JP2019115895A - Mwf型ゼオライト、及び気体の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二酸化炭素の透過選択性が高く、透過速度が速い、MWF型ゼオライト膜を提供する。【解決手段】MWF型ゼオライトを含む、MWF型ゼオライト膜であって、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす、MWF型ゼオライト膜。【選択図】図1

Description

本発明は、MWF型ゼオライト、及び気体の分離方法に関する。
ゼオライトは、吸着剤、乾燥剤、分離剤、分離膜、触媒、触媒用担体、洗剤助剤、イオン交換剤、排水処理剤、肥料、食品添加物、化粧品添加物などとして用いることができ、中でもガス分離用途として有用なものである。
ここで、MWF型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでMWF構造のゼオライトを意味する。特許文献1において、MWF型ゼオライトの一種であるZSM−25が開示されている。また、特許文献2、非特許文献1にあるように、近年になってMWF型ゼオライトの一種であるZSM−25の構造が明らかとなった。該構造は、正六面体結晶系のIm3mの空間群を有し、酸素8員環で構成された細孔を有するゼオライトであると報告されている。加えて二酸化炭素を選択的に吸着することにより、二酸化炭素とメタンの分離や二酸化炭素と窒素の分離に使用することが報告されている。
米国特許4,247,416 韓国特許101555149
Peng Guo, Jiho Shin, Alex G. Greenaway, Jung Gi Min, Jie Su, Hyun June Choi, Leifeng Liu, Paul A. Cox, Suk Bong Hong, Paul A. Wright, Xiaodong Zou. "A zeolite family with expanding structural complexity and embedded isoreticular structures" Nature. 2015, 524, 74−78.
天然ガスの精製プラントでは、需要の高まりを受け低品質ガス田の開発が進み、高濃度二酸化炭素含有ガスからの二酸化炭素とメタンの分離が望まれている。他にも、近年、ナフサからの排ガス量減少により、高濃度二酸化炭素排ガスからの液化炭酸ガス生産量が落ちているため、より選択性の高い二酸化炭素精製技術が必要とされている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2、非特許文献1等で開示されているMWF型ゼオライトでは、そのガス分離能は上記のような高度な要求に対しては十分ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素の透過選択性が高く、透過速度が速いMWF型ゼオライト膜を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、MWF型ゼオライトをX線回折測定に供して得られる回折パターンにおいて、特定の回折ピークの強度比が所定値の範囲にあるMWF型ゼオライトを用いることにより、本願課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
MWF型ゼオライトを含む、MWF型ゼオライト膜であって、
X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす、MWF型ゼオライト膜。
[2]
膜厚が0.1μm以上50μm以下である、[1]に記載のMWF型ゼオライト膜。
[3]
[1]又は[2]に記載のMWF型ゼオライト膜に複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、前記気体混合物から、前記MWF型ゼオライト膜による透過速度の速い気体成分を前記MWF型ゼオライト膜に透過させて分離する工程を含む、気体の分離方法。
[4]
前記気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、硫化水素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも2種の気体成分を含む、[3]に記載の気体の分離方法。
本発明によれば、二酸化炭素の透過選択性が高く、透過速度が速い、MWF型ゼオライト膜を提供することができる。
実施例1で得られたMWF型ゼオライトのX線回折(XRD)図である。 実施例2で得られたMWF型ゼオライトのX線回折(XRD)図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、MWF型ゼオライトを含む。さらに、本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす。
本実施形態のMWF型ゼオライト膜を構成するMWF型ゼオライト(以下、「本実施形態におけるMWF型ゼオライト」ともいう。)は、結晶格子の歪みや欠陥が少なく、結晶の微細構造が明瞭に形成され、さらに、8員環構造を含む高次構造が規則的に配列されることで、メタンの吸着量に対する二酸化炭素吸着の選択性が高い。このようなMWF型ゼオライトの特性に由来し、本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、高い二酸化炭素の透過選択性を発現すると共に、二酸化炭素透過速度も速くなる。すなわち、本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、本実施形態のMWF型ゼオライト膜と同じく、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たすものであり、本実施形態におけるMWF型ゼオライトと本実施形態のMWF型ゼオライト膜のB/Aの値は、よく一致するといえる。
〔X線回折ピーク〕
本実施形態のMWF型ゼオライト膜及び本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす。
ここで、X線回折パターンとはゼオライトを粉末用無反射試料板上に均一に固定した表面にCuKαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。
2θ=11.1°付近のピークとは11.1°±0.1°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=16.8°付近のピークとは16.8°±0.2°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
本実施形態のMWF型ゼオライト膜及び本実施形態におけるMWF型ゼオライトの25℃におけるX線回折ピークのうち、2θ=11.1及び16.8°付近のピークはそれぞれ、(4 4 0)及び(7 4 3)の回折ピークである。これらの回折ピークの高さをそれぞれA、Bとした場合、ピーク高さAの値が大きいことは、8員環構造等の高次構造が明瞭である、すなわち、微細な構造が規則正しく配列し、細孔が適切に形成されていることを示唆していると考えられる。細孔構造が適切に欠損なく形成されることで、大きさの異なるガス分子に対するMWF型ゼオライトの分子篩効果が働き、CO2は細孔内に入れるが、CH4は細孔内に入りにくくなり、CO2とCH4の混合ガス中に置いた場合、CO2の選択吸着性が上がったり、膜状にした時にCO2の透過選択性が上がると考えられる。この観点から、Aの値が相対的に大きいことは重要であり、B/Aは小さい方が好ましい。すなわち、本実施形態のMWF型ゼオライト膜及び本実施形態におけるMWF型ゼオライトにおいて、B/Aは0.38未満であり、0.375以下であることが好ましく、0.37以下であることがより好ましい。
