JP2019536036A - クロノグラフ用連結システム - Google Patents

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Abstract

クロノグラフ機構用連結システム(1)であって、駆動部材により駆動させることを意図された入力車(3)と、少なくとも1つの表記部材を駆動することを意図された出力車(5)と、前記入力車(3)および前記出力車(5)から選択された第1の車(3;5)に連続的に運動学的に接続され、前記入力車(3)が前記出力車(5)に運動学的に接続された連結状態と、前記運動学的接続が切断された非連結状態との間で変化するように取り付けられた中間車(9)とを備えるシステム(1)。本発明によれば、前記システム(1)は、前記中間車(9)と共に回転するよう拘束された第1の摩擦車(17)と、前記入力車(3)および前記出力車(5)から選択された第2の車(5;3)と共に回転するよう拘束された第2の摩擦車(19)であり、前記摩擦車(17、19)は少なくとも部分的に同一平面上にあり、前記システム(1)が連結状態にある場合に、前記中間車(9)と前記第2の車(5;3)の間、またはその反対で回転を伝達するように構成される第1および第2の摩擦車(17;19)と、前記中間車(9)と共に回転するよう拘束されており、安全歯の第1の組を備える第1の安全車(37)と、前記第2の車(5;3)と共に回転するよう拘束されており、安全歯の第2の組を備える第2の安全車(39)とをさらに含み、前記安全歯の組は、前記中間車(9)が連結状態にある場合に、互いに貫入するように適合される。【選択図】図1

Description

本発明は時計製造の分野に関する。本発明は、より具体的には、クロノグラフ機構用の連結システムに関する。
クロノグラフで一般的に使用される連結システムは、典型的には2つの種類、すなわち水平連結器と垂直連結器である。
水平連結器では、駆動入力車と従動出力車とを運動学的に接続するために、中間車がムーブメントの平面内で回動するように取り付けられている。入力車は、典型的には、時計ムーブメントの秒車と共に回転するように拘束されたフェイスギアであり、出力車は、典型的には、クロノグラフの秒針と共に回転するように拘束されたクロノグラフ車である。
中間車を担持するレバーの角度位置に応じて、入力車と出力車は運動学に接続され(連結状態)、または、中間車が出力車の届かない範囲にある(非連結状態)ので、この接続が切断される。レバーの位置は、典型的には、コラム車、シャトル、カム、または同様の制御手段によって制御される。
この種の連結器は厚さが薄く、比較的薄いクロノグラフ機構の構築を可能にする。しかしながら、中間車と出力車はそれぞれ一組の歯を担持しているので、連結器を正しく作動させるために必要な公差がバックラッシュを発生させる。このバックラッシュは、例えば摩擦ばねによるシステム内への意図的な摩擦の導入等の他の補償手段がない場合に、関連する表示部材の震えを生じさせる可能性がある。さらに、連結器が連結状態になると、中間車の歯の頂点が出力車の歯の歯面と接触するおそれが存在し、その結果、クロノグラフの秒針は、クロノグラフの起動時に特定の角度で一方向または他方向に針飛びする。
この針飛びが発生する可能性を最小限にし、発生した場合にその振幅を減少させるために、中間車は、典型的には、一組の尖った三角歯を含み、出力車も同じ種類であるがさらに細かい歯を含む。出力車の歯のピッチは、通常、例えば中間車のピッチの半分または3分の1である。
上述のようにクロノグラフの秒針が望ましくない方法で針飛びすることを防止するために、垂直結合器が提案されている。この種の連結器では、入力車と出力車との間の運動学的接続は、同軸であり、それらの平面の一方を互いに接触させる傾向がある復元力を受ける一対の摩擦板によって行われる。連結状態では、これらの摩擦板間の摩擦により入力車と出力車との間でトルクが伝達される。摩擦によるこの運動学的接続は、クラッチのあらゆるバックラッシュを解消する。
運動学的接続を切断し、クロノグラフを停止させるために、典型的にはコラム車によって制御されるグリッパが、前記板間に配置された楔状表面によって摩擦板を分離することを可能にする。これらの楔を引き抜くことによって、摩擦板は一方から他方へと倒れ落ち、運動学的接続が再び確立される。
