JP2020006312A - 触媒材料の組成の決定方法、触媒材料の製造方法、判定装置、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

触媒材料の組成の決定方法、触媒材料の製造方法、判定装置、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】低温において触媒活性が高い触媒材料を開発することを容易にする触媒材料の組成の決定方法等を提供すること。【解決手段】触媒材料の組成の決定方法である。母材元素、第1ガス、及び第2ガスを決定する。ドープ元素に対する少なくとも1つの候補について、以下のE1及びE2を算出する。以下のE3及びE4を算出する。以下の条件1及び条件2を充足する候補をドープ元素に決定する。E1:触媒材料と第1ガスとの吸着エネルギー。E2:触媒材料と第2ガスとの吸着エネルギー。E3:母材元素と第1ガスとの吸着エネルギー。E4:母材元素と第2ガスとの吸着エネルギー。条件1:|E1−E2|<|E3−E4|。条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。【選択図】図3

Description

本開示は、触媒材料の組成の決定方法、触媒材料の製造方法、判定装置、プログラム、及び記録媒体に関する。
ガスの化学反応を促進する触媒活性を有する触媒材料として、貴金属単体、又は2種以上の貴金属の合金が用いられている。触媒材料は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
特許第2541530号公報 特開2008−43943号公報
内燃機関が排出する排気ガス中の酸素濃度を検出するためにガスセンサが使用される。ガスセンサの検知電極は触媒材料を含む。触媒材料の触媒活性が低温において不十分であると、触媒材料の温度が低いとき、ガスセンサの出力が排気ガス中の酸素濃度の変化に追従できなくなる。そのため、低温において触媒活性が高い触媒材料を開発する必要がある。
低温において触媒活性が高い触媒材料を開発する方法として、触媒材料の主成分である母材元素に様々なドープ元素を加えて試作品を作成し、試作品の触媒活性を実験で確認するプロセスを繰り返す方法が考えられる。しかしながら、母材元素とドープ元素との組み合わせは多数存在するので、低温において触媒活性が高い触媒材料を上記の方法で開発することは容易ではない。
本開示の一局面は、低温において触媒活性が高い触媒材料を開発することを容易にする触媒材料の組成の決定方法、触媒材料の製造方法、判定装置、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
本開示の一局面は、母材元素及びドープ元素を含む触媒材料であって、第1ガスと第2ガスとの反応を促進する触媒材料の組成の決定方法であって、前記母材元素、前記第1ガス、及び前記第2ガスを決定し、前記ドープ元素に対する少なくとも1つの候補について、以下のE1及びE2を算出し、以下のE3及びE4を算出し、以下の条件1及び条件2を充足する前記候補を、前記ドープ元素に決定する触媒材料の組成の決定方法である。
E1:前記母材元素及び前記候補を含む触媒材料と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
E2:前記母材元素及び前記候補を含む触媒材料と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
E3:前記母材元素と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
E4:前記母材元素と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
条件1:|E1−E2|<|E3−E4|
条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。
本開示の一局面である触媒材料の組成の決定方法を用いれば、低温において触媒活性が高い触媒材料の組成を容易に得ることができる。
本開示の別の局面は、触媒材料の組成の判定装置であって、前記触媒材料に含まれる母材元素及びドープ元素、並びに、前記触媒材料が促進する反応の原料である第1ガス及び第2ガスを特定するように構成された特定ユニットと、以下のE1〜E4を算出するように構成された算出ユニットと、以下の条件1及び条件2が充足されるか否かを判定するように構成された判定ユニットと、を備える判定装置である。
E1:前記母材元素及び前記ドープ元素を含む触媒材料と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
E2:前記母材元素及び前記ドープ元素を含む触媒材料と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
E3:前記母材元素と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
E4:前記母材元素と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
条件1:|E1−E2|<|E3−E4|
条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。
本開示の別の局面である判定装置を用いれば、低温において触媒活性が高い触媒材料の組成を容易に得ることができる。
