JP2020011389A - 積層フィルム、包装材および包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレーム処理やコロナ放電処理および樹脂表面の研磨やプライマー処理などの装置や多くの処理工程を必要とせずに、難接着性樹脂の表面とインキ層または接着剤層との良好な接着力を得ることが可能な表面処理技術を提供する。【解決手段】シーラント層1と、接着剤層3と、基材層4と、をこの順に備えた積層フィルム4Aであって、シーラント層に設けられる凹凸構造の高さはシーラント層の厚さ以下であり、且つ凹凸構造を備えたシーラント層の表面の濡れ性がJIS K 6768:1999で規定されるぬれ張力で40dyn/cm以上であることを特徴とする積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、接着剤やインキ等を塗工可能な難接着性樹脂からなるシーラント層を備えた積層フィルムに関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンなどの樹脂は、Tダイキャスト法、インフレーション法などの方法でフィルム化され、袋状に加工されて包装材に利用されている。
または、射出成形やブロー成形等の方法でボトル状に成形し、容器として利用されている。
上記のようにして成形されたフィルム状、ボトル状の樹脂が包装材に利用される際には、内容物の情報表示や意匠性を与えるために、インキ等でその表面に印刷されるか、または、ラベル等の貼り付けが行われる。
また、包装材に利用されるフィルム状の樹脂は、通常、フィルム単層で用いられることは少なく、同種または異種のフィルムと接着、積層化し、意図した付加的な機能を持たせることが多い。
このように、フィルム状やボトル状に成形された樹脂は、二次加工において塗工、接着、貼付される工程を経て製品となる。
フィルムもしくはボトルにインキや接着剤を塗工する場合、溶媒にインキや接着剤を溶解または分散した塗工液が、フィルムもしくはボトルの樹脂表面に対して濡れ性を備えていることが重要となる。また、シール、ラベル、テープ等を貼る場合には、感圧接着剤がフィルムもしくはボトルに対して濡れ性を有することが重要であり、樹脂の素材に合わせた濡れ性の管理が必要となる。
濡れ性は樹脂の素材によって異なり、ポリエチレンビニルアルコール共重合体など豊富に極性基を有する樹脂は、素材の表面が未処理状態でも塗工液や感圧接着剤が十分に濡れ広がり、乾燥後の塗工層との密着も良好となるため、塗工することが可能である。
一方、ポリエチレンやポリプロピレン等の極性基を有さない、もしくは極性基の存在量が少ない樹脂では、未処理状態で塗工すると、乾燥後の塗膜が剥離するなどの問題が生じる。そのため、これらは一般的に難接着性樹脂として分類される。
これらの極性基を有さない、もしくは極性基の存在量が少ない難接着性樹脂を接着する場合には通常、予め接着面に対して、接着性を改善または向上させるための前処理が行われている。具体的な処理方法としては、一般的にコロナ放電処理やフレーム処理等が行なわれる。
ここで、コロナ放電処理とは、高周波高電圧をかけて電界を作り、電界内で発生する高エネルギーの電子やイオンの衝突によるラジカルやイオンを生成することにより、雰囲気中のオゾン、酸素、窒素等と樹脂が反応して、樹脂表面に極性基を導入する方法である。
また、フレーム処理とは、燃焼ガスと空気の混合ガスを燃やすことで生じるフレーム(火炎)を、接着面となる樹脂表面に照射する処理である。空気中の酸素をプラズマ化させたフレームが処理対象物の表面に作用することで、その表面を酸化させて極性基を導入し、樹脂表面の親水化を図るものである。
フィルムもしくはボトル状の難接着性樹脂の表面に上記のような前処理を行うことで、塗工液や感圧接着剤の濡れ性が向上し、接着強度を上げることが可能となる。
しかしながら、フレーム処理及びコロナ放電処理は、設備規模が比較的大きくなり、スペース及び設備コストがかかるため、工程も増えることから製造コストの増加につながる。
また、これらの表面処理においては、臭気が発生するだけでなく、製造後の樹脂から臭気成分が出てくることもある。
また、フレーム処理またはコロナ放電処理によって表面改質を行った難接着性樹脂は、時間の経過と共に改質効果が失われるため、接着剤やインキの塗工面との密着力が低下したり、不安定になるといった問題点がある。
