本発明者等は、自動制御タイプと手動タイプの両タイプに使用できる弁装置において、いずれのタイプにおいても良好な組立性と分解性とを確保しながら、弁ハウジングに対するアクチュエータとハンドルの連結構造の一元化を図ることを考えた。しかし、アクチュエータの連結構造として広く採用されているヘルール式継手構造をハンドルの連結構造に適用する場合には、継手を具備する部分とハンドルとの連結にネジ締結構造が必要となるなど、却って締結構造が複雑化・煩雑化することが避けられず、良好な組立性や分解性を確保することは難しい。因みに特許文献5の弁装置では、数個のネジ締結構造により弁ハウジングに対してハンドルとアクチュエータの両者を連結しているため、スパナやドライバなどの工具を多用することが必要であり、弁装置の組立や分解は容易ではない。
本発明は、以上のような従来の弁装置の抱える問題を解決するためになされたものであり、弁ハウジングに対して自動制御用のアクチュエータと手動操作用のハンドルのいずれか一方を選択的に連結することが可能であり、部品の共用化によりコストダウンを図ることができるとともに、容易に組立・分解することが可能であり、弁体などの構成部品の洗浄、補修、或いは交換などをより少ない手間で簡便に行うことが可能でメンテナンス性に優れた弁装置を提供することを目的とする。
本発明は、左右一対の分割ケース8・8と、これら分割ケース8・8を着脱可能に連結するクランプバンド10とで構成される弁ハウジング3と、弁ハウジング3内に設けられた流体流路4を開閉する弁体5と、弁体5を開閉操作する操作軸6とを備える弁装置を対象とする。弁ハウジング3の上方には、弁体5を自動で開閉制御するアクチュエータ60と、弁体5を手動で開閉操作するハンドル100のいずれか一方が選択的に連結可能に構成されている。アクチュエータ60と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成された第1アクチュエータジョイント69と、アクチュエータ60側に設けられた第2アクチュエータジョイント70と、両アクチュエータジョイント69・70の連結固定を担う、ジョイント用クランプバンド85を含むヘルール式継手構造からなるジョイント連結手段71と、弁ハウジング3に対する第1アクチュエータジョイント69の固定を担うジョイント固定手段72とを含む。ハンドル100と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成されたハンドルホルダー101と、ハンドルホルダー101に対するハンドル100の装着を担うネジ締結構造からなるハンドル装着手段102と、弁ハウジング3に対するハンドルホルダー101の固定を担うホルダー固定手段103とを含む。そして、クランプバンド10にアクチュエータ60の連結とハンドル100の連結の両用途に共用できる一つの連結座50が設けられており、この連結座50に第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101のいずれか一方を装着することで、アクチュエータ60とハンドル100のいずれか一方を弁ハウジング3に対して選択的に連結することができるように構成されていることを特徴とする。
連結座50には、第1アクチュエータジョイント69及びハンドルホルダー101の回り止め用のストッパー56を設けることができる。
クランプバンド10は、部分円弧状のアーム41・42と、これらアーム41・42の遊端部どうしを着脱可能に連結する締緩手段45とを含む。連結座50は、一つのアーム41の上方に一体的に形成されて、上面51と左右面52・53とを有する平板状のブロック体であり、その中央部には操作軸6の突出を許す貫通孔54が設けられている。第1アクチュエータジョイント69は、操作軸6の挿入を許す無底筒状の筒体73と、筒体73の上下端から周方向に張り出し形成された一対のフランジ74・75と、下フランジ75の下面から下方に向けて突設された左右一対のジョイント脚76・76とを有する。ハンドルホルダー101は、操作軸6の挿通を許す貫通孔105を有するホルダー主壁106と、ホルダー主壁106の下面から下方に向けて突設された左右一対のホルダー脚107・107とを有する。そして、第1アクチュエータジョイント69の左右のジョイント脚76・76の内面どうしの対向寸法(w1)と、ハンドルホルダー101の左右のホルダー脚107・107の内面どうしの対向寸法(w2)とが同一寸法(w1=w2)に設定されるとともに、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76の前後方向の幅寸法(w3)と、ハンドルホルダー101のホルダー脚107の前後方向の幅寸法(w4)とが同一寸法(w3=w4)に設定されている。
ストッパー56が、第1アクチュエータジョイント69の連結座50への装着状態において、ジョイント脚76の前後縁を受け止めるとともに、ハンドルホルダー101の連結座50への装着状態において、ホルダー脚107の前後縁を受け止める、左右外方向に膨出形成された規制リブで構成されている形態を採ることができる。
ジョイント固定手段72は、連結座50の左右面52・53のそれぞれに設けられたボルト孔55と、ジョイント脚76に設けられたボルト挿通孔77と、ボルト挿通孔77を介してボルト孔55にねじ込まれるボルト97とを含むボルト締結構造で構成することができる。
ホルダー固定手段103およびハンドル装着手段102は、操作軸6の上部に設けられたネジ穴34と、ハンドル100に設けられた軸孔121と、軸孔121を介してネジ穴34にねじ込まれるネジ112とを含むネジ締結構造で構成することができる。
ホルダー主壁106の周縁に、弁体5の開角度を規定するためのノッチ110が刻設されており、ハンドル100が、ノッチ110に係脱自在に設けられたロック片126を有する操作レバーで構成されている形態を採ることができる。