判定システム1の構成を表すブロック図である。 判定装置3の機能的構成を表すブロック図である。 判定装置3が実行する判定処理を表すフローチャートである。 図4Aは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)である場合のモデルを表す斜視図であり、図4Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図4Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 図5Aは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbであり、表面における結晶面が(110)である場合のモデルを表す斜視図であり、図5Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図5Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 図6Aは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)であり、表面にCOが吸着したモデルを表す斜視図であり、図6Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図6Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 図7Aは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)であり、表面にOが吸着したモデルを表す斜視図であり、図7Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図7Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 図8Aは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbであり、表面における結晶面が(110)であり、表面にCOが吸着したモデルを表す斜視図であり、図8Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図8Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 図9Aは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbであり、表面における結晶面が(110)であり、表面にOが吸着したモデルを表す斜視図であり、図9Bは、そのモデルを表すzx平面での平面図であり、図9Cは、そのモデルを表すxy平面での平面図である。 ガスセンサを縦軸O方向に破断した状態を表す説明図である。 ガスセンサ素子の外観を表す正面図である。 ガスセンサ素子の構成を表す断面図である。 図12に示すガスセンサ素子のうち点線で囲まれた領域D1を拡大した拡大断面図である。 触媒材料がドープ元素を含まないガスセンサと、触媒材料がドープ元素としてZnを含むガスセンサと、触媒材料がドープ元素としてSnを含むガスセンサとについて、リッチ状態とリーン状態とを交互に繰り返したときの起電力を表すグラフである。 触媒材料がドープ元素としてPbを含むガスセンサと、触媒材料がドープ元素としてGeを含むガスセンサとについて、リッチ状態とリーン状態とを交互に繰り返したときの起電力を表すグラフである。
本開示の例示的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.判定システム1の構成
判定システム1は、触媒材料の組成が後述する条件1及び条件2を充足するか否かを判定するシステムである。触媒材料は母材元素及びドープ元素を含む。触媒材料は第1ガスと第2ガスとの反応を促進する。触媒材料は、例えば、ガスセンサ電極用触媒材料である。
判定システム1の構成を図1及び図2に基づき説明する。判定システム1は、判定装置3と、入力部5と、表示部7と、を備える。
判定装置3は、CPU109と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ111とする)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。判定装置3の各種機能は、CPU109が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ111が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。すなわち、プログラムが、判定装置3としてマイクロコンピュータを機能させる。なお、判定装置3を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
判定装置3は、CPU109がプログラムを実行することで実現される機能の構成として、図2に示すように、特定ユニット113と、算出ユニット115と、判定ユニット117と、出力ユニット119と、を備える。判定装置3が有する機能の一部又は全部は、一つ又は複数のIC等を用いてハードウェア的に実現されてもよい。また、判定装置3は、コンピュータに代えて、又は、コンピュータに加えて、電子回路等のハードウェアを有していてもよい。電子回路は、デジタル回路及びアナログ回路のうち少なくとも一方を含み得る。
入力部5は、ユーザが入力する情報を受け付ける。情報の内容として、母材元素の種類、ドープ元素の種類、第1ガスの種類、第2ガスの種類、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、触媒材料の表面における結晶面等が挙げられる。表示部7は、判定装置3が出力する判定結果を画像として表示する。
2.判定装置3が実行する判定処理
判定装置3が実行する判定処理を図3〜図9に基づき説明する。図3のステップ1では、特定ユニット113が、入力部5から情報を取得する。情報は、ユーザが入力部5に入力したものである。情報の内容は上述したとおりである。
ステップ2では、特定ユニット113が、前記ステップ1で取得した情報に基づき、母材元素の種類、ドープ元素の種類、第1ガスの種類、第2ガスの種類、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、触媒材料の表面における結晶面等を特定する。
母材元素として、例えば、Pt、Au、Ir、Ag、Pd、Rh等が挙げられる。ドープ元素として、例えば、Pb、Zn、Bi、Ge等が挙げられる。第1ガス又は第2ガスとして、例えば、O、CO、CO、H、NO、炭化水素等が挙げられる。