一方、BはAよりも反射の指数が大きく、より微細な構造を反映しており、Bが大きい場合はより微細な構造が明瞭であることを示している。すなわち、Si−OあるいはAl−O結合に欠損が少なく、結合距離と角度の均一性が高く、CH4が結晶格子内に侵入するような欠陥や、CH4を吸着するようなサイトの発生、CO2の吸着サイトの欠損が発生しにくい為、CO2とCH4の混合ガス中に置いた場合、CO2/CH4の吸着量比を最大にでき、膜とした場合は膜を透過するCO2の透過選択性を上げると考えられる。したがって、Bはより高い方が好ましい。さらに、Aの反射指数は4 4 0であり、a軸、b軸方向の結晶性に対する感度を持つがc軸方向には感度が無いが、Bの反射指数は7 4 3であり、a軸、b軸、c軸方向のすべての方向の結晶性に対する感度を持つ。したがって、Aに対しBが高いということはAに反映される8員環構造等の高次構造が3次元方向に規則的に並んでいることを示している。8員環構造等の高次構造が3次元方向に規則的に並んでいるということは、細孔が途切れることなく連続的に配列しているということであり、膜にした場合は膜の内部で細孔が途切れることなく、膜の前後に細孔が貫通している状態である。細孔が貫通しているので、ガス透過速度が速くなると考えられる。この観点から、B/Aは高い方が好ましい。すなわち、本実施形態のMWF型ゼオライト膜及び本実施形態におけるMWF型ゼオライトにおいて、B/Aは0.24以上であり、0.245以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。
特に、後述するようにMWF型ゼオライト粒子を任意成分である樹脂と混ぜて膜形状にした場合では、B/Aが高いということは膜内の各粒子の方位が揃っていることを示唆しており、ゼオライト粒子を透過した二酸化炭素が素早く次のゼオライト粒子に伝播できるようになることで、膜のガス透過速度が高まる。
なお、上記B/Aの値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、いずれも、混合ゲルの組成比、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)、成膜条件、樹脂とゼオライトの混合条件等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
X線回折により得られるピーク半値幅は、その回折が発生する結晶格子面の結晶性を示しており、狭い方が好ましい。その中でも特に2θ=11.1°付近のピークは8員環構造等の高次構造を示しており、細孔の適切な形成を表していることから、MWF型ゼオライトの細孔での大きなガス分子の遮蔽による分子篩効果に影響を与えるため、その半値幅が狭いことが好ましい。すなわち、本実施形態のMWF型ゼオライト膜及び本実施形態におけるMWF型ゼオライトにおいて、2θ=11.1°付近のピーク半値幅の範囲は、0.31deg以下であることが好ましく、より好ましくは、0.28deg以下であり、さらに好ましくは、0.25deg以下である。このようなピーク半値幅を有することにより示唆されるMWF型ゼオライトの構造によれば、CH4が結晶格子内を透過することなく、吸着量が少なくなり、CO2の吸着サイトの欠損も無くなることでこれらの吸着量を最大限にすることができるため、CO2/CH4の吸着量比を最大にすることができ、膜状にした場合に二酸化炭素の透過選択性が高くでき、透過速度が速くできると発明者は推定している。
なお、上記ピーク半値幅の値は、混合ゲルの組成比、水熱合成時の条件(加熱温度や加熱時間)、成膜条件、樹脂とゼオライトの混合条件等を後述する好ましい範囲に調整する方法等により、上記範囲に調整することができる。
後述のように、本実施形態におけるMWF型ゼオライトに樹脂を加えて成膜する場合、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの粒子径が小さい方が高分散化しやすく、膜厚も薄くしやすくなるため好ましい。一方、十分な結晶性を確保する観点からは、MWF型ゼオライトの粒子径を大きくすることが好ましい。これらを考慮し、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの平均粒子径は、10nm以上5μm以下であることが好ましく、30nm以上3μm以下であることがより好ましく、50nm以上2μm以下であることがさらに好ましい。
(任意成分)
本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、上述したピーク比0.24≦B/A<0.38を満たす限り、本実施形態におけるMWF型ゼオライト以外の任意成分を含むことができる。例えば、本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、任意成分として、樹脂をさらに含むことができる。本実施形態において、上記樹脂は、分極した官能基を持つ樹脂であることが好ましい。
分極した官能基とは、以下に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、ニトリル基、カルボニル基、エーテル基等が挙げられ、これらのいずれかを少なくとも1つ以上含む樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、湿気硬化型シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。分極した官能基は、MWF型ゼオライト表面の水酸基や酸点等、分極した点に配位し、高い密着性を持つため、ゼオライト同士を強く引き寄せてゼオライト粒子の細密充填化、配列性の向上に寄与する。
本実施形態のMWF型ゼオライト膜における樹脂の含有量としては、特に限定されないが、成膜性とゼオライトのガス分離性及びガス透過性のバランスの観点から、10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態においては、上述したように、B/Aの値が特定の範囲とされている。かかるB/Aの値より、8員環構造等の高次構造が3次元方向に規則的に並んでいること、すなわち、細孔が途切れることなく連続的に配列していることが示唆され、MWF型ゼオライト膜の内部で細孔が途切れることなく、膜の前後に細孔が貫通している状態となっている。このように、本実施形態のMWF型ゼオライト膜は、所望とする結晶構造を有するため、膜厚を大きくした場合でも良好なガス透過速度を得ることができる。したがって、本実施形態のMWF型ゼオライト膜の膜厚は、特に限定されるものではない。強度及び二酸化炭素の透過速度のバランスをより良好なものとする観点から、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上20μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。膜厚はスケールを用いて常法にて測定したり、膜を劈開し、電子顕微鏡や光学顕微鏡で断面観察し、得られた画像から測定することができ、種結晶の大きさや合成時間により上記範囲に調整することができる。任意成分として樹脂と混合した場合は、ゼオライトと樹脂の混合液の塗布量により、上記範囲に調整することができる。
〔MWF型ゼオライトの合成方法〕
本実施形態に係るMWF型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源、アルミニウムを含むアルミ源、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源、及び水を含有する混合ゲルの調製工程を含むものである。
以下、混合ゲル及びこれに含まれる各成分について説明する。
〔混合ゲルの調製工程〕
混合ゲルの調製工程は、特に限定されないが、例えば、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を一時にあるいは多段階で混合する混合工程と、この混合工程で得られた混合物の熟成工程とを含んでもよい。
混合工程は、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、水、及び必要に応じて有機構造規定剤を含むこれら成分を一時にあるいは多段階で混合することができる。
