JP2020017388A - 点火プラグ - Google Patents

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JP2020017388A
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裕貴 徳丸
Hirotaka Tokumaru
裕貴 徳丸
佑典 川嶋
Yusuke Kawashima
佑典 川嶋
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Abstract

【課題】主体金具の意図しない部分で放電が生じることを抑制する。【解決手段】点火プラグは、絶縁体と筒状の主体金具と中心電極とを備えている。絶縁体は、軸線の方向に延びる貫通孔と、段部と、を有している。主体金具は、段部を支持する支持部を有している。また、絶縁体は、段部よりも先端側に配置される溝を全周に亘って形成している。ここで、主体金具の先端の軸線の方向の位置は、溝の軸線の方向の範囲内である。これに代えて、溝における先端側の第1角部と主体金具との間の最短距離をL1とし、溝の第1角部と第2角部との間の最短距離をL2とし、第1角部から溝における後端側の第2角部までの絶縁体の表面を通る経路の距離をL3とする場合に、L1/L2≦7/3、かつ、L1/L3≦1.5であってよい。【選択図】 図1

Description

本明細書は、点火プラグに関する。
従来から、燃料を燃焼させる装置(例えば、内燃機関)における点火に、点火プラグが用いられている。点火プラグとしては、軸線の方向に延びる貫通孔を有する筒状の絶縁体と、絶縁体の外周に配置される筒状の主体金具と、貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、主体金具に接続されるとともに中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、を備える点火プラグが、利用されている。
特開平9−219273号公報
ところで、近年、エンジンの性能の向上のために、点火プラグの動作条件が厳しくなっている。例えば、燃焼室内のガスの圧力は高くなり、燃焼室内のガスの温度は高くなり、そして、燃焼室内のガスの流速は速くなっている。このような厳しい条件下では、放電が生じにくくなる場合があり、さらに、点火プラグの意図しない部分、例えば、主体金具の意図しない部分で、放電が生じる場合がある。意図しない部分での放電は、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、意図しない部分が消耗する場合あった。また、着火性能が低下する場合があった。
本明細書は、主体金具の意図しない部分で放電が生じることを抑制できる技術を開示する。
本明細書は、例えば、以下の適用例を開示する。
[適用例1]
軸線の方向に延びる貫通孔と、先端側に向かって外径が小さくなる段部と、を有する筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置され、先端側に向かって内径が小さくなる部分であるとともに前記段部を直接的又は間接的に支持する支持部を有する、筒状の主体金具と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、
前記主体金具に接続されるとともに前記中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
を備える点火プラグであって、
前記絶縁体は、前記段部よりも先端側に配置されるとともに径方向の内側に向かって凹む溝を全周に亘って形成し、
前記溝における先端側の開口端に形成された角部である第1角部と前記主体金具との間の最短距離をL1とし、
前記溝の前記第1角部と前記第2角部との間の最短距離をL2とし、
前記第1角部から前記溝における後端側の開口端に形成された角部である第2角部までの前記絶縁体の表面を通る経路の距離をL3とする場合に、
L1/L2≦7/3、かつ、L1/L3≦1.5である、
点火プラグ。
この構成によれば、仮に中心電極と主体金具とを通る放電が生じる場合に、絶縁体の表面のうち溝よりも後端側の部分を通る放電が抑制されるので、主体金具の支持部で放電が生じることを、抑制できる。
[適用例2]
軸線の方向に延びる貫通孔と、先端側に向かって外径が小さくなる段部と、を有する筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置され、先端側に向かって内径が小さくなる部分であるとともに前記段部を直接的又は間接的に支持する支持部を有する、筒状の主体金具と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、
前記主体金具に接続されるとともに前記中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
を備える点火プラグであって、
前記絶縁体は、前記段部よりも先端側に配置されるとともに径方向の内側に向かって凹む溝を全周に亘って形成し、
前記主体金具の先端の前記軸線の方向の位置である金具先端位置は、前記溝の前記軸線の方向の範囲内である、
点火プラグ。
この構成によれば、仮に中心電極と主体金具とを通る放電が生じる場合に、絶縁体の表面のうち溝よりも後端側の部分を通る放電が抑制されるので、主体金具の支持部で放電が生じることを、抑制できる。
[適用例3]
適用例1または2に記載の点火プラグであって、
前記第1角部の前記軸線の方向の位置は、前記主体金具の先端の前記軸線の方向の位置よりも先端側に位置している、
点火プラグ。
この構成によれば、仮に主体金具と絶縁体の溝の第1角部とを通る放電が生じる場合に、その放電が、主体金具の先端よりも後端側を通ることが抑制されるので、放電によって生じる火炎は、主体金具の先端よりも先端側で、容易に拡がることができる。
[適用例4]
適用例1から3のいずれかに記載の点火プラグであって、
前記主体金具は、前記主体金具の前記先端を形成するとともに径方向の内側に張り出す張出部を備える、
点火プラグ。
この構成によれば、仮に絶縁体の表面と主体金具とを通る放電が生じる場合に、放電は、主体金具の支持部ではなく張出部で、生じ易い。このように、主体金具の支持部で放電が生じることを、抑制できる。
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、点火プラグや点火プラグを用いた点火装置、その点火プラグを搭載する内燃機関や、その点火プラグを用いた点火装置を搭載する内燃機関等の態様で実現することができる。
