JP2017007246A - 液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 Download PDF

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泰式 藏本
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Abstract

【課題】コンプライアンス部における可撓シートの帯電を抑制して、可撓シートの変位が阻害される不具合を抑制することが可能な液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置を提供する。【解決手段】可撓シート44が導電性を有する材料から作製され、可撓シートと保持板45との間、および、保持板と保護板14との間が、それぞれ導電性を有する接着剤43,55により接合されて電気的に導通されている。このため、可撓シート、保持板、および、保護板は、同電位となる。これにより、帯電したインクが可撓シートに接触した場合に可撓シートと保護板との間に静電力Fが生じることが抑制され、可撓シートが保護板に吸着することが防止される。その結果、可撓シートの変位が阻害される不具合を抑制することが可能となる。【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッドなどの液体吐出ヘッド、および、これを備えた液体吐出装置に関し、特に、液体流路内の圧力変動を抑制するコンプライアンス部を有する液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置に関する。
液体吐出装置は液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレイ製造装置用の色材吐出ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極形成装置用の電極材吐出ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物吐出ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
液体吐出ヘッドとしては、ノズルが複数開設されたノズルプレート、各ノズルに連通する圧力室が複数形成された基板、各圧力室に供給する液体が導入される共通液室(リザーバーあるいはマニホールドとも呼ばれる)が形成された基板、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせるアクチュエーター等、複数の構成部材を積層して構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような構成の液体吐出ヘッドにおいて、共通液室内の液体に生じる圧力変動を吸収するコンプライアンス部が設けられている。より具体的には、特許文献1の構成では、共通液室の一部が可撓性フィルムで封止され、この可撓性フィルムが共通液室内の圧力変動に応じて変形することで、共通液室内の液体に生じた圧力変動を吸収する。この可撓シートとしては、薄手の樹脂フィルムが好適に用いられている。この樹脂フィルムを保護するため、特許文献1に開示されている液体吐出ヘッドでは、可撓シートの変形を許容する空間(コンプライアンス空間)を間に形成した状態で当該可撓シートを保護する保護板が設けられている(特許文献1の図4参照)。
特開2013−103392号公報
ところで、液体吐出ヘッド内の液体流路を液体が流れる際、液体流路の内壁との摩擦により液体が帯電し、その結果、この液体と接触する可撓シートが帯電する場合がある。この場合において、当該可撓シートが保護板側(コンプライアンス空間側)に変位した際に静電力により保護板に吸着してしまい、可撓シートの変位を阻害する虞があった。可撓シートの変位が阻害されると、各ノズルに共通な液体流路内の圧力変動が十分に抑えられない。このため、この抑えられなかった圧力変動の影響により、各ノズルから吐出される液滴の重量や飛翔速等の吐出特性がばらつく問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンプライアンス部における可撓シートの帯電を抑制して、可撓シートの変位が阻害される不具合を抑制することが可能な液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置を提供するものである。
〔手段1〕
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルから吐出するための液体が導入される共通液室、
前記共通液室の一部を封止する可撓シートと、
前記可撓シートとの間に、当該可撓シートの変位を許容する空間を形成して配置される保護板と、
を備え、
前記可撓シートと前記保護板とが同電位に調整されたことを特徴とする。
手段1の構成によれば、帯電した液体が可撓シートに接触したとしても、可撓シートと前記保護板とが同電位であるため、可撓シートと保護板との間に静電力が生じることが抑制され、これにより可撓シートが保護板に吸着することが防止される。このため、可撓シートの変位が静電力によって阻害されることが防止される。その結果、共通液室における圧力変動がより確実に抑制されるので、共通液室に連通する各ノズルにおける吐出特性のばらつきが低減される。
〔手段2〕
また、上記手段1の構成において、前記保護板は、導電性を有し、前記共通液室内の液体と電気的に接続されている構成を採用することが望ましい。
この手段2の構成によれば、可撓シートと保護板が液体を介して同電位に調整される。これにより、可撓シートと保護板との間に静電力が生じることが抑制される。
〔手段3〕
さらに、手段1または手段2の構成において、前記可撓シートは、導電性を有する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、可撓シートが導電性を有することにより、帯電した液体と接触しても帯電し難くすることが可能となる。
