JP2019220536A - 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス - Google Patents

半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2019220536A
JP2019220536A JP2018115608A JP2018115608A JP2019220536A JP 2019220536 A JP2019220536 A JP 2019220536A JP 2018115608 A JP2018115608 A JP 2018115608A JP 2018115608 A JP2018115608 A JP 2018115608A JP 2019220536 A JP2019220536 A JP 2019220536A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
epitaxial film
cap layer
concentration
interface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018115608A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7325073B2 (ja
Inventor
崇史 上村
Takashi Kamimura
崇史 上村
中田 義昭
Yoshiaki Nakada
義昭 中田
東脇 正高
Masataka Towaki
正高 東脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Information and Communications Technology
Original Assignee
National Institute of Information and Communications Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Information and Communications Technology filed Critical National Institute of Information and Communications Technology
Priority to JP2018115608A priority Critical patent/JP7325073B2/ja
Publication of JP2019220536A publication Critical patent/JP2019220536A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7325073B2 publication Critical patent/JP7325073B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】エピタキシャル膜のその下地部材との界面近傍の領域におけるSiを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制された半導体デバイス、その半導体デバイスの製造に用いることができる半導体基板及び結晶積層構造体、並びにその半導体基板及び結晶積層構造体の製造方法を提供する。【解決手段】一実施の形態として、Siを含まない第1の材料を母材とする基板10に、Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層11を基板10の表面に形成する工程、を含み、前記反応性イオンエッチングが、上部電極63と下部電極62との間の全ての装置部品がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置60を用いて実施される、半導体基板10の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイスに関する。
従来、Ga基板を大気へ暴露した際に、その表面にSi化合物が付着し、この付着したSi化合物がGa基板上へのエピタキシャル膜成長の初期段階で取り込まれ、Ga系半導体素子の寄生伝導の原因となることが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
Si化合物が表面に付着したGa基板上に分子線エピタキシー法などによりエピタキシャル膜を成膜すると、成膜初期の段階においてSiが膜中に取り込まれ、不純物ドナーとして機能し、エピタキシャル膜のGa基板との界面近傍の領域におよそ1019cm−3の高濃度のキャリアが生じた層が形成される。このようなエピタキシャル膜を用いて半導体デバイスを作製した場合、エピタキシャル膜のGa基板との界面近傍の領域に生じたキャリアからなる伝導度の高い層(以下、高伝導度層と呼ぶ)を内包する構造となる。
例えば、横型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を作製した場合、上述の高伝導度層がソース電極及びドレイン電極に電気的に接続されている(ソース電極及びドレイン電極と絶縁されていない)と、電極への電圧印加により、高伝導度層に電流が流れる。この電流は、正規に設計したチャネルを流れる電流と異なる、意図しない寄生電流伝導であり、これを低減若しくは除去しなければ、正常なデバイス動作を望めない。
一般に、半導体プロセスにおいてSiをエッチングする方法として、化学薬品へ浸漬するウェットエッチングと、真空チャンバー内でプラズマ処理するドライエッチングが用いられる。しかしながら、Ga基板表面に付着するSi化合物は大気中から供給されるために、これらのエッチングプロセスの実施後、大気中へGa基板を取り出した際に、直ちにSi化合物の再付着が起こる。さらに、一般に、ドライエッチングプロセスにおいて、試料ステージなどの石英からなる部品が使用されるが、これらもSi化合物の供給源となり、Ga基板表面にSiが付着する要因となる。
非特許文献1によれば、分子線エピタキシー法によりGa基板上にGaホモエピタキシャル成膜を実施する際に、成膜温度を高く設定することにより、エピタキシャル膜中に取り込まれたSi化合物を不活性化させることができるとされている。具体的には、従来の成膜温度である560℃よりも十分に高い温度である650℃以上の成膜温度を適用することにより、基板表面のSi化合物をドナーとして機能しない状態で取り込む。
また、非特許文献2によれば、真空チャンバー内でGa基板をGaビームに曝すことにより、Ga基板表面のSi化合物を脱離させることができるとされている。具体的には、高真空チャンバー内でGa基板を800℃に保持しつつ、基板表面をビーム等価圧力1.1×10TorrのGaビームに30分間曝して、Ga基板表面のSi化合物を脱離させる。
Man Hoi Wong, et al., "Electron channel mobility in silicon-doped Ga2O3MOSFETs with a resistive buffer layer" Japanese Journal of Applied Physics, Volume 55, 1202B9, 2016. Elaheh Ahmadi, et al., "Demonstration of β-(AlxGa1-x)2O3/β-Ga2O3 modulation doped field-effect transistors with Ge as dopant grown via plasma-assisted molecular beam epitaxy" Applied Physics Express, Volume 10, 071101, 2017.