一実施形態としての点火プラグ100の断面図である。 (A)は、点火プラグ100の部分断面図である。(B)は、点火プラグの部分断面図である。 (A)は、モデルの構成と評価結果との対応関係を示す表TB1である。(B)は、モデルの構成と評価結果との対応関係を示す表TB2である。 第2実施形態の点火プラグ100aの軸線CLを含む部分断面図である。
A.第1実施形態:
A1.点火プラグの構成:
図1は、一実施形態としての点火プラグ100の断面図である。図中には、点火プラグ100の中心軸CL(「軸線CL」とも呼ぶ)と、点火プラグ100の中心軸CLを含む平らな断面と、が示されている。以下、中心軸CLに平行な方向を「軸線CLの方向」、または、単に「軸線方向」とも呼ぶ。軸線CLを中心とする円の径方向を「径方向」とも呼ぶ。径方向は、軸線CLに垂直な方向である。軸線CLを中心とする円の円周方向を、「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLに平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向Df、または、前方向Dfと呼び、上方向を後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ。先端方向Dfは、後述する端子金具40から中心電極20に向かう方向である。また、図1における先端方向Df側を点火プラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向Dfr側を点火プラグ100の後端側と呼ぶ。
点火プラグ100は、軸線CLに沿って延びる貫通孔12(軸孔12とも呼ぶ)を有する筒状の絶縁体10と、貫通孔12の先端側で保持される中心電極20と、貫通孔12の後端側で保持される端子金具40と、貫通孔12内で中心電極20と端子金具40との間に配置された抵抗体73と、中心電極20と抵抗体73とに接触してこれらの部材20、73を電気的に接続する導電性の第1シール部72と、抵抗体73と端子金具40とに接触してこれらの部材73、40を電気的に接続する導電性の第2シール部74と、絶縁体10の外周側に固定された筒状の主体金具50と、一端が主体金具50の環状の先端面55に接合されるとともに他端が中心電極20と放電ギャップgを介して対向するように配置された接地電極30と、を有している。
絶縁体10の前方向Df側の部分には、縮内径部11と縮外径部16とが、形成されている。縮内径部11の内径は、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなっている。縮外径部16の外径は、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなっている(以下、縮外径部16を、段部16とも呼ぶ)。縮外径部16の前方向Df側には、脚部19が接続されている。脚部19は、絶縁体10の先端を含む部分である。絶縁体10のうち段部16よりも後方向Dfr側の部分には、縮外径部18が形成されている。縮外径部18の外径は、後方向Dfrに向かって、徐々に小さくなっている。絶縁体10は、機械的強度と、熱的強度と、電気的強度とを考慮して形成されることが好ましく、例えば、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。
絶縁体10の脚部19は、溝300を形成している。溝300は、脚部19の外周面上に設けられており、径方向の内側に向かって凹んでいる。溝300は、軸線CLを囲む全周に亘って形成された、環状の溝である。溝300は、縮外径部16よりも前方向Df側に配置されている。
また、絶縁体10の脚部19は、絶縁張出部400を有している。絶縁張出部400は、溝300の前方向Df側の部分であり、絶縁体10の先端を形成する部分である。絶縁張出部400は、径方向の外側に向かって張り出している。
中心電極20は、金属製の部材であり、絶縁体10の貫通孔12内の前方向Df側の端部に配置されている。中心電極20は、略円柱状の棒部28と、棒部28の先端に接合(例えば、レーザ溶接)された第1チップ29と、を有している。棒部28は、後方向Dfr側の部分である頭部24と、頭部24の前方向Df側に接続された軸部27と、を有している。軸部27の形状は、軸線CLに平行に前方向Dfに向かって延びる略円柱状である。頭部24のうちの前方向Df側の部分は、軸部27の外径よりも大きな外径を有する鍔部23を形成している。鍔部23の前方向Df側の面は、絶縁体10の縮内径部11によって、支持されている。軸部27は、鍔部23の前方向Df側に接続されている。第1チップ29は、軸部27の前方向Df側の端に接合されている。
棒部28は、外層21と、外層21の内周側に配置された芯部22と、を有している。外層21は、芯部22よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。ここで、主成分は、含有率(質量パーセント(wt%))が最も高い成分を意味している。芯部22は、外層21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。第1チップ29は、棒部28の外層21に接合されている。棒部28(本実施形態では、外層21)は、第1チップ29が接合される母材の例である。第1チップ29は、軸部27よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属)を用いて形成されている。中心電極20のうち第1チップ29を含む前方向Df側の一部分は、絶縁体10の軸孔12から前方向Df側に露出している。中心電極20のうち後方向Dfr側の一部分は、軸孔12内に配置されている。このように、中心電極20の一部は、貫通孔12内に挿入されている。なお、第1チップ29は、省略されてよい。また、芯部22は、省略されてもよい。
端子金具40は、軸線CLに平行に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性材料を用いて形成されている(例えば、鉄を主成分として含む金属)。端子金具40のうちの前方向Df側の棒状の部分41は、絶縁体10の軸孔12の後方向Dfr側の部分に挿入されている。