〔手段4〕
また、上記手段2または手段3の構成において、前記可撓シートおよび前記保護板は、接地されている構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、可撓シートおよび保護板が接地されていることで、帯電した液体が可撓シートに接触したとしても、電荷が接地側に逃されるので、可撓シートと保護板との間に静電力が生じることをより確実に抑制することができる。このため、可撓シートの変位が静電力によって阻害されることがより確実に防止される。
〔手段5〕
また、上記手段1から手段4の何れか一の構成において、前記可撓シートと前記保護板とは、金属板を介して接合され、
前記可撓シートと前記金属板との間、および、前記金属板と前記保護板との間は、それぞれ導電性を有する接着剤により接合された構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、導電性を有する接着剤を介して可撓シート、金属板、および、保護板が導通され、これらの部材が同電位となる。これにより、導通のための部材を別途追加することなく簡単な構成で可撓シートと保護板との間に静電力が生じることが抑制される。
〔手段6〕
また、上記手段1から手段4の何れか一の構成において、前記可撓シートと前記保護板とは、金属板を介して接合され、
前記可撓シートと前記金属板との間、および、前記金属板と前記保護板との間は、それぞれ非導電性の接着剤により接合され、
前記可撓シート、前記金属板、および、前記保護板は、導電性を有する導通材を介してそれぞれ電気的に接続されている構成を採用することができる。
この構成によれば、可撓シート、金属板、および、保護板が、導電性を有する導通材を介してそれぞれ電気的に接続されるので、導電性を有する接着剤を用いることなく、可撓シート、金属板、および、保護板が導通され、可撓シートと保護板との間に静電力が生じることが抑制される。
〔手段7〕
また、上記手段1から手段6の何れか一の構成において、前記空間が保湿されている構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、空間の内部が保湿されることにより、可撓シートおよび保護板が帯電することが抑制され、その結果、可撓シートと保護板との間に静電力が生じることがより確実に抑制される。
〔手段8〕
また、上記手段1から手段7の何れか一の構成において、前記共通液室の内壁面および当該共通液室よりも上流の液体流路の内壁面が、親液性を呈する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、共通液室およびこれよりも上流の液体流路の内壁面が親液性を呈することで、これらの流路を液体が流れる際の液体の帯電を抑制することができる。このため、可撓シートおよび保護板が帯電することが一層確実に抑制され、可撓シートの変位が静電力によって阻害されることがより効果的に防止される。
〔手段9〕
また、上記手段1から手段8の何れか一の構成において、前記共通液室を複数備え、
前記保護板は、前記複数の共通液室に対して共通に設けられている構成を採用することも可能である。
この構成によれば、保護板が、複数の共通液室に対して共通に設けられているので、各共通液室に対応する可撓シートの帯電を共通の保護板を利用して抑制することができ、効率的である。
〔手段10〕
また、上記手段1から手段9の何れか一の構成において、前記ノズルが開設されたノズルプレートと前記共通液室とを有する単位ヘッドを複数備え、
各単位ヘッドは、共通に設けられた保護板に対してそれぞれ位置決めされた状態で固定された構成を採用することができる。
この構成によれば、複数の単位ヘッドが、共通に設けられた保護板に対してそれぞれ位置決めされた状態で固定されるので、各単位ヘッドの相対位置、特に、単位ヘッドと保持板の積層方向における各単位ヘッドの位置をより高い精度で規定することができる。
〔手段11〕
また、上記手段1から手段10の何れか一の構成において、前記ノズルおよび前記共通液室に連通する圧力室が形成された非導電性の圧力室形成基板と、
前記圧力室形成基板と前記ノズルプレートとの間に設けられ、前記圧力室と前記ノズルとを連通させる連通口、前記共通液室、および当該共通液室と前記圧力室とを連通させる供給口が形成された非導電性の連通板と、
前記連通板と前記保護板との間に設けられ、前記可撓シートを保持する導電性を有する保持板と、を備え、
前記可撓シートは、前記連通板における前記共通液室の開口を封止する構成を採用することができる。
この構成によれば、圧力室形成基板および連通板が非導電性であり、可撓シートの帯電防止が困難な構成であっても、可撓シートと保護板とが同電位に調整されるので、両者の間に静電力が生じることを抑制することができる。このため、当該構成であっても、可撓シートの変位が静電力によって阻害されることが防止される。これにより、共通液室における圧力変動がより確実に抑制されるので、共通液室に連通する各ノズルにおける吐出特性のばらつきが低減される。
〔手段12〕
そして、本発明の液体吐出装置は、上記手段1から手段11の何れか一の構成の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
この構成によれば、液体吐出ヘッドの各ノズルにおける吐出特性のばらつきが低減されるので、信頼性が向上する。
プリンターの内部構成を説明する斜視図である。 ヘッドユニットを斜め上方から観た分解斜視図である。 ヘッドユニットの底面図である。 単位ヘッドの分解斜視図である。 単位ヘッドの断面図である。 単位ヘッドの要部断面図である。 第2の実施形態におけるコンプライアンス部近傍の要部断面図である。 第3の実施形態におけるコンプライアンス部近傍の要部断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体吐出装置として、液体吐出ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)3を複数備えるヘッドユニット4を搭載したインクジェット式プリンター(以下、プリンター)1を例に挙げて行う。