垂直連結器の作動時に一組の歯が別の組の歯に貫入することはないので、クロノグラフの秒針の不必要な針飛びは防止される。しかしながら、この種の垂直連結器は、複数の歯車、摩擦板およびそれらの戻しばねを同軸に配置するために機構の高さ内にかなりの空間を必要とする。これらの不都合を克服するために、欧州特許公開第1437633号は、中間車の歯の頂点と出力車の不活性な歯面との間の接触が数学的に不可能であるように、中間車と出力車の歯の組が適合された、望ましくない針飛びを防止することを試みる水平連結器を提案している。実際、最悪の事態、すなわち、連結中に2つの歯の頂点が直接接触する場合、出力車の歯の不活性な歯面は中間車の歯の頂点の遊星軌道をたどる。したがって、理論的には、連結器を起動させて出力車の望ましくない逆向きの針飛びを発生させることは不可能である。参考のために、欧州特許公開第2251747号および国際公開第2015/173372号も同じ歯の形状を開示している。
しかしながら、この解決策は、歯の形状、ならびに機構の調整が数学的にほぼ完全であることを必要とし、これは製造中に制御することが困難である。さらに、中間車および/または出力車のいかなる摩耗もこの完全な形状を劣化させ、したがって、望ましくない針飛びの危険性は時間とともに増加するであろう。しかしながら、実際には連結器の歯の組の間の機能的相互作用を確実にするために依然として公差が存在しなければならないので、この解決法は上述の震えの問題を解決することに寄与しない。この目的のために、例えば摩擦ばねによるシステムへの摩擦の導入が依然として必要である。
欧州特許公開第2085832号は、ハブから円筒形摩擦面に向かって延びる3つの弾性アームによって入力車と出力車との間でトルクが伝達される、あらゆる震えおよびあらゆる望ましくない針飛びを防止する水平連結器の別の変形例を提案している。これらの弾性アームの端部が中空円筒の内壁であるこの円筒面に当接すると、ハブと前記面との間のトルクの伝達は摩擦によって保証され、それはいかなるバックラッシュも排除する。連結器を切り離すために、弾性アームの端部には、アームに対して垂直に延在し、制御車に形成されたカム経路内の位置を占めるピンが取り付けられている。この制御車を弾性アームに対して第1の方向に旋回させることにより、弾性アームの端部を前記円筒面から離れる方向に移動させ、制御車が第1の方向と反対の方向に旋回する場合に制御面と接触させることができる。
しかしながら、この構造は非常に複雑であり、標準の動きと両立しないので、専用の構造を必要とする。
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を少なくとも部分的に克服する、クロノグラフ用の連結システムを提案することである。
欧州特許公開第1437633号 欧州特許公開第2251747号 国際公開第2015/173372号 欧州特許公開第2085832号
より正確には、本発明は、独立請求項によって定義されているように、クロノグラフ機構用の連結システムに関する。このシステムは、香箱、モータ等の動力ユニットによって駆動されることを意図された入力車、クロノグラフ秒針等の少なくとも1つの表示部材を駆動することを意図された出力車、および中間車を備える。
その中間車は、前記入力車および前記出力車から選択される第1の車に、典型的には入力車に恒久的に運動学的に接続されているが、逆の配置も同様に可能である。中間車は、前記入力車が前記出力車に運動学的に接続されてクロノグラフが動作する連結状態と、前記運動学的接続が切断されクロノグラフが停止される非連結状態との間で展開できるように取り付けられる。
本発明によれば、連結器は、前記中間車と共に回転するよう拘束された第1の摩擦車と、前記入力車および前記出力車から、第2の車が前記第1の車とは逆になるように選択された、したがって典型的には出力車である第2の車と共に回転するよう拘束された第2の摩擦車とをさらに含む。これらの摩擦車は少なくとも部分的に同一平面上にあり、すなわちそれらは少なくとも部分的に同じ平面内に位置し、前記中間車が、したがって前記連結システムが連結状態にある場合に、選択した配置に応じて、前記中間車と前記第2の車の間、またはその反対で回転を伝達するように構成される。