また、特にコロナ放電処理を行う際には、裏抜けと呼ばれる処理面の裏面までコロナ放電処理されてしまう現象がある。特に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの袋状包装材のヒートシール層に用いられる材料は、ヒートシール面にコロナ放電処理が施されると、ヒートシール性が低下することから、シール後の袋から内容物が漏出するといった問題が発生する。
そのため、上記のような前処理方法は、技術面から見て必ずしも完全な方法とは言えず、また、作業性やコスト等の点においても好ましいものではない。
それら課題に対して、コロナ放電処理やフレーム処理のような前処理を実施せずに接着力を持たせる方法として、特許文献1において、樹脂を発泡させて空隙を作り、空隙に塗液が入り込むことによって生じるアンカー効果により、接着力を上げる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、発泡樹脂によるアンカー効果を出すために、覆われたスキン層に剣山状の器具で開孔、もしくはスキン層を研磨除去する工程が提案されている。しかし、これらの工程は煩雑であり、また、発泡のサイズが0.2mm程度となるため、一般的な包装材フィルムに使用される厚さよりも凹凸サイズが大きく、適用することが難しい。
また、特許文献2では、樹脂化合物の末端基に反応性官能基を有する低分子化合物等からなる液体のプライマーを接着面に薄く塗布することにより、接着力の向上を図る、プライマー処理が提案されている。
しかしながら、特許文献2におけるプライマー処理については、接着剤以外に被着体の種類に応じたプライマーを選定する必要がある。このプライマーを用いる塗布工程では、被着体の表面洗浄、オープンタイム(塗布後、半乾燥状態を得るために放置する時間)、膜厚、養生時間、環境温度、圧着及び貯蔵等、品質・性能保証のための管理項目が多いため、材料及び作業コストが嵩むという課題を有している。
特開2012−144673号公報 特開2006−028474号公報
上記の事情に鑑み、本発明は、フレーム処理やコロナ放電処理および樹脂表面の研磨やプライマー処理などに用いる装置や多くの処理工程を必要とせずに、難接着性樹脂の表面とインキ層または接着剤層との良好な接着力を得ることが可能な表面処理技術を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1にかかる発明は、基材層上に接着剤層と、シーラント層と、をこの順に備えた積層フィルムであって、
シーラント層には凹凸構造が設けられており、凹凸構造の高さはシーラント層の厚さ以下であり、且つ凹凸構造を備えたシーラント層の表面の濡れ性がJIS K 6768:1999で規定されるぬれ張力で40dyn/cm以上であることを特徴とする積層フィルムである。
また、請求項2にかかる発明は、積層フィルムにおいて、
シーラント層表面には凹凸構造が設けられており、該凹凸構造の高さはシーラント層の厚さ以下であり、且つ凹凸構造を備えたシーラント層表面の比表面積が3以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルムである。
また、請求項3にかかる発明は、前記シーラント層が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および紫外線硬化樹脂のうち少なくとも1種類以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルムである。
また、請求項4にかかる発明は、前記シーラント層における熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンまたはポリオレフィンの共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の積層フィルムである。
また、請求項5にかかる発明は、請求項1から4のいずれかに記載の積層フィルムを使用したことを特徴とする包装材である。
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の包装材を使用したことを特徴とする包装体である。
本発明の積層フィルムによれば、その表面に微細な凹凸構造が形成されていることにより比表面積を3以上に増大させ、ぬれ張力が40dyn/cm以上を確保できるため、塗工層とのアンカー効果により、接着剤やインキ等の塗膜や感圧接着剤との接着性が良好となる。そのため、コロナ放電処理やプライマー処理等の前処理を要せずに難接着性樹脂への塗工が可能となる。また、前処理の工程を省くことができ、設備コスト、製造コストの面で有利となる。また、コロナ放電処理が不要となる結果、コロナ放電処理の裏抜け及び裏抜けに伴うヒートシール性の低下、さらに樹脂材料が加熱されることによって生じる臭気等を防ぐことができる。