プリンター1の構成について、図1を参照して説明する。プリンター1は、記録紙等の記録媒体2の表面に対して液体状のインクを吐出して画像等の記録を行う装置である。このプリンター1は、複数の記録ヘッド3を備えるヘッドユニット4と、記録媒体2を搬送する搬送機構5と、ヘッドユニット4における各記録ヘッド3のノズル面に対し記録媒体2を相対させた状態で支持する媒体支持部6と、を装置本体7の内部に備えている。
本実施形態におけるヘッドユニット4は、記録媒体2の搬送方向(第1の方向X)に交差する方向(第2の方向Y)に複数の記録ヘッド3を板状のヘッド固定基板8に取り付けてユニット化されたものであり、各記録ヘッド3のノズル面を媒体支持部6(プラテンとも呼ばれる)に向けた姿勢で装置本体7に固定されている。ヘッドユニット4の各記録ヘッド3には、本発明における液体の一種であるインクを貯留した図示しないインクカートリッジからのインクが供給されるように構成されている。このインクカートリッジは、ヘッドユニット4上に装着される構成であってもよいし、装置本体7においてヘッドユニット4とは異なる位置に配置されて供給チューブ等を介して各記録ヘッド3にインクが供給される構成であってもよい。
搬送機構5は、媒体支持部6よりも記録媒体の搬送方向における上流側に上下一対に配置された第1の搬送ローラー10aと、媒体支持部6よりも搬送方向における下流側に上下一対に配置された第2の搬送ローラー10bと、を備えており、これらの搬送ローラー10a,10bを駆動させることにより、供給側からの記録媒体2を、上下のローラーで挟んだ状態で媒体支持部6上を通過させて排出側に向けて搬送する。なお、上下一対のローラーのうち、上側のローラーの図示は省略されている。本実施形態における媒体支持部6は、記録ヘッド3の並設方向に沿って長尺な板状の支持台であり、ヘッドユニット4によって画像等の記録が行われる対象の記録媒体2を支持する。なお、搬送機構5が、無端ベルトやドラムにより構成されるものもあり、このような構成では、ベルトやドラムが媒体支持部として機能する。また、媒体支持部6としては、記録媒体2を静電力により吸着させる構成のものや、負圧を発生させることで記録媒体2を吸着させる構成のものを採用することもできる。
図2は、ヘッドユニット4の構成を示す分解斜視図である。図3は、ヘッドユニット4の下面図である。本実施形態におけるヘッドユニット4は、ヘッド固定基板8の下面、すなわち、媒体支持部6側の面に合計4つの記録ヘッド3を、それぞれ相対位置が規定された状態で搬送方向に交差する方向(第2の方向Y)に並べてねじ止め若しくは接着剤により固定している。各記録ヘッド3は、複数の単位ヘッド12(ヘッドチップ)と、各単位ヘッド12に供給するインクが流れる供給流路が形成された流路構造体13と、各単位ヘッド12を保護する保護板14を備えている。単位ヘッド12は、後述するようにノズル40が開設されたノズルプレート30や、ノズル40と連通するインク流路が形成された基板や、インクを吐出させる駆動源であるアクチュエーターユニット32等の構成部材が積層されて構成されている。単位ヘッド12は、ノズルプレート30の下面(ノズル40からインクが噴射される側の面)からの平面視で略平行四辺形状を呈する。すなわち、図3に示すように、複数のノズル40が並設されてなるノズル列42が、記録媒体2の搬送方向および記録ヘッド並設方向に対して傾斜して設けられており、このノズル列42の傾斜に合わせて単位ヘッド12の外形が略平行四辺形となるように形成されている。
このように、ノズル列42を構成する各ノズル40が、記録媒体2の搬送方向(第1の方向X)および記録ヘッド3の並設方向(第2の方向Y)に対して傾斜して配列されることにより、記録媒体2の搬送(副走査)を行いつつ同一ノズル列42の上流側に位置するノズル40から順にタイミングを異ならせてインクを順次吐出させてインクを記録媒体2上の記録媒体搬送方向における着弾位置を揃えたときに、本実施形態の構成と同一の形成ピッチで各ノズルを第2の方向Yに沿って配列する構成と比較して第2の方向Yにおける実質的な解像度を向上させることができる。このノズル列42の傾斜角は、ノズル40の形成ピッチや第1の方向Xにおける記録解像度に応じて定められる。本実施形態においては、1つの単位ヘッド12に合計2条のノズル列42が設けられている。そして、各記録ヘッド3においては、合計6つの単位ヘッド12が、記録ヘッド3の並設方向である第2の方向Yに並べて配置され、構成部材の最も下(最も媒体支持部6側)に配置されるノズルプレート30とは反対側の面において流路構造体13とそれぞれ接合されている。したがって、本実施形態においては、各記録ヘッド3は、それぞれ合計12条のノズル列42を有しており、ヘッドユニット4全体としては、合計48条のノズル列42を有していることになる。なお、単位ヘッド12の詳細な構成については後述する。
保護板14は、記録ヘッド3に設けられている各単位ヘッド12に共通な金属製の、すなわち導電性を有する板材であり、各単位ヘッド12のノズルプレート30を被覆する底面部15と、単位ヘッド12の並設方向における両縁から流路構造体13側に向けて屈曲した側壁部16を有している。本実施形態における保護板14の底面部15は、平面視で平行四辺形状を呈している。この底面部15には、各単位ヘッド12のノズルプレート30に対応する位置に、当該ノズルプレート30に形成されたノズル40を露出させるため、ノズル列方向(第3の方向Xa)に長尺な平行四辺形状を呈した貫通口17がそれぞれ形成されている。各単位ヘッド12は、それぞれ位置決めされた上、対応する貫通口17にノズル40を露出させた状態で、保護板14における底面部15の上面(媒体支持部6側とは反対側の面)に接着剤55(図8参照)により接合される。このように、複数の単位ヘッド12が、共通に設けられた保護板14に対してそれぞれ位置決めされた状態で固定されるので、各単位ヘッド12の相対位置、特に、単位ヘッド12と保護板14の積層方向(Z方向)における各単位ヘッド12の位置をより高い精度で規定することができる。本実施形態においては、保護板14の底面部15と単位ヘッド12におけるコンプライアンス基板34の保持板45(後述)とが、カーボン等の導電性材料を含む導電性接着剤55によって接合されている。また、本実施形態における保護板14は、図8に示すように、接地線Gに電気的に接続されていることで接地電位に調整されている。
