JP2015505326A - 放射線防護及び放射線誘発性毒性緩和のためのil−12 - Google Patents

放射線防護及び放射線誘発性毒性緩和のためのil−12 Download PDF

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Abstract

本発明の態様及び実施形態は、対象における放射線誘発損傷を治療するために有用なインターロイキン12(IL-12)を含む治療方法及び組成物を提供する。特に、本発明は、急性放射線症候群、及び皮膚T細胞性リンパ腫の治療に関連する放射線誘発毒性の治療のための、放射線防護及び/又は放射線毒性緩和のための方法及び組成物を提供する。【選択図】 図2

Description

本出願は、2012年1月18日に出願した米国特許仮出願第61/588,098号及び2012年12月6日に出願した米国特許仮出願第61/734,364号の優先権の利益を主張するものである。
本開示は、一般的に、放射線防護及び/又は放射線誘発毒性緩和のための新規方法及び組成物に関する。特に、本開示は、皮膚T細胞リンパ腫の治療に関連する放射線誘発毒性及び急性放射線症候群の治療のための、放射線防護及び/又は放射線毒性緩和のための方法及び組成物を提供する。
下記の事項は、本開示の様々な態様及び実施形態を理解する上で有用であり得る情報を含む。本明細書に記載する情報のいずれもが従来技術であること、又は今回記載若しくは特許請求の範囲に記載する発明に関連すること、或いは具体的に又は黙示的に参考文献として引用する刊行物又は文書が従来技術であることは、承認する事柄ではない。
ヒト及び動物は、細胞、組織、器官及び全身損傷をもたらす放射線誘発性損傷に対して非常に感受性が高い。核爆発又は災害シナリオなどの偶発的な放射線暴露に際して、多くの被害者は、様々な程度の急性放射線症候群(ARS)に罹患する。放射線災害における当面の目標は、癌の放射線療法と全く異なる。そのような災害シナリオにおいて、初期の努力は、被害者が成功裏に優先順位をつけられ、それらの個々の状態及び苦痛によって決定されるその後の徹底的な医療を受けることができるように、延命をもたらし得る治療によりできる限り多くの被災者に手を差し伸べることを必要とする。偶発的又は意図的な放射線災害の他の側面は、救命薬又は治療が、放射線災害後の時間が経過した時点に有効でなければならないことである。この要求は、救命薬又は治療を必要とする被害者に施すことができるように、医療スタッフ、薬物/治療及び装置を災害現場に動員するのに時間がかかるためである。
さらに、細胞、組織、器官及び系の放射線誘発損傷は、癌などの疾患の治療過程における放射線暴露、又は核爆発などの放射線の放出を伴う災害に起因する偶発的な放射線暴露の結果であり得る。癌患者の40%以上は、それらの疾患の管理において放射線療法を必要とする。放射線療法はかなりの例数の癌患者の生存期間を改善するが、急性放射線毒性(臨床放射線療法の過程中又はその直後に発現する)及び後期毒性(放射線療法の完了の数ヵ月から数年後に発現する)はともに、成功裏に治療された癌患者の全般的転帰を危険にさらす。
例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、非ホジキンリンパ腫の全症例の約4%を占めており、一般的に表皮及び真皮外層内の皮膚ホーミングTヘルパー細胞の悪性増殖を一部特徴とする。CTCLの最も一般的なサブグループは、菌状息肉腫(MF)である。CTCLの正確な病因は不明であるが、遺伝的、感染性及び環境上の要因が示唆されている。CTCLの発生率は、年齢とともに増加し、平均発症年齢は、50〜60歳である。CTCLは、男性で女性の2倍罹患する。この疾患は、小児ではさほど一般的でないが、すべての年齢の人が罹患し得る。CTCL患者の初期の経過において、通常、限定的な紅斑からより全身性の紅斑、斑(プラーク)、腫瘍及び最終的にリンパ節又は内臓転移への進行が続く。CTCL患者は、皮膚病変(T期)の程度に基づく臨床病期分類システム、リンパ節及び内臓転移の存在(TNM分類システム)に従って分類される。CTCLの2つの最も一般的な亜型は、初期段階においてしばしば潜行性(緩徐進行型)である菌状息肉腫及び「セザリー症候群」と呼ばれるより攻撃的な型である。他のさほど一般的でないCTCL亜型は、皮膚CD30発現未分化大細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、CD8発現侵攻性表皮向性T細胞リンパ腫及びガンマ-デルタT細胞リンパ腫などである。CTCL患者の伝統的な療法は、局所及び全身療法を含み得る。最も一般的な療法は、ソラレン長波長紫外線療法(PUVA)、全身皮膚電子線療法(TSEBT)並びに局所及び全身化学療法などである。
TSEBTは、1950年代以来CTCLの治療に用いられている。全身皮膚電子線療法(TSEBT)又は部分皮膚電子線療法(PSEBT)は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び菌状息肉症(MF)の有効な療法である。菌状息肉腫(MF)の従来の全身皮膚電子照射(TSEI)は、患者コンプライアンスを不良にする、治療期間を延長させる、治療の中断を必要とする放射線毒性を引き起こす。総治療時間を延長させることは、腫瘍細胞を温存させ、治癒の可能性を低下させ得るが、総放射線量をより短期間にわたり送達することは、より大きい放射線生物学的恩恵をもたらし、より十分な腫瘍制御をもたらす。通常、TSEIは、毎日(週5日)施され、これが、治療の中断及び総治療期間の延長を必要とする、重度の放射線関連毒性を必ずもたらす。これが、放射線生物学的有効性を低下させ、治療の最終結果及び無病状態に影響を及ぼし得る。
現在のところ、癌に用いられる放射線療法から細胞及び組織を保護し得る薬剤は存在するが、いずれも非常に有効であるとは証明されていない。偶発的又は意図的放射線暴露に関して、現在までの暴露後に長時間経過したときに投与した場合に著しく延命し得る公知の薬剤は存在しない。
したがって、細胞、組織、器官及び系の放射線誘発性損傷を防御又は軽減し、それにより、急性又は慢性放射線暴露後の健康の回復の可能性を増大させ得る方法、薬剤及び/又は組成物の満たされていない必要性がある。本開示は、電離放射線への偶発的暴露の後又は放射線療法の状況における正常な細胞、組織、器官及び系の生存並びにそれらの機能の回復を増大させるのに有用である電離放射線への暴露の作用の防御又は軽減を増強させ得る方法及び治療薬を提供する。
一態様において、実質的に単離されたIL-12を含む治療上有効量の医薬組成物の用量を放射線暴露後に対象に投与し、それにより、放射線に起因する系、器官若しくは組織及び/又は細胞の損傷を軽減させることを含む、電離放射線への対象の暴露後の系、器官、組織又は細胞の損傷から対象を保護する方法を提供する。
一態様において、放射線は、急性放射線損傷に関連する特性を発生するのに十分な急性致死線量又は急性近致死線量として受ける。他の態様において、対象の放射線損傷は、慢性又は全身性損傷である。
一態様において、放射線暴露は、全身照射をもたらす。一実施形態において、放射線量は、約0.7Gy〜約50Gyであり、本明細書で述べるように、電離放射線源の線質係数に依存する。
一実施形態において、保護される系、器官又は組織は、骨髄、リンパ系、免疫系、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚及び脳からなる群より選択される。
一実施形態において、IL-12の有効量は、300ng/kg未満である。一実施形態において、IL-12の有効量を各用量が50ng/kg未満の2以上の用量で投与する。一実施形態において、IL-12の1以上の有効量は、200ng/kg未満である。一実施形態において、IL-12の1以上の有効量は、100ng/kg未満である。一実施形態において、有効量のIL-12を各用量が30ng/kg未満の2以上の用量で投与する。
一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露前に投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露の前及び後に投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露の後に投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の24時間を超えてから投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の48時間を超えてから投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の72時間を超えてから投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の96時間を超えてから投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の120時間を超えてから投与する。
一実施形態において、投与されたIL-12は、皮膚組織を放射線損傷から保護する。一実施形態において、投与されたIL-12は、エリスロポエチンの産生を誘導する。一実施形態において、エリスロポエチンの産生は、系、器官、組織又は細胞損傷の防御を増強させる。
一実施形態において、保護される系、器官又は組織は、腎臓及び肺を含む。一実施形態において、保護される系、器官又は組織は、脳及び心血管系を含む。
一態様において、IL-12の有効量は、1つを超える系、器官及び/又は組織を放射線損傷から保護する。一実施形態において、保護される系、器官又は組織は、骨髄、消化管系、リンパ系、免疫系及び/又は組織、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚、爪、汗腺及び脳からなる群より選択される。
他の態様において、放射線は、対象が放射線療法を受けている間にCTCLに関連する疾患及び/又は障害の治療中に受けている。一実施形態において、CTCLに関連する疾患及び/又は障害は、菌状息肉腫である。他の実施形態において、CTCLに関連する疾患及び/又は障害は、セザリー症候群である。一実施形態において、放射線暴露は、電子線療法を用いるCTCLの治療に関連する。
一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を皮下投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を静脈内投与する。一実施形態において、1以上の有効量のIL-12を局所投与する。一実施形態において、IL-12を感受性器官の損傷部位の近くに投与する。一実施形態において、対象がCTCLに対する放射線療法を受けており、IL-12が照射の部位又はその近くに投与される。
一態様において、放射線を分割線量として2以上の分割で受ける。他の実施形態において、放射線を多分割療法で分割線量として受ける。他の態様において、放射線を加速分割療法で分割線量として受ける。
一態様において、有効量のIL-12を各用量が30ng/kg未満の1以上の用量で投与する。他の態様において、有効量のIL-12を各用量が50ng/kg未満の1以上の用量で投与する。他の態様において、IL-12の1以上の有効量は、100ng/kg未満である。他の態様において、IL-12の1以上の有効量は、200ng/kg未満である。一態様において、IL-12の有効量は、300ng/kg未満である。
一態様において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露の前に投与する。他の態様において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露の前及び後に投与する。他の態様において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露の後に投与する。
特定の態様において、1以上の有効量のIL-12を放射線暴露後の約24時間、約48時間、約72時間、約96時間又は約120時間を超えてから投与する。
一態様において、1以上の有効量のIL-12を、局所、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、硬膜外、非経口、鼻腔内及び/又は頭蓋内投与する。一実施形態において、IL-12を皮内投与する。別の実施形態において、IL-12を腫瘍内投与する。
一態様において、IL-12を感受性器官の損傷部位の近く、隣接した部位又はその部位に投与する。
一態様において、対象が頭頚部癌に対する放射線療法を受けており、IL-12を照射部位又はその近くに投与する。
一態様において、投与されたIL-12は、粘膜組織を放射線損傷から保護する。
一態様において、放射線損傷は、核爆発により引き起こされる。他の実施形態において、放射線損傷は、電離放射線源からの放射線の放出により引き起こされる。
一態様において、放射線損傷は、放射線療法の治療モダリティにより引き起こされる。他の実施形態において、治療モダリティは、外部照射放射線療法を含む。一態様において、外部照射放射線療法は、3次元原体照射療法(3-D CRT)を含む。他の態様において、外部照射放射線療法は、強度変調放射線療法(IMRT)、画像誘導放射線療法(IGRT)、トモセラピー、定位放射線治療、定位体放射線療法、光子線、電子線及び陽子線治療からなる群より選択される。
他の態様において、放射線療法は、内部照射放射線療法又は近接照射療法を含む。他の態様において、放射線療法は、全身放射線療法を含む。他の態様において、放射線療法は、放射線免疫療法(RIT)を含む。
一態様において、放射線誘発損傷の予防を必要とする対象への送達のための適切な製剤中にIL-12を含む医薬組成物を提供する。
一態様において、投与されたIL-12は、エリスロポエチン、ケモカイン、サイトカイン、IFN-g、MCP-1、IL-15、IL-18、IP-10、MG、Mip1ベータ又はI-TAC、エオタキシン、エオタキシン-3、TARC及びIL-8の少なくとも1つの産生を誘導する。いくつかの実施形態において、エリスロポエチンの産生は、系、器官、組織及び/又は細胞損傷の防御を増強させる。
一態様において、保護される系、器官及び/又は組織は、骨髄及び消化管系を含む。他の態様において、保護される系、器官及び/又は組織は、腎臓及び肺を含む。他の態様において、保護される系、器官又は組織は、脳及び心血管系を含む。
一態様において、典型的な医薬組成物は、放射線への暴露後の損傷から細胞、組織及び/又は器官を保護又は回避させ得る。例えば、いくつかの態様において、典型的な医薬組成物は、造血組織、血液、リンパ、骨髄の実質細胞、循環骨髄芽球、循環小リンパ球、血小板、白血球、赤血球、皮膚及び口腔粘膜、皮膚の基底層、基底細胞、表皮、幹細胞、消化器官及び系、胃、腸、腸上皮、結腸、直腸、男性及び女性生殖器系、胚芽細胞、精巣、卵巣、卵母細胞、肝臓、甲状腺、血管内皮、血管、眼、水晶体、心血管系、内皮、心臓、肺、骨及び軟骨、結合組織、肝臓、腎臓、CNS、感覚器官、グリア細胞並びに副腎髄質における損傷を防御又は予防し得る。
一態様において、対象は、癌の放射線療法を必要とする。他の態様において、対象は、化学療法も必要とする。
一態様において、癌は、固形腫瘍である。他の態様において、固形腫瘍は、肉腫、癌腫又はリンパ腫を含む。他の態様において、癌は、肺、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、膀胱、頭頚部、甲状腺、脳、肝臓、胆嚢、皮膚、結腸及び腎臓癌からなる群より選択される。一態様において、固形腫瘍は、酸素化不良(poorly reoxygenating)腫瘍である。
一態様において、IL-12の各用量は、約1ng/kgから約2000ng/kg未満であり、前記用量は、皮内、筋肉内、腹腔内、筋肉内、静脈内、非経口、鼻腔内、頭蓋内、局所、皮下及び硬膜外経路からなる群より選択される送達経路により投与する。
本明細書に記載し、特許請求の範囲に記載した本発明は、この概要で示し又は説明し又は参照したものを含むが、これらに限定されない多くの特質及び実施形態を有する。全てが包括的であることを意図するものではなく、本明細書で説明された及びここで特許請求の範囲に記載された発明は、この概要で特定した特徴及び実施形態に、又はこの概要で特定した特徴及び実施形態によって限定されない。さらなる実施形態は、以下の詳細な説明で開示されるであろう。
図1Aは、TBI後少なくとも24時間目に投与した典型的な組換えマウスIL-12(例えば、m HemaMax)が照射マウスの生存時間を延長させたことを示す図である。(a)動物に8Gy(LD86/30)のTBI後24時間及び72時間目にビヒクル、又は100ng/マウスの名目用量で組換えマウスIL-12を投与した。ビヒクル及び組換えマウスIL-12は、皮下注射した。ビヒクルは、PBSであった。後の試験で、組換えマウスIL-12がバイアル及び注射器表面におそらく付着するために、送達された実際の組換えマウスIL-12の用量が意図した用量の約10%であったことが示されたため、送達された組換えマウスIL-12の用量は、10ng/マウスであると推定された。 図1Bは、TBI後少なくとも24時間目に投与した典型的な組換えマウスIL-12(例えば、m HemaMax)が照射マウスの生存時間を延長させたことを示す図である。(b)動物に9Gy(LD100/30)のTBI後24時間目、48時間目又は72時間目にビヒクル又は1回の300ng/マウスの名目用量の組換えマウスIL-12を投与した。ビヒクル及び組換えマウスIL-12は、皮下注射した。ビヒクルは、PBSであった。後の試験で、組換えマウスIL-12がバイアル及び注射器表面におそらく付着するために、送達された実際の組換えマウスIL-12の用量が意図した用量の約10%であったことが示されたため、送達された組換えマウスIL-12の用量は、30ng/マウスであると推定された。 図1Cは、TBI後少なくとも24時間目に投与した典型的な組換えマウスIL-12(例えば、m HemaMax)が照射マウスの生存時間を延長させたことを示す図である。(c)動物に7.9Gy (LD85/30)のTBI後24時間目にビヒクル又は1回の低用量の組換えマウスIL-12(2ng/マウス又は18ng/マウス)を投与した。ビヒクル及び組換えマウスIL-12は、皮下注射した。ビヒクルは、P5.6TTであった。 生存時間の延長における組換えマウスIL-12の有効性がマウスにおける放射線量に依存しないことを示す図である。動物に8.6Gy(LD70/30)、8.8Gy(LD90/30)及び9.0Gy(LD100/30)の漸増放射線量で全身照射(TBI)を行い、その後、照射後24時間目に20ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を投与した。マウスを30日目まで生存についてモニターした。ビヒクルは、P5.6TTであった。 図3Aは、組換えマウスIL-12の投与が照射及び非照射マウスにおける血漿組換えマウスIL-12及びIFN-γレベルを増加させたことを示す図である。動物に照射の非存在下で又はLD90/30のTBIの後24時間目に10ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。組換えマウスIL-12及びIFN-γの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点についてn=3である。 図3Bは、組換えマウスIL-12の投与が照射及び非照射マウスにおける血漿組換えマウスIL-12及びIFN-γレベルを増加させたことを示す図である。動物に照射の非存在下で又はLD90/30のTBIの後24時間目に20ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。組換えマウスIL-12及びIFN-γの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点についてn=3である。 図3Cは、組換えマウスIL-12の投与が照射及び非照射マウスにおける血漿組換えマウスIL-12及びIFN-γレベルを増加させたことを示す図である。動物に照射の非存在下で又はLD90/30のTBIの後24時間目に40ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。組換えマウスIL-12及びIFN-γの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点についてn=3である。 図3Dは、組換えマウスIL-12の投与が照射及び非照射マウスにおける血漿組換えマウスIL-12及びIFN-γレベルを増加させたことを示す図である。動物に照射の非存在下で又はLD90/30のTBIの後24時間目に200ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。組換えマウスIL-12及びIFN-γの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。(d)におけるy軸の尺度は、(a)及び(b)における尺度より8倍大きく、(c)における尺度より5倍大きい。各時点についてn=3である。 20ng/マウスの最適組換えマウスIL-12用量が照射マウスにおける血漿EPO濃度を増加させたことを示す図である。動物に照射の非存在下又はLD90/30のTBIの後24時間目に(a)10ng/マウス、(b)20ng/マウス、(c)40ng/マウス、又は(d)200ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。EPOの血漿濃度は、組換えマウスIL-12の投与後12時間目に採取した血液試料においてELISAにより測定した。 組換えマウスIL-12が照射マウスにおける造血回復を促進することを示す写真である。IL-12Rβ2(橙色)について染色した非照射非処置マウスからの大腿骨髄の代表的な切片を(a)に示す。動物をTBI(8.0Gy)に供し、その後、照射後表示した時点にビヒクル(P5.6TT)又は組換えマウスIL-12 (20ng/マウス)を皮下投与した(b〜f)。マウスの追加のグループにはTBI後24時間目に組換えヒトIL-12を投与した(g)。照射後12日目に大腿骨髄をIL-12Rβ2(橙色)について免疫組織化学的に染色した。ビヒクルで処置したマウスの骨髄はIL-12Rβ2発現細胞を欠き、造血再生の徴候を示さなかった(b)が、組換えマウスIL-12で処置したマウスは、造血再構成並びにIL-12Rβ2発現巨核球、骨髄始原細胞及び骨芽細胞の存在を示した(c〜f)。組換えヒトIL-12を投与したマウスは、IL-12Rβ2発現骨芽細胞を示したが、巨核球を欠いていた(g)。倍率=100x。 図5−1の続き。 マウス骨髄造血幹細胞、骨芽細胞及び巨核球がIL-12Rβ2を発現することを示す。TBI(図5で記載したプロトコールに従った)後30日目(a及びc)並びに12日目(b)に得られた組織切片をIL-12Rβ2(a及びb、上パネル)、造血幹細胞のマーカー、Sca-1(a、下パネル)及び骨芽細胞、オステオカルシン(b、下パネル)又はIL-12Rβ2とSca-1の両方(c)について免疫組織化学的に染色した。また未熟及び成熟巨核球の両方がIL-12Rβ2の存在の強い免疫組織化学的染色を示した(c)。(a)における赤い矢印は、IL-12Rβ2を発現する造血幹細胞を示すが、黒い矢印は、IL-12Rβ2を発現しないものを示す。IL-12Rβ2及びSca-1二重染色(c)において、IL-12Rβ2は、ピンク色に染色されるが、Sca-1は、褐色に染色される。IL-12Rβ2及びSca-1を共発現する幹細胞の亜集団並びにIL-12Rβ2又はSca-1のみを発現する亜集団が示されている(c)。倍率=100x。 低用量の組換えマウスIL-12がマウスにおける放射線誘発腸損傷を抑制することを示す。空腸陰窩におけるIL-12Rβ2発現(a)及びGI幹細胞損傷マーカーであるLGR5の空腸発現の抑制(b)を示す。マウスに照射の非存在下で又はTBI(8.6Gy)の後24時間目にビヒクル(P5.6TT)又は表示用量の組換えマウスIL-12を皮下投与した。照射後3日目に、空腸組織を取り出し、IL-12Rβ2(a)又はLGR5(b)について免疫組織化学的に染色した。代表的な画像は、矢印で示すように褐色のLGR5を示す。倍率=400。 マウス及びアカゲザルにおける種特異的等価用量の組換えマウスIL-12及び組換えヒトIL-12への同様な暴露を示す図である。照射の非存在下での組換えマウスIL-12の血漿AUClast対マウスへの投与量のプロットは、10ng/マウス〜40ng/マウスの用量において線形であった。20ng/Kg及び80ng/Kgのサル等価用量における組換えヒトIL-12の血漿AUClastは、マウスにおける組換えマウスIL-12暴露の用量依存的増加の延長とよく一致していた。 図9Aは、典型的な組換えヒトIL-12(例えば、HemaMax)の投与が非照射アカゲザルにおける血漿IFN-γ濃度を増加させたことを示す図である。(a)組換えヒトIL-12と比較したIFN-γの一時的速度論。動物に照射の非存在下で250ng/Kg又は1000ng/Kgの用量で組換えヒトIL-12を皮下投与した。組換えヒトIL-12及びIFN-γの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点について各群でn=3である。 図9Bは、典型的な組換えヒトIL-12(例えば、HemaMax)の投与が非照射アカゲザルにおける血漿IL-18及びEPO濃度を増加させたことを示す図である。(b)IL-18及びEPOの一時的速度論。動物に照射の非存在下で250ng/Kg又は1000ng/Kgの用量で組換えヒトIL-12を皮下投与した。IL-18及びEPOの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点について各群でn=3である。 図9Cは、典型的な組換えヒトIL-12(例えば、HemaMax)の投与が非照射アカゲザルにおける血漿IL-15及びネオプテリン濃度を増加させたことを示す図である。(c)IL-15及びネオプテリンの一時的速度論。動物に照射の非存在下で250ng/Kg又は1000ng/Kgの用量で組換えヒトIL-12を皮下投与した。IL-15及びネオプテリンの血漿濃度は、表示した時点に採取した血液試料においてELISAにより測定した。各時点について各群でn=3である。ネオプテリンではn=1であった。 NHP並びにヒト骨髄並びに小腸がIL-12Rβ2を発現することを示す写真である。NHP及びヒト大腿骨髄(a)並びに空腸/回腸(b)の組織をIL-12Rβ2について免疫組織化学的に染色した。(a)IL-12Rβ2を発現する前駆細胞及び巨核球が示されている。脂肪細胞はIL-12Rβ2を発現しなかった。(b)IL-12Rβ2を発現する腸陰窩が示されている。固有層及び粘膜下部位におけるリンパ球様細胞もIL-12Rβ2を発現した。C=陰窩;LP=固有層。倍率は(a)で40x、(b)で100xであった。 照射後少なくとも24時間目に開始した組換えヒトIL-12が非支持サルの生存率を増加させたことを示す図である。個々の投与群(a)及びプールした組換えヒトIL-12投与群(b)を示す。動物を0日目にLD50/30のTBIに供し、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えヒトIL-12を、表示した投与計画で皮下投与した。支持療法は、試験中禁止した。動物を30日まで生存についてモニターした。a1匹の動物を歯の破損のため試験から除外した。 組換えヒトIL-12の投与が照射非支持アカゲザルにおける最下点における白血球減少症(A)及び血小板減少症(B)を減弱させたことを示す図である。動物を0日目にLD50/30のTBIに供した。動物にTBI後24時間目にビヒクル(P5.6TT)又は100ng/Kg若しくは250ng/Kgの用量の組換えヒトIL-12を皮下投与した。血液試料を表示した時間に採取し、白血球及び血小板を自動血液学分析装置により計数した。 図13Aは、組換えヒトIL-12の投与を受けた照射アカゲザルがビヒクルの投与を受けた動物より少ない体重減少を示したことを示す図である。100ng/Kg投与群のKg単位の体重を示す。サルを0日目にLD50/30のTBIに供し、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えヒトIL-12を、表示した投与計画で皮下投与した。支持療法は、試験中禁止した。体重は、30日目まで隔日に記録した。 図13Bは、組換えヒトIL-12の投与を受けた照射アカゲザルがビヒクルの投与を受けた動物より少ない体重減少を示したことを示す図である。250ng/Kg投与群のKg単位の体重を示す。サルを0日目にLD50/30のTBIに供し、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えヒトIL-12を、表示した投与計画で皮下投与した。支持療法は、試験中禁止した。体重は、30日目まで隔日に記録した。 図13Cは、組換えヒトIL-12の投与を受けた照射アカゲザルがビヒクルの投与を受けた動物より少ない体重減少を示したことを示す図である。100ng/Kg投与群の百分率で表した体重を示す。サルを0日目にLD50/30のTBIに供し、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えヒトIL-12を、表示した投与計画で皮下投与した。支持療法は、試験中禁止した。体重は、30日目まで隔日に記録した。 図13Dは、組換えヒトIL-12の投与を受けた照射アカゲザルがビヒクルの投与を受けた動物より少ない体重減少を示したことを示す図である。250ng/Kg投与群の百分率で表した体重を示す。サルを0日目にLD50/30のTBIに供し、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えヒトIL-12を、表示した投与計画で皮下投与した。支持療法は、試験中禁止した。体重は、30日目まで隔日に記録した。 放射線への暴露後の生存期間を延長させる組換えヒトIL-12の作用機序のALマルチレベルモデルを示す図である。現在の証拠は、組換えヒトIL-12が体内の少なくとも4つのレベルにおける応答を誘発することを示唆している。レベル1応答では、組換えヒトIL-12は、現存の放射線感受性免疫細胞、すなわち、NK細胞、マクロファージ及び樹状細胞の増殖及び活性化を促進する。組換えヒトIL-12誘発性の血漿IL-15及びIL-18の上昇もNK細胞の成熟を促進し、これがIFN-γの放出をもたらし、これがひいては、マクロファージ及び樹状細胞並びにおそらくNK細胞からの内因性IL-12の産生に正の影響を及ぼす。これらの事象は、組換えヒトIL-12の投与後初期の先天性免疫能力を増強させる。レベル2応答では、組換えヒトIL-12は、生存造血幹細胞、骨芽細胞及び巨核球の増殖及び最適な造血を保証する特異的な細胞構成への分化を促進する。CD34+、IL-12Rβ2-陽性骨髄細胞からのEPOの組換えヒトIL-12誘導性分泌も骨髄におけるIFN-γの局所過剰産生を抑制し、それにより、造血細胞の増殖を促進する環境をもたらす可能性がある。骨髄における造血再生は、先天性及び適応免疫能力を増強させる。レベル3応答では、組換えヒトIL-12は、GI幹細胞を維持し、これが病原体漏出の減少、食物消費の増加及び下痢の減少につながる。レベル4応答では、組換えヒトIL-12は、器官/組織の多様な集合における細胞の生存を促進する細胞保護因子であるEPOの腎における放出を直接的に増加させる可能性がある。病原体及び/又はEPOにより活性化された樹状細胞に主として由来する内因性IL-12の持続的産生は、ポジティブフィードバックループとしての機能を果たし、外因性組換えヒトIL-12への初期の応答をおそらく放射線暴露後数週間にわたり持続させるのに重要な役割を果たす。↑=増加;↓=減少;HSC=造血幹細胞;NK細胞=ナチュラルキラー細胞。 放射線(LD90)への暴露後の生存者の3.5倍の増加を達成するという点での典型的なIL-12の有効性の実証を示す図である。用量設定試験の結果から、支持療法が行われない場合のアカゲザルにおけるLD90での延命効果が示された。すべてのプロトコールは、GLPに準拠して行われ、データは、盲検化試験デザインに基づいて得られた。 典型的なIL-12(HemaMax)処置が照射NHP(LD90/60)における出血スコアの低下を伴うということの実証を示す図である。 致死放射線暴露後のBM再生の刺激における、典型的なIL-12(HemaMax)の有効性を示す図である。 致死照射(700cGy)後12日目における再生のポケットの例がNHP骨髄に示されている。ポケットは、H&E染色の存在によって定義される。H&E染色部位は、ビヒクル処置動物でより少なく、より小さい(A〜C)。染色部位の頻度の増加及びより大きな染色面積がHemaMax処置NHPに認められる(D〜G)。倍率4X。 致死放射線暴露後のBM再生の刺激におけるrIL-12 HemaMaxの有効性の他の実例を示す図である。 rIL-12 HemaMax処置が照射NHPにおける敗血症の発生率の低下を伴うという有効性の実証を示す図である。 図21Aは、二次エンドポイントに基づくrIL-12の有効性の実証を示す図である。血液学:リンパ球。 図21Bは、二次エンドポイントに基づくrIL-12の有効性の実証を示す図である。血液学:好中球。 図21Cは、二次エンドポイントに基づくrIL-12の有効性の実証を示す図である。血液学:血小板。 放射線複合傷害(RCI)に対するHemaMaxの有効性の実証を示す。 照射マウス(暴露後2〜4時間)における創傷閉鎖(創傷サイズの減少)の加速及び複合傷害の軽減におけるrMuIL-12の有効性の実証を示す図である。 照射マウス(暴露後2〜4時間)における創傷閉鎖(創傷サイズの減少)の加速及び複合傷害の軽減におけるrMuIL-12の有効性の実証を示す写真である。 照射マウス(暴露後2〜4時間)における創傷閉鎖(創傷サイズの減少)の加速及び複合傷害の軽減におけるrMuIL-12の有効性の実証を示す写真である。 照射マウス(暴露後24時間)における創傷閉鎖の加速及び複合傷害の軽減におけるrMuIL-12の有効性の実証を示す図である。 照射マウス(暴露後24時間)における創傷閉鎖の加速及び複合傷害の軽減におけるrMuIL-12の有効性の実証を示す写真である。 非照射及び照射サルにおけるSC投与後のHemaMaxの血漿濃度-時間プロファイルを示す図である。 非照射及び照射サルにおけるIV投与(250ng/kg)後のHemaMaxの血漿濃度-時間プロファイル(ログスケール)を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるIV投与(250ng/kg)後のHemaMaxの血漿濃度-時間プロファイル(線形スケール)を示す図である。 IFN-γの薬力学を示す図である。HemaMaxの投与後のIFN-γの応答を示す。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのIV投与後のIFN-γの薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのSC投与後のEPO-の薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのIV投与後のEPO-の薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのSC投与後のIL-18-の薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのIV投与後のIL-18-の薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのSC投与後のIL-15-の薬力学を示す図である。 非照射及び照射サルにおけるHemaMaxのIV投与後のIL-15-の薬力学を示す図である。
