JP2019500427A - 子宮膣部びらんを予防及び治療するための方法 - Google Patents

子宮膣部びらんを予防及び治療するための方法 Download PDF

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Abstract

子宮膣部びらんを治療することにおけるプラスミノーゲンの用途であり、子宮膣部びらんを治療する既存のその他の薬物と比べ、該プラスミノーゲンまたはプラスミンは損傷した粘膜の炎症性修復を促進することができる。

Description

本発明は、プラスミノーゲンまたはプラスミンを使用する、子宮膣部びらんを予防及び/または治療する新しい方法に関する。子宮膣部びらんを治療する既存の薬物と比べ、該方法は損傷した粘膜の修復を効果的に促進することができる。
慢性子宮頸管炎は、既婚女性においてよくある病気であり、多発する病気でもあり、中国女性において発病が第一位となり、婦人科疾患の約50%を占める。子宮膣部びらんは、慢性子宮頸管炎の中で最も一般的な病理学的変化であり、子宮膣部びらんがある者は、子宮頸がんが発生することが、子宮膣部びらんのない女性のそれよりも7.3倍と高い。単純な扁平上皮がんの約80%が頸管またはびらん領域、すなわち円柱上皮領域に発生し、その大部分は「びらん」領域に生じることが報告されている[1]。子宮膣部びらんの主な原因は、通常、女性が出産後または手術後に子宮頸管に損傷が与えられ、続いて病原体の侵入によって形成される。20世紀80年代以前には、慢性子宮頸管炎を引き起こす病原体は主に、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌および嫌気性菌である[2]。近年来、性病の発生率の上昇および性的感染症の増加につれて子宮膣部びらんも増加する傾向があり、女性の生殖健康や生活の質に重大な影響を及ぼしている。それと共に、子宮膣部びらんの病原体も変化しており、ますます多くの資料に示されるように、クラミジア・トラコーマ(CT)、ナイセリア・ゴノレア(NG)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Uu)、膣トリコモナス(TV)およびカンジダ菌(CA)などの感染はいずれも子宮頸管炎に関連する[3−5]
子宮膣部びらんの主な症状は、白帯下の増加しかもよく化膿し、接触出血、腰仙痛、不妊などである。現在、子宮膣部びらんを治療するための方法は多く、経口薬、膣投与、子宮頸管の局所的物理的療法、手術治療などを含む。軽度の子宮膣部びらんの患者にとって、治療法に係らず、治療時間が異なるが、よい治療効果が収められる。しかし、重度の子宮膣部びらんの患者にとって、経口薬物療法では、効果が出るのが遅く、局所の血中濃度が低く、所望の効果を達成するのが困難であり、単純な膣投与では、治療コースが長く、効力が乏しく、しかも治療効果が不安定であり、再発率が大きい。手術治療では費用が高く、外傷が大きく、治癒に時間がかかり、普通は患者に受け入れられにくい。
プラスミンは、プラスミノーゲン活性化システム(PAシステム)の肝心な構成要素である。プラスミンは、フィブリン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニンおよびプロテオグリカンを含む、細胞外マトリックス(ECM)のいくつかの成分を加水分解することができる広域スペクトルプロテアーゼである[6]。また、プラスミンは、いくつかのメタロプロテアーゼ前駆体(prо−MMP)を活性化して活性を有するメタロプロテアーゼ(MMP)を形成することができる。そのため、プラスミンは、細胞外タンパク質の加水分解の重要な上流調節因子であると考えられている[7,8]。プラスミンは、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)またはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)という生理学的PAによるプラスミノーゲンのタンパク質加水分解によって形成される。プラスミノーゲンは血漿およびその他の体液中の比較的高いレベルで存在するため、PAシステムの調節は主にPAの合成および活性のレベルによって達成されると従来考えられている。PAシステム成分の合成は、ホルモン、成長因子およびサイトカインなどの異なる要素によって厳密に調節される。さらに、プラスミンおよびPAに対する特定の生理学的阻害剤も存在する。プラスミンの主な阻害剤はα2−アンチプラスミン(α2−antiplasmin)である。ある細胞表面上に、直接に加水分解する活性を有するuPA特異的細胞表面受容体(uPAR)がある[9,10]
プラスミノーゲン(plasminogen,plg)は単一鎖の糖タンパクであり、791個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDaである[11,12]。プラスミノーゲンは主に肝臓で合成され、大量に細胞外液に存在している。血漿中に含まれるプラスミノーゲンの含有量は約2μMである。そのためプラスミノーゲンは組織及び体液中のタンパク質加水分解活性の大きな潜在的なソースである[13,14]。プラスミノーゲンには二種類の分子の形が存在する:グルタミン酸−プラスミノーゲン(Glu−plasminogen)及びリジン−プラスミノーゲン(Lys−plasminogen)である。天然的に分泌され及び分解していない形のプラスミノーゲンは一つのアミノ基末端(N−末端)グルタミン酸を有し、そのためグルタミン酸−プラスミノーゲンと称される。しかし、プラスミンが存在する場合、グルタミン酸−プラスミノーゲンはLys76−Lys77においてリジン−プラスミノーゲンに加水分解される。グルタミン酸−プラスミノーゲンと比較して、リジン−プラスミノーゲンはフィブリンとより高い親和力を有し、さらにより高い速度でPAによって活性化されることができる。この二種類の形のプラスミノーゲンのArg560−Val561ペプチド結合はuPAまたはtPAによって切断され、これによりジスルフィド結合によって接続された二重鎖プロテアーゼプラスミンの形成をもたらす[15]。プラスミノーゲンのアミノ基末端部分は五つの相同のクリングル環を含み、即ちいわゆるkringleであり、カルボキシル基末端部分はプロテアーゼドメインを含む。一部のKringleはプラスミノーゲンとフィブリン及びその阻害剤α2−APの特異的相互作用を介在するリジン結合部位を含む。最も新しく発見された一つのプラスミノゲンは38kDaのフラグメントであり、kringlel−4を含み、血管生成の有効的な阻害剤である。このフラグメントはアンギオスタチン(Angiostatin)と命名され、幾つかのプロテアーゼがプラスミノーゲンを加水分解することにより生成される。
プラスミンの主な基質はフィブリンであり、フィブリンの溶解は病理学的血栓症を予防する鍵である[16]。プラスミンはまた、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカンおよびゼラチンを含むECMのいくつかの成分に対する基質特異性を有し、これはプラスミンがECMリモデリングにおいても重要な役割を果たすことを示す[12,17,18]。間接的に、プラスミンは、MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−9を含む、一部のプロテアーゼ前駆体を活性プロテアーゼに変換することによりECMの他の成分を分解することもできる。そのため、プラスミンは細胞外タンパク質加水分解の重要な上流調節因子の一つである可能性が示唆されている[19]。また、プラスミンはある種の潜在的形態の成長因子を活性化する能力を有する[20−22]
本発明は、プラスミノーゲンが子宮膣部びらんの予防及び/または治療において予想外の効果を有し、具体的には損傷と炎症の修復を促進できることを研究において発見した。プラスミノーゲンを用いて子宮膣部びらんを予防及び/または治療することは、治療効果でも、患者の負担能力や治療の簡便性でも、比べ物にならない利点を持っている。したがって、プラスミノーゲンは、子宮膣部びらんを予防及び/または治療するための新規なストラテジーとなり得る。
本発明は、プラスミノーゲンによる子宮膣部びらんの予防及び/または治療に係る。プラスミノーゲンが子宮膣部びらんの予防及び/または治療において、突出した予防及び/または治療効果を示し、損傷組織の修復を促進できることは、本発明で意外に発見した。
一つの局面において、本発明は、被験者の体内にプラスミノーゲンまたはプラスミンを投与することを含む、子宮膣部びらん及びその関連疾患を予防及び/または治療するための新規な方法、および子宮膣部びらん及びその関連疾患の予防及び/または治療におけるプラスミノーゲンまたはプラスミンの使用に係る。前記子宮膣部びらんは真性びらんと仮性びらんを含む。前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは任意の原因による子宮膣部びらんであってもよく、具体的には、炎症などの損傷による子宮膣部びらんである。
