JP3072108B2 - 新規なポリアミン化合物及びグルタミン酸レセプター遮断剤 - Google Patents

新規なポリアミン化合物及びグルタミン酸レセプター遮断剤

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JP3072108B2
JP3072108B2 JP1278283A JP27828389A JP3072108B2 JP 3072108 B2 JP3072108 B2 JP 3072108B2 JP 1278283 A JP1278283 A JP 1278283A JP 27828389 A JP27828389 A JP 27828389A JP 3072108 B2 JP3072108 B2 JP 3072108B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なポリアミン化合物及びグルタミン酸レ
セプター遮断剤に関し、より詳細には、グルタミン酸レ
セプターを遮断する特性を有し、神経伝達の抑制及び脳
障害等の治療用医薬として有用な新規なポリアミン化合
物及びグルタミン酸レセプター遮断剤に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] グルタミン酸は、哺乳類の脳、脊髄等の中枢神経系及
び昆虫類、甲殻類等の神経筋節合部において、そのレセ
プターを介して興奮性神経伝達物質として機能している
と考えられている。一方、グルタミン酸が過剰に存在す
ると、神経細胞の過剰な興奮をもたらし、神経細胞が死
滅することも知られている。この現象は、海馬におい
て、心停止、脳血栓等による脳虚血時に見られ、神経細
胞の死滅は、記憶、空間的認知に係わる海馬に著しく大
きな影響を及ぼす。従って、グルタミン酸に起因する脳
神経疾患に対してグルタミン酸レセプターを一時的に遮
断することは治療上、有益である。
グルタミン酸レセプター遮断特性を有する化合物とし
て、NSTX、JSTX等が知られている[Y.Aramaki et al.,P
ro.Accad.,Ser.B.62.359(1986),Y.Aramaki et al.,Bi
omed.Res.8,167(1987),Y.Aramaki et al.,ibid.,8,24
1(1987)参照] 一方、本発明者らはジョロウグモ毒が神経伝達遮断特
性を有し、著しいグルタミン酸レセプター遮断活性を示
すことを見い出し、その活性化合物の単離及び構造解析
を行ない、複数種の塩基性アミド化合物について提案し
た(特願昭63−161369号)。
しかしながら、これらの化合物を用いるには、多量の
クモ毒を採集する必要があるだけでなく、複雑な構造で
あるため、簡便かつ効率的に合成することが困難であ
る。
本発明の目的は、構造が簡単で、容易に合成できると
共に、クモ毒と同様な神経伝達遮断活性を有する化合物
及びグルタミン酸レセプター遮断剤を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明者らは、クモ毒の活性成分の構造について、鋭
意検討した結果、簡単な構造でクモ毒と同様なヒスタミ
ン放出活性、神経伝達遮断活性を有する化合物を見い出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記一般
式(I) R−HN(CH2NH(CH2)m pNH(CH2−NH
2 (I) [式中、Rは、下記一般式(II)で表されるアシル基: R1aCO− (II) (R1aは、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナ
ントリルから選択されたアリール基を示す。)、 下記一般式(III)で表されるアシル基: (R1bは、(a)炭素数4〜8のアルキル基、(b)炭
素数6〜8のシクロアルキル基、(c)フェニル、ナフ
チル、アントリルおよびフェナントリルから選択された
アリール基、又は(d)ピロリル、ピリジル、ピロリジ
ニル、ピペリジノ、ピペリジニル、インドリル、キノリ
ル、イソキノリルおよびインドリニルから選択された複
素環基を示し、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基
および炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された置換
基を有していてもよい。R2aは水素原子又は炭素数1〜2
0のアルキル基を示す。)、 下記一般式(IV)で表される基: R1aCH2− (IV) (R1aは、前記に同じ。)、 又は一般式(V)で表される基: (R1bは、前記に同じ。R2bは、水素原子を示す。) を示し、l、m及びnはそれぞれ同一又は異なって3又
