JP2020004694A - 燃料電池セル及びセルスタック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】余剰ガス燃焼時の失火を抑制することができる燃料電池セル及びセルスタック装置を提供する。【解決手段】燃料電池セルは、燃料電池セル本体3と、キャップ部材4とを備えている。燃料電池セル本体3は、扁平状である。燃料電池セル本体3は、ガス流路31、ガス流路31の供給側となる基端部、及びガス流路31の排出側となる先端部、を有する。キャップ部材4は、燃料電池セル本体3の先端部に取り付けられる。キャップ部材4は、複数のガス排出口431を有する。ガス排出口431の先端部432は、燃料電池セル本体3の先端面305から離れる方向に向かって径が大きくなる。【選択図】図8

Description

本発明は、燃料電池セル及びセルスタック装置に関する。
燃料電池セルは、燃料ガスが燃料極に供給されるとともに、酸素含有ガスが空気極に供給されることによって発電する。そして、燃料電池セルの発電に使用されずに排出された余剰の燃料ガス及び酸素含有ガスは、燃焼させられて熱源として用いられる。このような燃料電池セルとして、例えば、特開2012−14850号公報(特許文献1)が挙げられる。
特開2012−14850号公報
上述したような構成の燃料電池セルにおいて、余剰燃料ガスの燃焼時に失火が生じる場合がある。失火が生じると、燃料電池セルを適切な作動温度に保持できなくなるおそれがある。
そこで、本発明は、余剰ガス燃焼時の失火を抑制することのできる燃料電池セル及びセルスタック装置を提供することを課題とする。
本発明の第1側面に係る燃料電池セルは、燃料電池セル本体と、キャップ部材とを備えている。燃料電池セル本体は、扁平状である。燃料電池セル本体は、ガス流路、ガス流路の供給側となる基端部、及びガス流路の排出側となる先端部、を有する。キャップ部材は、燃料電池セル本体の先端部に取り付けられる。キャップ部材は、複数のガス排出口を有する。ガス排出口の先端部は、燃料電池セル本体の先端面から離れる方向に向かって径が大きくなる。
本発明の第1側面に係る燃料電池セルでは、キャップ部材は、ガス排出口の先端部が燃料電池セル本体の先端面から離れる方向に向かって径が大きくなっている。この構成によるガス排出口から排出される余剰ガスの火炎は、径が一定のガス排出口から排出される余剰ガスの火炎に比べて、ガス排出口の径方向に広がる。このため、あるガス排出口の火炎が失火した場合であっても、隣り合うガス排出口の火炎が移って着火し易くなる。この結果、余剰ガス燃焼時の失火を抑制することができる。
好ましくは、ガス排出口の先端部の内壁面は、ガス排出口の先端部以外の部分の内壁面よりも、表面粗さが小さい。この構成によれば、先端部の内壁面の表面粗さが小さくなっているため、ガスの排出口から排出される余剰ガスは、先端部の内壁面に沿って流れ易くなる。この結果、ガス排出口から排出される余剰ガスの火炎は、ガス排出口の径方向により広がり易くなる。
好ましくは、ガス排出口の先端部における内壁面は、湾曲面によって構成される。
好ましくは、キャップ部材は、筒状の熱伝導部と、筒状の突出部と、燃焼部とを有する。熱伝導部は、燃料電池セル本体の先端部の外周面を覆う。突出部は、ガス流路が延びる方向である第1方向に沿って熱伝導部から延びる。燃焼部は、突出部を塞ぐように配置される。燃焼部は、上述した複数のガス排出口を有する。
好ましくは、燃焼部は、燃料電池セル本体の先端面と間隔をあけて配置される。
好ましくは、熱伝導部は、第1方向において、突出部よりも長い。
好ましくは、熱伝導部の主面と突出部の主面とは、平面を構成する。
好ましくは、燃焼部と突出部との境界部は、面取り形状を有する。
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、上記いずれかに記載の燃料電池セルと、燃料電池セル本体の基端部を支持するマニホールドと、を備える。
本発明は、余剰ガス燃焼時の失火を抑制することのできる燃料電池セル及びセルスタック装置を提供することができる。
セルスタック装置の斜視図。 燃料電池セルの斜視図。 燃料電池セルの正面図。 燃料電池セル本体の斜視図。 燃料電池セル本体の断面図。 図3のVI−VI線断面図。 図6のVII−VII線断面図。 図7のVIII−VIII線断面図。 図7の上端部の拡大図。 変形例に係る燃料電池セルの図8に相当する図。 変形例に係る燃料電池セルの図8に相当する図。 変形例に係る燃料電池セルの図6に相当する図。 変形例に係る燃料電池セルの図2に相当する図。
