JP2020007545A - 粘着シート - Google Patents

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中村 賢一
Kenichi Nakamura
賢一 中村
伸幸 竹谷
Nobuyuki Takeya
伸幸 竹谷
祐介 橋本
Yusuke Hashimoto
祐介 橋本
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Abstract

【課題】高温での粘着性に優れるとともに、室温での粘着剤表面のタックを制御することで、室温下では易剥離性を示す粘着シートを提供すること。【解決手段】ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含み、厚さが0.05〜3μmである層(A)と、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を含む層(B)を含む粘着シート。【選択図】なし

Description

本発明は、高温での粘着性に優れるとともに、室温では易剥離性を示す粘着シートに関するものである。
粘着剤(感圧接着剤ともいう)は、例えばテープ、ラベルなどの形態に加工され、幅広い用途において利用されている。また、その被着対象物もプラスチック、紙類、金属、ガラス及び陶器など様々な物質に対して適用される。
一方、粘着剤で貼り合わせた積層体を、高温条件下に曝した場合には、熱やプラスチック基板から発生した気泡(発泡)等により、基材と粘着剤層との接着界面で浮きや剥がれが発生してしまい問題となることがある。したがって、粘着剤には、高温、又は高温高湿条件下での過酷な耐久性試験後においても、基材界面からの剥がれや浮きが生じないことが要求されることがある。
このような課題に対し、様々な粘着剤組成物が提案されている。例えば、特許文献1では、段差への追従性を維持しつつ、プラスチック基板を用いた場合であっても、高温、高湿負荷後の粘着シートの浮きや剥がれを防止することが可能である粘着剤組成物として、特定のビニル重合体及びアクリル系粘着ポリマーからなる組成物が開示されている。
特開2014−88549号公報
ディスプレイ、家電製品、自動車部材等の部材に粘着加工を施す場合には、高温条件下での粘着力に加え、ハンドリング性能やリワーク性の観点から、室温では無タックあるいは微粘着であり、かつ、加熱又は加圧によりタックを発現して強固に接着するような特性を有する粘着剤等が求められる場合がある。
特許文献1に記載の粘着剤組成物は、粘着剤表面に粘着付与剤を偏析させることで、室温におけるタックが低減し、かつ高温環境下で被着体に強く接着することを特長としている。しかしながら、室温でのタック制御に関しては満足なものではなく、改善が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温での粘着性に優れるとともに、室温での粘着剤表面のタックを制御することで、室温下では易剥離性を示す粘着シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂を含む層を、アクリル系共重合体を含む層の少なくとも片面に形成した特定の粘着シートによれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成したものである。本明細書によれば以下の手段を提供する。
〔1〕ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含み、厚さが0.05〜3μmである層(A)と、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を含む層(B)を含む粘着シート。
〔2〕前記層(A)が、ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を80重量%以上含むことを特徴とする〔1〕に記載の粘着シート。
〔3〕前記層(B)が、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を70重量%以上含むことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の粘着シート。
〔4〕前記アクリル系重合体が、アクリル系ブロック共重合体を含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の粘着シート。
本発明によれば、高温での粘着性に優れ、かつ、室温でのハンドリング性が高い粘着シートを提供することができる。本発明で提供される粘着シートを用いることにより、各種部材の貼り合せ時の歩留り率を改善することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本発明によれば、高温での粘着性に優れ、かつ、室温でのハンドリング性が高い粘着シートが提供される。
以下に、本発明で提供される粘着シートを構成する、ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含む層(A)、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を含む層(B)、及び、本発明で提供される粘着シートについて説明する。
1.熱可塑性樹脂を含む層(A)について
熱可塑性樹脂とは、加熱によりガラス転移点又は融点に達すると軟化して流動体となり、冷却によりガラス転移点又は融点を下回る温度になると、再び固まって固体となる樹脂である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂を含む層(A)中の熱可塑性樹脂は、ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含む。当該熱可塑性樹脂を含むことにより、室温で強いタックを示す粘着剤表面を微粘着あるいは無タックに改良することができ、また、加熱すると溶融し、タックを発現することができる。熱可塑性樹脂のガラス転移点又は融点のより好ましい範囲は、60℃以上、さらに好ましくは、65℃以上である。熱可塑性樹脂のガラス転移点又は融点の上限は、特に限定されず、用いられる熱可塑性樹脂、アクリル系共重合体、あるいは、基材の安定性や作業環境等により決定される。通常は、200℃以下であり、180℃以下であっても良く、160℃以下であっても良い。
ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂の含有量は、層(A)の全重量に対して、80重量%以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、一層好ましくは95重量%以上であり、より一層好ましくは98重量%以上であり、100重量%であっても良い。含有量が高いほど、無タック化の効果が高い。
なお、熱可塑性樹脂のガラス転移点又は融点は、示差走査熱量測定(DSC)により、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気を測定雰囲気として測定することができる。熱可塑性樹脂が二種以上の混合物である場合は、当該熱可塑性樹脂の混合物を溶媒中で均一に溶解した後、加熱又は減圧等の条件により、溶媒を留去した後の試料についてDSC測定を行うことにより、混合物としてのガラス転移点又は融点を求めることができる。また、DSC測定により、ガラス転移点又は融点が2点以上出現した場合は、配合量がより多い熱可塑性樹脂のガラス転移点又は融点を採用しても良い。
層(A)に含まれる熱可塑性樹脂が二種以上の混合物である場合は、上述のように測定した混合物としてのガラス転移点又は融点が50℃以上であれば良いが、単独でのガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、一層好ましくは90重量%以上、より一層好ましくは95重量%以上含む混合物が好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂を含む層(A)の膜厚は、0.05〜3μmが好ましい。膜厚が0.05μm以上であれば室温での微タック化又は無タック化が可能となり、3μm以下であれば、被着体への密着性を維持することができる。より好ましくは、0.1〜1.8μm、さらに好ましくは、0.3〜1.3μmである。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂を含む層(A)中の熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されず、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができ、これらの混合物を用いても良い。これらの中では、(メタ)アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、中でも変性ポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。
変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィンを化学修飾により改質したものである。ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン類や、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の炭素数2〜20の共役又は非共役ジエン類の単独重合体又は共重合体を挙げることができる。また、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体等であっても良い。共重合体を用いる場合は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を適宜選択することができる。また、これらのポリオレフィンは、二種以上を併用しても良い。
ポリオレフィンの好ましい例としては、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−オクテン共重合体を挙げることができる。プロピレン共重合体を使用する場合のプロピレン含量は、50重量%以上が好ましく、より好ましくは、60重量%以上、さらに好ましくは、75重量%以上である。