は4を示し、pは1又は2を示す。但し、pが1である
ときは、l及びnは3、mは4であり、pが2であると
きは、lおよびnは4、mは3である。] で表されることを特徴とする新規なポリアミン化合物に
より、上記課題を解決するものである。
本発明の化合物は、スペルミン、すなわちN,N′−ビ
ス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、ま
たは5,9,13−トリアザヘプタデカン−1,17−ジアミンの
一方のアミノ基に、前記一般式(II)乃至一般式(V)
で表される基が結合した構造を有している。
上記一般式(II)乃至一般式(V)で表される基にお
いて、R1bのうち炭素数4以上のアルキル基、好ましく
は5以上のアルキル基、例えば、ブチル、イソブチル、
tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル基などの直鎖又は分岐鎖アルキル基が例示される。
シクロアルキル基としては、炭素数6以上のシクロア
ルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロヘプチル、
シクロオクチル基等が例示される。
アリール基としては、例えば、フェニル、1−ナフチ
ル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル基等が
例示される。
複素環基としては、例えば、ピロリル、ピリジル、ピ
ロリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、インドリル、
キノリル、イソキノリルおよびインドリニルが例示され
る。
上記基R1bの置換基としては、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブト
キシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;ニトロ
基が例示される。
上記一般式(III)で表される基において、R2aのアル
キル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデ
シル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イ
コシル基などの直鎖又は分岐鎖アルキル基が例示され
る。
一般式(I)で表わされる化合物のうち、前記一般式
(II)又は一般式(III)で表されるアシル基を有する
化合物は、例えば、下記反応工程式により、製造でき
る。
(式中、R1a、R1b、R2a、l、m、n及びpは前記に同
じ) 上記一般式(I−1)又は一般式(I−2)で表され
る本発明の化合物は、上記一般式(VI)で表わされるポ
リアルキレンポリアミンと、一般式(VII)又は一般式
(VIII)で表わされるカルボン酸又はそのカルボキシ基
が活性化された化合物とを、通常のアミド結合生成反応
に供することにより製造できる。
アミド結合生成反応としては、例えば、下記の種々の
方法が採用できる。
(a)一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸をハロゲン化剤を用いて酸ハロゲン化物、す
なわちカルボン酸ハライドとし、該カルボン酸ハライド
と一般式(VI)で表されるポリアルキレンポリアミンと
を反応させる酸ハロゲン化法; (b)一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸を、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒド
ロキシコハク酸イミドエステル、1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾールエステル等の活性エステルとし、該活性エ
ステルと一般式(VI)で表されるポリアルキレンポリア
ミンとを反応させる活性エステル化法; (c)一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸に、アルキルハロカルボン酸を反応させて混
合酸無水物とし、これに一般式(VI)で表されるポリア
ルキレンポリアミンを反応させる混合酸無水物法; (d)一般式(VI)で表されるポリアルキレンポリア
ミンと、一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸とを、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩
化リン;例えば、ジメチルホルムアミドと、塩化チオニ
ル、オキシ塩化リン、ホスゲン等との反応で得られる
