JP2023147269A - ゼオライト成形体、吸着装置、及び精製ガスの製造方法 - Google Patents

ゼオライト成形体、吸着装置、及び精製ガスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素の吸着に対する耐脆化性に優れるゼオライト成形体、これを含む吸着装置、及びこれを用いる精製ガスの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】二酸化炭素を吸着可能なゼオライトを含む、ゼオライト成形体であって、前記ゼオライトの平均粒子径Lが、1.8μm以上である、ゼオライト成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ゼオライト成形体、吸着装置、及び精製ガスの製造方法に関する。
ゼオライトは、吸着剤、乾燥剤、分離剤、触媒、触媒用担体、洗剤助剤、イオン交換剤、排水処理剤、肥料、食品添加物、化粧品添加物などとして用いることができ、中でもガス分離用途として有用なものである。
例えば、ゼオライトの中でも、IZA(International Zeolite Association)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでGIS構造のものは、GIS型ゼオライトと呼ばれる。GIS型ゼオライトは酸素8員環で構成された細孔を有するゼオライトである。かかるGIS型ゼオライトについては、例えば、特許文献1において、二酸化炭素に対する吸着能を有するGIS型ゼオライトが合成されており、吸着材としてGIS型ゼオライトを用いた際に、二酸化炭素の分離、回収、精製に用いることが示されている。
国際公開WO2019/202933号
吸着材を用いた二酸化炭素の分離、回収、精製を行う場合については、圧力スイング式吸着分離法、温度スイング式吸着分離法、又は圧力・温度スイング式吸着分離法などが用いられる。これらの方法において、ゼオライトは、カラムなどに充填して用いられる。装置内で微粉状のゼオライトが流路に蓄積して閉塞しないようにするため、ゼオライトを賦形し、ペレット状のゼオライト成形体として用いられる。当該ゼオライト成形体の性能として、使用条件に対して十分な耐久性を有することが求められる。
二酸化炭素を吸着可能なゼオライトを含むゼオライト成形体は、より多量の二酸化炭素を吸着すると、成形体が脆化して、ペレット状のゼオライト成形体であれば粉化するという課題を見出した。当該脆化によって、吸着装置内で微粉が発生し圧力損失などにより装置の連続運転が難しくなる。
本発明は、二酸化炭素の吸着に対する耐脆化性に優れるゼオライト成形体、これを含む吸着装置、及びこれを用いる精製ガスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、平均粒子径を所定の範囲とするゼオライトを成形体とすることで、当該課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
<1>
二酸化炭素を吸着可能なゼオライトを含む、ゼオライト成形体であって、
前記ゼオライトの平均粒子径Lが、1.8μm以上である、
ゼオライト成形体。
<2>
前記ゼオライトが、10cc/g以上の二酸化炭素吸着量を有する、<1>に記載のゼオライト成形体。
<3>
前記ゼオライトが、GIS型ゼオライトである、<1>又は<2>に記載のゼオライト成形体。
<4>
前記GIS型ゼオライトのシリカアルミナ比が3.40以上である、<3>に記載のゼオライト成形体。
<5>
GIS型ゼオライト中のカチオン種としてカリウム又はリチウムを含む、<3>又は<4>に記載のゼオライト成形体。
<6>
GIS型ゼオライト中のアルカリ金属の物質量の合計値(T)に対するカリウム及びリチウムの物質量の合計値(Z)の割合(Z/T)が、0.05以上である、<5>に記載のゼオライト成形体。
<7>
29Si-MAS-NMRスペクトルで観測されるQ4(3Al)、Q4(2Al)、Q4(1Al)、Q4(0Al)に帰属されるピーク面積強度をそれぞれ、a、b、c、dとし、(a+d)/(b+c)≧0.192を満たす、GIS型ゼオライトを含む、<3>~<6>のいずれかに記載のゼオライト成形体。
<8>
担体を含む、<1>~<7>のいずれかに記載のゼオライト成形体。
<9>
前記担体が、無機結合剤及び有機結合剤を含む、<8>に記載のゼオライト成形体。
<10>
前記GIS型ゼオライトと前記担体の質量比が、GIS型ゼオライト:担体として、1:99~99:1である、<8>又は<9>に記載のゼオライト成形体。
<11>
円柱状の形状を有する、<1>~<10>のいずれかに記載のゼオライト成形体。
<12>
長さが3mm以上30mm以下であり、かつ、直径が1mm以上30mm以下である、<11>に記載のゼオライト成形体。
<13>
<1>~<12>のいずれかに記載のゼオライト成形体を含む、吸着装置。
<14>
<13>に記載の吸着装置を用い、H2、N2、O2、Ar、CO、及び炭化水素からなる群より選択される2種以上の気体を含む混合物から、CO2、H2O、He、Ne、Cl2、NH3、及びHClからなる群より選択される1種以上を分離する分離工程を含む、精製ガスの製造方法。
<15>
前記分離工程における、圧力スイング式吸着分離法、温度スイング式吸着分離法、又は圧力・温度スイング式吸着分離法により前記気体の分離を行う、<14>に記載の製造方法。
本発明によれば、二酸化炭素の吸着に対する耐脆化性に優れるゼオライト成形体、これを含む吸着装置、及びこれを用いる精製ガスの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る吸着装置を例示する図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[ゼオライト成形体]
本実施形態に係るゼオライト成形体は、二酸化炭素を吸着可能なゼオライトを含み、当該ゼオライトの平均粒子径Lが1.8μm以上である。当該ゼオライト成形体は、二酸化炭素の吸着に対する耐脆化性に優れる。本実施形態によれば、含有するゼオライトの粒子径を制御することで、ゼオライト成形体中におけるゼオライトの結着点を制御することが可能で、膨張収縮に起因した劣化に対する耐久性を有するゼオライト成形体、これを含む吸着装置、これを用いる精製ガスの製造方法及びゼオライト成形体の製造方法を提供できると考えられる。
(ゼオライト)
ゼオライトの平均粒子径Lは、二酸化炭素の吸着に対する耐脆化性を向上させる観点から、1.8μm以上であり、より好ましくは2.0μm以上であり、さらに好ましくは6.5μm以上である。平均粒子径Lは、その上限は特に制限されないが、100.0μm以下であってもよく、50.0μm以下であってもよく、30.0μm以下であってもよい。平均粒子径Lは、ゼオライト成形体中のゼオライトの平均粒子径を意味する。平均粒子径Lは、ゼオライト成形体の断面をエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)による元素マッピングにより測定されるゼオライトの平均粒子径である。平均粒子径Lは、より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。後述のゼオライトの製造方法における、分離・乾燥工程で、水熱合成終了後、攪拌を停止してから一定時間の静置後に、沈降した粉体を回収することで、粒子径の大きいゼオライトを回収することが可能である。
ゼオライトは、10cc/g以上の二酸化炭素吸着量を有することが好ましい。ゼオライトの二酸化炭素吸着量は、好ましくは20cc/g以上であり、より好ましくは40cc/g以上であり、更に好ましくは50cc/g以上である。ゼオライトの二酸化炭素吸着量は、その上限は特に限定されないが、例えば100cc/以下である。二酸化炭素吸着量は、25℃におけるゼオライト1g当たりの二酸化炭素吸着容量(cc)である。より詳細には、実施例に記載の方法により測定される。
二酸化炭素を吸着可能なゼオライトとしては、例えば、GIS型ゼオライト、FAU型ゼオライト、MWF型ゼオライト等が挙げられる。これらの中でもGIS型ゼオライトが好ましい。
本実施形態に係るGIS型ゼオライトのシリカアルミナ比(SiO2/Al23で表記されるシリカとアルミナのモル比を表し、以下、単に「SAR」ともいう)が低い程、親水性となり、二酸化炭素のような極性分子の吸着力が強くなる。SARが低いと、吸着力が強すぎるために、加熱や真空引きによって脱着させるために必要なエネルギーが大きくなるため、SARは高い方が好ましい。GIS型ゼオライトのSARは好ましくは3.40以上であり、より好ましくは4.40以上であり、より好ましくは4.50以上であり、さらに好ましくは4.69以上であり、さらに好ましくは4.90以上であり、さらに好ましくは5.40以上であり、さらに好ましくは6.01以上である。SARの上限は特に制限されないが、SARが高すぎると吸着質に対する相互作用が小さくなるため、ゼオライトのSARは、3000以下が好ましく、より好ましくは500以下であり、さらに好ましくは100以下であり、さらに好ましくは50以下であり、さらに好ましくは30以下であり、さらに好ましくは20以下である。ゼオライト成形体におけるゼオライトのSARは29Si-MAS-NMRを測定することで求める。SARは、より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。SARは、混合ゲル中の水とOH-の量比等により調整可能である。
脱着させるために必要なエネルギーの観点から、SARは高い方が好ましい一方で、GIS型ゼオライトにおいてSARが高くなると、二酸化炭素の吸脱着等温線における吸脱着ヒステリシスが顕在化することが確認される。本実施形態に係るGIS型ゼオライトでは、ゼオライト骨格中のSi及びAlの結合様式を制御することで、二酸化炭素の吸脱着等温線における吸脱着ヒステリシスを解消できる。具体的には、29Si-MAS-NMRスペクトルで観測されるQ4(3Al)、Q4(2Al)、Q4(1Al)、Q4(0Al)に帰属されるピーク面積強度をそれぞれ、a、b、c、dとし、(a+d)/(b+c)≧0.192を満たすことが好ましく、より好ましくは0.913≧(a+d)/(b+c)≧0.195であり、さらに好ましくは0.519≧(a+d)/(b+c)≧0.199である。29Si-MAS-NMRスペクトルで観測されるQ4(3Al)、Q4(2Al)、Q4(1Al)、Q4(0Al)といったピークはゼオライト骨格中におけるSi及びAlの結合様式を表し、面積強度の和である(a+d)、(b+c)はそれらの結合様式の存在量の和、(a+d)/(b+c)は存在比を表す。Si及びAlの結合様式の存在比は吸着時、脱着時におけるゼオライト骨格自体の構造変化に影響を与えるため、ゼオライト骨格中におけるSi及びAlの結合様式の存在比である(a+d)/(b+c)を適切な範囲とすることで吸脱着等温線における吸脱着ヒステリシスを解消できる。(a+d)/(b+c)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。(a+d)/(b+c)を所定範囲とするためには、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属を含む塩化合物を添加し、塩化合物の添加によりもたらされるカチオンとアルミ源の量比等により調整することが可能である。