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、Gaホモエピタキシャル成膜に最適な成膜温度よりも高い成膜温度を適用しなければならず、エピタキシャル膜の表面平坦性の確保が難しくなる。また、Siがドナーとして活性化しない機構が特定されておらず、不活性化の再現性も低い。
また、非特許文献2に記載の方法では、Gaビームと酸素ラジカルを使用するために、高真空チャンバー内での処理に限られる。また、本発明者らの実験では、Si化合物の脱離についての十分な効果は認められなかった。
また、エピタキシャル膜や、基板などのエピタキシャル成膜の下地部材の材料がGa以外の材料であっても、Siを含まない材料であれば、上述のSi化合物による問題は生じ得る。
本発明の主要な目的は、エピタキシャル膜のその下地部材との界面近傍の領域におけるSiを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制された半導体デバイス、その半導体デバイスの製造に用いることができる半導体基板及び結晶積層構造体、並びにその半導体基板及び結晶積層構造体の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]の半導体基板の製造方法、[2]の結晶積層構造体の製造方法、[3]の半導体基板、[4]の結晶積層構造体、及び[5]の半導体デバイスを提供する。
[1]Siを含まない第1の材料を母材とする基板に、Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記基板の表面に形成する工程、を含み、前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての装置部品がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、半導体基板の製造方法。
[2]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材に、前記Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記下地部材の表面に形成する工程と、加熱処理により、前記アモルファスキャップ層を、その表面に付着した大気中のSiに由来するSi化合物とともに除去する工程と、前記アモルファスキャップ層を除去した後、Siを含まない第2の材料を母材とするエピタキシャル膜を前記下地部材の表面上にエピタキシャル成長させる工程と、を含み、前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての部材がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、結晶積層構造体の製造方法。
[3]Siを含まない第1の材料を母材とし、Siと反応するエッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層が表面に形成された、半導体基板。
[4]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、を含み、前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、結晶積層構造体。
[5]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面と電気的に接続された電極と、を含み、前記界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、半導体デバイス。
本発明によれば、エピタキシャル膜のその下地部材との界面近傍の領域におけるSiを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制された半導体デバイス、その半導体デバイスの製造に用いることができる半導体基板及び結晶積層構造体、並びにその半導体基板及び結晶積層構造体の製造方法を提供することができる。
図1(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る半導体基板及び結晶積層構造体の製造工程を示す垂直断面図である。 図2は、RIE装置のチャンバー内の構成を概略的に示す垂直断面図である。 図3は、第2の実施の形態に係る横型MOSFETの垂直断面図である。 図4は、第3の実施の形態に係る縦型MOSFETの垂直断面図である 図5(a)〜(d)は、第3の実施の形態に係る縦型MOSFETの製造工程の一部を示す垂直断面図である。 図6(a)〜(c)は、実施例1に係る、アモルファスキャップ層を除去した後の基板の反射高速電子回折(RHEED)の観察画像である。 図7(a)〜(c)は、実施例1に係る、アモルファスキャップ層を除去した後の基板の反射高速電子回折の観察画像である。 図8は、実施例2に係る、二次イオン質量分析法により測定した、結晶積層構造体2中のSiとFの濃度を示すグラフである。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態においては、エピタキシャル膜のその下地である基板との界面近傍の領域におけるSiを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制された結晶積層構造体、及びその結晶積層構造体の作製の過程で得られる半導体基板を作製する。
図1(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る半導体基板1及び結晶積層構造体2の製造工程を示す垂直断面図である。
まず、図1(a)に示されるように、エピタキシャル結晶成長の下地部材である基板10を用意し、反応性イオンエッチング(RIE)装置のチャンバー内に搬入する。
基板10は、基板表面へのSi化合物の付着が問題となる、Siを含まない材料を母材(不純物を除いた材料)とする基板である。基板10は、後述するエピタキシャル膜12のエピタキシャル成長の下地部材として用いられるが、基板10の代わりに、基板以外の結晶部材、例えば、基板上に形成された結晶層を下地部材として用いてもよい。
次に、図1(b)に示されるように、基板10の表面に反応性イオンエッチング(RIE)を施し、基板10の表面上に付着したSi化合物を除去しつつ、アモルファスキャップ層(非晶質のキャップ層)11を基板10の表面に形成する。アモルファスキャップ層11を形成する際には、基板10の表面が、例えば、1〜200nm程度エッチングされる。アモルファスキャップ層11の厚さは、RIEの条件などにも依って変化するが、例えば、0.5〜50nmである。
RIEには、Siと反応するエッチングガス、例えば、CFガスなどのフッ素系ガス(F(フッ素)を含むガス)が用いられる。
アモルファスキャップ層11は、RIEのエッチングガスに含まれる元素を含む。例えば、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、CガスなどのCとFを含むガスを用いてRIEを行った場合、F(フッ素)を多量に含む非晶質のカーボン薄膜がアモルファスキャップ層11として形成される。この場合、アモルファスキャップ層11はFとC(炭素)を含む。
基板10の表面に付着するSi化合物は、大気中に含まれるシロキサンなどに由来するものであり、基板10が大気に曝されていれば、いつでも基板10に付着する可能性がある。
図1(b)に示されるように、アモルファスキャップ層11の形成後は、基板10の表面はアモルファスキャップ層11で覆われているため、大気中のSi化合物20はアモルファスキャップ層11の表面に付着する。