多段階で混合する際の順序は限定されず、用いる条件により適宜選択すればよい。多段階で混合する際には、撹拌あるいは無撹拌のどちらで行ってもよいが、MWF型ゼオライトの構成要素であり、有機構造規定剤を含有しないと考えられるgis構造を形成させる前駆体を作る観点から、アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源を含む混合液を用い、撹拌工程と熟成工程があることが好ましい。アルミ源とシリカ源を混合し、熟成する際には、AlとSiの過度な縮合反応を抑制し、前駆体の形成と均一混合を両立させる観点から、低温にすることが好ましい。具体的には、混合、撹拌、熟成工程の温度は15℃以下であることが好ましい。混合、撹拌、熟成工程の時間は、過度な縮合反応を防げ、十分に均一混合できる観点から、10分以上、24時間以下が好ましく、20分以上、12時間以下がさらに好ましく、30分以上、8時間以下が最も好ましい。
MWF型ゼオライト内部構造であるgis構造の前駆体を形成してから、それらを囲み、有機構造規定剤を含有するltaやpau構造の前駆体を形成させてMWF型ゼオライトの骨格形成を促す観点から、アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源を先に混合させて、これらを含む混合液に有機構造規定剤を添加することが好ましい。アルカリ金属源、アルミ源、シリカ源に有機構造規定剤を混合した混合ゲルの混合、撹拌、熟成工程の温度および時間は過度な縮合反応を防げ、十分に均一混合できる観点から、15℃以下、10分以上、24時間以下が好ましく、12℃以下、20分以上、12時間以下がさらに好ましく、10℃以下、45分以上、8時間以下が最も好ましい。以上により、微細構造と長周期構造が適切に形成され、高結晶化することで、B/Aと半値幅が最適化され、高CO2選択性が得られると推定している。
撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
混合工程の時間は、特に限定されず、混合工程の温度により適宜選択することができるが、例えば、0分を超え、1000時間以下が挙げられる。
混合工程における原料の添加速度は、経済性に優れる観点から、速い方が、生産効率が高く好ましい。一方で、AlとSiの過度な縮合反応を抑制し、前駆体の形成と均一混合を両立させる観点から、添加速度は遅い方が好ましい。これらの観点から、100cc程度の混合ゲルを調整する場合、0.1cc/min以上100cc/min以下であることが好ましく、0.2cc/min以上50cc/min以下であることがさらに好ましく、0.5cc/min以上10cc/min以下であることが最も好ましい。
熟成工程は静置あるいは撹拌のどちらで行ってもよい。
熟成工程で撹拌する際には、一般的に使用される撹拌方法であれば特に限定されないが、具体例としては、翼撹拌、振動撹拌、揺動撹拌、遠心式撹拌などを用いる方法が挙げられる。
撹拌の回転速度は一般的に用いられる撹拌速度であれば特に限定されないが、例えば、1rpm以上2000rpm未満であることが挙げられる。
〔混合ゲル〕
本実施形態における混合ゲルとは、シリカ源、アルミ源、アルカリ金属源、及び水を必須成分として含み、好ましくは有機構造規定剤を含む混合物のことである。
シリカ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれる珪素の原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルミ源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルミニウムの原料となる該混合ゲル中の成分をいい、アルカリ金属源とは、該混合ゲルから製造されたゼオライトに含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の原料となる該混合ゲル中の成分をいう。
〔シリカ源〕
シリカ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミノシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。ここで、無定形アルミノシリケートゲルは、シリカ源であるとともにアルミ源となる。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、無定形シリカ、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、シリカゲルであることが好ましい。同様の観点から、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカであることがより好ましい。
コロイダルシリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Ludox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)、Snowtex(登録商標)が挙げられる。
湿式法シリカとしては、以下に限定されないが、例えば、Hi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)、Zeosil(登録商標)、Carplex(登録商標)、Mizukasil(登録商標)、Sylysia(登録商標)、Syloid(登録商標)、Gasil(登録商標)、Silcron(登録商標)、Nipgel(登録商標)、Nipsil(登録商標)が挙げられる。
乾式法シリカは、例えば、HDK(登録商標)、Aerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)、ArcSilica(登録商標)が挙げられる。
〔アルミ源〕
アルミ源としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体例としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、金属アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、結晶化度の高いゼオライトが得られる傾向にあることから、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムアルコキシドであることが好ましい。同様の観点からアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムであることがより好ましく、アルミン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
〔アルカリ金属源〕
アルカリ金属源におけるアルカリの種類は特に限定されず、任意のアルカリ金属、及び/又は任意のアルカリ土類金属化合物を使用することができる。
アルカリ金属源は、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。これらの化合物は、単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は、通常Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba等を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、Na、Kであることが好ましく、Naであることがより好ましい。また、アルカリ金属源として用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、アルカリ金属源としては、以下に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、水酸化ルビジウム、酢酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、硝酸ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムがより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
〔有機構造規定剤〕
混合ゲルを水熱合成することによってゼオライトを製造する場合の有機構造規定剤は、ゼオライト構造への結晶化を促進する作用をする化合物である。ゼオライトの結晶化においては、必要に応じて有機構造規定剤を用いることができる。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、有機構造規定剤を含む混合ゲルを用いて合成する方が好ましい。
