JPH09235271A - ポリアミン誘導体 - Google Patents

ポリアミン誘導体

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JPH09235271A
JPH09235271A JP8081831A JP8183196A JPH09235271A JP H09235271 A JPH09235271 A JP H09235271A JP 8081831 A JP8081831 A JP 8081831A JP 8183196 A JP8183196 A JP 8183196A JP H09235271 A JPH09235271 A JP H09235271A
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abu
asn
ace
4hia
apr
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JP8081831A
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English (en)
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Terumi Nakajima
暉躬 中嶋
Yoshitaka Miyaji
美貴 宮地
Matahiro Itagaki
又丕 板垣
Hideo Naoki
秀夫 直木
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Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 ジョロウグモの毒腺から見出された一般
式(A)〜(C) 〔式中、−は単結合、4HIAは4−ヒドロキシインド
ール−3−イル−アセチル基、Asnはアスパラギン残
基、Abuは基−NH(CH−、Aprは基−N
H(CH−、Aceは基−NHCO(CH
−、Apeは基−NH(CH−、Acmは基−N
HCOCH−をそれぞれ示し、Xは0,1,2または
3を示す〕で示されるポリアミン誘導体。 【効果】 上記化合物はクモ毒から得られた新たな構造
を有するポリアミン化合物であり、グルタミン酸リセプ
ター阻害作用との構造・活性相関を通じて、新たな脳神
経疾患治療剤の開発に繋がる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なポリアミン誘
導体に関し、さらに詳細にはジョロウグモ(Nephi
la clavata)の毒腺より分泌される、N−
(4−ヒドロキシインドール−3−イル−アセチル)ア
スパラギルポリアミン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在までに、昆虫等の節足動物の神経を
マヒさせるクモ類の毒素(以下クモ毒と略称する)に関
する研究から、種々の化合物が単離され、ある程度その
構造が解明されるとともに、その神経マヒ作用がグルタ
ミン酸レセプター阻害作用に基づくものであることが確
認されている。
【0003】グルタミン酸は、哺乳類の脳、脊髄等の中
枢神経系および昆虫類、甲殻類の神経接合部において、
そのレセプターを介して興奮性神経伝達物質として機能
していると考えられている。一方、グルタミン酸が過剰
に存在すると、神経細胞の過剰興奮をもたらし、神経細
胞が死滅することも知られている。この現象は、海馬に
おいて、心停止、脳血栓等による脳虚血時に認められ、
神経細胞の死滅は、記憶、空間的認知に係わる海馬に著
しく大きな影響を及ぼす。従って、グルタミン酸に起因
する脳神経疾患に対してグルタミン酸レセプターを一時
的に遮断することは治療上有益であると考えられてい
る。このような観点から、クモ毒は、そのグルタミン酸
レセプター阻害作用に注目して研究されており、本発明
者等も種々の化合物を報告している(例えば特開平07
−304718号公報参照)。
【0004】一方こらのクモ毒について川合らは、構造
・活性相関から、ポリアミン化合物がグルタミン酸レセ
プター阻害活性を示すためには、芳香環を持った酢酸誘
導体に直鎖のポリアミンが結合した形を有することが必
須であると結論している(川合述史ら.蛋白質・核酸・
酵素 35巻 796−803頁 1990年)。例え
ば、今までに見いだされたネフィラトキシン5およびネ
フィラトキシン6は、いずれもN−アシルアスパラギル
ポリアミン誘導体であり、そのアシル基として6−ヒド
ロキシインドール−3−イル−アセチル基であり、川合
らの提唱している条件を充たす化合物であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのクモ
毒を医薬等に応用するためには、さらに多くのクモ毒を
