ポリアミンは、多くの有用な生物学的特性を示し、多くの医学的状態の活性薬学的剤として研究中である。例えば、Senanayake T.et al.Essay Biochem.,46:77−94(2013)、Zini M.et al.Chemico−Biological Interactions,181:409−416(2009)、Kaur N.et al.J.Med.Chem.,51:2551−2560(2008)、Boncher,T.et al.Biochem.Soc.Trans.,35(2):356−363(2007)、Melchiorre C.et al.J.Med.Chem.,53:5906−5914(2010)、及びPolyamine Drug Discovery,Patrick Woster and Robert Casero(編集),RCS Publishing,2011,DOI:10.1039/9781849733090を参照されたい。
例えば、あるポリアミンは、モノアミンオキシダーゼA及びB(MAO A及びMAO B)ならびに血管接着タンパク質1(VAP−1)の阻害剤として特定されており、それらはパーキンソン病及びアルツハイマー病等の抗神経変性及び抗うつ治療法、ならびに感情障害において有用であり得ることが示唆されている。例えば、Bonaiuto E.et al.,Eur.J. Med.Chem.,70:88−101(2013)を参照されたい。ポリアミンの神経保護効果、及び/あるいは神経障害または精神障害の治療でのそれらの使用の他の報告として、例えば、Zhang X.et al.Acta Pharmaceutica Sinica B,5(1):67−73(2015)、Saiki R.et al.Bioorganic&Medicinal Chem.Letters,23:3901−3904(2013)、Fiori LM et al.J.Psychiatry Neurosci.,33(2):102−110(2008)、及びGilad GM and Gilad VH,J.Pharmacology and Experimental Therapeutics,291(1):39−43(1999)を参照されたい。
がん化学療法及び化学予防は、ポリアミン薬品の別の効用である。例えば、Murray−Stewart T.et al.Amino Acids,46(3):585−594(2014)、Casero RA,Cancer Discovery, 975−977(Sept. 2013)、Minarini A.et al.European J.Medicinal Chem.,67:359−366(2013)、Casero RA and Woster PM,J.Med.Chem.,52:4551−4573(2009)、Rossi T.et al.Anticancer Research,28:2765−2768(2008)、Seiler N.and Raul F.J.Cell.Mol.Med.9(3):623−642(2005)を参照されたい。
ポリアミンはまた、熱帯病への治療として調査中である。例えば、Verlinden BK et al.Bioorganic&Medicinal Chemistry,23:5131−5143(2015)、及びO’Sullivan MC et al.Bioorganic&Medicinal Chemistry,23:996−1010(2015)を参照されたい。
増加されたポリアミン代謝の免疫調節効果は、多くの科学報告書に詳述されている。いくつかの研究は、腫瘍を囲んでいる増加したレベルのポリアミンの免疫学的阻害効果を示している。例えば、Moulinoux及び共同研究者らは、3LL(Lewis lung)の癌種を移植したマウスにおけるポリアミンレベルの完全欠乏が、DFMO、ポリアミンオキシダーゼ阻害剤、及びネオマイシンでの治療によって達成され、腸微生物フローラがポリアミンを提供することを防いだ実験を記述した。これらのマウスにおいて、腫瘍を保有する動物に見られた腫瘍増殖が減少され、免疫系異常が好転した。例えば、Chamaillard,L.,et al.Polyamine deprivation prevents the development of tumor−induced immune suppression.British Journal of Cancer,76:365−370(1997)を参照されたい。減少された脾臓細胞インターロイキン2(IL−2)生成、ならびに薬物での治療の前に観察されたCD4+及びCD8+リンパ球集団が好転し、脾臓内の以前に増加されたポリアミンレベルが低下した。これらの好転を見るには、すべての主なポリアミン源の全妨害を維持することが必要であった。T−リンパ球集団の回復は、腫瘍増殖のステージに依存しなかった。他のワクチン活性化または腫瘍配向性抗原は必要とされなかった。
加えて、Moulinoux及び共同研究者らは、腫瘍細胞殺滅を専門とする非特異免疫系の再刺激に関して、3LLの癌種を移植したマウスにおけるより多くの全ポリアミン欠乏の効果を調査した。例えば、Chamaillard,L.,et al.Polyamine deprivation stimulates natural killer cell activity in cancerous mice.Anticancer Research,13:1027−1033(1993)を参照されたい。マウスのナチュラルキラー(NK)細胞の細胞傷害性活性の減少は、これらのポリアミン空乏動物において好転した。筆者らは、胃腸管を通して吸収されるのと同じく、腫瘍自体によって分泌されるポリアミンは、自己分泌増殖因子としてだけでなく、自然免疫抑制因子としても考えられ得ると結論する。
Soda及び共同研究者らは、細胞の免疫機能上のポリアミンの効果を研究した。例えば、Kano,Y.,et al.Increased blood spermine levels decrease the cytotoxic activity of lymphokine−activated killer cells:a novel mechanism of cancer evasion,Cancer Immunology,Immunotherapy,56:771−781(2007)を参照されたい。健常者からの末梢血単核細胞(PBMC)を、スペルミン、スペルミジン、またはプトレスシンと一緒に培養し、免疫細胞機能の結果を調査した。治療は、用量及び時間に依存する様式で、細胞生存能力または活性に影響を与えることなく、組織培養プラスチックに対する非刺激PBMCの減少した癒着をもたらした。減少した癒着はまた、CD11a陽性細胞及びCD56陽性細胞の数の減少と関連があった。25人のがん患者のグループにおいて、手術後の血液スペルミンレベルにおける変化は、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)の細胞毒性における変化と負の相関であった。これらの筆者らは、増加した血液スペルミンレベルが、抗腫瘍免疫細胞機能の抑制において重要な因子であり得ることを結論した。
Bowlinによって報告された研究は、正常及び腫瘍を保有する(B16黒色腫)C57BL/6のマウスにおける免疫系細胞発現への、ポリアミン生合成阻害剤DFMOの効果を認めた。例えば、Bowlin,T.L.,et al.Effect of polyamine depletion in vivo by DL−alpha−difluoromethylornithine on functionally distinct populations of tumoricidal effector cells in normal and tumor−bearing mice.Cancer Research,46:5494−5498(1986)を参照されたい。彼らは、これらの免疫適格性マウスの6日間のDFMO治療が、正常及び腫瘍を保有する動物の両方において、脾臓の白血球ポリアミンレベルを減少させ、細胞傷害性T−リンパ球の誘導をもたらしたことを観察した。プトレスシン及びスペルミジンレベルが有意に減少されたが、スペルミンレベルは減少されなかった。これにより、筆者らが、CTLの発生がスペルミンレベルに対して敏感であるということを示唆するに至った。
同じ筆者らによる別の研究は、生体内の殺腫瘍性マクロファージ活性における、3つの異なるオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤の各々による治療の効果を探究した。例えば、Bowlin,T.L.,et al.Effects of three irreversible inhibitors of ornithine decarboxylase on macrophage−mediated tumoricidal activity and antitumor activity in B16F1 tumor−bearing mice.Cancer Research 50:4510−4514(1990)を参照されたい。0.5〜2.0%の経口DFMOで処置された腫瘍を保有するマウスは、生体外のB16F1細胞の細胞溶解を媒介した倍増したマクロファージを有した。Bowlinによる以前の研究は、ポリアミン酸化が、ヒト末梢血単核細胞によってIL−2生成物を下方制御することを示した。例えば、Flescher,E.,et al.Polyamine oxidation down−regulates IL−2 production by human peripheral blood mononuclear cells.Journal of Immunology,142:907−912(1989)を参照されたい。
Genslerは免疫適格性BALB/cマウスでの紫外線照射によって誘発される、皮膚発癌及び免疫抑制を防ぐためのDFMOの能力を探求している研究を報告した。Gensler,H.L.Prevention by alpha−difluoromethylornithine of skin carcinogenesis and immunosuppression induced by ultraviolet irradiation.Journal of Cancer Research and Clinical Oncology117:345−350(1991)。飲み水中に1%DFMOで3週間、前処置され、次いでUVB放射で照射されたマウスは、減少した皮膚癌の9%の発生を有し、未処置の対照グループは、マウスの38%でがんを発達させた。DFMO処置されたマウスでの免疫抑制の減少の程度は、受身伝達試験によって測定された。UV照射されたマウスの脾細胞は、未処置のマウスに輸送されたとき、それらの正常能力を妨げ、UV誘発腫瘍課題を拒絶した(マウス24匹中20匹が腫瘍を成長させた)。DFMOで処置された、UV照射されたマウスの脾細胞は、未処置のマウスに輸送され、腫瘍の大部分が拒絶した(24匹中2匹のみ成長した)。
Gervaisは、がん患者の樹状細胞の表現型及び機能的活性を参考にした実験を報告し、これらの免疫細胞におけるプトレシンの効果を調査した。例えば、Gervais,A.,et al.Dendritic cells are defective in breast cancer patients: a potential role for polyamine in this immunodeficiency.Breast Cancer Res.,7:R326−335(2005)を参照されたい。がん患者の細胞は、樹状細胞のより低い産生をもたらし、これらの細胞は、MHCクラスII分子のより弱い発現を示した。プトレシンを正常ドナーから樹状細胞に添加することによって、リンパ球の最終的な細胞溶解活性を減少させ、がん患者の欠陥のある樹状細胞機能を模倣することが可能であった。
Evansは、スペルミンが、ヒト被験者研究の半分超から集められた、子宮頸癌細胞の細胞毒素LAKリンパ球に対する敏感性を抑制することを観察した。例えば、Evans,et al.Spermine−directed immunosuppression of cervical carcinoma cell sensitivity to a majority of lymphokine−activated killer lymphocyte cytotoxicity.Nat.Immun.,14:157−163(1995)を参照されたい。
Traceyは、スペルミンが免疫阻害効果を有することを報告した。例えば、Zhang,M.,et al.Spermine inhibits pro−inflammatory cytokine synthesis in human mononuclear cells:a counterregulatory mechanism that restrains the immune response.J Exp.Med.,185:1759−1768(1997)を参照されたい。具体的には、Traceyは、単核球のLPS刺激が、細胞のポリアミン輸送組織によってスペルミンの取り込みの増加を引き起こすことを観察した。それらは、ポリアミン輸送阻害剤、4−ビス(3−アミノプロピル)−ピペラジン(BAP)を使用して、単核球TNF生成上のスペルミンの阻害活性をブロックした。
ラットにおけるカラギーナン誘発炎症を使用した実験は、TNFαの生成を高めたBAPを示し、足蹠で結果として得られた浮腫を増加させた。例えば、Zhang,M.,et al.Spermine inhibition of monocyte activation and inflammation.Mol.Med.,5:595−605(1999)を参照されたい。Gervais,A.,et al.Ex vivo expansion of antitumor cytotoxic lymphocytes with tumor−associated antigen−loaded dendritic cells.Anticancer Research 25,2177−2185(2005)及びSusskind,B.M.&Chandrasekaran,J.Inhibition of cytolytic T lymphocyte maturation with ornithine, arginine, and putrescine.Journal of Immunology,139:905−912(1987)もまた参照されたい。
Szabo及び同僚らは、一酸化窒素シンターゼ(NOS)の誘発へのポリアミンの阻害効果のメカニズムを探究している研究を報告した。例えば、Szabo,C.,et al.The mechanism of the inhibitory effect of polyamines on the induction of nitric oxide synthase:role of aldehyde metabolites.Br.J.Pharmacol.,113:757−766(1994)を参照されたい。
酵素iNOSによって生成されたNOは、病原体へ反応する自然免疫中の中心エフェクター分子であり、病原菌H.ピロリが胃潰瘍及び胃癌の発病において果たす役割を理解することに向けて働いている多くのグループの焦点である。Casero及びWilsonは、スペルミンが、誘導型NO合成酵素(iNOS)から起こるマクロファージ由来のNOの生成を阻害し得ることを観察した。例えば、Bussiere,F.I.,et al.Spermine causes loss of innate immune response to Helicobacter pylori by inhibition of inducible nitric−oxide synthase translation.The Journal of Biological Chemistry280:2409−2412(2005)及びChaturvedi,R.,et al.Induction of polyamine oxidase 1 by Helicobacter pylori causes macrophage apoptosis by hydrogen peroxide release and mitochondrial membrane depolarization.The Journal of Biological Chemistry,279:40161−40173(2004)を参照されたい。
Sodaによる総説論文は、増加されたポリアミン代謝によって果たされる免疫抑制の役割の概観を提供する。例えば、Soda,K.The mechanisms by which polyamines accelerate tumor spread.J.Exp.Clin.Cancer Res.,30:95(2011)を参照されたい。しかしながら、ポリアミン薬学的剤の見込みがあるにも関わらず、すべての報告された実験が、これらの薬学的剤について良好な臨床効果を実証するわけではない。
N1,N11−ジエチルノルスペルミン(DENSpm;DENSPM)は、以前の治療された転移性乳癌に対する治療効果について臨床的に評価され、例えば、Wolff,et al.Clinical Cancer Res.,9:5922−5928(2003)を参照されたい。本研究では、DENSpmが、その遊離塩基として静脈内注入によって15分間にわたって送達された。治療サイクルは、21日間おきに5日間にわたって100mg/m2/日の注射を含んだ。0.5〜3.7時間の短い血漿半減期が観察された。非小細胞肺癌治療へのDENSpmの静脈内注入を使用する追加の報告はまた、臨床的有用性を示すことができなかった(Hahm,H.A.el al Clinical Cancer Res.,8:684−690(2002))。
N1,N14−ジエチルホモスペルミン(DEHSpm;DEHSPM)は、ヒト腫瘍学試験における臨床効果をアナログ試験した追加のビス−エチラートポリアミンである。1日2回、テトラヒドロ塩化物塩として12.5、25、及び37.5mg/kgでの固形腫瘍患者におけるこの薬学的剤の皮下注射は、注射後15〜30分間でピーク薬物レベルを示した。薬物は、治療された患者の血漿中に注射後2〜4時間観察されなかった(Wilding,G.et al.Investigational New Drugs,22:131−138(2004))。15名の患者のうちの誰も、がん患者における評価にさらに限定される最大の用量で、客観的反応及び有意な毒性を有しないことがわかった。
スクアラミンは、化学的に合成されたアミノステロールであり、もともとはツノザメの肝臓から単離される。腫瘍を保有するマウスにおける研究は、スクアラミンが、血管新生の阻害剤としての機能を果たし、肺、胸、卵巣、及び前立腺を含むマウスにおけるがんのいくつかのモデルに対する活性を示した。その乳酸塩としての、進行した非小細胞肺癌に対する、スクアラミンの臨床試験が、報告されている(Herbst,R.S.Clinical Cancer Res.,9:4108−4115(2003))。限られた臨床活動が、この試験で観察され、スクアラミンは、3時間にわたって100〜400mg/m2/日の用量レベルで連続的静脈内注射によって送達された。スクアラミンの血漿半減期が、1〜2時間に測定された。スクアラミン乳酸塩の臨床試験での以前の報告は、送達方法として、120時間の連続的静脈内注射を使用した(Bhargava,P.et al.Clinical Cancer Res.7:3912−3919(2001))。
デオキシスペルグアリンは、細菌由来のスペルクアリンの合成アナログであり、リンパ球、マクロファージ、及び好中球への強い免疫調節効果を有する。それは日本でステロイド抵抗性移植片拒絶の治療に承認される。それは0.5mg/kg/日で最大21日間皮下注射によって送達される。3時間の静脈内注射によるデオキシスペルグアリン送達の薬物動態的振舞が報告されており(Dhingra,K.et al Cancer Research,55:3060−3067(1995))、1.8時間の極めて短い半減期を示した。
F14512は、高ポリアミン輸送体活性(Kruczynski,A.et al Leukemia27:2139−2148(2013))を有する癌細胞を標的にすることができる、ポリアミン−エピポドフィロトキシン共役である。それは、AML及び固体腫瘍に対する使用のために開発されており、イヌの腫瘍に対する開発を示している最近の公表文献は、それが静脈内注射によって送達されることを示した(Tierny,D.Clinical Cancer Res.,21(23):5314−5323(2015))。0.05、0.060、0.070、0.075、及び0.085mg/kgで3時間の静脈内注射によって処置された、イヌのF14512の血漿レベルは、ほとんどのイヌに対して、およそ2〜3時間での治療的範囲内と推定された。
モゾビルは、癌化学療法中の(De Clercq,E.Pharmacology and Therapeutics,128:509−518(2010))造血前駆細胞移植片の前に、幹細胞動員のために承認された、バイシクラムポリアミン含有薬物である。この薬物は、皮下注射によって投与される。40、80、160、240、及び360μg/kgでの健常なボランティア患者への皮下送達は、用量比例薬物動態を示し、モゾビルの10時間の血漿半減期によるクリアランスは、3時間である(Lack,N.A.,et al.Clin.Pharmacol.Ther.,77:427−436(2005))。