本発明の弁装置においては、弁ハウジング3を構成するクランプバンド10に設けられた連結座50に第1アクチュエータジョイント69を装着し、これをジョイント固定手段72で固定したのち、第1アクチュエータジョイント69にジョイント用クランプバンド85を含むヘルール式継手構造により第2アクチュエータジョイント70を連結することで、弁ハウジング3に対してアクチュエータ60を連結することができる。また逆の手順でジョイント用クランプバンド85を緩めて両アクチュエータジョイント69・70の連結を解除したのち、連結座50から第1アクチュエータジョイント69を取り外すことで、弁ハウジング3からアクチュエータ60を分離することができる。
また、連結座50にハンドルホルダー101を装着したのち、ネジ締結構造からなるハンドル装着手段102によりハンドルホルダー101にハンドル100を装着するとともに、ホルダー固定手段103によりハンドルホルダー101を連結座50に固定することで、弁ハウジング3に対してハンドル100を連結することができる。また逆の手順で、ホルダー固定手段103を解除してハンドルホルダー101からハンドル100を取り外すとともに、ホルダー固定手段103を解除して連結座50からハンドルホルダー101を取り外すことで、弁ハウジング3からハンドル100を分離することができる。
以上のように本発明によれば、弁ハウジング3に対して、弁体5を自動で開閉制御するアクチュエータ60と、弁体5を手動で開閉操作するハンドル100のいずれか一方を選択的に連結できるように構成したので、自動制御タイプと手動操作タイプのいずれのタイプの弁装置においても、弁ハウジング3、弁体5、操作軸6などの多くの構成部材を共用化することができる。従って本発明によれば、自動制御タイプと手動操作タイプという操作方式の異なる2種の弁装置を品揃えする場合において、弁ハウジング3、弁体5、操作軸6などの各構成部材の製造コストや管理コストなどを抑えることができるので、弁装置の大幅なコストダウンを図ることができる。
そのうえで、クランプバンド10に設けられた連結座50に対して、第1アクチュエータジョイント69とハンドルホルダー101とを付け替えるだけで、弁装置を自動制御タイプと手動操作タイプとに切り換えることができるので、複数個のネジ締結構造により弁ハウジングに対してアクチュエータやハンドルが装着されている構成(特許文献5参照)に比べて、自動制御と手動操作のタイプの切り換え作業を、より少ない手間で簡便に行うことができる。
加えて、自動制御タイプでは、ジョイント用クランプバンド85を含むヘルール式継手構造により第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70とを連結したので、両アクチュエータジョイント69・70の連結や分離を容易に行うことができ、組立て作業性や分解作業性に優れた自動制御タイプの弁装置を得ることができる。同様に、手動操作タイプでは、一つのネジ締結構造からなるハンドル装着手段102によりハンドルホルダー101とハンドル100を装着したので、ハンドル100の連結や分離を容易に行うことができ、組立て作業性や分解作業性に優れた手動操作タイプの弁装置を得ることができる。以上のように、本発明に係る弁装置によれば、自動制御と手動操作のいずれのタイプにおいても、優れた組立て作業性や分解作業性を確保することができる。
連結座50に、第1アクチュエータジョイント69及びハンドルホルダー101の回り止め用のストッパー56が設けられていると、連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101を仮組みした状態において、これら第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101が不用意に回転することを防ぐことができる。これによれば、連結座50に対する第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101の姿勢合せと、その後の固定動作を格段に容易に行うことができるので、第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101の組み付け作業をより簡便化することができる。また、当該ストッパー56を設けることにより、連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69が回転し、結果としてアクチュエータ60が不用意に回転すること、或いは連結座50に対してハンドルホルダー101が回転し、結果としてハンドル100が不用意に回転することを防ぐこともできる。
第1アクチュエータジョイント69を、操作軸6の挿入を許す無底筒状の筒体73と、筒体73の上下端から周方向に張り出し形成された一対のフランジ74・75と、下フランジ75の下面から下方に向けて突設された左右一対のジョイント脚76・76とを有するものとし、ハンドルホルダー101を、操作軸6の挿通を許す貫通孔105を有するホルダー主壁106と、ホルダー主壁106の下面から下方に向けて突設された左右一対のホルダー脚107・107とを有するものとする。加えて、第1アクチュエータジョイント69の左右のジョイント脚76・76の内面どうしの対向寸法(w1)と、ハンドルホルダー101の左右のホルダー脚107・107の内面どうしの対向寸法(w2)とを同一寸法に設定し(w1=w2)、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76の前後方向の幅寸法(w3)と、ハンドルホルダー101のホルダー脚107の前後方向の幅寸法(w4)とを同一寸法に設定する(w3=w4)。上記構成によれば、アクチュエータ60の連結時には、2本のジョイント壁76・76が連結座50の左右面52・53を挟持するように、上方から第1アクチュエータジョイント69を連結座50に落とし込むだけで、当該第1アクチュエータジョイント69を連結座50に装着することができる。またハンドル100の連結時には、2本のホルダー脚107・107が連結座50の左右面52・53を挟持するように、上方からハンドルホルダー101を連結座50に落とし込むだけで、当該ハンドルホルダー101を連結座50に装着することができる。