以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同一の部材を示す複数の図面同士においても、形状等を誇張するために、寸法比率等は互いに一致していないことがある。
図面には、便宜上、直交座標系xyzを付すことがある。本開示に係るヘッドは、鉛直方向に対していずれの向きで用いられてもよいが、便宜上、+z側を上方として、上面又は下面等の用語を用いることがある。
[プリンタの全体構成]
図1は、本開示の実施形態に係るプリンタ1の要部を模式的に示す斜視図である。
プリンタ1は、インクジェットプリンタである。より具体的には、例えば、プリンタ1は、ピエゾヘッド式、シリアルヘッド式、かつオフキャリッジ式のカラープリンタとされている。なお、プリンタ1は、適宜な数の色のインクでカラーの画像を実現してよい。例えば、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアン)のインクによってカラー画像が実現されてよい。
プリンタ1は、例えば、記録媒体(例えば紙)101を矢印y1で示す搬送方向へ搬送する搬送部3と、搬送されている記録媒体101に向けてインク滴(液滴)を吐出するヘッドユニット5と、ヘッドユニット5を記録媒体101の搬送方向に直交する走査方向(矢印y2)において往復移動させる走査部7と、ヘッドユニット5にインクを供給するインクカートリッジ9と、プリンタ1の動作を制御する制御部11とを有している。
搬送部3による記録媒体101の搬送、及び走査部7によるヘッドユニット5の往復移動が行われつつ、ヘッドユニット5から記録媒体101へのインク滴の吐出が繰り返し行われることにより、記録媒体101には2次元画像が形成される。なお、搬送部3及び走査部7は、ヘッドユニット5と記録媒体101とを相対移動させる移動部2を構成している。
搬送部3は、例えば、不図示の供給スタックに積層された複数の記録媒体101を一ずつ不図示の排出スタックへ搬送する。搬送部3は、公知の適宜な構成とされてよい。図1では、搬送経路がストレートパスとされ、記録媒体101に当接するローラ13と、ローラ13を回転させるモータ15と、モータ15に駆動電力を付与するドライバ17とを有する搬送部3が例示されている。
走査部7は、公知の適宜な構成とされてよい。例えば、走査部7は、ヘッドユニット5の不図示のキャリッジを走査方向に案内可能に支持する不図示のガイドレールと、キャリッジに固定された不図示のベルトと、当該ベルトが掛け渡された不図示のプーリと、当該プーリを回転させるモータ19と、モータ19に駆動電力を付与するドライバ21とを有している。
インクカートリッジ9は、ヘッドユニット5とは別の場所に(ヘッドユニット5と共に移動しないように)設置されている。インクカートリッジ9は、可撓性のチューブを介してヘッドユニット5と接続されている。インクカートリッジ9は、ヘッドユニット5が吐出するインクの色の数に対応して複数(本実施形態では4つ)設けられている。
制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成されている。制御部11は、搬送部3のドライバ17、走査部7のドライバ21及びヘッドユニット5のドライバ(不図示)に制御信号を出力し、搬送部3、走査部7及びヘッドユニット5の動作を制御する。
[ヘッドの全体構成]
図2は、ヘッドユニット5が含む液体吐出ヘッド23(以下、ヘッド23と称する場合がある)の外観を示す斜視図である。図3は、ヘッド23の一部の構成を示す分解斜視図である。図1〜図3に付した直交座標系xyzから理解されるように、図2及び図3において紙面下方が記録媒体101側である。
ヘッドユニット5は、1以上のヘッド23を有している。ヘッドユニット5が複数のヘッド23を有している場合、複数のヘッド23は、例えば、走査方向(x方向)に配列されている。例えば、1つのヘッド23が2色のインクの吐出に対応しており、ヘッドユニット5が4色のインクによる印刷を実現する場合においては、2つのヘッド23がx方向に配列されてよい。また、例えば、1つのヘッド23が1色のインクの吐出に対応しており、ヘッドユニット5が4色のインクによる印刷を実現する場合においては、4つのヘッド23がx方向に配列されてよい。なお、本実施形態の説明では、主として、1つのヘッド23が2色のインクの吐出に対応している場合を例に取る。
ヘッド23の概略形状は適宜な形状とされてよい。図示の例では、ヘッド23は、概略、直方体状である。この直方体は、例えば、走査方向(x方向)に薄い形状である(x方向の長さはy方向及びz方向の長さよりも短い)。y方向の長さ及びz方向の長さは、いずれが長くてもよい。
ヘッド23は、記録媒体101に対向してインクの吐出を直接に担うヘッド本体25を有している。また、ヘッド23は、ヘッド本体25の記録媒体101とは反対側に被せられる筐体27と、ヘッド本体25と筐体27の外部との電気的接続に供されるコネクタ29と、ヘッド本体25に対するインクの供給及び/又は回収(本実施形態では双方)に供される2組のチューブユニット31とを有している。
筐体27は、例えば、ここでは不図示の1以上の回路基板を収容しており、当該回路基板等の保持及び保護に寄与している。1以上の回路基板は、例えば、リジッド式のプリント配線板及び/又はフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)を含んで構成されている。いずれかのプリント基板には、例えば、ヘッド本体25に電力(駆動信号)を付与してヘッド本体25を駆動する駆動IC(integrated circuit)が実装されている。コネクタ29は、筐体27内の回路基板(別の観点では駆動IC又はヘッド本体25)と、筐体27の外部の機器(例えば制御部11)との接続に寄与する。チューブユニット31は、筐体27に挿通されることによって、ヘッド本体25に接続されているとともに、インクカートリッジ9に直接又は間接に繋がっている。
[ヘッド本体]
ヘッド本体25の形状は、例えば、概略、薄型直方体状である。より詳細には、ヘッド本体25の形状は、厚さ(z方向)が幅(x方向)及び長さ(y方向)よりも小さい板状とされている。また、平面視における形状は、長さ(y方向)が幅(x方向、走査方向)よりも長く、概略、長方形である。ヘッド本体25の記録媒体101に対向する面は、例えば、概略平面状とされており、インク滴を吐出するための吐出面25aとなっている。
図4(a)は、吐出面25aを示す平面図である。
吐出面25aには、インク滴が吐出される複数の吐出孔33(ノズル)が開口している。吐出孔33は、走査方向(x方向)に交差(例えば直交)する方向に配列され、吐出孔列34を構成している。従って、複数の吐出孔33からインク滴を吐出させながらヘッド本体25と記録媒体101とをx方向に相対移動させることにより、吐出孔列34のx方向への投影長さに相当する幅でx方向に延びる帯状の2次元画像が形成される。
吐出孔列34の数、各吐出孔列34における吐出孔33の数、ピッチ、並べ方等は、適宜に設定されてよい。図4(a)では、簡素な例として、1色のインクにつき1つの吐出孔列34が設けられ、2色のインクに対応して合計で2つの吐出孔列34が設けられている場合を例示している。ただし、例えば、1色のインクにつき、2以上の吐出孔列34を設け、各吐出孔列34の吐出孔33を他の吐出孔列34の間に位置させることによって、ドット密度を高くしてもよい。また、図示の例では、各吐出孔列34において、複数の吐出孔33は、直線状に一定のピッチで配列されている。ただし、複数の吐出孔33は、ピッチが変化したり、直線からずれたりしてもよい。
図4(b)は、ヘッド本体25の内部の流路を模式的に示す平面透視図である。図4(c)は、図4(b)のIVc−IVc線における断面図である。なお、図4(b)においては、z方向において互いに重なる流路も全て実線で描かれている。また、図4(b)及び図4(c)は、図4(a)に例示した吐出孔33の配置を前提としている。
ヘッド本体25は、例えば、インクが流れる流路を有している流路部材35と、流路部材35内に圧力を付与するための圧電式のアクチュエータ基板37とを有している。
流路部材35は、例えば、特に図示しないが、金属又は樹脂等からなる複数のプレートが積層されて構成されている。そして、プレートに形成された溝又は孔が通じ合うことによって、流路部材35内の流路が構成されている。流路部材35内に構成される流路は、例えば、複数の吐出孔33、複数の吐出孔33に個別に繋がっている複数の加圧室39、複数の加圧室39に共通に繋がっている供給用共通流路41、複数の加圧室39に共通に繋がっている回収用共通流路43である。
インクは、チューブユニット31から供給用共通流路41に供給され、供給用共通流路41から複数の加圧室39へ流れる。そして、複数の加圧室39に圧力が付与されることによって、インク滴が吐出孔33から吐出される。また、複数の加圧室39において吐出されなかったインクは、回収用共通流路43に流れ、チューブユニット31に回収される。
上述した供給用共通流路41から回収用共通流路43までの流路は、例えば、チューブユニット31及びインクカートリッジ9と共に循環路を構成している。インクが循環されることによって、例えば、インクの滞留が低減され、ひいては、顔料の沈降及び/又はインクの固着が生じるおそれが低減される。インクを循環させる流れは、例えば、循環路の適宜な位置に配置された不図示のポンプによって生成されてよい。
供給用共通流路41及び回収用共通流路43の端部の位置及び延びる経路等は適宜に設定されてよい。図4(b)では、以下に述べる比較的簡素な例が示されている。
供給用共通流路41及び回収用共通流路43は、概略、ヘッド本体25の長手方向に沿って延びている。供給用共通流路41及び回収用共通流路43のうち、複数の加圧室39に接続されている領域(供給用共通流路本体41b及び回収用共通流路本体43b)は、ヘッド本体25の長手方向に平行に直線状に延びており、ヘッド本体25の長さの半分以上又は2/3以上の長さを有している。また、別の観点では、供給用共通流路本体41b及び回収用共通流路本体43bは、互いに並列に延びている。
