JP2020012092A - マクロモノマー共重合体及びこれを含むエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むマクロモノマー(a’)由来の単位と、前記マクロモノマー(a’)と共重合可能なビニル単量体(b’)由来の単位からなるマクロモノマー共重合体であって、前記マクロモノマー(a’)が、一般式(1)で表される繰り返し単位を10質量%以上含み、前記ビニル単量体(b’)のみを重合して得られる重合体のガラス転移温度(Tgb’’)が25℃以下である、マクロモノマー共重合体。
〔4〕 前記マクロモノマー(a’)が、単量体単位として、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレ−ト、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレ−ト、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)(メタ)アクリレート、(5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メチル(メタ)アクリレートを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のマクロモノマー共重合体。
[5] 前記マクロモノマー(a’)が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を20質量%以上含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のマクロモノマー共重合体。
[6] 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のマクロモノマー共重合体と、前記マクロモノマー共重合体とは異なる構造を有するエポキシ樹脂とを含む、エポキシ樹脂組成物。
[7][6]に記載のエポキシ樹脂組成物を含む接着剤。
[8][6]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
「ブロック共重合体」とは、重合体中に複数のブロックを有し、互いに隣接するブロックは構成(化学構造)が異なっている共重合体を意味する。例えば、隣接するブロックは、異なる単量体由来の構成単位で構成されている。
「マクロモノマー」とは、ラジカル重合可能な官能基又は付加反応性の官能基を持つ高分子の単量体を意味する。官能基は末端に有することが好ましい。分子量は通常1,000以上100万以下である。
「ビニル単量体」とは、マクロモノマーではないエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。「(メタ)アクリロニトリル」は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの総称である。「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの総称である。
「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
「(メタ)アクリル系共重合体」とは、構成単位の少なくとも一部が(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位である共重合体を意味する。(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体(たとえばスチレン等)由来の構成単位をさらに含んでいてもよい。
本発明におけるマクロモノマー共重合体は、マクロモノマー(a’)由来の構成単位及びビニル単量体(b’)由来の単位からなる。以下では、本発明に係るマクロモノマー共重合体を「マクロモノマー共重合体(A’)」と称する。
マクロモノマー(a’)由来のポリマー鎖と、ビニル単量体(b’)由来の構成単位から構成されたポリマー鎖とは相分離(ミクロ相分離)可能であることが好ましい。
通常、マクロモノマー(a’)を構成する単量体の組成とビニル単量体(b’)の組成とは異なる。ここで、組成とは単量体の種類及び含有割合を示す。
本発明のマクロモノマー(a’)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む。
すなわちマクロモノマー(a’)は、一般式(1)で表される、環状エーテル基を有する基を持つ単量体単位を含むものである。以下、これを「マクロモノマー(a’)は環状エーテル基を有する単量体単位を含有する」と表現することがある。
マクロモノマー(a’)が環状エーテル基を有する単量体単位を含有することで、マクロモノマー共重合体(A’)が含むマクロモノマー(a’)単位とエポキシ樹脂との相溶性が高まるとともに、エポキシ樹脂のエポキシ基と同様に硬化剤と反応させ硬化させることができる。エポキシ樹脂との相溶性を高め、かつ硬化剤と反応しやすい点から、一般式(1)におけるRは、末端に環状エーテル基を有する基であることが好ましい。
具体的には、相溶性が高いほど、ゴム部の表面積がより広い相分離構造となり、ミクロなラメラ状構造、ミクロな線状構造、またはミクロな共連続構造をとりやすくなる。さらに硬化時には、前記環状エーテル基がエポキシ樹脂とともに硬化剤と反応することでエポキシ樹脂とゴム部の界面強度が向上し、硬化物の靱性や耐衝撃性を向上させることができる。
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基としては、後述する一般式(2)のR及びR1〜Rnでの説明と同様のものを用いうる。また、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基のうち2種以上が連結されていてもよい。さらに、これらは、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲で他に置換基を有していてもよい。置換基としては、後述する一般式(2)と同様のものを用いうる。
好ましくは、Rは、末端に環状エーテル基を有する基である。エポキシ樹脂との相溶性を高め、かつ硬化剤と反応しやすいためである。
マクロモノマー(a’)の数平均分子量、重量平均分子量は後述する実施例の測定方法により測定できる。
「環状エーテル基を有する基」の作用、好ましい構造等については、前述の一般式(1)での説明と同様である。
マクロモノマー(a’)に占める環状エーテル基を有する基を持つ単位の割合は、一般式(1)での説明と同様である。
以下、「環状エーテル基を有する基」以外のR及びR1〜Rnについて説明する。
一般式(2)において、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基のいずれかである。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の分岐又は直鎖アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びイコシル基が挙げられる。これらの中で、重合しやすさ及び入手しやすさから、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、及びt−ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
