JP2020006372A - 水素分離装置及び水素分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素が効率的に分離可能であり、かつ爆発が防止可能である、分子篩膜を用いた水素分離装置及び水素分離方法を提供する。【解決手段】混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材と、を備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなることを特徴とする水素分離装置。【選択図】図4

Description

本発明は、水素を効率的に分離可能であり、かつ爆発を防止可能である、分子篩膜を用いた水素分離装置及び水素分離方法に関する。
近年、光触媒と太陽エネルギーとを用いて、水を分解し、水素や酸素を製造する技術が注目されている。光触媒を用いた光水分解反応においては、系内に水素と酸素とが同時に発生する場合があり、この場合は発生した水素と酸素とを分離する必要がある。例えば、光触媒の水分解による水素製造プロセスにおいて、分子篩膜等の分離膜を用いて、水素と酸素とを分離する技術が提案されている(非特許文献1、2)。
田中ら、「水素分離膜の光触媒水素製造プロセスへの応用」、膜シンポジウム(Membrane Symposium)No.21(2009) 杉山ら、「気体分離膜を用いて光触媒による水の完全分解反応により生成されたH2とO2の効率的分離」、第104回触媒討論会 討論会A予稿集、第20頁、(2009)
非特許文献1、2に開示されているように、光触媒反応器と分離膜モジュールとを組み合わせた場合、分離膜モジュール内において、水素と酸素との反応によって爆発が生じ易いという問題がある。この問題に対しては、例えば、窒素等の不活性な希釈ガスを用いて分離膜モジュール内の水素濃度及び酸素濃度を低下させることで対処可能である。しかしながら、希釈ガスを用いた場合、高濃度の水素及び酸素を得るためには、当該希釈ガスと水素及び/又は酸素との分離処理がさらに必要となり、プロセスが複雑化してしまう。また、希釈ガスによって水素濃度及び酸素濃度が低下するため、水素及び酸素を多量に分離回収したい場合、分離効率が悪くなる。
そこで、本発明は、水素を含む混合ガスから水素を効率的に分離可能であり、かつ混合ガスの反応による爆発を防止可能である、分子篩膜を用いた水素分離装置及び水素分離方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、充填剤の集合体からなる細隙材における、隙間径が小さい細隙(狭流路)内に、水素を含む混合ガスを流通させることで、混合ガスの反応による爆発の発生を防止できる一方で、当該細隙と分子篩膜とを接続することで、混合ガスから水素を選択的に分離できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち、
第1の本発明は、混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材と、を備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなることを特徴とする水素分離装置である。
本発明において「混合ガス」とは、少なくとも「水素」と「水素と反応して爆発する可能性のあるガス」とを含むガスをいう。水素と反応して爆発する可能性のあるガスとしては「酸素」が挙げられる。混合ガスには、水素及び水素と反応して爆発する可能性のあるガス以外に、窒素等の不活性ガスや水蒸気等が含まれていてもよい。
「細隙」とは、水素を含む混合ガスが流通可能な細い流路をいう。
「複数の細隙を有する細隙材」とは、細隙を複数有することにより、一方から他方に向かう方向、及び、当該方向とは交差する方向に向かって、ガスを流通・透過させることが可能な部材をいう。
「分子篩膜によって区画された空間内に配置されている細隙材」とは、少なくとも細隙材のガス導入口に相当する面(一端面)及びガス排出口に相当する面(他端面)を除いた外表面(側面)が分子篩膜で覆われていることを意味し、一端面と他端面の一部またはすべてが分子篩膜で覆われている場合も含まれる。分子篩膜が細隙材の表面に直接接触する形態の他、分子篩膜が何らかの部材を介して細隙材の表面を覆っている形態も含む。例えば、円筒状の分子篩膜の内側の空間に充填剤が充填されて細隙材とされている形態もこれに含まれる。
「分子篩膜の外側を覆って配置されている細隙材」とは、細隙材の内部に分子篩膜が設けられていることを意味し、分子篩膜が細隙材の表面に直接接触する形態の他、分子篩膜が何らかの部材を介して細隙材の表面を覆っている形態も含む。例えば、円筒状の分子篩膜の外側の空間に充填剤が充填されて細隙材とされている形態もこれに含まれる。
「充填剤」とは、集合体とした場合に細隙を生じ、一方から他方に向かう方向、及び、当該方向とは交差する方向に向かって、ガスを流通・透過させることが可能なものであればよい。すなわち、固体状のものであればよく、無機系充填剤、有機系充填剤又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
第1の本発明において、細隙の最長隙間径が所定の長さ以下であることが好ましい。例えば、細隙の最長隙間径は、好ましくは1700μm以下、さらに好ましくは600μm以下、特に好ましくは450μm以下、最も好ましくは310μm以下である。
「隙間径」とは、細隙材に存在する細隙の径を意味し、本発明では細隙の径は以下のように定義する。
図1は細隙材が球状の充填剤の集合体である場合の細隙周辺の断面図を示す。
図1に示すように、本発明では三次元の細隙に内接する球を想定し、その直径を「隙間径」と定義する。図1における(a)は、細隙に内接する球の直径すなわち隙間径に該当するが、図1における(b)は、この直径を有する球が細隙に内接していないので隙間径には該当しない。
「隙間径」は、X線CT装置により試料を撮影し、得られたX線CTデータを画像解析することにより、空隙の大きさ、として測定することができる。よって、最長隙間径は、空隙の大きさの最大値として測定可能である。
なお、金属管中の充填剤等、材質の影響によりX線CT分析で試料管と充填剤と細隙との区別ができない場合には、測定可能な材質の同じ形状の構造体を測定することにより細隙の構造を分析可能である。例えば、試料管と同じ形状のアクリルチューブに、充填剤と細隙との区別が可能な充填剤を充填したものを分析用試料とすることにより、細隙の分析をすることができる。充填状態は、試料管、充填剤の形状を同一にすること、及び充填率を合わせることで細隙の状態を再現可能な試料とすることができる。
第1の本発明において、細隙材と分子篩膜との間に、無機多孔質基材をさらに備えることが好ましい。
第1の本発明において、無機多孔質基材をさらに備える場合、当該無機多孔質基材はアルミナ質であることが好ましい。
第1の本発明において、充填剤の集合体に用いる充填剤の平均粒子径は、80μm以上1700μm以下であることが好ましい。
「平均粒子径」は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により、体積基準にて、メジアン径として、測定できる。
第1の本発明において、分子篩膜が、ゼオライト膜、シリカ膜、及び炭素膜のいずれか、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
第1の本発明において、分子篩膜としてゼオライト膜を用いる場合、当該ゼオライト膜の細孔を形成する結晶ゼオライトの骨格が酸素8員環以下の環であることが好ましい。
第1の本発明において、分子篩膜としてゼオライト膜を用いる場合、当該ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含むことが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明に係る水素分離装置の前記細隙材に混合ガスを供給する第1ステップと、前記第1ステップにおいて供給した前記混合ガスから水素を分離する第2ステップと、を備えることを特徴とする水素分離方法である。
爆発範囲内の組成である水素を含む混合ガスが存在する部分や、何等かの原因でガス組成が爆発範囲に入り得る部分に、前記細隙材を用いることによって、爆発を回避することができる。