供給用共通流路41の両端のうち、チューブユニット31と接続される端部41eは、ヘッド本体25の長手方向の一方側に位置している。供給用共通流路41の他端は、ヘッド本体25の長手方向において端部41eとは反対側に位置し、行き止まりとなっている。
回収用共通流路43の両端のうち、チューブユニット31と接続される端部43eは、ヘッド本体25の長手方向において、該回収用共通流路43と複数の加圧室10を介して繋がっている供給用共通流路41の端部41eとは反対側に位置している。回収用共通流路43の他端は、ヘッド本体25の長手方向において端部43eとは反対側に位置し、行き止まりとなっている。
供給用共通流路41、複数の加圧室39、複数の吐出孔33及び回収用共通流路43の組み合わせ(ユニット流路45)は、1つのヘッド23が2色のインクの吐出を行うことに対応して、2つ設けられている。2つのユニット流路45は、例えば、基本的に、x方向(走査方向、ヘッド本体25の短手方向)に並んでいる。具体的には、例えば、2つのユニット流路45同士において、供給用共通流路本体41b及び回収用共通流路本体43bは互いに並列(例えば平行)にy方向に延びている。なお、一方のユニット流路45において、供給用共通流路本体41b及び回収用共通流路本体43bのいずれが他方のユニット流路45側に位置してもよいが、図示の例では、いずれのユニット流路45においても、回収用共通流路本体43bを他方のユニット流路45側としている。
上記のように、2つのユニット流路45は、基本的には、x方向において並んでいる。ただし、端部41e及び端部43eについては、この限りではない。例えば、一方のユニット流路45の端部41eと、他方のユニット流路45の端部43eとは、この並びに交差する方向(y方向、ヘッド本体25の長手方向)において並んでいる。なお、ヘッド本体25の端部において互いに並ぶ端部41e及び43eは、いずれが長手方向の内側でもよいが、図示の例では、ヘッド本体25のいずれの端部においても、端部43eが内側となっている。また、端部41e及び43eのヘッド本体25の短手方向における位置も任意であるが、図示の例ではヘッド本体25の短手方向の中央に位置している。
加圧室10は、例えば、流路部材35の吐出面25aとは反対側の面に開口している加圧室本体10aと、加圧室本体10aと吐出孔33とを繋いでいる部分流路10bとを有している。加圧室本体10aの開口は、アクチュエータ基板37によって塞がれている。そして、アクチュエータ基板37が加圧室本体10a側及び/又はその反対側へ撓むことによって、加圧室本体10a内のインクに圧力が付与され、インク滴が吐出孔33から吐出される。
供給用共通流路41は、加圧室本体10aに接続されて、加圧室本体10aを介して部分流路10bに繋がっている。回収用共通流路43は、加圧室本体10aを介さずに部分流路10bに繋がっている。なお、インクカートリッジ9等を含む循環路を考慮に入れると、例えば、供給用共通流路41も加圧室本体10aを介さずに(インクカートリッジ9及び回収用共通流路43を経由して)部分流路10bに繋がっていることになるが、本実施形態の説明では、そのようインクカートリッジ9側の経路を無視した表現で、ヘッド23内における流路の接続関係を説明することがある。
アクチュエータ基板37の構成は、公知の種々の構成とされてよい。図示の例では、アクチュエータ基板37は、厚さ方向に分極されている圧電体層47と、圧電体層47上に位置する信号電極49S及びグランド電極49Gとを有している。
平面視において、信号電極49Sは、加圧室本体10aの中央側に位置しており、グランド電極49Gは、加圧室本体10aの外周側(外縁の内側及び/又は外側)に位置している。信号電極49S及びグランド電極49Gとの間に電圧が印加され、分極方向に交差する電界が圧電体層47に加えられると、圧電体層47は、シェアモードの変形を生じ、ひいては、加圧室本体10a側又はその反対側へ撓む。
信号電極49S及びグランド電極49Gは、複数の加圧室10のそれぞれに対して設けられている。ただし、複数のグランド電極49Gは、互いに繋がって1つのグランド電極となっていてもよい。複数のグランド電極49Gには、例えば、基準電位が付与される。複数の信号電極49Sには、例えば、画像の内容に応じて駆動信号が個別に入力される。これにより、任意の吐出孔33からインク滴が吐出される。
なお、アクチュエータの構成(及び加圧室の構成)は、公知の種々の構成と同様とされてよく、図示の構成に限定されない。例えば、特に図示しないが、アクチュエータは、例えば、ユニモルフ型のもの又はバイモルフ型のものとされてもよい。また、アクチュエータは、複数の圧電体層と複数の電極層とが交互に積層されて、圧電横効果又は圧電縦効果を利用するものとされてもよい。また、アクチュエータは、加圧室の吐出孔33とは反対側の面に圧力を付与するのではなく、加圧室の側面(吐出孔33の開口方向に沿う面)に対して圧力を付与する構成であってもよい。アクチュエータは、複数の加圧室に亘る基板状でなくてもよい。
[筐体の概要]
図2及び図3に戻って、筐体27は、概略、ヘッド本体25側が開放された箱状(ここでいう箱状は直方体状に限定されない。)とされている。すなわち、筐体27は、ヘッド本体25側に正面開口27zを有しており、この正面開口27zは、ヘッド本体25によって塞がれる。これにより、ヘッド本体25と筐体27との間には空間26が構成される。なお、筐体27内又は筐体27の内部という場合は、基本的には、この空間26内を指す。
筐体27の概略形状は適宜な形状とされてよい。図示の例では、筐体27は、概略、直方体状である。この直方体は、例えば、ヘッド本体25の短手方向(x方向)に薄い形状である(x方向の長さはy方向及びz方向の長さよりも短い)。y方向の長さ及びz方向の長さは、いずれが長くてもよいが、図示の例では、前者が後者よりも長い。
筐体27は、例えば、筐体27の主体となる筐体本体59と、筐体本体59の側面開口59xを塞ぐ側面部材61(図2。図3では省略)と、チューブユニット31等の筐体本体59に対する取り付けに寄与する係止部材63とを有している。各部材は、例えば、樹脂及び/又は金属等の適宜な材料によって一体的に形成されている。そして、ねじ65(例えばビス)及び/又は係合部(例えば係合爪)によって互いに固定されている(図示の例では前者)。なお、複数のねじ65には、互いに同一の符号を付しているが、その具体的な形状及び寸法等は、互いに異なっていてよい。
筐体本体59は、ヘッド本体25側が開放された箱状において、側面(外周面)の一部に1以上(図示の例では2つ)の側面開口59xが形成された形状である。換言すれば、筐体本体59は、ヘッド本体25と空間26を介して対向している対向面部59aと、ヘッド本体25と対向面部59aとの間で空間26を囲んでいる側方部59bと、側方部59bの一部において開口している側面開口59xと、対向面部59aとは反対側(ヘッド本体25側)に開口している正面開口27zとを有している。
対向面部59aは、例えば、概略、平面状の板状とされている。チューブユニット31及びコネクタ29は、対向面部59aに挿通されて筐体27の内外に露出している。すなわち、対向面部59aは、チューブユニット31が挿通されるチューブ用孔59tと、コネクタ29を露出させるコネクタ用孔59cとを有している。
側方部59bは、例えば、基本的には、4方に面する4側面の概念に基づく形状を有している。ただし、図示の例では、互いに対向する2側面の比較的広い範囲(例えば7割以上の面積)に側面開口59xが開口していることから、残りの2側面から構成されているかのようになっている。
側面開口59xは、例えば、側方部59bの4側面のうちの最も広い2側面(ヘッド本体25の長手方向に沿う側面)の一方又は双方(図示の例では双方)に形成されている。側面開口59xは、例えば、筐体本体59内に回路基板等を収容することを容易化することに寄与する。正面開口27zは、筐体本体59のヘッド本体25側の面の略全体(例えばフランジ59fを除いて8割以上)に亘っており、また、ヘッド本体25の大部分(例えば8割以上)に重なる広さを有している。筐体本体59内に収容されたチューブユニット31の一部又は回路基板は、正面開口27zを介してヘッド本体25に接続される。
側面部材61は、例えば、概略板状の部材であり、側面開口59xの形状及び大きさを一回り大きくした形状及び大きさを有している。また、別の観点では、側面部材61の形状及び大きさは、例えば、筐体本体59の側面開口59xが開口している側面(その外縁)の形状及び大きさと概ね同等の形状及び大きさを有している。具体的には、例えば、側面部材61は矩形であり、筐体本体59のフランジ59fを除いて、側面部材61と筐体本体59の側面とは9割以上同士が重なる。
係止部材63は、例えば、概略板状の部材であり、対向面部59aの形状及び大きさと概略同等の形状及び大きさを有している。具体的には、係止部材63(その外縁)の形状は矩形であり、開口を無視して、対向面部59aの7割以上に重なる広さを有している。また、係止部材63は、チューブユニット31が挿通されるチューブ用開口63tと、コネクタ29を露出させるコネクタ用開口63cとを有している。
なお、係止部材63は、後に詳述するように、チューブユニット31及びコネクタ29を上方から係止できればよく、このような板に開口が形成された形状でなくてもよいし、対向面部59aと概略同等の形状及び大きさを有していなくてもよい。ただし、このような比較的広い板状の係止部材63は、例えば、筐体本体59のチューブ用孔59t及びコネクタ用孔59cの密閉性の向上に寄与し得る。
[筐体内の封止に係る構成]
ヘッド23は、筐体27内の封止性を向上させるための種々の構成を有している。これにより、例えば、インクのミストが筐体27内に侵入し、筐体27内の回路基板等に影響を及ぼす影響が低減される。具体的には、例えば、ヘッド23は、以下の構成を有している。
[チューブユニット]
図5(a)は、チューブユニット31を示す斜視図である。図5(b)はチューブユニット31の一部の構成を示す分解斜視図である。図6(a)は、図3の領域VIaの拡大図である。図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における断面図である。