本発明に使用する変性ポリオレフィン樹脂の種類としては、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、カルボジイミド変性ポリオレフィン樹脂、ウレア変性ポリオレフィン樹脂、イミン変性ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらの変性は、二種以上の変性を順次施したものであっても良く、酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン変性塩素化ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらの内では、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂を好適に使用することができ、酸変性ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィンに対して、好ましくは不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフト共重合させることにより、製造することができる。本変性反応には従来公知の方法を用いることができ、例えば、押出機を用いて溶融したポリオレフィンに不飽和カルボン酸又はその無水物を添加して共重合させる方法、溶媒に溶解したポリオレフィンに不飽和カルボン酸又はその無水物を添加して共重合させる方法、水懸濁液としたポリオレフィンに不飽和カルボン酸又はその無水物を添加して共重合させる方法等を挙げることができる。なお、本変性反応によるポリオレフィン鎖の変性箇所は、分子鎖の方末端又は両末端であっても良く、分子鎖の途中であっても良く、複数個所であっても良い。
上記変性反応で使用できる不飽和カルボン酸又はその無水物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸類、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、グルタコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、これらの不飽和ジカルボン酸類のハーフエステル又はハーフアミド類、trans−アニコット酸等の不飽和トリカルボン酸類、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物等の酸無水物が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物が好ましく、マレイン酸無水物が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂中の無水マレイン酸等のグラフト重量は、酸変性ポリオレフィン樹脂全体を100重量%とした場合、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.5〜10重量%である。グラフト重量がこの範囲内であれば、アクリル系共重合体を含む層(B)に対する変性ポリオレフィン樹脂を含む層(A)の高い接着性を発揮することができる。なお、グラフト重量は、フーリエ変換赤外分光法等の公知の方法で求めることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、前記の不飽和カルボン酸又はその無水物による変性反応の際、その他の変性剤を併用して変性されたものであっても良い。その他の変性剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が例示される。これらの化合物は、単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。本発明では、耐熱接着性が改良されることから、炭素数8〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを更に含む変性剤を用いることが好ましく、特に、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル又は(メタ)アクリル酸ステアリルを含むことが好ましい。
官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、イソシアネート含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。上記変性剤として、不飽和カルボン酸又はその無水物と、他の変性剤とを併用することで、変性剤によるグラフト率を向上させたり、接着性を更に向上させたりすることができる。
その他の変性剤による変性ポリオレフィン樹脂のグラフト重量は、酸変性ポリオレフィン樹脂全体を100重量%とした場合、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.5〜10重量%である。グラフト重量がこの範囲内であれば、マレイン酸無水物等の変性剤によるグラフト率を向上させたり、アクリル系共重合体を含む層(B)に対する変性ポリオレフィン樹脂を含む層(A)の高い接着性を発揮することができる。なお、グラフト重量は、フーリエ変換赤外分光法等の公知の方法で求めることができる。
変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、3,000〜500,000であることが好ましく、25,000〜250,000であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が3,000以上であれば、耐熱性が良好となり、500,000以下であれば、溶剤への溶解性が向上し、取扱い性に優れる。
また、本発明では、酸変性ポリオレフィン樹脂の代わりに、ポリオレフィン樹脂の基本骨格中にカルボン酸及び/又は酸無水物構造が組み込まれた共重合体を用いても良く、例えば、エチレン/アクリル酸/無水マレイン酸の三元共重合体等を用いても良い。
前記ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸単位及びジオール単位を構成単位とする縮合型の重合体又は共重合体が挙げられる。
ジカルボン酸単位を形成するために使用される原料の例としては芳香族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルもしくはジアリールエステルが挙げられ、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン1,4−ジカルボン酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸及び4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルもしくはジアリールエステルを併用することもでき、脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸及びコハク酸等が挙げられる。
ジオール単位を形成するために使用される原料の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂のうち、ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位及び/又はイソフタル酸単位を含み、ジオール単位としてエチレングリコール単位を含む結晶性ホモポリエチレンテレフタレート樹脂及び結晶性コポリエステル樹脂が好ましい。また、ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を含み、ジオール単位としてエチレングリコール単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含む非結晶性コポリエステル樹脂が好ましい。また、その他のポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート及び生分解性ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記ポリエステル樹脂の製造法としては、ジカルボン酸とジオールを直接反応させる、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステルとジオールとをエステル交換反応させる、いわゆるエステル交換反応法など、任意の方法を採用することができる。
前記(メタ)アクリル系樹脂は特に限定されないが、一般には(メタ)アクリル酸エステルを構成単量体単位として50重量%以上含有する重合体であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、一層好ましくは80重量%以上、より一層好ましくは90重量%以上含有する重合体であり、これに少量の他の単量体成分が共重合されている共重合体であっても良い。単量体成分としては、酸変性ポリオレフィン樹脂に関するその他の変性剤として具体的に例示した、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、シクロヘキシルビニルエーテル等を適用することができる。
(メタ)アクリル系樹脂の製造法としては、通常の塊状重合、懸濁重合、乳化重合など、任意の方法を採用することができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂を含む層(A)中の熱可塑性樹脂は、市販品を用いても良い。ポリエステル樹脂としては、東洋紡社製バイロン226、バイロン237等が例示される。変性ポリオレフィン樹脂としては、プラスチック表面改質剤、自動車プラスチック基材用プライマー、エレクトロニクス基材用プライマー、建築材用プライマー等に用いられるものを使用することができる。具体的には、酸変性ポリオレフィン樹脂としては、三井化学社製のアドマーAT1000、HE810、東洋紡社製のトーヨータックPMA−T等が例示され、塩素化ポリオレフィン樹脂としては、日本製紙社製のスーパークロン814HS、390S、及び、東洋紡社製のハードレン13−LP、13−LLP等が例示される。酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂としては、日本製紙社製のスーパークロン3228S、2319S、東洋紡社製のハードレンHM−21P等が例示され、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂としては、日本製紙社製のスーパークロン224H、240H等が例示される。エチレン/アクリル酸/無水マレイン酸の三元共重合体としては、アルケマ社製ボンダインシリーズ等が例示される。