(クロロメチレン)ジメチルアンモニウムクロライド等
のビルスマイヤー(Vilsmeier)試薬;N,N′−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤の存在下で
反応させる方法; (e)一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸を、無水酢酸等の脱水剤を用いてカルボン酸
無水物とし、該酸無水物と一般式(VI)で表されるポリ
アルキレンポリアミンとを反応させる方法; (f)一般式(VII)及び一般式(VIII)で表される
カルボン酸の低級アルコールエステルと一般式(VI)で
表されるポリアルキレンポリアミンとを反応させる方法
など。
上記方法のうち、後処理及び反応効率の点から(a)
酸ハロゲン化法及び(b)活性エステル化法が好まし
い。なお、上記反応(a)において、ハロゲン化剤とし
ては、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が
使用できる。
一般式(VI)で表わされるポリアルキレンポリアミン
と一般式(VII)及び一般式(VIII)で表されるカルボ
ン酸との割合は、反応効率等を損わない範囲で適宜設定
することができるが、ポリアルキレンポリアミンに2分
子以上のアシル基が結合するのを抑制するため、ポリア
ルキレンポリアミン/カルボン酸≧1モルであるのが好
ましい。
一般式(VI)で表わされるポリアルキレンポリアミン
と一般式(VII)及び一般式(VIII)で表わされるカル
ボン酸との反応は、通常、有機溶媒の存在下で行なわれ
る。
上記有機溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない種
々の溶媒、例えば、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化
水素類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロ
ホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極
性溶媒等やこれらの混合溶媒が例示される。
上記反応は、必要に応じて、塩基性化合物の存在下で
行なってもよい。反応は、通常、撹拌条件下、温度−25
℃〜75℃程度又は還流下で行なわれ、該反応は30分〜48
時間程度で終了する。
なお、前記反応式中、出発原料である一般式(VIII)
で表されるカルボン酸は、慣用の方法、例えば、下記一
般式(VIII−a)で表される化合物のカルボニル基に隣
接する活性メチレン基の水素原子を、一般式(VIII−
b)で表されるアルキルハライドのアルキル基で置換す
る反応により得ることができる。
(式中、R1b及びR2aは前記に同じ。Xはハロゲン原子を
示す。) 一般式(VIII−b)で表される化合物は、通常、一般
式(VIII−a)で表される化合物1モルに対して、1モ
ル以上、好ましくは1.25〜3モル使用される。この反応
は、通常、不活性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
上記不活性溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない
種々の溶媒、例えば、前記例示の有機溶媒が使用でき
る。また触媒としては、従来慣用の触媒、例えば、n−
ブチルリチウム等のアルキルリチウム触媒などが使用で
きる。
上記反応は、通常、撹拌条件下、温度−25℃〜75℃程
度の温度で行なうことができ、該反応は30分〜24時間程
度で終了する。
また前記一般式(I)で表される化合物のうち、前記
一般式(IV)又は一般式(V)で表される基を有する化
合物は、前記一般式(I−1)又は一般式(I−2)で
表される化合物を還元反応に付すことにより、製造する
ことができる。該還元反応は、従来慣用の方法、例え
ば、ナトリウム、カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等のアルカリ金属又はその水酸化物、ナトリウ
ムエトキシド等のアルコラートの存在下、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル等の有機溶媒中で、ヒドラジンと反応させ、カルボニ
ル基をメチレン基に還元するウオルフ−キシュナー還元
法、亜鉛アマルガムと塩酸の存在下で還元するクレメン
セン還元法、ジボランで還元する方法などが採用でき
る。
一般式(I)で表わされる化合物は、通常の薬理的に
許容しうる酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸
等の無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢
酸、p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュ
ウ酸、マレイン酸、コハク酸、安臭香酸等の有機酸との
塩を形成してもよい。
目的化合物である一般式(I)で表わされる化合物
は、例えば、蒸留法、再結晶法、カラムクロマトグラフ
ィ、溶媒抽出法などの慣用の分離精製手段、好ましくは
分離能の高い液体クロマトグラフィにより、反応混合液
から容易に単離、精製することができる。液体クロマト
グラフィの様式としては、順相、逆相、陽イオン交換等
が有効である。精製品の純度は、高速液体クロマトグラ
フィ、薄層クロマトグラフィ、電気泳動等により検定で
き、化合物の構造は、NMR、MSスペクトルにより確認す
ることができる。
一般式(I)で表わされるポリアミン化合物の生理活
性は、イセエビ等の甲殻類や昆虫等の節足動物の神経筋
標本に対して興奮性後シナプス電位EPSPを発生させ、神
経繊維に投与した化合物のEPSPに与える影響を調べるこ
とにより検定することができる。本発明の一般式(I)
で表わされる化合物は、上記の検定法により著しいEPSP
抑制効果、すなわちグルタミン酸レセプターを遮断し、
神経伝達を阻害する神経伝達遮断活性、ヒスタミン放出
活性を示す。従って、本発明の化合物は、神経疾患の治
療に際してグルタミン酸レセプターを一時的に遮断する
グルタミン酸レセプター遮断剤として有用である。グル
タミン酸レセプター遮断剤は、一般式(I)で表わされ
る化合物又はその塩を少なくとも有効成分として含有し
ている。上記遮断剤の形態は、治療目的に応じて選択で
きるが、通常、液剤、乳剤や懸濁剤を含む注射剤等の形
態で使用される。
注射剤を調整する場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌
され、かつ血液と等張であるのが好ましい。この場合、
食塩、ブドウ糖やグリセリンを用いて等張液を調製して
もよい。液剤、懸濁剤や乳剤の調製に際して使用される
希釈剤としては、例えば、水、エタノール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、エトキシ化イソ
ステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルア
ルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル等が挙げられる。また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無
痛化剤等を含有させてもよい。さらには上記グルタミン
酸レセプター遮断剤には、必要に応じて、着色剤、保存
剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させて
もよい。上記注射剤は注射用蒸留水で所望の濃度に調整
され、滅菌することにより調製される。
上記グルタミン酸レセプター遮断剤中に含有される一
般式(I)で表わされる化合物の量は、特に制限され
ず、広い範囲で選択されるが、通常、1〜70重量%、好
ましくは5〜50%重量%である。
本発明の化合物を含有するグルタミン酸レセプター遮
断剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別等の条件や、
疾患の程度等により適宜選択できるが、通常体重1kgに
対して0.1〜50mg程度である。従って、上記形態の製剤
は投与単位中の有効成分として一般式(I)で表わされ
る化合物を10〜1000mg程度含有するのが好ましい。
なお、注射剤は、通常、単独で又はブドウ糖やアミノ
酸等の通常の輸液と混合して静脈内投与され、さらに必
要に応じて、単独で筋肉内、皮内、皮下又は腹腔内投与
される。
[発明の効果] 以上のように、本発明のポリアミン化合物によれば、
構造が簡単で、容易に合成できると共に、クモ毒と同様
なグルタミン酸レセプター遮断特性を有する。
またグルタミン酸レセプター遮断剤は、有効成分とし
て少なくとも一般式(I)で表わされる化合物又はその
塩を含有するのでグルタミン酸レセプター遮断特性に優
れている。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
参考例1 乾燥テトラヒドロフラン10mlに、1−ナフタレン酢酸
(2ミリモル)を添加し、アルゴン気流中、温度0℃で
撹拌して溶解し、n−ブチルリチウム4ミリモルを添加
し、温度0℃で30分間撹拌した。次いで、n−ペンチル
ブロマイド2ミリモルと乾燥テトラヒドロフラン5mlの
混合溶液を添加し、温度0℃で2時間撹拌した。反応混
