JP2020006407A - 連続鋳造設備および連続鋳造方法 - Google Patents

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Masafumi Hanao
方史 花尾
昌宏 中田
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昌宏 中田
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【課題】鋼の連続鋳造において、N濃度の上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズルの詰まりと鋼片の気泡性欠陥の発生を抑える。【解決手段】取鍋20内の溶鋼が注入されるタンディッシュ2と、タンディッシュ2に接続された注入ノズル3と、注入ノズル3を介してタンディッシュ2内の溶鋼が注入される鋳型4と、注入ノズル3内にH2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを吹き込むように構成されたガス供給機構とを備えるように、溶鋼から鋼片を製造する連続鋳造設備1を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼からスラブやビレット等の鋼片を製造する連続鋳造技術に関する。
連続鋳造において、タンディッシュ内の溶鋼はタンディッシュ底部に設置された上ノズル(タンディッシュノズルともいう)、スライディングゲート(スライディングノズルともいう)および浸漬ノズル内を順に通り鋳型内に供給される。このとき、上ノズルやスライディングゲート、浸漬ノズルといった溶鋼の流路の内面に溶鋼中に含まれるAl23(アルミナ)等の非金属介在物(以下、“介在物”)が付着すると、溶鋼の流れが阻害され、所定の鋳造速度に対して必要な溶鋼供給速度を確保することができなくなる。これに伴い、鋳造速度の低下が余儀なくされ、生産性が低下する。また、浸漬ノズル内の溶鋼流動が不安定になると、鋳型内の溶鋼表面の変動が大きくなるといった問題も生じることになる。
このような問題の対策として、上ノズル、スライディングゲートまたは浸漬ノズル内を流れる溶鋼に対し、Ar(アルゴン)ガスを吹き込み、溶鋼の流路内面への介在物の付着を抑制する技術が知られている。なお、ここで吹き込まれるArガスの気泡は、浸漬ノズルの先端を通過して鋳型内の溶鋼中を浮上していき、溶鋼表面に到達するまでの間に介在物を吸着していく。すなわち、タンディッシュから鋳型までの流路を流れる溶鋼にArガスを吹き込むことにより、流路内面への介在物の付着抑制といった効果に加え、鋳型内にある溶鋼中の介在物を浮上させる効果も得られる。
一方、浸漬ノズルの先端から吐出されるArガスの気泡が鋳型内にある溶鋼中の深い位置まで侵入すると、鋳型内の溶鋼表面まで浮上することができなくなる場合がある。この場合、Arガスの気泡が凝固殻に捕捉され、鋼片表面または鋼片内部に気泡性欠陥が生じてしまう。この気泡性欠陥が内在した鋼片を熱間圧延すると、圧延されて薄くなった鋼板が気泡性欠陥の内圧に耐えられずに膨張し、鋼板に膨れた疵が発生する。また、気泡性欠陥が微細なものであったとしても、熱間圧延後に鋼板表面に線状の筋模様が残り、熱間圧延材としての表面品質を害することとなる。
そのような気泡性欠陥の発生を回避すべく、特許文献1や特許文献2ではArガスに代えてN2(窒素)ガスを溶鋼に吹き込む技術が開示されている。N2ガスの気泡は鋳型内の溶鋼に溶解して消滅するため、Arガスに代えてN2ガスを吹き込むことにより気泡性欠陥の原因そのものを取り除くことができる。
特開2002−361379号公報 特許第5849982号
