JP2019513408A - 乳酸産生法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.繊維:衣料品、カーペット、服飾品、不織布および他の産業適用
2.フィルムおよびパッケージング:生鮮食品パッケージングおよび食品サービス用品などの他の適用
3.エンジニアリング適用:エレクトロニクス、消費財、自動車産業におけるもの。
・再生可能原料に由来する
・価値ある未精製石油資源の枯渇を伴わない
・低二酸化炭素排出−慣用的な石油に基づくプラスチックより少なくとも30%低いと考えられる
・生物分解性
・埋め立ておよび廃棄に関連する問題が回避される。
しかし、乳酸産生酵母を改善するためのいくつかの試みがなされてきたが、高価な精製プロセスの必要性を伴わずに、多量の純粋異性体乳酸を産生するための改善されたプロセスを提供する要求はなお満たされていない。
本発明は、用いる遺伝的に修飾された酵母株に応じて、乳酸の光学的に純粋な異性体、L(+)−乳酸またはD(−)−乳酸を産生するため、遺伝的に修飾された酵母株を提供する。これらの酵母株の特異的代謝要求とバイオプロセス工学における本発明のアプローチを組み合わせて、本プロセスは、乳酸の産生コストを有意に減少させることが可能である。本発明のプロセスにおける発酵ブロスの純度は、乳酸細菌を用いた慣用的なプロセスと比較して非常に好適であり、これは、後者が有機窒素供給源および高いpH値を必要とし、このどちらも、精製コストを押し上げるためである。酵母系に基づいて確立されたプロセスと比較して、本発明のプロセスは、生産性がより高く、有意に減少した発酵時間のためにより高いスループットが可能であり、そしてしたがって産物の価格がより低くなるため、特に好適である。本発明のプロセスは、ミネラル培地上で、低pH値での特に高い生産性によって特徴付けられる。
a)シード発酵において、5〜7のpHで酵母細胞を培養して、バイオマスを産生し、
b)工程a)の細胞を採取し、そして洗浄してもよく、
c)少なくとも3.0のOD600で、前記細胞を産生発酵に接種し、
d)<5のpH、特に、2.5未満の最終pHに到達するまで、乳酸を産生する条件下で前記細胞をインキュベーションし、そして
e)細胞培養または細胞培養上清から乳酸を精製する
工程を含み、
前記酵母が二倍体、あるいは多数体または異数体酵母であってよく、組換え乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を有し、および減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有してもよい
前記方法もある。
a)シード発酵において、少なくとも10のODに到達する条件下で、5〜7の一定のpHで酵母細胞を培養して、
b)前記細胞を2.5未満の最終pHに到達するまで培養して、乳酸を産生し、そして
c)細胞培養または細胞培養上清から乳酸を精製する
工程を含み、
前記酵母が二倍体、あるいは多数体または異数体酵母であってよく、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を有し、および減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有してもよい
前記方法もある。
本発明の態様にしたがって、酵母株は、約80g/L LA/100g/Lグルコース、特に120g/Lグルコースあたり約100g/L LA、より具体的には150g/Lグルコースあたり約120g/Lを産生可能であるか、あるいはさらにより多量を産生可能である。特に、こうした産生培地の最終pHは<3である。
いくつかの態様において、産生発酵工程はバッチプロセス条件下で実行される。
本発明にしたがって、シード発酵および産生発酵は同じ容器中で実行可能である。
本発明の特定の態様にしたがって、産生発酵工程における糖の初期濃度は、少なくとも10%(w/w)、特に12%(w/w)またはそれより高く、より具体的には15%またはそれより高く、そしてより好ましくは20%またはそれより高い。
本発明の方法は、ゲノム内に安定に組み込まれているか、あるいは機能的でそして安定な遺伝子発現のために適用可能なプラスミドまたはベクターまたは発現カセット上にあるかいずれかで、異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子を含む組換え酵母によって実行可能である。前記酵母は、3.5未満のpH、特に3未満のpH、より具体的には2.8未満のpH、より具体的には2.5未満のpH、より具体的には2.2未満のpHで、乳酸を産生可能である。
本発明のさらなる特定の態様において、酵母は、グルコース制御遺伝子発現を調節するグルコースセンサーと相互作用するタンパク質をコードする1またはそれより多い遺伝子の減少したまたはノックアウトされた発現、特にStd1またはMth1タンパク質のこうした発現を有する。
さらなる態様において、酵母は、少なくとも1つの六炭糖輸送体遺伝子を過剰発現するように修飾されており、特に、酵母は、HXT1、HXT2、HXT3、HXT4、HXT5、HXT6、HXT7、HXT8、HXT9、HXT10、HXT11、HXT12、HXT13、HXT14、HXT15、HXT16、HXT17、GAL2、SNF3およびRGT2の群より選択される、六炭糖輸送体遺伝子の少なくとも1つを過剰発現するように修飾されている。
本発明はさらに、
i)機能的に欠失されたPDC1、PDC5およびPDC6遺伝子、
ii)機能的に欠失されたMTH1遺伝子、
iii)過剰発現されたHXT1遺伝子、および
iv)少なくとも1つの異種LDH遺伝子
を含む、組換え酵母株をさらに提供する。
あるいは、酵母細胞はまた、異数体または多数体細胞であってもよい。
好ましくは、酵母細胞は二倍体酵母細胞であり、これは二倍体酵母がしばしば、よりストレス耐性であり、そしてロバストであるためである。酵母はまた、好ましくはストレスフルな環境、例えばフルーツジュースまたはサトウキビジュースのような高濃度糖環境より単離されるか、あるいはCakar Z.P.ら(FEMS Yeast Res. 12, 2012, 171−182)に例示的に記載されるように、進化工学のための選択圧を用い、適応実験室進化(ALE)を用いて、単離されることも可能である。進化工学は、選択圧の存在下で、または選択条件下で行われる長期のケモスタット培養で行われる、反復バッチ培養のより体系的なアプローチを伴う。これらの培養は、野生型で、あるいは遺伝的多様性を増加させるため、化学的または物理的に突然変異誘発された株で実行されることも可能である。最初のモノクローナル集団の自発的または誘導された突然変異誘発は、培養中に適用される選択圧の結果として、最初のモノクローナル集団において、より適した変異体の形成を生じる。これらのより適した変異体は、選択条件下で、元来の細胞よりもより優れて生存しそして増殖することも可能である。したがって、ケモスタットまたは連続バッチ培養において、培養中の細胞総数に対するより適した細胞の数の比は、定期的に増加し、そしてより適した細胞が培養中で多数を占めるであろう(Cakar, 2012, Sauer U(2001), Adv Biochem Eng Biotechnol 73: 130−166)。
特定の態様において、酵母株は、ウラシル、ロイシン、トリプトファンおよび/またはヒスチジンに関して栄養要求性であることも可能である。特に、株は、コードする遺伝子を不活性化することによって、ura、trpおよびhisに関して栄養要求性である。
a)バイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母を3.5未満のpHで、特に約3の最終pH、より具体的には約2.8、約2.7、約2.6、約2.5、約2.4、約2.3、約2.2の最終pHまで、より具体的には約2.1の最終pHまで、細胞培地培地中で培養する、