一つの実施形態において、前記被験者はプラスミノーゲンまたはプラスミンが不足している。具体的に、前記不足は先天的、継発的及び/または局所的である。
一つの実施形態において、プラスミノーゲンと配列2、6、8、10または12は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはその任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは以下から選ばれる保存的な置換変異体である:Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはマイクロプラスミノーゲン。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンであり、例えば配列2に示されたプラスミノーゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノーゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス/ラット、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノーゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示されるものである。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは全身または局所投与により投与され、好ましくは以下の経路により投与される:静脈内、筋肉内、皮下、局所注射、直腸投与、膣投与。一つの実施形態において、前記局所投与は、子宮膣部びらん領域にプラスミノーゲンを含有するドレッシングを投与することにより行われる。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与する。一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm、0.001−800mg/cm、0.01−600mg/cm、0.1−400mg/cm、1−200mg/cm、1−100mg/cm、10−100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与し、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは、単独に投与されることもでき、他の薬物または療法と組み合わせして投与されることもできる。前記他の薬物または療法は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬、物理的療法、レーザー光線療法、局所手術療法などを含む。
もう一つの局面において、本発明は、被験者の子宮膣部びらんを予防及び/または治療するための薬物の製造におけるプラスミノーゲンまたはプラスミンの使用に係る。本発明はさらに、プラスミノーゲンまたはプラスミンとその薬学的に許容可能な担体とを被験者の子宮膣部びらんを治療するための薬物に製造することを含む、薬物の製造方法に係る。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは真性びらんと仮性びらんを含む。前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは任意の原因による子宮膣部びらんであってもよく、具体的には、炎症などの損傷による子宮膣部びらんである。
一つの実施形態において、前記被験者はプラスミンまたはプラスミノーゲンが不足している。具体的に、前記不足は先天的、継発的及び/または局所的である。
一つの実施形態において、プラスミノーゲンと配列2、6、8、10または12は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはその任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは以下から選ばれる保存的な置換変異体である:Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはマイクロプラスミノーゲン。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンであり、例えば配列2に示されたプラスミノーゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノーゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス/ラット、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノーゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示されるものである。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは全身または局所投与により投与され、好ましくは以下の経路により投与される:静脈内、筋肉内、皮下、局所注射、直腸投与、膣投与。一つの実施形態において、前記局所投与は、子宮膣部びらん領域にプラスミノーゲンを含有するドレッシングを投与することにより行われる。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与する。一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm、0.001−800mg/cm、0.01−600mg/cm、0.1−400mg/cm、1−200mg/cm、1−100mg/cm、10−100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与し、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは、単独に投与されることもでき、他の薬物または療法と組み合わせて投与されることもできる。前記他の薬物または療法は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬、物理的療法、レーザー光線療法、局所手術療法などを含む。
さらに一つの局面において、本発明は、子宮膣部びらんを予防及び/または治療するためのプラスミノーゲンまたはプラスミン、および子宮膣部びらんを予防及び/または治療するための、プラスミノーゲンまたはプラスミンを含む薬物組成物に係る。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは真性びらんと仮性びらんを含む。前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは任意の原因による子宮膣部びらんであってもよく、具体的には、炎症などの損傷による子宮膣部びらんである。
一つの実施形態において、前記被験者はプラスミノーゲンまたはプラスミンが不足している。具体的に、前記不足は先天的、継発的及び/または局所的である。
一つの実施形態において、プラスミノーゲンと配列2、6、8、10または12は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはその任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは以下から選ばれる保存的な置換変異体である:Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはマイクロプラスミノーゲン。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンであり、例えば配列2に示されたプラスミノーゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノーゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス/ラット、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノーゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示されるものである。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは全身または局所投与により投与され、好ましくは以下の経路により投与される:静脈内、筋肉内、皮下、局所注射、直腸投与、膣投与。一つの実施形態において、前記局所投与は、子宮膣部びらん領域にプラスミノーゲンを含有するドレッシングを投与することにより行われる。