二酸化炭素の選択的吸着能を向上させる観点から、GIS型ゼオライト中のカチオン種として、カリウム又はリチウムを含むことが好ましく、カリウムを含むことがより好ましい。また、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの合計含有量は、GIS型ゼオライト中のアルカリ金属の物質量の合計値(T)に対するカリウム及びリチウムの物質量の合計値(Z)の割合(Z/T)として算出する。Z/Tは、0.05以上であることが好ましく、より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上である。Z/Tの上限は特に制限されないが、Z/Tは1.00以下であってもよい。Z/Tは、ゼオライトを水酸化ナトリウム水溶液又は王水で熱溶解し、適宜希釈した液を用いてICP-発光分光分析することで測定することができる。Z/Tは、より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。Z/Tは、GIS型ゼオライトのカチオン種のカリウム及びリチウムの割合を変更することで調整できる。
GIS型ゼオライト中のアルカリ金属の各々の物質量の合計値(T)に対するカリウムの物質量の合計値(K)の割合(K/T)が、0.05以上であることが好ましく、より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上である。K/Tの上限は特に制限されないが、K/Tは1.00以下であってもよい。
ゼオライトの含有量は、ゼオライト成形体の全量100質量%に対して、好ましくは、50質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。また、ゼオライトの含有量は、ゼオライト成形体の全量100質量%に対して98質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよい。
(GIS型ゼオライトの合成方法)
本実施形態に係るGIS型ゼオライトの製造方法は、例えば、珪素を含むシリカ源、アルミニウムを含むアルミ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含む塩化合物、リンを含むリン源、有機構造規定剤及び水を含有する混合ゲルの調製工程を含むものとすることができる。以下、混合ゲル及びこれに含まれる各成分について説明する。
〔混合ゲル〕
本実施形態における混合ゲルとは、シリカ源、アルミ源、塩化合物、及び水を成分として含み、必要に応じてリン源、アルカリ源、有機構造規定剤を含む混合物のことである。
シリカ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれる珪素の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルミ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルミニウムの原料となる該混合ゲル中の成分をいい、塩化合物とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原料となる成分をいい、アルカリ源とは、該混合ゲルのアルカリ性を調整する成分をいい、リン源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるリンの原料となる該混合ゲル中の成分をいう。
〔シリカ源〕
シリカ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ケイ酸、ケイ酸塩、有機ケイ酸化合物等が挙げられる。より具体例には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミノシリケート、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。ここで、アルミノシリケートは、シリカ源であるとともにアルミ源となる。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、又は沈降シリカであることが好ましい。
〔アルミ源〕
アルミ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、金属アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。同様の観点からアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムであることがより好ましく、アルミン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
〔塩化合物〕
塩化合物は、ゼオライトを製造する場合に、ゼオライト構造への結晶化を促進させるLi、Na、K、Rb、Csといったアルカリ金属や、Ca、Mg、Sr、Baといったアルカリ土類金属を含む化合物である。添加する塩化合物に含まれるアルカリ金属、及びアルカリ土類金属としては、GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、Na、Kであることが好ましく、Naであることがより好ましい。また、塩化合物は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、塩化合物としては、以下に限定されないが、例えば、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、チオナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、シアン化ナトリウム、メタスズ酸ナトリウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸ナトリウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ニクロム酸ナトリウム、
硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、チオ硫酸カリウム、亜硝酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、ギ酸カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、チオカリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、シアン化カリウム、メタスズ酸カリウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸カリウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、ニクロム酸カリウム、
硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、チオ硫酸リチウム、亜硝酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、リン酸リチウム、酢酸リチウム、ギ酸リチウム、クエン酸リチウム、シュウ酸リチウム、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、チオリチウム、ケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、塩素酸リチウム、過塩素酸リチウム、シアン化リチウム、メタスズ酸リチウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸リチウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸リチウム、過マンガン酸リチウム、クロム酸リチウム、ニクロム酸リチウム、
硫酸ルビジウム、亜硫酸ルビジウム、チオ硫酸ルビジウム、亜硝酸ルビジウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、リン酸ルビジウム、酢酸ルビジウム、ギ酸ルビジウム、クエン酸ルビジウム、シュウ酸ルビジウム、フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、チオルビジウム、ケイ酸ルビジウム、メタケイ酸ルビジウム、四ホウ酸ルビジウム、塩素酸ルビジウム、過塩素酸ルビジウム、シアン化ルビジウム、メタスズ酸ルビジウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸ルビジウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸ルビジウム、過マンガン酸ルビジウム、クロム酸ルビジウム、ニクロム酸ルビジウム、
硫酸セシウム、亜硫酸セシウム、チオ硫酸セシウム、亜硝酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、リン酸セシウム、酢酸セシウム、ギ酸セシウム、クエン酸セシウム、シュウ酸セシウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、チオセシウム、ケイ酸セシウム、メタケイ酸セシウム、四ホウ酸セシウム、塩素酸セシウム、過塩素酸セシウム、シアン化セシウム、メタスズ酸セシウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸セシウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸セシウム、過マンガン酸セシウム、クロム酸セシウム、ニクロム酸セシウム、
硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、チオマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸マグネシウム、四ホウ酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、シアン化マグネシウム、メタスズ酸マグネシウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸マグネシウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸マグネシウム、過マンガン酸マグネシウム、クロム酸マグネシウム、ニクロム酸マグネシウム、
硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、チオカルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、四ホウ酸カルシウム、塩素酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、シアン化カルシウム、メタスズ酸カルシウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸カルシウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸カルシウム、過マンガン酸カルシウム、クロム酸カルシウム、ニクロム酸カルシウム、