有機構造規定剤は、所望のMWF型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、有機構造規定剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
有機構造規定剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン類、4級アンモニウム塩類、アルコール類、エーテル類、アミド類、アルキル尿素類、アルキルチオ尿素類、シアノアルカン類、ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物類を用いることができ、好ましくは4級アンモニウム塩、より好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、さらに好ましくはテトラエチルアンモニウム塩を用いる。
このような塩は、アニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、以下に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンが含まれる。これらの中で、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点からハロゲンイオン、水酸化物イオンであることが好ましく、ハロゲンイオンであることがより好ましい。
〔混合ゲルの組成比〕
混合ゲル中のシリカ源とOH-の比は、SiO2に対するOH-のモル比、すなわちOH-/SiO2で表す(OH-はアルカリ金属源、及び/又は有機構造規定剤に含まれる水酸化物イオンである)。本実施形態におけるMWF型ゼオライトを合成するには、前駆体オリゴマーを合成する条件を制御することが望ましい。
8員環構造が欠損なく形成されることで分子篩効果が発現し、CH4吸着量が低減する。8員環構造等の高次構造に由来するピークAの強度比が高い、すなわち、8員環構造を明瞭に形成させるためには、gis構造等やその前駆体が崩壊することなく組み上がって高次構造を形成することが望ましい。これらの観点から、成長したゼオライトの再溶解を防ぐことが好ましく、溶解を抑制するためにはOH-が少ない方が好ましい。
一方で、8員環や骨格を構成する微細構造、すなわち、Si−OやAl−Oの結合に欠損や歪みがあるとCO2吸着サイトが低減し、CO2吸着量が低減する可能性がある。この様な微細構造が欠損や歪みなく形成された場合は、ピークAに帰属する面と平行で、より微細な構造に由来するピークBやCが相対的に高くなる。Si−OあるいはAl−Oの欠損や結合の歪を発生させないためには、原料となるシリカ源やアルミ源をより溶解させる方が好ましく、これらをより溶解させるためにはOH-が多い方が好ましい。
したがって、CO2吸着量が多いと同時にCH4吸着量が少ないMWF型ゼオライトはB/Aが特定の範囲にある場合に限られる。発明者が鋭意検討した結果、合成液中に存在するOH-の量は、SiO2に対し、0.10≦OH-/SiO2≦0.60であれば、Si−OあるいはAl−Oの欠損や結合の歪を発生させることなく、B/Aを特定比にすることができるMWF型ゼオライトを合成できる。
OH-/SiO2は上記の範囲の中でも、0.15以上であることがより好ましく、0.18以上であることがさらに好ましい。
OH-/SiO2は上記の範囲の中でも、0.40未満であることがより好ましく、0.35以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のシリカ源とアルミ源の比は、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al23として表す。
このSiO2/Al23は、ゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、5.0以上が好ましく、6.0以上であることがより好ましい。同様の観点から、6.8以上であることがさらに好ましい。
SiO2/Al23は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる傾向にあることから、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。同様の観点から、7.8以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源とアルカリ金属源の比は、Al23に対するM12OとM2Oの加算モル比、すなわち(M12O+M2O)/Al23として表す(ここで、M1はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示す)。なお、この(M12O+M2O)/Al23は、MWF型骨格の結晶形成がより容易となる観点から、1.3以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。同様の観点から、1.7以上であることがさらに好ましい。
(M12O+M2O)/Al23は、MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から3.2以下であることが好ましく、2.5以下がより好ましい。同様の観点から、2.2以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中に有機構造規定剤を含む場合は、混合ゲル中のアルミ源と有機構造規定剤の比は、Al23に対する有機構造規定剤のモル比、すなわちR/Al23として表す(ここでRは有機構造規定剤を示す)。MWF型骨格の結晶形成がより容易となる、及び/又は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、2.0以上であることが好ましく、3.0以上がより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、4.0以上であることがさらに好ましい。
R/Al23は、合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、20以下であることがさらに好ましい。
混合ゲル中のアルミ源と水の比は、Al23に対する水のモル比、すなわちH2O/Al23として表す。混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、70以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、90以上であることがさらに好ましい。
2O/Al23は合成時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、3000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、500以下であることがさらに好ましい。
以上のとおり、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法は、珪素を含むシリカ源と、アルミニウムを含むアルミ源と、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)から選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ金属源と、水と、を含有する混合ゲルの調製工程を含み、前記混合ゲルにおける各成分のモル比を、前記珪素、アルミニウム、アルカリ金属(M1)及びアルカリ土類金属(M2)については各元素の酸化物として算出するとき、下記式(1)、(2)、(3)及び(4)で表されるモル比α、β、γ、δが、5.0≦α≦12、1.3≦β≦3.2、70≦γ≦3000及び0.10≦δ≦0.60を満たすことがとりわけ好ましい。本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、上述した本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法により得られるものであることが特に好ましい。
