JP2019504879A - ベンゾチアゾール両親媒性物質 - Google Patents

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Abstract

本明細書に開示されるのは、とりわけ、ニューロンにおけるスパイン密度を増加させるための、ならびに神経疾患及びがんを治療するための化合物及び方法である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月5日出願の米国仮出願第62/274,907号の優先権を主張し、上記出願は、その全体が参照により且つ全ての目的に対して、本明細書に援用される。
連邦の支援を受けた研究開発の下でなされた発明に対する権利に関する表示
本発明は国立衛生研究所により授与された助成金第AG005131号及び第GM074240号の下での政府の支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
樹状突起の複雑性、シナプス形成、及びニューロンの全体的な適正な発生及び機能は、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの成長因子によって調節される。エストロゲン(詳細にはエストラジオール)は、げっ歯動物において樹状突起スパイン密度を増進することが知られており、且つヒトにおいて認知を改善することが明らかになっている小分子の例である。残念ながら、エストロゲン療法の、十分に立証され、有害であり、長期にわたる影響(例えば、がん、脳卒中及び心臓疾患の危険性の増加)によって、該療法を神経疾患の治療に広く用いることはできない。本明細書に開示されるのは、とりわけ、上記技術分野におけるこれらの及びその他の問題に対する解決策である。
ある態様において、式(I)
Figure 2019504879
を有する化合物が提供される。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。記号X及びXは独立にハロゲンである。記号z1及びz2は独立に0〜4の整数である。記号nは1〜20の整数である。
別の態様において、式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む複合体(例えばイン・ビトロ複合体)が提供される。記号Yは−NR−または−S−である。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルである。記号X及びXは独立にハロゲンである。記号z1及びz2は独立に0〜4の整数である。記号nは1〜12の整数である。
ある態様において、式
Figure 2019504879
を有する化合物が提供される。
ある態様において、薬学的に許容される賦形剤及び実施形態を含む本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物が提供される。
ある態様において、それを必要とする対象における樹状突起スパイン形成を増加させる方法、樹状突起スパイン密度を増加させる方法または樹状突起スパイン形態の改善方法であって、有効量の、実施形態を含む本明細書に記載の化合物(例えば式(I))を上記対象に投与することを含む上記方法が提供される。
別の態様において、ファスシンタンパク質の活性の調節方法であって、上記ファスシンタンパク質を有効量の、実施形態を含む式(II)を有する化合物に接触させることを含む上記方法が提供される。
別の態様において、ファスシンタンパク質の結合方法であって、上記ファスシンタンパク質を有効量の、実施形態を含む式(II)を有する化合物に接触させることを含む上記方法が提供される。
ある態様において、かかる治療を必要とする患者におけるがんの治療方法であって、治療上の有効量の、実施形態を含む式(II)を有する化合物を上記患者に投与することを含む上記方法が提供される。
ある態様において、かかる治療を必要とする患者における神経疾患の治療方法であって、治療上の有効量の、実施形態を含む式(II)を有する化合物を上記患者に投与することを含む上記方法が提供される。
親化合物BTA−EGと比較して疎水性及び水素結合能の低下を示すベンゾチアゾール両親媒性物質(BAM)(1〜3)の構造を示す図である。 BAM1〜3の調製のための合成スキームを示す図である。合成ステップにおける全ての略記は以下のとおり、すなわち、炭酸カリウム(KCO)、ヨウ化カリウム(KI)、水酸化カリウム(KOH)、イオン性液体すなわち1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド([pmIm]Br)、マイクロ波(MW)、テトラヒドロフラン(THF)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)、ジクロロメタン(DCM)、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、メタノール(MeOH)、水素化ナトリウム(NaH)、ジメチルホルムアミド(DMF)、17−ヨード−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン−1−オール(EG−I)である。 BAM1〜3及びBTA−EGの物性及び毒性を示す図である。Aは、水、オクタノール、またはリポソームの水溶液中におけるBAM1〜3及びBTA−EGの蛍光発光特性を示す図である。Bは、BTA−EGまたはBAM1〜3の濃度の増加の関数としてのSH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の生存率を示す図である。Cは、BAM1〜3及びBTA−EGの、疎水性パラメータの計算値、膜分配特性の測定値、及びSH−SY5Y細胞における毒性のIC50値の表である。logP値はMolinspirations Cheminformaticsソフトウェアで計算した。SASA値はPyMOLを用いて計算した。Dは、分化SH−SY5Y細胞におけるBTA−EG及びBAM1〜3の細胞内在化を示す、代表的な当該細胞の中央からのz軸スライス蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは25μmを示す。 BAM1〜3及びBTA−EGの物性及び毒性を示す図である。Aは、水、オクタノール、またはリポソームの水溶液中におけるBAM1〜3及びBTA−EGの蛍光発光特性を示す図である。Bは、BTA−EGまたはBAM1〜3の濃度の増加の関数としてのSH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の生存率を示す図である。Cは、BAM1〜3及びBTA−EGの、疎水性パラメータの計算値、膜分配特性の測定値、及びSH−SY5Y細胞における毒性のIC50値の表である。logP値はMolinspirations Cheminformaticsソフトウェアで計算した。SASA値はPyMOLを用いて計算した。Dは、分化SH−SY5Y細胞におけるBTA−EG及びBAM1〜3の細胞内在化を示す、代表的な当該細胞の中央からのz軸スライス蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは25μmを示す。 BAM1〜3及びBTA−EGの物性及び毒性を示す図である。Aは、水、オクタノール、またはリポソームの水溶液中におけるBAM1〜3及びBTA−EGの蛍光発光特性を示す図である。Bは、BTA−EGまたはBAM1〜3の濃度の増加の関数としてのSH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の生存率を示す図である。Cは、BAM1〜3及びBTA−EGの、疎水性パラメータの計算値、膜分配特性の測定値、及びSH−SY5Y細胞における毒性のIC50値の表である。logP値はMolinspirations Cheminformaticsソフトウェアで計算した。SASA値はPyMOLを用いて計算した。Dは、分化SH−SY5Y細胞におけるBTA−EG及びBAM1〜3の細胞内在化を示す、代表的な当該細胞の中央からのz軸スライス蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは25μmを示す。 1μMまたは5μMのBTA−EG、BTA−EG及びBAM1〜3で処理した際の分化SH−SY5Y細胞におけるRasGRF1の相対的な発現レベルを示す図である。相対的なRasGRF1(145kDa)を未処理の細胞と比較し、全ての試料をローディングコントロールであるβ−チューブリン(55kDa)に規格化した。データは、各濃度についてn=3以上で、平均値±標準誤差として表される。独立t検定によって判定して、*は未処理の細胞と比較してp<0.05を、**は未処理の細胞と比較してp<0.01を表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBTA−EG及びBAM1〜3のスパイン形成特性を示す図である。Aは、対照(0.1%のDMSO)と比較した、BTA−EG及びBAM1〜3についての代表的なスパインセグメント(23ミクロン)を示す図である。Bは、対照と比較した、全ての化合物についての1ミクロン当たりのスパイン数を定量的に表す図である。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用い、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、*はp<0.001を、**はp<0.0001を表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBTA−EG及びBAM1〜3のスパイン形成特性を示す図である。Aは、対照(0.1%のDMSO)と比較した、BTA−EG及びBAM1〜3についての代表的なスパインセグメント(23ミクロン)を示す図である。Bは、対照と比較した、全ての化合物についての1ミクロン当たりのスパイン数を定量的に表す図である。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用い、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、*はp<0.001を、**はp<0.0001を表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBAM1−EGのスパイン形成特性の更なる評価を示す図である。A及びBはそれぞれ、対照細胞に対する化合物BAM1−EG(1μΜ)で処理した細胞のスパインの長さ及び幅の累積分布を示す図である。Cは、1〜25μΜのBAM1−EGで24時間処理したニューロンの濃度依存的な効果を示す図である。Dは、ビヒクル対照(0.1%のDMSO)と比較した、BAM1−EGに曝露した細胞におけるスパイン密度の増加の経時的な持続性を示す図である。ニューロンを処理し、次いで24時間、48時間及び72時間の時点で固定化した。Eは、24時間の細胞の処理後にBAM1−EGを除去したことの樹状突起スパイン数に対する影響を示す図である。24時間後にBAM1−EGをすすぎ落とし、スパインの変化を更に24時間及び48時間(合計で48時間及び72時間)監視した。BAM1−EGの除去の24時間後における樹状突起スパイン密度は対照細胞と区別できない。Fは、24時間毎に化合物を追加する効果を示す図である。ニューロンを、24時間(1×)、48時間(2×)及び72時間(3×)で処理したが、1×の処理と比較して樹状突起スパイン密度の観測可能な更なる増加は見られなかった。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用いて、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、**はp≦0.0001を、n.s.=有意差なしを表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBAM1−EGのスパイン形成特性の更なる評価を示す図である。A及びBはそれぞれ、対照細胞に対する化合物BAM1−EG(1μΜ)で処理した細胞のスパインの長さ及び幅の累積分布を示す図である。Cは、1〜25μΜのBAM1−EGで24時間処理したニューロンの濃度依存的な効果を示す図である。Dは、ビヒクル対照(0.1%のDMSO)と比較した、BAM1−EGに曝露した細胞におけるスパイン密度の増加の経時的な持続性を示す図である。ニューロンを処理し、次いで24時間、48時間及び72時間の時点で固定化した。Eは、24時間の細胞の処理後にBAM1−EGを除去したことの樹状突起スパイン数に対する影響を示す図である。24時間後にBAM1−EGをすすぎ落とし、スパインの変化を更に24時間及び48時間(合計で48時間及び72時間)監視した。BAM1−EGの除去の24時間後における樹状突起スパイン密度は対照細胞と区別できない。Fは、24時間毎に化合物を追加する効果を示す図である。ニューロンを、24時間(1×)、48時間(2×)及び72時間(3×)で処理したが、1×の処理と比較して樹状突起スパイン密度の観測可能な更なる増加は見られなかった。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用いて、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、**はp≦0.0001を、n.s.=有意差なしを表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBAM1−EGのスパイン形成特性の更なる評価を示す図である。A及びBはそれぞれ、対照細胞に対する化合物BAM1−EG(1μΜ)で処理した細胞のスパインの長さ及び幅の累積分布を示す図である。Cは、1〜25μΜのBAM1−EGで24時間処理したニューロンの濃度依存的な効果を示す図である。Dは、ビヒクル対照(0.1%のDMSO)と比較した、BAM1−EGに曝露した細胞におけるスパイン密度の増加の経時的な持続性を示す図である。ニューロンを処理し、次いで24時間、48時間及び72時間の時点で固定化した。Eは、24時間の細胞の処理後にBAM1−EGを除去したことの樹状突起スパイン数に対する影響を示す図である。24時間後にBAM1−EGをすすぎ落とし、スパインの変化を更に24時間及び48時間(合計で48時間及び72時間)監視した。BAM1−EGの除去の24時間後における樹状突起スパイン密度は対照細胞と区別できない。Fは、24時間毎に化合物を追加する効果を示す図である。ニューロンを、24時間(1×)、48時間(2×)及び72時間(3×)で処理したが、1×の処理と比較して樹状突起スパイン密度の観測可能な更なる増加は見られなかった。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用いて、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、**はp≦0.0001を、n.s.=有意差なしを表す。 ラット一次海馬ニューロンにおいて観察されたBAM1−EGのスパイン形成特性の更なる評価を示す図である。A及びBはそれぞれ、対照細胞に対する化合物BAM1−EG(1μΜ)で処理した細胞のスパインの長さ及び幅の累積分布を示す図である。Cは、1〜25μΜのBAM1−EGで24時間処理したニューロンの濃度依存的な効果を示す図である。Dは、ビヒクル対照(0.1%のDMSO)と比較した、BAM1−EGに曝露した細胞におけるスパイン密度の増加の経時的な持続性を示す図である。ニューロンを処理し、次いで24時間、48時間及び72時間の時点で固定化した。Eは、24時間の細胞の処理後にBAM1−EGを除去したことの樹状突起スパイン数に対する影響を示す図である。24時間後にBAM1−EGをすすぎ落とし、スパインの変化を更に24時間及び48時間(合計で48時間及び72時間)監視した。BAM1−EGの除去の24時間後における樹状突起スパイン密度は対照細胞と区別できない。Fは、24時間毎に化合物を追加する効果を示す図である。ニューロンを、24時間(1×)、48時間(2×)及び72時間(3×)で処理したが、1×の処理と比較して樹状突起スパイン密度の観測可能な更なる増加は見られなかった。データは、少なくとも21のニューロン由来の3のセグメントを用いて、n≧54で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、**はp≦0.0001を、n.s.=有意差なしを表す。 Aは、BAM1−EG(化合物1)で処理した際の新たなスパインの形成の増加を示すライブイメージングを示す図である。BAM1−EG(5μM)またはビヒクル対照(0.1%のDMSO)での処理の前(−の時間)及び後(+の時間)の生きた細胞の代表的なセグメント(20ミクロン)である。*は新たなスパインを示す。Bは、BAM1−EGまたはビヒクル対照のいずれかについての、20ミクロンのセグメント当たりの獲得したまたは喪失した全樹状突起スパインを定量的に表す図である。3回の別個の試験且つ試験当たり2の異なるニューロンに由来するN=6のセグメントによる。*は、独立t検定により同一の時点での対照と比較してp<0.01を表す。 Aは、BAM1−EG(化合物1)で処理した際の新たなスパインの形成の増加を示すライブイメージングを示す図である。BAM1−EG(5μM)またはビヒクル対照(0.1%のDMSO)での処理の前(−の時間)及び後(+の時間)の生きた細胞の代表的なセグメント(20ミクロン)である。*は新たなスパインを示す。Bは、BAM1−EGまたはビヒクル対照のいずれかについての、20ミクロンのセグメント当たりの獲得したまたは喪失した全樹状突起スパインを定量的に表す図である。3回の別個の試験且つ試験当たり2の異なるニューロンに由来するN=6のセグメントによる。*は、独立t検定により同一の時点での対照と比較してp<0.01を表す。 化合物が、ラット一次海馬ニューロンにおいて、Aβに関連する正味のスパイン喪失を妨げることを示す図である。Aは、対照(0.1%のDMSO)と比較した、AβまたはAβ+BTA−EGもしくはAβ+BAM1〜3で処理した一次ニューロンの代表的なスパインセグメント(23ミクロン)を示す図である。Bは、対照と比較した、全ての処理実験についてのミクロン当たりのスパイン数を定量的に表した図である。データは、少なくとも14のニューロン由来の3のセグメントを用いて、n=42で、平均値±標準誤差として表される。対照と比較した独立t検定によって判定して、##はp≦0.01を表す。Aβ単独で処理した細胞と比較した独立t検定によって判定して、*はp≦0.001を、**はp≦0.0001を表す。 hESC/hiPSC(ヒト胚性幹細胞/ヒト誘導多能性幹細胞)がNSC(神経幹細胞)に、最終的にはニューロンに進展することを示す図である。中間径フィラメントタンパク質ネスチン(左下の顕微鏡写真)は広く用いられる多能性神経幹細胞のマーカーである。DAPI(2−(4−アミジノフェニル)−1H−インドール−6−カルボキサミジン)はDNAのA−Tに富む領域に強く結合する蛍光染色剤である。MAP2(微小管関連タンパク質2)はニューロン分化のマーカーである。右上の顕微鏡写真を参照されたい。 化合物またはビヒクル対照で処理した3ヶ月分化させたNSC由来のPSD95斑点(PSD95 puncta)のスパイン密度の定量化を示す図である。この図は、対照及び化合物処理条件下でMAP2、PSD95及び複合体を染色したニューロンの顕微鏡写真を示す。図1に示したように、「化合物」とはBAM3−EG(5μΜ)を指す。「対照」とはDMSO(0.1%)を指す。MAP2は樹状突起のマーカーであり、PSD95はシナプス後の特徴のマーカーである。ヒストグラム(下部)は、対照及び化合物処理条件下での規格化したPSD95斑点を示す。BTA−EGが、ヒトiPSC由来のニューロンにおいて、対照と比較して約50%スパイン密度を増加させることが認められる。 細胞標的の特定に有用である、BTA−EGの光親和性標識化の手順の概略図を示す図である。「BTA−EG」類似体とは、図1に示した化合物などのBAM類似体をいう。 ヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SYSY)、APP/PS1マウス(すなわち、アルツハイマー病のマウスモデル)由来の中脳組織、及び成人ヒト皮質における光親和性プルダウンアッセイを示す図である(左図)。バンドSはタンパク質ファスシンを含むタンパク質のバンドを指す。 BTA−EG類似体(すなわち、図1に示すBAM類似体)が抗転移性/抗遊走性がん剤として有用であることを示す図である。左側のグラフは診断後の時間に対する全生存率であり、脳がん(神経膠芽腫)の患者(N=521)において、タンパク質標的の発現がより高いほど全生存率がより低いとの相関を示している。右側のヒストグラムは、Boyden−chamber細胞遊走アッセイにおいて、BTA−EG類似体がヒト神経膠芽腫細胞における抗遊走活性を示すことを示している。
I.定義
本明細書で用いられる略語は、化学及び生物学の技術分野内におけるそれらの従来の意味を有する。本明細書に記載される化学構造及び化学式は、化学の技術分野において知られる化学原子価の標準的な規則に従って構築されている。
置換基が、左から右に向かって書かれるそれらの置換基の従来の化学式によって特定される場合、当該の構造を右から左に向かって書くことによって生じることとなる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、−CHO−は−OCH−と等価である。
用語「アルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、指定された炭素原子数を有する(すなわち、C〜C10は1〜10の炭素を意味する)、完全に飽和、モノ不飽和もしくはマルチ不飽和であってよく、一価、二価及び多価基を含むことができる、直鎖状(すなわち非分枝鎖状)もしくは分枝鎖状の炭素鎖(もしくは炭素)、またはそれらの組み合わせを意味する。アルキルは非環式鎖である。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、メチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の同族体または異性体などの基が挙げられるが、これらに限定はされない。不飽和アルキル基は、1もしくは複数の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高級の同族体及び異性体が挙げられるが、これらに限定はされない。アルコキシは、酸素リンカー(−O−)を介して当該分子の残余の部分に結合したアルキルである。
用語「アルキレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、−CHCHCHCH−によって例示される、但しこれに限定されない、アルキルから誘導される二価の基を意味する。一般的には、アルキル(またはアルキレン)基は1〜24の炭素原子を有することとなり、本明細書では、10以下の炭素原子を有するこれらの基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」とは、一般に8以下の炭素原子を有する、より短い連鎖のアルキルまたはアルキレン基である。用語「アルケニレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、アルケンから誘導される二価の基を意味する。
用語「ヘテロアルキル」とは、単独でまたは別の用語との組み合わせで、別段の明示がない限り、少なくとも1の炭素原子及び少なくとも1のヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si及びSであり、上記窒素原子及びイオウ原子は任意選択で酸化されていてもよく、上記窒素ヘテロ原子は任意選択で四級化されていてもよい)を含む、安定な直鎖状もしくは分枝鎖状の連鎖、またはそれらの組み合わせを意味する。上記ヘテロ原子(複数可)(例えば、N、S、Si、またはP)は、当該ヘテロアルキル基の任意の内部の位置に、または当該ヘテロアルキル基が当該分子の残余の部分に結合する位置に存在していてもよい。ヘテロアルキルは非環式鎖である。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、−CH=CH−N(CH)−CH、−O−CH、−O−CH−CH、及び−CNが挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、−CH−NH−OCH及び−CH−O−Si(CHなどのように、2〜3までのヘテロ原子が連続していてもよい。ヘテロアルキル部分は1のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は2の、任意選択で異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は3の、任意選択で異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は4の、任意選択で異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は5の、任意選択で異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は最大で8の、任意選択で異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでいてもよい。
同様に、用語「ヘテロアルキレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、−CH−CH−S−CH−CH−及び−CH−S−CH−CH−NH−CH−によって例示される、但しこれらに限定されない、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基に関し、ヘテロ原子は連鎖末端のいずれか一方または両方を占めることもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。更にまた、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基に関し、当該連結基の方向性は、該連結基の式が書かれている方向によって示されない。例えば、式−C(O)R’−は、−C(O)R’−及び−R’C(O)−の両方を表す。上述のように、本明細書では、ヘテロアルキル基は、−C(O)R’、−C(O)NR’、−NR’R’’、−OR’、−SR’、及び/または−SOR’などの、ヘテロ原子を介して当該分子の残余の部分に結合するヘテロアルキル基を包含する。「ヘテロアルキル」と記載され、続いて−NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基が記載される場合、用語ヘテロアルキルと−NR’R’’とは、重複するまたは互いに排他的ではなく、上記特定のヘテロアルキル基はより明確にするために記載されることを理解されたい。したがって、本明細書では、用語「ヘテロアルキル」を、−NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を排除するものとして解釈しないことが必要である。
