JP2000147811A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP2000147811A
JP2000147811A JP31383798A JP31383798A JP2000147811A JP 2000147811 A JP2000147811 A JP 2000147811A JP 31383798 A JP31383798 A JP 31383798A JP 31383798 A JP31383798 A JP 31383798A JP 2000147811 A JP2000147811 A JP 2000147811A
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Haruo Kawakami
春雄 川上
Seizo Kitagawa
清三 北川
Hiroshi Yamaguchi
啓 山口
Shinichi Omokawa
真一 面川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】感光層の電荷発生物質に改良を加え、黒点や白
点の点状欠陥およびメモリー現象の発生を防止した電子
写真用感光体を得る。 【解決手段】導電性基体上に電荷発生物質と電荷輸送物
質と樹脂バインダを含む感光層を有する電子写真用感光
体の電荷発生物質が粒子として分散し、平均粒径が2μ
m 以下の粒度分布を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電子写真方式のプ
リンタ等に用いられる単層型電子写真用感光体に係り、
特に黒点,白点等の点状欠陥やメモリー現象のない電子
写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は導電性基体上に光導電
機能を有する感光体層を設けた構造を有する。電子写真
感光体のうち電荷の発生や輸送を担う機能成分として有
機化合物を含有する有機電子写真感光体は、電荷発生層
(CGL)、電荷輸送層(CTL)などの機能層を積層
した積層型と、これらの機能を単一層で行う単層型が知
られている。
【0003】現在多く用いられている有機電子写真用感
光体の大半は、表面を負帯電にして用いる積層型のもの
である。これに対し正帯電の有機電子写真用感光体は使
用時のオゾン発生が少なく、膜削れに対する裕度が大き
い等の特徴を有するものの一般に有機物質が負電荷を輸
送しにくいということから、機能分離した積層型は困難
であり単層型が多く用いられる。単層型は積層型に比し
て、生産性が高く、生産コストも有利てある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述のよ
うな単層型有機電子写真用感光体は、感光体として求め
られる全ての性能を必ずしも充分に満足しているわけで
はない。
【0005】特に近年みられるようなプリンタに対する
高画質化の要求に伴い、プリントされた画質の履歴が次
の画質に現れるメモリー現象や感光体の欠陥に起因する
黒点や白点の点状欠陥は極力抑制することが必要となっ
てきた。これらの不具合は材料や製造技術の改良に伴い
改善される傾向にあるが未だ不十分で生産面でも改善が
迫られていた。
【0006】この発明は上述の点に鑑みてなされその目
的は、感光層の電荷発生物質に改良を加え、黒点や白点
の点状欠陥およびメモリー現象の発生を防止した電子写
真用感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的はこの発明に
よれば導電性基体上に電荷発生物質と電荷輸送物質と樹
脂バインダを含む感光層を有する電子写真用感光体にお
いて、電荷発生物質が粒子として分散され、平均粒径が
2μm 以下であるとすることにより達成される。
【0008】上述の発明において電荷発生物質がフタロ
シアニン系化合物であり、平均粒径が0.3μm 以上の
粒度分布を示すことが有効である。図1は正帯電の単層
型電子写真用感光体を示し、(a)は下引き層のない感
光体の断面図、(b)は下引き層のある感光体の断面図
である。
【0009】正帯電の単層型電子写真用感光体は導電性
基体31上に感光層32を積層して構成される。導電性基体
31と感光層32の間には下引き層33が設けられることもあ
る。感光層は電荷輸送物質とバインダー中に電荷発生物
質が粒子として分散した構造となっている。電荷輸送物
質とバインダーが溶剤に溶解性であるのに対し電荷発生
物質は溶剤に不溶であることによる。以下の議論では、
簡単のために、下引層33を設けない場合について考察す
るが、下引層33を設けた場合も同様な議論が成立する。