熱可塑性樹脂を含む層(A)に、必要に応じて、架橋剤(硬化剤)、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、防かび剤、シランカップリング剤、充填剤、着色剤等の添加剤を加えても良い。
上記架橋剤(硬化剤)としては、グリシジル基を2つ以上有するグリシジル化合物、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、アジリジニル基を2つ以上有するアジリジン化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。これらのうち、アジリジン化合物、グリシジル化合物及びイソシアネート化合物が好ましい。
上記アジリジン化合物としては、1,6−ビス(1−アジリジニルカルボニルアミノ)ヘキサン、1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
上記グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、好ましくは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物が用いられる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
熱可塑性樹脂を含む層(A)が架橋剤(硬化剤)を含有する場合、その含有量は、熱可塑性樹脂を含む層(A)中の熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部、更に好ましくは0.05〜2重量部である。
上記粘着付与剤としては、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステル等のロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネン等を主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂;クマロン−インデン系樹脂;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂;低分子量ビニル重合体等が挙げられる。
上記可塑剤としては、ジn−ブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール類等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカルバメート等のニッケル系紫外線安定剤等が挙げられる。
上記老化防止剤としては、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、1−(N−フェニルアミノ)−ナフタレン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、モノ(α−メチルベンジル)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル等が挙げられる。
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリフォスフェート等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキシフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチルシリケート、フェニルシリケートのようなシロキサン系難燃剤等が挙げられる。
上記防かび剤としては、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物等が挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等の無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維等の繊維状充填剤等が挙げられる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂を含む層(A)の作製方法は、特に限定されないが、グラビアコーター、ナイフコーター、スロットダイコーター等の塗工機や、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷機を用いる方法が好ましく、生産性の観点から、グラビアコーターを用いる方法がより好ましい。
2.アクリル系共重合体を含む層(B)について
アクリル系共重合体を含む層(B)中のアクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル類を主要構成単位として含む重合体である。ガラス転移点(Tg)が−80〜10℃の範囲にある粘着性を有する重合体である。Tgが−80℃以上の場合は得られる粘着剤の凝集力が高く、10℃以下の場合は、段差追随性及び低温下での粘着力等が確保できる。Tgのより好ましい範囲は、−80〜0℃であり、−80〜−10℃であり、−80〜−20℃であり、−80〜−30℃である。
本発明で用いられるアクリル系共重合体を含む層(B)は、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を前記層(B)全量に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、一層好ましくは95重量%以上含有する。含有量が70重量%以上であれば粘着力が高く好ましい。
さらに、層(B)に含まれるアクリル系共重合体は、十分な凝集力と良好な接着性とを発揮する観点から、重量平均分子量(Mw)が100,000以上であることが好ましく、250,000以上であることがより好ましく、400,000以上であることがさらに好ましい。
一方、製造上の取り扱い易さを考慮すると、重量平均分子量は、2,000,000以下であることが好ましく、1,500,000以下であることがより好ましく、1,000,000以下であることがさらに好ましい。
層(B)に含まれるアクリル系共重合体を構成する単量体としては、Tgが低く粘着性を有するアクリル系共重合体が得られる点で炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びに(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル等を好適に用いることができ、これらの内の1種又は2種以上を使用することができる。
炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、好ましい単量体としては(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が挙げられる。
上記炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルの使用量は、アクリル系共重合体の全構成単量体を基準にして30〜100重量%が好ましく、50〜99重量%がより好ましく、70〜99重量%がさらに好ましい。30重量%以上の場合は得られる粘着剤組成物の粘着力、タック及び低温粘着性等が高く、好ましい。
また、層(B)に含まれるアクリル系共重合体の構成単量体として、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いると、アクリル系共重合体の耐熱性向上に好ましい。好適には炭素数1〜2の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、より好適には、(メタ)アクリル酸メチルである。好ましい使用量は0〜70重量%であり、0〜60重量%がより好ましい。
層(B)に含まれるアクリル系共重合体は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル以外にも粘着性能を損なわない範囲で、これと共重合可能な他の単量体を使用することができる。共重合可能な単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂肪族環系ビニル単量体;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びポリエチレン−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシブチルアクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミド及びN−置換化合物;アリルアルコール等の不飽和アルコール;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
層(B)に含まれるアクリル系共重合体は、その製造方法について特段の制約はないが、例えば、溶液重合法等の公知のラジカル重合方法を採用して上記単量体を重合することにより容易に得ることができる。
溶液重合法による場合、有機溶剤及び単量体原料を反応器に仕込み、有機過酸化物、アゾ系化合物等の熱重合開始剤を添加して、50〜300℃に加熱して共重合することにより目的とするアクリル系共重合体を得ることができる。当該アクリル系共重合体は、有機溶剤に溶解された溶液として使用しても良いし、加熱減圧処理等により溶剤を留去して用いても良い。
単量体を含む各原料の仕込み方法は、すべての原料を一括して仕込むバッチ式の初期一括仕込みでもよく、少なくとも一つの原料を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込みでもよく、全原料を連続供給し、同時に反応器から連続的に生成樹脂を抜き出す連続重合方式でもよい。
溶液重合法に使用する有機溶剤としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの重合溶剤の中では、ビニル系重合体をよく溶解し、精製しやすいように沸点が比較的低い、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