硫酸ストロンチウム、亜硫酸ストロンチウム、チオ硫酸ストロンチウム、亜硝酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、ギ酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、チオストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム、メタケイ酸ストロンチウム、四ホウ酸ストロンチウム、塩素酸ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、シアン化ストロンチウム、メタスズ酸ストロンチウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸ストロンチウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸ストロンチウム、過マンガン酸ストロンチウム、クロム酸ストロンチウム、ニクロム酸ストロンチウム、
硫酸バリウム、亜硫酸バリウム、チオ硫酸バリウム、亜硝酸バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム、リン酸バリウム、酢酸バリウム、ギ酸バリウム、クエン酸バリウム、シュウ酸バリウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、チオバリウム、ケイ酸バリウム、メタケイ酸バリウム、四ホウ酸バリウム、塩素酸バリウム、過塩素酸バリウム、シアン化バリウム、メタスズ酸バリウム、ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸バリウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸バリウム、過マンガン酸バリウム、クロム酸バリウム、ニクロム酸バリウム、等が挙げられる。
〔アルカリ源〕
アルカリ源は、ゼオライトを製造する場合に、ゼオライト構造への結晶化を促進するために、混合ゲル中のアルカリ性(pH)を調整する目的で用いられる。用いるアルカリはアルカリ性を示す化合物であればよく、無機化合物、有機化合物どちらでもよいが、コストの面から無機化合物である方が好ましく、より好ましくはアルカリ金属水酸化物が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、より好ましくは水酸化ナトリウムが挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
リン源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、リン酸水溶液、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、リン酸水溶液、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムであることが好ましい。同様の観点からリン酸水溶液、リン酸ナトリウムであることがより好ましく、リン酸水溶液であることがさらに好ましい。
〔有機構造規定剤〕
混合ゲルを水熱合成することによってゼオライトを製造する場合の有機構造規定剤は、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用をする化合物である。ゼオライトの結晶化においては、必要に応じて有機構造規定剤を用いることができる。
有機構造規定剤は、所望のGIS型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、有機構造規定剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
有機構造規定剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン類、4級アンモニウム塩類、アルコール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、アルキルチオ尿素類、シアノアルカン類、ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物類を用いることができ、好ましくはアルキルアミン類、より好ましくはイソプロピルアミンを用いる。
このような塩は、アニオンを伴うものがある。このようなアニオンを代表するものには、以下に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンが含まれる。これらの中で、GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点からハロゲンイオン、水酸化物イオンであることが好ましく、ハロゲンイオンであることがより好ましい。
〔混合ゲルの組成比〕
本実施形態において、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属を含む塩化合物を添加することが、適切な構造を持ったGIS型ゼオライトを合成するために最も重要である。ゼオライトの生成は、水溶媒に溶解したシリカ源、アルミ源が溶解しながら反応し、結晶化していくが、塩化合物の添加によってゼオライト骨格中におけるSi及びAlの結合様式やその存在比を調整することが可能で、理想的な結晶構造を有するGISを合成することが可能となる。
また、塩化合物の添加によりもたらされるカチオンとアルミ源の比は特に重要である。混合ゲル中の塩化合物によりもたらされるカチオンとアルミ源の比は、Al23に対するカチオン量Eの加算モル比、すなわちE/Al23として表す。ここで、Eは塩化合物からもたらされるカチオンのモル量を表し、例えば、硝酸ナトリウムを添加した場合、カチオン種としてNa+が生成し、炭酸ナトリウムでは2Na+が生成するとし、塩化合物の添加により生じたカチオン種の加算モル量をEで表す。E/Al23により、混合ゲル中におけるAlの凝集状態を変化させることができ、ゼオライト結晶形成時のAlのランダム性を制御することに繋がり、理想的な結晶構造を有するGIS型ゼオライトを合成することが可能となる。以上の観点からE/Al23を最適に制御する必要があり、E/Al23は、好ましくは0.1以上100.0以下であり、より好ましくは、0.5以上80.0以下であり、さらに好ましくは0.8以上50.0以下である。
また、混合ゲル中の水とOH-の比(H2O/OH-)は、適切なSARを有するGIS型ゼオライトを合成するために重要である。OH-とは、アルカリ源として用いるNaOHやCa(OH)2等の無機水酸化物やテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機水酸化物に由来するOH-であり、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムのように酸化物で表されるものや、その水和物を水に溶解させた際に排出されるOH-は含まない。ゼオライトの生成は、水溶媒に溶解したシリカ源、アルミ源、アルカリ源が結晶化していく反応と共に、一部がアルカリ性の溶媒に溶出しており、結晶化と再溶解の平衡が起きている。NaOHやCa(OH)2等の無機水酸化物やテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機水酸化物に由来するOH-を混合ゲル中に加えるということは、この結晶化と再溶解の平衡を再溶解側にずらすことを意味している。再溶解は非晶質や結晶性が低い部分から溶解が進む。したがって、適度にOH-を増やすことで不完全な結晶部分を再溶解させ、再度結晶化させることを繰り返し、理想的な結晶構造の形成を増やしていくことができる。一方で、OH-が増えすぎると、過度な溶解が進み、結晶が得られなかったり、他の結晶相、例えばより安定な構造であるANA型ゼオライトが生成してしまう。また、溶解したアルミナはシリカより反応性が高く、アルミナの方が結晶に取り込まれやすい。そこで、OH-を適度の調整することで、結晶化と再溶解の速度を調整し、結晶に取り込まれるシリカとアルミナの比を最適化して、合成されるGIS型ゼオライトのSARを最適にすることができる。
水とアルミナの比(H2O/Al23)が高いと混合ゲル中の成分がより均一に分散されやすくなるが、高すぎると結晶化速度を著しく低下させてしまう。したがって、結晶化と再溶解の平衡に影響を及ぼすことから、最適なSARを持ち、最適な結晶構造を持つGIS型ゼオライトを合成するためには、H2O/OH-の制御と共にH2O/Al23を最適に制御する必要がある。
以上の観点から、H2O/Al23及びH2O/OH-は、好ましくは100≦H2O/Al23≦780及び50≦H2O/OH-≦1000であり、より好ましくは120≦H2O/Al23≦778及び60≦H2O/OH-≦800であり、さらに好ましくは150≦H2O/Al23≦775及び70≦H2O/OH-≦700である。
混合ゲル中のシリカ源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al23として表す。(なお、合成したゼオライトの比と混合ゲルのシリカアルミナ比は一致しない。その他の組成や合成条件によって、合成ゼオライトのシリカアルミナ比は決まる。)
この混合ゲル中のSiO2/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、3.0以上70.0以下が好ましく、3.5以上65.0以下がより好ましく、4.0以上60.0以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源とアルカリ金属及びアルカリ土類金属の比は、Al23に対するM12OとM2Oの加算モル比、すなわち(M12O+M2O)/Al23として表す(ここで、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す。これらを酸化物として算出する。)。なお、この(M12O+M2O)/Al23は、GIS型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、1.5以上であることが好ましく、1.6以上であることがより好ましく、1.65あることがさらに好ましい。(M12O+M2O)/Al23は、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から15.0以下であることが好ましく、12.0以下であることがより好ましく、10.0以下がさらに好ましい。
混合ゲル中のリン源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちP25/Al23として表す。このP25/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、1.0未満が好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましく、0であることがとりわけ好ましい。