ステップ3では、算出ユニット115が、前記ステップ2で特定した事項に基づき、以下のE1〜E4を算出する。
E1:母材元素及びドープ元素を含む触媒材料と、第1ガスとの吸着エネルギー
E2:母材元素及びドープ元素を含む触媒材料と、第2ガスとの吸着エネルギー
E3:母材元素と、第1ガスとの吸着エネルギー
E4:母材元素と、第2ガスとの吸着エネルギー
E1とは、E1xからE1yを差し引いたエネルギーである。E1xとは、母材元素及びドープ元素を含む触媒材料に第1ガスが吸着した状態のエネルギーである。E1yとは、母材元素及びドープ元素を含む触媒材料単体のエネルギーと、第1ガス単体のエネルギーとの和である。
E2とは、E2xからE2yを差し引いたエネルギーである。E2xとは、母材元素及びドープ元素を含む触媒材料に第2ガスが吸着した状態のエネルギーである。E2yとは、母材元素及びドープ元素を含む触媒材料単体のエネルギーと、第2ガス単体のエネルギーとの和である。
E3とは、E3xからE3yを差し引いたエネルギーである。E3xとは、ドープ元素を含まない触媒材料に第1ガスが吸着した状態のエネルギーである。E3yとは、ドープ元素を含まない触媒材料単体のエネルギーと、第1ガス単体のエネルギーとの和である。
E4とは、E4xからE4yを差し引いたエネルギーである。E4xとは、ドープ元素を含まない触媒材料に第2ガスが吸着した状態のエネルギーである。E4yとは、ドープ元素を含まない触媒材料単体のエネルギーと、第2ガス単体のエネルギーとの和である。
算出ユニット115は、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶のシミュレーションモデルを用いてE1及びE2を算出する。また、算出ユニット115は、母材元素で構成される単結晶のシミュレーションモデルを用いてE3及びE4を算出する。
E1〜E4の算出に用いる母材元素の種類、ドープ元素の種類、第1ガスの種類、第2ガスの種類、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、触媒材料の表面における結晶面は、前記ステップ2で特定したものである。
より詳しくは、算出ユニット115は、第1原理計算により、E1〜E4を算出する。第一原理計算とは、量子力学を使用し、エネルギーと電子密度の存在確率とを含む微分方程式を解く計算方法である。第一原理計算を行う方法として、例えば、(株)ダッソー・システムズ・バイオビアの「Dmol3」を用い、相対的全電子近似で計算する方法がある。
第一原理計算で使用する関数は、例えば、一般勾配近似(GGA)の汎関数の1種であるPBEである。また、第一原理計算では、例えば、構造最適化計算を用いることができる。構造最適化計算とは、モデルのエネルギーを求め、エネルギーの勾配により、より安定な方向に原子や電子を移動させる事を何度も繰り返す計算である。
図4A〜図4Cに、E3及びE4の算出に使用する、母材元素で構成される単結晶の表面モデルの例を示す。この表面モデルは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)である場合のモデルである。
図5A〜図5Cに、E1及びE2の算出に使用する、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の表面モデルの例を示す。この表面モデルは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbである場合のモデルである。また、この表面モデルは、表面における結晶面が(110)である場合のモデルである。
図6A〜図6Cに、E3又はE4の算出に使用する、母材元素で構成される単結晶の表面にCOが吸着した状態のモデルの例を示す。このモデルは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)である場合のモデルである。
図7A〜図7Cに、E3又はE4の算出に使用する、母材元素で構成される単結晶の表面にOが吸着した状態のモデルの例を示す。このモデルは、母材元素がPtであり、表面における結晶面が(111)である場合のモデルである。
図8A〜図8Cに、E1又はE2の算出に使用する、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の表面にCOが吸着した状態のモデルの例を示す。このモデルは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbである場合のモデルである。また、このモデルは、表面における結晶面が(110)である場合のモデルである。
図9A〜図9Cに、E1又はE2の算出に使用する、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の表面にOが吸着した状態のモデルの例を示す。このモデルは、母材元素がPtであり、ドープ元素がPbである場合のモデルである。また、このモデルは、表面における結晶面が(110)である場合のモデルである。
母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、及び触媒材料の表面における結晶面として、例えば、表1に示すものがある。
上記表1の「Pt」の行に、Ptの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「Pb」の行に、Pbの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「Zn」の行に、Znの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「Bi」の行に、Biの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「Ge」の行に、Geの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「Sn」の行に、Snの単結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。