α=SiO2/Al23 (1)
β=(M12O+M2O)/Al23 (2)
γ=H2O/Al23 (3)
δ=OH-/SiO2 (4)
さらに、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法において、モル比α、β、γ、δが上記範囲を満たし、かつ、混合ゲルが、さらに有機構造規定剤Rを含み、かつ、下記式(5)で表されるモル比εが、2.0≦ε≦50を満たすことが一層好ましい。
ε=R/Al23 (5)
必ずしも混合ゲル中に種結晶を存在させる必要は無いが、予め製造したMWF型ゼオライトを種結晶として混合ゲルに添加して、本実施形態におけるMWF型ゼオライトを得ることもできる。
〔水熱合成工程〕
本実施形態におけるMWF型ゼオライトの製造方法において、水熱合成温度が100℃〜170℃である水熱合成工程をさらに含むことが好ましい。すなわち、好ましくは、調製工程により得た混合ゲルを所定の温度で、所定の時間、撹拌又は静置状態で保持することにより水熱合成する。
水熱合成の温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、合成時間が短くなり、ゼオライト製造する際の経済性に優れる点から、100℃以上であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることがさらに好ましい。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、170℃以下であることが好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、155℃以下であることがより好ましく、145℃以下であることがさらに好ましい。
水熱合成の温度は一定でもよいし、段階的に変化させてもよい。
水熱合成の時間は一般的に用いられる時間であれば特に限定されず、水熱合成の温度により適宜選択することができる。
水熱合成の時間は、MWF骨格が形成される点から、3時間以上であることが好ましく、10時間以上であることがより好ましい。MWF型ゼオライトの収量が高まり、経済性に優れる観点から、さらに好ましくは24時間以上である。
有機構造規定剤の分解を抑制できる傾向にあることから、30日以下であることが好ましく、20日以下であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、10日以下であることがさらに好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを入れる容器は一般的に用いられる容器であれば特に限定されないが、所定の温度において容器内の圧力が高まる場合、又は、結晶化を阻害しない気体加圧下とする場合には、耐圧容器に入れ、水熱合成することが好ましい。
耐圧容器は、特に限定されず、例えば、球形状、縦長状、横長状等の各種の形状を用いることができる。
耐圧容器内の混合ゲルを撹拌する際には、耐圧容器を上下方向に及び/又は左右方向に回転させるが、好ましくは上下方向に回転させる。
耐圧容器を上下方向に回転させる場合、その回転速度は一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、1〜50rpmが好ましく、10〜40rpmであることがより好ましい。
水熱合成工程において、混合ゲルを好ましく撹拌するには、耐圧容器として縦長のものを用い、これを上下方向に回転させる方法が挙げられる。
〔分離・乾燥工程〕
水熱合成工程後、生成物である固体と水を含む液体とを分離するが、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔焼成工程〕
必要に応じて、MWF型ゼオライトを焼成して用いることができる。焼成する温度は、一般的に用いられる温度であれば特に限定されないが、有機構造規定剤を除去したい場合、その残っている割合を少なくできることから、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。焼成の時間が短くなり、ゼオライトを製造する際の経済性に優れる点から、400℃以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、550℃未満であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましい。
焼成する時間は、有機構造規定剤が十分除去される時間であれば特に限定されず、焼成の温度により適宜選択することができるが、有機構造規定剤が残っている割合を少なくできる傾向にあることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましい。
ゼオライトの結晶性が保持される傾向にあることから、20日以下であることが好ましく、10日以下であることがより好ましく、7日以下であることがさらに好ましい。
焼成の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
〔カチオン交換〕
必要に応じて、MWF型ゼオライトを、所望のカチオン型へカチオン交換を行うことができる。カチオン交換は、以下に限定されないが、例えば、NH4NO3、LiNO3、NaNO3、KNO3、RbNO3、CsNO3、Be(NO32、Ca(NO32、Mg(NO32、Sr(NO32、Ba(NO32など硝酸塩、あるいは前記硝酸塩に含まれる硝酸イオンがハロゲン化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオンである塩、硝酸や塩酸などの酸を用いることができる。
カチオン交換の温度は、一般的なカチオン交換の温度であれば特に限定されないが、通常、室温から100℃以下である。
カチオン交換後のゼオライトを分離する際、その分離方法は一般的な方法であれば特に限定されず、濾過、デカンテーション、噴霧乾燥法(回転噴霧、ノズル噴霧及び超音波噴霧など)、回転蒸発器を用いた乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、又は自然乾燥法等を用いることができ、通常は濾過又はデカンテーションにより分離することができる。
分離されたものはそのまま用いても、水、又は所定の溶剤で洗浄しても構わない。必要に応じ、分離されたものを乾燥することができる。
分離されたものを乾燥する温度は、一般的な乾燥する温度であれば特に限定されないが、通常、室温から150℃以下である。
乾燥する際の雰囲気は、一般的に用いられる雰囲気であれば特に限定されないが、通常、空気雰囲気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや酸素を付加した雰囲気が用いられる。
さらに、アンモニウム型ゼオライトは該ゼオライトを焼成することによりプロトン型ゼオライトに変換することもできる。
〔微小粒子の製造方法〕
MWF型ゼオライトを樹脂と混合して薄膜化する場合において、MWF型ゼオライトの平均粒子径は、MWF型ゼオライトの合成方法によって上述した好ましい範囲に調整でき、例えば、粉砕により小粒子化することができる。具体的な小粒子化の方法としては、以下に限定されないが、例えば、湿式ボールミル法、湿式ビーズミル法、ジェットミル法等が挙げられる。湿式ボールミル法を用いる場合は、500mlのホウ酸ガラス容器にφ1mmのホウ酸ガラスビーズを100cc、イオン交換水を100cc入れ、粉砕したいMWF型ゼオライトを1g入れ、100rpmから500rpmで6時間から36時間容器を回転させて粉砕することで結晶性を低下させずに小粒子化できる。湿式ボールミル法を用いる場合は、例えば、500mlのホウ酸ガラス容器にφ1mmのホウ酸ガラスビーズを100cc、イオン交換水を100cc入れ、粉砕したいMWF型ゼオライトを1g入れ、100rpmから500rpmで6時間から36時間容器を回転させて粉砕することで結晶性を低下させずに小粒子化できる。
〔成膜方法〕