混合ゲル中に有機構造規定剤を含む場合は、混合ゲル中のアルミ源と有機構造規定剤の比は、Al23に対する有機構造規定剤のモル比、すなわちR/Al23として表す(ここでRは有機構造規定剤を示す)。GIS型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、7.0未満であることが好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。有機構造規定剤を用いた場合、ゼオライト細孔内に有機構造規定剤が残存し、二酸化炭素が細孔内に入れず、吸着量が減る。有機構造規定剤を除去するためには少なくとも400℃以上に加熱する必要があるが、GIS型ゼオライトは350℃以上で結晶が崩壊、アモルファス化するため、有機構造規定剤は少ない方が好ましい。その観点での好ましいR/Al23は4.0以下であり、3.5以下がより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。
以上のとおり、本実施形態に係るGIS型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源と、アルミニウムを含むアルミ源と、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ源と、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含む塩化合物と、リン源と、水と、を含有する混合ゲルの調製工程を含み、前記混合ゲルにおける各成分のモル比を、前記珪素、アルミニウム、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)、リン源については各元素の酸化物として算出するとき、下記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)で表されるモル比α、β、γ、δ、ε、ζが、0.1≦α≦100.0、3.0≦β≦70.0、1.5≦γ≦15.0、0≦δ<1.0、100≦ε≦780及び50≦ζ≦1000を満たすことが好ましく、0.5≦α≦80.0、3.5≦β≦65.0、1.6≦γ≦12.0、0≦δ≦0.6、120≦ε≦778及び60≦ζ≦800を満たすことがより好ましく、0.8≦α≦50、4.0≦β≦60.0、1.65≦γ≦10.0、0≦δ≦0.4、150≦ε≦775及び70≦ζ≦700を満たすことがさらに好ましい。本実施形態に係るGIS型ゼオライトは、上述した本実施形態に係るGIS型ゼオライトの製造方法により得られるものであることが特に好ましい。
α=E/Al23 (1)
β=SiO2/Al23 (2)
γ=(M12O+M2O)/Al23 (3)
δ=P25/Al23 (4)
ε=H2O/Al23 (5)
ζ=H2O/OH- (6)
さらに、本実施形態に係るGIS型ゼオライトの製造方法において、モル比α、β、γ、δ、ε、ζが上記範囲を満たし、かつ、混合ゲルが、さらに有機構造規定剤Rを含む場合、下記式(7)で表されるモル比ηが、η≦4を満たすことが好ましい。
η=R/Al23 (7)
必ずしも混合ゲル中に種結晶を存在させる必要は無いが、予め製造したGIS型ゼオライトを種結晶として混合ゲルに添加して、本実施形態に係るGIS型ゼオライトを得ることもできる。
〔混合ゲルの調製工程〕
混合ゲルの調製工程は、特に限定されないが、例えば、シリカ源、アルミ源、塩化合物、水、及び必要に応じてリン源、アルカリ源、有機構造規定剤を一時にあるいは多段階で混合する混合工程と、この混合工程で得られた混合物の熟成工程とを含んでもよい。
混合工程は、シリカ源、アルミ源、塩化合物、水、及び必要に応じてリン源、アルカリ源や有機構造規定剤を含むこれら成分を一時にあるいは多段階で混合することができる。
多段階で混合する際の順序は限定されず、用いる条件により適宜選択すればよい。多段階で混合する際には、撹拌あるいは無撹拌のどちらで行ってもよい。撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
混合工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、-20℃以上80℃未満が挙げられる。
混合工程の時間は、特に限定されず、混合工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
熟成工程は静置あるいは撹拌のどちらで行ってもよい。熟成工程で撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
熟成工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、-20℃以上80℃未満が挙げられる。
熟成工程の時間は、特に限定されず、熟成工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
ゼオライトは原料の混合工程、熟成工程において、原料の溶解とゼオライト前駆体の生成及び再溶解が起きていると考えられる。8員環を含む大きな周期構造が欠陥等を生じずに形成するためには、ゼオライト前駆体の形成が過度に進んでいない方が好ましい。また、ゼオライトの前駆体の形成が過度に進んだ場合、より安定な構造であるANA型ゼオライトの生成が増加する傾向にあることからも過度に熟成しないことが好ましい。一方で原料は十分に混合し、原料ゲルが均一な状態が好ましい。混合工程と熟成工程を合わせた時間は、適切な構造のゼオライトを得るため、原料の組成等に基づいて適宜調整すればよく、特に限定されない。上記時間は、典型的には、1分以上24時間未満が好ましく、3分以上23時間未満がより好ましく、10分以上18時間以下がさらに好ましく、12分以上15時間以下がよりさらに好ましく、20分以上6時間以下が一層好ましい。
〔水熱合成工程〕
本実施形態に係るGIS型ゼオライトの製造方法において、水熱合成温度が80℃~200℃である水熱合成工程をさらに含むことが好ましく、当該水熱合成温度は100℃~180℃であることがより好ましい。すなわち、好ましくは、調製工程により得た混合ゲルを所定の温度で、所定の時間、撹拌又は静置状態で保持することにより水熱合成する。
水熱合成の温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、合成時間が短くなり、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、80℃以上であることが好ましい。GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。GIS型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、170℃以下であることがさらに好ましい。水熱合成の温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
水熱合成の時間は一般的に用いられる時間であれば特に限定されず、水熱合成の温度により適宜選択することができる。水熱合成の時間は、GIS骨格が形成される点から、3時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましい。高結晶性のGIS型ゼオライトが得られる観点から、さらに好ましくは24時間以上である。ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、水熱合成の時間は30日以下であることが好ましく、20日以下であることがより好ましく、10日以下であることがさらに好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを入れる容器は一般的に用いられる容器であれば特に限定されないが、所定の温度において容器内の圧力が高まる場合、又は、結晶化を阻害しない気体加圧下とする場合には、耐圧容器に入れ、水熱合成することが好ましい。耐圧容器は、特に限定されず、例えば、球形状、縦長状、横長状等の各種の形状を用いることができる。
耐圧容器内の混合ゲルを撹拌する際には、耐圧容器を上下方向に及び/又は左右方向に回転させるが、好ましくは上下方向に回転させる。耐圧容器を上下方向に回転させる場合、その回転速度は一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、1~50rpmが好ましく、10~40rpmであることがより好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを好ましく撹拌するには、耐圧容器として縦長のものを用い、これを上下方向に回転させる方法が挙げられる。
〔分離・乾燥工程〕
水熱合成工程後、生成物である固体と水を含む液体とを分離するが、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔焼成工程〕
必要に応じて、GIS型ゼオライトを焼成して用いることができる。焼成する温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、有機構造規定剤を除去したい場合、その残っている割合を少なくできることから、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。焼成の時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、360℃以上であることがさらに好ましい。ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、450℃未満であることが好ましく、420℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることがさらに好ましい。
焼成する時間は、有機構造規定剤が十分除去される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、有機構造規定剤が残っている割合を少なくできる傾向にあることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましい。ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、10日以下であることが好ましく、7日以下であることがより好ましく、5日以下であることがさらに好ましい。
焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔カチオン交換〕
必要に応じて、GIS型ゼオライトを、所望のカチオン型へカチオン交換を行うことができる。カチオン交換は、以下に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩、あるいは硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウムなどの硝酸塩、あるいは前記炭酸塩、硝酸塩に含まれる炭酸イオン、硝酸イオンをハロゲン化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン又はリン酸水素イオンに変更した塩、硝酸や塩酸などの酸を用いることができる。
