JP2020012034A - 導電性潤滑剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1):
[式中、R11及びR21は同一又は異なり、水素又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]で表される化合物(1)を少なくとも一種含む導電性潤滑剤。
【選択図】なし
Description
[1] 式(1):
[式中、
R11及びR21は同一又は異なり、水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物(1)を少なくとも一種含む導電性潤滑剤。
[2] R11、R12、R13、R21、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12である)である、式(1)で表される化合物(1)を一種含む、[1]に記載の導電性潤滑剤。
[3] R11、R12及びR13が−CH=CH−基に対してパラ位及び2個所のメタ位に置換し、R21、R22及びR23が−CH=CH−基に対してパラ位及び2個所のメタ位に置換する、式(1)で表される化合物(1)を一種含む、[2]に記載の導電性潤滑剤。
[4] R11及びR21は水素であり、
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である、
式(1)で表される化合物(1)を二種以上含む、[1]に記載の導電性潤滑剤。
[5] R12及びR13が−CH=CH−基に対してパラ位及び1個所のメタ位に置換し、R22及びR23が−CH=CH−基に対してパラ位及び1個所のメタ位に置換する、式(1)で表される化合物(1)を二種以上含む、[4]に記載の導電性潤滑剤。
[6] 式(1)における−CH=CH−に結合する基がトランスの位置関係にある、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
[7] 式(1)で表される化合物(1)が−50℃から+300℃の温度範囲においてスメクチック液晶相を呈する、[1]に記載の導電性潤滑剤。
[8] 電極面積1cm2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜300℃の温度範囲において0.07μA以上の導電性を有する、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
[9] 電極面積1cm2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜90℃の温度範囲において10,000μA以上の導電性を有する、[2]又は[3]に記載の導電性潤滑剤。
[10] カーボン及び金属のいずれも含まない、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
[11] 式(1)で表される化合物(1)が蛍光物質である、[1]乃至[10]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
[12] 式(1)で表される化合物(1)が式(1’):
[式中、R11、R12、R13、R21、R22及びR23は式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23と同義である]
で表されるトランス体である、[1]乃至[11]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
[13] 式(1):
[式中、
R11及びR21は同一又は異なり、水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物(1)の導電性潤滑剤の製造のための使用。
[14] 互いに接触して相対運動する複数の機械要素と、該機械要素の接触面の少なくとも一部に配置された[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤とを有する機械装置。
式(1):
[式中、
R11及びR21は同一又は異なり、水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物(1)を少なくとも一種含む導電性潤滑剤が提供される。
式(1)において、R11、R12、R13、R21、R22及びR23はコア構造に連結し、分子の潤滑性を担う鎖状基である。
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、好ましくは6≦n≦10であり、R’はメチル又はエチルであり、好ましくはメチルである)である。
R11及びR21が水素の場合、3環骨格構造の両端にあるベンゼン環の置換基は合計で4個となる。以下、このような化合物を「4置換化合物」と称することがある。
R11、R12、R13、R21、R22及びR23が基−ORの場合、3環骨格構造の両端にあるベンゼン環の置換基は合計で6個となる。以下、このような化合物を「6置換化合物」と称することがある。
本発明に係る式(1)で表される化合物(1)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の反応を組み合わせることにより合成することができる。
式
[式中、
