JP2020000677A - 内視鏡用バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】消化器官壁に対して低侵襲な治療を可能とする内視鏡用バルーンカテーテルを提供すること。【解決手段】内視鏡用バルーンカテーテル1は、カテーテルチューブ2と、カテーテルチューブ2の遠位端に接続してあり、カテーテルチューブ2を介して供給される流体により拡張可能なバルーン部4と、を有する。バルーン部4の横断面または縦断面において、バルーン部4の外表面から径方向に複数突出するように、バルーン部4には突起部430が一体的に形成されている。【選択図】図2A

Description

本発明は、内視鏡用バルーンカテーテルに関する。
消化器官内に狭窄部が生じた場合の治療方法として、経内視鏡的に患者の体内にバルーンカテーテルを挿入し、狭窄部でバルーンを拡張させることにより狭窄部をバルーン部で押し広げる方法が知られている。この治療方法において用いられる内視鏡用バルーンカテーテルとしては、たとえば、特許文献1や特許文献2に示されたものが知られている。
従来の内視鏡用バルーンカテーテルを用いた治療では、バルーンによる狭窄部の拡径に伴い、消化器官壁にかかる負荷が増加し、この負荷によって消化器官壁の脆弱な部位に深い裂傷を生じさせてしまい、場合によってはその裂傷が消化器官壁の最外部まで到達して穿孔を生じさせてしまうおそれがある。
特開平6−91006号公報 特開2008−36391号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、消化器官壁に対して低侵襲な治療を可能とする内視鏡用バルーンカテーテルを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用バルーンカテーテルは、
カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの遠位端に接続してあり、前記カテーテルチューブを介して供給される流体により拡張可能なバルーン部と、を有し、
前記バルーン部の横断面または縦断面において、前記バルーン部の外表面から径方向に複数突出するように、前記バルーン部には突起部が一体的に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る内視鏡用バルーンカテーテルでは、バルーン部の横断面または縦断面において、バルーン部の外表面から径方向に複数突出するように、バルーン部に突起部が一体的に形成されている。そのため、バルーン部を狭窄部において拡張させると、消化器官壁の複数箇所に突起部が当接し、消化器官壁に刺激が与えられる。この刺激は、複数の突起部に対応する部位に分散されており、消化器官壁に与えられる刺激は比較的小さい。そのため、狭窄部の拡張径の増加に伴い、消化器官壁にかかる負荷(応力)が増加した場合であっても、突起部から与えられる刺激によって、消化器官壁に深い裂傷が生じることはない。消化器官壁に裂傷が生じたとしても、浅い裂傷が生じるのみであり、その裂傷によって穿孔のおそれを伴うことはない。また、消化器官壁に浅い裂傷が生じることによって、消化器官壁にかかる応力が緩和され、応力に対して脆弱な部位があったとしても、従来とは異なり、その部位に深い裂傷が生じることはない。その結果、本発明に係る内視鏡用バルーンカテーテルを用いた治療では、消化器官壁に対して高い侵襲性を伴うことなく、狭窄部を内側から押し広げて狭窄を拡張させることが可能となる。したがって、本発明によれば、消化器官壁に対して低侵襲な治療を可能とする内視鏡用バルーンカテーテルを提供することができる。
しかも、本発明に係る内視鏡用バルーンカテーテルでは、突起部がバルーン部に一体的に形成されているため、バルーンカテーテルの製造時に、バルーン部とは別に突起部を用意して、バルーン部に取り付ける必要がない。そのため、バルーンカテーテルの製造工程の簡略化あるいは製造コストの低減を図ることができる。また、突起部がバルーン部から脱落して、狭窄部の拡張に支障が生じることを防止することができる。
前記突起部は、前記バルーン部の周方向に沿って複数形成されていてもよい。このような構成とすることにより、横断面の複数箇所に突起部が現れ、各突起部から与えられる刺激を消化器官壁の周方向に分散させることができる。
前記突起部は、前記バルーン部の軸方向に沿って複数形成されていてもよい。このような構成とすることにより、縦断面の複数箇所に突起部が現れ、各突起部から与えられる刺激を消化器官壁の軸方向に分散させることができる。
前記突起部は、螺旋状に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、縦断面の複数箇所に突起部が現れ、螺旋状に延びる突起部によって与えられる刺激を消化器官壁の軸方向に分散させることができる。