絶縁体10の貫通孔12内の抵抗体73は、電気的なノイズを抑制するための部材である。抵抗体73は、例えば、ガラスと導電性材料(例えば、炭素粒子)とセラミック粒子との混合物を用いて形成されている。シール部72、74は、導電性材料(例えば、銅や鉄などの金属粒子)とガラスとの混合物を用いて形成されている。中心電極20は、第1シール部72、抵抗体73、第2シール部74によって、端子金具40に電気的に接続されている。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びる貫通孔59を有する筒状の部材である。本実施形態では、主体金具50の中心軸は、軸線CLと同じである。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50は、導電材料(例えば、主成分である鉄を含む炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。絶縁体10の前方向Df側の一部は、貫通孔59の外に露出している。また、絶縁体10の後方向Dfr側の一部は、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、工具係合部51と、中胴部54と、先端側胴部52と、を有している。工具係合部51は、点火プラグ用のレンチ(図示せず)が嵌合する部分である。中胴部54は、工具係合部51よりも前方向Df側に配置され、径方向外側に張り出したフランジ状の部分である。中胴部54の前方向Df側の面54fは、座面であり、内燃機関のうちの取付孔を形成する部分である取り付け部(例えば、エンジンヘッド)とのシールを形成する。先端側胴部52は、中胴部54の前方向Df側に接続された部分であり、主体金具50の先端面55を含む部分である。先端側胴部52の外周面には、図示しない内燃機関の取付孔に螺合するための雄ねじが形成された部分であるネジ部57が設けられている。
主体金具50の先端側胴部52には、径方向の内側に向かって張り出した支持部56が形成されている。支持部56の後方向Dfr側の面56r(後面56rとも呼ぶ)では、内径が、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなる。支持部56の後面56rと、絶縁体10の縮外径部16と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。支持部56は、パッキン8を介して間接的に、絶縁体10の段部16を支持している。
主体金具50の先端部には、主体金具50の先端(ここでは、先端面55)を形成するとともに、径方向の内側に張り出している部分である金具張出部200が、設けられている。
主体金具50の工具係合部51より後端側には、主体金具50の後端を形成するとともに工具係合部51と比べて薄肉の部分である後端部53が形成されている。また、中胴部54と工具係合部51との間には、中胴部54と工具係合部51とを接続する接続部58が形成されている。接続部58の肉厚は、中胴部54と工具係合部51とのそれぞれの肉厚と比べて、薄い。主体金具50の工具係合部51から後端部53にかけての内周面と、絶縁体10の縮外径部18の後方向Dfr側の部分の外周面との間には、円環状のリング部材61、62が挿入されている。さらに、これらのリング部材61、62の間には、タルク70の粉末が充填されている。点火プラグ100の製造工程において、後端部53が内側に折り曲げられて加締められると、接続部58が力の付加に伴って変形し、この結果、主体金具50と絶縁体10とが固定される。タルク70は、この加締め工程の際に圧縮され、主体金具50と絶縁体10との間の気密性が高められる。また、パッキン8は、絶縁体10の縮外径部16と主体金具50の支持部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。
接地電極30は、金属製の部材であり、棒状の本体部37を有している。本体部37の端部33(基端部33とも呼ぶ)は、主体金具50の先端面55に接合されている(例えば、抵抗溶接)。本体部37は、主体金具50に接合された基端部33から先端方向Dfに向かって延び、中心軸CLに向かって曲がり、軸線CLに交差する方向に延びて、先端部34に至る。先端部34の後方向Dfr側の面には、第2チップ39が接合されている(例えば、抵抗溶接)。接地電極30の第2チップ39と、中心電極20の第1チップ29とは、放電ギャップgを形成している。すなわち、接地電極30の第2チップ39は、中心電極20の第1チップ29の前方向Df側に配置されており、第1チップ29とギャップgを介して対向している。
本体部37は、外層31と、外層31の内周側に配置された内層32と、を有している。外層31は、内層32よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。内層32は、外層31よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。第2チップ39は、本体部37の外層31に接合されている。本体部37(本実施形態では、外層31)は、第2チップ39が接合される母材の例である。なお、第2チップ39は、省略されてよい。また、内層32は、省略されてもよい。
図2(A)は、点火プラグ100の前方向Df側の一部分の軸線CLを含む部分断面図である。この部分断面図では、接地電極30の内部構成の図示と、中心電極20の内部構成の図示と、が省略されている。図示するように、絶縁体10の絶縁張出部400は、先端面410と、側面420と、後面430と、第1角部C1と、を形成している。先端面410は、絶縁体10の先端である。側面420は、絶縁体10の先端(ここでは、先端面410)の外周側に接続されるとともに、後方向Dfr側に向かって延びる外面である。後面430は、側面420の後方向Dfr側に接続されるとともに、内周側に向かって延びる外面である。第1角部C1は、側面420と後面430との接続部分である。主体金具50の部分220は、主体金具50のうち、第1角部C1に最も近い部分である(最近部分220とも呼ぶ)。
本実施形態では、端子金具40(図1)と主体金具50との間に、放電のための高電圧が印加される。これにより、中心電極20と接地電極30との間のギャップgで、放電が生じる。図中の第1経路510は、適切な放電経路の例である。第1経路510は、中心電極20の第1チップ29と、接地電極30の第2チップ39とを結んでいる。このように、適切な放電経路(ここでは、中心電極20と接地電極30とを結ぶ放電経路)を、第1種経路とも呼ぶ。
点火プラグの動作条件が厳しい場合、例えば、燃焼室内のガスの圧力が高く、燃焼室内のガスの温度が高く、そして、燃焼室内のガスの流速が速い場合、放電が生じにくくなり得る。そして、適切な第1種経路とは異なる経路で、放電が生じ得る。例えば、放電は、接地電極30を通らずに、中心電極20と主体金具50とを結ぶ経路に沿って生じ得る。太線で示された第2経路520は、中心電極20と主体金具50とを結ぶ経路の例である。このように、接地電極30を通らずに、中心電極20と主体金具50とを結ぶ経路を、第2種経路とも呼ぶ。
