JP2020002449A - MnAl合金及びその製造方法 - Google Patents

MnAl合金及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020002449A
JP2020002449A JP2018125636A JP2018125636A JP2020002449A JP 2020002449 A JP2020002449 A JP 2020002449A JP 2018125636 A JP2018125636 A JP 2018125636A JP 2018125636 A JP2018125636 A JP 2018125636A JP 2020002449 A JP2020002449 A JP 2020002449A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mnal
phase
magnetic field
magnetic
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018125636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7234518B2 (ja
Inventor
佐藤 卓
Taku Sato
卓 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2018125636A priority Critical patent/JP7234518B2/ja
Priority to US16/452,872 priority patent/US11293085B2/en
Priority to CN201910565254.0A priority patent/CN110660552A/zh
Publication of JP2020002449A publication Critical patent/JP2020002449A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7234518B2 publication Critical patent/JP7234518B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/16Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of other metals or alloys based thereon
    • C22F1/18High-melting or refractory metals or alloys based thereon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/012Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials adapted for magnetic entropy change by magnetocaloric effect, e.g. used as magnetic refrigerating material
    • H01F1/015Metals or alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C22/00Alloys based on manganese
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25CPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC PRODUCTION, RECOVERY OR REFINING OF METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25C3/00Electrolytic production, recovery or refining of metals by electrolysis of melts
    • C25C3/36Alloys obtained by cathodic reduction of all their ions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D3/00Electroplating: Baths therefor
    • C25D3/66Electroplating: Baths therefor from melts
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Electrolytic Production Of Metals (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】幅広い温度でメタ磁性を示すMn系合金を提供する。【解決手段】本発明によるMnAl合金は、メタ磁性を有し、τ−MnAl相を含む結晶粒子とγ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子を有する。好ましくは、τ−MnAl相の比率をAとした場合、75%≦A≦99%を満たし、γ2−MnAl相の比率をBとし、β−MnAl相の比率をCとした場合、B<Cを満たす。これにより、幅広い温度、特に−100℃〜200℃の温度範囲でメタ磁性を得ることができるとともに、高い飽和磁化を得ることが可能となる。【選択図】図12

Description

本発明はMnAl合金及びその製造方法に関し、特に、メタ磁性を有するMnAl合金及びその製造方法に関する。
MnAl合金は、古くから磁性材料として知られている。例えば、特許文献1に開示されたMnAl合金は正方晶構造を有し、MnとAlの原子比を5:4とすることにより磁性を示すことが開示されている。また、特許文献2には、正方晶構造を有するMnAl合金からなる第一相と、AlMn結晶粒からなる第二相を混在させることにより、MnAl合金を保磁力の高い永久磁石として利用できることが示されている。
また、特許文献3に示されているように、Mnを主たる構成元素とする磁性材料の一部は、メタ磁性を示すことが知られている。メタ磁性とは、磁場により常磁性または反強磁性から強磁性に転移する性質である。メタ磁性を示すメタ磁性材料は、磁気冷凍器やアクチュエーター、限流器への応用が期待されている。
特公昭36−11110号公報 特開2017−45824号公報 特開2014−228166号公報