以下、本発明に係る燃料電池セル及びセルスタック装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、長手方向、幅方向、及び厚さ方向は、燃料電池セルの長手方向(第1方向の一例)、幅方向、及び厚さ方向を意味する。
[セルスタック装置100]
図1に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル10と、マニホールド20とを備えている。各燃料電池セル10は、マニホールド20によって支持されている。燃料電池セル10は、マニホールド20から上方に延びている。また、各燃料電池セル10は、マニホールド20の長手方向(z軸方向)に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。また、各燃料電池セル10は、互いの主面同士が対向するように、厚さ方向に沿って配列されている。
各燃料電池セル10は、集電部材(図示せず)を介して互いに電気的に接続されている。集電部材は、例えば、酸化物セラミックスの焼成体、金属などの導電性を有する材料から形成されている。マニホールド20は、各燃料電池セル10のガス流路31(図2参照)に燃料ガスなどのガスを分配する。マニホールド20は、中空状であり、内部空間を有する。マニホールド20の内部空間には、導入管21を介して燃料ガスが供給される。
[燃料電池セル10]
図2及び図3に示すように、燃料電池セル10は、燃料電池セル本体3と、キャップ部材4とを有している。燃料電池セル10は扁平状である。
[燃料電池セル本体3]
図4に示すように、燃料電池セル本体3は、複数のガス流路31、基端部32、及び先端部33を有している。燃料電池セル本体3の長手方向(x軸方向)の一方の端部(図4の下端部)が基端部32であり、他方の端部(図4の上端部)が先端部33である。なお、燃料電池セル本体3の先端部33は、主に支持基板110によって構成されている。詳細には、燃料電池セル本体3の先端部33は、後述する電解質140などの緻密膜によって覆われた支持基板110によって構成されている。
ガス流路31は、燃料電池セル本体3内を基端部32から先端部33へ延びている。すなわち、ガス流路31は、燃料電池セル本体3の長手方向(x軸方向)に延びている。また、各ガス流路31は、燃料電池セル本体3の幅方向(y軸方向)において間隔をあけ、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路31は、燃料電池セル本体3の幅方向の両端部に形成されていないことが好ましい。なお、本実施形態では、燃料電池セル本体3の長手方向(x軸方向)が本発明の第1方向に相当する。
燃料電池セル本体3の基端部32は、燃料電池セル本体3のうち、ガス流路31の供給側の端部である。燃料電池セル本体3は、基端部32において、マニホールド20に支持される。
燃料電池セル本体3の先端部33は、燃料電池セル本体3のうち、ガス流路31の排出側の端部である。先端部33は、基端部32と反対側の端部である。燃料電池セル本体3の先端部33は、自由端である。燃料電池セル本体3は、マニホールド20によって、片持ち状態で支持され、自立している。
燃料電池セル本体3は、扁平状である。燃料電池セル本体3は、いわゆる円筒平板型の燃料電池セルである。図2に示すように、燃料電池セル本体3は、第1主面301と、この第1主面301の反対側の第2主面302と、第1主面301と第2主面302とを連結する一対の側面303とを有している。第1主面301、第2主面302、及び一対の側面303は、燃料電池セル本体3の外周面を構成する。第1主面301と第2主面302とは、互いに反対側を向いており、互いに平行に延びる。第1主面301と第2主面302との間隔は実質的に支持基板110の厚さに等しい。支持基板110の厚さは、例えば1〜10mmである。
燃料電池セル本体3は、基端面304(図2では下端面)と、先端面305(図2では上端面)とを有している。基端面304及び先端面305は、燃料電池セル本体3の長手方向における端面である。ガス流路31は、基端面304から先端面305まで延びている。ガス流路31は、基端面304及び先端面305において開口している。基端面304側においてガス流路31内に燃料ガスが供給され、先端面305側においてガス流路31から燃料ガスが排出される。すなわち、基端面304側に形成されたガス流路31の開口は、ガスの供給口である。そして、先端面305側に形成されたガス流路31の開口は、ガスの排出口である。なお、燃料電池セル本体3の基端面304は、マニホールド20の内部空間に面している。