上記表1の「PtPb」の行に、Pt及びPbを含む合金結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「PtZn」の行に、Pt及びZnを含む合金結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「PtBi」の行に、Pt及びBiを含む合金結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。上記表1の「PtSn」の行に、Pt及びSnを含む合金結晶の結晶構造及び表面の結晶面を示す。Ptは母材元素に対応する。他の元素はドープ元素に対応する。
図3に戻り、ステップ4では、前記ステップ3で算出したE1〜E4が、以下の条件1及び条件2を充足するか否かを判定ユニット117が判定する。
条件1:|E1−E2|<|E3−E4|
条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。
ステップ5では、出力ユニット119が、前記ステップ4の判定結果を表示部7に出力する。表示部7は判定結果を表示する。判定結果の表示内容として、例えば、「条件1及び条件2を充足する」、「条件1は充足するが条件2は充足しない」、「条件2は充足するが条件1は充足しない」、「条件1及び条件2を充足しない」等が挙げられる。
3.触媒材料の組成の決定方法
判定システム1を用いて、以下のように、触媒材料の組成を決定する。
(i)まず、母材元素、第1ガス、及び第2ガスを決定する。
(ii)次に、ドープ元素の候補(以下では候補とする)を決定する。
(iii)次に、前記(i)、(ii)のように決定した母材元素、第1ガス、第2ガス、及び候補に関する情報を入力部5に入力する。情報の内容には、母材元素の種類、第1ガスの種類、第2ガスの種類、候補の種類、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、触媒材料の表面における結晶面等が含まれる。判定装置3は、上述した判定処理により、条件1及び条件2を充足するか否かを判定する。表示部7は判定結果を表示する。
(iv)前記(ii)及び前記(iii)を繰り返し実行する。前記(ii)で決定する候補の種類は、前記(ii)を実行するごとに異なる。前記(ii)及び前記(iii)を繰り返し実行することにより、判定装置3は、複数の候補のそれぞれについて、E1及びE2を算出する。また、判定装置3は、複数の候補のそれぞれについて、条件1及び条件2を充足するか否かを判断する。
(v)次に、条件1及び条件2を充足すると判定装置3が判定したときの候補を選択する。条件1及び条件2を充足する候補が複数存在する場合、条件1及び条件2を充足する候補のうち、|E1−E2|が最小である候補を選択する。
|E1−E2|が最小である候補を含む触媒材料を用いると、触媒材料に対する第1ガスの吸着のし易さと、第2ガスの吸着のし易さとの差が小さくなる。そのため、|E1−E2|が最小である候補を含む触媒材料を備えるガスセンサは、検出対象であるガスの濃度変化に追従し易くなる。
条件1及び条件2を充足し、さらに|E1−E2|が最小である候補が複数存在する場合は、条件1及び条件2を充足し、さらに|E1−E2|が最小である候補のうち、E1及びE2のうち小さい方(以下ではmin(E1、E2)とする)が最小である候補を選択する。
min(E1、E2)が最小である候補を含む触媒材料を用いると、触媒材料にガスが吸着し易くなり、触媒反応が進行し易くなる。後述する表2に示す触媒材料のうち、|E1−E2|が最小である候補を含む触媒材料は、PtPb、PtGeである。よって、PtPb、PtGeは触媒材料として好ましい。PtPb、PtGeのうち、min(E1、E2)が最小である候補を含む触媒材料は、PtPbである。よって、PtPbは触媒材料としてさらに好ましい。
(vi)前記(v)で選択した候補を、触媒材料に含まれるドープ元素に決定する。また、前記(i)で決定した母材元素を、触媒材料の母材元素とする。
4.触媒材料の製造方法
まず、前記「3.触媒材料の組成の決定方法」により、母材元素及びドープ元素を決定する。次に、決定した母材及びドープ元素を含む原料を用意する。次に、用意した原料を用いて、公知の方法で触媒材料を製造する。製造する触媒材料は、例えば、低温において触媒活性が高いガスセンサ電極用触媒材料である。
5.実施例
(5−1)触媒材料の組成の決定
判定システム1を用い、判定処理を行った。母材元素はPtである。ドープ元素は、Pb、Zn、Bi、Ge、及びSnのうちのいずれか1種である。第1ガスはCOである。第2ガスはOである。判定処理の結果を表2に示す。
上記表2には、判定処理で使用したシミュレーションモデルにおける表面の結晶面も示す。また、上記表2には、判定処理において算出したCOの吸着エネルギーも示す。COの吸着エネルギーは、触媒材料の組成がPtである場合はE3に対応し、触媒材料の組成がその他である場合はE1に対応する。また、上記表2には、判定処理において算出したOの吸着エネルギーも示す。Oの吸着エネルギーは、触媒材料の組成がPtである場合はE4に対応し、触媒材料の組成がその他である場合はE2に対応する。
また、上記表2には、判定処理において算出した吸着エネルギー差の絶対値も示す。吸着エネルギー差とは、COの吸着エネルギーから、Oの吸着エネルギーを差し引いた値である。吸着エネルギー差の絶対値は、触媒材料の組成がPtである場合は|E3−E4|に対応し、触媒材料の組成がその他である場合は|E1−E2|に対応する。
上記表2に示すように、ドープ元素がPb、Zn、Bi、及びGeである場合は、条件1及び条件2が充足された。この判定処理の結果に基づき、触媒材料の組成を、PtPb、PtZn、PtBi、PtGeに決定した。
(5−2)ガスセンサ101の構成