各チューブユニット31は、埋設部材51と、埋設部材51に埋設されている中空状の1又は複数(図示の例では2つ)のジョイント(第1ジョイント53A及び第2ジョイント53B)と、埋設部材51の周囲に配置されるチューブ用パッキン55とを有している。埋設部材51は、筐体27(筐体本体59)に形成されているチューブ用孔59t内に配置される。埋設部材51の外周面とチューブ用孔59tの内周面との間にはチューブ用パッキン55が介在する。第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bは、埋設部材51から筐体の内外へ突出しており、複数のチューブ(57AI、57AO、57BI及び57BO)が接続される。これにより、チューブユニット31と筐体27との間の密閉性を向上させつつ、チューブユニット31を筐体27の外側から内側へ挿通することができる。具体的には、以下のとおりである。
なお、以下において、第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bを単に「ジョイント53」といい、これらを区別しないことがある。第1内側チューブ57AI、第1外側チューブ57AO、第2内側チューブ57BI及び第2外側チューブ57BOを単に「チューブ57」といい、これらを区別しないことがある。第1内側チューブ57AI及び第2内側チューブ57BIを単に「内側チューブ57I」といい、これらを区別しないことがある。第1外側チューブ57AO及び第2外側チューブ57BOを単に「外側チューブ57O」といい、これらを区別しないことがある。
埋設部材51は、ジョイント53の長手方向(流路方向)の中途部分(中継部53a(図6(b)))を埋設させている。すなわち、埋設部材51は、中継部53aの全周に亘って中継部53aに当接している。埋設部材51は、例えば、ジョイント53のうち少なくとも中継部53aを型内に配置した状態で型内に成形材料を充填することによって作製される。従って、埋設部材51は、中継部53aに密着しており、両者の間は密閉されている。
埋設部材51の材料及びジョイント53の材料は、上記のような成形が可能な種々の材料から選択されてよい。例えば、ジョイント53の材料は金属とされ、埋設部材51の材料は、樹脂又はセラミックとされてよい。なお、埋設部材51の材料が樹脂である場合、金型内に樹脂を射出する通常のインサート成形の他、樹脂型を用いた低温射出が利用されてもよい。また、埋設部材51の材料は、金属又は加硫ゴム(狭義のゴム)とすることも可能である。ジョイント53の材料は、別の観点では剛体である。ジョイント53は現実に存在するものであるから、ここでの剛体の意味は、弾性率が大きい物質、または、可撓性が小さい物質という意味である。また、埋設部材51の材料も、基本的に剛体である。
埋設部材51の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、埋設部材51は、概略直柱体状の部分を含む(図示の例では埋設部材51の全部が概略直柱体状)。当該直柱体状部分の横断面の形状は、外縁が幾何学で言う凸(例えば凸曲線)となる形状である。埋設部材51は、例えば、チューブ用パッキン55が嵌め込まれる溝51a(図5(b))を有している。溝51aは、例えば、一定の幅及び一定の深さで上記の直柱状部分の軸回りに1周延びている。溝51aの横断面の形状は、矩形又は半円状等の適宜な形状とされてよい。なお、溝51aに加えて、又は代えて、チューブ用孔59tの内周面にチューブ用パッキン55が収容される溝が形成されてもよい。また、いずれの溝も形成しないことも不可能ではない。
ジョイント53の形状は、中空状であればよい。従って、例えば、ジョイント53は、直線状に延びていてもよいし、一部又は全部に屈曲部又は湾曲部を有していてもよい。ジョイント53において、一端と他端とは、同軸状であってもよいし、互いに平行で径方向にずれていてもよいし、互いに異なる方向に延びていてもよい。横断面(流路方向に直交する面)の形状は、円形、楕円、矩形等の適宜な形状とされてよい。横断面の面積は、流路方向に一定であってもよいし、流路方向において変化していてもよい。ジョイント53の厚さ(内径と外径との差)は、流路方向又は周方向において一定であってもよいし、変化してもよい。
図示の例では、ジョイント53は、一定の径で直線状に延びる管状(円筒状)である。換言すれば、横断面の形状は円形であり、横断面の面積は流路方向において一定である。また、ジョイント53の厚さも流路方向及び周方向において一定である。
ジョイント53は、その流路方向において、中継部53aと、その両側の内側接続部53iと、外側接続部53oとを有している。中継部53aは、埋設部材51に埋設されている部分である。内側接続部53iは、埋設部材51から筐体27内へ突出している。これにより、内側チューブ57Iをジョイント53(内側接続部53i)に接続可能となっている。また、外側接続部53oは、埋設部材51から筐体27外へ突出している。これにより、外側チューブ57Oをジョイント53(外側接続部53o)に接続可能となっている。
中継部53a、内側接続部53i及び外側接続部53oの相対的な長さ等は適宜に設定されてよい。また、図示の例では、これら3つの部位は、長さを除いて(又は長さも含めて)、互いに同一の形状及び寸法であるが、互いに異なる形状及び/又は互いに異なる寸法とされてもよい。
第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bは、少なくともチューブユニット31内において互いに独立した2つの流路(互いに連通されていない2つの流路)を構成している。ただし、この2つの流路は、ヘッド本体25内の流路及び/又はインクカートリッジ9側の流路を考慮したときは、互いに繋がっていても構わない。第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bは、互いに同一の構成であってもよいし、互いに異なる構成であってもよい。図示の例では、第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bは、径のみが互いに異なっており、具体的には、前者は後者よりも径が大きい。
チューブ用パッキン55は、弾性材料によって構成されている。弾性材料としては、例えば、ゴム(加硫ゴム(狭義のゴム)及び熱硬化性樹脂系エラストマー。以下、同様)及び熱可塑性エラストマー(狭義のエラストマー)を挙げることができる。なお、後述する種々のパッキン(66、71及び73等)の材料も同様である。ただし、後述するように、パッキンの取り付け態様等によっては、パッキンの材料として、樹脂(エラストマーを除く)が用いられてもよい。
チューブ用パッキン55は、環状に形成されている。チューブ用パッキン55の横断面(環の接線に直交する断面)の形状は、環の内側及び外側等の区別のない形状(例えば円形、楕円又は矩形)であってもよいし、区別のある形状(例えば、矩形と半円とを組み合わせた形状)であってもよい。なお、後述する種々の環状のパッキン(66、71及び73等)の横断面の形状も同様である。
チューブ用パッキン55は、例えば、上述した埋設部材51の溝51aに嵌め込まれる。より詳細には、例えば、埋設部材51のうち溝51a以外の部分において、1周の長さはチューブ用パッキン55(厳密にはその内周面)の長さよりも長い。そして、チューブ用パッキン55は、復元力に抗して引き延ばされた状態で溝51aの位置まで埋設部材51に嵌め込まれていく。換言すれば、チューブ用パッキン55は、復元力に抗して引き延ばされなければ溝51aから外れない。溝51a(厳密にはその底面)の長さは、チューブ用パッキン55(厳密にはその内周面)の長さよりも長くてもよいし、同等以下であってもよい。換言すれば、チューブ用パッキン55は、張力方向に作用する復元力によって溝51aの底面に密着していてもよいし、そのような復元力を生じていなくてもよい。チューブ用パッキン55の横断面において、環の開口方向の厚さは、例えば、当該方向に係る圧縮に関して圧縮状態で又は非圧縮状態で溝51aの幅内に収まる大きさである。また、チューブ用パッキン55の横断面において、環の径方向の厚さは、例えば、当該方向に係る圧縮に関して少なくとも非圧縮状態で溝51aの深さよりも大きい。
第1内側チューブ57AIは、第1ジョイント53Aの内側接続部53iとヘッド本体25とを接続している。第1外側チューブ57AOは、第1ジョイント53Aの外側接続部53oに接続されている。これにより、筐体27の外部からヘッド本体25へ通じる1本の流路が構成されている。同様に、第2内側チューブ57BIは、第2ジョイント53Bの内側接続部53iとヘッド本体25とを接続している。第2外側チューブ57BOは、第2ジョイント53Bの外側接続部53oに接続されている。これにより、筐体27の外部からヘッド本体25へ通じる1本の流路が構成されている。
なお、外側チューブ57Oは、インクカートリッジ9まで延びるものであってもよいし、ヘッドユニット5が有する接続部に接続され、当該接続部を介して、当該接続部とインクカートリッジ9とを繋いでいるチューブに接続されるものであってもよい。
チューブ57は、可撓性を有している中空状の部材である。その材料は、ゴム及び熱可塑性エラストマー等の弾性材料であってもよいし、そのような弾性を有さない樹脂材料であってもよい。チューブ57の形状(例えば最も応力が小さい状態)は、適宜なものとされてよい。例えば、チューブ57の横断面は円形である。また、チューブ57が弾性材料である場合においては、例えば、チューブ57の内径は、内側接続部53i又は外側接続部53oの外径よりも小さくされてよい。また、第1ジョイント53Aの径が第2ジョイント53Bの径よりも大きいことに対応して、第1内側チューブ57AI及び第1外側チューブ57AOの径は、第2内側チューブ57BI及び第2外側チューブ57BOの径よりも大きくされている。