第2経路520は、中心電極20の側面20s上のうちの絶縁体10の先端面410に最も近い部分20dから、絶縁体10の先端面410上と側面420上とを通って第1角部C1に至る。そして、第2経路520は、絶縁体10の第1角部C1から、第1角部C1と主体金具50との間の隙間を通って、主体金具50の最近部分220へ至る。上述したように、主体金具50は、絶縁体10の外周側に配置されている。従って、第2経路520は、絶縁体10の表面から、外周側に向かって延びる。また、絶縁体10の第1角部C1の後方向Dfr側には、内周側へ凹む溝300が設けられている。従って、放電経路が、絶縁体10の外周面上のうち、第1角部C1から内周側の部分、すなわち、第1角部C1から後方向Dfr側の部分を通ることは、抑制される。
図2(B)は、図2(A)の断面図のうちの溝300と主体金具50の先端面55とを含む一部分を拡大して示す部分断面図である。図中の右部には、主体金具50の金具張出部200の一部分が示されている。金具張出部200の内周面200iと先端面55との接続部分210は、面取りされている。本実施形態では、最近部分220は、金具張出部200の内周面200i(接続部分210を除く)上の最も前方向Df側の部分である。
図中の左部には、絶縁体10のうちの溝300を形成する一部分が示されている。溝300の開口390は、外周側(図2(B)では、右側)を向いている。底面310は、溝300を形成する外面のうちの内周側の部分である。底面310は、後面430の内周側に接続されるとともに、後方向Dfr側に向かって延びている。面320は、溝300における前方向Df側を向く面である。面320は、後面430に対向している(対向面320とも呼ぶ)。対向面320は、底面310の後方向Dfr側に接続されるとともに、外周側に向かって延びている。外周面13は、脚部19のうちの段部16(図2(A))と溝300との間の部分の外周面である。外周面13は、対向面320の外周側に接続されるとともに、後方向Dfr側に向かって延びている。第2角部C2は、対向面320と外周面13との接続部分である。溝300の開口390は、2個の角部C1、C2に挟まれている。すなわち、角部C1、C2は、開口390の端である開口端を形成している。第1角部C1は、溝300における前方向Df側の開口端に形成された角部である。第2角部C2は、溝300における後方向Dfr側の開口端に形成された角部である。なお、角部C1、C2は、それぞれ、丸められ得る。
第1角部C1は、以下のように特定される。図2(B)中の断面上において、側面420の直線部分421は、側面420を示す線の直線部分のうちの後面430に最も近い部分である。第1仮想直線L11は、この直線部分421を延長して得られる直線である。後面430の直線部分431は、図中の断面上における後面430を示す線の直線部分のうちの側面420に最も近い部分である。第2仮想直線L12は、この直線部分431を延長して得られる直線である。交点Piは、これらの仮想直線L11、L12の交点である。第1部分CP1は、絶縁張出部400の外面のうち側面420から後面430までの連続な部分である。第1角部C1は、図中の断面上において、第1部分CP1を示す線上における交点Piに最も近い部分である。
第2角部C2は、以下のように特定される。図中の断面上において、第3仮想直線L13は、第1角部C1を通り、軸線CLに平行な直線である。図中の第2部分CP2は、絶縁体10の外面のうち対向面320から外周面13までの連続な部分である。第2角部C2は、図中の断面上において、第2部分CP2を示す線と第3仮想直線L13とが互いに接する部分のうちの最も前方向Df側に位置する部分である。第3仮想直線L13が第2部分CP2を示す線と交わる場合、第2角部C2は、第3仮想直線L13と第2部分CP2を示す線との交点である。
図中の範囲R300は、溝300の軸線CLに平行な方向の範囲である。この範囲R300は、第1角部C1の軸線CLに平行な方向の位置PC1から、第2角部C2の軸線CLに平行な方向の位置PC2までの、範囲である。主体金具50の先端(ここでは、先端面55)の軸線CLに平行な方向の位置P55は、この範囲R300内である(範囲R300は、位置PC1、PC2を含む)。このように、主体金具50の先端面55は、第1角部C1よりも前方向Df側には配置されず、第1角部C1から後方向Dfr側に配置されている。図2(A)で説明したように、第2経路520は、主体金具50の先端面55の近傍に位置する最近部分220と、絶縁体10の第1角部C1と、の間の隙間を通る。最近部分220の軸線CLに平行な方向の位置P220は、先端面55の位置P55と同じ、または、位置P55よりも後方向Dfr側に位置する。すなわち、最近部分220の位置P220は、第1角部C1の位置PC1と同じ、または、位置PC1よりも後方向Dfr側に位置する。
仮に適切な第1種経路で放電が生じない場合、放電は、中心電極20と主体金具50との間で生じ得る。このような放電の経路は、中心電極20から絶縁体10の先端部の外面上を通って、第1角部C1へ至る。主体金具50の先端(ここでは、先端面55)の軸線CLに平行な方向の位置は、範囲R300内である。従って、放電経路は、第1角部C1から溝300の中へは延びずに、第1角部C1と主体金具50との間の隙間を通って、最近部分220へ至る。このように、絶縁体10の表面のうち溝300から後方向Dfr側の部分を通る放電は抑制される。また、放電は、第2経路520で、生じ易い。本実施形態では、仮に適切な第1種経路で放電しない場合には、第2経路520で放電が生じることが、想定されている。
図2(A)、図2(B)に示すように、第2経路520は、最近部分220に位置する一端から前方向Df側に位置している。また、第2経路520は、絶縁体10の外面のうち絶縁張出部400の後方向Dfr側に隠れる部分(具体的には、溝300の内部)を通り難い。従って、第2経路520を通る放電によって生じた火炎は、点火プラグ100の前方向Df側、すなわち、図示しない燃焼室側へ、容易に拡がることができる。これらの結果、適切な第1種経路で放電が生じない場合には、第2経路520で放電が生じることによって、点火プラグ100の着火性能の低下は、抑制される。また、放電経路に沿って生じる火炎が主体金具50の先端側胴部52の内周側に拡がることは、抑制される。この結果、絶縁体10(特に、段部16よりも前方向Df側の部分)の過度の昇温は、抑制される。そして、高温の絶縁体10に起因する意図しない点火(プレイグニションとも呼ばれる)が抑制される。