また、装置のうちより爆発を避けたい部分には、フレームアレスタ(火災が発生した場合に大きな火災延焼や、爆発を防止する安全装置)等の消炎機能をもつ部材と組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る水素分離装置及び水素分離方法によれば、分子篩膜、及び充填剤の集合体からなる細隙材、を用いることにより、水素を含む混合ガスから水素を効率的に分離可能であり、かつ混合ガスの反応による爆発を防止可能である。
本発明における細隙材により形成された細隙の隙間径の定義を説明するための図である。 本発明に係る水素分離装置を説明するための図である。 細隙材に形成された細隙(ガス流路)の一例を説明するための図である。 水素分離装置に備えられる水素分離体(水素分離体50a)を説明するための図(その1)である。 水素分離装置に備えられる水素分離体(水素分離体50a)を説明するための図(その2)である。 他の実施形態に係る水素分離体(水素分離体50b)を説明するための図である。 他の実施形態に係る水素分離体(水素分離体50c)を説明するための図(その1)である。 他の実施形態に係る水素分離体(水素分離体50c)を説明するための図(その2)である。 他の実施形態に係る水素分離体(水素分離体50d)を説明するための図である。 細隙の連続長の定義を説明するための図である。 消炎試験装置を説明するための図である。
水素を含む混合ガスを流通させる場合、流路の径に応じて、爆発の生じ易さが変化する。例えば、水素及び酸素を含む混合ガス、及び水素及び空気を含む混合ガスの消炎径(火炎が管中を伝播しない限界の管内径)が、それぞれ310μm、及び860μmであることが知られている(爆発防止実用便覧、p221(1983))。
本発明者らは、充填剤の集合体からなる細隙材内に混合ガスを流通させた場合において、当該細隙材内に上記の消炎径よりも長い隙間径を有する細隙が含まれていたとしても、爆発を防止可能であることを知見した。また、当該細隙材から分子篩膜を介して水素を選択的に分離できることを知見した。また、細隙材と分子篩膜との組み合わせの形態について、種々の形態を発明した。以下、本発明に係る水素分離方法及び水素分離装置について説明する。
1.水素分離方法
本発明に係る水素分離方法においては、水素を含む混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材とを備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなる水素分離装置を用いて、混合ガスから水素を分離する。具体的には、当該水素分離装置の前記細隙材に混合ガスを供給する第1ステップと、前記第1ステップにおいて供給した前記混合ガスから水素を分離する第2ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明に係る水素分離方法では、分子篩膜により仕切られた当該分子篩膜を挟む一方の空間と他方の空間のうち、複数の細隙を有する細隙材を備えた一方の空間内に、水素を含む混合ガスを供給するとともに、水素の分圧差を駆動力として、分子篩膜を挟む他方の空間へ混合ガス中の水素を選択的に透過させる。ここで、「一方の空間」及び「他方の空間」とは、分子篩膜で仕切られた一方側と他方側のそれぞれの空間を意味する。例えば、分子篩膜が筒型のような閉じた系の時に、分子篩膜により閉じられた内側の空間を「一方の空間」とした場合、分子篩膜の外側の空間が「他方の空間」に相当する。なお、「分圧差」 とは、「一方の空間」と「他方の空間」との間におけるガスの圧力差をいう。
駆動力である水素の分圧差は、例えば、一方の空間(空間A)のガスを加圧し、他方の空間(空間B)を大気圧又は減圧にする、及びスイープガスを流す方法、並びに、一方の空間(空間A)のガスを常圧とし、他方の空間(空間B)を減圧するかスイープガスを流す方法、もしくはそれらの組み合わせや、空間Aの加圧と空間Bの微加圧とを組み合わせることにより設定することができる。例えば、空間Bにスイープガスを流すと、空間B内の水素濃度を低下させることができるので、空間Aの気体の圧力が常圧であっても水素の分圧差を確保することができる。
水素分離方法における圧力は、駆動力としての水素の分圧差が得られれば特に制限されないが、空間Aの気体の圧力の下限は、通常大気圧以上、好ましくは0.11MPa以上、より好ましくは0.12MPa、さらに好ましくは0.15MPaであり、一方、上限は、通常5MPa以下、好ましくは4MPa以下、より好ましくは3MPa、さらに好ましくは1MPa以下である。他方、透過側の空間Bの圧力の下限は、通常0MPa以上、好ましくは0.00001MPa以上、より好ましくは0.0001MPa以上、さらに好ましくは0.001MPa以上であり、一方、上限は、通常5MPa以下、好ましくは4MPa以下、より好ましくは3MPa、さらに好ましくは1MPa以下である。また、空間Aと空間Bとのガスの分圧差は、通常制限されないが、下限は、通常0.001MPa以上、好ましくは0.002MPa以上、より好ましくは0.005MPa以上、さらに好ましくは0.01MPa以上であり、一方、上限は、通常5MPa以下、好ましくは4MPa以下、より好ましくは3MPa、さらに好ましくは1MPa以下である。なお、本発明において圧力(Pa)は、特に断りのない限り、絶対圧をさす。
本発明において「混合ガス」は、少なくとも「水素」と「水素と反応して爆発する可能性のあるガス」とを含むガスである。水素と反応して爆発する可能性のあるガスとしては「酸素」が挙げられる。混合ガスには、水素及び水素と反応して爆発する可能性のあるガス以外に、窒素等の不活性ガスや水蒸気等が含まれていてもよい。混合ガスとしては、例えば、水素と酸素との2成分ガス、水素と空気との混合ガス、又は水素と酸素と空気との混合ガス、並びに、それらのガスにさらに水蒸気が加わったガスが該当する。
水素−空気、又は水素−酸素の爆発範囲での水素含有比率は、4.0〜75.0vol%、3.9〜95.8vol%であることが知られている(高圧ガス保安協会、水素保安技術ハンドブック(1984)、柳田昭三、ガスおよび蒸気の爆発限界(1977))。
よって、本発明における混合ガス内の水素含有比率は、水素と空気とを含む混合ガスの場合、下限は、通常4.0vol%以上、好ましくは4.5vol%以上、より好ましくは5.0vol%以上である。一方、上限は、通常75.0vol%以下、好ましくは74.5%vol%以下、より好ましくは74.0vol%以下である。また、水素と酸素とを含む混合ガスの場合、下限は、通常3.9vol%以上、好ましくは4.5vol%以上、より好ましくは5.0vol%以上である。一方、上限は、通常95.8vol%以下、好ましくは95.5%vol%以下、より好ましくは95.0vol%以下である。
混合ガス内の水素含有比率が上記の範囲内の場合は、各々爆発範囲内の混合ガスであるので、本発明による充填剤の集合体からなる細隙材といった爆発防止対策が必要である。
細隙材は、供給ガス側(分子篩膜を挟む一方の空間)のみに設置してもよく、透過側(分子篩膜を挟む他方の空間)、供給ガスの排出側にも設置してもよい。
本発明においては、水素及び酸素を含む混合ガスから水素を100%分離回収することが困難な場合、分子篩膜を透過しなかった水素も供給側の排出ガスに混合する可能性があるとともに、分子篩膜の分離性能によっては、酸素が少量透過側に排出されうる。これらの回収・排出側の流路においては、爆発危険性のあるすべての領域に細隙材を充填しても良く、爆発危険性の高い一部の領域でもよいが、すべての領域に細隙材を充填することが好ましい。また、爆発危険性の高い一部の領域では、フレームアレスタ(火災が発生した場合に大きな火災延焼や、爆発を防止する安全装置)等の消炎機能をもつ部材を組み合わせて使用することも可能である。
本発明に係る水素分離方法において、混合ガスは細隙材の細隙内を流通し、分子篩膜へと到達する。細隙材は、細隙を有することによって一方から他方に向かう方向及び当該方向とは交差する方向に向かってガスを流通・透過させることが可能な部材であって、上記したような所定の細隙を有する充填剤の集合体であればよい。詳しくは後述する。
細隙材の細隙へと供給された水素を含む混合ガスのうち、水素が分子篩膜を容易に透過する一方で、水素以外の他のガスは分子篩膜を透過し難く細隙材内に留まる。これにより、細隙材内の混合ガスから、水素を選択的に分離することができる。この場合の分子篩膜は、分子篩能によって分子を選択的に透過させる膜であり、他のガスよりも水素の透過度が大きな膜であればよい。詳しくは後述する。