MWF型ゼオライト膜の製造方法としては、特に限定されず、本実施形態におけるMWF型ゼオライトを用いて種々公知の方法により成膜することができる。本実施形態において、MWF型ゼオライトのみで成膜することもでき、MWF型ゼオライトに加えて樹脂と共に成膜することもできる。後者の例について説明する。本実施形態におけるMWF型ゼオライトは、例えば、前述したように微粒子として用いることができ、当該微粒子を樹脂と溶媒の混合液に入れ、支持体上にその混合体の薄膜を成膜する方法や、支持体上にMWF型ゼオライト粒子を種結晶として付着させ、それを原料液中で水熱合成することで薄膜化する方法等により、本実施形態のMWF型ゼオライト膜を製造することができる。
MWF型ゼオライト粒子を樹脂と溶媒の混合液に入れ、支持体上にその混合体の薄膜を成膜する方法では、支持体の選択性が高く、安価な有機多孔質フィルムを用いることもできるため、経済性に優れた成膜方法である。また、ゼオライトの粒子間に樹脂が入ることにより、膜を変形させても割れないなど、取扱いが容易で、膜の設置や加工が容易である点で優れている。
支持体上にMWF型ゼオライト粒子を種結晶として付着させ、それを原料液中で水熱合成することで薄膜化する方法では、ゼオライトの連続膜となるため、ゼオライトのガス選択透過性やガス透過速度が特に高い膜が得られる点で優れている。
MWF型ゼオライト粒子を樹脂と溶媒の混合液に入れ、支持体上にその混合体の薄膜を成膜する方法では、(1)分極した官能基を持つ樹脂を用い、(2)樹脂濃度を十分溶媒希釈した混合液を用い、(3)成膜後の乾燥条件を適切にすることでゼオライト粒子が適切に配向し、得られた薄膜をX線回折測定して得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす膜が得られる。
上記(2)の樹脂濃度を十分溶媒希釈した混合液とは、用いる樹脂を溶解させることのできる溶媒と樹脂を混合し、樹脂を十分溶解させた混合液である。溶媒は樹脂ごとに適切な溶媒を選択すればよいが、湿気硬化型シリコーンを用いた場合は、トルエンやテトラヒドロフラン等が挙げられる。樹脂と溶媒の混合比は、溶媒の比が高い程、粘度が下がるためゼオライト粒子が動きやすく、粒子が細密充填や配向しやすくなる。一方で、溶媒の比が高すぎると複合膜の乾燥時に溶媒が膜内に残存し、ピンホールや欠陥となるため、高すぎない方が良い。これらの観点から、樹脂と溶媒の混合液中の溶媒の濃度は40質量%以上90質量%以下が好ましく、42質量%以上80質量%以下がより好ましく、43質量%以上、70質量%以下がさらに好ましい。適した樹脂を好ましい濃度で溶媒希釈した混合液に本実施形態におけるMWF型ゼオライト(微粒子)を適切な量入れ、製膜することでゼオライトと樹脂の混合体の薄膜を好ましく得ることができる。成膜性とゼオライトのガス分離性及びガス透過性のバランスの観点から、本実施形態におけるMWF型ゼオライトの添加量は、上記混合液中の本実施形態におけるMWF型ゼオライト濃度として、30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以上70質量%以下である。
上記(3)の成膜後の乾燥条件とは、上記(1)、(2)の最適な樹脂、溶媒希釈濃度で調整したゼオライトと樹脂と溶媒の混合物を支持体上に塗布し、乾燥して溶媒を除去してゼオライトと樹脂の複合体の薄膜を製膜する際の乾燥条件である。乾燥を長時間にすることで、塗布したゼオライトと樹脂と溶媒の混合物の内部でゼオライトが動ける時間を長くすることができ、膜内でのゼオライト粒子の細密充填化と配向がしやすくなる。一方で、乾燥時間が長時間過ぎると、溶媒が膜内に残存し、ピンホールや欠陥となるため、長時間過ぎない方が良い。これらの観点から、乾燥時間は2時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上18時間以下がより好ましく、4時間以上15時間以下がさらに好ましい。乾燥温度は揮発させる溶媒によって適宜選択できるが、前述の乾燥時間内となるように温度を調整することで理想的なゼオライト粒子の配列状態となった膜を製造できる。乾燥時間が長すぎる場合は、真空引きして乾燥を促進させてもよい。
成膜に用いられる支持体は特に限定されないが、ガス透過性の高い多孔質樹脂膜や無機多孔質支持体を用いることができる。ガス透過性の高い多孔質樹脂膜では溶媒に対する耐性が高い方が好ましい。好ましい多孔質膜としては、酢酸セルロース膜、セルロース膜、テフロン(登録商標)膜などが挙げられる。無機多孔質支持体としては特に限定されないが、表面平坦性が高い方が好ましいことから、アルミナ焼結体、ムライト焼結体、ステンレス焼結体等を用いることができる。
支持体上にMWF型ゼオライトの粒子を種結晶として付着させ、それを原料液中で水熱合成することで薄膜化する方法では、(4)付着させる種結晶の粒子径と(5)成膜時の水熱合成に用いられる原料液の組成を適切な値とすることで、ゼオライト結晶子が膜内で適切に配向して成長し、得られた薄膜をX線回折測定して得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A≦0.38を満たす膜が得られる。
上記(4)の付着させる種結晶の粒子径は、粒子径が大きいと成膜後の膜厚が厚くなり、透過速度が遅くなるため小さい方が好ましい。また、小さい種結晶を用いて、膜成長の初期の膜厚をできるだけ薄くし、新たに成長した膜の部分をできるだけ多くすることで、8員環等の高次構造が3次元方向に配列し、細孔が途切れることなく膜の前後で連続した膜を製造できる。一方で種結晶の大きさが小さすぎると種結晶の結晶性が低下するため、種結晶は大きい方が良い。これらの観点から、種結晶の粒子径は10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以上3μm以下であり、さらに好ましくは50nm以上2μm以下である。
上記(5)の成膜時の水熱合成に用いられる原料液の適切な値とは、前述のMWF型ゼオライト粒子の合成方法における混合ゲルの組成比とα、δ、εは同様である。特にアルカリ金属とアルカリ土類金属の含有量とAl23の比であるβ(β=(M12O+M2O)/Al23)が重要であり、好ましいβの範囲は1.4≦β≦3.1であり、さらに好ましい範囲は1.5≦β≦3.05、最も好ましいのは1.6≦β≦3.0である。混合ゲル中のアルミ源と水の比、γ=H2O/Al23は、混合ゲル中の成分がより均一に分散される傾向にあることから、前述の粒子成長の場合と同じく、70以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。MWF型骨格と異なる骨格を有するゼオライトの形成が抑制できる観点から、90以上であることがさらに好ましい。一方、混合ゲル中の固体原料成分の濃度が高い方が、種結晶や成長した膜の溶解よりも結晶成長や再結晶化が促進される傾向にあることから、1000以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、さらに好ましくは450以下である。
好ましい組成比の原料液を用いることで、ゼオライト結晶子が膜内で適切に配向して成長し、得られた薄膜をX線回折測定して得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす膜が得られ、CO2/CH4選択性が高く、CO2透過速度が速いMWF型ゼオライト膜を製造できる。
〔気体混合物の分離〕
本実施形態のMWF型ゼオライト膜を用いることで、気体混合物の成分のうち、MWF型ゼオライトによる選択透過性の高い気体成分を、MWF型ゼオライト膜で選択的に透過させ、分離することができる。すなわち、本実施形態の気体の分離方法は、本実施形態のMWF型ゼオライト膜に複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、前記気体混合物から、選択透過性の高い気体成分を前記MWF型ゼオライト膜に透過させて分離する工程を含む。
気体混合物としては、以下に限定されないが、例えば、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素及び水などから選ばれる少なくとも1種の成分を含むものが挙げられる。
さらに気体混合物としては、上記成分の少なくとも2種の成分を含むものがより好ましい。この場合、2種の成分としては、本実施形態のMWF型ゼオライト膜による選択透過性の高い成分と選択透過性の小さい成分の組合せが好ましい。