チューブ57の内側接続部53i又は外側接続部53oに対する接続は、適宜な方法によりなされてよい。例えば、上記のようにチューブ57が弾性材料からなる場合は、チューブ57の内径を接続部の外径よりも小さくして、接続部をチューブ57に挿入するだけであってもよい。また、例えば、接続部をチューブ57に挿入した後にチューブ57に巻き回されるベルト状又は手錠状の部材でチューブ57を外側から内側へ締め付けてもよい。
複数(図示の例では2つ)のチューブユニット31は、同一の構成であってもよいし(図示の例)、互いに異なる構成であってもよい。2つのチューブユニット31は、例えば、ヘッド23の長手方向において互いに両側に位置している。なお、ここでいう両側は、例えば、ヘッド23(筐体27)の上面(チューブユニット31が延び出る面)を長手方向において3等分又4等分した場合の両側の範囲とされてよい。互いに同一の構成の2つのチューブユニット31は、例えば、線対称の配置(図示の例)又は180°回転対称の配置とされてよい。
複数のチューブユニット31によって構成される流路の役割分担は、適宜に設定されてよい。例えば、本実施形態では、図4(b)で例示したヘッド本体25の流路を前提として、−y側のチューブユニット31は、−y側の端部41e及び43eに接続され、+y側のチューブユニット31は、+y側の端部41e及び43eに接続される。各チューブユニット31において、第1内側チューブ57AIは、供給用共通流路41の端部41eに接続され、第2内側チューブ57BIは、回収用共通流路43の端部43eに接続されている。
従って、一方のチューブユニット31の第1内側チューブ57AIから供給用共通流路41に供給されたインクは、加圧室10及び回収用共通流路43を経由して、他方のチューブユニット31の第2内側チューブ57BIに回収される。すなわち、一方のチューブユニット31の第1内側チューブ57AIと、他方のチューブユニット31の第2内側チューブ57BIとは、ヘッド本体25の2つのユニット流路45のうちの一方に対応している。
[チューブユニットと筐体との固定]
図6(a)及び図6(b)に示すように、チューブユニット31の埋設部材51は、筐体本体59の対向面部59aに形成されたチューブ用孔59tに配置される。より具体的には、以下のとおりである。
チューブ用孔59tは、埋設部材51を収容する大径部59taと、ジョイント53の内側接続部53i及び内側チューブ57Iが挿通されている小径部59tbとを有している。小径部59tbは、z方向に見て埋設部材51よりも小さい。すなわち、対向面部59aは、埋設部材51に対して筐体27の内側から係合する埋設部材用係合部59atを有している。
また、係止部材63のチューブ用開口63tには、ジョイント53の外側接続部53o及び外側チューブ57Oが挿通されている。チューブ用開口63tは、z方向に見て埋設部材51よりも小さい。すなわち、係止部材63は、埋設部材51に対して筐体27の外側から係合する。
従って、埋設部材51を大径部59taに収容した状態で、係止部材63を筐体本体59に固定することによって、埋設部材51が埋設部材用係合部59atと係止部材63とに挟まれ、チューブユニット31は筐体27に対して固定される。係止部材63の筐体本体59に対する固定は、例えば、ねじ65及び/又は係合部によってなされてよい。図示の例では、係止部材63に挿通されたねじ65(雄ねじ)が筐体本体59の雌ねじ(ここでは不図示)に螺合されている。
埋設部材用係合部59at及び係止部材63のそれぞれは、例えば、埋設部材51の上下面に対して、その全周に亘って係合している。ただし、これらは、埋設部材51の上下面に対して、その外周部の一部に対してのみ係合する形状とされても構わない。
また、小径部59tb及びチューブ用開口63tは、図示の例とは異なり、ジョイント53のみが挿通されてもよい。すなわち、内側チューブ57Iは、小径部59tbよりも筐体27の内側で内側接続部53iに接続されてもよい。外側チューブ57Oは、チューブ用開口63tよりも筐体27の外側で外側接続部53oに接続されてもよい。
特に図示しないが、埋設部材用係合部59atと埋設部材51との間及び/又は係止部材63と埋設部材51との間には、弾性部材が配置されてもよい。また、埋設部材用係合部59atと埋設部材51との間に介在する弾性部材は、チューブ用パッキン55に加えて、又は代えて、埋設部材51の外面とチューブ用孔59tの内面との間に介在するパッキンとされてよい。このようなパッキンは、環状であり、小径部59tbを囲むように配置される。
なお、上記説明から理解されるように、パッキンを介して互いに対向する埋設部材51の外面及びチューブ用孔59tの内面は、埋設部材51の外周面(挿通方向に平行な軸の軸回りとなる外側の面)及びチューブ用孔59tの内周面(挿通方向に平行な軸の軸回りとなる内側の面)に限定されず、埋設部材51及びチューブ用孔59tの、挿通方向において互いに対向する面であってもよい。
図6(b)に示すように、埋設部材51がチューブ用孔59tに入れられると、チューブ用パッキン55は、埋設部材51の外周面(厳密には溝51aの底面)とチューブ用孔59tの内周面とによって圧縮される。すなわち、チューブ用パッキン55は、圧縮状態で埋設部材51の外周面とチューブ用孔59tの内周面との間に介在して、これらの面に密着する。図示の例では、埋設部材51の外周面とチューブ用孔59tの内周面とは隙間を介して対向している。ただし、両者は、互いに対向する領域の一部又は全部において当接していても構わない。
[コネクタ]
図7(a)は、コネクタ29の斜視図である。図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図である。
コネクタ29は、筐体本体59の対向面部59aに形成されたコネクタ用孔59cに配置される。そして、コネクタ29の外面とコネクタ用孔59cの内面との間には、コネクタ用パッキン66が介在している。これにより、筐体27の密閉性が向上している。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
コネクタ29は、例えば、概略、長尺状の形状とされており、その接続方向(z方向)見て概略長方形である。コネクタ29は、例えば、複数の端子67と、複数の端子67を保持する保持部69とを有している。
端子67は、例えば、概略、金属からなるピン状部材とされており、コネクタ29と接続される不図示のコネクタの孔部に挿通されて、孔部内の端子に当接する。複数の端子67の本数は、制御部11の構成及びヘッド23内の回路の構成等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、端子67は、50本以上設けられている。複数の端子67は、コネクタ29の長手方向に沿って、1列以上で配列されている。
保持部69は、樹脂等の絶縁材料によって構成されており、複数の端子67を保持している。また、保持部69(保持部本体69b)は、複数の端子67を収容している凹部(符号省略)を有している形状とされている。当該凹部には、例えば、コネクタ29と接続される不図示のコネクタの保持部が嵌合する。なお、逆に、保持部69は、相手方のコネクタの凹部に嵌合する形状であってもよい。
保持部69の端子67の保持方法は、公知の種々のものと同様とされてよい。例えば、保持部69は、端子67の少なくとも中間部分が配置された型内に樹脂が充填されることによって成形されている。そして、端子67の一端は、保持部69から外部側(+z側)に露出し、他端は、保持部69から内部側(−z側)に露出する。このような保持方法によれば、端子67の中間部分の全周に亘って保持部69が密着し、コネクタ29の密閉性が向上する。
保持部69は、例えば、埋設部材51と同様に、対向面部59aと係止部材63とに挟まれることによって、筐体27に固定されている。具体的には、例えば、以下のとおりである。
保持部69は、複数の端子67を保持している保持部本体69bと、保持部本体69bの外周面から突出しているフランジ69fとを有している。フランジ69fは、例えば、保持部本体69bの全周に亘っている。また、フランジ69fは、保持部本体69bの外周面の上下方向の中途に位置している。換言すれば、保持部本体69bは、フランジ69fに対して上方及び下方の双方に突出している。
一方、コネクタ用孔59cは、フランジ69fを収容する大径部59caと、保持部本体69bのうちのフランジ69fよりも下方の部分が挿通されている小径部59cbとを有している。小径部59cbは、z方向に見てフランジ69fよりも小さい。すなわち、対向面部59aは、フランジ69fに対して筐体27の内側から係合するコネクタ用係合部59acを有している。
また、係止部材63のコネクタ用開口63cには、保持部本体69bのうちのフランジ69fよりも上方の部分が挿通されている。コネクタ用開口63cは、z方向に見てフランジ69fよりも小さい。すなわち、係止部材63は、フランジ69fに対して筐体27の外側から係合する。
従って、フランジ69fを大径部59caに収容した状態で、係止部材63を筐体本体59に固定することによって、フランジ69fがコネクタ用係合部59acと係止部材63とに挟まれ、コネクタ29は筐体27に対して固定される。
コネクタ用係合部59ac及び係止部材63のそれぞれは、例えば、コネクタ29(フランジ69f)の全周に亘ってコネクタ29に対して係合している。ただし、これらは、コネクタ29回りの一部に対してのみ係合する形状とされても構わない。保持部本体69bは、小径部59cb及び/又はコネクタ用開口63cに嵌合していてもよい。保持部本体69bは、フランジ69fから下方に突出していなくてもよい。別の観点では、小径部59cbは、保持部本体69bが挿通されずに、コネクタ29を露出させるだけであっても構わない。同様に、保持部本体69bは、フランジ69fから上方に突出していなくてもよい。別の観点では、コネクタ用開口63cは、保持部本体69bが挿通されずに、コネクタ29を露出させるだけであっても構わない。