トリエンチンは、ウィルソン病での使用に承認されたポリアミンアナログである。このポリアミンアナログは、銅キレート剤として機能し、ウィルソン病に伴う過剰な銅の除去において補助する。トリエンチンは経口的に送達されるが、臨床講義でのその塩酸塩として、その経口生物学的利用能は不十分である(8〜30%)。それはヒトにおいて相対的に短い半減期を有する(2〜4時間)。トリエンチンの前臨床及び臨床応用を対象とする総説論文が発表されている。Lu,J.Triethylenetetramine pharmacology and its clinical applications.Molecular Cancer Therapeutics,9:2458−2467(2010)。
1,1’[メチルエタンジイリデン]ジニトリロジグアニジンとしても既知であり、しばしばMGBGと略される、メチルグリオキザールビス(グアニルヒドラゾン)は、2−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(AMD−1)の競合的なポリアミン阻害剤として機能するポリアミンであり、スペルミジンの合成を触媒する。例えば、炎症痛といった、疼痛の治療において有用であるように説明されている。米国特許第8,258,186号及び第8,609,734号を参照されたい。
スペルミジンの経口送達は、マウスの心臓の健康及び寿命を改善することを示している(Eisenburg,T.et al.Nature Medicine,22(12):1428−1438(2016))。スペルミジンは、マウスの食事において、高められた心臓オートファジー、マイトファジー、及びミトコンドリア呼吸を提供し、生体内で心筋細胞の機械的弾性特性を改善した。筆者らは、マウスの寿命のスペルミジン拡張を、スペルミジンの活性を含むオートファジーに帰した(Eisenburg,T.et al.Autophagy,13(4):1−3(2017))。
Lipinskiは、経口的に生物利用可能にする化学物質の能力を予期できた1セットのパラメータを考案した(Lipinski CA,et al.Adv.Drug Deliv.Rev.,46(1−3):3−26(2001))。「5つのルール」として当事者に既知であるこれらのパラメータは、分子の化学構造に基づき、水素結合ドナー、水素結合受容体、分子量、及び親油性測定の数を含んだ。これらのルールに対して多くの例外が見出され、これらのパラメータは今や、分子の経口生物学的利用能を予期するために使用されるガイダンス以上のものとして考えられている。
ポリアミンが所望の生物学的特性を有するが、発明者らは、その限られた経口生物学的利用能は、これらの原料を実用的な薬学的使用へもたらそうとするために、未解決の障害のままとなることを考慮している。具体的には、経口投与によるポリアミンの生物学的利用能が問題となっている。意外にも、疎水性カルボン酸を有する塩としてのポリアミン薬物の経口送達は、その生物学的利用能を大いに改善する。このようにして、ポリアミン及びそのプロトン化形態を必要とする対象に送達できる薬学的組成物の必要性が存在し、それは、先行技術に関する欠点の1つ以上を克服する。
背景技術部分で議論されるすべての主題は、先行技術である必要はなく、単に背景技術部分でその議論の結果として先行技術であると考えられるべきでない。これらの段階で、背景技術部分で議論されるまたはそのような主題に関する、先行技術においての問題のいかなる認識は、先行技術であることを明示的に定められていない限り、先行技術として扱われるべきではない。その代わりとして、背景技術部分でのいずれかの主題の議論は、特定の問題に対する発明者らのアプローチの一環として扱われるべきであり、その中で及びそれ自体はまた発明的であり得る。
ポリアミン及びポリアミンアナログの臨床評価は、そのポリカチオン性の性質に関する送達困難性によって妨げられている。その経口生物学的利用能の限定は、所望未満の静脈内または腹腔内オ注射方法を使用する臨床前及び臨床評価に結果をもたらした。これらの送達方法は、動物モデルにおける以前の臨床前評価には十分であるが、最終的な製剤開発には不十分である。重要なことには、ポリアミンアナログの静脈内または腹腔内注射は、その中毒性副作用を悪化させる。これらのポリカチオン性薬剤の高血漿濃度は、その薬剤の物理的及び化学的特性に起因して、有害な作用をもたらす。静脈内または静脈内注射は、通常の除去の後に、高初期血漿濃度をもたらす。哺乳類系における多くの薬理学的目標について、薬物剤の中強度に持続した血漿レベルもたらす送達方法は非常に望ましい。この理由のために、薬剤への遅延及び持続した血漿曝露を伴う経口送達が好ましい。投与されている薬物の所定の用量に基づいて、各患者が同じ量の薬物を吸収することもまた非常に望ましい。言い換えると、2名の患者が同じ量の薬物を投与され得るが、薬物は、例えば、患者の組成物中の違いのために、2名の患者において等しく生物利用可能でない場合がある。生物学的利用能の所望の成分は、同じ量の薬物を受容する対象がまた、薬物中の有効成分(複数可)の同じまたは類似の血漿濃度を達成する。本開示は、これらの問題を認識し、対処する。
簡単に述べると、一実施形態において、本開示は塩に関し、より具体的にはアンモニウム基を有する第1の分子及びカルボキシレート基を有する第2の分子を含む塩に関する。第1の分子のアンモニウム基は、プロトン化形態の1級アミン、2級アミン、及び3級アミン、すなわちアンモニア基の窒素原子に結合している、3、2、または1個の水素原子(複数可)を有するアンモニウム基、からそれぞれ選択される。第1の分子は、プロトン化ポリアミン(PPA)と称される場合があり、それは2個以上のアミン基を含有することを意味し、アミン基の各々がプロトン化または非プロトン化形態であり得るが、少なくとも1個のアミン基がプロトン化形態であり、アンモニウム基を提供するようにして塩を形成する必要がある。第1の分子は、有機または生物学的に活性であり、例えば、製剤中で有機薬学的剤または有機活性薬学的成分(API)であり得る。第2の分子は、同様に有機であり、一実施形態においては小さな分子である。第2の分子は、疎水性であり、それは第2の分子が、少なくとも一部分が水素原子に結合されている複数の炭素原子から形成されており、無荷電形態の第2分子が水溶性でないことを意味する。便宜上、第2の分子は、疎水性カルボン酸(HCA)として本明細書で称される場合がある。
このようにして、一実施形態において、本開示は、脂肪酸等のポリアミン薬学的剤及び疎水性カルボン酸の組み合わせを対象とする。別の実施形態において、本開示は、本開示の塩の調製を対象とする。別の実施形態において、本開示は、治療的結果を達成するための、脂肪酸等のポリアミン薬学的剤と疎水性カルボン酸との間で形成された塩のそれを必要とする対象への投与を対象とする。追加の実施形態において、本開示は、疎水性カルボン酸と会合した塩として送達されたときに、ポリアミン薬物の意外にも増加した生物学的利用能に関する。より詳細にこの開示を述べる前に、本明細書で使用される特定の用語の定義を提供することは、それらの理解へ役立ち得る。追加の定義は、この開示を通して述べられる。すなわち、本開示は、本発明の実施形態及び本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
用語「塩」は、当分野でその標準的な意味を有し、イオン性相互作用を通して互いに複合された正に荷電した種(カチオン)及び負に荷電した種(アニオン)を示す。概して、これらの塩は、パートナー分子成分間で結合している共有結合は含まない。塩は、分けて送達されるカチオン性及びアニオン性種のその成分と比較して、異なる生物学的及び薬理学的特性を保有する。用語の塩はまた、すべての溶媒和化合物、例えば、母体塩化合物の水和物、を示す。塩は、当事者に既知の慣例の方法、例えば、溶媒または希釈液中の無機または有機の酸あるいは基の化合物、またはカチオン交換あるいはアニオン交換による他の塩からの化合物によって得られることができる。
「治療」、「治療すること」、または「緩和」は、対象(すなわち、患者)の病気、障害、または状態の医療管理を示し、それは治療的、予防的/防止的、またはそれらの組み合わせの治療であり得る。治療は、病気の少なくとも1つの症状で、改善または重症度を低減、病気の悪化または進行を遅延、追加の関連する病気の発病を遅延または予防、あるいは人工的(部分的または全体的)組織への病変の再形成の改善をする。
化合物の「治療有効量(または用量)」または「有効量(または用量)」は、統計的に有意な方法で治療されている病気の1つ以上の症状の緩和をもたらすのに十分な量を示す。単独で投与された個々の活性成分を参照する場合、治療的に有効な用量は、その単独での成分を示す。組み合わせを参照する場合、治療的に有効な用量は、逐次または同時に投与されたかに関わらず、治療的効果をもたらす活性成分の組み合わされた量を示す。
「薬学的に許容可能な」は、当事者に周知の経路を使用して対象に投与される場合に、アレルギーまたは他の重篤な有害反応を生じない、分子実体及び組成物を示す。用語「薬学的に許容可能な」は、物体(例えば、塩、剤形、希釈液、または担体)が患者においての使用へ好適であることを明示するために使用される。薬学的に許容可能な塩の実施例リストは、the Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth editors,Weinheim/Zurich:Wiley−VCHA/VHCA,2002.で見出すことができる。
「必要とする対象」は、本明細書に提供されるそれらの化合物または組成物での治療あるいは緩和に適している、病気、障害、または状態(例えば、癌,)の危険性があるまたは患っている対象を示す。特定の実施形態において、必要とする対象は、哺乳類、例えばヒトである。対象は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物であり得る。
上記で述べられているように、本開示の一実施形態は、それぞれ本明細書に定義されているように、正に荷電した第1の分子及び負に荷電した第2の分子を含む塩に関する。より具体的には、塩は、プロトン化ポリアミン薬学的剤(PPA)である第1の分子、及び疎水性部分(HCA)に結合しているカルボキシレート基であるかまたはそれを含む第2の分子を含む。本明細書で使用されるような用語、PPA:HCAは、プロトン化PPA及び脱プロトン化HCA分子を含む塩を示し、用語、PPA:HCAが、塩中に存在するPPA及びHCAの間のいずれの特定の化学量論、例えば、いくつのプロトン化可能なアミン基がPPA中に存在するか及びいくつのHCA等価物がPPAと組み合わされているかによって、PPA:HCAがすべてまたは1:1のPPA:HCAの化学量論(PPA:(HCA)1としても示される)を有するPPA:HCA塩のうちの任意の1つ、及び1:2のPPA:HCA化学量論(PPA:(HCA)2としても示される)を有する塩を広義に示し、1:3のPPA:HCA化学量論(PPA:(HCA)3としても示される)を有する塩もまた、1:4のPPA:HCA化学量論(PPA:(HCA)4としても示される)と同様に示す等、を明示しない。一実施形態において、本明細書で使用されるようなPPA:HCAは、PPA:(HCA)2化学量論の塩を示す。
塩は、2つ以上の第2の分子を含み得、例えば、2つの負に荷電したカルボキシレート分子がそれぞれ、2つの正に荷電したサイトを有する単一のポリアミンと複合され得る。塩は、第1及び第2の分子のみを超えるものを含み得る。例えば、塩は溶媒和化合物であり得、その場合、1つ以上の溶媒分子が塩に複合されている。また、塩は、2つ以上のアニオン性種を含み得、追加の1つ以上のアニオン性種が、本明細書で定義されているような第2の分子であってもなくてもよい。例えば、塩は、本明細書で定義されているようなHCAと、第2のアニオン性種、例えば、本明細書で定義されているようなHCAでない塩化物、との両方と複合されている第1の分子を含み得る。便宜上、及び特に指定がない限り、第1の分子のプロトン化位置は、本明細書に定義されているような負に荷電したHCAと必ず会合している。PPA:HCA塩の生成及び組成物の調製はまた、特定の塩の特定多形体の形成を可能にする。
プロトン化ポリアミン薬学的剤
本開示は、対象に分子を送達するために使用され得る塩を提供し、その投与後に塩が形態においていくつかの変化(複数可)を経る場合があり、それが、所望の生物学的効果を実際に発現するこの変化された形態である。例えば、第1の分子は、プロトン化または非プロトン化形態の少なくとも1つで薬学的に活性な化合物であり得る。言い換えると、第1の分子は、対象に投与される本開示の塩中で必ずプロトン化されているが、生物学的に活性形態の第1の分子は、塩中に存在するようなプロトン化の同じ量を有しても有しなくてもよい。別の実施例として、第1の分子は、生物学的に活性な薬物へのプロドラッグであり得る。このようにして、第1の分子は、生体内でいくつかの変化を経る場合があり、投与後に、所望の生物学的な活性形態を生成する。第1の分子から形成される塩が対象に投与された後まで、所望の生物学的に活性形態の第1の分子は生じ得ないことを理解すると共に、第1の分子は、薬学的に活性であるとして本明細書で示される。
第1の分子は、小さな分子であり得、それは10,000g/モル未満の分子量を有するか、または代替的な実施形態において、9,000未満、または8,000未満、または7,000未満、または6,000未満、または5,000未満、または4,000未満、または3,000未満、または2,000未満、または1,000g/モル未満の分子量を有することを意味する。任意に、第1の分子は、1個以上のペプチド、ポリペプチド、ポリ(アミノ酸)、及びタンパク質を排除する。
第1の分子は、2個以上のアンモニウム基を含み、第1の分子のアンモニウム基が、プロトン化形態の1級アミン、2級アミン、及び3級アミン、すなわちアンモニア基の窒素原子に結合している、3、2、または1個の水素原子(複数可)を有するアンモニウム基、からそれぞれ選択される。第1の分子は、プロトン化ポリアミン(PPA)と称される場合があり、それは2個以上のアミン基を含有することを意味し、アミン基の各々がプロトン化または非プロトン化形態であり得るが、少なくとも1個のアミン基がプロトン化形態であり、アンモニウム基を提供するようにして本明細書に開示されるようなHCAと複合した塩を形成する必要がある。一実施形態において、ポリアミンは、6〜13のpKa/bを有するアミン基を含む。天然、及び合成のポリアミンのpKa値を決定する方法が説明されている(Blagbrough,I.S.;Mewally,A.A.;Geall,A.J.Measurement of polyamine pKa values.Methods Mol.Biol.2011,720,493−503)。第2のアミノ基のpKaに対するポリアミン中の第1のアミノ基のプロトン化の影響は、科学分野で確立している。各プロトン化アミン基は、このようにして、第2のアミノ基のpKaを低下させる。それゆえに、モノカルボン酸を有する塩の形成は、ポリアミンの複数のアミノ基のプロトン化、7未満のpKa値であり得るアミノ基さえを含み得る。
一実施形態において、第1の分子は正確に2個のアミン基を有し、1個または任意に両方がプロトン化形態である。一実施形態において、第1の分子は正確に3個のアミン基を有し、1個、または任意に2個、または3個すべてがプロトン化形態である。一実施形態において、第1の分子は正確に4個のアミン基を有し、1個、または任意に2個、または3個、または4個すべてがプロトン化形態である。
第1の分子は、有機分子であり、それが炭素及び水素を含むことを意味する。第1の分子は、いわゆる小さな分子であり得、それは2,000g/モル未満の分子量を有するか、または代替的な実施形態において、1,500未満、または1,000未満、または900未満、または800未満、または700未満、または600未満、または500g/モル未満の分子量を有することを意味する。任意に、第1の分子は、タンパク質またはポリペプチドではなく、及び/またはポリヌクレオチドではない。
一実施形態において、PPAは、式(I)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、
(I)
式中、
a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、
d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、
各Xが独立して、炭素(C)またが硫黄(S)原子のいずれかであり、
R
1及びR
2が独立して、H、あるいは
直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、
C
1-8脂環式、
単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、
脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、
単環もしくは多重環のヘテロ環、
単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、
C
1-10アルキル、
アリールスルホニル、
またはシアノの群から選択されるか、あるいは
R
2X(O)
n−がHで置き換えられ、
*が、キラル炭素位置を意味し、
XがCである場合、nは1であり、XがSである場合、nは2であり、XがCである場合、XO基は、nが0であるようなCH
2であってよい。NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
別の実施形態において、PPAは、式(II)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、
(II)
式中、
a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、
R
1及びR
3が同じであっても異なってもよく、独立して、直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C
1-10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、
R
2及びR
4が同じであっても異なってもよく、独立して、直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C1−10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、NHまたは
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
別の実施形態において、PPAは、式(III)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、
(III)
式中、
a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、
R
1及びR
3が同じであっても異なってもよく、独立して、H、あるいは直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C1−10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、
R
2及びR
4が同じであっても異なってもよく、独立して、直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C
1-10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
別の実施形態において、PPAは、式(IV)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、
(IV)
式中、
a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、
Z
1がNR
1R
3であり、Z
2が−−R
1、−−CHR
1R
2、または−−CR
1R
2R
3から選択され、またはZ
2がNR
1R
3であり、Z
1が−−R
1、−−CHR
1R
2、または−CR
1R
2R
3から選択され、R
1及びR
2が同じであっても異なってもよく、独立して、H、あるいは直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C
1-10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、
R
3が、直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、C
1-8脂環式、単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、単環もしくは多重環のヘテロ環、単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、C