連結器はさらに、安全歯の第1の組を備え、中間車と共に回転するよう拘束された第1の安全車と、安全歯の第2の組を備え、前記第2の車と共に回転するよう拘束された第2の安全車とを含む。安全歯のこれらの組は、前記中間車が連結状態にある場合に、互いに貫入するように適合される。
中間車と第2の車との間の回転は、歯の組の噛み合いよりもむしろ摩擦車間の摩擦によってもたらされるので、クロノグラフの開始時に出力車(したがって関連する表示部材)の震えは生じない。さらに、全体的な構造が従来の水平連結器のそれを利用するので、本発明による連結システムは、改造なしで(またはほとんど改造なしに)標準的なムーブメントに容易に組み込むことができる。
中間車は、弾性要素によって制御されるレバーを中心に回動するように取り付けられるのが有利である。レバーを制御するための弾性要素の使用は、摩擦車間の接触力の事前決定を、したがって最適化を可能にする。
弾性要素は、例えばコラム車、シャトルまたはカム等の制御部材によって制御され、衝撃時の中間車(したがって連結システム)の状態の変化を防止するように適合された当接部を含む制御レバーによって有利に担持される。したがって、制御レバーは、各状態での中間車の動きに対する限界を規定し、このことは、非連結状態での出力車の望ましくない角度運動を防ぎ、中間車が連結状態にある場合の運動学的接続の切断を防ぐ。
弾性要素は、レバーを制御するために前記レバーと相互作用する自由端を備えると有利であり、前記当接部は自由端のそれぞれの両側に位置する。その結果、衝撃時、例えば二叉の形状を取ることができる弾性部材の自由端が、これらの当接部のうちの1つと接触するようになる。したがって、単純で小型な構成が提案される。
前記当接部の一方は、前記中間車がその非連結状態にある場合に、衝撃時に前記中間車と前記第2の車とが相互作用するのを防止するよう構成されており、前記当接部の他方は、前記システムが結合状態にある場合に、衝撃時に前記安全歯の組が互いに届かない範囲に移動するのを防止するよう構成されている。
システムは、一方で前記第1の車と、他方で前記中間車と噛み合う中間歯車をさらに備えることができる。この中間歯車は、適切な場合には、遊び補償歯の組を備えることができる。
安全歯の組はそれぞれ、前記安全歯の組の最大相互貫入深さで測定したときに、前記歯の組のピッチの4分の1の最大幅、好ましくは5分の1の最大幅を有することが有利である。これにより、クロノグラフの起動時に歯の組が互いに当接する可能性が低くなり、安全歯は比較的細かいので、針飛びの大きさは、仮にそれがある場合にも、最小化される。
前記第1の車は前記入力車とすることができ、前記第2の車は前記出力車とすることができる。この場合、第1の安全車の上流歯面および第2の安全車の下流歯面は、有利には湾曲している。したがって、第1の安全車の歯が第2の安全車の歯と当接する際に、摩擦による運動学的接続が確立される前に、第2の車のわずかな付加的な加速が起こり得る。この加速は、使用者にとって、針飛びほど明白ではない。逆の状況、すなわち、第1の車が出力車であり、第2の車が入力車である場合、第2の安全車の上流歯面および第1の安全車の下流歯面を湾曲させ、同じ効果を持たせることができる。
また、本発明は、上述したような連結システムを備えたクロノグラフ機構を備える時計ムーブメント、および、この種のムーブメントを備える時計に関する。
非連結状態における本発明による連結システムの斜視図である。 連結状態における図1の連結システムの斜視図である。 図1のシステムの中間車と出力車を、図1の向きに対して下方から見た図である。
本発明の他の詳細は、添付の図面を参照しながら行われる以下の説明を読むことでより明確になるだろう。
図1および図2は、それぞれ非連結状態および連結状態の、本発明によるクロノグラフ用連結システム1を示す。
周知のように、水平型システム1は、システム1が組み込まれている時計に含まれるベースムーブメント(図示せず)によって駆動されるよう構成される入力車3を備える。入力車3は、例えば、前記ムーブメントの秒車と共に回転するよう拘束されることができ、または後者によって駆動されることができる。あるいは、他の適切な車を同じ目的に使用することができる。
入力車3は、この例ではクロノグラフの秒車であり、ゼロカム7へのリセットも担う出力車5と選択的に運動学的に接続されている。