しかしながら、特許文献3に記載されたメタ磁性材料は、いずれも磁場による常磁性から強磁性への一次相転移を利用しているため、キュリー温度近傍でしかメタ磁性を発現しない。このため、現実的には限流器などへの応用が困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、幅広い温度でメタ磁性を示すMn系合金を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し目的を達成するために、本発明者は磁場による反強磁性から強磁性に転移するタイプのメタ磁性材料(以下、「AFM−FM転移型メタ磁性材料」という)に注目した。AFM−FM転移型メタ磁性材料は、反強磁性秩序がなくなるネール温度以下であればメタ磁性が発現するため、常磁性から強磁性に転移するタイプのメタ磁性材料(以下、「PM−FM転移型メタ磁性材料」という)のように、キュリー温度近傍という狭い温度帯に維持する必要がないからである。
AFM−FM転移型メタ磁性を実現するには、高い結晶磁気異方性を持ち、且つ、反強磁性を有することが必要となる。そこで、AFM−FM転移型メタ磁性材料として、単体で反強磁性を示すMnを用いたMn系磁性材料に着目し、様々な合金・化合物について検討を行った。その結果、Mn系合金の中でも強磁性を示す比較的稀有であるMnAl合金に反強磁性的な要素を付与することで、幅広い温度でメタ磁性を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、本発明によるMnAl合金は、メタ磁性を有し、τ−MnAl相を含む結晶粒子とγ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子を有することを特徴とする。
つまり、単体ではτ−MnAl相の結晶粒子は強磁性を示し、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子は非磁性を示すのであるが、これらが混在すると、τ−MnAl相に反強磁性が付与され、AFM−FM転移型のメタ磁性を示すのである。
また、τ−MnAl相の比率をAとした場合、75%≦A≦99%を満たすことにより、高い飽和磁化を得ることができ、95%≦A≦99%を満たすことにより、さらに高い飽和磁化を得ることができる。さらに、γ2−MnAl相の比率をBとし、β−MnAl相の比率をCとした場合、B<Cを満たすことにより、高い飽和磁化を得ることができ、0.01≦B/C≦0.17を満たすことにより、さらに高い飽和磁化を得ることができる。
また、本発明によるMnAl合金は、τ−MnAl相の磁気構造が反強磁性構造を持つことが好ましい。相転移前である無磁場において、反強磁性が安定となるMn系合金を用いることで、AFM−FM転移型メタ磁性材料が実現する。ここで、反強磁性状態の安定性が高すぎる場合は、磁場による強磁性への相転移を起こすことができない。一方、反強磁性の安定性が低すぎる場合は、無磁場又は非常に弱い磁場でも強磁性になる可能性がある。そして、MnAl合金は反強磁性状態の安定性が適度であることから、AFM−FM転移型メタ磁性を付与すれば、幅広い温度でメタ磁性を発現することができる。
AlサイトのMn量を調整することでτ−MnAl相が反強磁性化するメカニズムについて第一原理計算により検討を行ったところ、AlサイトのAl原子におけるp軌道価電子を介したMnサイトのMn同士の超交換相互作用にあることがわかった。超交換相互作用とは、遷移金属原子の3d軌道価電子が、配位子と呼ばれるp軌道価電子を有した原子におけるp軌道価電子との軌道混成を通して働く交換相互作用のメカニズムの一種である。ここで、遷移金属原子と、配位子と、結合を起こす遷移金属原子とのなす角度が180°に近い場合に、反強磁性結合を起こす。つまり、τ−MnAl相におけるMnサイトのMnと、配位子であるAlサイトのAlと、Mnサイトから(1,1,0)及び(1,1,1)方向のMnのなす角度は180°に近く、反強磁性結合を起こしたことが原因であることがわかった。加えて、AlサイトにMn原子が置換した場合、MnサイトのMn同士に超交換相互作用は生じず、反強磁性的な磁気構造は取りづらくなることもわかった。これらの結果から、τ−MnAl相におけるAlサイトのMn量を調整することで、反強磁性の安定性が調整できることがわかった。
本発明によるMnAl合金の製造方法は、Mn化合物およびAl化合物を含む溶融塩を350℃以上、450℃以下の温度で電解することによってMnAl合金を析出させる工程と、MnAl合金を400℃以上、600℃未満の温度で熱処理する工程とを備えることを特徴とする。このように、所定の温度で溶融塩電解法によって形成したMnAl合金を所定の温度で熱処理することにより、MnAl合金にメタ磁性を付与することが可能となるとともに、高い飽和磁化を得ることが可能となる。
このように、本発明によれば、幅広い温度でメタ磁性を示すMnAl合金を提供することが可能となる。
図1は、本実施形態によるMnAl合金の結晶粒子を示す模式図である。 図2は、各種磁性材料の磁気特性を示すグラフである。 図3は、メタ磁性を有するMnAl合金の磁気特性を示すグラフであり、第1象限(I)のみを示している。 図4は、メタ磁性を有するMnAl合金の磁気特性を示す別のグラフである。 図5は、図4に示す特性の微分値を示すグラフである。 図6は、図4に示す特性の二回微分値を示すグラフである。 図7は、MnAl合金を製造するための電析装置の模式図である。 図8は、MnAl合金の模式的な相図である。 図9は、実施例の評価結果を示す第1の表である。 図10は、比較例2、実施例5〜8及び比較例9のXRD測定結果を示す図である。 図11は、比較例6、実施例21〜24及び比較例13のXRD測定結果を示す図である。 図12は、比較例6及び実施例23のXRD測定結果を拡大して示す図である。 図13(a)〜(c)は、図9に示した最大磁化、τ相比率、およびγ2相/β相強度比率を電析温度及び熱処理温度ごとに纏め直した表である。 図14は、実施例の評価結果を示す第2の表である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態及び実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態及び実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択してもよい。
メタ磁性とは、磁場により常磁性(PM:Paramagnetic)もしくは反強磁性(AFM:Anti−Ferromagnetic)から強磁性(FM:Ferromagnetic)に一次相転移する性質を指す。磁場による一次相転移とは、磁場に関する磁化の変化が不連続になる点をもつことを指す。メタ磁性材料は、磁場により常磁性から強磁性に転移するPM−FM転移型メタ磁性材料と、磁場により反強磁性から強磁性に転移するAFM−FM転移型メタ磁性材料に分類される。PM−FM転移型メタ磁性材料は、キュリー温度の近傍でのみ一次相転移が生じるのに対し、AFM−FM転移型メタ磁性材料は、反強磁性状態が消失するネール温度以下であれば一次相転移が生じる。そして、本実施形態によるMnAl合金は、AFM−FM転移型メタ磁性材料であることから、幅広い温度でメタ磁性を発現する。