コネクタ用パッキン66は、例えば、環状に形成されており、保持部69に嵌められてその外周面に密着している。より詳細には、コネクタ用パッキン66は、例えば、保持部69に形成された溝69aに嵌め込まれている。溝69aは、例えば、一定の幅及び一定の深さでフランジ69fの軸回りに1周延びている。溝69aの横断面の形状は、矩形又は半円状等の適宜な形状とされてよい。なお、溝69aに加えて、又は代えて、コネクタ用孔59cの内周面にコネクタ用パッキン66が収容される溝が形成されてもよい。また、いずれの溝も形成しないことも不可能ではない。
フランジ69fの溝69a以外の部分において1周の長さはコネクタ用パッキン66(厳密にはその内周面)の長さよりも長い。そして、コネクタ用パッキン66は、復元力に抗して引き延ばされた状態で溝69aの位置までフランジ69fに嵌め込まれていく。換言すれば、コネクタ用パッキン66は、復元力に抗して引き延ばされなければ溝69aから外れない。溝69a(厳密にはその底面)の長さは、コネクタ用パッキン66(厳密にはその内周面)の長さよりも長くてもよいし、同等以下であってもよい。換言すれば、コネクタ用パッキン66は、張力方向に作用する復元力によって溝69aの底面に密着していてもよいし、そのような復元力を生じていなくてもよい。コネクタ用パッキン66の横断面(環の接線に直交する断面)において、環の開口方向の厚さは、例えば、当該方向に係る圧縮に関して圧縮状態で又は非圧縮状態で溝69aの幅内に収まる大きさである。また、コネクタ用パッキン66の横断面において、環の径方向の厚さは、当該方向に係る圧縮に関して少なくとも非圧縮状態で溝69aの深さよりも大きい。
コネクタ29がコネクタ用孔59cに入れられると、コネクタ用パッキン66は、保持部69の外周面(厳密には溝69aの底面)とコネクタ用孔59cの内周面とによって圧縮される。すなわち、コネクタ用パッキン66は、圧縮状態で保持部69の外周面とコネクタ用孔59cの内周面との間に介在して、これらの面に密着する。図示の例では、保持部69の外周面とコネクタ用孔59cの内周面とは隙間を介して対向している。ただし、両者は、互いに対向する領域の一部又は全部において当接していても構わない。
特に図示しないが、コネクタ用係合部59acと保持部69との間及び/又は係止部材63と保持部69との間には、弾性部材が配置されてもよい。また、コネクタ用係合部59acと保持部69との間に介在する弾性部材は、コネクタ用パッキン66に加えて、又は代えて、保持部69の外面とコネクタ用孔59cの内面との間に介在するパッキンとされてよい。このようなパッキンは、環状であり、小径部59cbを囲むように配置される。
なお、上記説明から理解されるように、パッキンを介して互いに対向するコネクタ29の外面及びコネクタ用孔59cの内面は、コネクタ29の外周面及びコネクタ用孔59cの内周面に限定されず、コネクタ29及びコネクタ用孔59cの、挿通方向において互いに対向する面であってもよい。
コネクタ29とヘッド本体25との接続は適宜になされてよい。図7では、コネクタ29が実装されているリジッド式のプリント基板85と、プリント基板85に接続されているFPC87とが図示されている。FPC87は、例えば、ヘッド本体25のアクチュエータ基板37又はこれに接続されている基板に接続されている。プリント基板85及び/又はFPC87には、アクチュエータ基板37を駆動する不図示の駆動ICが実装されてよい。
[筐体側面の密閉]
図8(a)は、筐体本体59の一部を破断して示す斜視図であり、図3の領域VIIIaに対応している。図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における断面図である。
筐体本体59の外面と側面部材61の内面(側面開口59x側の面。以下、同様。)との間には、側面用パッキン71が介在している。これにより、両者の間の密閉性(換言すれば側面開口59xの密閉性)が向上している。より具体的には、例えば、以下のとおりである。
側面用パッキン71は、例えば、環状に形成されており、側面開口59xを囲むようにして筐体本体59に配置される。より詳細には、側面用パッキン71は、例えば、側方部59bの外面に形成された溝59baに嵌め込まれる。溝59baは、例えば、一定の幅及び一定の深さで側面開口59xの縁部に沿って(例えば平行に)延びて、側面開口59xを1周している。溝59baの横断面の形状は、矩形又は半円状等の適宜な形状とされてよい。側面用パッキン71の横断面(環の接線に直交する断面)において、環の径方向の厚さは、当該方向に係る圧縮に関して圧縮状態で又は非圧縮状態で溝59baの幅内に収まる大きさであり、環の開口方向の厚さは、当該方向に係る圧縮に関して少なくとも非圧縮状態で溝59baの深さよりも大きい。
なお、チューブ用パッキン55は、復元力に抗して引き延ばされた状態で埋設部材51に嵌められている。側面用パッキン71は、取り付けに際して、そのように引き延ばされる必要は無い。従って、側面用パッキン71の材料は、弾性材料でなくてもよく、例えば、樹脂(エラストマーを除く)とされてよい。既に述べた、又は後述する、他の引き延ばされる必要がないパッキン(73等)も同様である。
側面部材61が側方部59bに取り付けられると、側面用パッキン71は、側方部59bの外面(厳密には溝59baの底面)と側面部材61の内面とによって圧縮される。すなわち、側面用パッキン71は、圧縮状態で側方部59bと側面部材61との間に介在して、これらに密着する。図示の例では、側方部59b及び側面部材61の互いに対向する領域は、一部(後述する内側トラック面59bn及びこれと対向する面)においては隙間を介して対向し、他の一部(後述する外側トラック面59bm及びこれと対向する面)においては互いに当接している。ただし、側方部59b及び側面部材61の互いに対向する領域は、その全部において隙間を介して対向してもよいし、その全部において互いに当接していてもよい。
側面部材61の側方部59bに対する取り付けは、例えば、側面部材61に挿通されたねじ65(雄ねじ)が側方部59bの雌ねじ59bhに螺合されることによってなされる。なお、ねじ65に加えて、又は代えて、係合部によって取り付けがなされてもよい。
雌ねじ69bh(ねじ65)の位置は、側面用パッキン71に囲まれる領域の外側とされている。これにより、側面部材61のねじ65が挿通される孔(符号省略)において筐体27の密閉性が低下するおそれが低減される。より詳細には、側面用パッキン71が配置される溝59baは、後述する内側トラック面59bnに形成されている。また、雌ねじ69bhは、後述する外側トラック面59bmに形成されている。
側方部59bの外面及び側面部材61の内面は、例えば、段差を有している。このような段差は、例えば、両者の平面方向の位置決めに寄与している。具体的には、側方部59bの外面は、側面開口59xを囲む内側トラック面59bnと、その外側にて側面開口59xを囲む外側トラック面59bmとを有している。内側トラック面59bnは、外側トラック面59bmよりも筐体27の内部側へ低くなっている。側面部材61の内面は、上記の側方部59bの段差に応じた段差を有している。すなわち、符号は省略するが、側面部材61の内面は、外縁に沿って1周する外側トラック面と、その内側で当該外側トラック面よりも側面開口59x側に高くなっている面とを有している。
なお、側面部材61の内面は、さらに、側面開口59xに嵌合する段差を有していてもよい。また、側方部59bの外面及び側面部材61の内面は、段差を有さない形状であっても構わない。また、図示の例とは逆に、側面部材61の内面に凹部を形成して側方部59bに形成した凸形状を嵌合させることも可能である。溝59baに加えて、又は代えて、側面部材61の内面に側面用パッキン71が収容される溝が形成されてもよい。この場合において、側面用パッキン71は、側面部材61を筐体本体59に取り付ける前において、筐体本体59ではなく、側面部材61に取り付けられていてもよい。側方部59b及び側面部材61の一方が他方に嵌合する凸形状を有している場合においては、埋設部材51のように、凸形状の外周面にパッキンが配置されてもよい。
[ヘッド本体と筐体との間の密閉]
図9(a)は、ヘッド本体25の一部を破断して示す斜視図であり、図3の領域IXaに対応している。図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における断面図である。
ヘッド本体25と筐体本体59との間には、ヘッド用パッキン73が介在している。これにより、両者の間の密閉性が向上している。より具体的には、例えば、以下のとおりである。
ヘッド本体25は、その外周側部分(側面等)を構成している外周構成部75を有している。外周構成部75は、流路部材35とは別個の部材によって構成され、流路部材35を保持していてもよいし、流路部材35の一部であってもよい。後者の場合、例えば、外周構成部75は、互いに積層されたプレートによって構成されている。外周構成部75は、例えば、平面視において、ヘッド本体25の流路が構成されている領域及びアクチュエータ基板37の配置領域の、全部又は大部分(例えば9割以上)を囲んでいる。この外周構成部75に囲まれる領域を主領域25mというものとする。外周構成部75は、主領域25m上(別の観点では例えばアクチュエータ基板37上)に凹部25rを構成していてもよい。
ヘッド用パッキン73は、例えば、環状に形成されており、主領域25mを囲むようにしてヘッド本体25に配置される。より詳細には、ヘッド用パッキン73は、例えば、外周構成部75の上面に形成された溝75aに嵌め込まれる。溝75aは、例えば、一定の幅及び一定の深さで凹部25rの縁部に沿って(例えば平行に)延びて、凹部25rを1周している。溝75aの横断面の形状は、矩形又は半円状等の適宜な形状とされてよい。ヘッド用パッキン73の横断面(環の接線に直交する断面)において、環の径方向の厚さは、例えば、当該方向に係る圧縮に関して圧縮状態で又は非圧縮状態で溝75aの幅内に収まる大きさである。ヘッド用パッキン73の横断面において、環の開口方向の厚さは、当該方向に係る圧縮に関して少なくとも非圧縮状態で溝75aの深さよりも大きい。