また、本発明の積層フィルムによれば、フィルム表面に凹凸構造を備えていることにより、インキ層の印刷や接着剤層の塗工などが不可能である難接着性樹脂にも拘わらず、その表面に接着剤層やインキ層を形成可能となる。
また、本発明の包装材によれば、本発明の積層フィルムを使用しているため、その表面
に接着剤層やインキ層を形成可能である。
また、本発明の包装体によれば、本発明の包装材を使用しているため、その表面に接着剤層やインキ層を形成可能である。
本発明に係る表面に凹凸構造を形成したシーラント層を備えた積層フィルムの製造工程を例示する俯瞰説明図。 本発明に係る表面に凹凸構造を形成したシーラント層を備えた積層フィルムの製造工程を例示する断面説明図。
以下、本発明の実施形態を説明する。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、シーラント層と、接着剤層と、基材層と、をこの順に備えた構成の積層フィルムである。
ここで、シーラント層とは、基材上に塗工された難接着性樹脂層や、基材から引き離された難接着性樹脂層やフィルムを指す。
ここで、難接着性樹脂とは、その表面に印刷インキを印刷したり、接着剤層を塗工したりすることが不可能な樹脂を指す。この様な樹脂は、表面に極性基を持っていないか、持っていても非常に少ない樹脂である。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を代表例として挙げることができる。
<シーラント層>
図1と図2において、用いられるシーラント層1は、ポリエチレンやポリプロピレン等の極性基を有さない、もしくは極性基の存在量が少ない樹脂が選択され、平滑状態では濡れ性が良好でない樹脂である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、及びこれらをブレンドしたものなどが例示できる。また、フッ素系樹脂やフッ素系添加剤やシリコーン系添加剤が樹脂に練りこまれることで、濡れ性が低下した樹脂もシーラント層として挙げることができる。これらの樹脂成形体に塗工を行う際には、通常、コロナ放電処理やフレーム処理などの前処理によって表面改質が行われている。
<接着剤層>
本発明の積層フィルムは、シーラント層と、接着剤層と、基材層の順で形成されており、シーラント層と基材層の間に位置する接着剤層は、有機系の材料を適用することが一般的である。接着剤は、ポリエステル系接着剤や、主剤と硬化剤との2液混合型のポリウレタン系接着剤等を使用することができ、シーラント層と基材層の接着性が得られるのであれば、それ以外の材料系の接着剤を適用しても何ら問題はない。また、これら接着剤はシーラント層と基材層をドライラミネートされた後、エージングと呼ばれる30℃〜80℃程度の環境下に数日間静置させる加温工程を経て、接着強度を向上させる。
<基材層>
基材層は、積層フィルムの支持体として機能する層である。材料としては、プラスチックを主とするフィルムが用いられ、包装体とした際の内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件によって適宜選択される。基材層の材料としては、一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが使用されるが、特に限定されるものではなく、上記材料のうちの1つの材料からなる単層でもよいし、これら単層を積層することによって上記材料のうちの複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
<包装材>
また、本発明の包装材は、本発明の積層フィルムを使用したことを特徴としている。この様な包装材とすることにより、包装材の樹脂材料は難接着性樹脂でありながら、包装材の表面にインキ層や接着剤層を印刷や塗工することが可能となる。
<包装体>
また、本発明の包装体は、本発明の包装材を使用したことを特徴としている。この様な包装体とすることにより、包装体の表面を包装する樹脂材料は難接着性樹脂でありながら、包装体の表面にインキ層や接着剤層を印刷や塗工することが可能となる。
次に、図1および図2を使用して、本発明の積層フィルムについて詳細に説明する。