図1は、本実施形態によるMnAl合金の結晶粒子を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態によるMnAl合金は、τ−MnAl相を含む結晶粒子10と、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子20を有している。τ−MnAl相を含む結晶粒子10はそれ単体で強磁性を有する相であり、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子20はそれ単体で強磁性を持たない相である。τ−MnAl相を含む結晶粒子10は、双晶であっても構わない。そして、τ−MnAl相を含む結晶粒子10と、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子20が混在することにより、AFM−FM転移型メタ磁性を実現し、幅広い温度でのメタ磁性を得ることができる。τ−MnAl相は正方晶構造を有する結晶相であり、単体では強磁性を有しているが、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相が混在することにより、τ−MnAl相に反強磁性が付与され、メタ磁性を発現する。
γ2−MnAl相とは、他にもAlMn相、Mn11Al15相、r−MnAl相、γ−MnAl相と呼ばれるが、菱面体晶構造を持ち、格子定数a及びbが1.26nm、cが0.79nm程度、Alに対するMnの比率が31〜47原子%程度を有する結晶相を指す。
β−MnAl相とは、立方晶構造を持ち、格子定数が0.64nm程度、Alに対するMnの比率が60〜98原子%程度を有する結晶相を指す。
本実施形態においては、MnAl合金に含まれるτ−MnAl相の磁気構造が反強磁性構造を有している。反強磁性構造とは、磁性体の磁化の起源となるスピンが空間的に周期的な構造を持ち、磁性体全体としての磁化(すなわち自発磁化)を持たない構造を指し、スピンが空間的な周期性を持たず無秩序な磁気構造を持ち磁性体全体としての磁化を持たない常磁性構造とは異なる。相転移前である無磁場において、反強磁性が安定となるMnAl合金を用いることで、AFM−FM転移型メタ磁性材料が実現する。ここで、反強磁性状態の安定性が高すぎる場合は、強磁性への磁気相転移に必要な磁場が大きくなりすぎ、実質的に磁場による磁気相転移を起こすことができない。一方、反強磁性の安定性が低すぎる場合は、無磁場又は非常に弱い磁場でも強磁性になる可能性がある。そして、MnAl合金は反強磁性状態の安定性が調整し、AFM−FM転移型メタ磁性を付与すれば、幅広い温度でメタ磁性を発現することができる。
τ−MnAl相を含む結晶粒子10は、反強磁性構造を持つτ−MnAl相のみで構成されることが好ましいが一部に強磁性や常磁性、フェリ磁性構造を含んでいても構わない。また、メタ磁性を有する限り、MnAl合金におけるτ−MnAl相の反強磁性構造は、スピン軸が一定であるコリニア型反強磁性構造でも、スピン軸が一定でないノンコリニア型反強磁性構造でも構わないが、長周期の磁気構造となる反強磁性構造の方が反強磁性から強磁性に転移することに必要な磁場が小さくなり、応用上好ましい。
τ−MnAl相を含む結晶粒子10に反強磁性構造を持たせるためには、τ−MnAl相におけるAlサイトがAlに占有されることが好ましいが、Alサイトを占有する原子は、p軌道価電子を持つ限りどのような原子でも構わない。具体的には、p軌道価電子を持つB、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、O、S,Se、Te、Po、F、Cl、Br、I、Atがその候補となりうる。
本実施形態によるMnAl合金は、τ−MnAl相の組成式をMnAl100−aで表した場合、48≦a<55を満たしていることが好ましい。a<48であるτ−MnAl相は、AlサイトのMn量が少なくなり、反強磁性状態の安定性が非常に高く、磁気相転移に必要な磁場が大きくなり、応用上好ましくない。a≧55であるτ−MnAl相は、MnがAlよりも多く含まれることからAlサイトにMnが置換されやすい。Alサイトに置換したMnは、MnサイトのMnと反強磁性的に結合することで、MnサイトのMn間が強磁性的な結合を起こし、τ−MnAl相全体としてはフェリ磁性化することで、メタ磁性が得にくくなる。τ−MnAl相のMnの割合を48≦a<55とし、無磁場での反強磁性状態の安定性を調整することで、AFM−FM転移型メタ磁性を実現し、幅広い温度でのメタ磁性を得ることができる。
本実施形態によるMnAl合金は、τ−MnAl相を含む結晶粒子10と、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子20のみで構成されることが好ましいが、メタ磁性を有する限り、アモルファス相などの異相を含んでいても構わない。また、メタ磁性を有する限り、Mnサイト又はAlサイトの一部がFe、Co、Cr、Niなどの元素で置換された多元系MnAl合金であっても構わない。
MnAl合金中におけるMnとAlの組成比については特に限定されないが、Mnが45原子%以上、55原子%未満であり、Alが45原子%超、55原子%以下であることが好ましく、Mnが45原子%以上、52原子%以下であることが特に好ましい。つまり、MnAl合金の組成式をMnAl100−bで表した場合、45≦b<55を満たすことが好ましく、45≦b≦52を満たすことが特に好ましい。MnとAlの組成比をこの範囲に設定すれば、τ−MnAl相を含む結晶粒子10と、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子20が混在しやすくなる。
MnAl合金中におけるMnの割合は、後述する電析時の温度によって制御することが可能である。具体的には、電析温度が高くなるほど、τ−MnAl相におけるMnの割合が高くなる傾向がある。
ここで、τ−MnAl相の比率をAとした場合、75%≦A≦99%を満たすことが好ましい。これによれば、MnAl合金の飽和磁化を高めることが可能となる。特に、95%≦A≦99%を満たすことにより、MnAl合金の飽和磁化をより高めることが可能となる。また、γ2−MnAl相の比率をBとし、β−MnAl相の比率をCとした場合、B<Cを満たすことが好ましい。これによれば、MnAl合金の飽和磁化を高めることが可能となる。特に、0.01≦B/C≦0.17を満たすことにより、MnAl合金の飽和磁化をより高めることが可能となる。これは、メタ磁性を有するMnAl合金の飽和磁化がτ−MnAl相の比率Aによってのみ決まるのではなく、γ2−MnAl相とβ−MnAl相の比率B/Cにも依存することを示唆している。
図2は、各種磁性材料の磁気特性を示すグラフであり、第1軸である横軸(X軸)は磁場Hを示し、第2軸である縦軸(Y軸)は磁化Mを示している。図2において、符号AFM−FMは本実施形態によるMnAl合金の磁気特性を示し、符号SMは一般的な軟磁性材料の磁気特性を示し、符号HMは一般的な硬磁性材料の磁気特性を示している。