このように本発明に係る水素分離方法は、水素を含む混合ガスを、充填剤の集合体からなる細隙材の細隙内へと流通させ、当該細隙内から分子篩膜を介して水素を選択的に分離処理するものである。すなわち、本発明に係る水素分離方法によれば、水素を含む混合ガスを、所定の細隙を有する細隙材へと供給し、ここから分子篩膜を介して水素を選択的に分離することで、水素が効率的に分離可能であり、かつ窒素等の希釈ガスを用いることなく混合ガスの反応による爆発を防止することもできる。
2.水素分離装置
上述した水素分離方法を実施可能な水素分離装置について説明する。
図2は、一実施形態に係る本発明の水素分離装置を概略的に示す図である。図2に示すように、水素分離装置は、充填剤の集合体からなる複数の細隙を有する細隙材20と、細隙材20の外側を覆う分子篩膜10と、を有する水素分離体50を備えている。水素分離装置においては、導入口1を介して水素を含む混合ガスを水素分離体50内の細隙材20内に供給可能とされており、混合ガスのうち分子篩膜を透過したガス(水素)が回収口2から回収され、分子篩膜10を透過しなかったガスが排出口3から排出されるように構成されている。なお、本発明においては、分子篩膜10を透過した水素以外の微量のガス(例えば、酸素や水蒸気)も回収口2から回収され得る。また、本発明においては、混合ガスから水素を100%分離回収することが困難な場合、分子篩膜10を透過しなかった水素も排出口3から排出され得る。
水素分離体50において、細隙材20の一端(導入口1側の端部)及び他端(排出口3側の端部)の全てが分子篩膜10で覆われていなくてもよく、一端から供給された混合ガスは他端から系外へと排出可能とされている。一方で、細隙材の外表面(回収口2のある側の面)は分子篩膜10で覆われており、当該分子篩膜10を介して、細隙材20内を流通する混合ガスのうち特に水素を選択的に透過させることができる。
分子篩膜10は細隙材20の外表面を覆う薄い膜である。分子篩膜10は、適切に分子篩能を発揮できれば、その形態は特に限定されるものではない。
本発明においては、分子篩膜10が、ゼオライト膜、シリカ膜、及び炭素膜のいずれか、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらは、酸素よりも水素のパーミエンス(透過度)が大きいので、水素を含む混合ガス、特に水素及び酸素を含む混合ガスから水素を分離する膜として適切に機能し得る。
ここで、分子篩膜10としてゼオライト膜を用いる場合、ゼオライトはアルミノケイ酸塩であることが好ましいが、膜の性能を大きく損なわない限りAlの代わりにGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Zn等の金属元素を用いてもよく、Alと共にGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Zn、P 等の元素を含んでいてもよい。また、ゼオライト膜の細孔を形成する結晶ゼオライトの骨格が酸素8員環以下の環であることが好ましく、ゼオライトの構造としては、例えばAEI、AFG、ANA、CHA、DDR、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、STI、TOL、UFIなどが挙げられる。これらのうち、AEI、CHA、DDR、ERI、KFI、LEV、PAU、RHO、RTH、SOD、LTA、UFI型ゼオライトにより構成される膜を用いることが好ましく、CHA、DDR、RHO、SOD型ゼオライトにより構成される膜を用いることがより好ましい。
なかでも、ゼオライト膜の細孔を形成する結晶ゼオライトの骨格は、酸素8員環以下の環であることが好ましく、特に、CHA型ゼオライトにより構成される膜を用いることが好ましい。このようなゼオライト膜を用いた場合、混合ガスから水素をより効率的に分離することができる。
なお、本明細書において、酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素元素の数が大きいものをさす。また、ゼオライトの構造は、上記のとおり、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードで示す。
分子篩膜10は、開口径をより効果的に制御するための処理がされていてもよく、この場合、水素をより効率的に分離することができる。また、分子篩膜10は疎水性を向上するための処理がされていてもよい(例えば、国際公開第2013/125661号パンフレット記載のシリル化処理等を参照)。このようなゼオライト膜を用いた場合、水素を含む混合ガスが、さらに水蒸気を含有する場合でも、水素をより効率的に分離することができる。両方の機能を兼ね備えていれば、さらに水素を効率的に分離することができる。
また、CHA型ゼオライトは、高シリカゼオライトの膜を合成可能であり、ゼオライトの中で相対的に疎水性であるため、水の光分解により生じる水素及び酸素、並びに水蒸気を含む混合ガスが、分子篩膜10に輸送される場合にも、水蒸気の透過を抑制し、水素の透過度を維持しやすいという観点でも好適である。
なお、ゼオライト膜を合成する場合、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いることができるが、通常は目的とするゼオライト構造を作製可能なテンプレートであれば特に制限はなく、テンプレートなしで合成可能であれば用いなくてもよい。
分子篩膜10としてシリカ膜を用いる場合、シリカ膜中のシリカ含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に制限はないが、例えば、酸化ケイ素組成において、ケイ素を含む、全ての陽性元素に対するケイ素の割合が、通常50mol%以上である。
シリカ膜は、ゾルゲル法やCVD法、ポリマープレカーサー法等により多孔質基材上に製膜される。ゾルゲル法では、後述する多孔質基材上で、金属アルコキシドと水とを反応させて加水分解と脱水縮合からゲルを形成し、シリカ膜を製膜することができる。また、対向拡散CVD法では、例えば、多孔質の筒状基材の場合、内側に酸素を、外側にシリカ源を流通させて、基材細孔内に非晶質シリカ層を蒸着させてシリカ膜を製膜することができる。また、ポリマープリカーサー法では、アルコキシシランやポリシラザンなどのシリカ前駆体を多孔質基材に塗膜した後、熱処理を行ってシリカ膜を製膜することができる。
また、分子篩膜10として炭素膜を用いる場合、炭素膜前駆体溶液を多孔質基材上にディップコート(浸漬塗布)し、600〜800℃程度で熱処理し、乾燥して炭素膜とする。前記炭素膜前駆体としては、例えば、芳香族ポリイミド、ポリピロロン、ポリフルフリルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、リグニン誘導体、木タール、竹タール等が挙げられる。また溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤を好適に使用することができる。
分子篩膜10の膜厚は、特に限定されないが、ゼオライト膜では、通常0.01μm〜30μm、好ましくは0.01μm〜20μm、さらに好ましくは0.01μm〜10μmであり、シリカ膜では、単層からなる膜でも、2層以上からなる膜でもよく、その厚さは、通常1nm〜10μm、好ましくは1nm〜5μm、さらに好ましくは1nm〜1μmであり、炭素膜では、0.05μm〜5mm、好ましくは0.1μm〜2.5mm、さらに好ましくは0.1μm〜500μmであるが、膜性能を大きく損なわない限り膜厚は薄いことが好ましい。なお、膜厚は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、測定することができる。
細隙材20の表面に分子篩膜10を形成する方法としては特に限定されるものではない。例えば、国際公開第2013/125660号パンフレットに記載されているような無機多孔質基材の表面に分子篩膜を形成する方法を応用することで、細隙材20の表面に分子篩膜10を容易に形成することができる。すなわち、(1)細隙材20の表面に分子篩膜10を構成し得る物質をバインダー等で固着させる方法、(2)分子篩膜10を構成し得る物質を分散させたスラリー又は溶液に細隙材20を含浸させて細隙材20の表面に当該物質を固着させる方法、(3)細隙材20の表面において分子篩膜10を構成し得る物質(特に、ゼオライト、或いは、シリカ)を膜状に生成させる方法等が挙げられる。