したがって、本開示は、一般的に、偶発的な放射線暴露(核爆発若しくは災害シナリオなど)並びに/又は電子線療法を用いる皮膚T細胞リンパ腫に関連する疾患及び/若しくは障害の治療などの放射線療法に関連する、放射線防護及び/又は放射線性誘発毒性緩和のための新規方法及び組成物に関する。
例えば、テロリズムの武器としての電離放射線又は核爆弾の使用は、重大な公衆衛生上の脅威として今や認識されている。人口集中地域における核爆発、テロリストの放射性物質(例えば、「多量の放射線を出す(dirty)」)爆弾又は原子力発電所への攻撃の場合、早急な治療を必要とする大量死傷者が発生する。約4Gyの暴露で、医学的介入がない限り、50%の人が60日以内に死亡する。少なくとも2〜10Gy又はそれ以上の暴露により発生する死亡の大多数が免疫、造血及び消化管(GI)不全の複合作用に起因する。その理由は、これらが最も放射線感受性組織であるためである。放射線損傷後の免疫、造血及び消化管コンパートメントの回復を同時に促進又は加速することによって生存率を増加させることができるFDA承認済みの治療薬は存在しない。
多数の市民を襲う放射線災害又はテロ行為の場合、目標は、暴露した又は暴露した可能性のある個人の生存の可能性を増大させる強力な最前線の治療を提供することであると思われる。そのような場合の課題の1つは、医療及び処置が放射線暴露の直後に利用できないことである。医療チーム並びに必要な救命薬及び装置を放射線災害の現場に動員するのに24時間以上かかると想定される。
医療が直ちに利用できないので、最前線の治療として生存の可能性を増大させることができる医学的介入は、放射線暴露後の時間が経過した時点に施行するときに、有効でなければならないと思われる。これは、全身照射(TBI)が、放射線暴露直後に始まる、末梢血液、骨髄及びGI管などの放射線感受性器官における速やかに分裂する細胞の著しいアポトーシスを引き起こすという点で実際に課題である。さらに、暴露した個人に救命処置を成功裏に施す可能性は、放射線傷害後に指数関数的に低下する。したがって、放射線により引き起こされた傷害を軽減し得る対応処置を施す有効性は、時間とともに急速に低下する。
したがって、本開示の特定の態様は、一般的に、放射線防護及び/又は急性放射線暴露に起因する放射線誘発性毒性の緩和のための新規方法及び組成物に関する。
他の態様において、本開示はまた、電子線療法を用いる皮膚T細胞リンパ腫に関連する疾患及び/又は障害の治療のための放射線防護又は放射線毒性緩和のための方法及び組成物を提供する。
本開示の態様及び実施形態は、放射線の殺滅作用から癌性組織を救うと同時に正常組織を保護し、及び/又は再生し得る薬物の満たされていない必要性に対応する。現在までのところ、これらの特性を有する承認薬は存在しない。化学及び放射線防護剤であるアミホスチンは、唯一の承認済み放射線緩和薬(radiomitigating drug)である。
アミホスチンは、(1)アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)及び白金含有薬(例えば、シスプラチン)を含むDNA結合化学療法薬によって引き起こされる好中球減少症関連発熱及び感染の発生率を低下させるため;(2)白金含有薬に関連する累積的腎毒性を低減するため;及び(3)頭頚部癌に対する放射線療法を受けている患者における口内乾燥症の発生率を低下させるために治療的に用いられている。しかし、アミホスチンは、腫瘍細胞の増殖を促進する能力並びに正常組織を保護する能力を有する。したがって、この薬物は、癌患者に慎重に用いられる。アミホスチンの重篤な副作用は、低血圧(患者の62%に認められる)、多形性紅斑、スティーブン-ジョンソン症候群及び中毒性表皮剥離症、免疫過敏症症候群、紅皮症、アナフィラキシー及び意識喪失(まれ)を含む。
小分子キナーゼ阻害剤は、初期に化学防護剤として開発されているが、これらの薬物が癌細胞も保護するかどうかは不明確である。特に、抗腫瘍作用を同時に有する公知の放射線緩和薬は存在しない。組換えヒト及び/又はマウスIL-12は、動物モデルにおいて二重効果を有することが示された開発中の唯一の放射線緩和薬である。
組換えヒト及び/又はマウスIL-12は、放射線暴露後の非癌性であるが、損傷組織を保護し、再生し得る。放射線照射後のその保護及び再生特性に付随して、組換えヒト及び/又はマウスIL-12は、癌細胞の増殖を抑制し得る。これらの二重効果を有する他の公知の薬物は存在しない。
CTCL
本明細書で用いているように、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、皮膚を侵すリンパ性悪性疾患の群を代表する。原発性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、皮膚リンパ腫の約60%〜70%を占める、皮膚を侵すリンパ性悪性疾患の群である。CTCLの変種のうち、菌状息肉腫(MF)が最も一般的である。病期分類は、腫瘍、結節、転移(TNM)システムに基づいている。光(化学)療法(ソラレン長波長紫外線療法-PUVA)、局所ナイトロジェンマスタード、カルムスチンBCNU、全身皮膚電子線療法(TSEBT)などの放射線療法、局所ステロイド、インターフェロンアルファ、ベキサロテンなどのレチノイド、受容体標的化細胞傷害性融合タンパク質(例えば、デニロイキン・ディフティトックス)及び体外フォトフォレーシスを含む、皮膚限定MFの治療の複数の選択肢が存在する。MFが潜行性であるが、再発性であるため、MFを有する患者は、しばしば複数の療法を必要とする。
皮膚T細胞リンパ腫は、腫瘍性Tリンパ球の皮膚への局在化を特徴とするリンパ増殖性障害の群によって一般的に特徴づけることができる。皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、免疫系の癌の一種である、非ホジキンリンパ腫のクラスである。ほとんどの非ホジキンリンパ腫(一般的にB細胞に関連する)と異なり、CTCLは、T細胞の突然変異によって引き起こされる。体内の悪性T細胞は、最初に皮膚に移動し、様々な病変を出現させる。これらの病変は、疾患が進行するにつれて形状を変化させ、一般的に非常に痒みを生じさせ得る皮疹であると思われるものとして始まり、身体の他の部位への転移の前に最終的に斑(プラーク)及び腫瘍を形成する。
CTCLは、皮膚浸潤性のCD41 Tリンパ球のクローンに由来する悪性増殖である。CTCLの臨床所見は、明らかな末梢血又はリンパ節転移を伴わない限定的な皮膚紅斑及び斑から、血液、リンパ節又は内臓疾患を伴う腫瘍又は紅皮症の広範な皮膚への転移にまで及ぶ広範囲の所見を含み得る。
本明細書で用いているように、皮膚T細胞リンパ腫は、以下の型又は分類を含むが、それらに限定されない:菌状息肉腫、パジェット様細網症、セザリー症候群、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、CD30陽性皮膚T細胞リンパ腫、二次性皮膚CD30陽性大細胞リンパ腫、非菌状息肉腫CD30陰性皮膚大細胞リンパ腫、多形細胞型T細胞リンパ腫、レンネルトリンパ腫、皮下T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病(ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス[HTLV]陽性)、鼻型節外性ナチュラルキラー(NK)/T細胞リンパ腫、原発性皮膚末梢T細胞リンパ腫、不特定(PTCL-U)。
本明細書で用いているように、CTCL罹患者は、以下のCTCL関連状態の特性の、臨床及び/又は準臨床像を含み得る:
WHO-EORTC分類
潜行性臨床挙動
菌状息肉腫
菌状息肉腫変種及び亜型
毛包向性菌状息肉腫
パジェット様細網症
肉芽腫様弛緩皮膚
原発性CD30陽性リンパ増殖性疾患
原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫
リンパ腫様丘疹症
皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫(暫定的)
原発性皮膚CD4陽性小中細胞型多形性T細胞リンパ腫(暫定的)
侵攻性臨床挙動
セザリー症候群
成人T細胞白血病/リンパ腫。
さらに、CTCLはまた、以下の特徴及び/又は分類を含み又はそれを特徴とし得る。
皮膚原発性CD30陽性リンパ増殖性疾患
CD30陽性リンパ増殖性疾患という用語は、未分化大細胞リンパ腫(原発性皮膚及び全身型)及びリンパ腫様丘疹症などの疾患実体を含む。時には病理学的にはっきりしないが、これらの疾患実体は、臨床的に区別できる。したがって、これらの疾患の管理における臨床病理相関が望ましい。
未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、原発性皮膚型であり、併存性菌状息肉腫若しくはリンパ腫様丘疹症又はその病歴を有さず、真皮外疾患の証拠を有さない患者において孤立性結節又は潰瘍性腫瘍(>2cm)として発現する。主として局所リンパ節への真皮外伝播は、10%の時間に起こる。疾患は、約30%の時間に皮膚において多病巣性である。大リンパ球又は多形若しくは多核及び核小体を有するCD30陽性異型リンパ球の大クラスターのCD30陽性(75%以上)膜染色が認められる。多くの有糸分裂像を観察することができる。全身性未分化大細胞リンパ腫と異なり、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)染色は、通常陰性である。皮膚未分化大細胞リンパ腫を全身性未分化大細胞リンパ腫と区別するための有用なツールは、t(2;5)転座の存在について試験することである。この転座は、しばしば、ただし常にではなく全身性未分化大細胞リンパ腫の場合に存在するが、原発性皮膚症例には通常存在しない。リンパ腫様丘疹症との区別は、必ずしも組織学的基準に基づいて可能であるとは限らない。免疫学的には、異型リンパ球は、CD4陽性であり、CD2、CD3又はCD5の可変的喪失を有する。病期分類は、他の非ホジキンリンパ腫のように必要である(例えば、コンピュータ断層撮影[CT]スキャン、骨髄検査、血液検査を用いて)。患者は、再発を伴う自然寛解を経験し得る。自然寛解が起こらない場合、放射線療法、外科的切除又は両方が好ましい。化学療法は、全身性病変を有する患者のために留保される。
リンパ腫様丘疹症は、体幹又は四肢における自己回復性の赤褐色中心出血性又は壊死性丘疹及び結節の再発性クロップ(recurrent crops)として発現する。これらは、丘疹水疱性又は膿疱性病変に進展し得る。これらの病変は、未分化大細胞リンパ腫よりはるかに小さい(<2cm)。病変は、4〜6週間に自然消散し、高色素沈着又は萎縮性瘢痕を残す。可変性頻度及び/又は強度の大発生が異なる患者に起こり得る。リンパ腫様丘疹症は、クローン性T細胞遺伝子再構成を症例の60〜70%で示すことができるが、臨床的に良性である。ホジキン病、菌状息肉腫又は皮膚未分化大細胞リンパ腫が症例の20%に認められる。
皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫においては、クロップで出現する、紅斑性皮下結節が四肢又は体幹に局在する。これらの病変は、良性脂肪織炎と混同されることがあり、しばしば発熱、悪寒、体重減少及び倦怠感を伴う。それらはまた、急速進行性の下降過程を伴うことがある、血球貪食症候群を伴う可能性がある。真皮外部位への伝播は、まれである。組織学的には、初期病変は、良性皮下脂肪織炎と混同されることもある皮下脂肪の限局的に非定型性の小葉リンパ球浸潤を示す可能性がある。後に、腫瘍細胞による個々の脂肪細胞の縁どりの状態での多形性リンパ球様細胞の脂肪への浸潤に頻繁な有糸分裂、核崩壊及び脂肪壊死が伴う。組織球貪食性脂肪織炎(組織球貪食性赤血球及び白血球)も組織学的像を複雑にし得る。免疫学的には、異型リンパ球は、CD3及びCD8について陽性に染色され、T細胞受容体遺伝子のクローン性再構成が実証された。異なる組織学、表現型及び予後を有する皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫の少なくとも2つの群を識別することができる。アルファ/ベータ陽性T細胞表現型を有する症例は、通常CD8+であり、皮下組織に限定される再発性病変(真皮又は表皮病変を有さない)を特徴とし、潜行性臨床経過をたどる傾向がある。WHO-EORTC用語の皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫は、アルファ/ベータ型のみを指す。罹患患者は過去には化学療法又は放射線療法により治療されたが、全身ステロイドによる治療を受けている患者は、臨床的十分に制御された状態にあるように思われる。ガンマ/デルタ表現型を有する同様に出現するリンパ腫は、CD8-及びCD56+である。組織学的には、浸潤は、皮下組織に限定されないことがあり、経過は、侵攻性である。WHO-EORTC分類では、このリンパ腫は、異なる疾患実体であるとみなされ、暫定的カテゴリーにおける皮膚ガンマ/デルタ陽性リンパ腫の群に含められている。臨床的には、このリンパ腫は、より侵攻性であり、粘膜及び別の節外部位への伝播を伴う。
原発性皮膚CD4陽性小中細胞型多形性T細胞リンパ腫
この状態は、顔面、頚部及び/又は体幹上半部における孤立性若しくは限局性斑又は腫瘍を示す。疾患は、一般的に潜行性経過を有し、孤立性病変を外科的切除又は放射線療法により治療することができる。組織学的には、CD3、CD4+悪性細胞による真皮から皮下への浸潤が認められ、限局性表皮向性が認められ得る。
原発性進行性表皮向性CD8陽性細胞傷害性T細胞リンパ腫及び原発性皮膚CD4陽性小中細胞型多形性T細胞リンパ腫などの暫定カテゴリーも含まれる。皮膚ガンマ/デルタ陽性T細胞リンパ腫もこのカテゴリーに属する。セザリー症候群も菌状息肉腫と同様含まれる。
成人T細胞リンパ腫/白血病
成人T細胞リンパ腫/白血病を有するほとんどの患者は、南西日本、南アメリカ、中央アフリカ及びカリブ海に固有のウイルスであるHTLV-1に対する抗体を有する患者である。成人T細胞リンパ腫/白血病は、血清反応陽性者の1〜5%においてしばしば暴露の20年後に発現する。急性型では、皮膚病変、肝脾腫、溶解性骨病変及び感染が白血球(WBC)数の上昇及び高カルシウム血症とともに認められる。慢性及びくすぶり型では、皮疹は、組織学的にも臨床的にも菌状息肉腫に類似し得る、丘疹、結節、斑又は痒みを伴う紅皮症を特徴とする。高度の切れ込みを有する核(hyperlobate nuclei)(クローバーの葉のパターの)を有する細胞が真皮及び皮下組織に浸潤する。オートリエ微小膿瘍を伴う表皮向性を症例の3分の1に確認することができる。免疫学的には、悪性細胞は、CD2、CD3及びCD5について陽性であるが、CD7について陰性である。CD4及びCD25は、陽性である。T細胞遺伝子の再構成は、クローン性であり、HTLV-1ゲノムは、腫瘍細胞のゲノムに組み込まれる。化学療法による標準的治療は、生存に影響を及ぼさないと思われる。ジドブジンの使用及び浸潤が支持された。成人T細胞リンパ腫/白血病を有する患者の予後は、不良であり、急性型の生存期間の中央値は6ヵ月であり、慢性型の生存期間の中央値は24ヵ月である。
鼻型節外性NK/T細胞リンパ腫
小、中及び大細胞を特徴とする疾患である、鼻型節外性NK/T細胞リンパ腫において、鼻腔/鼻咽頭並びに体幹及び四肢の皮膚が多発性斑及び腫瘍により侵される。これらの病変は、発熱及び体重減少などの全身性症状を頻繁に伴い、関連する血球貪食症候群が認められることがある。皮膚病変は、原発性又は二次性である。原発性病変及び二次性病変の両方が臨床的に侵攻性であり、同じ種類の治療を必要とするため、2種の皮膚病変の区別は不必要であると思われる。この状態は、男性においてより一般的であり、地理的にはアジア、中央アメリカ及び南アメリカにおいてより一般的である。リンパ球様細胞による血管壁の侵入及び血管腔の閉塞を伴う皮膚及び皮下浸潤は、組織壊死及び潰瘍形成をもたらす。悪性細胞は、通常CD2及びCD56陽性(NK表現型)であり、表面でなく、細胞質はCD3陽性である。細胞は、細胞傷害性タンパク質(T細胞細胞内抗原1[TIA-1]、グランザイムB及びパーフォリン)を含む。エプスタイン-バーウイルス(EBV)試験は一般的に陽性である。まれに、細胞は、真の細胞傷害性T細胞表現型を有することがある。全身化学療法の経験は一般的に不良であったが、鼻型節外性NK/T細胞リンパ腫は、全身療法を必要とする侵攻性疾患である。
原発性皮膚末梢T細胞リンパ腫、不特定
PTCL-Uは、限局性又は全身性斑、結節及び/又は腫瘍を示す異質な疾患実体である。定義により、この群は、WHO-EORTC分類に示されているPTCLの3つの暫定カテゴリーすべてを除外する。菌状息肉腫と一致する既往又は併発斑点又は斑が存在しないことは、びまん性大細胞への転換の点で、これらの病変を古典的菌状息肉腫と区別するものとなっている。小/大リンパ球の多形型浸潤は、真皮に散在性に浸潤していることが認められる。大きな腫瘍性T細胞は、30%を越えて存在する。免疫表現型は、一般的にCD4+である。免疫学的には、大部分の腫瘍性リンパ球は、異常なCD4陽性表現型を示し、T細胞受容体遺伝子のクローン性再構成を伴っている。CD30染色の結果は、陰性である。PTCL-Uを有する患者は、一般的に不良な予後を有するので、全身化学療法により治療すべきである。4年生存率は、22%に近づく。わずかな割合の患者は自然寛解を受ける可能性があるが、より侵攻性の挙動の可能性がより高い。全身性リンパ腫の病期分類及び多剤化学療法が推奨される。患者が孤立性又は限局性疾患を有する場合、放射線療法を初期の療法として考慮することができよう。
原発性皮膚進行性表皮向性CD8陽性細胞傷害性T細胞リンパ腫
原発性皮膚進行性表皮向性CD8陽性細胞傷害性T細胞リンパ腫は、発疹性丘疹、結節及び中心潰瘍形成を伴う腫瘍を示す、臨床的に侵攻性で、(時として)播種性疾患である。この疾患実体は、表在性斑点及び/又は斑も示し得る。罹患患者は、一般的にアントラサイクリンベースの全身化学療法による治療を受けている。組織学的には、付属器皮膚構造の浸潤及び崩壊を伴う表皮向性及び血管浸潤を伴う血管中心性を認めることができる。悪性細胞は、CD3及びCD8陽性であり、細胞傷害性タンパク質を含む。クローン性T細胞遺伝子再構成が認められる。EBV試験は、原発性進行性表皮向性CD8陽性細胞傷害性T細胞リンパ腫において一般的に陰性である。
菌状息肉腫は、皮膚T細胞リンパ腫の最も一般的なタイプ(44%)であり、そのため、一部の著者がこの用語を皮膚T細胞リンパ腫と同義で用いている。皮膚T細胞リンパ腫は、Tヘルパー細胞の比較的に一般的なクローン増殖であり、よりまれに、通常、広範な慢性皮膚発疹として出現するTサプレッサー/キラー細胞又はNK細胞である。菌状息肉腫自体は、しばしば表皮向性疾患であり、小から中皮膚ホーミングT細胞から構成される斑及び腫瘍への斑点の進展を特徴とし、これらのT細胞の一部(又はまれにすべて)は、回旋状脳状の核を有する。菌状息肉腫という用語は、フランスの皮膚科学者であるAlibertによって1806年に最初に用いられ、彼は、キノコに類似した大きな壊死性腫瘍が患者の皮膚に存在していた重度の疾患をそのように記述した。1年当たり約1000例の菌状息肉腫の新たな症例が発生する(すなわち、人口100,000人当たり症例0.36人)。この状態は、白人患者よりも黒人患者で一般的であり(発生率の比=1:6)、女性よりも男性に高頻度で発生する(男女比=2:1)。最も一般的な発症年齢は50歳であるが、菌状息肉腫は、小児及び青年においても診断されることがあり、明らかに同様な転帰を有する。WHO/EORTCにより認識されている菌状息肉腫の変種は、セザリー症候群、毛包向性菌状息肉腫、肉芽腫様弛緩皮膚及びパジェット様細網症(ボーリンガー-クロップ病)を含む。
セザリー症候群
セザリー症候群は、菌状息肉腫の全症例の約5%を占めている。セザリー症候群を有する患者は、全身性剥脱性紅皮症及びリンパ節疾患並びに末梢血に循環する脳状核(1000/mm3を超える)を有する異型Tリンパ球又は皮膚に認められるのと同じクローン性T細胞遺伝子再構成などの血液中の有意な悪性T細胞クローンの他の証拠を有する。(下の画像を参照)
T細胞遺伝子の再構成は、分子若しくは細胞遺伝学的手法及び/又は悪性T細胞免疫表現型を有する細胞の増殖(CD4/CD8比が>10であるようなCD4+細胞の増加及び/又は1つ以上の正常T細胞抗原[例えば、CD2、CD3、CD5]の喪失を伴うT細胞の増殖)によって示される。循環悪性細胞は、CD7及びCD26陰性である傾向がある。セザリー症候群は紅皮症性菌状息肉腫からの連続体の一部であり得るが、皮膚リンパ腫に関するWHO/EORTC分類は、その挙動を「侵攻性」であるとみなしている。
毛包向性菌状息肉腫
毛包向性菌状息肉腫は、特に頭部及び頚部における毛孔性丘疹、斑点状脱毛及び面皰様病変を示す。異型性リンパ球の浸潤が毛包の上皮に認められ、毛包の粘液変性(毛包性ムチン沈着)が認められることがある。浸潤が深いため、局所療法は有効でない可能性がある。
パジェット様細網症
パジェット様細網症又はボーリンガー-クロップ病は、徐々に大きくなり得る四肢における孤立性、無症候性の境界が明瞭な赤色の落屑性斑点又は斑を示す。異型性リンパ球の多量の完全に表皮浸潤が認められる。予後は極めて良好であり、放射線療法又は外科的切除が最適の療法である。パジェット様細網症という用語は、限局性のタイプに限定すべきであり、播種性のタイプ(ケトロン‐グッドマン型)を記述するために用いるべきではない。
肉芽腫様弛緩皮膚
肉芽腫様弛緩皮膚は、最も一般的には腋下及び鼠径部の部位における下垂性の弛緩皮膚の徐々の発生を特徴とする状態である。組織学的には、エラスチン食作用(elastophagocytosis)を有する多核巨細胞及び真皮におけるエラスチンのほぼ完全な喪失(エラスチン染色により示される)を伴う肉芽腫様浸潤が認められる。疾患の再発は、外科的介入の後に一般的である。放射線は、有用であり得るが、この疾患におけるその経験は、限定的である。患者の3分の1は、併発ホジキンリンパ腫又は菌状息肉腫を有すると報告された。
肉芽腫様皮膚T細胞リンパ腫は、まれであり、そのため、それらの臨床病理及び予後像に関する限定されたデータが入手できる。肉芽腫様菌状息肉腫又は肉芽腫様弛緩皮膚を有する患者は、重複する組織学的特徴を示す。肉芽腫様弛緩皮膚における巨大な皮膚のしわの発生は、この状態を肉芽腫様菌状息肉腫と臨床的に区別するものとなっている。
すべての原発性皮膚リンパ腫のうち、65%がT細胞型である。最も一般的な免疫表現型は、CD4陽性である。皮膚T細胞リンパ腫という用語は多種多様な疾患を含むので、これらの疾患の共通の病態生理は存在しない。菌状息肉腫は、通常皮膚上をパトロールし、目的の部位に到達する(home in)CD4+(又はヘルパー)メモリーT細胞(CD45RO+)のクローンの拡大を特徴とする悪性リンパ腫である。悪性クローンは、しばしばCD2、CD5又はCD7などの正常T細胞抗原を欠いている。正常及び悪性皮膚T細胞は、皮膚毛細血管内皮細胞との相互作用を経て皮膚上の目的の部位に到達する。皮膚T細胞は、Eセレクチンとのその相互作用により皮膚後毛細血管細静脈における内皮細胞へのTリンパ球の連結を媒介する接着分子である皮膚リンパ球抗原(CLA)を発現する。皮膚上の目的の部位に到達する皮膚T細胞の傾向をさらに促進するものは、真皮に浸出し、皮膚内皮細胞の管腔表面を被覆し、皮膚T細胞上に認められるCCケモカイン受容体4(CCR4)と反応する、皮膚毛細血管内皮管腔における接着分子をアップレギュレートする、サイトカインのケラチノサイトによる放出である。
真皮内に浸出し、細胞は、表皮に対して親和性を示し、ランゲルハンス細胞の周りに群がる(顕微鏡によりポートリエ微小膿瘍としてみられる)。しかし、皮膚に付着する悪性細胞は、輸入リンパ管を経て皮膚から出る能力を保持している。それらは、リンパ節に移動し、次に輸出リンパ管を経て血液に戻って、CLA陽性T細胞の循環集団に加わる。したがって、菌状息肉腫は、該疾患が初期段階にあると思われ、臨床的に皮膚に限られている場合でさえも、基本的に全身性疾患である。
CTCLの治療
CTCLを有する患者の治療は、局所及び全身療法を含む。最も一般的な治療は、ソラレン長波長紫外線療法(PUVA)、局所及び全身皮膚電子線療法(TSEBT)を含む、電子線療法並びに局所及び全身化学療法、又は集学療法におけるそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
Figure 2015505326
一実施形態において、CTCLの治療法は、電子線療法である。一実施形態において、CTCLの治療法は、局所電子線療法である。一実施形態において、CTCLの治療法は、全身皮膚電子線療法である。一実施形態において、CTCLの治療法は、少なくとも1つの他の治療モダリティ及び/又は治療薬と併用する電子線療法である。
本明細書で用いているように、電子線療法と併用する併用(組み合わせ)モダリティ療法に用いるのに適する治療モダリティ及び/又は薬剤は、例えば、保湿クリーム、PUVA、ベキサロテン、局所ステロイド、体外フォトフォレーシス、UVB光療法、インターフェロン、ナイトロジェンマスタード、メトトレキセートクリーム、BCNUクリーム、ナイトロジェンマスタード、局所放射線療法、全身化学療法、エタネルセプト、Ontak及び抗真菌クリームを含み得る。これらの既往の治療は、局所及び全身療法の多様な混合である。
本明細書で用いているように、CTCLの治療に局所又はTSEBTを含む併用モダリティ療法に適する他の薬剤は、例えば、デニロイキン・ディフティトックス(Ontak);(2000)ベキサロテン(タルグレチン)レチノイド;(2006)ボリノスタット(Zolinza)ヒドロキシメートヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬;(2009)ロミデプシン(Istodax)環状ペプチドヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬;例えば、局所及び経口コルチコステロイドなどのオフラベル治療薬;ベキサロテン(タルグレチン)ゲル及びカプセル剤;カルムスチン(BCNU、ニトロソ尿素);メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード);光線療法(高帯域及び狭帯域UVB又はPUVA);従来の放射線療法;フォトフォレーシス;インターフェロン;アレムツズマブ(Campath-1H);メトトレキセート;ペントスタチン及び他のプリン類似体(フルダラビン、2-デオキシクロロアデノシン);リポソームドキソルビシン(Doxil);ゲムシタビン(Gemzar);シクロホスファミド;骨髄/幹細胞;同種移植術;フォロデシン(プリンヌクレオシドホスホリラーゼを阻害する);及び/又はパノビノスタットを含み得る。
電子線療法の一般的態様