好ましくは、前記バルーン部は、近位端側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位端側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、前記突起部は、前記胴体部および前記第1コーン部のうち、少なくとも前記胴体部に形成されている。好ましくは、第2コーン部には、突起部は形成されていない。このような構成とすることにより、突起部が内視鏡の視界に入ることを極力防止し、内視鏡による治療をスムーズに行うことができる。
前記突起部の横断面形状は、特に限定されないが、好ましくは径方向に向かって先細となる形状である。このような構成とすることにより、突起部が消化器官壁に食い込みやすくなり、消化器官壁の一部にのみ刺激を集中させ、深い裂傷の発生を効果的に防止することができる。
図1Aは本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルの要部断面図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係るバルーンカテーテルの要部断面図である。 図2Aは図1Aに示すバルーンカテーテルのバルーン部を狭窄部において拡張したときの一部横断面図である。 図2Bは従来のバルーンカテーテルのバルーン部を狭窄部において拡張したときの一部断面図である。 図3は図1Aに示すバルーンカテーテルのバルーン部を狭窄部において拡張したときの一部縦断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示す実施形態に係る内視鏡用バルーンカテーテル1(以下、バルーンカテーテル1)は、バルーン部4と、カテーテルチューブ2と、分岐部8とを有する。バルーンカテーテル1は、内視鏡の処置具チャネル等を介して経内視鏡的に狭窄部を生じている消化器官内(本実施形態では、食道内)に挿入されて、その狭窄部を拡張する内視鏡処置具として用いられる。バルーン部4は、カテーテルチューブ2の遠位端に接続してあり、カテーテルチューブ2を介して供給される流体により拡張可能に構成されている。
カテーテルチューブ2は、内チューブ10と外チューブ20とからなる二重管構造を有し、外チューブ20の遠位端部には、バルーン部4の近位端部が接合してある。内チューブ10は、外チューブ20の内部を軸方向に挿通し、外チューブ20の遠位端より遠位側に突き出て、バルーン部4の内部を軸方向に挿通する。内チューブ10の遠位端(先端部6)には、開口部14aが形成されており、この開口部14aを通じてガイドワイヤを挿通することができるようになっている。
内チューブ10と外チューブ20との間の隙間には第1ルーメン12が形成してある。第1ルーメン12の遠位端には、バルーン部4の内部と連通する連通口12aが形成してある。この連通口12aを通じて、バルーン部4の内部には、生理食塩水などの流体が導入または導出され、バルーン部4を拡張また収縮させることが可能となっている。
内チューブ10の内部には、第2ルーメン14が形成してある。第2ルーメン14は、バルーンカテーテル1を食道内に挿入する際に、バルーン部4を都合良く食道内に送り込むためのガイドワイヤを挿通する管腔として用いられる。バルーンカテーテル1を食道内に差し込む際には、バルーン部4のバルーン膜3は内チューブ10の外周に折り畳んで巻回される。なお、第2ルーメン14は、第1ルーメン12およびバルーン部4の内部のいずれにも連通してはいない。
内チューブ10の近位端は、分岐部8の第2ポート18に連通しており、この第2ポート18を通じてガイドワイヤを挿通することができるようになっている。
図1Aに示す内チューブ10は、たとえば外チューブ20と同様な材質で構成されて良く、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の合成樹脂チューブ、あるいは金属スプリング補強合成樹脂チューブ、ステンレス鋼細管等で構成される。なお補強材として、ステンレス鋼線、ニッケル・チタン合金線などが用いられることもある。
内チューブ10の内径は、ガイドワイヤを挿通できる径であれば特に限定されず、たとえば0.15〜1.5mm、好ましくは0.3〜1mmである。この内チューブ10の肉厚は、0.05〜0.4mmが好ましい。上記範囲内にすることにより、内チューブ10に十分な強度を付与することが可能になるとともに、外チューブ20と内チューブ10との間で形成される流路の容積が小さくなることを防止できる。その結果、バルーン部4の応答性を良好にすることができる。内チューブ10の全長は、食道内に挿入されるバルーンカテーテル1の軸方向長さなどに応じて決定され、特に限定されないが、たとえば1000〜3000mm、好ましくは1500〜2500mm程度である。