気体混合物の組み合わせを例示すると、以下に限定されないが、二酸化炭素及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分と、酸素、窒素及びメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを主に含む気体混合物が挙げられる。
本実施形態のMWF型ゼオライト膜の用途は、特に限定されるものではなく、例えば、各種ガス及び液などの分離剤、分離膜、燃料電池などの電解質膜、各種樹脂成形体のフィラー、メンブランリアクター、あるいはハイドロクラッキング、アルキレーションなどの触媒、金属、金属酸化物などの担持用触媒担体、吸着剤、乾燥剤、洗剤助剤、イオン交換剤、排水処理剤、肥料、化粧品添加物等として用いることができる。
以下に実施例等を挙げて本実施形態を更に詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本実施形態として実施することができ、かかる変更は本実施形態の所定の要件を満たす限りにおいて、本発明の範囲に包含される。
〔結晶構造解析〕
結晶構造解析は以下の手順で行った。
(1)各実施例及び比較例で得られたMWF型ゼオライト膜を試料として、試料台に膜の表面と試料台の表面の高さが一致するように調整して固定した。
(2)上記(1)の固定した膜を、下記条件で結晶構造解析を行い、所定のピーク強度及び半値幅を測定した。
X線回折装置(XRD):リガク社製粉末X線回折装置「RINT2500型」(商品名)
X線源:Cu管球(40kV、200mA)
測定温度:25℃
測定範囲:5〜60°(0.02°/step)
測定速度:0.2°/分
スリット幅(散乱、発散、受光):1°、1°、0.15mm
〔ガス透過選択性及び透過速度の測定〕
ガス透過選択性および透過速度は以下の手順で行った。
(1)MWF型ゼオライトを含む膜をステンレス製のセルに取り付けた。膜が平膜の場合は膜の一方を原料ガス側、反対側を透過ガス側とし、膜が中空管型の場合は中空管の外側を原料ガス側、内側を透過ガス側とした。
(2)原料ガス側にはCO2を10mol%、CH4を90mol%含んだ混合ガスを0.1MPaで充填・密封した。
(3)ガス流通開始から1時間後、透過ガス側に出てきたガスをガスクロマトグラフィーで組成分析し、組成比からガス透過選択性を算出した。また、透過ガス側に出てきたガスの流量を、ガス流量計で測定し、単位膜面積当たりのガス透過速度を算出した。
〔実施例1〕
水62.02gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.91gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gを添加して溶解させ、水溶液を得た。この水溶液を10℃で撹拌しながらコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.67gを1cc/minの速度で添加した。この溶液を10℃で1時間撹拌した後、有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)11.15gを添加して混合し、10℃で3時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=7.1、β=Na2O/Al23=2.1、γ=H2O/Al23=380、δ=OH-/SiO2=0.32、ε=R/Al23=5.3であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら125℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたMWF型ゼオライト1gを500mlのホウ酸ガラス製容器に入れ、Φ1mmのホウ酸ガラス製ビーズを100cc、イオン交換水100ccを入れて500rpmで6時間回転させて粉砕した。得られた微粒子MWF型ゼオライトをFE−SEMで観察し、粒子200個の粒子径を測定し、これらの測定値の平均値として得られる平均粒子径は0.15μmであった。
湿気硬化型シリコーン樹脂(TSE382、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン合同会社製)1gとトルエン1gとをガラス容器に入れ、超音波洗浄を掛けて完全に溶解した。この混合液に前述の微粒化したMWF型ゼオライト1gを入れ、十分に撹拌して混合した。
多孔質酢酸セルロース膜(孔径0.45μm、アドバンテック東洋株式会社製)をガラス板に張り付け、その表面に前述の樹脂と溶媒とゼオライトの混合液をアプリケーターで塗布した。得られた膜を40℃で12時間乾燥した。乾燥後、得られた膜をレーザーカッターで切断し試料台に貼り付け、その断面を走査型電子顕微鏡で観察してゼオライトと樹脂の混合物の薄膜の膜厚を計測したところ、膜厚は6μmであった。
得られたゼオライトと樹脂の混合物のXRDスペクトルを図1に示す。スペクトルより、得られたゼオライトがMWF型ゼオライトであることを確認した。XRDパターンから得られるピーク強度比については、B/A=0.37であった。
得られたMWF型ゼオライトと樹脂の混合物の薄膜のCO2/CH4透過選択性は60であり、CO2の透過速度は105GPUであった。
〔実施例2〕
実施例1と同じ方法でMWF型ゼオライト粒子を作成し、実施例1と同じ方法で0.15μmに微粒子化した。微粒子化したMWF型ゼオライトを種結晶として、φ10mm、長さ60mmのアルミナ多孔質支持体上に擦り付けて付着させた。さらに80℃で6時間乾燥し、過剰に付着した種結晶を落とした。これをγ=H2O/Al23=250とした以外は実施例1で用いた原料ゲルと同じ組成の原料ゲルに入れ、125℃で4日間水熱合成し、中空管型のMWF型ゼオライト膜を得た。
得られたMWF型ゼオライト膜のXRDスペクトルを図2に示す。XRDパターンから、B/A=0.34であった。得られた膜を支持体ごと劈開し、試料台に貼り付け、その断面を走査型電子顕微鏡で観察してMWF型ゼオライト膜の膜厚を計測したところ、膜厚は1.5μmであった。
得られたMWF型ゼオライト膜のCO2/CH4透過選択性は312であり、CO2の透過速度は224GPUであった。
〔実施例3〕
水61.69gと50質量%水酸化ナトリウム水溶液1.35gとアルミン酸ナトリウム1.64gを添加して溶解させ、水溶液を得た。この水溶液を10℃で撹拌しながらコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.83gを1cc/minの速度で添加した。この溶液を10℃で1時間撹拌した後、有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド11.08gを添加して混合し、12℃で4時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=7.2、β=Na2O/Al23=1.8、γ=H2O/Al23=382、δ=OH-/SiO2=0.23、ε=R/Al23=5.3であった。混合ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200mLのステンレス製オートクレーブに仕込み、上下撹拌回転数20rpmで保持しながら130℃で4日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたMWF型ゼオライト1gを500mlのホウ酸ガラス製容器に入れ、Φ1mmのホウ酸ガラス製ビーズを100cc、イオン交換水100ccを入れて300rpmで4時間回転させて粉砕した。得られた微粒子MWF型ゼオライトをFE−SEMで観察し、粒子200個の粒子径を測定したところ、平均粒子径は0.25μmであった。
湿気硬化型シリコーン樹脂(TSE382、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン合同会社製)1gとトルエン1.2gとをガラス容器に入れ、超音波洗浄を掛けて完全に溶解した。この混合液に前述の微粒化したMWF型ゼオライト1gを入れ、十分に撹拌して混合した。
