JP6928488B2 - Mwf型ゼオライト - Google Patents
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Description
〔1〕
平均粒子径が300nm以下である、MWF型ゼオライト。
〔2〕
平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に粒子の80%以上が分布している、〔1〕に記載のMWF型ゼオライト。
〔3〕
結晶構造解析により測定される結晶化度が88%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のMWF型ゼオライト。
本実施形態のMWF型ゼオライトは、平均粒子径が300nm以下を満たす。
本実施形態において、ゼオライトの平均粒子径は、一次粒子径を意味し、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などで測定できる。ゼオライトの一次粒子が球近似可能なときは、その直径を一次粒子径とし、球近似困難なときは、長軸径と短軸径の平均を一次粒子径とする。また平均粒子径は、100個の粒子について粒子径を測定して、その平均値として求めることができる。
具体的には、ゼオライトの粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)等により100個以上の粒子を撮影し、それらの粒子径を測定して求めることができる。電子顕微鏡観察用の試料は、ゼオライトをアルコール等の適当な溶媒に分散し、超音波洗浄を5分以上行った後、試料台に滴下してサンプリングする。チャージアップを低減し明瞭にゼオライトの形状が観察できるようにするため、厚さ5nm以下でOs等を試料表面にコーティングするのが好ましい。粒子径の測定は、上記の方法で撮影したSEM像において、その粒子の外形が明瞭に撮影されている粒子を選び、その粒子の最も長い径を測定する。粒子径は100個以上測定し、その全ての測定値の合計値を測定個数で割ったものを粒子径の平均値とする。より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のMWF型ゼオライトの平均粒子径が300nm以下であることにより、各種樹脂成形体のフィラー、各種ガスおよび液などの分離膜、燃料電池などの電解質膜及びメンブランリアクターなどの用途に用いる場合、ゼオライト粒子が小さいのでクラックの原因になることがなく、また、膜中で高分散させることができる。
一般に、樹脂とフィラーを混合し、複合膜を作成した場合、特に疎水性樹脂と親水性フィラーを混合した際には、樹脂とフィラーの密着性が低い為、界面の強度が弱い傾向にある。従って、親水性フィラーの平均粒子径が小さい方が表面積が大きく、界面が増えて脆くなる傾向にあるが、本実施形態のMWF型ゼオライトは平均粒子径が300nm以下であるため、より小さい粒子を含有した複合膜の方が、平均粒子径の大きい粒子を含有した複合膜よりも膜の強度と伸度の両方が向上し、膜としての耐久性が向上する。
平均粒子径が300nmを超えると、例えば、本実施形態のMWF型ゼオライトを触媒として用いる場合において、ゼオライト結晶内での拡散の影響が大きくなり、反応の選択率が低下するなど、各種性能が低下するため好ましくない。
本実施形態において、例えば、MWF型ゼオライト合成の際、混合ゲル中のシリカの状態を制御し、前駆体の形成及び結晶化の速度を抑制すること等により、粒子径を300nm以下に調整することができる。
粒子径の均一性を表す指標としては、平均粒径の0.8倍から1.5倍の範囲に分布している粒子の割合を用いる。粒子の割合は個数を基準として求めることができる。より具体的には、実施例に記載の方法により上記割合を求めることができる。
本実施形態のゼオライトは、平均粒径の0.8倍から1.5倍の範囲に粒子の80%以上が分布していることが好ましい。このようなMWF型ゼオライトは、各種樹脂成形体のフィラー、各種ガスおよび液などの分離膜、燃料電池などの電解質膜及びメンブランリアクターなどの用途に用いる場合、より均一な膜を得ることができる傾向にある。すなわち、上記割合が80%以上である場合、触媒、吸着剤、イオン交換剤、光学材料、膜形成等の用途において、性能や製膜状態がより均一となる傾向にある。
上記観点から、本実施形態に係るMWF型ゼオライトの平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲にある粒子の割合が85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態において、例えば、MWF型ゼオライト合成の際、混合ゲル中のシリカの状態を制御し、前駆体の形成及び結晶化の速度を抑制すること等により、上記割合を80%以上に調整することができる。
本実施形態のMWF型ゼオライトは、結晶化度が88%以上を満たすことが好ましい。
本実施形態において、MWF型ゼオライトの結晶化度は、結晶質と非晶質の合計に対する結晶質の割合のことをいい、X線回折装置(XRD)と解析ソフトウェアを用いて算出できる。
結晶化度が高い場合、触媒反応やガス吸着において、有効に使用できるMWF型ゼオライトの割合が大きくなるため、高い反応活性や吸着特性が得られる傾向にある。すなわち、結晶化度が十分に高いと非晶質の割合が過剰となることを防止でき、結晶状態と非晶質状態で性質が変わることに起因する不都合(例えば、膨張係数の異なる物質が各種樹脂成形体のフィラーや各種ガスおよび液などの分離膜中に混在することに起因するクラック)を防止でき、結果として膜機能の低下を防止できる傾向にある。
この観点から、結晶化度は88%以上であることが好ましく、89%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
なお、上記値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、いずれも、混合ゲルの原料、組成比、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
本実施形態に係るMWF型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源、アルミニウムを含むアルミ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源、及び水を含有する混合ゲルの調製工程を含むものである。以下、混合ゲル及びこれに含まれる各成分について説明する。
本実施形態における混合ゲルとは、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、及び水を必須成分として含み、好ましくは有機構造規定剤を含む混合物のことである。
シリカ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれる珪素の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルミ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルミニウムの原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルカリ金属源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原料となる該混合ゲル中の成分をいう。