図2は、RIE装置60のチャンバー61内の構成を概略的に示す垂直断面図である。RIE装置60においては、チャンバー61内に設置された上部電極63と下部電極62との間に高周波電圧を印加してプラズマ65を発生させる。そして、上部電極63と下部電極62の間の下部電極62側に設置される基板10の表面にプラズマ65中のイオン種やラジカル種を衝突させ、エッチングを実施する。
基板10は、チャンバー61内の試料ステージ(プレート)64上に設置される。試料ステージとしては、通常、石英(SiO)製のものが用いられるが、本実施の形態において用いられるRIE装置60の試料ステージ64は、アルミナなどのSiを含まない材料からなる。これは、上部電極63と下部電極62との間にSiを含む装置部品が存在すると、基板10の表面に付着するSi化合物の供給源となり得るからである。上部電極63と下部電極62との間に設置される装置部品は、全てSiを含まない材料からなる。
次に、図1(c)に示されるように、基板10をエピタキシャル成長装置のチャンバー内へ移した後、加熱処理を施し、アモルファスキャップ層11を熱分解によりその表面に付着したSi化合物20とともに除去する。このとき、アモルファスキャップ層11の除去量を大きくすることにより、アモルファスキャップ層11の表面に付着したSi化合物20を効果的に除去することができる。
アモルファスキャップ層11の除去量を大きくするためには、アモルファスキャップ層11が非晶質のカーボン薄膜からなる場合は、加熱処理の処理温度が600℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましく、750℃以上であることがさらに好ましい。
また、基板10がGa系材料を母材とする場合は、Ga系材料の熱分解を抑えるため、アモルファスキャップ層11の加熱処理の処理温度は1200℃以下であることが好ましい。ここで、Ga系材料とは、Ga、又は、Al、In等の元素が添加されたGaであり、その組成式は、例えば、(GaAlIn(1−x−y)(0<x≦1、0≦y<1、0<x+y≦1)である。
加熱処理の処理時間は、アモルファスキャップ層11の除去に最低限必要な時間以上であれば特に限定されず、例えば、10秒〜30分である。
次に、図1(d)に示されるように、アモルファスキャップ層11の除去に続けて、同一チャンバー内で、基板10を下地部材として、エピタキシャル膜12を形成する。このとき、基板10の表面にはSi化合物がほとんど付着していないため、エピタキシャル膜12の成膜初期にSiが取り込まれることを抑制できる。エピタキシャル膜12の成長方法は特に限定されず、例えば、分子線エピタキシー法(MBE)やハイドライド気相成長法(HVPE)などが用いられる。
エピタキシャル膜12は、Siの取り込みによる問題が生じる、Siを含まない材料を母材とする膜である。Siを含む材料を母材とする場合は、Siの取り込みにより問題が生じることはない。
エピタキシャル膜12の成長初期に、基板10の表面に付着していたSi化合物がエピタキシャル膜12中に取り込まれるため、エピタキシャル膜12中の基板10の表面から取り込まれたSiの濃度が最大になる位置は、基板10とエピタキシャル膜12の界面13である。なお、Siの濃度は、Siの濃度が最大になる位置から単純に減少し、Siの濃度が最大になる位置から十分に離れた位置では、エピタキシャル膜12中、または基板10中のSiの濃度と等しくなる。このとき、Siの分布の形状は、Siの濃度が最大の値から一桁濃度が低くなる位置が、Siの濃度が最大の位置から10nm〜250nm程度離れた位置となる分布をする。
また、エピタキシャル膜12の成長初期に、アモルファスキャップ層11を形成する際のRIEに用いられた、Siと反応するエッチングガスに含まれる元素が基板10の表面からエピタキシャル膜12中に取り込まれる。エピタキシャル膜12中の、Siと反応するエッチングガスに含まれる元素の濃度が最大となる位置は、Si濃度が最大となる位置と同様、基板10とエピタキシャル膜12の界面13である。なお、エッチングガスに含まれる元素の濃度は、エッチングガスに含まれる元素の濃度が最大になる位置から単純に減少し、エッチングガスに含まれる元素の濃度が最大になる位置から十分に離れた位置では、エピタキシャル膜12中、または基板10中のエッチングガスに含まれる元素の濃度と等しくなる。このとき、エッチングガスに含まれる元素の分布の形状は、エッチングガスに含まれる元素の濃度が最大の値から一桁濃度が低くなる位置が、エッチングガスに含まれる元素の濃度が最大になる位置から10nm〜250nm程度離れた位置となる分布をする。
基板10とエピタキシャル膜12から構成される結晶積層構造体2においては、基板10とエピタキシャル膜12の界面13におけるSi濃度が5×1018cm−3未満に抑えられる。このことは、基板10の表面からエピタキシャル膜12に取り込まれたSiの濃度の最大値が5×1018cm−3未満であることを意味する。上述のアモルファスキャップ層11の形成及び除去を行わずにエピタキシャル膜12を形成した場合、界面13におけるSi濃度はおよそ1019cm−3となるため、アモルファスキャップ層11の形成及び除去により、界面13におけるSi濃度が大きく低減される。
界面13におけるSi濃度が高いことは、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍のSi濃度が高いことを示す。界面13の近傍の高濃度のSiが含まれる領域は、高濃度のキャリアが生じた高伝導度層として働き、結晶積層構造体2を用いて半導体デバイスを製造した場合に寄生伝導経路となり得る。結晶積層構造体2においては、界面13におけるSi濃度が低いため、高伝導度層の形成が効果的に抑制されている。
また、例えば、エッチングガスとしてCFガスなどのフッ素系ガスが用いられた場合、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍にはF(フッ素)が含まれ、界面13におけるF濃度は1×1017cm−3以上である。このことは、基板10の表面からエピタキシャル膜12に取り込まれたFの濃度の最大値が1×1017cm−3以上であることを意味する。Fが含まれる領域の厚さは、アモルファスキャップ層11の形成条件、エピタキシャル膜12の成長条件などに依って変化するが、例えば、Fの拡散により拡がった低濃度の領域も含めて、0.02〜1.5μm程度である。
なお、界面13に最大濃度が1×1017cm−3以上のFが残留するようなエッチング条件であれば、基板10へのSi化合物の付着を効果的に防止できる性質を有するアモルファスキャップ層11を形成することができるが、Fの濃度が高すぎると、例えば、結晶積層構造体2を用いて製造される半導体デバイスのチャネル領域までFが拡散し、チャネル伝導を阻害するおそれがある。このため、界面13におけるF濃度は、1×1021cm−3以下であることが好ましく、1×1020cm−3以下であることがより好ましい。
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、エピタキシャル膜12とその下地である基板10との界面13の近傍におけるエピタキシャル膜12中のSiの濃度が低い結晶積層構造体2が得られる。結晶積層構造体2においては、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍におけるSiの濃度が低いため、界面13の近傍における高濃度のキャリアを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制されている。