用語「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」とは、単独でまたは他の用語との組み合わせで、別段の明示がない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環式型を意味する。シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは芳香族ではない。更に、ヘテロシクロアルキルに関し、ヘテロ原子は、当該ヘテロ環が当該分子の残余の部分に結合する位置を占めることができる。実施形態において、シクロアルキルはスピロ環式シクロアルキルであり、当該スピロ環はシクロアルキル環である。実施形態において、シクロアルキルは縮合環シクロアルキルであり、当該縮合環はシクロアルキル環である。実施形態において、シクロアルキルは架橋環シクロアルキルであり、当該架橋環はシクロアルキル環である。実施形態において、シクロアルキルは単環式である。実施形態において、シクロアルキルは2環である。実施形態において、シクロアルキルは3環である。実施形態において、シクロアルキルは4環である。実施形態において、シクロアルキルは5環である。実施形態において、シクロアルキルは多環式である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルはスピロ環式ヘテロシクロアルキルであり、当該スピロ環は1または複数のヘテロシクロアルキル環及び任意選択で1または複数のシクロアルキル環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは縮合環ヘテロシクロアルキルであり、当該縮合環は1または複数のヘテロシクロアルキル環及び任意選択で1または複数のシクロアルキル環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは架橋環ヘテロシクロアルキルであり、当該架橋環は1または複数のヘテロシクロアルキル環及び任意選択で1または複数のシクロアルキル環である。実施形態において、上記スピロ環、縮合環、または架橋環ヘテロシクロアルキルの環はヘテロ環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは単環式である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは2環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは3環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは4環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは5環である。実施形態において、ヘテロシクロアルキルは多環式である。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから誘導される二価の基を意味する。
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。更に、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを包含することを意図する。例えば、用語「ハロ(C〜C)アルキル」としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
用語「アシル」とは、別段の明記がない限り、−C(O)Rを意味し、但し、Rは置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。
用語「アリール」とは、別段の明記がない限り、単環、または互いに縮合した(すなわち縮合環アリール)もしくは共有結合で連結された多環(好ましくは2〜3環)であってよい多箇所不飽和の、芳香族の炭化水素置換基を意味する。縮合環アリールとは、互いに縮合した多環であって、当該縮合環の少なくとも1がアリール環である上記縮合した多環をいう。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、またはSなどの少なくとも1のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)をいい、但し、上記窒素原子及びイオウ原子は任意選択で酸化され、上記窒素原子(複数可)は任意選択で四級化されている。したがって、用語「ヘテロアリール」は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、互いに縮合した多環であって、当該縮合環の少なくとも1がヘテロ芳香環である上記縮合した多環)を包含する。5,6−縮合環ヘテロアリーレンとは、互いに縮合した2の環であって、一方の環が5員且つ他方の環が6員であり、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である上記2の環をいう。同様に、6,6−縮合環ヘテロアリーレンとは、互いに縮合した2の環であって、一方の環が6員且つ他方の環が6員であり、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である上記2の環をいう。また、6,5−縮合環ヘテロアリーレンとは、互いに縮合した2の環であって、一方の環が6員且つ他方の環が5員であり、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である上記2の環をいう。ヘテロアリール基は、当該分子の残余の部分に炭素原子またはヘテロ原子を介して結合することができる。実施形態において、アリールは縮合環アリールであって、当該縮合環が1または複数のアリール環ならびに任意選択で1または複数のシクロアルキル及び/またはヘテロシクロアルキル環である上記縮合環アリールである。実施形態において、アリールは架橋環アリールであって、当該架橋環が1または複数のアリール環ならびに任意選択で1または複数のシクロアルキル及び/またはヘテロシクロアルキル環である上記架橋環アリールである。実施形態において、縮合環アリールまたは架橋環アリールの環はアリール環である。実施形態において、アリールは単環式である。実施形態において、アリールは2環である。実施形態において、アリールは3環である。実施形態において、アリールは4環である。実施形態において、アリールは5環である。実施形態において、アリールは多環式である。実施形態において、ヘテロアリールは縮合環ヘテロアリールであって、当該縮合環が1または複数のヘテロアリール環ならびに任意選択で1または複数のシクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、及び/またはアリール環である上記縮合環ヘテロアリールである。実施形態において、ヘテロアリールは架橋環ヘテロアリールであって、当該架橋環が1または複数のヘテロアリール環ならびに任意選択で1または複数のシクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、及び/またはアリール環である上記架橋環ヘテロアリールである。実施形態において、縮合環ヘテロアリールまたは架橋環ヘテロアリールの環はヘテロアリール環である。実施形態において、ヘテロアリールは単環式である。実施形態において、ヘテロアリールは2環である。実施形態において、ヘテロアリールは3環である。実施形態において、ヘテロアリールは4環である。実施形態において、ヘテロアリールは5環である。実施形態において、ヘテロアリールは多環式である。アリール及びヘテロアリールの非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、トリアジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラジニル、プリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、イソキノリル、キノキサリニル、キノリル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルが挙げられる。上記のアリール及びヘテロアリール環系のそれぞれに対する置換基は後述の許容される置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれアリール及びヘテロアリールから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアリール基の置換基は環ヘテロ原子の窒素に−O−結合していてもよい。
スピロ環は隣接する環が単一の原子を介して結合している2以上の環である。スピロ環内の個々の環は同一であっても異なっていてもよい。スピロ環中の個々の環は置換されていてもまたは未置換であってもよく、一組のスピロ環内の他の個々の環とは異なる置換基を有してもよい。スピロ環内の個々の環に対して可能な置換基は、同一の環がスピロ環の一部ではない場合に当該の環に対して可能な置換基である(例えば、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環に対する置換基)。スピロ環は、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキレン、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキルまたは置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキレンであってよく、スピロ環基内の個々の環は、全ての環が1種類である(例えば、全ての環が置換ヘテロシクロアルキレンであり、それぞれの環が同一または異なる置換ヘテロシクロアルキレンであってよい)場合を含めて、直上の列記のいずれかであってもよい。スピロ環系に言及する場合、ヘテロ環式スピロ環とは、少なくとも1の環がヘテロ環であり、それぞれの環が異なる環であってもよいスピロ環を意味する。スピロ環系に言及する場合、置換スピロ環とは、少なくとも1の環が置換され、各置換基が任意選択で異なっていてもよいことを意味する。
記号「
Figure 2019504879
は、分子または化学式の残余の部分への化学的部分の結合点を表す。
本明細書では、用語「オキソ」とは、炭素原子に二重結合で結合した酸素を意味する。
本明細書では、用語「アルキルアリーレン」とは、アルキレン部分(本明細書において、アルキレンリンカーとも呼ばれる)に共有結合したアリーレン部分を意味する。実施例において、上記アルキルアリーレン基は式
Figure 2019504879
を有する。
アルキルアリーレン部分は、上記アルキレン部分上で(例えば置換基によって)置換されていてもよく、または上記アリーレンリンカー(例えば炭素2、3、4、または6)上で、ハロゲン、オキソ、−N、−CF、−CCl、−CBr、−CI、−CN、−CHO、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOCH、−SOH、−OSOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、置換もしくは未置換C〜Cアルキルまたは置換もしくは未置換2〜5員ヘテロアルキルによって置換されていてもよい。実施形態において、上記アルキルアリーレンは未置換である。
上記の各用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、示した基の置換形及び未置換形の両方を包含する。それぞれの種類の基に対する好ましい置換基は以下に記載される。
上記アルキル及びヘテロアルキル基(多くの場合にアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)に対する置換基は、限定はされないが、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−NR’NR’’R’’’、−ONR’R’’、−NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、−CN、−NO、−NR’SOR’’、−NR’C(O)R’’、−NR’C(O)−OR’’、−NR’OR’’から選択される種々の基の1種または複数種であり、その数はゼロから(2m’+1)までの範囲(但し、m’はかかる基の炭素原子の総数である)であってよい。R、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’はそれぞれ好ましくは独立に、水素、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール(例えば、1〜3のハロゲンで置換されたアリール)、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルキル、アルコキシ、またはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。例えば、本明細書に記載の化合物が2以上のR基を含む場合、それぞれのR基は、これらの基の2以上が存在する場合、それぞれR’、R’’、R’’’及びR’’’’基として独立に選択される。R’及びR’’が同一の窒素原子に結合している場合、それらは当該窒素原子と協同して4、5、6または7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’としては、限定はされないが、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルが挙げられる。上記の置換基の議論から、当業者であれば、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、−CF及び−CHCF)ならびにアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)のような、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を包含することを意図することを理解しよう。
上記アルキル基に対して記載された置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基に対する置換基も多様であり、例えば、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’,−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−NR’NR’’R’’’、−ONR’R’’、−NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、−CN、−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C〜C)アルコキシ、及びフルオロ(C〜C)アルキル、−NR’SOR’’、−NR’C(O)R’’、−NR’C(O)−OR’’、−NR’OR’’から選択され、その数はゼロから当該芳香環系上の空いている原子価の総数までの範囲であり、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は好ましくは独立に、水素、置換または未置換アルキル、置換または未置換ヘテロアルキル、置換または未置換シクロアルキル、置換または未置換ヘテロシクロアルキル、置換または未置換アリール、及び置換または未置換ヘテロアリールから選択される。例えば、本明細書に記載の化合物が2以上のR基を含む場合、それぞれのR基は、これらの基の2以上が存在する場合、それぞれR’、R’’、R’’’、及びR’’’’基として独立に選択される。
環(例えばシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレン)に対する置換基は、環の特定の原子上ではなく、当該の環上の置換基(一般に浮動置換基(floating substituent)と呼ばれる)として描出されてもよい。かかる場合には、当該の置換基は、(化学原子価の規則に従って)当該環原子のいずれに結合していてもよく、縮合環、架橋環、またはスピロ環の場合には、当該の縮合環、架橋環、またはスピロ環の1つの環に連結するものとして描出された置換基(単一の環上の浮動置換基)は、該縮合環、架橋環、またはスピロ環のいずれの上の置換基(複数の環上の浮動置換基)であってもよい。置換基が特定の原子ではなく環に結合し(浮動置換基)、且つ当該置換基に対する下付き文字が2以上の整数である場合、当該の複数の置換基は、同一の原子、同一の環、異なる原子、異なる縮合環、異なる架橋環、または異なるスピロ環上に存在していてもよく、且つそれぞれの置換基は任意選択で異なっていてもよい。分子の残余の部分に対する環の結合点が単一の原子に限定されていない場合(浮動置換基)、当該結合点は当該の環の任意の原子であってよく、縮合環、架橋環、またはスピロ環の場合、化学原子価の規則に従えば、いずれの当該縮合環、架橋環、またはスピロ環の任意の原子であってもよい。環、縮合環、架橋環、またはスピロ環が1または複数の環ヘテロ原子を含有し、該環、縮合環、架橋環、またはスピロ環が1または複数の浮動置換基(当該分子の残余の部分に対する結合点を含む、但しそれに限定されない)を有するように示される場合、上記浮動置換基は上記ヘテロ原子に結合していてもよい。上記浮動置換基を有する構造または式において、当該の環ヘテロ原子が1または複数の水素に結合する(例えば、環原子との2つの結合及び水素との第3の結合を有する環窒素)ように示され、当該ヘテロ原子が上記浮動置換基と結合する場合、上記置換基は、化学原子価の規則に従いつつ、水素を置換していると理解されることとなる。
任意選択で、2以上の置換基が結合して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。かかる、所謂環形成置換基は一般的に、但し必ずしもそれに限らないが、環状の基本構造に結合するように描出されている。一実施形態において、上記環形成置換基は上記基本構造中の隣接する原子に結合している。例えば、環状の基本構造中の隣接する原子に結合した2の環形成置換基は縮合環構造を形成する。別の実施形態において、上記環形成置換基は上記基本構造の単一の原子に結合している。例えば、環状の基本構造の単一の原子に結合した2の環形成置換基はスピロ環構造を形成する。更に別の実施形態において、上記環形成置換基は上記基本構造の隣接していない原子に結合し、架橋環構造を形成する。
上記アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2の置換基は任意選択で、式−T−C(O)−(CRR’)−U−(式中、T及びUは独立に−NR−、−O−、−CRR’−、または単結合であり、qは0〜3の整数である)の環を形成してもよい。あるいは、上記アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2の置換基は任意選択で、式−A−(CH−B−(式中、A及びBは独立に−CRR’、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、または単結合であり、rは1〜4の整数である)の置換基で置換されていてもよい。かくして形成された新たな環の単結合の1は任意選択で、二重結合で置換されていてもよい。あるいは、上記アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の2の置換基は任意選択で、式−(CRR’)−X’−(C’’R’’R’’’)−(式中、s及びdは独立に0〜3の整数であり、X’は−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である)の置換基で置換されていてもよい。上記置換基R、R’、R’’、及びR’’’は、好ましくは独立に、水素、置換または未置換アルキル、置換または未置換ヘテロアルキル、置換または未置換シクロアルキル、置換または未置換ヘテロシクロアルキル、置換または未置換アリール、及び置換または未置換ヘテロアリールから選択される。
本明細書では、用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」とは、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を包含することを意図する。
本明細書では、「置換基」とは、以下の(A)及び(B)の部分から選択される基を意味する。
(A)オキソ、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−NHSOCH、−N、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリール、
(B)以下の(i)及び(ii)から選択される少なくとも1の置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、
(i)オキソ、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−NHSOCH、−N、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、未置換ヘテロアリール、
(ii)以下の(a)及び(b)から選択される少なくとも1の置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール、
(a)オキソ、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−NHSOCH、−N、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリール、
(b)オキソ、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−NHSOCH、−N、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、もしくは未置換ヘテロアリールから選択される少なくとも1の置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール。
本明細書では、「大きさが限定された置換基(size−limited substituentまたはsize−limited substituent group)」とは、「置換基」に関して上述した全ての置換基から選択される基であり、但し、それぞれの置換または未置換アルキルは置換または未置換C〜C20アルキルであり、それぞれの置換または未置換ヘテロアルキルは置換または未置換2〜20員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換または未置換シクロアルキルは置換または未置換C〜Cシクロアルキルであり、それぞれの置換または未置換ヘテロシクロアルキルは置換または未置換3〜8員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換または未置換アリールは置換または未置換C〜C10アリールであり、それぞれの置換または未置換ヘテロアリールは置換または未置換5〜10員ヘテロアリールである。
本明細書では、「低級置換基(lower substituentまたはlower substituent group)」とは、「置換基」に関して上述した全ての置換基から選択される基であり、但し、それぞれの置換または未置換アルキルは置換または未置換C〜Cアルキルであり、それぞれの置換または未置換ヘテロアルキルは置換または未置換2〜8員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換または未置換シクロアルキルは置換または未置換C〜Cシクロアルキルであり、それぞれの置換または未置換ヘテロシクロアルキルは置換または未置換3〜7員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換または未置換アリールは置換または未置換C〜C10アリールであり、それぞれの置換または未置換ヘテロアリールは置換または未置換5〜9員ヘテロアリールである。
実施形態において、本明細書における化合物に記載されるそれぞれの置換基は、少なくとも1の置換基で置換されている。より詳細には、実施形態において、本明細書における化合物に記載されるそれぞれの置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン及び/または置換ヘテロアリーレンは、少なくとも1の置換基で置換されている。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1または全ては、少なくとも1の大きさが限定された置換基で置換されている。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1または全ては、少なくとも1の低級置換基で置換されている。
本明細書における化合物の他の実施形態において、それぞれの置換もしくは未置換アルキルは置換もしくは未置換C〜C20アルキルであってよく、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロアルキルは置換もしくは未置換2〜20員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換シクロアルキルは置換もしくは未置換C〜Cシクロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキルは置換もしくは未置換3〜8員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換アリールは置換もしくは未置換C〜C10アリールであり、且つ/またはそれぞれの置換もしくは未置換ヘテロアリールは置換もしくは未置換5〜10員ヘテロアリールである。本明細書の実施形態において、それぞれの置換もしくは未置換アルキレンは置換もしくは未置換C〜C20アルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロアルキレンは置換もしくは未置換2〜20員ヘテロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換シクロアルキレンは置換もしくは未置換C〜Cシクロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキレンは置換もしくは未置換3〜8員ヘテロシクロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換アリーレンは置換もしくは未置換C〜C10アリーレンであり、且つ/またはそれぞれの置換もしくは未置換ヘテロアリーレンは置換もしくは未置換5〜10員ヘテロアリーレンである。
実施形態において、それぞれの置換もしくは未置換アルキルは置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロアルキルは置換もしくは未置換2〜8員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換シクロアルキルは置換もしくは未置換C〜Cシクロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキルは置換もしくは未置換3〜7員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換もしくは未置換アリールは置換もしくは未置換C〜C10アリールであり、且つ/またはそれぞれの置換もしくは未置換ヘテロアリールは置換もしくは未置換5〜9員ヘテロアリールである。実施形態において、それぞれの置換もしくは未置換アルキレンは置換もしくは未置換C〜Cアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロアルキレンは置換もしくは未置換2〜8員ヘテロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換シクロアルキレンは置換もしくは未置換C〜Cシクロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキレンは置換もしくは未置換3〜7員ヘテロシクロアルキレンであり、それぞれの置換もしくは未置換アリーレンは置換もしくは未置換C〜C10アリーレンであり、且つ/またはそれぞれの置換もしくは未置換ヘテロアリーレンは置換もしくは未置換5〜9員ヘテロアリーレンである。実施形態において、上記化合物は後述の実施例に記載の化学種である。