シリカ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミノシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。ここで、無定形アルミノシリケートゲルは、シリカ源であるとともにアルミ源となる。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲルであることが好ましい。同様の観点から、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカであることがより好ましい。
コロイダルシリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Ludox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)、Snowtex(登録商標)が挙げられる。
湿式法シリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Hi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)、Zeosil(登録商標)、Carplex(登録商標)、Mizukasil(登録商標)、Sylysia(登録商標)、Syloid(登録商標)、Gasil(登録商標)、Silcron(登録商標)、Nipgel(登録商標)、Nipsil(登録商標)が挙げられる。
乾式法シリカは、例えば、HDK(登録商標)、Aerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)、ArcSilica(登録商標)が挙げられる。
アルミ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、金属アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。同様の観点からアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることがより好ましく、アルミン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
アルカリ金属源におけるアルカリの種類は特に限定されず、任意のアルカリ金属、及び/又は任意のアルカリ土類金属化合物を使用することができる。
アルカリ金属源は、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。これらの化合物は、単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は、通常Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba等を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、Na、Kであることが好ましく、Naであることがより好ましい。また、アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、アルカリ金属源としては、以下に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化ルビジウム、酢酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムがより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
混合ゲルを水熱合成することによってゼオライトを製造する場合の有機構造規定剤は、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用をする化合物である。ゼオライトの結晶化においては、必要に応じて有機構造規定剤を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、有機構造規定剤を含む混合ゲルを用いて合成する方が好ましい。
有機構造規定剤は、所望のMWF型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、有機構造規定剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
有機構造規定剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン類、4級アンモニウム塩類、アルコール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、アルキルチオ尿素類、シアノアルカン類、ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物類を用いることができ、好ましくは4級アンモニウム塩、より好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、さらに好ましくはテトラエチルアンモニウム塩を用いる。
このような塩は、アニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、以下に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンが含まれる。これらの中で、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点からハロゲンイオン、水酸化物イオンであることが好ましく、ハロゲンイオンであることがより好ましい。
混合ゲル中のシリカ源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al2O3として表す。
このSiO2/Al2O3は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、5.0以上が好ましく、6.0以上であることがより好ましい。同様の観点から、6.8以上であることがさらに好ましい。
SiO2/Al2O3は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。同様の観点から、7.8以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源とアルカリ金属源の比は、Al2O3に対するM12OとM2Oの加算モル比、すなわち(M12O+M2O)/Al2O3として表す(ここで、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す)。なお、この(M12O+M2O)/Al2O3は、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、1.3以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。同様の観点から、1.7以上であることがさらに好ましい。