R11は水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R12及びR13は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物を少なくとも一種、
式
[式中、
R21は水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物を少なくとも一種、及び
式
で表される化合物を適切な反応条件下に反応させて、下記化合物
[式中、R11、R12、R13、R21、R22及びR23は上に定義したとおりである]
のモル比1:2:1の混合物を得る。
式
[式中、
R11は水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R12及びR13は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物を少なくとも一種、
式
[式中、
R21は水素、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)であり、
R22及びR23は同一又は異なり、基−OR又は基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である]
で表される化合物を少なくとも一種、及び
式
で表されるテレフタルアルデヒドを適切な反応条件下に反応させて、下記化合物
[式中、R11、R12、R13、R21、R22及びR23は上に定義したとおりである]
のモル比1:2:1の混合物を得る。
本発明に係る導電性潤滑剤の平均動摩擦係数は、100℃で測定したとき、好ましくは0.13以下である。
本発明の導電性潤滑剤が、本発明の効果を損なわない範囲において含んでもよい、その他の成分について、順に説明する。これらは基本的に潤滑剤の含有成分として従来公知の物質であって、その含有量は、特にほかに言及しない限り、従来公知の範囲で当業者が適宜選択することができる。また、いずれの成分も1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る化合物(1)は液晶化合物であるが、本発明の導電性潤滑剤は、それ以外の液晶化合物を含有してもよい。
本発明の化合物(1)を添加剤として導電性潤滑剤に含める場合、基油としては、従来公知の各種の潤滑剤基油を使用することができる。
本発明の化合物を基油として潤滑剤に含める場合、従来公知の各種添加剤を添加可能である。
本発明の導電性潤滑剤は、上述の通り広い温度範囲において良好な低粘度を示し、また動摩擦係数も小さいので、従来はグリースが適用されていた各種の機械装置における潤滑剤として使用可能である。
試験品の各種物性は以下の方法により行った。
1H−NMRにて行った。
化合物の動摩擦係数は、市販の動摩擦係数測定装置で測定できるが、本明細書において動摩擦係数は、新東科学株式会社製表面性測定機「TYPE:14FW」を使用して測定する。
垂直荷重:100g
摩擦速度:600mm/min
往復回数:1800
往復ストローク:5mm
加重変換器容量:19.61N
摩擦相手材:SUS304 ステンレス球 直径10mm
サンプル量:0.2mL
偏光顕微鏡を用いた観察により、ガラス状態、液晶状態(スメクチック相)等を判断した。
電極間距離を5μmに設定した面積1cm2のITO電極間に試料を注入し、電圧印加電流測定装置としてアドバンテストADCMT 6241A、温度コントローラーとしてメトラーFP900サーモシステムをそれぞれ用いて、印加電圧5V、30℃から300℃の温度範囲で電流値を測定した。測定は液晶の固定化を確認するため、各2回行った。
F−7000型分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用い、下記条件にて行った。
励起波長:371.0nm
蛍光開始波長:200.0nm
蛍光終了波長:700.0nm
スキャンスピード:240nm/min.
励起側スリット:5.0nm
蛍光側スリット:5.0nm
ホトマル電圧:400V
本発明に係る化合物の合成例を以下に示す。
初めに、アルデヒド原料を調製する。
500mLの三角フラスコに、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(5)5.5g(0.040mol)、炭酸カリウム16.6g(0.12mol)をDMF150mLに溶解させ、窒素雰囲気下、シリコン浴にて50℃で1時間攪拌した。その後、臭素化合物(4−1)27.0g(0.10mol)を加え、シリコン浴中80℃で48時間攪拌した。
反応溶液を10%冷希塩酸300mLに注ぎ、1Lの分液漏斗を用いてジエチルエーテル300mLで抽出した。得られたエーテル層は蒸留水300mLで洗浄した。水層はジエチルエーテル100mLで再抽出した。得られたエーテル層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加え、一晩脱水した。
吸引濾過により無水硫酸ナトリウムを除去し、エバポレーターで溶媒を減圧除去した。未反応の臭素化合物(4−1)をエバポレーター(200℃油浴)で減圧除去した。残渣をメタノールで洗浄し、可溶部から目的物(6−1)を得た。
結果は以下のとおりである。
理論収量:20.3g
収量:19.8g
収率:98%
形状:茶色の固体
塩酸を5mL加えてからTHFをエバポレーションで減圧除去した。その後、得られた固体をメタノール、ヘキサンで洗浄を行った。