合液を2Nの塩酸水溶液100mlに注ぎ、ジクロロメタン50m
lで抽出する操作を3回繰返した。ジクロロメタン層を
集めて濃縮乾固した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィ(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で溶出し、溶出液
を濃縮乾固することにより、1−ナフチル−α−n−ペ
ンチル酢酸を得た 参考例2 参考例1のn−ペンチルブロマイドに代えて、n−オ
クチルブロマイドを用いる以外、参考例1と同様にし
て、1−ナフチル−α−n−オクチル酢酸を得た。
参考例3 参考例1のn−ペンチルブロマイドに代えて、n−ド
デシルブロマイドを用いる以外、参考例1と同様にし
て、1−ナフチル−α−n−ドデシル酢酸を得た。
参考例4 参考例1のn−ペンチルブロマイドに代えて、n−ヘ
キサデシルブロマイドを用いる以外、参考例1と同様に
して、1−ナフチル−α−n−ヘキサデシル酢酸を得
た。
実施例1 3−インドリル酢酸1gを乾燥ジエチルエーテル25mlに
溶解し、五塩化リン1.35g(五塩化リン/3−インドリル
酢酸(モル比)=1.13)を温度5℃で添加し、室温で10
分間撹拌し、10mlにドライアップした。次いで、ヘキサ
ン100mlを添加して、濾取し、再結晶することにより、
紫色結晶、融点51〜53℃の3−インドリル酢酸クロライ
ド483mg(収率43.8%)を得た 3−インドリル酢酸クロライド40mgをクロロホルム3m
lに溶解し、スペルミン40mg(スペルミン/3−インドリ
ル酢酸クロライド(モル比)≒1)とクロロホルム2ml
の混合溶液に温度0℃で添加し、室温で2時間撹拌した
後、ドライアップした。反応混合物を高速液体クロマト
グラフィ(東ソー(株)製、カラムODS 120T使用)に
供し、N−[3−(3−インドリルアセチルアミノ)プ
ロピル]−N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタ
ンジアミンを得た。
実施例2 1−ナフチル酢酸100mgと乾燥ベンゼン8mlとの混合溶
液に、チオニルクロライド0.18ml(チオニルクロライド
/1−ナフチル酢酸(モル比)≒4)を添加し、還流下で
撹拌して1−ナフチル酢酸クロライドを得た。1−ナフ
チル酢酸クロライド20mgとクロロホルム2mlとの混合溶
液を、スペルミン40mg(スペルミン/1−ナフチル酢酸ク
ロライド(モル比)≒2)とクロロホルム2mlとの混合
溶液に0℃で添加し、実施例1と同様にしてN−[3−
(1−ナフチルアセチルアミノ)プロピル]−N′−
(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンを得
た。
実施例3 2−ナフチル酢酸100mgと乾燥ベンゼン6mlとの混合溶
液に、チオニルクロライド0.35ml(チオニルクロライド
/2−ナフチル酢酸(モル比)≒8)を添加し、実施例2
と同様にして2−ナフチル酢酸クロライドを得た。2−
ナフチル酢酸クロライド17mgとクロロホルム2mlとの混
合溶液を、スペルミン50mg(スペルミン/2−ナフチル酢
酸クロライド(モル比)≒3)とクロロホルム2mlとの
混合溶液に添加し、実施例1と同様にしてN−[3−
(2−ナフチルアセチルアミノ)プロピル]−N′−
(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンを得
た。
実施例4 フェニル酢酸クロライド15mgとクロロホルム1mlとの
混合溶液を、スペルミン20mg(スペルミン/フェニル酢
酸クロライド(モル比)≒1)とクロロホルム1mlとの
混合溶液に添加し、実施例1と同様にしてN−[3−
(フェニルアセチルアミノ)プロピル]−N′−(3−
アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンを得た。
実施例5 p−クロロフェニル酢酸100mgと乾燥ベンゼン8mlとの
溶液に、チオニルクロライド0.17ml(チオニルクロライ
ド/p−クロロフェニル酢酸(モル比)≒4)を添加し、
実施例2と同様にしてp−クロロフェニル酢酸クロライ
ドを得た。得られたp−クロロフェニル酢酸クロライド
16mgとクロロホルム2mlとの混合溶液を、スペルミン50m
g(スペルミン/p−クロロフェニル酢酸クロライド(モ
ル比)≒3)とクロロホルム1mlとの混合溶液に添加
し、実施例1と同様にしてN−[3−(p−クロロフェ
ニルアセチルアミノ)プロピル]−N′−(3−アミノ
プロピル)−1,4−ブタンジアミンを得た。
実施例6 p−ニトロフェニル酢酸100mgと乾燥ベンゼン8mlとの