第1アクチュエータジョイント69の左右のジョイント脚76・76の内面どうしの対向寸法(w1)と、ハンドルホルダー101の左右のホルダー脚107・107の内面どうしの対向寸法(w2)とを同一寸法に設定し(w1=w2)、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76の前後方向の幅寸法(w3)と、ハンドルホルダー101のホルダー脚107の前後方向の幅寸法(w4)とを同一寸法に設定する(w3=w4)ことで、共通化された両者(69・101)の連結座50に対する装着構造を簡素化できる。以上より、上記構成を採ることにより、第1アクチュエータジョイント69とハンドルホルダー101の構造を簡素化しながら、簡単且つ確実に連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101を装着することができるので、自動制御タイプと手動操作タイプのいずれのタイプにも適用可能な弁装置において、第1アクチュエータジョイント69、或いはハンドルホルダー101の構造が複雑化することによって製造コストが大幅に上昇することを抑えて、より安価に両用途に適用可能な弁装置を得ることができる。
ストッパー56は、第1アクチュエータジョイント69の連結座50への装着状態において、ジョイント脚76の前後縁を受け止めるとともに、ハンドルホルダー101の連結座50への装着状態において、ホルダー脚107の前後縁を受け止める、左右外方向に膨出形成された規制リブで構成することができる。上記構成によれば、仮組みした状態において、規制リブでジョイント脚76又はホルダー脚107の前後縁を受け止め、第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101が位置ずれすることを確実に防止できる。従って、連結座50に対する第1アクチュエータジョイント69等の姿勢合せと、その後の固定動作をスムーズに行うことができるので、第1アクチュエータジョイント69等の組み付け作業を簡便化できる。
ジョイント固定手段72が、連結座50の左右面52・53のそれぞれに設けられたボルト孔55と、ジョイント脚76に設けられたボルト挿通孔77と、ボルト挿通孔77を介してボルト孔55にねじ込まれるボルト97とを含むボルト締結構造で構成されていると、当該ボルト締結構造を構築するだけで連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69を確実に固定することができ、また、当該ボルト締結構造を解除するだけで連結座50から第1アクチュエータジョイント69を取り外すことができる。従って、ジョイント固定手段72の構造を簡素化できるうえ、連結座50に対する第1アクチュエータジョイント69の組み付け作業や連結座50からの第1アクチュエータジョイント69の取り外し作業を簡便化できる。
ホルダー固定手段103およびハンドル装着手段102が、操作軸6の上部に設けられたネジ穴34と、ハンドル100に設けられた軸孔121と、軸孔121を介してネジ穴34にねじ込まれるネジ112とを含むネジ締結構造で構成されていると、当該ネジ締結構造を構築するだけで、ハンドル100を操作軸6に連結装着するとともに、ハンドルホルダー101を連結座50に固定することができ、また、当該ネジ締結構造を解除するだけでハンドル100を操作軸6から取り外すとともに、ハンドルホルダー101を連結座50から取り外すことができる。従って、ホルダー固定手段103とハンドル装着手段102との構造を簡素化できるうえ、操作軸6に対するハンドル100の組み付け作業や取り外し作業、及び連結座50に対するハンドルホルダー101の組み付け作業や取り外し作業を簡便化できる。
ホルダー主壁106の周縁に、弁体5の開角度を規定するためのノッチ110が刻設されており、ハンドル100が、ノッチ110に係脱自在に設けられたロック片126を有する操作レバーで構成されていると、ハンドル100を操作してロック片126のノッチ110との係合状態を解除したうえでハンドル100を回動させ、その後にロック片126をノッチ110と係合させることで、弁体5を所定角度に維持することができる。つまり、弁体5の角度を規定するための節度機構をハンドル100に付与することができる。また、別途節度機構を設ける場合に比べて、弁装置の構成を簡素化して、コストダウンを図ることができる。
図1から図10に、本発明に係る弁装置をバラフライ弁に適用した実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1、図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図3に示すようにバタフライ弁1は、横臥姿勢に設けられた左右一対の移送管2・2の間に配されるものであり、これら移送管2・2内を流れる流体物に対して開閉制御や流量制御を行う。
図1、図2に示すように、バタフライ弁1は、弁ハウジング3と、弁ハウジング3内に設けられた流体流路4を開閉する弁体5と、弁体5を開閉操作する操作軸6と、弁体5を囲むリング状のパッキン7などを備える。弁ハウジング3は、左右一対の分割ケース8・8からなる弁ケース9と、これら分割ケース8・8を着脱可能に連結するクランプバンド10とで構成される。各分割ケース8はステンレス成形品からなり、左右横長の円筒部11と、円筒部11の一端側に設けられて、分割ケース8・8同士の連結を担う大径の第1継手12と、円筒部11の他端側に設けられて弁ハウジング3と移送管2との連結を担う小径の第2継手13とを備える。両分割ケース8・8は、クランプバンド10を固定要素とするヘルール式継手構造により連結されている。
図3において、符号15は分割ケース8の第2継手13と移送管2の継手16とを包持して、分割ケース8と移送管2との連結を担う連管用クランプバンドを示しており、両継手13・16と連管用クランプバンド15で構成されるヘルール式継手構造により、弁ハウジング3と移送管2とは連結されている。なお、両継手13・16の間にはシール用のガスケット(図外)が配されている。