(M12O+M2O)/Al2O3は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から3.2以下であることが好ましく、2.5以下がより好ましい。同様の観点から、2.2以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源と水の比は、Al2O3に対する水のモル比、すなわちH2O/Al2O3として表す。混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、300以上であることがさらに好ましい。
H2O/Al2O3は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、3000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、500以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のシリカ源とOH-の比は、SiO2に対するOH-のモル比、すなわちOH-/SiO2で表す(OH-はアルカリ金属源、及び/又は有機構造規定剤に含まれる水酸化物イオンである)。混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、0.10以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、0.18以上であることがさらに好ましい。
OH-/SiO2は、固形分収率が高くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、0.60以下であることが好ましく、0.40未満であることがより好ましい。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、0.35以下であることがさらに好ましく、0.30未満がよりさらに好ましい。本実施形態において、小粒子化及び純度の観点から、アルミ源としてアルミン酸ナトリウムを用いた際に、OH-/SiO2の値が上記範囲を満たすことがとりわけ好ましい。
混合ゲル中に有機構造規定剤を含む場合は、混合ゲル中のアルミ源と有機構造規定剤の比は、Al2O3に対する有機構造規定剤のモル比、すなわちR/Al2O3として表す(ここでRは有機構造規定剤を示す)。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、2.0以上であることが好ましく、3.0以上がより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、4.0以上であることがさらに好ましい。
R/Al2O3は、合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、20以下であることがさらに好ましい。
α=SiO2/Al2O3 (1)
β=(M12O+M2O)/Al2O3 (2)
γ=H2O/Al2O3 (3)
δ=OH-/SiO2 (4)
ε=R/Al2O3 (5)
混合ゲルの調製工程は、特に限定されないが、例えば、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を一時にあるいは多段階で混合する混合工程と、この混合工程で得られた混合物の熟成工程とを含んでもよい。
小粒子のゼオライトを得る観点から、混合ゲル中のシリカの状態を制御し、前駆体の形成および結晶化の速度を抑制することが好ましい。具体的には、シリカ源を含む反応液の組成を制御することで凝集を抑制すればよく、(1)シリカ源を含む反応液中のシリカ濃度を下げる、(2)シリカ源を含む反応液中のアルカリ金属含有量を少なくする、(3)シリカ源自体が小さいものを用いる、ことなどが挙げられる。
(1)は混合ゲル調製時に反応速度を遅くし、前駆体の凝集を抑制できると考えられるためであり、シリカ源を水で希釈して含有濃度を下げることなどで制御できる。具体的には混合ゲルの調製時に添加するシリカ源の質量%濃度は、水に対して40wt%未満であることが好ましく、30wt%以下であることがより好ましく、20wt%以下であることがさらに好ましい。
(2)は、混合ゲルの混合工程において、アルカリ性の高い溶液にシリカ源を添加するとシリカの凝集が促進される傾向にあるため、アルカリ金属がシリカの凝集核となっていると考えられるためであり、アルカリ金属源をシリカ源よりも後に添加することで制御できる。
(3)はシリカ源自体が小さければ、凝集体を形成しても大きく成長しにくいためであり、粒子径の小さなシリカ源を用いることで制御できる。具体的には平均粒子径が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
上記条件のように混合ゲルを調製することで、混合ゲル中におけるアルミナシリカ前駆体が小さくなり、小粒子のゼオライトが得られると発明者は推定している。
多段階で混合する際の順序は限定されず、用いる条件により適宜選択すればよいが、一例として、シリカ源と有機構造規定剤を含む溶液(A液)と、アルミ源とアルカリ金属源と有機構造規定剤を含む溶液(B液)を混合する方法が挙げられる。この場合、A液ではシリカの凝集を防ぎ、分散状態が良くなることによって結晶核が小さくなる傾向にあり、B液ではアルミ源が均一に溶解し、有機構造規定剤と錯形成することによってシリカ源と混合した際の反応速度を遅くできる傾向にあることから、0〜60℃の範囲でそれぞれの溶液を撹拌させた後、混合することが好ましい。
多段階で混合する際には、撹拌あるいは無撹拌のどちらで行ってもよい。
撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
混合工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、−20℃以上90℃未満が挙げられる。
混合工程の時間は、特に限定されず、混合工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
熟成工程で撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
熟成工程の温度は一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、例えば、−20℃以上90℃未満が挙げられる。
熟成工程の時間は、特に限定されず、熟成工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
本実施形態に係るMWF型ゼオライトの製造方法において、水熱合成温度が100℃〜170℃である水熱合成工程をさらに含むことが好ましい。すなわち、好ましくは、調製工程により得た混合ゲルを所定の温度で、所定の時間、撹拌又は静置状態で保持することにより水熱合成する。
水熱合成の温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、合成時間が短くなり、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、100℃以上であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、170℃以下であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、155℃以下であることがより好ましく、145℃以下であることがさらに好ましい。