単離・構造決定し、そのグルタミン酸レセプター親和性
との関連性を解明することが必要であった。
【0006】従来のクモ毒の単離・精製には、高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)で単離した成分をNM
Rで解析する手法が専ら用いられており、この手法によ
り種々のクモ毒が報告されている(例えば、アラマキ等
の「バイオメディカル・リサーチ」8巻 167−17
3頁 1987年参照)。しかし、この手法ではかなり
多量の出発原料が必要であり、微量成分の構造決定は不
可能であった。
【0007】本発明者らは、微量成分を単離・構造決定
するために、HPLCと直結したタンデム型質量分析装
置の組み合わせを検討し、ミクロカラムHPLCにより
分離したピークについて、FAB(Fast Atom
Bombardment)スペクトルで分子量(m/
z)を、タンデム型質量分析装置によるCID(Col
lision Induced Dissociati
on)スペクトルでマス開裂パターンを観測するシステ
ムを構築すると共に、このシステムを用いて、マダガス
カル産毒グモ(N.borbonica)から種々のポ
リアミン誘導体をすでに報告している(特開平07−3
04718号公報参照)。
【0008】しかし、この方法ではマス開裂パターンに
よって構造を決定するため、全く同一のマス開裂パター
ンを示す異性体の場合は、この方法のみでは構造が一義
的に定まらない可能性も考えられる。
【0009】
【発明が解決するための手段】本発明者らはこの点に鑑
み、ジョロウグモの毒腺から得られるポリアミン画分か
ら上記の方法で種々のポリアミン誘導体を単離すると共
に、この画分の加水分解物のPMRスペクトラムから、
アシル基部分の構造を決定することを試み、鋭意研究の
結果、種々のN−(4−ヒドロキシインドール−3−イ
ル−アセチル)−アスパラギルポリアミン誘導体を単離
・構造決定して本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明によれば次の一般式
(A)〜(C) 4HIA−Asn−Abu−Apr−Apr−(Ace−Abu)x−NH (A) 4HIA−Asn−Ape−Acm−Abu−(Ace−Abu)x−NH (B) 4HIA−Asn−Ape−Ace−Abu−Apr−(Ace−Abu)x− NH (C) 〔本明細書中、−は単結合、4HIAは4−ヒドロキシ
インドール−3−イル−アセチル基、Asnはアスパラ
ギン残基、Abuは基−NH(CH−、Aprは
基−NH(CH−、Acmは基−NHCOCH
−、Aceは基−NHCO(CH−、Apeは基
−NH(CH−、をそれぞれ示し、xは0,1,
2または3を示す〕で示されるポリアミン誘導体を提供
することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のN−アシルアスパラギル
ポリアミン誘導体は、ジョロウグモの毒腺抽出物をHP
LCで精製することによって得られるが、官能基の保
護、アミド結合の導入、N−アルキル化、脱保護等の通
常の合成方法を組み合わせて合成することもできる。例
えば、官能基を保護した4−ヒドキシインドール酢酸誘
導体と、C末端をメチル基もしくはエチル基で保護した
アスパラギンとを反応させてN−置換アスパラギンエス
テル体を得て、次いでこれをアルカリ加水分解してカル
ボン酸体とする。これに、Abuを導入する場合は、ω
−t−ブトキシカルボニルプトレシン(以下、t−ブト
キシカルボニル基をBocと略す)を、Apeを導入す
る場合は、ω−Bocカダベリンを反応させて、次い
で、このBoc基をトリフルオロ酢酸(TFA)で脱保
護してアミン体とする。
【0012】このアミン体にApr,AbuまたはAp
eを導入する場合は、対応するω−(N−Boc)アミ
ノアルキルアルデヒドである3−(N−Boc)アミノ
プロパナール,4−(N−Boc)アミノブタナールま
たは5−(N−Boc)アミノペンタナールと反応させ
てC−N結合を導入する。また、このアミン体にAcm
を導入する場合はN−Bocアミノ酢酸を、Aceを導
入する場合は3−(N−Boc)アミノプロピオン酸を
反応させて、アミド結合を導入する。これらの場合、ポ
リアミン鎖にイミノ基(−NH−)が存在する場合は、
この部分をBocと反応性の異なるアミノ保護基(例え
ばベンジルオキシカルボニル基,以下Zと略す)で保護
しておく必要がある。これらの操作を繰り返すことによ
り、ポリアミン鎖に所望の基を全て導入した後、全ての
保護基を脱保護すれば、目的とする化合物を得ることが
できる。例えば、後述の実施例1の化合物1は次のよう
にして合成できる。
【0013】即ち、既知化合物3−(4−ベンジルオキ
シヒドロキシインドール)−酢酸〔以下(4BzO)−