また、主体金具50の先端面55は、第2角部C2よりも後方向Dfr側には配置されずに、第2角部C2から前方向Df側に配置されている。従って、絶縁体10の表面のうちの第2角部C2よりも後方向Dfr側の部分を通る放電は、抑制される。仮に、放電が、絶縁体10の表面上の第2角部C2よりも後方向Dfr側の部分を通ると仮定する。この場合、図2(A)に示す部分経路530を含む放電経路に沿って、放電が、生じ得る。この部分経路530は、絶縁体10の表面上の第2角部C2から主体金具50の支持部56の近傍に至る。そして、部分経路530は、絶縁体10の表面から、主体金具50の支持部56へ、到達する。放電が支持部56を通る場合、支持部56が消耗する。支持部56の消耗は、絶縁体10の段部16と主体金具50の支持部56との間の気密性を低下させ得る。本実施形態では、部分経路530を通る放電は抑制される。従って、放電に起因する支持部56の消耗も、抑制される。また、放電によって生じる火炎が主体金具50の先端側胴部52の内周側に拡がることは、抑制される。この結果、絶縁体10(特に、段部16よりも前方向Df側の部分)の過度の昇温は、抑制される。
また、第1角部C1の軸線CLに平行な方向の位置PC1は、主体金具50の先端(ここでは、先端面55)の軸線CLに平行な方向の位置P55よりも前方向Df側に位置している。従って、上述したように、放電経路が、主体金具50の先端よりも後方向Dfr側を通ることは抑制される。この結果、放電によって生じる火炎は、主体金具50の先端(ここでは先端面55)よりも前方向Df側で、容易に拡がることができる。
また、図2(A)に示すように、第2経路520は、絶縁体10の外面のうち、溝300の中(すなわち、絶縁張出部400の後方向Dfr側に隠れる部分)を通り難く、溝300よりも前方向Df側の部分を通り易い。以上により、仮に第2経路520を通る放電が生じる場合であっても、火炎は、点火プラグ100の前方向Df側、すなわち、図示しない燃焼室側へ、容易に拡がることができる。
これらの結果、第2種経路で放電が生じる場合であっても、点火プラグ100の着火性能の低下が抑制される。また、第2種経路に沿って生じる火炎が主体金具50の先端側胴部52の内周側に拡がることは、抑制される。この結果、絶縁体10(特に、段部16よりも前方向Df側の部分)の過度の昇温は、抑制される。そして、高温の絶縁体10に起因する意図しない点火が抑制される。
また、主体金具50は、主体金具50の先端(ここでは、先端面55)を形成するとともに内周側に張り出す金具張出部200を備えている。これにより、主体金具50の先端を含む金具張出部200と、絶縁体10の外周面と、の間の距離が、小さくなる。従って、第2種経路で放電が生じる場合であっても、放電経路が、主体金具50の先端面55の近傍に位置する最近部分220よりも後方向Dfr側を通ることは抑制される。この結果、点火プラグ100の着火性能の低下は、抑制される。
なお、絶縁体10の製造方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、成形型を用いて未焼成の成形体を成形し、そして、その成形体を焼成することによって、絶縁体10が製造されてよい。ここで、未焼成の成形体を切削することによって、溝300に対応する溝が形成されてもよい。点火プラグ100の他の部分の製造方法としては、公知の方法を採用してよい。
A2.評価結果:
次に、シミュレーションを用いた評価結果について説明する。シミュレーションでは、図2(B)に示す長L1、L2、L3を用いて表される比率R1(L1/L3)、R2(L1/L2)の好ましい範囲が、評価された。第1長L1は、第1角部C1と最近部分220との間の最短距離である。第2長L2は、第1角部C1と第2角部C2との間の最短距離である。溝300の表面上に太い点線で示された経路590は、図中の断面上における第1角部C1から第2角部C2までの絶縁体10の表面を通る経路である。第3長L3は、この経路590の長さである。
図3(A)、図3(B)は、点火プラグのモデルの構成と評価結果との対応関係を示す表TB1、TB2である。図3(A)の第1表TB1は、点火プラグのモデル番号と、第1長L1と、第3長L3と、第1比率R1(L1/L3)と、第1評価結果RSaと、の対応関係を示している。図3(B)の第2表TB2は、点火プラグのモデル番号と、第1長L1と、第2長L2と、第2比率R2(L1/L2)と、第2評価結果RSbと、の対応関係を示している。これらの評価結果RSa、RSbは、シミュレーションを用いた評価結果を示している。シミュレーションでは、図1、図2(A)のような点火プラグの断面構成を有する二次元のモデルが、準備された。ここで、接地電極30は、省略された。そして、準備されたモデルが0.7MPaの空気中に配置されているという条件下で、モデルの中心電極20と主体金具50とに電圧を印加する場合の電位分布が、二次元の有限要素法によって、算出された。そして、電位分布に基づいて、図2(A)の第2経路520を通る放電と、部分経路530を通る放電と、のいずれが生じ易いかが、評価された。このシミュレーションでは、仮に適切な第1種経路(例えば、第1経路510)ではなく、第2種経路で放電が生じる場合の放電経路が、評価された。このシミュレーションは、アンシス社のシミュレーションソフトウェアであるANSYS Workbenchを用いて、行われた。各表TB1、TB2において、「A」の評価結果RSa、RSbは、第2経路520を通る放電が生じ易いことを示している。「B」の評価結果RSa、RSbは、部分経路530を通る放電が生じ易いことを示している。
図3(A)の第1表TB1は、1番から6番の6個のモデルの第1評価結果RSaを示している。1番から6番のそれぞれの第1長L1は、1.8、1.75、1.6、1.5、1.4、1(mm)である。以下のパラメータは、6個のモデルに共通である。具体的には、第3長L3は、1mmである。第2長L2は、0.6mmである。絶縁体10の脚部19の軸線CLに平行な方向の長さは、15mmである。溝300の底面310での径方向の肉厚は、1mmである。なお、第1長L1の調整は、主体金具50の先端面55の軸線CLに平行な方向の位置P55を調整することによって、行われた。