EBTは、CTCLの最も有効な療法の1つである。残念ながら、ほとんどの患者が用量制限毒性を発現し、反復コース又はより大きい線量のEBTを受けることができない。全身皮膚EBT(TSEBT)は、広範な厚い斑を有する患者に対する初期の療法として考慮することができる。その理由は、TSEBTの治療の有効深さが局所ナイトロジェンマスタード又は光線療法より大きいためであるが、これは、放射線の累積毒性の可能性があるので、通常、後の病期のために留保される。EBTは、急速に進行する疾患を有する患者並びに局所ナイトロジェンマスタード、ベキサロテンゲル及び/又は光線療法などの他の療法に失敗した患者に対しても適切であり得る。これらの患者の多くは、疾患の十分な管理のためにTSEBT及び局所EBTから恩恵を受けると思われる。最も劇的な反応は、腫瘍性疾患、すなわち、厚い斑を有する疾患を有する患者に認められ、ほぼすべてのそのような患者は、全身皮膚照射の適切な候補であると考えられる。しかし、全身皮膚照射により治療された患者の大多数は、長期寛解が報告されたが、最終的に再発性疾患を発現する。さらに、上皮溶解症、乏汗症、水疱/皮膚潰瘍、粘膜炎及び脱毛などの急性副作用がEBTにより治療されるほとんどの患者に起こり得る。
EBTに対する維持療法
全身皮膚照射により治療された患者の大多数が最終的に再発性疾患を発現するため、電子線療法の完了の後に様々な補助又は維持療法が用いられる。これらは、局所ナイトロジェンマスタード、PUVA、経口エトレチネート、体外フォトフォレーシス及び全身化学療法を含む。局所Aquaphor中ナイトロジェンマスタードは、TSEB療法の完了の後にしばしば慢性的に乾燥している、皮膚の残存疾患及び軟化のための治療の二重の恩恵をもたらす。これらの維持療法は、再発までの時間を遅らせるが、長期無疾患生存率の改善の証拠はほとんど存在しない。
生物学的応答調節物質
生物学的応答調節物質は、CTCLを有する患者に対する有用な治療法を提供し得る。それらは、インターフェロン、サイトカイン、様々なレチノイド及びそれらの組合せを含む。アルファインターフェロンは、有効な単剤(応答率50%)であり、通常週に300万〜500万単位が投与される。その有効性は、抗体の発生及びその全身性のインフルエンザに似た症状により制限され、寛解の持続は、通常短く、中央値が6ヵ月である。インターフェロンとPUVA又はレチノイドとの併用療法は、ステージIV又は腫瘍患者においてさえ非常に有効である。レチノイド受容体にはRARとRXRの2つのクラスがある。レチノイドは、細胞に入ると、受容体に結合し、RAR及びRXRヘテロ二量体を形成し、核内に転移し、転写因子と相互作用する。このように、レチノイドは、遺伝子プロモーターと相互作用して、転写を調節する。アシトレチン、エトレチネート及び13-シスレチノイン酸などの周知のレチノイドは、RAR受容体と相互作用するが、タルグレチン(Targretin)は、新規のRXR選択的レチノイドである。これらのレチノイドのすべてがCTCLに用いられている。小規模試験でエトレチネート及び13-シスレチノイン酸の同様な有効性(応答率50〜60%)が示された。
局所疾患は、低エネルギーX線又は電子により治療することができる。電子の浸透深さは電子エネルギーの適切な選択によって制御することができるので、電子は、X線と比べて本質的な利点を有する。皮下及びより深い組織への相対線量寄与は、電子と比較して、低エネルギー光子でさえもより大きい。硬結斑については、6MeV程度の低い電子エネルギーが一般的に十分である。低エネルギー電子には相対的な「皮膚がやけない」効果があるため、ボーラスの使用を指示することができる。エネルギーがより低い電子については、相対的な「皮膚がやけない」効果がある。すなわち、最大線量が皮膚表面に対して実際には深い。MFの病変は非常に表在性であるので、皮膚表面において最大線量を有することが望ましい。これは、0.5〜1.0cmの厚さの組織等価ボーラス物質を用いることによって達成することができる。個々の病変を治療するために、少なくとも0.5cmの浸透を超える、斑点、斑又は腫瘍による病変の全深さにわたる十分な深さの浸透をもたらす電子エネルギーを選択すべきである。一般的な斑点又は薄い斑については、1.0cmのボーラスを用いた6〜9MeVの電子による治療が通常十分である。外方増殖性腫瘍は、9〜12MeVの電子を必要とする可能性がある。2cmまでの周縁部が推奨されるが、位置及び感受性組織への近接性に依存し得る。
TSEBT
皮膚全体を照射する能力は、電子線療法の発展に依存する。電子線の深部線量特性は、深い真皮及び皮下組織への線量を制限すると同時に表皮及び真皮の上部に照射線量を集中させて、単一フィールドにおける皮膚の広い表面を治療することを可能にするものである。
線型加速器は、高エネルギー光子(X線)を発生させるために標的に衝突させるために生じさせる電子を加速する。「スタンフォード法(Stanford technique)」の基本的アプローチは、線型加速器の末端の標的を電子散乱フォイルと交換し、それにより、発散した電子線を発生させることである。患者を加速器の末端から約10フィート/3メートルの位置に立たせ、彼女又は彼の表面全体を広い電子線により治療することができた。マルチフィールド技術を用いることにより、皮膚表面全体を照射することが可能であった。スタンフォードでは、4フィールド技術が最初に用いられ、後に6フィールド技術の治療が導入された。
一般的に、全身皮膚電子線照射の線量測定は、治療のフィールドの数が増加するにつれて改善する。4フィールド治療では、長期毛細血管拡張症、皮下線維症及び壊死さえももたらし得る「ホットスポット」を生じさせる隣接フィールドのかなりの重複が存在する。これらの合併症は、分割当たりより大きい線量又は週当たりより少数の分割を用いる分割プログラムにより倍加され得る。一般的な構成では、患者をアイソセンター(電子源)から3.5mの距離で立位で治療する。電子を減損させ、さらに散乱させるために、3/8インチ/1cmのルーサイトプレートを患者体表にできる限り近くに置く。治療中、装置を18Åaの角度で上方又は下方に向ける。各体表面を治療するためのこれら2つのフィールドの組合せは、患者の表面における非常に均一な線量分布をもたらし、電子線の中心軸で最大である光子汚染を最小限にする。患者は、現在、前方、後方及び4つの対向する斜位フィールドを含む6フィールド法による治療を受けている。全「サイクル」の治療が2日間にわたり施行される。1日目には、前方及び2つの後方斜位フィールドが、2つの加速器角度のそれぞれで治療される。2日目には、後方及び2つの前方斜位フィールドが、2つの加速器角度のそれぞれで治療される。各サイクルで投与される線量は、約1.5〜2Gyである。ほとんどの患者は、1サイクル当たり約2Gyに耐えるが、紅皮症、アトピー性皮膚又は電子線療法の既往のコースを有する患者については、より低い線量が用いられる。処方総線量は、約9〜10週間にわたり投与される約30〜36Gyである。通常治療に伴って起こる全身性皮膚紅斑のある程度の軽減をもたらすために約18〜20Gyの線量が送達された後に1週スプリットが導入された。
この典型的な手法により、体表面の特定の部分が「影に」され、比較的により低い総照射線量を受ける。これらの部位は、頭皮の上部、会陰及び足底を含む。他の部位は、一部の女性の胸下部及び肥満者の組織層下などの体質ゆえに個々の患者において問題となり得る。この効果を補償するために、我々は通常、約1.0Gyの1日分割線量、20Gyの総線量として約6MeV(1cm組織等価ボーラスを用いた)を用いて会陰及び足底を治療する。頭皮病変がある場合のみ、補足療法が頭皮の頂点に施され、これにより恒久的な脱毛症が引き起こされることがある。必要に応じて、補足療法が個々の患者の胸及び組織層の下にも施行される。さらに、多数の孤立性の腫瘍性病変を有する一部の患者は、それらの厚さを減少させ、電子によるより十分な浸透を可能にするために電子線療法の着手時にこれらの腫瘍に対するブースト療法を受ける。通常、約6〜9MeVの電子を用いた約1.5〜3.0Gyの分割での約15Gyの線量がこの目的のために十分である。治療の標準コースにおいては、眼のみが遮へいされる。疾患が顔面又は頭皮上に存在する場合には、パラフィン又は歯科用アクリル酸の内側コーティングを有する内部鉛眼遮へい体が用いられる。遮へい体は、眼を局所麻酔した後に眼瞼の下に入れられる。疾患がこれらの部位に存在しない場合、閉じられた眼の上にテープで貼られた外部鉛眼遮へい体が用いられる。さらに、頭皮又は顔面の病変が存在しない場合、頭髪の十分な再成長を促進するために、25Gyの線量の後に頭皮遮へい体が用いられる。完全な頭皮遮へいは、禁忌であり、この部位への疾患の拡大をもたらし得る。個別遮へいは、臨床状況における必要に応じて用いられる。例えば、一部の患者は、真皮及びより深部の組織への最小限の浸透を有し、したがって、比較的少ない副作用がもたらされる。TSEBTは厚みのある斑を有する患者の初期治療として考慮されるべきである。TSEBTは、ナイトロジェンマスタード及び光線療法などの局所療法より斑の深部により有効であるからである。疾患の急速な進行を有する患者及び局所療法の失敗を経験している患者においては、TSEBTは、疾患の制御を達成するための有効な療法であり得る。皮膚に照射される総線量は、通常約8〜10週間にわたり約30〜36Gyである。TSEBT後の総臨床的奏功率は、ほぼ100%であり、完全奏功率は、限定斑期の98%から腫瘍期の40%にまで及ぶ。しかし、TSEBTにより治療される患者の大多数は、再発性疾患を経験する。再発までの時間を遅らせるために、TSEBTの後に維持及び補助治療がしばしば用いられる。
一実施形態において、患者を高線量(約30Gy)局所及び/又は全身皮膚電子線療法により治療した。他の実施形態において、患者を低線量(約4Gy)局所及び/又は全身皮膚電子線療法により治療した。
したがって、本開示の態様及び実施形態は、局所又は全身皮膚電子線照射に関連するヒトにおける急性放射線症候群及び/又は放射線誘発細胞毒性を含む、放射線誘発損傷作用を治療し、低減し又は予防するための組換えヒトインターロイキン12(IL-12)製剤を含む、IL-12を含む治療用組成物及びその使用の方法を提供する。
IL-12
本明細書で用いているように、典型的な組換えマウスIL-12(例えば、CHO細胞中で産生された組換えマウスIL-12のグリコシル化形態を含む、例えば、適切な組換えマウスIL-12製剤;以後「組換えマウスIL-12」)は、Peprotech(Rocky Hill、NJ、USA)から入手又はSBH Sciences(Natick、MA、USA)によりNeumedicinesに提供された。典型的な組換えヒトIL-12、すなわちrHuIL-12(例えば、CHO細胞中で産生された組換えヒトIL-12のグリコシル化形態を含む、例えば、適切な組換えヒトIL-12製剤;以後「組換えヒトIL-12」)は、SBH Sciences(Natick、MA、USA)によりNeumedicinesに提供された。
IL-12は、免疫におけるその役割が周知である、p40及びp35サブユニットを含むヘテロ二量体サイトカインである。約20年にわたる多くの報告において、IL-12は、炎症反応、感染に対する先天性の抵抗性及び適応免疫を調節することにより、免疫の先天性及び適応アーム間の相互作用に必須の役割を有することが示された。内因性IL-12は、多くの病原体に対する、並びに可植性及び化学誘発腫瘍に対する抵抗に必要である。免疫におけるIL-12の顕著な効果は、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ及びT細胞からのインターフェロンγ(IFN-γ)の産生を刺激するその能力である。さらに、1990年代初期から中期のいくつかのin vitro試験でIL-12が他のサイトカインと相乗作用的に造血を刺激することが報告された。これらの試験では高度に精製された前駆細胞又は単一細胞が使用されたので、IL-12の造血促進活性は、骨髄幹細胞に対する直接的な作用に起因すると思われる。いくつかの試験で造血の促進及び抑制の両方がIFN-γに関連づけられたことから、IL-12の造血活性におけるIFN-γの役割は明らかでない。
本明細書で用いているように、典型的な組換えマウス及びヒトIL-12組成物及び製剤は、例えば、薬学的に許容されるビヒクル又は担体中の断片、構造相同体、配列相同体、機能相同体及び/又はその誘導体を含む、以下の配列に基づくものとしうる。
rHUIL-12:
IL12A(p35)(配列番号1)
RNLPVATPDPGMFPCLHHSQNLLRAVSNMLQKARQTLEFYPCTSEEIDHEDITKDKTSTVEACLPLELTKNESCLNSRETSFITNGSCLASRKTSFMMALCLSSIYEDLKMYQVEFKTMNAKLLMDPKRQIFLDQNMLAVIDELMQALNFNSETVPQKSSLEEPDFYKTKIKLCILLHAFRIRAVTIDRVMSYLNAS
IL12B(p40)(配列番号2)
IWELKKDVYVVELDWYPDAPGEMVVLTCDTPEEDGITWTLDQSSEVLGSGKTLTIQVKEFGDAGQYTCHKGGEVLSHSLLLLHKKEDGIWSTDILKDQKEPKNKTFLRCEAKNYSGRFTCWWLTTISTDLTFSVKSSRGSSDPQGVTCGAATLSAERVRGDNKEYEYSVECQEDSACPAAEESLPIEVMVDAVHKLKYENYTSSFFIRDIIKPDPPKNLQLKPLKNSRQVEVSWEYPDTWSTPHSYFSLTFCVQVQGKSKREKKDRVFTDKTSATVICRKNASISVRAQDRYYSSSWSEWASVPCS
マウスIL-12:
マウスIL-12A(p35)(配列番号3)
RVIPVSGPARCLSQSRNLLKTTDDMVKTAREKLKHYSCTAEDIDHEDITRDQTSTLKTCLPLELHKNESCLATRETSSTTRGSCLPPQKTSLMMTLCLGSIYEDLKMYQTEFQAINAALQNHNHQQIILDKGMLVAIDELMQSLNHNGETLRQKPPVGEADPYRVKMKLCILLHAFSTRVVTINRVMGYLSSAM
マウスIL-12B(p40)(配列番号4)
WELEKDVYVVEVDWTPDAPGETVNLTCDTPEEDDITWTSDQRHGVIGSGKTLTITVKEFLDAGQYTCHKGGETLSHSHLLLHKKENGIWSTEILKNFKNKTFLKCEAPNYSGRFTCSWLVQRNMDLKFNIKSSSSSPDSRAVTCGMASLSAEKVTLDQRDYEKYSVSCQEDVTCPTAEETLPIELALEARQQNKYENYSTSFFIRDIIKPDPPKNLQMKPLKNSQVEVSWEYPDSWSTPHSYFSLKFFVRIQRKKEKMKETEEGCNQKGAFLVEKTSTEVQCKGGNVCVQAQDRYYNSSCSKWACVPCRVRS
インターロイキン12(IL-12)は、全身放射線への暴露の前又は直後に用いる場合に放射線防護機能を有することが示されている(Nataら(1994)IL-12 protects bone marrow from and sensitizes intestinal tract to ionizing radiation;J Immunol 153:4230〜4237頁;Chenら(2007)IL-12 facilitates both the recovery of endogenous hematopoiesis and the engraftment of stem cells after ionizing radiation、Exp Hematol 35:203〜213頁;米国特許出願公開第20110206635号及び米国特許第7,939,058号)。試験において、マウスが致死的全身放射線の有害作用から救出された。放射線防護効果は、骨髄中の未知の細胞集団、おそらく長期再増殖性造血幹細胞内にあると報告された。他の試験において、IL-12が腫瘍を有するマウスの、亜致死放射線療法後の末梢血球数の早期回復をもたらすことが示された(Basileら(2008)Multilineage hematopoietic recovery with concomitant antitumor effects using low dose Interleukin-12 in myelosuppressed tumor-bearing mice. J Transl Med 6:26頁)。この後者の試験において、IL-12が腫瘍体積を低減するのに放射線と相乗的であったことが示された。特に、IL-12は、放射線暴露の前又は後に投与した場合、腫瘍の体積を増加させなかった。
したがって、IL-12は、全身放射線照射後の骨髄の放射線防護の可能性を有する。しかし、初期の試験で、IL-12が骨髄における放射線防護効果を有していたが、消化管(GI)系は放射線損傷に対して感作されたことが報告された(Netaら)。後の報告で、IL-12のGI感作作用は、投与されたIL-12の用量に依存することが見いだされた(Chenら)。骨髄以外の他の組織又は器官に対するIL-12の放射線防護効果の報告は存在しなかった。
本発明は、特定のマウス組換えIL-12(例えば、m-HemaMax)及びヒト組換えIL-12(例えば、HemaMax)が、それぞれマウス、非ヒト霊長類(NHP)及びヒトにおける生存率を増加させる能力を有する(全身照射(TBI)後の時間が経過した時点に投与した場合を含む)という驚くべき且つ予期しない発見に基づいている。さらに、本発明の態様は、組換えヒトIL-12が、電子線療法を含む放射線療法に関連する放射線誘発細胞毒性又は損傷を治療し、予防し、及び/又は低減する能力を有するという驚くべき発見に基づいている。単回、低用量のマウスにおける組換えマウスIL-12又はNHPにおける組換えヒトIL-12が照射後24時間又はより長い時間が経過してから皮下に投与される、放射線緩和のモデルにおいて、発明者は、組換えヒトIL-12が、支持療法が完全にない場合のマウス及びNHP放射線緩和モデルの生存率の有意な増加につながる、免疫、骨髄及びGIコンパートメントを含む複数の組織の放射線損傷の強力な緩和をもたらし得ることを発見した。我々が知る限り、これは、急性電離放射線暴露後の24時間又はより長い時間などの照射後の時間が経過した時点におけるマウス及びNHPにおける治療薬の強力な放射線緩和効果を示す最初の報告である。
本発明は、本開示の態様及び実施形態に従って投与した場合、骨髄コンパートメントの保護に加えて、IL-12媒介放射線防護効果が様々な組織、器官及び系の保護を含むという驚くべき且つ予期しない発見に基づく、放射線暴露後のIL-12の多組織又は多器官放射線防護効果の実施形態を提供する。組織、器官及び系は、骨髄、リンパ系、免疫系、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚及び脳を含む。
本開示の目的のために、以下の定義は、技術用語を定義し、その保護を特許請求の範囲において求める物質の組成の範囲を規定するためにそれらの全体として用いるものとする。
本明細書で用いているように、「対象」は、治療、観察又は実験の対象である動物を意味する。「動物」は、魚、甲殻類、爬虫類及び特に哺乳動物などの冷血及び温血脊椎動物及び無脊椎動物を含む。「哺乳動物」は、制限なしに、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えばサル、チンパンジー、類人猿、並びに出生前、小児及び成人ヒトなどを含む。
本明細書で用いているように、「予防する」又は「保護する」は、全体若しくは一部において予防すること、又は改善すること若しくは制御することを意味する。
本明細書で用いているように、「治療する」という用語は、治療的処置及び予防若しくは防止措置、又は治療可能性を有すると推測される薬剤を投与することを意味する。
「薬学的有効量」という用語は、本明細書で用いているように、治療されている疾患の軽減又は緩和を含む、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物又はヒトにおける生体又は薬理反応を誘発する活性化合物又は医薬品の量を意味する。
本明細書で用いているように、本開示の医薬組成物に関する「有効量」は、有用性を有し、所望の治療エンドポイントをもたらすのに十分な量を意味する。
本明細書で用いているように、全身照射(TBI)後の放射線誘発損傷は、次のものに関連する器官、組織、系を侵し得る:骨髄、リンパ系、免疫系、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚及び脳。
特定の実施形態において、治療に関連する放射線誘発損傷又は毒性は、例えば、全身皮膚電子線照射に関連する四肢(手及び足)の紅斑、高色素沈着、痒み、脱毛、粘膜炎、落屑、水疱、浮腫を含み得る。他の副作用は、汗腺の放射線誘発正常組織損傷に起因する体温調節の変化を含み得る。
本明細書で用いているように、放射線暴露は、放射線誘発急性、慢性及び全身性損傷作用を伴い得る。一態様において、本開示は、放射線誘発急性損傷作用を治療するための治療用組成物及びその使用の方法を提供する。一態様において、本開示は、CTCLに関連する局所及び/又は全身皮膚電子線照射に関連する放射線誘発細胞毒性を治療するための組成物及びその使用の方法を提供する。典型的な損傷作用は、照射光線のもとにある正常組織に必ずしも限定されるとは限らない。典型的な損傷作用は、治療部位を超えて拡大する可能性があり、例えば、食道炎(嚥下困難);肺における肺炎(咳、発熱、肺液蓄積);腸の照射誘発炎症(下痢、さしこみ、腹痛);悪心及び嘔吐;疲れ、疲労、下痢、頭痛、組織腫脹、皮膚紅斑、咳及び呼吸困難を含み得る。典型的な損傷作用は、皮膚の部位、例えば、紅斑、落屑;口腔粘膜、例えば、粘膜炎、鼻咽頭;中咽頭;声帯;扁桃腺;皮膚(落屑性又は癌)を侵し得る。特定の実施形態において、典型的な効果は、毛細血管拡張症、線維症、脊髄炎及び軟骨線維症を含み得る。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発損傷作用は、最も速い速度で分裂する細胞(骨髄、脾臓及びリンパ組織など)の損傷を特徴とする、造血器官(骨髄)症候群も含み得る。典型的な症状は、内出血、疲労、細菌感染及び発熱を含む。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発損傷作用は、さほど速やかに分裂しない細胞(胃及び腸の内層など)の損傷を特徴とする、消化管症候群も含み得る。典型的な症状は、悪心、嘔吐、下痢、脱水、電解質平衡異常、消化能力の喪失、出血性潰瘍及び造血器官の症状を含む。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発損傷作用は、粘膜炎も含み得る。一実施形態において、放射線誘発粘膜炎は、口腔粘膜炎である。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発効果は、神経細胞などの再生しない細胞の損傷を特徴とする、中枢神経系症候群も含み得る。典型的な症状は、協調運動障害、錯乱、失神、けいれん、ショック並びに造血器官及び消化管症候群の症状を含む。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発損傷作用は、出生前放射線暴露に起因する胎児に対する影響も含み得る。胚/胎児は、特に妊娠の最初の20週間は放射線に対して特に感受性がある(胚/胎児細胞は急速に分裂している)。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発作用は、電離放射線と酸素及び水との相互作用によるスーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、硝酸及びペルオキシ亜硝酸を含むラジカル酸素種(ROS)の電離放射線誘発性生成に起因する損傷も含み得る。
一態様において、本開示は、放射線誘発慢性損傷作用を治療するための治療用組成物及びその使用の方法を提供する。慢性照射作用は、すべての患者において、ただし、特に全身照射(TBI)を受けている患者において臨床的に重要である。全身照射は、特に骨髄移植を必要とする患者に対する一部の癌療法に用いられる。
典型的な放射線誘発損傷作用は、例えば、白髪、皮膚菲薄化及び乾燥、白内障発症、早期心筋線維症、心筋梗塞、神経変性、骨減少症/骨軟化症並びに神経認知欠損などの早期老化と共通の特徴を含み得る。
特定の実施形態において、典型的な放射線誘発作用は、線維症(罹患部位の運動の制限をもたらす、瘢痕組織による正常組織の置換);下痢及び出血をもたらす腸の障害;記憶喪失;不妊及び/又は発癌/白血病誘発も含み得る。
一態様において、本開示は、放射線誘発全身性損傷作用を治療するための治療用組成物及びその使用の方法を提供する。典型的な全身性損傷作用は、例えば、上述の急性及び慢性作用を含み得るが、いくつかの特有の特徴を有する。特に、全身性作用は、全体的な疲れ及び易疲労感を含み、炎症サイトカインの持続的循環に関連する照射されなかった部位における症状を含む。
特定の実施形態において、全身性損傷作用は、中枢神経系症候群、悪心及び嘔吐、頭痛、発汗、頻脈、消化管症候群、腸陰窩及び腸の内皮細胞の崩壊、脱水、重症腹痛、感染、失血;造血症候群;末梢白血球数、血小板数、赤血球数の減少、免疫抑制症候群;末梢血リンパ球数の減少;照射誘発皮膚症候群皮膚熱傷(ベータ熱傷)、皮膚の紅斑/発赤、皮膚潰瘍形成、熱損失、体液の溢出、リンパ水腫、出血及び二次感染を含み得る。
特定の実施形態において、放射線誘発損傷作用は、粘膜炎;味覚喪失;口内乾燥;紅斑;微小血管系の損傷、幹細胞枯渇、線維症、リンパ水腫、創傷治癒の遅延、毛細血管拡張症、口喝及び潰瘍形成を含み得る。
特定の実施形態において、本開示の方法及び組成物は、治療的放射線療法に起因する放射線損傷を治療するのに有用であり、典型的な送達方法/計画は、例えば、従来の分割照射療法、多分割照射、小分割照射及び加速分割照射を含み得る。
一実施形態において、治療モダリティ/計画は、CTCL治療に関連する局所又は全身皮膚電子線照射(TSEBT)である。一実施形態において、電子線照射は、高線量率療法(HDR)として施行する。他の実施形態において、電子線療法は、低線量率電子線療法として施行する。
一実施形態において、治療モダリティ/計画は、多分割照射療法である。多分割照射においては、目標は、臨床的に許容される長期組織損傷のレベルを維持すると同時により高い腫瘍線量を送達することである。1日線量は不変又はわずかに増加させ、一方、分割照射当たりの線量を減少させ、総治療時間は一定のままとする。
一実施形態において、治療モダリティ/計画は、加速分割療法である。加速分割療法においては、分割照射当たりの線量を不変とし、一方、1日線量を増加させ、治療の総時間を短縮させる。
一実施形態において、治療モダリティ/計画は、連続多分割加速放射線療法(CHART)療法である。(CHART)療法においては、複数の1日分割線量が投与される治療の強力スケジュールが短期間に施行される。
一実施形態において、治療モダリティ/計画は、IMRTである。
化学療法との組み合わせ(併用)
いくつかの化学療法剤は、放射線療法の効果を増強することができる。一態様において、本発明の態様及び実施形態を、既存の化学療法モダリティとの併用療法(組み合わせ療法)として用いることができる。併用(連続的又は同時)療法は、同時投与又は同一製剤とすることができる。
「インターロイキン-12(IL-12)」は、現在公知であるか、又は将来開発される、現在当業界で公知の又は将来開発される任意の方法で製造された、天然のIL-12分子、変異体IL-12分子及び共有結合改変されたIL-12分子などの本明細書に開示される少なくとも1つの造血特性をもたらすIL-12分子を指す。
IL-12分子は、実質的に単離された形態で存在しうる。製品は、その製品の意図する目的を妨害しない担体又は希釈剤と混合することができ、これは依然として実質的に単離されているとみなされると理解されるだろう。本発明の製品はまた、実質的に精製させた形態であってもよく、この場合、一般的には調製物のペプチド又は乾燥質量の約80%、85%、又は90%、例えば少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%などを含む。
一般的には、本発明の実施形態において用いられるIL-12分子のアミノ酸配列は、本発明の方法により処置される特定の哺乳動物から誘導される。かくして、例示のために、ヒトについては、一般的にはヒトIL-12、又は組換えヒトIL-12を、本発明の方法においてヒトに投与し、同様に、ネコ科については、例えば、ネコ科IL-12、又は組換えネコ科IL-12を本発明の方法においてネコ科に投与することができる。
しかしながら、IL-12分子が本発明の治療方法の被験体である哺乳動物からのアミノ酸配列に由来しない特定の実施形態も、本発明に含まれる。例示のために、ヒトIL-12又は組換えヒトIL-12を、ネコ科哺乳動物において用いることができる。本発明のさらに他の実施形態は、IL-12の天然アミノ酸配列が天然配列から変化するが、そのIL-12分子は本明細書に開示されるIL-12の造血特性をもたらすように機能するIL-12分子を含む。IL-12の天然の種特異的アミノ酸配列からの変化は、IL-12の一次配列の変化を含み、変異体IL-12分子をもたらす一次アミノ酸配列の欠失及び付加を包含する。高度に誘導体化されたIL-12分子の一例は、Maxygen, Inc.(Leong S R, et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2003 Feb. 4; 100 (3): 1163-8)により製造された再設計されたIL-12分子であり、変異体IL-12分子はDNAシャッフリング法により製造される。また、保存可能期間、半減期、効力、溶解度、送達などを増加させるIL-12分子への共有結合改変、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載のようなポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコールなどの付加のような、改変IL-12分子も本発明の方法に含まれる。IL-12分子のある型の共有結合改変は、IL-12ポリペプチドの標的となるアミノ酸残基を、IL-12ポリペプチドの選択された側鎖又はN若しくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、分子中に導入される。IL-12の天然配列と、IL-12のアミノ酸配列変異体との両方を共有結合改変することができる。また本明細書で言及される場合、IL-12分子を、組換え方法などの当業界で公知の様々な方法により製造することができる。本発明に含まれる他のIL-12変異体は、標準的な配列を、翻訳後修飾、例えばグリコシル化したものである。いくつかの実施形態において、IL-12を哺乳動物発現系又は細胞系において発現させる。一実施形態において、IL-12は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における発現により製造する。
変異体IL-12ポリペプチドの特徴を前もって予測することは困難であることが多いため、最適な変異体を選択するためには、回収された変異体の数回のスクリーニングが必要である。変異体IL-12分子の造血特性を刺激又は増強する血液学的変化を評価する好ましい方法は、以下に開示される致死的照射レスキュープロトコルによるものである。酸化還元若しくは熱安定性、疎水性、タンパク質溶解的分解に対する感受性、又は担体と共に、若しくは多量体に凝集する傾向などの、タンパク質又はポリペプチドの特性の他の潜在的な改変は、当業界で周知の方法によりアッセイされる。