IAA−OHと略する〕とアスパラギンメチルエステル
(H−Asn−OCH)をジシクロヘキシルカルボジ
イミド(以下DCCと略す)で縮合させた後アルカリ鹸
化して、カルボン酸体(a): (4BzO)−IAA−Asn−OH(a) を得る。次いで(a)と4−(N−Boc)−プトレシ
ンを同様にDCCで縮合させた後TFAで脱Boc化し
て、アミン体(b): (4BzO)−IAA−Asn−Abu−NH
(b) を得る。
【0014】さらに、(b)と3−(N−Boc)−ア
ミノプロパナールを水素化シアノ硼素ナトリウム(以下
SCBHと略す)で還元縮合してN−Bocアミン体
(c):(4BzO)−IAA−Asn−Abu−Ap
r−NH−Boc(c)を得る。これをベンジルクロロ
ホルメートで処理してイミノ基をZで保護した後、TF
Aで脱Boc化して、Z−イミノ−アミン体(d):
(4BzO)−IAA−Asn−Abu−〔(N−Z)
−Apr〕−NH(d)とし、これに更にSCBHで
3−(N−Boc)−アミノプロパナールと還元縮合さ
せれば、化合物1の保護体である(e):(4BzO)
−IAA−Asn−Abu−〔(N−Z)−Apr〕−
Apr−NH(e)が得られ、これをTFAおよび接
触還元で脱保護すれば、化合物1:4HIA−Asn−
Abu−Apr−Apr−NH(1)が得られる。ま
た、本発明の他の化合物もこれと同様にして合成するこ
とができる。
【0015】
【作用】本発明のN−アシルアスパラギルポリアミン誘
導体は、アシル部分に4−ヒドロキシインドール−3−
イル−アセチル基を有する新規誘導体であり、前述の川
合らのグルタミン酸レセプター阻害活性を示すための条
件を充たし、かつ今までに知られていなかった4−ヒド
ロキシインドール酢酸誘導体であるので、セロトニンレ
セプターとの関連性も注目される。また、本発明の化合
物について、グルタミン酸レセプター阻害活性と構造と
の相関関係を調べることにより、クモ毒の医薬への応用
に寄与するものと考えられる。
【0016】
【実施例】次いで、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0017】実施例1.化合物1の単離と構造決定 ステップ1.クモ毒腺からの化合物の抽出 ジョロウグモの毒腺5個分の凍結乾燥品を、0.05%
TFAを含む60%アセトニトリル1mlでホモジナイ
ズし、遠心分離して上清を集めた。沈殿は同様にホモジ
ナイズし、遠心分離して上清を集め、2回の操作で得ら
れた上清を合わせて孔径0.22μmのフィルターで濾
過し、濾液を得た。
【0018】ステップ2.HPLCによる化合物の単離 得られた濾液10μlを、ミクロカラムシステム(野村
化学社製)に組み込んだDevelosil ODS−
HG−5(野村化学社製・φ0.3mm×150mm)
を用いる逆相クロマトグラフィーに付し、室温で、流速
4μl/minで、0.1%TFA/水で5分間展開し
た後、20分間で0.1%TFA中、20分間でアセト
トリル0%から80%の直線濃度勾配により展開し、次
いで0.1%TFA/アセトニトリルで5分間洗浄する
プログラムで展開した。
【0019】ステップ3.FABMSの測定 溶出液をFrit−FABインターフェースを介して直
結したJMS−HXI10A/HX110A型タンデム
質量分析装置(日本電子社製)に導入し、FABMSを
測定した。その結果、保持時間21.7分の箇所にm/
z=490(M+H)のピークを検出した。また、ア
シル部分の構造は、後述、実施例8のPMRのデータか
ら4−ヒドロキシインドール−3−イル−アセチル基で
あった。これらのデータから、化合物1は分子量489
であり、次の構造式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Abu−Apr−Apr−NH (1)
【0020】実施例2.化合物2の単離と構造決定 実施例1と同様にして、保持時間21.9分の箇所にm
/z=632(M+H)のピークを検出した。このデ
ータと実施例8のデータから、化合物2は分子量631
であり、次の構造式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Abu−Apr−Apr−Ace−Abu−NH (2)
【0021】実施例3.化合物3の単離と構造決定 ステップ1.FABMSの測定 実施例1と同様にして、持時間22.7分の箇所にm/
z=731(M+H)のピークを検出した。このこと
から、化合物3は分子量730であることが判明した。
【0022】ステップ2.CIDMSの測定 実施例1のステップ1で得られた濾液をグリセロールと
混合して、Frit−FABインターフェースを介して
JMS−HX110A/HX110A型タンデム質量分
析装置にシリンジポンプを用いて4μl/minで導入