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物上に存在する特定の置換基に応じて、比較的に非毒性の酸または塩基を用いて調製される本活性化合物の塩を包含することを意図する。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含有する場合、非荷電形態のかかる化合物を、ニートまたは適宜の不活性な溶媒中で十分な量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的に塩基性の官能基を含有する場合、非荷電形態のかかる化合物を、ニートまたは適宜の不活性な溶媒中で十分な量の所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的に非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Science 66:1−19 (1977)を参照のこと)。本発明のある種の特定の化合物は、当該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれにも変換することを可能にする塩基性官能基及び酸性官能基の両方を含有する。当業者に公知の他の薬学的に許容される担体も本発明に好適である。塩は対応する遊離塩基の形態である水性溶媒または他のプロトン性溶媒中により可溶性の傾向がある。他の場合において、上記製剤は、pH範囲4.5〜5.5の1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のスクロース、2%〜7%のマンニトール溶液中の、使用前に緩衝液と混合される凍結乾燥粉末であってもよい。
したがって、本発明の化合物は薬学的に許容される酸との塩などの塩として存在してもよい。本発明はかかる塩を包含する。かかる塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸などのアミノ酸との塩などが挙げられる。これらの塩は当業者に公知の方法によって調製することができる。
非荷電形態の本化合物は、好ましくは、従来の方法で当該の塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を単離することによって再生される。本化合物の親形態は、極性溶媒への溶解性などの特定の物理的性質が種々の塩形態とは異なる。
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学的変化を受けて本発明の化合物を与える化合物である。更に、プロドラッグは、エクス・ビボ環境においても、化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に転化させることができる。例えば、プロドラッグは、適宜の酵素または化学的薬剤と共に経皮パッチリザーバ中に含有させた場合、本発明の化合物にゆっくりと転化させることができる。実施形態において、プロドラッグ形態は、リン酸誘導体または糖(例えばリボース)誘導体を含んでいてもよい。例えば、HCVヌクレオシド及びヌクレオチドプロドラッグに用いられるプロドラッグ部分を、本明細書に記載の化合物または本明細書に記載の方法において用いられる化合物に付加してもよい。実施形態において、Murakami et al. J. Med Chem., 2011, 54, 5902;Sofia et al., J. Med Chem. 2010, 53, 7202;Lam et al. ACC, 2010, 54, 3187;Chang et al., ACS Med Chem Lett., 2011, 2, 130;Furman et al., Antiviral Res., 2011, 91, 120;Vernachio et al., ACC, 2011, 55, 1843;Zhou et al, AAC, 2011, 44, 76;Reddy et al., BMCL, 2010, 20, 7376;Lam et al., J. Virol., 2011, 85, 12334;Sofia et al., J. Med. Chem., 2012, 55, 2481, Hecker et al., J. Med. Chem., 2008, 51, 2328;またはRautio et al., Nature Rev. Drug. Discov., 2008, 7, 255(これらの全ての文献は、全ての目的に対してそれらの全体が参照により本明細書に援用される)に記載のプロドラッグ部分を、本明細書に記載の化合物または本明細書に記載の方法において用いられる化合物に付加してもよい。
本発明の特定の化合物は非溶媒和の形態ならびに水和の形態を含む溶媒和の形態で存在することができる。一般に、上記溶媒和の形態は非溶媒和の形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定の化合物は多結晶の形態または非晶の形態で存在していてもよい。一般に、全ての物理的形態が本発明によって企図される用途に対して等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
本明細書では、用語「塩」とは、本発明の方法において用いられる化合物の酸または塩基の塩をいう。許容される塩の説明のための例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。
本発明の特定の化合物は不斉炭素原子(光学中心またはキラル中心)または不斉な二重結合を有し;(R)−または(S)−として、アミノ酸については(D)−または(L)−としての絶対立体化学の観点から規定し得る鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性体の形態、及び個々の異性体は本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、過度に不安定であるために合成及び/または単離できないことが本技術分野において明らかな化合物を含まない。本発明は、ラセミの形態及び光学的に純粋な形態の化合物を包含することを意図する。光学活性な(R)−及び(S)−、または(D)−及び(L)−異性体は、キラルな合成原料またはキラルな反応剤を用いて調製してもよく、または従来の技術を用いて分割してもよい。本明細書に記載の化合物がオレフィン結合または他の幾何学的不斉の中心を含有し、別段の明示がない限り、当該化合物はE及びZ幾何異性体の両方を包含することが意図される。
本明細書では、用語「異性体と」は、同一の数及び種類の原子を有し、したがって同一の分子量を有するが、該原子の構造上の配置または立体配置に関して異なる化合物をいう。
本明細書では、用語「互変異性体」とは、平衡状態で存在し、一方の異性体形態から他方の異性体形態へ容易に転化される2種以上の構造異性体の1種をいう。
本発明の特定の化合物が互変異性体の形態で存在する場合があり、本化合物の全てのかかる互変異性体の形態が本発明の範囲内であることは、当業者には明らかであろう。
別段の明示がない限り、本明細書に描出される構造は、当該構造の全ての立体化学的形態、すなわち、それぞれの不斉中心についてのR及びS配置を包含することも意図される。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体のみならず、鏡像異性体及びジアステレオマーの混合物も本発明の範囲内である。
別段の明示がない限り、本明細書に描出される構造は、1または複数の同位体に富む原子の存在のみにおいて異なる化合物を包含することも意図される。例えば、水素が重水素または三重水素によって置換されている、または炭素が13Cもしくは14Cに富む炭素によって置換されている以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
本発明の化合物はまた、かかる化合物を構成する原子の1または複数において、自然界にはない比率の同位体原子を含んでいてもよい。例えば、本化合物は、例えば三重水素(H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されていてもよい。放射性の有無は問わず、本発明の化合物の全ての同位体上の変化形は本発明の範囲内に包含される。
本出願全体を通じて、選択肢がマーカッシュ群、例えば、複数の可能なアミノ酸を含有する各アミノ酸の位置、で記載されていることに留意されたい。上記マーカッシュ群の各選択肢は別個に考慮される必要があり、それによって別の実施形態を含み、上記マーカッシュ群は単一のユニットとして解釈されてはならないことが特に企図される。
「類似体(analogまたはanalogue)」は、化学及び生物学の範囲におけるその明白で通常の意味に従って用いられ、別の化合物(すなわち、所謂「参照」化合物)と構造的に類似するが、組成の点で、例えば、1の原子が異なる元素の原子で置換されている点で、または特定の官能基が存在する点で、または1の官能基が別の官能基で置換されている点で、または上記参照化合物の1もしくは複数のキラル中心の絶対立体化学の点で異なる化合物をいう。したがって、類似体は、参照化合物に対して機能及び外観は類似するまたは同等であるが、構造または起源は類似しないまたは同等でない化合物である。
本明細書では、用語「a」または「an」は1または複数を意味する。また、本明細書では、語句「[n]で置換された」とは、指定された基が、1または複数の、挙げられた置換基のいずれかまたは全てで置換されていてもよいことを意味する。例えば、アルキルまたはヘテロアリール基などの基が「未置換C〜C20アルキルまたは未置換2〜20員ヘテロアルキルで置換された」場合、当該の基は、1もしくは複数の未置換C〜C20アルキル及び/または1もしくは複数の未置換2〜20員ヘテロアルキルを含有していてもよい。更に、部分がR置換基で置換されている場合、当該の基は「R置換」と称される場合がある。部分がR置換である場合、当該の部分は少なくとも1のR置換基で置換されており、各R置換基は任意選択で異なる。
本発明の化合物の記載は当業者に公知の化学結合の原理によって制限される。したがって、ある基が1または複数の、多くの種類の置換基で置換されていてもよい場合、かかる置換は化学結合の原理に従うように、且つ本質的に不安定ではなく、かつ/または、水性条件、中性条件、及びいくつかの既知の生理学的条件などの環境条件下では不安定である可能性が高いことが当業者に明らかとなる化合物を与えるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理に従って、環ヘテロ原子を介して当該分子の残余の部分に結合し、それによって本質的に不安定な化合物を回避する。
用語「治療(treatingまたはtreatment)」とは、傷害、疾患(例えば、がんまたは神経疾患)、病状もしくは疾病の治療または改善における成功のいずれかの兆候をいい、症状の軽減、寛解、低減、または上記傷害、病状もしくは疾病を患者にとってより忍容可能にすること、悪化または衰弱の速度が減少を示すこと、悪化の最終点の衰弱をより少なくすること、患者の肉体的または精神的健全性を改善することなどの任意の客観的または主観的なパラメータが挙げられる。症状の治療または改善は、身体検査、心電図、心エコー検査、放射画像法(radio−imaging)、核スキャン、及び/またはストレス検査、神経精神医学検査、及び/または精神医学的評価の結果を含む、客観的または主観的パラメータに基づくことができる。例えば、本明細書における特定の方法は神経変性疾患またはがんを治療する。
「有効量」とは、記載された目的を達成する(例えば、上記量が投与される目的である効果を達成する、疾患を治療する、酵素活性を低下させる、酵素活性を増加させる、疾患もしくは疾病の1または複数の症状を軽減する)のに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の1もしくは複数の症状の治療、予防、または軽減に寄与するに十分な量であり、これはまた「治療上の有効量」と呼ばれる場合もある。1または複数の症状(及びこの語句の文法上の等価物)の「軽減」とは、当該症状(複数可)の重篤度または頻度の減少、または当該症状(複数可)の排除を意味する。薬物の「予防上の有効量」とは、対照に投与された場合に、意図される予防効果、例えば、傷害、疾患、病状もしくは疾病の発症(もしくは再発)の予防または遅延、あるいは傷害、疾患、病状もしくは疾病、またはそれらの症状の発症(または再発)の可能性の低減を有する薬物の量である。十分な予防効果は必ずしも1回の投与によって生じるものではなく、一連の投与の後で初めて生じる場合もある。したがって、予防上の有効量は1回または複数回の投与で投与されてもよい。正確な量は治療の目的に依存することとなり、公知の技法(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1−3, 1992);Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Pickar, Dosage Calculations (1999);及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照のこと)を用いて、当業者によって確認可能となる。
疾患(例えば、タンパク質関連疾患、神経疾患に関連する症状、もしくはがん)に関連する物質または物質の活性もしくは機能の文脈における用語「関連する」または「〜に関連する」とは、当該疾患または当該疾患の症状が(全体的もしくは部分的に)、当該の物質または物質の活性もしくは機能に起因することを意味する。
「対照」または「対照実験」はその明白で通常の意味に従って用いられ、実験であって、当該実験の被験体または試剤を、並列実験のある操作、試剤、または変数を割愛して処理する以外は上記並列実験と同様に処理する上記実験をいう。いくつかの例において、上記対照は、実験の効果の評価における比較の基準として用いられる。
「接触させる」はその明白で通常の意味に従って用いられ、少なくとも2種の異なる種(例えば、生体分子を含む化合物、または細胞)を、反応する、相互作用する、または物理的に接触するのに十分な近位になるようにする過程をいう。但し、得られる反応生成物は、添加された試剤間の反応から直接、または当該反応混合物中で生成する場合がある、1種または複数種の添加された試剤由来の中間体から生成する場合があることを理解されたい。用語「接触させる」は、2種の種を、反応させる、相互作用させる、または物理的に接触させることであって、該2種の種が、本明細書に記載の化合物及びタンパク質または酵素であってもよい、上記反応させる、相互作用させる、または物理的に接触させることを包含してもよい。いくつかの実施形態において、接触させることは、本明細書に記載の化合物をタンパク質(例えばファスシン)または酵素と相互作用させることを包含する。
本明細書で定義される、タンパク質阻害因子(例えばアンタゴニスト)相互作用に関する用語「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などは、当該阻害因子の非存在下における当該タンパク質の活性または機能と比較して、当該タンパク質の活性または機能に負の影響を及ぼす(例えば低下させる)ことを意味する。実施形態において、阻害とは、疾患または疾患の症状の軽減をいう。実施形態において、阻害とは、シグナル伝達経路(signal transduction pathwayまたはsignaling pathway)の活性の低下をいう。したがって、阻害は、少なくとも部分的に、部分的にもしくは完全に、刺激を遮断すること、活性化を減少させる、妨げるまたは遅延させること、あるいはシグナル伝達または酵素活性またはタンパク質の量を不活性化する、脱感作する、または下方制御することを包含する。
本明細書中で定義される、タンパク質活性化因子(例えばアゴニスト)相互作用に関する用語「活性化」、「活性化する」、「活性化すること」などは、当該活性化因子(例えば本明細書に記載の化合物)の非存在下における当該タンパク質の活性または機能と比較して、当該タンパク質の活性または機能に正の影響を及ぼす(例えば増加させる)ことを意味する。
用語「モジュレーター」とは、標的分子もしくは標的構造(例えば樹状突起スパイン)のレベルまたは標的分子もしくは標的構造(例えば樹状突起スパイン)の機能を増加あるいは減少させる組成物をいう。
「患者」または「それを必要とする対象」または「対象」とは、本明細書で提供される化合物または医薬組成物の投与によって治療することができる疾患または疾病に罹患しているまたは罹患しやすい生物をいう。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及び他の非哺乳類の動物が挙げられる。実施形態において、患者はヒトである。実施形態において、対象はヒトである。
「疾患」、「障害」または「疾病」とは、本明細書において提供される化合物、医薬組成物、または方法で治療することができる患者または対象の体の状態または健康状態をいう。実施形態において、上記疾患はアミロイド斑の蓄積に関連する(例えば、アミロイド斑の蓄積を特徴とする)疾患である。実施形態において、上記疾患は神経疾患である。
本明細書では、用語「神経変性疾患」または「神経疾患」とは、対象の神経系の機能が損なわれる疾患または疾病をいう。本明細書に記載の化合物または方法で治療し得る神経疾患の例としては、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病(シュピールマーヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)、海綿状脳症(例えば、ウシ海綿状脳症(狂牛病)、クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、及び致死性家族性不眠症)、カナバン病、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、脆弱X症候群、前頭側頭型認知症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ハンチントン舞踏病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッハ病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、統合失調症、脊髄小脳失調症(異なる特徴を有する複数の型)、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー病、脊髄ろう、薬物誘導性パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、突発性パーキンソン病、常染色体優性パーキンソン病、家族性パーキンソン病1型(PARK1)、パーキンソン病3、常染色体優性レビー小体(PARK3)、パーキンソン病4、常染色体優性レビー小体(PARK4)、パーキンソン病5(PARK5)、パーキンソン病6、常染色体劣性早期発症(PARK6)、パーキンソン病2、常染色体劣性若年性(PARK2)、パーキンソン病7、常染色体劣性早期発症(PARK7)、パーキンソン病8(PARK8)、パーキンソン病9(PARK9)、パーキンソン病10(PARK10)、パーキンソン病11(PARK11)、パーキンソン病12(PARK12)、パーキンソン病13(PARK13)、またはミトコンドリアパーキンソン病が挙げられる。実施形態において、上記神経疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、脳卒中、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳障害(TBD)、慢性外傷性脳症(CTE)、統合失調症、認知症(例えば、一般的な認知症)、注意欠陥多動障害(ADHD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症(FTLD)(例えば、FTLD−タウ、FTLD−TDP、またはFTLD−FUS)、記憶喪失(例えば、加齢に関連した記憶喪失)、高血圧性脳症、または長期ストレスである。実施形態において、上記神経疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳障害(TBD)、慢性外傷性脳症(CTE)、統合失調症、認知症(例えば、一般的な認知症)、注意欠陥多動障害(ADHD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症(FTLD)(例えば、FTLD−タウ、FTLD−TDP、またはFTLD−FUS)、記憶喪失(例えば、加齢に関連した記憶喪失)、高血圧性脳症である。
アルツハイマー病は、疾患の初期段階においては記憶喪失の症状を特徴とする。疾患が進行するにつれて、症状に混乱、長期記憶喪失、錯語、語彙の喪失、攻撃性、過敏性及び/または気分変動が含まれる。該疾患の更に進行したステージでは、身体機能の喪失が見られる。実施形態において、上記神経疾患は脆弱X症候群(FXS)である。当該技術分野で公知であるように、FXSは、様々な障害(例えば、自閉症及び遺伝性知的障害)と関連付けられてきた遺伝性症候群である。障害は軽度から重度の範囲の一連の値で表すことができる。FXSの男性は、一般的に40歳を過ぎてから、作業記憶を必要とする作業を行う際に、徐々により重度の問題を発症し始めることが認められている。このことは特に言語上の作業記憶に関して認められる。実施形態において、上記神経疾患は自閉症である。当該技術分野で公知のとおり、自閉症は神経発達の障害である。如何なる理論にも拘束されることを望むものではないが、自閉症は、神経及びシナプスの接続及び組織形成の仕方を変えることによって、脳内の情報処理に影響を与えると考えられている。
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」とは、活性薬剤の対象への投与及び対象による吸収を補助し、当該患者に対して重大な毒物学的に有害な影響を生じることなく、本発明の組成物に含めることができる物質をいう。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の生理的食塩水、乳酸加リンガー溶液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、甘味料、香味料、塩溶液(リンガー溶液など)、アルコール、油分、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色料などが挙げられる。かかる製剤は滅菌されていてもよく、所望であれば、本発明の化合物と有害な反応を起こさない、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に波及する塩、緩衝剤、着色料、及び/または芳香物質などの補助剤と混合されていてもよい。当業者であれば、他の医薬賦形剤が本発明において有用であることを認識しよう。
用語「製剤」とは、他の担体を含むかまたは含まない活性成分が担体によって取り囲まれたカプセルを提供する、担体としてのカプセル化材を有する活性化合物の製剤を含むことを意図し、該担体はそのようにして活性化合物と一体化している。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
本明細書では、用語「投与する」とは、経口投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、髄腔内投与、頭蓋内投与、鼻腔内投与もしくは皮下投与、または徐放装置、例えば小型浸透圧ポンプの対象への移植を意味する。投与は非経口及び経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む、任意の経路による。非経口投与としては、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、脳室内投与、及び頭蓋内投与が挙げられる。他の送達様式としては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮貼付剤などの使用が挙げられるが、これらに限定はされない。「同時投与」とは、本明細書に記載の組成物が、1種または複数種の更なる化合物の投与と同時に、該投与の直前に、または該投与の直後に投与されることを意味する。
本発明の化合物は、患者に単独で投与されてもよく、または同時投与されてもよい。同時投与とは、2種以上の化合物または薬剤を、個々にまたは組み合わせて、同時にまたは逐次的に投与することを含むことを意図する。従って、所望ならば、製剤を(例えば代謝分解を低減するための)他の活性物質と組み合わせてもよい。本発明の組成物を、綿棒、溶液剤、懸濁液剤、乳液剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、ペースト剤、ゼリー剤、ペイント剤、粉末剤、及びエアロゾルとして製剤化して、経皮的に、局所経路によって送達することができる。経口製剤としては、患者による摂取に適した錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液剤などが挙げられる。固体形態の製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤が挙げられる。液体形態の製剤としては、溶液剤、懸濁液剤、及び乳液剤、例えば水または水/プロピレングリコール溶液剤が挙げられる。本発明の組成物は、持続放出及び/または快適性を提供するための成分を更に含んでいてもよい。かかる成分としては、高分子量でアニオン性のムコ模倣ポリマー、ゲル化性多糖類及び微細化薬物担体基剤が挙げられる。これらの成分は、米国特許第4,911,920号、第5,403,841号、第5,212,162号、及び第4,861,760号に詳細に議論されている。これらの特許は、それらの全体の内容が全ての目的に対して参照により本明細書に援用される。本発明の組成物はまた、体内での徐放を目的としたミクロスフェアとして送達することもできる。例えば、薬物を徐々に皮下に放出する薬物含有ミクロスフェアの皮内注射によって(Rao, J. Biomater Sci. Polym. Ed. 7:623−645, 1995を参照のこと)、生分解性の注射用ゲル製剤として(例えば、Gao Pharm. Res. 12:857−863, 1995を参照のこと)、または経口投与用のミクロスフェアとして(例えば、Eyles, J. Pharm. Pharmacol. 49:669−674, 1997を参照のこと)ミクロスフェアを投与することができる。実施形態において、細胞膜と融合するまたはエンドサイトーシスされるリポソームを用いることによって、すなわち、当該細胞の表面膜タンパク質受容体に結合し、その結果エンドサイトーシスを生じる、当該リポソームに結合する受容体リガンドを使用することによって、本発明の組成物の製剤を送達することができる。リポソームを用いることにより、特にリポソーム表面が標的細胞に対して特異的な受容体リガンドを有する、または当該リポソームが他の方法で特定の器官に対して優先的に指向する場合、イン・ビボで、本発明の組成物の送達を標的細胞に集中させることができる。(例えば、Al−Muhammed, J. Microencapsul. 13:293−306, 1996;Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6:698−708, 1995;Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576−1587, 1989を参照のこと)。本発明の組成物をナノ粒子として送達することもできる。