図4に示すように、燃料電池セル本体3は、支持基板110と、複数の発電素子部120とを備えている。各発電素子部120は、支持基板110の両面に配置されている。なお、各発電素子部120は、支持基板110の片面のみに配置されていてもよい。各発電素子部120は、燃料電池セル本体3の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル本体3は、いわゆる横縞型である。各発電素子部120は、電気的接続部160(図5参照)によって互いに電気的に接続されている。発電素子部120は、ガス流路31を流れる燃料ガスと、燃料電池セル本体3の外周面を流れる酸化剤ガスとによって発電する。
[支持基板]
支持基板110は、上述したガス流路31が内部に形成されている。支持基板110は、絶縁性である。すなわち、支持基板110は、電子伝導性を有していない。支持基板110は、例えば、セラミックスで形成される。具体的には、支持基板110は、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板110は、多孔質である。支持基板110の気孔率は、例えば、20〜60%である。
図5に示すように、支持基板110は、複数の第1凹部117を有している。各第1凹部117は、支持基板110の各主面に形成されている。各第1凹部117は支持基板110の長手方向において互いに間隔をあけて形成されている。
[発電素子部120]
各発電素子部120は、燃料極130、電解質140、及び空気極150を有している。また、各発電素子部120は、反応防止膜121をさらに有している。
燃料極130は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極130は、燃料極集電部131と、燃料極活性部132とを有する。燃料極集電部131は、第1凹部117内に配置されている。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、すなわち第1凹部117の深さは、50〜500μmである。なお、酸化ニッケルは、還元性ガスが燃料極130に供給されることで金属ニッケルに変化する。
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。なお、酸化ニッケルは、還元性ガスが燃料極130に供給されることで金属ニッケルに変化する。
電解質140は、燃料極130上を覆うように配置されている。詳細には、電解質140は、あるインターコネクタ161から他のインターコネクタ161まで燃料電池セル10の長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル10の長手方向において、電解質140とインターコネクタ161とが交互に配置されている。
電解質140は、イオン伝導性を有し、かつ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質140は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成されてもよいし、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質140の厚さは、例えば、3〜50μmである。
反応防止膜121は、緻密な材料から構成される焼成体であり、平面視(z軸方向視)において、燃料極活性部132と略同一の形状であり、燃料極活性部132と略同じ位置に配置されている。反応防止膜121は、電解質140内のYSZと空気極150内のSrとが反応して電解質140と空気極150との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜121は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成される。反応防止膜121の厚さは、例えば、3〜50μmである。
空気極150は、反応防止膜121上に配置されている。空気極150は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極150は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成されてもよいし、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極150は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極150の厚さは、例えば、10〜100μmである。