IL-12に関する一般的説明については、米国特許第5,573,764号、第5,648,072号、第5,648,467号、第5,744,132号、第5,756,085号、第5,853,714号及び第6,683,046号を参照されたい。インターロイキン-12(IL-12)は、免疫応答に関与する細胞の活性を調節する前炎症性サイトカインとして一般的に記載されるヘテロ二量体サイトカインである(Fitz K M, et al., 1989, J. Exp. Med. 170:827-45)。一般に、IL-12は、ナチュラルキラー(NK)細胞及びT細胞からのインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を刺激し(Lertmemongkolchai G, Cai et al., 2001, Journal of Immunology. 166:1097-105; Cui J, Shin T, et al., 1997, Science. 278:1623-6; Ohteki T, Fukao T, et al., 1999, J. Exp. Med. 189:1981-6; Airoldi I, Gri G, et al., 2000, Journal of Immunology. 165:6880-8)、Tヘルパー1(TH1)細胞の分化を助け(Hsieh C S, et al., 1993, Science. 260:547-9; Manetti R, et al., 1993, J. Exp. Med. 177:1199-1204)、そして先天的な抵抗性と適応免疫との関係を形成する。IL-12はまた、その免疫調節効果及び抗血管新生効果を介して癌の増殖を阻害することも示されている(Brunda M J, et al., 1993, J. Exp. Med. 178:1223-1230; Noguchi Y, et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:11798-11801; Giordano P N, et al., 2001, J. Exp. Med. 194:1195-1206; Colombo M P, et al., 2002, Cytokine Growth factor rev. 13:155-168; Yao L, et al., 2000, Blood 96:1900-1905)。IL-12は、一度、病原性細菌、真菌又は細胞内寄生虫に遭遇することにより樹状細胞(DC)及び食細胞(マクロファージ及び好中球)が活性化されると、主にそれらによって産生される(Reis C, et al., 1997, J. Exp. Med. 186:1819-1829; Gazzinelli R T, et al., 1994, J. Immunol. 153:2533-2543; Dalod M, et al., 2002, J. Exp. Med. 195:517-528)。IL-12受容体(IL-12R)は、主に活性化されたT細胞及びNK細胞によって発現される(Presky D H, et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:14002-14007; Wu C Y, et al., 1996, Eur J. Immunol. 26:345-50)。
一般に、IL-12の産生は、IFN-γの産生を刺激し、次いで、IL-12の産生を増強し、かくして、ポジティブフィードバックループを形成する。in vitro系では、IL-12は他のサイトカイン(例えば、IL-3及びSCF)と相乗作用して、初期造血始原細胞の増殖及び分化を刺激することができると報告されている(Jacobsen S E, et al., 1993, J. Exp Med 2: 413-8; Ploemacher R E, et al., 1993, Leukemia 7: 1381-8; Hirao A, et al., 1995, Stem Cells 13: 47-53)。
IL-12のin vivoでの投与が、末梢血細胞数及び骨髄造血を減少させることが観察された(Robertson M J, et al., 1999, Clinical Cancer Research 5: 9-16; Lenzi R, et al., 2002, Clinical Cancer Research 8:3686-95; Ryffel B. 1997, Clin Immunol Immunopathol. 83:18-20; Car B D, et al., 1999, The Toxicol Pathol. 27:58-63)。IFN-γ受容体ノックアウトマウスを用いて、Engら及びCarらは、高用量のIL-12が一般的に認められる毒性作用を誘導しない、すなわち、造血の抑制がないことを証明した(Eng V M, et al., 1995, J. Exp Med. 181:1893-8; Car B D, et al., 1995, American Journal of Pathology 147:1693-707)。この観察は、以前に報告されたような、IL-12により促進された、分化した造血細胞の増強の一般的な現象は、優性の骨髄抑制様式で作用するIFN-γの産生によってin vivoで平衡を保たれ得ることを示唆している。
現在の証拠は、典型的なIL-12調製物である組換えヒトIL-12(例えば組換えヒトIL-12)が、体内において少なくとも4段階(レベル)で応答を誘発することを示唆している(図14参照)。レベル1応答では、組換えヒトIL-12が、現存の放射線感受性免疫細胞、すなわちNK細胞、マクロファージ、及び樹状細胞の増殖及び活性化を促進する。組換えヒトIL-12に誘発された血漿IL-15及びIL-18の上昇もまたNK細胞の成熟を促進し、これがIFN-γの放出に至り、これが次に、マクロファージ及び樹状細胞、そしておそらくNK細胞からの内因性IL-12の産生に正の影響を及ぼす。これらの事象は、組換えヒトIL-12投与後の早期に先天性免疫能を増強する。レベル2応答では、組換えヒトIL-12が、生存している造血幹細胞、骨芽細胞、及び巨核球の増殖と、最適な造血を保証する特異的な細胞構成への分化を促進する。組換えヒトIL-12に誘発された、CD34+、IL-12Rβ2-陽性骨髄細胞からのEPOの分泌はまた骨髄におけるIFN-γの局所過剰産生を抑制し、したがって、造血細胞の拡大を促進する環境をもたらす。骨髄における造血再生は、先天性及び適応免疫能の両方を増強する。レベル3応答では、組換えヒトIL-12は、GI幹細胞を保存し、これにより病原体漏出が低減し、食物摂取が増加し、下痢が少なくなる。レベル4応答では、組換えヒトIL-12は、おそらく直接的にEPO(細胞保護因子)の腎放出を増加させ、これは器官/組織の多くの群の細胞生存力を増強する。病原体及び/又はEPOにより活性化された樹状細胞から主に生じる内因性IL-12の継続産生は、ポジティブフィードバックループとして機能し、おそらく照射後数週間において外因性組換えヒトIL-12に対する初期応答の維持に重要な役割を果たす。
IL-12の投与方法
本発明は、所望の治療効果を達成する期間にわたって1回以上の有効量のIL-12を被験体に投与することによる治療方法を提供する。被験体は、好ましくは哺乳動物であり、例えば、限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物であり、最も好ましくは、ヒトである。
例えば、リポソーム中への封入、微粒子、マイクロカプセル、IL-12を発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照されたい)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としてIL-12の遺伝子を含む核酸の構築物などの、本発明の方法に従ってIL-12を投与するための様々な送達系が公知であり、それを用いることができる。導入の方法としては、限定されるものではないが、局所、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外及び経口経路が挙げられる。CTCLの治療については、局所、皮下、皮内、及び全身送達が特に効果的である。
任意の都合のよい経路により、例えば、輸液若しくはボーラス注射、上皮若しくは皮膚粘膜系列(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜及び腸粘膜など)を介する吸収により、IL-12を投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与してもよい。投与は全身性又は局所性であってよい。さらに、IL-12を含む医薬組成物を、任意の好適な経路、例えば、脳室内注射及び鞘内注射により中枢神経系に導入することが望ましい。脳室内注射は、例えば、Ommaya容器などの容器に取り付けられた脳室内カテーテルによって容易にすることができる。例えば、吸入器又は噴霧器と、エアロゾル化剤を含む製剤の使用により、経肺投与を用いることもできる。治療を必要とする領域に局所的にIL-12を含む医薬組成物を投与することが望ましい。これを、例えば、限定されるものではないが、局所適用により、注射により、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又は多孔性、非多孔性若しくはゼラチン質材料、例えば、silasticTM膜などの膜若しくは繊維である埋込み物を用いて達成することができる。
他のIL-12投与方法は、ベシクル、特に、リポソーム中での送達を含む(Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., “Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,” Lopez-Berestein and Fidler (eds. ), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書, pp. 317-327を参照されたい;一般的には同書を参照されたい)。
さらに他のIL-12投与方法は、制御放出系での送達を含む。特定の実施形態においては、ポンプを用いることができる(Langer、上掲; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)を参照されたい)。さらに、ポリマー材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds. ), CRC Pres, Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds. ), Wiley, N. Y. (1984); Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61 (1983; またLevy et al., Science 228:190 (1985); During et al., Ann. Neurol. 25:351 (1989); Howard et al., J. Neurosurg. 71:105 (1989)も参照されたい)、又は制御放出系を治療標的、すなわち、脳の近くに配置し、かくして、全身用量のほんのわずかのみを必要とすることができる(例えば、Goodson, “Medical Applications of Controlled Release,” 上掲, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。他の制御放出系はLanger(Science, 249: 1527-1533 (1990))による概説で考察されている。
IL-12の形態及び用量
CTCL治療について本明細書において用いる、注射に好適な液体製剤及び凍結乾燥製剤が特に効果的である。本発明の実施形態における使用のためのIL-12の好適な投与剤形は、本質的に非毒性であり、非治療的である生理学的/薬学的に許容される担体を包含する。そのような担体の例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、P6N(Neumedicines, Pasadena, Ca.)、及びPEGが挙げられる。IL-12ポリペプチドの局所形態又はゲルに基づく形態のための担体としては、多糖類、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、PEG、及びウッドワックスアルコールが挙げられる。全ての投与について、従来のデポー製剤が好適に用いられる。そのような形態としては、例えば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、及び持続放出調製物が挙げられる。
持続放出調製物の好適な例としては、前記ポリペプチドを含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、造形品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態にある。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル、例えば、Langerら、上掲及びLanger、上掲に記載されたポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタミン酸とのコポリマー(Sidmanら、上掲)、非分解性エチレン-ビニルアセテート(Langerら、上掲)、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、Lupron DepotTM(乳酸-グリコール酸コポリマーとロイプロリドアセテートから構成される注射用ミクロスフェア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-ビニルアセテート及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは100日を超える分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはより短期間にわたってタンパク質を放出する。封入されたIL-12ポリペプチドが長時間体内に残存する場合、それらは37℃での湿気への曝露の結果として変性又は凝集し、生物活性の喪失及び免疫原性が変化する可能性をもたらす。関与する機構に応じて、安定化のための合理的戦略を考案することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を介して分子間S-S結合形成であることが発見された場合、スルフヒドリル残基を改変する、酸性溶液から凍結乾燥させる、湿度含量を制御する、好適な添加剤を使用する、及び特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより、安定化を達成することができる。
持続放出性IL-12含有組成物はまた、リポソームに捕捉されたポリペプチドも含む。IL-12ポリペプチドを含有するリポソームを、Eppsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3692 (1985); Hwangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 並びに米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載のような当業界で公知の方法により調製する。通常、リポソームは小さい(約200〜800オングストローム)単層型のものであり、その脂質含量は約30 mol%を超えるコレステロールであり、選択される割合は最適なWntポリペプチド療法のために調整される。循環時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
疾患の治療のために、IL-12ポリペプチドの好適な用量は、上で定義されるような、治療しようとする疾患の種類、疾患の重篤度及び過程、以前の療法、患者の病歴及び本明細書に開示されるIL-12治療方法に対する応答、並びに担当医の裁量に依存する。本発明において、IL-12は一時に、又は一連の処置にわたって、患者に好適に投与される。
疾患の種類及び重篤度に応じて、例えば、一回以上の別々の投与によるとしても、又は連続輸液によるとしても、約10 ng/kg〜2000 ng/kgのIL-12が患者への投与のための初期候補用量である。ヒトは約500 ng/kgの反復用量を安全に許容されるが、最大で約200 ng/kgの単回用量なら毒性副作用をもたらさないだろう。例えば、用量は、G-CSF、GM-CSF及びEPOなどの他のサイトカインに関するものと同じであってもよい。数日以上にわたる反復投与については、症状に応じて、疾患症候の望ましい抑制が起こるまで治療を持続させる。しかしながら、他の投薬レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイにより容易にモニターされる。
IL-12を、他のサイトカインと共に、直接同時投与又は連続投与により投与することができる。一種以上のサイトカインをIL-12と共に同時投与する場合、より低用量のIL-12を用いることができる。他のサイトカイン、すなわち、IL-12以外のサイトカインの好適な用量は、約1μg/kg〜約15 mg/kgのサイトカインである。例えば、用量はG-CSF、GM-CSF及びEPOなどの他のサイトカインに関するものと同じであってよい。他のサイトカイン(複数可)を、IL-12の投与の前、それと同時、又はその後に投与してもよい。サイトカイン(複数可)及びIL-12を組合せて、哺乳動物への同時投与のための医薬組成物を形成させることができる。特定の実施形態においては、IL-12及びサイトカインの量は、血液細胞の相乗的再増殖(repopulate)(又は造血細胞の増殖及び/若しくは分化の相乗的増加)がIL-12及び他のサイトカインの投与の際に哺乳動物中で起こるようなものである。換言すれば、血液細胞の再増殖(又は造血細胞の増殖/分化)に関する二種以上の薬剤(すなわち、IL-12及び一種以上のサイトカイン)の協調作用は、これらの分子の個々の効果の和より大きい。
IL-12の治療製剤は、所望の純度を有するIL-12と、任意選択の生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.(編)、(1980))とを混合することにより、凍結乾燥ケーキ又は水性溶液の形態で保存のために調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、それらのものとして、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸などの酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの単糖類、二糖類及びその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対抗イオン;並びに/又はTween(登録商標)、PluronicsTM若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本明細書で用いられる用語「バッファー」は、医薬調製物のpHを安定化する薬学的に許容される賦形剤を意味する。好適なバッファーは当業界でよく知られており、文献に見出すことができる。薬学的に許容されるバッファーとしては、限定されるものではないが、ヒスチジンバッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、アルギニンバッファー又はその混合物が挙げられる。上記バッファーは一般に、約1 mM〜約100 mM、約5 mM〜約50 mM及び約10〜20 mMの量で用いられる。バッファー溶液のpHは、少なくとも4.0、少なくとも4.5、少なくとも5.0、少なくとも5.5又は少なくとも6.0であってよい。バッファー溶液のpHは、7.5未満、7.0未満、又は6.5未満であってよい。バッファー溶液のpHは、当業者には公知の酸又は塩基、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸及びクエン酸、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いて約4.0〜約7.5、約5.5〜約7.5、約5.0〜約6.5、及び約5.5〜約6.5にしてもよい。本明細書で用いられるように、pHを説明する場合、「約」は±0.2 pH単位を意味する。
本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、撹拌及び剪断などの機械的ストレスに対してタンパク質製剤を保護するために用いられる薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的に許容される界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適な界面活性剤としては、ポリソルベート20(商標Tween 20(登録商標)の下で販売)及びポリソルベート80(商標Tween 80(登録商標)の下で販売)などのポリオキシエチレンソルビタン-脂肪酸エステルが挙げられる。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーは、Pluronic(登録商標)F68又はPoloxamer 188(登録商標)の名称で販売されているものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルは、商標Brij(登録商標)の下で販売されているものである。好適なアルキルフェノールポリオキシエチレンエステルは、商標名Triton-Xの下で販売されている。ポリソルベート20(Tween 20(登録商標))及びポリソルベート80(Tween 80(登録商標))を用いる場合、それらは一般に、約0.001〜約1%、約0.005〜約0.2%及び約0.01%〜約0.1%w/v(重量/体積)の範囲の濃度で用いられる。
本明細書で用いられる用語「安定剤」は、製造、保存及び適用の間の化学的及び/又は物理的分解から、活性医薬成分及び/又は製剤を保護する薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。タンパク質医薬の化学的及び物理的分解経路は、Cleland et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst., 70(4):307-77 (1993); Wang, Int. J. Pharm., 7S5(2): 129-88 (1999); Wang, Int. J. Pharm., 203(1-2): 1-60 (2000); Chi et al., Pharm. Res., 20(9): 1325-36 (2003)により概説されている。安定剤としては、限定されるものではないが、以下に定義されるような、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 3000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えば、EDTAが挙げられる。上記のように、安定剤は、約10〜約500 mMの量、約10〜約300 mMの量、又は約100 mM〜約300 mMの量で製剤中に存在してもよい。いくつかの実施形態において、典型的なIL-12は、それが安定である適当な医薬製剤中に溶解させることができる。
IL-12はまた、例えば、液滴形成技術又は界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)により調製されたマイクロカプセル中、コロイド薬剤送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、又はマクロエマルジョン中に捕捉することができる。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences、上掲に開示されている。
in vivoでの投与のために用いられるIL-12は無菌でなければならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後の、滅菌濾過膜を通過する濾過によって容易に達成される。IL-12は通常、凍結乾燥形態又は溶液中で保存される。治療用IL-12組成物は一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通できるストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアル中に入れられる。
局所適用する場合、好適にはIL-12を他の成分、例えば、担体及び/又はアジュバントと組合せる。そのような他の成分が生理的に許容されるものであり、その意図される用途にとって有効でなければならないこと、及び組成物の活性成分の活性を分解することができないことを除いて、それらの性質に関する制限はない。好適なビヒクルの例としては、精製コラーゲンを含むか、又は含まない、軟膏、クリーム、ゲル、又は懸濁液が挙げられる。また、前記組成物を、好ましくは、液体又は半液体形態で、経皮パッチ、プラスター、及び包帯中に含浸させることもできる。
ゲル製剤を取得するために、液体組成物中で製剤化されたIL-12を、有効量の水溶性多糖又は合成ポリマー、例えば、PEGと混合して、局所適用される適切な粘度のゲルを形成させることができる。用いることができる多糖としては、例えば、セルロース誘導体、例えば、エーテル化セルロース誘導体、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース;デンプン及び分画デンプン;寒天;アルギン酸及びアルギナート;アラビアゴム;プルラン;アガロース;カラゲナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーゲン;グルカン;及び合成バイオポリマー;並びにキサンタンゴムなどのゴム;グアーゴム;ローカストビーンガム;アラビアゴム;トラガカントゴム;及びカラヤゴム;並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。本明細書に記載の好ましいゲル化剤は、生体系に対して不活性であり、非毒性であり、調製が容易であり、粘度が低すぎない又は高すぎないものであり、その中に保持されるIL-12分子を不安定化しないものである。
好ましくは、多糖は、エーテル化セルロース誘導体、より好ましくは、明確に定義され、精製され、USPに列挙されたもの、例えば、メチルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本明細書で最も好ましいものは、メチルセルロースである。
ゲル化に有用なポリエチレングリコールは、典型的には、適切な粘度を得るための低分子量及び高分子量PEGの混合物である。例えば、分子量400〜600のPEGと、分子量1500のPEGとの混合物は、ペーストを得るために適切な比率で混合した場合、この目的にとって有効である。
多糖類及びPEGに適用される用語「水溶性」は、コロイド溶液及び分散物を含むことを意味する。一般に、セルロース誘導体の溶解度は、エーテル基の置換度により決定され、本明細書で有用な安定化誘導体は、該誘導体を水溶性にするために、セルロース鎖中の無水グルコース単位あたり十分な量のそのようなエーテル基を有するべきである。無水グルコース単位あたり少なくとも0.35のエーテル基のエーテル置換度が一般に十分である。さらに、セルロース誘導体は、アルカリ金属塩、例えば、Li、Na、K又はCs塩の形態にあってもよい。
メチルセルロースをゲル中で用いる場合、好ましくはそれは約2〜5%、より好ましくは約3%のゲルを含み、IL-12はゲル1 mlあたり約300〜1000 mgの量で存在する。
治療的に用いられるIL-12の有効量は、例えば、治療対象、投与経路、及び患者の症状に依存する。従って、最適な治療効果を得るために必要とされる用量の力価を決定し、投与経路を改変することが治療専門家にとって必要である。典型的には、医師は、所望の効果を達成する用量に達するまでIL-12を投与する。全身治療のための典型的な投与量は、上記の因子に応じて、約10 ng/kgから最大で2000 ng/kg以上の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、用量範囲は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から、約20まで;約30まで;約50まで;約100まで、約200まで、約300まで、又は約500 ng/kgまでとすることができる。一態様において、用量は500 ng/kg未満である。別の態様において、用量は300 ng/kg未満である。別の態様において、用量は約200 ng/kg未満である。別の態様において、用量は約100 ng/kg未満である。別の態様において、用量は約50 ng/kg未満である。他の態様において、用量は、約10〜300 ng/kg、20〜40 ng/kg、25〜35 ng/kg、50〜100 ng/kgの範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、適切な用量は、罹患領域の表面積あたりに投与されるIL-12の量に基づいて決定することができる。
一態様において、本明細書に記載する典型的な治療用組成物は、分割(照射)療法と組み合わせて投与することができる。一実施形態において、治療上有効な用量を各分割の前に投与する。一実施形態において、治療上有効な用量を、各分割の実施とほぼ同時に投与する。一実施形態において、治療上有効な用量を、各分割の5、10、15、20、25、30、35、40、50又は60分前;あるいは各分割の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間後;あるいは各分割の1、2、3、4、5、6、7日前の範囲で各分割の前に投与する。一実施形態において、治療上有効な用量を、各分割の5、10、15、20、25、30、35、40、50又は60分後;あるいは各分割の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間後;あるいは各分割の1、2、3、4、5、6、7日後の範囲で各分割の後に投与する。あるいは、放射線療法の間又は後に、毎週、隔週(biweekly)又は隔月(bimonthly)で、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回投与する。別の実施形態において、1回以上の典型的な用量のIL-12(1〜100 ng/kg)を、それぞれの放射線源を用いてTBIとして又は局所的に施行を受けた30日までの1〜10線量/日の分割照射計画において各放射線量の約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日前及び後の両方に投与する。