第1表TB1に示すように、第1比率R1が1.5以下であるモデル(4番、5番、6番)の評価結果RSaは、「A」であった。第1比率R1が1.6以上であるモデル(1番、2番、3番)の評価結果RSaは、「B」であった。第1比率R1が1.6以上である場合、第1角部C1(図2(B))から経路590を通って第2角部C2へ至り、そして、部分経路530(図2(A))を通る経路での放電が、生じ易かった。このように、第1比率R1(L1/L3)が1.5以下である場合に、主体金具50の支持部56を通る放電が、抑制された。
A評価を実現した4番、5番、6番の第1比率R1は、1.5、1.4、1であった。第1比率R1の好ましい範囲を、これら3個の値を用いて定めてもよい。具体的には、3個の値のうちの任意の値を、第1比率R1の好ましい範囲の上限として採用してよい。例えば、第1比率R1は、1.5以下であってよい。また、これらの値のうち上限以下の任意の値を、第1比率R1の好ましい範囲の下限として採用してもよい。例えば、第1比率R1は、1以上であってよい。なお、第1比率R1が小さいほど、部分経路530を通る放電は抑制されて、第2経路520を通る放電が促進される。従って、第1比率R1は、1よりも小さい種々の値であってよい。なお、通常は、第1比率R1は、0よりも大きい。
また、第2経路520を通る放電と、部分経路530を通る放電と、の間の生じやすさの違いは、第1比率R1(L1/L3)が同じであれば、第1長L1と第3長L3とのそれぞれの値が異なる場合であっても、おおよそ同じと考えられる。従って、第1比率R1の好ましい範囲は、種々の第1長L1と種々の第3長L3とに、適用可能である。
図3(B)の第2表TB2は、7番から15番の9個のモデルの第2評価結果RSbを示している。7番から15番のそれぞれの第1長L1は、0、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5(mm)である。以下のパラメータは、9個のモデルに共通である。第2長L2は、1.5mmである。第3長L3は、2.5mmである。絶縁体10の脚部19の軸線CLに平行な方向の長さは、15mmである。溝300の底面310での肉厚は、1mmである。なお、第1長L1の調整は、主体金具50の先端面55の軸線CLに平行な方向の位置P55を調整することによって、行われた。
第2表TB2に示すように、第2比率R2が7/3以下であるモデル(7番〜13番)の第2評価結果RSbは、「A」であった。第2比率R2が8/3以上であるモデル(14番、15番)の第2評価結果RSbは、「B」であった。第2比率R2が8/3よりも大きい場合、第1角部C1(図2(B))から経路590を通って第2角部C2へ至り、そして、部分経路530(図2(A))を通る経路での放電が、生じ易かった。このように、第2比率R2が7/3以下である場合に、主体金具50の支持部56を通る放電が、抑制された。
A評価を実現した7番〜12番の第2比率R2は、0/3、2/3、3/3、4/3、5/3、6/3、7/3であった。第2比率R2の好ましい範囲を、これら7個の値を用いて定めてもよい。具体的には、7個の値のうちの任意の値を、第2比率R2の好ましい範囲の上限として採用してよい。例えば、第2比率R2は、7/3以下であってよい。また、これらの値のうち上限以下の任意の値を、第2比率R2の好ましい範囲の下限として採用してもよい。例えば、第2比率R2は、0/3(すなわち、ゼロ)以上であってよい。なお、適切な放電を実現するためには、第2比率R2は、ゼロよりも大きいことが好ましい。
また、第2経路520を通る放電と、部分経路530を通る放電と、の間の生じやすさの違いは、第2比率R2(L1/L2)が同じであれば、第1長L1と第2長L2とのそれぞれの値が異なる場合であっても、おおよそ同じと考えられる。従って、第2比率R2の好ましい範囲は、種々の第1長L1と種々の第2長L2とに、適用可能である。
図2(A)、図2(B)の実施形態において、第1比率R1と第2比率R2とがそれぞれの上記の好ましい範囲内であることが好ましい。例えば、R2(L1/L2)≦7/3、かつ、R1(L1/L3)≦1.5であることが好ましい。この構成によれば、仮に適切な第1種経路(例えば、第1経路510)ではなく、第2種経路で放電が生じる場合であっても、絶縁体10の表面のうち溝300よりも後方向Dfr側の部分を通る放電は抑制される。従って、主体金具50の支持部56で放電が生じることを、抑制できる。そして、第2経路520のように主体金具50の最近部分220から前方向Df側に位置する経路での放電が、促進されるので、火炎は、点火プラグ100の前方向Df側、すなわち、図示しない燃焼室側へ、容易に拡がることができる。この結果、適切な第1種経路で放電が生じない場合であっても、点火プラグ100の着火性能の低下は、抑制される。
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態の点火プラグ100aの軸線CLを含む部分断面図である。図中には、図2(A)の部分断面図と同じ部分を示す部分断面図が、示されている。図2(A)の点火プラグ100との差異は、2点ある。第1の差異は、主体金具50の金具張出部200が省略されている点である。本実施形態の主体金具50aでは、先端側胴部52aのうち支持部56よりも前方向Df側の部分では、内径は、軸線CLに平行な方向の位置によらず、一定である。第2の差異は、主体金具50aの先端面55aが、絶縁体10の第1角部C1よりも前方向Df側に位置している点である。点火プラグ100aの他の部分の構成は、点火プラグ100の対応する部分の構成と同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
図中の第2経路520aは、第2種経路の例である。図2(A)の実施形態とは異なり、主体金具50aのうちの第1角部C1に最も近い部分220aは、先端側胴部52の内周面52ai上の支持部56と先端面55aとの間の部分である。この部分220aの軸線CLに平行な方向の位置は、第1角部C1の軸線CLに平行な方向の位置と、おおよそ同じである。第2経路520aは、中心電極20の部分20dから絶縁体10の先端面410上と側面420上とを通って第1角部C1に至る。そして、第2経路520aは、絶縁体10の第1角部C1から、第1角部C1と主体金具50aとの間の隙間を通って、主体金具50aの最近部分220aへ至る。