この選択的運動学的連結は、レバー11上で自由に回転するように取り付けられかつ入力車3に恒久的に運動学的に接続された第1の中間車9の介入によって行われる。また、このレバー11は、一方では入力車3と、他方では中間車9の歯15の組と連続的に噛み合う中間歯車13を担持する。レバーを回動させることにより、第1の中間車9と出力車5との間の運動学的接続を確立または切断することができる。したがって、中間車9の連結状態、非連結状態は、連結システム1のそれぞれの対応する状態を決定する。
あるいは、反対の構成では、第1の変形例と同様に、中間歯車13を介して第1の中間車9を出力車5に連続的に運動学的に接続し、レバーを回動させて第1の中間車9と入力車を運動学的に接続することができる。以下の説明は、図に示されるように、これらの変形のうちの第1の変形例に関する。第2の変形例を実施するための修正は当業者には明らかであり、詳細に説明する必要はない。
図示の実施形態では、中間歯車13は遊び補償割歯の組を備えるが、従来の歯車も同様に可能である。同様に、中間車9を1つだけ設けることも考えられ、したがって中間車9は入力車3と直接噛み合う。
レバー11は、入力車と同じ回転軸線を中心にして回動するように取り付けられているが、これらの構成要素の回転軸線間のわずかなオフセットは許容される。
システム1が連結状態にある場合に出力車5を駆動するために、中間車9は、出力車5の第2の摩擦車19と接触するよう構成された第1の摩擦車17を含む。摩擦車の材料および仕上げ(層の存在、粗さなど)は、トルクの伝達に適切な接触力を付与するために、時計製造業者の要求に従って選択することができる。
この接触力は、後でより明らかになるように、レバー11をも制御する弾性要素21によって生成される。
弾性要素21は、回転軸線29の周りを回転するように取り付けられた制御レバー25によって担持され、反時計方向(図に示す方向)への回動を生じさせ、したがって尾部をコラム車27と接触状態に維持する傾向のある戻し弾性要素31による戻り力を受ける板ばねである。後者は従来の方法で制御レバー25を制御する。あるいは、操作レバー25は、シャトルまたはカムを備えたシステム、または同様のシステムによって制御することができる。
弾性要素21の自由端は、制御レバー25の回動軸線29から離れた端部に位置するほぞ23と相互作用する二叉部35を含む。コラム車27の制御下で操作レバー25が時計方向に回動すると、弾性要素が、反時計方向へのレバー11の回動を生じさせる力を加える。その結果、摩擦車17、19は互いに接触し、したがって入力車3は出力車5に運動学的に接続される(図2参照)。弾性要素21は、摩擦車17、19を互いに接触状態に維持するのに必要な力を付与し、滑りのない正確なトルク伝達を提供するのに必要な半径方向の力を発生させる。
図2に示す構成要素の向きから開始し、コラム車27が1ステップだけ回動すると、戻し弾性部材31は制御レバー25を反時計方向に回動させ、弾性要素21は、第1の摩擦車17が第2の摩擦車19から遠ざかるようにレバー11を回動させる。したがって、構成要素は、図1に示されているそれらの位置に戻り、入力車3と出力車5との間の運動学的な接続が切断される。
従来の水平連結における中間車の歯と出力車の歯の組の間の噛み合いを維持するのに必要な力と比較して、本発明の弾性要素21によって生じる力は比較的小さい。
摩擦車17、19間に比較的小さい力が作用するにもかかわらず、システム1を衝撃に対して鈍感にするために、いくつかの構成が提供される。
まず、中間車9および出力車5の高さに、それぞれの安全車37、39が設けられる。これらの安全車37、39は図3に拡大して示されており、それらの向きは図1および図2の向きとは逆になっている。
安全歯の第1の組を備える第1の安全車37は中間車9と共に回転するように拘束され、安全歯の第2の組を備える第2の安全車39は出力車5と共に回転するよう拘束される。これらの歯の組は、連結の通常の動作においてそれらが互いに接触しないように適合されている。したがって、これらの車37、39の間に噛み合いはなく、それらは、連結システム1の通常の動作中の中間車9と出力車5との間のトルクの伝達に寄与しない。
