JP2020014978A - ガス分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定のガスを効率良く分離できるガス分離方法を提供する。【解決手段】吸着剤を用いて、温度スイング式吸着ガス分離法、圧力スイング式吸着ガス分離法又は圧力・温度スイング式吸着脱離法によりガスの分離を行う方法であって、前記吸着剤が、XRDスペクトルにおける2θ=12.4°付近のピークの半値幅が0.05°以上0.44°以下であるGIS型ゼオライト、XRDスペクトルにおける2θ=12.7°付近のピークの半値幅が0.08°以上0.55°以下であるK交換型GIS型ゼオライト、及びXRDスペクトルにおける2θ=11.1°付近のピークの半値幅が0.06°以上0.31°以下であるMWF型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、ガス分離方法。【選択図】図3

Description

本発明は、ガス分離方法に関する。
近年では、天然ガスのニーズの拡大やバイオマスの資源化など、メタンと二酸化炭素の分離に対するニーズが拡大している。さらに、炭酸ガスの排出削減に向け、発電所や鉄鋼業において、排気ガスからの二酸化炭素の分離、回収へのニーズも高まっており、二酸化炭素の分離技術開発が盛んに行われている。二酸化炭素の分離方法はいくつかあるが、その一つとして吸着剤を用いた分離方法がある。吸着剤を用いた分離方法には、ガスの吸着時の圧力より脱離時の圧力を下げ、高圧力時の吸着量と低圧力時の吸着量の差を利用してガスの分離を行う圧力スイング式吸着分離方法(PSA:Pressure Swing Adsorption)と、ガスの吸着時の温度より脱離時の温度を上げ、低温時の吸着量と高温時の吸着量の差を利用してガスの分離を行う温度スイング式吸着分離方法(TSA:Thermal Swing Adsorption)とがある。さらに、これらを組み合わせた圧力・温度スイング式吸着脱離法(PTSA:Pressure and Therml Swing Adsorption)がある。天然ガスの様な高圧のガスを分離精製する場合は、PSAでは吸着時に高圧で二酸化炭素を吸着、圧力を下げて吸着した二酸化炭素を脱離させ、分離回収することでエネルギー効率が高い回収方法となる。バイオマスや発電所などの排気ガスのように、常圧に近いガスの場合は、予めコンプレッサーで圧力を高めてから吸着剤に吸着させ、圧力を下げて二酸化炭素を脱離させてもよいし、吸着剤に吸着させてから真空ポンプで圧力を下げて、二酸化炭素を脱離させてもよい。これらのガス分離はTSAでも行うことが出来る。発電所や製鉄所など、利用できる熱源がある場合はそれを脱離に用いることが出来るため、吸着剤からの脱離、再生に係るコストの低減が図れる。ある温度で排気ガスと吸着剤を接触させ、その温度よりも高温にすれば吸着したガスが脱離して分離回収ができる。高温にする方法は吸着剤を入れた容器を外部から加熱してもよいし、容器の内部にヒーターや熱交換器を入れて加熱してもよいし、高温のガスを、吸着剤を入れた容器に流通させて加熱してもよい。高温に加熱したガスは、二酸化炭素を分離する場合は分離回収した二酸化炭素を加熱して流通させれば高純度の二酸化炭素を収集できる点で優れている。また、高温に加熱したガスに水蒸気を含有させた場合は、水は熱容量が大きいので加熱効率が高いことに加え、二酸化炭素が水に溶解するため、より高効率で二酸化炭素を吸着剤から脱離させることができるので優れている。吸着するときは、吸着エネルギーにより吸着剤が加熱されるため、吸着量の増加と共に吸着量が減る傾向にある。逆に、脱離の際は気化熱により吸着剤が冷却されるため、脱離が進むと脱離の効率が低下する。そこで、吸着剤を充填する容器を複数設置し、熱交換器等を導入することで吸着を行う容器と脱離を行う容器の吸着熱と気化熱を交換することで吸脱着に要するエネルギーの低減が図れる。熱交換器は容器を金属などの高熱伝導性の材料で接続してもよいし、容器の内部に熱媒を通した管を通してもよいし、燃焼排ガス処理装置等に見られる、高熱伝導性のローターに吸着剤充填層を複数設けて連続的に吸着と脱離をさせる、ローター式熱交換器を用いてもよい。
吸着剤として広く用いられるのは活性炭である。しかし、活性炭は吸着容量が少なく、二酸化炭素の選択吸着性も不十分である。近年は、ゼオライトの一種である、FAU型ゼオライトやFAU型ゼオライトをLi型にイオン交換した吸着剤が用いられている(特許文献1)。さらに、最近、極めて高い二酸化炭素選択吸着性を持つゼオライトとしてGIS型ゼオライト(特許文献2)とMWF型ゼオライト(特許文献3)が開示されている。
特開2002−191924号公報 国際公開第2018/110559号 国際公開第2017/222028A1号
特許文献1に記載のLi交換型FAU型ゼオライトは、二酸化炭素の吸収量は多いものの、窒素やメタンとの吸着選択率が不十分であるため、ガス分離効率としては未だ改善の余地がある。また、特許文献2及び3によれば、GIS型ゼオライト及びMWF型ゼオライトを適切に合成し、XRDスペクトル強度比を適当に制御すれば、二酸化炭素を効率良く吸着分離できる。XRDスペクトルにおけるピークの半値幅は狭い方が好ましいことが示されており、結晶性は高い方が良いと考えられる。しかし、XRDスペクトルのピークの半値幅は結晶子サイズにも影響され、結晶子サイズが大きい程、半値幅は狭くなる。結晶子サイズが大きくなると、結晶が大きくなって表面積が減少したり、ガス分子が流通できるような粒界や結晶欠陥等も少なくなる。表面積や粒界、結晶欠陥が低減すると結晶の二酸化炭素以外の物質が吸着するサイトが低減するため、二酸化炭素の選択吸着性は向上すると考えられるが、PSA、TSA又はPTSAによる二酸化炭素の吸着分離を行う際には、二酸化炭素の吸着容量の低減や、吸脱着時にゼオライト格子の中を移動する必要がある距離が長くなり、吸着速度、脱離速度の低減につながる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特定のガスを効率良く分離できるガス分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、PSA、TSA又はPTSAによるガス分離方法において、GIS型ゼオライトあるいはMWF型ゼオライトのXRDスペクトルにおけるピークの半値幅が所定の範囲内にある場合に、当該課題を解決できることを見出し、さらに、K交換型GIS型ゼオライトでもXRDスペクトルにおけるピークの半値幅が所定の範囲内にある場合にも、同様に当該課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
吸着剤を用いて、温度スイング式吸着ガス分離法、圧力スイング式吸着ガス分離法又は圧力・温度スイング式吸着脱離法によりガスの分離を行う方法であって、
前記吸着剤が、XRDスペクトルにおける2θ=12.4°付近のピークの半値幅が0.05°以上0.44°以下であるGIS型ゼオライト、XRDスペクトルにおける2θ=12.7°付近のピークの半値幅が0.08°以上0.55°以下であるK交換型GIS型ゼオライト、及びXRDスペクトルにおける2θ=11.1°付近のピークの半値幅が0.06°以上0.31°以下であるMWF型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、ガス分離方法。
〔2〕
前記吸着剤が、前記GIS型ゼオライトを含み、当該GIS型ゼオライトが、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、1.37<A/Bを満たす、〔1〕に記載のガス分離方法。
〔3〕
前記吸着剤が、前記MWF型ゼオライトを含み、当該MWF型ゼオライトが、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.61≦B/A≦0.83を満たす、〔1〕又は〔2〕に記載のガス分離方法。
〔4〕
炭化水素、メタン、窒素、一酸化炭素、水素、ヘリウム及びアルゴンからなる群より選択される少なくとも1種と二酸化炭素とを含む混合ガスから、前記二酸化炭素を分離する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のガス分離方法。
本発明によれば、特定のガスを効率良く分離できるガス分離方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るPSAを例示する図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るTSAを例示する図である。 図3は、本発明のガス吸着分離性能評価装置を例示する図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態のガス分離方法は、吸着剤を用いて、温度スイング式吸着ガス分離法、圧力スイング式吸着ガス分離法又は圧力・温度スイング式吸着脱離法によりガスの分離を行う方法であって、前記吸着剤が、XRDスペクトルにおける2θ=12.4°のピークの半値幅が0.05°以上0.44°以下であるGIS型ゼオライト、XRDスペクトルにおける2θ=12.7°のピークの半値幅が0.08°以上0.55°以下であるK交換型GIS型ゼオライト、及びXRDスペクトルにおける2θ=11.1°のピークの半値幅が0.06°以上0.31°以下であるMWF型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種を含む。本実施形態のガス分離方法は、上記のように構成されているため、特定のガスを効率良く分離できる。
以下、本実施形態において吸着剤として機能するGIS型ゼオライト、K交換型GIS型ゼオライト及びMWF型ゼオライトを各々詳細に説明する。なお、本明細書において、これらのゼオライトを総称して「本実施形態のゼオライト」と記載する場合がある。
<GIS型ゼオライト>
(XRDピーク半値幅)
本実施形態におけるGIS型ゼオライトの25℃におけるX線回折ピークのうち、2θ=12.4°付近のピークは(1 0 1)の回折ピークであり、典型的には12.15°〜12.75°の範囲に観測される。X線回折により得られるピーク半値幅は、その回折が発生する結晶格子面の結晶性及び結晶子サイズを示しており、狭い方が結晶性は高いことから好ましい。一方で半値幅が狭いと結晶子サイズは大きくなり、結晶の大きさは大きくなり、粒界や結晶欠陥等、ガス分子の吸着サイトやガス分子が拡散しやすい細孔が減少したり、結晶の表面積が減少するため、ガス分子の吸着サイトの量や、ガス吸着、脱着における速度という観点では半値幅はある程度広い方が好ましい。したがって、本実施形態におけるGIS型ゼオライトの2θ=12.4付近のピーク半値幅の範囲は、0.05°以上0.44°以下であり、好ましくは、0.06°以上0.43°以下であり、より好ましくは、0.07°以上0.42°以下である。このようなピーク半値幅を有することにより示唆されるGIS型ゼオライトの構造によれば、CH4などのCO2以外の分子を結晶格子内に透過することなく、吸着量が少なくなり、CO2の吸着サイトの欠損も無くなることでこれらの吸着量を最大限にしつつ、適度な表面積とガス分子の拡散経路を確保することができるため、CO2の選択吸着性を最大にすることができると発明者は推定している。
なお、上記ピーク半値幅の値は、いずれも、混合ゲルの組成比、混合ゲルの熟成時間、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
(X線回折ピーク強度比)
本実施形態におけるGIS型ゼオライトは、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=12.4°及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、1.37<A/Bを満たすことが好ましい。2θ=12.4°付近のピークは、典型的には12.15°〜12.75°の範囲に観測され、2θ=21.6°付近のピークは、典型的には2θ=20.1°〜24.1°の範囲に観測される。