前述のようにタンディッシュから鋳型までの流路を流れる溶鋼にN2ガスを吹き込むと、N2ガスが溶鋼に溶解するが、これに伴い溶鋼中のN濃度が上昇し、圧延後の鋼板の機械特性に影響を及ぼすおそれがある。また、鋼種によっては、N濃度の上昇により窒化物の粒界析出が促進され、鋼片の表面割れを誘発するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、鋼の連続鋳造において、N濃度の上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズルの詰まりと鋼片の気泡性欠陥の発生を抑えることを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、溶鋼から鋼片を製造する連続鋳造設備であって、取鍋内の前記溶鋼が注入されるタンディッシュと、前記タンディッシュに接続された注入ノズルと、前記注入ノズルを介して前記タンディッシュ内の前記溶鋼が注入される鋳型と、前記注入ノズル内にH2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを吹き込むように構成されたガス供給機構とを備えていることを特徴としている。
また、別の観点による本発明は、溶鋼から鋼片を製造する連続鋳造方法であって、取鍋内の溶鋼が注入されたタンディッシュから鋳型に該溶鋼が注入される際に、前記タンディッシュと前記鋳型との間の流路を流れる前記溶鋼に、H2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを吹き込むことを特徴としている。
鋼の連続鋳造において、N濃度の上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズルの詰まりと鋼片の気泡性欠陥の発生を抑えることができる。
本発明の実施形態に係る連続鋳造設備の一部構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示すように本実施形態の連続鋳造設備1は、取鍋20内の溶鋼が注入されるタンディッシュ2と、タンディッシュ2の底部に接続された注入ノズル3と、タンディッシュ2内の溶鋼が注入される鋳型4とを備えている。タンディッシュ2内の溶鋼は注入ノズル3を介して鋳型4に注入される。なお、図示は省略するが、連続鋳造設備1は従前のように鋳型4の下方に配置されたロール列(不図示)と、ロール列の終端部に配置されたガス切断機等の切断機(不図示)も備えている。
注入ノズル3は、タンディッシュ2の底部に設けられた上ノズル3aと、上ノズル3aに接続された、溶鋼量を調節可能なスライディングゲート3bと、スライディングゲート3bに接続された浸漬ノズル3cで構成されている。本実施形態では、浸漬ノズル3cの側面にガス供給管5が接続され、ガス供給管5はH2(水素)ガス供給源6に接続されている。すなわち、ガス供給管5にはH2ガスが供給され、浸漬ノズル3cの側面にはH2ガスが吹き込まれる。ここで、吹き込まれるH2ガスにより、浸漬ノズル3c内面へのアルミナ等の介在物の付着を抑制することができる。
本実施形態の連続鋳造設備1においては、鋳型4の外側に、電磁ブレーキ7(静磁場発生装置)が設けられている。電磁ブレーキ7は連続鋳造設備1として必須の構成要素ではないが、電磁ブレーキ7が設けられていることによって鋳型4内にある溶鋼中の介在物を除去しやすくすることができる。電磁ブレーキ7は、注入ノズル3の先端部、すなわち浸漬ノズル3cの下端部に磁場を形成して浸漬ノズル3cの先端から鋳型4内に吐出される溶鋼の下向きの流速を減少させることができるように仕様や設置位置が定められている。なお、電磁ブレーキ7は、注入ノズル3の先端部において磁束密度が500G(ガウス)以上となる磁場が形成されるように構成されていることが好ましい。磁束密度が500G未満であると、鋳造速度によっては溶鋼の流速を減少させる効果が不十分な場合がある。磁束密度は2000G以上であることが好ましく、3000G以上であることがさらに好ましい。なお、鋳型装置の設計上の観点からは磁束密度が5000G以下となるように電磁ブレーキ7を構成することが好ましい。
本実施形態の連続鋳造設備1は以上のように構成されている。なお、本実施形態の連続鋳造設備1は2つのストランドを備えており、注入ノズル3、鋳型4、電磁ブレーキ7、ロール列および切断機が図1の紙面垂直方向に2つずつ設けられ、2本の鋳片が製造される構成となっている。
次に、この連続鋳造設備1を用いた連続鋳造方法について説明する。
精錬工程で成分調整された取鍋20内の溶鋼は、まずタンディッシュ2に注入される。ここでタンディッシュ2内の溶鋼表面に浮上した介在物が除去される。その後、タンディッシュ2の底部に接続された注入ノズル3、すなわち上ノズル3a、スライディングゲート3bおよび浸漬ノズル3cを介してタンディッシュ2内の溶鋼が鋳型4に注入される。このとき、浸漬ノズル3c内を流れる溶鋼に対し、ガス供給管5からH2ガスが吹き込まれる。