電気的接続部160は、隣り合う発電素子部120を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部160は、インターコネクタ161及び空気極集電部162を有する。インターコネクタ161は、第3凹部131b内に配置されている。インターコネクタ161は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ161は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成されてもよいし、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ161の厚さは、例えば、10〜100μmである。
空気極集電部162は、隣り合う発電素子部120のインターコネクタ161と空気極150との間を延びるように配置される。空気極集電部162は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電部162は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成されてもよいし、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよいし、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部162の厚さは、例えば、50〜500μmである。
[キャップ部材4]
図2及び図3に示すように、キャップ部材4は、燃料電池セル本体3の先端部33に取り付けられている。キャップ部材4は、燃料電池セル本体3の先端部33の外周面を覆っている。本実施形態では、キャップ部材4は、燃料電池セル本体3の先端部33上に載置されているだけであり、先端部33とは接合されていない。
キャップ部材4は、金属製である。キャップ部材4を構成する金属の熱伝導率は、燃料電池セル本体3の先端部33を主に構成する材料の熱伝導率よりも高い。詳細には、キャップ部材4を構成する金属の熱伝導率は、支持基板110を構成する材料の熱伝導率よりも高い。
キャップ部材4は、例えば、耐熱性のFe基合金(ステンレス鋼)、Fe−Ni基合金、Ni基合金、Co基合金等で構成される。燃焼により高温に長時間曝されることから、キャップ部材4を構成する材料は、酸化被膜として酸化クロムを主成分とする膜や酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料が好ましく、さらに好ましくは高い耐酸化性を有する酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料が好ましい。なお、主成分とは、全体の50質量%以上であることを意味する。また、燃料電池セル本体3の先端部33とキャップ部材4とが当接する部分において、燃料電池セル本体3中の元素とキャップ部材4中の元素とが相互に反応することがある。反応によって燃料電池セル本体3とキャップ部材4とが意図せずに物理的に接合した状態になることがある。酸化クロムを主成分とする膜は、酸化クロムと燃料電池セル本体3中の元素が反応しやすいが、酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料を用いた場合、酸化アルミニウムと燃料電池セル本体3中の元素は反応性が乏しいため、燃料電池セル本体3とキャップ部材4間の相互反応が起こらず、意図せずに物理的に接合した状態になることを防止できる。そのため、キャップ部材4を構成する材料は、酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する金属材料が最も好ましい。
キャップ部材4は、熱伝導部41、突出部42、及び燃焼部43、を有する。熱伝導部41、突出部42、及び燃焼部43は、1つの部材によって構成されていてもよいし、別部材を連結して構成されていてもよい。本実施形態では、熱伝導部41、突出部42、及び燃焼部43は、1つの部材によって一体的に構成されている。
熱伝導部41は、筒状である。熱伝導部41の外周面のうち、厚さ方向(z軸方向)を向く面が主面であり、幅方向(y軸方向)を向く面が側面である。熱伝導部41は、燃料電池セル本体3の先端部33の外周面を覆っている。熱伝導部41は、燃料電池セル本体3の先端部33の外周面と対向している。すなわち、熱伝導部41は、燃料電池セル本体3の先端部33における第1主面301、第2主面302、及び側面303と対向している。燃料電池セル本体3の熱伝導部41は、燃焼部43から伝達された熱を燃料電池セル本体3の先端部33の外周面に伝達する。