代替的な一般的提案として、IL-12受容体を製剤化し、有効であるが、過度に毒性ではない最大用量までの約0.1 ng/ccを超えるIL-12レベルを組織中で確立することができる用量で標的部位又は組織に送達する。連続輸液、持続放出、局所適用、又は経験的に決定された頻度での注射などの投与レジメンによって、可能ならこの組織内濃度を維持すべきである。この療法の進行は、従来のアッセイによって容易にモニターされる。
「治療の施行の時点の近く」とは、治療の施行の前及び/又は後の任意の合理的な期間、例えば、約1ヶ月、約3週間、約2週間、約1週間、数日、約120時間、約96時間、約72時間、約48時間、約24時間、約20時間、数時間、約1時間又は数分でのIL-12の投与を指す。治療の施行の時点の近くはまた、治療及びIL-12の同時投与又は同時に近い投与、すなわち、数分から1日以内の投与を指す。
「化学療法」とは、医学界で現在公知であるか、又は開発されている天然又は合成の薬剤を含む任意の療法を指す。化学療法の例としては、現在利用可能であるいくつかの抗癌剤が挙げられる。しかしながら、化学療法はまた、疾患状態を治療することを意図される天然又は合成の任意の薬剤も含む。本発明の特定の実施形態においては、化学療法は、疾患状態を治療することが意図されるいくつかの公知技術の薬剤の投与を含んでもよい。例としては、頭部の局所進行性扁平細胞癌を有する患者のためのドセタキセル、シスプラチン、及び5-フルオロウラシルとの併用化学療法(Tsukuda, M. et al., Int J Clin Oncol. 2004 June; 9 (3): 161-6)、並びに難治性及び再発性緩慢性リンパ腫におけるフルダラビン及びベンダムスチン(Konigsmann M, et al., Leuk Lymphoma. 2004; 45 (9): 1821-1827)が挙げられる。
本明細書において用いられる治療用又は予想外の電離放射線の典型的な供給源としては、例えばα、β、γ、X線、及び中性子源が含まれる。
「放射線療法」とは、任意の形態の放射線を用いて、疾患状態を治療する任意の療法を指す。放射線療法のための放射線を生成する機器は、現在利用可能であるか、又は将来利用可能になる機器である。
「高用量治療モダリティ」とは、高い亜致死量であるか、又は致死量に近い治療を指す。高用量治療モダリティは、治療エンドポイントを達成する高い能力を有することを意図されるが、一般には高い関連毒性を有する。さらに、一般に、高用量治療モダリティは、従来の治療モダリティと比較して、高い造血ダメージを示す。高用量治療モダリティのためのプロトコールは、現在用いられているか、又は将来用いられるものである。
本明細書において用いられる放射線療法「治療モダリティ」としては、電離及び非電離放射線源の両方が含まれる。典型的な電離放射線治療モダリティとしては、例えば、外部照射放射線療法;強度変調放射線療法(IMRT);画像誘導放射線療法(IGRT);X線照射(例として光子線治療);電子線(例としてβ線照射);局所及び全身皮膚電子線治療;メガボルト光子治療(約4〜10MeV);陽子線照射;高線エネルギー付与(LET)粒子;定位放射線治療;ガンマナイフ;線型加速器媒介フレームレス定位放射線治療;ロボットアーム制御x線照射送達システム;器官特異的又は癌細胞特異的取り込みのための放射性同位体放射線療法;腫瘍標的化放射線療法のためのモノクローナル抗体に結合させた放射性同位体(又は放射免疫療法、RIT);近接照射療法(間質性又は腔内)高線量率放射線源埋め込み;器官特異的線量送達のための永続性放射性シード埋め込みが挙げられる。
「用量集中治療レジメン」は一般に、加速された様式で治療を連続的に繰り返して、従来の治療レジメンと比較して望ましい治療結果を達成する治療レジメンである。本発明の方法は、治療の関連造血毒性を減少させるか又は改善することによって、用量集中治療レジメンの使用を可能にし、特定の疾患状態の治療の成功率を増加させることにより、用量集中治療レジメンの使用を容易にする(一般的には、Hudis C A, Schmits N, Semin Oncol. 2004 June; 31 (3 Suppl 8): 19-26; Keith B et al., J Clin Oncol. 2004 Feb. 15; 22 (4): 749; author reply 751-3; Maurel J et al., Cancer. 2004 Apr. 1; 100 (7): 1498-506; Atkins C D, J Clin Oncol. 2004 Feb. 15; 22 (4): 749-50を参照されたい)。
「化学防御又は放射線防御」とは、疾患状態を標的とすることを意図された治療の関連造血毒性からの防御、又はその見かけ上の低減を指す。
本明細書において用いられる「急性放射線症候群(ARS)」(放射線毒性又は放射線症としても知られる)とは、高線量の透過性放射線を非常に短時間(例えばわずか数分)に全身(又は身体の大部分)の致死又は亜致死照射を受けることによって引き起こされる急性疾患を特徴としている。ARSを生じる人の例は、広島及び長崎の原子爆弾の生存者、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故後に最初に対応した消防士、並びに他のいくつかの滅菌照射器への不慮の暴露である。いくつかの実施形態において、急性放射線症候群と関連する放射線量は、通常大きい(すなわち、0.7グレイ(Gy)又は70ラドより大きい)。いくつかの実施形態において、軽度の症状が、0.3Gy又は30ラド程度の低い線量で観察されうる。
本明細書において用いられる「急性損傷作用」及び「損傷作用」には、急性の致死及び致死付近の放射線量に起因する放射線誘発損傷が含まれる。
いくつかの実施形態において、典型的な急性放射線症候群は、以下の3つの群を含む:1)骨髄症候群(造血系症候群とも称されることがある):完全な症候群は通常0.7〜10Gy(70〜1000ラド)の間の線量によって生じるが、軽度の症状は0.3Gy又は30ラド程度の低い線量で生じうる。この症候群を有する患者の生存率は線量の増加と共に低下する。主要な死因は、感染症及び出血を生じる骨髄の破壊である。2)消化管(GI)症候群:完全な症候群は通常、およそ10Gy(1000ラド)より高い線量で生じるが、一部の症状は6Gy又は600ラド程度の低い線量で生じうる。この症候群では生存する可能性は極めて低い。GI管及び骨髄における破壊的かつ回復困難な変化は通常、感染症、脱水及び電解質不均衡を生じる。通常2週間以内に死亡する。3)心血管系(CV)/中枢神経系(CNS)症候群:完全な症候群は通常、およそ50Gy(5000ラド)より高い線量で生じるが、一部の症状は20Gy又は2000ラド程度の低い線量で生じうる。3日以内に死亡する。死亡は、循環系の崩壊と、浮腫、血管炎及び髄膜炎により生じた液体内容物の増大の結果としての、閉じ込められた頭蓋冠内の圧の増大に起因する可能性がある。
いくつかの実施形態において、典型的な急性放射線症候群としては、以下の4つの段階(ステージ)が含まれる:1)前駆期(N-V-D段階):この段階の標準的な症状は、悪心、嘔吐、並びに食欲不振、そしておそらく下痢(線量に応じて異なる)であり、暴露後数日から数日生じる。これらの症状は、数分から数日持続(群発的に)しうる。2)潜伏期:患者は、数時間又は数週間でさえも全般的に健康に見え、健康な気分である。3)症状発現期:症状は特定の症候群(表A参照)に応じて異なり、数時間から数カ月まで持続する。4)回復又は死亡:回復しなかった大部分の患者は暴露の数カ月以内に死亡する。回復プロセスは、約数週間から約2年までかかりうる(Center for Disease Control and Prevention Fact Sheet for Physicians、Acute Radiation Syndrome; Radiation Studies Branch (RSB)、Division of Environmental Hazards and Health Effects (EHHE)、National Center for Environmental Health (NCEH)、Coordinating Center for Environmental Health and Injury Prevention (CCEHIP); 2005)。
Figure 2015505326
「固形腫瘍」とは、一般に血液、骨髄、又はリンパ系以外の体組織の癌の存在を指す。
「造血障害(癌)」とは、一般に造血系を起源とする癌細胞の存在を指す。
「欠乏を改善する」とは、造血欠乏の減少、すなわち、欠乏の改善、又は現在の医療業務により定義される正常状態の部分的若しくは完全な修復を指す。かくして、造血欠乏の改善とは、一般的又は特異的な造血の増加、刺激、増強又は促進を指す。造血欠乏の改善は、一般的である、すなわち、二種以上の造血細胞型若しくは系列を増加させる、又は特異的である、すなわち、一種の造血細胞型若しくは系列を増加させると観察することができる。
「骨髄細胞」は一般に、哺乳動物の骨髄画分に存在する、及び/又は生息する細胞を指す。用語「骨髄細胞」に含まれるのは、限定されるものではないが、造血再増殖細胞(repopulating cell)、造血幹細胞及び/又は始原細胞(前駆細胞)などの造血起源の細胞だけでなく、内皮細胞、間葉細胞、骨細胞、神経細胞、支持細胞(間質細胞)などの骨髄から誘導され得る任意の細胞、例えば、限定されるものではないが、これらの及びその他の細胞型及び系列の関連する幹細胞及び/又は始原細胞である。
「造血細胞型」は一般に、様々な種類の分化した造血細胞を指すが、特定の造血細胞型を起源とする造血始原細胞、例えば、幹細胞、始原細胞などの血液細胞産生と関連するあらゆる細胞型に関する様々な芽細胞、及び様々な系列細胞、例えば、骨髄性細胞、リンパ系細胞なども含んでもよい。
「造血細胞系列」は一般に、特定の系列の分化した造血細胞、例えば、骨髄性細胞又はリンパ系細胞を指すが、さらに分化した系列、例えば、樹状細胞、赤血球などを指してもよい。
細胞の「IL-12により促進された(容易になった)増殖」は、一般に哺乳動物の骨髄に存在するか、又は生息する細胞、例えば、造血始原細胞及び/又は幹細胞中での増殖、又は増加に少なくとも一部帰する造血の増加、刺激、又は増強を指すが、骨髄ニッチの微小環境を含む他の細胞を含む。
「造血の刺激又は増強」は一般に、一種以上の造血細胞型又は系列の増加を指し、特に、哺乳動物が一種以上の造血細胞型又は系列の欠乏を有する場合、一種以上の造血細胞型又は系列の刺激又は増強に関する。
「造血長期再増殖細胞」は一般に、骨髄中の最も原始的な血液細胞である;それらは様々な血液細胞型及び系列の生涯にわたる産生を提供するのを担う血液幹細胞である。
「造血幹細胞」は一般に、血液幹細胞である;二つの型が存在する:上記で定義された「長期再増殖」及び短期間(哺乳動物に応じて、数週間、数ヶ月又はさらに時には数年)にわたって「始原細胞」を産生することができる「短期再増殖」である。
「造血始原細胞(造血前駆細胞)」は一般に、血液幹細胞から分化する(すなわち、成熟する)最初の細胞である;次いで、それらは様々な血液細胞型及び系列に分化(成熟)する。
「造血支援細胞(造血支持細胞)」は、骨髄の非血液細胞である;これらの細胞は、血液細胞産生の「支援」を提供する。これらの細胞は、骨髄間質細胞とも呼ばれる。
「骨髄保存」は、放射線、化学療法、疾患又は毒素により損傷された骨髄がその正常な、又は正常に近い状態で維持されるプロセスを意味する;「骨髄回復」は、放射線、化学療法、疾患若しくは毒素により損傷された骨髄がその正常な、正常に近い状態まで修復されるか、又は骨髄機能における任意の測定可能な改善が得られるプロセスを意味する;骨髄機能は、好適なレベルの様々な血液細胞型又は系列が造血(血液)幹細胞から産生されるプロセスである。
「骨髄損傷」は、放射線、化学療法、疾患又は毒素により損傷された骨髄が正常まで修復され得なくなり、従って、哺乳動物における適切な造血を維持するのに十分な血液細胞を産生できなくなる病理的プロセスである。
これから本発明を以下の実施例に関連して説明する。これらの実施例は、例示のみの目的のために記載するものであり、本発明は、これらの実施例に限定されるものでなく、本明細書に記載した教示の結果として明らかであるすべての変形形態を含む。
本明細書に記載する実験の前には、CTCLの治療における局所及び/又は全身皮膚電子線療法に関連する対象における急性放射線症候群及び/又は放射線誘発細胞毒性を含む、放射線誘発損傷作用を治療するための治療上有効な組換えヒトインターロイキン12(IL-12)製剤などの、IL-12を含む組成物及び方法を可能にする公表プロトコールは存在しなかった。
本開示の態様及び実施形態は、局所及び全身皮膚電子線療法に伴う暴露を含む、急性放射線暴露への暴露の後に対象に投与した場合に特定のIL-12製剤が驚くべき且つ予期しない有用性及び有効性を有するという予期しない発見に端を発する。治療用組成物は、生存期間の有意な延長及び/又はCTCL療法に関連する放射線誘発細胞毒性の緩和につながる、免疫、骨髄及びGIコンパートメントを含む複数の組織に対する放射線損傷の強力な緩和をもたらす。
実施例として、治療上有効な放射線防護IL-12製剤を調製する方法を開発した。
実施例1:典型的な組換えマウスIL-12及び典型的な組換えヒトIL-12
典型的な組換えマウスIL-12(例えば、CHO細胞中で産生された組換えマウスIL-12のグリコシル化形態を含む、適切な組換えマウスIL-12製剤など;以後「組換えマウスIL-12」)は、Peprotech(Rocky Hill、NJ、USA)から入手するか又はSBH Sciences(Natick、MA、USA)によりNeumedicinesに排他的に提供された。典型的な組換えヒトIL-12、すなわちrHuIL-12(例えば、CHO細胞中で産生された組換えヒトIL-12のグリコシル化形態を含む、適切な組換えヒトIL-12製剤など;以後「組換えヒトIL-12」)は、SBH Sciences(Natick、MA、USA)によりNeumedicinesに提供された。最初のマウス生存試験において、典型的な凍結乾燥マウス組換えIL-12(例えば、組換えマウスIL-12)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH=7.2に溶解した。他のすべての試験においては、典型的なマウス組換えIL-12(例えば、組換えマウスIL-12及び典型的な組換えヒトIL-12(例えば、組換えヒトIL-12)をトレハロース製剤(P5.6TT)に溶解した。これらの実施形態において、トレハロース製剤の処方は次の通りであった。200mLの製剤処方:186mLのdH20、12gのトレハロース、1.6mLの5%Tween 20、1.0gの一塩基性リン酸ナトリウム無水物、0.24gの二塩基性リン酸ナトリウム無水物、12.1M HClによりpH5.6に調整。マウス及びアカゲザルにおける試験では、組換えマウスIL-12及び組換えヒトIL-12をそれぞれ用いた。PBSは、示したように最初のマウス生存試験にビヒクルとして用いた。P5.6TTは、他のすべての試験にビヒクルとして用いた。
実施例2:生存試験
マウス生存試験は、BATTS Laboratories(Northridge、CA、USA;HHS OLAW A4475-01)又はRoy E. Coats Research Laboratories(Unversity of California、Los Angeles、CA、USA;HHS OLAW A3196-01)において実施した。マウス骨髄の単離は、BATTS Laboratoriesにおいて実施した。雌C57BL/6マウスをThe Jackson Laboratory(Sacramento、CA、USA)から入手し、雄マウスをHarlan Laboratories(Placentia、CA、USA)から入手又はRoy E. Coats Research Laboratoriesにおいて繁殖させた(Coatsマウス)。Coatsマウスは、純粋隔離群(gnobiotic)であり、したがって、Harlanマウスより低い放射線感受性を有する。異なるマウスを用いた実験における放射線量の差は、したがって、Coatsマウス実験に用いた放射線量がより高い点で異なっていたものであった。Coatsマウスは、これらの試験において8.6、8.8及び9.0Gyの放射線量に暴露したのに対して、Harlanマウスは、特に示さない限り8Gyに暴露した。マウス薬物動態(PK)及び薬力学(PD)試験並びに消化管(GI)組織単離は、LAB Research, Inc.(Laval、Quebec、Canada;HHS OLAW A5525-01)において実施した。雄C57BL/6マウスをCharles River Canada, Inc.(Saint-Constant、Quebec、Canada)から入手した。放射線に関連するPK/PD試験において、Charles Riverマウスを8.6Gy TBI(LD100/30)に暴露した。すべての試験施設において、マウスを検疫所で少なくとも1週間飼育した。生存及びPK/PD試験に用いたマウスは、9週〜10週齢であり、体重が約20gであり、疾患の徴候はなかった。
生存率の評価
0日目に、均一な放射線の分布を得るために照射器の中央にマウスを保持するように設計され、特別に作製された「パイボックス」内で137Cs線源を備えたGammacell(登録商標)40(Theratronics、Ontario Canada、Coatsマウス試験では71cGy/分、Harlanマウス試験では85cGy/分の率を用いた)を用いて、30日以内に動物の約90%の死亡を引き起こすと予想される線量である8.0Gy(Harlanマウス)又は9.0Gy(Coatsマウス)の致死線量でTBIを行った。マウスは、照射後24時間目、48時間目及び/又は72時間目にビヒクル又は示した用量の組換えマウスIL-12の皮下注射を受けた。マウスを生存について30日目までモニターした。この期間中、生存プロトコールの厳格さを高めるために、抗生物質を含むすべての支持療法をマウスに施さなかった。マウスに飼料及び酸性化水を自由に摂取させた。
組換えマウスIL-12の作用の放射線量依存性をマウス(群当たりn=10; Coatsマウス)において評価した。マウスにそれぞれLD70/30、LD90/30及びLD100/30をもたらす約8.6Gy、8.8Gy及び9.0Gyの致死線量で照射した。動物にTBI後24時間目にビヒクル又は20ng/マウスの用量の組換えマウスIL-12を投与した。マウスを生存について30日目までモニターした。抗生物質を含む支持療法は、この期間中は許容しなかった。マウスに飼料及び酸性化水を自由に摂取させた。
実施例3:照射及び非照射対象における組換えマウスIL-12の血漿PK及びPD
例として、照射及び非照射対象における組換えマウスIL-12の血漿PK及びPDを評価するための方法を開発した。
マウス(1群当たりn=3)に照射の非存在下又はLD100/30(8.6Gy;Charles Riverマウス)のTBI後24時間目に、10ng/マウス、20ng/マウス、40ng/マウス又は200ng/マウスの用量で組換えマウスIL-12を皮下投与した。組換えマウスIL-12を投与しなかった2つのさらなる対照群の動物(1群当たりn=3)を放射線に暴露しなかったか又は8.6Gyで照射した。組換えマウスIL-12及びIFN-γの濃度を、組換えマウスIL-12の投与後45分目並びに1.5、3、6、12、24、48及び72時間目に採取した血液試料の血漿中で酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した。血漿エリスロポエチン(EPO)レベルは、使用できる試料が限られていたため12時間の時点のみに測定した。
実施例4:骨髄及びGIの組織病理
実施例として、骨髄及びGIの組織病理を評価する方法を開発した。
骨髄の組織病理試験のために、マウス(1群当たりn=2)を8.0GyのTBIに供し(Harlanマウス、この実験では約LD40/30)、その後、ビヒクル(P5.6TT)又は組換えマウスIL-12(20ng/マウス)を、照射後(a)24時間目、(b)24時間及び2日目、(c)24時間及び3日目、(d)24時間及び4日目、又は(e)24時間及び5日目に、皮下投与した。マウスのさらなる群(n=2)にTBI後24時間目に組換えヒトIL-12を投与した。Cyto-Pathology Diagnostic Center, Inc(Duarte、CA、USA)により、マウスが照射後12日目に屠殺され、大腿骨髄がパラフィン包埋組織切片として供給された。
GIの組織病理試験のために、マウス(1群当たりn=3)を照射の非存在下又は8.6GyのTBI(Charles Riverマウス、LD100/30)後24時間目にビヒクル(P5.6TT)又は組換えマウスIL-12を10ng/マウス〜200ng/マウスの用量で皮下投与した。Cytopathology Diagnostics Center, Inc(Duarte、CA、USA)によりマウスが照射後3日目に屠殺され、空腸がパラフィン包埋組織切片として供給された。
組織切片をキシレンで脱パラフィン処理し、漸減濃度のエタノールで再水和し、加熱処理によるエピトープ回復(heat-induced epitope retrieval)(HIER)に供して抗原を回収した。内因性ペルオキシダーゼを0.3%H2O2により阻害し、バックグラウンド染色をBackground Sniper(Biocare Medical, LLC.;Concord、CA)でブロッキングした。
骨髄組織病理試験では、組織切片を、ウサギ抗マウスIL-12受容体ベータ2サブユニット(IL-12Rβ2)(Sigma;St Louis、MO)、骨芽細胞のマーカーであるウサギ抗マウスオステオカルシン(Millipore;Billerica、MA)又は造血幹細胞のマーカーであるウサギ抗マウスSca-1(Epitomics;Burlingame、CA)とともにインキュベートした。GI組織病理試験では、ウサギ抗マウスIL-12Rβ2、又はGI損傷時に発現するGI幹細胞マーカーであるウサギ抗マウスロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGR5)とともにインキュベートした。一次抗体の除去の後に、組織切片をペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG(ImmPRESS;Vector Laboratories;Burlingame、CA)とともにインキュベートした。AEC基質(ImmPACT AEC;Vector Laboratories;Burlingame、CA)とともにインキュベートした後にペルオキシダーゼ標識細胞が赤色に発色し、これをCATヘマトキシリン(Biocare Medical、Concord、CA)で対比染色した。次いで、組織切片をVectamount(Vector Laboratories; Burlingame、CA)中に浸漬し、カバーガラスで覆い、透明マニキュア液でシールし、Olympus Compound顕微鏡(Olympus America,Inc;Center Valley、PA)を用いて骨髄切片については100倍で、空腸については400倍で可視化した。
造血幹細胞上のSca-1及びIL-12Rβ2の共発現は、骨髄組織切片を最初にウサギ抗マウスSca-1(Epitomics、Burlingame、CA)とともにインキュベートした後、ウサギオンげっ歯類(Rabbit on Rodent)HRP-ポリマー(Biocare Medical;Concord、CA)及び3,3'-ジアミノベンジジン基質(Biocare Medical、Concord、CA)とともにインキュベートすることにより評価した。変性溶液(Biocare Medical、Concord、CA)で処理した後、組織切片をウサギ抗マウスIL-12Rβ2(Sigma;St Louis、MO)とともにインキュベートした後、ウサギオンげっ歯類AP-ポリマー(Biocare Medical;Concord、CA)及びWarp Red基質(Biocare Medical、Concord、CA)とともにインキュベートした。次いで、組織切片をCATヘマトキシリンで対比染色し、上述のように可視化した。この方法を用いて、Sca-1及びIL-12Rβ2を発現した細胞をそれぞれ褐色及びピンク色に染色した。
実施例5:非ヒト霊長類(NHP)を用いた評価
雄アカゲザルMacaca mulattaをWorldwide Primates,Inc(Miami、FL、USA)から購入した。体重が3.5〜5.8kgの3〜4歳の動物を少なくとも7週間馴化させた。実験に含めたすべてのアカゲザルは、身体検査により良好な健康状態であり、ヘルペスBウイルス、サル免疫不全ウイルス、サルTリンパ球向性ウイルス及びサル型レトロウイルスについて陰性であり、A型肝炎及び麻疹のワクチン接種を行ったものであった。動物は自動給水システムを備えたステンレススチール製サル用ケージに個別収容した。動物室の環境は、温度(21±3℃)、湿度(30%〜70%)、照明サイクル(12時間点灯;12時間消灯)及び換気(10〜15回換気/時間)について連続的に制御した。標準的な証明書付きの市販の霊長類用飼料を各サルに1日2回摂取できるようにした。照射及び剖検の前に一夜絶食させた。動物を試験開始前に正の強化により様々な処置に慣れさせた。動物が試験のために良好な状態であることを保証するために健康状態を十分に評価した。すべての動物に予防的鎮痛薬(ブプレノルフィン)を5日目から試験終了まで与えた。苦痛を最小限にするために特別な安楽死基準を各実験プロトコールに含めた。必要な場合に速やかな介入を保証するために連続的な臨床ケア(24時間/7日)を行った。NHP医学の訓練を受けた技師及び獣医のチームが臨床モニタリングを担当し、最先端の医療を提供した。
実施例6:マウスからアカゲザルへのアロメトリック用量変換
マウスにおける致死TBIに対して有効であることが認められた組換えマウスIL-12の用量を、体表面積に基づいてアカゲザルにおけるそれらの等価用量に変換した。種特異的等価用量の薬物動態学的同等性は、in vitroでの末梢血単核細胞(PBMC)からのIFN-γ分泌の組換えヒトIL-12刺激並びにin vivoでの組換えヒトIL-12のPK及びPD特性に関して評価した。
実施例7:CD14陰性PBMCの単離及びIFN-γ分泌の定量
アフェレーシスにより収集されたヒトPBMCをAllCells(Emeryville、CA、USA)から購入した。マウス及びアカゲザルPBMCはBioreclamation(Liverpool, NY, USA)から購入した。CD14陰性PBMCを次のように単離した。赤血球を、Ficoll-Hypaqueプレミアム(密度=1.077;GE Healthcare Lifesciences; Piscataway、NJ、USA)を用いて1段階勾配によりヒトPBMCから、またACK溶解緩衝液(Invitrogen;Carlsbad、CA、USA)を用いて溶解によりアカゲザル及びマウスPBMCから取り出した。IL-12分泌内因性単球集団を取り出すために、ヒト及びアカゲザルPBMCをマウス抗ヒトCD14PE抗体(AbD Serotec;Raleigh、NC、USA)で標識し、マウスPBMCをマウス抗マウスCD14PE(AbD Serotec;Raleigh、NC、USA)で標識した。過剰の抗体を除去し、細胞を、抗PE抗体を結合させた磁性ビーズ(Miltenyi Biotec;Auburn、CA、USA)とともにインキュベートした。過剰の抗体を除去した後、CD14陽性細胞を、磁場(Quadro MACS(登録商標);Miltenyi Biotec;Auburn、CA、USA)に固定化させたLDカラム(Miltenyi Biotec;Auburn、CA、USA)への吸着により捕捉した。フロースルーのCD14陰性細胞を収集し、ヒトからのものは、20%ジメチルスルホキシドを含む冷ウシ胎児血清(FBS)中に14x106細胞/mlの密度で再懸濁し、一方、アカゲザル及びマウスからのものは、10%FBS及び抗生物質を含むRPMI培地中に2.14x106細胞/mlの密度で再懸濁した。IFN-γは、様々な濃度(範囲:0〜1000pM)の組換えヒトIL-12又は組換えマウスIL-12とともに37℃で16時間インキュベートした、2.5x105個のヒト、アカゲザル又はマウスCD14陰性PBMCからの上清中でELISAにより定量した。すべての実験を3連で行った。IFN-γ分泌の刺激に関するIL-12の最大半量有効濃度(EC50)を4パラメーターロジスティック適合を用いてSoftMax Pro(登録商標)ソフトウエアversion 3.1(Molecular Devices;Sunnyvale、CA、USA)により計算した。
実施例8:NHP中の組換えヒトIL-12の血漿PK及びPD
放射線非暴露アカゲザルに組換えヒトIL-12を250ng/kg(n=3)又は1000ng/kg(n=3)の用量で皮下投与した。組換えヒトIL-12、IFN-γ及び組換えヒトIL-12の他の可能なバイオマーカーの濃度を、組換えヒトIL-12の投与前並びに組換えヒトIL-12の投与後2、6、12、18、24、30、36、48、72、96、120、144及び168時間目に採取した血漿試料についてELISAにより測定した。
実施例9:NHP並びにヒト骨髄及び小腸中のIL-12Rベータ2発現
NHP並びにヒト大腿骨髄及び空腸/回腸のパラフィン包埋組織切片をBiomax,Inc(Rockville、MD)から入手した。NHP及びヒト組織切片を、マウス組織病理試験のセクションで述べた手順に従ってウサギ抗ヒトIL-12Rβ2を用いてIL-12Rβ2について免疫組織化学的に染色した。
実施例10:NHPにおける生存試験
0日目に、正の強化により拘束処置に慣れさせたアカゲザルをLD50/30の6.7GyのTBIに供した。照射は、コバルト60ユニット(Theratron 780;Theratronics;Ontario、Canada)を用いて55cGy/分の率で2回の半分割線量(two half-dose fraction)(腹背及び背腹)で実施した。照射線量は、各動物の胸骨の先端及び肩甲骨間部の対応するレベルに設置した2つの線量計(Thermoluminescent又はNanoDot線量計;Landauer Inc.;Glenwood、IL、USA)を用いてモニターした。TBIの後、動物を(a)TBI後24時間目にビヒクル(n=8)、(b)TBI後24時間目に100ng/kgの組換えヒトIL-12(n=8)、(c)TBI後24時間目及び7日目に100ng/kgの組換えヒトIL-12(n=8)、(d)TBI後24時間目に250ng/kgの組換えヒトIL-12(n=8)又は(e)TBI後24時間目及び7日目に250ng/kgの組換えヒトIL-12(n=8)の皮下投与を受けるように無作為に割り付けた。動物を生存並びに臨床的及び身体的特性について30日目までモニターした。主要な評価項目は、生存率(%)であった。末梢血球数、体重及び臨床徴候は、二次評価項目として評価した。
試験中、輸血又は抗生物質の使用を禁止した。疼痛の証拠又は不快症状は、筋肉内ブプレノルフィン(少なくとも8時間ごとに0.01mg/kg〜0.05mg/kg)により治療した。動物が食欲減退を示した場合、栄養支持(例えば、液体飼料)を行った。試験中、臨床症状を少なくとも1日2回モニターし、全血球カウント値及び体重を隔日に1回モニターした。血液学的検査試料を自動血液分析装置(Advia 120;Bayer Diagnostics;Tarrytown、NY、USA)を用いて分析した。試験中、動物が呼吸困難、無食欲/食欲減退(3日間完全な無食欲)、体重減少(72時間でベースライン体重の20%を上回る)、接触に対する非反応性、急性肉眼的失血、全身発作又は異常なバイタルサインを示した場合、動物を安楽死させた。安楽死させた動物又は死亡していたことが認められた動物は、細菌学的検査を含む、完全な肉眼的剖検に供した。31日目における試験の終了時にすべての動物を安楽死させた。