からなり、
該酵母が異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性をコードし、そして減少したまたは減弱したPDC活性を有する
前記系も提供する。
a)第一の発酵槽においてバイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)シード発酵から接種された第二の発酵槽における乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母を3.5未満のpHで、特に約3のpHまで、より具体的には約2.8、約2.7、約2.6、約2.5、約2.4、約2.3、約2.2のpHまで、より具体的には約2.1のpHまで、細胞培地中で培養する、
からなり、
酵母が乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性および/または減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有するように修飾されている
前記系も提供する。
a)バイオマスを産生するためのシード発酵槽、ここで酵母を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための、シード発酵から接種される産生発酵槽、ここで酵母を3.5未満のpHで、特に約3またはそれ未満の最終pH、より具体的には約2.8、約2.7、約2.6、約2.5、約2.4、約2.3、約2.2のpHまで、より具体的には約2.1のpHまで、細胞培地中で培養する、
からなり、
酵母が乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性、および減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有するかまたはPDC活性を持たない
前記系も提供する。
乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸)は、式CH3CH(OH)CO2Hを持つ有機化合物である。カルボキシル基に隣接したヒドロキシル基が存在するため、乳酸はアルファヒドロキシ酸(AHA)と分類される。ラクテートと称される共役塩基の形で、いくつかの生化学プロセスにおいて役割を果たす。
場合によって、第一の工程では、グルコースまたはスクロースが制限されている(例えば約10g/l未満、好ましくは5g/L未満、より好ましくは2g/L未満)。グルコースまたはスクロースは、本明細書において、シード発酵の主な炭素供給源として用いられ、特に、シード発酵培地のグルコース含量は、接種時に10〜25g/l、特に15〜25g/lの間、より具体的には約20g/lである。
あるいは、他の炭素供給源が適用可能である可能性もあり、例えば限定されるわけではないが、リグノセルロース由来糖、リグノセルロース加水分解物、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースまたはフルクトースあるいはその任意の混合物である。
シード発酵は、特に、流加プロセスまたはバッチプロセスとして実行可能であり、流加プロセスが好ましい。
この文脈において、高いグルコース濃度は、培養のための10g/Lグルコース、特に20g/Lグルコースまたはそれより多くを意味する。
好ましくは、シード発酵工程は好気性である。
調節される変数が副産物濃度であるいくつかの態様において、副産物は、イソブチレート、イソ酪酸、ジヒドロキシイソバレレート、ケトイソバレレート、イソブチルアルデヒド、ラクテート、アセトラクテート、アセテート、ホルメート、グリセロール、およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、バイオマス成長期中のRQセットポイントは、約0.5〜約5、約1〜約5、約2〜約5、約3〜約5、約2〜約4、約2〜約3、約3〜約4、約0.5〜約5、約0.7〜約5、約0.9〜約5、約1.2〜約5、約1.4〜約5、約1.6〜約5、約1.8〜約5、約2.2〜約5、約2.4〜約5、約2.6〜約5、約2.8〜約5、約3.2〜約5、約3.4〜約5、約3.6〜約5、約3.8〜約5、約4.2〜約5、約4.4〜約5、約4.6〜約5、約4.8〜約5、約0.5〜約4、約0.7〜約4、約0.9〜約4、約1.2〜約4、約1.4〜約4、約1.6〜約4、約1.8〜約4、約2.2〜約4、約2.4〜約4、約2.6〜約4、約2.8〜約4、約3.2〜約4、約3.4〜約4、約3.6〜約4、約3.8〜約4、約0.5〜約1.5、約0.6〜約1.5、約0.65〜約1.5、約0.67〜約1.5、約0.7〜約1.5、約0.75〜約1.5、約0.8〜約1.5、約0.9〜約1.5、約0.5〜約1.2、約0.6〜約1.2、約0.65〜約1.2、約0.67〜約1.2、約0.7〜約1.2、約0.75〜約1.2、約0.8〜約1.2、約0.9〜約1.2、約0.5〜約1.05、約0.6〜約1.05、約0.7〜約1.05、約0.75〜約1.05、約0.8〜約1.05、約0.9〜約1.05、約0.95〜約1.5、約0.95〜約1.4、約0.95〜約1.3、約0.95〜約1.2、約0.95〜約1.1または約0.95〜約1.05である。
シードおよび乳酸産生発酵に用いられる発酵培地は、本質的にグルコース、または代替物としてスクロース、少なくとも1つの窒素供給源および水を含む基礎培地であることも可能である。
さらに、他の塩、例えばリン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、マンガン、サルフェート、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトールおよびチアミンを添加することも可能である。
有用なビタミン溶液は、例えば、D−ビオチン、Ca−D−パントテン酸、ニコチン酸、ミオイノシトール、塩酸チアミン、塩酸ピリドキサールおよびp−アミノ安息香酸を含有することも可能である。
pHが、約3.5〜約9.0、特に約4.5〜約7.0、特に約5.0〜約7.0の範囲に調節されるかまたは維持されるように、培地を緩衝することも可能であるし、またはシード発酵工程中に剤を添加することによって、pHを調節することも可能である。
好ましいpHを調節するために適した剤は、塩基性材料であり、そしてこれには、例えば水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム等が含まれる。ここで、慣用的な発酵プロセスで用いられている緩衝剤もまた適切である。
産生発酵は、特に、流加プロセスまたはバッチプロセスとして実行されることも可能であり、バッチプロセスが好ましい。
さらなる特定の態様にしたがって、3未満またはそれに等しいpHが全産生発酵工程中に維持される。代替態様において、pHは、≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満のpHで維持されなければならない。
本明細書にさらに記載されるように、いくつかの態様において、バイオリアクターは、第一のシード増殖反応装置および第二の発酵反応装置を含むことも可能である。
二次産生発酵バイオリアクターは、本明細書において、一次バイオリアクターと連続してまたは平行に連結されることが可能である任意の数のさらなるバイオリアクターを含むことも可能である。これらのさらなるバイオリアクターの任意の1またはそれより多くはまた、さらなる分離装置に連結されていることも可能である。
用語「遺伝子」は、染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNA、あるいはペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはRNA分子をコードする他のDNA、および発現制御に関与するコード配列隣接領域を指す。