本発明で使用する開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等を用いることができるが、特に限定されるものではない。公知の酸化剤及び還元剤からなるレドックス型重合開始剤を用いても良い。また、同じく公知の連鎖移動剤を併用することもできる。
上記アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
上記無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
<アクリル系ブロック共重合体について>
アクリル系共重合体を含む層(B)中のアクリル系共重合体は、アクリル系ブロック共重合体(以下、「本ブロック共重合体」という。)を含んでもよい。本ブロック共重合体は、重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を各々1つ以上有していればよく、例えば重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなる(ab)ジブロック体、重合体ブロック(a)/(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)/重合体ブロック(a)からなる(aba)トリブロック体、又は重合体ブロック(b)/(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)/重合体ブロック(b)からなる(bab)トリブロック体等が挙げられる。また、重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)以外の重合体ブロック(c)を含む、(abc)又は(abca)等の構造を有するものであってもよい。中でも、本ブロック共重合体は、a−(ba)n(nは1以上の整数)構造を有することが好ましい。かかる構造であると、重合体ブロック(a)が擬似架橋構造を形成し、粘着物性の観点から好適である。尚、上記a−(ba)n構造は共重合体の全部又は一部に存在すればよく、例えば(babab)構造からなる共重合体などであってもよい。
ここで、本ブロック共重合体のガラス転移点については、示差走査熱量測定を行うことにより、各重合体ブロックに対応する変曲点が得られ、これらから各重合体ブロックのTgを求めることができる。本発明において、本ブロック共重合体のTgは、主成分である重合体ブロックのTgを意味する。
(重合体ブロック(a))
本ブロック共重合体の重合体ブロック(a)は、マレイミド化合物及びアミド基含有ビニル化合物のいずれか又は双方に由来する単量体を構成単位とするブロックとすることができる。
マレイミド化合物には、マレイミド及びN−置換マレイミド化合物が含まれる。N−置換マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキル置換マレイミド化合物;N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(4−メトキシフェニル)マレイミド、N−(4−エトキシフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−アリール置換マレイミド化合物等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。マレイミド化合物を含む単量体を重合することにより、重合体ブロック(a)にマレイミド化合物に由来する構成単位を導入することができる。重合体ブロック(a)においては、上記の内でも、得られるブロック共重合体の耐熱性及び接着性がより優れるものとなる点で、以下の一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020007545
{式中、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基又はPhRを表す。ただし、Phはフェニル基を表し、Rは水素、ヒドロキシ基、炭素数1〜2のアルコキシ基、アセチル基又はハロゲンを表す。}
アミド基含有ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルイソブチルアミド等のN−ビニルアミド系単量体などが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。アミド基含有ビニル化合物を含む単量体を重合することにより、重合体ブロック(a)にアミド基含有ビニル化合物に由来する構成単位を導入することができる。
重合体ブロック(a)の全構成単位に対して、マレイミド化合物及びアミド基含有ビニル化合物に由来する構成単位が、10質量%以上100質量%以下とすることができる。かかる構成単位は、例えば15質量%以上であり、また例えば20質量%以上であり、また例えば30質量%以上であり、また例えば40質量%以上であり、また例えば50質量%以上であり、また例えば60質量%以上である。また例えば99質量%以下であり、また例えば90質量%以下であり、また例えば80質量%以下であり、また例えば75質量%以下であり、また例えば70質量%以下である。
マレイミド化合物及びアミド基含有ビニル化合物に由来する構造単位が10質量%未満の場合、得られるブロック共重合体の耐熱性、耐久性及び耐剥がれ性が十分でないときがある。
重合体ブロック(a)は、さらにスチレン類に由来する単量体を構成単位とするブロックとすることができる。スチレン類には、スチレン及びその誘導体が含まれる。具体的な化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。スチレン類を含む単量体を重合することにより、重合体ブロック(a)にスチレン類に由来する構造単位を導入することができる。
上記の内でも、重合性の観点から、スチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンが好ましい。また、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルナフタレンは、重合体ブロック(a)のガラス転移点(Tg)を高めることができ、耐熱性に優れるブロックを得ることができる点において好ましい。
重合体ブロック(a)の全構成単位に対して、スチレン類に由来する構成単位が、1質量%以上70質量%以下とすることができる。かかる構成単位は、例えば5質量%以上であり、また例えば10質量%以上であり、また例えば20質量%以上である。また例えば60質量%以下であり、また例えば50質量%以下であり、また例えば40質量%以下である。
スチレン類に由来する構造単位が1質量%以上であれば、特にマレイミド化合物の重合性を向上することができる。一方、70質量%以下であれば、マレイミド化合物及びアミド基含有ビニル化合物由来の構成単位の必要量を確保することが可能となるため、耐熱性、耐久性及び耐剥がれ性に優れるブロック共重合体を得ることができる。
また、重合体ブロック(a)は、架橋性官能基を有するビニル系単量体に由来する構成単位(以下、単に、架橋性構成単位ともいう。)を含むブロックとすることができる。架橋性構成単位は、例えば、ヒドロキシ基等の官能基を有するマレイミド化合物及び/又はアミド基含有ビニル化合物を用いて導入してもよいし、架橋性官能基を有するビニル化合物を共重合することによっても導入することができる。
架橋性官能基を有するビニル系単量体は、特に限定しないで、公知の各種単量体化合物を用いることができるが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物、エポキシ基含有ビニル化合物、1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物、反応性ケイ素基含有ビニル化合物、オキサゾリン基含有ビニル化合物及びイソシアネート基含有ビニル化合物等が挙げられる。重合体ブロック(a)においては、公知の化合物から1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸、更には、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステル)等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒドロキシ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、並びに、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
反応性ケイ素基含有ビニル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2以上の架橋性官能基数を容易に導入できることから、反応性ケイ素基含有ビニル化合物は好適である。また、かかるビニル化合物は、反応性ケイ素基同士が脱水縮合(重合)することができる。このため、ブロック共重合体を製造する重合反応及びその後の上記架橋反応を効率的に行うことができる点において好適である。
上記の外にも、オキサゾリン基含有ビニル化合物又はイソシアネート基含有ビニル化合物を共重合することにより、架橋性官能基としてオキサゾリン基又はイソシアネート基を導入することができる。
さらに、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性単量体を共重合することにより、重合体ブロック(a)に架橋性官能基として重合性不飽和基を導入し得る。上記多官能重合性単量体としては、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基等の重合性官能基を分子内に2つ以上有する化合物であり、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物等が挙げられる。例えば、ヘキサンジオールジアクリレートなどのアルキレンジオールジアクリレートの他、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸ペンテニル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等の分子内に(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック(a)が架橋性構成単位を有する場合、例えば、重合体ブロック(a)の全構成単位に対して架橋性構成単位を0.01モル%以上備えることができる。また例えば0.1モル%以上であり、また例えば1.0モル%以上であり、また例えば2.0モル%以上である。架橋性構成単位を0.01モル%以上備えることで、良好な架橋構造を得られ易くなり、高い耐熱性及び耐久性を備えるブロック共重合体を得易くなる。なお、上限は特に限定するものではないが、架橋反応の制御性の観点から、例えば60モル%以下であり、また例えば40モル%以下であり、また例えば20モル%以下であり、また例えば10モル%以下である。架橋性構成単位の範囲は、既述の下限及び上限を適宜組み合わせることができるが、例えば、1モル%以上60モル%以下、また例えば5モル%以上50モル%以下、10モル%以上40モル%以下などとすることができる。