本発明によって提供される医薬組成物は、本活性成分(例えば、実施形態または実施例を含む、本明細書に記載の化合物)を、治療上の有効量、すなわち、当該組成物の意図される目的を達成するのに有効な量で含有する組成物を含む。特定の用途に対して有効な実際の量は、とりわけ治療を受ける疾病に依存する。疾患の治療方法において投与される場合、かかる組成物は、所望の結果を達成するのに有効な量の活性成分を含有することとなる。本発明の化合物の治療上の有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示を考慮すると、十分に当業者の能力の範囲内である。
哺乳動物に投与される用量及び頻度(単回投与または複数回投与)は、多様な因子、例えば、当該の哺乳動物が別の疾患に罹患しているか否か、及びその投与経路;背格好、年齢、性別、健康、体重、体格指数、及び受容者の食餌;治療を受けている疾患の症状の特質及び程度、同時に受ける治療の種類、治療を受けている疾患の合併症または他の健康関連の問題に応じて変わり得る。出願人の発明の方法及び化合物と組み合わせて、他の治療レジメンまたは薬剤を用いることができる。確立された用量(例えば、頻度及び継続期間)の調節及び操作は、十分に当業者の能力の範囲内である。
本明細書に記載の任意の化合物に関して、治療上の有効量は、当初は細胞培養アッセイから決定することができる。標的濃度は、本明細書に記載の方法または当該技術分野で公知の方法を用いて測定される、本明細書に記載の方法を達成することができる活性化合物(複数可)の濃度である。
当該技術分野で周知のように、ヒトにおける使用に対する治療上の有効量は、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトに対する用量を、動物において有効であることが分かっている濃度を達成するように製剤化することができる。ヒトにおける用量を、化合物の有効性を監視し、上記のように用量を上方または下方に調節することによって調節することができる。上記の方法及び他の方法に基づいて、ヒトにおいて最大の効力を達成するために用量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
用量を当該の患者及び用いられる化合物の要件に応じて変化させてもよい。本発明の文脈において患者に投与される用量は、経時的に該患者において有益な治療応答を達成するのに十分である必要がある。用量の大きさはまた、いずれかの有害な副作用の存在、特質、及び程度によっても決定されることとなる。特定の状況に対する適切な用量の決定は医師の技量の範囲内である。一般に、治療は当該化合物の最適用量よりも少ない用量で開始される。その後、状況の下で最適な効果に達するまで、用量を小さな増分で増加させる。
用量及び間隔は、治療を受ける特定の臨床上の適応症に対して有効な投与された化合物のレベルを与えるために、個々に調節することができる。これによって、個々の病状の重篤度に見合った治療レジメンが提供されることとなる。
本明細書で提供される教示を利用して、実質的な毒性を生じずに、なおも特定の患者によって示される臨床症状を治療するのに有効な予防上または治療上の治療レジメンを立案することができる。この計画は、選択された薬剤の化合物の効力、相対的生物学的利用能、有害な副作用の有無及び重篤度、好ましい投与様式、及び毒性プロファイルならびに患者の体重などの因子を考慮することによる、活性化合物の慎重な選択を必要とする。
実施形態において、同時投与は一方の活性薬剤(例えば本明細書に記載の化合物)を第2の活性薬剤(例えば更なる抗がん剤)の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、または24時間以内に投与することを含む。同時投与は2種の活性物質を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1、5、10、15、20、もしくは30分以内に)、または任意の順序で逐次的に投与することを含む。実施形態において、同時投与は合剤化、すなわち、両方の活性薬剤を含む単一の医薬組成物を製剤することによって行うことができる。他の実施形態において、上記活性薬剤は別個に製剤化することができる。実施形態において、上記活性薬剤及び/または補助剤を互いに組み合わせるまたは複合化してもよい。実施形態において、本明細書に記載の化合物を外科手術などの神経変性に対する治療と組み合わせてもよい。
「抗がん剤(anti−cancer agentまたはanti−cancer drug)」は、その明白で通常の意味に従って用いられ、抗腫瘍特性または細胞の増殖(growthまたはproliferation)を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害因子、モジュレーター)をいう。いくつかの実施形態において、抗がん剤は化学療法剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、がんの治療用の、FDAまたは米国以外の国の同様の規制当局によって認可された薬剤である。抗がん剤として、抗アンドロゲン(例えば、カソデックス、フルタミド、MDV3100、またはARN−509)、MEK(例えば、MEK1、MEK2、またはMEK1及びMEK2)阻害剤(例えば、XL518、CI−1040、PD035901、セルメチニブ/AZD6244、GSK1120212/トラメチニブ、GDC−0973、ARRY−162、ARRY−300、AZD8330、PD0325901、U0126、PD98059、TAK−733、PD318088、AS703026、BAY 869766)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(デカルバジン))、代謝拮抗剤(例えば、5−アザチオプリン、ロイコボリン、カペシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロキソウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンなど)、植物アルカノイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル、ドセタキセルなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、白金系化合物(例えば、シスプラチン、オキサロプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン)、置換尿素(例えばヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えばL−アスパラギナーゼ)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達阻害剤(例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY 43−9006、ウォルトマニン、またはLY294002)、mTOR阻害剤、抗体(例えばリツキサン)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(グリベック(登録商標))、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、アナストロゾール;血管新生阻害剤;抗アンドロゲン、抗エストロゲン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節物質;アルギニンデアミナーゼ;BCR/ABLアンタゴニスト;ベータラクタム誘導体;bFGF阻害剤;ビカルタミド;カンプトテシン誘導体;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);クロミフェン類似体;シタラビンダクリキシマブ;デキサメタゾン;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;フィナステリド;フルダラビン;fluorodaunorunicin塩酸塩;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;マトリリシン阻害剤;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミスマッチ二本鎖RNA;モノクローナル抗体;マイコバクテリア細胞壁抽出物;酸化窒素モジュレーター;オキサリプラチン;パノミフェン;ペントロゾール;ホスファターゼ阻害剤;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;プレドニゾン;プロテアソーム阻害剤;タンパク質A系免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;リボザイム;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;一本鎖抗原結合タンパク質;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;ストロメリシン阻害剤;合成グリコサミノグリカン;タモキシフェンメチオジド;テロメラーゼ阻害剤;甲状腺刺激ホルモン;翻訳阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;ステロイド(例えばデキソメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害剤、ゴセレリンまたはロイプロリドなどのゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメストン)、抗アンドロゲン剤(例えばフルタミド)、免疫賦活剤(Bacillus Calmette−Guerin(BCG)、レバミゾール、インターロイキン−2、α−インターフェロンなど)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA−DR、及び抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体−カリケアマイシン抱合体、抗CD22モノクローナル抗体−シュードモナス外毒素抱合体など)、放射免疫療法剤(例えば、111In、90Y、または131Iに抱合した抗CD20モノクローナル抗体など)、トリプトライド、ホモハリングトニン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イトラコナゾール、ビンデシン、セリバスタチン、ビンクリスチン、デオキシアデノシン、セルトラリン、ピタバスタチン、イリノテカン、クロファジミン、5−ノニルオキシトリプタミン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、EGFR阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)標的治療または同治療薬(例えば、ゲフィチニブ(イレッサ(商標))、エルロチニブ(タルセバ(商標))、セツキシマブ(エルビタックス(商標))、ラパチニブ(タイケルブ(商標))、パニツムマブ(ベクティビックス(商標))、バンデタニブ(カプレルサ(商標))、アファチニブ/BIBW2992、CI−1033/カネルチニブ、ネラチニブ/HKI−272、CP−724714、TAK−285、AST−1306、ARRY334543、ARRY−380、AG−1478、ダコミチニブ/PF299804、OSI−420/デスメチルエルロチニブ、AZD8931、AEE788、ペリチニブ/EKB−569、CUDC−101、WZ8040、WZ4002、WZ3146、AG−490、XL647、PD153035、BMS−599626)、ソラフェニブ、イマチニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ピロロベンゾジアゼピン(例えばトメイマイシン)、カルボプラチン、CC−1065及びアミノ−CBIを含むCC−1065類似体、ナイトロジェンマスタード(クロラムブシル及びメルファランなど)、ドラスタチン及びドラスタチン類似体(オーリスタチン:例えばモノメチルオーリスタチンE)、アントラサイクリン系抗生物質(ドキソルビシン、ダウノルビシンなど)、デュオカルマイシン及びデュオカルマイシン類似体、エンジイン(ネオカルジノスタチン及びカリケアマイシンなど)、レプトマイシン誘導体、メイタンシノイド及びメイタンシノイド類似体(例えばメルタンシン)、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン及びビンクリスチン)、エポチロン(例えばエポチロンB)、カンプトテシン及びその臨床上の類似体トポテカン及びイリノテカンなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
「化学療法剤(chemotherapeuticまたはchemotherapeutic agent)」はその明白で通常の意味に従って用いられ、抗腫瘍特性または細胞の増殖(growthまたはproliferation)を阻害する能力を有する化学組成物または化合物をいう。
本明細書中では、用語「がん」とは、白血病、黒色腫、癌腫、及び肉腫を含む、哺乳動物(例えばヒト)に見られる全ての種類のがん、新生物または悪性腫瘍をいう。本明細書において提供される化合物または方法で治療し得る例示的ながんとしては、脳がん、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、前立腺がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、及び頭部のがんが挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で治療し得る例示的ながんとしては、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮、髄芽細胞腫、大腸、膵臓のがんが挙げられる。更なる例としては、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、未分化星細胞腫、星細胞腫、中枢性神経細胞腫、脈絡叢癌、脈絡叢乳頭腫、脈絡叢腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、上衣腫瘍、線維性星細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、多形性神経膠芽腫、大脳神経膠腫症、神経膠腫肉腫、血管外皮細胞腫、髄芽細胞腫、髄上皮腫、髄膜癌腫症、神経芽細胞腫、神経細胞腫、乏突起星細胞腫、乏突起神経膠腫、視神経鞘髄膜腫、小児上衣腫、毛様細胞性星細胞腫、松果体芽腫、松果体芽細胞腫、多形退形成神経芽細胞腫、多形黄色星細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、蝶形骨翼髄膜腫、上衣下巨細胞性星細胞腫、上衣下腫、または三側性網膜芽細胞腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増多症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前悪性皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、泌尿生殖路がん、悪性高カルシウム血症、子宮体がん、副腎皮質がん、膵内分泌部もしくは膵外分泌部の腫瘍、髄様甲状腺がん、髄様甲状腺癌、黒色腫、大腸がん、甲状腺乳頭がん、肝細胞癌、または前立腺がんが挙げられる。
用語「白血病」とは、広義には、血液形成器官の進行性、悪性疾患をいい、一般に、血液及び骨髄における白血球及びそれらの前駆体の歪んだ増殖及び発生を特徴とする。白血病は、一般に、(1)当該疾患の継続期間及び特徴、すなわち急性または慢性、(2)関与する細胞の種類、すなわち、骨髄性(myeloid)(骨髄性(myelogenous))、リンパ性(lymphoid)(リンパ性(lymphogenous))または単球性、ならびに(3)血液中の異常な細胞の数の増加または非増加、すなわち、白血病性または無白血病性(亜白血病性)に基づいて臨床的に分類される。本明細書において提供される化合物または方法で治療し得る例示的な白血病としては、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、無白血病性白血病、a leukocythemic leukemia、好塩基性球性白血病、芽球性白血病(blast cell leukemia)、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胎性細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリーセル白血病、血球芽細胞性白血病(hemoblastic leukemia)、血球芽細胞性白血病(hemocytoblastic leukemia)、組織球白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病(lymphatic leukemia)、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性白血病(lymphogenous leukemia)、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血病性白血病、または未分化細胞白血病が挙げられる。
用語「肉腫」とは、一般に、胚性結合組織様の物質から構成され、一般に線維性または均質な物質に包埋された密集した細胞からなる腫瘍を意味する。本明細書において提供される化合物または方法で治療し得る肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、Abemethy’s sarcoma、脂肪肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcopma)、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ボトリオイド肉腫、クロローマ肉腫、絨毛癌(chorio carcinoma)、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性出血肉腫、B細胞の免疫芽細胞肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽細胞肉腫、イェンセン肉腫、カポージ肉腫、クップファー細胞肉腫、血管肉腫、白肉腫、悪性間葉腫肉腫(malignant mesenchymoma sarcoma)、傍骨性肉腫、網状赤血球性肉腫(reticulocytic sarcoma)、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑液肉腫、または毛細血管拡張性肉腫(telangiectatic sarcoma)が挙げられる。
用語「黒色腫」とは、皮膚及び他の器官のメラノサイト系から生じる腫瘍を意味すると解される。本明細書において提供される化合物または方法で治療し得る黒色腫としては、例えば、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、または表在性拡散性黒色腫が挙げられる。
用語「癌腫」とは、周囲組織に浸潤し、転移を引き起こす傾向がある上皮細胞からなる悪性新生物をいう。本明細書において提供される化合物または方法で治療し得る例示的な癌腫としては、例えば、髄様甲状腺髄様癌、家族性髄様甲状腺癌、腺房癌、小葉癌、腺様嚢胞癌(adenocystic carcinoma)、腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)、腺腫性癌、副腎皮質の癌、肺胞癌、肺胞上皮細胞癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底扁平細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、cerebriform carcinoma、胆管細胞癌、絨毛癌(chorionic carcinoma)、粘液癌、面皰癌、子宮体癌(corpus carcinoma)、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱癌(cylindrical carcinoma)、円柱細胞癌(cylindrical cell carcinoma)、腺管癌、硬性癌(carcinoma durum)、胎児性癌、髄様癌、類表皮癌、上皮性腺様癌(carcionma epitheliale adenoides)、外向発育癌、潰瘍癌、線維性癌(carcinoma fibrosum)、膠様癌(gelatinform carcinoma)、膠様癌(gelatinous carcinoma)、巨細胞癌(giant cell carcinoma)、巨細胞癌(carcinoma gigantocellulare)、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌(hematoid carcinoma)、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子様癌(hyaline carcinoma)、腎細胞癌(hypernephroid carcinoma)、小児型胎児性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、上皮内癌(intraepidermal carcinoma)、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロンペッカー癌(Krompecher’s carcinoma)、クルチッキー細胞癌(Kulchitzky−cell carcinoma)、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌(lipomatous carcinoma)、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色腫(melanotic carcinoma)、髄様癌(carcinoma molle)、粘液性癌(mucinous carcinoma)、carcinoma muciparum、粘液細胞性癌(carcinoma mucocellulare)、粘液性類表皮癌、粘液癌(carcinoma mucosum)、粘液性癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌(carcinoma myxomatodes)、上咽頭癌、エンバク細胞癌、骨化性癌(carcinoma ossificans)、類骨癌(osteoid carcinoma)、乳頭癌、門脈周囲癌(periportal carcinoma)、前浸潤癌、有スパイン細胞癌、髄質様癌(pultaceous carcinoma)、腎細胞癌(renal cell carcinoma of kidney)、予備細胞癌、肉腫様癌(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダー癌、硬性癌(scirrhous carcinoma)、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、solanoid carcinoma、回転楕円面細胞癌(spheroidal cell carcinoma)、紡錘体細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌(squamous carcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、string−stricture carcinoma、毛細血管拡張性癌(carcinoma telangiectaticum)、毛細血管拡張様癌(carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、いぼ状癌、または絨毛癌(carcinoma villosum)が挙げられる。
本明細書に記載の化合物は、複数の当該化合物の間で互いに、がんの治療に有用であることが知られている他の活性薬剤と、または単独では有効となり得ないが、本活性薬剤の有効性に寄与し得る補助剤と組み合わせて用いることができる。
本明細書では、用語「異常な」とは、正常とは異なることをいう。酵素活性またはタンパク質機能を記述するために用いられる場合、異常なとは、正常な対照試料または正常な病的でない対照試料の平均値よりも高いもしくは低い活性または機能をいう。異常な活性とはその結果疾患が生じる量の活性を指す場合があり、(例えば、本明細書に記載の化合物を投与することまたは本明細書に記載の方法を用いることによって)異常な活性を正常なまたは疾患と関連しない量に戻すことにより、当該疾患または疾患の1もしくは複数の症状が低減される。
本明細書では、用語「シグナル伝達経路」とは、細胞成分及び任意選択で細胞外成分(例えば、タンパク質、核酸、小分子、イオン、脂質)間の一連の相互作用であって、上記成分が1種の成分の変化を1種または複数種の他の成分に伝達し、その次には上記他の成分が更なる成分に変化を伝達してもよく、上記変化が任意選択で他のシグナル伝達経路の成分に伝達される、上記相互作用をいう。例えば、ファスシンタンパク質の本明細書に記載の化合物との結合によって、ファスシンタンパク質によって触媒される反応の生成物のレベルが低下する、または上記結合によって、ファスシンタンパク質もしくはファスシンタンパク質の反応生成物と下流のエフェクターもしくはシグナル伝達経路の成分との間の相互作用が低下し、その結果、細胞の増殖(growth)、増殖(proliferation)、または生存率の変化が生じる場合がある。
本明細書では、用語「約」とは、明示された値を含むある範囲の値であって、当業者が上記明示した値と合理的に同様と考える上記特定の値を含む範囲の値を意味する。実施形態において、約とは、当該技術分野で一般的に許容される測定法を用いた標準偏差内であることを意味する。実施形態において、約とは、明示された値の+/−10%に及ぶ範囲を意味する。実施形態において、約は明示された値を意味する。
実施形態において、置換または未置換部分(例えば、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルキレン、置換もしくは未置換ヘテロアルキレン、置換もしくは未置換シクロアルキレン、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは未置換アリーレン、及び/または置換または未置換ヘテロアリーレン)は未置換である(例えば、それぞれ、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、未置換ヘテロアリール、未置換アルキレン、未置換ヘテロアルキレン、未置換シクロアルキレン、未置換ヘテロシクロアルキレン、未置換アリーレン、及び/または未置換ヘテロアリーレンである)。実施形態において、置換または未置換部分(例えば、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルキレン、置換もしくは未置換ヘテロアルキレン、置換もしくは未置換シクロアルキレン、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは未置換アリーレン、及び/または置換もしくは未置換ヘテロアリーレン)は置換されている(例えば、それぞれ、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレンである)。