図1は、本発明の表面に凹凸構造を形成したシーラント層を備えた積層フィルムの製造工程を例示する説明図である。
図1(a)は、シーラント層の表面に凹凸構造を形成するためのモールド型5を例示した説明図である。この図では、シート状の基底部6の上に、突起部7が複数本形成された例を示しているが、これに限定する必要は無い。この突起によって、賦形され、表面積を増大させることができれば、突起は如何なる形状であっても構わない。ただし、モールド型5が樹脂から抜取ることができる形状に限定される。例えば、モールド型5の形状として、ピラミッド型の形状は使用可能であるが、逆ピラミッド型形状は使用不可能である。
図1(b)は、モールド型5にシーラント層1を形成する塗工液を塗布、乾燥して得られるシーラント層1からなる塗工層を設けた状態を示す透視俯瞰図である。
この状態で、シーラント層1をモールド型5から離型すると、モールド型5の突起部7が転写したシーラント層1または難接着性樹脂フィルムが得られる。これは本発明のシーラント層1である。ただし、シーラント層1に形成された凹凸構造は、モールド型5とは凹凸関係が反転した凹凸構造となっている。
図1(c)は、図1(b)で形成した塗工層であるシーラント層1の上に接着層3を形成した状態を模式的に表した透視俯瞰図である。
図1(d)は、図1(c)で形成された接着層3の上に、基材層4が積層された状態である。この状態で、シーラント層1と、接着剤層3と、基材層4と、がこの順に積層されており、モールド型5とシーラント層1とを引き剥がすことにより、積層フィルム4Aが得られる。
次に、シーラント層1の表面に凸構造が形成される場合を示す。
図2は、シーラント層1に、凹凸構造2として凸構造を形成する工程を例示した断面模式図である。シーラント層1の凹凸構造2が形成されていない側に接着剤層3を介して基材層4が積層されて積層フィルム4Aとなる。
図2(a)は、シーラント層1にモールド型5を押圧する前の状態を示している。
図2(b)は、シーラント層1にモールド型5を押圧し、シーラント層1にモールド型5の形状を賦形したまま保持した状態を示している。
図2(c)は、モールド型5からシーラント層1を剥離し、モールド型5の形状がシーラント層1に転写した凹凸構造2である凸構造が得られた状態から、更に凹凸構造2が賦形されたシーラント層1の裏面(凹凸構造2が形成されていない面)に接着剤層3が形成された状態を例示している。接着剤層3は、図2(b)の状態で形成しても良いし、シー
ラント層1をモールド型5から引き剥がした後で、形成しても良い。
図2(d)は、図2(c)で得られたシーラント層1の凹凸構造2が形成されていない面の接着剤層3の上に基材層4を積層した状態を示している。
以上の様にして、表面に凹凸構造2が形成されたシーラント層1からなる積層フィルム4Aを得ることができる。
<凹凸構造の形成方法>
図2に示すように、凹凸構造2の形成は、モールド型5を用いた転写法により形成することが好ましい。転写の方法としては、熱可塑性樹脂あるいは半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂を加熱して軟化または、溶融した状態でモールド型5を押し付け、モールド型形状を加圧、転写したまま保持、冷却することにより、樹脂モールド型5を離型することで、樹脂側に転写した凹凸構造2が得られる。
さらに、樹脂として紫外線硬化樹脂を適用する場合には、光硬化性樹脂を転写用の基材上に滴下し、そこにモールド型5を押し当てた状態で、紫外線照射を行なうことで樹脂を硬化させて、凹凸構造を得ることが出来る。
また、凹凸構造2の形成方法としては、通常のフィルム製膜方法であるTダイ法においては、用いる冷却ロール表面に、図2のモールド型5に相当する凹凸構造を形成しておくことで、通常の製膜過程で凹凸構造を形成することが可能である。この手法を用いれば、凹凸構造形成の工程を製膜過程で一括形成することができ、工程を短縮することができる。
射出成形法、ブロー成形法では、図2におけるモールド型5に相当する凹凸構造を予め金型表面に成形しておくことで、通常の製造工程で凹凸構造を形成することができ、改めて凹凸構造形成を行う必要がなくなる。
<凹凸構造による比表面積の増加>
凹凸構造を形成することにより、平滑面と比較して表面積が増加する。表面積を増加させることで本発明の効果をより発揮するためには、比表面積(平滑面の表面積を1としたときの凹凸構造面の表面積との比率)は少なくとも3以上必要となる。比表面積を増すことによって接着力を上げているため、比表面積が3未満の凹凸構造の場合には、必要な接着力が不十分となる。