実施例1と同じ多孔質酢酸セルロース膜をガラス板に張り付け、その表面に前述の樹脂と溶媒とゼオライトの混合液をアプリケーターで塗布した。得られた膜を40℃で12時間乾燥した。実施例1と同じ方法で膜厚を測定したところ、乾燥後のゼオライトと樹脂の混合物の膜厚は4μmであった。
得られたゼオライトと樹脂の混合物のXRDパターンから得られるピーク強度比については、B/A=0.25であった。
得られたMWF型ゼオライトと樹脂の混合物の薄膜のCO2/CH4透過選択性は55であり、CO2の透過速度は115GPUであった。
〔比較例1〕
水20.00gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)1.52gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)11.15gを混合したものと、水42.00gと水酸化アルミニウム(Al(OH)3、Aldrich社製)1.94gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.67gを混合したものを混合し、28℃で24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=7.1、β=Na2O/Al23=1.9、γ=H2O/Al23=380、δ=OH-/SiO2=0.54、ε=R/Al23=5.3であった。混合ゲルを撹拌しながら125℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトの平均粒子径は2.3μmであった。
実施例1とおなじ湿気硬化型シリコーン樹脂1gとトルエン0.6g(溶媒濃度37.wt%)とをガラス容器に入れ、超音波洗浄を掛けて完全に溶解した。この混合液に比較例1で作成したMWF型ゼオライト1gを入れ、十分に撹拌して混合した。
実施例1と同じ多孔質酢酸セルロース膜をガラス板に張り付け、その表面に前述の樹脂と溶媒とゼオライトの混合液をアプリケーターで塗布した。得られた膜を40℃で12時間乾燥した。実施例1と同じ方法で膜厚を測定したところ、乾燥後のゼオライトと樹脂の混合物の膜厚は8μmであった。
得られたゼオライトと樹脂の混合物のXRDスペクトルより、得られたゼオライトがMWF型ゼオライトであることを確認した。XRDパターンから得られるピーク強度比については、B/A=0.23であった。
得られたMWF型ゼオライトと樹脂の混合物の薄膜のCO2/CH4透過選択性は4.5であり、CO2の透過速度は87GPUであった。
〔比較例2〕
水56.00gと水酸化ナトリウム1.52gと有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)11.15gを混合したものと、水117.6gと水酸化アルミニウム1.94gとコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)10.67gを混合したものを混合し、28℃で24時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=7.1、β=Na2O/Al23=1.9、γ=H2O/Al23=1060、δ=OH-/SiO2=0.54、ε=R/Al23=5.3であった。混合ゲルを撹拌しながら135℃で14日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
得られたゼオライトの平均粒子径は5.5μmであった。
得られたMWF型ゼオライトを種結晶として、φ10mm、長さ60mmのアルミナ多孔質支持体上に擦り付けて付着させた。さらに80℃で6時間乾燥し、過剰に付着した種結晶を落とした。これを比較例2で用いた原料ゲルと同じ組成の原料ゲルに入れ、125℃で4日間水熱合成し、中空管型のMWF型ゼオライト膜を得た。実施例2と同じ方法で膜厚を測定したところ、膜厚は6.5μmであった。
スペクトルより、得られたゼオライトがMWF型ゼオライトであることを確認した。XRDパターンから得られるピーク強度比については、B/A=0.38であった。
得られたMWF型ゼオライト薄膜のCO2/CH4透過選択性は3.7であり、CO2の透過速度は7.2GPUであった。
〔比較例3〕
水69.76gと水酸化ナトリウム(NaOH、和光純薬工業株式会社製)0.85gとアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、和光純薬工業株式会社製)1.64gを添加して溶解させ、水溶液を得た。この水溶液を28℃で撹拌しながらコロイダルシリカ(Ludox AS−40、Grace社製)13.53gを1cc/minの速度で添加した。この溶液を28℃で1時間撹拌した後、有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)39.36gを添加して混合し、28℃で3時間撹拌することで混合ゲルを調製した。混合ゲルの組成は、α=SiO2/Al23=9.0、β=Na2O/Al23=3.1、γ=H2O/Al23=428、δ=OH-/SiO2=0.47、ε=R/Al23=18.7であった。混合ゲルを撹拌しながら125℃で7日間水熱合成し、生成物をろ過して120℃で乾燥した後、粉末状のゼオライトを得た。
実施例1と同じ方法で膜厚を測定したところ、得られたゼオライトの平均粒子径は2.5μmであった。
実施例1とおなじ湿気硬化型シリコーン樹脂1gとトルエン1gとをガラス容器に入れ、超音波洗浄を掛けて完全に溶解した。この混合液に比較例3作成したMWF型ゼオライト1gを入れ、十分に撹拌して混合した。
実施例1と同じ多孔質酢酸セルロース膜をガラス板に張り付け、その表面に前述の樹脂と溶媒とゼオライトの混合液をアプリケーターで塗布した。得られた膜を40℃で12時間乾燥した。乾燥後のゼオライトと樹脂の混合物の膜厚は10μmであった。
得られたゼオライトと樹脂の混合物のXRDスペクトルより、得られたゼオライトがMWF型ゼオライトであることを確認した。XRDパターンから得られるピーク強度比については、B/A=0.45であった。
得られたMWF型ゼオライトと樹脂の混合物の薄膜のCO2/CH4透過選択性は12であり、CO2の透過速度は32GPUであった。
表1中におけるα〜εは次のモル比を表す。
α=SiO2/Al23
β=(M12O+M2O)/Al23
γ=H2O/Al23
δ=OH-/SiO2
ε=R/Al23 (Rは有機構造規定剤を表す。)
また、表1中におけるB/A及びC/Aは次のように求められる。
B/A=(2θ=16.8°付近のピーク強度)/(2θ=11.1°付近のピーク強度)
本発明に係るMWF型ゼオライト膜は、各種ガス及び液などの分離膜、分離剤、燃料電池などの電解質膜、各種樹脂成形体のフィラー、メンブランリアクター、あるいはハイドロクラッキング、アルキレーションなどの触媒、金属、金属酸化物などの担持用触媒担体、吸着剤、乾燥剤、洗剤助剤、イオン交換剤、排水処理剤、肥料、化粧品添加物等として産業上利用の可能性を有する。

Claims (4)

  1. MWF型ゼオライトを含む、MWF型ゼオライト膜であって、
    X線回折により得られるピークにおいて、2θ=11.1及び16.8°付近のピーク高さをそれぞれA及びBとしたとき、0.24≦B/A<0.38を満たす、MWF型ゼオライト膜。
  2. 膜厚が0.1μm以上50μm以下である、請求項1に記載のMWF型ゼオライト膜。
  3. 請求項1又は2に記載のMWF型ゼオライト膜に複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、前記気体混合物から、前記MWF型ゼオライト膜による透過速度の速い気体成分を前記MWF型ゼオライト膜に透過させて分離する工程を含む、気体の分離方法。
  4. 前記気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、硫化水素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも2種の気体成分を含む、請求項3に記載の気体の分離方法。
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