材,電子輸送材および樹脂バインダー
を含む感光層を設けてなる電子写真用正帯電型有機感光
体において、前記感光層厚さをA,感光層での正孔移動
度をμh,電子移動度をμe,使用時の感光層への入射
光の透過深さをB,感光体への帯電電圧をVとすると
き、これらが前記(1)式および(2)式を満足する感
光体とすることにより、高速応答性,長寿命の優れた感
光体が得られ、この感光体を、感光体への帯電電圧V,
感光層への入射光の透過深さBがそれぞれ前記(1)式
および(2)式を充たすように選択された画像形成プロ
セスで使用することにより、市場要求を満足する高速応
答性,長寿命を十分に充たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる感光体の概念的断面図
【符号の説明】
1 導電性基体 2 感光層 3 下引き層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 啓 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 面川 真一 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 2H003 BB11 CC01 2H068 AA19 AA20 AA28 BA13 BA37 BA38 BA43 BA64 FC02 2H076 AB02 DA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に電荷発生材,正孔輸送材,
    電子輸送材および樹脂バインダーを含む感光層を設けて
    なる電子写真用正帯電型有機感光体において、前記感光
    層の厚さをA,感光層での正孔移動度をμh ,電子移動
    度をμe ,使用時の感光層への入射光の透過深さをB,
    感光体への帯電電圧をVとするとき、下記(1)式およ
    び(2)式の関係が成立することを特徴とする電子写真
    用正帯電型有機感光体。 【数1】 (μh ×V)≧20×A2 (cm2 /s) (1) (μe ×V)≧20×AB(cm2 /s) (2)
  2. 【請求項2】感光層に含まれる正孔輸送材と電子輸送材
    の濃度がそれぞれ30重量%以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真用正帯電型有機感光体。
  3. 【請求項3】感光層の厚さAが0.003cm以上であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用
    正帯電型有機感光体。
  4. 【請求項4】導電性基体上に電荷発生材,正孔輸送材,
    電子輸送材および樹脂バインダーを含む感光層を設けて
    なる電子写真用正帯電型有機感光体であって、かつ、前
    記感光層の厚さがA,感光層での正孔移動度がμh ,電
    子移動度がμ e である感光体を用いる画像形成プロセス
    において、感光体への帯電電圧V,感光層への入射光の
    透過深さBを上記(1)式および(2)式を満足するよ
    うに選定することを特徴とする画像形成プロセス。
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JP2020020907A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体
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