本発明では、充填剤の集合体からなる細隙材20において、細隙の最長隙間径が所定の長さ以下であることが好ましい。
図3に細隙材20に設けられた細隙によって構成される連続細隙の断面の一例を示す。
図3(A)は、隙間径が所定の長さ以下の細隙によって構成される連続細隙であり、図3(B)は、一部の隙間径が所定の長さより長い細隙によって構成される連続細隙である。
図3(A)において全ての細隙は、細隙の隙間径が所定の長さ以下である。すなわち、どの部分においても隙間径が所定の長さを超える細隙を有していない。このような細隙のみからなる細隙材を用いた場合、水素を含む混合ガスを流通させても、混合ガスの反応による爆発を防止できる。
一方、図3(B)においては、細隙の隙間径が所定の長さを超える部分(部分X、Y)を有する。このような細隙も含む細隙材を用いた場合、水素を含む混合ガスを流通させると、混合ガスの反応による爆発を完全には防止できない虞がある。
本発明者らの知見によれば、細隙の最長隙間径の上限は、好ましくは1700μm以下、より好ましくは1200μm以下、さらに好ましくは600μm以下、特に好ましくは450μm以下、最も好ましくは310μm以下である。特に、水素/酸素の混合ガスでは、好ましくは600μm以下、より好ましくは450μm以下、さらに好ましくは310μm以下である。一方、下限は、好ましくは80μm以上、より好ましくは110μm以上、さらに好ましくは160μm以上、特に好ましくは210μm以上である。細隙の最長隙間径が、この範囲内であれば、爆発を防止できるとともに、水素を含む混合ガスを容易に流通させ、分子篩膜を介して水素を選択的に分離処理である。本発明においては、細隙材が充填剤の集合体からなるため、細隙の隙間径を容易に小さくすることができる。
以下、水素分離体の具体例について説明する。
2.1.水素分離体50a
図4、5に水素分離体50aを概略的に示す。図4(A)が水素分離体50aの内部構造を概略的に示す図であり、図4(B)が水素分離体50aによる水素分離機構を概略的に示す図であり、図5(A)が水素分離体50aの外観を概略的に示す図であり、図5(B)が図5(A)のIXB−IXB断面を概略的に示す図である。
図4、5に示すように、水素分離体50aにおいては、略円筒状の分子篩膜10によって区画された空間内に充填剤20a、20a、…が充填されている。すなわち、水素分離体50aにおいて、細隙材は充填剤20a、20a、…の集合体からなり、分子篩膜10が細隙材の外側を覆っている。
このような細隙材においては、充填剤20aの大きさが一定範囲内であることが好ましい。すなわち、充填剤の平均粒子径が大き過ぎる場合、細隙材内に形成される細隙が大きくなって、隙間径が所定の長さを超える細隙が多くなり過ぎる虞があり、爆発を防止できなくなる虞がある。一方、充填剤の平均粒子径が小さ過ぎる場合、爆発を防止できるものの、流通するガスの細隙材通過前後の圧力損失が大きくなり、混合ガスを細隙材内に流通させることが困難となって、水素分離の処理速度が減少してしまう虞がある。
本発明者らは、充填剤の平均粒子径と細隙の最長隙間径とが略一致することを知見した。すなわち、平均粒子径の小さな充填剤を用いることで、隙間径を容易に小さくすることができる。この点について、本発明者らの知見によれば、充填剤の平均粒子径の下限は、好ましくは80μm以上、より好ましくは110μm以上、さらに好ましくは160μm以上、特に好ましくは210μm以上である。一方、上限は、好ましくは1700μm以下、より好ましくは1200μm以下、さらに好ましくは600μm以下、特に好ましくは450μm以下、最も好ましくは310μm以下である。充填剤の平均粒子径がこの範囲内であれば、爆発をより適切に防止できるとともに、混合ガスを容易に流通させ、分子篩膜を介して水素を選択的に分離処理である細隙材を得ることができる。
また、本発明においては、充填剤は、大きさの異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。大きさの異なる2種以上の充填剤を組み合わせて用いた場合、充填剤の選択肢が増えることで、より安価な充填剤を使用することができる。
充填剤20aとしては、無機系充填剤、有機系充填剤、又はこれらを組み合わせたもののいずれであってもよい。無機系充填剤としては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ及びムライトビーズ等のセラミックスビーズ、金属ビーズ、金属メッシュ、又はこれらの砕片等が挙げられる。また、有機系充填剤としては樹脂ビーズ、又はその砕片等が挙げられる。なお、本願では、穴の開いていないもの(図示したような単なる球状のもの)も「ビーズ」に含まれるものとする。
なかでも、水素及び酸素との反応性が低く、安価で取り扱い性にも優れる観点から、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ及びムライトビーズ等のセラミックスビーズ、又はこれらの砕片が好ましい。また、熱伝導性が良く、水素を含む混合ガスが爆発に至る過程で発生する熱を逃がし、爆発させにくくするという観点から、金属ビーズ、金属メッシュ、又はこれらの破片を用いることも好ましい。
2.2.水素分離体50b
図6に水素分離体50bを概略的に示す。図6(A)が水素分離体50bの外観を概略的に示す図であり、図6(B)が図6(A)のXB−XB断面を概略的に示す図である。
図6において、図4、5と同様の部材については同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図6に示すように、水素分離体50bは、略円筒状の無機多孔質基材30の外側が分子篩膜10で覆われる一方、内側の空間に充填剤20a、20a、…が充填されている。水素分離体50bにおいても水素分離体50aと同様に細隙材は充填剤の集合体からなる。
すなわち、水素分離体50bにおいては、分子篩膜10が、無機多孔質基材30を介して、細隙材の外側を覆っている。
水素分離体50bは以下の方法により容易に製造可能である。すなわち、(1)無機多孔質基材30の表面に分子篩膜10を構成し得る物質をバインダー等で固着させる方法、(2)分子篩膜10を構成し得る物質を分散させたスラリーに無機多孔質基材30を含浸させて無機多孔質基材30の表面に当該物質を固着させる方法、(3)無機多孔質基材30の表面において分子篩膜10を構成し得る物質(特に、ゼオライト、或いは、シリカ)を膜状に生成させる方法等によって、強度に優れる複合体を得た(例えば、国際公開第2013/125660号パンフレット等を参照)後で、当該複合体の内側に充填剤20aを充填することによって、水素分離体50bを容易に製造することができる。
このように、無機多孔質基材30は、分子篩膜10を支持する支持体として機能する。
無機多孔質基材30を構成する材料は特に限定されるものではなく、ガラス、セラミックス、金属、カーボン成形体、又は樹脂等の種々の材料を適用可能である。セラミックス基材の場合、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性がある多孔質の無機物質であればいかなるものであってもよい。具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体などが挙げられる。
なかでも、それらの中で、シリカ、アルミナ質(α−アルミナ、γ−アルミナ)、ムライトが好ましく、アルミナ質がより好ましい。アルミナ質が好ましい理由としては、アルミナ質の多孔質基材が、分子篩膜を密着性高く支持するからである。
本発明において、無機多孔質基材30それ自体は分子篩能を有する必要はない。無機多孔質基材30には、内壁側から外壁側に向かって連通する細かな気孔(空孔、空隙、細隙)が設けられている。気孔を有する無機多孔質基材30は公知のものを用いることができる。