1-10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノの群から選択され、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
別の実施形態において、PPAは、式(1501)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のPPAを提供する。
(1501)、
模範的な塩は、本構造を有する成分から形成される
。
別の実施形態において、PPAは、式(1505)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
(1505)。
別の実施形態において、PPAは、式(2030)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
(2030)。
別の実施形態において、PPAは、式(1569)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
(1569)。
一実施形態において、PPAは、式(1426)を有するプロトン化形態のポリアミンであり、NHまたはNH
2基の任意の1個以上がプロトン化され得、カルボニル基に近接するNH基等の塩基性でないNH基、すなわち、NH基が容易にプロトン化されないようなために、アミド基の一部を形成するNH基、を除いて、プロトン化形態のポリアミンを提供する。
(1426)
式(I)〜(IV)、1426、1501、1505、1569、2030、DENSpm、DEHSpm、スクアラミン、デオキシスペルグアリン、F14512、モゾビル、トリエンチン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、スペルミジン、及びメチルグリオキザールビス(グアニルヒドラゾン)またはMGBGとしても既知である1,1’[メチルエタンジイリデン]ジニトリロジグアニジンのポリアミンのうちの任意の1個以上、例えば、任意の2個、3個、4個、5個等は、プロトン化形態で本開示のプロトン化ポリアミン薬学的剤であり得る模範的なポリアミンである。複数のアミン基を有する他の分子及び好適な生物学的活性はまた、本開示のPPAを提供するために使用され得る。
疎水性カルボン酸
本明細書で述べられているように、一実施形態において、本開示は、疎水性部分に結合されているカルボキシレート基を含むアニオン性分子との組み合わせの、カチオン性プロトン化ポリアミンの塩に関する。これらのアニオン性種は、疎水性カルボン酸(HCA)として便宜上本明細書で示される。
一実施形態において、特定のカルボキシレート含有分子がHCAであるかどうかは、対応するカルボン酸化合物の水溶性に依存する。言い換えると、式R−C(=O)O-のカルボキシレート化合物がHCAであるかどうかは、式R−C(=O)OHの対応するカルボン酸化合物の水溶性に依存する。様々な実施形態において、本開示のHCAは、25℃の温度及び7のpHで決定される、カルボン酸含有化合物が水中で10g/L未満、または1g/L、または0.1g/L、または0.01g/Lの水溶性を有する、カルボキシレート形態の対応するカルボン酸である。カルボン酸含有化合物の水溶性の概論は、例えば、Yalkowsky SH,Dannenfelser RM;The AQUASOL database of Aqueous Solubility.Fifth ed.,Tucson,AZ: Univ.AZ,College of Pharmacy(1992)、Yalkowsky SH et al;Arizona Data Base of Water Solubility(1989)、及びThe Handbook of Aqueous Solubility Data,Second Edition,Yalkowsky SH,He,Y,and Jain, P(編集),CRC Press(2010)で見出され得る。
一実施形態において、式R−C(=O)O-のHCAは、R基を形成する炭素原子の数の点で特徴付けられる。例えば、様々な実施形態において、R基は、少なくとも6個の炭素原子、または少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも8個の炭素原子、または少なくとも9個の炭素原子、または少なくとも10個の炭素原子、または少なくとも11個の炭素原子、または少なくとも12個の炭素原子、または少なくとも13個の炭素原子、または少なくとも14個の炭素原子、または少なくとも15個の炭素原子、または少なくとも16個の炭素原子を有する。加えて、または代替的に、R基は、部分中に存在する炭素原子の最大数によって特徴付けられ得る。例えば、様々な実施形態において、R基は、24個以下の炭素原子、または23個以下の炭素原子、または22個以下の炭素原子、または21個以下の炭素原子、または20個以下の炭素原子、または19個以下の炭素原子、または18個以下の炭素原子、または17個以下の炭素原子、または16個以下の炭素原子、または15個以下の炭素原子、または14個以下の炭素原子、または13個以下の炭素原子、または12個以下の炭素原子、または11個以下の炭素原子、または10個以下の炭素原子を有する。
HCAが、R基を形成する炭素原子の数の点で特徴付けられる場合、特徴付けは炭素原子の範囲の形態を取り得る。例えば、R基が、C8−C16R基であり、それは少なくとも8個の炭素原子及び16個以下の炭素原子を有するR基を示す。追加の実施形態において、R基は、C8−C14 R基、またはC8−C12R基、またはC8−C10R基、またはC10−C12R基、またはC10−C14R基、またはC10−C16R基、またはC10−C18 R基である。炭素原子の範囲は、8〜24の任意の2個の値から選択され得、任意に奇数が選択される。一実施形態において、R基は、炭素及び水素原子から単独で形成され、そのようなR基は、炭化水素基として示され得、炭化水素R基を有するHCAは、脂肪酸HCAとして示され得る。
R基中の炭素原子の数を特定化することに加えて、R基は、その構造の点で特徴付けられ得る。一実施形態において、R基は、芳香族とは対照的に脂肪族である。一実施形態において、R基は、直鎖の炭化水素であり、すなわち分岐を含有しない。別の実施形態において、R基は、分岐鎖の炭化水素であり、すなわち、少なくとも1個の分岐を含有し、それは3個または4個の他の炭素に結合されている炭素を示す。別の実施形態において、R基は、シクロヘキシル等の環式成分を含み、それは鎖上で置換基としてまたは鎖内で埋め込まれて存在し得、C1−C6炭化水素鎖−シクロヘキシルラジカル−C1−C6炭化水素鎖−C(=O)O−等の構造を提供する。別の実施形態において、炭化水素鎖は飽和されており、すなわち、いずれの二重または三重または芳香族結合も含有しない。別の実施形態において、炭化水素鎖は不飽和である。別の実施形態において、炭化水素基は芳香族部分を含むよりもむしろ脂肪族である。
式R−COOHの脂肪酸は、本開示の塩の式R−COO-のHCA成分に対する好都合な前駆体である。任意に、HCAは脂肪酸に由来し、脂肪酸は薬学的グレードの脂肪酸である。好適な脂肪酸は、多くの商業的供給者より入手可能である。例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MI,USA)またはSpectrum Chemical(New Brunswick,NJ,USA)は、好適な脂肪酸を提供する。
例えば、一実施形態において、HCAは、C8−C16直鎖の炭化水素脂肪酸等の対応するカルボキシレート形態の脂肪酸化合物である。この種類の模範的な脂肪酸は、オクタン酸(カプリル酸としても既知である)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸としても既知である)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸としても既知である)、トリデカン酸、テトラデカン酸、及びヘキサデカン酸を含む。一実施形態において、脂肪酸はオクタン酸である。一実施形態において、脂肪酸はノナン酸である。一実施形態において、脂肪酸はデカン酸である。一実施形態において、脂肪酸はウンデカン酸である。一実施形態において、脂肪酸はドデカン酸である。一実施形態において、脂肪酸はトリデカン酸である。一実施形態において、脂肪酸はテトラデカン酸である。一実施形態において、脂肪酸はヘキサン酸である。
別の実施例として、一実施形態において、HCAは、カルボン酸基に結合されている対応するカルボキシレート形態の炭化水素基であり、炭化水素基が、例えば、8〜18、または10〜16個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり得る。そのような炭化水素基は、直鎖であり得、上記に説明されるようなオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸等の脂肪酸を提供する。代替的に、そのような炭化水素基は、炭素鎖内に1つ以上の分岐を含む。
HCAは、薬学的活性剤であってもなくてもよいが、一実施形態において、HCAは薬学的活性剤ではない。任意に、HCAは、ポリペプチドまたはタンパク質ではなく、任意にPPAまたはHCAのどちらもポリペプチドまたはタンパク質ではない。任意に、HCAは、ポリヌクレオチドではなく、任意にPPAまたはHCAのどちらもポリヌクレオチドではない。
一実施形態において、HCAは純粋である。言い換えると、HCAは、90重量%超、または95重量%超、または96重量%超、または97重量%超、または98重量%超、または99重量%超の塩分子中に存在するカルボキシレート含有化合物を構成する。
HCAはカルボキシレート形態の脂肪酸であり得るが、HCAは必ずしもカルボキシレート形態の脂肪酸ではない。式R−C(=O)O−のHCAを生じさせ得る式R−COOHの他のカルボン酸含有化合物は、コール酸を含む。追加の実施形態において、ポリエチレングリコールの有機カルボン酸は、機能的に使用され得、すなわち、R−COOHのR基が、nが1〜20である(CH2−CH2−O)n基を含み得る。一実施形態において、HCAは、1個以上のカルボキシレート基を含有し得、例えば、それはジカルボキシレートまたはトリカルボキシレートHCAであり得、実施例がシュウ酸及びクエン酸を含む。一実施形態において、本開示の塩は、プロトン化ポリアミンと脂質スルホン酸から形成される脂質スルホネートとの間で形成される。
ポリアミン及びカルボン酸の組み合わせ
本明細書で述べられているように、一実施形態において、本発明は、カチオン性プロトン化ポリアミン及びアニオン性疎水性カルボキシレートの塩を提供する。塩は任意に、用語(ポリアミンmH+)(R−COO-)mによって示され得、式中、塩がモノカルボキシレート塩である場合、mが1であり、塩がジカルボキシレート塩である場合、mが2であり、塩がトリカルボキシレート塩である場合、mが3であり、塩がテトラカルボキシレート塩である場合、mが4である、等である。R基は、式R−COOHの化合物が疎水性(親油性)であるように選択され、すなわち、あまり水溶性でなく、任意に水不溶性として説明され得、模範的なR基が約9個の炭素(例えば、カプリン酸)〜最大約23個の炭素(例えば、コール酸)を有する。ポリアミンはプロトン化形態であり、概して、より塩基性のアミン基がまずプロトン化されて、第3級アミン基が概して第2級アミン基より塩基性であり、第2級アミン基が概して第1級アミン基より塩基性である。
本開示の塩の組成物は、大部分において、塩を調製するために使用される特定の成分、及び塩を調製するために使用される成分の相対的な量に依存するだろう。概して、塩を調製する際、ポリアミン成分は、中性遊離塩基形態として、または対イオン、及びより特定的にはアニオンを含む荷電した塩形態として提供され得る。同様に、カルボキシレート成分は、中性遊離塩基形態として、または対イオン、及びより特定的にはカチオンを含む荷電した塩形態として提供され得る。荷電した塩形態のポリアミンは、ポリアミンの酸付加塩として示され得、一方で荷電した塩形態の疎水性カルボキシレートは、カルボン酸の塩基性付加塩として示され得る。これらの塩は、本明細書に開示されているような方法によって調製され得る。本開示の治療的に許容可能な塩は、本明細書に説明されるような、カチオン性(プロトン化)形態でポリアミン薬学的剤及びアニオン性(脱プロトン化)形態で疎水性カルボン酸種を含む。
例えば、一実施形態において、本開示は、有機カチオン性及び有機アニオン性種の間で形成される塩を提供する。カチオン性種は、プロトン化ポリアミン薬学的剤であり、それはプロトン化形態で少なくとも1個のアミン基を有する薬学的剤を示す。アニオン性種は、脱プロトン化カルボン酸であり、それは、その酸プロトンをポリアミン薬学的剤に移動したカルボン酸を示し、それによってプロトン化薬学的剤及び脱プロトン化カルボン酸を提供する。塩は任意に、固体剤形であり、治療的方法において対象へ投与するのに好適である。任意に、アニオン性疎水性カルボキシレートは、C
8−C
18脂肪酸から選択されるカルボキシレート形態の脂肪酸であり、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤はプロトン化形態の治療的に有効なポリアミンであり、ポリアミンがペプチドまたはタンパク質を含まず、及び/またはカチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤は水中で独立してプロトン化可能な2〜4個のアミン基を有し、それらのプロトン化可能なアミン基の少なくとの1個がプロトン化されてカチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤を提供する。塩は、以下、塩がカチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤の1モル当たり2モルのアニオン性疎水性カルボキシレートを有する、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤が式(1)のプロトン化形態のポリアミンである、アニオン性疎水性カルボキシレートがC
8−C
14脂肪酸から選択されるカルボキシレート形態の脂肪酸である、うちの1つ以上によってさらに説明され得る。
(I)
式中、a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、各X独立して、炭素(C)またが硫黄(S)原子のいずれかであり、R
1及びR
2が独立して、H、あるいは(i)直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、(ii)C
1-8脂環式、(iii)単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、(iv)脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、(v)単環もしくは多重環のヘテロ環、(vi)単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、(vii)C1−10アルキル、(viii)アリールスルホニル、(ix)またはシアノの群から選択されるか、あるいは(x)R2X(O)n−がHで置き換えられ、*が、キラル炭素位置を意味し、XがCである場合、nは1であり、XがSである場合、nは2であり、XがCである場合、XO基は、nが0であるようなCH2であってよく、任意に、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤が式AMXT 1501の脱プロトン化形態のポリアミンであり、アニオン性疎水性カルボキシレートが脱プロトン化カプリン酸であり、塩が式
(1501)を有するプロトン化AMXT 1501の1モル当たり2モルの脱プロトン化カプリン酸を有し、塩が5重量%超のいかなる他の固体または液体化学物質とも混合されず、塩が薬学的組成物の形態であり、塩が固体剤形投与のための薬学的組成物の形態である。
本開示の塩を調製するための好都合なプロセスにおいて、ポリアミン及び脂肪酸または他の疎水性カルボン酸の組み合わせは、いずれの追加のアニオンまたはカチオンを含まない。そのような組み合わせは、遊離塩基形態のポリアミンを遊離酸形態の脂肪酸またはHCAと組み合わせることによって調製され得る。組み合わせは塩の形態にあり、塩がプロトン化ポリアミン及びプロトン化脂肪酸(または脱プロトン化HCA)の間で形成する。このようにして、本開示の塩を調製するための好都合なプロセスは、プロトン移動条件下で溶媒中で非荷電のポリアミン製剤を非荷電の疎水性カルボン酸と組み合わせて、正に荷電したポリアミン製剤の塩を形成し、すなわち、カチオン性ポリアミン薬学的及び負に荷電した疎水性カルボキシレート、すなわち、アニオン性疎水性カルボキシレート、溶媒から塩を分離させる。
例えば、本開示の塩を調製するために好都合なプロセスは、カルボン酸及びポリアミンを含むプロトン移動を可能にする溶媒中に、遊離塩基形態のポリアミンを遊離酸形態の疎水性カルボン酸と組み合わせることを伴う。このようにして、本開示は、ポリアミン、疎水性カルボン酸、溶媒を組み合わせて、溶液を提供することと、その後に溶液から固体残渣を単離することと、を含む方法を提供し、残渣がポリアミン及び疎水性カルボン酸の間に形成される塩を含む。任意に、方法は、以下の任意の1個以上(例えば、任意の2個、任意の3個、任意の4個)によってさらに特徴付けられ得る。
ポリアミンは、本明細書で特定されるような薬学的に活性なポリアミンである。例えば、式(I)〜(IV)、1426、1501、1505、1569、2030、DENSpm、DEHSpm、スクアラミン、デオキシスペルグアリン、F14512、モゾビル、トリエンチン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、MGBG、及びスペルミジンのポリアミンのいずれかは、方法において使用され得る。疎水性カルボン酸は、本明細書に特定される疎水性カルボン酸のいずれかである。例えば、疎水性カルボン酸は、10g/L水未満の水溶性を有し得、式R−COOHを有し得、Rが、6〜20個の炭素原子、または8〜16個の炭素原子、または10〜14個の炭素原子を有するか、あるいはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、及びヘキサン酸から選択される脂肪酸であり得る。疎水性カルボン酸は、疎水性カルボン酸の混合物であり得る。高純度のPPA−HCA塩を調製するために、ポリアミン及び疎水性カルボン酸の各々が、高純度、例えば、成分の1個または両方が、例えば、重量ベースで少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%の純度であり得る。ポリアミン及び疎水性カルボン酸の一方または両方は、GMPによって調製される、薬学的グレードであり得る。一実施形態において、ポリアミンはAMXT 1501であり、疎水性カルボン酸はカプリン酸である。
ポリアミン及び疎水性カルボン酸は、相対的な量で組み合わされて、所望の塩化学量論比を提供する。例えば、1:1のモル化学量論比のPPA:HCA塩が望ましい、次いで均等、またはほぼ均等な場合、ポリアミン及び疎水性カルボン酸のモル量は、溶媒と組み合わされる。このようにして、一実施形態において、約1.0モル、例えば、0.9〜1.1モルの疎水性カルボン酸は、各1.0モルのポリアミンと組み合わされる。1:2のモル化学量論比のPPA:HCA塩が望ましい場合、次いで正確にまたは約2.0モル、例えば、1.8〜2.2モルの疎水性カルボン酸は、各1.0モルのポリアミンと組み合わされる。PPA:HCS塩の1:3のモル化学量論比が望ましい場合、次いで正確にまたは約3.モル、例えば、2.7〜3.3モルの疎水性カルボン酸は、各1.0モルのポリアミンと組み合わされる。1:4のモル化学量論比のPPA:HCA塩が望ましい場合、次いで正確にまたは約4.0モル、例えば、3.6〜4.4モルの疎水性カルボン酸は、各1.0モルのポリアミンと組み合わされる。一実施形態において、1モルのポリアミンAMXT 1501は、2モルの疎水性カルボン酸カプリン酸と組み合わされる。明確にするために、例えば、各1.0モルのポリアミンと組み合わされている1.8〜2.2モルの疎水性カルボン酸について述べられる際、それは約1.8モル未満または約2.2モル超の疎水性カルボン酸が各1.0モルのポリアミンと組み合わされることを排除する。
溶媒は、疎水性カルボン酸及びポリアミンの間のプロトン移動を促進するべきである。例えば、溶媒は、純粋極性プロトン性溶媒であり得、または極性プロトン性溶媒を含む溶媒の混合物であり得る。好適な極性プロトン性溶媒は水、例えば脱イオン水及び蒸留水から選択される水である。別の好適な極性プロトン性溶媒は、より低い鎖アルコール、例えば、メタノールまたはエタノールである。一実施形態において、1モルのポリアミンAMXT 1501は、水及びメタノールから選択される溶媒中に、2モルの疎水性カルボン酸カプリン酸と組み合わされる。