カチオン交換の温度は、一般的なカチオン交換の温度であれば特に限定されないが、通常、室温から100℃以下である。
カチオン交換後のゼオライトを分離する際、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
さらに、アンモニウム型ゼオライトは該ゼオライトを焼成することによりプロトン型ゼオライトに変換することもできる。
(担体)
本実施形態に係るゼオライト成形体は、担体を含むことが好ましい。担体としては、例えば、無機結合剤、有機結合剤が挙げられる。
無機結合剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア等の無機酸化物、ベントナイト、カオリン等の粘土鉱物、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウムが挙げられる。アルミナとしては、例えば、α-アルミナ、γ-アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、ダイアスポアが挙げられる。シリカとしては、例えば、コロイダルシリカ、水ガラス、ヒュームドシリカ、シリカゾル、湿式法シリカ、乾式法シリカ、天然シリカが挙げられる。これらの無機結合剤は単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの無機結合剤の中でも、ゼオライト成形体の強度を高める観点から、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニアが好ましく、シリカ及びアルミナがより好ましい。
無機結合剤の含有量としては、ゼオライト成形体の全量(100質量%)に対し、1~99質量%が好ましく、5~90質量%がより好ましく、8~80質量%がさらに好ましい。
有機結合剤としては、例えば、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ラテックス、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、アクリル、ポリアミド、ウレア、メラミン、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ブチルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムが挙げられる。これらの有機結合剤は単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの有機結合剤の中でも、GIS型ゼオライトとの表面結合の観点から、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましく、セルロース、メチルセルロース、及びポリビニルアルコールがより好ましい。
有機結合剤の含有量としては、ゼオライト成形体の全量(100質量%)に対し、1~99質量%が好ましく、5~90質量%がより好ましく、8~80質量%がさらに好ましい。
なお、上述の無機結合剤、有機結合剤をそれぞれ1種類以上含むことが好ましい。
担体の合計含有量としては、ゼオライト成形体の全量(100質量%)に対し、1~99質量%が好ましく、5~90質量%がより好ましく、8~80質量%がさらに好ましい。担体の含有量を高くすると、成形体は強度が高くなる傾向にあるが、ゼオライト自体の含有量が低くなる傾向にある。そのため、担体の含有量は、用途により求められる強度や性能などを考慮し、調整してもよい。
ゼオライト成形体の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、円柱状、楕円状、俵型、三つ葉型、リング状、粉状などが挙げられる。これらの中でも、球状、円柱状がさらに好ましい。成形体の大きさは特に制限ないが、成形体を使用する状況により変化する。例えば、固定床や移動床など、流動状態以外で成形体を用いるプロセスの使用においては、長さ3mm以上30mm以下及び直径1mm以上30mm以下の円柱状であることが好ましい。円柱の長さは、より好ましくは3mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは3mm以上8mm以下である。円柱の直径は、より好ましくは2mm以上4mm以下である。
上記長さ及び直径は、最小読み取り値が0.1mm以下のノギスを用いた、ノギス法によりペレットの長さ及び直径を3つのサンプルに対して測定を行い、その平均値を長さ及び直径として測定することができ、例えば分級等の操作によって上述した範囲に調整することができる。
流動床など成形体を流動させて用いるプロセスへの使用においては、粉体として粒子径20μm以上300μm以下の粒子であることが好ましい。上記粒子径は、より好ましくは20μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは30μm以上100μm以下である。粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計(Microtrac社製MT3000)を用い、付属のマニュアルに従いに従いメディアン径(D50)として測定できる。
本実施形態に係るゼオライト成形体の圧縮強度は、1.0MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2.2MPa以上であり、さらに好ましくは3.4MPa以上である。とりわけ、本実施形態に係るゼオライト成形体が粉状である場合、上述の範囲を満たすことが好ましい。
上記圧縮強度は、微小圧縮試験機(島津製作所製MCT-W500、圧縮強度測定)を用い、20回測定して得られた値の平均値として、測定することができ、例えば焼成温度や焼成時間によって上述した範囲に調整することができる。
本実施形態に係るゼオライト成形体の破壊強度は、5N以上であることが好ましく、より好ましくは10N以上であり、さらに好ましくは20N以上である。とりわけ、本実施形態に係るゼオライト成形体がペレットである場合、上述の範囲を満たすことが好ましい。
上記破壊強度は、デジタル硬度計(株式会社藤原製作所製KHT-40N、圧子3mm、破壊強度測定)を用い、それぞれ20回測定して得られた値の平均値として、測定することができ、例えば焼成温度や焼成時間によって上述した範囲に調整することができる。
[ゼオライト成形体の製造方法]
本実施形態に係るゼオライト成形体の製造方法としては、特に限定されないが、本実施形態に係るゼオライトと、その他の任意成分(例えば担体)とを混合して調製する原料混合工程(X)と、調製した原料を成形処理に供して前駆体を得る成形処理工程(Y)と、前記前駆体を焼成してゼオライト成形体を得る焼成工程(Z)と、を含んでいてもよい。
その他、ゼオライト成形体の製造方法としては、所望のゼオライト成形体が得られる場合には、例えば、押出し成形処理、射出処理、射出・鋳込処理、転動造粒処理、圧縮成形処理、噴霧乾燥処理もしくはこれらの方法を2種以上を組み合わせた方法等により成形してもよい。
〔原料混合工程(X)〕
原料混合工程(X)において、使用される原料は、粉体、溶媒分散、ゾル状、液状など製法に合わせた状態で使用してよい。使用される原料のうち、例えば、無機結合剤を用いる場合においては、粉体、溶媒分散、ゾル状、液状など製法に合わせた状態で使用されるが、取り扱い容易性の観点から粉体、ゾル状が好ましい。これらの無機結合剤は単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。原料を混合する温度としては、特に限定されないが、例えば、10℃~80℃が好ましく、15℃~60℃がより好ましい。例えば噴霧乾燥処理の様に、原料混合後の状態がスラリー状であると、原料の温度が80℃以下の場合は、原料中の水の蒸発が抑制できる傾向にあり、原料の温度が10℃以上の場合は、スラリー中の凍結を抑制できる傾向にある。また、例えば押出成形処理の様に、原料混合後にファニキュラーからキャピラリー域の粘土状であると、原料の温度が80℃以下の場合は、粘土からの水分の蒸発が抑制され、粘土中の水分量を一定に保持しやすい傾向にあり、原料の温度が10℃以上の場合は、粘土中の水分の凍結を抑制できる傾向にある。原料を調製する際の撹拌手段としては、任意の手段を採用することがでる。例えば噴霧乾燥処理の様に、原料混合後の状態がスラリー状である場合、好ましくは撹拌翼があげられる。撹拌に使用する翼としては、具体的には、プロペラ形、パドル形、フラットパドル形、タービン形、コーン形などが挙げられる。また、効率的な撹拌を行なうために、槽内に邪魔板等を設置してもよい。撹拌機の数は、触媒原料液槽の大きさ、撹拌翼の形状などに応じて最適な条件を選択すればよい。本実施形態において、原料の撹拌時間の合計は、1分~24時間であることが好ましく、より好ましくは10分~5時間であり、更に好ましくは15分~3時間である。混合液の撹拌時間が、1分以上の場合は、原料中の組成が均一になりやすく、24時間以下の場合は、原料中の水分蒸発の影響が小さくなる傾向にある。また、例えば押出成形処理の様に、原料混合後にファニキュラーからキャピラリー域の粘土状となる場合、原料の状態に合わせて、混合機や混練機 などを選択することが好ましい。本実施形態において、原料の混合や混練時間の合計は、1分~24時間であることが好ましく、より好ましくは2分~5時間であり、更に好ましくは3分~3時間である。混合液の撹拌時間が、1分以上の場合は、原料中の組成が均一になりやすく、24時間以下の場合は、原料中の水分蒸発の影響が小さくなる傾向にある。またメチルセルロースなど、熱によりゲル化しやすい有機結合剤を配合している場合、混合機や混練機などの内部温度を前記有機結合剤の熱ゲル化温度よりも低い値で維持することにより、前記有機結合剤のゲル化を抑制でき、均一な組成の原料を得やすい傾向にある。
さらに粘土状となった原料を静置し、熟成することもできる。熟成することにより、水分が原料ゼオライトの間に行き渡りやすくなり、成形性が向上しやすくなる傾向にあるほか、ゼオライトの間に存在する空気などの気体と入れ替わり、より緻密な成形体を得られる傾向にある。
〔成形処理工程(Y)〕
成形処理工程(Y)における成形処理としては、例えば、押出し成形処理、圧縮成形処理、噴霧乾燥処理が挙げられる。
押出し成形処理としては、特に限定されないが、例えば、用いる原料(押出し成形処理においては「原料粘土」ともいう。)の性状に合わせて、押出し成形時の温度としては10℃~80℃が好ましく、15℃~75℃がより好ましい。原料粘土中の水分量は35質量%~50質量%が好ましく、38質量%~45質量%がより好ましい。水分量が50質量%以下である場合、原料粘土の柔軟性の過度な向上を防止でき、成形性が向上する傾向にあり、水分量が35質量%以上である場合、原料粘土の柔軟性の適度な低下を防止でき、成形性が向上する傾向にある。
成形処理工程(Y)として、押出し成形処理を用いる場合、押出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型、ディスクペレッター型などが挙げられる。これらの中でも特にロール型、スクリュー型、ディスクペレッター型の押出成形機で押出し成形処理を実施することが好ましい。
成形処理工程(Y)として、圧縮成形処理を用いる場合、圧縮成形機としては、特に限定されないが、例えば、一軸プレス成型、ホットプレス成型などが挙げられる。