熱伝導部41の内側面と燃料電池セル本体3の先端部33の第1及び第2主面301,302とは、接触していなくてもよいし、接触していてもよいし、部分的に接触していてもよい。図6に示すように熱伝導部41の内側面と燃料電池セル本体3の先端部33の第1及び第2主面301,302とが接触していない場合、両者の隙間H1は、例えば、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、より一層好ましくは100μmである。この隙間H1の好ましい範囲は、隙間が一定でない場合(一部が当接する場合を含む)には、最大の隙間を意味する。
なお、熱伝導部41は、熱伝導率が高い金属製であるため、隙間H1を介していても、燃料電池セル本体3の先端部33の外周面に対し輻射熱によって伝達することができる。
熱伝導部41の内側面と燃料電池セル本体3の先端部33の側面303とは、接触していなくてもよいし、接触していてもよいし、部分的に接触していてもよい。図7に示すように熱伝導部41の内側面と燃料電池セル本体3の先端部33の側面303とが接触していない場合、両者の隙間H2は、例えば、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、より一層好ましくは100μmである。この隙間H2の好ましい範囲は、隙間が一定でない場合(一部が当接する場合を含む)には、最大の隙間を意味する。
図2、図3、及び図6に示すように、突出部42は、筒状である。突出部42は、熱伝導部41から上方に延びている。突出部42は、熱伝導部41から連続して上方に延びている。すなわち、突出部42と熱伝導部41との間には段差部などが形成されていない。このため、突出部42の主面と熱伝導部41の主面とは、平面を構成している。なお、突出部42の外周面のうち、厚さ方向(z軸方向)を向く面が主面であり、幅方向(y軸方向)を向く面が側面である。
突出部42は、複数の狭窄部421を有している。本実施形態では、対となった狭窄部421を複数有している。なお、本実施形態では、突出部42は2対の狭窄部421を有している。2対の狭窄部421は、突出部42の各主面に配置されている。各狭窄部421は、燃料電池セル10の幅方向(y軸方向)に沿って延びている。各一対の狭窄部421は、互いに向かって近付くように内側に凹んでいる。すなわち、各一対の狭窄部421は、燃料電池セル10の厚さ方向(z軸方向)において内側に凹んでいる。各狭窄部421の深さD1は、例えば、0.5〜5.0mm程度である。なお、この深さD1は、狭窄部421の最も凹んだ位置における寸法を意味する。
一方の一対の狭窄部421と他方の一対の狭窄部421とは、幅方向(y軸方向)において間隔をあけて配置されている。一方の一対の狭窄部421は、幅方向の第1端部側に配置されており、他方の一対の狭窄部421は、幅方向の第2端部側に配置されている。
一対の狭窄部421が形成された位置における突出部42の厚さT1は、燃料電池セル本体3の厚さT2よりも小さいことが好ましい。このように構成することで、各狭窄部421の下面が燃料電池セル本体3の先端面305と当接する。好ましくは、各狭窄部421の下面は、ガス流路31の開口が形成されていない領域で先端面305と当接している。このように各狭窄部421の下面が燃料電池セル本体3の先端面305と当接することで、キャップ部材4が燃料電池セル本体3に支持されている。なお、キャップ部材4は、燃料電池セル本体3と接合されていないが、接合材などによって燃料電池セル本体3と接合されていてもよい。
図3及び図6に示すように、燃料電池セル10の長手方向において、熱伝導部41の長さL1は、突出部42の長さL2よりも長い。熱伝導部41の長さL1は、例えば、3mm〜50mm程度である。また、突出部42の長さL2は、例えば、1〜20mm程度である。突出部42の長さL2に対する、熱伝導部41の長さL1の割合(L1/L2)は、例えば1.5〜50程度である。
なお、熱伝導部41の長さL1とは、燃料電池セル10の長手方向(x軸方向)における熱伝導部41の寸法を意味する。熱伝導部41の長さL1は、図3に示す正面視又は図6に示す側面視において、キャップ部材4の下端から燃料電池セル本体3の先端面305までの距離を言う。また、突出部42の長さL2とは、燃料電池セル10の長手方向(x軸方向)における突出部42の寸法を意味する。突出部42の長さL2は、図3に示す正面視又は図6に示す側面視において、キャップ部材4の上端から燃料電池セル本体3の先端面305までの距離を言う。
図2,図3,及び図6に示すように、燃焼部43は、筒状の突出部42を塞ぐように配置されている。この燃焼部43と、突出部42と、燃料電池セル本体3の先端面305とによって、キャップ部材4の内部空間Sが画定されている。
燃焼部43は、長手方向(x軸方向)において燃料電池セル本体3の先端面305と間隔をあけて配置されている。燃焼部43は、燃料電池セル本体3の先端面305と対向している。燃焼部43は、平板状である。