用語「ゲノム」は、組換え酵母細胞内の染色体(単数または複数)およびプラスミドの両方を含む。
用語「L−乳酸デヒドロゲナーゼ」は、ピルビン酸のL−乳酸への変換を触媒する酵素を指し、具体的にはEC1.1.1.27と分類される。
用語「LDH遺伝子」は、発現に際して、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を生じる遺伝子を指す。本出願で用いられるようなLDH遺伝子には、発現された際に、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を生じる任意の遺伝子が含まれることも可能である。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、立体特異的であることも可能である。すなわち、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、L−乳酸のみまたはD−乳酸のみを産生する反応を触媒可能である。他の乳酸デヒドロゲナーゼは、L−およびD−乳酸の両方を産生する反応を触媒する。L−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ピルビン酸からL−乳酸への変換を触媒する。
本発明にしたがって用いられるような用語「プロモーター」は、構造遺伝子の翻訳開始コドンの上流(すなわち5’)に位置し(一般的に約1〜1000bp、好ましくは1〜500bp、特に1〜100bp以内)、そして構造遺伝子の転写開始を調節する、転写されない配列を指す。
特に適切なLDH遺伝子には、UniProtKB−P56512(LDH1_LACPL)、配列番号1:
天然酵母細胞プロモーターおよびターミネーターの、それぞれの上流および下流隣接領域を伴った使用は、酵母ゲノムの特定の遺伝子座内へのLDH遺伝子のターゲティング組込み、および同時のLDH遺伝子の組込みおよび別の天然遺伝子、例えばPDC遺伝子の欠失または破壊を可能にしうる。
外因性LDH遺伝子は、酵母ゲノム内にランダムに組み込まれてもよいし、あるいは1またはそれより多いターゲティング位置に挿入されていてもよい。ターゲティングされる位置の例には、PDCまたはMTH1遺伝子のものなど、望ましくは欠失または破壊される1またはそれより多い遺伝子の遺伝子座が含まれる。
さらなる態様にしたがって、酵母は、MTH1またはSTD1遺伝子の機能的欠失を含む。さらなる態様にしたがって、酵母は、MTH1遺伝子の過剰発現を含む。Std1タンパク質は、グルコース制御遺伝子の発現を調節し、そしてグルコースセンサーSnf3およびRgt2と相互作用すると推測される。Std1の相同体、Mth1は、Snf3と相互作用するがRgt2とはしないと推測される。STD1、MTH1、SNF3、およびRGT2の間の遺伝子相互作用は、グルコースシグナル伝達が、少なくとも部分的に、これらの遺伝子産物の相互作用を通じて仲介されることを示唆する。グルコースを欠くかまたは低レベルのグルコースを含む培地において、六炭糖輸送体遺伝子は、Std1およびMth1タンパク質を必要とする機構による抑制に供される。
本明細書に記載する方法に特に有用であるのは、PDC1、PDC5およびPDC6遺伝子の機能的欠失、MTH1遺伝子の機能的欠失、HXT1遺伝子の過剰発現、および少なくとも1つの異種LDH遺伝子を含む、組換え二倍体酵母株、好ましくはサッカロミセス・セレビシエである。
本明細書において、用語「二倍体」は、各染色体の2つの相同コピーを有する二倍体酵母細胞を指す。二倍体状態において、一倍体数は二倍となり、したがってこの状態はまた、2nとしても知られる。
1. 炭素供給源として糖、特にグルコースまたはスクロースを用いて、組換え酵母細胞培養において乳酸を産生するための方法であって
a)バイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための、シード発酵由来のバイオマスを用いた産生発酵工程、ここで酵母を<5のpHの培地中で培養する
を含む、
ここで前記酵母が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性および/または減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する
前記方法。
3. シード発酵が高グルコース濃度である、項目1または2記載の方法。
5. 乳酸が一般的な産業プロセスによって精製される、項目1〜4のいずれか一項記載の方法。
7. 産生発酵工程が、≦4.5、特に≦4、特に≦3.5のpHである、項目1〜6のいずれか一項記載の方法。
10. 産生発酵工程がバッチプロセス条件下で実行される、項目1〜9のいずれか一項記載の方法。
12. 乳酸が遊離型で産生され、特に、乳酸が光学的に純粋な異性体型で産生され、特に乳酸がD(−)またはL(+)−乳酸のいずれかである、項目1〜11のいずれか一項記載の方法。
17. 酵母が、グルコース制御遺伝子発現を調節するグルコースセンサーと相互作用するタンパク質をコードする1またはそれより多い遺伝子の減少したまたはノックアウトされた発現、特にStd1またはMth1タンパク質のこうした発現を有する、項目1〜16のいずれか一項記載の方法。
19. 酵母が少なくとも1つの六炭糖輸送体遺伝子を過剰発現するように修飾されている、項目1〜18のいずれか一項の方法。
23. PDC1、PDC5および/またはPDC6をコードする遺伝子の1またはそれより多くの減少したまたはノックアウトされた発現を有する、項目22記載の組換え酵母。
25. PDC1、PDC5および/またはPDC6をコードする遺伝子が、特に異種プロモーター、具体的にはグルコース抑制可能プロモーターの調節によって、より具体的にはHXT2またはHXT4遺伝子プロモーターの調節によって、条件的に発現される、項目23または24記載の組換え酵母。
27. グルコース制御遺伝子発現を調節するグルコースセンサーと相互作用するタンパク質をコードする1またはそれより多い遺伝子の減少したまたはノックアウトされた発現、特にStd1またはMth1タンパク質のこうした発現を有する、項目23〜26のいずれか一項記載の組換え酵母。
29. 少なくとも1つの六炭糖輸送体遺伝子を過剰発現するように修飾されている、項目23〜28のいずれか一項記載の組換え酵母。
ii)MTH1遺伝子の機能的欠失、
iii)HXT1遺伝子の過剰発現、および
iv)異種LDH遺伝子発現
を含む、組換え酵母株、特に二倍体、多数体または異数体酵母細胞。
33. 組換え酵母株を用いて、炭素供給源としてグルコースを用い、乳酸を産生するための2工程発酵系であって、
a)バイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母細胞を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母細胞を、3.5またはそれ未満の最終pHまで、特に、≦3.4、≦3.3、≦3.2、≦3.1、≦3.0、≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満のpHに到達するまで細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)をコードし、そして減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する
前記系。
a)第一の発酵槽におけるバイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母細胞を5〜7のpHの細胞培地中で培養する、その後、