本実施形態におけるGIS型ゼオライトの25℃におけるX線回折ピークのうち、2θ=12.4°及び21.6°付近のピークはそれぞれ、(1 0 1)及び(2 1 1)の回折ピークである。(1 0 1)の回折ピークはGIS型ゼオライトの酸素8員環の周期構造を反映する回折であり、(2 1 1)の回折ピークはより微細な構造を反映する回折である。(1 0 1)及び(2 1 1)の回折ピークの高さをそれぞれA、Bとした場合、A/Bが大きい場合はより大きな周期構造、すなわち8員環構造を含む構造が明瞭であることを示している。ゼオライトに含まれるカチオンは移動できることが知られており、8員環構造を含む大きな周期構造に欠損が無く、明瞭に形成されていることでカチオンの移動度が高まり、二酸化炭素が細孔内に侵入してきた場合に妨げとならず移動することによって二酸化炭素の吸着能が発現すると考えられる。この観点から、A/Bは1.37より大きいことが好ましく、1.40より大きいことがより好ましく、1.50以上がさらに好ましい。
なお、上記A/Bの値及び半値幅は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、いずれも、混合ゲルの組成比、混合ゲルの熟成時間、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
(合成方法)
本実施形態におけるGIS型ゼオライトの製造方法は、例えば、珪素を含むシリカ源、アルミニウムを含むアルミ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源、リンを含むリン源、及び水を含有する混合ゲルの調製工程を含むものとすることができる。以下、混合ゲル及びこれに含まれる各成分について説明する。
〔混合ゲル〕
本実施形態における混合ゲルとは、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、及び水を成分として含み、必要に応じてリン源、有機構造規定剤を含む混合物のことである。
シリカ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれる珪素の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルミ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルミニウムの原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルカリ金属源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、リン源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるリンの原料となる該混合ゲル中の成分をいう。
〔シリカ源〕
シリカ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、ケイ酸ナトリウム、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲル、無定形アルミノシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。ここで、無定形アルミノシリケートゲルは、シリカ源であるとともにアルミ源となる。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、ケイ酸ナトリウムであることが好ましい。
〔アルミ源〕
アルミ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、金属アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。同様の観点からアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムであることがより好ましく、アルミン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
〔アルカリ金属源〕
アルカリ金属源におけるアルカリの種類は特に限定されず、任意のアルカリ金属、及び/又は任意のアルカリ土類金属化合物を使用することができる。
アルカリ金属源は、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。これらの化合物は、単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は、通常Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba等を用いることができる。GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、Na、Kであることが好ましく、Naであることがより好ましい。また、アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、アルカリ金属源としては、以下に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化ルビジウム、酢酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムがより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
〔リン源〕
リン源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、リン酸水溶液、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、リン酸水溶液、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムであることが好ましい。同様の観点からリン酸水溶液、リン酸ナトリウムであることがより好ましく、リン酸水溶液であることがさらに好ましい。
〔有機構造規定剤〕
混合ゲルを水熱合成することによってゼオライトを製造する場合の有機構造規定剤は、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用をする化合物である。ゼオライトの結晶化においては、必要に応じて有機構造規定剤を用いることができる。
有機構造規定剤は、所望のGIS型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、有機構造規定剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
有機構造規定剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン類、4級アンモニウム塩類、アルコール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、アルキルチオ尿素類、シアノアルカン類、ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物類を用いることができ、好ましくはアルキルアミン類、より好ましくはイソプロピルアミンを用いる。
このような塩は、アニオンを伴うものがある。このようなアニオンを代表するものには、以下に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンが含まれる。これらの中で、GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点からハロゲンイオン、水酸化物イオンであることが好ましく、ハロゲンイオンであることがより好ましい。
〔混合ゲルの組成比〕
混合ゲル中のシリカ源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al23として表す。
このSiO2/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、4.0以上70.0以下が好ましく、4.2以上68.0以下がより好ましく、5.0以上60.0以下であることがさらに好ましく、5.3以上58.0以下であることがよりさらに好ましく、6.0以上50.0以下であることが一層好ましく、6.5以上49.0以下であることがより一層好ましい。
混合ゲル中のアルミ源とアルカリ金属源の比は、Al23に対するM12OとM2Oの加算モル比、すなわち(M12O+M2O)/Al23として表す(ここで、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す)。なお、この(M12O+M2O)/Al23は、GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、1.3以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましく、1.6以上であることがよりさらに好ましく、1.7以上であることが一層好ましく、1.8以上であることがより一層好ましい。
(M12O+M2O)/Al23は、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から2.0以上80.0以下であることが好ましく、2.2以上78.0以下であることがより好ましく、2.5以上70.0以下がさらに好ましく、2.7以上68.0以下がよりさらに好ましく、3.0以上60.0以下であることが一層好ましく、3.3以上56.0以下であることがより一層好ましい。
混合ゲル中のリン源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちP25/Al23として表す。
このP252/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、1.0未満が好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましく、0であることがとりわけ好ましい。
混合ゲル中に有機構造規定剤を含む場合は、混合ゲル中のアルミ源と有機構造規定剤の比は、Al23に対する有機構造規定剤のモル比、すなわちR/Al23として表す(ここでRは有機構造規定剤を示す)。GIS型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、10.0未満であることが好ましく、8.0以下がより好ましく、6.0以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源と水の比は、Al23に対する水のモル比、すなわちH2O/Al23として表す。混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制でき、結晶性の高いGIS型ゼオライトを生成できる観点から、300以上であることがさらに好ましい。
2O/Al23が高いと結晶性は向上するが、結晶成長の核の発生数が少なくなり、結晶子サイズは大きくなると同時に、粒子径も大きくなる傾向にある。さらに成長中の結晶同士が接触して一体化することも少なくなるため、結晶子の数が少なく粒界や結晶欠陥の少ない単結晶に近い高結晶性GISの成長が可能となる。高い結晶性はGISの8員環構造を明瞭に形成するため、二酸化炭素の選択性の向上のために重要であるが、実際に吸着剤としてPSAやTSAに用いる場合は粒子径が小さく表面積が多く、二酸化炭素の吸着サイトが多数存在することで吸着容量を増やすことと、結晶子の粒界や欠陥など、ガスの拡散の速い経路が存在することで吸脱着速度が速いことも重要である。したがって、結晶性が高すぎると吸着剤としての性能は低下してしまうため、H2O/Al23は高すぎると好ましくない。さらに、H2O/Al23が低い方が合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる。以上の観点から、1500未満であることが好ましく、1400以下であることがより好ましく、さらに1300以下であることがさらに好ましい。