燃焼部43は、複数のガス排出口431を有している。各ガス排出口431は、貫通孔であって、燃料電池セル10の長手方向に貫通している。各ガス排出口431は、燃料電池セル本体3のガス流路31と同じ方向に延びている。各ガス排出口431は、キャップ部材4の内部空間Sと外部とを連通している。この燃焼部43のガス排出口431からは、燃料電池セル本体3の発電に使用されなかった余剰ガスが排出される。ガス排出口431の数は、ガス流路31の数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。各ガス排出口431は、幅方向(y軸方向)に沿って、間隔をあけて配置される。
図8及び図9に示すように、燃焼部43のガス排出口431の先端部432は、燃料電池セル本体3の先端面305から離れる方向に向かって径が大きくなっている。すなわち、ガス排出口431の先端部432は、上方に向かって径が大きくなっている。なお、ガス排出口431の先端部432以外の部分433は、径が一定である。ガス排出口431の先端部432とは、ガス排出口431の両端部のうち、燃料電池セル本体3の先端面305から遠い側の端部を言う。
ガス排出口431の先端部432における内壁面は、湾曲面によって構成されている。この湾曲面は、外側に向かって膨らむように湾曲している。本実施形態では、この湾曲面は、上側に向かって膨らむように湾曲している。なお、先端部432以外の部分433を構成する内壁面は、円筒状となっている。
ガス排出口431の先端部432における内壁面は、先端部432以外の部分433における内壁面よりも、表面粗さが小さい。詳細には、ガス排出口431の先端部432における内壁面の算術平均粗さが、先端部432以外の部分433における内壁面の算術平均粗さよりも小さい。このように、ガス排出口431の先端部432の内壁面は、先端部432以外の部分433の内壁面に対して相対的に滑らかに形成されている。
例えば、ガス排出口431の先端部432の内壁面を研磨することによって、先端部432の内壁面を、先端部432以外の部分433の内壁面よりも表面粗さを小さくすることができる。
ガス排出口431の直径D2は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5〜3mm程度である。なお、ガス排出口431の直径D2は、ガス排出口431のうち、最も小さい直径を言う。そして、ガス排出口431の先端部432がR加工されている場合、先端部432の曲率半径は、0.1〜2mm程度とすることができる。なお、燃焼部43の厚さT3は、2〜7mm程度である。この燃焼部43の厚さT3に対するガス排出口431の直径D2の割合(D2/T3)は、例えば、0.1〜0.8程度とすることができる。
[セルスタック装置の動作]
以上のように構成されたセルスタック装置100の動作について説明する。セルスタック装置100は、例えば以下のように動作する。
セルスタック装置100では、燃料ガス(水素ガス等)を、導入管21からマニホールド20内に供給する。そして、この燃料ガスを、各燃料電池セル本体3のガス流路31に供給する。一方、酸素含有ガス(空気等)を、各燃料電池セル本体3の外側に供給する。
このように燃料ガス及び酸素含有ガスを供給することによって、各発電素子部120では、酸素分圧差すなわち電位差が、電解質140の表裏面間に生じる。この状態で、燃料電池セル10を外部の負荷に電気的に接続すると、空気極150において下記の式1に示す電気化学反応が起こり、燃料極130において下記の式2に示す電気化学反応が起こる。
(1/2)O+2e→O2− ・・・(式1)
+O2−→HO+2e ・・・(式2)
これにより、燃料電池セル本体3内にて電流が流れ、発電状態となる。この発電状態において、燃料電池セル本体3から電力が取り出される。
そして、燃料電池セル本体3のガス流路31を流れる燃料ガスのうち発電に使用されなかった余剰燃料ガスは、ガス流路31の排出口からキャップ部材4の内部空間Sに排出された後、キャップ部材4のガス排出口431を介して外部に排出される。そして、キャップ部材4のガス排出口431から排出される余剰燃料ガスは、外部を流れる酸素含有ガスと混合して燃焼する。
この燃焼により発生する熱は、燃焼部43及び突出部42を介して、熱伝導部41へと伝達される。この結果、燃料電池セル本体3の先端部33の外周面が加熱され、先端部33の外周面と先端面305との温度差が小さくなる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
上記実施形態では、ガス排出口431の先端部432以外の部分433は径が一定であるがこれに限定されない。例えば、図10に示すように、ガス排出口431は、先端部432を含む全体の径が上方に向かって大きくなっていてもよい。