水熱合成の温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
水熱合成の時間は一般的に用いられる時間であれば特に限定されず、水熱合成の温度により適宜選択することができる。
水熱合成の時間は、MWF骨格が形成される点から、3時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましい。MWF型ゼオライトの収量が高まり、経済性に優れる観点から、さらに好ましくは24時間以上である。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、30日以下であることが好ましく、20日以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、10日以下であることがさらに好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを入れる容器は一般的に用いられる容器であれば特に限定されないが、所定の温度において容器内の圧力が高まる場合、又は、結晶化を阻害しない気体加圧下とする場合には、耐圧容器に入れ、水熱合成することが好ましい。
耐圧容器は、特に限定されず、例えば、球形状、縦長状、横長状等の各種の形状を用いることができる。
耐圧容器内の混合ゲルを撹拌する際には、耐圧容器を上下方向に及び/又は左右方向に回転させるが、好ましくは上下方向に回転させる。
耐圧容器を上下方向に回転させる場合、その回転速度は一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、1〜50rpmが好ましく、10〜40rpmであることがより好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを好ましく撹拌するには、耐圧容器として縦長のものを用い、これを上下方向に回転させる方法が挙げられる。
水熱合成工程後、生成物である固体と水を含む液体とを分離するが、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
必要に応じて、MWF型ゼオライトを焼成して用いることができる。焼成する温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、有機構造規定剤を除去したい場合、その残っている割合を少なくできることから、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。焼成の時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、400℃以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、550℃未満であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましい。
焼成する時間は、有機構造規定剤が十分除去される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、有機構造規定剤が残っている割合を少なくできる傾向にあることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、20日以下であることが好ましく、10日以下であることがより好ましく、7日以下であることがさらに好ましい。
焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
必要に応じて、MWF型ゼオライトを、所望のカチオン型へカチオン交換を行うことができる。カチオン交換は、以下に限定されないが、例えば、NH4NO3、LiNO3、NaNO3、KNO3、RbNO3、CsNO3、Be(NO3)2、Ca(NO3)2、Mg(NO3)2、Sr(NO3)2、Ba(NO3)2など硝酸塩、あるいは前記硝酸塩に含まれる硝酸イオンがハロゲン化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオンである塩、硝酸や塩酸などの酸を用いることができる。
カチオン交換の温度は、一般的なカチオン交換の温度であれば特に限定されないが、通常、室温から100℃以下である。
カチオン交換後のゼオライトを分離する際、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
さらに、アンモニウム型ゼオライトは該ゼオライトを焼成することによりプロトン型ゼオライトに変換することもできる。
ゼオライトの粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)により100個以上の粒子を撮影し、それらの粒子径を測定して求めた。走査型電子顕微鏡像の撮影には、日立ハイテクノロジー社製の電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)「SU−70」(商品名)を用いた。電子顕微鏡観察用の試料は、ゼオライトをアルコール等の適当な溶媒に分散し、超音波洗浄を5分以上行った後、試料台に滴下してサンプリングした。なお、チャージアップを低減し明瞭にゼオライトの形状が観察できるようにするため、厚さ5nm以下でOsを試料表面にコーティングした。
粒子径の測定は、上記の方法で撮影したSEM像において、その粒子の外形が明瞭に撮影されている粒子を選び、その粒子の最も長い径を測定した。粒子径は100個以上測定し、その全ての測定値の合計値を測定個数で割ったものを粒子径の平均値とした。
粒子の均一性は、上記の方法で粒子径を100個以上測定し、粒子径が平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲にある粒子の個数を測定個数で割り、100を乗じることで算出した。
結晶構造解析は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られた乾燥物を試料として、メノウ乳鉢で粉砕した。
(2)上記(1)の試料を粉末用無反射試料板上に均一に固定し、下記条件で結晶構造解析を行った。
X線回折装置(XRD):リガク社製粉末X線回折装置「RINT2500型」(商品名)
X線源:Cu管球(40kV、200mA)
測定温度:25℃
測定範囲:5〜60°(0.02°/step)
測定速度:0.2°/分
スリット幅(散乱、発散、受光):1°、1°、0.15mm
次いでPDXLソフトウェアを使用してデータを解析し、バックグラウンドを差し引いて、ゼオライトの非晶質部分と結晶質部分の回折ピークを分離した。両方の回折ピークが現れる、2θ=5〜50°の回折角度におけるピークの積分強度から、下記式(A)にて結晶化度(%)を算出した。