以上のとおり、本実施形態におけるGIS型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源と、アルミニウムを含むアルミ源と、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源と、リン源と、水と、を含有する混合ゲルの調製工程を含み、前記混合ゲルにおける各成分のモル比を、前記珪素、アルミニウム、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)、リン源については各元素の酸化物として算出するとき、下記式(1)、(2)、(3)及び(4)で表されるモル比α、β、γ、δが、4.0≦α≦70.0、2.0≦β≦80.0、0≦γ<1.0及び100≦δ≦3000を満たすことが好ましく、4.2≦α≦68.0、2.2≦β≦78.0、0≦γ<1.0及び100≦δ≦1500を満たすことが好ましい。本実施形態におけるGIS型ゼオライトは、上述した本実施形態におけるGIS型ゼオライトの製造方法により得られるものであることが特に好ましい。
α=SiO2/Al23 (1)
β=(M12O+M2O)/Al23 (2)
γ=P25/Al23 (3)
δ=H2O/Al23 (4)
さらに、本実施形態におけるGIS型ゼオライトの製造方法において、モル比α、β、γ、δが上記範囲を満たし、かつ、混合ゲルが、さらに有機構造規定剤Rを含む場合、下記式(5)で表されるモル比εが、ε<10を満たすことが好ましい。
ε=R/Al23 (5)
必ずしも混合ゲル中に種結晶を存在させる必要は無いが、予め製造したGIS型ゼオライトを種結晶として混合ゲルに添加して、本実施形態におけるGIS型ゼオライトを得ることもできる。
〔混合ゲルの調製工程〕
混合ゲルの調製工程は、特に限定されないが、例えば、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を一時にあるいは多段階で混合する混合工程と、この混合工程で得られた混合物の熟成工程とを含んでもよい。
混合工程は、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を含むこれら成分を一時にあるいは多段階で混合することができる。
多段階で混合する際の順序は限定されず、用いる条件により適宜選択すればよい。多段階で混合する際には、撹拌あるいは無撹拌のどちらで行ってもよい。
撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
混合工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、−20℃以上80℃未満が挙げられる。
混合工程の時間は、特に限定されず、混合工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
熟成工程は静置あるいは撹拌のどちらで行ってもよい。
熟成工程で撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
熟成工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、−20℃以上80℃未満が挙げられる。
熟成工程の時間は、特に限定されず、熟成工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
ゼオライトは原料の混合工程、熟成工程において、原料の溶解とゼオライト前駆体の生成及び再溶解が起きていると考えられる。8員環を含む大きな周期構造が欠陥等を生じずに形成するためには、ゼオライト前駆体の形成が過度に進んでいない方が好ましい。また、ゼオライトの前駆体の形成が過度に進んだ場合、より安定な構造であるANA型ゼオライトの生成が増加する傾向にあることからも過度に熟成しないことが好ましい。一方で原料は十分に混合し、原料ゲルが均一な状態が好ましい。これらの観点から、混合工程と熟成工程を合わせた時間は1分以上24時間未満が好ましく、1分以上23時間未満がより好ましく、2分以上12時間以下がさらに好ましく、2分以上10時間以下がよりさらに好ましく、3分以上2時間以下が一層好ましく、3分以上1.5時間以下がより一層好ましい。
〔水熱合成工程〕
本実施形態におけるGIS型ゼオライトの製造方法において、水熱合成温度が80℃〜145℃である水熱合成工程をさらに含むことが好ましく、当該水熱合成温度は80℃〜140℃であることがより好ましい。すなわち、好ましくは、調製工程により得た混合ゲルを所定の温度で、所定の時間、撹拌又は静置状態で保持することにより水熱合成する。
水熱合成の温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、合成時間が短くなり、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、80℃以上であることが好ましい。GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、135℃以下であることがさらに好ましい。
水熱合成の温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
水熱合成の時間は一般的に用いられる時間であれば特に限定されず、水熱合成の温度により適宜選択することができる。
水熱合成の時間は、GIS骨格が形成される点から、3時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましい。高結晶性のGIS型ゼオライトが得られる観点から、さらに好ましくは24時間以上である。
ゼオライトの粒子径を大きく成長させ過ぎず、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、水熱合成の時間は10日未満であることが好ましく、9日以下であることがより好ましく、8日以下であることがさらに好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを入れる容器は一般的に用いられる容器であれば特に限定されないが、所定の温度において容器内の圧力が高まる場合、又は、結晶化を阻害しない気体加圧下とする場合には、耐圧容器に入れ、水熱合成することが好ましい。
耐圧容器は、特に限定されず、例えば、球形状、縦長状、横長状等の各種の形状を用いることができる。
耐圧容器内の混合ゲルを撹拌する際には、耐圧容器を上下方向に及び/又は左右方向に回転させるが、好ましくは上下方向に回転させる。
耐圧容器を上下方向に回転させる場合、その回転速度は一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、1〜50rpmが好ましく、10〜40rpmであることがより好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを好ましく撹拌するには、耐圧容器として縦長のものを用い、これを上下方向に回転させる方法が挙げられる。
〔分離・乾燥工程〕
水熱合成工程後、生成物である固体と水を含む液体とを分離するが、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔焼成工程〕
必要に応じて、GIS型ゼオライトを焼成して用いることができる。焼成する温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、有機構造規定剤を除去したい場合、その残っている割合を少なくできることから、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。焼成の時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、400℃以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、550℃未満であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましい。
焼成する時間は、有機構造規定剤が十分除去される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、有機構造規定剤が残っている割合を少なくできる傾向にあることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、20日以下であることが好ましく、10日以下であることがより好ましく、7日以下であることがさらに好ましい。
焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
<K型GIS型ゼオライト>
(X線回折ピーク)
一般的なGIS型ゼオライトは、ICDD(International Centre for Diffraction Data)などに記載(例えば00−039−0219)があるように、X線回折により得られるスペクトルにおいて、2θ=12.45°及び33.36°付近にそれぞれの(1 0 1)及び(3 1 2)の回折ピークを持つ。
一方、本実施形態におけるGIS型ゼオライトは、X線回折により得られるスペクトルにおいて、(1 0 1)の回折ピークが2θ=12.55°〜12.90°の範囲に観測される。また、本実施形態におけるGIS型ゼオライトは、X線回折により得られるスペクトルにおいて、(3 1 2)の回折ピークが33.70°〜34.25°の範囲に観測されることが好ましい。
(1 0 1)の回折ピークはGIS型ゼオライトの8員環構造の周囲にある構造のdcc構造の周期構造を反映する回折である。本実施形態におけるGIS型ゼオライトにおける(1 0 1)の回折ピークは高角度側にシフトしており、周期構造としては短くなっていると考えられ、一般的には格子定数が小さくなった場合等に見られる現象である。周期構造が短くなれば、細孔径も小さくなり二酸化炭素が細孔内により入れなくなり吸着量が減ることが予想される。ところが、本実施形態におけるGIS型ゼオライトは適切な範囲に(1 0 1)の回折ピークが観測される結晶となるように調整することで二酸化炭素吸着量を増加させることができる。なお、一般的なGIS型ゼオライトの8員環構造は歪んでおり、長軸が4.5Å、短軸が3.1Åの楕円形をしており、平均分子径が3.3Åである二酸化炭素分子が細孔へ容易に侵入できない。しかし、最適に結晶を合成、調整することで歪みが緩和され、細孔が円形に近づくことで二酸化炭素の細孔への侵入を容易にさせ、吸着量が増大すると考えられる。その最適な歪み緩和状態が(1 0 1)の周期構造が僅かに短くなった状態であり、その時のX線回折ピークが2θ=12.55°〜12.90°となる。上記と同様の観点から、(1 0 1)の回折ピークの2θの値は2θ=12.58°〜12.85°であることが好ましく、より好ましくは2θ=12.60°〜12.80°である。他の回折ピークについても同様に最適なピーク位置があると考えられるが、ピークシフトが顕著であり、他のピークとの重なりが無く明瞭に判別できる観点から(1 0 1)の回折ピークの他、(3 1 2)の回折ピークでも最適な構造であるか判別が可能である。(3 1 2)の回折ピークの2θの値は33.70°〜34.25°であり、より好しくは2θ=33.85°〜34.22°であり、さらに好ましくは2θ=34.00°〜34.20°である。
K交換型GIS型ゼオライトにおいても、GIS型ゼオライトと同じく、X線回折により得られるピーク半値幅は、その回折が発生する結晶格子面の結晶性及び結晶子サイズを示しており、狭い方が結晶性は高いことから好ましい。一方で半値幅が狭いと結晶子サイズは大きくなり、結晶の大きさは大きくなり、粒界や結晶欠陥等、ガス分子の吸着サイトやガス分子が拡散しやすい細孔が減少したり、結晶の表面積が減少するため、ガス分子の吸着サイトの量や、ガス吸着、脱着における速度という観点では半値幅はある程度広い方が好ましい。これらの観点から、K交換型GIS型ゼオライトのXRDスペクトルにおけるピークの半値幅は2θ=12.7°付近のピークの半値幅は0.08°以上、0.55°以下であり、好ましくは0.09°以上0.54°以下であり、より好ましくは0.10°以上0.53°以下である。2θ=12.7°付近のピークとは12.55°〜12.90°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