図2において符号SMで示すように、一般的な軟磁性材料は、低磁場領域においては透磁率が高く容易に磁化される一方、磁場強度が所定値を超えると磁気飽和を起こし、それ以上はほとんど磁化されないという特性を示す。言い換えれば、磁気飽和しない磁場領域では、磁場Hに対する磁化Mの微分値が大きく、磁気飽和する磁場領域では、磁場Hに対する磁化Mの微分値が小さくなる。また、一般的な軟磁性材料は、ヒステリシスが無い、或いは、ヒステリシスが非常に小さいことから、符号SMで示す特性曲線は、グラフの原点又はその近傍を通る。したがって、符号SMで示す特性曲線は、グラフの第1象限(I)及び第3象限(III)に現れ、第2象限(II)及び第4象限(IV)には実質的に現れない。
図2において符号HMで示すように、一般的な硬磁性材料は大きなヒステリシスを有しており、磁場がゼロであっても磁化された状態が維持される。このため、符号HMで示す特性曲線は、グラフの第1象限(I)〜第4象限(IV)の全てに現れる。
これらの一般的な強磁性材料に対し、本実施形態によるMnAl合金は、グラフの第1象限(I)及び第3象限(III)において符号AFM−FMで示すように、低磁場領域においては透磁率が低いためほとんど磁化されず、中磁場領域においては透磁率が高くなって容易に磁化され、さらに、強磁場領域になると磁気飽和を起こし、それ以上はほとんど磁化されないという特性を示す。後述する電析条件及び熱処理条件によっては、第1象限(I)及び第3象限(III)内において僅かにヒステリシスが存在するが、残留磁化はゼロ又は非常に小さいため、符号AFM−FMで示す特性曲線は実質的にグラフの原点を通る。符号AFM−FMで示す特性曲線が厳密にグラフの原点を通らない場合であっても、横軸又は縦軸の原点近傍を通ることになる。このことは、本実施形態によるMnAl合金が初期状態であるか、或いは、繰り返し磁場を印加した後の状態であるかにかかわらず、同じ磁気特性が得られることを意味する。
図3は、本実施形態によるMnAl合金の磁気特性を示すグラフであり、第1象限(I)のみを示している。
図3を用いて本実施形態によるMnAl合金の磁気特性についてより具体的に説明すると、磁場Hが無い状態から磁場を高めていくと、第1の磁場強度H1までの領域(第1の磁場領域MF1)においては透磁率が低く、このため磁化Mの増加は僅かである。グラフの傾き、つまり、磁場Hに対する磁化Mの微分値は透磁率に連動する。第1の磁場領域MF1における透磁率は非磁性材料の透磁率と同程度であり、したがって、第1の磁場領域MF1においては実質的に非磁性材料として振る舞う。
一方、第1の磁場強度H1から第2の磁場強度H2までの領域(第2の磁場領域MF2)においては透磁率が急激に高くなり、磁化Mの値は大幅に増加する。つまり、磁場を高めていくと、第1の磁場強度H1を境として透磁率が急激に増加する。第2の磁場領域MF2における透磁率は軟磁性材料の透磁率に近く、したがって、第2の磁場領域MF2においては軟磁性的に振る舞う。
さらに磁場を高めることによって第2の磁場強度H2を超えると(第3の磁場領域MF3)、磁気飽和を起こし、グラフの傾き、つまり透磁率は再び低下する。
逆に、第3の磁場領域MF3から磁場を弱めていき、第3の磁場強度H3を下回ると、第4の磁場強度H4までの領域で再び透磁率が高くなる。そして、第4の磁場強度H4を下回ると透磁率が低下し、再び非磁性材料として振る舞う。このように、第1象限(I)内においてはヒステリシスを有しているものの、残留磁化はほとんど存在しないため、磁場Hを一旦ゼロ近辺に戻せば、再び上述した特性と同じ特性が得られる。
尚、図2及び図3に示したグラフは縦軸が磁化Mであるが、縦軸を磁束密度Bに置き換えても、同様の関係が成り立つ。
図4は、本実施形態によるMnAl合金の磁気特性を示す別のグラフであり、第1軸である横軸は磁場Hを示し、第2軸である縦軸は磁束密度Bを示している。
図4に示すように、縦軸を磁束密度Bに置き換えた場合であっても、本実施形態によるMnAl合金の磁気特性は、グラフの第1象限(I)において同様の特性曲線を描く。つまり、低磁場である第1の磁場領域MF1においては傾きが小さく、中磁場である第2の磁場領域MF2においては傾きが急激に大きくなり、強磁場である第3の磁場領域MF3においては傾きが再び小さくなる。また、図4に示すグラフにおいても、本実施形態によるMnAl合金の磁気特性を示す特性曲線は実質的に原点を通り、厳密にグラフの原点を通らない場合であっても、横軸又は縦軸の原点近傍を通る。
図5は図4に示す特性の微分値を示すグラフであり、図6は図4に示す特性の二回微分値を示すグラフである。図5に示す特性は、本実施形態によるMnAl合金の微分透磁率に相当する。
図5に示すように、図4に示す特性を一回微分すると、第2の磁場領域MF2において微分値が極大となる。第1の磁場領域MF1及び第3の磁場領域MF3では、微分値は小さい値のままである。そして、図6に示すように、図4に示す特性を二回微分すると、第2の磁場領域MF2において二回微分値が正の値から負の値に反転する。第1の磁場領域MF1及び第3の磁場領域MF3では、二回微分値はほぼゼロである。このように、本実施形態によるMnAl合金は、磁場Hに対して磁束密度Bを二回微分すると、二回微分値が正の値から負の値に反転するという特徴を有している。
本実施形態によるMnAl合金は、Mn化合物とAl化合物を混合溶解した溶融塩を電解することによってMnAl合金を析出させた後、このMnAl合金を所定の温度で熱処理することによって得られる。
図7は、MnAl合金を製造するための電析装置の模式図である。
図7に示す電析装置は、ステンレス製の密閉容器1の内部に配置されたアルミナ坩堝2を備えている。アルミナ坩堝2は溶融塩3を保持するものであり、密閉容器1の外部に配置された電気炉4によってアルミナ坩堝2内の溶融塩3が加熱される。アルミナ坩堝2内には、溶融塩3に浸漬する陰極5及び陽極6が設けられており、これら陰極5及び陽極6には、定電流電源装置7を介して電流が供給される。陰極5はCuからなる板状体であり、陽極6はAlからなる板状体である。アルミナ坩堝2内の溶融塩3は、攪拌機8によって攪拌することが可能である。また、密閉容器1の内部は、ガス経路9を介して供給されるNなどの不活性ガスで満たされる。
溶融塩3は、少なくともMn化合物およびAl化合物を含む。Mn化合物としてはMnClを用いることができ、Al化合物としてはAlCl、AlF、AlBr又はAlNaを用いることができる。Al化合物はAlCl単独であっても構わないし、その一部をAlF、AlBr又はAlNaによって置換しても構わない。
溶融塩3は、上述したMn化合物およびAl化合物の他に、別のハロゲン化物を添加しても構わない。別のハロゲン化物としては、NaCl、LiCl又はKClなどのアルカリ金属ハロゲン化物を選択することが好ましく、アルカリ金属ハロゲン化物にLaCl、DyCl、MgCl、CaCl、GaCl、InCl、GeCl、SnCl、NiCl、CoCl、FeClなどの希土類ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、典型元素ハロゲン化物、遷移金属ハロゲン化物などを添加しても構わない。