し、分子量731に相当する親イオンを第3自由空間で
Collision Energy=2000eVでH
eガスと衝突させ、アレイ検出器でCIDMSを測定し
た。これを〔図1−a〕に示す。また、炭酸ナトリウム
を含むグリセロールと混合した試料を用いて同様に、ナ
トリウム付加イオンのCIDMSを測定した。これを
〔図1−b〕に示す。これらのデータと実施例8のデー
タから、化合物3は分子量730で、次の式で示される
ことが判明した。 4HIA−Asn−Ape−Ace−Abu−Apr−Ace−Abu−NH (3)
【0023】実施例4.化合物4の単離と構造決定 実施例3と同様にして、保持時間22.1分の箇所にm
/z=774(M+H)のピークを検出した。親イオ
ンのCIDMSを〔図2−a〕に、ナトリウム付加イオ
ンのCIDMSを〔図2−b〕に示す。これらのデータ
と実施例8のデータから、化合物4は分子量773で、
次の式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Abu−Apr−Apr−(Ace−Abu)−NH (4)
【0024】実施例5.化合物5の単離と構造決定 実施例3と同様にして、保持時間22.6分の箇所にm
/z=802(M+H)のピークを検出した。親イオ
ンのCIDMSを〔図3−a〕に、ナトリウム付加イオ
ンのCIDMSを〔図3−b〕に示す。これらのデータ
と実施例8のデータから、化合物5は分子量801で、
次の式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Ape−Acm−Abu−(Ace−Abu)−NH (5)
【0025】実施例6.化合物6の単離と構造決定 実施例3と同様にして、保持時間22.8分の箇所にm
/z=873(M+H)のピークを検出した。親イオ
ンのCIDMSを〔図4−a〕に、ナトリウム付加イオ
ンのCIDMSを〔図4−b〕に示す。これらのデータ
と実施例8のデータから、化合物6は分子量872で、
次の式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Ape−Ace−Abu−Apr−(Ace−Abu)− NH (6)
【0026】実施例7.化合物7の単離と構造決定 実施例3と同様にして、保持時間22.6分の箇所にm
/z=944(M+H)のピークを検出した。親イオ
ンのCIDMSを〔図5−a〕に、ナトリウム付加イオ
ンのCIDMSを〔図5−b〕に示す。これらのデータ
と実施例8のデータから、化合物7は分子量943で、
次の式で示されることが判明した。 4HIA−Asn−Ape−Acm−Abu−(Ace−Abu)−NH (7)
【0027】これらの化合物を〔表1〕にまとめる。
【0028】
【表1】
【0029】実施例8.アシル基の同定 ステップ1.ポリアミン画分の分画 実施例1のステップ1と同様にして得られた濾液を減圧
下に乾固した後、0.05%TFAを含む60%アセト
ニトリル50μlに溶解した後、0.05%TFAで2
0倍希釈した後、HPLC前処理用カートリッジ(Se
p−PackC18 plus,ミリポア製)に通液
し、0.05%TFA3mlで洗浄した後、0.05%
TFAを含む30%アセトニトリル3mlで溶出し、溶
出液を減圧下で濃縮乾固してポリアミン画分を得た。
【0030】ステップ2.ポリアミン画分の加水分解 ステップ1で得られたポリアミン画分に25mMシュウ
酸100μlを加え、窒素気流下で、100℃,16時
間加熱して加水分解した。得られた加水分解物を、TS
K−GEL ODS−80TM(東ソー製・φ4.6m
m×250mm)を用いる逆相クロマトグラフィーに付
し、室温で、流速1ml/min、0.1%TFA中、
45分間でアセトトリル5%から50%の直線濃度勾配
により展開し、220nmの吸収でモニターした。その
結果、保持時間15分の箇所に、2,4−ジヒドロキシ
フェニル酢酸のピークを、保持時間20分の箇所にピー
ク2を、保持時間30.5分の箇所にインドール酢酸の
ピークを与えた。
【0031】ステップ3.ピーク2の同定 ステップ2のピーク2を分画し、溶媒を減圧下に除去し
た後、CDOD中、ブルカー社製DMX−500型N
MR測定機でPMRスペクトラムを測定したところ、T
MS基準のδppmで、6.96ppmにインドール環
の2位のプロトン(s,1H),6.88ppmに6位
のプロトン(dd,1H),6.82ppmに7位のプ
ロトン(d,1H),6.34ppmに5位のプロトン
(d,1H)と同定されるシグナルを観察した。また、
このデータは合成した4−ヒドロキシインドール酢酸の
PMRのデータと全く一致した。このことから、ピーク
2は4−ヒドロキシインドール酢酸と同定した。
【0032】ステップ4.ポリアミン誘導体のアシル基
の同定 ステップ1で得られたポリアミン画分を、ステップ2の