結晶化度(χc)=(結晶質部分(2θ=11.1°、12.7°、13.9°、14.6°、15.7°、16.9°、17.8°、19.3°、19.7°、21.7°、24.1°、26.7°、26.9°、27.5°、28.4°、28.8°、29.5°、31.8°、32.9°、34.0°、51.5°の付近のピーク)の積分強度/非晶質と結晶質を含む部分(2θ=5〜50°)の積分強度)×100(%)・・・式(A)
エタノールと水が重量比で70:30の溶液に、ポリエーテルブロックポリアミド樹脂の一種であるPEBAX MH1657(アルケマ社製)の濃度が3wt%となるように80℃で1時間加熱溶解させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液にMWF型ゼオライトがPEBAX MH1657の重量に対して等量となるように混合し、超音波分散を5分以上行って分散液を得た。この分散液をテフロン(登録商標)シャーレにキャストして製膜し、水平を保った状態で、真空乾燥機中において、窒素気流下、常温で24時間静置後、真空下、常温で24時間静置して溶媒を蒸発させてキャストフィルムを得た。
上記キャストフィルムを純アルコールとともに気泡が混入しないようにゼラチンカプセルに入れた。液体窒素で冷却した試料台上でカプセルを凍結させ、そのままの状態でナイフとハンマーにより、垂直になるように試料を割断した。
凍結割断したキャストフィルムを断面SEM観察用の試料台に固定し、日立ハイテクノロジー社製の電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)「SU−70」(商品名)を用いて断面を観察した。膜の断面は10視野以上を観察し、平均的な分散状態の図を選択した。
断面SEM観察の際、50μm×50μmの視野範囲において、2μm以上の凝集体の存在割合が面積として5%未満の場合に分散性良好(「○」)と判断し、それ以上の場合に分散性不良(「×」)と判断した。
製膜で得たキャストフィルムを用い、下記条件で引張試験を行った。
試験方法:JIS K 6251
測定項目:引張強さ、切断時呼びひずみ
試験片:JIS K 7133:1995 2(1/2)号形
試験条件:試験速度;200mm/min
チャック間距離;40mm
試験環境:23℃±1℃・50%RH±5%RH
測定装置:インストロン社製 万能材料試験機 5566型
水49.29gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.82gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを混合し、これをA液とした。A液のシリカ濃度は7.2wt%であった。水11.99gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.66gとテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを混合し、これをB液とした。A液とB液をそれぞれ室温で1時間撹拌した。その後、A液にB液を添加し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=1.8、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.23、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら115℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のMWF型ゼオライトを得た。
得られたMWF型ゼオライトの平均粒子径を測定すると、150nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は93%であった。結晶化度を算出すると、95%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM図を図1に示す。図1より、樹脂中においてボイドは観察されず、MWF型ゼオライトが高分散していることが分かる。分散性評価を行った結果、「○」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは7.19MPa、切断時呼びひずみは360%であった。
水6.50gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.82gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを混合し、これをA液とした。A液のシリカ濃度は25.0wt%であった。水54.80gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.35gとテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを添加して混合し、これをB液とした。A液とB液をそれぞれ室温で1時間撹拌した。その後、A液にB液を添加し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=1.4、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.12、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら115℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のMWF型ゼオライトを得た。
得られたMWFゼオライトの平均粒子径を測定すると、250nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は90%であった。結晶化度を算出すると、82%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM観察より、樹脂中においてMWF型ゼオライトが高分散していることが分かった。分散性評価を行った結果、「○」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは7.02MPa、切断時呼びひずみは350%であった。
水6.50gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.82gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)9.33gを混合し、これをA液とした。A液のシリカ濃度は25.0wt%であった。水53.00gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.67gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(和光純薬工業株式会社製)2.76gを添加して混合し、これをB液とした。A液とB液をそれぞれ室温で1時間撹拌した。その後、A液にB液を添加し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=1.8、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.38、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら115℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のMWF型ゼオライトを得た。