また、結晶積層構造体2の作製の過程で得られる、基板10とアモルファスキャップ層11から構成される半導体基板1は、基板10の表面がアモルファスキャップ層11により覆われているため、大気中に曝された状態で保存されても、基板10の表面へのSi化合物の付着を防ぐことができる。従って、任意のタイミングで半導体基板1をエピタキシャル成長装置のチャンバー内に搬入し、アモルファスキャップ層11の除去とエピタキシャル膜12の成長を実施することにより、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍におけるSi濃度が低く、高伝導度層の形成が効果的に抑制された結晶積層構造体2が得られる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体を用いて製造される半導体デバイスの1つである横型MOSFETを製造する。なお、第1の実施の形態に含まれるものと同様の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図3は、第2の実施の形態に係る横型MOSFET3の垂直断面図である。横型MOSFET3は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体2を用いて製造される半導体デバイスであり、基板10及びエピタキシャル膜12を含む。
横型MOSFET3は、基板10と、基板10上のエピタキシャル膜12と、エピタキシャル膜12上のチャネル層30と、チャネル層30上に形成されたソース電極31及びドレイン電極32と、ソース電極31とドレイン電極32との間のチャネル層30上の領域にゲート絶縁膜34を介して形成されたゲート電極33と、チャネル層30の表面近傍のゲート電極33の両側に形成され、それぞれソース電極31、ドレイン電極32が接続されたソース領域35、ドレイン領域36と、を有する。
横型MOSFET3は、ディプリーション型(ノーマリーオン)の横型MOSFETである。ゲート電極33に電圧を印加しない状態ではソース電極31とドレイン電極32の間に電流を流すことができるが、ゲート電極33に閾値以下の電圧を印加すると、空乏層が拡がってソース電極31とドレイン電極32の間のチャネルが狭まり、電流の流れが妨げられる。
横型MOSFET3における基板10は、半絶縁性の基板であり、例えば、Fe等のアクセプター不純物を含むGa系材料からなる。基板10の抵抗率は、例えば、1×1010Ωcm以上である。基板10の厚さは、例えば、0.5〜1000μmである。
横型MOSFET3におけるエピタキシャル膜12は、例えば、意図的に不純物を添加していないGa系材料からなる。エピタキシャル膜12を成膜するまでの工程は第1の実施の形態と同様であり、基板10とエピタキシャル膜12の界面13におけるSi濃度は、5×1018cm−3未満である。
また、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍には、アモルファスキャップ層11を形成する際のRIEに用いられた、Siと反応するエッチングガスに含まれる元素が含まれる。例えば、エッチングガスとしてCFガスなどのフッ素系ガスが用いられた場合、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍にはFが含まれ、界面13におけるF濃度は1×1017cm−3以上である。
また、横型MOSFET3のチャネル領域までFが拡散し、チャネル伝導を阻害することを抑制するため、界面13におけるF濃度は、1×1021cm−3以下であることが好ましく、1×1020cm−3以下であることがより好ましい。
チャネル層30は、横型MOSFET3の動作時にチャネル領域が形成される層であり、例えば、Si、Snなどのドナー不純物を含むn型のGa系材料からなる。この場合のチャネル層30のドナー濃度は、例えば、1×1016〜5×1019cm−3である。チャネル層30の厚さは、例えば、0.02〜100μmである。
ソース電極31、ドレイン電極32、及びゲート電極33は、例えば、Ti/Auからなる。ゲート絶縁膜34は、SiO等の絶縁材料からなる。
ソース領域35及びドレイン領域36は、チャネル層30中にイオン注入などにより形成されるn型の領域である。例えば、チャネル層30がGa系材料からなる場合は、Si、Snなどのドナー不純物をチャネル層30中にイオン注入することによりn領域であるソース領域35及びドレイン領域36を形成する。
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、基板10とエピタキシャル膜12との界面13の近傍におけるエピタキシャル膜12中のSi濃度が低い横型MOSFET3が得られる。横型MOSFET3においては、エピタキシャル膜12中の界面13の近傍におけるSi濃度が低いため、界面13の近傍における高濃度のキャリアを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制されている。このため、ソース電極31とドレイン電極32の間に電流が流れるときにエピタキシャル膜12中の界面13の近傍を流れる寄生伝導電流の発生を抑えることができる。
なお、上の記載では、横型MOSFET3がディプリーション型である場合の構成の例について説明したが、横型MOSFET3はエンハンスメント型(ノーマリーオフ)である場合でも同様の効果が得られる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態に係るエピタキシャル膜とその下地部材との界面のSi濃度を低減する方法を用いて縦型MOSFETを製造する。なお、第1、第2の実施の形態に含まれるものと同様の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図4は、第3の実施の形態に係る縦型MOSFET4の垂直断面図である。
縦型MOSFET4は、基板40と、基板40上のエピタキシャル膜41と、エピタキシャル膜41上に形成された、開口領域42aを有する電流遮断領域42と、開口領域42aを埋めるように電流遮断領域42上に形成されたエピタキシャル膜43と、ゲート絶縁膜48を介してエピタキシャル膜43上に形成されたゲート電極47と、エピタキシャル膜43の表面近傍のゲート電極47の両側に形成されたn領域49と、エピタキシャル膜43上に形成され、n領域49に接続されたソース電極45と、基板40のエピタキシャル膜41と反対側の面上に形成されたドレイン電極46と、を有する。
縦型MOSFET4は、ディプリーション型の縦型MOSFETである。ゲート電極47に電圧を印加しない状態又は閾値以上の電圧を印加した状態ではソース電極45とドレイン電極46の間に電流を流すことができるが、ゲート電極47に閾値以下の電圧を印加すると、チャネルの一部が閉じ、結果として、電流をオフにすることができる。
基板40は、導電性の基板であり、例えば、Si、Snなどのドナー不純物を含むn型のGa系単結晶からなる。基板40のドナー濃度は、例えば、1×1017〜1×1020cm−3である。基板40の厚さは、例えば、0.5〜1000μmである。
電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41は、エピタキシャル膜43のエピタキシャル成長の下地部材であり、表面へのSi化合物の付着により問題が生じる、Siを含まない材料を母材とする部材である。
エピタキシャル膜41は、導電性の膜であり、例えば、Si、Snなどのドナー不純物を含むn型のGa系単結晶からなる。エピタキシャル膜41のドナー濃度は、例えば、1018cm−3以下である。エピタキシャル膜41の厚さは、例えば、0.1〜100μmである。
電流遮断領域42は、絶縁性の領域であり、例えば、Fe等のアクセプター不純物を含むGa系材料からなる。電流遮断領域42の開口領域42aは、電流通路となる領域である。
エピタキシャル膜43は、Siの取り込みにより問題が生じる、Siを含まない材料を母材とする膜である。また、エピタキシャル膜43は、導電性の膜であり、例えば、Si、Snなどのドナー不純物を含むn型のGa系単結晶からなる。エピタキシャル膜43のドナー濃度は、例えば、1×1016cm−3〜5×1019cm−3である。エピタキシャル膜43の電流遮断領域42上の部分の厚さは、例えば、0.05〜1μmである。