なお、上記回折ピークの回折角2θの値及び半値幅は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、いずれも、混合ゲルの組成比、混合ゲルの熟成時間、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)、カチオンの最適化等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
本実施形態において、K交換型GIS型ゼオライトの8員環楕円構造を変形させる観点から、K交換型GIS型ゼオライト中のカリウム原子の含有量が3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3.3質量%以上であり、さらに好ましくは3.6質量%以上である。一方、不純物の生成や、K交換型GIS型ゼオライトの結晶性低下を防止する観点から、K交換型GIS型ゼオライト中のカリウム原子含有量は21質量%以下であることが好ましく、より好ましくは18質量%以下であり、さらに好ましくは16質量%以下である。
上記カリウム原子の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、混合ゲルの組成比を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
〔カチオン交換〕
本実施形態におけるK交換型GIS型ゼオライトは、本実施形態におけるGIS型ゼオライトをカリウムでカチオン交換を行い、得ることができる。カチオン交換は、以下に限定されないが、例えば、KNO3などの硝酸塩、あるいは前記硝酸塩に含まれる硝酸イオンをハロゲン化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン又はリン酸水素イオンに変更した塩、硝酸や塩酸などの酸を用いることができる。
カチオン交換の温度は、一般的なカチオン交換の温度であれば特に限定されないが、通常、室温から100℃以下である。
カチオン交換後のゼオライトを分離する際、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
<MWF型ゼオライト>
〔X線回折ピーク〕
X線回折により得られるピーク半値幅は、その回折が発生する結晶格子面の結晶性を示しており、狭い方が好ましい。その中でも特に2θ=11.1°付近のピークは8員環構造等の高次構造を示しており、細孔の適切な形成を表していることから、MWF型ゼオライトの細孔での大きなガス分子の遮蔽による分子篩効果に影響を与えるため、その半値幅が狭いことは特に重要である。一方で半値幅が狭いと結晶子サイズは大きくなり、結晶の大きさは大きくなり、粒界や結晶欠陥等、ガス分子の吸着サイトやガス分子が拡散しやすい細孔が減少したり、結晶の表面積が減少するため、ガス分子の吸着サイトの量や、ガス吸着、脱着における速度という観点では半値幅はある程度広い方が好ましい。したがって、本実施形態におけるMWF型ゼオライトのXRDスペクトルにおける2θ=11.1°付近のピーク半値幅は、0.06°以上0.31°以下であり、好ましくは、0.065°以上0.315°以下であり、より好ましくは、0.07°以上0.30°以下である。
なお、上記ピーク半値幅の値は、混合ゲルの組成比、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.61≦B/A≦0.83を満たすことが好ましい。
ここで、X線回折パターンとはゼオライトを粉末用無反射試料板上に均一に固定した表面にCuKαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。
2θ=11.1°付近のピークとは11.1°±0.1°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=13.8°付近のピークとは13.8°±0.2°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
本実施形態におけるMWF型ゼオライトの25℃におけるX線回折ピークのうち、2θ=11.1及び13.8°付近のピークはそれぞれ、(4 4 0)及び(5 5 0)の回折ピークである。すなわち、これらはそれぞれ平行な結晶格子面による回折であり、(4 4 0)及び(5 5 0)の回折ピークの高さをそれぞれA、Bとした場合、B/Aが大きい場合はより微細な構造が明瞭であることを示している。すなわち、Si−OあるいはAl−O結合に欠損が少なく、結合距離と角度の均一性が高く、CH4が結晶格子内に侵入するような欠陥や、CO2の吸着サイトの欠損が発生しにくい為、CO2/CH4の吸着量比を最大にできると考えられる。この観点から、B/Aは0.61以上であることが好ましく、0.63以上であることがより好ましく、0.635以上であることがさらに好ましく、0.64以上であることがよりさらに好ましい。
一方、ピーク高さAの値が大きいことは、8員環構造等の高次構造が明瞭である、すなわち、微細な構造が規則正しく配列し、細孔が適切に形成されていることを示唆していると考えられる。細孔構造が適切に欠損なく形成されることで、大きさの異なるガス分子に対するMWF型ゼオライトの分子篩効果が働き、CO2は細孔内に入れるが、CH4は細孔内に入りにくくなるためCO2/CH4の吸着量比を最大にできると考えられる。この観点から、Aの値が大きいことも重要であり、B/Aは0.83以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ましく、0.79以下であることがさらに好ましく、0.78以下であることがよりさらに好ましい。
つまり、B/Aの範囲は、微細な構造が明瞭で、Si−OあるいはAl−O結合に欠損が少なく、ガス吸着サイトの欠損が発生しにくいこと、及び高次構造が明瞭で、細孔が適切に形成されており、MWF型ゼオライトの分子篩効果が働くことの観点から0.61〜0.83の範囲である。
また、2θ=51.6°付近のピークは(18 18 0)の回折ピークであり、このピーク高さをCとした場合、B/AはSN比が高く、高さ比を比較しやすいのに対し、C/AはCが高角反射であり、結晶格子の変化に対し、ピークそのものの測定精度が高いことからB/A、C/Aのいずれも適切な範囲にすることでCO2/CH4選択性高くなるが、C/Aを用いることでより高精度となり、CO2/CH4の吸着量比を更に高める観点から、C/Aが0.36以上であることが好ましく、0.37以上であることがより好ましく、0.38以上がさらに好ましい。
ピーク高さCとAとの関係についても、上記と同様の観点から、C/Aが0.52以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.48以下であることがさらに好ましい。
ここで、2θ=51.6°付近のピークとは51.6°±0.4°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
他にも、2θ=12.7°付近のピークは(5 4 1)の回折ピークであり、結晶軸の3方向に逆格子ベクトルを持つ回折である。従って、このピーク高さをDとした場合、Dは結晶の軸の3方向の歪みに対する感度がある。一方、Aは8員環構造等の長周期構造の数と結晶性を反映することから、D/Aは8員環構造等の長周期構造に対する3方向の結晶格子の歪みを表しており、D/Aが高い方が結晶格子に歪みが少なく等方的であると言える。結晶格子に潜在的な歪みが少ない方が細孔の空間が保持されることから、D/Aが一定以上の値とすることで細孔径に入ることができる小さいガス分子が入りやすく、かつ、脱離しやすい傾向になり、ゼオライトの細孔内にガス吸着させて分離する際に、吸着分子を脱着して再生して用いるのに適している。好ましいD/Aは0.75以上であり、0.78以上であることがより好ましく、0.80以上がさらに好ましい。
ここで、2θ=12.7°付近のピークとは12.7°±0.2°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
なお、上記B/A及びC/Aの値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、いずれも、混合ゲルの組成比、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
〔ガス飽和吸着量〕
本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、次のように特定することもできる。すなわち、当該MWF型ゼオライト及び二酸化炭素を25℃、760mmHgの系に置いた場合に測定される当該MWF型ゼオライトの二酸化炭素飽和吸着量をa(cm3/g)とし、また、当該MWF型ゼオライト及びメタンを25℃、760mmHgの系に置いた場合に測定される当該MWF型ゼオライトのメタン飽和吸着量をb(cm3/g)とするとき、aをbで除した値(a/b)が23以上である。
また、本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、次のように特定することもできる。すなわち、MWF型ゼオライト及び二酸化炭素を25℃、760mmHgの系に置いた場合に測定される当該MWF型ゼオライトの二酸化炭素飽和吸着量aが25℃、760mmHgで10cm3/g以上であり、当該MWF型ゼオライト及びメタンを25℃、760mmHgの系に置いた場合に測定される当該MWF型ゼオライトのメタン飽和吸着量bが3.5cm3/g以下である。
本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、このような特徴を有することから示唆されるように、純度が高く、二酸化炭素(CO2)吸着の選択性が高い。すなわち、本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、二酸化炭素(CO2)に対する吸着能が高く、メタンに対する吸着能が低く、二酸化炭素(CO2)に対する飽和吸着量とメタン(CH4)に対する飽和吸着量との比が大きいものということができる。このように、本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、その純度の高さ及び二酸化炭素(CO2)吸着の選択性の高さから、当該MWF型ゼオライトによる吸着量の大きい気体成分と小さい気体成分とを分離することができる。すなわち、この吸着能の差を利用して気体を分離する用途に好適に用いることができる。
上記の各飽和吸着量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記a/bの値は、例えば、後述するMWF型ゼオライトの製法方法に基づいてMWF型ゼオライトを製造すること等により、上記範囲に調整することができる。より詳細には、後述する混合ゲルの成分・組成、水熱合成温度、焼成温度などを最適化することで、MWF型骨格の結晶が適切に形成される、結晶内の欠陥が少なくなる、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制されている、焼成においてMWF型骨格が保たれている等の要因が推定され、結果としてa/bの値が増加する傾向にある。ただし、上記作用機序に限定されるものではない。一方、混合ゲルの組成を後述する好ましい範囲から変更する場合や、反応温度を高温にするなどしてMWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトが多く形成される場合、選択性は低下する傾向にある。