b)シード発酵から接種した第二の発酵槽における乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母細胞を3.5未満のpHで、特に≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満のpHで、細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性および/または減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有するように修飾されている
前記系。
a)バイオマスを産生するためのシード発酵槽、ここで酵母細胞を5〜7のpHの細胞培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための、シード発酵から接種した産生発酵槽、ここで酵母細胞を3.5未満のpHで、特に≦3.4、≦3.3、≦3.2、≦3.1、≦3.0、≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満のpHで、細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子をコードし、そして減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する
前記組み合わせ。
実施例1:異なるグルコースおよび乳酸濃度ならびにpHでの発酵性能に関するS.セレビシエ(CBS7962)株の特徴付け
S.セレビシエCBS7962株を、2工程で、バイオリアクターおよび振盪フラスコ中で培養した。1.8g/lのYNB、5g/lの(NH4)2SO4および20g/lのグルコースを含有する培地を含む接種物発展工程を用いた。−80℃で保存したグリセロールバイアル由来の細胞を用いて、0.05の600nmでの光学密度(OD600)で、接種前培地50mlに接種した。24時間増殖させた後、細胞を採取し、そして振盪フラスコおよびバイオリアクター(Eppendorf DASGIP DASbox 4、ドイツ)中、それぞれ50mlおよび700mlの作業体積で、培養工程における接種物として用いた。培養工程における培地組成および発酵パラメーターを表1および表2に列挙する。すべての培養を30℃で行い;振盪フラスコを、180rpmに設定した軌道振盪装置中でインキュベーションし;フタル酸水素カリウム緩衝剤を100mMの濃度まで添加することによって、振盪フラスコ中のpHを3.0に維持し;2M NaOHの自動添加によって、バイオリアクター培養中のpHを維持した。バイオリアクター培養は、通気および撹拌装置速度を調節することによって、20%およびそれより高い溶解酸素濃度を維持するようにプログラミングされていた。振盪フラスコおよびバイオリアクター培養から定期的な間隔で試料を抜き取って、600nmでの光学密度を追跡することによって増殖を測定し、そしてHPLC(Shimadzu scientific instruments)に設置されたAminex HPX−87Hカラムを60℃で、そして流速0.6ml/分で溶出液として5mM H2SO4を用いて、グルコース、エタノール、グリセロールおよび乳酸を含む代謝産物に関して、上清を測定した。結果は、培地中の高濃度のグルコースで、そして乳酸の存在下で、YNBおよび硫酸アンモニウム濃度を増加させることによって、そして初期接種物サイズを増加させることによって、エタノール産生に関する発酵率および収量が有意に改善可能であることを明らかに示す(表1および表2)。
PDC1、PDC5およびPDC6の両アレルのノックアウトは、選択マーカーとしてカナマイシンおよびハイグロマイシンを用いた、スプリット・メーカー欠失法によって促進された。欠失および検証プライマーのためのプライマー配列を表3に列挙する。アレルの一方の欠失のため、2つの構築物を設計した。各構築物は、ターゲット遺伝子の隣接部の後にLoxP部位および選択可能マーカーの1つのほぼ半分を含有した。隣接領域およびLoxP部位は、プライマーに含まれ、プライマーは、それぞれ、pPM2aK21およびpPM2a_hphR由来のカナマイシンおよびハイグロマイシンの選択可能マーカーの部分を増幅するために用いられた。ターゲット遺伝子の隣接領域、LoxP部位および選択可能マーカーの1つの一部を含有する2つのPCR構築物を、CBS7962株に形質転換した。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、形質転換を行った。形質転換体を選択YPエタノール−グリセロール培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトン、10g/lのエタノールおよび10g/lのグリセロール)上にプレーティングし、そして30℃で3〜4日間インキュベーションした。次いで、ターゲット遺伝子に関する検証プライマーを用いて、単一コロニーをコロニーPCRに供した。以下のようにコロニーPCRを行った:ピペットチップを用いて、酵母コロニーに優しく触れ、そして1.2Mのソルビトール、100mMのリン酸水素ナトリウムおよび1500U/mlのリチカーゼ酵素を含有するPCRチューブに移し、そして37℃で15分間インキュベーションし;ターゲット遺伝子の検証プライマーおよびテンプレートとしての溶解細胞懸濁物を用いて、PCRを行った。pdc遺伝子の1つのアレルを失ったと検証された酵母コロニーを形質転換に用い、ターゲット遺伝子の隣接領域、LoxP部位および他の選択可能マーカーの一部を含有する2つのPCR構築物を用いて、ターゲット遺伝子の他方のアレルをノックアウトした。G418およびハイグロマイシンを含有するYPエタノール−グリセロール培地プレート上に現れる形質転換体を、ターゲット遺伝子の両アレルの欠失に関して、コロニーPCRを用いて検証した。3つのpdc遺伝子のうち1つが欠失された、生じた株を、CREプラスミドで形質転換し、両方の選択可能マーカーを除去した。その後、CREプラスミドを発現している株を非選択YPエタノール−グリセロールプレート上で増殖させて、CREプラスミドを含まないコロニーを得た。次いで、pdc遺伝子の1つが欠失された酵母株を用いて、上記と同じ方法を用いて、他のpdc遺伝子をノックアウトした。
ターゲット部位に二本鎖DNA切断(dsb)を誘導し、そして停止コドンを含有する二本鎖(ds)DNA相同オリゴを用いてdsbを修復するRNAガイド・エンドヌクレアーゼ活性であるCRISPR−cas9系を用いて、pdc遺伝子を不活性化する。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、形質転換を行う。エンドヌクレアーゼ酵素cas9は、ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、TEF1プロモーターおよびCYC1ターミネーター下、セントロメア・プラスミド中で構築される(Englerら、2008)。ChopChop(https://chopchop.rc.fas.harvard.edu/)を用いて、PDC1、PDC5およびPDC6遺伝子のガイドRNA(gRNA)を同定する。ハンマーヘッド(HH)リボザイムの配列および肝炎デルタウイルス(HDV)リボザイムの配列を、それぞれ5’および3’端に含有する、20bp gRNAを構築する(表4)。重複プライマーを用いたPCRを用いて、リボザイム−gRNA−リボザイム(RGR)構築物を得る(表4)。1gRNA_all_rev、2gRNA_all_rev、3gRNA_all_revおよび4gRNA_all_fwを含む4つの共通の重複プライマー、およびpdc遺伝子のgRNAに特異的な2つの順方向プライマーを用いて、RGRを構築するためのPCRを行う(表4)。ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、RGR構築物を、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含む2μプラスミド中で組み立てる。dsbの修復を補助するために用いるdsDNAオリゴはPCR構築され、停止コドンを含有し、両端に約90bpの相同領域が隣接する。pdcのノックアウトは、一度に1遺伝子ずつ、2工程で行われる。第一の工程において、cas9を発現する酵母株は、cas9を含有するセントロメア・プラスミドをCBS7962株に形質転換することによって得られる。cas9発現株をPDC1 RGRプラスミドおよびそのそれぞれのdsDNAオリゴで形質転換する。形質転換体を選択YPD培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトンおよび20g/lのグルコース)上にプレーティングし、そして30℃で3〜4日間インキュベーションする。PCRを用いて、PDC1ノックアウトに関して単一コロニーを検証する。この目的に向け、適切なプライマーを用いた増幅によって、PDC遺伝子の存在を検証する。セントロメアcas9プラスミドを含有するPDC1ノックアウト株を用いて、上記と同じ方法を用い、2つの他のPDC遺伝子をノックアウトする。最後のPDCノックアウト形質転換体を選択YPエタノール−グリセロール培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトン、10g/lのエタノールおよび10g/lのグルコース)上にプレーティングして、これらのノックアウト株の増殖を可能にする。
ターゲット部位に二本鎖DNA切断(dsb)を誘導し、そして停止コドンを含有する二本鎖(ds)DNA相同オリゴを用いてdsbを修復するRNAガイド・エンドヌクレアーゼ活性であるCRISPR−cas9系を用いて、URA3、TRP1およびHIS3遺伝子を不活性化した。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、形質転換を行った。エンドヌクレアーゼ酵素cas9は、ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、TEF1プロモーターおよびCYC1ターミネーター下、セントロメア・プラスミド中で構築された(Englerら、2008)。ChopChop(https://chopchop.rc.fas.harvard.edu/)を用いて、URA3、TRP1およびHIS3遺伝子のガイドRNA(gRNA)を同定した。ハンマーヘッド(HH)リボザイムの配列および肝炎デルタウイルス(HDV)リボザイムの配列を、それぞれ5’および3’端に含有する、20bp gRNAを構築した(表5)。重複プライマーを用いたPCRを用いて、リボザイム−gRNA−リボザイム(RGR)構築物を得た。1gRNA_all_rev、2gRNA_all_rev、3gRNA_all_revおよび4gRNA_all_fwを含む4つの共通の重複プライマー、ならびにURA3、TRP1およびHIS3遺伝子のgRNAに特異的な2つの順方向プライマーを用いて、RGRを構築するためのPCRを行う(表5)。ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、RGR構築物を、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含む2μプラスミド中で組み立てた。dsbの修復を補助するために用いるdsDNAオリゴはPCR構築され、2つの停止コドンを含有し、両端に約40〜50bpの相同領域が隣接した(表5)。URA3、TRP1およびHIS3遺伝子のノックアウトは、一度に1遺伝子ずつ、2工程で行われる。第一の工程において、cas9を発現する酵母株は、cas9を含有するセントロメア・プラスミドをCBS7962株に形質転換することによって得られた。cas9発現株をURA3 RGRプラスミドおよびそのそれぞれのdsDNAオリゴで形質転換した。形質転換体を選択YPD培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトンおよび20g/lのグルコース)上にプレーティングし、そして30℃で3〜4日間インキュベーションした。次いで、単一コロニーをYNB−ウラシル−FOA培地(1.8g/lのYNB、5g/lの(NH4)2SO4、20g/lのグルコース、1g/lの5’FOAおよび500μg/mlのウラシル)およびYNBドロップアウト培地(1.8g/lのYNB、5g/lの(NH4)2SO4および20g/lのグルコース)上に複製プレーティングした。上記と同じ方法を用い、cas9発現プラスミドを含むURA3ノックアウト株を段階的にTRP1およびHIS3遺伝子のノックアウトに供した。
実施例5:ラクトバチルス・プランタルム由来の異種LDH活性を発現する、S.セレビシエ(CBS7962およびΔΔΔpdc)株の構築
PDC1、PDC5およびPDC6の両アレルを欠くS.セレビシエ株を、LDH遺伝子を含有する2μプラスミドで形質転換した。対照として、S.セレビシエCBS7962の野生型株もまた、LDH遺伝子を含有する2μプラスミドで形質転換した。2μの領域は、大きなおよび小さなユニーク領域によって分離された2つの599bp反転リピートを含有し;2μは、各細胞周期で、プラスミドの複数コピーを産生する回転サークル複製を可能にする。前記プラスミドは、ゴールデンゲートアセンブリー法によって構築された(Englerら、2008)。LDH遺伝子は、テンプレートとしてラクトバチルス・プランタルムATCC8014のゲノム(Branduardiら、2006)、およびバックボーン1ベクターの適切な融合部位を含有するプライマーを用いて、あらかじめPCR増幅された。LDHおよびバックボーン1リンカーのPCR構築物をBbsI切断して、LDHコード配列を含有するバックボーン1プラスミドを得た。同様に、テンプレートとしてS.セレビシエ・ゲノムを用いて増幅された、それぞれの要素のPCR構築物を用いて、それぞれ、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含有するバックボーン1プラスミドを構築した。LDH、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターのバックボーン1プラスミドを、バックボーン2リンカーとともに、BpiI切断して、LDH発現カセットを含むバックボーン2プラスミドを得た。生じたプラスミドを、2μおよびS.セレビシエのORIを含有するバックボーン3リンカーとともに、BbsI切断して、酵母発現プラスミドを得て、該プラスミドを次いで、上述の酵母株の形質転換に用いた。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、両株の形質転換を行った。ΔΔΔpdc株の形質転換体を、選択YPエタノール−グリセロール培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトン、10g/lのエタノールおよび10g/lのグリセロール)上にプレーティングした。一方、CBS7962株の形質転換体を、選択YPD培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトンおよび20g/lのグルコース)上にプレーティングした。30℃で3〜4日間インキュベーションした後、両方の形質転換体から単一コロニーを得た。
ENGLER, C., KANDZIA, R. & MARILLONNET, S. 2008. A One Pot, One Step, Precision Cloning Method with High Throughput Capability. Plos One, 3.