一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与する。一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm、0.001−800mg/cm、0.01−600mg/cm、0.1−400mg/cm、1−200mg/cm、1−100mg/cm、10−100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与し、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは、単独に投与されることもでき、他の薬物または療法と組み合わせて投与されることもできる。前記他の薬物または療法は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬、物理的療法、レーザー光線療法、局所手術療法などを含む。
さらに一つの局面において、本発明は、被験者の子宮膣部びらんを予防および/または治療するための、プラスミノーゲンまたはプラスミンを含む製品またはキットに係る。好ましくは、該製品またはキットはさらに一つまたは複数のその他の薬物を含有する容器を含む。該製品またはキットはさらに、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンが前記子宮膣部びらんの予防及び/または治療に使用できることを説明するプロトコルを含んでもよく、該プロトコルはさらに、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンがその他の薬物または療法を適用する前、それと同時、及び/または後に投与できることを説明してもよい。一つの実施形態において、前記他の薬物または療法は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬、物理的療法、レーザー光線療法、局所手術療法などを含む。
一つの実施形態において、前記プロトコルはさらに、前記プラスミノーゲンまたはプラスミンが全身または局所投与により投与されることができることを説明し、好ましくは以下の経路により投与される:静脈内、筋肉内、皮下、局所注射、直腸投与、膣投与。一つの実施形態において、前記局所投与は、子宮膣部びらん領域にプラスミノーゲンを含有するドレッシングを投与することにより行われる。
一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは真性びらんと仮性びらんを含む。前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。一つの実施形態において、前記子宮膣部びらんは任意の原因による子宮膣部びらんであってもよく、具体的には、炎症などの損傷による子宮膣部びらんである。
一つの実施形態において、前記被験者はプラスミノーゲンまたはプラスミンが不足している。具体的に、前記不足は先天的、継発的及び/または局所的である。
一つの実施形態において、プラスミノーゲンと配列2、6、8、10または12は少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、またはその任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノーゲンは以下から選ばれる保存的な置換変異体である:Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはマイクロプラスミノーゲン。一つの実施形態において、プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンであり、例えば配列2に示されたプラスミノーゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノーゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス/ラット、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノーゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示されるものである。
本発明は、本発明に係る実施形態どうしの技術的特徴のすべての組み合わせを明確にカバーし、且つこれらの組み合わせた技術構成は前記実施形態が単独且つ明確に開示されているように、本出願で明確に開示されている。また、本発明はさらに各実施形態及び要素のすべてのサブの組み合わせをカバーし、さらに本明細書中において開示されており、それぞれそのようなサブの組み合わせが単独且つ明確に本明細書中において開示されているようにである。
1.定義
「子宮膣部びらん」は、慢性子宮頸管炎の最もよく見られる表現形式であり、子宮頸管口表面の上皮が脱落するか、あるいは子宮頸管口の別の組織に置き換えられるのが一般的であり、ひいては下方の血管や赤い組織も見え、真性びらんまたは仮性びらんを形成する。
「真性びらん」は、子宮頸管表面の分泌物が長期的に子宮頸管外口周囲の扁平上皮を刺激・浸漬することにより、炎症性浸潤が伴われ、子宮頸管表面を覆う扁平上皮が脱落して潰瘍を形成する。
「仮性びらん」は、子宮頸管の扁平上皮が損傷して脱落した後、子宮頸管粘膜の円柱上皮の増殖、外移動により置き換えられ、覆われた単層の円柱上皮は非常に薄いので、下にある血管がはっきりと見え、肉眼で見るとびらんに見えるが、実際には仮性びらんである。仮性びらんは臨床的に最もよく見られる子宮膣部びらんである。
子宮膣部びらんは、びらんの表面状況によって3つのタイプに分けることができる。
1).炎症の初期段階において、びらん表面はただ単層の円柱上皮だけに覆われ、表面は平坦であり、単純的なびらんと呼ばれる。
2).その後、腺上皮の過剰な増殖、しかも間質増殖が伴われることにより、びらん表面は凹凸して粒状を呈し、これは粒状びらんと呼ばれる。
3).間質増殖が顕著になると、表面の凹凸がより顕著であり、乳様突起状になり、これは乳様突起型びらんと呼ばれる。
「円柱上皮細胞」は、子宮頸円柱上皮細胞である。その中の単層の円柱上皮は一層の角柱細胞からなる。細胞核は楕円形であり、細胞の基部に位置する。単層の円柱上皮は、胃、腸、子宮および卵管の内腔表面に分布し、その機能は主に吸収と分泌である。
「扁平上皮細胞」は上皮細胞組織の一種である。上皮組織は上皮ともいい、その他の組織に付くまたはその他の組織を覆う重要な構造であり、密集する上皮細胞と少量の細胞間質からなる。その構造の特徴は、細胞が緊密に結合しており、細胞間質が少ないことである。通常は保護、吸収、分泌、および排泄の機能を有する。上皮組織は、被蓋上皮、腺上皮、および感覚上皮の三種類に分けられる。被蓋上皮は、上皮表面に垂直な断面におけるその細胞の形状によって扁平上皮、円柱上皮、立方上皮、移行上皮に分けられる。
子宮膣部びらんの病理学的表現から言えば、子宮頸管円柱上皮の抵抗力が低いため、病原体は侵入し易くて炎症を起こしやすい。円柱上皮が損傷すると、子宮頸管粘膜の円柱上皮は増殖し、子宮膣の扁平上皮の欠損部に延伸し、創傷面を覆い、原扁平上皮の欠損領域を置き換える。円柱上皮が薄いため、粘膜下方に充血した毛細血管がはっきりと見えるので、子宮頸外口の病変粘膜に明るい赤色のびらん領域が肉眼で見える。したがって、国際的には、子宮膣部びらんは、「子宮頸部上皮外反」とも呼ばれる。
「プラスミン」は、血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解産物およびD−二量体に加水分解することができる。
「プラスミノーゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドの天然ヒト由来プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)は計算によれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノーゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1−5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1−Gly19を含み、Papは残基Glu20−Val98を含み、Kringle1は残基Cys103−Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184−Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275−Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377−Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481−Cys560を含む。NCBIデータにより、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581−Arg804を含む。