さらに、上記の各飽和吸着量a及びbについても、例えば、後述するMWF型ゼオライトの製法方法に基づいてMWF型ゼオライトを製造すること等により、それぞれ上記範囲に調整することができる。より詳細には、MWF型骨格より大きい細孔径、及び異なる骨格を有するゼオライトが形成する場合、CO2飽和吸着量もCH4飽和吸着量も増加する傾向にある。また、細孔が塞がれるなどした場合には、CO2飽和吸着量もCH4飽和吸着量も減少する傾向にある。
〔合成方法〕
本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源、アルミニウムを含むアルミ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源、及び水を含有する混合ゲルの調製工程を含むものである。
以下、混合ゲル及びこれに含まれる各成分について説明する。
〔混合ゲルの調製工程〕
混合ゲルの調製工程は、特に限定されないが、例えば、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を一時にあるいは多段階で混合する混合工程と、この混合工程で得られた混合物の熟成工程とを含んでもよい。
混合工程は、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を含むこれら成分を一時にあるいは多段階で混合することができる。
多段階で混合する際の順序は限定されず、用いる条件により適宜選択すればよい。多段階で混合する際には、撹拌あるいは無撹拌のどちらで行ってもよいが、MWF型ゼオライトの構成要素であり、有機構造規定剤を含有しないと考えられるgis構造を形成させる前駆体を作る観点から、アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源を含む混合液を用い、撹拌工程と熟成工程があることが好ましい。アルミ源とシリカ源を混合し、熟成する際には、AlとSiの過度な縮合反応を抑制し、前駆体の形成と均一混合を両立させる観点から、低温にすることが好ましい。具体的には、混合、撹拌、熟成工程の温度は15℃以下であることが好ましい。混合、撹拌、熟成工程の時間は、過度な縮合反応を防げ、十分に均一混合できる観点から、10分以上、24時間以下が好ましく、20分以上、12時間以下がさらに好ましく、30分以上、8時間以下が最も好ましい。
MWF型ゼオライト内部構造であるgis構造の前駆体を形成してから、それらを囲み、有機構造規定剤を含有するltaやpau構造の前駆体を形成させてMWF型ゼオライトの骨格形成を促す観点から、アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源を先に混合させて、これらを含む混合液に有機構造規定剤を添加することが好ましい。アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源に有機構造規定剤を混合した混合ゲルの混合、撹拌、熟成工程の温度及び時間は過度な縮合反応を防げ、十分に均一混合できる観点から、15℃以下、10分以上、24時間以下が好ましく、12℃以下、20分以上、12時間以下がさらに好ましく、10℃以下、45分以上、8時間以下が最も好ましい。以上により、微細構造と長周期構造が適切に形成され、高結晶化することで、B/Aと半値幅が最適化され、高CO2選択性が得られると推定している。
撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
混合工程の時間は、特に限定されず、混合工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
混合工程における原料の添加速度は、経済性に優れる観点から、速い方が、生産効率が高く好ましい。一方で、AlとSiの過度な縮合反応を抑制し、前駆体の形成と均一混合を両立させる観点から、添加速度は遅い方が好ましい。これらの観点から、100cc程度の混合ゲルを調整する場合、0.1cc/min以上100cc/min以下であることが好ましく、0.2cc/min以上50cc/min以下であることがさらに好ましく、0.5cc/min以上10cc/min以下であることが最も好ましい。
熟成工程は静置あるいは撹拌のどちらで行ってもよい。
熟成工程で撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
〔混合ゲル〕
本実施形態における混合ゲルとは、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、及び水を必須成分として含み、好ましくは有機構造規定剤を含む混合物のことである。
シリカ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれる珪素の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルミ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルミニウムの原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルカリ金属源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原料となる該混合ゲル中の成分をいう。
〔シリカ源〕
シリカ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミノシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。ここで、無定形アルミノシリケートゲルは、シリカ源であるとともにアルミ源となる。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲルであることが好ましい。同様の観点から、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカであることがより好ましい。
コロイダルシリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Ludox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)、Snowtex(登録商標)が挙げられる。
湿式法シリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Hi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)、Zeosil(登録商標)、Carplex(登録商標)、Mizukasil(登録商標)、Sylysia(登録商標)、Syloid(登録商標)、Gasil(登録商標)、Silcron(登録商標)、Nipgel(登録商標)、Nipsil(登録商標)が挙げられる。
乾式法シリカは、例えば、HDK(登録商標)、Aerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)、ArcSilica(登録商標)が挙げられる。
〔アルミ源〕
アルミ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、金属アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。同様の観点からアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムであることがより好ましく、アルミン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
〔アルカリ金属源〕
アルカリ金属源におけるアルカリの種類は特に限定されず、任意のアルカリ金属、及び/又は任意のアルカリ土類金属化合物を使用することができる。
アルカリ金属源は、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。これらの化合物は、単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は、通常Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba等を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、Na、Kであることが好ましく、Naであることがより好ましい。また、アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、アルカリ金属源としては、以下に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化ルビジウム、酢酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムがより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
〔有機構造規定剤〕
混合ゲルを水熱合成することによってゼオライトを製造する場合の有機構造規定剤は、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用をする化合物である。ゼオライトの結晶化においては、必要に応じて有機構造規定剤を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、有機構造規定剤を含む混合ゲルを用いて合成する方が好ましい。
有機構造規定剤は、所望のMWF型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、有機構造規定剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
有機構造規定剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン類、4級アンモニウム塩類、アルコール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、アルキルチオ尿素類、シアノアルカン類、ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物類を用いることができ、好ましくは4級アンモニウム塩、より好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、さらに好ましくはテトラエチルアンモニウム塩を用いる。
このような塩は、アニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、以下に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンが含まれる。これらの中で、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点からハロゲンイオン、水酸化物イオンであることが好ましく、ハロゲンイオンであることがより好ましい。
〔混合ゲルの組成比〕
混合ゲル中のシリカ源とOH-の比は、SiO2に対するOH-のモル比、すなわちOH-/SiO2で表す(OH-はアルカリ金属源、及び/又は有機構造規定剤に含まれる水酸化物イオンである)。本実施形態におけるMWF型ゼオライトを合成するには、前駆体オリゴマーを合成する条件を制御することが望ましい。
8員環構造が欠損なく形成されることで分子篩効果が発現し、CH4吸着量が低減する。8員環構造等の高次構造に由来するピークAの強度比が高い、すなわち、8員環構造を明瞭に形成させるためには、gis構造等やその前駆体が崩壊することなく組み上がって高次構造を形成することが望ましい。これらの観点から、成長したゼオライトの再溶解を防ぐことが好ましく、溶解を抑制するためにはOH-が少ない方が好ましい。