重合体ブロック(a)は、本ブロック共重合体の作用を損なわない範囲で、これらの単量体と共重合可能な他の単量体に由来する構成単位を備えることもできる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物などを含むことができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸の直鎖状又は分岐状アルキルエステル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシブチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシブチル等が挙げられる。
上記以外の他の単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体ブロック(a)において、上記の他の単量体に由来する構成単位が占める割合は、例えば、重合体ブロック(a)の全構成単位に対して0質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。また例えば5質量%以上であり、また例えば10質量%以上である。また例えば45質量%以下であり、また例えば40質量%以下である。
(ガラス転移点)
重合体ブロック(a)のガラス転移点(Tg)は、100℃以上である。重合体ブロック(a)のTgは、本ブロック共重合体の耐熱性に寄与することができる。したがって、Tgが100℃以上であると、良好な耐熱性を本ブロック共重合体に付与することができる。また例えば120℃以上であり、また例えば140℃以上であり、また例えば160℃以上であり、また例えば180℃以上であり、また例えば190℃以上であり、また例えば200℃以上である。また、Tgは、使用可能な構成単量体単位の制限から350℃以下であることが好ましい。また例えば280℃以下であり、また例えば270℃以下であり、また例えば260℃以下である。
なお、本明細書において、重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の他、本ブロック共重合体のガラス転移点は、後述する実施例において記載するとおり、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。また、DSCが不可能であるときには、重合体ブロックを構成する単量体単位から計算により求めることもできる。
(相分離性)
重合体ブロック(a)は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)と相分離する性質を有することが好ましい。かかる性質を有することで、ミクロ相分離構造を形成することができる。本願出願時の技術常識に基づいて当業者であれば容易に、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)と相分離するブロックを設計することができる。例えば、公知の溶解パラメータの算出方法、例えば、以下に示すFedors法により計算したSP値が(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のSP値と比較したときの差分が0.01(絶対値)以上などとすることができる。また例えば0.05以上、また例えば0.1以上、また例えば0.2以上であってもよい。さらに例えば0.5以上であってもよい。また例えば、意図する重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のポリマーブレンドを調製して、これらを混合して得られる構造を電子顕微鏡、原子間力顕微鏡又は小角X線散乱等で観察することにより、ブロック間の相分離性を容易に推測することができる。
SP値は、R.F.Fedorsにより著された「Polymer Engineering and Science」14(2),147(1974)に記載の計算方法によって、算出することができる。具体的には、式(1)に示す計算方法による。
Figure 2020007545
δ :SP値((cal/cm3)1/2
ΔEvap :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
V :各原子団のモル体積(cm/mol)
((メタ)アクリル系重合体ブロック(b))
本ブロック共重合体の(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、一般式(2)で表される化合物から選択される少なくとも一種を構成単位とするブロックとすることができる。一般式(2)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル及びポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
CH=CR−C(=O)O(RO)−R (2)
(式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。nは0又は1〜100の整数を表す。)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、重合体ブロック(a)に用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを挙げることができる。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、上記一般式(2)における(RO)は1種類のみであってもよいし、2種類以上の構造単位を含んでもよい。(RO)を2種類以上有する場合、nは各構造単位の繰返し単位数の総和を表す。nは1〜100であってもよく、1〜50であってもよく、1〜30であってもよい。具体的な化合物としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。上記の化合物は市販品としても入手可能であり、例えばメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとしては、「ブレンマーPMEシリーズ」(n=2、4、9、23、90等、ブレンマーは登録商標)が挙げられる。
その他にも、アミド基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることもできる。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)においては、上記のうちでも、柔軟性に優れたブロック共重合体が得られる点で、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物が好ましい。また、粘着性能の観点を加味した場合、上記アクリル系単量体は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物を含むものであることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の全構成単位に対して、一般式(2)で表される化合物に由来する構成単位が、20質量%以上100質量%以下とすることができる。かかる構成単位は、例えば50質量%以上100質量%以下であり、また例えば80質量%以上100質量%以下であり、また例えば90質量%以上100質量%以下である。上記構成単位が上記範囲にある場合は、粘着物性の点で良好なブロック共重合体が得られる傾向にある。また、上記構成単位が50質量%以上の場合、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、一般式(2)で表される化合物から選択される少なくとも一種を主な構成単量体とするブロックとなる。
また、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、架橋性構成単位を含むブロックとすることができる。架橋性構成単位は、例えば、架橋性官能基を有するビニル化合物を共重合することによって導入することができる。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が架橋性構成単位を有する場合、例えば、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の全構成単位に対して架橋性構成単位を0.01モル%以上備えることができる。また例えば0.1モル%以上であり、また例えば0.5モル%以上である。架橋性構成単位の導入量を0.01モル%以上備えることで、耐熱性に優れるブロック共重合体を得易くなる。なお、上限は特に限定するものではないが、柔軟性の観点から、例えば20モル%以下であり、また例えば10モル%以下であり、また例えば5モル%以下である。架橋性構成単位の範囲は、既述の下限及び上限を適宜組み合わせることができるが、例えば、0.01モル%以上20モル%以下、また例えば0.1モル%以上10モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下などとすることができる。
本開示により奏される効果を妨げない限りにおいて、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、上記(メタ)アクリル系単量体以外の単量体を構成単量体単位として使用することができる。(メタ)アクリル系単量体以外の単量体としては、(メタ)アクリロイル基以外の不飽和基を有する単量体を用いることができ、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル及びスチレン類等の脂肪族又は芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