ガスセンサ101の全体構成を図10〜図12に基づき説明する。ガスセンサ101は、後述するように、外側電極27を備える。外側電極27は、上記のように決定した組成の触媒材料を含む。外側電極27はガスセンサ電極に対応する。外側電極27が含む触媒材料は、ガスセンサ電極用触媒材料に対応する。
図10に示すように、ガスセンサ101は、ガスセンサ素子103、セパレータ105、閉塞部材107、端子金具9、リード線11、主体金具13、プロテクタ15、及び外筒16を備える。外筒16は、内側外筒17及び外側外筒19を備える。なお、図10では、図面下方向がガスセンサ101の先端側であり、図面上方向がガスセンサ101の後端側である。
ガスセンサ101は、いわゆるヒータレスのセンサである。ヒータレスのセンサとは、ガスセンサ素子103を加熱するためのヒータを備えていないセンサである。ガスセンサ101は、排気ガスの熱を利用してガスセンサ素子103を活性化して酸素濃度を検出するセンサである。
ガスセンサ素子103は、先端部25が閉塞された有底筒型形状を有する。ガスセンサ素子103は、軸線O方向に延びる円筒状の素子本体21を有する。この素子本体21の外周に、径方向外向きに突出した素子鍔部23が周設されている。
素子本体21は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体からなる。素子本体21を構成する固体電解質体は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。素子本体21を構成する固体電解質体は、他の固体電解質体であってもよい。例えば、素子本体21を構成する固体電解質体は、「アルカリ土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」、又は「希土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」であってもよい。
図11、図12に示すように、ガスセンサ素子103は、その先端部25に外側電極27を備える。外側電極27は、素子本体21の外周面に形成されている。外側電極27は、多孔質状の保護層31で覆われている。このため、図11では、保護層31は図示されるが、外側電極27は図示されていない。保護層31の厚さは50〜150μmである。保護層31はマグネシウムアルミネートのスピネル粉末から成る。
図11、図12に示すように、素子鍔部23の先端側(図11、図12における下方)に、Pt等で形成された環状の環状リード部28が形成されている。素子本体21の外周面のうち、外側電極27と環状リード部28との間に、Pt等で形成された縦リード部29が軸線方向に延びるように形成されている。縦リード部29は、外側電極27と環状リード部28とを電気的に接続している。
ガスセンサ素子103における素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、Pt又はPt合金を多孔質に形成したものである。
ガスセンサ素子103の先端部25において、保護層31を介して外側電極27が測定対象ガスに晒され、内側電極30が基準ガスに晒される。基準ガスは大気である。外側電極27と内側電極30との間に、測定対象ガス中の酸素濃度に応じた起電力が発生する。そのため、ガスセンサ101は測定対象ガス中の酸素濃度を検出することができる。
セパレータ105は、電気絶縁性を有する材料で形成された円筒形状の部材である。電気絶縁性を有する材料として、例えばアルミナ等が挙げられる。図10に示すように、セパレータ105は、その軸中心に、リード線11が貫挿される貫通孔35を備える。セパレータ105と、その外周側を覆う内側外筒17との間に空隙18が設けられている。
閉塞部材107は、電気絶縁性を有する材料で形成された円筒形状のシール部材である。電気絶縁性を有する材料として、例えばフッ素ゴム等が挙げられる。図10に示すように、閉塞部材107は、径方向外向きに突出する突出部36をその後端に備える。閉塞部材107は、その軸中心にリード線挿通孔37を備えている。リード線挿通孔37にはリード線11が挿通される。閉塞部材107の先端面95は、セパレータ105の後端面97に密着している。閉塞部材107のうち突出部36よりも先端側の側方外周面98は、内側外筒17の内面に密着している。すなわち、閉塞部材107は、外筒16の後端側を閉塞している。
閉塞部材107の後端向き面99は、外側外筒19の縮径部19gにおける先端向き面19aとの間で、リード線保護部材89の鍔部89bを挟持する。
縮径部19gは、閉塞部材107よりも後端側にて、径方向内側に延びている。縮径部19gにおける先端向き面19aは、ガスセンサ101の先端側に向く面である。縮径部19gの中央領域には、リード線11及びリード線保護部材89を挿通するためのリード線挿通部19cが形成されている。
リード線保護部材89は、リード線11を収容可能な内径寸法を有する筒状部材である。リード線保護部材89は、可撓性、耐熱性及び絶縁性を有する材料で構成されている。可撓性、耐熱性及び絶縁性を有する材料として、例えば、ガラスチューブや樹脂チューブ等が挙げられる。リード線保護部材89は、リード線11を外部からの飛来物から保護する機能を有する。飛来物として、例えば石や水等が挙げられる。
図10に示すように、リード線保護部材89は、その先端側端部89aに鍔部89bを備える。鍔部89bは、軸線方向の垂直方向における外向きに突出する板状の部材である。鍔部89bは、リード線保護部材89の周方向の一部ではなく、全周にわたり形成されている。
リード線保護部材89の鍔部89bは、外筒16(詳細には、外側外筒19)の縮径部19gにおける先端向き面19aと、閉塞部材107の後端向き面99との間に挟持される。
端子金具9は、導電性材料で構成される筒状部材である。導電性材料として、例えば、インコネル750(英インコネル社、商標名)等が挙げられる。端子金具9は、センサ出力を外部に取り出す機能を有する。