Glu−プラスミノーゲンは天然のフルサイズのプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)、該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu−プラスミノーゲンの第76−77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys−プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。Δ−プラスミノーゲン(δ−plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2−Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず[23,24]、δ−プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり[24]、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini−plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443−Asn791(シグナルペプチドGlu−プラスミノーゲン配列を含まないGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており[25]、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro−plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543−Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し[26]、特許文献CN102154253Aはそれが残基Lys531−Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許の配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
本発明の 「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノゲン及びプラスミンをカバーするものである。
当業者は以下のように理解できる。本発明は子宮膣部びらんの予防及び/または治療により、例えば、子宮頸がん、子宮頸管炎、卵管炎、子宮付属器炎、骨盤内感染症などの、子宮膣部びらんによるその他の疾病の発生を予防することができる。したがって、これらの疾病の予防も本発明の範囲内である。
循環過程において、プラスミノーゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン質加水分解生成物及びD−二量体に加水分解して、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPapドメインはプラスミノーゲンを非活性閉鎖コンフォメーションにする重要な決定クラスターであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、以下を含む:組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などである。
“プラスミノーゲン活性フラグメント”とはプラスミノーゲンのタンパク質において、基質中のターゲット配列と結合してタンパク質加水分解機能を発揮できる活性フラグメントである。本発明はプラスミノーゲンの技術構成に係り、プラスミノーゲン活性フラグメントでプラスミノーゲンの替わりとする技術構成を含む。本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むタンパク質であり、好ましくは、本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントは配列14、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性のアミノ酸配列を含有するタンパク質を含むものである。そのため、本発明に記載のプラスミノーゲンは該プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然該プラスミノーゲン活性を有するタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノーゲン及びその活性測定方法は以下を含む:組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t−PAA)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t−PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン−抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を転化し、測定対象の血漿中のPLGはSKの作用下においてPLMとなり、後者は発光基質に作用し、その後に分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノーゲンの活性と正比例関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のフィブリンプラスミノーゲン活性に対して測定を行う。
「オルソロジー(orthology)」とは異なる種どうしのオルソログ(ortholog)であり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含む。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンはヒト天然プラスミノーゲンまたはプラスミンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲンまたはプラスミン活性を有するプラスミノーゲンまたはプラスミン直系同源物または直系同系物である。
「保存的(conservative)置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、アルカリ性、疎水性など)のアミノ酸でペアレントタンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性のアルカリ性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%〜99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換変異体」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素であり、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然またはペアレントタンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になる精製する、または(3)同質性で、該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造することができ、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体をいい、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するか有しない)を含む融合物;等々である。
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要な時にギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的とした比較は本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は引用配列の適切なパラメータを決めることができ、比較対象の配列のフルサイズを比較することで最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN−2により得られるものである。
ALIGN−2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、アミノ酸配列Aと所定のアミノ酸配列Bのアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bのあるアミノ酸配列と同一性を有する所定のアミノ酸配列Aの占める%)は以下のように計算される:分数X/Y×100