<凹凸構造の最大高さ(深さ)>
また、凹凸構造2の最大高さは、シーラント層1の厚さ以下である必要がある。シーラント層1の厚さ以上になると、転写工程において凹凸構造がシーラント層1から突き出た形となる。そのため、樹脂表面が粗くなり、樹脂厚さにムラが生じ、更には樹脂が無くなった部分が形成される。接着剤塗工の場合は接着力が低下したり、インキ塗工の場合は外観不良となるなどの問題が生じる。
<凹凸構造の形状>
凹凸構造の形状は特に限定されず、突起形状、ホール形状、もしくはそれらを組み合わせてもよく、凹凸構造のパターンはランダムであっても良い。また、突起形状の場合は必ずしも直立している必要はない。ただし、モールド型5と、シーラント層1と、が離型可能な形状で必要がある。
先に例示したシーラント層1に、比表面積を3以上の凹凸構造を設けることで、ぬれ張力で40dyn/cm以上の濡れ性を示し、接着力を発揮することができる。ただし、あ
る種の樹脂からなるシーラント層によっては、凹凸構造を設けても40dyn/cmに至らず接着しないものもある。例えば、PTFE(PolyTetraFluoroEthylene,ポリテトラフルオロエチレン)のようなフッ素樹脂である。このような樹脂は比表面積3の凹凸構造を設けても、ぬれ張力は40dyn/cm以下となるため、接着性が低い。したがって、接着力を発揮するには凹凸構造を設けた上でぬれ張力で40dyn/cm以上の濡れ性を示すことが必要となる。
凹凸構造の比表面積は大きいほど接着力が増すため、比表面積は大きいほど好ましい。
本発明のシーラント層1に接着剤による塗工層(接着剤層3)を設けることで、シーラント層1と基材層4と接着することができる。この様にして得られた積層フィルム4Aは包装材等への利用が可能となる。更には、その包装材を使用した包装体への利用が可能となる。
以下に実施例により更に詳細を説明する。その内容は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
直鎖状低密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー エボリュー(登録商標) SP2040)をTダイ法にて製膜し、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを作製した。このTダイ法による製膜工程で使用する冷却ロール表面に凹凸構造を設けておくことで、製膜と同時にポリエチレンフィルム表面に凹凸構造を形成し、表面に凹凸構造を備えたポリエチレンフィルムを得た。
このポリエチレンフィルムの凹凸構造の比表面積は10であった。また、凹凸構造の最大高さは2μmであった。
なお、比表面積の算出方法および凹凸構造の最大高さは、AFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)およびSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)にて表面観察を行い、凹凸構造の形状から算出した。また、凹凸構造を形成したポリエチレンフィルムのぬれ張力をぬれ張力試験(JIS K 6768:1999)に準拠した方法にて測定したところ、44dyn/cmの濡れ性を示した。
<実施例2>
冷却ロール表面の凹凸構造を変えた以外は、実施例1と同様の作製方法で表面に凹凸構造を形成したポリエチレンフィルムを作製した。実施例1と同様の測定を行ったところ、凹凸構造の比表面積は3であった。また、凹凸構造の最大高さは2μmであり、凹凸構造を形成したポリエチレンフィルムのぬれ張力は40dyn/cmだった。
<比較例1>
冷却ロール表面の凹凸構造を変えた以外は、実施例1と同様の作製方法で表面に凹凸構造を形成したポリエチレンフィルムを作製した。実施例1と同様の測定を行ったところ、凹凸構造の比表面積は2であった。また、凹凸構造の最大高さは2μmであり、凹凸構造を形成したポリエチレンフィルムのぬれ張力は36dyn/cmだった。
(接着性評価)