実施形態において、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1の置換基で置換されており、上記置換部分が複数の置換基で置換されている場合には、それぞれの置換基は任意選択で異なっていてもよい。実施形態において、上記置換部分が複数の置換基で置換されている場合には、それぞれの置換基は異なる。
実施形態において、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1の大きさが限定された置換基で置換されており、上記置換部分が複数の大きさが限定された置換基で置換されている場合には、それぞれの大きさが限定された置換基は任意選択で異なっていてもよい。実施形態において、上記置換部分が複数の大きさが限定された置換基で置換されている場合には、それぞれの大きさが限定された置換基は異なる。
実施形態において、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1の低級置換基で置換されており、上記置換部分が複数の低級置換基で置換されている場合には、それぞれの低級置換基は任意選択で異なっていてもよい。実施形態において、上記置換部分が複数の低級置換基で置換されている場合には、それぞれの低級置換基は異なる。
実施形態において、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1の置換基、大きさが限定された置換基、または低級置換基で置換されており、上記置換部分が置換基、大きさが限定された置換基、及び低級置換基から選択される複数の基で置換されている場合には、それぞれの置換基、大きさが限定された置換基、及び/または低級置換基は任意選択で異なっていてもよい。実施形態において、上記置換部分が置換基、大きさが限定された置換基、及び低級置換基から選択される複数の基で置換されている場合には、それぞれの置換基、大きさが限定された置換基、及び/または低級置換基は異なる。
部分が置換されている場合(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/または置換ヘテロアリーレン)、当該部分は、少なくとも1の置換基(例えば、置換基、大きさが限定された置換基、または低級置換基)で置換されており、各置換基は任意選択で異なる。更に、部分上に複数の置換基が存在する場合には、それぞれの置換基は任意選択で異なっていてもよい。
用語「ファスシン」とは、アクチン架橋タンパク質である54〜58kDaのタンパク質をいう。用語「ファスシン」とは、ヒトファスシンのヌクレオチド配列またはタンパク質配列(例えば、Entrez 6624、OMIM 602689、Uniprot Q16658、RefSeq NM_003088、またはRefSeq NP003079)をいう場合がある。用語「ファスシン」は、野生型形態の上記ヌクレオチド配列またはタンパク質のみならず、それらの任意の突然変異体も含む。いくつかの実施形態において、「ファスシン」は野生型ファスシンである。いくつかの実施形態において、「ファスシン」は1種または複数種の変異型である。いくつかの実施形態において、ファスシンはヒトファスシンである。いくつかの実施形態において、上記ファスシンは参照番号GI:347360903に対応するヌクレオチド配列を有する。実施形態において、上記ファスシンはRefSeq NM_003088.3に対応するヌクレオチド配列を有する。実施形態において、上記ファスシンはRefSeq NP_003079.1に対応するタンパク質配列を有する。
用語「スパイン形成」などとは、通常の慣習的な意味において、ニューロンにおける樹状突起スパインの発生(例えば、成長及び/または成熟)をいう。実施形態において、本明細書において提供される化合物は、スパイン形態に影響を与えることなくスパイン形成を促進する。上記促進は上記化合物の投与がない場合との比較である。
用語「イン・ビトロ」はその通常の意味に従って用いられ、(例えば、プロセス(例えば方法)または複合体(例えば化合物−タンパク質抱合体)の文脈において)生物(例えばヒト)の体外であることをいう。例えば、イン・ビトロ化合物は、実験室におけるベシクル(例えば、試験管、ペトリ皿、またはフラスコ)中の化合物である。
本明細書では、用語「樹状突起」とは、ニューロン細胞の分枝した延長部分をいう。樹状突起は、一般的には、周囲のニューロンの軸索から伝達される電気化学的シグナルの受信を担っている。用語「樹状突起スパイン(dendritic spineまたはdendrite spine)」とは、ニューロン細胞上(例えば樹状突起上)の原形質突起をいう。実施形態において、樹状突起スパインは、膜状であり端部が小頭(例えば頭部)になっている頸部を有するものとして記述される場合があり、それらの形状、すなわち、頭部なし型、薄型、切り株型、キノコ型、または分岐型に従って分類される。したがって、樹状突起スパイン密度とは、ニューロン細胞の単位長さ当たりの樹状突起スパインの総数をいう。例えば、樹状突起スパイン密度は、図5−2Bに示すように、ミクロン当たりの樹状突起スパインの数として報告される場合がある。樹状突起スパインに関する更なる情報はKoch and Zador, J. Journal of Neuroscience 1 February 1993, 13 (2) 413−422で見ることができ、該文献は全ての目的に対してその全体が本明細書に援用される。
用語「樹状突起スパイン形成」などとは、通常の及び慣習的な意味において、樹状突起スパインの数の増加または樹状突起スパインの発生の増加に繋がる過程をいう。用語「樹状突起スパイン形態」などとは、通常の及び慣習的な意味において、樹状突起スパインの物理的キャラクタリゼーション(例えば、形状及び構造)をいう。樹状突起スパイン形態の改善とは、機能(例えば、ニューロン間の接触の数または隣接するニューロン間の空間(例えばシナプス間隙)の減少)を増加させる形態の変化(例えば、長さの増加または幅の増加)である。当該技術分野で公知であり、且つ本明細書に開示されるように、かかるキャラクタリゼーションのための例示的な方法としては、樹状突起スパインの寸法(すなわち、長さ及び幅)の測定が挙げられる。したがって、用語「樹状突起スパイン形態の改善」とは、一般に、樹状突起スパインの長さ、幅、または長さ及び幅の両方を増加させることをいう。
「結合」はその明白で通常の意味に従って用いられ、少なくとも2種の異なる種(例えば、生体分子を含む化合物、または細胞)を十分に近接させて、反応または相互作用させ、それによって分子複合体を形成することをいう。例えば、2種の異なる種(例えば、タンパク質と本明細書に記載の化合物)の結合の結果、上記の種が非共有結合または共有結合を介して相互作用している分子複合体を形成する場合がある。実施形態において、2種の異なる種(例えば、タンパク質と本明細書に記載の化合物)が非共有結合(例えば、静電結合、ファンデルワールス結合、または疎水性結合)を介して相互作用する場合に、結果としての分子複合体が形成される。
II.化合物
ある態様において、式(I)
Figure 2019504879
を有する化合物が提供される。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。記号X及びXは独立にハロゲンである。記号z1及びz2は独立に0〜4の整数である。記号nは1〜20の整数である。
別の態様において、式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む複合体(例えばイン・ビトロ複合体)が提供される。記号Yは−NR−または−S−である。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。Rは水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルである。記号X及びXは独立にハロゲンである。記号z1及びz2は独立に0〜4の整数である。記号nは1〜20の整数である。
実施形態において、Yは−NR−である。実施形態において、Yは−N(CH)−である。実施形態において、Yは−NH−である。実施形態において、Yは−S−である。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)、置換もしくは未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)、置換もしくは未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)、置換もしくは未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)、または置換もしくは未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは−CHである。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アリール、あるいは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換または未置換アルキルである。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)アルキルである。実施形態において、Rは未置換アルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは未置換ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換シクロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)シクロアルキルである。実施形態において、Rは未置換シクロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは未置換ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アリールである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)アリールである。実施形態において、Rは未置換アリールである。実施形態において、Rは置換または未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。実施形態において、Rは置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。実施形態において、Rは未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロアリールである。実施形態において、Rは未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)、置換もしくは未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)、置換もしくは未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)、置換もしくは未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)、または置換もしくは未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。
実施形態において、Rは置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換もしくは未置換アルキルである。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アリール、あるいは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアリールである。
実施形態において、Rは独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)アルキルである。実施形態において、Rは未置換アルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換アルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは未置換ヘテロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロアルキル(例えば、2〜8員、2〜6員、4〜6員、2〜3員、もしくは4〜5員)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換シクロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)シクロアルキルである。実施形態において、Rは未置換シクロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。実施形態において、Rは未置換シクロアルキル(例えば、C〜C、C〜C、C〜C、もしくはC〜C)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは未置換ヘテロシクロアルキルである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3〜8員、3〜6員、4〜6員、4〜5員、もしくは5〜6員)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換アリールである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)アリールである。実施形態において、Rは未置換アリールである。実施形態において、Rは置換または未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。実施形態において、Rは置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。実施形態において、Rは未置換アリール(例えば、C〜C10もしくはフェニル)である。
実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、または低級置換基(複数可)で置換された)ヘテロアリールである。実施形態において、Rは未置換ヘテロアリールである。実施形態において、Rは置換または未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。実施形態において、Rは未置換ヘテロアリール(例えば、5〜10員、5〜9員、もしくは5〜6員)である。
実施形態において、Rは水素あるいは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは水素である。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)または未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは置換(例えば、置換基(複数可)、大きさが限定された置換基(複数可)、もしくは低級置換基(複数可)で置換された)C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは未置換C〜Cアルキルである。実施形態において、Rは−CHである。実施形態において、Rは水素である。
実施形態において、XはF、Cl、Br、またはIである。実施形態において、XはFである。実施形態において、XはClである。実施形態において、XはBrである。実施形態において、XはIである。XはF、Cl、Br、またはIである。実施形態において、XはFである。実施形態において、XはClである。実施形態において、XはBrである。実施形態においてXはIである。
実施形態において、z1は0である。実施形態において、z1は1である。実施形態において、z1は2である。実施形態において、z1は3である。実施形態において、z1は4である。実施形態において、z2は0である。実施形態において、z2は1である。実施形態において、z2は2である。実施形態において、z2は3である。実施形態において、z2は4である。実施形態において、z1は1でありz2は0である。実施形態において、z1は0または1である。実施形態において、z2は0または1である。
実施形態において、nは1〜20の整数である。実施形態において、nは1〜15の整数である。実施形態において、nは1〜14の整数である。実施形態において、nは1〜13の整数である。実施形態において、nは1〜12の整数である。実施形態において、nは1〜12の整数である。実施形態において、nは、3〜12の整数である。実施形態において、nは3〜10の整数である。実施形態において、nは3〜8の整数である。実施形態において、nは3〜6の整数である。実施形態において、nは3〜5の整数である。実施形態において、nは1である。実施形態において、nは2である。実施形態において、nは3である。実施形態において、nは4である。実施形態において、nは5である。実施形態において、nは6である。実施形態において、nは7である。実施形態において、nは8である。実施形態において、nは9である。実施形態において、nは10である。実施形態において、nは11である。実施形態において、nは12である。実施形態において、nは13である。実施形態において、nは14である。実施形態において、nは15である。実施形態において、nは16である。実施形態において、nは17である。実施形態において、nは18である。実施形態において、nは19である。実施形態において、nは20である。実施形態において、nは3または5である。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有し、式中、R、z1、n、及びYは本明細書に記載したとおりである。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有し、式中、R、n、及びYは本明細書に記載したとおりである。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有し、式中、R、z1、n、及びRは本明細書に記載したとおりである。実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有し、式中、R、z1、及びnは本明細書に記載したとおりである。実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有し、式中、nは本明細書に記載したとおりである。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有する。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有する。
実施形態において、上記化合物は式
Figure 2019504879
を有する。
ある態様において、式
Figure 2019504879
を有する化合物が提供される。実施形態において、上記化合物は
Figure 2019504879
である。実施形態において、上記化合物は
Figure 2019504879
である。
実施形態において、式
Figure 2019504879
(式中、R、z1、n、及びYは本明細書に記載したとおりである)を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む上記イン・ビトロ複合体。実施形態において、上記イン・ビトロ複合体は式
Figure 2019504879
(式中、R、z1、n、及びRは本明細書に記載したとおりである)を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む。実施形態において、上記イン・ビトロ複合体は式
Figure 2019504879
(式中、R、z1、及びnは本明細書に記載したとおりである)を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む。実施形態において、式
Figure 2019504879
(式中、nは本明細書に記載したとおりである)を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含む上記イン・ビトロ複合体。
実施形態において、本明細書に記載の化合物は非毒性である。実施形態において、本明細書に記載の化合物は細胞に対して有害ではない。毒性を測定するための方法は、Prangkio et al. (Prangkio et al;PLoS One. 2012;7(10): e47261.)及びP. Prangkio et al. (Biochimica et Biophysica Acta 1808 (2011) 2877−2885)に記載されており、該文献は全ての目的のためにそれらの全体が援用される。実施形態において、疾患(例えば神経疾患)を治療するための治療上の有効濃度は致死濃度(例えばLD50)未満である。
実施形態において、本化合物は約950〜約990Åの溶媒接触表面積(SASA)を有する。実施形態において、本化合物は約960〜約990Åの溶媒接触表面積(SASA)を有する。実施形態において、本化合物は約960〜約985Åの溶媒接触表面積(SASA)を有する。実施形態において、上記溶媒接触面積(SASA)の測定値は、本明細書に記載されるPyMOLを用いて測定される。実施形態において、本化合物は約990Å未満の溶媒接触表面積(SASA)を有する。実施形態において、本化合物は約985Å未満の溶媒接触表面積(SASA)を有する。
III.医薬組成物
ある態様において、薬学的に許容される賦形剤及び本明細書に記載の化合物または複合体であって、その実施形態を含む上記化合物または複合体を含む医薬組成物が提供される。実施形態において、本医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤及び本明細書に記載の化合物であって、その実施形態を含む上記化合物を含む。実施形態において、本医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤及び本明細書に記載の複合体であって、その実施形態を含む上記複合体を含む。実施形態において、本医薬組成物は有効量の上記化合物または複合体(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。実施形態において、本医薬組成物は治療上の有効量の上記化合物または複合体(例えば、本明細書中に記載されるもの)を含む。
実施形態において、本医薬組成物は、疾患(例えば、がんまたは神経疾患)を有する対象の治療であって、治療上の有効量の本明細書に記載の化合物または複合体及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を上記対象に投与することによる上記治療用である。
IV.方法
ある態様において、それを必要とする対象における樹状突起スパイン形成を増加させる方法、樹状突起スパイン密度を増加させる方法、または樹状突起スパイン形態の改善方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物であり、その実施形態を含む上記化合物(例えば、式(I)または式(II))を、上記対象に投与することを含む上記方法が提供される。実施形態において、本方法は樹状突起スパイン密度を増加させることである。実施形態において、本方法は、対照(例えば、投与された化合物の非存在)と比較して樹状突起スパイン密度を増加させることを含む。実施形態において、本方法は、有効量の、実施形態を含む本明細書に記載の式Iを有する化合物を上記対象に投与することを含む。
実施形態において、本方法は一次海馬ニューロンにおいて樹状突起スパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は新たなスパインの形成を促進することによってスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または約100%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または100%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または約70%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%増加させる。
実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10000倍、100,000倍、1,000,000倍に増加させる。
実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または約20%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を15%、16%、17%、18%、19%、または約20%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を約20%増加させる。実施形態において、本方法は、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパイン密度)と比較して、スパイン密度を約15%〜25%増加させる。
実施形態において、本方法はニューロン当たりのスパインの総数を増加させる。実施形態において、対照(例えば、本化合物の非存在下でのスパインの総数)と比較して、ニューロン当たり約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100,200、300、400、500、600、700、800、900、または約1000多いスパインが存在する。
実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約4時間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約8時間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約12時間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約16時間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約24時間、スパイン密度の増加が持続する。
実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約1日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約1.5日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約2日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約2.5日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約3日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約3.5日間、スパイン密度の増加が持続する。実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後約4日間、スパイン密度の増加が持続する。