複素環基としては、例えば、炭素数5〜18の複素環基が挙げられる。複素環基に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。具体例としては、γ−ラクトン基、ε−カプロラクトン基、モルフォリン基、ピロリジン基、ピペリジン基、チオラン基、等が挙げられる。
R及びR1〜Rnにおける置換基としては、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アコキシカルボニル基(−COOR’)、カルバモイル基(−CONR’R’’)、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基(−NR’R’’)、ハロゲン原子、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(−OR’)、及び親水性もしくはイオン性を示す基を例示できる。なお、R’又はR’’は、それぞれ独立して、Rと同様の基(ただし、複素環基を除く。)である。
R及びR1〜Rnの置換基としてのカルバモイル基としては、N−メチルカルバモイル基及びN,N−ジメチルカルバモイル基を例示できる。
R及びR1〜Rnの置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を例示できる。
R及びR1〜Rnの置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基を例示でき、具体例としては、メトキシ基を例示できる。
R及びR1〜Rnの置換基としての親水性又はイオン性を示す基としては、カルボキシ基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基を例示できる。
X1〜Xnは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、メチル基が好ましい。マクロモノマー(a’)においては、合成しやすさの点から、X1〜Xnの半数以上がメチル基であることが好ましい。
ガラス転移温度は、マクロモノマー(a’)を形成する単量体の組成等によって調整できる。
マクロモノマー(a’)を得るためのモノマー(原料モノマー)としては、環状エーテル基を有する単量体及びそれ以外の単量体が用いられ得る。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、テルペンアクリレートやその誘導体、水添ロジンアクリレートやその誘導体、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等のカルボキシル基含有ビニル単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル単量体; ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネート、ジパーフルオロシクロヘキシルフマレート等の不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル単量体;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジアリル等の多官能性のビニル単量体;
(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、「プラクセルFM」(ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー、商品名)、「ブレンマーPME−100」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME−200」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME−400」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの)、商品名)、「ブレンマー50POEP−800B」(日油(株)製オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの)、商品名)、「ブレンマー20ANEP−600」(日油(株)製ノニルフェノキシ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノアクリレート、商品名)、「ブレンマーAME−100」(日油(株)製、商品名)、「ブレンマーAME−200」(日油(株)製、商品名)及び「ブレンマー50AOEP−800B」(日油(株)製、商品名)等のグリコールエステル系単量体;
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤含有単量体;
(メタ)アクリル酸トリメチルシリル、(メタ)アクリル酸トリエチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−プロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−アミルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ヘキシルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−オクチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−n−ドデシルシリル、(メタ)アクリル酸トリフェニルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−p−メチルフェニルシリル、(メタ)アクリル酸トリベンジルシリル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−s−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−2−メチルイソプロピルシリル、(メタ)アクリル酸トリ−t−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸エチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸n−ブチルジメチルシリル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピル−n−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸n−オクチルジ−n−ブチルシリル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルステアリルシリル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシルフェニルシリル、(メタ)アクリル酸t−ブチルジフェニルシリル、(メタ)アクリル酸ラウリルジフェニルシリル等の、シランカップリング剤含有モノマー以外のオルガノシリル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル等のイソシアナト基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロフェニル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、(メタ)アクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、(メタ)アクリル酸1,2,2,2−テトラフルオロー1−(トリフルオロメチル)エチル等のハロゲン含有単量体;