条件で逆相クロマトグラフィーで分析し、保持時間20
分の箇所に検出されたピークを分取し、ステップ3と同
様にPMRスペクトラムを測定したところ、TMS基準
のδppmで、7.05ppmにインドール環の2位の
プロトン(s),6.93ppmに6位のプロトン(d
d),6.89ppmに7位のプロトン(d),6.4
1ppmに5位のプロトン(d)と同定されるシグナル
を観察した。このことは、本発明の化合物のアシル部分
が4−ヒドロキシインドール−3−イル−アセチル基で
あることを示すものである。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、新規なN−(4−ヒド
ロキシインドール−3−イル−アセチル)アスパラギル
ポリアミン誘導体を提供することができる。本発明の化
合物は、アスパラギンのN末端側に3−(4−ヒドロキ
シインドール)酢酸誘導体がアミド結合し、C末端側に
ポリアミン鎖がアミド結合した構造を有している点で、
芳香環を持った酢酸誘導体に直鎖のポリアミンが結合し
た構造が必須であるという川合らの条件(川合述史ら.
蛋白質・核酸・酵素 35巻 796−803頁199
0年)を充たしており、本発明の化合物は、構造・活性
相関からグルタミン酸レセプター阻害剤であることが予
想される。また、本発明の化合物は、アシル基として4
−ヒドロキシインドール−3−イル−アセチル基を有す
るポリアミン誘導体であり、既知の種々のポリアミン誘
導体と共に、グルタミン酸レセプター等の種々のリセプ
ターに対する親和活性等の構造・活性相関の研究に有用
な試薬として用いることができ、これらの研究を通し
て、クモ毒の医薬への応用に寄与するものと考えられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は化合物3のCIDMSスペクトルの図
であり、aは親イオン、bはナトリウム付加イオンの開
裂パターンを示した図である。
【図2】 図2は化合物4のCIDMSスペクトルの図
であり、aは親イオン、bはナトリウム付加イオンの開
裂パターンを示した図である。
【図3】 図3は化合物5のCIDMSスペクトルの図
であり、aは親イオン、bはナトリウム付加イオンの開
裂パターンを示した図である。
【図4】 図4は化合物6のCIDMSスペクトルの図
であり、aは親イオン、bはナトリウム付加イオンの開
裂パターンを示した図である。
【図5】 図5は化合物7のCIDMSスペクトルの図
であり、aは親イオン、bはナトリウム付加イオンの開
裂パターンを示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 板垣 又丕 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 財団法人サントリー生物有機科学研究所 内 (72)発明者 直木 秀夫 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 財団法人サントリー生物有機科学研究所 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式(A): 4HIA−Asn−Abu−Apr−Apr−(Ace−Abu)x−NH (A) 〔式中、−は単結合、4HIAは4−ヒドロキシインド
    ール−3−イル−アセチル基、Asnはアスパラギン残
    基、Abuは基−NH(CH−、Aprは基−N
    H(CH−、Aceは基−NHCO(CH
    −をそれぞれ示し、xは0,1,2または3を示す〕で
    示されるポリアミン誘導体
  2. 【請求項2】次の一般式(B): 4HIA−Asn−Ape−Acm−Abu−(Ace−Abu)x−NH (B) 〔式中、−は単結合、4HIAは4−ヒドロキシインド
    ール−3−イル−アセチル基、Asnはアスパラギン残
    基、Apeは基−NH(CH−、Acmは基−N
    HCOCH−、Abuは基−NH(CH−、A
    ceは基−NHCO(CH−をそれぞれ示し、x
    は0,1,2または3を示す〕で示されるポリアミン誘
    導体 次の一般式(C): 4HIA−Asn−Ape−Ace−Abu−Apr−(Ace−Abu)x− NH (C) 〔式中、−は単結合、4HIAは4−ヒドロキシインド
    ール−3−イル−アセチル基、Asnはアスパラギン残
    基、Apeは基−NH(CH−、Aceは基−N
    HCO(CH−、Abuは基−NH(CH
    −、Aprは基−NH(CH−をそれぞれ示し、
    xは0,1,2または3を示す〕で示されるポリアミン
    誘導体
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