このようなMn化合物、Al化合物及び別のハロゲン化物をアルミナ坩堝2にチャージし、電気炉4によって加熱溶融させることによって、溶融塩3を得ることができる。また、溶融塩3の組成分布が均一となるよう、溶融直後は攪拌機8によって溶融塩3を十分に攪拌することが好ましい。
溶融塩3の電解は、定電流電源装置7を介して陰極5と陽極6との間に電流を流すことによって行う。これにより、陰極5にMnAl合金を析出させることができる。電解中における溶融塩3の加熱温度は、200℃以上、500℃以下とすることが好ましく、電気量については、電極面積1cm当たりの電気量を15mAh以上、150mAhとすることが好ましい。電解中においては、密閉容器1の内部をNなどの不活性ガスで満たすことが好ましい。
また、陰極5と陽極6との間に流す電流は、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量を50mAh以上とすることにより、陰極5に粉末状のMnAl合金を析出させることができる。これは、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度が高いほど析出が促進されるとともに、単位電極面積当たりの電気量が多いほど析出が促進される結果、上記の数値範囲(50mAh以上)を満たすことによって、析出するMnAl合金が粉末状になりやすくなるからである。陰極5に析出するMnAl合金が粉末状であれば、電解を長時間行ってもMnAl合金の析出が停止することがないため、MnAl合金の生産性を高めることができる。また、得られた粉状体のMnAl合金を圧縮成形することによって、任意の製品形状を得ることも可能となる。
溶融塩3中におけるMn化合物の初期濃度は、0.2mass%以上であることが好ましく、0.2mass%以上、3mass%以下であることがより好ましい。また、電解中にMn化合物を追加投入することによって、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度を維持することが好ましい。追加投入するMn化合物は、粉末状あるいは粉末を成形したペレット状とし、これを溶融塩3に連続的又は定期的に追加すればよい。このように、溶融塩3の電解中にMn化合物を追加投入すれば、電解の進行に伴うMn化合物の濃度低下が抑制され、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度を所定値以上に維持することができる。これにより、析出するMnAl合金の組成のばらつきを抑制することが可能となる。
電解によって析出したMnAl合金の組成は、Mnが45原子%以上、55原子%未満であり、Alが45原子%超、55原子%以下である場合、ほぼ全体がτ−MnAl相の状態で析出する。そして、τ−MnAl相のMnAl合金に対して400℃以上、600℃未満の熱処理を施すと、τ−MnAl相の一部がγ2−MnAl相又はβ−MnAl相に変化する。これは、熱処理によってAlの移動が生じる結果、Al濃度が上昇したAlリッチな領域がγ2−MnAl相に変化するとともに、Al濃度が低下した領域はτ−MnAl相となるためであると考えられる。また、熱処理によってMnの移動が生じる結果、Mn濃度が上昇したMnリッチな領域がβ−MnAl相に変化するとともに、Mn濃度が低下した領域はτ−MnAl相となるためであると考えられる。そして、τ−MnAl相、γ2−MnAl相、β−MnAl相の割合は、電析温度および熱処理温度によって変化する。
また、熱処理後におけるγ2−MnAl相とβ−MnAl相の比率(B/C)は、τ−MnAl相のMn濃度に依存し、τ−MnAl相におけるMn濃度が低いほどγ2−MnAl相の割合(B)が多くなり、τ−MnAl相におけるMn濃度が高いほどβ−MnAl相の割合(C)が多くなる。ここで、Mn濃度が高いτ−MnAl相は、最大磁化の値が大きい傾向がある。
図8は、MnAl合金の模式的な相図であり、横軸はMn比率を示し、縦軸は温度を示している。但し、図8に示す相図は一部予測によるものであり、全てが実測結果に基づくものではない。
図8に示すように、Mnの原子比率が50%であるMnAl合金を電析法によって作製した場合、ほぼ全体がτ相となるが、Mnの原子比率は所定の分布が発生する。つまり、Mnの原子比率が高い部分や、Mnの原子比率が低い部分などが存在する。そして、このMnAl合金に対して熱処理を行うと、Al及びMnの移動によってτ−MnAl相の一部がγ2−MnAl相又はβ−MnAl相に変化する。図8において黒丸で示すポイントが各温度において存在する相を示しており、温度が高くなるほどτ−MnAl相のMn比率が高くなる領域Aと、温度が低くなるほどτ−MnAl相のMn比率が高くなる領域Bが存在する。領域Aにおいては、温度が高くなってもγ2−MnAl相のMn比率はほとんど変わらず、領域Bにおいては、温度が低くなってもβ−MnAl相のMn比率はほとんど変わらない。このことから、熱処理によってAlの移動が発生すると、移動するAlを取り込んだ領域がγ2−MnAl相に変化する一方、Alを失った領域のMn濃度が徐々に高まると考えられ、熱処理によってMnの移動が発生すると、移動するMnを取り込んだ領域がβ−MnAl相に変化する一方、Mnを失った領域のMn濃度が徐々に低下すると考えられる。
しかしながら、熱処理温度が所定値を超えるとτ−MnAl相が存在できなくなり、γ2−MnAl相とβ−MnAl相が混合した状態となる。この状態になるとτ−MnAl相が存在しないことから、磁性が失われる。
このようなメカニズムにより、熱処理温度によってτ−MnAl相、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相の割合が変化するとともに、τ−MnAl相のMn濃度が変化するものと予想される。そして、τ−MnAl相の比率をAとし、γ2−MnAl相の比率をBとし、β−MnAl相の比率をCとした場合、75%≦A≦99%、好ましくは95%≦A≦99%を満たし、B<C、好ましくは0.01≦B/C≦0.17を満たすことにより、メタ磁性を有するMnAl合金の飽和磁化を高めることが可能となる。
本実施形態によるMnAl合金は、様々な電子部品に応用することが可能である。例えば、本実施形態によるMnAl合金を磁心として用いれば、リアクトル、インダクタ、限流器、電磁アクチュエーター、モータなどへの応用が可能である。また、本実施形態によるMnAl合金を磁気冷凍作業物質として用いれば、磁気冷凍機への応用が可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
<溶融塩電解法によるMnAl合金の作製>
まず、図7に示す構造を有する電析装置を用意した。陰極5は、溶融塩3への浸漬面積が5cm×8cmとなるよう切断した厚み3mmのCu板を用い、陽極6は、溶融塩3への浸漬面積が5cm×8cmとなるよう切断した厚み3mmのAl板を用いた。