(メタ)アクリル酸1−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−(2−エチルへキシルオキシ)エチル、1−(シクロへキシルオキシ)エチルメタクリレート)、(メタ)アクリル酸2−テトラヒドロピラニル等のアセタール構造を持つ単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジン、ビニルトリメトキシシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の他のビニル単量体。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
具体的には、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートがより好ましい。
マクロモノマー(a’)の全単位のうちのメタクリレート単位の量も同様である。
ビニル単量体(b’)は、エチレン性不飽和結合を有する、マクロモノマー(a’)とは異なる単量体である。ビニル単量体(b’)としては、特に限定されず、前記マクロモノマー(a’)の原料モノマーと同様のものを用いることができる。ビニル単量体(b’)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ビニル単量体(b’)の少なくとも一部は(メタ)アクリル系単量体であることが好ましい。
マクロモノマー(a’)をビニル単量体(b’)由来の構成単位からなる重合体に付加させる場合は、ビニル単量体(b’)はマクロモノマー(a’)の官能基と反応できる官能基を有するものを含むことが適している。
好ましい他のビニル単量体の例として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、スチレン、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニル単量体(b’)は、ビニル単量体(b’)のみを重合して得られる重合体(以下、「重合体(b’’)」ともいう)とマクロモノマー(a’)との間に極性の差が生じる組成を有することが好ましい。重合体(b’’)とマクロモノマー(a’)との間に極性の差があれば、組成物を硬化させる際に、マクロモノマー(a’)のポリマー鎖と重合体(b’’)から形成されたポリマー鎖とがミクロ相分離しやすく、優れた接着強度を有する硬化物が得られやすい。
マクロモノマー(a’)としてエポキシ樹脂及びその硬化物と相溶可能なものが用いられる場合、ビニル単量体(b’)の組成は、重合体(b’’)がマクロモノマー(a’)よりも低極性になる組成とすることが好ましい。
この例において、マクロモノマー(a’)を構成するメタクリル酸メチル由来の構成単位の割合は、マクロモノマー全質量に対して20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。ただし、90質量%以下とし、好ましくは80質量%以下とする。
また、重合体(b’’)中、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等の極性官能基を有するビニル単量体の含有量は、極性の差を大きくする観点から、ビニル単量体(b’)の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
なお、Foxの計算式とは以下の式により求められる計算値であり、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook 4th Edition,J.Brandrup,Interscience,1998〕に記載されている値を用いて求めることができる(式中のTgをビニル単量体(b’)のTgb’’とする)。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
(式中、Wiはモノマーiの質量分率、Tgiは各モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。)
マクロモノマー共重合体(A’)中のマクロモノマー(a’)由来の単位の含有量は、マクロモノマー共重合体(A’)の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。
マクロモノマー共重合体(A’)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜100万が好ましく、2万〜90万がより好ましく、3万〜80万がさらに好ましく、4万〜70万が最も好ましい。マクロモノマー共重合体(A’)の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上では、エポキシ樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物の硬化物において、マクロモノマー共重合体(A’)が適切にミクロ相分離構造を形成しやすく、靱性及び接着強度が得られやすい。マクロモノマー共重合体(A’)の重量平均分子量が前記範囲の上限値以下では、マクロモノマー共重合体(A’)とエポキシ樹脂との相溶性が悪くなり、エポキシ樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物の硬化物において、マクロ相分離ではなくミクロ相分離構造を形成し、十分な靱性及び接着強度を得ることができる。
マクロモノマー共重合体(A’)の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。詳しくは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
マクロモノマー共重合体(A’)の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の製造方法(α)、(β)等が挙げられる。マクロモノマー共重合体(A’)は、製造方法(α)により製造されたものであってもよく、製造方法(β)により製造されたものであってもよい。ただし、マクロモノマー共重合体(A’)の製造方法はこれらに限定されるものではない。
製造方法(α):マクロモノマーとしてラジカル重合性基を有するマクロモノマーを用い、このマクロモノマーとビニル単量体とを共重合する方法。
製造方法(β):マクロモノマーとして付加反応性の官能基を有するマクロモノマーを用い、このマクロモノマーと、該官能基と反応可能な官能基を有するビニル単量体由来の構成単位を含む重合体とを反応させる方法。