実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後1時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後2時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後4時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後6時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後8時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後10時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後12時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後14時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後16時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後20時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後24時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後36時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後48時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後72時間以内にスパイン密度を増加させる。実施形態において、本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物の投与後96時間以内にスパイン密度を増加させる。
実施形態において、本方法は、対照と比較して、樹状突起スパイン形成を増加させ、樹状突起スパイン密度を増加させ、または樹状突起スパイン形態を改善する。実施形態において、本方法は樹状突起形成を増加させる。実施形態において、本方法は樹状突起スパイン密度を増加させる。いくつかの実施形態において、本方法は樹状突起スパイン形態を改善する。
別の態様において、ファスシンタンパク質の結合方法であって、上記ファスシンタンパク質を有効量の、式(II)を有する化合物であり、その実施形態を含む上記化合物に接触させることを含む上記方法が提供される。実施形態において、上記化合物は、実施形態を含む、本明細書に記載の式(I)を有する化合物である。
別の態様において、ファスシンタンパク質の活性の調節方法であって、上記ファスシンタンパク質を有効量の、式(II)を有する化合物であり、その実施形態を含む上記化合物に接触させることを含む上記方法が提供される。実施形態において、本方法は阻害である。実施形態において、本方法は活性化である。実施形態において、上記化合物は、実施形態を含む、本明細書に記載の式(I)を有する化合物である。
ある態様において、かかる治療を必要とする患者におけるがんの治療方法であって、治療上の有効量の、式(II)を有する化合物であり、その実施形態を含む上記化合物を上記患者に投与することを含む上記方法が提供される。実施形態において、上記がんは転移性がんである。転移性がんはその通常の意味に従って用いられ、原発部位(すなわち初発した場所)から身体の異なる領域(複数可)に広がったがんまたは新生物をいう。実施形態において、上記がんの治療方法はがん細胞の遊走を低減することを含む。実施形態において、上記がんの治療方法はがん細胞の遊走を阻害することを含む。実施形態において、上記がんの治療方法はがん細胞の増殖を阻止する(例えば、低減するまたは防止する)ことを含む。
実施形態において、上記がんは脳がんである。実施形態において、上記がんは神経膠芽腫である。実施形態において、上記がんは、未分化星細胞腫、星細胞腫、中枢性神経細胞腫、脈絡叢癌、脈絡叢乳頭腫、脈絡叢腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、上衣腫瘍、線維性星細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、多形性神経膠芽腫、大脳神経膠腫症、神経膠腫肉腫、血管外皮細胞腫、髄芽細胞腫、髄上皮腫、髄膜癌腫症、神経芽細胞腫、神経細胞腫、乏突起星細胞腫、乏突起神経膠腫、視神経鞘髄膜腫、小児上衣腫、毛様細胞性星細胞腫、松果体芽腫、松果体芽細胞腫、多形退形成神経芽細胞腫、多形黄色星細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、蝶形骨翼髄膜腫、上衣下巨細胞性星細胞腫、上衣下腫、または三側性網膜芽細胞腫である。実施形態において、上記がんはファスシンを発現する。実施形態において、上記がんは検出可能なレベルのファスシンを発現する。実施形態において、上記がんは対照(例えば、正常細胞、当該がん細胞と同一の細胞型の非がん細胞)と比較して高いレベルのファスシンを発現する。
実施形態において、上記がんは未分化星細胞腫である。実施形態において、上記がんは星細胞腫である。実施形態において、上記がんは中枢性神経細胞腫である。実施形態において、上記がんは脈絡叢癌である。実施形態において、上記がんは脈絡叢乳頭腫である。実施形態において、上記がんは脈絡叢腫瘍である。実施形態において、上記がんは胚芽異形成性神経上皮腫瘍である。実施形態において、上記がんは上衣腫瘍である。実施形態において、上記がんは線維性星細胞腫である。実施形態において、上記がんは巨細胞神経膠芽腫である。実施形態において、上記がんは多形性神経膠芽腫である。実施形態において、上記がんは大脳神経膠腫症である。実施形態において、上記がんは神経膠腫肉腫である。実施形態において、上記がんは血管外皮細胞腫である。実施形態において、上記がんは髄芽細胞腫である。実施形態において、上記がんは髄上皮腫である。実施形態において、上記がんは髄膜癌腫症である。実施形態において、上記がんは神経芽細胞腫である。実施形態において、上記がんは神経細胞腫である。実施形態において、上記がんは乏突起星細胞腫である。実施形態において、上記がんは乏突起神経膠腫である。実施形態において、上記がんは視神経鞘髄膜腫である。実施形態において、上記がんは小児上衣腫である。実施形態において、上記がんは毛様細胞性星細胞腫である。実施形態において、上記がんは松果体芽腫である。実施形態において、上記がんは松果体芽細胞腫である。実施形態において、上記がんは多形退形成神経芽細胞腫である。実施形態において、上記がんは多形黄色星細胞腫である。実施形態において、上記がんは原発性中枢神経系リンパ腫である。実施形態において、上記がんは蝶形骨翼髄膜腫である。実施形態において、上記がんは上衣下巨細胞性星細胞腫である。実施形態において、上記がんは上衣下腫である。いくつかの実施形態において、上記がんは三側性網膜芽細胞腫である。
ある態様において、かかる治療を必要とする患者における神経疾患の治療方法であって、治療上の有効量の、式(I)を有する化合物であり、その実施形態を含む上記化合物を上記患者に投与することを含む上記方法が提供される。実施形態において、上記神経疾患はアルツハイマー病である。実施形態において、上記神経疾患は自閉症である。実施形態において、上記神経疾患は脆弱X症候群である。実施形態において、上記神経疾患はパーキンソン病である。実施形態において、上記神経疾患は神経機能障害を含む。用語「神経機能障害」などとは、通常の慣習的な意味において、ニューロンの有効な機能における萎縮またはその他の減少をいう。例えば、アルツハイマー病は、特に皮質ニューロン、例えば、海馬ニューロン及び海馬に近位のニューロンにおける神経機能障害を示すことが知られている。
実施形態において、上記神経疾患は、異常な樹状突起スパイン形態、スパインの大きさ、スパインの可塑性、スパインの運動性、スパイン密度及び/または異常なシナプス機能に関連する。実施形態において、上記神経疾患は樹状突起スパイン密度のレベルの異常(例えば低下)と関連する。実施形態において、上記神経疾患はアルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、脳卒中、外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳障害(TBD)、慢性外傷性脳症(CTE)、統合失調症、認知症(例えば一般的な認知症)、注意欠陥多動障害(ADHD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症(FTLD)(例えば、FTLD−タウ、FTLD−TDP、またはFTLD−FUS)、記憶喪失(例えば、加齢に関連した記憶喪失)、高血圧性脳症、または長期ストレスである。
実施形態において、上記神経疾患はアルツハイマー病である。実施形態において、上記神経疾患はパーキンソン病である。実施形態において、上記神経疾患は自閉症である。実施形態において、上記神経疾患は脳卒中である。実施形態において、上記神経疾患は外傷後ストレス障害(PTSD)である。実施形態において、上記神経疾患は外傷性脳障害(TBD)である。実施形態において、上記神経疾患は慢性外傷性脳症(CTE)である。実施形態において、上記神経疾患は統合失調症である。実施形態において、上記神経疾患は認知症(例えば一般的な認知症)である。実施形態において、上記神経疾患は注意欠陥/多動性障害(ADHD)である。実施形態において、上記神経疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。実施形態において、上記神経疾患は前頭側頭葉変性症(FTLD)(例えば、FTLD−タウ、FTLD−TDP、またはFTLD−FUS)である。実施形態において、上記神経疾患は記憶喪失である。実施形態において、上記神経疾患は記憶喪失を含む。実施形態において、上記神経疾患は加齢に関連した記憶喪失である。実施形態において、上記神経疾患は加齢に関連した記憶喪失を含む。実施形態において、上記神経疾患は高血圧性脳症である。実施形態において、上記神経疾患は長期ストレスである。実施形態において、上記神経疾患は長期ストレスを含む。実施形態において、上記神経疾患はFTLD−TDP A型である。実施形態において、上記神経疾患はFTLD−TDP B型である。実施形態において、上記神経疾患はFTLD−TDP C型である。実施形態において、上記神経疾患はFTLD−TDP D型である。
実施形態において、脳細胞における細胞の変化が上記神経疾患の発症の一因である。実施形態において、脳における樹状突起スパイン密度のレベルの異常(例えば低下)が上記神経疾患の発症の一因である。
用語「記憶」などとは、通常の慣習的な意味において、対象によって情報がコード化され、格納され、読み出される過程をいう。記憶の文脈における用語「コード化する」、「登録する(register)」などとは、通常の慣習的な意味において、感覚に作用する情報を化学的または物理的刺激として受信し、処理し、結合することをいう。この文脈における用語「格納された」などとは、通常の慣習的な意味において、コード化された情報の記録の作成をいう。この文脈における用語「読み出す」、「再生する」などとは、通常の慣習的な意味において、格納された情報を呼び戻すことをいう。読み出しは、当該技術分野で公知であるとおり、きっかけに応じるものであってもよい。実施形態において、記憶喪失とは、情報をコード化する、格納する、または読み出す能力の減退をいう。
実施形態において、上記記憶は再認記憶または再生記憶であってよい。この文脈において、「再認記憶」とは、過去に遭遇した刺激の回想をいう。上記刺激は、当該技術分野で公知のとおり、例えば、単語、場面、音、匂いなどであることができる。より広範な種類の記憶としては、過去に学習された情報の読み出しを伴う「再生記憶」、例えば、対象が過去に遭遇した一連の動作、単語または番号の一覧などがある。対象によって示される記憶のコード化、格納及び読み出しのレベルを評価するための方法は当該技術分野で周知であり、本明細書に開示される方法を含む。
例えば、実施形態において、上記方法は、該方法を必要とし、神経疾患を有する対象において記憶を改善する。実施形態において、上記方法は上記対象において記憶を改善する。実施形態において、上記方法は上記対象において神経機能障害または認知機能障害を治療する。実施形態において、上記方法は上記対象において神経機能障害を治療する。実施形態において、上記対象において認知機能障害を治療する。
本明細書に開示されるいずれかの態様に付言すると、実施形態において、上記対象は脳傷害を抱えている。それに反する明示がない限り、用語「脳傷害」などとは、脳組織への損傷をいう。脳傷害の種類としては、脳損傷(すなわち、脳細胞の破壊または変性)、外傷性脳傷害(すなわち、脳に対する外力の結果として生じる損傷)、脳卒中(すなわち、例えば酸素欠乏によって、脳を一時的にまたは永続的に損傷する血管事象)、及び後天的脳傷害(すなわち、出生時に存在しない脳損傷)が挙げられる。実施形態において、上記方法は上記対象において記憶を改善する。実施形態において、上記方法は上記対象において学習を改善する。実施形態において、上記方法は上記対象において神経機能障害または認知機能障害を治療する。実施形態において、上記方法は上記対象において神経機能障害を治療する。実施形態において、上記方法は認知機能障害を治療する。
実施形態において、上記神経性疾患の治療方法は、治療上の有効量の、式
Figure 2019504879
を有する化合物を当該患者に投与することを含む。
V.実施形態
実施形態P1 式(II)
Figure 2019504879
(式中、
〜Rは独立に、水素、ハロゲン、−CF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOCl、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
nは1〜20である)
の構造を有する化合物。
実施形態P2 ニューロンにおけるスパイン密度を増加させる方法であって、上記ニューロンを、式(I)または式(II)
Figure 2019504879
(式中、
〜Rは独立に、水素、ハロゲン、−CF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOCl、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
は水素または置換もしくは未置換アルキルであり、
nは1〜20である)
の化合物と接触させることを含む上記方法。
実施形態P3 疾患または障害の治療方法であって、該方法を必要とする対象に、有効量の式(I)または式(II)
Figure 2019504879
(式中、
〜Rは独立に、水素、ハロゲン、−CF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOCl、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
は水素または置換もしくは未置換アルキルであり、
nは1〜20である)
の化合物を投与することを含む上記方法。
実施形態P4 薬学的に許容される賦形剤及び式(I)または式(II)
Figure 2019504879
(式中、
〜Rは独立に、水素、ハロゲン、−CF、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOCl、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−NHC=(O)NH、−NHSOH、−NHC=(O)H、−NHC(O)−OH、−NHOH、−OCF、−OCHF、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
は水素または置換もしくは未置換アルキルであり、
nは1〜20である)
の化合物を含む医薬組成物。
VI.更なる実施形態
実施形態1
式(I)
Figure 2019504879
を有する化合物であって、
式中、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
及びXは独立にハロゲンであり、
z1及びz2は独立に0〜4の整数であり、
nは1〜12の整数である
上記化合物。
実施形態2 Rが置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである、実施形態1の化合物。
実施形態3 Rが置換または未置換アルキルである、実施形態1の化合物。
実施形態4 Rが置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである、実施形態1〜3のいずれか1の化合物。
実施形態5 Rが置換または未置換アルキルである、実施形態1〜3のいずれか1の化合物。
実施形態6 z1が0または1である、実施形態1〜5のいずれか1の化合物。
実施形態7 z1が0である、実施形態1〜5のいずれか1の化合物。
実施形態8 z2が0である、実施形態1〜7のいずれか1の化合物。
実施形態9 nが3〜8である、実施形態1〜8のいずれか1の化合物。
実施形態10 nが3〜5である、実施形態1〜8のいずれか1の化合物。
実施形態11 式
Figure 2019504879
を有する、実施形態1の化合物。
実施形態12 式
Figure 2019504879
を有する化合物。
実施形態13 式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物に非共有結合したファスシンタンパク質を含むイン・ビトロ複合体であって、
式中、
Yは−NR−または−S−であり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
、X及びXは独立にハロゲンであり、
z1は0〜3の整数であり、
z2は0〜4の整数であり、
nは1〜12の整数である
上記複合体。
実施形態14 薬学的に許容される賦形剤及び実施形態1〜12のいずれか1の化合物または実施形態13の複合体を含む医薬組成物。
実施形態15 それを必要とする対象における樹状突起スパイン形成を増加させる方法、樹状突起スパイン密度を増加させる方法または樹状突起スパイン形態の改善方法であって、有効量の実施形態1〜12のいずれか1の化合物を上記対象に投与することを含む上記方法。
実施形態16 樹状突起スパイン密度を増加させることである、実施形態15の方法。
実施形態17 ファスシンタンパク質の結合方法であり、上記ファスシンタンパク質を有効量の式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物に接触させることを含む上記方法であって、
式中、
Yは−NR−または−S−であり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
及びXは独立にハロゲンであり、
z1及びz2は独立に0〜4の整数であり、
nは1〜12の整数である
上記方法。
実施形態18 かかる治療を必要とする患者におけるがんの治療方法であり、治療上の有効量の式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物を上記患者に投与することを含む上記方法であって、
式中、
Yは−NR−または−S−であり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
及びXは独立にハロゲンであり、
z1及びz2は独立に0〜4の整数であり、
nは1〜12の整数である
上記方法。
実施形態19 かかる治療を必要とする患者における神経疾患の治療方法であって、治療上の有効量の実施形態1〜12のいずれか1の化合物を上記患者に投与することを含む上記方法。
実施形態20 ファスシンタンパク質の活性の調節方法であり、上記ファスシンタンパク質を有効量の式(II)
Figure 2019504879
を有する化合物に接触させることを含む上記方法であって、
式中、
Yは−NR−または−S−であり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
は水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
及びXは独立にハロゲンであり、
z1及びz2は独立に0〜4の整数であり、
nは1〜12の整数である
上記方法。
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例証のみを目的とするものであること、及びそれらに照らしての種々の改変または変更が当業者に対して示唆されることになり、上記改変または変更は本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に包含されるべきものであることを理解されたい。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、本記載により、全ての目的に対して、それらの全体が参照により援用される。
A.ベンゾチアゾール両親媒性物質は一次海馬ニューロンにおける樹状突起スパインの形成を促進する。
アルツハイマー病(AD)の患者は、酸化ストレスの増加、ミトコンドリア機能不全、シナプス機能不全、カルシウム恒常性の破壊、老人斑及び神経原線維濃縮体の沈着、ならびに脳の萎縮などの多くの特徴的な神経障害を示す。如何なる理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの神経障害の原因及び結果の両方が、脳における有害な形態の凝集したAβペプチドの蓄積であると考えられている。したがって、ADの治療に対する昨今の方針は、特定のイソ型のAβペプチドの産生または凝集状態の制御を含む。他の方針は、脳におけるAβペプチドの存在量を低下させる試みにおける、アミロイド前駆体タンパク質のプロセシングを介してAβペプチドの産生に関与する酵素を標的化する小分子を含む。更に、タウオパチーまたはアポリポタンパク質E遺伝子における特定の突然変異の散発的に生じる継承などの、非アミロイド神経障害の役割に関する情報が増加しており、これが神経変性と戦うための更なる方針を活性化している。治療的介入のためのこれらの方針とは対照的に、本明細書において提供される結果は、記憶保持及び学習にとって必要な細胞機構を生み出すようにニューロンを増進することにより、ADなどの神経変性疾患の進行を逆転または遅延させるための根本的に新しい手法を裏付ける。樹状突起の複雑さ、シナプス形成、及びニューロンの全体的な適正な発生及び機能は、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの成長因子によって調節される。最近、いくつかの小分子が、神経突起の増殖の促進に関して神経栄養因子様の活性を示すことが報告されているが、これらの分子のいずれも、樹状突起スパイン形成を促進することは実証されていない。
本発明者の知る限りでは、エストロゲン(詳細にはエストラジオール)が、げっ歯動物において樹状突起スパイン密度を増進することが知られており、ヒトにおいて認知を改善することが明らかになっている小分子の唯一の例である。エストロゲン受容体に対するエストラジオールの結合は、ニューロンにおけるBDNFの発現を増加させることが明らかになっており、このことはその細胞標的化と表現型活性との間の機序面での繋がりを示す。65歳未満の閉経期の女性におけるエストロゲンホルモン療法は、プラセボと比較して認知低下の減速と相関しており、外科的に閉経となった女性において、エストロゲン療法が記憶保持に対してプラスの影響を及ぼすという際立った更なる証拠がある。残念ながら、エストロゲン療法の、十分立証され、有害であり、長期にわたる影響(例えば、がん、脳卒中及び心臓疾患の危険性の増加)によって、該療法を認知障害の治療に広く用いることはできない。
本明細書における光親和性プルダウンアッセイから提供されるデータは、BTA−EGが、新生樹状突起の細胞骨格再編成に直接関与するファスシンの活性を変化させることによって、樹状突起スパイン形成を促進することを示唆する。これらの結果は、小分子を用いた樹状突起スパイン密度の増加に対する先例のない分子経路を裏付ける。記憶及び学習の改善に繋がる小分子にとっての新たな細胞標的の特定は非常に重要であり、多くの神経変性障害及び精神発達障害の治療に有用であることが明らかになり得る。
脳の興奮性シナプスの大部分は樹状突起スパイン上に存在する。したがって、海馬における樹状突起スパイン密度の調節は、学習及び記憶において中心的な役割を果たすと考えられている。そのため、新規なスパイン密度の制御方法の開発は、神経変性障害及び発達認知障害の患者の治療に対して重要な影響を有する。本明細書において、本発明者は、一次海馬ニューロンにおける樹状突起スパイン密度の増加に繋がる用量依存性応答を示す新規な種類のベンゾチアゾール両親媒性物質の設計及び評価を報告する。細胞の曝露の検討により、これらの化合物の存在下ではスパイン密度の増加が数日間持続可能であるが、当該化合物が除去されると24時間以内に通常のスパイン密度レベルに戻ることが明らかになり、このことはスパイン形成活性を可逆的に制御する能力を示している。解離した海馬ニューロンの培養物を低速度撮影することにより、これらの化合物は新たなスパインの形成によるスパイン密度の正味の増加を促進することが明らかになる。生化学的検討によって、これらの化合物がRas依存性の機序によりスパイン形成を促進することが裏付けられる。これらのスパイン形成分子はまた、一次ニューロンにおいて、アルツハイマー病に関係する凝集アミロイドβペプチドに誘導される樹状突起スパイン喪失から救済する能力を有していた。この新たな群のスパイン形成薬剤の評価によって、該薬剤が、活性を示す濃度において比較的低い毒性しか示さないことも明らかになっている。まとめると、これらの結果は、スパイン形成を促進する小分子が、アルツハイマー病などの神経変性疾患におけるスパイン喪失に関連する認知障害の改善に潜在的に有用である可能性があり、一般的な認知増強剤として用いられる可能性もあることを示唆している。
樹状突起スパインは興奮性シナプス入力の受信を担う特殊化した突起であり、ニューロン間の通信において重要な機能を提供する[1−3]。樹状突起スパインの形態及びそれら全体の密度はシナプス機能と相関し、記憶及び学習に強く関与する[1、4、5]。その結果、樹状突起スパインの変化または誤調節はシナプス機能に影響する場合があり、自閉症、脆弱X症候群、パーキンソン病(PD)及びアルツハイマー病(AD)などの様々な神経障害及び精神障害において重要な役割を果たす[4、6〜12]。例えば、ADでは、ニューロン喪失の前に、アミロイドβ(Aβ)タンパク質によって引き起こされる海馬シナプス機能の変化によって障害が始まることを示唆する証拠が増大している[13〜16]。したがって、後期での疾患への介入ではなく、初期のシナプス喪失を標的とする治療方針が、ADの治療に対してより良好な予後を与える場合がある。更に、大部分の認知障害は樹状突起スパインの形態及び機能の異常を誘導することから、これらのスパインの変化を変えるまたは緩和する小分子を用いて、上記異常を直接標的化することが望ましい。例えば、脆弱X症候群は未成熟スパインの過剰な存在を特徴とする。
本発明者らは以前、ベンゾチアゾールアニリン(BTA)の2種のオリゴ(エチレングリコール)誘導体、BTA−EG及びBTA−EGの設計、合成、及び評価を報告しており、該誘導体はADなどの神経変性疾患の潜在的治療薬にとって有益な種々の特性を示した[17〜19]。BTA−EGは、野生型マウス及びADのマウスモデルの両方による認知能力試験において、記憶及び学習を改善する能力を示した[18、19]ことは興味深い。このBTA−EGのイン・ビボ活性は樹状突起スパイン密度の表現型の増加も伴っていた[18、19]。樹状突起スパイン密度を増加させることが知られている小分子は殆どないことから、ベンゾチアゾール両親媒性物質のこの稀有な特徴は特に興味深く、スパインと認知機能との関係を検討するのに役立つツールとして利用することもできる。