次に、Al化合物である無水AlClと、別のハロゲン化物であるNaClをそれぞれ50mol%ずつ秤量し、Mn化合物として予め脱水処理したMnClを1mass%秤量し、総重量が1200gとなるようアルミナ坩堝2に投入した。したがって、MnClの量は12gである。脱水処理は、MnCl水和物をNガスなどの不活性雰囲気中で約400℃、4時間以上加熱することにより行った。
材料が投入されたアルミナ坩堝2を密閉容器1の内部に移動し、電気炉4によって材料を350℃に加熱することによって溶融塩3を得た。次に、攪拌機8の回転羽根を溶融塩3に沈降させ、300rpmの回転数で0.5時間撹拌した。その後、溶融塩を200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃に保持した状態で、陰極5と陽極6の間に単位電極面積当たり60mA/cm(2.4A)の定電流を4時間通電し、電流および加熱を停止した。そして、溶融塩3が冷却固化する前に電極を離脱し、陰極5をアセトンで超音波洗浄した。陰極5の表面には、膜状の電析物と粉状の電析物(MnAl合金)が析出していた。膜状の電析物は、陰極5を構成するCuを濃硝酸で溶解除去することによって回収し、乳鉢で粉砕して粉末状とした。粉状の電析物については、一部が陰極5に残留するものの、残りはアルミナ坩堝2の底部に堆積する。このため、溶融塩3中に沈降した粉末状の電析物をろ過回収するとともに、溶融塩をデカンテーションし、底部に残った粉末状の電析物と溶融塩の混合物を冷却固化後、アセトンで洗浄し、ろ過回収した。いずれの回収法で得られた粉末状電析物も、膜状電析物を粉砕した粉末状サンプルと合わせて混合した。
<MnAl合金の熱処理>
電析温度が200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃である場合に得られた粉末試料をそれぞれ比較例1〜7とした。
比較例1の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例1、450℃としたサンプルを実施例2、500℃としたサンプルを実施例3、550℃としたサンプルを実施例4、600℃としたサンプルを比較例8とした。
比較例2の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例5、450℃としたサンプルを実施例6、500℃としたサンプルを実施例7、550℃としたサンプルを実施例8、600℃としたサンプルを比較例9とした。
比較例3の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例9、450℃としたサンプルを実施例10、500℃としたサンプルを実施例11、550℃としたサンプルを実施例12、600℃としたサンプルを比較例10とした。
比較例4の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例13、450℃としたサンプルを実施例14、500℃としたサンプルを実施例15、550℃としたサンプルを実施例16、600℃としたサンプルを比較例11とした。
比較例5の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例17、450℃としたサンプルを実施例18、500℃としたサンプルを実施例19、550℃としたサンプルを実施例20、600℃としたサンプルを比較例12とした。
比較例6の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例21、450℃としたサンプルを実施例22、500℃としたサンプルを実施例23、550℃としたサンプルを実施例24、600℃としたサンプルを比較例13とした。
比較例7の試料粉末をAr雰囲気中で400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃、16時間の熱処理を行った。熱処理温度を400℃としたサンプルを実施例25、450℃としたサンプルを実施例26、500℃としたサンプルを実施例27、550℃としたサンプルを実施例28、600℃としたサンプルを比較例14とした。
<溶解法によるMnAl合金の作製>
純度99.9質量%以上のMnメタルと純度99.9質量%以上のAlメタルを、それぞれMnメタルを55at%、Alメタルを45at%の割合で秤量し、Ar雰囲気中でアーク溶解して原料インゴットを作製した。
得られた原料インゴットをAr雰囲気中で1150℃にて、2時間加熱処理を行った後、水中急冷処理を行った。その後、インゴットをAr雰囲気中で600℃にて、1時間の熱処理を行った後、徐冷した。その後、スタンプミルにて粉砕を行い、100μm以下の粉末を得た。得られたサンプルを比較例15とした。
<τ相、γ2相及びβ相の比率測定>
1.XRD測定
X線回折測定装置(XRD、Rigaku製)を用いてCuα1放射線により室温にて、スキャン間隔0.020°、測定時間1.2秒で20°〜80°範囲で回折強度を測定した。
2.リートベルト解析による質量分率
リートベルト解析用ソフト「RIETAN−FP」を用いて、τ相、γ2相、β相の質量分率を求めた。
尚、XRD測定及びリートベルト解析は、試料全体におけるτ相、γ2相、β相の質量分率を求めるものであり、TEMを用いた評価値とは必ずしも一致しない。
<室温での磁化曲線の変曲点の有無及び角型比の評価>
パルス励磁型磁気特性測定装置(東英工業製)を用い、室温にて0〜100kOeの磁場範囲での磁気特性を測定し、得られた磁化曲線からメタ磁性を示す変曲点の有無を判定した。また、100kOeにおける質量磁化を最大質量磁化σmaxとし,0kOe付近での磁化を残留質量磁化σrとし、その比率σr/σmaxを角型比とした。そして、角型比が0.1以上の試料を残留磁化有りと判定し、角型比が0.1未満の試料を残留磁化なしと判定した。
<評価結果>
評価結果を図9に示す。
図9に示すように、熱処理を施していない比較例1〜6のサンプルはτ−MnAl相のみからなり、メタ磁性を有していなかった。溶解法によって作製した比較例15のサンプルもτ−MnAl相のみからなり、メタ磁性を有していなかった。一方、熱処理を施していない比較例7のサンプルは、τ−MnAl相とγ2−MnAl相が混在していたが、メタ磁性を有していなかった。
また、600℃の熱処理を施した比較例8〜14のサンプルは、τ−MnAl相、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相が混在していたが、メタ磁性を有していなかった。これは、熱処理温度が高すぎる結果、τ−MnAl相の多くがγ2−MnAl相又はβ−MnAl相に変化し、残存するτ−MnAl相の比率が少なくなったためであると考えられる。
これらの比較例1〜15に対し、実施例1〜28のサンプルは、いずれもτ−MnAl相、γ2−MnAl相及びβ−MnAl相が混在しており、メタ磁性を有していた。