溶液に、チオニルクロライド0.18ml(チオニルクロライ
ド/p−ニトロフェニル酢酸(モル比)≒4)を添加し、
実施例2と同様にしてp−ニトロフェニル酢酸クロライ
ドを得た。得られたp−ニトロフェニル酢酸クロライド
17mgとクロロホルム2mlとの混合溶液を、スペルミン50m
g(スペルミン/p−ニトロフェニル酢酸クロライド(モ
ル比)≒3)とクロロホルム1mlとの混合溶液に添加
し、実施例1と同様にしてN−[3−(p−ニトロフェ
ニルアセチルアミノ)プロピル]−N′−(3−アミノ
プロピル)−1,4−ブタンジアミンを得た。
実施例7 シクロヘキシル酢酸100mgと乾燥ベンゼン8mlとの溶液
に、チオニルクロライド0.14ml(チオニルクロライド/
シクロヘキシル酢酸(モル比)≒4)を添加し、実施例
2と同様にしてシクロヘキシル酢酸クロライドを得た。
得られたシクロヘキシル酢酸クロライド14mgとクロロホ
ルム2mlとの混合溶液を、スペルミン50mg(スペルミン
/シクロヘキシル酢酸クロライド(モル比)≒3)とク
ロロホルム1mlとの混合溶液に添加し、実施例1と同様
にしてN−[3−(シクロヘキシルアセチルアミノ)プ
ロピル]−N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタ
ンジアミンを得た。
実施例8 ヘプタン酸クロライド12mgとクロロホルム2mlとの混
合溶液を、スペルミン50mg(スペルミン/ヘプタン酸ク
ロライド(モル比)≒3)とクロロホルム1mlとの混合
溶液に添加し、実施例1と同様にしてN−[3−(ヘプ
タノイルアミノ)プロピル]−N′−(3−アミノプロ
ピル)−1,4−ブタンジアミンを得た。
実施例9 p−メトキシフェニル酢酸と乾燥ベンゼンとの溶液
に、チオニルクロライド(チオニルクロライド/p−メト
キシフェニル酢酸(モル比)=3)を添加し、還流下で
2時間反応することにより、p−メトキシフェニル酢酸
クロライドを得た。スペルミン50mgとクロロホルム1ml
との混合溶液を、得られたp−メトキシフェニル酢酸ク
ロライド(スペルミン/p−メトキシフェニル酢酸クロラ
イド(モル比)=3)とクロロホルム2mlとの混合溶液
に滴下し、室温で2時間撹拌した後、減圧乾固した。反
応混合物を逆相高速液体クロマトグラフィ(東ソー
(株)製、カラムODS 80TM使用)に供することによ
り、N−[3−(p−メトキシフェニルアセチルアミ
ノ)プロピル]−N′−(3−アミノプロピル)−1,4
−ブタンジアミンを得た。
実施例10 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、9−
アントリル酢酸を用いる以外、実施例9と同様にして、
N−[3−(9−アントリルアセチルアミノ)プロピ
ル]−N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジ
アミンを得た。
実施例11 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、1−
ナフタレンカルボン酸を用いる以外、実施例9と同様に
して、N−[3−(1−ナフトイルアミノ)プロピル]
−N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミ
ンを得た。
実施例12 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、参考
例1で得た1−ナフチル−α−n−ペンチル酢酸を用い
る以外、実施例9と同様にして、N−[3−(1−ナフ
チル−α−n−ペンチルアセチルアミノ)プロピル]−
N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン
を得た。
実施例13 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、参考
例2で得た1−ナフチル−α−n−オクチル酢酸を用い
る以外、実施例9と同様にして、N−[3−(1−ナフ
チル−α−n−オクチルアセチルアミノ)プロピル]−
N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン
を得た。
実施例14 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、参考
例3で得た1−ナフチル−α−n−ドデシル酢酸を用い
る以外、実施例9と同様にして、N−[3−(1−ナフ
チル−α−n−ドデシルアセチルアミノ)プロピル]−
N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン
を得た。
実施例15 実施例9のp−メトキシフェニル酢酸に代えて、参考