得られたMWFゼオライトの平均粒子径を測定すると、300nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は78%であった。結晶化度を算出すると、90%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM観察より、樹脂中においてMWF型ゼオライトが高分散していることが分かった。分散性評価を行った結果、「○」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは6.78MPa、切断時呼びひずみは330%であった。
水6.50gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.82gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを混合し、これをA液とした。A液のシリカ濃度は25.0wt%であった。水54.80gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)1.13gとテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)5.78gを添加して混合し、これをB液とした。A液とB液をそれぞれ室温で1時間撹拌した。その後、A液にB液を添加し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=2.4、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.39、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら115℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のMWF型ゼオライトを得た。
得られたMWFゼオライトの平均粒子径を測定すると、300nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は75%であった。結晶化度を算出すると、80%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM観察より、樹脂中においてMWF型ゼオライトが高分散していることが分かった。分散性評価を行った結果、「○」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは6.41MPa、切断時呼びひずみは300%であった。
水61.93gに水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.67gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gを混合し、溶解させた。この溶液にコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.82gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)11.56gを添加して混合し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。添加時のシリカ源の濃度は40wt%であった。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=1.8、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.23、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルを撹拌しながら115℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたMWF型ゼオライトの平均粒子径を測定すると、1000nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は89%であった。結晶化度を算出すると、83%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM図を図2に示す。図2において、ボイドが多く観察されることより、MWF型ゼオライトと樹脂が分離し、分散していないことが分かる。分散性評価を行った結果、「×」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは4.45MPa、切断時呼びひずみは120%であった。
水63.40gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)1.47gと水酸化アルミニウム(Al(OH)3、Aldrich社製)1.92gを混合し、溶解させた。この溶液に水5.00gとシリカとしてAerosil 300(日本アエロジル社製)4.33gを混合したものを添加し、次いで有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)11.56gを添加して混合し、24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。添加時のシリカ源の濃度は46.4wt%であった。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al2O3=7.2、β=Na2O/Al2O3=1.8、γ=H2O/Al2O3=380、δ=OH-/SiO2=0.51、ε=R/Al2O3=5.5であった。混合ゲルを撹拌しながら150℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のMWF型ゼオライトを得た。
得られたMWF型ゼオライトの平均粒子径を測定すると、500nmであり、平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に分布している粒子割合で表される粒子の均一性は75%であった。結晶化度を算出すると、72%であった。
得られたMWF型ゼオライトを用いて上記手法で製膜し、凍結割断した後の断面SEM観察より、MWF型ゼオライトと樹脂が分離し、分散していないことが分かった。分散性評価を行った結果、「×」と判定した。得られた膜の引張試験を行ったところ、引張強さは4.18MPa、切断時呼びひずみは110%であった。
α=SiO2/Al2O3、
β=(M12O+M2O)/Al2O3、
γ=H2O/Al2O3、
δ=OH-/SiO2、
ε=R/Al2O3 (Rは有機構造規定剤を表す。)
Claims (2)
- 平均粒子径が300nm以下である、MWF型ゼオライトであって、
平均粒子径の0.8〜1.5倍の範囲に粒子の80%以上が分布している、MWF型ゼオライト。 - 結晶構造解析により測定される結晶化度が88%以上である、請求項1に記載のMWF型ゼオライト。
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