図10に示すように、端子金具9は、リード線11に電気的に接続される。また、端子金具9は、ガスセンサ素子103の内側電極30に電気的に接触する。端子金具9は、その後端側に径方向の外向きに突出するフランジ部77を備えている。径方向とは、軸線方向と垂直の方向を意味する。フランジ部77は、径方向の3箇所に等間隔で板状のフランジ片75を備えている。図10に示すように、リード線11は、芯線65と、その芯線65の外周を覆う被覆部67と、を備える。
主体金具13は、金属材料で形成された円筒状の部材である。金属材料として、例えば、鉄、SUS430等が挙げられる。主体金具13は、プロテクタ15及び外筒16とともに、ガスセンサ素子103、セパレータ105、及び閉塞部材107の周囲を覆う。主体金具13の内周面には、径方向内側に向かって張り出した段部39が周設されている。段部39は、ガスセンサ素子103の素子鍔部23を支持する。
主体金具13のうち先端側の外周面には、ガスセンサ101を排気管に取付けるためのネジ部41が形成されている。主体金具13のうちネジ部41の後端側には、ガスセンサ101を排気管に着脱する際に取付工具を係合させる六角部43が形成されている。さらに、主体金具13のうち六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。
プロテクタ15は、金属材料で形成されている。金属材料として、例えばSUS310S等が挙げられる。プロテクタ15は、ガスセンサ素子103の先端側を覆う保護部材である。プロテクタ15は、その後端縁が、パッキン88を介して、ガスセンサ素子103の素子鍔部23と主体金具13の段部39との間に挟まれるようにして固定されている。
図10に示すように、ガスセンサ素子103の素子鍔部23の後端側領域においては、主体金具13とガスセンサ素子103との間に、先端側から後端側にかけて、滑石で形成されたセラミック粉末47と、アルミナで形成されたセラミックスリーブ49と、が配置されている。
また、図10に示すように、主体金具13の筒状部45における後端部51の内側には、金属材料で形成された金属リング53と、金属材料で形成された内側外筒17の先端部55と、が配置されている。金属リング53を形成する金属材料として、例えばSUS430等が挙げられる。内側外筒17を形成する金属材料として、例えばSUS304L等が挙げられる。
内側外筒17の先端部55は、径方向外向きに広がる形状に形成されている。つまり、筒状部45の後端部51が加締められることで、内側外筒17の先端部55が、金属リング53を介して筒状部45の後端部51とセラミックスリーブ49との間に挟持されて、内側外筒17が主体金具13に固定される。
また、図10に示すように、内側外筒17の外周に、樹脂材料で形成された筒状のフィルタ57が配置されている。樹脂材料として、例えばPTFE等が挙げられる。さらに、フィルタ57の外周に、例えばSUS304L等で形成された外側外筒19が配置されている。フィルタ57は、通気は可能であるが水分の侵入は抑制できるものである。
そして、外側外筒19の加締め部19bが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17とフィルタ57と外側外筒19とが一体に固定される。また、外側外筒19の加締め部19hが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17と外側外筒19とが一体に固定され、閉塞部材107の側方外周面98が、内側外筒17の内面に密着する。
なお、内側外筒17および外側外筒19は、それぞれ通気孔59、61を備えている。通気孔59、61及びフィルタ57を介して、ガスセンサ101の内部と外部との通気が可能である。
次に、ガスセンサ素子103の構成を、図12及び図13に基づき説明する。ガスセンサ素子103は、上述の通り、素子本体21と、外側電極27と、環状リード部28と、縦リード部29、内側電極30と、保護層31と、を備えている。
図12は、ガスセンサ素子103の構成を示す断面図である。図13は、図12に示すガスセンサ素子103のうち点線で囲まれた領域D1を拡大して示す拡大断面図である。
ガスセンサ素子103の先端部25においては、外側電極27及び内側電極30が素子本体21を挟み込むように配置されている。外側電極27は触媒材料から成る。触媒材料は、母材元素とドープ元素とを含む。母材元素はPtである。ドープ元素として、表3に示す4種類がある。表3においてドープ元素が「無し」と記載されている場合の触媒材料は、ドープ元素を含まない。図13におけるMはドープ元素を表す。
保護層31は、外側電極27を覆うように形成されている。
次に、ガスセンサ素子103の製造方法を説明する。まず、素子本体21の材料を用意した。素子本体21の材料は固体電解質体の粉末である。固体電解質は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(「5YSZ」ともいう)に対して、さらにアルミナ粉末を添加したものである。素子本体21の材料全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この材料をプレス加工した後、筒型形状となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得た。
次に、未焼結成形体のうち、外側電極27、環状リード部28、及び縦リード部29それぞれの形成位置に対して、白金(Pt)およびジルコニアを含有するスラリーを塗布した。このスラリーは、白金(Pt)に対して15質量%の単斜晶ジルコニアを添加したものである。
また、未焼結成形体のうち、内側電極30の形成位置に、内側電極30を形成するためのスラリーを塗布した。このスラリーは、白金(Pt)に対して、5YSZとアルミナとの混合粉末を15質量%添加したものである。混合粉末は、99.6質量%の5YSZと、0.4質量%のアルミナ粉末とを含む。混合粉末の組成は素子本体21の組成と同じである。
次に、上記の各スラリーが塗布された未焼結成形体に対し、乾燥処理を施した後、1350℃で1時間かけて焼成し、焼成体を得た。