流路構造体13は、インクカートリッジから送られてきたインクを各単位ヘッド12に分配・供給する部材である。この流路構造体13の上面には、複数のインク導入口19が開設されており、このインク導入口19から内部の供給流路にインクを導入する。本実施形態においては、合計4色のインクに対応してインク導入口19が流路構造体13に設けられている。流路構造体13の内部の各色に対応した供給流路の途中には、図示しないフィルターがそれぞれ配設されており、供給流路を流れるインクから気泡や異物を除去する。流路構造体13の内部において各供給流路は、記録ヘッド3に設けられた単位ヘッド12の数に応じた数の分岐流路に分岐される。また、流路構造体13の下面側(インク導入口19が開設された上面側とは反対側)の内部には、各単位ヘッド12を収容して保持する保持空部20が形成されており、この保持空部20の天井面20a(単位ヘッド12が接合される面)に、供給流路から分岐した分岐流路の下流側の開口が、各単位ヘッド12に対応してそれぞれ開設されている。
保持空部20は、流路構造体13の下面に開口するとともに、単位ヘッド12の並設方向における流路構造体13の両側面にも開口している。流路構造体13の両側面における保持空部20の開口は、各側面のノズル列方向(第3の方向Xa)における略中央に形成され、この開口のノズル列方向における内法は、各側面のノズル列方向の寸法よりも短く設定されている。これにより、保持空部20の第1の方向Xの両側には、保持空部20の天井面20aより下方に延びる足部21が形成されている。このような保持空部20内に、保護板14に接合された各単位ヘッド12が収容されて、各単位ヘッド12の上面と、保持空部20の天井面20aとが接着剤によって接合される。これにより、各単位ヘッド12のインク流路と、流路構造体13内の供給流路から分岐した分岐流路とが液密に連通する。
次に、単位ヘッド12の構成について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る単位ヘッド12の分解斜視図である。また、図5は、単位ヘッド12の断面図であり、図6は、図5における領域Xの拡大図である。本実施形態における単位ヘッド12は、ノズルプレート30、連通板31、アクチュエーターユニット32、コンプライアンス基板34、ケース35等の複数の構成部材が積層されて接着剤等によって接合されて構成されている。なお、以下においては、単位ヘッド12の各構成部材の積層方向を、適宜上下方向(Z方向)として説明する。
アクチュエーターユニット32は、ノズルプレート30に形成されたノズル40と連通する圧力室33が形成された圧力室形成基板32aと、各圧力室33内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーターとしての圧電素子32bと、これらの圧力室形成基板32aおよび圧電素子32bを保護する封止板32cとがユニット化されたものである。封止板32cの平面視における略中央部には、駆動IC等の駆動回路36を実装した配線基板37が挿通される配線空部38が開設されている。この配線空部38内に圧電素子32bのリード電極が配置され、このリード電極に配線基板37の配線端子が電気的に接続される。
アクチュエーターユニット32の圧力室形成基板32aは、非導電性の部材、例えば、シリコン単結晶基板から作製されている。この圧力室形成基板32aには、圧力室33となるべき空間が各ノズル40に対応して複数列設されている。この圧力室33は、第2の方向Yに長尺な空部であり、第2の方向Y(すなわち、圧力室33の長手方向)の一側の端部に連通口24が連通し、他側の端部に供給口25が連通する。本実施形態における圧力室形成基板32aには、圧力室33の列が2列形成されている。
圧力室形成基板32aの上面(連通板31側とは反対側の面)には、振動板26が積層され、この振動板26によって圧力室33の上部開口が封止されている。すなわち、振動板26により、圧力室33の一部が区画されている。この振動板26は、例えば、圧力室形成基板32aの上面に形成された二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜と、から成る。そして、この振動板26上における各圧力室33に対応する領域に圧電素子32bがそれぞれ積層されている。
本実施形態の圧電素子32bは、所謂撓みモードの圧電素子である。この圧電素子32bは、例えば、振動板26上に、下電極層、圧電体層および上電極層(いずれも図示せず)が順次積層されてなる。このように構成された圧電素子32bは、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、上下方向に撓み変形する。本実施形態では、2列に形成された圧力室33の列に対応して、圧電素子32bの列が2列形成されている。なお、下電極層および上電極層は、両側の圧電素子32bの列から当該列の間の配線空部38内までリード電極として延在され、上述したように配線基板37と電気的に接続されている。
封止板32cは、2列に形成された圧電素子32bの列を覆うように振動板26上に積層されている。封止板32cの内部には、圧電素子32bの列を収容可能な長尺な収容空間27が形成されている。この収容空間27は、封止板32cの下面側(振動板26側)から上面側(ケース35側)に向けて封止板32cの高さ方向途中まで形成された窪みである。本実施形態における封止板32cには、配線空部38の両側に収容空間27が形成されている。