実施例1、2および比較例1にて作製したフィルムの凹凸構造を備えた面にポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社 主剤:A626、硬化剤A50を配合比8:1で配合し、酢酸エチル希釈したもの)を乾燥後の厚さが3μmになるようにワイヤーバーで塗工し、コロナ放電処理によって接着性を向上させたポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社 N5100、厚さ16μm)との接着を行った。接着した積層体を3日間、50℃の条件でエージングを行い、評価サンプルを作製した。接着した積層体の接着強度については引っ張り試験機にて剥離試験を行った。使用した引っ張り試験機は、エーアンドディー社製の型式:RTC−1250Aであり、剥離試験は、JIS K−6854−3に準拠した試験方法によって実施し、試験結果の評価については下記の評価基準で行なった。
(評価基準)
剥離強度0N :×
剥離強度1N以上 :○
(接着テープとの接着性評価)
作製したフィルムに接着テープ(ニチバン株式会社 セロテープ(登録商標)No.405 中強度)を1kgの荷重で貼り付け、接着テープとフィルムの剥離強度を測定した。なお、接着テープとの接着性評価は、JIS K−6854−3に準拠した試験方法によって実施した。試験結果の評価については下記の評価基準で行なった。
(評価基準)
剥離強度0N :×
剥離強度1N以上 :○
(評価結果)
評価結果を表1にまとめて示した。
実施例1は、比表面積が10、最大高さが2μm、ぬれ張力が44dyn/cmであり、接着性評価(表1には、積層体剥離と記載した。)とセロテープ(登録商標)の接着性評価(表1には、セロテープ(登録商標)評価と記載した。)は共に〇(良好)だった。
実施例2は、比表面積が3、最大高さが2μm、ぬれ張力が40dyn/cmであり、積層体の接着性評価とセロテープ(登録商標)の接着性評価は共に〇(良好)だった。
比較例1は、比表面積が2、最大高さが2μm、ぬれ張力が36dyn/cmであり、積層体の接着性評価とセロテープ(登録商標)の接着性評価共に×(不良)だった。
以上より、従来接着性を示さなかった難接着性樹脂フィルムに対して、その表面に上記の条件を満たす凹凸構造を形成することにより、コロナ放電処理等の前処理をすることなく、接着性を向上させることができた。その様にして作製したポリエチレンフィルムは、包装材として使用するシーラントフィルムとして使用可能であることが分った。
また、図1および2に例示した様な、凹凸構造を備えたシーラント層を表面に備えた積層フィルムにおいても、同等の接着性能を備えており、包装材とその包装材を使用した包装体に好適に適用可能である。
本発明は、従来コロナ放電処理等の前処理をしなければ密着性のない難接着性樹脂フィルムに対して、前処理を行うことなく密着性を発現させることが可能である。特に、本発明は包装材における塗工面に使用する上で有用である。
1 シーラント層
2 凹凸構造
3 接着剤層
4 基材層
4A 積層フィルム
5 モールド型
6 シート状の基底部
7 突起部

Claims (6)

  1. シーラント層と、接着剤層と、基材層と、をこの順に備えた積層フィルムであって、
    シーラント層には凹凸構造が設けられており、凹凸構造の高さはシーラント層の厚さ以下であり、且つ凹凸構造を備えたシーラント層の表面の濡れ性がJIS K 6768:1999で規定されるぬれ張力で40dyn/cm以上であることを特徴とする積層フィルム。
  2. シーラント層と、接着剤層と、基材層と、をこの順に備えた積層フィルムであって、
    シーラント層には凹凸構造が設けられており、凹凸構造の高さはシーラント層の厚さ以下であり、且つ凹凸構造を備えた表面の比表面積が3以上であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記シーラント層が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および紫外線硬化樹脂のうち少なくとも1種類以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記シーラント層における熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンまたはポリオレフィンの共重合体である、請求項1から請求項3いずれか1項に記載されていることを特徴とする積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルムを使用したことを特徴とする包装材。
  6. 請求項5に記載の包装材を使用したことを特徴とする包装体。
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