次に、得られた焼成体のうち、外側電極27の部分を、ドープ元素を含む水溶液に浸漬した後、乾燥処理を施し、さらに400℃で熱処理した。ただし、外側電極27がドープ元素を含まないものである場合は、浸漬を行わなかった。ドープ元素として、Pb、Zn、Ge、Snがある。
次に、外側電極27の全表面を保護層31で覆った。保護層31は、プラズマ溶射法により形成した。
以上の製造工程を実施することで、ガスセンサ素子103が得られた。ガスセンサ素子103と、セパレータ105、閉塞部材107、端子金具9、リード線11等とを組み付けることで、ガスセンサ101が得られた。
(5−3)ガスセンサ101の評価
ガスセンサ101を公知のバーナー測定装置に取り付けた。バーナー測定装置内にメインプロパンガス及びメイン空気を供給することで、バーナー測定装置内の雰囲気を理論空燃比とした。理論空燃比とは、空燃比λが1である状態である。バーナー測定装置内の温度は常に300℃とした。
次に、バーナー測定装置内にバイパスプロパンを所定時間供給し、バーナー測定装置内の雰囲気を、空燃比が0.9の状態にした。この状態を以下ではリッチ状態とする。次に、バイパスプロパンの供給を止め、バーナー測定装置内にバイパス空気を所定時間供給し、バーナー測定装置内の雰囲気を、空燃比が1.1の状態にした。この状態を以下ではリーン状態とする。
リッチ状態とリーン状態とを交互に繰り返しながら、ガスセンサ101の起電力を継続的に測定した。測定結果を図14及び図15に示す。
図14において「ドープ元素なし」とは、触媒材料がドープ元素を含有しないことを意味する。図14において、「Zn」とは、触媒材料がドープ元素としてZnを含むことを意味する。図14において、「Sn」とは、触媒材料がドープ元素としてSnを含むことを意味する。
図15において、「Pb」とは、触媒材料がドープ元素としてPbを含むことを意味する。図15において、「Ge」とは、触媒材料がドープ元素としてGeを含むことを意味する。
以下の基準により、ガスセンサ101の低温応答性を評価した。
○:リッチ状態からリーン状態に切り替えたときのガスセンサ101の出力(起電力)が250mV未満である。
×:リッチ状態からリーン状態に切り替えたときのガスセンサ101の出力(起電力)が250mV以上である。
評価結果を上記表3に示す。
触媒材料がドープ元素としてPb、Zn、又はGeを含む場合は、低温応答性の評価結果が○であった。すなわち、前記(5−1)で組成を決定した触媒材料は、低温応答性が優れていた。
6.判定装置3、触媒材料の組成の決定方法、及び触媒材料の製造方法が奏する効果
(1A)本開示の判定装置3及び触媒材料の組成の決定方法を用いれば、低温において触媒活性が高い触媒材料の組成を容易に得ることができる。
(1B)本開示の判定装置3及び触媒材料の組成の決定方法を用いれば、低温において触媒活性が高いガスセンサ電極用触媒材料の組成を容易に得ることができる。
(1C)本開示の判定装置3及び触媒材料の組成の決定方法を用いれば、例えば、母材元素がPtであり、候補がPb、Zn、Bi、及びGeから成る群から選択される1以上である場合、上記の母材元素及び候補の範囲で、低温において触媒活性が高い触媒材料の組成を容易に得ることができる。
(1D)本開示の判定装置3は、シミュレーションモデルを用いてE1〜E4を算出する。そのため、本開示の判定装置3及び触媒材料の組成の決定方法を用いれば、低温において触媒活性が高い触媒材料の組成を一層容易に得ることができる。
(1E)本開示の触媒材料の組成の決定方法では、複数の候補のそれぞれについて、E1及びE2を算出する。また、本開示の触媒材料の組成の決定方法では、複数の候補のそれぞれについて、条件1及び条件2を充足するか否かを判断する。そして、本開示の触媒材料の組成の決定方法では、複数の候補のうち、条件1及び条件2を充足する候補を、ドープ元素に決定する。そのため、本開示の触媒材料の組成の決定方法によれば、複数の候補の中から、好ましいドープ元素を選択することができる。
(1F)本開示の触媒材料の組成の決定方法では、条件1及び条件2を充足する候補が複数存在する場合、条件1及び条件2を充足する候補のうち、|E1−E2|が最小である候補をドープ元素に決定する。そのため、本開示の触媒材料の組成の決定方法によれば、複数の候補の中から、最適なドープ元素を選択することができる。
(1G)本開示の触媒材料の製造方法によれば、低温において触媒活性が高い触媒材料を製造することができる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)触媒材料は、ガスセンサ電極用触媒材料以外の用途に用いられてもよい。例えば、触媒材料は、燃料電池の電極用の触媒材料であってもよい。
(2)判定装置3は、シミュレーションモデルを用いる方法以外の方法で、E1〜E4を算出してもよい。例えば、判定装置3は、母材元素の種類、ドープ元素の種類、第1ガスの種類、第2ガスの種類、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、及び触媒材料の表面における結晶面を入力すると、E1〜E4を出力するマップを備えていてもよい。判定装置3は、このマップを用いてE1〜E4を算出することができる。
(3)判定装置3は、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、及び触媒材料の表面における結晶面が情報に含まれなくても、E1〜E4を算出できるものであってもよい。例えば、判定装置3は、母材元素及びドープ元素に基づき、母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、及び触媒材料の表面における結晶面を推測してもよい。そして、判定装置3は、推測した母材元素及びドープ元素を含む合金結晶の結晶構造、母材元素で構成される単結晶の結晶構造、及び触媒材料の表面における結晶面に基づき、E1〜E4を算出することができる。
(4)前記ステップ1において、特定ユニット113は、データベースから情報を取得してもよい。