ここで吹き込まれるH2ガスにより、浸漬ノズル3c内で溶鋼が流動する状態となり、溶鋼中に含まれる介在物の浸漬ノズル3c内面への付着を抑制することができる。これにより浸漬ノズル3cの詰まりの発生を抑えることができる。また、吹き込まれるH2ガスは溶鋼に溶解するため、H2ガスの気泡はArガスを吹き込む場合と異なり、溶鋼中に残存しない。すなわち、H2ガスの気泡が溶鋼内部に留まることがなく、気泡性欠陥の発生を回避することができる。また、浸漬ノズル3c内に吹き込むガスとして、従前のようなN2ガスを使用しないことから、N濃度の上昇に伴う鋼片の表面割れを抑制することも可能となる。なお、浸漬ノズル3c内に吹き込むH2ガスの流量は5〜20L/minであることが好ましい。これにより浸漬ノズル3c内面への介在物付着を抑制する効果を高めつつ、溶鋼中の水素濃度の上昇量を1ppm以下に抑制することが可能となる。すなわち、浸漬ノズル3cの詰まりを抑制しやすくなると共に、鋼板の表面品質をさらに向上させることが可能となる。
本実施形態においては、鋳型4に設けられた電磁ブレーキ7により、浸漬ノズル3cの先端部で磁束密度が500G(ガウス)以上となる磁場が形成されるように電磁力が付与される。本実施形態では、浸漬ノズル3cの先端部における磁場の向きが鋳型4への溶鋼の注入方向とは逆方向、すなわち、上向きとなるように磁場が形成されている。これにより浸漬ノズル3cから吐出される溶鋼の下降流速を小さくすることができる。その結果、介在物が鋳型4内の溶鋼中の深い位置に侵入しにくくなり、介在物を除去しやすくすることができる。
鋳型4に注入された溶鋼は、鋳型4に接触する外側から冷却されて凝固殻が形成される。凝固殻が形成された溶鋼は鋳型4下部の開口からロール列(不図示)に送られることで更に冷却される。冷却された溶鋼は、ロール列の終端部の切断機(不図示)によりスラブやビレット等の所定のサイズの鋼片に切断される。以上の工程を経て、溶鋼から鋼片が製造される。
本実施形態における鋼の連続鋳造においては、注入ノズル3を介してタンディッシュ2から鋳型4に溶鋼を注入する際に、浸漬ノズル3c内にH2ガスを吹き込むことで浸漬ノズル3c内面への介在物の付着を抑制している。また、浸漬ノズル3c内に吹き込むガスとして従前のようなN2ガスを使用していないことから、溶鋼中のN濃度上昇に起因する鋼片の表面割れを抑制することも可能となる。すなわち、本実施形態の連続鋳造においては、N濃度の上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズル3cの詰まりと鋼片の気泡性欠陥の発生を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態で説明したタンディッシュ2や注入ノズル3、鋳型4の形状や配置は、取鍋20内の溶鋼の介在物を除去しつつ、連続鋳造が可能であれば特に限定されない。例えばタンディッシュ2と注入ノズル3の接続位置はタンディッシュ2の底部に限定されない。また、上記実施形態ではH2ガス供給管5を浸漬ノズル3cに接続することとしたが、注入ノズル3の他の部分に接続することにしても良い。さらに、注入ノズル3の構成も上記実施形態で説明したものに限定されず、タンディッシュ2から鋳型4に溶鋼を送ることが可能であり、かつ注入ノズル3内の溶鋼に対し、H2ガスを吹き込むことが可能な構成であれば良い。また、注入ノズル3に対するガス供給管5の設置高さは注入ノズル3の構成や形状等に応じ、注入ノズル3の詰まりが抑えられるように適宜設定されていれば良い。加えて、注入ノズル3内にH2ガスを吹き込むガス供給機構は上記実施形態で説明した構成に限定されない。
また、上記実施形態では、注入ノズル3に吹き込むガスとしてH2ガスを用いたが、H2ガスに代えてCH4(メタン)ガスやC38(プロパン)ガス等の炭化水素ガスを用いても良い。H2ガスと炭化水素ガスを組み合わせて用いても良い。すなわち、H2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを注入ノズル3に供給することで、N濃度上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズル3cの詰まりと鋼片の気泡性欠陥の発生を抑えることが可能となる。なお、H2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスと、Arガスを混合して供給しても良い。注入ノズル3の詰まりを抑える目的で供給されるガス流量が同一であれば、混合ガスを供給する場合と、Arガスのみを供給する場合とでは混合ガスを供給する場合の方がArガスの流量を少なくすることができる。これによりArガスのみを供給する場合に比べ、Arガスの気泡量を少なくすることができ、気泡性欠陥を抑える効果が得られる。
