JP2020007389A - ポリカルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents
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(式中のRは、水素原子または、炭素数1〜8の炭化水素基を示す。また、前記炭化水素基において、1以上の水素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子に置換されたものであってもよい。また、式中のnは、炭素数1〜3の整数を示す。)
2. 前記ポリカルボン酸と前記プロパルギルアミノ酸との仕込モル比が1:0.25〜1:1である、1に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
3. 前記縮合剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩および/またはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸である、1または2に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
4. 前記溶液に、反応促進剤をさらに添加する、1〜3のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
5. 前記反応促進剤は、塩基、触媒および活性エステル体からなる群から選ばれる1種以上である、4に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
6. 前記反応促進剤は、トリエチルアミンおよび/または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである、4または5に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
7. 前記ポリカルボン酸は、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸、アルギン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である、1〜6のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
8. 前記プロパルギルアミノ酸は、プロパルギルグリシンである、1〜7のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
ポリカルボン酸誘導体を構成するカルボキシル基に対するプロパルギルアミノ酸の修飾率は、DMSO−d6中の1H−NMRスペクトル(BRUKER、MR400)を測定することにより決定した。修飾率の算出は、プロパルギルアミノ酸が修飾されたカルボキシル基と修飾されていないカルボキシル基のα水素の積分強度比を測定し、下記の式により求めた。
修飾率(%)=[修飾されたカルボキシル基のα水素]/[(未修飾のカルボキシル基のα水素)+(修飾されたカルボキシル基のα水素)]×100
グリシン(ナカライテスク)2.1gと2−プロピン−1−オール(ナカライテスク)30mLの混合液を調製し、室温で塩化チオニル(ナカライテスク)2.4mLを添加した。反応液を室温で2時間撹拌し、更に50℃で2時間撹拌した。反応液を5℃まで冷却し、酢酸エチル90mLを添加することにより、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により分離し、更に酢酸エチルで洗浄し、乾燥することにより、グリシン,2−プロピン−1−イル,エステル(アミノエタン酸2−プロピニル)(GPE)を得た。
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA、東洋紡)0.5gにDMSO(ナカライテスク)8mLを加え、60℃で1時間撹拌し溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.75当量のグリシン,2−プロピン−1−イル,エステル(GPE)および同0.75当量のO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸(HBTU、東京化成工業)を添加した。さらに、同1.5当量のトリエチルアミン(Et3N、ナカライテスク)を添加し、室温で24時間撹拌し反応させた。反応後、アセトン(ナカライテスク)35mLを添加し、ポリマーを析出させた。得られたポリマーをアセトン30mLで洗浄し、乾燥させた。乾燥後、粗ポリマーを水5.5mLに溶解し、アセトン60mLを添加して、再び沈殿させ、ろ過により分取した。60℃で12時間真空乾燥し、目的のGPE化γ−PGAを得た。1H−NMR(DMSO−D6)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、45%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA(45)とした。
図1に、粗ポリマーと精製後の1H−NMRスペクトルチャートを示す。精製後には、副生成物のヒドロキシベンゾトリアゾール塩由来のピークが消失していた。
原料の仕込量として、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.5当量のGPE、同0.5当量のHBTUおよび同1.0当量のEt3Nを用いた以外は、実施例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(DMSO−D6)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、25%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA(25)とした。
原料の仕込量として、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.25当量のGPE、同0.25当量のHBTUおよび同0.5当量のEt3Nを用いた以外は、実施例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(DMSO−D6)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、15%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA(15)とした。
ポリグルタミン酸ナトリウム(γ−PGA−Na、東洋紡)0.5gに水8mLを加え、室温で撹拌し溶解した。当該溶液に、γ−PGA−Naを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPE、同1.0当量の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC、和光純薬工業)を加え、室温で24時間反応させた。反応後、アセトン35mLを添加し、ポリマーを析出させた。以降、実施例1と同様に処理してGPE化γ−PGA−Naを得た。1H−NMR(D2O)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、29%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA−Na(16)とした。
ポリグルタミン酸ナトリウム(γ−PGA−Na)0.5gに水8mLを加え、室温で撹拌し溶解した。当該溶液に、γ−PGA−Naを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPE、同1.0当量のWSCおよび同1.0当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、ペプチド研究所)を加え、室温で24時間反応させた。以降、実施例1と同様に処理してGPE化γ−PGA−Na(37)を得た。
ポリグルタミン酸ナトリウム(γ−PGA−Na)0.5gに水8mLを加え、室温で撹拌し溶解した。当該溶液に、γ−PGA−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.75当量のGPE、同0.75当量のWSCおよび同0.75当量のHOBtを加え、室温で24時間反応させた。以降、実施例1と同様に処理してGPE化γ−PGA−Na(29)を得た。
原料の仕込量として、γ−PGA−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.5当量のGPE及び同0.5当量のWSC、同0.5当量のHOBtを用いた以外は、実施例5記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、15%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA−Na(15)とした。
原料の仕込量として、γ−PGA−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.25当量のGPE、同0.25当量のWSC、同0.25当量のHOBtを用いた以外は、実施例5記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、10%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA−Na(10)とした。
原料として、ポリアクリル酸ナトリウム(PAC−Na,Lシリーズ、日本触媒)30wt%水溶液を用いた以外は、実施例6記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、PACのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、35%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化PAC−Na(35)とした。
原料として、ポリアクリル酸ナトリウム(PAC−Na,Lシリーズ)30wt%水溶液、仕込量として、PAC−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.5当量のGPE、0.5当量のWSCおよび同0.5当量のHOBtを用いた以外は、実施例9記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、PACのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、19%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化PAC−Na(19)とした。