(5)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
(6)上述した判定装置の他、当該判定装置を構成要素とするシステム、当該判定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、触媒材料の特性の判定方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
1…判定システム、3…判定装置、5…入力部、7…表示部、21…素子本体、27…外側電極、28…環状リード部、29…縦リード部、30…内側電極、31…保護層、101…ガスセンサ、103…ガスセンサ素子、105…セパレータ、107…閉塞部材、109…CPU、111…メモリ、113…特定ユニット、115…算出ユニット、117…判定ユニット、119…出力ユニット

Claims (11)

  1. 母材元素及びドープ元素を含む触媒材料であって、第1ガスと第2ガスとの反応を促進する触媒材料の組成の決定方法であって、
    前記母材元素、前記第1ガス、及び前記第2ガスを決定し、
    前記ドープ元素に対する少なくとも1つの候補について、以下のE1及びE2を算出し、
    以下のE3及びE4を算出し、
    以下の条件1及び条件2を充足する前記候補を、前記ドープ元素に決定する触媒材料の組成の決定方法。
    E1:前記母材元素及び前記候補を含む触媒材料と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
    E2:前記母材元素及び前記候補を含む触媒材料と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
    E3:前記母材元素と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
    E4:前記母材元素と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
    条件1:|E1−E2|<|E3−E4|
    条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。
  2. 請求項1に記載の触媒材料の組成の決定方法であって、
    前記触媒材料は、ガスセンサ電極用触媒材料である触媒材料の組成の決定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の触媒材料の組成の決定方法であって、
    前記母材元素はPtであり、
    前記候補は、Pb、Zn、Bi、及びGeから成る群から選択される1以上を含む触媒材料の組成の決定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒材料の組成の決定方法であって、
    前記母材元素及び前記候補を含む合金結晶のシミュレーションモデルを用いて前記E1及び前記E2を算出し、
    前記母材元素で構成される単結晶のシミュレーションモデルを用いて前記E3及び前記E4を算出する触媒材料の組成の決定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒材料の組成の決定方法であって、
    複数の前記候補のそれぞれについて、前記E1及び前記E2を算出し、
    複数の前記候補のそれぞれについて、前記条件1及び前記条件2を充足するか否かを判断し、
    複数の前記候補のうち、前記条件1及び前記条件2を充足する前記候補を、前記ドープ元素に決定する触媒材料の組成の決定方法。
  6. 請求項5に記載の触媒材料の組成の決定方法であって、
    前記条件1及び前記条件2を充足する前記候補が複数存在する場合、前記条件1及び前記条件2を充足する前記候補のうち、|E1−E2|が最小である前記候補を、前記ドープ元素に決定する触媒材料の組成の決定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒材料の組成の決定方法により、前記母材及び前記ドープ元素を決定し、
    決定した前記母材及び前記ドープ元素を含む原料を用いて前記触媒材料を製造する触媒材料の製造方法。
  8. 触媒材料の組成の判定装置であって、
    前記触媒材料に含まれる母材元素及びドープ元素、並びに、前記触媒材料が促進する反応の原料である第1ガス及び第2ガスを特定するように構成された特定ユニットと、
    以下のE1〜E4を算出するように構成された算出ユニットと、
    以下の条件1及び条件2が充足されるか否かを判定するように構成された判定ユニットと、
    を備える判定装置。
    E1:前記母材元素及び前記ドープ元素を含む触媒材料と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
    E2:前記母材元素及び前記ドープ元素を含む触媒材料と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
    E3:前記母材元素と、前記第1ガスとの吸着エネルギー
    E4:前記母材元素と、前記第2ガスとの吸着エネルギー
    条件1:|E1−E2|<|E3−E4|
    条件2:E3>E4である場合、E3>E1であり、E3<E4である場合、E4>E2である。
  9. 請求項8に記載の判定装置であって、
    前記算出ユニットは、前記母材元素及び前記ドープ元素を含む合金結晶のシミュレーションモデルを用いて前記E1及び前記E2を算出し、前記母材元素で構成される単結晶のシミュレーションモデルを用いて前記E3及び前記E4を算出するように構成された判定装置。
  10. 請求項8又は9に記載の判定装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  11. 請求項10に記載のプログラムが記録された記録媒体。
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