【0010】感光体表面は当初、コロナ放電等により高
電圧に帯電される。次いで光照射により感光層内部に
は、プラス電荷(正孔)とマイナス電荷(電子)が発生
する。発生した電荷の一部は再結合により消滅するが、
大部分の電荷は感光層に附加された電界により光電流と
して基板、及び感光体表面へ移動して表面電荷を打ち消
す。このプロセスにより感光体表面の光照射を受けた部
分の電位が下がり、光照射を受けない部分は高電位のま
まとなり、電気的潜像が形成される。この状態で中間電
位に帯電されたトナーを感光体表面に付着させると、光
照射を受け電位が下がった部分にトナーが選択的に付着
する。このように形成されたトナー像を紙等に転写し定
着することにより印刷が完了する。
【0011】上記プロセスにおいて黒点,白点等の点状
欠陥は層内や表面の異物付着によるものの他感光層に高
電圧を付加した際に絶縁破壊による場合がある。前者は
製造工程の清浄化により対応可能であるが、後者につい
ては感光層の耐圧を高めることが必要である。発明者等
は感光層の耐圧につき鋭意検討した結果、感光層内の電
荷発生物質の粒径と感光層の耐圧が密接に関係している
ことがわかった。
【0012】図2は電荷発生物質の平均粒径をパラメー
タとする感光層の附加電圧と絶縁破壊確率(%)の関係
を示す線図である。符号21ないし27はそれぞれ電荷
発生物質の平均粒径(μm )0.2 ,0.3 ,0.5, 0.9, 1.
5, 2.2, 3.0 に対応する。
【0013】図3は50%絶縁破壊電圧(V)とCG平均
粒径(電荷発生物質平均粒径)の関係を示す線図であ
る。平均粒径の異なる電荷発生物質を用いる感光層10
サンプルに対して附加電圧を段階的に上げてゆき各電圧
での絶縁破壊確率を求めたものである。電荷発生物質の
粒径が小さくなるにつれ絶縁破壊電圧は高くなるが平均
粒径が2μm 以下になると変化が小さくなり、特に1μ
m 以下では粒径との相関はなくなり飽和する。
【0014】これは次のように考えられる。即ち、電荷
発生物質の粒径が大きい場合には電荷発生物質がある程
度の導電性を有しているために実効的に感光層の膜厚が
減少すること、および局所的な電荷の集中が起こり易く
なり絶縁破壊の確率が高くなる。これに対し電荷発生物
質の粒径が小さくなると上述した効果がなくなり樹脂バ
インダによる感光層本来の絶縁耐圧が得られる。
【0015】一方、メモリー現象は電荷発生物質に光が
照射されて発生した電荷が基板や感光体の表面に移動す
る際に感光層内の捕獲準位によりトラップされ空間電荷
として残留することにより次の画像が影響を受けるもの
である。特に正帯電型の感光体の場合には一般に電子の
移動度が低いためにトラップされやすい。対策としては
電荷、特に電子の移動を速やかにし、空間電荷の残留を
抑制することが有効である。電荷発生物質としてフタロ
シアニン系の化合物を用いる場合はフタロシアニン系化
合物が電子輸送能力を有するためにメモリー現象はフタ
ロシアニン系化合物の粒度や分散状態により大きな影響
を受ける。
【0016】図4は電荷発生物質の平均粒径とメモリー
(相対評価)の関係を示す線図である。メモリー(相対
評価)は5段階評価とし、数値が大きい程メモリーは低
減していることを示す。4以上が使用可能レベルであ
る。平均粒径が大きくなるとメモリー現象は軽減される
ことがわかる。粒径が小さくなると、フタロシアニン系
化合物の粒子と電子輸送能力のないハインダ樹脂等との
界面が増え、電子がトラップされる確率が増えるのに対
し、フタロシアニン系化合物の粒径が大きい場合には上
述の界面が減少して電子がトラップされる確率が減るた
めである。粒径が300nm 以上になるとメモリー現象は殆
どなくなる。電荷発生物質の粒度は塗液作製時の分散条
件(時間,ポット回転数)により容易に制御される。
【0017】
【発明の実施の形態】導電性基体は、各種金属(アルミ
ニウム等)製円筒や導電性プラスチック製フィルム等を
用いることができる。また透明基板としてガラスやアク
リル,ポリアミド,ポリエチレンテレフタレート等の成
形体やシート物質等に、透明電極を付与したものを用い
ることができる。
【0018】下引層の高分子分散皮膜の物質としてはカ
ゼイン,ポリビニルアルコール,ポリビニルアセター
ル,ナイロン,メラミン,セルロースなどの絶縁性高分
子あるいはポリチオフェン,ポリピロール,ポリアニリ
ンなどの導電性高分子、あるいはこれら高分子に二酸化
チタン,酸化亜鉛等の金属酸化物粉末を含有せしめたも
のを用いることができる。あるいは導電性基体の表面を
アルマイト化したものあるいは樹脂皮膜などにより基体
に表面修飾を施したものを下引き層として用いることが