図10は、比較例2、実施例5〜8及び比較例9のXRD測定結果を示す図である。つまり、電析時の温度が200℃であり、熱処理を施していないサンプル(比較例2)と、400℃〜600℃で熱処理を施したサンプル(実施例5〜8及び比較例9)のXRD測定結果である。図10に示すように、電析時の温度が200℃である場合、熱処理温度が高くなるほどτ−MnAl相の量が減少し、γ2−MnAl相の量が増加することが分かる。しかしながら、熱処理を施してもβ−MnAl相の生成は僅かであった。
図11は、比較例6、実施例21〜24及び比較例13のXRD測定結果を示す図である。つまり、電析時の温度が400℃であり、熱処理を施していないサンプル(比較例6)と、400℃〜600℃で熱処理を施したサンプル(実施例21〜24及び比較例13)のXRD測定結果である。また、図12は、比較例6及び実施例23のXRD測定結果を拡大して示す図である。図11に示すように、電析時の温度が400℃である場合、熱処理を施してもτ−MnAl相の減少が小さく、γ2−MnAl相の生成は僅かであることが分かる。一方、図12に示すように、熱処理によってβ−MnAl相が生成されていることが確認できる。
図13(a)〜(c)は、図9に示した最大磁化、τ相比率、およびγ2相/β相強度比率を電析温度及び熱処理温度ごとに纏め直した表である。
図13(a)において網掛け表示されているのは、最大磁化の値が高いサンプル(95emu/g以上)を示し、そのうち、太字で表示されているのは最大磁化の値が特に高いサンプル(130emu/g以上)を示している。図13(a)に示すように、最大磁化の値は、電析温度が300℃〜500℃であり、且つ、熱処理温度が400℃〜550℃である場合に高い値が得られ、電析温度が350℃〜450℃であり、且つ、熱処理温度が400℃〜550℃である場合に特に高い値が得られることが分かる。
図13(b)において網掛け表示されているのは、τ相の比率が高いサンプル(A=90%以上)を示し、そのうち、太字で表示されているのはτ相の比率が特に高いサンプル(A=95%以上)を示している。図13(b)に示すように、熱処理温度が高くなるとτ相の比率が低下する傾向が見られるが、電析温度が高い場合、熱処理温度に応じたτ相の比率低下は僅かとなる。例えば、電析温度が350℃〜450℃である場合、熱処理温度にかかわらずτ相の比率は95%以上に維持されている。図13(a)と図13(b)を比較すると、τ相の比率と最大磁化の間に相関があることが分かる。
図13(c)において網掛け表示されているのは、γ2相/β相強度比率が低いサンプル(B/C=1.3以下)を示し、そのうち、太字で表示されているのはγ2相/β相強度比率が特に低いサンプル(B/C=0.17以下)を示している(メタ磁性を持たないサンプルは除く)。図13(a)と図13(c)を比較すると、γ2相/β相強度比率と最大磁化の間には強い相関があり、γ2相/β相強度比率が低い領域と最大磁化が高い領域はほぼ正確に重なっていることが分かる。
図13(a)〜図13(c)を参照すると、熱処理によって減少するτ−MnAl相の量が少なく、且つ、熱処理によってγ2−MnAl相よりも多くのβ−MnAl相が生成される場合に、大きな磁化が得られることを示唆している。
次に、実施例11、比較例3及び15のサンプルに対し、温度を−100℃〜200℃の温度範囲で磁気特性の評価を行った。図14に示す。
図14に示すように、実施例11のサンプルは−100℃〜200℃という広い温度範囲でメタ磁性を示した。
1 密閉容器
2 アルミナ坩堝
3 溶融塩
4 電気炉
5 陰極
6 陽極
7 定電流電源装置
8 攪拌機
9 ガス経路
10 τ−MnAl相を含む結晶粒子
20 γ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子

Claims (6)

  1. メタ磁性を有し、τ−MnAl相を含む結晶粒子とγ2−MnAl相及びβ−MnAl相を含む結晶粒子を有するMnAl合金。
  2. τ−MnAl相の比率をAとした場合、75%≦A≦99%を満たすことを特徴とする請求項1に記載のMnAl合金。
  3. 95%≦A≦99%を満たすことを特徴とする請求項2に記載のMnAl合金。
  4. γ2−MnAl相の比率をBとし、β−MnAl相の比率をCとした場合、B<Cを満たすことを特徴とする請求項2又は3に記載のMnAl合金。
  5. 0.01≦B/C≦0.17を満たすことを特徴とする請求項4に記載のMnAl合金。
  6. Mn化合物およびAl化合物を含む溶融塩を350℃以上、450℃以下の温度で電解することによってMnAl合金を析出させる工程と、
    前記MnAl合金を400℃以上、600℃未満の温度で熱処理する工程と、を備えることを特徴とするMnAl合金の製造方法。
JP2018125636A 2018-06-30 2018-06-30 MnAl合金及びその製造方法 Active JP7234518B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018125636A JP7234518B2 (ja) 2018-06-30 2018-06-30 MnAl合金及びその製造方法
US16/452,872 US11293085B2 (en) 2018-06-30 2019-06-26 MnAl alloy and manufacturing method therefor
CN201910565254.0A CN110660552A (zh) 2018-06-30 2019-06-27 MnAl合金及其制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018125636A JP7234518B2 (ja) 2018-06-30 2018-06-30 MnAl合金及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020002449A true JP2020002449A (ja) 2020-01-09
JP7234518B2 JP7234518B2 (ja) 2023-03-08

Family

ID=69007699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018125636A Active JP7234518B2 (ja) 2018-06-30 2018-06-30 MnAl合金及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US11293085B2 (ja)
JP (1) JP7234518B2 (ja)
CN (1) CN110660552A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11261508B2 (en) * 2017-03-22 2022-03-01 Tdk Corporation MnAl alloy