両分割ケース8・8の第1継手12の突合せ面には、位置決め用の凹凸部が形成されている。凹凸部は、右方の分割ケース8の突合せ面にリング状に突設された凸部17(図2参照)と、左方の分割ケース8の突合せ面に刻設されて、凸部77を受け入れるリング状の凹部(図外)とで構成される。図2に示すように、各分割ケース8の第1継手12の突合せ面の中心部には、流体流路4よりも大径の段付部18が凹み形成されており、両分割ケース8・8を結合したとき、図1に示すように、第1継手12の内周面にはパッキン7を受け入れる環状溝20が形成される。図2において符号21は、段付部18の左右の奥面から左右方向に突設されて、パッキン7の内周面を受け止める係止片を示す。
図2に示すように両分割ケース8・8の第1継手12の突合せ面の上下には、軸受用の溝22が凹み形成されている。図1に示すように、両分割ケース8・8を結合したとき、第1継手12の上下には、操作軸6を回動自在に軸支する軸受孔23が形成される。
パッキン7は、シリコンゴムやフッ素系樹脂などを素材とする円筒状部材であり、その筒壁25の上下両端には操作軸6を受け入れる貫通孔26が形成されている。筒壁25の内周面は、左右方向の中央部に形成されて弁体5により開閉操作される弁口となる小径部25aと、該小径部25aの左右方向の外側に形成された大径部25bとからなる段付状に形成されている。両分割ケース8・8を結合したとき、大径部25bの内周面が第1継手12の係止片21により受け止められることで、環状溝20内にパッキン7を脱落不能に装着することができる。
弁体5は、パッキン7の小径部25aを開閉する円盤状の金属体であり、その上下端が円錐状の膨出部29を介して操作軸6に連結されている。操作軸6は、弁体5の上方に配された上軸30と、弁体5の下方に配された下軸31とからなり、各軸30・31は対応するパッキン7の貫通孔26内に挿入されている。上軸30は、下半部に形成された丸軸部32と、上半部に形成された角軸部33とからなり、角軸部33の中央には、ネジ穴34が形成されている。本実施例では、弁体5と操作軸6とは、弁ユニット35として一体的に形成されている。図1、2において符号36は、操作軸6の上下に外嵌装着される円筒状の樹脂ベアリングを示しており、弁ユニット35は、これら樹脂ベアリング36を介して弁ハウジング3の軸受孔23内で回転可能に軸支される。
図2において、クランプバンド10は、内周面に突き合わせた状態の第1継手12の外周縁を抱持する溝40を有する一対の半円状のアーム41・42と、ピン43を介して両アーム41・42の一端どうしを連結するプレート44と、両アーム41・42の他端どうしを着脱可能に連結する締緩部(締緩手段)45とで構成される。締緩部45は、一方のアーム41の端部にピン46を介して揺動自在に連結されたボルト47と、ボルト47に螺合された蝶ナット48と、他方のアーム42の端部に形成されてボルト47に係止されるU字溝49とで構成される。なお、上述の分割ケース8と移送管2との連結を担う連管用クランプバンド15の構成はクランプバンド10の構成と略同等である。
クランプバンド10の一方のアーム41には、後述するアクチュエータ60、或いはハンドル100を選択的に連結するための連結座50が設けられている。連結座50は、上面51と左右面52・53とを有する平板状のブロック体であり、その中央部には操作軸6の突出を許す貫通孔54が設けられている。この貫通孔54は、連結座50を通ってアーム41の内周面に至っている。左右面52・53のそれぞれには、後述するボルト97用のボルト孔55が設けられている。連結座50には、後述する第1アクチュエータジョイント69とハンドルホルダー101が不用意に回転することを防止するためのストッパー56が設けられている。ストッパー56は、左右面52・53の前後端部に膨出形成されて、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76とハンドルホルダー101のホルダー脚107の前後縁を受け止める規制リブとして構成されている。
上記のように、弁ハウジング3には、弁体5を自動で開閉制御するアクチュエータ60と、弁体5を手動で開閉操作するハンドル100のいずれか一方が選択的に連結可能に構成される。図3において、自動開閉制御を担うアクチュエータ60は、四角ブロック状のケーシング61を基体とする空気圧式アクチュエータであり、ケーシング61の内部には、上下方向に伸びる出力軸62を回動操作するためのピストンと、ピストンを押圧付勢するスプリングなどが収容されている。ケーシング61の前面には、圧縮空気の給排気口となる一対のポート63・63が設けられており、これらポート63・63に図外のコンプレッサからホース64を介して圧縮空気が供給されることで、出力軸62に回転力が付与されるようになっている。図4及び図5において、符号65は、出力軸62の回転力を操作軸6に伝動する金属製のカップリングを示す。カップリング65は、操作軸6の上端の角軸部33に外嵌装着される有底四角筒状の凹み66aを有する下半側のソケット部66と、出力軸62の下端に差し込み装着されて、該出力軸62に連結される上半側の四角軸状のプラグ部67とで構成される。
図4、図5において、アクチュエータ60と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成された第1アクチュエータジョイント69と、アクチュエータ60側に設けられた第2アクチュエータジョイント70と、両アクチュエータジョイント69・70の連結固定を担うジョイント連結手段71と、弁ハウジング3に対する第1アクチュエータジョイント69の固定を担うジョイント固定手段72とで構成される。第1アクチュエータジョイント69は、操作軸6、及びカップリング65のソケット部66の挿入を許す無底筒状の筒体73と、筒体73の上下端から周方向に張り出し形成された一対のフランジ74・75と、下フランジ75の下面から下方に向けて突設された左右一対のジョイント脚76・76とを有し、これら各部材73〜76を一体に形成したステンレス成形品からなる。各ジョイント脚76には、ボルト97用のボルト挿通孔77が形成されている。