そのうちXは配列比較プログラムALIGN−2において該プログラムのA及びBの比較において同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つそのうちYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。明確に説明した場合を除き、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN−2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」、「処理」及び「消去」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状を完全または一部予防すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾病が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況である; (b)疾患を抑制し、その形成を阻害する;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を減退させる。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与され、疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現するプラスミノーゲンの量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
2.本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンの調製
プラスミノーゲンは自然界から分離及び精製され、さらに治療の用途に用いられるものであり、さらには標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することができる。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid−Phase Peptide Synthesis;3−284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3−10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723−8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖の機能性ユニットにより不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンと単一のN保護を受けているアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と接続する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に接続させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサー素子及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーター系とすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製の条件下において宿主を維持できる。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において附加体または宿主染色体DNAの整合部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、外部由来に期待のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)はクローンするプラスミノーゲンをコードするポリヌクレオチドの原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と許容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、またはファージλ由来のプロモーター系である。プロモーターは通常発現を制御し、遺伝子配列を操縦する場合、さらにリボソームの結合位置配列を有し、転写及び翻訳を起動させてもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えば出芽酵母(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母はアルコール脱水素酵素、イソ細胞色素C、及び麦芽糖とガラクトースの利用のための酵素のプロモーターによって起動される。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えば体外細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明のプラスミノーゲンの発現および生成に用いることができる(例えばプラスミノーゲンをコードするポリヌクレオチド)。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマである。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報位置、例えばリボソームの結合位置、RNAの切断位置、ポリアデノシン酸化位置、及び転写終止子配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなどの派生のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦合成(化学または組み換え方式)されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%〜90%の純度で、少なくとも約90%〜95%の純度で、または98%〜99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、プラスミノーゲン以外の大分子などである。
3.薬物配合剤
必要とする純度のプラスミノーゲンと選択可能な薬用担体、賦形剤、または安定剤(Remington′s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定剤は所要の使用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルのパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンチルアルコール;m−クレゾール);低分子量ポリペプチド(少なくとも10個の残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリゼニールピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はブドウ糖、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛−タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましくは凍結乾燥された抗−VEGF抗体配合剤であり、WO 97/04801に記載されているとおりであり、本明細書において参考とされるものである。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、抗感染剤等である。
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に包まれることができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたはエマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術は以下に開示されている。Remington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌ろ過膜でろ過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノーゲンは緩衝製剤を調製できる。緩衝製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過基質を含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。緩衝基質の実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98−105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L−グルタミン酸とγメチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン−ビニルアセテート(ethylene−vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン−酢酸エチル及び乳酸−ヒドロキシ酢酸は、持続的に100日間以上分子を放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S−S結合を形成するであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現する。