変形例2
図11に示すように、燃焼部43と突出部42との境界部45は、面取り形状を有していてもよい。詳細には、燃焼部43の主面(上面)と突出部42の主面との境界部45は、面取り形状を有していてもよい。例えば、この境界部45は、R面取り加工されていてもよいし、C面取り加工されていてもよい。このように境界部45が面取り形状を有していることによって、下方からの酸素含有ガスがガス排出口431に回り込み、さらに燃焼性が向上する。
変形例3
上記実施形態では、キャップ部材4は、支持基板110の各主面上に複数の発電素子部120が配置された横縞型の燃料電池セル本体3に取り付けられているが、キャップ部材4は、いわゆる縦縞型の燃料電池セル本体に取り付けることもできる。
変形例4
上記実施形態では、ガス流路31は燃料電池セル本体3の長手方向に延びていたが、ガス流路31は燃料電池セル本体3の短手方向に延びてもよい。この場合、燃料電池セル本体3の短手方向が本発明の第1方向に相当する。そして、燃料電池セル本体3の短手方向における一方の端部が基端部となりマニホールド20に支持される。また、燃料電池セル本体3の短手方向における他方の端部が先端部となりキャップ部材4が取り付けられる。
変形例5
上記実施形態では、キャップ部材4の突出部42における狭窄部421の断面形状は矩形状となっているが、狭窄部421の断面形状はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、狭窄部421の断面形状は半円形状であってもよいし、他の形状であってもよい。
変形例6
上記実施形態では、各狭窄部421は、突出部42の主面に形成されているが、各狭窄部421が形成される位置はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、一対の狭窄部421は、突出部42の側面に形成されていてもよい。この場合、一対の狭窄部421は、互いに近付くように、燃料電池セル10の幅方向に凹んでいる。
3 :燃料電池セル本体
31 :ガス流路
32 :基端部
33 :先端部
305 :先端面
4 :キャップ部材
41 :熱伝導部
42 :突出部
43 :燃焼部
431 :ガス排出口
432 :先端部
45 :境界部
10 :燃料電池セル
20 :マニホールド
100 :セルスタック装置

Claims (9)

  1. ガス流路、前記ガス流路の供給側となる基端部、及び前記ガス流路の排出側となる先端部、を有する扁平状の燃料電池セル本体と、
    前記燃料電池セル本体の先端部に取り付けられ、複数のガス排出口を有するキャップ部材と、
    を備え、
    前記ガス排出口の先端部は、前記燃料電池セル本体の先端面から離れる方向に向かって径が大きくなる、
    燃料電池セル。
  2. 前記ガス排出口の先端部の内壁面は、前記ガス排出口の先端部以外の部分の内壁面よりも、表面粗さが小さい、
    請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記ガス排出口の先端部における内壁面は、湾曲面によって構成される、
    請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記キャップ部材は、
    前記燃料電池セル本体の前記先端部の外周面を覆う筒状の熱伝導部と、
    前記ガス流路が延びる方向である第1方向に沿って前記熱伝導部から延びる筒状の突出部と、
    前記突出部を塞ぐように配置され、前記複数のガス排出口を有する燃焼部と、
    を有する、
    請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池セル。
  5. 前記燃焼部は、前記燃料電池セル本体の先端面と間隔をあけて配置される、
    請求項4に記載の燃料電池セル。
  6. 前記熱伝導部は、前記第1方向において、前記突出部よりも長い、
    請求項4又は5に記載の燃料電池セル。
  7. 前記熱伝導部の主面と前記突出部の主面とは、平面を構成する、
    請求項4から6のいずれかに記載の燃料電池セル。
  8. 前記燃焼部と前記突出部との境界部は、面取り形状を有する、
    請求項4から7のいずれかに記載の燃料電池セル。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の燃料電池セルと、
    前記燃料電池セル本体の前記基端部を支持するマニホールドと、
    を備える、セルスタック装置。
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