ラジカル重合性基を持つマクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α−メチルスチレンダイマー等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合開始剤を用いる方法、重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法等が挙げられる。
これらの中で、ラジカル重合性基を持つマクロモノマーの製造方法としては、製造工程数が少なく、使用する触媒の連鎖移動定数が高い点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。なお、コバルト連鎖移動剤を用いて製造した場合のマクロモノマーは、一般式(2)で表される構造(マクロモノマー(a’))を有する。
重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法としては、例えば、ハロゲン基を有する重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法、酸基を有するビニル単量体とエポキシ基を有するビニル系重合体とを反応させる方法、エポキシ基を有するビニル系重合体と酸基を有するビニル単量体とを反応させる方法、水酸基を有するビニル系重合体とジイソシアネート化合物とを反応させ、イソシアネート基を有するビニル系重合体を得て、このビニル系重合体と水酸基を有するビニル単量体とを反応させる方法等が挙げられ、いずれの方法によって製造されても構わない。
マクロモノマーの分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤等によって調整できる。
重合方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法等の公知の重合方法が適用できる。生産性、塗膜性能の点で溶液重合法が好ましい。
溶液重合は、例えば、重合容器内に重合溶媒、単量体及びラジカル重合開始剤を供給し、所定の反応温度に保持することにより実施できる。単量体は、全量を予め(重合容器内を所定の反応温度とする前に)重合容器に仕込んでもよく、重合容器内を所定の反応温度とした後に滴下供給してもよく、一部を予め重合容器に仕込み、残部を滴下供給してもよい。
エポキシ樹脂としては、公知のものが使用でき、その分子中にエポキシ結合を少なくとも2個有するものであれば分子構造、分子量等に特に制限はない。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂として、前記エポキシ樹脂のプレポリマーやポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような前記エポキシ樹脂と他の重合体との共重合体、及び前記エポキシ樹脂の一部がエポキシ基を有する反応性希釈剤で置換されたものを挙げることもできる。
反応性希釈剤としては、例えば、レゾルシングリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルシロキサン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン等のモノグリシジル化合物、及び2−(3,4)−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のモノ脂環式エポキシ化合物が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるものであり、エポキシ樹脂組成物の硬化性及び硬化物特性を調整するために用いられる。
硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものが使用でき、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、潜在性硬化剤等が挙げられる。
潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH及びアミキュアUDH(いずれも商品名、味の素(登録商標)(株)製)、クエン酸トリヒドラジド等の有機酸ヒドラジドが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の熱硬化触媒として用いられている公知のものを使用することができ、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)等のウレア化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト類;トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物類;テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のボレート類;及びジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物に含まれてよい他の成分としては、例えば酸化防止剤;シリコーンオイル、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤;ガラスビーズ、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ等の粉体;ガラス繊維、炭素繊維等の繊維;三酸化アンチモン等の難燃剤;ハイドロタルサイト、希土類酸化物等のハロゲントラップ剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;シランカップリング剤;消泡剤、レオロジー調整剤、難燃剤、顔料、染料等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物中、マクロモノマー共重合体(A’)の含有量は、エポキシ樹脂の100質量部に対し、3〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。マクロモノマー共重合体(A’)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、エポキシ樹脂組成物の脆性が改善され、接着強度がより優れる。マクロモノマー共重合体(A’)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、エポキシ樹脂組成物の硬さが損なわれることなく、接着強度がより優れる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。例えば、マクロモノマー共重合体(A’)と、エポキシ樹脂と、硬化剤と、必要に応じて硬化促進剤及び他の成分を同時に混合してもよく、一部の成分(例えばマクロモノマー共重合体(A’)及びエポキシ樹脂)を予め混合し、その混合物と残りの成分とを混合してもよい。混合方法は特に限定されず、自転・公転ミキサー、三本ロール等のミキシングロール、ニーダー等の公知の混合機を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、マクロモノマー共重合体(A’)とエポキシ樹脂と硬化剤とを含み、マクロモノマー共重合体(A’)の代わりに従来用いられているトリブロック共重合体を含む場合に比べて低粘度であるため、プロセス適性及び配合の自由度に優れる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させると、接着強度や靱性、耐衝撃性に優れた硬化物が得られる。