幅1400mmおよび厚み250mmの鋳型を有する垂直曲げ型のスラブ連続鋳造設備を用いて、容量320tの取鍋3杯分の溶鋼を連続して鋳造した。この連続鋳造設備は2ストランドで構成され、注入ノズルは上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルで構成されている。また、鋳型には電磁ブレーキが設けられている。
上記仕様の連続鋳造設備を用い、各ストランドで長さ8mのスラブを24本、両ストランド合計で48本のスラブを製造した。鋳造速度は1.3m/minであり、3層のスライディングゲートにより溶鋼流量を調節した。また、鋳造中、一方のストランドの浸漬ノズルにはArガスを10L/minの流量で供給し、他方のストランドの浸漬ノズルにはH2ガスを10L/minの流量で供給した。さらに、各ストランドで製造される24本のスラブのうち、12本のスラブを製造する際には電磁ブレーキにより浸漬ノズルの吐出口から吐出される溶鋼に対して磁束密度が3000Gとなるように電磁力を付与した。なお、溶鋼組成は下記の表1に示す極低炭素鋼とした。
Figure 2020006407
上記製造条件の下で製造されたスラブを熱間圧延し、その後酸洗された熱延コイルの表面性状を検査員が目視観察にて評価した。そして、気泡または介在物に起因して生じた不良部の重量割合を“熱延不良率”として、各製造条件で得られたスラブの熱延不良率を比較した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2020006407
本発明例および比較例ともに浸漬ノズルの詰まりは確認されなかったが、浸漬ノズルにArガスを供給した比較例では、Arガスの気泡が原因と考えられる疵や線状の筋模様が鋼板表面に確認された。一方、浸漬ノズルにH2ガスを供給した本発明例では、熱延不良率が0.1%以下となり、良好な品質の鋼板が得られた。
この結果によれば、浸漬ノズル内の溶鋼に対してH2ガスを供給することは、気泡性欠陥の発生を抑制する観点で有効であることが示される。なお、本発明例1では鋼板に介在物が原因と見られる欠陥がわずかに確認されたが、電磁ブレーキを使用した本発明例2においては、鋼板にそのような欠陥が確認されず、熱延不良率をさらに改善することができた。すなわち、鋼板の製品品質をさらに向上させるためには、浸漬ノズル内の溶鋼にH2ガスを供給することに加え、電磁ブレーキを使用することが好ましい。
幅1400mmおよび厚み250mmの鋳型を有する垂直曲げ型のスラブ連続鋳造設備を用いて、容量320tの取鍋3杯分の溶鋼を連続して鋳造した。この連続鋳造設備は2ストランドで構成され、注入ノズルは上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルで構成されている。また、鋳型には電磁ブレーキが設けられている。
上記仕様の連続鋳造設備を用い、各ストランドで長さ8mのスラブを24本、両ストランド合計で48本のスラブを製造した。鋳造速度は1.3m/minであり、3層のスライディングゲートにより溶鋼流量を調節した。また、鋳造中、一方のストランドにおいては浸漬ノズルにArガスを10L/minの流量で供給しながら12本分のスラブを製造し、その後、ArガスからN2ガスに切り替えて残りの12本分のスラブを製造した。他方のストランドにおいては、浸漬ノズルにH2ガスを10L/minの流量で供給して24本分のスラブを製造した。また、H2ガスを供給するストランドにおいては、24本のスラブのうち、12本のスラブを製造する際に電磁ブレーキにより浸漬ノズルの吐出口から吐出される溶鋼に対し、磁束密度が3000Gとなる磁場が形成されるように電磁力を付与した。なお、溶鋼組成は下記の表3に示す中炭素鋼とした。
Figure 2020006407