一方で、8員環や骨格を構成する微細構造、すなわち、Si−OやAl−Oの結合に欠損や歪みがあるとCO2吸着サイトが低減し、CO2吸着量が低減する可能性がある。この様な微細構造が欠損や歪みなく形成された場合は、ピークAに帰属する面と平行で、より微細な構造に由来するピークBやCが相対的に高くなる。Si−OあるいはAl−Oの欠損や結合の歪を発生させないためには、原料となるシリカ源やアルミ源をより溶解させる方が好ましく、これらをより溶解させるためにはOH-が多い方が好ましい。
したがって、CO2吸着量が多いと同時にCH4吸着量が少ないMWF型ゼオライトはB/AとC/Aが特定の範囲にある場合に限られる。発明者が鋭意検討した結果、合成液中に存在するOH-の量は、SiO2に対し、0.10≦OH-/SiO2≦0.60であれば、Si−OあるいはAl−Oの欠損や結合の歪を発生させることなく、B/AとC/Aを特定比にすることができるMWF型ゼオライトを合成できる。
OH-/SiO2は上記の範囲の中でも、0.15以上であることがより好ましく、0.18以上であることがさらに好ましい。
OH-/SiO2は上記の範囲の中でも、0.40未満であることがより好ましく、0.35以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のシリカ源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al23として表す。
このSiO2/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、5.0以上が好ましく、6.0以上であることがより好ましい。同様の観点から、6.8以上であることがさらに好ましい。
SiO2/Al23は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。同様の観点から、7.8以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源とアルカリ金属源の比は、Al23に対するM12OとM2Oの加算モル比、すなわち(M12O+M2O)/Al23として表す(ここで、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す)。なお、この(M12O+M2O)/Al23は、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、1.3以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。同様の観点から、1.7以上であることがさらに好ましい。
(M12O+M2O)/Al23は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から3.2以下であることが好ましく、2.5以下がより好ましい。同様の観点から、2.2以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中に有機構造規定剤を含む場合は、混合ゲル中のアルミ源と有機構造規定剤の比は、Al23に対する有機構造規定剤のモル比、すなわちR/Al23として表す(ここでRは有機構造規定剤を示す)。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、2.0以上であることが好ましく、3.0以上がより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、4.0以上であることがさらに好ましい。
R/Al23は、合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、20以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源と水の比は、Al23に対する水のモル比、すなわちH2O/Al23として表す。混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制でき、結晶性の高いMWF型ゼオライトを生成できる観点から、300以上であることがさらに好ましい。
2O/Al23が高いと結晶性は向上するが、結晶成長の核の発生数が少なくなり、結晶子サイズは大きくなると同時に、粒子径も大きくなる傾向にある。さらに成長中の結晶同士が接触して一体化することも少なくなるため、結晶子の数が少なく粒界や結晶欠陥の少ない単結晶に近い高結晶性MWFの成長が可能となる。高い結晶性はMWFの8員環構造を明瞭に形成するため、二酸化炭素の選択性の向上のために重要であるが、実際に吸着剤としてPSAやTSAに用いる場合は粒子径が小さく表面積が多く、二酸化炭素の吸着サイトが多数存在することで吸着容量を増やすことと、結晶子の粒界や欠陥など、ガスの拡散の速い経路が存在することで吸脱着速度が速いことも重要である。したがって、結晶性が高すぎると吸着剤としての性能は低下してしまうため、H2O/Al23は高すぎると好ましくない。さらに、H2O/Al23が低い方が合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる。以上の観点から、500未満であることが好ましく、490以下であることがより好ましく、さらに485以下であることがさらに好ましい。
以上のとおり、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源と、アルミニウムを含むアルミ源と、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源と、水と、を含有する混合ゲルの調製工程を含み、前記混合ゲルにおける各成分のモル比を、前記珪素、アルミニウム、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)については各元素の酸化物として算出するとき、下記式(1)、(2)、(3)及び(4)で表されるモル比α、β、γ、δが、5.0≦α≦12、1.3≦β≦3.2、100≦γ<500及び0.10≦δ≦0.60を満たすことがとりわけ好ましい。本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、上述した本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法により得られるものであることが特に好ましい。
α=SiO2/Al23 (1)
β=(M12O+M2O)/Al23 (2)
γ=H2O/Al23 (3)
δ=OH-/SiO2 (4)
さらに、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法において、モル比α、β、γ、δが上記範囲を満たし、かつ、混合ゲルが、さらに有機構造規定剤Rを含み、かつ、下記式(5)で表されるモル比εが、2.0≦ε≦50を満たすことが一層好ましい。
ε=R/Al23 (5)
必ずしも混合ゲル中に種結晶を存在させる必要は無いが、予め製造したMWF型ゼオライトを種結晶として混合ゲルに添加して、本実施形態におけるMWF型ゼオライトを得ることもできる。
〔水熱合成工程〕
本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法において、水熱合成温度が100℃〜170℃である水熱合成工程をさらに含むことが好ましい。すなわち、好ましくは、調製工程により得た混合ゲルを所定の温度で、所定の時間、撹拌又は静置状態で保持することにより水熱合成する。
水熱合成の温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、合成時間が短くなり、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、100℃以上であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることがさらに好ましい。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、170℃以下であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、155℃以下であることがより好ましく、145℃以下であることがさらに好ましい。
水熱合成の温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
水熱合成の時間は一般的に用いられる時間であれば特に限定されず、水熱合成の温度により適宜選択することができる。
水熱合成の時間は、MWF骨格が形成される点から、3時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましい。MWF型ゼオライトの収量が高まり、経済性に優れる観点から、さらに好ましくは24時間以上である。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、30日以下であることが好ましく、20日以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、10日以下であることがさらに好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを入れる容器は一般的に用いられる容器であれば特に限定されないが、所定の温度において容器内の圧力が高まる場合、又は、結晶化を阻害しない気体加圧下とする場合には、耐圧容器に入れ、水熱合成することが好ましい。
耐圧容器は、特に限定されず、例えば、球形状、縦長状、横長状等の各種の形状を用いることができる。
耐圧容器内の混合ゲルを撹拌する際には、耐圧容器を上下方向に及び/又は左右方向に回転させるが、好ましくは上下方向に回転させる。
耐圧容器を上下方向に回転させる場合、その回転速度は一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、1〜50rpmが好ましく、10〜40rpmであることがより好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを好ましく撹拌するには、耐圧容器として縦長のものを用い、これを上下方向に回転させる方法が挙げられる。
〔分離・乾燥工程〕
水熱合成工程後、生成物である固体と水を含む液体とを分離するが、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔焼成工程〕
必要に応じて、MWF型ゼオライトを焼成して用いることができる。焼成する温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、有機構造規定剤を除去したい場合、その残っている割合を少なくできることから、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。焼成の時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、400℃以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、550℃未満であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましい。
焼成する時間は、有機構造規定剤が十分除去される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、有機構造規定剤が残っている割合を少なくできる傾向にあることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、20日以下であることが好ましく、10日以下であることがより好ましく、7日以下であることがさらに好ましい。
焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔カチオン交換〕
必要に応じて、MWF型ゼオライトを、所望のカチオン型へカチオン交換を行うことができる。カチオン交換は、以下に限定されないが、例えば、NH4NO3、LiNO3、NaNO3、KNO3、RbNO3、CsNO3、Be(NO32、Ca(NO32、Mg(NO32、Sr(NO32、Ba(NO32など硝酸塩、あるいは前記硝酸塩に含まれる硝酸イオンがハロゲン化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオンである塩、硝酸や塩酸などの酸を用いることができる。