アクチュエーターユニット32の下面には、このアクチュエーターユニット32よりも広い面積を有する連通板31が接合される。この連通板31は、圧力室形成基板32aと同様に非導電性のシリコン単結晶基板から作製されている。本実施形態における連通板31には、圧力室33とノズル40とを連通する連通口24と、各圧力室に共通に設けられた共通液室41と、この共通液室41と圧力室33とを連通する供給口25と、が形成されている。共通液室41(リザーバー若しくはマニホールドとも呼ばれる)は、ノズル列方向(第3の方向Xa)に沿って延在する空部であり、連通板31において、ノズルプレート30のノズル列42毎に対応して2つ形成されている。この共通液室41は、図5に示すように、連通板31の板厚方向を貫通した第1液室41aと、連通板31の下面側から上面側に向けて当該連通板31の板厚方向の途中まで窪ませ、上面側に薄板部を残した状態で形成された第2液室41bと、から構成される。供給口25は、第2液室41bの薄板部において、圧力室33に対応して第3の方向Xaに沿って複数形成されている。この供給口25は、連通板31と圧力室形成基板32aとが位置決めされて接合された状態で、対応する圧力室33の第2の方向Y(すなわち、圧力室33の長手方向)における他側(連通口24とは反対側)の端部と連通する。
連通口24は、連通板31の各ノズル40に対応する位置を板厚方向に貫通して形成される。すなわち、連通口24は、圧力室形成基板32aとノズルプレート30との間において、ノズル40とこれに対応する圧力室33とを連通する。この連通口24は、圧力室33にそれぞれ個別に対応するように第3の方向Xaに沿って複数形成されている。本実施形態の連通口24は、連通板31と圧力室形成基板32aとが位置決めされて接合された状態で、対応する圧力室33の第2の方向Yにおける一側(供給口25とは反対側)の端部と連通する。
上記の連通板31の下面の略中央部分には、複数のノズル40が形成されたノズルプレート30が接合される。本実施形態におけるノズルプレート30は、連通板31およびアクチュエーターユニット32よりも小さい面積の板材であり、シリコン単結晶基板から構成されている。このノズルプレート30は、連通板31の下面において、共通液室41の開口部から外れた位置であって、連通口24が複数開口した領域に、これらの連通口24と複数のノズル40とがそれぞれ連通する状態で接着剤等により接合される。本実施形態におけるノズルプレート30には、複数のノズル40が列設されてなるノズル列42が合計2条形成されている。
また、連通板31の下面において、ノズルプレート30の周囲を囲むように、中心部にノズルプレート30の外形に倣った形状の開口部46を有するコンプライアンス基板34が接合される。このコンプライアンス基板34の開口部46は、保護板14の貫通口17と連通して、その内側にノズルプレート30が配置されるように構成されている。このような構成により、ノズルプレート30をより小型化することができ、シリコン単結晶基板からの取り数を増やすことが可能となる。
コンプライアンス基板34は、連通板31の下面に位置決めされて接合された状態で、連通板31の下面における共通液室41の開口を封止する。本実施形態におけるコンプライアンス基板34は、図6に示すように、可撓シート44、及び、これを保持する保持板45が接着剤43により接合されて構成されている。可撓シート44は、可撓性を有する薄膜、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂材料により作製されている。本実施形態における可撓シート44には、カーボン等の導電性材料が含有されており、導電性が付与されている。また、本実施形態における接着剤43も、導電性材料を含む導電性接着剤が採用されている。このため、可撓シート44と、後述するように導電性を有する保持板45とは、接着剤43を介して電気的に接続されている。
保持板45(本発明における金属板に相当)は、可撓シート44よりも剛性が高く且つ厚みのあるステンレス鋼等の導電性を有する金属材料で形成される。この保持板45の共通液室41に対向する領域には、この共通液室41の下面開口に倣った形状に保持板45の一部が除去されたコンプライアンス開口48が形成されている。このため、共通液室41の下面側の開口は、可撓性を有する可撓シート44のみで封止されている。保持板45の下面におけるコンプライアンス開口48に対応する部分は、保護板14によって封止される。これにより、可撓シート44の可撓領域と、これに対向する保護板14との間には、コンプライアンス空間47が画成される。そして、このコンプライアンス空間47における可撓シート44の可撓領域が、インク流路内、特に共通液室41内の圧力変動に応じて変位するコンプライアンス部として機能する。したがって、保持板45の厚みは、コンプライアンス空間47として必要な高さ(Z方向の寸法)に応じて定められている。
ここで、図4に示すように、可撓シート44、連通板31、および、ケース35には、それぞれ高さ方向(Z方向)に貫通した大気開放口50a,50b,50cが形成されている。これらの大気開放口50a,50b,50cは、可撓シート44、連通板31、および、ケース35が位置決め状態で積層されると互いに連通して大気開放路を形成する。一方、保持板45には、一端がコンプライアンス開口48、すなわち、コンプライアンス空間47と連通し、他端が大気開放路と連通する大気連通路49が形成されている。この大気連通路49は、保持板45において蛇行する状態に形成された溝状の通路である。大気連通路49の開口面は、可撓シート44によって封止される。そして、コンプライアンス空間47内の水分(水蒸気も含む意味。)の通過を阻害するように、換言すると、水分の通過に対して抵抗となるように、大気連通路49の通路断面積および全長が定められている。この大気連通路49により、コンプライアンス空間47を大気開放しつつも、その内部における水分が大気開放路から放出されることが抑制され、コンプライアンス空間47を保湿することが可能となる。つまり、コンプライアンス空間47における湿度が、記録ヘッド3の外部の湿度よりも高く維持される。なお、大気連通路49は、保持板45に限られず、大気開放路の何れかの位置にあればよく、単位ヘッド12を構成する部材のうち保持板45以外の部材に設けられていてもよい。また、大気連通路49が複数設けられていてもよい。