外チューブ20は、ある程度の可撓性を有する材質で構成されることが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、天然ゴムなどが使用でき、好ましくは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミドで構成される。
外チューブ20の外径は、軸方向に均一でも良いが、バルーン部4側近傍で小さく、その他の部分(近位端側)で大きくなるように、途中に段差部またはテーパ部を形成しても良い。また、第1ルーメン12の流路断面を大きくすることにより、バルーン部4を拡張するための流体の流路抵抗を下げることができる。
カテーテルチューブ2の外チューブ20の内径は、好ましくは1.0〜4.0mmであり、外チューブ20の肉厚は、好ましくは0.05〜0.4mmである。上記範囲内とすることにより、外チューブ20に十分な強度を付与することが可能になるとともに、外チューブ20の太径化に起因する操作性の悪化を防止することができる。外チューブ20の長さは、好ましくは1500〜2500mm程度である。
カテーテルチューブ2の近位端には患者の体外に設置される分岐部8が連結してある。分岐部8はカテーテルチューブ2と別体に成形され、熱融着あるいは接着などの手段で固着される。分岐部8にはカテーテルチューブ2内の第1ルーメン12とバルーン部4内に流体を導入または導出するための第1ポート16と、内チューブ10の第2ルーメン14内に連通する第2ポート18とが形成してある。分岐部8は、たとえばポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂で形成される。
第1ポート16は、流体がバルーン部4内に導入または導出されるようになっている。導入される流体は特に限定されないが、たとえば生理食塩水が用いられる。
図1Aに示すように、バルーン部4は、バルーンカテーテル1の近位端側に向かって徐々に外径が大きくなる(遠位端側に向かって先細となる)第1コーン部41と、バルーンカテーテル1の遠位端側に向かって徐々に外径が大きくなる(近位端側に向かって先細となる)第2コーン部42と、第1コーン部41と第2コーン部42との間に配された胴体部43とを有する。
第1コーン部41の遠位端には筒状端部5bが接続され、内チューブ10の遠位端外周に熱融着または接着などの手段で取り付けられる。同様に、第2コーン部42の近位端には筒状端部5aが接続され、外チューブ20の遠位端外周に熱融着または接着剤などの手段で取り付けられる。
前述の連通口12aは、第2コーン部42の周辺部で開口しており、バルーン部4の内部には、第1コーン部41、第2コーン部42および胴体部43の各部において、連通口12aを通じて、バルーン部4の内部に導入または導出される流体の流路が形成される。
バルーン部4は、筒状のバルーン膜3で構成され、拡張したバルーン部4の内部にはバルーン空間が形成してある。本実施形態では、拡張状態のバルーン部4の形状は円筒形状であるが、これに限定されず、多角筒形状であっても良い。
バルーン部4を構成するバルーン膜3は、食道などの狭窄部の拡張用途で用いられる場合には、耐屈曲疲労特性に優れた材質であることが好ましく、例えばポリウレタン、シリコーン、軟質ポリエチレン、軟質ポリアミド、軟質ポリエステル、ポリアミドエラストマーなどの材料で形成される。また、バルーン膜3は透明性を有するものであることが好ましい。バルーン膜3が透明性を有するものである場合には、バルーン部4で狭窄部を拡張しながら、拡張したバルーン部4を通して、内視鏡のカメラで狭窄部の内壁の状態を確認することができる。なお、バルーン膜3の厚さ(胴体部43における厚さ)は、好ましくは、30〜100μmである。
バルーン部4の外径および長さは、食道の狭窄の拡張に大きく影響するバルーン部4の内容積と、食道の狭窄部の内径などに応じて決定される。たとえば、バルーン部4の拡張時の外径D(図2A参照)は、好ましくは10〜45mmである。バルーン部4の長さL(図1A参照)は、好ましくは40〜80mmである。なお、バルーン部4の長さLは、第2コーン部42の近位端から第1コーン部41の遠位端までの長さ、すなわち、第1コーン部41の長さと、第2コーン部42の長さと、胴体部43の長さの和である。
図1Aに示すように、本実施形態では、バルーン部4には、バルーン部4の外表面から径方向に突出する複数の突起部430が形成されている。突起部430は、図2Aおよび図3に示すように、食道100の狭窄部において、バルーン部4を拡張させたときに、食道壁に刺激を与え、必要に応じて、図2Aに示すような食道壁の厚さよりも十分に浅く、穿孔を生じさせるおそれがない程度の深さの裂傷110を発生させる機能を有する。