第2アクチュエータジョイント70は、カップリング65のプラグ部67の挿通を許す無底筒状の筒体78と、筒体78の下端から周方向に張り出し形成されたフランジ79と、筒体78の上端に設けられたプレート80とで構成される。上方側のプレート80には四個のビス挿通孔81が設けられており、各ビス挿通孔81を介して、アクチュエータ60のケーシング61の下面に設けられたビス穴82にビス83をねじ込むことにより、第2アクチュエータジョイント70はケーシング61の下面に固定されている。
両アクチュエータジョイント69・70の連結固定を担うジョイント連結手段71は、両アクチュエータジョイント69・70に対向状に設けられた一対のフランジ74・79と、これらフランジ74・79を着脱可能に連結するジョイント用クランプバンド85とで構成されるヘルール式継手構造で構成される。図5に示すように、両アクチュエータジョイント69・70のフランジ74・79の突合せ面には、凹凸係合が形成されている。このジョイント用クランプバンド85の構成は、先の分割ケース8・8の連結用のクランプバンド10の構成と略同様である。具体的には、ジョイント用クランプバンド85は、内周面に突き合わせた状態の両アクチュエータジョイント69・70のフランジ74・79を抱持する溝86を有する半円状の3本のアーム87・88・89と、アーム87・88の連結部、及びアーム88・89の連結部に設けられて、アーム87・88・89同士を揺動可能に連結するピン90・90と、両アーム87・89の他端どうしを着脱可能に連結する締緩部(締緩手段)91とで構成される。締緩部91は、アーム87の端部にピン92を介して揺動自在に連結されたボルト93と、ボルト93に螺合された蝶ナット94と、アーム89の端部に形成されてボルト93に係止されるU字溝95とで構成される。
弁ハウジング3に対する第1アクチュエータジョイント69の固定を担うジョイント固定手段72はボルト締結構造で構成される。具体的には、ジョイント固定手段72は、連結座50の左右面52・53のそれぞれに設けられたボルト孔55・55と、ジョイント脚76・76のそれぞれに設けられたボルト挿通孔77・77と、ボルト挿通孔77を介してボルト孔55にねじ込まれるボルト97とで構成される。
図4、図5、および図10に示すように、第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70との間には、アクチュエータ60の姿勢角度を規定するための角度規定構造が設けられている。この角度規定構造は、第1アクチュエータジョイント69の上フランジ74の上面に突設された一つの係合凸部98と、第2アクチュエータジョイント70のフランジ79の下面に凹み形成された3つの係合凹部99(99a、99b、99c)とからなる凹凸係合構造で構成される。係合凸部98は、上フランジ74の右端に形成されており、換言すれば平面視において後方向を12時方向としたときの3時の位置に係合突起98は形成されている(図10参照)。係合凹部99a〜99cは、筒体78の同心位置上に45度ずつの等角度を置いて配置されており、係合凹部99aはフランジ79の右端(3時の位置)、係合凹部99cはフランジ79の後端(12時の位置)、および係合凹部99bは両係合凹部99a・99cの中間位置に形成されている(図10参照)。
以上のような凹凸係合構造からなる角度規定構造が第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70との間に設けられていると、係合凸部98に対していずれか一つの係合凹部99(99a〜99c)を係合させることで、第1アクチュエータジョイント69に対する第2アクチュエータジョイント70の姿勢角度を規定して、結果として弁ハウジング3に対するアクチュエータ60の姿勢角度を規定することができる。具体的には、係合凹部99aを係合凸部98に係合させた場合には、図10において実線で示すように、アクチュエータ60の長尺方向が、移送管2の伸び方向である左右方向と一致する平行姿勢とすることができる。同様に、係合凹部99bを係合凸部98に係合させた場合には、図10において一点鎖線で示すように、アクチュエータ60の長尺方向が前後方向および左右方向に対して45度傾いた傾斜姿勢とすることができる。さらに、係合凹部99cを係合凸部98に係合させた場合には、図10において二点鎖線で示すように、アクチュエータ60の長尺方向が前後方向と一致する直角姿勢とすることができる。以上のように、凹凸係合構造からなる角度規定構造が第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70との間に設けられていると、先のストッパー56により第1アクチュエータジョイント69の連結座50に対する回り止めが図られていることと相俟って、アクチュエータ60の不用意な回転を防止して、アクチュエータ60の姿勢角度を確実に規定することができる。
以上のような構成からなるバタフライ弁1では、以下の手順で弁ハウジング3に対してアクチュエータ60を連結して自動制御タイプの弁装置を得ることができる。まず、第1継手12・12が向かい合うように分割ケース8・8を配したのち、これら分割ケース8・8の間にパッキン7と弁ユニット35を配置させて、第1継手12・12どうしをクランプバンド10で連結して弁ハウジング3を構成する。より具体的には、分割ケース8・8の上下に設けられた溝22・22で構築される軸受孔23を介して、弁ケース9の上下から操作軸6の上軸30と下軸31とを突出させる。このとき操作軸6の上軸30と下軸31のそれぞれには予め樹脂ベアリング36が装着されており、当該操作軸6は、これら樹脂ベアリング36・36を介して軸受孔23内で回転自在に構成される。次にアーム41の連結座50に設けられた貫通孔54を操作軸6の上軸30に挿通させたのち、もう一方のアーム42を閉じることにより、アーム41・42で第1継手12・12の全体を包持させる。そして、ボルト47を揺動させてU字溝49内に嵌め込んだのち、蝶ナット48を締め付けることで弁ハウジング3を組み立てることができる。