成分は、任意の順番で組み合わされ得、溶液を形成する。例えば、ポリアミン及び疎水性カルボン酸は、溶媒に添加され得、溶液を提供する。一実施形態において、ポリアミンは溶媒中に分解され、次いで疎水性カルボン酸は溶媒及びポリアミンの溶液に徐々に添加される。プロセスは、バッチまたは連続的様式で行われ得る。バッチ様式において、容器は、溶媒、ポリアミン、及び疎水性カルボン酸の満充量を受容し、塩は容器内で形成される。ポリアミン、疎水性カルボン酸、及び溶媒は、組み合わされて、透明な溶液を提供し、言い換えると、溶液中に存在する水溶性原料は存在しない。典型的には、ポリアミン、疎水性カルボン酸、及び溶媒は、10〜30℃の範囲内の温度で組み合わされるが、他の温度も使用される場合がある。連続的様式において、連続的流通技術は、説明されるPPA:HCA塩形態の生成及び単離に使用される場合がある。ポリアミン遊離塩基の溶液が、メタノールのような好適な溶媒中で共溶媒と混合され、その中では塩は、流通セル装置中で、アセトニトリルのように可溶性ではなく、非溶解性、または可溶解性形態のPPA:HCA塩の連続的な生成を可能にする、利用可能な流通装置を使用する。
塩が形成された後、溶媒は塩から調製されて、塩であるかまたは塩を含む残渣を提供する。溶媒が揮発性でありすぎない場合、それは蒸発または蒸留等のプロセスによって溶液から除去され得、溶液から残渣を単離する。別の選択肢として、共溶媒(例としてアセトニトリル)は、溶液に添加され得、そうするとすぐに沈殿物が溶液から現れ、結果として得られる溶液は上清を示す。共溶媒はまた、塩が非溶媒中で可溶性でないため、非溶媒としても示される。沈殿物は、残渣としても示され、残渣から、例えば、デカンテーションによって、分離され得、溶液から残渣を単離させる。さらに別の選択肢として、溶液は、塩が溶媒中で可溶性でなく、したがって沈殿物の形態で残渣を形成するような温度に冷却され得る。共溶媒が使用されて沈殿物を形成する場合として、上清は、残渣から分離され得、溶液から残渣を単離させる。
一実施形態において、残渣は、少なくとも50重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%の塩を含む。言い換えると、残渣の重量の少なくとも50%はPPA:HCA塩であり、または残渣の重量の少なくとも95%はPPA:HCA塩であり、または残渣の重量の少なくとも99%はPPA:HCA塩である。例えば、この産出を得るために、溶媒のほとんどまたはすべてが残渣から除去されるので、それは本質的に溶媒を含まない。また、一実施形態において、残渣は、PPA:HCAを含むのみで、他の原料を含まないか、または残渣のポリアミンまたは残渣の疎水性カルボン酸等の、少量(例えば、1未満、または2未満、または3重量%未満)の他の原料を含むのみである。しかしながら、他の原料は、溶媒、例えば防腐剤または抗菌薬、と組み合わされ得、それによって残渣はPPA:HCAから全体的には構成されない。一実施形態において、残渣は、塩化物またはホスフェート等の無機種をほとんど含まないかまたは全く含まない(例えば、1未満、または2未満、または3重量%未満)。一実施形態において、残渣は、ポリアミン、疎水性カルボン酸、及びそれらの間で形成される塩からなるか、または本質的になる。
残渣が一旦形成されると、それまたはその一部分は、説明されるような追加の成分と組み合わされ得、例えば、摂取による、対象への投与に好適な薬学的組成物を形成する。それらの追加の成分は、希釈液、例えば、ラクトース及び微結晶性セルロース、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウム、結合剤、例えば、PVP及びHPMC、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、及び流動促進剤、例えば、コロイドSiO2を含み得る。例えば、方法は、残渣またはその一部からの錠剤、タブレット、カプセル、トローチ剤、カプレット、及びトローチから選択される固体剤形を形成することをさらに含む。PPA−HCA塩は、無菌形態にあり得、薬学的剤の製造において使用される。
上記に述べられているように、荷電した形態のポリアミン及び/または荷電した形態の疎水性カルボン酸は、反応物質として活用され得、本開示のPPA:HCAを調製する。
ポリアミンの酸付加塩は、当事者に既知の条件下で、ポリアミンを好適な無機または有機酸と接触させることによって形成され得る。酸付加塩は、例えば、無機酸を使用して形成され得る。好適な無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸から選択され得る。酸付加塩は、有機酸を使用して形成され得る。好適な有機酸は、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸からなる群から選択され得る。
カルボン酸の塩基付加塩は、当事者に既知の条件下で、カルボン酸を好適な無機または有機塩基と接触させることによって形成され得る。好適な塩基付加塩を形成する好適な無機塩基は、水酸化物形態の、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、またはバリウムのいずれかを含む。好適な塩基付加塩を形成する好適な有機塩基は、脂肪族、脂環式、またはメチルアミン、トリメチルアミン及びピコリン、アルキルアンモニア、及びアンモニア等の芳香族有機アミンを含む。
本開示の塩を調製するために好都合なプロセスにおいて、ポリアミンは、その遊離塩基形態として提供されるが、カルボン酸はそのプロトン化酸形態として提供され、これらの成分は共に混合される。この場合、及び成分の化学量論比に依存して、ポリアミン及びカルボン酸の組み合わせは、ポリアミン、カルボン酸、カチオン、及びアニオンの4種をもたらし得る。カチオンは、例えば、プロトン、アンモニウム、ナトリウム、及びカルシウムから選択され得る。アニオンは、例えば、水酸化物、カルボキシレート、及びフッ化物、塩化物、及びヨウ化物等のハロゲン化物から選択され得る。混合するうえで、カチオン及びアニオンは塩を形成し、ポリアミン及びカルボン酸は本開示の塩を形成し、混合は、PPA:HCA塩形成を可能にする条件下で行われると想定するが、それは典型的には水の存在が必要である。
ポリアミン(荷電または非荷電形態で)及びカルボン酸(荷電または非荷電形態で)の組み合わせは、2つの成分のモル比の点で特徴付けられ得る。以下の議論において、用語、ポリアミンは、荷電及び非荷電の両方のポリアミンを示し、用語、カルボン酸は、荷電及び非荷電の両方のカルボン酸を示す。組成物中に存在するポリアミン及びカルボン酸の相対的な量は、変化され得る。一部分において、相対的な量は、ポリアミン中に存在するアミン基の数を反映し得る。先に述べられているように、一実施形態において、ポリアミンは2個のアミン基を有し、一方で別の実施形態において、ポリアミンは3個のアミン基有し、さらに別の実施形態において、ポリアミンは4個のアミン基を有するが、さらに別の実施形態において、ポリアミンは5個のアミン基を有し、さらなる実施形態において、ポリアミンは6個のアミン基を有し、アミン基は、各発現で独立して選択される、第1級アミン、第2級アミン、及び第3級アミンから選択される。アミン基は、いわゆるプロトン化可能なアミン基であり、それはプロトンと結合することが可能であり荷電したアンモニウム種を形成するアミン基を示す。カルボニル基、すなわち、アミド基、に近接するNH基は、プロトン化形態のアミド基が不安定なため、プロトン化可能なアミン基ではない。熟練の有機化学者は、アミン基がプロトン酸と共に希釈液中にプロトン化される既知の技術を使用することを認める及び/または容易に決定する。概して、第1級アミン基、第2級アミン基、及び第3級アミン基は、典型的にはプロトン化可能である。
一実施形態において、ポリアミンの各モルは、1、または約1モルのHCAと会合して、本開示の模範的な塩を形成する。模範的な塩は、1モルのPPAを1モルのHCA組み合わせることによって好都合に形成され、それによって塩は1:1、または約1:1のPPA対HCAのモル比を有する。しかしながら、本開示はまた、1モル超または1モル未満のHCAが各1モルのPPAと組み合わされ得ることを提供する。そのような状況において、PPA:(HCA)1として任意に指定される、結果として得られる1:1のPPA:HCA塩は、プロトン化PPAまたはジプロトン化PPAを有する混和剤中にあってもよく、いくらのHCAがPPAと組み合わされているかに依存する。例えば、本開示の組成物は、PPA対HCAの1:1のモル比を有する塩を含み得、この塩が、非プロトン化ポリアミンと組み合わされている。加えて、本開示は、PPA:(HCA)2として任意に示される、PPA対HCAの1:2のモル比を有する塩を提供し、この塩が、PPA対HCAの1:1のモル比を有する塩と組み合わされている。一実施形態において、ポリアミンの各モルは、2、または約2モルのHCAと会合して、本開示の模範的な塩を形成する。そのような塩は、PPA対HCAの1:2、または約1:2のモル比を有する。加えて、本開示は、PPA:(HCA)3として任意に示される、PPA対HCAの1:3のモル比を有する塩を提供し、この塩が、PPA対HCAの1:2のモル比を有する塩と組み合わされおり、PPA:(HCA)2として任意に示され、PPA:(HCA)3/PPA:(HCA)2混合物を提供する。
ポリアミン及びカルボン酸の相対的な量は、当量で説明され得、5個のアミン基を有する1モルのポリアミンが、アミンの5個の当量を有し、1個のカルボン酸基を有する1モルのカルボン酸が、カルボン酸の1個の当量を有する。例えば、ポリアミンがAMXT 1501である際、分子中に存在する4個のアミン基が存在する。本発明の一実施形態において、2モルのAMXT 1501は、ポリアミン及びカルボン酸が8:1の当量比(8当量のアミン基及び1当量のカルボキシル基)で組み合わされるように、1モルのカルボン酸と組み合わされている。本発明の別の実施形態において、1モルのAMXT 1501は、ポリアミン及びカルボン酸が1:1の当量比で組み合わされるように、4モルのカルボン酸と組み合わされている。さらなる実施例として、1モルのAMXT 1501は、ポリアミン及びカルボン酸が1:2の当量比(8個のカルボキシ基毎に4個のアミン基があり、1:2の当量比を提供している)で組み合わされるように、8モルのカルボン酸と組み合わされている。このようにして、例証として、AMXT 1501:(カプリン酸)2塩、すなわち、AMXT 1501のカプラート塩は、いくつかのAMXT 1501:(カプリン酸)1塩、すなわち、AMXT 1501のモノカプラート塩、及び/またはいくつかのAMXT 1501(カプリン酸)3塩、すなわち、AMXT 1501のトリカプラート塩、を有する混和剤中にあり得る。同様に、AMXT 1501:(カプリン酸)1塩は、例えば、いくつかのAMXT 1501及び/またはいくつかのAMXT 1501(カプリン酸)2塩を有する混和剤中にあり得る。この例証において、AMXT 1501は、模範的なポリアミンとして使用されるが、しかし、本明細書に開示されている他のポリアミンはこの例証でAMXT 1501へ置換され得る。
一実施形態において、本開示は、本開示の塩を調製するための方法を提供し、方法が、ポリアミン薬学的剤、疎水性カルボン酸、及び溶媒を組み合わせて、溶液を提供することと、溶液から固体残渣を単離することと、を含み、固体残渣が本開示の塩を含む。任意に、方法は、以下の特徴:溶媒が水、メタノール、またはそれらの組み合わせを含むこと、1.8〜2.2モルの疎水性カルボン酸が各1.0モルのポリアミン薬学的剤と組み合わされること、固体残渣が溶液から沈殿によって形成されること、方法が固体残渣またはその一部を、固体剤形薬品に製剤化することをさらに含むこと、のうちの1つ以上によって説明され得る。
以下は、本開示のPPA:HCA塩の追加の模範的な実施形態である。一実施形態において、本開示は、以下に示される分子式及び構造を有する成分の塩形態である、AMXT 1501ジカプラートの組成物を提供し:
、
成分が、ポリアミン及びカプリン酸のジカプラート塩を形成する。AMXT 1501ジカプラートはまた、用語(AMXT 1501 2H
+)(R−COO
-)
2によって示され得、RがC
9、例えば、n−ノニルである。概して、R−COOHは、あまり水溶性でなく、水不溶性として説明され得、模範的なR基が約9個の炭素(例えば、カプリン酸)〜最大約23個の炭素(例えば、コール酸)を有する。ジカプラート塩は、プロトン化形態で、ポリアミン中に示されるように存在する、第1級アミン基及び第2級アミン基のうちの任意の2個を含み得る。例えば、第1級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または第2級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または1個の第1級アミン基及び1個の第2級アミン基がプロトン化され得る。概して、より塩基性のアミン基がまずプロトン化されて、第3級アミン基が概して第2級アミン基より塩基性であり、第2級アミン基が概して第1級アミン基より塩基性である。そのような構造の1つは、以下に示される:
。
一実施形態において、本開示は、以下に示される分子式及び構造を有する成分の塩形態である、AMXT 1569ジカプラートの組成物を提供し:
、
成分が、ポリアミン及びカプリン酸のジカプラート塩を形成する。ジカプラート塩は、プロトン化形態で、ポリアミン中に示されるように存在する、第1級アミン基及び第2級アミン基のうちの任意の2個を含み得る。例えば、第1級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または第2級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または1個の第1級アミン基及び1個の第2級アミン基がプロトン化され得る。そのような構造の1つは、以下に示される:
。
一実施形態において、本開示は、以下に示される分子式及び構造を有する成分の塩形態である、AMXT 2030ジカプラートの組成物を提供し:
、
成分が、ポリアミン及びカプリン酸のジカプラート塩を形成する。ジカプラート塩は、プロトン化形態で、ポリアミン中に示されるように存在する、第1級アミン基及び第2級アミン基のうちの任意の2個を含み得る。例えば、第1級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または第2級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または1個の第1級アミン基及び1個の第2級アミン基がプロトン化され得る。そのような構造の1つは、以下に示される:
。
一実施形態において、本開示は、以下に示される分子式及び構造を有する成分の塩形態である、AMXT 1426ジカプラートの組成物を提供し、
、
成分が、ポリアミン及びカプリン酸のジカプラート塩を形成する。ジカプラート塩は、プロトン化形態で、示されるようなポリアミン中に存在する第1級アミン基及び第2級アミン基のうちの任意の2個を含み得る。例えば、第1級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または第2級アミン基の両方がプロトン化され得るか、または1個の第1級アミン基及び1個の第2級アミン基がプロトン化され得る。そのような構造の1つは以下に示される:
。
一実施形態において、本開示は、塩形態のAMXT 1505ポリアミン及び2個のカプリン酸である、AMXT 1505ジカプラートの組成物を提供し、そのような塩は以下に示される:
。
一実施形態において、PPAは、DENSpmとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、DENSpmのNH基のうちの任意の1個以上がプロトン化されて、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、DENSpmに存在する4個のNH基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、DENSpmのNH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、DENSpmに存在するNH基のうちの3個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、DENSpmに存在するNH基のうちの4個すべては、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるDENSpmを含む一方で、塩はまたは、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、関連し得る。
一実施形態において、PPAは、スクアラミンとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、スクアラミンのNH及びNH2基のうちの任意の1個以上が、プロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、スクアラミン中に存在する2個のNH基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、スクアラミンのNH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、スクアラミン中に存在するNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、スクアラミン中に存在するNH基及びNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、スクアラミン中に存在するNH基及びNH2基の両方は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるスクアラミンを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、PPAは、デオキシスペルグアリンとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、デオキシスペルグアリンのNH及びNH2基のうちの任意の1個以上が、プロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、デオキシスペルグアリン中に存在する1個のNH基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、デオキシスペルグアリンの1個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、デオキシスペルグアリン中に存在する1個のNH基及び1個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるデオキシスペルグアリンを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、PPAは、F14512として既知のプロトン化形態のポリアミンであり、F14512のNH及びNH2基のうちの任意の1個以上が、プロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、F14512中に存在する2個のNH基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、NH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、F14512の3個のNH基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、F14512中に存在するNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、F14512中に存在するNH基及びNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、F14512中に存在するNH基及びNH2基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるF14512を必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、PPAは、モゾビルとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、モゾビルのNH基のうちの任意の1個以上が、プロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、モゾビル中に存在するNH基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、モゾビルのNH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、モゾビルの3個のNH基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、モゾビル中に存在する4個のNH基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるモゾビルを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、PPAは、トリエンチンとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、トリエンチンのNH及びNH2基のうちの任意の1個以上がプロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、トリエンチン中に存在する2個のNH個のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、トリエンチンのNH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、トリエンチン中に存在する1個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、トリエンチン中に存在するNH2基の両方は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、トリエンチン中に存在するNH基のうちの1個及びNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、トリエンチン中に存在するNH基のうちの2個及び1個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、トリエンチン中に存在するNH基のうちの1個及びNH2基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるトリエンチンを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。トリエンチンはまた、トリエチレンテトラミンとしても既知であり、省略されてTETA、またはトリエンとされる。