例4で得た1−ナフチル−α−n−ヘキサデシル酢酸を
用いる以外、実施例9と同様にして、N−[3−(1−
ナフチル−α−n−ヘキサデシルアセチルアミノ)プロ
ピル]−N′−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタン
ジアミンを得た。
実施例16 実施例2で得られたN−[3−(1−ナフチルアセチ
ルアミノ)プロピル]−N′−(3−アミノプロピル)
−1,4−ブタンジアミンを、常法によりジボランを用い
て還元した後、実施例9と同様に逆相高速液体クロマト
グラフィに供することにより、N−[3−(2−(1−
ナフチル)エチルアミノ)プロピル]−N′−(3−ア
ミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンを得た。
実施例17 5,9,13−トリアザヘプタデカン−1,17−ジアミン50mg
とクロロホルム1mlとの混合溶液に、1−ナフチルアセ
チルクロライド(5,9,13−トリアザヘプタデカン−1,17
−ジアミン/1−ナフチルアセチルクロライド(モル比)
=3)とクロロホルム2mlとの混合溶液を滴下し、室温
で2時間撹拌した後、減圧乾固した。反応混合物を実施
例9と同様に逆相高速液体クロマトグラフィに供するこ
とにより、[N−(1−ナフチルアセチルアミノ)]−
5,9,13−トリアザヘプタデカン−1,17−ジアミンを得
た。各実施例で得られた化合物と、比較例としてのジョ
ロウグモ毒JSTX−3を用い、神経伝達遮断活性を次のよ
うにして調べた。
イセエビ歩脚の伸張筋に記録電極を刺入し、支配神経
を単一線維に分離し、刺激することにより、興奮性後シ
ナプス電位EPSPを発生させ、所定濃度の化合物を神経線
維に投与し、各成分がEPSPに与える影響を調べた。
結果を表1〜表3に示す。
上記表から明らかなように、比較例のジョロウグモ毒
と同様、実施例の化合物は、いずれもグルタミン酸レセ
プター抑制効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // A61K 31/13 A61K 31/13 31/16 31/16 31/405 31/405 A61P 25/00 A61P 25/00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 211/30 C07C 233/36 C07C 233/40 C07C 235/78 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) R−HN(CH2NH(CH2)m pNH(CH2−NH
    2 (I) [式中、Rは、下記一般式(II)で表されるアシル基: R1aCO− (II) (R1aは、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナ
    ントリルから選択されたアリール基を示す。)、 下記一般式(III)で表されるアシル基: (R1bは、(a)炭素数4〜8のアルキル基、(b)炭
    素数6〜8のシクロアルキル基、(c)フェニル、ナフ
    チル、アントリルおよびフェナントリルから選択された
    アリール基、又は(d)ピロリル、ピリジル、ピロリジ
    ニル、ピペリジノ、ピペリジニル、インドリル、キノリ
    ル、イソキノリルおよびインドリニルから選択された複
    素環基を示し、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基
    および炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された置換
    基を有していてもよい。R2aは水素原子又は炭素数1〜2
    0のアルキル基を示す。)、 下記一般式(IV)で表される基: R1aCH2− (IV) (R1aは、前記に同じ。)、 又は一般式(V)で表される基: (R1bは、前記に同じ。R2bは、水素原子を示す。) を示し、l、m及びnはそれぞれ同一又は異なって3又
    は4を示し、pは1又は2を示す。但し、pが1である
    ときは、l及びnは3、mは4であり、pが2であると
    きは、lおよびnは4、mは3である。] で表されることを特徴とする新規なポリアミン化合物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の一般式(I)で表される化
    合物又はその塩を少なくとも有効成分として含有するこ
    とを特徴とするグルタミン酸レセプター遮断剤。
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