実施例11:血漿中の組換えマウスIL-12及び組換えヒトIL-12並びにそれらのバイオマーカーの定量
マウス及びアカゲザルからの血液試料をエチレンジアミン四酢酸を含む管中に採取し、遠心分離するまで氷上に保持した(<30分)。試料を1500xgで10分間、4℃にて遠心分離した。血漿を分割し、使用時まで-70℃で保存した。血漿中の組換えマウスIL-12、組換えヒトIL-12及びそれらの可能なバイオマーカーをELISAによりアッセイした。マウスIL-12(p70)及びIFN-γ用のELISAキットは、BioLegend(San Diego、CA、USA)から、NHP IL-12用のものは、BioLegend(San Diego、CA、USA)、Mab Tech(Mariemont、OH、USA)及びR&D Systems(Minneapolis、MN、USA)から、NHP IFN-γ用のものは、Mab Tech(Mariemont、OH、USA)から、ヒトEPO、IL-18及びIL-15用のものは、R&D Systems(Minneapolis、MN、USA)から、ネオプテリン用のものは、GenWay(San Diego、CA、USA)から入手した。社内比較標準を製造業者によって供給された標準の代わりに用いたNHP IL-12のアッセイを除いて、すべてのアッセイを製造業者の指示に従って3連で行った。
統計解析
データは、平均値±標準誤差(SE)として表した。生存の群間差は、Kaplan-Meierの生存分析とそれに続く、生存時間についてはMantel-Cox検定により、生存率(%)についてはPearsonのカイ二乗検定により評価した。血球数の群間差は、Pearsonのカイ二乗検定により解析した、20000血小板/μlの輸血レベル以下に低下した血小板数を除いて、分散分析(ANOVA)により評価した。臨床症状の群間差は、ANOVAにより評価した。<0.05のP値を統計的有意性の水準と定義した。
実施例12:TBI後24時間目に投与した単回の低用量組換えマウスIL-12が照射マウスにおける生存期間を延長させた
最初の試験では、TBI後24時間目及び72時間目に100ng/マウスの組換えマウスIL-12を名目用量で皮下投与したマウスの87.5%が8Gyで30日目まで生存していたのに対して、ビヒクルマウスの14%のみが致死TBIで30日目まで生存した(P<0.005)(図1a)。これらの試験で送達された実際の組換えマウスIL-12の用量は、10ng/マウスであった。その後の試験で、組換えマウスIL-12の単回投与が同様の放射線緩和効果をもたらすのに十分であったかどうかを評価した。これらの試験では、組換えマウスIL-12の単回の名目用量(300ng/マウス;実際の送達された用量は20〜30ng/マウスであった)が、LD100/30をもたらす9Gy TBI後24時間目(P=0.001)、48時間目(P=0.02)又は72時間目(P<0.03)に投与したとき生存時間を有意に延長させた(図1b)。組換えマウスIL-12で処置したマウスは、組換えマウスIL-12を24時間目に投与したときにはTBI後の48時間目と比較して高い生存率を示した(図1b)。ビヒクル群とTBI後24時間目に組換えマウスIL-12で処置したマウスとの間の生存率の差は、統計的に有意であった(それぞれ0%対60%;P<0.05)(図1b)。
組換えマウスIL-12は、用量の送達を意図した用量のほぼ90%に増加させたP5.6TTで再構成した。この改善により、2ng/マウス又は18ng/マウスの単回の組換えマウスIL-12の用量は、照射後24時間目に投与したときにはLD85/30をもたらした7.9GyのTBI線量に対してビヒクルよりも有意に高い放射線緩和をもたらした(図1c)。2ng/マウスの用量では、組換えマウスIL-12は、ビヒクルと比較して生存率を有意に増加させ(P<0.02)、生存時間をわずかに延長させた(P=0.07)。18ng/マウスの用量では、組換えマウスIL-12は、ビヒクルと比較して生存率(P<0.005)及び生存時間(P<0.03)の両方を有意に増加させた。160ng/マウスのようなより高い用量の組換えマウスIL-12で処置した動物は、ビヒクル群と比較してわずかに高い生存時間を有していたが、2ng/マウス又は18ng/マウスの用量で処置した動物と比べてより低い生存率を有していた(データは示さず)。したがって、これらの所見は、約20ng/マウスの用量が生存を増加させるための組換えマウスIL-12の最適の有効量であることを示すものである。
放射線量と組換えマウスIL-12による治療後の生存率(%)との関係を評価するために、3つの漸増線量の放射線(それぞれ結果として生じるLD70/30、LD90/30及びLD100/30に対応する8.6、8.8及び9.0Gy)をマウスにおいて試験した。TBI後24時間目に投与した20ng/マウスの用量の組換えマウスIL-12は、3レベルの放射線強度のすべてにおいて生存時間を有意に延長させた(図2)。ビヒクルで処置した動物における生存率は、8.6Gy(LD70/30)で20%、8.8Gy(LD90/30)で10%及び9.0Gy(LD100/30)で0%であった(図2)。ビヒクル群と比較して、組換えマウスIL-12による処置は、LD70/30で80%、LD90/30で60%及びLD100/30で70%という有意により高い生存率をもたらし(すべてについてP<0.05)(図2)、これにより、放射線暴露の選択されたウインドウ内のTBI後24時間目の組換えマウスIL-12の投与について放射線量依存性が示された。注目すべきことに、漸増放射線量のもとでの組換えマウスIL-12の単回の一定用量の投与後の生存率が同等であることは、組換えマウスIL-12の有効性が放射線量の増加とともに低下しないことを示すものである。これらのデータから、免疫、骨髄及びGI損傷が重複する放射線量において、組換えマウスIL-12が3つの放射線感受性組織のすべてにおける損傷の緩和をもたらし、それにより、暴露の特定のウインドウ内で放射線量に比較的に非依存性である生存率の増加をもたらし得ることが示唆される。
実施例13:照射及び非照射マウスにおける組換えマウスIL-12の血漿PK及びPD
照射の非存在下又は約LD90/30のTBI(8.6Gy)後24時間目に漸増用量の組換えマウスIL-12(10ng/マウス〜200ng/マウス)を投与した2群のマウスにおける組換えマウスIL-12及びIFN-γの血漿濃度を72時間にわたって測定した。組換えマウスIL-12の検出の限界のために10ng/マウスより低い組換えマウスIL-12の用量は評価しなかった。組換えマウスIL-12は、組換えマウスIL-12を投与した動物のすべての血漿中で検出された(図3)が、重要なことに、照射の存在又は非存在にかかわらず組換えマウスIL-12を投与しなかったマウスの血漿試料中には検出できなかった(データは示さず)。
組換えマウスIL-12への暴露(曲線下面積last;AUClast)は、照射の存在又は非存在にかかわらず10ng/マウスから40ng/マウスまで用量に比例して増加した(図3及び表1)。
Figure 2015505326
興味深いことに、組換えマウスIL-12の最高血漿濃度(Cmax)は、すべての用量で非照射マウスと比較して照射マウスにおいて一貫して高かった(図3)。200ng/マウスの用量における組換えマウスIL-12への暴露(AUClast)は、より低い用量(10ng/マウス〜40ng/マウス)における値より不釣り合いに高かった。これにより、組換えマウスIL-12のPK特性がより高い用量範囲で非線形であることが示唆される(表1)。10ng/マウス〜40ng/マウスの用量範囲では、組換えマウスIL-12は、3時間〜6時間にCmaxに達し、約4時間の半減期で排泄された(表1)。
組換えマウスIL-12の投与は、すべての試験用量で一定の遅延時間で血漿IFN-γ濃度を増加させた(図3)。重要なことに、IFN-γの産生は、照射マウスにおいて排除されなかった(図3)。実際、20ng/マウス用量の最適用量を除く、すべての組換えマウスIL-12の用量について、血漿IFN-γレベルは、非照射マウスと比較して照射マウスにおいてより高かった(図3)。IFN-γ用量への暴露は、10ng/マウス〜200ng/マウスの漸増組換えマウスIL-12用量の関数として比例的に増加した(データは示さず)。重要なことに、IFN- は、照射の存在又は非存在にかかわらず組換えマウスIL-12の投与を受けなかったマウスの血漿中に検出されなかった。
予備試験で特定の投与計画における組換えマウスIL-12とEPOの併用投与が致死放射線暴露後の生存の実質的な増加をもたらしたことが示された(データは示さず)ことから、我々は、組換えマウスIL-12が照射及び非照射マウスにおけるEPOの血漿レベルに影響を及ぼす可能性があるかどうかを評価しようとした。試料の入手可能性が限られていたため、血漿EPOレベルは、組換えマウスIL-12の投与後、12時間目の1つの初期の時点でのみ測定することができた(図4)。非照射非処置動物においては、EPOは、低pg/mL範囲での血漿中で検出可能であった(図4)。照射により、TBI後80時間まで血漿EPOレベルがほぼ直線的に増加し、これによりEPOが放射線損傷に対する生理的応答の一部であることが示唆される(データは示さず)。しかし、注目すべきことに、投与後12時間目(放射線暴露後36時間目)に20ng/マウスの最適用量で、組換えマウスIL-12は、放射線誘導レベルを超えて血漿EPO濃度を実質的に増加させ(図4)、これにより組換えマウスIL-12が放射線に対するEPO媒介性生理的応答を増強させることが示されるが、これは、最適投与レベル又はその近くにおいてのみであった。この最適用量では、血漿EPOレベルが非照射マウスにおいても増加したことは、注目に値する(図4)。組換えマウスIL-12投与に対するEPO応答が組換えマウスIL-12の用量範囲の狭いウインドウで起こるかどうかに関しては今後さらに評価しなければならない。その理由は、高度に増強されたEPO応答が20ng/マウスの用量の投与後にのみ認められた(図4)からである。評価した他の用量と比較してEPOが組換えマウスIL-12によってアップレギュレートされた用量である組換えマウスIL-12の20ng/マウスの用量でIFN-γ応答が抑制されるようだったことを注目することは興味深い。多発性硬化症のマウスモデルにおいて、EPOの投与は、炎症反応をダウンレギュレートし、また特に、IFN-γを抑制することが報告された。したがって、これらの所見は、血漿EPOレベルの増大が、放射線に対する炎症性反応の低下につながる、20ng/マウスの用量の組換えマウスIL-12の投与を受けた照射マウスにおける血漿IFN-γレベルの抑制(図3b)に役割を果たす可能性があることを示唆するものである。
組換えマウスIL-12投与の他のバイオマーカー、すなわち、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)及び幹細胞因子(SCF)もスクリーニングしたが、これらの因子の血漿レベルは、定量限界を下回っていたことが認められた。
実施例14:TBI後24時間目における組換えマウスIL-12の投与がマウス骨髄及び小腸における放射線誘発損傷を緩和する
TBI(LD30/30)後24時間以上経過した時点にビヒクル又は組換えマウスIL-12で処置した照射マウスからの大腿骨髄をIL-12Rβ2について染色し、TBI後12日目における放射線誘発損傷からの回復の組織学的徴候について評価した。対照として、非照射非処置マウスからの骨髄は、Sca-1(マウス幹細胞マーカー;下記参照)の共染色により同定される、IL-12Rβ2発現造血幹細胞、細胞質の狭い縁により囲まれた分葉核を有する未熟巨核球、分葉核及び多量の細胞質を有する成熟巨核球並びに後骨髄球段階の骨髄性前駆細胞の存在(図5a)によって特徴付けられた。
ビヒクルのみで処置し、LD30/30のTBIに供したマウスからの骨髄は、照射後12日後の造血再生の最小限の徴候及びIL-12Rβ2発現細胞の完全な欠如(図5b)を特徴とした。これに対して、組換えマウスIL-12の様々な投与計画で処置したマウスは、IL-12Rβ2発現骨髄性前駆細胞、巨核球及び骨芽細胞の存在(図5c〜f)を特徴とした、様々な段階の造血再構成を示した。マウスIL-12受容体と交差反応しないことが実証された組換えヒトIL-12で処置したマウスは、再生のいくつかの徴候を示したが、巨核球を欠いていた(図5g)。しかし、組換えヒトIL-12で処置したマウスについては、ビヒクル対照群と比較して生存率の増加は認められなかった。
形態学的に同定された細胞が実際に造血幹細胞及び骨芽細胞であるかどうかに関してさらに評価するために、骨髄組織切片を、対応するマーカー、それぞれSca-1及びオステオカルシンについて染色した。図6a及びbに示すように、それぞれSca-1及びオステオカルシンを発現した、造血幹細胞及び骨芽細胞と形態学的に同定された細胞上にIL-12Rβ2発現が認められた。骨髄組織切片におけるIL-12Rβ2及びSca-1の共発現を二重染色アプローチによっても評価した。図6cに示すように、造血幹細胞の別個のサブセットをIL-12Rβ2及びSca-1の両方の存在について共染色した。IL-12Rβ2を発現する未熟及び成熟巨核球も骨髄組織切片に認められた(図6c)。これらの所見から、造血再構成におけるIL-12シグナル伝達経路の直接的な役割が示唆される。
大腿骨髄における造血幹細胞及び骨芽細胞と同様に、マウス空腸陰窩がIL-12Rβ2を発現した(図7a)。照射の非存在下では、200ng/マウスまでの用量の組換えマウスIL-12の投与で空腸陰窩における損傷は引き起こされなかった(図7b、上パネル)。しかし、TBI(8.6Gy)への暴露により、化学療法誘発GI損傷時に発現することが示されたGI幹細胞マーカーであるLGR5の広範な発現によって明らかなように、照射後3日目に実質的な空腸陰窩の損傷がもたらされた。注目すべきことに、10ng/マウス〜40ng/マウスの低用量範囲の組換えマウスIL-12の投与により、放射線誘発空腸損傷が用量依存的に緩和され、20ng/マウスの最適有効量ではLGR5の発現は認められなかった(図7b、下パネル)。他方で、200ng/マウスの高用量の組換えマウスIL-12は、空腸の損傷が悪化した(図7b、下パネル)。生存率の最適増加が得られる組換えマウスIL-12の用量範囲について認められたように、これらのデータは、骨髄損傷の緩和にも有効である薬物の非常に低い用量範囲における組換えマウスIL-12による放射線損傷の緩和の可能性のウインドウを示している。
実施例15:マウスからNHPへのアロメトリック用量変換
アカゲザルにおける同様の放射線緩和効果を達成するために、マウスに投与された用量と薬理学的に等価である用量をアカゲザルに投与すべきである。食品医薬品局(FDA)ガイドラインに基づいて、マウスにおける最適20ng/マウス用量(1000ng/kg)及び非最適80ng/マウス(4000ng/kg)用量がそれぞれアカゲザルにおける250ng/kg及び1000ng/kgの用量に変換される。しかし、種特異的等価量での薬理学的に等価な反応の誘発は、両種における同様な薬物暴露及び一次標的部位との特異的反応性を含むいくつかの因子に依存する。したがって、NHPにおける組換えヒトIL-12の放射線緩和作用の有効性を評価する前に、我々は種特異的等価量の薬理学的等価性を最初に検討した。
実施例16:組換えヒトIL-12及び組換えマウスIL-12が、ヒト、アカゲザル及びマウスCD4陰性PBMCからのIFN-γ分泌をin vitroで強力に刺激した
CD4陰性PBMCからのIFN-γの分泌を刺激することに関する組換えヒトIL-12及び組換えマウスIL-12のEC50値を比較することによって、組換えヒトIL-12に対する標的の反応性を評価した。以前に報告した[33]ように、我々は、組換えヒトIL-12がマウス及びラットから単離されたPBMCと交差反応しなかったことを認めた(EC50>1000pM)。これと対照的に、組換えヒトIL-12は、ヒト及びアカゲザルPBMCの両方からのIFN-γの分泌を強力に刺激し、EC50値はそれぞれ2.51±0.51pM及び1.05±0.10pMであった。マウスPBMCからのIFN-γの分泌を刺激する組換えマウスIL-12のEC50値は、0.35±0.29pMであった。これらの所見から、それぞれ組換えヒトIL-12及び組換えマウスIL-12に対するサル及びマウスPBMCの反応性がin vitroでのIFN-γの分泌に関して同様であることが示唆される。
アカゲザルにおける組換えヒトIL-12の血漿PK
照射の非存在下での250ng/kg及び1000ng/kgの2つの用量の組換えヒトIL-12の単回投与後の組換えヒトIL-12の血漿PKをアカゲザルにおいて検討した。投与後、組換えヒトIL-12への暴露(AUClast)は、用量に比例して増加した(表2)。
Figure 2015505326
アカゲザルにおける組換えヒトIL-12のAUClastは、10ng/マウス〜80ng/マウスの用量範囲にわたってマウスにおいて組換えマウスIL-12のAUClastに対して完全に直線的に重ね合され(図8)、マウス試験から計算された種特異的等価用量がサルにおける同様の薬物暴露をもたらしたことが示唆される。組換えマウスIL-12がより高用量で異なるPK特性を示すと思われたので、200ng/マウスの用量は、この解析に用いなかった(表1)。
250ng/kg又は1000ng/kgの単回投与での組換えヒトIL-12は、耐容性が良好であり、1000ng/kg群における一過性の食欲の減退を除いて、顕在的な毒性徴候を伴わなかった。
実施例16:組換えヒトIL-12の投与が非照射アカゲザルにおけるIFN-γ、IL-15、IL-18、ネオプテリン及びEPOの血漿濃度を増加させた
サルにおいては、皮下投与した組換えヒトIL-12が投与直後に血漿中に出現し、72時間後には検出されなかった(図9a)。さらに、組換えマウスIL-12についてマウスで認められたように、組換えヒトIL-12は、血漿IFN-γ濃度を用量に比例して増加させることが認められた(図9a)。しかし、アカゲザルにおけるIFN-γ応答の時間的速度論(temporal kinetics)は、IFN-γ応答が長時間にわたり遅延し、程度がはるかに大きかった点(図9a)がマウスと異なっていた。組換えヒトIL-12もIFN-γも、組換えヒトIL-12の投与を受けなかったサルの血漿中に検出されなかった。
他の可能なバイオマーカーのうち、IL-18及びEPOへの暴露(AUClast)は、組換えヒトIL-12の用量を250ng/kgから1000 ng/kgに増加させたとき、それぞれ2.4倍及び5.1倍増加した(図9b)。組換えヒトIL-12は、血漿IL-15及びネオプテリン濃度も増加させ、組換えヒトIL-12の投与後それぞれ72時間及び96時間目にピークとなった(図9c)。ヒトにおける以前の報告と対照的に、アカゲザルのTNF-α及びIL-10の血漿濃度は変化しなかった。
実施例17:NHP並びにヒト骨髄及び小腸がIL-12R2を発現する
非照射NHP(アカゲザル)並びにヒト大腿骨髄及び空腸/回腸におけるIL-12Rβ2の発現を免疫組織化学により評価した。図10Aに示すように、NHP並びにヒト前駆細胞及び巨核球がIL-12Rβ2を発現した。IL-12Rβ2の発現は、骨髄の骨芽細胞/破骨細胞上でも認められた。しかし、提供された組織が塗抹標本であり、骨膜又は他の骨組織を含んでいなかったため、これらの細胞が骨芽細胞及び/又は破骨細胞であったかどうかについて判断することができなかった。骨髄脂肪細胞は、IL-12Rβ2について陽性に染色されなかった。
小腸においては、IL-12Rβ2は、陰窩において最も一般的に発現した(図10b)。腸陰窩におけるIL-12Rβ2の発現がパーネト細胞、多能性幹細胞又は両方に局在化しているかどうかは、知られていない。IL-12Rβ2の発現は、固有層及び粘膜下部位に存在するリンパ球様細胞にも認められた(図10b)。ムチン分泌杯細胞は、IL-12Rβ2を発現しなかった。陰窩及び固有層IL-12Rβ2発現細胞の両方は、幹細胞ニッチも占有し、固有層における免疫調節細胞への非プロフェッショナル抗原提示細胞としての役割も果たす陰窩形状形成細胞としての機能を果たし得る多機能性間葉由来筋繊維芽細胞を提示し得る。さらなる試験により、腸陰窩におけるIL-12Rβ2発現細胞の細胞及び機能の特性並びに放射線暴露後の腸の再生におけるそれらの支持的役割が立証されるであろう。
実施例18:組換えヒトIL-12の投与が照射非支持アカゲザルにおける生存率を増加させた
40匹の動物におけるパイロット試験において、LD50/30のTBI(6.7Gy)に暴露したアカゲザルの生存率を、TBI後24時間目又は24時間目及び7日目に投与した100ng/kg又は250ng/kgの組換えヒトIL-12による処置後に測定した。この試験は、抗生物質を含む支持療法の非存在下で行った。組換えヒトIL-12の用量は、アカゲザルにおけるPK/PD試験に基づいて選択し、それぞれ8ng/マウス及び20ng/マウスの組換えマウスIL-12用量と等価であった。図11aに示すように、単回又は2回投与後に両用量の組換えヒトIL-12は、照射に起因する死亡を同じ程度に抑制した。総生存率は、100ng/kg単回処置群(n=7)で71%であり、組換えヒトIL-12の投与を受けた他のすべての群(n=8)で75%であったのに対して、ビヒクル群では50%であった。生存率の群間差は、統計的に有意でなかった。その理由は、各群(n=8)の動物の数が少なかったことによる可能性が最も高かったが、組換えヒトIL-12の用量がともに有効量の範囲内であったことによる可能性もあった。しかし、組換えヒトIL-12の投与計画を問わない生存率の解析により、一緒にプールした場合、組換えヒトIL-12で処置したサルは、ビヒクルを投与したサルよりも有意に高い生存率を有していたことが示された(それぞれ75%対50%;P=0.05)(図11b)。
実施例19:組換えヒトIL-12の投与後の照射非支持アカゲザルの血球数の変化
試験期間中の血球数の差を評価するために3つの解析を行った。血球数を1日目から30日目まで解析した、第1の解析では、組換えヒトIL-12で処置した動物は、ビヒクルで処置した動物と比較して、100ng/kg及び250ng/kg用量で最下点近くの12及び14日目に白血球及び血小板の有意に高い数を有していた(図12)。
血球数を1日目から前日に動物が死亡した14日目まで解析した、第2の解析では、組換えヒトIL-12で処置した動物は、最下点(12〜14日目)においてビヒクルで処置した動物と比較して高い血小板数を有していた(250ng/kg群についてP=0.079及び100ng/kg 2回処置群についてP=0.02)。さらに、ビヒクル群と比較して、組換えヒトIL-12で処置した動物は、最下点(12〜14日目)において有意に高い数の白血球(250ng/kg群についてP<0.01及び100ng/kg 2回処置群についてP<0.04)並びに網状赤血球(250ng/kg群についてP<0.04及び100ng/kg群についてP<0.001)を有していた。同じ傾向が好中球、好塩基球及びリンパ球数について明らかであったが、それらは、統計的有意性の容認できるレベルに達しなかった。
第3の解析では、試験中に臨床的に低い血小板数に到達した動物の数を評価した。この解析で、血小板輸血を一般的に必要とするレベルである20000血小板/μLの閾値レベル以下に低下した血小板数のビヒクル群と組換えヒトIL-12群との間の注目すべき差が明らかになった。組換えヒトIL-12 250ng/kg群において、最下点(12日目〜14日目)における16例中、4例(25%)の血小板数が20000血小板/μL未満の輸血閾値以下に低下したのに対して、ビヒクル動物の15例中、12例(80%)の血小板数が同じ期間中に閾値レベルを下回っていた(P=0.007)。
全体的にみて、これらの所見は、組換えヒトIL-12が、動物が放射線毒性により死亡し始めた日(13日目、図11a)の直前に白血球、血小板及び網状赤血球を増加させることを示すものである。興味深いことに、30日目まで生存したビヒクル処置動物も血球数の急速な回復を示し、これが組換えヒトIL-12群におけるものと統計的に区別することができなかった。これらの所見は、最下点の日の近くに強い血球数の回復を示さない動物に死亡が起こる可能性があることを示唆している。この仮説の妥当性は、死亡状況により層別化した動物の血球数、すなわち、30日目まで生存した動物と12日目の後に死亡した動物との血球数を比較することにより評価した。この解析において、死亡の前日の血球数は、12日目の後に死亡した動物のものとした。各群における生存動物の比較日は、個々の群における死亡例が死亡した平均日であった(14〜18日目)。この解析は、特定の処置群に関係なく、30日目まで生存した動物は、12日目の後に死亡した動物よりも血小板、好中球、白血球、網状赤血球及びリンパ球の有意に高い数を有していた(P<0.001〜P<0.05)。処置群別に比較した場合、100ng/kgの組換えヒトIL-12で処置した動物は、生存例及び死亡例群の両方においてビヒクルで処置した動物よりも好中球、白血球及びリンパ球の有意に高い数を有していた(3つの細胞型すべてについてP<0.001)。さらに、100ng/kgの組換えヒトIL-12で処置した動物は、数値的により高い血小板及び網状赤血球数を有していた。これらの所見は、最下点近くの組換えヒトIL-12誘発性の血球数の増加が放射線暴露後の生存の促進に重要な役割を果たす可能性があることを示唆するものである。
実施例20:組換えヒトIL-12の投与後の照射非支持アカゲザルの臨床的及び身体的特性
100ng/kgの用量の組換えヒトIL-12を投与した(1回又は2回)動物は、ビヒクル群よりも14日目から30日目まで一貫して高い平均体重を有していた(図13a)。100ng/kg(1回又は2回)又は250ng/kg(1回)の用量の組換えヒトIL-12で処置した動物は、ビヒクルを投与した動物よりも14日目から30日目まで少ない体重減少を有していた(図13c及びd)。体重及び体重減少の群間の差は統計的に有意でなかったが、体重減少の解析を12日目(血球数の最下点のおよその日及び動物が死亡し始めた後の日(図11a))に限定した場合、プールした組換えヒトIL-12処置動物は、ビヒクル処置動物よりも有意に少ない体重減少を有していた(それぞれ95.3±0.8%対91.6±1.5%;P=0.04)。ロジスティック回帰により、12日目の後の体重減少が生存の強い予測変数であったことが示された(P<0.001)。食欲及び身体活動が組換えヒトIL-12処置動物で改善し、下痢及び黒色又は赤色便の発生率が250ng/kg 2回投与計画群で低下したが、他の臨床徴候(食欲、身体活動、下痢及び便の色)は、ビヒクル群と有意に異なっていなかった。しかし、上述の臨床徴候は、ロジスティック回帰により12日目の後の死亡を予測した(食欲減退がP=0.002、身体活動の低下がP<0.001、下痢の発生率がP=0.04及び黒色又は赤色便の発生率がP=0.008)。慢性無食欲、凹目、脱水、円背及び/又はうづくまり姿勢並びに衰弱を含む重度の健康悪化及びストレスの臨床徴候がほぼ14日目に始まり、発生率又は発症の顕著な群間の差はなかった。すべての有害な臨床徴候は、放射線への暴露後の急性放射線症候群と一致していた。
肉眼病理並びに器官及び血液培養細菌学評価を、試験の終了前に死亡した又は安楽死させたすべての動物について実施した。組換えヒトIL-12に関連した肉眼的病変は存在しなかった。出血の発生率は、100ng/kg又は250ng/kgの組換えヒトIL-12で処置したプールした動物で12.5%(1/8の動物)であったのに対して、ビヒクル動物では50%(2/4)であった。ビヒクル群では、死亡動物のすべて(4/8の動物)が死亡していたことが認められたが、組換えヒトIL-12群の1例の動物のみが死亡していたことが認められ、8例の動物は、試験の終了の前に人道にかなった方法で安楽死させた。敗血症の診断は、13例の動物のすべての少なくとも2つの器官における同じ細菌株の単離により確認した。
ビヒクル群では、死亡が認められた動物の75%(3/4)が腸内及び皮膚細菌叢からのものである可能性が最も高い細菌の組合せを示し、25%(1/4)が皮膚細菌叢からのものである可能性が最も高い細菌のみによる器官感染を示した。種々の組換えヒトIL-12処置群において、環境からのものである可能性が最も高い細菌による器官感染も示した2例を含む、9例中、8例の動物(89%)が腸内及び皮膚細菌叢からの細菌の組合せを示した。他の動物(1/9)は、皮膚細菌叢からのものである可能性が最も高い細菌のみによる器官感染を示した。これらの結果から、急性放射線症候群のこの動物モデルにおける試験終了前に死亡したすべての動物に日和見感染が存在していたことが示唆される。
本開示の態様及び実施形態は、TBIによって線量依存的に引き起こされる放射線損傷が免疫、造血及びGI組織に結果として影響を及ぼすという原理に一般的に基づいている。その理由は、これらの組織が体内で最も放射線感受性が高い標的であるからである。リンパ球は、放射線毒性に対して最も感受性が高い細胞であり、約2Gyを超える照射線量では、循環から最初に枯渇する。リンパ球の喪失に続いて、顆粒球の減少と、次に何日もの期間にわたる血小板レベルの減少が起こる。急性発症貧血は、出血に二次的に起こり得る。>4Gyの線量では、放射線は、GI上皮/内皮に有害な影響を及ぼし、結果として生じる臨床症状は、造血及びGI毒性の組合せに起因し、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、疲労、発熱及び腹痛を示す。
免疫及び造血毒性による死亡が免疫障害に起因する感染及び/又は血小板減少症に起因する出血のために起こり、一方、GI毒性による死亡がしばしば多器官不全、重篤な敗血症及び出血の合併症のためであることも認識されている。放射線学的アタックの場合、放射線暴露後に投与したときに免疫、造血及びGI毒性を緩和することができる多組織効果を有する放射線緩和薬が有用である。
本明細書に記載した実施例は、典型的なIL-12製剤である組換えヒトIL-12が、単回低用量の投与後にマウス及びサルの両方における放射線誘発損傷作用/毒性に起因する死亡を抑制したことを明確に実証するものであった。マウス及びサルの両方において、組換えヒトIL-12は、経口又は局所抗生物質を含む支持療法の非存在下で、24時間又はより長い時間などの放射線暴露後の時間が経過した時点に投与した場合、生存率を増加させた。照射マウス及びサルにおいて、組換えヒトIL-12は、末梢血及び血管外腔における免疫系を刺激し、骨髄における造血再生を促進し、小腸における組織損傷を低減し、身体全体における全身性抗アポトーシス及び抗炎症作用を誘発することによって様々なレベルで生存を促進した。
一実施形態において、これらの放射線緩和効果をもたらした最適なマウス用量は、約20ng/マウスである。等価ヒト用量を外挿する方法は、当技術分野で周知である。該用量は、放射線防護における組換えヒトIL-12の有効性についての、また本試験における製剤化タンパク質の使用による癌療法における血液学的補助薬としての以前の報告より少ない。