できる。
【0019】感光層は主として電荷発生物質、電荷輸送
物質、樹脂バインダーより構成される。電荷発生物質と
しては、各種フタロシアニン化合物,アゾ化合物,多環
キノン化合物およびこれらの誘導体を用いることができ
る。
【0020】電荷輸送物質としては、正孔輸送物質とし
て各種ヒドラゾン,スチリル,ジアミン,ブタジエン,
インド−ル化合物、及びこれらの混合物がある。また電
子輸送物質としては各種ベンゾキノン誘導体,フェナン
トレンキノン誘導体,スチルベンキノン誘導体等があ
る。
【0021】感光層のバインダーとしては、膜強度なら
びに耐刷性面でポリカーボネートが最も優れた物質系と
して広く実用に供されている。該ポリカーボネートとし
てはビスフェノ−ルA型,ビスフェノ−ルZ型等および
各種共重合体が挙げられる。かかるポリカーボネート樹
脂の最適平均分子量範囲は1万〜10万である。この他
にはポリエチレン,ポリフェニレンエーテル,アクリ
ル,ポリエステル,ポリアミド,ポリウレタン,エポキ
シ,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタール,フ
ェノキシ樹脂,シリコーン樹脂,アクリル樹脂,塩化ビ
ニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂,酢酸ビニル樹脂,ホル
マール樹脂,セルロース樹脂,またはこれらの共重合体
およびこれらのハロゲン化物,シアノエチル化合物を用
いることができる。
【0022】
【実施例】実施例1 導電性基体は、アルミニウム合金(JIS3003) の円筒基体
を用いた。電荷発生層の電荷発生物質は無金属フタロシ
アニン(結晶形χ型)を濃度1.2 %,電荷発生物質は、
化学式(1)に示すジスチリル化合物を濃度30%,電子
輸送物質は化学式(2)に示すスチルベンキノン系化合
物を濃度10%,酸化防止剤は濃度5 %,樹脂バインダ−
はビスフェノ−ルZ型ポリカ−ボネ−ト(テイジン
(株)製 TS2050)を残部にして感光体を作製した。上述
した各物質と塩化メチレンを分散機を用いて混合、分散
し、得られた塗液をディップ法により基体上に塗布して
感光層を形成した。電荷発生物質の粒度は分散条件によ
り調節できるが本実施例では平均粒径0.25μm とした。
粒度の測定は超微粒子粒度分析計(日機装(株)製B1-
90)によった。感光層内の電荷発生物質の粒度は塗液中
よりも若干大きくなるが透過電子顕微鏡等の観察結果に
よれば0.3 μm であり、ほぼ塗液中の粒度分布と同等で
あった。感光層の膜厚は25μm である。
【0023】導電性基体表面は切削加工により、表面粗
さをRaで 0.1μm 以下に仕上げたものを用いた。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】 感光体の特性評価は帯電機構(スコロトロン方式)、露
光機構、転写機構(接触ローラー方法)、を備えたレー
ザビームプリンタに上述した感光体を搭載し、常温常湿
(20℃,5%相対湿度)の雰囲気下で実施した。露光光源
は波長780nmで1 μJ /cm2 の単色レーザ光を用い
た。初期帯電電圧を600 Vに設定した。 実施例2 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を0.5 μm とする
他は全て実施例1と同様にして感光体を作製した。 実施例3 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を0.9 μm とする
他は全て実施例1と同様にして感光体を作製した。 実施例4 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を1.5 μm とする
他は全て実施例1と同様にして感光体を作製した。 実施例5 電荷発生物質をチタニルフタロシアニン(結晶型Y型)
とする他は全て実施例1と同様にして感光体を作製し
た。 比較例1 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を0.2 μm とする
他はすべて実施例1と同様にして感光体を作製した。 比較例2 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を2.2 μm とする
他はすべて実施例1と同様にして感光体を作製した。 比較例3 感光層内での電荷発生物質の平均粒径を3.0 μm とする
他はすべて実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0026】上述した実施例1ないし実施例5、及び比