その後、残渣をTHF10〜20mLに溶解し、蒸留水200mLを加えて超音波洗浄を行い、冷蔵庫に一晩入れた。容器の壁面に析出した目的物をデカンテーションによって得た。なお、目的物の量が不足するようであれば、蒸留水をエバポレーターで濃縮してから、もう一晩冷蔵庫に入れて目的物を得ても良い。必要によりカラムクロマトグラフィーを行い、目的物(9−1)を得た。
結果は以下のとおりである。
理論収量:4.3g
収量:1.7g
収率:40%
形状:黄色、粘性のある固体
反応後、THFをエバポレーターで減圧除去し、残渣にはメタノール150mLを加えて濾過によってメタノール不溶部を得た。これを、更にメタノール100mLで超音波洗浄を数回繰り返し、得られた目的物(3−7)は真空で一晩乾燥させた。
結果は以下のとおりである。
収量:18.2g
収率:99.4%
形状:淡黄色固体
更にアセトンにより精製することにより、2個の−CH=CH−に結合する基がいずれもトランスの位置関係にある化合物(1H−NMRにより確認した)が淡黄色粉末固体として得られた。なお、トランス体のみで構成することにより、集合体を生成しやすくなり、蒸発しにくく、導電性も向上できる。一方、シス体が含まれると当該作用が阻害されるおそれがある。
偏光顕微鏡により液晶性を観察した結果を下表に示す。
(低温側のスメクチック相をSm1、高温側のスメクチック相をSm2とする)
−50℃から+300℃以上の広い範囲でスメクチック液晶相を呈することがわかった。常温で液晶相を示すことは本発明に係る化合物の顕著な特徴の一つである。
化合物番号[9−1−1]、[9−1−2]、[9−1−3]、[9−1−4]、[9−1−5]の導電性の温度による変化を下記表3〜7に示す。
化合物番号[9−1−6]及び従来広く潤滑油として使用されているDOS(下記構造式:ジオクチルセバケート)について動摩擦係数の測定を行った。結果を下記表8に示す。
化合物番号[9−1−3]及び[9−1−4]の蛍光スペクトルの測定結果をそれぞれ図3(A)及び(B)に示した。420.8nm及び443.6nmにピークが観察され、青色蛍光を発することがわかる。長波長の紫外線を放射する電灯であるブラックライトからの光を当て、化合物番号[9−1−3]及び[9−1−4]を発光させ、その発光の有無を確認することで潤滑剤漏れのような不具合を直ちに発見できることは本発明に係る化合物の顕著な特徴の一つである。
Claims (14)
- R11、R12、R13、R21、R22及びR23は同一又は異なり、基−OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12である)である、式(1)で表される化合物(1)を少なくとも一種含む、請求項1に記載の導電性潤滑剤。
- R11、R12及びR13が−CH=CH−基に対してパラ位及び2個所のメタ位に置換し、R21、R22及びR23が−CH=CH−基に対してパラ位及び2個所のメタ位に置換する、式(1)で表される化合物(1)を少なくとも一種含む、請求項2に記載の導電性潤滑剤。
- R11及びR21は水素であり、
R12、R13、R22及びR23は同一又は異なり、基−OCH2CH2CH(R’)CH2CH2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のCnH2n+1であり、4≦n≦12であり、R’はメチル又はエチルである)である、
式(1)で表される化合物(1)を少なくとも一種含む、請求項1に記載の導電性潤滑剤。 - R12及びR13が−CH=CH−基に対してパラ位及び1個所のメタ位に置換し、R22及びR23が−CH=CH−基に対してパラ位及び1個所のメタ位に置換する、式(1)で表される化合物(1)を少なくとも一種含む、請求項4に記載の導電性潤滑剤。
- 式(1)における−CH=CH−に結合する基がトランスの位置関係にある、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
- 式(1)で表される化合物(1)が−50℃から+300℃の温度範囲においてスメクチック液晶相を呈する、請求項1に記載の導電性潤滑剤。
- 電極面積1cm2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜300℃の温度範囲において0.07μA以上の導電性を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
- 電極面積1cm2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜90℃の温度範囲において10,000μA以上の導電性を有する、請求項2又は3に記載の導電性潤滑剤。
- カーボン及び金属のいずれも含まない、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
- 式(1)で表される化合物(1)が蛍光物質である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤。
- 互いに接触して相対運動する複数の機械要素と、該機械要素の接触面の少なくとも一部に配置された請求項1乃至12のいずれか一項に記載の導電性潤滑剤とを有する機械装置。
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