一実施形態において、PPAは、ゲンタマイシンとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、ゲンタマイシンのNH及びNH2基のうちの任意の1個以上がプロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、ゲンタマイシン中に存在するNH基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ゲンタマイシンのNH基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ゲンタマイシン中に存在する1個のNH2は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ゲンタマイシン中に存在する2個のNH2は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、ゲンタマイシン中に存在するNH基のうちの1個及びNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、ゲンタマイシン中に存在するNH基のうちの2個及び1個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。さらに別の実施形態において、ゲンタマイシン中に存在するNH基のうちの1個及び2個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるゲンタマイシンを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、PPAは、ポリミキシンBとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、ポリミキシンBのNH2基のうちの任意の1個以上がプロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、ポリミキシンB中に存在するNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ポリミキシンBのNH2基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ポリミキシンB中に存在するNH2基のうちの3個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、ポリミキシンB中に存在する4個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるポリミキシンBを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、MGBGとして既知のプロトン化形態のポリアミンまたはポリグアニジンであり、MGBGのNH2基のうちの任意の1個以上がプロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、MGBG中に存在するNH2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、MGBGのNH2基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、MGBG中に存在するNH2基のうちの3個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、MGBG中に存在する4個のNH2基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるMGBGを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種、に関連し得る。
一実施形態において、本開示は、スペルミジンジカプラートの組成物を提供する。一実施形態において、PPAは、スペルミジンとして既知のプロトン化形態のポリアミンであり、スペルミジンのNH
2基のうちの任意の1個以上がプロトン化され得、HCAと会合して、プロトン化形態のポリアミンを提供する。一実施形態において、スペルミジン中に存在するNH
2基のうちの1個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、スペルミジンのNH
2基のうちの2個は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。一実施形態において、スペルミジン中に存在する2個のNH
2基及び1個のNH基は、プロトン化されて、HCAと会合して、本開示の塩を形成する。本開示のそのような塩は、少なくとも1個のHCAと会合したプロトン化形態にあるスペルミジンを必ず含む一方で、塩はまた、本明細書で述べられているような他の種、例えば、溶媒分子及び/または非HCAアニオン性種と会合し得る。一実施形態において、PPAは、プロトン化形態のスペルミジンであり、それは以下の式を有し、NHまたはNH
2基の任意の1個以上が、プロトン化されて、プロトン化形態のスペルミジンを提供する。例えば、一実施形態において、本開示は、以下に示される分子式及び構造を有する成分の塩形態である、スペルミジンジカプラートを提供し、
、
例えば、以下の式の塩形態である、
。
前述は、本開示の模範的なPPA:HCA塩であり、それは本明細書に説明されるような方法によって調製され得る。概して、PPA:HCA塩は、水等の好適な溶媒中の塩基(PPA成分)による酸(HCA成分)の中和によって好都合に調製され得る。一実施形態において、本発明は、PPA、HCA、ならびにPPA及びHCAの間の塩形成を可能にするのに好適な溶媒、例えば、水、メタノール、及びそれらの混合物を含む組成物と、PPA、HCA、及び好適な溶媒からなる組成物、及びそれらから本質的になる組成物とを提供しする。そのような組成物は、溶液中の本発明の塩を提供し、その溶液から本開示の塩が単離され得る。
薬学的製剤
本開示の塩は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射または点滴、皮下注射、または移植)によって、吸入スプレー、鼻腔、膣、直腸、舌下、または局所的経路の投与によって、投与され得る。塩は、単独または共に、好適な用量単位製剤に製剤化され得、剤形としても既知であり、投与の各経路に適切な担体、補助剤、及びビヒクル等の、従来の非中毒性の薬学的に許容可能な不活性(すなわち、生物学的活性でない)成分を含有する。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物の治療に加えて、本開示の塩はヒトでの使用へ効果的である。
この開示の塩の投与のための薬学的組成物は、用量単位形態で好都合に存在し得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。調剤の科学分野は、治療されている患者への利益を最大化する形態での、薬学的剤の送達に集中されている。理論に束縛されることなく、ポリアミン薬物のそのカルボン酸塩としての製剤は、結果として得られる塩組成物の親油性を増加させ得、治療された動物の胃腸管の細胞成分によって摂取を促進する。実際に、哺乳類の胃腸は、胆汁酸分泌を利用して、食事のより多くの親油性成分の食物摂取を促進する。
すべての方法は、活性成分、すなわち、本開示の塩を、1個以上の副成分を構成する、不活性成分を有する会合または組み合わせに接触させるステップを含む。概して、薬学的組成物は、本開示の塩を液体担体または良好に分割された固体担体または両方を有する会合に、均等に及び親密に接触させ、次いで、必要な場合、生成物を所望の製剤に形成することによって調製される。薬学的組成物において、本開示の活性な塩は、病気のプロセスまたは状態に所望の効果を生むのに十分な量で含まれる。本明細書で使用されるように、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分の組み合わせから、直接的または間接的にもたらす任意の生成物と同様に、任意に特定の量で特定の成分を含む生成物を包括することが意図されている。
一実施形態において、薬学的組成物は、経口使用へ意図されている固体剤形である。多くの理由のために、経口組成物、及び具体的には固体剤形は、患者及び治療方式の開発に責任のある医師の両方にとって、有利で好都合である。経口組成物は、合併症、費用、ならびに患者を病院での感染及び罹患にさらす病院または外来診療設定で、医療関係者によって行わなければならない静脈内注射または注入を介した投与の不都合を回避する。具体的には、癌の治療を経ている患者は、免疫不全の個人であり得、特に、病院内で感染及び罹患しやすい。錠剤またはタブレット等の経口製剤は、病院設定外でとることができ、対象にとって使い易さ及び遵守の可能性を増加させる。これは、対象が、静脈内投与及び病院来院に付随する感染症の危険性を回避することを可能にする。加えて、経口送達は、静脈内急速投与に関連する高濃度ピーク及び急速除去を回避し得る。
経口固体剤形の実施例としては、錠剤、タブレット、カプセル、顆粒、及びミクロスフェアが含まれ、それらのうちのいずれかが腸溶性コーティングを含み得、薬学的組成物を胃環境による酸分解から保護するか、または吸収が高められる場所である腸部分への送達を最大化する。固体剤形は、咀嚼可能または嚥下可能であり得、または任意の摂取可能な形態を有し得る。一実施形態において、固体剤形は、水をほとんど含まないか全く含まず、例えば、0.1重量%未満の水、または0.2重量%未満の水、または0.3重量%未満の水、または0.4重量%未満の水、または0.5重量%未満の水、または1重量%未満の水、または1.5重量%未満の水、または2重量%未満の水である。
固体剤形は、薬学的組成物の製造の分野で既知の任意の方法に従って調製され得る。そのような組成物は、1個以上の不活性成分を含有し得、模範的な不活性成分が、薬学的に上品で美味な調製を提供するために、甘味料、香味料、着色料、及び保存料の群から選択され得る。本開示の固体剤形は、固体剤形の製造に好適な、不活性の非中毒性の薬学的に許容可能な賦形剤を有する任意の混和剤中に、本開示の塩を含有する。
固体剤形の賦形剤は、当分野で既知であり、対象への投与のし易さ、改善された用量遵守、薬物の生物学的利用能の一貫性及び管理、高められた生物学的利用能の援助、劣化からの保護を含む改善されたAPI安定性を含む様々な利益を提供するために選択され、頑強及び再生成可能な物理的生成物の生成を容易にするために貢献する。賦形剤は、一般に、製剤中で果たすことを意図される役割に依存して、様々な機能的分類に細分される。固体剤形において、一般的な賦形剤の役割及びその役割を果たす模範的な原料は、希釈液、例えば、ラクトース及び微結晶性セルロース、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウム、結合剤、例えば、PVP及びHPMC、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、及び流動促進剤、例えば、コロイドSiO2である。タブレット及びカプセルはしばしば、希釈液、充填剤、または増量剤、例えばラクトース、を含有する。ポリアミン薬物を製剤化するためにしようされる賦形剤は、分解物としてシッフ塩基付加生成物の形成を防ぐために、還元糖成分を含有するそれらを回避するべきである。
賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、及びラクトース等の不活性希釈剤、コーンスターチ及びアルギン酸等の造粒剤及び崩壊剤、デンプン、ゼラチンまたはアカシア等の結合剤、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルク等の潤滑剤であり得る。本明細書に説明されているようなPPA:HCA塩を含有する本開示のタブレットは、コーティングされていなくてもコーティングされていてもよく、例えば、胃腸管での分解及び吸収を遅らせるために、既知の技術による腸溶性コーティングを使用し、それによってより長い期間にわたって持続作用を提供する。経口使用への組成物はまた、硬質ゼラチンカプセルとして形成され得、本開示の生物学的に活性な塩が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、カオリンと混合され、あるいは軟質ゼラチンカプセルとして形成され、塩が、水または油媒体、例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブオイルと混合される。
一実施形態において、薬学的用途への水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤を有する混和剤中に、本開示の生物学的に活性な塩を含有する。油性懸濁剤は、活性成分を好適な油中に懸濁させることによって調製され得る。水中油型乳化剤もまた用いられ得る。水の添加によって水性懸濁液の調製に好適な分散可能な粉末及び顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤、及び1個以上の防腐剤を有する混和剤中に、本開示の生物学的に活性な塩を提供する。
本開示の塩の薬学的組成物は、無菌注射可能な水性懸濁液または油脂性懸濁液の形態であり得る。本開示の塩は、皮下注射によって投与され得る。本開示の塩はまた、直腸投与への坐薬の形態で投与され得る。局所的な使用として、本開示の塩を含有する、クリーム、軟膏、ジェル、溶液、または懸濁液等が用いられ得る。本開示の塩はまた、吸入による投与のために調製され得る。本開示の塩は、当分野で既知の方法による経皮パッチによって投与され得る。
薬学的組成物及び本開示の方法は、本開示の薬学的に活性な塩を受ける対象によって経験されるまたは潜在的に経験される、病理的状態の治療に有利に適用される追加の治療的に活性な化合物をさらに開示する。
癌の治療、予防、調節、緩和、または危険性の削減において、本開示の塩は、1日当たり、患者の体重の1kg当たり約0.01〜500mgである、適正な用量レベルで投与され、それは単回もしくは複数回投与で投与され得る。ヒト用量レベル、特に癌の化学療法に使用されるものは、代替的に、mg/m2/日の単位で表される。用量は、担当する医療関係者の裁量で、治療されている特定の医学的状態及び患者の状態に関するその人の経験及び知識に基づいて、より高いまたはより低い場合がある。任意に、用量レベルは、1日当たり約0.1〜約250mg/kg、または1日当たり約0.5〜約100mg/kgである。好適な用量レベルは、1日当たり約0.01〜250mg/kg、1日当たり約0.05〜100mg/kg、または1日当たり約0.1〜50mg/kgであり得る。この範囲内で、用量は、例えば、1日当たり約0.05〜0.5、0.5〜5、または1〜50、または5〜50mg/kgであり得る。
経口投与について、組成物は、好ましくは、錠剤、カプセル、タブレット等の固形で提供され、治療される患者への用量の全身的調整として、1.0〜1000ミリグラムの本開示の塩、具体的には約1、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900、及び1000.0ミリグラムの本開示の塩を含有する。塩は、担当する医療関係者の裁量で、1日足当たり1〜4回、好ましくは1日当たり1回または2回の方式で投与され得る。
一実施形態において、固体剤形は、10mg、または20mg、または30mg、または40mg、または50mg、または60mg、または70mg、または80mg、または90mg、または100mg、または110mg、または120mg、または130mg、または140mg、または150mgのプロトン化形態のポリアミン(PPA)を含有するが、PPAが、HCAを有する塩として固体剤形中に存在する。固体剤形中に存在するPPAの量はまた、可能な量の範囲の点で特徴付けられ得、範囲のより低い及びより高い限界は、説明されている量、すなわち、10〜150mg、または例えば50〜100mgの数、から選択される。タブレットまたは錠剤は、典型的には、少なくとも50mgの全重量を有するだろう。
一実施形態において、固体剤形は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、または48時間の間、治療的に有効な全身的血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。さらなる実施形態において、固体剤形は、少なくとも8時間の間、治療的に有効な全身的血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。さらなる実施形態において、固体剤形は、少なくとも14時間の間、治療的に有効な全身的血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。さらなる実施形態において、固体剤形は、少なくとも18時間の間、治療的に有効な全身的血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。さらなる実施形態において、固体剤形は、少なくとも24時間の間、治療的に有効な全身的血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。
一実施形態において、固体剤形は、少なくとも4時間、少なくとも25、50、55、60、65、75、80、85、90、または95パーセントのピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、または24時間、少なくとも75%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも4時間、少なくとも75%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも6時間、少なくとも75%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも10時間、少なくとも75%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも6時間、少なくとも50%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも12時間、少なくとも50%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも18時間、少なくとも50%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。特定の実施形態において、固体剤形は、少なくとも18時間、少なくとも25%のピーク血漿濃度の血漿レベルのポリアミン薬学的剤を提供する。さらなる実施形態において、ピーク血漿濃度は、治療的に有効な濃度である。またさらなる実施形態において、ピーク血漿濃度の百分率は、所定の期間にわたって治療的に有効である。