実施例6:CRISPR−cas9系を用いた条件的発現系の調節下のピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含む、S.セレビシエCBS7962株の構築
ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子、PDC1、PDC5およびPDC6は、パン酵母において恒常的に発現される。本実施例は、pdc遺伝子の恒常的発現を不能にし、そしてHXT2遺伝子またはHXT4遺伝子のいずれかのプロモーターの調節下で、pdc遺伝子の条件的な発現を可能にする説明を提供する。遺伝子、HXT2およびHXT4は、低レベルのグルコース(0.1%)で発現し、そして高レベルのグルコースで抑制される(OzcanおよびJohonston、1995)。CRISPR−cas9系を用いて、pdc遺伝子プロモーターを、HXT2またはHXT4遺伝子のプロモーターによって置換する。ターゲット部位に二本鎖DNA切断(dsb)を誘導し、そしてHXT2またはHXT4のプロモーター配列を含有する二本鎖(ds)DNA相同オリゴを用いてdsbを修復する、RNAガイド・エンドヌクレアーゼ活性であるCRISPR−cas9系を用いて、pdc遺伝子の条件的発現系を可能にする。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、形質転換を行う。エンドヌクレアーゼ酵素cas9は、ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、TEF1プロモーターおよびCYC1ターミネーター下、セントロメア・プラスミド中で構築される(Englerら、2008)。chopchop(https://chopchop.rc.fas.harvard.edu/)を用いて、PDC1、PDC5およびPDC6のプロモーターをターゲティングするgRNAを同定する。ハンマーヘッド(HH)リボザイムの配列および肝炎デルタウイルス(HDV)リボザイムの配列を、それぞれ、5’および3’端に含有する、20bp gRNAを構築する。1gRNA_all_rev、2gRNA_all_rev、3gRNA_all_revおよび4gRNA_all_fwを含む4つの共通の重複プライマー(表6)、ならびにpdc遺伝子のプロモーターのgRNAに特異的な2つの順方向プライマーを用いて、リボザイム−gRNA−リボザイム(RGR)を構築するためのPCRを行う。ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、RGR構築物を、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含む2μプラスミド中で組み立てる。dsDNAオリゴは、HXT2またはHXT4遺伝子のプロモーター配列を含有するように設計され、そしてプロモーター配列の両端に、pdc遺伝子の天然プロモーターに隣接する領域に相同である40bp配列を含有するように設計される。pdc遺伝子の恒常的プロモーターの置換は、一度に1遺伝子ずつ、2工程で行われる。第一の工程において、cas9を発現する酵母株は、cas9を含有するセントロメア・プラスミドを酵母株に形質転換することによって得られる。次いで、cas9発現株をPDC1プロモーターをターゲティングするgRNAを含有するRGRおよびHXT2またはHXT4プロモーター配列を含有するdsDNAオリゴで形質転換する。CBS792株の形質転換体を選択YPDE培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトン、1g/lのグルコースおよび10g/lのエタノール)上にプレーティングし、そして30℃で3〜4日間インキュベーションする。次いで、ターゲット領域に関する検証プライマーを用いて、単一コロニーをコロニーPCRに供する。以下のようにコロニーPCRを行う:ピペットチップを用いて、酵母コロニーに優しく触れ、そして1.2Mのソルビトール、100mMのリン酸水素ナトリウムおよび1500U/mlのリチカーゼ酵素を含有するPCRチューブに移し、そして37℃で15分間インキュベーションし;ターゲット領域に関する検証プライマーおよびテンプレートとしての溶解細胞懸濁物を用いて、PCRを行う。次いで、PDC1プロモーターの代わりにHXT2またはHXT4プロモーターを含有すると検証された酵母コロニーを非選択培地上にプレーティングして、PDC1プロモーターのgRNAを含有するプラスミドを除く。次いで、なおcas9発現プラスミドを含有するこの酵母株を用いて、上記と同じ方法で、PDC5およびPDC6のプロモーターを一度に1つずつ置換する。
OZCAN, S. & JOHNSTON, M. 1995. Three different regulatory mechanisms enable yeast hexose transporter (HXT) genes to be induced by different levels of glucose. Mol Cell Biol, 15, 1564−72.
実施例7:CRISPR−cas9系を用いた、MTH1遺伝子において225bp内部領域を欠失させるためのS.セレビシエ(CBS7962およびΔΔΔpdc)株の構築
ターゲット部位に二本鎖DNA切断(dsb)を誘導し、そして二本鎖(ds)DNA相同オリゴを用いてdsbを修復するRNAガイド・エンドヌクレアーゼ活性であるCRISPR−cas9系を用いて、MTH1遺伝子において、225bp(169〜393bp)の領域(表8)を欠失させる。2つのガイドRNA(gRNA)を用いて、2つのdsbを誘導し、そして内部欠失配列の500bp隣接領域のdsDNAオリゴを用いてdsbを修復する。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、形質転換を行う。エンドヌクレアーゼ酵素cas9は、ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、TEF1プロモーターおよびCYC1ターミネーター下、セントロメア・プラスミド中で構築される(Englerら、2008)。chopchop(https://chopchop.rc.fas.harvard.edu/)を用いて、欠失すべきMTH1の領域内にある2つのgRNA(MTH1_AおよびMTH1_B)(表8)を同定する。同様に、この領域の外の2つのgRNA(MTH1_CおよびMTH1_D)を同定する。ハンマーヘッド(HH)リボザイムの配列および肝炎デルタウイルス(HDV)リボザイムの配列を、それぞれ5’および3’端に含有する、20bp gRNAを構築する(表8)。重複プライマーを用いたPCRを用いて、リボザイム−gRNA−リボザイム(RGR)構築物を得る(表8)。1gRNA_all_rev、2gRNA_all_rev、3gRNA_all_revおよび4gRNA_all_fwを含む4つの共通の重複プライマー、ならびにMTH1_AおよびMTH1_B gRNAに特異的な2つの順方向プライマーを用いて、RGRを構築するためのPCRを行う(表8)。ゴールデンゲートアセンブリーを用いて、両方のRGR構築物を、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含む2μプラスミド中で組み立てる。相同組換えによる225bpの欠失を補助するために用いるdsDNAオリゴはPCR構築され、内部欠失領域の両側に500bp相同領域(表8)を含有する。重複プライマーセット(表8)とともにCBS7962株のゲノムDNAを用いた融合PCRにおいて、dsDNAオリゴを増幅する。MTH1遺伝子の部分的インフレーム欠失を2工程で行う。第一の工程において、cas9を発現する酵母株は、cas9を含有するセントロメア・プラスミドを酵母株に形質転換することによって得られる。cas9発現株をMTH1_AおよびMTH1_B(または、それぞれ、MTH1_CおよびMTH1_D)プラスミドのRGRおよびそのそれぞれのdsDNAオリゴで形質転換する。CBS792およびΔΔΔpdc株の形質転換体を選択YPD培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトンおよび20g/lのグルコース)上にプレーティングし、そして30℃で3〜4日間インキュベーションする。次いで、ターゲット遺伝子に関する検証プライマー(表8)を用いて、単一コロニーをコロニーPCRに供した。以下のようにコロニーPCRを行った:ピペットチップを用いて、酵母コロニーに優しく触れ、そして1.2Mのソルビトール、100mMのリン酸水素ナトリウムおよび1500U/mlのリチカーゼ酵素を含有するPCRチューブに移し、そして37℃で15分間インキュベーションし;ターゲット遺伝子の検証プライマーおよびテンプレートとしての溶解細胞懸濁物を用いて、PCRを行った。