ヘッド本体25と筐体本体59とが固定されると、ヘッド用パッキン73は、ヘッド本体25の上面(厳密には溝75aの底面)と筐体本体59の下面とによって圧縮される。すなわち、ヘッド用パッキン73は、圧縮状態でヘッド本体25と筐体本体59との間に介在して、これらに密着する。図示の例では、ヘッド本体25及び筐体本体59の互いに対向する領域は、一部(後述する内側トラック面75n及びこれと対向する面)においては隙間を介して対向し、他の一部(後述する外側トラック面75m及びこれと対向する面)においては互いに当接している。ただし、ヘッド本体25及び筐体本体59の互いに対向する領域は、その全部において隙間を介して対向してもよいし、その全部において互いに当接していてもよい。
ヘッド本体25と筐体本体59との固定は、例えば、筐体本体59に挿通されたねじ65(雄ねじ)がヘッド本体25の雌ねじ75hに螺合されることによってなされる。より具体的には、例えば、筐体本体59は、その外周面から外側に外周面の全周(一部でもよい)に亘って突出するフランジ59fを有しており、当該フランジ59fにねじ65が挿通される孔(符号省略)が形成されている。また、例えば、ヘッド本体25の外周構成部75は、その外周面から外側に外周面の全周(一部でもよい)に亘って突出するフランジ75fを有しており、当該フランジ75fに雌ねじ75hの少なくとも一部(図示の例では全部)が位置している。そして、フランジ59fとフランジ75fとは、互いに対向した状態で、ねじ65によって固定される。なお、図示の例とは逆に、外周構成部75に挿通されたねじ65が筐体本体59に形成された雌ねじに螺合されてもよい。また、ねじ65に加えて、又は代えて、係合部によって固定がなされてもよい。
雌ねじ75h(ねじ65)の位置は、ヘッド用パッキン73に囲まれる領域の外側とされている。これにより、筐体本体59(又はヘッド本体25)のねじ65が挿通される孔においてヘッド本体25と筐体27との間の密閉性が低下するおそれが低減される。より詳細には、ヘッド用パッキン73が配置される溝75aは、後述する内側トラック面75nに形成されている。また、雌ねじ75hは、後述する外側トラック面75mに形成されている。
ヘッド本体25の上面及び筐体本体59の下面は、例えば、段差を有している。このような段差は、例えば、両者の平面方向の位置決めに寄与している。具体的には、外周構成部75の上面は、主領域25m(凹部25r)を囲む内側トラック面75nと、その外側にて主領域25mを囲む外側トラック面75mとを有している。内側トラック面75nは、外側トラック面75mよりも下方(筐体本体59とは反対側)へ低くなっている。筐体本体59の下面は、上記の外周構成部75の段差に応じた段差を有している。すなわち、符号は省略するが、筐体本体59の下面は、外縁に沿って1周する外側トラック面と、その内側で当該外側トラック面よりもヘッド本体25側へ高くなっている面とを有している。
なお、ヘッド本体25の上面及び筐体本体59の下面は、段差を有さない形状であっても構わない。また、図示の例とは逆に、筐体本体59の凹形状にヘッド本体25の凸形状が嵌合する形状であってもよい。また、筐体本体59及びヘッド本体25の一方は、他方の内壁面(空間26を構成している内壁面)に嵌合する凸形状を有していてもよい。溝75aに加えて、又は代えて、筐体本体59の下面にヘッド用パッキン73が収容される溝が形成されてもよい。この場合において、ヘッド用パッキン73は、ヘッド本体25と筐体本体59とを固定する前において、ヘッド本体25ではなく、筐体本体59に取り付けられていてもよい。ヘッド本体25及び筐体本体59の一方が他方に嵌合する凸形状を有している場合においては、埋設部材51のように、凸形状の外周面にパッキンが配置されてもよい。
[チューブの拘束]
筐体27は、内側チューブ57Iの移動を規制するガイド部59eを有している。具体的には、以下のとおりである。
図10は、内側チューブ57I及びその周辺部を示す斜視図である。なお、ここでは、+y側のチューブユニット31についてのみ示すが、−y側のチューブユニット31についても基本的に同様である。
ヘッド本体25は、第1内側チューブ57AIと接続される第1ヘッド側接続部77Aと、第2内側チューブ57BIと接続される第2ヘッド側接続部77Bとを有している。なお、以下の説明では、これらを区別せずに単に「ヘッド側接続部77」ということがある。
ヘッド側接続部77は、内側チューブ57Iと供給用共通流路41又は回収用共通流路43とを繋いでいる。具体的には、例えば、第1ヘッド側接続部77Aは、供給用共通流路41に繋がっており、第2ヘッド側接続部77Bは、回収用共通流路43に繋がっている。より詳細には、例えば、図4(b)で例示したヘッド本体25の流路を前提として、+y側の第1ヘッド側接続部77Aは、+y側の端部41eに接続され、+y側の第2ヘッド側接続部77Bは、+y側の端部43eに接続されている。−y側についても同様である。
ヘッド側接続部77の構成は、例えば、概略、ジョイント53のうちの内側接続部53iの構成と同様とされてよい。また、ヘッド側接続部77は、流路部材35に対して、適宜な方法によって固定されてよい。例えば、両者は接着剤によって互いに固定されていてもよいし、及び/又は接着又は螺合によって流路部材35に固定される不図示の連結部材を介して固定されていてもよい。
複数(ここでは2つ)のジョイント53の並び方向と、複数(ここでは2つ)のヘッド側接続部77の並び方向とは互いに交差している。これに伴い、2つの内側チューブ57Iは、例えば、半周未満の量(図示の例では1/4周)で撚られている状態となっている。
より具体的には、例えば、2つのジョイント53は、ヘッド23の絶対座標系における移動方向(x方向。別の観点ではヘッド23と記録媒体101との相対移動の方向)に沿って(例えば平行に)並んでいる。一方、2つのヘッド側接続部77は、x方向に直交する方向(y方向)に沿って(例えば平行に)並んでいる。そして、ジョイント53の並び方向とヘッド側接続部77の並び方向とは概ね直交している(例えば80°以上100°以下、又は90°で交差している。)。
ガイド部59eは、例えば、筐体本体59に設けられており、複数(ここでは2つ)の内側チューブ57Iの移動を共に規制する。ガイド部59eは、例えば、ヘッド本体25とチューブ用孔59tとの間で筐体本体59の内面から突出し、ヘッド本体25及びチューブ用孔59tに面する板状である。図示の例では、ガイド部59eは、1平面のみからなる。ただし、ガイド部59eは、階段状に形成されている部分を有しているなど、複数平面(曲面でもよい)を含んでいてもよい(このような場合も本実施形態でいう板状のガイド部に含まれる。)。ガイド部59eは、ヘッド本体25に対して平行であってもよいし(図示の例)、傾斜していてもよい。同様に、ガイド部59eは、チューブ用孔59tの開口方向に直交していてもよいし(図示の例)、傾斜していてもよい。
ガイド部59eは、筐体本体59の4つの内面のうち、例えば、3面に接続されている。例えば、+y側のガイド部59eにおいては、+y側の内面、+x側の内面の+y側の部分、及び−x側の内面の+y側の部分に接続されている。ただし、ガイド部59eは、1面、2面又は4面(全周)に接続されていてもよい。また、ガイド部59eのz方向の位置は、適宜に設定されてよい。例えば、ガイド部59eは、チューブ用孔59tと正面開口27zとの中間位置よりもチューブ用孔59t側の位置、及び/又はチューブ用孔59tと正面開口27zとの間を3等分したときの中央の範囲に配置されてよい。
ガイド部59eは、第1内側チューブ57AIが挿通される第1空所79Aと、第2内側チューブ57BIが挿通される第2空所79Bと、を有している。なお、以下では、両者を区別せずに、単に「空所79」ということがある。
図11(a)は、ジョイント53及びガイド部59eを示す平面図である。図11(b)は、ヘッド側接続部77及びガイド部59eを示す平面図である。
空所79は、例えば、切欠きによって構成されている。また、2つの空所79は、互いに繋がって、一つの空所(切欠き)を構成している。なお、特に図示しないが、2つの空所79は、互いに繋がっていなくてもよいし、少なくとも一方は孔によって構成されていてもよい。空所が孔である場合においては、内側チューブ57Iをその端部から孔に挿通する。空所79が切欠きである場合においては、孔の場合と同様に内側チューブ57Iをその端部から切欠きに挿通する方法の他、切欠きの入口(空所79が途切れている箇所)から横方向に内側チューブ57Iを空所79へ配置することもできる。このとき、切欠きの入口において内側チューブ57Iは直径方向に一時的に潰されてよいから、切欠きの入口は、内側チューブ57Iの外径(使用時)以上である必要は無い。
空所79の大きさは適宜に設定されてよい。例えば、空所79の直径は、対応する内側チューブ57I(又は内側接続部53i)の外径の1倍以上2倍以下、1倍超1.5倍以下、又は1倍超1.3倍以下である。なお、空所79が円形でない場合等においては、空所79の直径は、例えば、内側チューブ57Iに対応して凹状(円弧状)となっている部分に最も一致する仮想円(2点鎖線で示す)を仮定し、その仮想円の直径を計測してよい。
図11(a)に示すように、第1ジョイント53A(厳密には内側接続部53i)の軸方向(z方向)に見て、第1ジョイント53A(厳密には内側接続部53i)の図心G1と、第1空所79Aの図心G11とは、ずれている。同様に、第2ジョイント53Bの軸方向に見て、第2ジョイント53Bの図心G2と、第2空所79Bの図心G12とは、ずれている。このように図心がずれていると、例えば、内側チューブ57Iは、空所79の縁部に当接しやすい。ひいては、内側チューブ57Iの移動の規制が確実になされる。
なお、確認的に記載すると、図心は、その点を通る任意の軸(ここでは内側接続部53iに平行な軸(z軸))に対する断面一次モーメントが0になる点であり、例えば、円では中心である。また、図示の例では、空所79は、切欠きによって構成されていること、2つの空所79が互いに繋がっていることから、空所79の境界が明確でない部分がある。このような場合においては、例えば、内側チューブ57Iに対応して凹状(円弧状)となっている部分に最も一致する仮想円(2点鎖線で示す)を仮定し、その仮想円の図心を用いてよい。