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160307677A1 (en) * 2010-07-02 2016-10-20 The Trustees Of Dartmouth College Nanostructured Mn-Al Permanent Magnets And Method of Producing Same
JP2017045824A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 株式会社豊田中央研究所 永久磁石およびその製造方法
JP2017157738A (ja) * 2016-03-03 2017-09-07 国立大学法人 鹿児島大学 Mn−Al永久磁石の製造方法及びMn−Al永久磁石
CN107312982A (zh) * 2017-06-13 2017-11-03 同济大学 一种纯τ相MnAl基硬磁合金及其制备方法
WO2018128153A1 (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 Tdk株式会社 MnAl合金の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013186876A1 (ja) * 2012-06-13 2013-12-19 富士通株式会社 発電デバイス
JP6115306B2 (ja) 2013-05-20 2017-04-19 Tdk株式会社 磁気冷凍装置用磁気作業物質および磁気冷凍装置
CN110167699A (zh) * 2017-01-05 2019-08-23 Tdk株式会社 MnAl合金及其制造方法
US11261508B2 (en) 2017-03-22 2022-03-01 Tdk Corporation MnAl alloy
CN109365765B (zh) * 2018-11-06 2019-10-18 同济大学 一种MnAlV永磁合金及其制备方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160307677A1 (en) * 2010-07-02 2016-10-20 The Trustees Of Dartmouth College Nanostructured Mn-Al Permanent Magnets And Method of Producing Same
JP2017045824A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 株式会社豊田中央研究所 永久磁石およびその製造方法
JP2017157738A (ja) * 2016-03-03 2017-09-07 国立大学法人 鹿児島大学 Mn−Al永久磁石の製造方法及びMn−Al永久磁石
WO2018128153A1 (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 Tdk株式会社 MnAl合金の製造方法
CN107312982A (zh) * 2017-06-13 2017-11-03 同济大学 一种纯τ相MnAl基硬磁合金及其制备方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS SECOND EDITION VOLUME1, vol. 第4版, JPN6022008955, July 2001 (2001-07-01), pages 172 - 173, ISSN: 0004853222 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN110660552A (zh) 2020-01-07
US20200002797A1 (en) 2020-01-02
JP7234518B2 (ja) 2023-03-08
US11293085B2 (en) 2022-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pei et al. Effects of Ce-substitution on magnetic properties and microstructure of Nd–Pr–Fe–B melt-spun powders
JP6319808B2 (ja) 磁性化合物及びその製造方法
Rial et al. Application of a novel flash-milling procedure for coercivity development in nanocrystalline MnAl permanent magnet powders
JP4737161B2 (ja) 希土類−鉄−窒素系磁性粉末及びその製造方法
Zhang et al. Electrodeposition of Sm–Co nanoparticles from aqueous solutions
JP7028239B2 (ja) MnAl合金
JP2009249682A (ja) 硬磁性合金およびその製造方法
JP7234518B2 (ja) MnAl合金及びその製造方法
US8911530B2 (en) Manufacturing method of magnetic alloy powder
JP2004099928A (ja) 磁性合金材料
JP7017148B2 (ja) MnAl合金及びその製造方法
CN110168144B (zh) MnAl合金的制造方法
JP6614365B2 (ja) 希土類−遷移金属系強磁性合金
JP2020007578A (ja) MnAl合金及びこれを用いた磁心
Sagala et al. Synthesis and characterization of nanoparticles Zn0. 7Ni0. 15Cu0. 15Fe2O4 using the co-precipitation method
JP7349173B2 (ja) 準安定単結晶希土類磁石微粉及びその製造方法
JP3770734B2 (ja) Sm−Fe−N系合金粉末の製造方法
CN114255947A (zh) Sm-Fe-N系磁性材料及其制造方法
Prost Magnetic properties study of the Mn-Al system with additions of B or C and mechanical milling techniques
JP2020031114A (ja) メタ磁性を有する合金及びこれを用いた磁心、並びに、MnAl合金の製造方法
WO2023054035A1 (ja) 希土類磁石材料及び磁石
JP7226778B2 (ja) SmZrFeCo磁性化合物およびその製造方法
JP2016213233A (ja) 希土類永久磁石および希土類永久磁石の製造方法
JPH10199718A (ja) 焼結永久磁石用原料、焼結永久磁石用原料粉末及び焼結永久磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7234518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150