無機多孔質基材30の気孔率の下限は、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、一方、上限は、通常80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。また、無機多孔質基材30の平均細孔径の下限は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、一方、上限は20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。このような気孔を有する無機多孔質基材30であれば、十分な強度を有して分子篩膜10を適切に支持することができ、また、分子篩膜10を透過した水素を外壁側に適切に十分な速度で透過可能である。なお、無機多孔質基材30の気孔率や平均細孔径は、水銀圧入法、断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察などによって容易に特定可能である。気孔率は、真比重を用いて、体積と質量から計算することもできる。
2.3.水素分離体50c
上述の水素分離体50a及び50bはいずれも分子篩膜が細隙材の外側を覆う形態である。しかしながら、本発明は当該形態に限定されるものではない。図7、8に水素分離体50cを概略的に示す。図7(A)が水素分離体50cの内部構造を概略的に示す図であり、図7(B)が水素分離体50cによる水素分離機構を概略的に示す図であり、図8(A)が水素分離体50cの外観を概略的に示す図であり、図8(B)が図8(A)のXIIIB−XIIIB断面を概略的に示す図である。図7、8において、図4〜6と同様の部材については同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図7、8に示すように水素分離体50cにおいては、略円筒状の外壁材11の内側に略円筒状の分子篩膜10が収容されており、外壁材11と分子篩膜10との間に充填剤20a、20a、…が充填されて細隙材を構成している。すなわち、水素分離体50cにおいては、分子篩膜10が細隙材の内側を覆っている。水素分離体50cによれば、細隙材内に供給された混合ガスのうち水素を、分子篩膜10を介して内側へと選択的に透過させることができる。このように、分子篩膜10は、細隙材の少なくとも外側又は内側を覆うように設けられていればよい。
2.4.水素分離体50d
上述の水素分離体50a〜50cはいずれも分子篩膜が筒状に形成された形態である。
しかしながら、本発明は当該形態に限定されるものではない。図9に水素分離体50dを概略的に示す。図9に示すように、水素分離体50dは、溝を有する外装体12と、外装体12の溝内に充填された細隙材20と、細隙材20の表面を覆う分子篩膜10と、を備えている。すなわち、水素分離体50dにおいては、分子篩膜10と外装体12とによって区画される空間内に細隙材20が充填されており、分子篩膜10は細隙材20の上部を覆っている。
図9に示すように、溝の一端から細隙材20内へと供給された水素を含む混合ガスは、細隙材20の細隙内を流通して分子篩膜10に到達する。混合ガスのうち水素は分子篩膜10を透過して膜表面から系外へと回収される一方で、分子篩膜10を透過しなかったガスは、溝の他端から系外へと排出される。
以上のように、水素分離体50a〜50dのような水素分離体を有する水素分離装置によれば、分子篩膜を用いて水素を効率的に分離可能であり、且つ、希釈ガスを用いることなく水素と酸素との反応による爆発を防止することもできる。
なお、上述の説明では、水素分離体について種々の具体例を例示して説明したが、本発明に係る水素分離装置において水素分離体以外の部材については、特に限定されるものではない。例えば、図2に示すように、水素を含む混合ガスを水素分離体50内へと適切に導入するための導入口1、水素分離体から分離された水素を回収するための回収口2、並びに、水素分離体において分子篩膜を透過しなかったガスを排出するための排出口3のほか、排出口3から排出されたガスを再び水素分離体50内へと導入する循環流路等が備えられていてもよい。
また、上述の説明では、水素分離装置が一つの水素分離体を備えるものとして説明したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。複数の水素分離体をスタックして水素分離装置を構成してもよい。
また、上述の説明では、特定の形態の水素分離体50a〜50dについて説明したが、本発明において水素分離体の形態(形状、大きさ、材質等)は、本発明に係る水素分離方法を実施可能な範囲で適宜変更可能である。
また、上述の説明では、水素分離装置に備えられる水素分離体50a〜50dをそれぞれ独立に説明した。しかしながら、本発明においては、水素分離体50a〜50dに係る部材を組み合わせてもよい。
また、上述の説明では、水素を含む混合ガスの供給源を特に限定せずに説明したが、本発明においては、光触媒を用いた水分解反応により発生した水素及び酸素を含む混合ガスであることが好ましい。例えば、図2において、光触媒反応器(光触媒による水分解反応を実施可能な反応器)を導入口1に接続し、水素分離体50内に水素及び酸素を含む混合ガスを供給する形態が好ましい。この場合、光触媒の種類は特に限定されるものではなく、太陽光を用いて水を水素と酸素に分解し得る光触媒であれば、粒子又は成形体のいずれもであってもよい。
また、上述の説明では、水素を含む混合ガスにおける組成比も特に限定せずに説明したが、本発明においては、水素含有率が爆発範囲内である混合ガスであることが好ましく、光触媒による水分解反応により生じる場合の水素/酸素=2/1の場合が特に好ましい。
。なお、光触媒による水分解反応によって生じる混合ガスには、水素及び酸素に加えて、水蒸気等が含まれていてもよい。
また、上述の説明では、充填剤が「球状」である形態を例示して説明したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。円柱状の充填剤、角柱状の充填剤、長球状の充填剤のほか、細かな粉状の充填剤を用いることもできる。ただし、細隙材の作製時に隙間径を容易に制御することができる観点からは、球状の充填剤を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。
本実施例においては、<1>充填剤として用いるビーズの平均粒子径を測定し、充填剤の集合体からなる細隙材内に存在する細隙の隙間径を分析・測定した。また、<2>ビーズの平均粒子径を変化させた場合における、消炎試験を行った。さらに、<3>図2、及び6に示される水素分離装置を作製した。すなわち、略円筒状(内径9mm、外径12mm)の多孔質アルミナチューブに形成された分子篩膜(CHA型ゼオライト膜、三菱化学社製)の内側に充填剤としてビーズを充填し細隙材を形成した。ビーズの平均粒子径を変化させた場合における、分子篩膜を透過するガスの透過挙動及び細隙材前後の圧力損失を評価した。
<1>ビーズの平均粒子径測定、及び細隙の分析方法
(1)ビーズの平均粒子径測定
測定に使用したビーズは、「TGK 科学機器総合カタログ 研究・実験・検査用 2013−2014」294頁に記載の東新理興社製ガラスビーズ、不二製作所社製ガラスビーズ、及びムライトビーズを用いた。表1に実施例に用いたガラスビーズのカタログ番号と、前記カタログ記載のおよそのビーズ直径分布範囲目安を記した。
ビーズの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により、体積基準にて、メジアン径として、測定したものである。各ビーズは、下記の装置を用いて2回測定を実施し、得られたメジアン径の平均値を平均粒子径とした。測定結果を表1に記した。
以下、ビーズの名称ごとに、測定に用いた粒度分布装置を記す。
(No.007)
ガラスビーズNo.007(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.063〜0.088mm)は、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−500を用いて水を分散媒とし、試料の屈折率=1.51、分散媒の屈折率=1.333として粒度分布を測定した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.020)
ガラスビーズNo.020(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.177〜0.250mm)は、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960にて、分散媒を純水、試料の屈折率を1.510−0.000i、分散媒の屈折率を1.333−0.000i、循環速度のレンジは8として測定を行った。平均粒子径の結果を表1に記す。