図心G1とG11とのずれの量、図心G2とG12とのずれの量は適宜に設定されてよい。例えば、ずれの量は、対応する内側チューブ57I(又は内側接続部53i)の外径の1/5倍以上5倍以下、又は1/3倍以上1倍以下である。
また、別の観点では、第1ジョイント53A(厳密には内側接続部53i)の軸方向に見て、第1ジョイント53A及び第2ジョイント53B(厳密にはこれらの内側接続部53i)の並び方向と、第1空所79A及び第2空所79Bの並び方向とが交差している。この場合、例えば、内側チューブ57Iは、空所79の縁部に当接しやすい。ひいては、内側チューブ57Iの移動の規制が確実になされる。
より具体的には、既述のように、第1ジョイント53A及び第2ジョイント53Bがx方向に並んでいるのに対して、第1空所79A及び第2空所79Bは、x方向に対して90°未満(一例として30°以上60°以下)の角度で傾斜している。別の観点では、第1空所79Aから第2空所79Bへの方向は、第1ジョイント53Aから第2ジョイント53Bへの方向と、第1ヘッド側接続部77Aから第2ヘッド側接続部77Bへの方向との間に位置している。
図11(b)に示すように、ヘッド側接続部77と空所79との位置関係についても、上述のジョイント53と空所79との位置関係と同様のことが言える。例えば、第1ヘッド側接続部77Aの軸方向(z方向)に見て、第1ヘッド側接続部77Aの図心G21と、第1空所79Aの図心G11とは、ずれている。第2ヘッド側接続部77Bの軸方向(z方向)に見て、第2ヘッド側接続部77Bの図心G22と、第2空所79Bの図心G12とは、ずれている。また、第1ヘッド側接続部77Aの軸方向に見て、2つのヘッド側接続部77の並び方向と、2つの空所79の並び方向とは交差している。
以上のとおり、本実施形態では、液体吐出ヘッド23は、ヘッド本体25と、筐体27と、チューブユニット31とを有している。ヘッド本体25は、複数の吐出孔33が開口している吐出面25aを有している。筐体27は、ヘッド本体25に対して吐出面25aとは反対側に被せられている。チューブユニット31は、筐体27内でヘッド本体25に接続されているとともに、筐体27が有しているチューブ用孔59tを介して筐体27外へ延び出ている。また、チューブユニット31は、埋設部材51と、ジョイント53と、チューブ用パッキン55と、内側チューブ57Iと、外側チューブ57Oとを有している。埋設部材51は、チューブ用孔51t内に位置している。ジョイント53は、中継部53a、内側接続部53i及び外側接続部53oを有している。中継部53aは、埋設部材51に埋設されている中空状の部位である。内側接続部53iは、埋設部材51から筐体27内へ突出しており、中継部53aに通じている中空状の部位である。外側接続部53oは、埋設部材51から筐体27外へ突出しており、中継部53aに通じている中空状の部位である。チューブ用パッキン55は、埋設部材51の外面とチューブ用孔59tの内面との間に介在している。内側チューブ57Iは、内側接続部53iとヘッド本体25とに接続されている可撓性部材である。外側チューブ57Oは、外側接続部53oに接続されている可撓性部材である。
従って、例えば、チューブユニット31が筐体27に挿通される部分(チューブ用孔59t)における密閉性が向上する。ここで、本実施形態とは異なり、筐体27の内部から外部へ延びる一繋がりの可撓性のチューブがチューブ用孔59tに挿通されている態様を考える。この態様では、例えば、チューブの中途部分の周囲に直接にパッキンを配すことになる。しかし、この場合、可撓性のチューブは潰れることも可能であるから、チューブとパッキンとの間の密閉性が低い。一方、本実施形態では、ジョイント53及び埋設部材51からなる部品(剛体)によって筐体27の内外を通じさせることとし、その周囲にチューブ用パッキン55を配置していることから、密閉性が高い。
また、チューブ用孔59tに配される剛体の部品をジョイント53及び埋設部材51の2部材(2材料)から構成していることから、1材料によって剛体の部品を作製する場合に比較して、内側接続部53i、外側接続部53o及び溝51a等を有する形状の実現が容易である。なお、一繋がりの可撓性のチューブを筐体に挿通する態様においては、可撓性のチューブの中途部分を成形材料に埋設するような成形は困難である。また、チューブ用パッキン55を設けずに、エラストマーからなる埋設部材51自体をパッキンとして機能させる場合に比較して、パッキンとして必要な弾性を確保することが容易である。
さらに、上記の構成では、筐体27の内部と外部とで、別個のチューブ57を用いている。従って、例えば、筐体27の内部から外部へ延びる一繋がりのチューブを用いる態様に比較して、チューブ57の取り付け及び/又は交換が容易である。さらに、チューブ57を交換する場合においては、1本の長いチューブを用いる場合に対して、一部のみが交換されることになるから、コスト削減が図られる。また、筐体27の内部と外部とではチューブ57の使用環境が異なる。例えば、筐体27の内部と外部とでは、温度環境が異なるし、ヘッド23が駆動されるときに作用する慣性力及び/又は風圧に起因する変形若しくは周囲の部材との摩擦も異なる。従って、筐体27の内部と外部とのそれぞれに適した材料でチューブ57を作製することができる。
また、本実施形態では、1つのチューブユニット31は、1つの埋設部材51に対して、ジョイント53、内側チューブ57I及び外側チューブ57Oの組み合わせを複数(実施形態では2つ)有している。すなわち、複数の流路に1つの埋設部材51が共用されている。
この場合、流路毎に埋設部材51が設けられる態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、流路全体として、密閉を要する外周面の長さ(パッキンが必要な長さ)は短くなる。従って、筐体27の密閉性が向上する。また、部品点数が削減され、さらには、チューブ用孔59tの数も減るから、筐体27の構成も簡素化される。
また、本実施形態では、筐体27は、チューブ用孔59tとヘッド本体25との間で該筐体27の内面から突出してチューブ用孔59tに面している板状のガイド部59eを有している。ガイド部59eは、内側チューブ57Iが挿通されている空所79を有している。
この場合、例えば、ガイド部59eは、内側チューブ57Iの移動を規制しつつも、チューブ用孔59tからヘッド本体25側へのインクミスト等の流れを規制する部材としても機能する。その結果、筐体27の密閉性が向上する。
また、本実施形態では、内側接続部53iの軸方向に見て、内側接続部53iの図心G1と、空所79の図心G11とがずれている。
この場合、例えば、内側チューブ57Iが空所79の縁部に当接しやすい。これにより、内側チューブ57Iの移動が規制されやすい。さらに、内側チューブ57Iは、空所79に斜めに挿通されることになるから、空所79の開口方向に平行に挿通される場合に比較して、空所79を塞ぎやすい。その結果、ガイド部59eによる密閉性が向上する。
また、本実施形態では、内側接続部53iの軸方向に見て、第1ジョイント53Aの内側接続部53i及び第2ジョイント53Bの内側接続部53iの並び方向と、第1空所79A及び第2空所79Bの並び方向とが交差している。
この場合、例えば、まず、上記の図心がずれている場合と同様の効果が奏される。さらに、内側チューブ57I同士が撚られることになるから、例えば、内側チューブ57I同士の隙間が直線状でなくなり、インクミストが通過しにくくなる。また、例えば、2つの空所79が繋がっている場合に、その繋がっている部分の直上において、内側チューブ57I同士を当接させて両者の隙間を無くしたり、内側チューブ57Iを位置させたりすることができる。
また、本実施形態では、筐体27は、筐体本体59と、係止部材63とを有している。筐体本体59は、チューブ用孔59tと、チューブ用孔59tに位置している埋設部材51に筐体27の内側から係合している埋設部材用係合部59atとを有しており、一体成形されている。係止部材63は、埋設部材51に筐体27の外側から係合した状態で筐体本体59に連結されている。
この場合、例えば、チューブ用孔59tは、その全周に亘って一体形成されるから、密閉性が向上する。すなわち、筐体がx方向に分離及び合体が可能な2つの部材からなり、その2つの部材の間にチューブ用孔59tが構成される態様(そのような態様も本開示に係る技術に含まれても構わない)に比較して、密閉性が向上する。なお、筐体が2つの部材からなる場合は、例えば、埋設部材にz方向において互いに平行な2枚のフランジを形成し、その間の部分を2つの部材で挟み込むようにすることによって、係止部材63を省略できるというメリットがある。
また、本実施形態では、ヘッド23は、コネクタ29と、コネクタ用パッキン66とを有している。コネクタ29は、筐体本体59がチューブ用孔59tと並列に有しているコネクタ用孔59cに位置しており、ヘッド本体25と筐体27の外部とを電気的に接続することに供される。コネクタ用パッキン66は、コネクタ29の外面とコネクタ用孔59cの内面との間に位置している。筐体本体59は、コネクタ29に筐体27の内側から係合するコネクタ用係合部59acを有している。係止部材63は、埋設部材51だけでなく、コネクタ29に対しても筐体27の外側から係合している。
この場合、例えば、チューブ用孔59tだけでなく、コネクタ用孔59cの密閉性も向上する。さらに、係止部材63が両者の固定に兼用されることによって、ヘッド23の構成が簡素化される。
また、本実施形態では、筐体本体59は、対向面部59aと、側方部59bと、側面開口59xとを有している。対向面部59aは、ヘッド本体25に対して吐出面25aとは反対側から空間26を介して対向しており、チューブ用孔59t及び埋設部材用係合部59atを有している。側方部59bは、ヘッド本体25と対向面部59aとの間で空間26を囲んでいる。側面開口59xは、側方部59bにおいて開口している。筐体27は、側面開口59xを塞ぐ側面部材61を更に有している。