なお、連通板31の下面において、ノズルプレート30の外周と、コンプライアンス基板34における開口部46の内周および保護板14における貫通口17の内周との間には、若干の隙間が生じる。このため、本実施形態においては、この隙間に接着剤等の充填材51が充填されている。充填材51は、例えば導電性を有しないエポキシ樹脂系接着剤が用いられる。そして、本実施形態において、ノズルプレート30と、コンプライアンス基板34および保護板14とは、電気的に接続されていない。
アクチュエーターユニット32及び連通板31には、ケース35が固定されている。ケース35は、平面視において連通板31と略同一形状を呈し、その下面側にはアクチュエーターユニット32を収容する収容空部52が形成されている。そして、収容空部52にアクチュエーターユニット32が収容された状態でケース35の下面が連通板31によって封止される。このケース35の平面視における略中央部分には、収容空部と連通する挿通空部53が開設されている。この挿通空部53は、アクチュエーターユニット32の配線空部38とも連通する。上記の配線基板37は、挿通空部53を通じて配線空部38に挿入されるように構成されている。また、ケース35の内部において、挿通空部53および収容空部の両側には、連通板31の共通液室41と連通する液室空部54が形成されている。また、ケース35の上面には、各液室空部と連通する導入口54aがそれぞれ開設されている。単位ヘッド12が位置決めされた状態で流路構造体13に接合されると、導入口54aは、流路構造体13における供給流路の分岐流路と連通する。このため、流路構造体13の供給流路を通過してきたインクは、導入口54aおよび液室空部54を通じて共通液室41へと導入される。
上記構成の単位ヘッド12では、液室空部54を通じて共通液室41にインクが導入され、液室空部54から共通液室41および圧力室33を通ってノズル40に至るまでのインク流路(本発明における液体流路に相当)内がインクで満たされる。そして、駆動回路36からの駆動信号に従い圧電素子32bが駆動されることにより、圧力室33内のインクに圧力変動が生じ、この圧力振動によって所定のノズル40からインクが吐出される。
ところで、従来のこの種の記録ヘッドにおいて、コンプライアンス部を構成する可撓シートとして樹脂製のシート材が好適に用いられていた。また、圧力室等の流路をより高い精度でより高密度に形成するため、流路を形成する部材(圧力室形成基板や連通板等)が導電性を有さないシリコン単結晶基板が用いられることが多い。このような構成において、記録ヘッド内のインク流路の内壁との摩擦によりインクが帯電し、このインクから電荷の供給を受けて可撓シートが帯電した場合に除電されにくく、可撓シートに対してコンプライアンス空間を隔てて配置されている保護板との間に電位差が生じることで静電力Fが生じる場合があった。あるいは、保護板が接地されていない構成では、ノズルから吐出されたインク滴から分離したミストが帯電し、このミストが保護板と接触することで保護板が帯電し、この保護板と可撓シートとの間に静電力Fが生じる場合もあった。
この静電力Fは、可撓シートと保護板との間の距離(すなわちコンプライアンス空間の高さ)をd、コンプライアンス空間内の空気の誘電率をε、可撓シートの変位領域の面積をS、可撓シートと保護板との電位差をVとすると、以下の式で表される。
F=εSV/2d
すなわち、可撓シートと保護板との間の距離が近づく程、また、両者の電位差が大きい程、より強い静電力Fが生じる。この静電力Fが生じることにより、可撓シートが保護板側に変位した際に保護板に吸着してしまい、可撓シートの変位が阻害される虞があった。可撓シートの変位が阻害されると、各ノズルに共通なインク流路内(共通液室内)の圧力変動が十分に抑えられない。そして、この抑えられなかった圧力変動の影響により、各ノズルにおけるインク滴の重量や飛翔速等の吐出特性がばらつく虞があった。また、この静電気によって、圧電素子等のアクチュエーターを駆動する回路にショート等の不具合が生じる可能性もあった。
上記の問題点に関し、本実施形態における記録ヘッド3では、可撓シート44が導電性を有する材料から作製され、当該可撓シート44と保持板45との間、および、保持板45と保護板14との間が、それぞれ導電性を有する接着剤43,55により接合されて電気的に導通されている。このため、可撓シート44、保持板45、および、保護板14は、同電位となる。これにより、圧力室形成基板32aおよび連通板31が非導電性のシリコン単結晶基板であっても、帯電したインクが可撓シート44に接触した場合に可撓シート44と保護板14との間に静電力Fが生じることが抑制され、これにより可撓シート44が保護板14に吸着することが防止される。このため、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることが防止される。その結果、共通液室41における圧力変動がより確実に抑制されるので、共通液室41に連通する各ノズル40における吐出特性のばらつきが低減される。
本実施形態においては、導電性を有する接着剤43,55を介して可撓シート44、保持板45、および、保護板14が導通されているので、導通のための部材を別途追加することなく簡単な構成で可撓シート44と保護板14との間に静電力が生じることが抑制される。