本実施形態では、絶縁体10と主体金具50aとは、第1比率R1と第2比率R2とがそれぞれの上記の好ましい範囲内であるように、構成される。例えば、R2(L1/L2)≦7/3、かつ、R1(L1/L3)≦1.5である。ここで、第1長L1は、第1角部C1と最近部分220aとの間の最短距離である。このように比率R1、R2がそれぞれの好ましい範囲内である場合、仮に適切な第1種経路(例えば、第1経路510)ではなく、第2種経路で放電が生じる場合であっても、絶縁体10の表面のうち溝300よりも後方向Dfr側の部分を通る放電は抑制される。従って、主体金具50の支持部56で放電が生じることを、抑制できる。そして、第2経路520aのように主体金具50aの最近部分220aから前方向Df側の経路での放電が、促進されるので、火炎は、点火プラグ100aの前方向Df側、すなわち、図示しない燃焼室側へ、容易に拡がることができる。この結果、適切な第1種経路で放電が生じない場合であっても、点火プラグ100の着火性能の低下は、抑制される。
なお、本実施形態において、主体金具50aの先端面55aの軸線CLに平行な方向の位置は、図2(B)で説明した範囲R300内であってよい。このように修正された点火プラグ100aの構成は、金具張出部200が省略された点を除いて、点火プラグ100の構成と同じである。従って、修正された点火プラグ100aは、第1実施形態の点火プラグ100と同じ種々の利点を有する。例えば、仮に適切な第1種経路(例えば、第1経路510)で放電が生じない場合であっても、主体金具50aのうちの第1角部C1に最も近い部分から前方向Df側に位置する経路で放電が生じ易いので、放電によって生じた火炎は、点火プラグの前方向Df側、すなわち、図示しない燃焼室側へ、容易に拡がることができる。
D.変形例:
(1)第1比率R1(図3(A))は、上述した好ましい範囲の外であってよい。また、第2比率R2(図3(B))は、上述した好ましい範囲の外であってよい。ただし、第1比率R1と第2比率R2との少なくとも一方が、対応する好ましい範囲内であることが、好ましい。また、第1比率R1と第2比率R2とのそれぞれが、対応する好ましい範囲内であることが、特に好ましい。
なお、第1比率R1と第2比率R2との少なくとも一方が、対応する好ましい範囲内である場合、部分経路530(図2(A)、図4)を通る放電のように主体金具50、50aの支持部56を通る放電は抑制される。従って、絶縁体の構成としては、種々の構成を採用可能であり、また、主体金具の構成としては、種々の構成を採用可能である。
また、第1比率R1と第2比率R2とのそれぞれが、対応する好ましい範囲外である場合、図2(B)の実施形態のように、主体金具の先端(例えば、先端面55)の軸線CLに平行な方向の位置(例えば、位置P55)は、溝の軸線CLに平行な方向の範囲(例えば、範囲R300)内であることが、好ましい。この構成によれば、仮に適切な第1種経路で放電しない場合には、主体金具のうちの絶縁体の第1角部C1に最も近い部分から前方向Df側に位置する経路(例えば、図2(A)の第2経路520)で放電が生じ易いので、主体金具の支持部(例えば、支持部56)で放電が生じることは、抑制される。
(2)主体金具の金具張出部の構成は、上記各実施形態の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、図2(A)、図2(B)に示される金具張出部200の内径は、軸線CLの方向の位置に依らずおおよそ一定である。これに代えて、金具張出部200の内径は、軸線CLの方向の位置に応じて変化してよい。例えば、金具張出部200の内径は、後方向Dfrに向かって徐々に大きくなってよい。一般的には、主体金具の金具張出部の構成は、主体金具の先端を形成するとともに金具張出部よりも後方向Dfr側の部分(特に、金具張出部と支持部56との間の部分)と比べて径方向の内側に張り出している種々の構成であってよい。このような金具張出部が、図4の主体金具50aに設けられてもよい。また、図4の実施形態のように、金具張出部が主体金具から省略されてよい。この場合、先端側胴部52aのうちの支持部56よりも前方向Df側の部分の内径は、軸線CLの方向の位置に拘わらずに一定であってよい。また、この内径は、軸線CLの方向の位置に応じて変化してよい。例えば、この内径は、前方向Dfに向かって増大してもよい。
(3)絶縁体の構成は、上記各実施形態の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、絶縁張出部400の側面420の外径は、軸線CLの方向の位置に応じて変化してよい。例えば、側面420の外径は、後方向Dfrに向かって徐々に大きくなってよい。また、絶縁体は、段部16よりも前方向Df側に、2以上の溝を形成してよい。この場合、最も先端側に位置する溝である特定溝における前方向Df側の角部が、第1角部として用いられ、特定溝における後方向Dfr側の角部が、第2角部として用いられてよい。また、特定溝の第1角部から第2角部までの軸線CLに平行な方向の位置の範囲が、特定溝の軸線CLに平行な方向の範囲として用いられてよい。
(4)絶縁体と主体金具との位置関係としては、上記各実施形態の位置関係に代えて、他の種々の位置関係を採用可能である。例えば、図4の実施形態において、主体金具50aの先端面55aの軸線CLに平行な方向の位置は、溝300の軸線CLに平行な方向の範囲(具体的には、図2(B)の範囲R300)内であってよい。この構成によれば、図2(B)の実施形態と同様に、仮に適切な第1種経路で放電しない場合には、第2経路520、520a(図2(B)、図4)で放電が生じ易いので、主体金具の支持部(例えば、支持部56)で放電が生じることは、抑制される。また、この場合、第1比率R1と第2比率R2との少なくとも一方は、対応する好ましい範囲外であってよい。
また、図2(A)、図4の各実施形態において、主体金具50、50aの先端(ここでは、先端面55、55a)の軸線CLの方向の位置は、絶縁体10の第1角部C1の軸線CLの方向の位置PC1と同じであってよい。また、主体金具50、50aの先端の軸線CLの方向の位置は、絶縁体10の第1角部C1の位置PC1よりも前方向Df側に配置されてよい。この場合、絶縁体10の第1角部C1と主体金具50、50aの内周面との間の隙間を通る放電が生じ得る。また、主体金具50、50aの先端の軸線CLの方向の位置は、絶縁体10の第1角部C1の位置PC1よりも後方向Dfr側に配置されてよい。また、主体金具50、50aの先端の軸線CLの方向の位置は、絶縁体10の第2角部C2の軸線CLの方向の位置PC2と同じであってよい。また、主体金具50、50aの先端の軸線CLの方向の位置は、絶縁体10の第2角部C2の位置PC2よりも後方向Dfr側に配置されてよい。
(5)点火プラグの構成は、上記の各実施形態と各変形例との構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、主体金具の先端の近傍において、主体金具の内周面は、絶縁体の外周面に接していてもよい。ここで、絶縁体の第1角部と、主体金具のうちの第1角部に最も近い部分と、の間の距離L1は、ゼロであってよい。例えば、図2(B)の第1角部C1と最近部分220との間の距離L1が、ゼロであってよい。このように、第1長L1は、ゼロ以上の種々の値であってよい。