4.投与及び使用量
異なる方式、例えば静脈内、腹膜内、皮下、頭蓋骨内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈)、筋肉内、鼻内、体表または皮内投与または脊髄または脳内輸送により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。エアロゾル製剤例えば鼻噴霧製剤は活性剤を含有する精製した水性またはその他の溶液及び防腐剤と等張剤を含有する。このような製剤を鼻粘膜と許容し得るpH及び等張状態に調整する。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
医療関係者は各種臨床的要素により用量の案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノーゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001〜2000mg/kgであり、または約0.001〜500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)である。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1−50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量の日程表は連続数日1−10mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において血栓性及び血栓性関連疾患の治療効果及び安全性はリアルタイムに評価、定期的に評価すべきである。
5.子宮膣部びらんの治療効果に対する評価方法
1)婦人科検査。重点的に子宮頸部の大きさ、外形、質感、子宮頸管の太さ、接触出血の有無を検査する
2)子宮頸部スメア。細胞診は婦人科の通常の検査であり、簡便で経済的で効果的であり、最も重要な補助検査および癌予防検査の第一のスクリーニング方法である。
子宮頸部スメアとは、子宮頸部から少量の細胞サンプルを採取してガラス片上に置き、顕微鏡下で異常の有無を調べることをいう。
3)コルポスコピー。肉眼で見えない病変をすぐに見つけることができ、コルポスコピーにおいて不審なサイトを採取して生検し、生検の正確率を顕著に向上させることができる。
4)TCT検査。TCTは、液状化検体細胞診の略称である。
TCT検査とは、液状化検体細胞診システムを利用して子宮頸部細胞を検出して細胞学的分類診断をすることをいい、現在国際的には最も先進的な子宮頸がん細胞診技術であり、従来の子宮頸部スメアのパパニコロウ塗抹検査と比べて標本の満足度および子宮頸部異常細胞の検出率を顕著に高めている。
5)子宮頸部生検。子宮頸部生体組織の病理学的検査は、子宮頸がんの診断の根拠である。子宮頸部生検は、子宮頸部の生体組織の検査であり、すなわち、診断を確認するために子宮頸から一つまたはいくつかの小さい組織を採取して病理学的検査をすることである。
6.製品またはキット
本発明の一つの実施形態は、本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンを含有する、製品またはキットに係るものである。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはパンフレットを含む。適切な容器はボトル、小瓶、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたは小瓶であり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲンまたはプラスミンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは、前記組成物を本発明の前記子宮膣部びらんの治療に用いられることを説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の食塩水、リンガー溶液及びブドウ糖溶液である。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するパンフレットを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
plg+/+子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目および9日目の子宮頸部HE染色の観察結果を示したものである。 plg−/−子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目、9日目および13日目の子宮頸部HE染色の観察結果を示したものである。 plg+/+子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目および9日目の子宮頸部フィブリン免疫染色の観察結果を示したものである。 plg−/−子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目、9日目および13日目の子宮頸部フィブリン免疫染色の観察結果を示したものである。 plg+/+子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目および9日目の子宮頸部F4/80免疫染色の観察結果を示したものである。 plg−/−子宮膣部びらんモデルマウスにプラスミノーゲンまたはPBSを投与した5日目、9日目および13日目の子宮頸部F4/80免疫染色の観察結果を示したものである。
<実施例>
実施例1は、プラスミノーゲンがplg+/+子宮膣部びらんモデルマウスに対する保護作用に関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg+/+マウスを12匹用い、ランダムに二つのグループに分け、それぞれ溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノーゲン投与グループで、各グループ6匹ずつである。モデリングの前日にマウスの体重を測定して群に分け、群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリング処理した。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は8日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目と9日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定した後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させてさらにキシレンで透徹にした後にパラフィンで包埋させた。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してからヘマトキシリン及びエオジンで染色させ(HE染色)、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入し、顕微鏡下で200倍にて切片を観察した。
HE染色の結果は以下のように示している。溶媒PBS投与対照群のマウスは5日目に粘膜角質層が角化しすぎて脱落し(↓)、扁平上皮に軽度の増殖があり(Δ)、9日目に角化した角質層はほぼ脱落し、表面が不均一であり(↓)、上皮修復が伴われておらず、扁平上皮の増殖が深刻になる(図1A、B)。これに対して、プラスミノーゲン投与群は5日目に一部の角質層が脱落して消え(↓)、損傷した上皮表面は新生の上皮に覆われ(◆)、9日目に新生の上皮がさらに修復し、扁平上皮化生が発生し(↓)、損傷した粘膜表面までに覆う(図1C、D)。これから見ると、溶媒PBS投与対照群のマウスの子宮頸部損傷はますます深刻になるに対して、プラスミノーゲン投与群では修復がすでに発生しており、しかも時間が経つにつれて、損傷した粘膜表面は改善し続ける。これは、プラスミノーゲンが子宮膣部びらん組織に対して保護作用を有することを示している。