または、硬化前はマクロモノマー共重合体(A’)とエポキシ樹脂とが相溶しているが、エポキシ樹脂組成物を硬化させる際、マクロモノマー(a’)由来のポリマー鎖及びビニル単量体(b’)由来の単位から構成されたポリマー鎖のいずれか一方がエポキシ樹脂と相溶したまま、他方は相溶せず分離してミクロ相分離構造を形成する。
いずれの場合も、エポキシ樹脂から相分離したポリマー鎖部分が硬化物に靱性を付与し、相分離せずに残った部分がアンカーとして機能し、優れた接着強度が得られると考えられる。
好ましくは、マクロモノマー(a’)由来のポリマー鎖がエポキシ樹脂と相溶する。
上記効果を奏することから、本発明のエポキシ樹脂組成物は接着剤として有用である。
接着剤としては、例えば、自動車等の車両の構造用、土木・建築用、電子材料用、一般事務用、医療用、工業用等が挙げられる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
本発明の硬化物は、前述の本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化方法としては、特に制限はなく、従来から採用されているエポキシ樹脂組成物の硬化方法を用いることができ、典型的には熱硬化法が用いられる。
MA:メチルアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
OXE−10:商品名、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製
CYM M100:商品名、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、(株)ダイセル製
MEDOL−10:商品名、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製
V#200:商品名、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製
パーオクタO:商品名、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油(株)製
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
ナイパーBMT−K40:商品名、ベンゾイルパーオキサイド、日油(株)製
n−BA:n−ブチルアクリレート
IBXA:アクリル酸イソボルニル
2−EHA:アクリル酸−2−エチルヘキシル
IDAA:アクリル酸イソデシル
X−22−174ASX:商品名、メタクリル変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製)
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DICY:ジシアンジアミド(三菱ケミカル(株)製)
DCMU:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業(株)製)
jER828:商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製
J−100:ブラスティング用ガラスビーズJ−100
・マクロモノマー{(a’−1)〜(a’−9)、(a−1)}の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、下記条件で標準ポリスチレン換算にて算出した。
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)装置:東ソー(株)製、HLC−8320カラム
カラム(TSK−guardcolumn SuperH−H(4.6×35mm、東ソー(株)製)と、2本のTSKgel Super HM−H(6.0×150mm、東ソー(株)製)を直列に接続
試料溶液:マクロモノマーのテトラヒドロフラン(THF)溶液(試料濃度0.02g/10mL)10μL
流量:0.6mL/分
溶離液:THF(安定剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT))
カラム温度:40℃
・マクロモノマー{(a’−10)〜(a’−12)}の数平均分子量及び重量平均分子量は、下記条件で標準ポリスチレン換算にて算出した。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置:東ソー(株)製、HLC−8320カラム
東ソー(株)製カラム(TSKgel SuperHZM−M×HZM−M×HZ2000、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
試料溶液:マクロモノマーの0.2質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液10μL
流量:0.35mL/分
溶離液:THF(安定剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT))
カラム温度:40℃
・マクロモノマー共重合体{(A’−1)〜(A’−10)、(A−1)〜(A−3)}の数平均分子量及び重量平均分子量は、下記条件で標準ポリスチレン換算にて算出した。
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)装置:東ソー(株)製、HLC−8320カラム
カラム(TSK−guardcolumn SuperH−H(4.6×35mm、東ソー(株)製)と、2本のTSKgel Super HM−H(6.0×150mm、東ソー(株)製)を直列に接続
試料溶液:マクロモノマーのテトラヒドロフラン(THF)溶液(試料濃度0.02g/10mL)10μL
流量:0.6mL/分
溶離液:THF(安定剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT))
カラム温度:40℃
・マクロモノマー共重合体{(A’−11)〜(A’−14)}の数平均分子量及び重量平均分子量は、下記条件で標準ポリスチレン換算にて算出した。
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)装置:東ソー(株)製、HLC−8320カラム
東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZM−M×HZM−M×HZ2000、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
試料溶液:マクロモノマーの0.2質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液10μL
流量:0.35mL/分