カチオン交換の温度は、一般的なカチオン交換の温度であれば特に限定されないが、通常、室温から100℃以下である。
カチオン交換後のゼオライトを分離する際、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
さらに、アンモニウム型ゼオライトは該ゼオライトを焼成することによりプロトン型ゼオライトに変換することもできる。
<吸着剤の成型方法>
GIS型ゼオライト、K型GIS型ゼオライト及びMWF型ゼオライトは粉末状で得られることから成型して吸着剤として用いることが好ましい。本実施形態におけるゼオライトを成型することで吸着剤の充填や交換の際に作業が容易になるほか、適切な形状とすることでガスの拡散性を向上させ、より高効率に二酸化炭素を吸着することができる。
成型方法は特に限定されないが、粉末を圧縮成型する方法、バインダーと混合し、押出し成型する方法、バインダーや溶媒と混合し、支持体に塗布する方法などが挙げられる。
圧縮成型する方法は、適当な大きさの型に成型したいゼオライトを入れ、40kgN/cm2程度の圧力をかけて成型し、適度に粉砕したものを篩によって大きさをそろえることで成型できる。
押出し成型する場合は、バインダーと予め混合してから押出し成型する方法等が挙げられる。バインダーは、シリカ、アルミナ、ムライト、カオリン、カーボンや有機物を適当に混合して用いることが出来る。他にも炭素繊維やセルロースなどを用いることもできる。セルロースは水酸基があるためゼオライトとの密着性がよく、繊維状なため成型体内部でのガスの拡散性を高めることができる。押出し成型体の形状は特に限定されないが、棒状、俵状、中空状、ハニカム状等が挙げられる。棒状、俵状の場合は直径1から5mm程度で連続押出しし、2から20mm程度の長さで切断することで得られる。俵状の場合は、打錠成型してもよい。中空状やハニカム状の場合も押出し口の形状を変えることで、棒状と同様に成型することが出来る。
支持体に塗布する場合は、ゼオライトとバインダーと溶媒を適当に混合し、塗布、噴霧、ディップコートなどの方法で支持体に混合液を塗り、乾燥して溶媒を除去する方法等が挙げられる。バインダーにはシリカ、アルミナ、ムライト、カオリン、カーボン、有機物、炭素繊維、セルロース等を用いることが出来る。支持体はシリカ、アルミナ、ムライトなどの無機材料粒子を焼結した多孔質体や、ポリエチレン、PETなどを用いた有機物の多孔質フィルム、カーボン繊維やセルロース等を抄紙したフィルムやパルプなどを用いた一般的な紙を用いることもできる。フィルム状の支持体を用いた場合はロール状やスペーサーを設置して束ねた形状にして容器に充填することができる。支持体を用いてこれらの形状とすることで、ガス拡散性を向上させ、ガス吸着効率を向上させることができる。さらに支持体に高熱伝導性材料を用いた場合は、ガス吸着前の吸着剤の冷却やガス脱離時の加熱の際に短時間で処理が可能となることに加え、吸着熱と気化熱の熱交換をする場合は効率を高めることができる。
<ガス吸着装置>
本実施形態のガス分離方法を実施する上で、分離対象となる原料ガスが吸着剤に接触することで特定のガスを分離できればよく、種々公知のガス吸着装置を用いることができる。ガス吸着装置の構成についても特に限定されないが、次に挙げるような装置が例示できる。
図1はPSAに用いるガス吸着装置の例である。原料タンク6に貯蔵された二酸化炭素を含む原料ガスは、精製手段1を経て、除塵、除湿、脱硫、脱硝が行われ、吸着剤を充填した容器2a及び2bのいずれか一方に導入される。原料ガスと同等の圧力まで容器の圧力が高まったら上流のバルブを閉じ、下流のバルブを開けて残留ガスを除去する。残留ガスを除去した後、ポンプ3により原料ガスの圧力よりも下げて、吸着剤に吸着された二酸化炭素を脱離する。脱離を行っている時に先に吸着を行わなかった容器の吸着剤に二酸化炭素を吸着させることで吸着工程と脱離工程を同時に行うことができるため高効率で二酸化炭素の吸着回収が行える。一般的に脱離工程の方が時間を要することから、容器をさらに複数増設してより時間的な効率を上げることもできる。脱離により得られた二酸化炭素を含むガスはCO2タンク4に回収される。回収したガスの二酸化炭素の濃度をさらに高めたい場合は、ポンプ5により圧力を高め、再度容器2a及び2bのいずれか一方に導入して二酸化炭素を吸着させてもよいし、原料ガスと混合して吸着を行ってもよい。吸着の際には吸着熱が発生し、脱離の際には気化熱による冷却が起きることから、容器を熱交換器に接続し、伝熱させることで投入エネルギーを低減することもできる。
図2はTSAに用いるガス吸着装置の例である。原料タンク16に貯蔵された二酸化炭素を含む原料ガスは、精製手段11を経て、除塵、除湿、脱硫、脱硝が行われ、吸着剤を充填した容器12a及び12bのいずれか一方に導入される。ガス導入が完了したら上流のバルブを閉じ、下流のバルブを開けて二酸化炭素が除去された残留ガスを除去する。次にCO2タンク14に回収された二酸化炭素をヒーター15で加熱し、二酸化炭素を吸着した容器に導入し、吸着剤を加熱して二酸化炭素を脱離、除去する。除去した二酸化炭素はCO2タンク14に回収される。二酸化炭素を除去した後の吸着剤は自然冷却、あるいは熱交換器13等で冷却される。冷却している間にもう一方の容器の吸着剤で二酸化炭素を含む原料ガスの二酸化炭素を吸着させることで、時間的な効率を向上させることが出来る。さらに吸着の際には吸着熱が発生し、脱離の際には気化熱による冷却が起きることから、熱交換器13を用いて熱交換させることで投入エネルギーを低減することもできる。
上記の他、PSAに用いるガス吸着装置としても特に限定されず、例えば、図1に例示したガス吸着装置と図2に例示したガス吸着装置の各構成を適宜組み合わせたガス吸着装置を用いることができる。
PSA、TSA又はPTSAによるガス吸着装置の運転条件としても特に限定されず、種々公知の条件を採用して本実施形態のガス分離方法を実施することができる。
本実施形態のガス分離方法において、分離対象となる原料ガスは特に限定されないが、炭化水素、メタン、窒素、一酸化炭素、水素、ヘリウム及びアルゴンからなる群より選択される少なくとも1種と二酸化炭素とを含む混合ガスであることが好ましい。すなわち、当該混合ガスから、二酸化炭素を分離することが好ましい。
以下に実施例等を挙げて本実施形態を更に詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本実施形態として実施することができ、かかる変更は本実施形態の所定の要件を満たす限りにおいて、本発明の範囲に包含される。
〔結晶構造解析〕
結晶構造解析は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られた乾燥物を試料として、メノウ乳鉢で粉砕した。
(2)上記(1)の試料を粉末用無反射試料板上に均一に固定し、下記条件で結晶構造解析を行った。
X線回折装置(XRD):リガク社製粉末X線回折装置「RINT2500型」(商品名)
X線源:Cu管球(40kV、200mA)
測定温度:25℃
測定範囲:5〜60°(0.02°/step)
測定速度:0.2°/分
スリット幅(散乱、発散、受光):1°、1°、0.15mm
(3)得られたX線回折スペクトルをXRDデータ解析ソフト「PDXL2」(ソフト名、リガク社製)を用い、解析ソフト内の設定値「αカット値」を3.00としてデータ解析を行い、ピークの2θの値、ピークの高さを計測した。この時、ピークが検出されなかった場合はピーク高さを0とした。
〔ガス吸着分離性能評価〕
図3は吸着剤のガス吸着分離性能評価装置(PSA、TSA及びPTSAのいずれの方法にも対応する装置)である。原料ガスタンク25に分離対象となる原料ガスを充填した。この原料ガスの組成は10質量%のCO2と90質量%のN2であった。原料ガスはマスフローコントローラ21で流量を調整し、恒温槽26の中に設置された、吸着剤を充填した容器22を流通させた。容器22には後述する実施例又は比較例で製造した吸着剤と原料ガスとが接触するように吸着剤を充填した。吸着剤でガス分離精製されたガスは流量計23を通り、GC−MS(質量分析)24により組成分析し、原料ガスとの差から、吸着されたガスの量を算出した。吸着剤は吸着前に恒温槽で250℃、12時間以上保持し、吸着された水やガス分子を脱離させてから吸着量測定を行うこととした。吸着性能の評価としては、ガス吸着分離した後のガスのCO2濃度が1%以下となる時間(破過時間)から吸着の速さを評価し、再びCO2濃度が1%以上となるまでの時間と流量から吸着剤で吸着したCO2の量を算出し、吸着容量を評価した。
〔実施例1〕
水155.48gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)8.78gと、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)16.4gと水ガラス3号(キシダ化学製)248.3gを混合し、18分間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=12.0、β=Na2O/Al23=4.0、γ=P25/Al23=0.0、δ=H2O/Al23=150、ε=R/Al23=0.0であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った1000mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、撹拌なしで130℃、6日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.42°にピークがあり、半値幅は0.42°であった。また、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、A/Bは1.77であった。
得られたGIS型ゼオライトにγ−アルミナを10wt%混合し、直径3mm、高さ2mmに打錠成型した。成型体を335℃で4時間加熱して焼結したものを吸着剤とした。
吸着剤10gをガス吸着分離性能評価装置のSUS製の容器に入れ、水や吸着分子を脱離させた後、原料ガスを100cc/分で流通させ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間を測定したところ、15秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は400ccであった。
〔実施例2〕
水1554.8gとし、δ=H2O/Al23=1500として、ゲルの混合時間を60分間撹拌して、水熱合成時間を135℃、10日間とした以外は実施例1と同様にして、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.42°にピークがあり、半値幅は0.07°であった。また、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、A/Bは1.79であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は19秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は380ccであった。
〔比較例1〕
水98.47gとし、δ=H2O/Al23=95として、ゲルの混合時間を180分間撹拌して、水熱合成時間を115℃、1日間とした以外は実施例1と同様にして、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.42°にピークがあり、半値幅は0.51°であった。また、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、A/Bは1.55であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は30秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は190ccであった。