電流遮断領域42とエピタキシャル膜43の界面44におけるSi濃度は、5×1018cm−3未満である。このことは、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41の表面からエピタキシャル膜43に取り込まれたSiの濃度の最大値が5×1018cm−3未満であることを意味する。界面44におけるSi濃度は、第1の実施の形態に係る結晶積層構造体2の界面13におけるSi濃度と同様の方法により低減されている。電流遮断領域42とエピタキシャル膜43の形成方法及び界面44におけるSi濃度の具体的な低減方法については、後述する。
また、エピタキシャル膜43中の界面44の近傍には、後述する電流遮断領域42のアモルファスキャップ層50を形成する際のRIEに用いられた、Siと反応するエッチングガスに含まれる元素が含まれる。例えば、エッチングガスとしてCFガスなどのフッ素系ガスが用いられた場合、エピタキシャル膜43中の界面44の近傍にはFが含まれ、界面44におけるF濃度は1×1017cm−3以上である。このことは、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41の表面からエピタキシャル膜43に取り込まれたFの濃度の最大値が1×1017cm−3以上であることを意味する。Fが含まれる領域の厚さは、アモルファスキャップ層11の形成条件、エピタキシャル膜43の成長条件などに依って変化するが、例えば、Fの拡散により拡がった低濃度の領域も含めて、0.02〜1μm程度である。
また、縦型MOSFET4のチャネル領域までFが拡散し、チャネル伝導を阻害することを抑制するため、界面44におけるF濃度の最大値は、1×1021cm−3以下であることが好ましく、1×1020cm−3以下であることがより好ましい。
領域49は、エピタキシャル膜43中にイオン注入などにより形成されるn型の領域である。例えば、エピタキシャル膜43がGa系材料を母材とする場合は、Si、Snなどのドナー不純物をエピタキシャル膜43中にイオン注入することによりn領域49を形成する。
図5(a)〜(d)は、第3の実施の形態に係る縦型MOSFET4の製造工程の一部を示す垂直断面図である。
まず、図5(a)に示されるように、基板40上にエピタキシャル膜41及び電流遮断領域42を形成する。電流遮断領域42は、エピタキシャル膜41の全面を覆う膜として形成された後、フォトリソグラフィとRIEなどによって開口部42aが形成される。
そして、エピタキシャル膜41及び電流遮断領域42が形成された基板40を、RIE装置60のチャンバー61内に搬入する。
次に、図5(b)に示されるように、電流遮断領域42、及びエピタキシャル膜41の開口部42a内に露出した部分の表面にRIEを施し、これらの表面上に付着したSi化合物を除去しつつ、RIEのエッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層50を電流遮断領域42、及びエピタキシャル膜41の開口部42a内に露出した部分の表面に形成する。
RIEには、Siと反応するエッチングガス、例えば、CFガスなどのフッ素系ガスが用いられる。
アモルファスキャップ層50は、RIEのエッチングガスに含まれる元素を含む。例えば、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、CガスなどのCとFを含むガスを用いてRIEを行った場合、F(フッ素)を多量に含む非晶質のカーボン薄膜がアモルファスキャップ層11として形成される。この場合、アモルファスキャップ層11FとC(炭素)を含む。
図5(b)に示されるように、アモルファスキャップ層50の形成後は、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41の表面はアモルファスキャップ層50で覆われているため、大気中のSi化合物20はアモルファスキャップ層50の表面に付着する。
次に、図5(c)に示されるように、基板40をエピタキシャル成長装置のチャンバー内へ移した後、加熱処理を施し、アモルファスキャップ層50をその表面に付着したSi化合物20とともに除去する。このとき、アモルファスキャップ層50の除去量を大きくすることにより、アモルファスキャップ層50の表面に付着したSi化合物20を効果的に除去することができる。
アモルファスキャップ層50の除去量を大きくするためには、アモルファスキャップ層50が非晶質のカーボン薄膜からなる場合は、加熱処理の処理温度が600℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましく、750℃以上であることがさらに好ましい。
また、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41がGa系材料を母材とする場合は、Ga系材料の熱分解を抑えるため、アモルファスキャップ層50の加熱処理の処理温度は1200℃以下であることが好ましい。
次に、図5(d)に示されるように、アモルファスキャップ層50の除去に続けて、同一チャンバー内で、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41を下地部材として、エピタキシャル膜43を形成する。このとき、電流遮断領域42及びエピタキシャル膜41の表面にはSi化合物がほとんど付着していないため、エピタキシャル膜43の成膜初期にSiが取り込まれることを抑制できる。このため、電流遮断領域42とエピタキシャル膜43の界面44におけるSi濃度の最大値は、5×1018cm−3未満に抑えられる。エピタキシャル膜43の成長方法は特に限定されず、例えば、MBEやHVPEなどが用いられる。
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態によれば、電流遮断領域42とエピタキシャル膜43の界面44の近傍におけるエピタキシャル膜43中のSi濃度が低い縦型MOSFET4が得られる。縦型MOSFET4においては、エピタキシャル膜43中の界面44の近傍におけるSi濃度が低いため、界面44の近傍における高濃度のキャリアを含む高伝導度層の形成が効果的に抑制されている。このため、ゲート電極47に閾値以下の電圧を印加してチャネルの一部を閉じたときに、エピタキシャル膜43中の界面44の近傍における寄生伝導電流の発生を抑えることができる。
なお、上の記載では、縦型MOSFET4がディプリーション型である場合の構成の例について説明したが、縦型MOSFET4はエンハンスメント型(ノーマリーオフ)である場合でも同様の効果が得られる。
上記第1〜3の実施の形態によれば、下記[1]、[2]の半導体基板の製造方法、下記[3]〜[5]の結晶積層構造体の製造方法、下記[6]、[7]の半導体基板、下記[8]〜[10]の結晶積層構造体、下記[11]〜[13]の半導体デバイスを提供することができる。
[1]Siを含まない第1の材料を母材とする基板に、Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記基板の表面に形成する工程、を含み、
前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての装置部品がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、
半導体基板の製造方法。
[2]前記第1の材料がGa系材料であり、前記エッチングガスがフッ素系ガスである、
上記[1]に記載の半導体基板の製造方法。