溶離液:THF(安定剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT))
カラム温度:40℃
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びMMA12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g及びジフェニルグリオキシム1.93g、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mLを入れ、室温で30分間攪拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mLを加え、さらに6時間攪拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤1を2.12g得た。
<合成例1>
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤1(固形分10質量%)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、MMA50部、GMA50部、連鎖移動剤1の0.0025部及び重合開始剤としてパーオクタO(登録商標)0.9部を加え、水性懸濁液とした。
次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して3.5時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(a’−1)を得た。このマクロモノマー(a’−1)の数平均分子量及び重量平均分子量を表1に示す。
合成例1において、モノマー、連鎖移動剤及び重合開始剤の仕込み量を表1に示すようにした以外は合成例1と同様にして、マクロモノマー(a’−2)〜(a’−9)、(a−1)を得た。分子量を表1に示す。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、酢酸エチル70部、および連鎖移動剤1を0.0032部加え、窒素ガス通気下で外温を85℃に昇温した。外温が85℃に達し、内温が安定した後、MMA25部、GMA75部、重合開始剤であるAMBNの1部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタOの0.4部及び酢酸エチル20部からなる混合物を30分間かけて添加した。その後、2時間保持した後、固形分((モノマー+溶剤仕込量)中のモノマー仕込量の割合)が50質量%になるように酢酸エチルを添加した後、室温まで冷却してマクロモノマー溶液を得た。マクロモノマー溶液中のマクロモノマー(a’−10)の分子量を表1に示す。
<合成例11>
モノマー、連鎖移動剤及び重合開始剤の仕込み量を表1に示すようにした以外は合成例10と同様にして、マクロモノマー(a’−11)を含むマクロモノマー溶液を得た。(固形分50質量%)
<製造例1>
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、初期仕込み溶剤として、メチルエチルケトン100部、マクロモノマー(a’−1)20部を入れ、窒素ガス通気下で外温を85℃に昇温した。外温が85℃に達し、内温が安定した後、酢酸エチル20部、アクリル酸n−ブチル(n−BA)80部、重合開始剤であるナイパーBMT−K40の0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタOの0.5部及び酢酸エチル10部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガノックス(登録商標)1010」)0.5部を投入し、固形分((モノマー+溶剤仕込量)中のモノマー仕込量の割合)が25質量%になるように酢酸エチルを添加した後、室温まで冷却して共重合体(A’−1)溶液を得た。共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を表2に示す。
マクロモノマー及びモノマーの種類、それらの使用量をそれぞれ表2、3に示すようにした以外は製造例1と同様にして、共重合体(A’−2)〜(A’−10)、(A−1)〜(A−3)の溶液を得た。溶液中の共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を表2、3に示す。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、初期仕込み溶剤として、酢酸エチル45部及びマクロモノマー(a’−10)20部(マクロモノマー溶液40部)を入れ、窒素ガス通気下で外温を85℃に昇温した。外温が85℃に達し、内温が安定した後、酢酸エチル20部、2−EHAの80部、重合開始剤であるナイパーBMT−K40の0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタOの0.5部及び酢酸エチル10部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、酸化防止剤(イルガノックス1010)0.5部を投入し、固形分((モノマー+溶剤仕込量)中のモノマー仕込量の割合)が50質量%になるように酢酸エチルを添加した後、室温まで冷却して共重合体(A’−11)溶液を得た。溶液中の共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を表3に示す。
初期仕込み溶剤、マクロモノマー及びモノマーの種類、それらの使用量をそれぞれ表3に示すようにした以外は製造例11と同様にして、共重合体(A’−12)溶液を得た。溶液中の共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を表3に示す。
<製造例13、14>
初期仕込み溶剤、マクロモノマー及びモノマーの種類、それらの使用量をそれぞれ表3に示すようにした以外は製造例1と同様にして、共重合体(A’−13)、(A’−14)溶液を得た。溶液中の共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を表3に示す。
なお、製造例13におけるTgb’’の値は、ポリマーハンドブック(1989)にIDAAのホモポリマーのガラス転移温度がないため、Miwon Specialty Chemicals Co.,Ltd製品カタログ値を採用した。
また、製造例14におけるTgb’’の値は、ポリマーハンドブック(1989)にX−22−174ASXのホモポリマーのガラス転移温度がなく、メーカーのカタログにも記載がないが、X−22−174ASXのホモポリマーが23℃で液状であることから、ガラス転移温度は23℃未満と判断できる。便宜上、X−22−174ASXのガラス転移温度を23℃として計算した。
<実施例1>
マクロモノマー共重合体(A’−1)10部(固形分25質量%のマクロモノマー共重合体溶液として40部)と、エポキシ樹脂(jER828(商品名))35.5部とを混合し、真空乾燥機を用いて減圧乾燥して脱溶剤を行い、揮発分を除去したプレミックスを得た。このプレミックスと、硬化剤としてDICY8部、硬化促進剤としてDCMU4部、エポキシ樹脂(jER828)64.5部を、あわとり練太郎((株)シンキー製)で混合し、三本ロール(AIMEX(株)製)で混練し、エポキシ樹脂組成物(1)を作製した。