さらに、照射後24時間目という組換えヒトIL-12の長期化した投与は、組換えヒトIL-12を放射線暴露の前又は直後に投与した我々の以前の試験と比べたとき、多少異なった機序により作用するように思われる。これに関する証拠は、マウスにおける以前の試験と比較したときの、本マウス放射線緩和試験における骨髄の回復の比較によって得られる。本試験では、骨髄の回復がはるかにより遅いように思われ、これは、組換えヒトIL-12の投与の時期(以前の試験におけるTBIの24時間前 対 本試験におけるTBIの24時間後)による可能性がある。
さらに、有効性のさらなる実証として、典型的なIL-12(組換えヒトIL-12、例えば、組換えヒトIL-12)は、放射線暴露後24時間目に投与した場合、GI損傷のマーカーとしての役割も果たす幹細胞マーカーであるLRG5の放射線誘発発現を著しく低下させた。TBI後約24時間目に投与した約10ng/マウス〜約40ng/マウスの用量の典型的なIL-12(組換えヒトIL-12、例えば、組換えヒトIL-12)は、放射線誘発性のLGR5の発現を低下させた。これと対照的に、約200 ng/マウス(組換えマウスIl-12組換えマウスIL-12)については、TBI後約24時間目の投与により、LGR5の発現の増加によって明らかなように放射線誘発GI損傷を悪化させるように思われた。
この所見は、高用量のIL-12がGI管の放射線損傷を悪化させたという初期の報告と一致している。マウス及びアカゲザルの両方において得られたデータは、照射後のそれぞれ組換えマウスIL-12及び組換えヒトIL-12処置動物の体重の有意な増加を示し(図13)、それにより、組換えヒトIL-12治療のGIに対する防護効果のさらなる裏付けとなっている。
さらに、有効性のさらなる実証として、組換えヒトIL-12がマウスにおける放射線毒性を低減し、生存率を増加させることができることがサルにおいて確認された。照射後24時間目にアカゲザルに投与した組換えヒトIL-12は、生存率を有意に増加させた(P=0.05、プールした処置群対ビヒクル対照)。組換えヒトIL-12処置サルは、最下点において血小板、白血球及び網状赤血球数が有意により高く、出血の発生率がより低く、12日目から30日目まで体重がより高かった。
さらに、血小板減少症は、ビヒクルで処置した動物よりも組換えヒトIL-12で処置した動物において重症度が低かった。さらに、血小板輸血を一般的に必要とするレベルである20000血小板/μLの閾値レベル以下に低下した血小板数には、ビヒクル処置群と組換えヒトIL-12処置群との間の顕著な差が認められた。組換えヒトIL-12投与250ng/kg群において、最下点(12日目〜14日目)における血小板数の16例中、4例のみ(25%)が20000血小板/μL未満の輸血閾値以下に低下していたのに対して、ビヒクル動物の血小板数の15例中、12例(80%)が同じ期間中に閾値を下回っていた(P=0.007)。
有効性を実証する他の実施例において、組換えヒトIL-12をTBI後に、すなわち、照射後最も早くて24時間目(被害地への医療関係者及び資源の動員に最低限必要と考えられる時間のウインドウ)に投与した。これは、放射線学的災害事象が発生した場合の救命介入としての組換えヒトIL-12の有用性を示している。これらの所見は、TBI後に単回低用量として投与した場合、組換えヒトIL-12が、放射線により侵される少なくとも3つの主要な系、すなわち、免疫系、骨髄コンパートメント及びGI管における放射線誘発毒性を緩和するという証拠を提供している。
放射線毒性の組換えヒトIL-12による緩和に関連するさらなる事象は、抗アポトーシス/抗炎症機序による細胞傷害性ダメージからの組織の公知の一般的な保護物質であるEPOの放出による抗アポトーシス/抗炎症作用の刺激である。いくつかの相互依存性ネットワークが、組換えヒトIL-12の放射線緩和作用の根底にある。IL-12が細胞性免疫応答の中心的な調節因子であり、いくつかの免疫メディエーターの合成及び分泌を調節することが知られている。癌患者では、IL-12の腹腔内/静脈内/皮下投与により、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-8、VEGF、IP-10及びネオプテリンの腹膜/血清レベルが増加した。本明細書に記載する本開示において、組換えヒトIL-12の投与により、マウス及びサルの両方における血漿IFN-γレベルが用量依存的に増加した。IFN-γは、多数の遺伝子に対する転写制御により多くの異なる細胞プログラムを組織化して、高度の免疫サーベイランス及び感染に対する免疫系の有効性をもたらす。
IFN-γに加えて、組換えヒトIL-12は、マウスにおけるEPO、並びにサルにおけるIL-15、IL-18、ネオプテリン及びEPOの血漿レベルを増加させた。IL-15及びIL-18は、単独で、及び/又は一緒に、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞及びNK T細胞の発生、恒常性及び機能に重要な役割を果たす。IL-12との相乗作用で、IL-18は、Tヘルパー1細胞におけるIFN-γの産生を刺激する。7,8-ジヒドロネオプテリンの自己酸化産物である、ネオプテリンは、IFN-γの活性を反映し、当然の結果として、全身性免疫活性化のインジケーターとみなされる。
本明細書に記載した実施例で、組換えヒトIL-12がマウス及びNHPにおけるEPOの産生を刺激したことが実証された。この所見は、EPOが組換えヒトIL-12の放射線緩和活性を媒介する中心的な役割を果たし得ることを示すものである。
EPOは、免疫調節、神経保護及び心臓保護作用を有し得る。EPOは、細胞の生存を増進し、表面抗原の発現を調節し、最も強力な抗原提示細胞である、樹状細胞におけるIL-12の分泌を増大させる。これにより、EPOの免疫調節機能が樹状細胞により一部媒介され、これがひいては特異的なT細胞の応答を誘導する可能性があることが示唆される。EPOの細胞保護作用は、少なくとも一部は、その抗酸化、抗炎症及び抗アポトーシス活性に関連づけられている。毒物、虚血、低酸素症又は酸化ストレスによって引き起こされる細胞毒性の様々なモデルにおいて、EPOは、ニューロン、血管平滑筋細胞、心筋細胞及び内皮細胞におけるアポトーシスを低減させると同時に、細胞の抗酸化能を増大させ、並びに/又は腎臓、ニューロン及び網膜色素上皮細胞における酸化損傷を低減させる。
外因性組換えヒトIL-12によりもたらされる放射線緩和の基礎をなす機序は、組換えヒトIL-12の外因性送達によって組織化されるマルチレベル応答を示す(図14)。現在の証拠は、組換えヒトIL-12が(a)末梢血及び骨髄中の免疫細胞上(レベル1)、(b)造血幹細胞及び骨芽細胞などの骨髄ニッチの他の重要な細胞上(レベル2)、(c)GI幹細胞上(レベル3)並びにおそらく(d)腎臓細胞上(レベル4)、のIL-12受容体を直接活性化することによって少なくとも4レベルの応答を誘発し、それにより、細胞保護因子である、EPOが放射線暴露後に放出されることを示すものであった(図14)。
最も直接的な応答は、組換えヒトIL-12誘導レベル1応答であり、これは、免疫系の重要な放射線抵抗性細胞に関連する。放射線暴露後の非常に初期の段階において、ほとんどの免疫細胞がそれらの放射線感受性(B細胞>T調節細胞>Tヘルパー細胞>T細胞傷害性細胞>Tメモリー細胞>NK細胞)に応じた順位でアポトーシスを受ける。照射後24時間又はそれより長時間機能し得る状態にある可能性がある免疫細胞は、最小の放射線感受性のもの、すなわちNK細胞並びにマクロファージ及び樹状細胞などの分化細胞である。したがって、照射後に投与した組換えヒトIL-12は、生存NK細胞、マクロファージ及び樹状細胞の増殖及び活性化を促進することによってレベル1応答を開始させることができる。NK細胞、マクロファージ及び樹状細胞の間の3方向クロストークは、先天性免疫の回復のバイオマーカーとして同定されたサイトカイン、すなわち、IFN-γ、IL-15、IL-18及びネオプテリンを介してそれらの成熟及び拡大をさらに促進する。この3方向クロストークは、樹状細胞から分泌される内因性IL-12の産生をさらにもたらす(図14)。結果として、初期の免疫能力は、TBI後の先天性免疫機構により確立される。病原体活性化樹状細胞からの内因性IL-12の持続的産生もポジティブフィードバックループとしての役割を果たし、おそらく放射線暴露後数週間にわたり、外因性組換えヒトIL-12に対する初期の応答を持続する上で重要な役割を果たす(図14)。組換えヒトIL-12の外因性投与後の内因性IL-12の持続的産生の証拠は、組換えヒトIL-12で処置したマウスのみにおいてTBIの12日後に造血細胞上にIL-12Rβ2が存在したことである。
組換えヒトIL-12は、造血に関与する一次骨髄細胞との相互作用によりレベル2応答を開始させる。骨髄において、残存造血幹細胞、骨芽細胞及び巨核球は、致死線量の放射線への暴露後24時間失われずに残り、機能し得る細胞型である可能性がある。マウス、NHP及びヒトからの骨髄におけるIL-12Rβ2発現幹/前駆細胞、巨核球及び/又は骨芽細胞の存在は、これらの細胞が組換えヒトIL-12の直接的な標的であることを示すものである。その受容体を介して、組換えヒトIL-12は、造血再生につながる、放射線暴露後の生存幹細胞の増殖及び分化を促進することによりレベル2応答を開始させる(図14)。骨芽細胞の活性化は、造血幹細胞及び巨核球の生存、拡大及び回帰に不可欠であると思われる。致死線量の放射線への暴露が骨芽細胞ニッチの特異的な拡大をもたらし、それにより、放射線抵抗性骨前駆細胞の生存プールが骨内膜骨領域(endosteal bone areas)に近接して増殖することが示された。比較的長寿命の生存巨核球もそれらの通常の傍静脈洞部位ではなく骨梁の骨内膜表面の近くに認められた。巨核球は、骨芽細胞ニッチの拡大を刺激した因子を放出する。これらの所見と一致して、我々の試験における免疫組織化学的検査により、骨に近接した骨芽細胞ニッチ、巨核球及び造血幹細胞からなる細胞島を示す、マウス骨髄における類似の細胞構成が明らかとなった。CD34陽性,IL-12Rβ2-陽性骨髄細胞において、組換えヒトIL-12は、EPO分泌を増加させるが、成熟リンパ球におけるその伝統的な作用と対照的に、IFN-γの分泌を減少させ[我々の研究室からの未公表データ]、造血幹細胞の拡大を促進する環境を与え、最終的に血小板及び白血球を含む成熟血液細胞の再生をもたらす(図14)。EPOもT細胞からのIFN-γ、IL-6、IL-2及びTNF-αなどの炎症性サイトカインの過剰産生を抑制することによってそのような最適な環境の発生に寄与する。EPOによるIFN-γの産生の抑制は、血漿EPOレベルを実質的に増大させた組換えヒトIL-12の用量(20ng/マウス)で、血漿IFN-γレベルが照射マウスにおいて抑制されたことを示す我々の所見と一致している。さらに、血漿EPO濃度の増大は、少なくとも一部分において、組換えヒトIL-12の投与後のIL-2、IL-6及びTNF-αなどの炎症誘発性サイトカンのサル血漿レベルの上昇の欠如を説明するものとなっている。
組換えヒトIL-12は、腸陰窩細胞を再生させ、腸の完全性を保証するGI幹細胞を保護することによってレベル3応答を開始させる(図14)。組換えヒトIL-12は、腸細胞間境界の完全性をもたらし、これが、病原体の漏出を低減させ、食物の吸収を増加させ、下痢を減少させる。「腸管壁浸漏症候群」の低減により、末梢血循環への病原体の侵入を減少させることによってさらなる免疫に関連する恩恵がもたらされる(図14)。組換えヒトIL-12は、GIの回復をもたらし、ひいては致命的な放射線暴露後のより高い生存の可能性をもたらす。
組換えヒトIL-12は、その腎受容体の直接的な活性化後の腎臓からのEPOの放出をおそらく増大させることによって、EPOの血漿レベルを増大させることによりレベル4応答を開始させる。その抗酸化、抗炎症及び抗アポトーシス活性を考慮すると、EPOは、脳、末梢神経、心臓、腎臓、皮膚及び腸を含む器官/組織の多様な集合における細胞の生存能力を増大させる、体内の一般的な細胞保護因子としての機能を果たす。EPOはまた、組換えヒトIL-12のレベル1及び2の延命効果に関与する重要な細胞、すなわち、ニッチ骨髄細胞並びに成熟及び未熟樹状細胞、マクロファージ及びNK細胞を放射線毒性から保護し得る。成熟樹状細胞もEPO及び/又はIFN-γに応答してIL-12を放出し、組換えヒトIL-12の外因性投与によって最初に開始された事象を増幅させるポジティブフィードバックループをもたらし得る。
最後に、照射免疫不全宿主における外因性組換えヒトIL-12の単回投与によって誘導される内因性IL-12の持続的な生成は、他の重要な延命効果である。IL-12の持続的な内因性産生は、主としてレベル1の組換えヒトIL-12誘導応答の結果である。さらに、放射線損傷後に循環へのアクセスが可能になる細菌及び病原性産物は、樹状細胞を活性化して、先天性及び適応反応を促進し、さらに内因性IL-12の放出をもたらし得る。したがって、組換えヒトIL-12は、生存免疫細胞、骨髄ニッチの細胞、すなわち骨芽細胞及び巨核球、造血幹細胞の増殖を促進し、様々なフィードバックループを介して重要な腸幹細胞に放射線損傷からの保護をもたらし得る。これらのフィードバックループは、内因性IL-12、IFN-γ及びEPOなどの可溶性因子の生成を促進し、造血系の再生並びに免疫及びGI機能の回復を可能にする(図14)。
これらの実施例は、組換えヒトIL-12が、ヒトに密接に関連する動物モデルであるNHPにおける放射線誘発損傷を緩和することを最初に実証したものであった。重要なことに、FDA Animal Rule承認への道(path to approval)のために、マウスからアカゲザルへのアロメトリック用量変換により、サルにおける同様な組換えヒトIL-12暴露をもたらした同等な用量の特定が可能であった。PK特性が類似しているにもかかわらず、組換えヒトIL-12に対するIFN-γ応答は、マウスと比較してサルにおいて強いように思われた。100ng/kg又は250ng/kgの組換えヒトIL-12の単回又は2回の投与を受けた後にアカゲザルの生存率が同様であったことは、組換えヒトIL-12が低用量でさえも有効であり得ることが示唆される。重要なことに、NHP試験で用いた組換えヒトIL-12の用量は、それぞれ約30ng/kg及び80ng/kgのヒト用量に対応している。癌患者において、IL-12が様々な癌の治療のための単剤療法又は併用療法の一部として3ng/kg〜600ng/kgの用量範囲で静脈内、腹腔内又は皮下投与されている。
皮下投与では、IL-12は、3年間まで300ng/kg〜500ng/kgの範囲で週2回投与する場合、一般的に耐容性が良好である。我々の試験では、組換えヒトIL-12は、1000ng/kgの単回投与又は最大7回投与後にサルにおいても耐容性が良好であり(データは示さず)、毒性の明らかな徴候はなかった。
サルにおける試験で、マウス及びサルにおける有効量が非常に低いことに加えて、放射線緩和のために必要な組換えヒトIL-12の用量は、癌患者に以前に用いられたIL-12の用量より実質的に低いことが示され、したがって、放射線被災者における組換えヒトIL-12のより好ましい安全性プロファイルが示唆される。組換えヒトIL-12の予期される安全性プロファイルを考慮すると、放射線暴露の実際のレベルについての知識がない場合でさえ、放射線学的事象の周辺の、すべての人に薬物を行き渡らせることができると想定される。
本試験で示したように、マウス及びNHPにおける強力な放射線緩和効果は、単に1回投与する組換えヒトIL-12のキログラム当たり非常に低いナノグラムの用量を用いて達成することができる。その放射線緩和効果に必要な組換えヒトIL-12の単回の非常に低い用量は、ヒトにおけるその効力及び予期される安全性を強調するものである。
これらの所見は、組換えヒトIL-12が、放射線損傷に起因する死亡を抑制するための最前線療法として使用するための新規な介入としての役割を果たし得ることを示すものである。組換えヒトIL-12の安全性並びに薬物動態及び薬力学プロファイルを評価するための早期臨床開発(first-in-human)第I相試験並びに動物におけるさらなる有効性試験が進行中である。これらのヒト及び動物試験の累積により、有効性を動物モデルにおいて判断し、安全性をヒトにおいて判断するという動物規則(Animal Rule)のもとでのヒトにおける組換えヒトIL-12の予測有効量の決定が可能となる。
実施例21:IL-12の投与による典型的な組織の放射線防護
IL-12は、適切な対象における癌に対する放射線療法(RT)後の初期及び後期作用並びに組織反応の予防のための放射線防護剤として臨床的に評価する。適切な対象は、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、又はアカゲザルを含む霊長類を含み得る。放射線療法(RT)は、単一又は分割線量の重荷電粒子(例えば、X線)、核分裂スペクトル中性子又はガンマ線を含み得る。
例えば、粘膜炎モデルにおけるIV及び皮下(SC)投与後のIL-12の防護作用を検討するためにラットRTモデルを用いて頭頚部癌に対する放射線療法(RT)を受けた対象の脱毛、口腔乾燥症及び粘膜炎を含む、放射線誘発傷害の予防のための放射線防護剤としてIL-12を臨床的に評価する。ラット(1群当たり5匹)に1〜100ng/kgのヒト等価量のIL-12をIV又はSC投与し、それらの頭及び頚部をIL-12投与後0.5、2、4及び8時間目に15.3Gyのガンマ線に暴露する。1〜50Gyの線量も用いることができる。処置後1〜10日間にわたり、ラットの口腔を粘膜炎の徴候について検査した。粘膜紅斑及び粘膜浮腫をそれぞれ0〜5及び0〜2の評価基準に従ってそれぞれ採点し、全般的粘膜炎を示すためにスコアを合計する。非処置動物の平均粘膜炎スコアを計算する。ラットは、IL-12をIV又はSC投与したとき粘膜炎から数時間まで保護される。IL-12のSC投与を受けたが、IV投与を受けないラットも投与後数時間粘膜炎から保護される。脱毛及び口腔乾燥症に対する保護の判定に際して、同様な組織病理学的及び機能評価を行う。
放射線療法による他の放射線誘発損傷も単一線量又は分割線量照射後に測定し、頭頚部癌に対する放射線療法と併せて施行した場合のIL-12処置の防護効果を評価するために、例えば口腔乾燥症、粘膜炎及び/又は脱毛を含める。例えば、胸部癌の放射線療法と併用するIL-12処置の防護効果を評価するために、食道炎及び肺炎の発生を用いることができる。例えば、腎臓、胃、膵臓(例えば、膵)、胆嚢、膀胱、前立腺又は婦人科癌を含む腹部又は骨盤癌の放射線療法と併用するIL-12処置の防護効果を評価するために、骨盤癌に対する放射線療法後の下部消化管粘膜炎又は皮膚炎に対する効果を用いることができる。下部消化管粘膜炎に対する効果は、直腸及び泌尿器毒性を含み得る。さらに、生存レベル、LRG5発現(GI損傷マーカーの尺度として)、骨髄損傷(血小板、白血球及び網状赤血球数により測定される)、組織病理学的評価、細胞、組織若しくは器官特異的プロテオミック又は分子マーカー、アポトーシス、或いは組織又は器官浮腫もまた放射線防護効果を評価するために用いることができる。一実施形態において、典型的なIL-12組成物及び治療方法は、膵癌の治療における様々な放射線に基づく治療モダリティに関連する放射線誘発副作用の予防及び/又は緩和に有効であった。
約5〜50GyのTBI、例えば、6.7GyのTBI又は臨床的に適切な線量(例えば、1分割当たり約0.1〜約2Gy)での等価分割照射に暴露したアカゲザル及びマウスなどの対象における各生物学的エンドポイントを、100ng/kg又は250ng/kgの組換えヒトIL-12(或いは8ng/マウス及び20ng/マウスの組換えマウスIL-12用量の等価用量)の処置後に測定する。
試験の1つのアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTBIとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日前に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
試験の他のアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTBIとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日後に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
試験の他のアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTBIとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日前及び後の両方に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
実施例22:急性放射線誘発粘膜炎の防御
単一線量又は多分割線量で1〜50Gyの放射線量を施行することにより試験対象(例えば、サル又はマウス)における口腔粘膜炎を誘発させる。0日目に、麻酔下で左頬袋を採取し、固定し、照射し、一方、残りの動物は鉛カバーで遮へいする。放射線は、適切な焦点距離でX線、中性子又はガンマ線源を用いて発生させる。
IL-12組成物は、放射線照射の5日前(-5日目)に開始し、その後15日目(+15日目)まで適切な投与経路(例えば、毎日皮下注射)で実施例21に従って投与する。対照群は、-5〜+15日目にビヒクルのみを投与する照射動物からなる。
粘膜炎の評価:
粘膜炎の進行を毎日モニターする。照射後6日目に開始して隔日に、動物を麻酔し、左頬袋を採取し、写真撮影する。試験の臨床期の終了時に、フィルムを現像し、得られた写真を無作為に番号付けし、2人の観察者が盲検法で採点する。以下の数値スコアを頬の病変に適用する0〜5採点システムを用いる:
0、正常粘膜
1、紅斑及び血管拡張
2、重度の紅斑及び血管拡張、粘膜の斑点の少ない露出部分を残して、粘膜の表面のびらんを伴う。
3、重度の紅斑、血管拡張及び1つ以上の部位における潰瘍の形成。潰瘍の累積の大きさが頬粘膜の25%に及ぶ。偽膜形成が認められる。
4、重度の紅斑及び血管拡張。潰瘍の累積の大きさが頬粘膜の約半分に及ぶ。粘膜の柔軟性の喪失。
5、びまん性の広範な潰瘍形成。柔軟性の喪失、頬袋は部分的にのみ口から摘出することができる。
このモデルでは、3のスコアは、臨床的に有意な国立がん研究所又はWHOのスコア3に一致する。口腔粘膜炎(OM)の重症度は、各観察日における処置群ごとのスコアを用いて計算する(平均値±SE)。重症度スコアを用いて、結果を3以上のスコアを有する日数の百分率としても表す。
初期の結果は、すべての分割又は単一線量照射モダリティにおける種々の投与によるIL-12の適切な用量での有意な放射線防護を示すものである。
実施例23:食道におけるIL-12の放射線防護
食道炎は、胸部癌の放射線療法の著明な毒性である。我々は、マウス食道におけるIL-12の放射線防護効果を検討する。IL-12は、リポソーム製剤の経管栄養チューブによる嚥下によりマウスに投与する。正常マウスに28Gy上体照射の直前に実施例21による用量でIL-12で処置する。照射後、食道を摘出し、細胞選別により食道前駆細胞(progenitors)(SP)及び分化(NSP)細胞を分離することによって食道炎を評価する。IL-12は、照射前のIL-12の投与と併用して又はその代りに、放射線療法の後に投与してもよい。
追加のマウスに3LL細胞を気管内に投与して、同所性分岐部肺腫瘍を誘発する。肺同所性腫瘍を有するマウスに20Gy上体照射を受ける前にIL-12を食道内に投与する。IL-12は、照射前のIL-12の投与と併用して又はその代りに、放射線療法の後に投与してもよい。食道内投与後10、30及び60分目に肝臓、末梢血液及び肺同所性腫瘍におけるIl-12の取込みを定量する。食道を摘出し、細胞選別により食道前駆細胞(SP)及び分化(NSP)細胞を分離する。
IL-12が放射線療法の有効性を損なうことなく放射線誘発食道炎を改善することを示す結果も得られる。28Gy上体照射の前にIL-12の投与を受けたマウスは、照射のみを受けたマウスと比較して生存率の増加を示す。20Gy上体照射の直前にIL-12の投与を受けた肺同所性腫瘍を有するマウスは、照射のみを受けたマウスと比較して生存率の増加を示す。
実施例24:IL-12の投与による典型的な組織放射線防護
IL-12は、適切な対象におけるCTCLの治療のための電子線照射を含む放射線療法後の放射線誘発毒性の予防のための放射線防護剤として臨床的に評価する。適切な対象は、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、又はアカゲザルを含む霊長類を含み得る。放射線療法(RT)は、局所又は全身皮膚電子線照射(高線量率及び低線量率を含む)を含み得る。例えば、IL-12は、IV及び皮下(SC)投与後のIL-12の防護効果を検討するためにラットRTモデルを用いて、電子線療法(局所又は全身皮膚)を受ける対象の紅斑、潰瘍形成、脱毛、皮膚乾燥、高色素沈着、眼刺激及び指爪の一過性喪失を含む放射線誘発傷害の予防のための放射線防護剤として臨床的に評価する。
ラット(1群当たり5匹)に1〜100ng/kgのヒト等価用量のIL-12をIV又はSC投与し、それらの罹患部位をIL-12投与後0.5、2、4及び8時間目に4Gy〜36Gyの電子線照射に暴露する。1〜50Gyの線量を用いてもよい。処置後1〜10日間にわたりラットの関連組織を放射線細胞毒性の徴候について検査する。
上記の放射線誘発細胞毒性をそれぞれ0〜5及び0〜2の評価基準に従って採点し、全般的状態を示すためにスコアを合計する。非処置動物の平均スコアを計算する。ラットは、Il-12をIV又はSC投与したとき副作用から数時間まで保護される。IL-12のSC投与を受けたが、IV投与を受けないラットも投与後数時間副作用から保護される。他の細胞毒性エンドポイントからの防護の判定に際して、同様な組織病理学的及び機能評価を行う。
約1〜50Gyの電子線照射に暴露したアカゲザル及びマウスなどの対象における各生物学的エンドポイントを、100ng/kg又は250ng/kgの組換えヒトIL-12(或いは8ng/マウス及び20ng/マウスの組換えマウスIL-12用量の等価用量)の処置後に測定する。
試験の1つのアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTSEBTとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日前に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
試験の他のアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTSEBTとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日後に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
試験の他のアームにおいて、各個別の放射線源を用いて、最長30日間1〜10回/日の分割線量計画で各放射線量をTSEBTとして又は局所的に施行する約5、10、15、20、30、40、50、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日前及び後の両方に1つ以上の典型的な用量のIL-12(1〜100ng/kg)を投与する。
実施例25:典型的なTSEBT治療計画
典型的なプロトコールにおいて、スタンフォード大学(Hoppeら、Hematologic Therapy、16巻、347〜354頁;2003)で最初に開発された技術に類似した技術を用いてTSEBTを施行する。典型的な6MeVの6デュアルフィード法を用い、全身表面がビームに暴露するように患者を垂直軸の周りの6種の角方向で立たせる。位置を2日サイクルに分ける。1日目に患者を垂直前方フィールド及び2つの斜後方フィールドで、2日目に垂直後方フィールド及び2つの斜前方フィールドで処置する。6種の位置のそれぞれについて、2つのガントリ角を用いる。2つのガントリ角、すなわち90°及び19°は、中心軸が患者の上下を通り、それにより、前方の方向のビームのX線の影響を避けるように選択する。フィードサイズを40cm/40cmに、線量率を患者面の中心で1.3Gy/分に相当する888MU/分(1.6mの距離)に設定する。1つのフィールドの処理は、約30秒かかるであろう。
患者の顔が加速器の方に向くフィールドでは、3mmの鉛からなる眼遮へい物を用いる(白内障の手術を受けた患者を除く)。処置中のほぼ中途から開始して、過剰投与を避けるために足指及び指を3mmの鉛で遮へいする。
患者を0.5cmの厚さの12m2アクリルパネルの約20cm後ろに立たせて、線源から皮膚までの距離を370cmとして処置を行う。パネルは、エネルギー吸収物質として機能する。これは、深部線量が体表面のより近くで減衰して、皮膚の最浅部でより十分な線量が得られることを意味する。パネルは、特に斜めの面における線量の均一性も改善する。頭皮、会陰、足底及び胸の下部又は他の皮膚のしわなどの、影になっていて、比較的により低い線量を受ける体表面の部分に補足の処置を行う。一般的に、1cmのボーラスを用いる6MeV電子療法をこれらの部位に施す。厚い(2cmまで)腫瘍を有する患者は、TSEBTの前に局所電子フィールドで、通常5分割で15Gyを用いて治療した。この状況において、我々の経験では、腫瘍は、治療中にしばしば収縮し、治療の終了時に非常に薄くなり、完全な寛解が得られた。高線量TSEBTにより治療した患者は、30Gyの総線量と影になった部位への補足治療としての20Gyを受けた。低線量TSEBTにより治療した患者は、4Gyの総線量と影になった部位への補足治療としての4Gyを受けた。
したがって、IL-12処置の放射線防護の有効性は、次のカテゴリーそれぞれの患者について判定する:菌状息肉腫;菌状息肉腫変種及び亜型;毛包向性菌状息肉腫;セザリー症候群;原発性皮膚CD8侵攻性表皮向性T細胞リンパ腫(暫定的);皮膚g/d T細胞リンパ腫(暫定的);原発性皮膚CD4小中細胞型多形性T細胞リンパ腫(暫定的)。
典型的なP6N製剤
別個のサブユニットp35(IL-12A遺伝子)及びp40(IL-12B遺伝子)によりコードされるサブユニットから構成されたヘテロ二量体である典型的なマウス組換えIL-12の少なくとも100μLの100μg/mL溶液は、20mLのIL-12ビヒクルP6N(Neumedicines、Pasadena、California)で製剤化する。注射の前に、IL-12の100μg/mL溶液を、(1)P6Nで1/100に希釈して1μg/mL、1ng/μL投与溶液を、又は(2)P6Nで1/1000に希釈して0.1μg/mL、100pg/μL投与溶液を、又は(3)P6Nで1/10000に希釈して0.01μg/mL、10pg/μL投与溶液を得る。希釈後に得られる3種の溶液を旋回させるか又は緩やかにたたき、次いで直ちに用いる(例えば、注射する)。
実施例26:臨床試験
CTCLの治療のための電子線療法(EBT)と相乗作用的に抗腫瘍反応をもたらすのと同時に放射線誘発正常組織損傷を緩和するヒト及びマウス組換えIL-12の有効性を実証する臨床試験を実施した。
本試験において、健常志願者は、6コホートにおける2、5、10、12、15又は20μgの組換えヒト及び/又はマウスIL-12の単回皮下注射を受けた。各コホートは、2例のセンチネル対象(群1)と、続いてセンチネル対象が7日の観察期間の後に用量制限毒性を示さなかった場合に4例の追加の対象(群2)を含んでいた。各コホートにおける群1の対象を1:1の比でプラセボ或いは組換えヒト及び/又はマウスIL-12の投与を受けるように無作為化した。各コホートにおける群2の対象をそれぞれ1:3の比でプラセボ或いは組換えヒト及び/又はマウスIL-12の投与を受けるように無作為化した。毒性は、予防ワクチン臨床試験に登録された健常成人及び青年期志願者に関するFDA修正毒性等級付け基準に従って等級付けした。