また、先端側パッキン8(図1)は、省略されてよい。すなわち、主体金具50の支持部56は、絶縁体10の段部16に接触することによって、直接的に、段部16を支持してよい。また、絶縁体10の軸孔12内の端子金具40と中心電極20との間に、磁性体が配置されてよい。また、中心電極の全体が、絶縁体の貫通孔内に配置されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
8…先端側パッキン、10…絶縁体、11…縮内径部、12…貫通孔(軸孔)、13…外周面、16…縮外径部(段部)、18…縮外径部、19…脚部、20…中心電極、20d…部分、20s…側面、21…外層、22…芯部、23…鍔部、24…頭部、27…軸部、28…棒部、29…第1チップ、30…接地電極、31…外層、32…内層、33…基端部、34…先端部、37…本体部、39…第2チップ、40…端子金具、41…部分、50、50a…主体金具、51…工具係合部、52…先端側胴部、52a…先端側胴部、52ai…内周面、53…後端部、54…中胴部、54f…面、55、55a…先端面、56…支持部、56r…後面、57…ネジ部、58…接続部、59…貫通孔、61…リング部材、70…タルク、72…第1シール部、73…抵抗体、74…第2シール部、100、100a…点火プラグ、200…金具張出部、200i…内周面、210…接続部分、220、220a…最近部分、300…溝、310…底面、320…対向面、390…開口、400…絶縁張出部、410…先端面、420…側面、421…直線部分、430…後面、431…直線部分、510…第1経路、520、520a…第2経路、530…部分経路、590…経路、g…ギャップ、R300…範囲、P220…位置、C1…第1角部、C2…第2角部、L1…第1長、L2…第2長、L3…第3長、R1…第1比率、R2…第2比率、CL…軸線(中心軸)、Df…先端方向(前方向)、Dfr…後端方向(後方向)、Pi…交点、L11…第1仮想直線、L12…第2仮想直線、L13…第3仮想直線、P55…位置、TB1…第1表、TB2…第2表、PC1、PC2…位置、CP1…第1部分、CP2…第2部分
[適用例1]
軸線の方向に延びる貫通孔と、先端側に向かって外径が小さくなる段部と、を有する筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置され、先端側に向かって内径が小さくなる部分であるとともに前記段部を直接的又は間接的に支持する支持部を有する、筒状の主体金具と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、
前記主体金具に接続されるとともに前記中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
を備える点火プラグであって、
前記絶縁体は、前記段部よりも先端側に配置されるとともに径方向の内側に向かって凹む溝を全周に亘って形成し、
前記溝における先端側の開口端に形成された角部である第1角部と前記主体金具との間の最短距離をL1とし、
前記第1角部から前記溝における後端側の開口端に形成された角部である第2角部までの前記絶縁体の表面を通る経路の距離をL3とし、
前記溝の前記第1角部と前記第2角部との間の最短距離をL2とする場合に、
L1/L2≦7/3、かつ、L1/L3≦1.5である、
点火プラグ。

Claims (4)

  1. 軸線の方向に延びる貫通孔と、先端側に向かって外径が小さくなる段部と、を有する筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置され、先端側に向かって内径が小さくなる部分であるとともに前記段部を直接的又は間接的に支持する支持部を有する、筒状の主体金具と、
    前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、
    前記主体金具に接続されるとともに前記中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
    を備える点火プラグであって、
    前記絶縁体は、前記段部よりも先端側に配置されるとともに径方向の内側に向かって凹む溝を全周に亘って形成し、
    前記溝における先端側の開口端に形成された角部である第1角部と前記主体金具との間の最短距離をL1とし、
    前記溝の前記第1角部と前記第2角部との間の最短距離をL2とし、
    前記第1角部から前記溝における後端側の開口端に形成された角部である第2角部までの前記絶縁体の表面を通る経路の距離をL3とする場合に、
    L1/L2≦7/3、かつ、L1/L3≦1.5である、
    点火プラグ。
  2. 軸線の方向に延びる貫通孔と、先端側に向かって外径が小さくなる段部と、を有する筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置され、先端側に向かって内径が小さくなる部分であるとともに前記段部を直接的又は間接的に支持する支持部を有する、筒状の主体金具と、
    前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入される中心電極と、
    前記主体金具に接続されるとともに前記中心電極との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
    を備える点火プラグであって、
    前記絶縁体は、前記段部よりも先端側に配置されるとともに径方向の内側に向かって凹む溝を全周に亘って形成し、
    前記主体金具の先端の前記軸線の方向の位置である金具先端位置は、前記溝の前記軸線の方向の範囲内である、
    点火プラグ。
  3. 請求項1または2に記載の点火プラグであって、
    前記第1角部の前記軸線の方向の位置は、前記主体金具の先端の前記軸線の方向の位置よりも先端側に位置している、
    点火プラグ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の点火プラグであって、
    前記主体金具は、前記主体金具の前記先端を形成するとともに径方向の内側に張り出す張出部を備える、
    点火プラグ。
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