本開示の塩が指示されるがん等の細胞増殖性疾患の治療、予防、調整、緩和、または危険性の削減の際に、本開示の塩が、単回1日用量または1日2〜6回に分割された用量で、あるいは徐放性形態でとして、動物の体重の1キログラム当たり約0.1ミリグラム〜約100ミリグラムの1日投与量で投与されるときに、概して満足な結果が得られる。大部分の大きな哺乳類について、合計1日投与量は、約1.0ミリグラム〜約1000ミリグラム、または約1ミリグラム〜約50ミリグラムである。この用量方式は、最適な治療反応を提供するために調製されうる。
しかしながら、任意の特定の患者の特定の用量レベル及び投与頻度は、変化し得、用いられる特定の塩の活性、その塩の代謝安定性及び作用の長さ、、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の様式及び時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、特定の状態の重症度、及び患者の受けている治療を含む様々な要因に依存することが理解されるであろう。この発明は、臨床的に使用される経口及び他の投与経路を促進し、患者の遵守を改善する。
上記に述べられているように、薬学的組成物は、タブレット、カプセル等として調製され得る。例えば、薬学的組成物は、0.1〜50%のPPA−HCA、0.1〜99.9%の充填剤、0〜10%の崩壊剤、0〜5%の潤滑剤、及び0〜5%の流動促進剤を含み得る。別の実施例として、薬学的組成物は、0.1〜50%のPPA−HCA、0.1〜99.9%の充填剤、0−10%の崩壊剤、0〜5%の潤滑剤、及び0〜5%の流動促進剤を含む。任意に、薬学的組成物は、AMXT 1501ジカプラート等の10〜300mgのポリアミン薬学的剤を含み、2〜50%のタブレット充填含有量またはカプセル充填含有量、0〜10%の崩壊剤、0〜5%の潤滑剤、0〜5%の流動促進剤、及び30〜98%の充填剤を形成する。別の実施形態において、薬学的組成物は、PPA:HCAの所望の量、0.1〜10%の結合剤、0〜5%の界面活性剤、0〜10%の粒子間崩壊剤、及び0〜10%の粒子外崩壊剤を含む。結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、粒子間崩壊剤、粒子外崩壊剤、及び流動促進剤の実施例は、当分野で既知であり、実施例は本明細書に開示され、コポリビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポビドンから選択される結合剤、砂糖、デンプン、セルロース、及びポロキサマーから選択される充填剤、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ポロキサマー、及びラウリル硫酸ナトリウムから選択される界面活性剤、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンから選択される粒子間崩壊剤を含む。例えば、ポビドン及びクロスポビドンから選択される崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムである潤滑剤、シリコンジオキシドである流動促進剤である。
例えば、一実施形態において、本開示は、経口薬的組成物を提供し、好ましくは固体剤形であり、対象に経口的に投与される際に少なくとも12時間の間治療的に有効な全身的血漿AMXT 1501レベルを産出する、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と共にAMXT 1501ジカプラート塩を含む。任意に、組成物は、以下、組成物が、対象に経口的に投与される際に少なくとも24時間の間治療的に有効な全身的血漿レベルを産出すること、AMXT 1501の血漿レベルが4時間以上少なくとも75%のピーク血漿濃度であること、組成物が少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%の経口生物学的利用能を有すること、組成物が、対象へ1日1回の投与で少なくとも24時間の間AMXT 1501の治療的に有効な血漿レベルを産出すること、組成物が、少なくとも12時間または少なくとも18時間の半減期を有すること、組成物が、投与限界副作用、例えば、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、咽頭炎、口内炎、及び胃腸潰瘍等の胃腸の副作用を実質的に有しないこと、組成物が、約25mg〜約350mgのAMXT 1501を塩形態で含むこと、組成物が、タブレットまたはカプセルとして製剤化されること、のうちの1つ以上によってさらに特徴付けられ得る。この模範的な実施形態において、AMXT 1501は、模範的なポリアミン薬学的剤及び模範的な疎水性カルボン酸として使用されるカプリン酸として使用される。
治療でのPPA−HCA塩
薬学的剤のための無数の送達様式のうち、経口経路が、患者の利便性及び遵守考慮によって、はるかに最も適しており、持続した強い結合を必要とする生化学的標的に好ましい。薬剤を血流から除去する患者の自然能力は、それがヒトであれ動物であれ、経口経路を介した連続的摂取によって均衡がとられる。複数回投与は、1日にわたって好都合に投与されることができる。患者は、自宅または職場でこれらの薬物を服用することができる。これらの特定の理由のために、経口的に調製された薬物の送達の最適化は、薬学的開発プロセスの進行中の目標である。
塩酸塩中でのPPAの送達は、初期の動物及びヒト試験へ一般に使用される方法である。それらの実施例は、上記の明細書中に示される。いくつかのPPAは、その送達に関連する困難性があるにも関わらず、臨床的使用へ承認されている。本開示は、その意図されたまたは所望の薬学的目的のためのポリアミン薬学的剤の同一化、調製、及び使用提供するが、容易に投与され有効な経口組成物においてその意図されたまたは所望の医学的目的を達成する。
一実施形態において、本開示は、治療有効量の本開示の塩をそれを必要とする対象に投与することを含む癌を治療する方法を提供する。本開示の塩のPPA成分は、治療を必要とするがんの治療において有効となるように選択される。がんは、例えば、乳癌、前立腺癌、結腸癌、または肺癌であり得る。PPAの適切な選択によって治療され得る他のがんとしては、膠芽腫、白血病及び他の血液がん、卵巣、及び甲状腺癌を含む、神経芽細胞腫、膵臓、膀胱、黒色腫、皮膚癌、非ホジキンリンパ腫、腎臓癌、頭頸部癌が挙げられる。がんは、固体腫瘍であり得る。がんは、例えば、腫瘍が導出されるMYCN及びRASといった、発がん遺伝子への特効薬であるPPAによって治療され得る。一実施形態において、がんは、AMXT 1501ジカプラート塩、すなわち、式PPA:(HCA)2の化合物の投与によって治療され、PPAがAMXT 1501であり、HCAがカプリン酸であり、投与が固体経口剤形によってである。
一般に、抗がん治療に加えて、ポリアミン系治療法によって提供される無数の治療的使用がある。ポリアミン系剤は、多くの他の作用のうち、抗生物質活性、抗ウィルス作用、抗炎症作用、抗敗血症活性、抗疼痛能力、抗精神病作用、抗老化効果、抗心臓障害影響を有するように説明されている。これらのポリアミン活性剤の経口送達は、その所望の薬理学的作用に大いに役立ち、これらの栄養物の治療法を経ている患者への治療的利益を改善する。
模範的な実施形態
「一実施形態」または「実施形態」、及びそれらの変化をこの明細書全体での参照は、実施形態に関して説明される特定の特色、構造、または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このようにして、この明細書を全体の様々な場所での、句「一実施形態において」または「実施形態において」の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を参照することではない。さらに、特定の特色、構造、または特徴は、1つ以上の実施形態で任意の好適な方法で組み合わされ得る。
以下は本開示の模範的な実施形態を提供する。
1)カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤及びアニオン性疎水性カルボン酸の塩。
2)実施形態1及び3〜9のうちのいずれかに記載の塩であって、アニオン性疎水性カルボキシレートが、カルボキシレート形態の、C
8〜C
18脂肪酸から選択される、脂肪酸である。
3)実施形態1〜2及び4〜9のうちのいずれかに記載の塩はであって、アニオン性疎水性カルボキシレートが、カルボキシレート形態の、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、及びテトラデカン酸、またはデカン酸から選択される脂肪酸、あるいはドデカン酸、及びテトラデカン酸から選択される脂肪酸である。
4)実施形態1〜3及び5〜9のうちのいずれかに記載の塩であって、アニオン性疎水性カルボキシレートが、25℃及びpH7の水中で測定された場合に10g/L未満の水溶性を有する、カルボキシレート形態の有機カルボン酸である。
5)実施形態1〜4及び6〜9のうちのいずれかに記載の塩であって、カチオン性プロトン化ポリアミンが、水中で独立してプロトン化可能な2〜4個のアミン基を有するプロトン化形態の治療的に有効なポリアミンであり、それらのプロトン化可能なアミン基の少なくとも1個が、プロトン化されて、カチオン性プロトン化ポリアミンを提供する。
6)実施形態1〜5及び7〜9のうちのいずれかに記載の塩であって、カチオン性プロトン化ポリアミンが、水中で独立してプロトン化可能な2〜4個のアミン基を有するプロトン化形態の治療的に有効なポリアミンであり、それらのプロトン化可能なアミン基の少なくとも2個が、プロトン化されて、カチオン性プロトン化ポリアミンを提供する。
7)カオチン性プロトン化ポリアミンの1モル当たり1.5〜2.5モルのアニオン性疎水性カルボキシレートを含む、実施形態1〜6及び9のうちのいずれかに記載の塩。
8)実施形態1〜7のうちのいずれかに記載の塩であって、カチオン性プロトン化ポリアミンが、本明細書に記載されているような、プロトン化形態の治療的に有効なポリアミン、例えば、式(I)を有するポリアミンである。
(I)
式中、
a、b、及びcが独立して、1〜10の範囲であり、
d及びeが独立して、0〜30の範囲であり、
各Xが独立して、炭素(C)またが硫黄(S)原子のいずれかであり、
R
1及びR
2が独立して、H、あるいは
直鎖もしくは分岐のC
1-50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、
C
1-8脂環式、
単環もしくは多重環アリール置換もしくは非置換脂肪族、
脂肪族置換もしくは非置換単環もしくは多重環芳香族、
単環もしくは多重環のヘテロ環、
単環もしくは多重環のヘテロ環脂肪族、
C
1-10アルキル、
アリールスルホニル、
またはシアノの群から選択されるか、あるいは
R
2X(O)
n−がHで置き換えられ、
*が、キラル炭素位置を意味し、
XがCである場合、nは1であり、XがSである場合、nは2であり、XがCである場合、XO基は、nが0であるようなCH
2であってよい。
9)実施形態1〜7のうちのいずれかに記載の塩であって、カチオン性プロトン化ポリアミンが、プロトン化形態のスペルミジン、例えば、スペルミジンジカプラートである。
10)塩を調製するためのプロセスであって、プロセスが、プロトン移動条件下で溶媒中で非荷電のポリアミン製剤を非荷電の疎水性カルボン酸と組み合わせて、荷電したポリアミン製剤の塩及び荷電した疎水性カルボキシレートの塩を形成することと、溶媒から塩を分離させることと、を含む。
11)実施形態10及び12〜15のうちのいずれかに記載のプロセスであって、溶媒が、メタノールを含む。
12)実施形態10〜11及び13〜15のうちのいずれかに記載のプロセスであって、約2モルの非荷電のカルボン酸が、非荷電のポリアミン製剤の各1モルと組み合わされている。
13)実施形態10〜12及び14〜15のうちのいずれかに記載のプロセスであって、非荷電のカルボン酸が、溶媒及び非荷電のポリアミン製剤を含む溶液に添加される。
14)実施形態10〜13及び15のうちのいずれかに記載のプロセスであって、非荷電のカルボン酸が、溶媒及び非荷電のポリアミン製剤を含む溶液に添加され、それによって、塩が、沈殿物として形成される。
15)約25℃の温度で行われる、実施形態10〜14のうちのいずれかに記載のプロセス。
16)対象への経口投与のための薬学的組成物であって、組成物が、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤及びアニオン性疎水性カルボキシレートを含み、組成物が、経口投与に好適である。
17)固体形態である、実施形態16及び18〜21のうちのいずれかに記載の組成物。
18)カプセル、タブレット、及び錠剤から選択される固体形態である、実施形態16〜17及び19〜21のうちのいずれかに記載の組成物。
19)腸溶性コーティングを有する固体形態である、実施形態16〜18及び20〜21のうちのいずれかに記載の組成物。
20)実施形態16〜19及び21のうちのいずれかに記載の組成物であって、流動促進剤、崩壊剤、及び充填剤(希釈剤としても既知である)のうちの1つ以上をさらに含み、デンプンが、これらの容量の1つ以上において、任意に役立ち得る。
21)セルロースをさらに含む、実施形態16〜20のうちのいずれかに記載の組成物であって、例えば、セルロースが、組成物中で充填剤及び/または崩壊剤として機能し得る。
22)薬学的に有効な量のカチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤及びアニオン性疎水性カルボキシレートの塩を含む、経口剤形。
23)1.0〜500ミリグラムの塩を含む、実施形態22及び24〜26のうちのいずれかに記載の剤形。
24)固体形態である、実施形態22〜23及び25〜26のうちのいずれかに記載の剤形。
25)固体賦形剤をさらに含む、実施形態22〜24及び26のうちのいずれかに記載の剤形。
26)50mg〜1,000mgの重量を有する、実施形態22〜25のうちのいずれかに記載の剤形。
27)経口投与への薬学的製剤を調製する方法であって、製剤が、複数の不活性成分を含み、方法が、カチオン性プロトン化ポリアミン製剤及びアニオン性疎水性カルボキシレートの塩を、複数の不活性成分のうちの少なくとも1つと組み合わせて、前駆体組成物を形成することを含む。
28)1.0〜1,000mgの量の前駆体組成物を単離して、経口剤形の形成に好適な量を提供することをさらに含む、実施形態27及び29〜30のうちのいずれかに記載の方法。
29)前駆体組成物から好適な量を単離することと、好適な量を成形して圧縮した固体剤形を形成することと、をさらに含む、実施形態27〜28及び30のうちのいずれか記載の方法。
30)前駆体組成物から好適な量を単離することと、好適な量を成形して圧縮した固体剤形を形成することと、腸溶性コーティングを圧縮した固体剤形に置くことと、をさらに含む、実施形態27〜29のうちのいずれかに記載の方法。
31)カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤及びアニオン性疎水性カルボキシレートの塩を含む治療的に有効な量の薬学的組成物を、投与を必要とする対象に投与すること含む、治療の方法。
32)実施形態31及び33〜34のうちのいずれかに記載の方法であって、薬学的組成物が、対象に固体剤形で投与される。
33)実施形態31〜32及び34のうちのいずれかに記載の方法であって、対象が、がんの治療を受けている。
34)実施形態31〜33のうちのいずれかに記載の方法であって、塩が、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)と合わせて対象に投与される。
35)AMXT 1501ジカプラートであって、例えば、以下に示されている分子式及び構造を有する成分の塩形態である、
。
36)AMXT 1569ジカプラートであって、例えば、以下に示されている分子式及び構造を有する成分の塩形態である、
。
37)AMXT 2030ジカプラートであって、例えば、以下に示されている分子式及び構造を有する成分の塩形態である、
。
38)AMXT 1426ジカプラートであって、例えば、以下に示されている分子式及び構造を有する成分の塩形態である、
。
39)スペルミジンジカプラートであって、例えば、以下に示されている分子式及び構造を有する成分の塩形態である、
。
40)塩を調製するためのプロセスであって、プロセスが、プロトン移動条件下で、メタノール等の溶媒中で非荷電のポリアミン製剤を非荷電の疎水性カルボン酸と組み合わせて、荷電したポリアミン製剤の塩及び荷電した疎水性カルボキシレートの塩を形成することと、を含み、プロセスが、アセトニトリル等の非溶媒を溶液に添加することと、塩を含む沈殿物を形成することと、を含む。
いくつかの特定の実施形態として、本開示は、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤及びアニオン性形態の疎水性カルボン酸の塩を提供し、アニオン性疎水性カルボン酸が、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、及びテトラデカン酸から選択される、カルボキシレート形態の脂肪酸であり、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤が、ペプチド及びタンパク質を除くプロトン化形態の治療的に有効なポリアミンであり、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤が、2〜4個のアミン基を有し、少なくともそのプロトン化可能なアミン基のうちの1個が、プロトン化されて、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤を提供する。任意に、塩は、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤の各1モル当たり2モルのアニオン性疎水性カルボキシレートを有し、例えば、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤が、式(I)のプロトン化形態のポリアミンであり、アニオン性疎水性カルボキシレートが、デカン酸及びドデカン酸から選択される、カルボキシレート形態の脂肪酸である。任意に、カチオン性プロトン化ポリアミン薬学的剤は、式AMXT 1501のジ−プロトン化形態のポリアミンであり、アニオン性疎水性カルボキシレートが、脱プロトン化カプリン酸であり、塩が、プロトン化AMXT 1501の各1モル当たり2モルの脱プロトン化カプリン酸を有する。例えば、塩は構造を有する
。また任意に、塩は、5重量%超のいかなる他の固体または液体化学物質とも混合されない。加えて、本開示は、そのような塩を含む薬学的組成物を提供し、組成物は、例えば、固体剤形であり得る。本開示はまた、そのような塩を作製する方法を提供し、方法が、ポリアミン薬学的剤、疎水性カルボン酸、及び溶媒を組み合わせて、溶液を提供することと、溶液から固体残渣を単離することと、を含み、固体残渣が対象の塩を含む。好適な溶媒は、水、エタノール、またはそれらの組み合わせを含む。任意に、約1.8〜2.2モルの疎水性カルボン酸は、各1.0モルのポリアミン薬学的剤と組み合わされて、対象の塩を提供する。固体残渣は、溶液から沈殿によって形成され得る。方法はまた、固体残渣またはその一部を固体剤形薬品に製剤化することを含む。加えて、本開示は、例えば、がんといった医学的状態を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要とする対象に、治療的に有効な量のそのような塩を投与することを含み、任意に、治療的に有効な量の塩が、固体剤形として対象に投与される。
先に述べられているように、式(I)〜(IV)、1426、1501、1505、1569、2030、DENSpm、スクアラミン、デオキシスペルグアリン、F14512、モゾビル、トリエンチン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、MGBG、及びスペルミジンのポリアミンのうちの任意の1個以上、例えば、任意の2個、3個、4個、5個等は、プロトン化形態で本開示のプロトン化ポリアミン薬学的剤であり得る模範的なポリアミンである。このようにして、本開示は、これらのポリアミンのうちの任意の1個以上が、上記に列挙された実施形態でのポリアミンであることを提供する。複数のアミン基を有する他の分子及び好適な生物学的活性はまた、本開示のPPAを提供するために使用され得る。