噴霧乾燥処理においては、例えば、スラリーの噴霧化は、通常工業的に実施される回転円盤方式、二流体ノズル方式および高圧ノズル方式等の方法によって行うことができるが、特に回転円盤方式で行うことが好ましい。噴霧された液滴の乾燥における乾燥熱源としては、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機入口の温度は100℃~400℃程度とすることができ、好ましくは150℃~300℃である。乾燥機出口の温度は40℃~150℃程度とすることができ、好ましくは50℃~130℃である。
〔焼成工程(Z)〕
焼成工程(Z)における焼成温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、ゼオライトの結晶性を保持しつつ強度を確保できる傾向にあることから、550℃未満であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましい。また、焼成温度は、110℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
焼成工程(Z)における焼成時間は、担体が十分に乾燥や焼結される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、ゼオライトの結晶性を保持しつつ強度を確保できる傾向にあることから、20日以下であることが好ましく、10日以下であることがより好ましく、7日以下であることがさらに好ましい。
焼成工程(Y)における焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
焼成工程(Z)における焼成は、回転炉、トンネル炉、マッフル炉等の焼成炉を用いて行うことができる。
本実施形態に係るゼオライト成形体の用途は、特に限定されるものではなく、例えば、各種ガス及び液などの分離剤あるいは分離膜、燃料電池などの電解質膜、各種樹脂成形体のフィラー、メンブランリアクター、あるいはハイドロクラッキング、アルキレーションなどの触媒、金属、金属酸化物などの担持用触媒担体、吸着剤、乾燥剤、洗剤助剤、イオン交換剤、排水処理剤、肥料、食品添加物、化粧品添加物等として用いることができる。
上述した中でも、本実施形態に係るゼオライト成形体は二酸化炭素吸着剤として好適に用いることができる。
[吸着装置]
本実施形態に係る吸着装置は、本実施形態に係るゼオライト成形体を備える。本実施形態に係る吸着装置は、このように構成されているため、二酸化炭素を十分に吸着できると共にメタンの吸着量に対する二酸化炭素吸着の選択性が高い。そのため、例えば、天然ガスからの二酸化炭素の選択的除去等の目的にとりわけ好ましく用いることができる。
本実施形態に係る吸着装置は、本実施形態に係るゼオライトを含むゼオライト成形体を備え、図1に示す構成例であってもよい。図1に例示する本実施形態に係る吸着装置1は、容器2の内部において、入り口側と出口側の2か所に配されたフィルター3と、2つのフィルター3の間に充填された複数のゼオライト成形体4とを備えている。フィルター3としては、例えば、石英から構成されるフィルターを使用することができる。例えば、天然ガスから二酸化炭素を分離するために吸着装置1を使用する場合、上方のラインから天然ガスを導入し、フィルター3で不純物を除去した後、さらにゼオライト成形体4により選択的に二酸化炭素を吸着除去し、下方のラインからメタンリッチガスを取り出すことができる。ただし、吸着装置に供する対象は天然ガスに限定されず、吸着装置の内部構造についても図1に示す例に限定されるものではない。
[精製ガスの製造方法]
本実施形態に係る精製ガスの製造方法は、本実施形態に係るゼオライト成形体を含む吸着装置を用い、H2、N2、O2、CO、及び炭化水素からなる群より選択される2種以上の気体を含む混合物から、CO2、H2O、He、Ne、Cl2、NH3、及びHClからなる群より選択される1種以上を分離する。本実施形態においては、N2、O2、CO、及び炭化水素からなる群より選択される1種以上の気体から、CO2、H2Oからなる群より選択される1種以上を分離することが好ましい。なお、炭化水素としては、特に限定されないが、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、2-メチルプロペン、ジメチルエーテル、アセチレン等が挙げられる。
本実施形態に係るGIS型ゼオライトは特にCO2の吸着容量が多く、化学結合を介さない物理吸着が観測される。本実施形態に係るゼオライト成形体を用いた分離方法としては、特に限定されるものではないが、吸着材の再生時のエネルギーが低く経済性に優れる方法が好ましい。かかる方法の具体例としては、特に限定されないが、圧力スイング式吸着分離法、温度スイング式吸着分離法、又は圧力・温度スイング式吸着分離法のいずれかを用いることが好ましい。圧力スイング式吸着分離方法(PSA:Pressure Swing Adsorption)とは、ガスの吸着時の圧力より脱離時の圧力を下げ、高圧力時の吸着量と低圧力時の吸着量の差を利用してガスの分離を行う方法である。また、温度スイング式吸着分離方法(TSA:Thermal Swing Adsorption)とは、ガスの吸着時の温度より脱離時の温度を上げ、低温時の吸着量と高温時の吸着量の差を利用してガスの分離を行う方法である。さらに、これらを組み合わせた方法が、圧力・温度スイング式吸着脱離法(PTSA:Pressure and Therml Swing Adsorption)である。これらの方法は、種々公知の条件にて実施することができる。
以下に実施例等を挙げて本実施形態を更に詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
〔平均粒子径Lの測定〕
平均粒子径L(μm)は、以下の手順で測定を行った。
(1)ゼオライト成形体、1gを真空下で50℃、3時間処理を行った。
(2)上記(1)のゼオライト成形体を樹脂に包埋し、精密研磨にて断面出し加工が施された試料の調製を行った。
(3)上記(2)の試料をアルミニウム製走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、オスミウムコートを施し、下記条件でエネルギー分散型X線分光法(以下、「SEM-EDX」ともいう。)観察により、元素マッピング・ラインスキャンを行った。
(4)元素マッピングにおいて得られたシリコン、アルミニウムの原子数濃度よりSEM-EDXより求めたSAR(以下、「SAREDX」ともいう。)について、29Si-MAS-NMRを測定することで求めたSARを用いて表される偏差ΔS=SAREDX/SARが、0.70≦ΔS≦1.40となる面積として最大となる円状の範囲をゼオライトが存在する領域と定義し、当該の円状の領域をゼオライトの粒子径とできる。ゼオライト粒子径L(μm)は当該ゼオライトが存在する円状の領域の100の平均として算出する。
<SEM-EDXの測定条件>
SEM-EDX装置:日立ハイテク社製超高分解能分析走査電子顕微鏡「SU-70」(商品名)
加速電圧:10kV
検出器:SU―70用YAG型反射電子検出装置
EDX部:HORIBA社製「Xmax50 006」(商品名)
観察像:反射電子像
WD(試料距離):15mm
オスミウムコート装置:株式会社真空デバイス製オスミウムコーター「HPC-1SW」(商品名)
オスミウムコート加工時間:3秒
樹脂包埋:ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX-314」(商品名)4.78質量部、三洋化成工業株式会社製「DSA」(商品名)2.50質量部、日本化薬株式会社製「KAYAHARD MCD」(商品名)3.00質量部、精工化学株式会社製「セイクオールTDMP」(商品名)0.15質量部を記載順に混合し、得られた混合液をデシケーターに入れ、室温20℃下で減圧処理を行い、脱泡した。脱泡後の混合液に試料を混ぜた後、60℃・12時間で硬化した。試料量は断面出し加工後に試料同士が分散した状態(観察し易い状態)となるように調節した。
精密研磨:3M社製ダイヤモンドラッピングフィルム「トライザクト」(商品名)を用い、粒度2μmで研磨した後、粒度0.5μmで研磨した。
<解析方法>
(1)上述の方法により倍率1000倍のSEM像を10枚用意した。
(2)SEM像で確認される粒子のうち、真円度>0.80以上のもの以外はゼオライトではないと判断した。真円度はSEM像上で確認される粒子に対して、最小二乗平均法による理想の中心の円を想定し、当該円の中心を通る等角度の分割線を用いて8分割した際に得られる粒子の外形の長さのうち、最大値と最小値をそれぞれ長径dmaxと短径dminとし、真円度=dmin/dmaxで除算した数値を真円度とする。
(3)真円度>0.80以上の粒子について、EDX分析を行い、29Si-MAS-NMRスペクトルより求められたSARとの偏差ΔS=SAREDX/SARが、0.70≦ΔS≦1.40であるものをゼオライトと定義した。
(4)真円度の測定において算出した長径と短径の平均をゼオライト1個の粒子径とする。
(5)SEM像10枚中にあるすべてのゼオライトの粒子径の測定を行った。
(6)すべてのゼオライトの数平均値をゼオライトの平均粒子径Lとする。
〔X線回折;結晶構造解析〕
X線回折は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られたゼオライト成形体(350℃で24時間処理した後の乾燥物)を試料として、メノウ乳鉢で粉砕した。さらに結晶性シリコン(株式会社レアメタリック製)をゼオライト成形体(乾燥物)に対して、10質量%加え、メノウ乳鉢で均一になるまで混合したものを構造解析の試料とした。
(2)上記(1)の試料を粉末用無反射試料板上に均一に固定し、下記条件でX線回折により結晶構造解析を行った。
X線回折装置(XRD):リガク社製粉末X線回折装置「RINT2500型」(商品名)
X線源:Cu管球(40kV、200mA)
測定温度:25℃
測定範囲:5~60°(0.02°/step)
測定速度:0.2°/分
スリット幅(散乱、発散、受光):1°、1°、0.15mm
29Si-MAS-NMRスペクトル、SARの測定〕
ゼオライト成形体におけるゼオライトのSARは29Si-MAS-NMRを測定することで求めることができる。まず、ゼオライトの調湿として、デシケーターの底に水を張っておき、その上部に試料管に入れたゼオライトを48時間保持した。調湿処理を行った後、下記条件で29Si-MAS-NMRの測定を行った。
装置:JEOL RESONANCE ECA700
磁場強度:16.44 T(1H共鳴周波数700MHz)
測定核:29Si
共鳴周波数:139.08MHz
NMR管:4mmφ(ジルコニア製ローター)
測定方法:DD/MAS(dipolar decoupling magic angle spinning)
パルス幅:45°
待ち時間:50sec
積算回数:800回 (測定時間;約22時間)
MAS:10,000Hz
化学シフト基準:シリコーンゴム(-22.34ppm)外部基準
GIS型ゼオライトを含む成形体では、29Si-MAS-NMRスペクトルにおいて、次の5つのピークを示す。
(1)Q4(0Al):酸素を介してAlと全く結合していないSiのピーク