この場合、例えば、対向面部59aによって、チューブ用孔59tの縁部を全周に亘って一体形成してチューブ用孔59tの密閉性を向上させつつ、側面開口59xによって筐体本体59内の部材(例えば内側チューブ57I等)に対する作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ヘッド本体25は、複数の部分流路39b、複数の加圧室本体39a、供給用共通流路41及び回収用共通流路43を有している。複数の部分流路39bは、複数の吐出孔33に個別に繋がっている。複数の加圧室本体39aは、複数の部分流路39bを介して複数の吐出孔33に個別に繋がっている。供給用共通流路41は、複数の加圧室本体39aのうちの少なくとも一部の加圧室本体39aを介して複数の部分流路39bのうちの少なくとも一部の部分流路39bに共通に繋がっている。回収用共通流路43は、複数の加圧室本体39aのうちの少なくとも一部の加圧室本体39aを介さずに複数の部分流路39bのうちの少なくとも一部の部分流路39bに共通に繋がっている。第1内側チューブ57AI及び第2内側チューブ57BIのうち一方(実施形態では57AI)は、供給用共通流路41に繋がっている。第1内側チューブ57AI及び第2内側チューブ57BIのうち他方(実施形態では57BI)は、回収用共通流路43に繋がっている。
この場合、例えば、供給用のチューブ57と回収用のチューブ57とを埋設部材51によって纏めることができ、構成が簡素化される。また、例えば、埋設部材51及びその付近において供給用のチューブ57と回収用のチューブ57との間で熱交換を行うことができる。
また、本実施形態では、移動部2(走査部7)は、ヘッド23を絶対座標系において移動させる。
この場合、例えば、ガイド部59eによって内側チューブ57Iの移動が規制されているから、内側チューブ57Iの慣性力に起因する移動が規制される。ひいては、内側チューブ57I及びその周囲の部材の摩耗が軽減される。特に、内側接続部53iの図心G1(G2)と空所79の図心G11(G12)とがずれているときに、この効果が向上する。
また、本実施形態では、移動部2は、ヘッド23を絶対座標系において、第1ジョイント53Aの外側接続部53o及び第2ジョイント53Bの外側接続部53oの並び方向に移動させる。
この場合、例えば、第1外側チューブ57AO及び第2外側チューブ57BOの一方のみが風圧を受け、他方はその陰に隠れることになる。従って、2本の外側チューブ57Oとして受ける風圧が減じられる。その結果、外側チューブ57O及びその周囲の部材の摩耗のおそれが減じられる。
[変形例]
以下、変形例について説明する。なお、変形例の説明では、基本的に、実施形態との相違部分についてのみ述べる。特に言及がない事項については、実施形態と同様とされてよい。また、実施形態の構成と同一の構成だけでなく、細部が異なっている構成についても、実施形態の構成に用いた符号を付すことがある。
図12(a)は、変形例に係るチューブユニット131の一部の構成を示す斜視図である。
この変形例においても、チューブユニット131は、埋設部材151に中継部153aが埋設されているジョイント153を有している。ただし、ジョイント153は、分岐流路を構成している。具体的には、図示の例では、ジョイント153は、1つの外側接続部153oと、複数(図示の例では2つ)の内側接続部153iとを有している。なお、実施形態において複数のジョイント53が1つの埋設部材51に埋設されていたのと同様に、複数のジョイント153が1つの埋設部材151に埋設されていてもよい。
チューブユニット131は、図4(b)に例示した流路構成のヘッド本体25とは異なる流路構成のヘッド本体25に利用されることが想定されている。例えば、特に図示しないが、ヘッド本体25は、1色のインクに対応して、ユニット流路45を2つ有している。2つのユニット流路45は、例えば、供給用共通流路41の流れの方向が互いに同一であり(端部41eがy方向の互いに同一側(例えば−y側)にあり)、また、回収用共通流路43の流れの方向が互いに同一である(端部43eがy方向の互いに同一側(例えば+y側)にある。)。そして、1つのチューブユニット131の2つの内側接続部153iは、1色のインクに対応する2つの供給用共通流路41の端部41eに接続される。また、他の1つのチューブユニット131の2つの内側接続部153iは、例えば、1色のインクに対応する2つの回収用共通流路43の端部43eに接続される。
このようなチューブユニット131では、例えば、ヘッド本体25の構成上、1色に対応する2本のチューブをヘッド本体25に接続しなければならない場合において、筐体27の外部のチューブの本数を減じることができる。また、逆に、チューブユニット131によってマニホールドを構成することができるから、ヘッド本体25の流路の構成を簡素化することもできる。
図12(b)は、変形例に係るチューブユニット233の一部の構成及びその周辺部を示す断面図であり、図6(b)に対応している。
この変形例では、埋設部材251は、大径部251eと、大径部251eよりも径が小い小径部251fとを有している。小径部251fは、大径部251eよりも筐体227の内部側に位置している。また、筐体本体259のチューブ用孔259tは、符号は省略するが、大径部251eを収容する大径部分と、小径部251fを収容する小径部分とを有している。チューブ用パッキン55は、埋設部材251の小径部251fに嵌め込まれる。そして、チューブ用パッキン55は、埋設部材251の外面とチューブ用孔259tの内面とによって、埋設部材251の軸方向(z方向)及び/又は径方向(xy平面方向)において圧縮され、これらの面に密着している。
埋設部材を例に取って説明したが、コネクタ等のその他の部材についても、凸形状が凹形状に嵌め込まれる形状においては、このようなパッキンの取り付け態様が適用されてよい。
図13(a)は、変形例に係るねじ365を示す斜視図である。
ねじ365は、ねじ本体81と、ねじ用パッキン83とを有している。ねじ本体81は、例えば、ねじ65と概ね同様のものである。ねじ用パッキン83は、環状に形成されており、ねじ本体81のうち軸部81aに嵌められ、ねじ頭81bに係合している。より詳細には、例えば、軸部81aは、ねじ溝が切られている雄ねじ部81aaと、雄ねじ部81aaとねじ頭81bとの間に位置し、ねじ溝が切られていない胴部81abとを有しており、胴部81abに嵌められている。ねじ用パッキン83は、張力方向の復元力によって軸部81aを締め付けていてもよいし、締め付けていなくてもよい。
図13(b)は、ねじ365の利用例を示す断面図であり、図8(b)に対応している。
この図に示すように、ねじ365を用いる場合においては、側面用パッキン71に囲まれる領域内において、側面部材361に挿通されたねじ365が筐体本体359の雌ねじ部に螺合されてもよい。側面部材361のねじ365が挿通される孔はねじ用パッキン83によって密閉されるから、側面開口359xの密閉性は保たれる。なお、側面開口を例に挙げたが、正面開口27zについても同様である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、プリンタは、シリアルプリンタに限定されず、ラインプリンタであってもよい。この場合、例えば、本開示に係るヘッドによって、記録媒体の全幅に亘る長さのヘッドが構成されてもよいし、本開示に係るヘッドを記録媒体の幅方向の位置を異ならせて複数配置することによって、記録媒体の全幅に亘る長さのヘッドが構成されてもよい。
実施形態でも言及したように、ヘッドは、2色に対応するものに限定されず、1色に対応するものであってもよいし、3色以上に対応するものであってもよい。また、ヘッドは、回収用の流路を有さないものであってもよい。ヘッドは、圧電式のものに限定されず、例えば、熱によって液体内に気泡を発生させてインク滴を吐出するサーマル式のものであってもよい。また、ヘッドは、インクカートリッジが固定されているオンキャリッジ式のものであってもよい。
図4(a)及び図4(b)に示した流路構成は、一例に過ぎず、種々の配置で複数の吐出孔が設けられてよいし、種々の形状で加圧室及び共通流路が設けられてよい。例えば、共通流路は、複数に分岐してマニホールドを構成していてもよいし、U字又は環状に構成されていてもよいし、加圧室に接続される部分とその両端側とで上下方向の位置が異なっていてもよい。また、回収用共通流路は、供給用共通流路に対して積層的に配置されてもよいし、設けられなくてもよい。加圧室は、共通流路の両側に配列されてもよいし、共通流路の片側につき2列以上で配列されてもよい。
チューブユニットの含むジョイントの数及び役割分担等は、ヘッド本体の流路構成に応じて種々に設定されてよい。例えば、U字の共通流路が設けられ、その両端において共通流路への供給(又は共通流路からの回収)が行われる場合、図12(a)に示したジョイント153が用いられてもよい。また、例えば、実施形態の1つのユニット流路45において、供給用共通流路41の両端において供給用共通流路41への供給が行われ、回収用共通流路43の両端において回収用共通流路からの回収が行われる場合に、この1つのユニット流路45に対して実施形態の2つのチューブユニット31が用いられてもよい。別の観点では、チューブユニット31の2つのジョイント53は、同一のユニット流路45に用いられてもよい。
チューブユニット及び/又はコネクタが挿通される面は、ヘッド本体に対向する面に限定されず、側面であってもよい。なお、側面にチューブユニットを挿通する場合は、実施形態でも触れた内側接続部と外側接続部とが互いに異なる方向に延びるジョイント(例えばL字のジョイント)が用いられてもよい。また、上記から理解されるように、全周に亘って形成されるチューブ用孔等は側面に形成されてもよく、筐体の全体構造も実施形態のものに限定されない。
筐体の種々の部位について封止構造を例示したが、これらのうちいずれかのみが選択的に利用されてよい。別の観点では、各部の封止は、実施形態とは異なる方法によってなされてもよい。例えば、コネクタの封止は、パッキンではなく、樹脂封止によってなされてもよい。