このようにして、別個及び模範的な実施形態において、本開示は、式(I):(HCA)1の化合物、式(I):(HCA)2の化合物、式(I):(HCA)3の化合物、式(II):(HCA)1の化合物、式(II):(HCA)2の化合物、式(II):(HCA)3の化合物、式(III):(HCA)1の化合物、式(III):(HCA)2の化合物、式(III):(HCA)3の化合物、式(IV):(HCA)1の化合物、式(IV):(HCA)2の化合物、式(IV):(HCA)3の化合物、AMXT 1426:(HCA)1、AMXT 1426:(HCA)2、AMXT 1426:(HCA)3、AMXT 1501:(HCA)1、AMXT 1501:(HCA)2、AMXT 1501:(HCA)3、AMXT 1505:(HCA)1、AMXT 1505:(HCA)2、AMXT 1505:(HCA)3、AMXT 1569:(HCA)1、AMXT 1569:(HCA)2、AMXT 1569:(HCA)3、AMXT 2030:(HCA)1、AMXT 2030:(HCA)2、AMXT 2030:(HCA)3、DENSpm:(HCA)1、DENSpm:(HCA)2、DENSpm:(HCA)3、スクアラミン:(HCA)1、スクアラミン:(HCA)2、スクアラミン:(HCA)3、デオキシスペルグアリン:(HCA)1、デオキシスペルグアリン:(HCA)2、デオキシスペルグアリン:(HCA)3、F14512:(HCA)1、F14512:(HCA)2、F14512:(HCA)3、モゾビル:(HCA)1、モゾビル:(HCA)2、モゾビル:(HCA)3、トリエンチン:(HCA)1、トリエンチン:(HCA)2、トリエンチン:(HCA)3、ゲンタマイシン:(HCA)1、ゲンタマイシン:(HCA)2、ゲンタマイシン:(HCA)3、ポリミキシンB:(HCA)1、ポリミキシンB:(HCA)2、ポリミキシンB:(HCA)3、スペルミン:(HCA)1、スペルミン:(HCA)2、スペルミン:(HCA)3、スペルミジン:(HCA)1、スペルミジン:(HCA)2、スペルミジン:(HCA)3、MGBG:(HCA)1、MGBG:(HCA)2、及びMGBG:(HCA)3を提供する。これらの実施形態の各々において、HCAは、本明細書に説明されているような疎水性カルボン酸、例えば、カプリン酸当等のC10-14脂肪酸であり得る。
本明細書に使用される用語法は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、限定することを意図しないことを理解されるべきである。本明細書に具体的に定義されない限り、本明細書に使用される用語法は、関連分野で既知のようなその従来の意味が示されるべきである。
この明細書及び添付の請求項で使用されているように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容及び文脈により明確にそうではないと示されない限り、複数の指示対象、すなわち、1つ以上を含む。接続用語、「及び」及び「または」は、場合によっては内容及び文脈により明確に包括性または排他性が示されない限り、概して、広義に用いられ、「及び/または」を含むこともまた留意されるべきである。このようにして、代替案(例えば、「または」)の使用は、代替案の1つ、両方、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味することが理解されるべきである。加えて、「及び/または」として本明細書に列挙される際の「及び」及び「または」の合成は、すべての関連する項目及び概念を含む実施形態と、すべての関連する項目及び概念未満を含む1つ以上の他の代替的な実施形態とを包含することを意図している。
文脈により他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び後に続く請求項を通して、単語「含む(comprise)」、ならびに「有する(have)」及び「含む(include)」等のその同意語及び変形は、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」等のその変化形と同様に、開放的な、包括的な意味、例えば、「含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである。用語「本質的にそれらからなる」は、特定の材料またはステップに、あるいは特許請求される発明の基本的及び新しい特徴に物質的に影響しないものに請求項の範囲を制限する。
本明細書で説明されているように、簡単化のために、患者、臨床医、または別の人は、いくつかの場合において男性の文脈で説明され得る。医師は、任意の性別であることができ、本明細書に使用されるような用語「彼」、「彼の」、「彼自身」等は、広義に解釈されすべての既知の性別の定義を包括する。
この書類内で使用される任意の見出しは、読者によってその総説を促進させるために利用されているのみであり、任意の様式で本発明または請求項を制限するとして解釈されるべきではない。このようにして、見出し及び本明細書に提供される本開示の要約は、便宜上のためだけであり、実施形態の範囲及び意味を解釈しない。
前述の説明において、ある特定の詳細は、様々な開示されている実施形態の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、関連分野の当事者は、実施形態が、これらの特定の詳細のうちの1つ以上なしで、または他の方法、成分、材料等と共に実施され得ることを認識するであろう。
以下に提供される実施例及び調製は、本発明の主題及びそのような主題を調製する方法をさらに例証及び例示する。本発明の範囲が、以下の実施例及び調製の範囲によるいかなる方法でも制限されないことを理解されるべきである。以下の実施例において、特に断りのない限り、単一キラル中心を有する分子はラセミ混合物として存在する。2個以上のキラル中心を有するそれらの分子は、特に断りのない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在することができる。単一エナンチオマー/ジアステレオマーは、当事者に既知の方法によって得られることができる。実施例で利用または参照される開始の材料及び様々な反応剤は、市販の資源から得ることができるか、または当事者に周知の方法を使用して、市販の有機化合物から容易に調整され得る。
実施例1
遊離塩基形態のAMXT 1501の調製
2Lの丸底フラスコを、724.2gのAmberlyst(商標)A25水酸化物アニオン交換樹脂(Dow Chemical,Midland,MI,USA)及び1リットルのメタノールで充填した。混合物を、周囲温度で約10分間磁気撹拌子で撹拌し、次いで樹脂をブフナー漏斗を使用して濾過した。浄化された樹脂を、使用への準備ができるまで、ビーカーへ移した。清潔な2Lの丸底フラスコを、57.9g(81.0ミリモル)のAMXT 1501(Aminex Therapeutics,Inc.,Kirkland,WA,USA)の塩酸塩及び2リットルのメタノールで充填した。混合物を、周囲温度で約1時間磁気撹拌子で撹拌し、混濁液を得た。混濁液を、5Lの容器へ移し、洗浄されたAmberlyst(商標)A25樹脂を添加した。混合物を、周囲温度で約10分間撹拌し、その間に溶液が乳白色になり、次いで透明になった。追加の10〜20分の撹拌後、混合物を濾過して、樹脂を収集する。樹脂を、合計約1リットルのメタノールで数回洗浄した。濾液及び洗浄液を組み合わせて、約3.1リットルの溶液を提供した。溶液を、減圧下のロトエバポレーター上に置き、溶媒を約30℃で除去して、白色固体が残った。完全な動的真空下での追加の乾燥は、遊離塩基形態のAMXT 1501として、42.18g(収率91.5%)の乾燥白色固体を提供し、それを容器から掻き出した。
実施例2
AMXT 1501ジカプラート塩の調製
250mlのフラスコを、実施例1で調製されるような10g(17.6ミリモル)のAMXT 1501遊離塩基、6.0g(34.8ミリモル、2.0当量)のカプリン酸(Aldrich Chemicals)、及び100mlのメタノールで充填した。混合物を、周囲温度で約5分間、均質溶液が形成されるまで磁気撹拌子で撹拌した。溶液を追加の30分間撹拌し、次いで撹拌を止め、溶媒を30℃で減圧下で蒸発させて、灰白色の固体残渣を提供した。この残渣を、12〜15時間周囲温度で、完全な動的真空下で乾燥し、次いで反応フラスコを掻き出して、表題の塩を約97%の収率で提供した。
表題の塩は、元素分析によって特徴付けられ、1/2モルの水(H2O)の包含と理論的に一致した。元素分析は、C52H110N6O7+1/2H2O=C,67.49;H,11.91;N,9.08;O,11.52を計算した。C、67.65;H、11.85;N、8.75;O、11.58を見出した。カールフィッシャー水分滴定は、表題の塩と会合した1.3%のH2Oを示した。1/2H2OのAMXT 1501ジカプラートに対する分子量比=9.2/913.47=0.986%。熱重量分析(TGA)は、100〜135℃で1.073%の重量の損失を示した。
示差走査熱量測定(DSC)を表題の塩上で行い、図2に示されるDSCスキャン及び図3に示される熱重量分析(TGA)スキャンの結果をもたらした。
別の選択肢として、非溶媒は、遊離塩基形態のポリアミン(例えば、遊離塩基形態のAMXT 1501)及び疎水性カルボン酸(例えば、2モル当量のカプリン酸)を、結果として得られる塩を分解する溶媒中で混合したうえで形成される、溶液に添加されることができる。非溶媒の添加は、結果として得られる塩の沈殿を引き起こし、沈殿物が、例えば、デカンテーションまたは濾過によって非溶媒から分離され得る。この方法は、以下の方法によって簡単化される。283.2gのAMXT 1501遊離塩基を455mLのメタノール中で分解することによって形成される透明な溶液に、171.5gのカプリン酸(2当量)を添加し、おおよそ1g/mLの塩組成物の溶液をもたらす。この溶液を、氷浴内で冷却し、3.7Lのアセトニトリルを、1〜2時間の間、溶液にゆっくり添加する。全アセトニトリル充填の約30%が添加された際、溶液は、白色固体生成物の沈殿の後に濁った。結果として得られる高粘度スラリーを濾過し、結果として得られる白色粉末をアセトニトリルで洗浄して、一晩乾燥させ、白色粉末として403.9g(79%)のAMXT 1501ジカプラート塩を得た。
実施例3
AMXT 1501ジカプラート塩のタブレット
200mlの丸底フラスコを、実施例2の38.4gのAMXT 1501のジカプリン酸塩、28.5gのStarcap(商標)1500デンプン(Colorcon,Harleysville,PA,USA)、8.4gのクロスカルメロースナトリウム(FMC,Philadelphia,PA,USA)、42.3gのAvicel(商標)PH−102微結晶性セルロース(FMC,Philadelphia,PA,USA)、及び1.2gのAerosil(商標)R202ヒュームドシリカ(Evonik Corp.,Piscataway,NJ,USA)で充填した。この混合物を、数秒間活発に振り、次いでそれを、ブレンドが30分間の高速でロールされる、ローラアセンブリ上へ置いた。このロールが完了した後、1.2gのステアリン酸マグネシウム(Spectrum Chemicals,Tucson,AZ,USA)を添加し、混合物を、1分間ロールした後に数秒間素早く振った。ロールした混合物を、次いで打錠フィーダーへ載せ、約1.5トンの圧力を印加することによってタブレットの形態へプレスした。タブレットサイズは10mmの六角形であり、タブレット当たりの平均重量は0.4gであった。タブレットは、18〜20kpの固さ、15分未満の分解時間を有した。
実施例4
AMXT 1501のカプリン塩の腸溶性にコーティングされたタブレット
風袋を除いた500mlビーカーを、オーバーヘッド撹拌器に装備し、340gの蒸留水で充填した。水を渦が見えるまで撹拌した。急速に撹拌している水に、40gのOpadry(商標)ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC,Colorcon)を約2分間にわたって添加した。撹拌を約1時間継続し、その間に均質半粘性不透明溶液を形成した。追加の60分の撹拌の後に、次いで、水(60g)を撹拌しながら添加した。粒子または凝集した固体は見られなかった。撹拌を止め、ビーカー及び内容物を5℃で一晩冷蔵して、透明塗料コーティング溶液を提供した。
風袋を除いた2Lビーカーを、オーバーヘッド撹拌器に装備し、600gの蒸留水で充填した。渦を形成するまで水を撹拌した。この急速に撹拌している水に、200gのAcryl−EZE(商標)腸溶性コーティング(Colorcon)を約2分間にわたって添加した。5分間の追加の撹拌の後に、白色懸濁液に200gの水を添加した。次いで、懸濁液を一晩5℃でそのままにした。使用の前に、懸濁液を冷蔵庫から取り除いて、室温に温めて、Acryl−EZE腸溶性コーティング溶液を提供した。
Freundの噴射ノズルを有するFreund社のHi−CoaterモデルHCT−30を使用して、腸溶性にコーティングされたタブレットを調製した。500gのプラセボタブレットを、Freund社のコーティング機の平なべ上に置き、コーティング機の加熱器及び扇風機を稼働させた。コーティング機を88℃の吸気温度、37.5℃の床温度、及び14rpmの平なべ回転速度に設定した。20〜30分かかったこれらの条件を設定した後、実施例3で調製されるようなAMXT 1501のジカプリン塩の94.7gのタブレット(上記のプラセボタブレットとは異なる形の約234個のタブレット)を、平なべに添加した。平なべで回転及び滝状のタブレットの上へ、透明な塗料溶液(HPMC)を、最初の20分間、1.2kg/cm3の圧力で2.0g/分の速度で噴射した。この最初の20分の後、噴射速度を2.6g/分まで増加させた。2%の固体の平均タブレット重量増加まで、噴射を継続し、その時点で噴射を止め、回転及び加熱を約2分間維持した。約111gの透明な塗料溶液を使用した。結果として得られるタブレット混合物は、わずかな輝きを有する白色であった。
次いで、これらの白色の、わずかに輝くタブレットを、腸溶性コーティング溶液(Acryl−EZE腸溶性コーティング)に曝露した。コーティング機を、腸溶性コーティング溶液で下塗りし、次いで、88℃の吸気温度及び38℃の床温度を達成するように設定した。これらの条件が一致した際、平なべを14rpmで回転するようにした。回転するタブレットに、腸溶性コーティング溶液を、1.2kg/cm3の圧力及び2.6g/分の速度で噴射した。8〜10%の固体の平均重量増加を達成するまで噴射を継続した。約665gの腸溶性コーティング溶液を使用して、プラセボタブレットからの分離後、AMXT 1501のカプリン塩の234個の腸溶性にコーティングされたタブレットを提供した。
実施例5
AMXT 1501ジカプラート塩の溶解度分析
23本の2mlの遠心分離チューブを、実施例2で調製されるような少なくとも10mgのAMXT 1501のジカプリン塩でそれぞれ充填した。各バイアルを、表中に識別されるように試験溶媒で分類した。分類後、各バイアルに、1.8gの固体ラノリンアルコールを受容したラノリンアルコールに分類されたバイアルを除いて、2.0mlの指定の溶媒を添加した。
溶媒の添加が完了した後、バイアルを、45℃で約60分間に設定した超音波処理浴で、超音波処理した。ラノリンアルコールを含むバイアルを、超音波処理器に置く前に、85℃に設定した高温水浴中に置き、この浴中で約30分間加熱した。約60分間加熱した後、すべての試料を、熱資源から取り除き、1時間の間にわたって周囲温度に冷却させた。
冷却後、バイアル中で試料をまず遠心分離機にかけることによる分析のために試料を調製した。遠心分離後、試料を、HPLCバイアル中に1〜10に、アセトニトリル中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)で希釈した。いくつかの場合において、HPLC反応が測定域外であった場合、追加の1〜10の希釈を必要とした。溶解度分析の結果は表1に示される。
表1
調製後24時間試料を評価することによって長期間の溶解度を決定した。長期間の研究の結果は表2に提供される。
表2
実施例2で調製されるカプリン酸塩は、ほとんどの試験された溶媒中に10mg/ml超の溶解度を有した。最も低い溶解度はヘキサン中に見出され、HPLC分析によって物質は検知されなかった。カプリン酸塩はまた、酢酸エチル及びトルエン中に低溶解度を有した。
実施例6
モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラ−カプラート塩形態のAMXT 1501の調製及び特性評価
AMXT 1501 4HCl塩の50グラムの試料を、実施例1で説明されるようなDow Amberlyst(商標)A26 OH樹脂を使用して、メタノール中で遊離塩基に変換した。溶媒を、ロトエバポレーター上で取り除き、収率88%での固体として、遊離塩基を得た。遊離塩基を、HPLCによって分析し、分子量の参照及び補正としてHCI塩を使用して、97%のアッセイを得た。
1、2、3、及び4倍の塩を調子するために、上記の5グラムの遊離塩基及び適切な量のカプリン酸を組み合わせて、メタノール中に分解した。各塩のメタノールを、ロトエバポレーターを使用して取り除いた。結果として得られる固体を、室温で真空オーブン中で乾燥させた。
溶解度。上記の調製部分の間、丸底中の塩の各々から残渣を洗浄し流した際、トリ−及びテトラ−AMXT 1501カプラート塩よりもはるかにより可溶性であるモノ−及びジカプラート塩の明確な進行過程があったことが観察された。溶解度を試験するために、各塩の既知の一部を1mlの脱イオン水に添加した。溶液を、時に数回、渦動及び超音波処理し、溶解度を観察した。同じ様式で同時に調製された4つの塩に加えて、アセトニトリルを使用して、メタノールから沈殿したAMXT 1501の2倍のカプラート塩の試料もまた評価して、この2倍の塩とメタノール溶媒の簡便な除去を通して単離された塩との間に、任意の観察される溶解度の差異があるかどうかを判定した。結果は、表3に要約される。モノ−及びジ−カプラート塩は、トリ−及びテトラ−カプラート塩よりも水中で有意により高い溶解度を示した。
表3
TGA分析。5つのAMXT 1501カプリン塩比率試料を、TGAによって分析し、1分当たり20℃の速度で400℃の最終的な温度まで加熱した。TGAを、100℃の開始点から重量パーセントの低下をまず示すことによって進行した。表4は、各試料のデータを示す。
表4
DSC分析。TGAによって上記で分析された塩比率試料をまた、DSCによって分析した。すべての試料を、20℃/分の速度で最大200℃の最終的な温度まで加熱した。DSC分析は、任意のガラス転移、融点、及び半値幅での融点範囲の存在を求めて、試料の純度を判定した。半値幅の目標範囲は、約5℃である。表5は、試料の融点及び半値幅での融解範囲を示す。試料のいずれにおいてもガラス転移は観察されなかった。
表5
FT−IRによる塩の特性評価上記の同じ試料を、ダイアモンドATRサンプリングユニットを使用してFT−IRによって分析した。表6は、すべてのIRスキャンに存在するいくつかのバンドを列挙する。全シグナルは、カプリン置換基が増加するにつれてより弱くなるように見える。
表6
KFによる残渣の水の判定試料の水分含有量をKF滴定によって判定した。表7は、平均水分含有量及び平均のために使用される試料の数を示す。
表7
元素分析調製された4つの試料を、C、H、N、及びO分析へ送った。元素の理論百分率を、表8に示される以下の式を使用して判定した。計算及び実測された値は、以下表9及び12に示される。計算及び実測されたものの結果での可変性は、各塩置換基を生成するために添加されたカプリン酸の当量中の、水和物またはわずかな変化による可能性が高い。カプリン酸対AMXT 1501遊離塩基の比率が増加するにつれて、水溶性が減少する。モノ−及びジカプラートAMXT 1501塩が、>150mg/mlの濃度で良好な溶解度を示した一方で、トリ−及びテトラカプラートAMXT 1501塩の溶解度は、<10mg/mlで非常に低かった。
表8
表9
表10
表11
表12
TGA分析を使用すると、すべての塩は、最大100℃まで様々な重量の損失の量を示し、水和作用の異なる水の量による可能性が高かった。おおよそ同じ最終的な温度までの重量損失の次のプラトーは、置換が増加した際の重量損失の増加を示し、これは試料が加熱される際のカプリン塩置換の損失による可能性が高かった。DSC分析は、物質は大部分が結晶質であることを提案する、断定的なガラス転移点を示さなかった。モノ−カプラートAMXT 1501塩の融点が最も高く、ジ−、トリ−、及びテトラ−カプラートAMXT 1501塩は、おおよそ同じ融点でより低かった。すべての試料は、FT−IRによって官能基に同じ特性バンドを得たが、しかし、バンドは、カプリン酸対AMXT 1501比が増加するにつれて弱くなるように見られた。カールフィッシャー滴定による水分析は、モノ−及びジカプラートAMXT 1501塩で最も高い水分含有量及びトリ−及びテトラ−AMXT 1501塩でより低い水分含有量を示した。元素分析は、理論との妥当な合致を示し、C、H、N、及びO分析の理論傾向に従う。
実施例7
ビーグル犬に経口的に送達される様々なAMXT 1501 HCA塩の薬物動態分析
5日間の順化の後に、12匹のビーグル犬を、一群当たり3匹の4つの群に分類し、2個のタブレットを割り当てられた化合物または塩と共に投与した。以下の用量投与の後に、すべての動物は定期血液採取を受けた。研究への実験的計画は、表13に提供される。
表13
タブレットの製剤情報は、タブレット14、15、16、及び17に提供される。
表14
表15
表16
表17
表18は、イヌへの単回PO投与の後に、様々な塩形態のAMXT 1501を使用して得られた薬物動態データを提供する。表18において、群1は、遊離塩基形態のAMXT 1501を受け、群2は、 AMXT 1501のジコラート塩を受け、群3は、ホスフェート塩形態のAMXT 1501を受け、群4は、ジカプラート塩形態のAMXT 1501を受けた。また表18において、T