次に、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76・76と連結座50の左右面52・53とを位置合せしたのち、連結座50の上方から第1アクチュエータジョイント69を落とし込む。これにより、連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69を仮組みさせることができる。かかる仮組み状態においては、ストッパー56である規制リブによりジョイント脚76・76の前端縁が受け止められることで、第1アクチュエータジョイント69が連結座50に対して不用意に回転することを防ぐことができる。以上のような仮組み状態から、ジョイント固定手段72により第1アクチュエータジョイント69を連結座50に固定する。具体的には、ジョイント脚76に設けられたボルト挿通孔77を介して連結座50の左右面52・53のそれぞれに設けられたボルト孔55にボルト97をねじ込むことで、第1アクチュエータジョイント69を連結座50に固定することができる。次に第1アクチュエータジョイント69の筒体73の上方開口を介して、上軸30の角軸部33にソケット部66を被せ付ける。これにより操作軸6にカップリング65を連結することができる。
次に、ジョイント連結手段71を用いて第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70とを連結する。具体的には、第1アクチュエータジョイント69の上フランジ74と第2アクチュエータジョイント70のフランジ79を突き合わせたのち、ジョイント用クランプバンド85の各アーム87・88・89を外周方向から包持させ、ボルト93を揺動させてU字溝95に嵌め込んで蝶ナット94を締め付ける。第1アクチュエータジョイント69の上フランジ74と第2アクチュエータジョイント70のフランジ79を突き合わせるとき、係合凸部98をいずれかの係合凹部99(99a〜99c)に凹凸係合させることで、両アクチュエータジョイント69・70の位置ずれを防止して、より容易にジョイント用クランプバンド85による連結作業を進めることができる。また、係合凸部98をいずれかの係合凹部99(99a〜99c)に凹凸係合させることで、先のストッパー56により第1アクチュエータジョイント69の回り止めが図られていることと相俟って、アクチュエータ60の姿勢角度を確実に規定することができる。
以上のように、ジョイント用クランプバンド85により両アクチュエータジョイント69・70を連結することで、アクチュエータ60を弁ハウジング3に連結して、自動制御タイプの弁装置を得ることができる。なお、予め第2アクチュエータジョイント70は、アクチュエータ60のケーシング61の下面にビス83で固定されており、両アクチュエータジョイント69・70のフランジ74・79どうしを突き合わせたとき、カップリング65のプラグ部67がアクチュエータ60の出力軸62に嵌入されることで、当該カップリング65を介して出力軸62と操作軸6とは連結される。
メンテナンス等によりバタフライ弁1を分解するときには、先の組立てとは逆の手順を採ればよい。具体的には、まず、ジョイント用クランプバンド85を取り外して、両アクチュエータジョイント69・70の連結状態を解除する。次にカップリング65を操作軸6から抜き出したのち、ボルト97・97を弛緩操作して、第1アクチュエータジョイント69を連結座50から取り外す。最後に、クランプバンド10を分割ケース8・8から取り外す。以上より、バタフライ弁1を分解することができる。
ハンドル100と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成されたハンドルホルダー101と、ハンドルホルダー101に対するハンドル100の装着を担うハンドル装着手段102と、弁ハウジング3に対するハンドルホルダー101の固定を担うホルダー固定手段103とで構成される。図1、図7においてハンドルホルダー101は、操作軸6の挿通を許す貫通孔105を有するホルダー主壁106と、ホルダー主壁106の下面から下方に向けて突設された左右一対のホルダー脚107とを有し、これら各部材106・107を一体に形成したステンレス成形品からなる。ホルダー主壁106は、その右半部に形成されて、貫通孔105と同心軸状に形成された部分円弧状の外周縁を有するベース部108と、ベース部108の外周縁の端部(前後端)に設けられて前後方向に突出する掛止片109・109とを備える。ベース部108の外周縁には、弁体5の開角度を規定するための節度機構を構成するノッチ110が等角度に連続して刻設されている。
ハンドルホルダー101の連結座50に対する装着構造は、先の第1アクチュエータジョイント69のそれと同等である。すなわち、図9に示すように、第1アクチュエータジョイント69の左右のジョイント脚76・76の内面どうしの対向寸法(w1)と、ハンドルホルダー101の左右のホルダー脚107・107の内面どうしの対向寸法(w2)とが同一寸法(w1=w2)に設定されている。また、第1アクチュエータジョイント69のジョイント脚76の前後方向の幅寸法(w3)と、ハンドルホルダー101のホルダー脚107の前後方向の幅寸法(w4)とが同一寸法(w3=w4)に設定されている。
図6、図7においてハンドル100は、操作軸6の上端にネジ112により固定される固定レバー113と、固定レバー113の下方に設けられて、該固定レバー113に設けられたレバー軸114を中心に回動可能に連結された可動レバー115とを有する操作レバーである。ネジ112は、ネジ部116、筒部117、肩部118、及び操作頭部119を有し、下方から上方に行くに従って各部位の外径寸法が大きくなる肩付きネジであり、操作頭部119の外周面には滑り止め用のローレット120が刻設されている。固定レバー113の中央には、ネジ112を受け入れる軸孔121が貫通状に形成されている。軸孔121は、操作軸6の上端を受け入れる角孔状のソケット部122と、ソケット部122の上方に形成されたネジ部116用の第1挿通孔123と、第1挿通孔123の上方に設けられて、該第1挿通孔123よりも大径に形成された筒部117用の第2挿通孔124とを有する段付孔である。