CTCLに罹患した患者は、組換えヒト及び/又はマウスIL-12に起因する単一のグレード3(重度)有害事象又は2以上のグレード2(中等度)有害事象としてプロトコールに規定されていた、あらかじめ規定されていた用量漸増/中止規則に従って用量漸増の前に用量制限毒性についてモニターした。18〜44歳の年齢範囲の19例の男性(59%)及び13例の女性(41%)を含む、32例の対象が登録され、試験を完了した。対象の大多数が白人(81%)であった。
組換えヒト及び/又はマウスIL-12の安全性及び耐容性プロファイルは、2、5、10及び12μgの単回皮下(sc)投与で健常対象において耐容できることが認められた。死亡、重篤な有害事象又は有害事象に起因する試験中止はなかった。
2、5、10、12、15及び20μgの漸増用量後の組換えヒト及び/又はマウスIL-12の薬物動態パラメーターは、Cmaxの値の増加によって示されたように、より大きい暴露をもたらした。組換えヒト及び/又はマウスIL-12に対する薬力学的応答は、2、5、10、12、15及び20μgの投与後のIFN-γレベルを時間とともに定量することにより測定した。
本試験では、18〜45歳の60例の対象を4:1の比で組換えヒト及び/又はマウスIL-12或いはプラセボの投与を受けるように無作為化した。本試験の現在までの盲検化データの結果は、第1a相試験で最適であることが見いだされた組換えヒト及び/又はマウスIL-12の12μgの皮下用量(70kgの対象では約177ng/kg)の安全性を確認するものである。重要なことに、約500ng/kgである、12μgのヒト用量に対する等価サル用量は、致死照射サルの生存率を増加させるのにも、消化管及び骨髄組織などの特定の組織の放射線防護をもたらすのも有効であることが示された。
さらに、さらなる二次エンドポイントを本試験において検討した。二次エンドポイントは、1)組換えヒト及び/又はマウスIL-12で処置したCTCL患者における反応率(完全/部分);2)組換えヒト及び/又はマウスIL-12で処置した患者における難治性疾患の頻度;3)この治療計画により処置した患者における時間の経過に伴う免疫及びサイトカイン応答;並びに4)この治療計画により処置した患者における臨床的反応の改善の頻度を含む。
さらに、IFN-γの産生のレベル、ナチュラルキラー細胞活性、CD8陽性細胞による皮膚病変の浸潤、リンパ球のIL-12Rβ2発現、転写タンパク質レベル及びIL-12シグナル伝達のシグナル伝達因子及び活性化因子、並びにこの投与計画により処置した患者の皮膚における腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導を含む、応答の生物学的相関を評価する。
実施例27:様々なエンドポイントを用いた典型的なrIL-12の有効性試験
様々なエンドポイント(生存率15、出血の減少16、BM再生17〜19、敗血症の減少20、二次エンドポイント21(リンパ球 好中球、血小板数)及びRCI放射線複合損傷)を用いた典型的なrIL-12の有効性試験を示した。
以下の用量範囲設定試験において、支持療法の非存在、GLP、盲検化のもとにアカゲザルにおけるLD90での延命効果が示された:
1. 標本数n=90;18例/群(男性9例、女性9例);
2. 受けた照射=7.0Gy、LD90
3. 典型的な組換えヒトIL-12(HemaMax Product)は、GMPに従ってP6NF製剤として調製された。
4. 投与:1XSC(皮下)注射;照射後24〜25時間目に50〜500ng/kgのrIL-12製剤
5. 支持療法なし:液体、抗生物質又は血液製剤;及び
6. 統計的有意性:各処置群対対照p<0.04。
図15に示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、放射線(LD90)への暴露後の生存者の約3.5倍の増加を達成するその能力において実証された。
図16に示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、出血を減少させるその能力において実証された。
図17〜19に示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、骨髄の再生を誘発するその能力において実証された。
図20に示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、敗血症を減少させるその能力において実証された。
図21A〜Cに示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、リンパ球、好中球及び血小板数の回復を促進するその能力において実証された。
図22に示すように、典型的なIL-12製剤/組成物の有効性は、RCI放射線複合損傷からの回復を促進するその能力において実証された。RCI試験において、照射後24時間目に投与した単回低用量のHemaMaxマウス対応物(rMuIL-12)は、プラセボ処置マウスと比較して、創傷閉鎖の速度を増加させ、皮膚リモデリングを促進し、致死放射線暴露後の生存率を増加させることが認められた。これは、Rad-MCMとしてのHemaMaxの多目的、広範囲の治療の可能性の最初の実証である。図22A〜Cにおいて、創傷治癒の刺激におけるIL-12の以前に未確認の役割が正常非損傷(A)並びに創傷照射皮膚組織(B及びC)において示されている。非損傷皮膚において、IL-12受容体が真皮の基底膜及び毛包の下にある脂腺における前駆細胞上に高度に発現することが認められる。これらの前駆細胞は、皮膚損傷後の再上皮形成の一次メディエーターである。図の下に第3度熱傷に相当する全層損傷の後に、IL-12受容体の創傷表面における発現が高度にアップレギュレートされていることが示されている。これらのデータにより、損傷皮膚が、早期創傷閉鎖をもたらす皮膚損傷後のHemaMax(rHuIL-12)による刺激に対してプライミングされていることがわかる(添付のQuad ChartのData Quadrant参照)。図1:皮膚はマウスIL-12による刺激に対して「プライミング」されている:全層損傷を受けている照射マウスの(A)非損傷皮膚及び(B、C)創傷組織におけるIL-12RB2、HemaMax発現の受容体;(A)非照射非損傷皮膚において、IL-12RB2が真皮の基底膜(BM)及び毛包の下にある脂腺(SEB)に含まれる前駆細胞において発現する。BM及びSEB由来の前駆細胞は、皮膚損傷後の再上皮形成の一次メディエーターである。(B)HemaMaxの受容体であるIL-12RB2は、全層損傷を受けている皮膚においてアップレギュレートされている。肉芽組織IL-12RB2が主としてマクロファージ(M)に発現し、ある程度の発現が多形核好中球(PMN)及び線維芽細胞(F)に認められる。(C)照射/創傷後48時間目の基底膜細胞におけるIL-12RB2の発現の増加を示している創傷端上皮。データは、創傷治癒の増殖相に加速的に入っていることを示唆してい
る。
実施例28:創傷治癒における有効性試験
図23、24及び25に示すように、照射マウス(暴露後24時間)における創傷閉鎖(創傷サイズの減少)の加速及び複合損傷の緩和におけるrMuIL-12の有効性が示された。
実験モデル/プロトコールは、以下のパラメーターを含む:
C57B1/6マウス(雌3匹、雄3匹);
対象は、500cGy全身照射を受けた;
10mm全層損傷が対象の背部に誘導され、TegadermTMで手当てした;
対象を以下の局所投与により処置した:
4%カルボキシメチルセルロース又は4%カルボキシメチルセルロース+rMuIL-12(100ng/mL)を2〜3日ごと;及び
対象の創傷を測定し、治療し、必要に応じて包帯しなおした。
実施例29:24時間緩和試験:創傷治癒
図26〜27に示すように、照射マウス(暴露後24時間)における創傷閉鎖の加速及び複合損傷の緩和におけるrMuIL-12の有効性が示された。
実験モデル:プロトコールは、以下を含む。
C57B1/6マウス(雌3匹、雄3匹);
対象は、500cGy全身照射を受けた;
10mm全層損傷が対象の背部に誘導された;
対象に創傷部位を覆うためのTegadermTM包帯を施した;
処置は、損傷後0〜24時間施した;
処置群を以下のように処置した:
1. 群1: 4%カルボキシメチルセルロース(局所)
2. 群2: 4%カルボキシメチルセルロース+局所rMuIL-12(100ng/mL)同日
3. 群3: 4%カルボキシメチルセルロース+局所rMuIL-12(100ng/mL)x24時間
4. 群4: 4%カルボキシメチルセルロース+局所rMuIL-12(100ng/mL)x24時間+ rMuIL-12(20ng)s.c.
5. 群5: rMuIL-12(20ng)s.c.x24時間(単回投与)
対象/創傷を測定し、治療し、必要に応じて2〜3日ごとに包帯しなおした。
実施例30:薬物動態及び薬力学試験
非照射及び照射サルにおける組換えヒトIL-12(例えば、HemaMaxTM)の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)パラメーターを評価した。HemaMaxを照射を受けた及び受けなかったサルに投与した。両方の組の動物において、HemaMaxのPKは同様であったが、照射動物において半減期がより長いわずかな傾向があった。一般的に、薬力学的マーカーは、照射後のより顕著なPD応答を示唆していた。照射動物では、IFN-γ及びIL-18の血漿濃度は、HemaMaxの用量の対応する増加を反映する形で最も明確に増加した(図28〜38参照)。
非照射及び照射サルのデータにおけるHemaMaxTMの薬物動態及び薬力学
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薬力学IFN-γ:
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薬力学EPO:
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薬力学IL-18:
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薬力学IL-15:
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実施例31:ヒト対象における有効性の実証
典型的な組換えIL-12処置の有効性が臨床試験においてヒト対象において実証された。
急性放射線症候群の造血症候群(HSARS)は、全身又は身体の有意な部分(significant partial-body)の照射により引き起こされる急性疾患である。HemaMaxTM(組換えヒトインターロイキン12[rHuIL-12])は、核兵器爆発、産業放射能事故、放射線療法過誤などの事象における致死放射線暴露後の多系列造血を刺激し、骨髄損傷を緩和するための単回投与第一選択ポイントオブケア放射線緩和医学的対抗措置(MCM)として開発された。HemaMaxは、アカゲザル及びマウスにおける放射線損傷を緩和する有効性試験と並行して、ヒトにおいて判断された安全性により動物規則のもとでの審査及び承認のためのFDAによる迅速認可指定が許可された。
臨症結果は、HemaMaxが、ファーストインヒューマン(First in Human)(FIH)用量漸増試験において2、5、10及び12μgの用量で安全であり、耐容性が良好であることが認められたことを示すものであった。この次の第1b相単回投与無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、60例の健常対象における12μgの用量のHemaMaxTM(rHuIL-12)の安全性、耐容性、薬物動態及び薬力学をさらに評価し、確認するために実施した。
適格基準を満たした対象を1日目に4:1の比でHemaMax又はプラセボに無作為化した。単回12μg用量のHemaMax又はプラセボを1日目に皮下投与した。対象は、16日目まで入院患者として継続した。対象は、28及び45日目に2回の外来への来院のために診療所に戻った。有害事象の等級付けの基準は、臨床的有意性と、予防ワクチン臨床試験に登録された健常成人及び青年期志願者に関するFDA毒性等級付けの基準に基づくものであった。安全性データは、安全審査委員会(Safety Review Committee)(SRC)により試験期間を通してモニターされた。
主要なエンドポイントは、有害事象を報告する対象の例数及び百分率に基づく安全性及び耐容性であった。有害事象の等級付けの基準は、臨床的有意性と、予防ワクチン臨床試験に登録された健常成人及び青年期志願者に関するFDA毒性等級付けの基準に基づくものであった。安全性データは、安全審査委員会(SRC)により試験期間を通してモニターされた。
二次エンドポイントは、有効な生物分析法を用いた12μgの用量のHemaMaxの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)プロファイル並びに免疫原性を評価するものであった。探索的エンドポイントは、多系列造血に対するHemaMaxの刺激特性に関連する生物学的反応パラメーターの評価を含んでいた。
本試験は、その主要及び二次エンドポイントを満たしていた。死亡、重篤な有害事象(SAEs)又は有害事象(AEs)に起因する試験中止は、報告されなかった。バイタルサイン、ECGs及び安全性に関する臨床検査における臨床的に有意な異常は、なかった。好中球、血小板及びリンパ球数の一過性の低下が認められた。
PKパラメーターは、FIH試験と比較して再現性があった。平均Cmax及びAUClastは、それぞれ57±50pg/mL及び1034±631hr*pg/mLであり、平均T1/2は、117±22時間であった。PDプロファイルは、12μgのHemaMaxの投与後のIFN-γの頑健な応答を示した。
対象のいずれも抗HemaMax抗体を発生しなかった。
生物学的応答パラメーターのうち、化学走性サイトカインであるIP-10の誘導は、12μgのHemaMaxの投与後に有望であることが認められた。
結論として、HemaMaxは、12μgの単回皮下投与で健常対象において安全であり、耐容性が良好であることが認められた。
本発明を特定の実施形態に関して開示したが、本発明の他の実施形態及び変形形態は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者により想定することができることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施形態及び同等の変形形態を含む。
本明細書で参照又は言及したすべての特許、刊行物、科学論文、ウエブサイト並びに他の文書及び資料は、本発明が属する技術分野の技術者のレベルを示すものであり、そのような各参考文書及び資料は、個別にその全体として参照により組み込まれていた又はその全体として本明細書に記載されていたのと同じ程度に参照により組み込まれている。出願者は、そのような特許、刊行物、科学論文、ウエブサイト、電子的に入手できる情報並びに他の参考資料又は文書からのありとあらゆる資料及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
本明細書に記載した特定の方法及び組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、例となるものであって、本発明の範囲の制限となるものではない。他の目的、態様及び実施形態は、本明細書の検討により当業者の心に浮かぶものであり、特許請求の範囲により定義される本発明の精神に含まれる。本明細書に開示する発明について、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく様々な置換及び修正を行うことができることは、当業者に容易に理解できる明らかなことである。本明細書に例示的に記載した本発明は、本明細書に必須なものとして特に開示されていない、あらゆる要素又は制限なしに適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書における各例において、本発明の実施形態又は実施例において、「包含する」、「から本質的になる」及び「からなる」という用語のいずれも本明細書における他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。また、「包含する」、「含む」、「含有する」などの用語は、拡張的に及び制限なしに読むべきである。本明細書に例示的に記載されている手法(method)及び方法(process)は、異なる順序のステップで適切に実施することができ、それらは、本明細書又は特許請求の範囲に示すステップに必ずしも限定されない。また本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いているように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他の状態が明瞭に決定づけられない限り、複数指示対象を含む。いかなる状況においても本特許が本明細書に具体的に開示した特定の実施例又は実施形態又は方法に限定されると解釈してはならない。いかなる状況においても本特許が特許商標局の審査官又は他の職員又は被雇用者によりなされた陳述により制限されると解釈してはならない。ただし、そのような陳述が具体的であり、出願者による答弁書で明示的に採用された必要条件又は留保がない場合を除く。
用いた用語及び表現は、記述の用語として用いるものであって、制限の用語として用いず、示し、記述した特徴の同等物又はその一部を除外するためにそのような用語及び表現を用いることを意図するものでないが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明を好ましい実施形態及び任意の特徴により具体的に開示したが、本明細書に開示した概念の修正及び変形を当業者が用いることができ、そのような修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により定義されている本発明の範囲内にあるとみなされることが理解される。
本発明を本明細書において広く、一般的に記述した。一般的開示の範囲に入るより狭い種及び亜属分類のそれぞれも本発明の一部を構成する。これは、削除された物質を本明細書に具体的に列挙するか否かにかかわらず、属から何らかの対象を除去する条件又は消極的限定で、本発明の一般的記述を含む。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。さらに、発明の特徴又は態様をマーカッシュグループにより記述する場合、当業者は、発明が、マーカッシュグループの個々のメンバー又はメンバーのサブグループによっても記述されることを認識する。
参考文献
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Claims (88)

  1. 電離放射線への対象の暴露後の系、器官、組織又は細胞の損傷から対象を保護する方法であって、
    実質的に単離されたrIL-12を含む治療上有効量の医薬組成物の用量を対象に投与し、それにより、放射線に起因する系、器官若しくは組織及び/又は細胞の損傷を軽減させることを含む方法。
  2. 放射線を、急性放射線損傷に関連する特性を発生するのに十分な急性致死線量又は急性近致死線量として受ける、請求項1に記載の方法。
  3. 放射線暴露が全身照射をもたらす、請求項2に記載の方法。
  4. 放射線量が約0.7Gy〜約50Gyである、請求項1に記載の方法。
  5. 放射線を2以上の分割で分割線量として受ける、請求項1に記載の方法。
  6. 放射線を多分割療法において分割線量として受ける、請求項5に記載の方法。
  7. 放射線を加速分割療法において分割線量として受ける、請求項5に記載の方法。
  8. 有効量のIL-12が1つを超える系、器官及び/又は組織を放射線損傷から保護する、請求項1に記載の方法。
  9. 保護される系、器官又は組織が、骨髄、リンパ系、免疫系、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚及び脳からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
  10. 保護される2つの器官が骨髄及び消化管系である、請求項6に記載の方法。
  11. 保護される2つの器官が骨髄及び皮膚である、請求項6に記載の方法。
  12. IL-12の有効量が300ng/kg未満である、請求項1に記載の方法。
  13. IL-12の有効量を各用量が50ng/kg未満の2以上の用量で投与する、請求項12に記載の方法。
  14. IL-12の1以上の有効量が200ng/kg未満である、請求項1に記載の方法。
  15. IL-12の1以上の有効量が100ng/kg未満である、請求項1に記載の方法。
  16. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の前に投与する、請求項1に記載の方法。
  17. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の前及び後に投与する、請求項1に記載の方法。
  18. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の後に投与する、請求項1に記載の方法。
  19. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後24時間を超えてから投与する、請求項18に記載の方法。
  20. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後48時間を超えてから投与する、請求項18に記載の方法。
  21. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後72時間を超えてから投与する、請求項18に記載の方法。
  22. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後96時間を超えてから投与する、請求項18に記載の方法。
  23. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後120時間を超えてから投与する、請求項18に記載の方法。
  24. IL-12の1以上の有効量を皮下投与する、請求項1に記載の方法。
  25. IL-12の1以上の有効量を静脈内投与する、請求項1に記載の方法。
  26. IL-12の1以上の有効量を筋肉内投与する、請求項1に記載の方法。
  27. IL-12を感受性器官の損傷部位の近くに投与する、請求項1に記載の方法。
  28. 対象が頭頚部癌の放射線療法を受けており、IL-12を照射部位又はその近くに投与する、請求項1に記載の方法。
  29. 投与したIL-12が粘膜組織を放射線損傷から保護する、請求項28に記載の方法。
  30. 放射線損傷が核爆発により引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  31. 放射線損傷が放射線療法の治療モダリティにより引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  32. 治療モダリティが外部照射放射線療法を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 外部照射放射線療法が3次元原体照射療法(3-D CRT)を含む、請求項32に記載の方法。
  34. 外部照射放射線療法が、強度変調放射線療法(IMRT)、画像誘導放射線療法(IGRT)、トモセラピー、定位放射線治療、定位体放射線療法、光子線、電子線及び陽子線治療からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
  35. 放射線療法が内部照射放射線療法又は近接照射療法を含む、請求項31に記載の方法。
  36. 放射線療法が全身放射線療法を含む、請求項31に記載の方法。
  37. 放射線誘発損傷の予防を必要とする対象への送達のための適切な製剤中にIL-12を含む医薬組成物。
  38. IL-12の1以上の有効量が皮内投与される、請求項1に記載の方法。
  39. 投与したIL-12がエリスロポエチンの産生を誘導する、請求項1に記載の方法。
  40. エリスロポエチンの産生が系、器官又は組織損傷の保護を増強させる、請求項39に記載の方法。
  41. 保護される系、器官又は組織が骨髄及び消化管系を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 保護される系、器官又は組織が腎臓及び肺を含む、請求項40に記載の方法。
  43. 保護される系、器官又は組織が脳及び心血管系を含む、請求項40に記載の方法。
  44. 治療を必要とする対象が癌に対する放射線療法を必要とする、請求項1に記載の方法。
  45. 治療を必要とする対象が化学療法も必要とする、請求項44に記載の方法。
  46. 癌が固形腫瘍である、請求項45に記載の方法。
  47. 固形腫瘍が肉腫、癌腫又はリンパ腫を含む、請求項46に記載の方法。
  48. 癌が、肺、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、膀胱、頭頚部、甲状腺、脳、皮膚及び腎臓からなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
  49. IL-12の各用量が約1ng/kgから約2000ng/kg未満であり、前記用量が皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下及び硬膜外経路からなる群より選択される送達経路により投与される、請求項1に記載の方法。
  50. IL-12の有効量を各用量が30ng/kg未満の2以上の用量で投与する、請求項12に記載の方法。
  51. 電離放射線への対象の暴露後の系、器官、組織又は細胞の損傷から対象を保護する方法であって、
    薬学的に許容される担体中に実質的に単離されたrIL-12を含む治療上有効量の医薬組成物の用量を対象に投与し、それにより、放射線に起因する系、器官若しくは組織及び/又は細胞の損傷を軽減させることを含む、方法。
  52. 放射線をCTCLの治療のための電子線療法として受ける、請求項51に記載の方法。
  53. 電子線療法が局所電子線療法である、請求項52に記載の方法。
  54. 電子線療法が全身皮膚電子線療法である、請求項52に記載の方法。
  55. 放射線を高線量分割として受ける、請求項53又は54に記載の方法。
  56. 放射線を低線量分割として受ける、請求項53又は54に記載の方法。
  57. 放射線をCTCLに関連する疾患及び/又は障害の治療のために受ける、請求項51に記載の方法。
  58. CTCLに関連する疾患及び/又は障害が菌状息肉腫及び/又はセザリー症候群である、請求項57に記載の方法。
  59. 保護される系、器官又は組織が、骨髄、リンパ系、免疫系、粘膜組織、粘膜免疫系、消化管系、心血管系、神経系、生殖器官、前立腺、卵巣、肺、腎臓、皮膚及び脳からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
  60. 保護される器官が皮膚、爪及び汗腺である、請求項57に記載の方法。
  61. 保護される器官が免疫組織及び皮膚である、請求項57に記載の方法。
  62. IL-12の有効量が300ng/kg未満である、請求項51に記載の方法。
  63. IL-12の有効量を各用量が50ng/kg未満の2以上の用量で投与する、請求項62に記載の方法。
  64. IL-12の1以上の有効量が200ng/kg未満である、請求項51に記載の方法。
  65. IL-12の1以上の有効量が100ng/kg未満である、請求項51に記載の方法。
  66. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の前に投与する、請求項51に記載の方法。
  67. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の前及び後に投与する、請求項51に記載の方法。
  68. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露の後に投与する、請求項51に記載の方法。
  69. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後24時間を超えてから投与する、請求項68に記載の方法。
  70. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後48時間を超えてから投与する、請求項68に記載の方法。
  71. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後72時間を超えてから投与する、請求項68に記載の方法。
  72. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後96時間を超えてから投与する、請求項68に記載の方法。
  73. IL-12の1以上の有効量を放射線暴露後120時間を超えてから投与する、請求項68に記載の方法。
  74. IL-12の1以上の有効量を皮下投与する、請求項51に記載の方法。
  75. IL-12の1以上の有効量を静脈内投与する、請求項51に記載の方法。
  76. IL-12の1以上の有効量を局所投与する、請求項51に記載の方法。
  77. IL-12の1以上の有効量を皮内投与する、請求項51に記載の方法。
  78. IL-12の1以上の有効量を腫瘍内投与する、請求項51に記載の方法。
  79. IL-12を感受性器官の損傷部位の近くに投与する、請求項51に記載の方法。
  80. 対象がCTCLの放射線療法を受けており、IL-12を照射部位又はその近くに投与する、請求項51に記載の方法。
  81. 投与したIL-12が皮膚組織を放射線損傷から保護する、請求項57に記載の方法。
  82. 投与したIL-12が、エリスロポエチン、ケモカイン、サイトカイン、MCP-1、IFN-g、IL-15、IL-18、IP-10、MG、Mip1ベータ又はI-TAC、エオタキシン、エオタキシン-3、TARC及びIL-8の少なくとも1つの産生を誘導する、請求項51に記載の方法。
  83. エリスロポエチンの産生が系、器官、組織又は細胞損傷の保護を増強させる、請求項80に記載の方法。
  84. 保護される系、器官又は組織が骨髄及び消化管系を含む、請求項80に記載の方法。
  85. 保護される系、器官又は組織が腎臓及び肺を含む、請求項81に記載の方法。
  86. 保護される系、器官又は組織が脳及び心血管系を含む、請求項51に記載の方法。
  87. IL-12の有効量を各用量が30ng/kg未満の2以上の用量で投与する、請求項62に記載の方法。
  88. IL-12をP6Nで製剤化する、請求項62に記載の方法。
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