(2)Q4(1Al):酸素を介して1個のAlと結合しているSiのピーク
(3)Q4(2Al):酸素を介して2個のAlと結合しているSiのピーク
(4)Q4(3Al):酸素を介して3個のAlと結合しているSiのピーク
(5)Q4(4Al):酸素を介して4個のAlと結合しているSiのピーク
また、29Si-MAS-NMRスペクトルにおいて、それらのピーク位置は、一般的には-112ppmから-80ppmに存在し、高磁場側からQ4(0Al)、Q4(1Al)、Q4(2Al)、Q4(3Al)、Q4(4Al)に帰属できる。ゼオライト骨格中に存在するカチオン種によってピーク位置は変化し得るが、一般的には以下の範囲にピーク位置が存在する。
(1)Q4(0Al):-105ppmから-112ppm
(2)Q4(1Al):-100ppmから-105ppm
(3)Q4(2Al):-95ppmから-100ppm
(4)Q4(3Al):-87ppmから-95ppm
(5)Q4(4Al):-80ppmから-87ppm
29Si-MAS-NMRスペクトルのピーク面積強度については、解析プログラムdmfit(♯202000113バージョン)を用いて、ガウス及びローレンツ関数により解析を行い、振幅(スペクトルの最大値の高さ)、位置(スペクトル位置、ppm)、幅(スペクトルの半値全幅、ppm)、ガウス/ローレンツ比(xG/(1-x)L)の4つのパラメーターを最小二乗法のアルゴリズムで最適化計算することで得られる。こうして求められたQ4(0Al)、Q4(1Al)、Q4(2Al)、Q4(3Al)、Q4(4Al)それぞれのピーク面積をA_Q4(0Al)、A_Q4(1Al)、A_Q4(2Al)、A_Q4(3Al)、A_Q4(4Al)とし、A_Q4(0Al)、A_Q4(1Al)、A_Q4(2Al)、A_Q4(3Al)、A_Q4(4Al)の合計値をA_totalするとSARとしては以下で求めることが可能である。
SAR=100/〔A_Q4(1Al)/4+2×A_Q4(2Al)/4
+3×A_Q4(3Al)/4+4×A_Q4(4Al)/4〕×2
〔ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価〕
実施例及び比較例で得られたゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価は以下の手順で行った。
(1)ゼオライト成形体を100g秤量し、ゼオライト成形体の短径の測定を行い、当該ゼオライト成形体の短径の平均値をdsとした。dsより小さく、かつ最も大きな目開きを有するふるいをJISZ8801-1の公開目開きから選定、用意し、当該ふるいにかけて、ふるい上に残ったゼオライト成形体をCO2雰囲気下での耐脆化性評価に用いる。試験サンプルとした。
(2)試験サンプルを200℃のN2雰囲気下で3時間乾燥させた。N2雰囲気下で室温まで冷却後、室温のCO2に30分間暴露した。
(3)CO2暴露後の試験サンプルの質量W1を測定した後、上記目開きのふるいにかけ、ふるいを通過したゼオライト成形体の質量W2を測定した。式(1)にて算出した値をゼオライト成形体の粉化率[質量%]と定義し、粉化率が低いゼオライト成形体ほどCO2雰囲気下での耐脆化性を有する成形体であるとした。
〔アルカリ金属の含有量〕
ゼオライトを水酸化ナトリウム水溶液あるいは王水で熱溶解し、適宜希釈した液を用いてICP-発光分光分析(以下、「ICP-AES」ともいう、株式会社日立ハイテクサイエンス製SPS3520UV-DD:装置名)によってゼオライト中のアルミニウム、カリウムの濃度を測定した。ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、ゼオライト中のアルカリ金属の各々の物質量の合計値(T)に対するカリウム及びリチウムの物質量の合計値(Z)の割合(Z/T)として算出した。K/Tも同様にして算出した。
〔CO2吸着量及びヒステリシス量;ガス吸脱着等温線測定〕
ガス吸脱着等温線測定は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られた乾燥物を試料とし、12mmセル(Micro Meritics社製)に0.2g入れた。
(2)上記(1)のセルに入れた試料をMicro Meritics社製ガス吸着測定装置「3-Flex」(商品名)に設置し、250℃、0.001mmHg以下で12時間加熱真空脱気処理した。
(3)上記(2)の処理後のセルに入れた試料を25℃の恒温循環水中に入れ、試料の温度が25±0.2℃になった後、液化炭酸ガス(住友精化株式会社製、純度99.9質量%以上)を用いて絶対圧0.25~760mmHgまで測定した。なお、上記測定中、圧力を経時的に測定し、その圧力変動が0.001%/10sec以下となったときに飽和吸着量に達したものと判定し、25℃におけるCO2吸着量(単位:cc/g)とした。
(4)上記(3)の測定に続き、絶対圧760~0.25mmHgまで経時的に減圧処理を行い二酸化炭素の脱着等温線の測定を行った。なお、平衡判断としては、(3)と同様に、圧力変動が0.001%/10sec以下として測定を行った。
(5)二酸化炭素の吸脱着等温線におけるヒステリシス量を示す指標としては、(3)にて測定した吸着等温線75mmHgにおける平衡吸着量と、(4)にて測定した脱着等温線75mmHgにおける平衡吸着量をそれぞれ、q(Ad),q(De)としたとき、q(Ad)/q(De)をヒステリシス量を示す指標とした。q(Ad)/q(De)=1.00である場合は、ヒステリシスがないことを示し、q(Ad)/q(De)が小さいほどヒステリシスが大きい状態を示す。
〔CH4吸着量;ガス吸着等温線測定〕
ガス吸着等温線測定は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られた乾燥物を試料とし、12mmセル(Micro Meritics社製)に0.2g入れた。
(2)上記(1)のセルに入れた試料をMicro Meritics社製ガス吸着測定装置「3-Flex」(商品名)に設置し、250℃、0.001mmHg以下で12時間加熱真空脱気処理した。
(3)上記(2)の処理後のセルに入れた試料を35℃の恒温循環水中に入れ、試料の温度が25±0.2℃になった後、メタンガス(藤井商事株式会社製、純度99.99質量%以上)を用いて絶対圧0.25~760mmHgまで測定した。なお、上記測定中、圧力を経時的に測定し、その圧力変動が0.001%/10sec以下となったときに飽和吸着量に達したものと判定し、25℃におけるCH4吸着量(単位:cc/g)とした。
〔実施例1〕
水61.93gと水酸化ナトリウム(NaOH、富士フイルム和光純薬社製)0.403gと、硝酸ナトリウム(NaNO3、富士フイルム和光純薬社製)3.39gと、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2、富士フイルム和光純薬社製)1.64gとコロイダルシリカ(Ludox AS-40、固形分濃度40質量%、Grace社製)10.82gを添加し、30分間攪拌して、混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=E/Al23=4.53、β=SiO2/Al23=8.17、γ=Na2O/Al23=3.99、δ=P25/Al23=0.00、ε=H2O/Al23=431.0、ζ=H2O/OH-=376.7、η=R/Al23=0.00であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製マイクロボンベ(HIRO COMPANY製)に仕込み、マイクロボンベ上下方向に回転可能な撹拌型恒温槽(HIRO COMPANY製)によって、撹拌速度30rpm、135℃、4日間水熱合成した。水熱合成後に室温まで降温したのち、攪拌を停止した。攪拌を停止してから30分後に、沈降した生成物を回収、ろ過した後、120℃で乾燥し、粉末状のゼオライトを得た。XRDスペクトルより、得られたゼオライトがGIS型ゼオライトであることを確認した。さらに、他のゼオライトや非晶質シリカアルミナなどに由来するピークが見られなかったことから、高純度のGIS型ゼオライトであると評価した。
得られたGIS型ゼオライトについて、29Si-MAS-NMRスペクトルより、シリカアルミナ比を算出した結果、SAR=6.92であり、また、29Si-MAS-NMRスペクトルより、(a+d)/(b+c)=0.305であり、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.00(=K/T)であった。
合成で得たGIS型ゼオライト47質量部と、ポリビニルアルコール0.2質量部(三菱ケミカル株式会社製ゴーセノールN‐300)と、粉末アルミナ水和物9.6質量部(日揮触媒化成株式会社製、アルミナ含有率:70質量%)と、イオン交換水43.2質量部を混合した。
上記混合物をクレイガンにて手動で押出成形して直径1.6mmの円柱状に押し出した後、電気炉を用いて350℃で24時間、空気雰囲気下で焼成した。得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は71.9cc/gであり、q(Ad)/q(De)=0.984であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は5.4cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lは7.8μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると1.0質量%であった。
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法でゼオライトを合成し、ジェットミル装置(FS-4、セイシン企業社製)を用いて以下の条件で解砕処理を行った。
(1)原料供給量 1.0(kg/Hr)
(2)圧縮空気圧 0.7(MPaG)
(3)圧縮空気供給3.3(m3/min)
(4)処理回数 1回
解砕処理後のゼオライトについて、平均粒子径Lは2.7μmであった。シリカアルミナ比を算出した結果、SAR=6.92であり、また、(a+d)/(b+c)=0.305であり、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.00(=K/T)であった。実施例1とジェットミル処理前後で平均粒子径L以外は変化はなかった。
また、実施例1と同様の方法で成形を行い、得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は71.4cc/gであり、q(Ad)/q(De)=0.982であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は5.4cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lは2.7μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると2.6質量%であった。
〔実施例3〕
実施例1と同様の方法でゼオライトを合成し、ジェットミル装置(STJ-200、セイシン企業社製)を用いて以下の条件で解砕処理を行った。