実施例2は、プラスミノーゲンがplg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部損傷の修復を促進することに関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg−/−マウスを18匹用い、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群9匹ずつである。モデリングの前日にマウスの体重を測定して群に分け、群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリング処理した。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は12日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目、9日目、および13日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定した後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させてさらにキシレンで透徹にした後にパラフィンで包埋させた。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してからヘマトキシリン及びエオジンで染色させ(HE染色)、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入し、顕微鏡下で200倍にて切片を観察した。
HE染色の結果は以下のように示している。溶媒PBS投与対照群のマウスは5日目、9日目、および13日目に扁平上皮角質層がすでに脱落し、表面にびらんが形成され、腔内に脱落した角質層が見え(↓)、しかも大量の炎症性細胞浸潤が見られ(◆)、時間が経つにつれて炎症はますます深刻になり、粘膜表面の潰瘍もますます深刻になっている(図2A−C)。これに対して、プラスミノーゲン投与群(図2D−F)は5日目に粘膜が変質壊死して脱落したが(↓)、表面はすでに新生の上皮修復が発生しており、9日目に子宮腔に少量の炎症性細胞浸潤しかなく、新生の上皮がさらに増殖し、しかも新生の上皮の下に扁平上皮角質層があり(↓)、13日目に子宮腔内に異物がなく、潰瘍も癒合しており、扁平上皮表面はすでに修復された角質層に覆われている。plg−/−マウスの体内にはプラスミノーゲンが不足しているので、溶媒PBS投与対照群のマウスの体内には依然としてプラスミノーゲンが不足しているに対して、プラスミノーゲン投与群のマウスのプラスミノーゲンが補充された。溶媒PBS投与対照群は重篤な損傷があり、しかも時間の経過とともに修復されず、プラスミノーゲン投与群の子宮頸部損傷が軽く、しかも投与時間が長くなるにつれて徐々に修復されている。これは、プラスミノーゲンがplg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部損傷の修復を顕著に促進できることを示している。
実施例3は、プラスミノーゲンがplg+/+子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部フィブリンの分解を促進することに関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg+/+マウスを12匹用い、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群6匹ずつである。モデリングの前日にマウスの体重を測定して群に分け、群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリング処理した。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は8日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目と9日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してから一回水洗いした。クエン酸で30分間修復し、室温にて10分間冷却してから水でやさしく洗い流した。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。10%の健常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後に、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスフィブリン(フィブリノーゲン)抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。段階的に脱水してから透徹にし封入させ、切片を顕微鏡下で200倍にて観察した。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、生体の損傷に対する応答反応として、フィブリノーゲンはフィブリンに加水分解されて損傷部位に沈着する[28−30]。そのため、フィブリンのレベルを損傷程度の一つの指標とすることができる。
その結果は以下のように示している。溶媒PBS投与対照群(図3A、B)およびプラスミノーゲン投与群(図3C、D)のマウスの子宮頸部フィブリンの陽性着色はいずれも、5日目より9日目の方が深いが、溶媒PBS投与対照群の陽性着色はいずれもプラスミノーゲン投与群より深く、しかも統計学的差異がある(図3E)。これは、プラスミノーゲンがフィブリンの沈着を顕著に減少させることができ、plg+/+子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部の損傷を軽減できることを示している。
実施例4は、プラスミノーゲンがplg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部フィブリンの分解を促進することに関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg−/−マウスを18匹用い、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群9匹ずつである。モデリングの前日にマウスの体重を測定して群に分け、群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリング処理した。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は12日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目、9日目、および13日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してから一回水洗いした。クエン酸で30分間修復し、室温にて10分間冷却してから水でやさしく洗い流した。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。10%の健常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後に、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスフィブリン抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。段階的に脱水してから透徹し封入させ、切片を顕微鏡下で200倍にて観察した。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、生体の損傷に対する応答反応として、フィブリノーゲンはフィブリンに加水分解されて損傷部位に沈着する[28−30]。そのため、フィブリンのレベルを損傷程度の一つの指標とすることができる。
その結果は以下のように示している。溶媒PBS投与対照群のフィブリンの陽性着色はだんだん深くなる(図4A−C)。プラスミノーゲン投与群(図4D−F)は、その陽性着色がだんだん浅くなり、しかも13日目と5、9日目と顕著な統計学的差異があり、溶媒PBS投与対照群と比べてその着色が浅く、しかも13日目に両者には統計学的差異がある(図4G)。plg−/−マウスの体内にはプラスミノーゲンが不足しているので、溶媒PBS投与対照群のマウスの体内には依然としてプラスミノーゲンが不足しているに対して、プラスミノーゲン投与群のマウスのプラスミノーゲンが補充された。これは、プラスミノーゲンがフィブリンの沈着を顕著に減少させることができ、plg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの子宮頸部の損傷の修復を促進できることを示している。