(ガラス転移点)
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移点(Tg)は、10℃以下である。(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のTgは、本ブロック共重合体の粘着性に寄与することができる。したがって、Tgが10℃以下であると、良好な粘着性を本ブロック共重合体に付与することができる。また例えば0℃以下であり、また例えば−5℃以下であり、また例えば−10℃以下であり、また例えば−20℃以下であり、また例えば−25℃以下であり、また例えば−30℃以下であり、また例えば−35℃以下である。
(相分離性)
既述のとおり、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、重合体ブロック(a)と相分離する性質を有することが好ましく、重合体ブロック(a)のSP値との所定の差分を有することが好適である。
本ブロック共重合体は、重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を有するブロック共重合体を得る限りにおいて特段の制限を受けるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、リビングラジカル重合及びリビングアニオン重合等の各種制御重合法を利用する方法や、官能基を有する重合体同士をカップリングする方法等を挙げることができる。これらの中でも、操作が簡便であり、広い範囲の単量体に対して適用することができる観点から、リビングラジカル重合法が好ましい。
リビングラジカル重合法の種類についても特段の制限はなく、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法(RAFT法)、ニトロキシラジカル法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)及びヨウ素移動重合法等の各種重合方法を採用することができる。これらの内でも、重合の制御性と実施の簡便さの観点から、RAFT法、NMP法及びATRP法が好ましい。
RAFT法では、特定の重合制御剤(RAFT剤)及び一般的なフリーラジカル重合開始剤の存在下、可逆的な連鎖移動反応を介して制御された重合が進行する。RAFT剤としては、ジチオエステル化合物、ザンテート化合物、トリチオカーボネート化合物及びジチオカーバメート化合物等、公知の各種RAFT剤を使用することができる。RAFT剤は活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。上記a−(ba)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい点では、二官能型のRAFT剤を用いることが好ましい。また、RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
RAFT法による重合の際に用いる重合開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物及び過硫酸塩等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、安全上取り扱い易く、ラジカル重合時の副反応が起こりにくい点からアゾ化合物が好ましい。上記アゾ化合物の具体例としては、前記したものが挙げられる。上記ラジカル重合開始剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用割合は特に制限されないが、分子量分布がより小さい重合体を得る点から、上記RAFT剤1molに対する上記ラジカル重合開始剤の使用量を0.5mol以下とすることが好ましく、0.2mol以下とするのがより好ましい。また、重合反応を安定的に行う観点から、RAFT剤1molに対するラジカル重合開始剤の使用量の下限は、0.01molである。したがって、RAFT剤1molに対するラジカル重合開始剤の使用量は、0.01〜0.5molの範囲が好ましく、0.05〜0.2mol以下の範囲がより好ましい。
RAFT法による重合反応の際の反応温度は、好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは45℃以上90℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。反応温度が40℃以上であれば、重合反応を円滑に進めることができる。一方、反応温度が100℃以下であれば、副反応が抑制できるとともに、使用できる開始剤や溶剤に関する制限が緩和される。
NMP法では、ニトロキシドを有する特定のアルコキシアミン化合物等をリビングラジカル重合開始剤として用い、これに由来するニトロキシドラジカルを介して重合が進行する。本発明で使用されるブロック共重合体の製造においては、用いるニトロキシドラジカルの種類に特に制限はなく、商業的に入手可能のニトロキシド系重合開始剤を用いることができる。また、アクリレートを含む単量体を重合する際の重合制御性の観点から、ニトロキシド化合物として一般式(3)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2020007545
{式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基又は水素原子であり、Rは炭素数1〜2のアルキル基又はニトリル基であり、Rは−(CH)m−、mは0〜2であり、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。}
上記一般式(3)で表されるニトロキシド化合物は、70〜80℃程度の加熱により一次解離し、ビニル系単量体と付加反応を起こす。この際、2以上のビニル基を有するビニル系単量体にニトロキシド化合物を付加することにより多官能性の重合前駆体を得ることが可能である。次いで、上記重合前駆体を加熱下で二次解離することにより、ビニル系単量体をリビング重合することができる。この場合、重合前駆体は分子内に2以上の活性点を有するため、より分子量分布の狭い重合体を得ることができる。上記a−(ba)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい観点から、分子内に活性点を2つ有する二官能型の重合前駆体を用いることが好ましい。また、ニトロキシド化合物の使用量は、用いる単量体及びニトロキシド化合物の種類等により適宜調整される。
本ブロック共重合体をNMP法により製造する場合、上記一般式(3)で表されるニトロキシド化合物1molに対し、下記一般式(4)で表されるニトロキシドラジカルを0.001〜0.2molの範囲で添加して重合を行ってもよい。
Figure 2020007545
{式中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。}
上記一般式(4)で表されるニトロキシドラジカルを0.001mol以上添加することにより、ニトロキシドラジカルの濃度が定常状態に達する時間が短縮される。これにより、重合をより高度に制御することが可能となり、より分子量分布の狭い重合体を得ることができる。一方、上記ニトロキシドラジカルの添加量が多すぎると重合が進行しない場合がある。上記ニトロキシド化合物1molに対する上記ニトロキシドラジカルのより好ましい添加量は0.01〜0.5molの範囲であり、さらに好ましい添加量は0.05
〜0.2molの範囲である。
NMP法における反応温度は、好ましくは50℃以上140℃以下であり、より好ましくは60℃以上130℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上120℃以下であり、特に好ましくは80℃以上120℃以下である。反応温度が50℃以上であれば、重合反応を円滑に進めることができる。一方、反応温度が140℃以下であれば、ラジカル連鎖移動等の副反応が抑制される傾向がある。
ATRP法では、一般に有機ハロゲン化物を開始剤とし、触媒に遷移金属錯体を用いて重合反応が行われる。開始剤である有機ハロゲン化物は、一官能性のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。上記a−(ba)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい点では、二官能性の化合物を用いることが好ましい。また、ハロゲンの種類としては臭化物及び塩化物が好ましい。
ATRP法における反応温度は、好ましくは20℃以上200℃以下であり、より好ましくは50℃以上150℃以下である。反応温度20℃以上であれば、重合反応を円滑に進めることができる。
リビングラジカル重合法により、重合体ブロック(a)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)からなる、abaトリブロック共重合体等のa−(ba)n型構造体を得る場合、例えば、各ブロックを順次重合することにより目的とするブロック共重合体を得てもよい。この場合、まず、第一重合工程として、重合体ブロック(a)の構成単量体を用いて重合体ブロック(a)を得る。次いで、第二重合工程として、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の構成単量体を用いて(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を得る。さらに、第三重合工程として、重合体ブロック(a)の構成単量体を用いて重合することによりabaトリブロック共重合体を得ることができる。この場合、重合開始剤は、上記した一官能性の重合開始剤又は重合前駆体を用いることが好ましい。上記の第二重合工程及び第三重合工程を繰り返すことにより、ペンタブロック共重合体等のより高次のブロック共重合体を得ることができる。