[3]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材に、前記Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記下地部材の表面に形成する工程と、
加熱処理により、前記アモルファスキャップ層を、その表面に付着した大気中のSiに由来するSi化合物とともに除去する工程と、
前記アモルファスキャップ層を除去した後、Siを含まない第2の材料を母材とするエピタキシャル膜を前記下地部材の表面上にエピタキシャル成長させる工程と、
を含み、
前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての部材がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、
結晶積層構造体の製造方法。
[4]前記第1の材料がGa系材料であり、前記エッチングガスがフッ素系ガスであり、前記第2の材料がGa系材料である、
上記[3]に記載の結晶積層構造体の製造方法。
[5]前記加熱処理の加熱温度が600℃以上1200℃以下の範囲内にある、
上記[3]又は[4]に記載の結晶積層構造体の製造方法。
[6]Siを含まない第1の材料を母材とし、
Siと反応するエッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層が表面に形成された、
半導体基板。
[7]前記第1の材料がGa系材料であり、前記元素がフッ素である、
上記[6]に記載の半導体基板。
[8]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、
Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、
を含み、
前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、
結晶積層構造体。
[9]前記第1の材料がGa系材料であり、前記第2の材料がGa系材料である、
上記[8]に記載の結晶積層構造体。
[10]前記界面のF濃度が1×1017cm−3以上である、
上記[9]に記載の結晶積層構造体。
[11]Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、
Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、
前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面と電気的に接続された電極と、
を含み、
前記界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、
半導体デバイス。
[12]前記第1の材料がGa系材料であり、前記第2の材料がGa系材料である、
上記[11]に記載の半導体デバイス。
[13]前記界面のF濃度が1×1017cm−3以上である、
上記[12]に記載の半導体デバイス。
第1の実施の形態に係るアモルファスキャップ層11を除去するための加熱処理の処理温度と、アモルファスキャップ層11の除去量との関係を調べた。
本実施例においては、基板10としての(−201)面を主面とするGa基板に、CFガスを用いたRIEをCF流量30SCCM、チャンバー圧力4.0Pa、高周波電力100Wで5分間施し、40nm程度Ga基板をエッチングし、アモルファスキャップ層11を形成した。その後、10分間の加熱処理によりアモルファスキャップ層11を除去した。
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)は、アモルファスキャップ層11を除去した後の基板10の反射高速電子回折(RHEED)の観察画像である。これらの観察画像は、基板10の主面に加速した電子を試料表面にごく薄い角度で入射させ、表面状態を観察した回折図形である。
図6(a)、図6(b)、図6(c)、図7(a)、図7(b)、図7(c)に係る基板10に施された加熱処理の処理温度は、それぞれ、430℃、550〜560℃、603〜625℃、704〜722℃、746〜750℃、750℃である。
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)によれば、処理温度が低温であるときには非晶質であることを示すハローパターンの強度が強く、結晶質であることを示す回折パターンの強度が弱い。そして、処理温度が高くなるにつれて、回折パターンの強度が強くなっている。このことは、処理温度が高いほど、結晶質の基板10上のアモルファスキャップ層11の除去量が増えることを示している。
具体的には、処理温度がおよそ600℃以上のときに回折パターンが強く現れ、700℃以上のときにより強く現れ、750℃以上のときにさらに強く現れる。アモルファスキャップ層11の除去量が大きいほど、アモルファスキャップ層11上のSi化合物20を効果的に除去することができるため、加熱処理の処理温度は600℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましく、750℃以上であることがさらに好ましいといえる。
第1の実施の形態に係る結晶積層構造体2中のSiとFの濃度を調べた。
本実施例においては、基板10としてのGa基板に、CFガスを用いたRIEを施し、アモルファスキャップ層11を形成した。そして、アモルファスキャップ層11を750℃、30分間の加熱処理により除去した後、エピタキシャル膜12としてのGa膜を成長させた。
図8は、二次イオン質量分析法により測定した、結晶積層構造体2中のSiとFの濃度を示すグラフである。
図8は、基板10とエピタキシャル膜12の界面13におけるSi濃度(界面13の近傍のSiの最大濃度)が、およそ1×1018cm−3であることを示している。界面13におけるSiの濃度は、測定箇所などによりある程度ばらつくが、最大値が5×1018cm−3に達することはほとんどない。なお、図8において、Si濃度が最大となる位置が界面13から10nm程度ずれているが、これは測定誤差によるものであり、実際には界面13上においてSi濃度が最大となる。また、図8によれば、基板10中のSi濃度がエピタキシャル膜12中のSi濃度よりも高いが、これは、基板10の原料に不純物として含まれるSiが基板10中に残存することによる。
また、図8は、基板10とエピタキシャル膜12の界面13におけるF濃度(界面13の近傍のFの最大濃度)が、およそ2×1019cm−3であることを示している。界面13におけるFの濃度は、測定箇所などによりある程度ばらつくが、最大値が1×1017cm−3に満たないことはほとんどない。なお、図8において、Si濃度が最大となる位置と同様に、F濃度が最大となる位置が界面13から10nm程度ずれているが、これも測定誤差によるものであり、実際には界面13上においてF濃度が最大となる。
以上、本発明の実施の形態、実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態、実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態、実施例の構成要素を任意に組み合わせることができる。
また、上記に記載した実施の形態、実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態、実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1…半導体基板、 2…結晶積層構造体、 3…横型MOSFET、 4…縦型MOSFET、 10…基板、 11、50…アモルファスキャップ層、 12…エピタキシャル膜、 13、44…界面、 20…Si化合物、 41、43…エピタキシャル膜、 42…電流遮断層、 60…RIE装置、 61…チャンバー、 62…下部電極、 63…上部電極