実施例5は、プラスミノーゲンがplg+/+子宮膣部びらんモデルマウスの炎症の修復を促進することに関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg+/+マウスを12匹用い、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群6匹ずつである。群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリングための投与をした。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルを構築する前日にマウスの体重を測定して群分けをした。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は8日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目と9日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してから一回水洗いした。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。10%の健常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後に血清液を捨て、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。F4/80のウサギポリクローナル抗体(Abcam)を4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗った。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。段階的に脱水してから透徹にし封入させ、切片を顕微鏡下で200倍にて観察した。
F4/80はマクロファージマーカーであって、炎症反応の程度及び段階を示すことができる。その結果は以下を示している。溶媒PBS投与対照群(図5A、B)およびプラスミノーゲン投与群(図5C、D)の子宮頸部のF4/80の陽性の発現量はいずれも、5日目より9日目の方が高いが、プラスミノーゲン投与群の方は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが損傷した組織の炎症を軽減することができ、plg+/+子宮膣部びらんモデルマウスの損傷子宮頸部の炎症の修復を促進できることを示している。
実施例6は、プラスミノーゲンがplg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの炎症の修復を促進することに関するものである。
本実験において、6〜7週齢の健康なメスplg−/−マウスを18匹用い、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群9匹ずつである。群分けした後、子宮膣部びらんモデルを構築し、マウスの子宮頸口にフェノールペーストを0.01mL/回/日注入し、4回連続してモデリングための投与をした。フェノールペーストの配合:フェノールを60℃で溶融し、3mLを取り、アラビアガム粉末4gおよび蒸留水5mLを加え、撹拌し均一に混合して乳白色の粘稠なフェノールペーストを得た[27]。モデルを構築した後、プラスミノーゲン投与群に対して1mg/0.1mL/匹/日で尾静脈からプラスミノーゲンを注射することで投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを投与した。モデルを構築する前日にマウスの体重を測定して群分けをした。モデルの構築が完了した当日を0日目として、1日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は12日間であった。二つの群についてそれぞれ、5日目、9日目、および13日目に3匹のマウスをランダムに取り、眼球を摘出して血を採取し、マウスを殺処分し、子宮頸部組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液中において24〜48時間固定した。固定後の子宮頸部組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してから一回水洗いした。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。10%の健常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後に血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。F4/80のウサギポリクローナル抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗った。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。段階的に脱水してから透徹にし封入させ、切片を顕微鏡下で200倍にて観察した。
F4/80はマクロファージマーカーであって、炎症反応の程度及び段階を示すことができる。その結果は以下を示している。溶媒PBS投与対照群(図6A−C)およびプラスミノーゲン投与群(図6D−F)は、5、9、13日目のF4/80の陽性の発現量はいずれも明らかな変化がないが、プラスミノーゲン投与群の陽性の発現量は溶媒PBS投与対照群より低い。plg−/−マウスの体内にはプラスミノーゲンが不足しているので、溶媒PBS投与対照群のマウスの体内には依然としてプラスミノーゲンが不足しているに対して、プラスミノーゲン投与群のマウスのプラスミノーゲンが補充された。これは、プラスミノーゲンが損傷した組織の炎症レベルを軽減することができ、プラスミノーゲンがplg−/−子宮膣部びらんモデルマウスの損傷子宮頸部の炎症の修復を促進できることを示している。


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Claims (14)

  1. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の子宮膣部びらん及びその関連疾患を予防及び/または治療するための方法。
  2. 前記子宮膣部びらんは真性びらんと仮性びらんを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記プラスミノーゲンは、Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 一つの実施形態において、前記プラスミノーゲンは、Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、δ(delta)−プラスミノーゲンまたはマイクロプラスミノーゲンから選ばれる保存的な置換変異体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記プラスミノーゲンは、ヒト天然プラスミノーゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノーゲンのオルソログである、、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは例えば、静脈内、筋肉内、皮下、局所注射、直腸投与、膣投与によって全身または局所において投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記プラスミノーゲンまたはプラスミンは、他の薬物または療法と組み合わせて投与されることができる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記他の薬物または療法は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬、物理的療法、レーザー光線療法、局所手術療法を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 有効使用量のプラスミノーゲンを含有する容器、および被験者の子宮膣部びらんおよびその関連疾患の予防および/または治療に前記製品を投与することを指導するプロトコルを含む、被験者の子宮膣部びらんおよびその関連疾患を予防および/または治療するための製品。
  12. さらに一つまたは複数のその他の薬物を含有する容器を含む、請求項11に記載の製品。
  13. 前記その他の薬物は、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗トリコモナス薬、抗血栓薬、抗糖尿病薬を含む、請求項12に記載の製品。
  14. 前記プロトコルはさらに、前記プラスミノーゲンが前記その他の薬物を投与する前、投与と同時、及び/または後に投与できることを説明している、請求項12または13に記載の製品。
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