(FGB#60)
ガラスビーズFGB#60(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.250〜0.355mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.040)
ガラスビーズNo.040(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.350〜0.500mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.060)
ガラスビーズNo.060(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.500〜0.710mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.080)
ガラスビーズNo.080(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.710〜0.990mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.1)
ガラスビーズNo.1(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は0.991〜1.397mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(ムライト)
ムライトビーズ「ムライト」(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は平均1.74mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
(No.2)
ガラスビーズNo.2(カタログ記載のビーズ直径範囲の目安は1.500〜2.500mm)は、No.020のガラスビーズ同様に測定を実施した。平均粒子径の結果を表1に記す。
本結果より、ビーズの平均粒子径は、カタログ記載の目安の範囲内にあることがわかる。
(2)細隙の分析方法
測定に供した試料の作製方法:
アクリルチューブの内側にビーズを充填することで、測定用の細隙材を形成した。ビーズは、アクリルチューブ内で体積が変化しない状態となるまで充填された。その際、ガラスビーズの真比重と充填重量、占有体積から、ガラスビーズの充填率を求めた。
当該試料を下記条件により、X線CT分析を行い得た三次元の画像を、画像解析ソフトウエア(ラトックシステムエンジニアリング社製 製品名「3D骨梁構造計測ソフトTRI/3D−BON−FCS64」)を用いて解析した。
<X線CT分析条件>
X線CT分析装置: ヤマト科学社製 三次元計測 X線CT装置 TDM1000−II(2K)を用いて、表2に示す条件で、X線CT分析を実施した。撮影は、後述するように、いずれもアクリルチューブの壁面全体を含むように行った。X線CTデータは、図5(B)に示すような断面された三次元の画像データ(アクリルチューブが分子篩膜(10)に相当)として得られた。
<X線CTにより得られた画像の画像解析方法>
得られたX線CTデータを前記ラトックシステムエンジニアリング社製画像解析ソフトにて画像解析し、3次元細隙の隙間径が所定の長さ以上の細隙を抽出した。二値化して空隙と粒子の境を判定する際には、試料の空隙率と、画像処理した際の空隙率が合っていること、X線CT画像の細隙と、画像処理した細隙が合致していることにより、試料の細隙を適切に抽出できたと判断した。
また、310μmを超える空隙が存在する場合には、その連続空隙を抽出し、その三次元の連続する細隙全体を包含し得る最小の直方体を特定し、当該直方体の最長の対角線を、310μmを超える空隙の連続長として、測定した(図10)。なお、310μmを超える空隙が抽出されない場合、310μmを超える空隙はないものとした。
各試料について、細隙の最長隙間径、隙間径310μm超の細隙の有無、及び隙間径310μm超の細隙の連続長を測定した。測定結果を表3に示す。
本結果より、細隙の最長隙間径とビーズの平均粒子径とが、ほぼ同じ長さであることがわかる。また、隙間径310μm超の細隙の連続長は、ビーズNo.060でも、2mm以下の短さであることがわかる。
<2>消炎試験
ビーズの平均粒子径を変化させながら、消炎試験を行った。具体的には、図11に示すように、第1燃焼室、消炎素子、第2燃焼室からなる消炎試験設備を用いた。
常温、常圧の条件下、組成比29.5/70.5vol%の水素/空気混合ガスで充満した第1燃焼室内で、火炎を発生させ、消炎素子を通じて、第2燃焼室に火炎が伝播するか、伝播しないかを、温度及び圧力の変化から調べた。なお、水素/空気の組成比を29.5/70.5vol%とした理由は、水素/空気混合ガスの爆発圧力の最大値を示す組成比に、この組成比がほぼ該当するからである(Schroederら、International Conference on Hydrogen Safety Vol.120001, p1−12(2005)参照)。
消炎素子は、20μmのメッシュ金網で上下を塞いだΦ60mm、高さ35mmの容器に、ビーズを充填することで作製した。
各試料についての結果を表4に示す。火炎が伝播した(消炎されなかった)場合を「×」とし、火炎が伝播しなかった(消炎された)場合を「〇」とした。
本結果から、水素/空気の混合ガスでは、平均粒子径1653μmの充填剤の集合体を用いれば、消炎できることがわかる。また、消炎径の文献値(水素/空気:860μm、水素/酸素:310μm)を用いると、水素/酸素の混合ガスでは、平均粒子径約600μmの充填剤の集合体を用いれば、消炎できるものと考えられる。
<3>ガス分離評価
<水素分離体>
水素分離体として、CHA型ゼオライト膜が無機多孔質支持体外側に水熱合成により形成されたCHA型ゼオライト膜複合体を2種類用いた。
<多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1>
無機多孔質支持体として、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長さ80mm)を用い、多孔質アルミナ支持体側面に種結晶を担持した後、CHA型ゼオライトを直接水熱合成することにより多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1を作製した。
CHA型ゼオライト膜を多孔質アルミナ支持体上に合成するための、水熱合成用の反応混合物及び、多孔質アルミナ支持体に予め担持した種結晶は次のとおり調製し、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1を得た。
<水性反応混合物1の合成>
1mol/L−NaOH水溶液(キシダ化学社製)10.5g、1mol/L−KOH水溶液(キシダ化学社製)7.0g、脱塩水100.6gを混合したものに、水酸化アルミニウム(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えた後に、撹拌して、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」と称する。)水溶液(TMADAOH 25質量%含有、セイケム社製)2.36gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテックス40)10.5gを加えてから、2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
この水性反応混合物1の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.066/0.15/0.1/100/0.04、SiO/Al=15である。
セラミックス支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で水洗浄後、乾燥させたものを用いた。
<種結晶の合成方法>