Claims (5)

  1. Siを含まない第1の材料を母材とする基板に、Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記基板の表面に形成する工程、を含み、
    前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての装置部品がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、
    半導体基板の製造方法。
  2. Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材に、前記Siと反応するエッチングガスを用いる反応性イオンエッチングを施し、前記エッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層を前記下地部材の表面に形成する工程と、
    加熱処理により、前記アモルファスキャップ層を、その表面に付着した大気中のSiに由来するSi化合物とともに除去する工程と、
    前記アモルファスキャップ層を除去した後、Siを含まない第2の材料を母材とするエピタキシャル膜を前記下地部材の表面上にエピタキシャル成長させる工程と、
    を含み、
    前記反応性イオンエッチングが、上部電極と下部電極との間の全ての部材がSiを含まない材料からなる反応性イオンエッチング装置を用いて実施される、
    結晶積層構造体の製造方法。
  3. Siを含まない第1の材料を母材とし、
    Siと反応するエッチングガスに含まれる元素を含むアモルファスキャップ層が表面に形成された、
    半導体基板。
  4. Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、
    Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、
    を含み、
    前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、
    結晶積層構造体。
  5. Siを含まない第1の材料を母材とする下地部材と、
    Siを含まない第2の材料を母材とする、前記下地部材上のエピタキシャル膜と、
    前記下地部材と前記エピタキシャル膜との界面と電気的に接続された電極と、
    を含み、
    前記界面のSi濃度が5×1018cm−3未満である、
    半導体デバイス。
JP2018115608A 2018-06-18 2018-06-18 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス Active JP7325073B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018115608A JP7325073B2 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018115608A JP7325073B2 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019220536A true JP2019220536A (ja) 2019-12-26
JP7325073B2 JP7325073B2 (ja) 2023-08-14