表4に示す条件以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(2)〜(10)を得た。
マクロモノマー共重合体(A’−11)〜(A’−14)10部(固形分50質量%のマクロモノマー共重合体溶液として20部)を用い、表5に示す条件以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(11)〜(14)を得た。
共重合体溶液から共重合体プレミックスを作製せず、エポキシ樹脂組成物(1)122部に代えてエポキシ樹脂100部を使用した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(15)を得た。
表6に示す条件以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(16)〜(18)を得た。
<実施例1〜10>
得られたエポキシ樹脂組成物(1)〜(10)122部に対して、ガラスビーズJ−100(ポッターズ・バロティーニ社製)0.2部を加えて、あわとり練太郎((株)シンキー製)で混合した。
幅25mm×長さ150mm×厚み0.5mmの鋼板(JISG3141SPCC−SD、(株)エンジニアリングテストサービス製)の片面に、長さ方向の一端から50mmまでの部分をつかみしろとして残し、他の部分にエポキシ樹脂組成物を塗布した。この塗布面に、同様の大きさのもう一枚の鋼板を貼り合せ、エポキシ樹脂組成物層の厚みが一定となるように固定し、180℃で30分間加熱し、エポキシ樹脂組成物層を硬化させて積層体を得た。積層体の側面のエポキシ樹脂組成物層のはみ出しを削り取り、2枚の鋼板それぞれのつかみしろ部分を外側へ向かって直角に90°折り曲げて、T字型の試験片を得た。
オートグラフAG−IS((株)島津製作所製、ロードセル1kN)にて、得られた試験片のつかみしろ部分を上下保持し、つかみしろ部分を200mm/minの速度で移動させて剥離強度を測定し、最初の25mmと最後の25mmを除いた剥離強度の平均値を算出した。結果を表4に示す。
さらにこれを下記の基準に従い判定した。結果を表4に示す。
○:剥離強度が25N/25mm以上
×:剥離強度が25N/25mm未満
エポキシ樹脂組成物(11)〜(14)に対して、つかみしろ部分の移動速度を100mm/minとした以外は実施例1と同じ条件で剥離強度を測定し、平均値を算出した。また同じ基準で判定した。結果を表5に示す。
<比較例1〜4>
エポキシ樹脂組成物(15)〜(18)に対して、剥離試験を行い、平均値を算出した。また同じ基準で判定した。結果を表6に示す。
<実施例1>
エポキシ樹脂組成物(1)を、あわとり練太郎((株)シンキー製)で混合しながら真空引きして脱気した後、3mm厚の“テフロン(商標登録)”製スペーサーにより厚み3mmになるように設定したモールドに注入した。オーブン内で、室温から120℃まで2℃/分で昇温した後、120℃で1時間加熱し、樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物を四酸化オスミウム(OsO4)を使用して染色後、薄切片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して100,000倍率にて下記条件で透過電子像を取得し、目視によりミクロ相分離構造の有無及びミクロ相分離構造の形態を評価した。
相分離のサイズおよび/または周期が1000nm未満のものを含む時にミクロ相分離構造を有すると判断した。
装置:H−7600 透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製)
加速電圧:80kV
その結果、硬化したエポキシ樹脂マトリックス中に共重合体(A’−1)中のポリn−BAブロックがミクロな線状構造をなして分散しているミクロ相分離構造を有していた。
実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物(2)の樹脂硬化物のTEM観察を行ったところ、硬化したエポキシ樹脂マトリックス中に共重合体(A’−2)中のポリ(n−BA/IBXA)ブロックがミクロな球状構造をなして分散しているミクロ相分離構造を有していた。
実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物(3)の樹脂硬化物のTEM観察を行ったところ、硬化したエポキシ樹脂マトリックス中に共重合体(A’−3)中のポリ(n−BA/IBXA)ブロックがミクロな球状構造をなして分散しているミクロ相分離構造を有していた。
実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物(4)の樹脂硬化物のTEM観察を行ったところ、硬化したエポキシ樹脂マトリックス中に共重合体(A’−4)中のポリn−BAブロックがミクロな線状構造をなして分散しているミクロ相分離構造を有していた。
実施例から理解される通り、本発明に係るエポキシ樹脂組成物は接着剤として用いることができる。
Claims (8)
- 前記環状エーテル基が、オキシラニル基、オキセタニル基、オキソラニル基、ジオキソラニル基及びジオキサニル基からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載のマクロモノマー共重合体。
- 前記マクロモノマー(a’)が、単量体単位として、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレ−ト、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレ−ト、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)(メタ)アクリレート、(5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メチル(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマクロモノマー共重合体。
- 前記マクロモノマー(a’)が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を20質量%以上含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマクロモノマー共重合体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のマクロモノマー共重合体と、前記マクロモノマー共重合体とは異なる構造を有するエポキシ樹脂とを含む、エポキシ樹脂組成物。
- 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を含む接着剤。
- 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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