〔比較例2〕
水2073.07gとし、δ=H2O/Al23=2000として、ゲルの混合時間を180分間撹拌して、水熱合成時間を110℃、18日間とした以外は実施例1と同様にして、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.42°にピークがあり、半値幅は0.04°であった。また、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、A/Bは1.88であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は35秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は220ccであった。
〔実施例3〕
水194.33gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.98gと、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)20.50gと水ガラス3号(キシダ化学製)310.4gを混合し、25分間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=12.0、β=Na2O/Al23=3.0、γ=P25/Al23=0.0、δ=H2O/Al23=150、ε=R/Al23=0.0であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った1000mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、撹拌なしで120℃、3日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライト10gを0.05Nの硝酸カリウム水溶液5000mLに入れ、60℃で3時間、400rpmで撹拌した。生成物をろ過して120℃で乾燥した後、カチオンの一部がカリウムに交換された粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.71°にピークがあり、半値幅は0.53°であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は13秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は420ccであった。
〔実施例4〕
水1554.64gとし、δ=H2O/Al23=1200として、ゲルの混合時間を40分間、水熱合成を撹拌なしで125℃、10日間とした以外は実施例3と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライト10gを実施例3と同じ方法でカチオンの一部がカリウムに交換された粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.70°にピークがあり、半値幅は0.10°であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は18秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は405ccであった。
〔比較例3〕
水98.46gとし、δ=H2O/Al23=95として、ゲルの混合時間を120分間、水熱合成を撹拌なしで110℃、1日間とした以外は実施例3と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライト10gを実施例3と同じ方法でカチオンの一部がカリウムに交換された粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.72°にピークがあり、半値幅は0.57°であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は31秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は205ccであった。
〔比較例4〕
水2331.96gとし、δ=H2O/Al23=1800として、ゲルの混合時間を180分間、水熱合成を撹拌なしで110℃、18日間とした以外は実施例3と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライト10gを実施例3と同じ方法でカチオンの一部がカリウムに交換された粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには12.71°にピークがあり、半値幅は0.05°であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は35秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は210ccであった。
〔実施例5〕
水85.69gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)2.73gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)4.91gを添加して溶解させ、水溶液を得た。この水溶液を10℃で撹拌しながらコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)32.01gを2cc/minの速度で添加した。この溶液を13℃で1時間撹拌した後、有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)33.45gを添加して混合し、13℃で4時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=7.1、β=Na2O/Al23=2.1、γ=H2O/Al23=175、δ=OH-/SiO2=0.32、ε=R/Al23=5.3であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数40rpmで保持しながら125℃で4日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには11.11°にピークがあり、半値幅は0.30°であった。また、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、B/Aは0.67であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は16秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は380ccであった。
〔実施例6〕
水626.73gとし、δ=H2O/Al23=1280として、ゲルの混合時間を300分間、水熱合成を125℃、25日間とした以外は実施例5と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには11.11°にピークがあり、半値幅は0.07°であった。また、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、B/Aは0.78であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は19秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は385ccであった。
〔比較例5〕
水44.07gとし、δ=H2O/Al23=90として、ゲルの混合時間を240分間、水熱合成を135℃、1日間とした以外は実施例5と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには11.12°にピークがあり、半値幅は0.37°であった。また、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、B/Aは0.66であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は38秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は195ccであった。
〔比較例6〕
水734.45gとし、δ=H2O/Al23=1500として、ゲルの混合時間を240分間、水熱合成を130℃、40日間とした以外は実施例5と同じ方法で粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトのXRDを測定、得られたスペクトルよりK型のGIS型ゼオライトが生成していることが分かった。スペクトルには11.11°にピークがあり、半値幅は0.07°であった。また、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、B/Aは0.80であった。
実施例1と同様に吸着剤を作成し、実施例1と同じ方法でガス吸着分離性能評価を行ったところ、流通後から処理後のガスのCO2濃度が1質量%以下になる時間は37秒であった。再び処理後のガスのCO2濃度が1質量%以上になるまでに吸着したCO2の量は190ccであった。
本発明によれば、PSA、TSA又はPTSAによるガス分離方法であって、GIS型ゼオライト、K交換型GIS型ゼオライト又はMWF型ゼオライトを吸着剤として用い、吸着容量が十分なガス分離方法を提供することができる。
1 精製(除塵、除湿、脱硫、脱硝)手段
2a,2b 吸着剤を充填した容器
3 ポンプ
4 CO2タンク
5 ポンプ
6 原料タンク
11 精製(除塵、除湿、脱硫、脱硝)手段
12a,12b 吸着剤を充填した容器
13 熱交換器
14 CO2タンク
15 ヒーター
16 原料タンク
21 マスフローコントローラ
22 吸着剤を充填した容器
23 流量計
24 GC−MS
25 原料タンク
26 恒温槽

Claims (4)

  1. 吸着剤を用いて、温度スイング式吸着ガス分離法、圧力スイング式吸着ガス分離法又は圧力・温度スイング式吸着脱離法によりガスの分離を行う方法であって、
    前記吸着剤が、XRDスペクトルにおける2θ=12.4°付近のピークの半値幅が0.05°以上0.44°以下であるGIS型ゼオライト、XRDスペクトルにおける2θ=12.7°付近のピークの半値幅が0.08°以上0.55°以下であるK交換型GIS型ゼオライト、及びXRDスペクトルにおける2θ=11.1°付近のピークの半値幅が0.06°以上0.31°以下であるMWF型ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、ガス分離方法。
  2. 前記吸着剤が、前記GIS型ゼオライトを含み、当該GIS型ゼオライトが、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=12.4及び21.6°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、1.37<A/Bを満たす、請求項1に記載のガス分離方法。
  3. 前記吸着剤が、前記MWF型ゼオライトを含み、当該MWF型ゼオライトが、2θ=11.1及び13.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.61≦B/A≦0.83を満たす、請求項1又は2に記載のガス分離方法。
  4. 炭化水素、メタン、窒素、一酸化炭素、水素、ヘリウム及びアルゴンからなる群より選択される少なくとも1種と二酸化炭素とを含む混合ガスから、前記二酸化炭素を分離する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離方法。
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