さらに、本実施形態においては、導電性を有する保護板14が、接地線Gを通じて接地されている。このため、可撓シート44、保持板45、および、保護板14は、接地電位に調整されている。これにより、帯電したインクが可撓シート44に接触したとしても、電荷が接地側に逃されるので、可撓シート44と保護板14との間に静電力が生じることをより確実に抑制することができる。このため、可撓シートの変位が静電力によって阻害されることがより確実に防止される。また、静電気による駆動回路36への悪影響も防止される。
また、本実施形態におけるコンプライアンス空間47に関し、大気開放路に水分の透過を抑制する大気連通路49が設けられているので、コンプライアンス空間47の内部が保湿される。これにより、可撓シート44および保護板14が帯電することが抑制され、その結果、可撓シート44と保護板14との間に静電力が生じることがより確実に抑制される。
なお、共通液室41、および、この共通液室41よりも上流側のインク流路が、合成樹脂等から作製される場合等のように、インクと流路内壁との摩擦によりインクが帯電しやすい構成においては、共通液室41、および、この共通液室41よりも上流側のインク流路の内壁面が親液性を呈する構成を採用することが望ましい。具体的には、共通液室41等の内壁面に対し親液剤が塗布されたり、或は、プラズマ処理が施されたりすることで、インクに対する濡れ性が高められる。このように、共通液室41およびこれよりも上流のインク流路の内壁面が親液性を呈することで、これらの流路をインクが流れる際のインクの帯電を抑制することができる。このため、可撓シート44および保護板14が帯電することがより確実に抑制され、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることがより効果的に防止される。
本実施形態においては、可撓シート44と保持板45とを接合する接着剤43、および、保持板45と保護板14とを接合する接着剤55として、導電性を有するものが使用された構成を例示したが、これには限られず、これらの接着剤として導電性を有さないものを採用することも可能である。この場合、接着剤が塗布されない領域、あるいは、塗布された接着剤が部分的除去された領域が設けられ、接合時に可撓シート44と保持板45とが一部で直接接触して互いに導通し、同様に保持板45と保護板14が一部で直接接触して互いに導通する構成とすれば、可撓シート44、保持板45、および、保護板14を同電位にすることができる。
また、少なくとも可撓シート44が導電性を有することにより、帯電したインクと接触しても帯電し難くすることが可能となる。
そして、本実施形態においては、保護板14が、記録ヘッド3における複数の共通液室41に対して共通に設けられているので、各共通液室41に対応する可撓シート44の帯電を共通の保護板14を利用して抑制することができ、効率的である。
図7は、本発明の第2の実施形態におけるコンプライアンス部近傍の構成を示す要部断面図である。上記第1の実施形態では、可撓シート44が導電性を有する構成を例示したが、これには、限られない。図7に示す第2の実施形態では、導電性を有さない合成樹脂製の可撓シート44が採用されており、また、共通液室41内のインクと保護板14とが導線57(本発明における導通材に相当)によって電気的に導通されている点で第1の実施形態と異なっている。この導線57の一端側は、インク流路内(図7の例では共通液室41内)に配置され、同じく他端側は、単位ヘッド12の外部に引き出されて保護板14に電気的に接続されている。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。この第2の実施形態の構成によれば、インク流路内のインクが帯電したとしても、電荷が導線57および保護板14を通じて接地線Gに逃されるので、可撓シート44が帯電することが防止される。すなわち、可撓シート44と保護板14がインクを介して同電位に調整される。このため、本実施形態においても、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることが防止される。また、可撓シート44は導電性のものでなくてもよいため、汎用性がより高い。また、可撓シート44と保持板45とを接合する接着剤43、および、保持板45と保護板14とを接合する接着剤55は、導電性を有するものでなくてもよい。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
図8は、本発明の第3の実施形態におけるコンプライアンス部近傍の構成を示す要部断面図である。この第3の実施形態においては、保持板45から可撓シート44側および保護板14側に向けて突起58(本発明における導通材に相当)が突設されている点が、上記第1の実施形態と異なっている。突起58としては、例えば、保持板45のコンプライアンス開口48の開口周縁に形成されたバリ等を利用することができる。この突起58が、可撓シート44および保護板14と接触することで、可撓シート44が導通性を有するものであれば、当該可撓シート44、保持板45、および保護板14が相互に導通され、これらの各部材が同電位に調整される。これにより、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることが防止される。また、この構成では、可撓シート44と保持板45とを接合する接着剤43、および、保持板45と保護板14とを接合する接着剤55は、導電性を有するものでなくてもよい。
さらに、可撓シート44側の突起58が、当該可撓シート44を貫通して共通液室41内のインクと接触する構成とすることで、可撓シート44が導電性を有さないものであっても、当該可撓シート44の帯電を防止することができる。すなわち、インク流路内のインクが帯電した場合においても、電荷が突起58、保持板45、および保護板14を通じて接地線Gに逃されるので、可撓シート44が帯電することが防止される。このため、本実施形態においても、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることが防止される。また、第2の実施形態と同様に、可撓シート44は導電性のものでなくてもよいため、汎用性がより高い。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