図1Aに示すように、突起部430は、胴体部43の軸方向の一端側から他端側に向かって連続的に延びている。また、図2Aに示すように、突起部430は、バルーン部4の周方向に沿って複数(図2Aに示す例では、4つ)形成されている。より詳細には、4つの突起部430の各々は、各突起部430の周方向の間隔が等しくなるように(不等間隔でもよい)、バルーン部4の周方向に沿って配置されている。これにより、複数の突起部が当接する食道壁の各部に、周方向に沿って、バランス良く刺激を与えることが可能となる。なお、図1Aに示す各突起部430を軸方向に対して所定角度だけ傾斜させ、各突起部430を、胴体部43の軸方向の一端側から他端側に向かって斜めに形成してもよい。
突起部430は、バルーン部4の外表面から径方向に突出した凸形状を有している。本実施形態では、突起部430は、その横断面形状が、径方向に向かって先細となる形状(図2Aに示す例では、略三角形)を有している。このような形状とすることにより、バルーン部4の拡張時に、食道壁に対して突起部430が食い込んで、食道壁により適切な刺激を与えるようにすることができる。
図1Aに示す例では、突起部430は、バルーン部4の第1コーン部41および第2コーン部42には形成されてはおらず、胴体部43にのみ形成されている。なお、突起部430の形成位置は、図1Aに示す位置に限定されるものではなく、胴体部43および第1コーン部41のうち、少なくとも胴体部43に形成されていればよい。バルーン部4を形成するバルーン膜3が透明性を有するものである場合において、このように突起部430を、第2コーン部42を避け、胴体部43(あるいは、胴体部43および第1コーン部41)にのみ形成することにより、バルーン部4で狭窄部を拡張しながらバルーン部4を通して内視鏡のカメラで狭窄部の内壁を観察しようとするときに、突起部430が内視鏡の視界に入ることを極力防止されるので、内視鏡による治療をスムーズに行うことができる。
本実施形態では、突起部430は、バルーン部4の一部をなし、バルーン部4に一体的に形成(一体成形)されている。より詳細には、突起部430は、バルーン部4を構成するバルーン膜3の厚みを、局所的に厚く形成することにより構成される。そのため、突起部430とバルーン部4との間には境界が形成されておらず、突起部430とバルーン部4とが連続的に繋がっている。換言すれば、バルーン部4の一部が、突起部430を構成している。
突起部430は、製造の容易性の観点では、バルーン部4と同種の材料によって形成される。また、突起部430は、突起部430を食道壁に良好に食い込ませる観点より、バルーン部4の材料よりも硬い材料によって形成されてもよい。
突起部430の径方向への突出高さH(バルーン部4の外表面から突起部430の先端部までの距離)は、好ましくはバルーン膜3の厚みの1〜30倍であり、さらに好ましくは10〜20倍である。突出高さHを上記範囲とすることにより、図2Aに示すように、バルーン部4を拡張させ、複数の突起部430と当接する食道壁に刺激を与えた場合であっても、図2Bに示すように、負荷(応力)に対して脆弱な部位に応力が集中して生じるおそれのある、穿孔を生じさせてしまうような深い裂傷120が発生するのを防止することができる。また、バルーンカテーテル1を内視鏡を介して食道内に挿入する際に、突起部430が内視鏡の内壁に引っ掛かることを防止することができる。
突起部430の周方向幅の最大値Wは、最大値Wと突出高さHとの比W/Hが、好ましくは0.1〜2、さらに好ましくは0.5〜1.5となるように決定される。最大値Wを上記範囲とすることにより、突起部430に適度な突き刺し性(押し込み性)が備わり、食道壁に、図2Bに示すような深い裂傷120が発生するのを防止し、図2Aに示すような適度な深さの裂傷110が発生するようになる。
このような突起部430を有するバルーン部4を形成するための方法は、特に限定されないが、たとえばパリソンをブロー成形するブロー成形法を例示することができる。ブロー成形法では、まず、円筒(チューブ)状のパリソンを用意する(図示略)。パリソンを構成する材料としては、例えば、前述したバルーン膜3の構成材料として例示したものの中から任意のものを選択することができる。
次いで、パリソンをブロー成形機の金型内にセットする(パリソン設置工程)。ブロー成形機としては、バルーン部4の外形に対応した内部空間を備えた金型を有するブロー成形機を用いる。より詳細には、金型としては、内壁に、たとえば図2Aに示すような4つの突起部430に対応する凹部を備えた金型を用いる。