原料として、ポリアクリル酸ナトリウム(PAC−Na,Lシリーズ)30wt%水溶液、仕込量として、PAC−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.25当量のGPE、同0.25当量のWSCおよび同0.25当量のHOBtを用いた以外は、実施例9記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、PACのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、11%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化PAC−Na(11)とした。
原料として、アルギン酸ナトリウム(ALG−Na、ナカライテスク)、仕込量として、ALG−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.75当量のGPE、0.75当量のWSC、0.75当量のHOBtを用いた以外は、実施例6記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、ALGのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、22%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化ALG−Na(22)とした。
原料として、アルギン酸ナトリウム(ALG−Na)、仕込量として、ALG−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.5当量のGPE、同0.5当量のWSCおよび同0.5当量のHOBtを用いた以外は、実施例6記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、ALGのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、13%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化ALG−Na(13)とした。
原料として、アルギン酸ナトリウム(ALG−Na)、仕込量として、ALG−Naを構成するカルボン酸単位に対して0.25当量のGPE、同0.25当量のWSCおよび同0.25当量のHOBtを用いた以外は、実施例6記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H−NMR(D2O)より、ALGのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、6%であることを確認した。本実施例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化ALG−Na(6)とした。
NHS(N−ヒドロキシスクシンイミジル)化γ−PGAの調製は、ネットワークポリマー,Vol.36,No.6(2015),p.282−287.の記載の方法により行った。1H−NMR(DMSO−D6)より、γ−PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率は、50%であることを確認した。本比較例により得られたポリカルボン酸誘導体をNHS化γ−PGA(50)とした。
比較例1と同様にして、γ−PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が25%であるNHS化γ−PGA(25)を調製した。
比較例1と同様にして、γ−PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が7%であるNHS化γ−PGA(7)を調製した。
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)0.5gにDMSO8mLを加え、60℃で1時間撹拌し溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPEおよび同1.0当量のHBTUを添加した。さらに、同2.0当量のEt3Nを添加し、室温で24時間撹拌し反応させた。反応後、アセトン35mLを添加しポリマーを析出させた。得られたポリマーをアセトン30mLで洗浄し、60℃で12時間真空乾燥した。得られたポリカルボン酸誘導体のGPE修飾率は、56%であった。本比較例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ−PGA(56)とした。
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)0.5gにDMSO8mLを加え、60℃で1時間撹拌し溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPEおよび同1.0当量のWSCを添加し、室温で24時間撹拌し反応させた。反応後、アセトン35mLを添加してポリマーを析出させ、1H−NMRを測定したが、未修飾のγ−PGAが検出されたのみであった。
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)0.5gにDMSO8mLを加え、室温で撹拌し溶解した。当該溶液に、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPE、1.0当量のWSCおよび同0.1当量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を加え、室温で24時間反応させた。反応後、アセトン35mLを添加してポリマーを析出させ、1H−NMRを測定したが、未修飾のγ−PGAが検出されたのみであった。
ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)0.5gとDMSO8mLを入れ、室温で撹拌し溶解した。当該溶液に、γ−PGAを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPEおよび同1.0当量のHBTUを加え、室温で24時間反応させた。反応後、アセトン35mLを添加してポリマーを析出させ、1H−NMRを測定したが、未修飾のγ−PGAが検出されたのみであった。
実施例1−14及び比較例1−4において得られた各ポリカルボン酸誘導体について、水への溶解性を調べた結果を表1に示す。水への溶解性試験は、純水に各ポリカルボン酸誘導体を20wt%になるように添加し、25℃で350rpm、1時間撹拌した後に、目視にて溶解具合を確認した。液中のポリカルボン酸誘導体が完全に溶解した状態を「溶」とし、溶け残りがある状態を「不溶」とした。表1の結果から明らかなように、実施例1−14のポリカルボン酸誘導体は、純水への溶解性が良好であった。
Claims (8)
- ポリカルボン酸および下記一般式(1)のプロパルギルアミノ酸を共通溶媒に溶解した溶液に、縮合剤を添加して脱水縮合させる、水溶性のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
(式中のRは、水素原子または、炭素数1〜8の炭化水素基を示す。また、前記炭化水素基において、複数の水素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子に置換されたものであってもよい。また、式中のnは、炭素数1〜3の整数を示す。) - 前記ポリカルボン酸とプロパルギルアミノ酸との仕込モル比が1:0.25〜1:1である、請求項1に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記縮合剤が1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸から選ばれる1種以上である請求項1または2に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記溶液に、反応促進剤をさらに添加する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記反応促進剤は、塩基、触媒および活性エステル体からなる群から選ばれる1種以上である、請求項4に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記反応促進剤は、トリエチルアミンおよび/または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである、請求項4または5に記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記ポリカルボン酸は、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸、アルギン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
- 前記プロパルギルアミノ酸は、プロパルギルグリシンである、請求項1〜7のいずれかに記載のポリカルボン酸誘導体の製造方法。
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WO2021006198A1 (ja) * | 2019-07-05 | 2021-01-14 | 出光興産株式会社 | 変性ポリマー及び組成物 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09103479A (ja) * | 1995-10-13 | 1997-04-22 | Gunze Ltd | 医用材料及びその製造法 |
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"Propargyl−Assisted Selective Amidation Applied in ", CHEMISTRY A EUROPIAN JOURNAL, vol. 22, JPN7022002587, 12 October 2016 (2016-10-12), pages 18865 - 18872, ISSN: 0004791970 * |
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WO2021006198A1 (ja) * | 2019-07-05 | 2021-01-14 | 出光興産株式会社 | 変性ポリマー及び組成物 |
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