さらに、連通板31が、ステンレス鋼等の導電性を有する材料からなる構成を採用することも可能である。この場合、この連通板31が、例えば、保持板45もしくは上記の導線57を介して保護板14と導通されることにより、共通液室41よりも上流側のインク流路を通過する際にインクが帯電したとしても、その電荷が、連通板31および保護板14等を通じて逃される。その結果、可撓シート44が導電性を有さないものであっても当該可撓シート44が帯電することが抑制されるので、可撓シート44の変位が静電力によって阻害されることが防止される。
なお、インクとしては、インク流路との摩擦による帯電を防止する観点から、できるだけ導電性が低いものを使用することが望ましい。また、ノズル40から吐出されたインク滴が、飛翔中に空気との摩擦により帯電することを防止する観点から、脱気処理が施されたインクを使用することもできる。
そして、以上では、液体吐出ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド3(記録ヘッド3)を例に挙げて説明したが、本発明は、可撓シートを有するコンプライアンス部を備えた他の液体吐出ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材吐出ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物吐出ヘッド等を複数備える液体吐出ヘッド、および、これを備える液体吐出装置にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,3…記録ヘッド,4…ヘッドユニット,8…ヘッド固定基板,11…払拭部材,12…単位ヘッド,13…流路構造体,14…保護板,15…底面部,16…側壁部,17…貫通口,24…連通口,25…供給口,30…ノズルプレート,31…連通板,32…アクチュエーターユニット,32a…圧力室形成基板,32b…圧電素子,32c…封止板,34…コンプライアンス基板,40…ノズル,41…共通液室,42…ノズル列,43…接着剤,44…可撓シート,45…保持板,46…開口部,47…コンプライアンス空間,48…コンプライアンス開口,49…大気連通路,50…大気開放口,55…接着剤,56…突起,57…導通材

Claims (12)

  1. ノズルから吐出するための液体が導入される共通液室、
    前記共通液室の一部を封止する可撓シートと、
    前記可撓シートとの間に、当該可撓シートの変位を許容する空間を形成して配置される保護板と、
    を備え、
    前記可撓シートと前記保護板とが同電位に調整されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記保護板は、導電性を有し、前記共通液室内の液体と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記可撓シートは、導電性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記可撓シートおよび前記保護板は、接地されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記可撓シートと前記保護板とは、金属板を介して接合され、
    前記可撓シートと前記金属板との間、および、前記金属板と前記保護板との間は、それぞれ導電性を有する接着剤により接合されたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記可撓シートと前記保護板とは、金属板を介して接合され、
    前記可撓シートと前記金属板との間、および、前記金属板と前記保護板との間は、それぞれ非導電性の接着剤により接合され、
    前記可撓シート、前記金属板、および、前記保護板は、導電性を有する導通材を介してそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記空間が保湿されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記共通液室の内壁面および当該共通液室よりも上流の液体流路の内壁面が、親液性を呈することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記共通液室を複数備え、
    前記保護板は、前記複数の共通液室に対して共通に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記ノズルが開設されたノズルプレートと前記共通液室とを有する単位ヘッドを複数備え、
    各単位ヘッドは、共通に設けられた保護板に対してそれぞれ位置決めされた状態で固定されたことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記ノズルおよび前記共通液室に連通する圧力室が形成された非導電性の圧力室形成基板と、
    前記圧力室形成基板と前記ノズルプレートとの間に設けられ、前記圧力室と前記ノズルとを連通させる連通口、前記共通液室、および当該共通液室と前記圧力室とを連通させる供給口が形成された連通板と、
    を備え、
    前記可撓シートは、前記連通板における前記共通液室の開口を封止することを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 請求項1から請求項11の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体吐出装置。
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