これに関して、連結が非連結状態にある場合(図1参照)、これらの歯の組は互いに届かない。連結が連結状態にある場合(図2および図3を参照)、歯の組の歯は相互に貫入し、互いに届く範囲内にある。
出力車5を中間車9に対して角度的に変位させる衝撃時に、安全歯の組は相互作用してその角度変位を制限する。したがって、この変位は、安全歯の第1の組の歯が安全歯の第2の組の歯と接触するまでの移動角度に制限される。これらの歯のピッチは小さいので、使用者はクロノグラフの秒針のこのわずかな変位に気付かないであろう。
また、安全歯の組の歯の形状は、歯がトルクの伝達に関与せず、衝撃時には当接部としてのみ機能するので、特に重要である。実際、システム1の通常の動作中、それらは自由にそして接触またはトルクの伝達なしに相互に貫入するので、それらは用語の通常の意味においては噛み合わない。したがって、歯はそれらの長さと比較して比較的細い。図に示されている変形形態では、歯の幅は、相互貫入の最大深さで測定して、前記歯の組のピッチの実質的に4分の1である。
歯の頂点は尖っていて非対称である。第1の安全車37については、その歯の下流面は実質的に半径方向に向いているのに対して、前記歯の上流面は曲率を有する。第2の安全車39の歯は反対の形状をしているので、歯の組が作動回転方向に当接すると、最大の曲率を有するそれぞれの歯面が相互作用し、最小の曲率を有するそれぞれの歯面が、出力車を反対方向に回転駆動する衝撃時に相互作用する。
歯の幅が小さいことにより、システム1の連結中に歯の組が相互作用する可能性が最小限に抑えられ、針飛びが発生した場合にそれが最小限に抑えられる。さらに、安全歯のために選択された非対称形状は、前方への「針飛び」に有利に働く。この種の相互作用の場合には、摩擦車17、19が出力車5を駆動するように再び作用するまで、一方の歯の湾曲した上流面が他方の歯の湾曲した面上を摺動する。クロノグラフを起動した瞬間に、安全歯の組のこの相互作用により、クロノグラフの秒針の微小で知覚できない瞬間的な加速が発生するが、目に見える針飛びは発生しない。したがって、知覚できる不所望な針飛びは排除される。ここで、欧州特許公開第1437633号の意味における歯の「不活性」歯面、すなわち第1の安全車37の歯の下流歯面および第2の安全車の歯の上流歯面は、急勾配であり、本質的に半径方向に延びていることに留意されたい。しかし、歯の組の他の形状も同様に可能である。
弾性要素21は比較的弱く、偏心、回動軸の不正確な位置等のような製造上の不完全さを吸収することができ、かつ後者にかかる応力を最小にすることができる。したがって、第1の摩擦車17は、第2の摩擦車19に対して従来の歯の組ほど強くは押圧されず、その結果、衝撃がレバー11をその通常位置から角度的に変位させるおそれもある。上述した安全手段を設けずに、この変位は、例えば連結状態で運動学的結合を一時的に中断することができ、あるいは連結器の非連結状態で中間車9と出力車5との間に一時的な運動学的結合を生じさせることができる。
また、このおそれを防止するために、制御レバー25は弾性要素の端部において二叉部35の両側にそれぞれ配置された第1の安全アーム41および第2の安全アーム43も含む。これらの安全アーム41、43は、制御レバー25と共に回転するように拘束されており、それぞれ衝撃時に二叉部35の当接部として機能する。
第1の安全アーム41は、非連結状態(図1)において、第1の安全車37の歯が第2の安全車39の歯の届く範囲内にあることが不可能であるように位置決めおよび成形される。すなわち、これらの歯が相互作用することができる前に、二叉部3は第1の安全アームに当接する。
同様に、第2の安全アーム43は、連結状態(図2)において、2つの安全車37、39の歯が互いに届く範囲から外れることが不可能であるように位置決めおよび成形されている。この場合、運動学的接続を切断する衝撃によって生じる秒針の遅れは、第1の安全車の歯が第2の安全車の歯に当接するまで進行する円弧に限定される。次いで、数分の1秒後に、摩擦車17、19は、上述したような弾性要素21の効果と連続的な摩擦による出力車5の駆動により、それらの運動学的な接続を再確立する。
このような状況では、クロノグラフの秒表示が数分の1秒程度ずれているが、使用者が衝撃後にそのことに気付くことはほとんどない。