PDC1、PDC5およびPDC6の両アレルを欠くS.セレビシエ株を、MTH1遺伝子を含有する2μプラスミドで形質転換した。対照として、S.セレビシエCBS7962の野生型株もまた、MTH1遺伝子を含有する2μプラスミドで形質転換した。2μの領域は、大きなおよび小さなユニーク領域によって分離された2つの599bp反転リピートを含有し;2μは、各細胞周期で、プラスミドの複数コピーを産生する回転サークル複製を可能にする。前記プラスミドは、ゴールデンゲートアセンブリー法によって構築された(Englerら、2008)。MTH1遺伝子は、テンプレートとしてCBS7962株のゲノム、およびバックボーン1ベクターの適切な融合部位を含有する増幅プライマー(表9)を用いて、あらかじめPCR増幅された。MTH1およびバックボーン1リンカーのPCR構築物をBbsI切断して、MTH1コード配列を含有するバックボーン1プラスミドを得た。同様に、テンプレートとしてCBS7962ゲノムを用いて増幅された、それぞれの要素のPCR構築物を用いて、それぞれ、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを含有するバックボーン1プラスミドを構築した。MTH1、TPI1プロモーターおよびCYC1ターミネーターのバックボーン1プラスミドを、バックボーン2リンカーとともに、BpiI切断して、MTH1発現カセットを含むバックボーン2プラスミドを得た。生じたプラスミドを、2μおよびS.セレビシエのORIを含有するバックボーン3リンカーとともに、BbsI切断して、酵母発現プラスミドを得て、該プラスミドを次いで、上述の酵母株の形質転換に用いた。LiAc/PEG/ss−DNAプロトコル(http://home.cc.umanitoba.ca/〜gietz/method.html)にしたがって、両株の形質転換を行った。CBS7962およびΔΔΔpdc株の形質転換体を、選択YPD培地(10g/lの酵母エキス、20g/lのペプトンおよび20g/lのグルコース)上にプレーティングした。30℃で3〜4日間インキュベーションした後、両方の形質転換体から単一コロニーを得た。
実施例9:S.セレビシエ(CBS7962−LDHおよびΔΔΔpdc−LDH)株を用いた乳酸産生
L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するS.セレビシエCBS7962株を2工程で振盪フラスコ中で培養した。20g/lのグルコースを含むYPDを接種前培地として用いる接種物発展工程、および250g/lのグルコースを含むYPDを発酵培地として用いる産生工程。バッチ培養を、100ml振盪フラスコ中、30℃で行った。−80℃で保存したグリセロールバイアル由来の細胞を用いて、0.05の光学密度600nm(OD600)で接種前培地20mlに接種した。24時間増殖させた後、細胞を採取し、そしてこれを用いて0.1のOD600で、発酵培地50mlに接種した。
乳酸の産生プロセスは、2工程プロセスにしたがう:第一の工程は、流加プロセスにおける酵母細胞の高細胞密度までの培養であり、そして第二の工程は、高い初期接種物を用いた乳酸産生のためのバッチプロセスである。先に示すように(実施例1)、3.0の低pHでの振盪フラスコ実験において、発酵率およびエタノール収量は、乳酸および高グルコース濃度を含有する培地中、高い初期接種物で有意に改善された。これは、接種物サイズが、発酵性能を決定する際に重大な役割を果たすことを示唆した。
2工程プロセスにおいて、乳酸の産生プロセスにしたがう:第一の工程は、流加プロセスにおける高細胞密度までの酵母細胞の培養であり、そして第二の工程は、高初期接種を用いた乳酸産生のためのバッチプロセスである。
第一の培養工程のための培地を以下の表にしたがって調製し、グルコースを25g/Lの濃度まで添加する:
L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するΔΔΔpdc S.セレビシエ株(実施例5)を適応実験室進化(ALE)に供した。培養が100世代に到達するまで、一晩培養を新鮮な液体発酵培地内に定期的に継代培養することによって、10mL培地を含有する100mL振盪フラスコ中でALEを行った。
L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するΔΔΔpdc S.セレビシエCBS7962株を、2工程でバイオリアクター中で培養した:10g/Lのエタノール、アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)および4.54g/Lの尿素を培地として用いるバイオマス集積のための第一の工程、ならびに100g/Lのグルコース、5g/Lのエタノール、アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)および4.54g/Lの尿素を発酵培地として用いる産生工程。第一の工程を振盪フラスコ中で行い、そして産生工程をバイオリアクター(DASGIP系)中で行った。225mL培地を含有する2000ml三角フラスコ中、振盪フラスコ培養を28℃で増殖させた。ALE実験由来の細胞を50世代後に採取し、そして2.5の光学密度600nm(OD600)で、第一工程に接種した。30時間増殖させた後、細胞を採取し、水で洗浄し、そして1.5Lバイオリアクター中、5のOD600で発酵培地330mlに接種した。撹拌装置速度および通気率を調節することによって、溶解酸素濃度を30%に維持した。温度を28℃の最適値で維持した。pH値を5の値に18時間維持し、そして次いでそれ以上は調節しなかった。
L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するΔΔΔpdc S.セレビシエCBS7962株を、2工程でバイオリアクター中で培養した:10g/Lのエタノール、アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)および4.54g/Lの尿素を培地として用いるバイオマス集積のための第一の工程、ならびに100g/Lのグルコース、5g/Lのエタノール、アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)および4.54g/Lの尿素を発酵培地として用いる産生工程。第一の工程を振盪フラスコ中で行い、そして産生工程をバイオリアクター(DASGIP系)中で行った。225mL培地を含有する2000ml三角フラスコ中、振盪フラスコ培養を28℃で増殖させた。ALE実験由来の細胞を75世代後に採取し、そして2.5の光学密度600nm(OD600)で、第一工程に接種した。30時間増殖させた後、細胞を採取し、水で洗浄し、そして1.5Lバイオリアクター中、5のOD600で発酵培地330mlに接種した。撹拌装置速度および通気率を調節することによって、溶解酸素濃度を30%に維持した。温度を28℃の最適値で維持した。発酵の開始から、pH値をまったく調節しなかった。
2つの異なる液体培地中、振盪フラスコにおいて、L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するΔΔΔpdc S.セレビシエ株を培養した。アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)、4.54g/Lの尿素、10g/Lのエタノールを含有する接種前培地、ならびにアミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/LのYNB、4.54g/Lの尿素、5g/Lのエタノール、100g/Lのグルコースおよび4.5g/LのCaCO3を含有する発酵培地を用いた。50mL培地を含有する500ml振盪フラスコ中、そして6の出発pH値で、28℃でバッチ培養を行った。−80℃で保存したグリセロールバイアル由来の非進化細胞を用いて、1の光学密度600nm(OD600)で接種前培地25mlに接種した。33回のトランスファー後、およびおよそ75世代後に得たALE実験由来の細胞を用いて、2の光学密度600nm(OD600)で接種前培地25mlに接種した。40時間増殖させた後、細胞を採取し、洗浄し、そして3のOD600で発酵培地50mlに接種した。