連結座50にハンドルホルダー101を装着したとき、ホルダー主壁106の貫通孔105を介して操作軸6の角軸部33は上方に突出しており、かかるホルダー主壁106から突出する操作軸6の角軸部33に固定レバー113のソケット部122を装着したうえで、軸孔121にネジ112を挿入し、操作軸6の上端に設けられたネジ穴34にネジ部116を螺合させることで、ハンドル100を操作軸6に固定するとともに、ハンドルホルダー101を連結座50に装着固定することができる。すなわち、ネジ112、及びネジ穴34等は、ハンドルホルダー101に対するハンドル100の装着を担うハンドル装着手段102だけでなく、弁ハウジング3に対するハンドルホルダー101の固定を担うホルダー固定手段103として機能する。かかるネジ穴34に対するネジ部116の螺合状態において、ネジ112の筒部117の下端が第2挿通孔124の下端面に受け止められることで、ネジ112の下方への移動限界、すなわちネジ112の締結限界が規定されている。
固定レバー113に対してレバー軸114を中心に揺動可能に構成された可動レバー115の下面には、ノッチ110に係合するロック爪(ロック片)126が設けられており、ロック爪126がノッチ110に係合することで、弁体5の姿勢角度が維持されるようになっている。可動レバー115は、ロック爪126がノッチ110に係合するロック姿勢(図8において実線で示す姿勢)と、ロック爪126とノッチ110との間の係合状態が解除されるアンロック姿勢(図8において仮想線で示す姿勢)との間で、レバー軸114を中心に揺動可能に構成されており、両レバー113・115の間に配された捻りコイル状のバネ127により、常態において可動レバー115はロック姿勢に付勢されている(図6参照)。可動レバー115がロック姿勢にある状態から、操作者が両レバー113・115の把持部を握り締めることで、可動レバー115をアンロック姿勢に変位させることができ、当該アンロック姿勢を維持したままで、ハンドル100を回転操作することで、操作軸6を回転させて弁体5を所定角度に変位させることができる。また、ハンドル110を回転操作したのちに、ハンドル100から手を離すことで、可動レバー115がアンロック姿勢からロック姿勢に変位し、これにてロック爪126のノッチ110に対する係合状態が確立されることで、ハンドル100及び弁体5を所定角度に維持することができる。ハンドル100の回転限界は、ホルダー主壁106に設けられた掛止片109にロック爪126が当接することで規制される。
以上のような構成からなるバタフライ弁1では、以下の手順で弁ハウジング3に対してハンドル100を連結して手動操作タイプの弁装置を得ることができる。まず、先の自動制御タイプの場合と同様の手順で弁ハウジング3を構成する。具体的には、第1継手12・12が向かい合うように分割ケース8・8を配したのち、これら分割ケース8・8の間にパッキン7と弁ユニット35を配置させて、第1継手12・12どうしをクランプバンド10で連結して弁ハウジング3を構成する。
次に、ハンドルホルダー101のホルダー脚107・107と連結座50の左右面52・53とを位置合せしたのち、連結座50の上方からハンドルホルダー101を落とし込むことにより、連結座50に対してハンドルホルダー101を仮組みさせることができる。かかる仮組み状態においては、ストッパー56である規制リブによりホルダー脚107・107の前端縁が受け止められることで、ハンドルホルダー101が連結座50に対して不用意に回転することを防ぐことができる。以上のような仮組み状態から、ホルダー主壁106から突出する操作軸6の角軸部33に固定レバー113のソケット部122を装着したうえで、軸孔121にネジ112を挿入し、操作軸6の上端に設けられたネジ穴34にネジ部116を螺合させることで、ハンドル100を操作軸6に固定するとともに、ハンドルホルダー101を連結座50に装着固定することができる。これによりハンドル100を弁ハウジング3に連結して、手動操作タイプの弁装置を得ることができる。
また、ネジ112を弛緩操作して操作軸6からネジ112を取り外し、弁ハウジング3からハンドル100を分離したのち、クランプバンド10を分割ケース8・8から取り外すことで、バタフライ弁1を分解することができる。
以上のように本実施例に係るバタフライ弁1では、弁ハウジング3に対して、弁体5を自動で開閉制御するアクチュエータ60と、弁体5を手動で開閉操作するハンドル100のいずれか一方を選択的に連結できるように構成したので、自動制御タイプと手動操作タイプのいずれのタイプの弁装置においても、弁ハウジング3、弁体5、操作軸6などの多くの構成部材を共用化することができる。従って本実施例のバタフライ弁1によれば、自動制御タイプと手動操作タイプという操作方式の異なる2種の弁装置を品揃えする場合において、弁ハウジング3、弁体5、操作軸6などの各構成部材の製造コストや管理コストなどを抑えることができるので、バタフライ弁1の大幅なコストダウンを図ることができる。
また、クランプバンド10に設けられた連結座50に対して、第1アクチュエータジョイント69とハンドルホルダー101とを付け替えるだけで、バタフライ弁1を自動制御タイプと手動操作タイプに切り換えることができるので、複数個のネジ締結構造により弁ハウジングに対してアクチュエータやハンドルが装着されている構成(特許文献5参照)に比べて、自動制御と手動操作のタイプの切り換え作業を、より少ない手間で簡便に行うことができる。
自動制御タイプでは、ジョイント用クランプバンド85を含むヘルール式継手構造により第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70とを連結したので、両アクチュエータジョイント69・70の連結や分離を容易に行うことができ、組立て作業性や分解作業性に優れた自動制御タイプのバタフライ弁1を得ることができる。同様に、手動操作タイプでは、一つのネジ締結構造からなるハンドル装着手段102によりハンドルホルダー101とハンドル100を装着したので、ハンドル100の連結や分離を容易に行うことができ、組立て作業性や分解作業性に優れた手動操作タイプのバタフライ弁1を得ることができる。以上のように、本実施例に係るバタフライ弁1によれば、自動制御と手動操作のいずれのタイプにおいても、優れた組立て作業性や分解作業性を確保することができる。