上記BTA−EGのイン・ビボ特性は、該特性が、ADならびに他の樹状突起スパインに関係する疾患における認知機能の改善に対する広範な治療上の利点を提供し得ることを示唆する[20〜22]が、本発明者らは、SH−SY5Y神経芽細胞腫細胞において、この化合物が膜内に分配され膜溶解を誘導しやすいことと関係するこの化合物の細胞毒性も認めた[23]。毒性は医薬開発のあらゆる段階における最大の問題の1つであり[24]、BTA−EGの毒性によって、そのスパイン形成の生物学的活性の大きさを十分に評価することはできなかった。
ベンゾチアゾール剤のスパイン形成を促進する能力を更に評価するために、本発明者はここで、BTA化合物の3種の新規構造変化形を設計しキャラクタライズした。これらの新規ベンゾチアゾール両親媒性物質(BAM)(本明細書では、図1に示す化合物1〜3とも呼ぶ)は、親BTA化合物と比較して実質的に毒性が低い。本発明者は、これらの新規BAM剤が樹状突起スパイン密度の増加を促進する能力を有し、凝集Aβペプチドの存在に誘導される正味のスパイン喪失を妨げることができることを明らかにする。このスパイン形成活性は一次ニューロンにおいて用量依存的であり、本発明者は、BAM1−EG(1)を代表例として用いて、細胞環境から上記化合物を除去することにより、スパイン密度の増加が可逆的であることを示す。BAM1−EGで処理した一次ニューロンの時間依存性の撮影による検討により、これらのベンゾチアゾールが新たなスパインの形成を促進することによってスパイン密度を増加させることができることが明らかになる。シグナル伝達の検討によって、これらの分子がRas−ERK1/2経路の活性化に関与することによってスパイン形成を促進することが裏付けられる。まとめると、これらの結果は、これらのBAM剤が、樹状突起スパインと認知行動との間の関係を検討するための新たな潜在的ツールとなること、及び神経変性障害及び他のスパインに関連する認知障害の治療用のスパイン形成剤の使用を探索する新たな道を開く可能性があることを示している。
BTA−EGと比較して膜中への分配が減少したベンゾチアゾール両親媒性物質(BAM)1〜3の設計及び評価。BTA−EG剤の毒性は、それらの膜中への分配されやすさと相関することを以前報告した[23]。本発明者は、これらの分子の疎水性コアを変化させることによって、該分子を膜中に分配させるためのエネルギーの駆動力が減少し、それによって該分子の分配に伴う毒性が低下するとの仮説を立てた。本発明者は、この仮説を検証するために、3種の新規化合物1〜3を設計するためのリード化合物としてBTA−EGを用いた(図1及び図2)。本発明者は、BTA−EG中の6−メチル基をアニリン窒素へ移動させるまたは6−メチル基を完全に除去することが、膜中への分配及び細胞に対する毒性を有意に低下させるのに十分に、これらの化合物の疎水性を低下させることになるか否かを検証するために、これらの新規なベンゾチアゾールを設計した。本発明者はまた、1におけるアニリン窒素を保持することの重要性を、該アニリン窒素をBAM3−EG(3)のようにイオウ基に変更することにより検証した。
計算(図3C)によって、BTA−EGに対する小さな変更は、スパイン形成特性を付与するのにおそらく必要とされる、コアであるベンゾチアゾール構造を変更することを必要とせずに、それらのオクタノール−水分配係数(logP)及びそれらの溶媒接触表面積(SASA)によって判定されるその疎水性に影響を与える可能性があることが示唆された。
計算による構造上の評価に加えて、本発明者は、親化合物であるBTA−EGと比較した新規BAM1〜3の疎水性を、これらの化合物のソルバトクロミズムの性質を利用することによって調べた。このアッセイでは、蛍光発光スペクトルを、オクタノール、水、及び細胞膜を模倣するためのリポソームの水性懸濁液中の各化合物について測定した。全ての化合物が、より疎水性の環境において(すなわち、水と比較してオクタノール中において)、最大蛍光発光の短波長側へのシフトを示した(図3A、3C)。リポソームの水性懸濁液中での発光の最大点を全ての化合物について測定し、化合物1〜3は、発光最大点の水からの変化(純オクタノール中でのλmaxに対して)が、BTA−EGのλmaxにおける50%の変化に対して29〜34%であり、BTA−EGと比較してより極性の、水様の環境を反映したλmaxを示すことが判った(図3A、3C)。これらの結果は、BAM1〜3における新規な構造上の変更によって、これらの化合物の膜中への分配がBTA−EGよりも減少することを示している。
BAM1〜3はBTA−EGと比較して毒性の低下を示した。MTT細胞増殖アッセイを行って、化合物1〜3の毒性を親化合物BTA−EGと比較した。このアッセイにおいて、BTA−EGは24時間の曝露後のIC50が90μΜであり、SH−SY5Y細胞に対して中程度の毒性を示した(図3B〜3C)。本発明者は、全てのBAM1〜3が、140〜170μΜの範囲のIC50を示し、BTA−EGよりも有意に低毒性であることを見出し(図3B、3C)、これは満足できる結果であった。これらのベンゾチアゾール誘導体の自家蛍光の目視検査によって、全ての化合物1〜3が、明らかな細胞内での局在化なしに細胞中に容易に内在化することが示唆された(図3D)。
BAM1〜3はRasシグナル伝達を促進する。Rasシグナル伝達に関与するグアニジンヌクレオチド交換因子であるRas及びRasGRF1は、スパイン密度の調節における重要な中間体である[37]。以前の研究において、イン・ビトロでのマウス一次海馬ニューロン及びイン・ビボでのwt(野生型)マウス及びADの3x tgマウスモデルの海馬において、BTA−EGがスパイン密度の増加を促進し得ることを報告している[18、19]。BTA−EGによるニューロンにおけるスパイン密度の増加は、対照細胞と比較して、RasGRF1の発現の増加と相関があった。本発明者は、化合物1〜3及びBTA−EGに誘導されるスパイン形成活性がBTA−EGと類似の機序経路に沿って作用するか否かを試験するために、分化ヒトSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞におけるRasGRF1の発現レベルに対するこれらの化合物の効果を分析した。本発明者の知る限り、SH−SY5Y細胞がRasGRF1を発現することはこれまで明らかになっていないことから、まず分化SH−SY5Y細胞を、濃度を増加させながらBTA−EGで処理した。ウェスタンブロット分析(図4)によって、分化SH−SY5Y細胞が検出可能なレベルのRasGRF1を発現すること、及びBTA−EGが、マウス一次ニューロンにおいて既報[18]のものと類似の濃度及び活性レベルで、RasGRF1レベルの用量依存的な増加を誘導することが明らかになった。本発明者は、5μMのBTA−EGで処理したSH−SY5Y細胞において、RasGRF1が最大20%増加することを認めた。本発明者は、SH−SY5Y細胞を1μΜもしくは5μΜの濃度の化合物1〜3またはBTA−EGに暴露したところ、RasGRF1の発現レベルが増加することも認めた。5μΜ濃度の化合物1、2及びBTA−EGは全て、未処理の細胞と比較して約20%のRasGRF1発現の増加を示した(すなわち、BTA−EGと類似の活性)一方で、5μΜのBAM3−EG(3)で処理すると、RasGRF1発現が70%増加した(図4)。
樹状突起スパイン密度に対するBAM1〜3の効果。最初は、BTA−EGがスパイン密度を増加させる能力を有することを以前発表した[18]ことから、これを対照として用いて、一次海馬ニューロンにおけるスパイン密度の増加を評価した。ビヒクル対照に対して樹状突起スパイン密度の増加が認められることが確認された(図5A〜5B)後、今度はニューロンをBTA−EG及びベンゾチアゾール1〜3で処理した。全ての新規化合物1〜3は、24時間の曝露後にスパイン密度の用量依存的な増加を示した(図5A〜5B)。更に、化合物1〜3は、BTA−EGと比較してより低い濃度で統計的に有意な正味のスパイン密度を増加させることができ、このことは、1〜3がBTA−EGと比較して構造的に異なること(及び、可能性として疎水性が低下したこと)によって、全体的にスパイン形成活性が増加したことを示唆している。ビヒクル対照(0.1%のDMSO)で上記細胞を処理した場合、スパイン密度の変化は認められなかった[38]。
化合物1をこの種類の化合物の代表として捉えて、スパインの長さ及び幅の累積分布も測定した。ビヒクル対照で処理した細胞と比較して、平均のスパインの長さまたは幅に観測可能な差異は見られなかった(図6A〜6B)ことは重要である。この結果によって、BAM1−EG(1)の存在下で形成された新たなスパインは、BAM1−EG(1)の非存在下で存在したスパインと比較して構造上区別がつかない形態を有することが裏付けられる。
上記BAM剤のスパイン形成特性を更に評価するために、本発明者はBAM1−EGをリード化合物として用いて、上記BAMが樹状突起スパイン密度を増加させることができる範囲を検討した。一次ニューロンを1〜25μΜのBAM1−EGで24時間処理した。観測された最大のスパイン密度の増加は約20%であり、これは5μMの用量で生じ、これより高濃度でそれ以上の増加は見られなかった(図6C)。
スパイン形成活性の経時変化も3種の別個の実験で試験した。第1の実験においては、一次ニューロンを、培養培地中、一定の濃度(5μΜ)で最大72時間BAM1−EGに曝露した。種々の時点で細胞を固定化し、スパイン密度(μm当たりのスパイン数によって見積もった)を測定した。この実験により、上記ベンゾチアゾールのスパイン形成活性は24時間以内に平衡に達することが明らかになった(図6D)。一定濃度のBAM1−EGに曝露した際に、(ビヒクルでの処理と比較して)スパイン密度レベルの約20%の増加が最大で3日間持続した。
第2の実験においては、本発明者は、上記ベンゾチアゾールによって誘導されたスパイン密度の増加が、該化合物を培養培地から除去した後に持続するか否かを評価した。一次海馬ニューロンを5μMのBAM1−EGで24時間処理し、ビヒクル(0.1%のDMSO)での処理と比較して約20%の予期されたスパイン密度レベルの増加が生じた。次いで、この細胞をすすぎ、培養培地を化合物を含まない培地に交換し、該細胞上の平均スパイン密度を更に48時間にわたって監視した。BAM1−EGに24時間曝露後の当初のスパインの増加は該化合物を除去すると持続せず、スパインの密度はBAM1−EGの除去後24時間以内に通常のレベルに(すなわち、対照細胞において観測されたスパイン密度に)戻った(図6E)。
第3の実験においては、本発明者は、72時間にわたり、24時間毎に培養培地にBAM1−EGの新たなアリコートを添加することによって、一次ニューロンにおけるスパイン密度に対する影響を監視した。一次ニューロンを、当初は5μΜの最終濃度のBAM1−EG(1×用量)を含有する培養培地中でインキュベートした。追加で、2μLの5mMのBAM1−EGのDMSO原液(最終濃度5μΜ、0.1%のDMSO)を、インキュベーションの24時間(2×用量)及び48時間(3×用量)の時点で培養培地に添加した。本発明者は、24時間毎に追添したBAM1−EG(毎回の添加後に推定で化合物の最終濃度を増加させた)によって、5μΜのBAM1−EGに24時間曝露した後に観測された当初の約20%の増加を超える樹状突起スパイン密度の更なる増加は生じないことを見出した(図6F)。
BAM1〜3は新たな樹状突起スパインの形成を促進する。観測されたベンゾチアゾール1〜3による樹状突起スパイン密度の増加は、新たなスパインの形成を促進することによって、または過去に形成された樹状突起スパインの安定性を増加させることによって生じ得る。いずれの機序経路に沿ってBAMが樹状突起スパイン密度の変化を促進するかを解明するのに役立てるために、本発明者は4時間の期間にわたって一次ニューロンのライブ共焦点画像を定期的にとらえることによって、リアルタイムでスパイン数の変化を監視した。スパイン動態におけるベースライン変化を考慮に入れるために、処理の1時間前にニューロンを監視した。次いで、化合物1(5μM)またはビヒクル対照のいずれかでの処理後3時間までライブイメージングを継続し、化合物1に誘導されたスパインの変化の洞察を得た。本発明者は、化合物1による処理によって、処理後60分で対照と比較して新たなスパインが統計上増加することを認めることができた一方で、同一の期間にわたってスパインの喪失における有意な変化は観察されなかった(図7A〜7B)。
BAM1〜3はAβに誘導されるスパインの喪失を救済する。BAM1〜3は一次海馬ニューロンにおける樹状突起スパイン密度を増加させることができた(図5A〜5B)ことから、本発明者は、ADに関連する、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の毒性のあるペプチド切断産物である、凝集アミロイドβ(Aβ 1−42)に曝露したニューロンにおいて認められるスパインの喪失を、これらの新規化合物が軽減することができるか否かを調べた。本発明者は、BAM1〜3またはBTA−EGの存在下及び非存在下で、凝集Aβ(1−42)を含有する培地で一次ニューロンを3日間処理した。本発明者は、1μMの凝集Aβ(1−42)単独の存在下で3日間インキュベートした一次ニューロンにおいて、約20%のスパイン密度の減少を認めた(図8A〜8B)。対照的に、本発明者は、一次ニューロンを1μΜのAβ(1−42)及び1μMもしくは5μMの濃度のBAM1〜3またはBTA−EGで処理した場合、対照と比較して約20%の樹状突起スパイン密度の正味の増加を認めた(図8A〜図8B)。更に、Aβ(1−42)及びBAM1〜3またはBTA−EGで同時に処理した上記細胞において認められたスパイン密度の正味の増加は、Aβ(1−42)単独で処理した細胞における密度よりも約50%高かった。これらの結果は、BTA−EG及びベンゾチアゾール1〜3が、凝集Aβ(1−42)ペプチドに誘導された樹状突起スパイン密度の正味の減少を妨げる能力を有することを示している。
多くの認知障害は樹状突起スパインの喪失を伴うが、現時点で新たな樹状突起スパインの形成を促進する分子の例は殆どない。薬物の外部投与によるスパイン密度の増加を促進する能力は、認知行動に影響を及ぼす基本的な回路網の理解をより深めること、及び最終的には、認知障害の治療のための新規な手法に繋がる可能性がある。
本発明者らは、ベンゾチアゾールのオリゴ(エチレングリコール)誘導体が平面の脂質二重層に挿入され、膜溶解を誘導し得ることを以前報告した[23]。膜において溶解が認められるのに要する濃度は、ヒトSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞において認められる上記化合物の細胞毒性(IC50で約60μΜ)とおおまかに相関し、このことは、細胞の溶解を、高いマイクロモラー濃度におけるBTA−EG化合物の見掛けの毒性に対する重要な因子[39]として示唆している[23]。したがって、本発明者は、これらの分子の疎水性コアを変化させることによって、該分子を膜中に分配させるためのエネルギーの駆動力が減少し、それによって該分子の毒性が低下するとの仮説を立てた。
本発明者は、疎水性を低下させたBTA−EGの構造類似体を生み出す目的で、ベンゾチアゾール類似体1〜3を設計し合成した(図1及び2)。この一連の新規なベンゾチアゾールは親BTA−EGと比較して低い全体的な毒性を示した(図3A〜3B)。本発明者はlogP値(一般的な疎水性の尺度)と毒性との間に相関関係を見出しておらず、これは興味深いことである。それに代わって、本発明者はBTA−EG及び全てのその誘導体において溶媒接触表面積(SASA)と毒性との間に正の相関を見出した。したがって、SASAは、毒性が低いこの種のスパイン形成性化合物に属する更なる化合物の開発の指針となる、LogPに代わるより有用で定量化可能な代替パラメータとなる可能性がある。
ベンゾチアゾール剤の毒性を低減することはそれらの生体適合性を改善するための重要なステップであるが、新規なBAM1〜3が親化合物の潜在的な有益な生物学的活性を維持しているか否かを評価することも重要である。BTA−EGの樹状突起スパイン密度の増加を促進する能力は、これまでに報告されているいずれの小分子に対しても独特且つ極めて稀有な特性である。上記の結果は、一次海馬ニューロンを新規なベンゾチアゾール1〜3に暴露してから24時間以内に最大スパイン密度が約20%増加しており、これらの化合物が細胞において樹状突起スパイン密度の用量依存的な増加を実際に促進する能力を有することを示している(図5A〜5B)。この結果は、対照細胞と比較した一次海馬ニューロンにおけるスパイン密度レベルの最大の増加を誘導するのに96時間を要した、既報の17β−エストラジオールのスパイン形成活性に関する研究[40]と対照をなす。これらの対照的な知見により、BAM剤と17β−エストラジオールとが、異なる分子機序によってスパイン密度の増加を促進することが示唆される。
BAM1−EGに暴露した細胞のスパインの幅及び長さの累積分布の解析によって、対照細胞と比較して差異がないことが明らかになり(図6A〜6B)、このことは、BAMによるスパイン密度の増加は、当該細胞におけるスパイン形態の全体的な分布に影響を与えないことを示した[41]。経時的な検討により、ニューロンにおけるスパイン密度の増加は、BAM1−EGの存在下では72時間安定して持続する一方、この化合物を除去すると24時間以内にスパイン密度レベルがベースラインレベルに戻ることが明らかになった(図6D〜6E)。一次ニューロンにおけるスパイン密度変化の大きさを可逆的に制御するBAM剤のこの能力は、樹状突起スパインと神経回路に関連する他のパラメータとの間の関係に関する更なる研究のためのツールとして非常に魅力的である可能性がある。
細胞のライブイメージング及び生化学的検討によって、これらのベンゾチアゾールが、RasGRF1の発現レベルを増加させることによるRasの活性化を含む機序を介して(図4)、ニューロンにおいて新たな樹状突起スパインの形成を促進する(図7A〜7B)ことが裏付けられる。以前の検討により、一次ニューロンにおいてRasGRF1のshRNAノックダウンを行うと、BTA−EGのスパイン密度の増加に対する効果が完全に遮断されることが明らかになっており[18]、このことは、Rasシグナル伝達が上記BAM剤のスパイン形成活性に関与することを更に裏付けている。重要なことは、BAM1〜3及びBTA−EGが、凝集Aβの存在によって引き起こされる樹状突起スパインの喪失を救済することができることを本発明者が明らかにした(図8A〜8B)ことであり、このことは、BAM1〜3が、ADに関連する最も早期に認められる病理学的事象[16、42]の1つを妨げる可能性を有することを示している。
結論として、本発明者は、理論に基づいた設計を用いて、既報のBTA−EG化合物[17〜19]と比較して生体適合性が改善された一連の新規なベンゾチアゾール両親媒性物質1〜3を開発した。これらの新規化合物は、1)樹状突起スパイン密度の用量依存的な増加を促進する、2)経時的に且つ可逆的にスパインレベルの上昇を制御する、及び3)Aβに誘導される樹状突起スパインの喪失を妨げる能力を有する。現在、上記BAM剤の細胞標的の特定、及びこれらの化合物のスパイン形成活性に繋がる更なる機序の詳細に努力を傾注している。これらの新規なベンゾチアゾールは、スパインに関連する障害の研究及び治療のための新規なツールの開発に向けた重要なステップとなり、また、新たな種類の一般的な認知機能増強剤に繋がる可能性もある。
物質。合成Aβ(1−42)ペプチドはPL Labから購入した。SH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞(製品番号:CRL−2266)及び3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)細胞増殖アッセイ(製品番号:30−1010K)は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)から購入した。ウェスタンブロットに用いた抗体は、マウス抗RasGRF1(BD610149)、マウス抗チューブリンβ(Thermo MS−1226−P)及びTRITC標識ヤギ抗マウス抗体(JAX 115−025−003)であった。全ての化学試薬は、別段の記載がない限り、Sigma AldrichまたはFisherから購入し、そのまま使用した。
化合物。BTA−EG及びBTA−EGは既報[25]と同様に合成した。本発明者がベンゾチアゾール両親媒性物質(BAM1〜3)を調製するのに用いた一般的な合成手順を図2に概説する。BAM2のベンゾチアゾールコアの合成には、市販の4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4)を、イン・シチュでのフィンケルシュタイン反応[26]によって2−クロロ−N−メチルアセトアミド(5)でアルキル化した。アリールエーテル(6)を塩基性条件下で転位させて4−N−(メチルアミノ)ベンズアルデヒド(7)を得た[27]。2−アミノチオフェノール(8)をベンズアルデヒド(7)と共にイオン性液体([pmIm]Br)中でマイクロ波照射して[28]、ベンゾチアゾール(9)を得た。8と12との間の類似のマイクロ波支援反応[29]によって2−(4−(メチルチオ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(13)を良好な収率で得た。次いで、13上のメチルチオ基をmCPBA酸化によってスルホキシドに酸化して、2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(14)を得た。化合物14のプメラー転位[30、31]によってα−アシルオキシチオエーテル(15)を得、これをチオール(16)に転化させた。次いで、化合物9、10(市販品)、及び16を標準的な求核置換条件下でヨウ化EG(11)と反応させて[23]、それぞれBAM1−EG(1)、BAM2−EG(2)、及びBAM3−EG(3)を得た。
4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4)のアルキル化。4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4)(2g、16.5mmol、1.1当量)及び無水炭酸カリウム(KCO)(4.14g、29.9mmol、2当量)をアセトン(30mL)に溶解し、窒素(N)下で30分間撹拌した。次いで、2−クロロ−N−メチルアセトアミド(5)(1.61g、15mmol、1当量)及びヨウ化カリウム(KI)(249mg、1.5mmol、0.1当量)を添加し、24時間還流させた。室温(RT)に冷却後、固体をろ去し、溶媒を除去し、ジクロロメタン(DCM)に交換した。10%の水酸化ナトリウム(NaOH)で抽出を行い、続いてカラムクロマトグラフィーによる精製(95%のDCM/メタノール(MeOH))を行って、化合物6を白色固体として得た(2.4g、収率83%)。 NMR (500 MHz, CDCl): δ 9.91 (s, 1H), 7.88(d, 2H), 7.04 (d, 2H), 6.50 (b, 1H), 4.57 (s, 2H), 2.93 (s, 3 H)。ESI−MS (m/z): 194.12 [M+H]
4−N−(メチルアミノ)ベンズアルデヒド(7)の合成。脱水トルエンが入った丸底フラスコに化合物6(300mg、1.55mmol、1当量)及び水酸化カリウム(KOH)ペレット(174mg、3.10mmol、2当量)を添加し、24時間還流させた。室温に冷却後、この反応混合物を氷上に載置し、水を加えた。有機層を3回水洗し、脱水し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(50%の酢酸エチル(EtOAc)/ヘキサン)によって化合物7を赤色固体として得た(64mg、収率30%)。 NMR (500 MHz, CDCl): δ 9.72 (s, 1H), 7.71 (d, 2H), 6.61 (d, 2H), 4.41 (b, 1H), 2.91 (s, 3 H)。ESI−MS (m/z): 136.19 [M+H]
ベンゾチアゾール(9)の合成[1a]。マイクロ波バイアルに2−アミノチオフェノール(7)(45mg、0.36mmol、1当量)、続いて1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド([pmIm]Br)[2a](29mg、0.18mmol、0.5当量)、次いで4−(メチルアミノ)ベンズアルデヒド(8)(49mg、0.36mmol、1当量)を仕込んだ。この混合物をマイクロ波(MW)条件下(150℃、4分)で照射した。この反応混合物をエーテル/HO(4×)で抽出した。エーテルを留去し、化合物をカラムクロマトグラフィー(25%のDCM/70%のヘキサン/5%のEtOAc)によって精製して、化合物9を淡橙色固体として得た(55mg、収率64%)。H NMR (500 MHz, CDCl): δ 8.02 (d, 1H), 7.96 (d, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.44 (t, 1 H), 7.32 (t, 1 H), 6.66 (d, 2 H), 2.92 (s, 3 H)。13 NMR (400 MHz, CDCl): δ 169.05, 154.53, 151.82, 134.73, 129.32 (2C), 126.25, 124.50, 122.68, 122.53, 121.60, 112.24 (2C), 30.54。ESI−MS (m/z): 241.0 [M+H]。[1a] Ranu, B. C., and Jana, R. (2006) Ionic Liquid as Catalyst and Reaction Medium − A Simple, Efficient and Green Procedure for Knoevenagel Condensation of Aliphatic and Aromatic Carbonyl Compounds Using a Task−Specific Basic Ionic Liquid. European J. Org. Chem. 2006, 3767−3770. [2a] Namboodiri, V. V., and Varma, R. S. (2002) Solvent−Free Sonochemical Preparation of Ionic Liquids. Org. Lett. 4, 3161−3163.
(エチレングリコール)(EG)付加のための一般的プロトコル。17−ヨード−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン−1−オール(EG−I)を既報[3a]と同様に調製した。マイクロ波バイアルにEG−I(1当量)、ベンゾチアゾールアニリン(9)または(10)(2当量)、炭酸カリウム(3当量)及びテトラヒドロフラン(THF)を仕込んだ。この混合物をMW下(125℃、2時間)で照射した。この混合物をろ過し、濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(4%のMeOH/EtOAc)、続いて逆相カラムクロマトグラフィー(3:1のMeOH/HO)によって化合物1(285mg、収率48%)または化合物2(13mg、収率30%)を得た。[3a] Prangkio, P., Rao, D. K., Lance, K. D., Rubinshtein, M., Yang, J., and Mayer, M. (2011) Self−assembled, cation−selective ion channels from an oligo(ethylene glycol) derivative of benzothiazole aniline. Biochim. Biophys. Acta 1808, 2877−85.