また、以下に示す二段階の重合工程を含む方法により製造した場合は、より効率的に目的物が得られることから好ましい。すなわち、第一重合工程として、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の構成単量体を用いて(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を得た後、第二重合工程として、重合体ブロック(a)の構成単量体を重合して重合体ブロック(a)を得る。これにより、重合体ブロック(a)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)からなる、abaトリブロック共重合体を得ることができる。この場合、重合開始剤は、二官能性の重合開始剤又は重合前駆体を用いることが好ましい。この方法によれば、各ブロックを順次重合して製造する場合に比較して工程を簡略化することができる。また、上記の第一重合工程及び第二重合工程を繰り返すことにより、テトラブロック共重合体等のより高次のブロック共重合体を得ることができる。
本発明で使用するブロック共重合体の重合は、その重合方法によらず、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で実施しても良い。連鎖移動剤は公知のものを使用することができ、具体的には、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、2−メチルヘプタン−2−チオール、2−ブチルブタン−1−チオール、1,1−ジメチル−1−ペンタンチオール、1−オクタンチオール、2−オクタンチオール、1−デカンチオール、3−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、2−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、3−メチル−3−ウンデカンチオール、5−エチル−5−デカンチオール、tert−テトラデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール及び1−オクタデカンチオール等の炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキルチオール化合物の他、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明で使用するブロック共重合体の製造においては、リビングラジカル重合において公知の重合溶媒を用いることができる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アルコール、水等が挙げられる。また、重合溶媒を使用せず、塊状重合等の態様で行ってもよい。
本発明で用いられるアクリル系共重合体を含む層(B)に、必要に応じて、熱可塑性樹脂を含む層(A)についての説明で具体的に開示した架橋剤(硬化剤)、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、防かび剤、シランカップリング剤、充填剤、着色剤等の添加剤を加えても良い。
前記粘着付与剤として低分子量ビニル重合体を用いる場合、特許文献1等に記載の粘着剤組成物のように、粘着剤表面に粘着付与剤である低分子量ビニル重合体を偏析させる技術を用いても良い。
本発明で用いられるアクリル系共重合体を含む層(B)は、例えば、アクリル系共重合体を含む層(B)を溶媒に溶解した溶液を、ポリエチレンテレフタレート製のセパレーター等の上に、ドクターブレード等を用いて塗布した後、溶媒を加熱又は減圧等で留去することで調製することができる。
本発明で用いられるアクリル系共重合体を含む層(B)の膜厚は、アクリル系共重合体の種類や使用目的にもよるが、通常、層全体の平均値として、2〜200μmであり、また、例えば15〜100μmであり、また、例えば20〜70μmである。
<粘着シートについて>
本発明で提供される粘着シートは、熱可塑性樹脂を含む層(A)と、アクリル系共重合体を含む層(B)を含む。アクリル系共重合体を含む層(B)の片面に、熱可塑性樹脂を含む層(A)を設けても良く、アクリル系共重合体を含む層(B)の両面に、熱可塑性樹脂を含む層(A)を設けても良い。また、アクリル系共重合体を含む層(B)の全面に熱可塑性樹脂を含む層(A)を設けても良く、アクリル系共重合体を含む層(B)の一部の面に、熱可塑性樹脂を含む層(A)を設けても良い。
本発明で提供される粘着シートに用いられる熱可塑性樹脂とアクリル系共重合体は、本発明の効果をより奏するためには相溶しないことが好ましい。高分子化合物の非相溶性は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察など、同業者に周知の方法により相分離構造を確認することで非相溶性を判定できる。
本発明で提供される粘着シートは、例えば、セパレーター上に成膜した熱可塑性樹脂を含む層(A)を、アクリル系共重合体を含む層(B)の表面に転写することで、前記アクリル系共重合体を含む層(B)の表面に前記熱可塑性樹脂を含む層(A)を形成することができる(転写方式)。
また、例えば、セパレーター上に成膜した熱可塑性樹脂を含む層(A)の上にアクリル系共重合体を含む組成物を重ねて塗ることで前記アクリル系共重合体を含む層(B)の表面に前記熱可塑性樹脂を含む層(A)を形成することができる(重ね塗り方式)。
本発明で提供される粘着シートは、ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含む層(A)を、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を含む層(B)表面に一層形成することで、室温で強いタックを示す前記層(B)表面を微粘着あるいは無タックに改良することができる。また形成した熱可塑性樹脂を含む層(A)は熱可塑性であるため、加熱すると溶融し、タックを発現することができる。
さらに、アクリル系共重合体を含む層(B)よりも耐熱性のある熱可塑性樹脂を含む層(A)が表面に形成されたことで、高温での粘着特性が向上する。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り重量部及び重量%を意味する。
製造例、実施例及び比較例で得られた重合体の分析方法について以下に記載する。
<分子量測定>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC−8320」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー社製TSKgel SuperMultiporeHZ−M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
流速:600μL/min
<重合体の組成比>
重合体の組成はモノマー仕込量とGC測定によるモノマー消費量から算出した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)
検出器:FID
カラム:100%ジメチルシロキサン(CP−Sil 5CB) 長さ30m、内径0.32mm
算出方法:内部標準法
<ガラス転移点(Tg)及び融点(Tm)の測定>
得られた重合体のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定した。融点(Tm)は、吸熱ピークのピークトップの値を融点とした。熱流束曲線は試料約10mgを−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで300℃まで昇温し、引き続き−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで350℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
なお、製造例3において得られたアクリル系ブロック共重合体B−2の示差走査熱量測定を行うことにより、重合体ブロック(a)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)に対応する変曲点が得られ、これらから各重合体ブロックのTgを求めることができる。主成分である(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)のTgを本ブロック共重合体のTgとした。
〔製造例1〕
〔(メタ)アクリル系樹脂A−1の製造〕
内容積1リットルの4つ口フラスコに、溶媒として酢酸ブチル200重量部と重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製、商品名「V−601」)0.9重量部とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、単量体としてメタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)165重量部、及び、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」という)44重量部、重合開始剤としてV−601 17重量部、溶媒として酢酸ブチル90重量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール4800重量部、蒸留水1200重量部からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、低分子ビニル重合体A−1を得た。得られた低分子ビニル重合体A−1のモノマー組成は、仕込量とGC測定によるモノマー消費量から計算した結果、MMA80重量%及びIBXMA20重量%であった。分子量はMw6,700、Mn4,370、分子量分布Mw/Mnは1.53であった。Tgは108℃であった。
〔製造例2〕
〔アクリル系共重合体B−1の製造〕
内容積3リットルの4つ口フラスコに、単量体としてアクリル酸2-メトキシエチル(413重量部、以下「MEA」という)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(27重量部、以下「HEA」という)、及び、アクリル酸ブチル(90重量部、以下「BA」という)、溶媒として酢酸エチル(980重量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を75℃に上昇し、重合開始剤としてV−65(0.25重量部)を仕込み重合を開始した。5時間後、固形分が30重量%になるように酢酸エチルを追加して、アクリル系共重合体B−1の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系共重合体B−1は、MEA78重量%、BA17重量%、HEA5重量%とからなり、Mw572,000、Mn16,0000、Mw/Mn3.58であった。Tgは−35℃であった。