CHA型ゼオライト膜複合体1を作製する際に用いた種結晶1は、Si源を日揮触媒化成社のカタロイドSI−30として、ゲル組成(モル比)SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.033/0.1/0.06/20/0.07に、種結晶としてSSZ−13粒子を、前記SiO成分に対し、2質量%を加え、160℃、2日間水熱合成して結晶化させたものを濾過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。
この種結晶を約0.3質量%水中に分散させたスラリーに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は約0.7g/mであった。
<多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1の合成方法>
種結晶を付着させた支持体を、上記水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬して、オートクレーブを密閉し、180℃で18時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
この膜複合体を、空気中、電気炉で、500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量との差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は124g/mであった。
この円筒管状のゼオライト膜複合体の一端を封止し、他の一端を5kPa(絶対圧)の真空ラインに接続して、管内を減圧とし、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで流れる空気の透過量を測定したところ、17L/(m・h)であった。
<多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体2>
無機多孔質支持体として、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長さ80mm)を用い、多孔質アルミナ支持体側面に種結晶を担持した後、CHA型ゼオライトを直接水熱合成することにより多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体2を作製した。
CHA型ゼオライト膜を多孔質アルミナ支持体上に合成するための、水熱合成用の反応混合物及び、多孔質アルミナ支持体に予め担持した種結晶は次のとおり調製し、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体2を得た。
<水性反応混合物2の合成>
1mol/L−NaOH水溶液(キシダ化学社製)1.4g、1mol/L−KOH水溶液(キシダ化学社製)5.8g、脱塩水114gを混合したものに、水酸化アルミニウム(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.20gを加えた後に、撹拌して、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、TMADAOH水溶液(TMADAOH 25質量%含有、セイケム社製)2.4gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテックス40)10.8gを加えてから、1時間撹拌し、水性反応混合物とした。
この水性反応混合物2の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.014/0.02/0.08/100/0.04、SiO/Al=70である。
セラミックス支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機にて水洗浄後、乾燥させたものを用いた。
種結晶として、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.033/0.1/0.06/40/0.07のゲル組成(モル比)で、160℃、2日間水熱合成して結晶化させた後に、濾過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。
この種結晶を約1質量%水中に分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、140℃で1時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は約1g/mであった。
<多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体2の合成方法>
種結晶を付着させた支持体を、上記水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬して、オートクレーブを密閉し、180℃で18時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、120℃で1時間以上乾燥させた。
この膜複合体を、空気中、ヤマト科学社製電気炉で、500℃、14時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の質量と支持体との質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は80g/mであった。
この円筒管状のゼオライト膜複合体の一端を封止し、他の一端を5kPa(絶対圧)の真空ラインに接続して、管内を減圧とし、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで流れる空気の透過量を測定したところ、6L/(m・h)であった。
<ガス分離評価方法>
下記に示す圧力は特に断りのない限り、絶対圧を指す。圧力単位の後に(G)がついている場合はゲージ圧力を示す。また、流量は標準状態(0℃、0.1013MPa)基準の流量を指す。
図2に示す分離膜モジュール装置を用いて、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体の内部にマスフローコントローラーを用いて一定量のガスを供給するとともに、供給ガス下流に設置した背圧弁により、供給ガスの圧力を調整し、80℃又は100℃で、ガス分離評価を行った。透過側は大気圧解放とし、マスフローメーター(ブルックスインスツルメント社製)で流量を測定した。
混合ガスを評価する場合は、供給ガス側は、2種類のマスフローコントローラー(ブルックスインスツルメント社製)を用いて、水素/窒素の流量比が2/1になるように、水素と窒素を混合したガスを供給ガスとした。透過ガスの成分は、ガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社製)により成分比を求めた。ガスの成分比、マスフローメーターの示す数値及び各ガスのコンバージョンファクターから、混合ガスのコンバージョンファクターを求め、透過ガス中の混合ガスの各ガス透過量を算出した。
なお、本明細書の実施例では、酸素と窒素との間では、コンバージョンファクターがほとんど変わらないこと(酸素:0.99、窒素:1.00)、及び動的分子径もほとんど変わらないこと(酸素:0.35nm、窒素:0.36nm)から、水素及び酸素を含む混合ガスに代わり、水素及び窒素を含む混合ガスを用いた。
評価に先だって、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体の水分を除去するために、前処理として、100℃で、二酸化炭素を135ml/min、0.15MPa(G)にて供給し、透過側を大気圧解放とし、二酸化炭素の透過量が一定になるまで、一時間以上の乾燥を行った。
また、供給ガスの種類や条件を変えた場合にはガスの透過量が一定になるまで、少なくとも5分以上待ち、透過量が安定したことを確認したのちに測定を行った。
平均粒子径を測定した際に用いたビーズNo.0.07(平均粒子径72μm)、No.020(平均粒子径203μm)、FGB#60(平均粒子径313μm)No.0.40(平均粒子径437μm)、No.0.60(平均粒子径617μm)、No.0.80(平均粒子径903μm)、及びNo.1(平均粒子径1172μm)をそれぞれ多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1又は2の内側に充填し、細隙材を形成した。