較例1ないし比較例3で得られた感光体を用いて50%絶
縁破壊電圧およびメモリーの相対評価を求めた。結果が
表1に示される。
【0027】
【表1】 電荷発生物質の平均粒径が0.3 μm ないし2 μm の範囲
ではメモリーや点状欠陥が抑制され、良好な画像が得ら
れることがわかった。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば導電性基体上に電荷発
生物質と電荷輸送物質と樹脂バインダを含む感光層を有
する電子写真用感光体において、電荷発生物質が粒子と
して分散され、平均粒径が2μm 以下であるので、電荷
発生物質の粒径が充分小さくなり樹脂バインダによる感
光層本来の絶縁耐圧が得られて、点状欠陥のない電子写
真用感光体が得られる。
【0029】また上述の発明において電荷発生物質がフ
タロシアニン系化合物であり、平均粒径が0.3μm 以
上の粒度分布を示すので、フタロシアニン系化合物の粒
径が充分大きくなり電荷発生物質と樹脂バインダの界面
が減少して電子がトラップされる確率が減り、その結果
メモリー現象のない電子写真用感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正帯電の単層型電子写真用感光体を示し、
(a)は下引き層のない感光体の断面図、(b)は下引
き層のある感光体の断面図
【図2】電荷発生物質の平均粒径をパラメータとする感
光層の附加電圧と絶縁破壊確率(%)の関係を示す線図
【図3】50%絶縁破壊電圧(V)とCG平均粒径(電荷
発生物質平均粒径)の関係を示す線図
【図4】電荷発生物質の平均粒径とメモリー(相対評
価)の関係を示す線図
【符号の説明】
31 導電性基体 32 感光層 33 下引層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 啓 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 面川 真一 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA19 AA20 AA31 BA38 FA05 FA11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に電荷発生物質と電荷輸送物
    質と樹脂バインダを含む感光層を有する電子写真用感光
    体において、電荷発生物質が粒子として分散され、平均
    粒径が2μm 以下であることを特徴とする電子写真用感
    光体。
  2. 【請求項2】電荷発生物質がフタロシアニン系化合物で
    あり、平均粒径が0.3μm 以上の粒度分布である請求
    項1に記載の電子写真用感光体。
JP31383798A 1998-11-05 1998-11-05 電子写真用感光体 Withdrawn JP2000147811A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6984479B2 (en) 2001-04-27 2006-01-10 Fuji Electric Imaging Device Co., Ltd. Electrophotographic photoconductor and manufacturing method therefore
US9921499B2 (en) 2015-10-28 2018-03-20 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, electrophotographic apparatus, and phthalocyanine pigment

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6984479B2 (en) 2001-04-27 2006-01-10 Fuji Electric Imaging Device Co., Ltd. Electrophotographic photoconductor and manufacturing method therefore
US9921499B2 (en) 2015-10-28 2018-03-20 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, electrophotographic apparatus, and phthalocyanine pigment

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