〔製造例3〕
〔アクリル系ブロック共重合体B−2の製造〕
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてジベンジルトリチオカーボネート(以下、「DBTTC」ともいう。)(3.18g)、重合開始剤として2,2´−アゾビス2−メチルブチロニトリル(以下、「ABN−E」ともいう。)(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)、および、N−フェニルマレイミド(以下、「PhMI」ともいう。)(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロック(a)を得た。得られた重合体ブロック(a)の分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定(ポリスチレン換算)より、Mn11,400であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロック(a)(21.1g)、重合開始剤としてABN−E(0.08g)、単量体としてアクリル酸メトキシエチル(以下、「MEA」ともいう。)(290g)、および、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう。)(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、固形分濃度が30%になるようにアセトニトリルを追加し、aba型のアクリル系ブロック共重合体B−2のアセトニトリル溶液を得た。得られたアクリル系ブロック共重合体B−2の分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定(ポリスチレン換算)より、Mn122,100、Mw/Mn1.97、Tgは−35℃であった。
[実施例1]
熱可塑性樹脂を含む層(A)と、アクリル系共重合体を含む層(B)を含む粘着シートを以下の手順で調製した。
(1)熱可塑性樹脂を含む層(A)の作製
〔製造例1〕で製造した(メタ)アクリル系樹脂A−1を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度5質量%の溶液を調製した。この溶液を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」)製セパレーター上に、乾燥後の厚みが0.5μmとなるようにドクターブレードを用いて塗布した。塗膜の乾燥は80℃、1分間で行った。
(2)転写による粘着シートの作製
〔製造例2〕で製造したアクリル系共重合体B−1(100重量部)を含む固形分濃度が30%酢酸エチル溶液に、架橋剤としてタケネートD−110N(固形分濃度75重量%、三井化学社製)(0.16重量部)を混合し、粘着剤組成物の溶液を得た。この溶液を、前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーター上に、乾燥後の厚みが50μmとなるようにドクターブレードを用いて塗布した。塗膜の乾燥は80℃、4分間で行った。得られたアクリル系共重合体B−1の薄膜上に、上記(1)で調製した熱可塑性樹脂の薄膜付きPET製セパレーターの熱可塑性樹脂側を貼り合せた。その後、40℃で5日間静置して熟成(エージング)することにより、架橋反応を行い、両面セパレーター付き粘着シートを得た。
[実施例2]〜[実施例4]
熱可塑性樹脂の種類と膜厚を表1に記載したように変更した以外は[実施例1]と同様の操作により、粘着シートの作製を行った。
[実施例5]
熱可塑性樹脂を含む層(A)と、アクリル系共重合体を含む層(B)を含む粘着シートを以下の手順で調製した。
(1)熱可塑性樹脂を含む層(A)の作製
日本製紙社製スーパークロン814HS(塩素化ポリプロピレン)を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度5質量%の溶液を調製した。この溶液を、厚さ38μmのPET製セパレーター上に、乾燥後の厚みが0.5μmとなるようにドクターブレードを用いて塗布した。塗膜の乾燥は80℃、1分間で行った。
(2)重ね塗りによる粘着シートの作製
上記(1)で調製した熱可塑性樹脂の薄膜付きPET製セパレーターの上に直接、〔製造例2〕で製造したアクリル系共重合体B−1の酢酸エチル溶液(固形分30重量%)を、乾燥後の厚みが50μmとなるようにドクターブレードを用いて塗布した。塗膜の乾燥は80℃、4分間で行った。前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼りあわせて、40℃で5日間静置して熟成(エージング)することにより、両面セパレーター付き粘着シートを得た。
[実施例6]〜[実施例9]
熱可塑性樹脂の種類と膜厚を表1に記載したように変更した以外は[実施例5]と同様の操作により、サンプル調製を行った。
〔比較例1〕〜〔比較例4〕
熱可塑性樹脂(A)と膜厚を表1に示したように変更した以外は、[実施例1]と同様の操作を行い、粘着シートを得た。タック性及び剥離強度の評価結果を表1に示した。
<タック性の評価>
粘着シートのタック性は粘着フィルム試料を用いた傾斜式ボールタック試験で評価した。傾斜式ボールタック試験はJIS Z0237:2009に準じ、傾斜角度は30度で評価した。
<85℃での剥離試験>
前記の転写又は重ね塗りのいずれかの方法で調製した粘着シートのセパレーターを剥離して、支持体である易接着処理したPETフィルム(100μm)及び被着体であるガラス板(AGCファブリテック社製、FL11AK、1mm厚)に貼り合せ、セーフティオーブン TYPE SPHH−202(エスペック製)を用いて、100℃で1時間熱処理した。得られた積層体を、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、85℃雰囲気下で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法、方法1:試験板に対する180度引きはがし粘着力」に準じて粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。尚、剥離速度は300mm/min.とした。
Figure 2020007545
[表1]の詳細は次の通り。
・メタクリル樹脂(A−1):製造例1で製造したメタクリル樹脂A−1、ガラス転移点108℃
・ポリエステル樹脂:東洋紡社製バイロン226、ガラス転移点65℃
・変性ポリオレフィン樹脂(1):日本製紙社製スーパークロン814HS、塩素化ポリプロピレン、融点65℃
・変性ポリオレフィン樹脂(2):東洋紡社製トーヨータックPMA−L、無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合樹脂、融点70℃
・変性ポリオレフィン樹脂(3):東洋紡社製トーヨータックPMA−T、無水マレイン酸変性品、融点90℃
・変性ポリオレフィン樹脂(4): 日本製紙社製アウローレン150S、無水マレイン酸変性品、融点105℃、140℃(ベース樹脂が2成分のため融点が2点ある)
・芳香族炭化水素樹脂:三井化学社製FTR−6100、ガラス転移点45℃
・アクリル系共重合体(B−1):製造例2で製造したアクリル系共重合体B−1
・アクリル系共重合体(B−2):製造例3で製造したアクリル系共重合体B−2
・D110−N:三井化学社製タケネートD−110N、メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発成分75.0%、NCO含量11.5%
評価結果
実施例1〜9の粘着シートのタック性を評価したところ、何れも、ボールNoは6以下であり、室温でのハンドリング性が高いという結果であった。一方、アクリル系共重合体を含む層(B)の表面に熱可塑性樹脂を含む層(A)を有していない比較例1のボールNoは11であり、タックが強くてハンドリング性が低いという結果であった。
実施例1〜9の粘着シートの85℃での剥離強度を評価したところ、何れも、2.5N/25mm以上の高い剥離強度を有していることが示された。一方、アクリル系共重合体を含む層(B)の表面に熱可塑性樹脂を含む層(A)を有していない比較例1の剥離強度は低いものであった。また、熱可塑性樹脂を含む層の膜厚が3μmを超えた比較例2の剥離強度は低いものであった。
ここで、実施例3は、ガラス転移点が50℃未満であるアクリル系共重合体(B−1)とガラス転移点が50℃以上であるメタクリル樹脂(A−1)の混合物を熱可塑性樹脂として用いているが、その使用量は(B−1)が20重量%、(A−1)が80重量%であり、85℃での剥離強度が高く維持されていた。一方、ガラス転移点が50℃未満である熱可塑性樹脂を単独で用いた比較例3の剥離強度は低いものであった。
本発明で提供される粘着シートは、高温での粘着性に優れるとともに、室温での粘着剤表面のタックを制御することで、ハンドリング性に優れるため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ及びこれらに用いられる各種光学フィルム、家電製品、自動車用部材等の各種部材等の貼り合せ等に好適である。

Claims (4)

  1. ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を含み、厚さが0.05〜3μmである層(A)と、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を含む層(B)を含む粘着シート。
  2. 前記層(A)が、ガラス転移点又は融点が50℃以上である熱可塑性樹脂を80重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記層(B)が、ガラス転移点が−80〜10℃であるアクリル系共重合体を70重量%以上含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記アクリル系重合体が、アクリル系ブロック共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
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