Family

ID=69096947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018115608A Active JP7325073B2 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7325073B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022230831A1 (ja) * 2021-04-26 2022-11-03 株式会社Flosfia 半導体装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11191544A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体基板およびその製造方法
JP2003209270A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 炭素系光電素子およびその製造方法
JP2006185962A (ja) * 2004-12-24 2006-07-13 Tokyo Institute Of Technology 半導体成長用基板および半導体膜の製造方法
JP2012049472A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Chube Univ アモルファスカーボン及びその製造方法
JP2013222804A (ja) * 2012-04-16 2013-10-28 Mitsubishi Electric Corp 半導体デバイスの製造方法
JP2014130914A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Asahi Kasei Corp 半導体ウエハの表面加工方法、および加工半導体ウエハの製造方法
JP2016082200A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 株式会社タムラ製作所 結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体素子

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11191544A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体基板およびその製造方法
JP2003209270A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 炭素系光電素子およびその製造方法
JP2006185962A (ja) * 2004-12-24 2006-07-13 Tokyo Institute Of Technology 半導体成長用基板および半導体膜の製造方法
JP2012049472A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Chube Univ アモルファスカーボン及びその製造方法
JP2013222804A (ja) * 2012-04-16 2013-10-28 Mitsubishi Electric Corp 半導体デバイスの製造方法
JP2014130914A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Asahi Kasei Corp 半導体ウエハの表面加工方法、および加工半導体ウエハの製造方法
JP2016082200A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 株式会社タムラ製作所 結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体素子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022230831A1 (ja) * 2021-04-26 2022-11-03 株式会社Flosfia 半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7325073B2 (ja) 2023-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wong et al. Current Aperture Vertical $\beta $-Ga 2 O 3 MOSFETs Fabricated by N-and Si-Ion Implantation Doping
US8686472B2 (en) Semiconductor substrate, electronic device and method for manufacturing semiconductor substrate
CN112928026B (zh) Ga2O3系半导体元件
US20110180903A1 (en) Semiconductor substrate, electronic device and method for manufacturing semiconductor substrate
JP2009088223A (ja) 炭化珪素半導体基板およびそれを用いた炭化珪素半導体装置
JP6896063B2 (ja) イオン注入を用いた高抵抗窒化物バッファ層の半導体材料成長
Cordier et al. Influence of AlN growth temperature on the electrical properties of buffer layers for GaN HEMTs on silicon
TW201539751A (zh) 含植入緩衝層之iii族氮化物基板與電晶體
US20090246924A1 (en) Method of producing field effect transistor
US7867882B2 (en) Method of manufacturing silicon carbide semiconductor device
JP6560117B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JPWO2021024502A1 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JPH11297712A (ja) 化合物膜の形成方法及び半導体素子の製造方法
US20110180849A1 (en) Semiconductor substrate, electronic device and method for manufacturing semiconductor substrate
JP2012243792A (ja) GaN薄膜貼り合わせ基板およびその製造方法、ならびにGaN系高電子移動度トランジスタおよびその製造方法
JP2009231550A (ja) 半導体装置の製造方法
JP7325073B2 (ja) 半導体基板及びその製造方法、結晶積層構造体及びその製造方法、並びに半導体デバイス
CN110838514B (zh) 一种半导体器件的外延结构及其制备方法、半导体器件
JP6447231B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP7024761B2 (ja) 窒化物半導体装置および窒化物半導体装置の製造方法
JP2011216578A (ja) 窒化物半導体及び窒化物半導体素子
JPH0770695B2 (ja) 炭化珪素半導体装置の製造方法
JP7396922B2 (ja) 窒化物半導体装置の製造方法
WO2023007781A1 (ja) 窒化物半導体装置、窒化物半導体基板および窒化物半導体装置の製造方法
JP3441968B2 (ja) 電界効果トランジスタの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210528

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20211118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20211119

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20211221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220524

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220906

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220907

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220927

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20221004

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20221118

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20221122

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20230307

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230725

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7325073

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150