本発明を1つの特定の実施形態に関連して説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく変形が可能である。

Claims (12)

  1. クロノグラフ機構用連結システム(1)であって、
    駆動部材により駆動させることを意図された入力車(3)と、
    少なくとも1つの表記部材を駆動することを意図された出力車(5)と、
    前記入力車(3)および前記出力車(5)から選択された第1の車(3;5)に連続的に運動学的に接続され、前記入力車(3)が前記出力車(5)に運動学的に接続された連結状態と、前記運動学的接続が切断された非連結状態との間で変化するように取り付けられた中間車(9)とを備え、
    前記システム(1)は、
    前記中間車(9)と共に回転するよう拘束された第1の摩擦車(17)と、前記入力車(3)および前記出力車(5)から選択された第2の車(5;3)と共に回転するよう拘束された第2の摩擦車(19)であり、前記摩擦車(17、19)は少なくとも部分的に同一平面上にあり、前記システム(1)が連結状態にある場合に、前記中間車(9)と前記第2の車(5;3)の間、またはその反対で回転を伝達するように構成される第1および第2の摩擦車(17;19)と、
    前記中間車(9)と共に回転するよう拘束されており、安全歯の第1の組を備える第1の安全車(37)と、前記第2の車(5;3)と共に回転するよう拘束されており、安全歯の第2の組を備える第2の安全車(39)とを含み、
    前記安全歯の組は、前記中間車(9)が連結状態にある場合に、互いに貫入するように適合されることを特徴とする連結システム(1)。
  2. 前記中間車(9)は、弾性要素(21)によって制御されるレバー(11)上で回動するように取り付けられる、請求項1に記載のシステム(1)。
  3. 前記弾性要素は、衝撃時の前記中間車(9)の状態の変化を防止するように構成された当接部(41、43)を含む制御レバー(25)によって担持される、請求項2に記載のシステム(1)。
  4. 前記弾性要素は、前記レバー(11)と相互作用するよう構成された自由端(35)を備え、前記当接部(41)は前記自由端(35)のそれぞれ反対側に位置する、請求項3に記載のシステム(1)。
  5. 前記当接部の一方(41)は、前記中間車(9)がその連結状態にある場合に、衝撃時に前記中間車(9)と前記第2の車(5;3)とが相互作用できることを防止するよう構成されており、前記当接部の他方(43)は、前記中間車(9)がその結合状態にある場合に、衝撃時に前記安全歯の組が互いに届かない範囲に移動できるのを防止するよう構成されている請求項3または4に記載のシステム(1)。
  6. 一方で前記第1の車(3;5)と、他方で前記中間車(9)と噛み合う中間歯車をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム(1)。
  7. 前記中間歯車(13)は、遊び補償歯の組を備える、請求項6に記載のシステム(1)。
  8. 前記安全歯の組はそれぞれ、前記安全歯の最大相互貫入深さで測定して、前記歯の組のピッチの最大で4分の1、好ましくは最大で5分の1の幅を有する歯を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム(1)。
  9. 前記第1の車(3;5)は前記入力車(3)であり、前記第2の車(5;3)は前記出力車(5)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム(1)。
  10. 第1の安全車の上流歯面および第2の安全車の下流歯面が湾曲している、請求項9に記載のシステム(1)。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結システム(1)が設けられたクロノグラフ機構を備える時計ムーブメント。
  12. 請求項11に記載のムーブメントを備える時計。
JP2019527165A 2016-11-17 2017-11-14 クロノグラフ用連結システム Active JP7042822B2 (ja)

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