(1)原料供給量 1.0(kg/Hr)
(2)圧縮空気圧 0.7(MPaG)
(3)圧縮空気供給3.3(m3/min)
(4)処理回数 3回
解砕処理後のゼオライトについて、平均粒子径Lは1.8μmであった。シリカアルミナ比を算出した結果、SAR=6.92であり、また、(a+d)/(b+c)=0.305であり、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.00(=K/T)であった。実施例1とジェットミル処理前後で平均粒子径L以外は変化はなかった。
また、実施例1と同様の方法で成形を行い、得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は70.7cc/gであり、q(Ad)/q(De)=0.985であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は5.0cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lは1.8μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると5.3質量%であった。
〔実施例4〕
水141.41gと水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、富士フイルム和光純薬社製)2.62gと、硝酸ナトリウム(NaNO3、富士フイルム和光純薬社製)8.53gと、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2、富士フイルム和光純薬社製)3.85gと非晶質シリカ(Perkasil SM500、Grace社製)7.41gを混合し、24時間撹拌したのち、沈降シリカ(Perkasil SM500、Grace社製)10.00g添加し、1時間攪拌して、混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=E/Al23=4.85、β=SiO2/Al23=14.00、γ=Na2O/Al23=5.16、δ=P25/Al23=0.00、ε=H2O/Al23=379.3、ζ=H2O/OH-=120.0、η=R/Al23=0.00であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った300mLのステンレス製マイクロボンベ(HIRO COMPANY製)に仕込み、マイクロボンベ上下方向に回転可能な撹拌型恒温槽(HIRO COMPANY製)によって、撹拌速度30rpm、130℃、4日間水熱合成した。水熱合成後に室温まで降温したのち、攪拌を停止した。攪拌を停止してから60分後に、沈降した生成物を回収、ろ過した後、120℃で乾燥し、粉末状のゼオライトを得た。得られたゼオライト1gを、炭酸カリウム(K2CO3、日本曹達社製)を用いて調整した0.05Nの炭酸カリウム水溶液500mLに入れ、室温で3時間、500rpmで攪拌した。生成物をろ過して120℃で乾燥し、カチオンの一部がカリウムに交換された粉末状のゼオライトを得た。XRDスペクトルより、得られたゼオライトがGIS型ゼオライトであることを確認した。さらに、他のゼオライトや非晶質シリカアルミナなどに由来するピークが見られなかったことから、高純度のGIS型ゼオライトであると評価した。
実施例1と同じ方法で各値を測定したところ、29Si-MAS-NMRスペクトルより、SARは10.1であり、(a+d)/(b+c)=0.519であり、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.97(=K/T)であった。また、合成で得たGIS型ゼオライトを実施例1と同様の方法で成形を行った後、得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は70.0cc/gであり、q(Ad)/q(De)=1.000であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は0.5cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lを測定すると20.5μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると0.0質量%であった。
〔比較例1〕
実施例1と同様の方法でゼオライトを合成し、ジェットミル装置(STJ-200、セイシン企業社製)を用いて以下の条件で解砕処理を行った。
(1)原料供給量 0.5(kg/Hr)
(2)圧縮空気圧 0.7(MPaG)
(3)圧縮空気供給3.3(m3/min)
(4)処理回数 3回
解砕処理後のゼオライトについて、平均粒子径Lは0.9μmであった。シリカアルミナ比を算出した結果、SAR=6.92であり、また、(a+d)/(b+c)=0.305であり、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.00(=K/T)であった。実施例1とジェットミル処理前後で平均粒子径L以外は変化はなかった。
また、実施例1と同様の方法で成形を行い、得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は70.7cc/gであり、q(Ad)/q(De)=0.985であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は5.0cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lは0.9μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると78.5質量%であった。
〔比較例2〕
水61.93gと水酸化ナトリウム(NaOH、富士フイルム和光純薬社製)0.403gと、硝酸ナトリウム(NaNO3、富士フイルム和光純薬社製)3.39gと、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2、富士フイルム和光純薬社製)1.64gとコロイダルシリカ(Ludox AS-40、固形分濃度40質量%、Grace社製)10.82gを添加し、30分間攪拌して、混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=E/Al23=4.53、β=SiO2/Al23=8.17、γ=Na2O/Al23=3.99、δ=P25/Al23=0.00、ε=H2O/Al23=431.0、ζ=H2O/OH-=376.7、η=R/Al23=0.00であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製マイクロボンベ(HIRO COMPANY製)に仕込み、マイクロボンベ上下方向に回転可能な撹拌型恒温槽(HIRO COMPANY製)によって、撹拌速度30rpm、135℃、4日間水熱合成した。水熱合成後に室温まで降温したのち、攪拌を停止した。攪拌を停止してから30分後に、液相の上澄み部のみを回収、ろ過した後、120℃で乾燥し、粉末状のゼオライトを得た。XRDスペクトルより、得られたゼオライトがGIS型ゼオライトであることを確認した。さらに、他のゼオライトや非晶質シリカアルミナなどに由来するピークが見られなかったことから、高純度のGIS型ゼオライトであると評価した。
実施例1と同じ方法で各値を測定したところ、29Si-MAS-NMRスペクトルより、シリカアルミナ比を算出した結果、SAR=6.92であり、また、(a+d)/(b+c)=0.305であ。り、ゼオライト中のカリウム及びリチウムの含有量は、Z/T=0.00(=K/T)であった。合成で得たGIS型ゼオライトを実施例1と同様の方法で成形を行った後、得られたゼオライト成形体のCO2の吸着等温線及び脱着等温線を測定すると、760mmHgでの吸着量は71.9cc/gであり、q(Ad)/q(De)=0.984であった。また、同様にCH4の吸着等温線について測定を行うと、760mmHgでの吸着量は5.4cc/gであった。また、ゼオライト成形体中に含まれるGIS型ゼオライトの平均粒子径Lを測定すると0.4μmであった。ゼオライト成形体のCO2雰囲気下での耐脆化性評価を行い粉化率を測定すると93.5質量%であった。
以上、実施例及び比較例の結果から、実施例に示されるゼオライト成形体は、GIS型ゼオライトの平均粒子径Lが所定値よりも大きくなることで、耐脆化性に優れることが分かる。
本発明に係るゼオライト成形体は、二酸化炭素の吸着剤として産業上利用の可能性を有する。
1 吸着装置
2 容器
3 フィルター
4 ゼオライト成形体

Claims (15)

  1. 二酸化炭素を吸着可能なゼオライトを含む、ゼオライト成形体であって、
    前記ゼオライトの平均粒子径Lが、1.8μm以上である、
    ゼオライト成形体。
  2. 前記ゼオライトが、10cc/g以上の二酸化炭素吸着量を有する、請求項1に記載のゼオライト成形体。
  3. 前記ゼオライトが、GIS型ゼオライトである、請求項1に記載のゼオライト成形体。
  4. 前記GIS型ゼオライトのシリカアルミナ比が3.40以上である、請求項3に記載のゼオライト成形体。
  5. GIS型ゼオライト中のカチオン種としてカリウム又はリチウムを含む、請求項3に記載のゼオライト成形体。
  6. GIS型ゼオライト中のアルカリ金属の物質量の合計値(T)に対するカリウム及びリチウムの物質量の合計値(Z)の割合(Z/T)が、0.05以上である、請求項5に記載のゼオライト成形体。
  7. 29Si-MAS-NMRスペクトルで観測されるQ4(3Al)、Q4(2Al)、Q4(1Al)、Q4(0Al)に帰属されるピーク面積強度をそれぞれ、a、b、c、dとし、(a+d)/(b+c)≧0.192を満たす、GIS型ゼオライトを含む、請求項3に記載のゼオライト成形体。
  8. 担体を含む、請求項1に記載のゼオライト成形体。
  9. 前記担体が、無機結合剤及び有機結合剤を含む、請求項8に記載のゼオライト成形体。
  10. 前記GIS型ゼオライトと前記担体の質量比が、GIS型ゼオライト:担体として、1:99~99:1である、請求項8に記載のゼオライト成形体。
  11. 円柱状の形状を有する、請求項1に記載のゼオライト成形体。
  12. 長さが3mm以上30mm以下であり、かつ、直径が1mm以上30mm以下である、請求項11に記載のゼオライト成形体。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のゼオライト成形体を含む、吸着装置。
  14. 請求項13に記載の吸着装置を用い、H2、N2、O2、Ar、CO、及び炭化水素からなる群より選択される2種以上の気体を含む混合物から、CO2、H2O、He、Ne、Cl2、NH3、及びHClからなる群より選択される1種以上を分離する分離工程を含む、精製ガスの製造方法。
  15. 前記分離工程における、圧力スイング式吸着分離法、温度スイング式吸着分離法、又は圧力・温度スイング式吸着分離法により前記気体の分離を行う、請求項14に記載の製造方法。
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