maxは時間の単位で報告され、T
max が、AMXT 1501の最大血漿濃度を到達する用量での投与の後の時間として定義され、C
maxはng/mLの単位で報告され、C
maxが、血漿中に得られたAMXT 1501の最大濃度を定義し、AUC
0-tは時間*ng/mLの単位で報告され、24時間の(すなわち、t=24時間)の時間の機能として血漿濃度のグラフ中の曲線下の領域として定義され、t
1/2は時間の単位で報告され、t
1/2が、AMXT 1501の血漿濃度がその最大濃度の半分を到達する用量での投与の後の時間として定義される。表18において、SDは、標準偏差を示し、CV%は、変動係数を示す。
表18
薬物動態データ
この研究からの結果は、図に示され、図4A、4B、4C、及び4Dが、イヌに送達される腸溶性にコーティングされたタブレットに製剤化された、AMXT 1501遊離塩基または様々な塩形態のAMXT 1501のいずれかの単回経口投与の後に得られた血漿レベルを示す。群1のデータは、図4Aに示され、それは遊離塩基形態のAMXT 1501の投与の後に得られた血漿レベルを示し、得られた非常に可変的な量の血漿AMXT 1501をもたらした。丸及び四角のデータ点は、雌のイヌからであり、三角のデータ点は、雄のイヌからである。より高い血漿レベルは、図4Bに示される単回経口投与の後にジコラート塩のAMXT 1501を使用して得られ、それは群2のデータを示し、丸のデータ点が雌のイヌからであり、四角及び三角のデータ点が雄のイヌからである。これらの結果は、群4の動物から測定され、図4Dに示されるジカプラート塩形態のAMXT 1501を使用して得られたレベルと一貫し、丸のデータ点が雌のイヌからであり、四角及び長方形のデータ点が雄のイヌからである。AMXT 1501のホスフェート塩の単回経口投与の後に得られた血漿レベル、すなわち、群3の動物は、図4Cに示され、丸及び四角のデータ点が雌のイヌからであり、三角のデータ点が雄のイヌからであり、また非常に可変的であり、AMXT 1501の遊離塩基を使用して得られた結果(図4A)と類似点があった。これらの結果は、塩対イオンの重要性を強調し、例えば、経口投与に従った一貫して持続される血漿レベルのポリアミン薬品を達成するために、対イオンとして親油性酸の使用を支持する。
図5A、5B、5C、及び5Dは、群1、2、3、及び4のイヌへの単回経口投与の後に、表13に説明される様々な化合物を使用して得られた平均血漿AMXT 1501レベルを示す。AMXT 1501の平均レベルが、データ中に標準偏差を示す図5A、5B、5C、及び5Dにグラフ化され、遊離塩基及びホスフェート塩形態のAMXT 1501(それぞれ、群1、図5A、及び群3、図5C)を使用して得られた様々な薬物のレベル、及びジコラート及びジカプラート形態のAMXT 1501(それぞれ、群2、図5B、及び群4、図5D)を使用して得られたAMXT 1501のいっそうより一貫した動物間血液レベルを強調する。本明細書に開示される代表的な疎水性カルボン酸、コリン酸、及びカプリン酸から形成される、ジコラート及びジカプラート塩は、したがって、遊離塩基またはホスフェート塩と比較して、コラート及びカプラート塩は、試験動物に投与される際に、対象間の可変性をさほど示さないという点で、改善された生物学的利用能を提供する。
実施例8
AMXT 1501ジカプラートを用いた5日間のイヌ繰り返し経口投与
本研究のこの部分の目的は、用量レベルの範囲にわたって雄及び雌のビーグル犬に経口(PO)腸溶性にコーティングされたタブレット投与を介して投与された際の、ジカプラート塩形態のAMXT 1501の薬物動態(PK)を査定することと、ジカプラート塩単独と比較してジフルオロメチルオルニチン(DFMO)と共に投与された際にAMXT 1501ジカプラート塩PKを比較することと、単回及び繰り返しAMXT 1501ジカプラートの投与後の曝露を比較することであった。雄及び雌のビーグル犬(N=1または2匹の雄及び1または2匹の雌、Nの合計=一群当たり3)に、ジカプラート塩形態のAMXT 1501の毎日5個の経口(PO)タブレット用量を投与した。AMXT 1501ジカプラート塩を、単剤療法として、8、16、または32mg/kg、あるいは200mg/kgPOジフルオロメチルオルニチン(DFMO)と組み合わせて16mg/kgで、投与した。1日目及び5日目の投与後の薬物動態(PK)プロフィールを、標準ノンコンパートメント法を使用して評価した。
雄及び雌のビーグル犬へ、8、16、または32mg/kgのジカプラート塩形態のAMXT 1501の単回または繰り返し毎日1回PO投与の後に、投与後24時間(最終測定可能時間点)まで濃度を測定した。AMXT 1501 Tmaxを、投与後4〜12時間で観察し、Cmax及びAUC0-tに基づく曝露は用量依存的様式で増加した。推測され得る動物において、平均1日目t1/2値は、7.99〜23.2時間の範囲であり、平均5日目t1/2値は、8.69〜20.8時間の範囲であった。
以下の実験計画を使用した。一群当たり、1または2匹の雄及び1または2匹の雌の合計3匹のビーグル犬を、表19に示す通り4つの治療群に無作為に割り当てた。
表19
AMXT 1501ジカプラート塩を、タブレット形態で毎日1回5日間投与した。1日目及び5日目での投与の後に、定期血液試料を、各動物(一群当たり3匹)から採取し、AMXT 1501濃度分析のために血漿に加工した。血漿試料を、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS−MS)の手順を介してAMXT 1501濃度のために分析し、結果として得られる濃度対時間データを使用して、ノンコンパートメント分析(NCA)を使用して個々の動物PKパラメータを推測した。
表20は、雄及び雌のビーグル犬にAMXT 1501ジカプラート塩の単回(1日目)または繰り返し毎日1回(5日目)PO投与の後に、要約したAMXT 1501血漿薬物動態パラメータを提供する。
N/A:該当なし(N≦2)
a NC:計算なし(t1/2を計算するための濃度対時間プロファイルの終末期において十分なデータでない)
b NC:計算なし(測定可能なAMXT 1501濃度で1回のみの時点)
本研究から選択された結果は図に示され、図6A、6B、6C、及び6Dが、1日目の、雄及び雌のビーグル犬に腸溶性にコーティングされたAMXT 1501ジカプラートタブレットの単回PO投与の後の、個々の動物のAMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す。図6Aは、8mg/kg/日の用量レベルを有し(群1;丸及び四角のデータ点は雌のイヌからであるが、三角のデータ点は雄のイヌからである)、図6Bは、16mg/kg/日の用量レベルを有し(群2;丸のデータ点は雌のイヌからであるが、四角及び三角のデータ点は雄のイヌからである)、図6Cは、32mg/kg/日の用量レベルを有し(群3;丸及び四角のデータ点は雌のイヌからであるが、三角のデータ点は雄のイヌからである)、図6Dは、16mg/kg/日の用量レベルを有するが、用量中にDFMOを含む(群4;丸のデータ点は雌のイヌからであるが、四角及び三角のデータ点は雄のイヌからである)。
図7A、7B、7C、及び7Dは、5日目の、雄及び雌のビーグル犬に繰り返し毎日1回PO投与の後の、個々の動物のAMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す。図7Aは、8mg/kg/日の用量レベルを有し(群1)、図7Bは、16mg/kg/日の用量レベルを有し(群2)、図7Cは、32mg/kg/日の用量レベルを有し(群3)、図7Dは、16mg/kg/日の用量レベルを有するが、用量中にDFMOを含む(群4)。
図8A及び8Bは、雄及び雌のビーグル犬にAMXT 1501ジカプラート単剤療法の単回(1日目、図8A)または繰り返し毎日1回(5日目、図8B)PO投与の後の、平均(±標準偏差)AMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す。丸のデータ点は、8mg/kg/日を受けている動物からであり、四角のデータ点は、16mg/kg/日を受けている動物からであり、三角のデータ点は、32mg/kg/日を受けている動物からである。
図9A及び9Bは、雄及び雌のビーグル犬にDFMOと組み合わせて16mg/kgのAMXT 1501ジカプラート単剤療法対16mg/kgのAMXT 1501ジカプラートの単回(1日目、図9A))または繰り返し毎日1回(5日目、図9B)PO投与の後の、平均(±標準偏差)AMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す。図9Aにおいて、四角のデータ点は、DFMOなしで16mg/kg/日AMXT 1501を受けた群2の動物からである、三角のデータ点は、DFMOと組み合わせて16mg/kg/日のAMXT 1501を受けた群4の動物からである。図9Bは、毎日の投与の5日後の、同じ動物のセットからの当量データを示す。
図10A、10B、10C、及び10Dは、1日目対5日目の、雄及び雌のビーグル犬に単回(1日目)または繰り返し毎日1回(5日目)PO投与の後の、平均(±標準偏差)AMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す。図10Aにおいて、四角のデータ点は、1日目に測定された8mg/kg/日のAMXT 1501ジカプラートを受けた群1の動物からであるが、三角のデータ点は、同じ毎日の用量を受けている同じ動物からであり、しかし5日目に測定された。図10Bにおいて、四角のデータ点は、1日目に測定された16mg/kg/日のAMXT 1501ジカプラートを受けた群2の動物からであるが、三角のデータ点は、同じ毎日の用量を受けている同じ動物からであり、しかし5日目に測定された。図10Cにおいて、四角のデータ点は、1日目に測定された32mg/kg/日のAMXT 1501ジカプラートを受けた群3の動物からであるが、三角のデータ点は、同じ毎日の用量を受けている同じ動物からであり、しかし5日目に測定された。図10Dにおいて、四角のデータ点は、1日目に測定された16mg/kg/日のAMXT 1501ジカプラートを受けた群4の動物からであるが、三角のデータ点は、同じ毎日の用量を受けている同じ動物からであり、しかし5日目に測定された。
これらのデータは、試験した製剤化及び送達方法が、単回投与の後及び繰り返し投与の後に、血漿中で持続される、一貫したAMXT 1501の濃度を提供することを示す。
実施例9
28日間の繰り返し投与毒性研究の間のビーグル犬におけるAMXT 1501ジカプラートPK評価
動物は、毎日1回タブレット、DFMOなしで8、16、または32mg/kg/日の用量レベルのAMXT 1501ジカプラートタブレットの経口投与、あるいはDFMOを伴う8または16mg/kg/日のAMXT 1501ジカプラート塩を受けた。AMXT 1501 PKパラメータは、最初の投与(1日目)及び最後の投与(28日目)の、すべてのAMXT 1501ジカプラートを投与された動物を計算した。
AMXT 1501曝露を、すべての試験した用量レベルで24時間の投与期間にわたって維持した。AMXT 1501 Tmaxに性別の明らかな効果はなかった。DFMOなしで8mg/kg/日のAMXT用量群で1日目の曝露を除いて、平均Cmax及びAUC0-24時間が性別間で一貫して、曝露は、単回または繰り返し投与の後で、雄でよりも雌での方がより高かった。DFMOありまたはなしのAMXT 1501ジカプラート単回(1日目)投与の後で、平均Cmax及びAUC0-24hrに基づく曝露は、用量比例様式よりもわずかに少なく増加した。AMXT 1501蓄積に性別、用量レベル、またはDFMOの一貫した効果はなかった。平均ARCmax値は、1.62〜3.63の範囲であり、平均ARAUC値は、1.68〜3.80の範囲であった。28日目の個々の動物のAMXT 1501 t1/2値は、8.85〜69.4時間の範囲であり、増加する用量と共に増加する傾向があった。単回または繰り返し投与AMXT 1501レベルに、DFMOの相当な効果はなかった。
これらの実験のデータは、図11A及び11Bに提供され、これは、雄及び雌のビーグル犬に単回(1日目、図11A)または繰り返し経口投与(28日目、図11B)の後に、平均(標準偏差)AMXT 1501血漿濃度(ng/mL)と、DFMOを投与しなかった(雄及び雌が組み合わされる)状況に比較したAMXT 1501ジカプラート用量レベルとを示す。データはまた、図12A、12B、12C、12C、12E、及び12Fにも提供され、これらは雄及び雌のビーグル犬に単回(1日目)または繰り返し経口投与(28日目)の後に、平均(標準偏差)AMXT 1501血漿濃度(ng/mL)を示す;雄対雌。図12Aは、1日目の、群2(低用量、8mg/kg/日)のデータを示す。図12Bは、1日目の、群3(中用量、16mg/kg/日)のデータを示す。図12Cは、1日目の、群4(高容量、32mg/kg/日)のデータを示す。図12Dは、28日目の、群2(低用量、8mg/kg/日)のデータを示す。図12Eは、28日目の、群3(中用量、16mg/kg/day)のデータを示す。図12Fは、本明細書に説明されるような研究に従って、28日目の、群4(高容量、32 mg/kg/day)のデータを示す。
図13A、13B、13C、及び13Dは、経口的にビーグル犬に腸溶性にコーティングされたタブレットのAMXT 1501ジカプラートの様々な用量レベルの送達を示す。これらの図は、おおよその用量比例が、1日目及び28日目の後に、8、16、及び32mg/kg/日の用量レベルで、AMXT 1501の血漿レベルを増加させることを示す。これらの用量レベルは、これらの動物に対して、AMXT 1501ジカプラートの1、2、及び4個のタブレット(タブレット当たり80mgのAMXT 1501遊離塩基含有量)の当量であり、これは平均10kgの体重を有した。PKパラメータCmax及びAUC0-24hrの両方は、用量比例性を示した。これらのデータは、 腸溶性にコーティングされたタブレット中のAMXT 1501ジカプラートの薬理学的用量が、このポリアミン活性薬学的剤の予測可能及び信頼可能な送達方法を提供することを示す。
実施例10
AMXT 1501ジカプラートの薬学的製剤
以下の表22は、AMXT 1501ジカプラートを含有する腸溶性にコーティングされたタブレット薬学的剤の組成物を示す。現代の薬学的剤は一般に、機能性及び結果として得られる活性薬物(複数可)の経口送達を増加するためのもの等の打錠製剤成分を含有する。賦形剤として一般に既知である、これらの一般的な製剤成分の記述及び機能は、以下に示される。
上記に列挙されている乾燥成分の混合後、この粉末製剤を、適切なタブレットプレスに載せて、コーティングされていないタブレットを生成した。品質管理試験を行い、活性薬物の含有量を、コーティングされていないタブレットの試料にわたって含量均一性(CU)と共に評価する(%アッセイ)。腸溶性コーティングを用いたタブレットのコーティングを、回転パンコーティング装置(実施例4を参照されたい)を使用して行う。薬学的剤としての使用へのAMXT 1501ジカプラートタブレットを、上記の実施例4に説明されているように、Opadry(商標)ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC、Colorcon)でコーティングする。
概して、圧縮されたタブレットは、粉末または顆粒等の自由流動形態で製剤成分を事前混合した後に、タブレットプレスとして既知の、好適な機械を用いて圧縮することにより調製され得、充填剤、結合剤、不活性希釈剤、潤滑賦形剤と、崩壊剤と共に混合して、治療される対象の胃腸系でタブレットの分解を助ける。結果として得られる圧縮されたタブレットは、追加の腸溶性コーティングステップを経て、pH感受性バリアを提供することができ、コーティングされたタブレットを、より低い胃腸管のより高いpH環境に達するまでそのままにすることを可能にする。
タブレット薬品中の充填剤を使用して、活性剤を希釈し、投与される活性薬物の用量の精密管理を可能にする。一般使用での一般的な充填剤または希釈剤は、ラクトース、マンニトール、キシリトール、デキストロ−ス、スクロース、ソルビトール、圧縮可能な砂糖、微結晶性セルロース(MCC)、粉末セルロース、コーンスターチ、デンプン、アルファー化デンプン、デキストラン、炭酸カルシウム、ポリエチレングリコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
タブレット薬品中の崩壊剤を現代の薬学的製剤に使用して、治療される対象の胃腸管内で活性薬物から賦形剤の解離を助ける。一般的に使用される崩壊剤の例としては、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ポビドン、クロスポビドン(ポリビニルピロリドン)、メチルセルロース、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファー化デンプン、及びアルギン酸塩ナトリウムが挙げられる。
タブレット薬品中の潤滑剤を使用して、タブレットプレスを含む製粉設備のために事前に混合される粉末の加工を助ける。潤滑剤の例としては、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、水素添加植物油、軽鉱物油、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムステアリン酸、及びタルクが挙げられる。
タブレット薬品調製の流動促進剤を使用して、粉末の流れを改善し、タブレットプレス含む様々な圧縮設備を使用して製造において助ける。一般使用での流動促進剤は、シリコンジオキシド、タルクコーンスターチ、及び疎水性コロイド状シリカを含む。
本明細書に説明されるものに類似または同等の任意の方法及び材料はまた、本発明の実施または試験で使用され得るが、限られた数の模範的な方法および材料が本明細書に説明される。
値の範囲が本明細書に提供される場合、文脈上明確に他の意味が指示されない限り、より低い制限の単位の10分1までの各介在値は、より高い及びより低い制限と記載された範囲で任意の他の記載されたまたは介在値との間で、本発明内に包含されることが理解されるべきである。これらのより小さな範囲のより高い及びより低い制限は独立して、記載された範囲の任意の具体的に除外された制限を条件として、本発明内にまた包含されるより小さな範囲に含まれ得る。記載された範囲が制限のうちの1つまたは両方を含む場合、含まれる制限の一方または両方を除く範囲はまた本発明に含まれる。
例えば、本明細書に提供される任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に指示のない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、それらの分数(整数の10分の1及び100分の1等)を含むように理解されるべきである。また、ポリマーサブユニット、大きさ、または厚さ等の任意の物理的な特徴に関する本明細書に列挙される任意の数の範囲は、特に指示のない限り、列挙される範囲内で任意の整数を含むように理解されるべきである。本明細書に使用されるように、用語「約」は、特に指示のない限り、示す範囲、値、または構造の±20%を意味する。
すべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、ならびに本明細書中に示される及び/または出願データシートに列挙される非特許出版物は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。以下の特許文書:米国特許第7662999号、第7432302号、第7411002号、第7388112号、第7208528号、第7199267号、第7160923号、第6963010号、第6914079号、第6872852号、第6646149号、第6172261号、及び第RE43327号、ならびに米国特許公開第2011/256161号及び第2006/122279号は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。そのような文書は、例えば、出版物に説明される材料及び方法論などの、説明及び開示の目的にために参照によって組み込まれ得る。上記及び文書全体を通して議論されている出版物は、本出願の提出日の前に、単にそれらの開示のために提供される。本明細書において、発明者らが先行発明の効力によって任意の参照される出版物に先行する権利を与えられないことを承認として解釈されるべきものはない。
概して、以下の請求項において、使用される用語は請求項を本明細書及び請求項に開示されている特定の実施形態に制限するように解釈されるべきではないが、題されるそのような請求項と同等物の全体の範囲に沿ったすべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、請求項は本開示によって制限されない。