次いで、パリソンの内部に流体を吹き込み、所定の圧力をかけながらパリソンを半径方向に拡張させることにより、バルーン部4をブロー成形する(ブロー成形工程)。なお、必要に応じて、パリソンに加熱等の処理を行ってもよい。次いで、パリソン内への流体の導入を止め、金型から飛び出したパリソンの軸方向両端部分を切断することで、目的とするバルーン部4を得る。
本実施形態におけるバルーンカテーテル1を用いて、食道の狭窄部を拡張させる治療を行うには、まずバルーン部4の内部の流体を抜いておき、バルーン部4を収縮させて外チューブ20の周りに巻回する。次に、この巻回されて径が小さくなったバルーン部4側から、先端部が食道に位置するように患者に挿入した内視鏡200の処置具チャネルに挿入して、患者の食道にバルーンカテーテル1を挿入する。そして、ガイドワイヤなどを用いてバルーン部4の位置を調整して、図3に示すようにバルーン部4を食道100の狭窄部に留置し、先端部6が食道100の狭窄部外に位置した状態で、バルーン部4の内部に流体を送り込むことによってバルーン部4を拡張させ、狭窄部を内側から押し広げる。
本実施形態に係るバルーンカテーテル1では、バルーン部4の横断面において、バルーン部4の外表面から径方向に複数突出するように、バルーン部4には突起部430が一体的に形成されている。そのため、バルーン部4を狭窄部において拡張させると、食道壁の複数箇所に突起部430が当接し、食道壁に刺激が与えられる。この刺激は、複数の突起部430に対応する部位に分散されており、食道壁に与えられる刺激は比較的小さい。そのため、狭窄部の拡張径の増加に伴い、食道壁にかかる負荷(応力)が増加した場合であっても、突起部430から与えられる刺激によって、食道壁に図2Bに示すような深い裂傷120が生じることはない。食道壁に裂傷が生じたとしても、図2Aに示すような浅い裂傷110が生じるのみであり、その裂傷110による穿孔のおそれを伴うことはない。また、食道壁に浅い裂傷110が生じることによって、食道壁にかかる応力が緩和され、応力に対して脆弱な部位があったとしても、穿孔を生じさせるおそれがあるような深い裂傷120が生じることはない。その結果、本実施形態に係るバルーンカテーテル1を用いた治療では、食道壁に対して高い侵襲性を伴うことなく、狭窄部を内側から押し広げて狭窄を拡張させることが可能となる。したがって、本実施形態によれば、食道壁に対して低侵襲な治療を可能とするバルーンカテーテル1を提供することができる。
しかも、本実施形態に係るバルーンカテーテル1では、突起部430がバルーン部4に一体的に形成されているため、バルーンカテーテル1の製造時に、バルーン部4とは別に突起部430を用意して、バルーン部4に取り付ける必要がない。そのため、バルーンカテーテル1の製造工程の簡略化あるいは製造コストの低減を図ることができる。また、突起部430がバルーン部4から脱落して、狭窄部の拡張に支障が生じることを防止することができる。
また、本実施形態では、突起部430が、バルーン部4の周方向に沿って複数形成されている。そのため、横断面の複数箇所に突起部430が現れ、各突起部430から与えられる刺激を食道壁の周方向に分散させることができる。
また、本実施形態では、突起部430の横断面形状が、径方向に向かって先細となる形状である。そのため、突起部430が食道壁に食い込みやすくなり、食道壁の一部にのみ刺激を集中させ、図2Bに示すような深い裂傷120の発生を効果的に防止することができる。
第2実施形態
図1Bに示す本実施形態のバルーンカテーテル1Aは、以下に示す点以外は、上述した第1実施形態と同様な構成と作用効果を有し、共通する部分の説明は省略し、図面では、共通する部材には共通する部材符号を付してある。図1Bに示すように、バルーンカテーテル1Aは、バルーン部4Aを有する。
バルーン部4Aは、第1実施形態における胴体部43に替えて、胴体部43Aを有する。本実施形態では、バルーン部4Aの縦断面において、バルーン部4Aの外表面から径方向に複数突出するように、バルーン部4Aには突起部430Aが一体的に形成されている。より詳細には、図1Bに示すように、単一の突起部430Aが、胴体部43Aの周囲に、螺旋状に形成されている。
本実施形態では、突起部430Aが螺旋状に形成されているため、縦断面の複数箇所で突起部430Aが現れ、軸方向に刺激を分散させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
上記実施形態では、食道の狭窄部を拡張する例について説明したが、他の消化器官の狭窄部の拡張に適用してもよい。