上記製造条件の下で製造されたスラブのN濃度の上昇量を測定すると共に、スラブの表面を溶削し、スラブの表面割れの有無について検査員が目視観察で評価した。また、上記製造条件の下で製造されたスラブを熱間圧延し、その後酸洗された熱延コイルの表面性状を検査員が目視観察にて評価した。そして、気泡または介在物に起因して生じた不良部の重量割合を“熱延不良率”として、各製造条件で得られたスラブの熱延不良率を比較した。その結果を下記表4に示す。
Figure 2020006407
本発明例および比較例ともに浸漬ノズルの詰まりは確認されなかったが、浸漬ノズルにArガスを供給した比較例3では、Arガスの気泡が原因と見られる疵や線状の筋模様が鋼板表面に確認された。一方、浸漬ノズルにH2ガスを供給した本発明例3、4および浸漬ノズルにN2ガスを供給した比較例4では、気泡に起因する欠陥が鋼板表面に確認されず、熱延不良率が0.1%以下となった。
しかし、N2ガスを使用した比較例2においては、N濃度が上昇し、これに起因する表面割れが発生したスラブが12本中4本確認された。このため、これらの4本のスラブに関しては、その後の熱間圧延に供するために5mmの表面研削が必要となった。一方、H2ガスを使用した本発明例においては、スラブの製造段階で表面割れは確認されず、製造されたスラブの手入れをすることなく、熱間圧延に供することができた。
この結果によれば、浸漬ノズル内の溶鋼に対してH2ガスを供給することは、N2ガスを供給する場合に比べてスラブの表面割れを抑制する観点で有効であることが示される。したがって、浸漬ノズルにH2ガスを供給することにより、N濃度の上昇に起因する鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズルの詰まりと気泡性欠陥の発生を抑えることが可能となる。なお、本発明例3ではスラブに介在物が原因と考えられる欠陥がわずかに確認されたが、電磁ブレーキを使用した本発明例4においては、スラブにそのような欠陥が確認されず、熱延不良率をさらに改善することができた。すなわち、鋼板の製品品質をさらに向上させるためには、浸漬ノズル内の溶鋼にH2ガスを供給することに加え、電磁ブレーキを使用することが好ましい。
また、実施例1および実施例2では、浸漬ノズルに供給するガスとしてH2ガスを使用しているが、H2ガスと同様に溶鋼中に溶解し、かつN2ガスの濃度上昇が起こらない炭化水素ガスを使用しても、鋼片の表面割れを回避しつつ、浸漬ノズルの詰まりと気泡性欠陥の発生を抑えることが可能となる。
本発明は、溶鋼から鋼片を製造するための鋼の連続鋳造に利用することができる。
1 連続鋳造設備
2 タンディッシュ
3 注入ノズル
3a 上ノズル
3b スライディングゲート
3c 浸漬ノズル
4 鋳型
5 ガス供給管
6 H2ガス供給源
7 電磁ブレーキ
20 取鍋

Claims (4)

  1. 溶鋼から鋼片を製造する連続鋳造設備であって、
    取鍋内の前記溶鋼が注入されるタンディッシュと、
    前記タンディッシュに接続された注入ノズルと、
    前記注入ノズルを介して前記タンディッシュ内の前記溶鋼が注入される鋳型と、
    前記注入ノズル内にH2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを吹き込むように構成されたガス供給機構とを備えていることを特徴とする、連続鋳造設備。
  2. 前記注入ノズルの先端部に磁束密度が500G以上となる磁場が形成されるように電磁ブレーキが設けられている、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  3. 溶鋼から鋼片を製造する連続鋳造方法であって、
    取鍋内の溶鋼が注入されたタンディッシュから鋳型に該溶鋼が注入される際に、前記タンディッシュと前記鋳型との間の流路を流れる前記溶鋼に、H2ガスおよび炭化水素ガスの少なくともいずれか一方のガスを吹き込むことを特徴とする、連続鋳造方法。
  4. 前記流路から前記鋳型に流れ込む前記溶鋼に対し、磁束密度が500G以上の磁場が形成されるような電磁力を付与して前記溶鋼の流速を減少させる、請求項3に記載の連続鋳造方法。


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