BAM1−EG(1)。 NMR (500 MHz, CDCl): δ 7.99 (d, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.43 (t, 1 H), 7.30 (t, 1 H), 6.76 (d, 2 H), 4.97 (b, 1H), 3.73−3.58 (m, 22H), 3.39 (t, 2H)。13 NMR (500 MHz, CDCl): δ 168.92, 154.51, 151.38, 134.74, 129.13 (2C), 126.24, 124.54, 123.20. 122.55, 121.60, 113.28 (2C), 71.68, 69.81−69.03 (69.81, 69.59, 69.45, 69.30, 69.24, 69.23, 69.03), 68.74, 60.44, 43.86。HR/MS (ESI +): [C2534S + Na]に対する理論値 513.2030 実測値 513.2029 [M+Na]
BAM2−EG(2)。 NMR (500 MHz, CDCl): δ 7.96 (d, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.42 (t, 1 H), 7.29 (t, 1 H), 6.76 (d, 2 H), 3.72−3.28 (m, 24H), 3.07 (s, 3H)。13 NMR (500 MHz, CDCl): δ 168.94, 154.64, 151.39, 134.74, 129.17 (2C), 126.19, 124.40, 122.49, 121.57, 121.55, 111.80 (2C), 72.76, 71.0−70.50 (71.00, 70.88, 70.85, 70.80, 70.76, 70.75, 70.71, 70.50), 68.73, 61.93, 52.29, 39.26。HR/MS (ESI−TOFMS +):[C2636S + Na]に対する理論値 527.2191 実測値 527.2187 [M+ Na]
2−(4−(メチルチオ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(13)。2−アミノチオフェノール(8)(376mg、3mmol、1当量)、[pmIm]Br(400mg、0.5当量)、4−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(12)(457mg、3mmol、1当量)をそれぞれ、撹拌子を備えた5mLのマイクロ波管に添加した。この反応管を130℃で4分間マイクロ波処理した。この反応混合物をジエチルエーテルに溶解し、水で抽出してイオン性液体溶液を除去した。ジエチルエーテルを減圧下で除去し、粗製の固体13をヘキサン:EtOAcの3:1混合物からの再結晶によって精製した(547mg、収率71%)。H NMR (400 MHz, CDCl): δ 8.05, (d, 1H), 8.01 (d, 2H), 7.90 (d, 1H), 7.49 (t, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.33 (d, 2H), 2.55 (s, 3H)。13C NMR (300 MHz, CDCl): δ 143.00, 127.99, 126.56, 125.31, 123.23, 121.81, 15.39.ESI−MS (m/z): 258.25 [M+H]
2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(14)。2−(4−(メチルチオ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(13)(300mg、1.1mmol)を6mLのDCMに溶解した。メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)(242mg、1.4mmol)を4mLのDCMに溶解し、0℃で20分間かけてメチルスルフィド(13)の溶液に滴下により添加した。NaHCO(80mg)を添加し、この溶液を撹拌した。この反応混合物をTLC分析(100%のEtOAc)によって反応が完結するまで監視した。白色沈殿物をろ去し、減圧下でDCMを除去して白色固体を得た。この固体を100%のEtOAcからの再結晶によって精製して、生成物14を得た(254mg、収率80%)。H NMR (400 MHz, CDCl): δ 8.26 (d, 2H), 8.11 (d, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.78 (d, 2H), 7.53 (t, 1H), 7.44 (t, 1H), 2.79 (s, 3H)。ESI−MS (m/z): 274.17 [M+H], 296.10 [M+Na]
2,2,2−トリフルオロ酢酸((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)チオ)メチル(15)。オーブン乾燥した50mLの丸底フラスコ中で、2mLの蒸留直後のDCMに2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール(14)(50mg、0.18mmol)を溶解した。この反応フラスコに無水トリフルオロ酢酸(TFAA)(0.15mL)を添加し、この反応混合物をN下、40℃で2時間穏やかに還流させた。減圧下で溶媒を除去して、粗生成物15を得た(72mg、ほぼ定量的に転化)。この生成物を更に精製することなく次のステップに供した。H NMR (500 MHz, CDCl): δ 8.07 (m, 3H), 7.92 (d, 1H), 7.58 (d, 8Hz, 2H), 7.53 (t, 1H), 7.43 (t, 1H), 5.70 (s, 2H)。
4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンゼンチオール(16)。2,2,2−トリフルオロ酢酸((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)チオ)メチル(15)(72mg、0.19mmol)を3mLのMeOHに溶解し、0.6mLの1M NaOHをこの反応フラスコに添加し、N下で1時間還流した。この反応混合物を冷却し、減圧下で溶媒を除去した。次いでこの粗製混合物に0.6mLの1M HClを添加し、水層を3×2mLのEtOAcで洗浄することにより生成物をEtOAc中に抽出した。有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSO上で脱水した。減圧下でEtOAcを除去して、粗生成物16を得た(44mg、粗収率93%)。H NMR (500 MHz, CDCl): δ 8.08 (d, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.90 (d, 1H), 7.51 (t, 1H), 7.39 (m, 3H), 3.68 (s, 1H)。ESI−MS (m/z): 244.28 [M+H]
17−((4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)チオ)−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン−1−オール(3)。オーブン乾燥した50mLの丸底フラスコに固体の水素化ナトリウム(NaH)(2mg、0.074mmol)を加え、この丸底フラスコをゴム製セプタムで密栓した。この丸底フラスコをNでパージした。1mLの蒸留直後のジメチルホルムアミド(DMF)に上記粗4−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンゼンチオール(16)(12mg、0.05mmol、1当量)を溶解し、上記NaHが入った丸底フラスコに滴下により添加した。この反応混合物を30分間撹拌した。別のバイアル中で、1mLの蒸留直後のDMFに17−ヨード−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン−1−オール(EG−I、20mg、0.05mmol、1当量)を溶解し、上記反応混合物に滴下により添加した。次いで、この反応物をN下で12時間還流させた。この反応混合物を室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去した。生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:0〜4%のMeOHの勾配を使用)によって精製して、所望の生成物3を黄色油状物として得た(R=0.24、100%のEtOAc)。上記黄色油状生成物を、逆相分取プレート(MeOH:HOの3:1混合物を溶離液として使用)を用いてもう一度精製して、最終生成物3を得た(11mg、収率44%)。
BAM3−EG(3)。H NMR (500 MHz, CDCl): δ 8.04 (d, 1H), 7.99 (d, 2H), 7.89 (d, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.41 (d, 2H), 7.37 (t, 2H), 3.74−3.70 (m, 4H), 3.64 (m, 16H), 3.60−3.58 (m, 2H), 3.20, (t, 2H)。13C NMR (500 MHz, CDCl): δ 167.42, 154.09, 140.57, 134.88, 130.83, 128.01, 127.86, 126.38, 125.18, 123.08, 121.62, 72.50, 70.64−70.30 (70.64, 70.59, 70.55, 70.53, 70.50, 70.30), 69.68, 61.74, 32.08。HR/MS: C2533NO [M+Na]に対する理論値 530.1641 実測値 [M+Na] 530.1640。
蛍光発光スペクトルの測定。異なる環境中でのベンゾチアゾールの発光スペクトルを既報[23]と同様に評価した。簡単に説明すると、BAM1〜3及びBTA−EGを、脱イオンHO、純オクタノール、及びリポソーム懸濁液中で50μΜの最終濃度に希釈した。上記リポソームは、水中、10mMの全脂質濃度のDiPhyPCから、静置脱水再水和法及びそれに続くチップ型装置を用いた超音波処理によって調製した。200μLの各試料をキュベット(Hellma(登録商標)Analytics、Quartz SUPRASIL(登録商標)(QS)、10mm)に移し、PTI分光蛍光光度計において、BAM1〜3及びBTA−EGについて、水、オクタノール及び水性リポソーム懸濁液中で蛍光発光スペクトルを測定した(0.5nmのステップ幅)。全ての化合物について最大励起及び発光値は以下のとおり、すなわち、BTA−EG(励起/発光 355/420nm)、BAM1−EG(Ex/Em355/420nm)、BAM2−EG6(励起/発光 365/428nm)、及びBAM3−EG(励起/発光 335/398nm)であった。各実験を少なくとも3回別々に繰り返し、誤差棒は平均値からの標準偏差を示す。データはORIGIN(登録商標)7.0(MicroCal Software, Inc., Northampton, MA)を用いて処理した。
LogP及び溶媒接触表面積(SASA)の見積り。LogP値は、Molinspiration Cheminformatics Softwareを用いて計算し、溶媒接触面積(SASA)値はPyMOLで計算した。
BAM1〜3及びBTA−EGの存在下での細胞生存率の測定。MTT細胞生存率アッセイを既報[17]と同様に実施した。簡単に説明すると、96ウェルプレートにおいて、100μLの、10%のウシ胎仔血清(FBS)を追加した1:1のイーグル最小必須培地(EMEM)及びハムF12中に、50,000細胞/ウェルの密度でSH−SY5Y細胞を播種した。細胞を終夜(37℃、5%のCO)付着させた後、100μLの、BTA−EGまたはBAM1〜3のいずれかの種々の試料溶液で処理した(最終濃度0〜250μM)。細胞をこれらの溶液に37℃、5%のCOで24時間暴露した。次いで、MTT細胞生存率キット(ATCC、製品番号:30−1010K)を用いて細胞生存率を測定した。簡単に説明すると、20μLの提供されたMTT試薬をウェル毎に添加し、細胞をインキュベーター中に3時間載置した。次いで、不溶性の細胞内の紫色のホルマザンを、100μLの提供された界面活性剤試薬を添加することによって溶解し、室温で終夜可溶化させた。SPECTRAMAX(登録商標)190マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて570nmにおける吸光度を測定することにより、細胞生存率を測定した。全ての結果を、未処理の細胞(生存率100%)に対する相対的なパーセント表記のMTTの減少として示し、全てのウェルを、培地、MTT試薬及び界面活性剤のみを含有するウェルの吸光度値でブランク補正した。
BAM1〜3及びBTA−EGの細胞内在化の評価。35mmのガラスボトムディッシュ(MatTek)上で、フェノールレッドを含まないDMEM(10%のFBS及び4mMのL−グルタミンを追加)中に分化SH−SY5Y神経芽細胞腫細胞を播種し、終夜インキュベートした。上記増殖培地を除去し、化合物の培地溶液を細胞に添加し、12時間インキュベートした後に撮像した。撮像の直前に細胞をハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(3×)で洗浄した。Axio Observer Z1電動倒立顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy GmbH, Germany)を中心に構築したYokogawaスピニングディスクシステム(Yokogawa, Japan)上で、40倍、開口数1.40の油浸対物レンズを用いて、全ての画像を取得した。Evolve 512×512 EMCCDカメラ(Photometries, Canada)をZEN画像ソフトウェア(Carl Zeiss Microscopy GmbH, Germany)と共に用いた。加熱した筐体及びCO調節器(Pecon, Germany)を用いて、環境条件を37℃、5%のCOに維持した。405nm、50mwのDPSS励起レーザーを用い、450nm(bp 50nm)で発光を監視して蛍光画像を得た。
BAM1〜3またはBTA−EGに暴露したSH−SY5Y細胞におけるRas−GRFl発現のウェスタンブロット分析。SH−SY5Y細胞の分化を既報[32]の手順に従って実施した。簡単に説明すると、細胞培養培地(10%のFBSを追加した1:1のEMEM及びハムF12)中で10μMの全trans−レチノイン酸(RA)の添加により細胞を8日間分化させた。RAを含む培地を2日毎に交換した。8日後に培地を除去し、試料溶液を含有しRAを含まない新たな培地を添加した。細胞を最終濃度のBTA−E及びBAM(0、1、または5μM)を含有する溶液に37℃で24時間暴露した。次いで細胞をプロテアーゼ阻害剤(Roche、カタログ番号05892791001)を含むNP−40緩衝液で溶解し、タンパク質濃度をBCAアッセイ(Pierce BCA Assay Kit、カタログ番号23225)によって測定した。タンパク質をSDS−PAGE(NUPAGE(登録商標)4〜12%のBis−Trisゲル、NUPAGE(登録商標)MES SDS泳動緩衝液)によって分離し、続いてニトロセルロース膜(NOVEX(登録商標)、LC2000)上へ移した。膜を、Tween 20(TBST)を含む3%のBSAのトリス緩衝生理食塩水溶液で1時間ブロッキングした後、一次抗体の3% BSA/TBST溶液[マウス抗RasGRF1(BD 610149)及びマウス抗チューブリン−β(Thermo MS1226−P)]と共に、4℃で終夜振とうしながらインキュベートした。次いで、膜をTBST(3×10分)で洗浄し、次にTRITC標識ヤギ抗マウス抗体(JAX 115−025−003)と共に室温で1時間振とうしながらインキュベートした。1時間後にこの膜をTBST(6×5分)で洗浄し、Typhoon 8600バリアブルイメージアナライザー(GE Healthcare)を用いてタンパク質を視覚化した。次いで各バンドの密度を、β−チューブリンに規格化した後、ImageJソフトウェアを用いて対照に対するパーセンテージとして定量化した。
ニューロンの培養。生後1日目のラットの解離した海馬ニューロンを、ポリ−D−リシンでコーティングしたカバーガラス上に45,000細胞/cmの密度で播種した。ニューロンを既報[33、34]と同様に、18〜23日のイン・ビトロでの培養日数(DIV)まで、B27を追加したNeurobasal培地(Invitrogen)中に維持した。
ニューロンの処理。全てのニューロンの処理を、以下の一般的なプロトコルに従って実施した。すなわち、簡単に説明すると、18〜23DIVのラットの解離した海馬ニューロンに、種々の濃度(0〜50μMの最終濃度)のBAM1〜3またはBTA−EG(0.1%の最終濃度のDMSOを含む)で種々の時間(実験に応じて24〜72時間)処理した。処理後の所望の時点で培地を除去し、細胞をPBS−MC(リン酸緩衝生理食塩水、1mMのMgCl及び0.1mMのCaCl)ですすいだ。すすいだ後に、細胞を4%のパラホルムアルデヒド(PFA)/スクロースのPBS溶液で、室温にて10分間固定化した。固定化の後、カバーガラスを慎重にすすぎ(3×PBS−MC)、次いでスライドガラス(Polysciences Inc.、カタログ番号18606)上に固定し、撮像した。
シンドビスの産生。PalGFP SinRep5 DNAを入手した[35]。SP6 mMessage MMACHINE(登録商標)キット(Ambion, Austin, TX)を用いたRNA転写によって組換えシンドビスビリオンを産生した。BTX ECM 600電気穿孔装置(BTX, Holliston, MA)を用いて、220V、129Ω、及び1050μFでベビーハムスター腎臓細胞(BHK)へのRNAの電気穿孔を完了した。24時間後にビリオンを採取し、Beckman Coulter Optima MAX Ultracentrifuge(Beckman Coulter, Indianapolis, IN)を用いて20,000rpmで90分間遠心分離することによって濃縮した。処理したニューロンをpalGFPを発現するシンドビスに感染させ、その18時間後に固定化した。
共焦点顕微鏡観察及び樹状突起スパインの分析。本発明者は、全てのニューロンの撮像に、Yokogawaスピニングディスク共焦点ヘッド、Orca ER高解像度CCDカメラ(1×で6.45μm/ピクセル)(Hamamatsu)、Plan Apochromat 63倍/開口数1.4の対物レンズ、及び488nm励起のPerkinElmer固体レーザーを装着したLeica DMI6000倒立顕微鏡を用いた。全ての実験で共焦点zスタックを取得し、Volocity(PerkinElmer)画像ソフトウェアを用いて、8ビット取得のダイナミックレンジ(それぞれ0〜255ピクセル強度単位)で全ての画像を取得した。ImageJを用いて、撮像した樹状突起を直線化し、スパイン密度は手作業で計測した数を樹状突起セグメントの長さで除した値とした。解析実施者は処理について盲検化されており、統計学的有意差は、実験条件毎に、独立t検定(2群の場合)またはANOVA及び事後多重比較検定(>2の実験条件の場合)のいずれかによって判定した。
ラット一次海馬ニューロンにおけるスパインの変化のリアルタイム撮像。この検討に関しては、35mmディッシュ(MatTek)に播種した21DIVのニューロンを過剰のHBSSで3回すすぎ、その後撮像の継続期間の間HBSS中に維持した。本発明者は、ライブイメージングに関しては、細胞を37℃に保ち、Yokogawaスピニングディスク共焦点ヘッド、Orca ER高解像度CCDカメラ(1×で6.45μm/ピクセル)(Hamamatsu)、Plan Apochromat 63倍/開口数1.4の対物レンズ、及び488nm励起のPerkinElmer固体レーザーを装着したLeica DMI6000倒立顕微鏡を用いた。同一のニューロン上のスパインの変化を、処理の1時間前(−60分)から処理開始後3時間(+180分)まで監視した。処理はt=0に行い、0(対照)または5μMのBAM1−EGのいずれかで構成されていた。ニューロンの全般的な健全さを各撮像時間の前後で監視し、健全なニューロンのみを分析した。各条件について、3の別個のニューロン調製物(prep)由来のニューロンを用い、prep当たり2のニューロンを監視した。全ての実験で共焦点zスタックを取得し、Volocity(PerkinElmer)画像ソフトウェアを用いて、8ビット取得のダイナミックレンジ(それぞれ0〜255ピクセル強度単位)で全ての画像を取得した。解析には、ImageJを用いて撮像した樹状突起を直線化し、各条件について同一の樹状突起の長さを解析した。獲得したスパインを、それぞれの時点で見つかった全ての新たなスパインとして数を計測し、喪失したスパインを、当該の解析対象セグメントから消失したスパインとして数を計測した。解析実施者は処理について盲検化されていた。
凝集Aβ(1−42)の調製及びキャラクタリゼーション。既報[36]と同様に凝集Aβ(1−42)を調製した。簡単に説明すると、最初に、Aβ(1−42)を100%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパナール(HFIP)に、1mMの濃度になるように室温で21時間振とうしながら可溶化した。この溶液を超音波処理しボルテックスで混合した後、冷ナノ純水で希釈した(HO:HFIP=2:1)。分割した画分を2日間凍結乾燥し、続いて使用するまで−80℃で保存した。Aβの溶液は、滅菌PBSに100μMの濃度になるようにAβを溶解し、使用する前に3日間37℃でインキュベートすることによって得た。上記3日間インキュベートしたAβのウェスタンブロット分析を実施して組成を測定した。簡単に説明すると、タンパク質を12%のTris−Bisゲル(NUPAGE(登録商標)NOVEX(登録商標))を用いて分離し、続いてニトロセルロース膜(NOVEX(登録商標)、LC2000)へ移した(室温、1時間)。膜を5%のミルク/TBSTでブロッキングし(45分、室温、振とうあり)、次いでマウスモノクローナル抗体(6E10)と共に終夜インキュベートした(4℃、振とうあり)。一次抗体インキュベーションに続いて、膜をTBST(3×10分)で洗浄し、次に抗マウス二次抗体に結合したECL(商標)ホースラディッシュペルオキシダーゼ(GE、カタログ番号NA931V)と共にインキュベートした。この膜を洗浄(6×5分/TBST)した後、AMERSHAM(商標)ECL(商標)Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare)を用いて、単量体Aβ、オリゴマーAβ、及び線維性Aβの検出を行い、続いてフィルム上での検出(Freedom Imaging、SRX−101A)を実施した。FIJIを用いて上記ゲルを定量化し、各凝集状態の強度を当該レーン中のAβの全強度で除することによって、各組成のパーセンテージを計算した。このAβの調製によって、約12%の単量体、約16%の低分子量オリゴマー、及び約72%の可溶性前原線維/原線維の混合物の組成を生じる。凝集AβのEM、MALDI−TOF、及びチオフラビンTによる結合によるキャラクタリゼーションも行った。
ラット一次海馬ニューロンにおけるAβに誘導されるスパイン喪失の救済。本発明者は、以下の変更点以外は、ニューロンの処理に関して記載したものと同様の一般的な処理手順に従った。すなわち、簡単に説明すると、18DIVのラットの解離した海馬ニューロンを、1μΜもしくは5μΜのBAM1〜3またはBTA−EGの存在下あるいは非存在下、1μMの最終濃度の凝集Aβ(1−42)で3日間処理した。対照細胞は当該の3日の期間中、ビヒクル対照のみ(0.1%のDMSO)で処理した。処理後に培地を除去し、細胞をPBS−MCですすぎ、次いで4%のパラホルムアルデヒド(PFA)/スクロースのPBS溶液で、室温にて10分間固定化した。固定化の後、カバーガラスを慎重にすすぎ(3×PBS−MC)、次いでスライドガラス(Polysciences Inc.、カタログ番号18606)上に固定し、撮像した。全ての解析を盲検で行い、カバーガラス当たり少なくとも7のニューロンを解析し、各実験を3の異なる調製物由来のニューロンで少なくとも3回別個に繰り返した。
B.ヒトにおけるスパイン形成の誘導
図9は、hESC/hiPSC(ヒト胚性幹細胞/ヒト誘導多能性幹細胞)がNSC(神経幹細胞)へと進行し、最終的にはニューロンへと進行することを示す。
図10は、化合物またはビヒクル対照で処理した、3ヶ月分化させたNSC由来のPSD95斑点のスパイン密度の定量化を示す。BTA−EG類似体(例えば、図1に示したもの)が、ヒトiPSC由来のニューロンにおいて、対照と比較して約50%スパイン密度を増加させることが認められる。
C.BTA−EGの細胞標的の特定。
図11は、細胞標的の特定に有用である、BTA−EGの光親和性標識化の手順の概略図を示す。図12は、ヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SYSY)、APP/PS1マウス(すなわち、アルツハイマー病のマウスモデル)由来の中脳組織、及び成人ヒト皮質における光親和性プルダウンアッセイを示す(左図)。BTA−EG類似体は、タンパク質S(タンパク質バンド「S」はファスシンを含む)の標識化に対して光親和性類似体を凌駕することが認められ、このことは、このたんぱく質がBTA−EG及びその類似体(例えば、図1に示すBAM類似体及び式Iの化合物)の特異的な標的であることを裏付ける。
D.BTA−EG4類似体が抗転移性/抗遊走性がん剤であることの実証。
図13は、BTA−EG類似体(すなわち、図1に示すBAM類似体)が抗転移性/抗遊走性がん剤として有用であることを示す。左側のグラフは診断後の時間に対する全生存率であり、脳がん(神経膠芽腫)の患者(N=521)において、タンパク質標的の発現がより高いほど全生存率がより低いとの相関を示している。右側のヒストグラムは、Boyden−chamber細胞遊走アッセイにおいて、BTA−EG類似体(例えば、図1に示すBAM類似体及び式Iの化合物)がヒト神経膠芽腫細胞における抗遊走活性を示すことを示している。
引用文献及び脚注
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Claims (20)

  1. 式(I)
    Figure 2019504879
    の化合物
    [式中、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    及びXは、独立にハロゲンであり、
    z1及びz2は、独立に0〜4の整数であり、
    nは、1〜12の整数である]。
  2. が、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  3. が、置換または未置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  4. が、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  5. が、置換または未置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  6. z1が0または1である、請求項1に記載の化合物。
  7. z1が0である、請求項1に記載の化合物。
  8. z2が0である、請求項1に記載の化合物。
  9. nが3〜8である、請求項1に記載の化合物。
  10. nが3〜5である、請求項1に記載の化合物。

  11. Figure 2019504879
    を有する、請求項1に記載の化合物。

  12. Figure 2019504879
    を有する化合物。
  13. 式(II)
    Figure 2019504879
    の化合物に非共有結合しているファスシンタンパク質を含む、イン・ビトロ複合体
    [式中、
    Yは、−NR−または−S−であり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
    、X及びXは、独立にハロゲンであり、
    z1は、0〜3の整数であり、
    z2は、0〜4の整数であり、
    nは、1〜12の整数である]。
  14. 薬学的に許容される賦形剤及び請求項1に記載の化合物を含む、医薬組成物。
  15. 樹状突起スパインの形成増加、樹状突起スパインの密度増加、または樹状突起スパインの形態改善を必要とする対象における、樹状突起スパインの形成を増加させる方法、樹状突起スパインの密度を増加させる方法、または樹状突起スパインの形態を改善する方法であって、有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  16. 樹状突起スパインの密度を増加させる方法である、請求項15に記載の方法。
  17. ファスシンタンパク質の結合方法であって、前記ファスシンタンパク質を有効量の式(II)
    Figure 2019504879
    の化合物と接触させることを含む、前記方法
    [式中、
    Yは、−NR−または−S−であり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
    及びXは、独立にハロゲンであり、
    z1及びz2は、独立に0〜4の整数であり、
    nは、1〜12の整数である]。
  18. がんの治療を必要とする患者における、がんの治療方法であって、治療上の有効量の式(II)
    Figure 2019504879
    の化合物を前記患者に投与することを含む、前記方法
    [式中、
    Yは、−NR−または−S−であり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
    及びXは、独立にハロゲンであり、
    z1及びz2は、独立に0〜4の整数であり、
    nは、1〜12の整数である]。
  19. 神経疾患の治療を必要とする患者における、神経疾患の治療方法であって、治療上の有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物を前記患者に投与することを含む、前記方法。
  20. ファスシンタンパク質の活性を調節する方法であって、前記ファスシンタンパク質を有効量の式(II)
    Figure 2019504879
    の化合物に接触させることを含む、前記方法
    [式中、
    Yは、−NR−または−S−であり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、独立に、ハロゲン、−CX 、−CHX 、−CH、−OCX 、−OCHX 、−OCH、−CN、−OH、−NH、−COOH、−CONH、−NO、−SH、−SOH、−SOH、−SONH、−NHNH、−ONH、−NHC(O)NHNH、−NHC(O)NH、−NHSOH、−NHC(O)H、−NHC(O)OH、−NHOH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールであり、
    は、水素または置換もしくは未置換C〜Cアルキルであり、
    及びXは、独立にハロゲンであり、
    z1及びz2は、独立に0〜4の整数であり、
    nは、1〜12の整数である]。
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