連結座50に、第1アクチュエータジョイント69及びハンドルホルダー101の回り止め用のストッパー56が設けられていると、連結座50に対して第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101を仮組みした状態において、これら第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101が不用意に回転することを防ぐことができる。これによれば、連結座50に対する第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101の姿勢合せや位置合せと、その後の固定動作を容易に行うことができるので、第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101の組み付け作業をより簡便化することができる。
上記実施例においては、本発明の弁装置をバタフライ弁に適用した例を示したが、本発明はバタフライ弁に限られず、例えばボール弁などにも適用できる。アクチュエータ60は、空気圧式に限られず、油圧式や電動式であってもよい。クランプバンド10を構成するアームは2つに限らず、3つ以上のアームを備えるものであっても良い。
一般的に弁装置には、弁体を自動で開閉制御するアクチュエータ、或いは弁体を手動で開閉操作するハンドルのいずれか一方が装着される。弁体を内蔵する弁ハウジングとアクチュエータとの連結構造として、ヘルール式継手構造を採用することは、例えば特許文献1に開示された公知技術である。また、弁ハウジングとハンドルとの連結構造としてネジ締結構造を採用することも、例えば特許文献3、4に開示された公知技術である。ヘルール式継手構造が組立性や分解性に優れており、かかるヘルール式継手構造を用いて弁ハウジングとアクチュエータとを連結すると、工具を用いることなく、弁装置の組立・分解を容易に行うことができることも広く知られた技術である。
本発明は、左右一対の分割ケース8・8と、これら分割ケース8・8を着脱可能に連結するクランプバンド10とで構成される弁ハウジング3と、弁ハウジング3内に設けられた流体流路4を開閉する弁体5と、弁体5を開閉操作する操作軸6とを備える弁装置を対象とする。弁ハウジング3の上方には、弁体5を自動で開閉制御するアクチュエータ60と、弁体5を手動で開閉操作するハンドル100のいずれか一方が選択的に連結可能に構成されている。アクチュエータ60と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成された第1アクチュエータジョイント69と、アクチュエータ60側に設けられた第2アクチュエータジョイント70と、両アクチュエータジョイント69・70の連結固定を担う、ジョイント用クランプバンド85を含むヘルール式継手構造からなるジョイント連結手段71と、弁ハウジング3に対する第1アクチュエータジョイント69の固定を担うジョイント固定手段72とを含む。ハンドル100と弁ハウジング3との連結構造は、弁ハウジング3に対して着脱可能に構成されたハンドルホルダー101と、ハンドルホルダー101に対するハンドル100の装着を担うネジ締結構造からなるハンドル装着手段102と、弁ハウジング3に対するハンドルホルダー101の固定を担うホルダー固定手段103とを含む。そして、クランプバンド10にアクチュエータ60の連結とハンドル100の連結の両用途に共用できる一つの連結座50が設けられており、この連結座50に第1アクチュエータジョイント69又はハンドルホルダー101のいずれか一方を装着することで、アクチュエータ60とハンドル100のいずれか一方を弁ハウジング3に対して選択的に連結することができるように構成されている。
図4、図5、および図10に示すように、第1アクチュエータジョイント69と第2アクチュエータジョイント70との間には、アクチュエータ60の姿勢角度を規定するための角度規定構造が設けられている。この角度規定構造は、第1アクチュエータジョイント69の上フランジ74の上面に突設された一つの係合凸部98と、第2アクチュエータジョイント70のフランジ79の下面に凹み形成された3つの係合凹部99(99a、99b、99c)とからなる凹凸係合構造で構成される。係合凸部98は、上フランジ74の右端に形成されており、換言すれば平面視において後方向を12時方向としたときの3時の位置に係合凸部98は形成されている(図10参照)。係合凹部99a〜99cは、筒体78の同心位置上に45度ずつの等角度を置いて配置されており、係合凹部99aはフランジ79の右端(3時の位置)、係合凹部99cはフランジ79の後端(12時の位置)、および係合凹部99bは両係合凹部99a・99cの中間位置に形成されている(図10参照)。
固定レバー113に対してレバー軸114を中心に揺動可能に構成された可動レバー115の下面には、ノッチ110に係合するロック爪(ロック片)126が設けられており、ロック爪126がノッチ110に係合することで、弁体5の姿勢角度が維持されるようになっている。可動レバー115は、ロック爪126がノッチ110に係合するロック姿勢(図8において実線で示す姿勢)と、ロック爪126とノッチ110との間の係合状態が解除されるアンロック姿勢(図8において仮想線で示す姿勢)との間で、レバー軸114を中心に揺動可能に構成されており、両レバー113・115の間に配された捻りコイル状のバネ127により、常態において可動レバー115はロック姿勢に付勢されている(図6参照)。可動レバー115がロック姿勢にある状態から、操作者が両レバー113・115の把持部を握り締めることで、可動レバー115をアンロック姿勢に変位させることができ、当該アンロック姿勢を維持したままで、ハンドル100を回転操作することで、操作軸6を回転させて弁体5を所定角度に変位させることができる。また、ハンドル100を回転操作したのちに、ハンドル100から手を離すことで、可動レバー115がアンロック姿勢からロック姿勢に変位し、これにてロック爪126のノッチ110に対する係合状態が確立されることで、ハンドル100及び弁体5を所定角度に維持することができる。ハンドル100の回転限界は、ホルダー主壁106に設けられた掛止片109にロック爪126が当接することで規制される。