実施例1〜9、及び参考例1、2の場合は、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1の内側に充填したビーズの集合体からなる細隙材内に、水素ガスまたは窒素ガスを単独で供給(供給ガス組成としてシングルガスと表記)し、細隙材内の供給ガスの圧力を0.05MPa(G)、透過ガスを大気圧解放として、細隙材内と分子篩膜外との差圧を0.05MPaとし、供給ガス流量(標準状態:0℃ 0.1013MPa換算)100又は200mL/minにて、100℃における各ガスのパーミエンス及び、細隙材通過前後の圧力損失を測定した。結果を表5に示す。
実施例10〜14、及び参考例3の場合は、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体1の内側に充填したビーズの集合体からなる細隙材内に、水素/窒素=2/1混合ガスを供給(供給ガス組成としてH/N=2/1混合ガスと表記)し、細隙材内のガスの圧力を0.05MPa(G)とし、透過ガスを大気圧解放として、細隙材内と分子篩膜外との差圧を0.05MPaとし、供給ガス流量(標準状態:0℃ 0.1013MPa換算、混合ガスの流量として表示)にて、100mL/minにて、100℃における各ガスのパーミエンス及び細隙材通過前後の圧力損失を評価した。結果を表6に示す。
実施例15〜19、及び参考例4の場合は、多孔質アルミナ支持体−CHA型ゼオライト膜複合体2の内側に充填したビーズの集合体からなる細隙材内に、水素/窒素=2/1混合ガスを供給(供給ガス組成としてH/N=2/1混合ガスと表記)し、細隙材内のガスの圧力を0.05MPa(G)とし、透過ガスを大気圧解放として、細隙材内と分子篩膜外との差圧を0.05MPaとし、供給ガス流量(標準状態:0℃ 0.1013MPa換算、混合ガスの流量として表示)にて、100mL/minにて、80℃における各ガスのパーミエンス及び細隙材通過前後の圧力損失を評価した。結果を表7に示す。
また、比較のため、充填剤を充填しない場合(比較例1〜3)についても、同様に評価した。具体的には、比較例1については、水素ガスまたは窒素ガスを単独で供給し、比較例2、3については、水素/窒素=2/1混合ガスを供給し評価した。結果を表5〜7に示す。
なお、圧力損失の測定機器の振れ幅が±0.3kPa程度観察されるため、圧力損失の計測器がマイナスの数値を示した場合は0と記載した。
表5〜7の結果が示すように、ガラスビーズを充填した場合(実施例1〜19及び参考例1〜4)と、ビーズを充填しなかった場合(比較例1〜3)との間に、水素と窒素のパーミエンス、パーミエンス比(シングルガスのパーミエンス比は、理想分離係数)の違いは、ほとんどなかった。これは、充填剤の集合体からなる細隙材を用いても、分子篩膜のガス透過・分離挙動に悪影響を与えないことを示している。
また、表5の結果が示すように、供給ガス流速200mL/minのガス流量の場合(実施例2、4、6、8)、100mL/minのガス流量の場合(実施例1、3、5、7)との間に、水素と窒素のパーミエンス、パーミエンス比(シングルガスのパーミエンス比は、理想分離係数)の違いは、ほとんどなかった。ガス流速が、分子篩膜のガス透過・分離挙動に悪影響を与えないことを示している。
一方、表5〜7の結果が示すように、細隙材通過前後の圧力損失は、ビーズの平均粒子径、つまりは細隙の最長隙間径の値に依存することがわかる。
例えば、表6の結果のように、平均粒子径600μm以上のビーズを充填した場合(実施例13、14、参考例3)であれば、ビーズを充填しなかった場合(比較例2)と同様に、圧力損失が発生しないことがわかる。
また、表7の結果のように、よりガス透過能の高いゼオライト膜複合体を用いた場合には、平均粒子径210μm以上のビーズを充填した場合(実施例16〜19、参考例4)であれば、ビーズを充填しなかった場合(比較例3)と同様に、圧力損失が発生しないことがわかる。
また、表5の結果のように、平均粒子径80μm以下と210μm以下のビーズを充填した場合(実施例1、参考例1)では、発生した圧力損失の大きさにも差があることがわかる。
また、表5の結果のように、供給ガス流速を2倍にすると、圧力損失が大きくなることがわかる(実施例1〜8)。表6の結果同様に、平均粒子径600μm以上のビーズと600μm未満のビーズを充填した場合では、発生した圧力損失の大きさにも差があることもわかる。
以上のように、分子篩膜のガス透過・分離挙動とは異なり、圧力損失の観点では、充填剤の平均粒子径が影響を与えていることがわかり、80μm、210μm、600μmの値が、各々境目の値であることが示唆される。
圧力損失の結果及び消炎試験の結果を合わせると、水素及び空気の混合ガスでは、平均粒子径80μm以上1700μm以下の充填剤の集合体を細隙材に用いれば、水素を一層効率的に分離可能であり、かつ爆発をより適切に防止可能であることが示唆される。また、水素及び酸素の混合ガスでは、平均粒子径80μm以上600μm以下の充填剤の集合体を細隙材に用いれば、水素を一層効率的に分離可能であり、かつ爆発をより適切に防止可能であることが示唆される。
以上のことから、混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材と、を備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなることを特徴とする水素分離装置を用いることで、水素が効率的に分離可能であり、かつ爆発が防止可能できることがわかる。
本発明は、例えば光触媒による水分解反応プロセスにおいて、水素を含む混合ガスから水素を安全に分離する技術として利用可能である。
1 導入口
2 回収口
3 排出口
10 分子篩膜
11 外壁材
12 外装体
20 細隙材
30 無機多孔質基材
50 水素分離体

Claims (11)

  1. 混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材と、を備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなることを特徴とする水素分離装置。
  2. 前記細隙材の細隙が最長隙間径1700μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水素分離装置。
  3. 前記細隙材の細隙が最長隙間径600μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水素分離装置。
  4. 前記細隙材の細隙が最長隙間径310μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水素分離装置。
  5. 前記分子篩膜と前記細隙材との間に、無機多孔質基材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素分離装置。
  6. 前記無機多孔質基材がアルミナ質であることを特徴とする請求項5に記載の水素分離装置。
  7. 前記充填剤の平均粒子径が80μm以上1700μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の水素分離装置。
  8. 前記分子篩膜が、ゼオライト膜、シリカ膜、及び炭素膜のいずれか、又はこれらの組合せであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水素分離装置。
  9. 前記ゼオライト膜の細孔を形成する結晶ゼオライトの骨格が酸素8員環以下の環であることを特徴とする請求項8に記載の水素分離装置。
  10. 前記ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の水素分離装置。
  11. 混合ガスから水素を分離する分子篩膜と、前記分子篩膜によって区画された空間内に配置されているか、又は前記分子篩膜の外側を覆って配置されている、複数の細隙を有する細隙材とを備え、前記細隙材は、充填剤の集合体からなる水素分離装置の前記細隙材に混合ガスを供給する第1ステップと、前記第1ステップにおいて供給した前記混合ガスから水素を分離する第2ステップと、を備えることを特徴とする水素分離方法。
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