L.プランタルム由来の異種LDH遺伝子を発現するΔΔΔpdc S.セレビシエを、振盪フラスコ中で培養した。接種前培地および多様な濃度のグルコースを含む3つの異なる発酵培地を用いた。アミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/Lの酵母窒素ベース(YNB)、4.54g/Lの尿素、10g/Lのエタノールを含有する接種前培地、ならびにアミノ酸を含まずそして(NH4)2SO4を含まない3.4g/LのYNB、4.54g/Lの尿素、5g/Lのエタノール、4.5g/LのCaCO3および60g/Lのグルコースまたは70g/Lのグルコースまたは80g/Lのグルコースを含有する発酵培地を用いた。50mL培地を含有する500ml振盪フラスコ中、そして6の出発pH値で、28℃でバッチ培養を行った。33回のトランスファー後(およそ75世代)に得た適応実験室進化(ALE)由来の細胞を用いて、2の光学密度600nm(OD600)で接種前培地25mlに接種した。40時間増殖させた後、細胞を採取し、洗浄し、そして3のOD600で発酵培地50mlに接種した。
Claims (19)
- 炭素供給源としてグルコースを用いて、組換え酵母細胞培養において乳酸を産生するための方法であって
a)バイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母を5〜7のpHの培地中で培養する、その後、
b)該シード発酵由来のバイオマスを用いた、乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母を<5のpHの培地中で培養する、
を含む、
ここで前記酵母が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を有し、そして減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有してもよい
前記方法。 - 前記酵母が二倍体酵母である、請求項1記載の方法。
- 前記酵母が多数体または異数体酵母である、請求項1または2記載の方法。
- 前記産生発酵工程が、≦4.5、特に≦4、特に≦3.5のpHであり、特に該産生発酵工程が、3またはそれ未満の最終pHを有し、特に該産生発酵工程が、≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満の最終pHを有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記シード発酵工程が流加条件下で実行され、および/または前記産生発酵工程がバッチプロセス条件下で実行され、特に該シード発酵工程および該産生発酵工程が別個の発酵槽中である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- 前記乳酸が遊離型で産生され、特に、該乳酸が光学的に純粋な異性体型で産生され、特に該乳酸がD(−)またはL(+)−乳酸のいずれかである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 前記酵母が、遺伝子PDC1、PDC5および/またはPDC6の1またはそれより多くの減少したまたはノックアウトされた発現を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
- PDC1、PDC5および/またはPDC6遺伝子のプロモーターの1またはそれより多くが、置換されているかまたは欠失している、請求項7記載の方法。
- 前記遺伝子PDC1、PDC5および/またはPDC6が、特に異種プロモーター、具体的にはグルコース抑制可能プロモーターの調節によって、より具体的にはHXT2またはHXT4遺伝子プロモーターの調節によって、条件的に発現される、請求項8記載の方法。
- 前記遺伝子PDC1、PDC5および/またはPDC6の少なくとも1つが欠失している、請求項7〜9のいずれか一項記載の方法。
- 前記酵母が、グルコース制御遺伝子発現を調節するグルコースセンサーと相互作用するタンパク質をコードする1またはそれより多い遺伝子の減少したまたはノックアウトされた発現、特にStd1またはMth1タンパク質の発現を有する、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
- MTH1遺伝子が部分的にまたは完全に欠失している、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
- 前記酵母が少なくとも1つの六炭糖輸送体遺伝子を過剰発現するように修飾されている、請求項1〜12のいずれか一項の方法。
- 前記酵母が、HXT1、HXT2、HXT3、HXT4、HXT5、HXT6、HXT7、HXT8、HXT9、HXT10、HXT11、HXT12、HXT13、HXT14、HXT15、HXT16、HXT17、GAL2、SNF3およびRGT2の群より選択される、六炭糖輸送体遺伝子の少なくとも1つを過剰発現するように修飾されている、請求項1〜13のいずれか一項の方法。
- 組換え酵母株を用いて、炭素供給源としてグルコースを用い、乳酸を産生するための2工程発酵系であって、
a)バイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母細胞を5〜7のpHの細胞培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで該酵母細胞を、3.5未満の最終pHまで、特に、≦3.4、≦3.3、≦3.2、≦3.1、≦3.0、≦2.9、≦2.8、≦2.7、≦2.6、≦2.5、≦2.4、≦2.3、≦2.2、≦2.15またはそれ未満の最終pHまで細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)をコードし、そして減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する
前記系。 - 組換え酵母株を用いて、炭素供給源としてグルコースを用い、乳酸を産生するための2工程発酵系であって、
a)第一の発酵槽におけるバイオマスを産生するためのシード発酵工程、ここで酵母細胞を5〜7のpHの細胞培地中で培養する、その後、
b)該シード発酵から接種した第二の発酵槽における乳酸を産生するための産生発酵工程、ここで酵母細胞を3.5未満の最終pHまで細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性および/または減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有するように修飾されている
前記系。 - 組換え酵母株を用いて、炭素供給源としてグルコースを用い、乳酸を産生するための2またはそれより多い発酵槽システムの組み合わせであって、
a)バイオマスを産生するためのシード発酵槽、ここで酵母細胞を5〜7のpHの細胞培地中で培養する、その後、
b)乳酸を産生するための、シード発酵から接種した産生発酵槽、ここで酵母細胞を3.5未満の最終pHまで細胞培地中で培養する、
からなる、
ここで該酵母が、異種乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子をコードし、そして減少したピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性を有する
前記組み合わせ。 - i)PDC1、PDC5およびPDC6遺伝子の機能的欠失、
ii)MTH1遺伝子の機能的欠失、
iii)HXT1遺伝子の過剰発現、および
iv)少なくとも1つの異種LDH遺伝子
を含む、組換え二倍体酵母株、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)。 - i)PDC1、PDC5およびPDC6遺伝子の機能的欠失、
ii)MTH1遺伝子の機能的欠失、
iii)HXT1遺伝子の過剰発現、および
iv)少なくとも1つの異種LDH遺伝子
を含む、組換え多数体または異数体酵母株、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ。
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