上記実施形態では、カテーテルチューブとして、内チューブ10と外チューブ20とからなる二重管構造のカテーテルチューブ2を用いたが、バルーン部に供給するための流体を流通させるためのルーメンを有する限りにおいて、他の構造のカテーテルチューブを用いてもよく、たとえば、単一のルーメンを有するシングルルーメンチューブ1本のみでカテーテルチューブを構成してもよく、複数のルーメンを有するマルチルーメンチューブでカテーテルチューブを構成してもよい。
上記実施形態では、図1Aに示すように、一本の連続的な突起で構成された突起部430について例示したが、突起部430の態様はこれに限定されるものではない。たとえば、バルーン部4の外表面に、図1Aに示す突起部430よりも軸方向の長さが短い複数の突起部を、軸方向に沿って不連続に、胴体部43(あるいは、胴体部43および第1コーン部41)の軸方向の一端側から他端側に向かって形成してもよい。
また、図1Bに示す螺旋状の突起部430Aについても同様であり、たとえば、バルーン部4の外表面に、長さの短い複数の突起部を、不連続に、螺旋状に形成してもよい。
上記実施形態では、バルーン部4を成形するための方法として、ブロー成形法を例示したが、バルーン部4を成形するための方法は、これに限定されるものではない。たとえば筒状のバルーン部4を成形するための型を樹脂溶液であるディップ液中に浸し、型の外周面に樹脂膜を形成し、これを乾燥して脱型する方法(ディッピング成形法)を採用してもよい。
上記第1実施形態において、図1Aに示す各突起部430を螺旋状に形成してもよい。この場合、横断面の複数箇所に突起部430が現れ、各突起部430から与えられる刺激を食道壁の周方向に分散させることができるとともに、縦断面の複数箇所に突起部430が現れ、螺旋状に延びる突起部430によって与えられる刺激を食道壁の軸方向に分散させることができる。
上記第1実施形態において、バルーン部4の外表面に、突起部430に加えて、上記第2実施形態の突起部430Aを形成してもよい。この場合、横断面の複数箇所に突起部430が現れ、各突起部430から与えられる刺激を食道壁の周方向に分散させることができるとともに、縦断面の複数箇所に突起部430Aが現れ、突起部430Aによって与えられる刺激を食道壁の軸方向に分散させることができる。
1… バルーンカテーテル
2… カテーテルチューブ
10… 内チューブ
12… 第1ルーメン
12a… 連通口
14… 第2ルーメン
14a… 開口部
16… 第1ポート
18… 第2ポート
20…外チューブ
3… バルーン膜
4… バルーン部
41… 第1コーン部
42… 第2コーン部
43… 胴体部
430… 突起部
5a,5b… 筒状端部
6… 先端部
8… 分岐部
100… 食道
110,120… 裂傷
200… 内視鏡

Claims (6)

  1. カテーテルチューブと、
    前記カテーテルチューブの遠位端に接続してあり、前記カテーテルチューブを介して供給される流体により拡張可能なバルーン部と、を有し、
    前記バルーン部の横断面または縦断面において、前記バルーン部の外表面から径方向に複数突出するように、前記バルーン部には突起部が一体的に形成されていることを特徴とする内視鏡用バルーンカテーテル。
  2. 前記突起部は、前記バルーン部の周方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用バルーンカテーテル。
  3. 前記突起部は、前記バルーン部の軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡用バルーンカテーテル。
  4. 前記突起部は、螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用バルーンカテーテル。
  5. 前記バルーン部は、近位端側に向かって外径が大きくなる第1コーン部と、遠位端側に向かって外径が大きくなる第2コーン部と、前記第1コーン部と前記第2コーン部との間に配された胴体部とを有し、
    前記突起部は、前記胴体部および前記第1コーン部のうち、少なくとも前記胴体部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡用バルーンカテーテル。
  6. 前記突起部の横断面形状は、径方向に向かって先細となる形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡用バルーンカテーテル。
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WO2023032522A1 (ja) * 2021-08-31 2023-03-09 株式会社グッドマン バルーンカテーテル

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