JP2019219865A - プラント制御装置、プラント制御方法およびプログラム - Google Patents

プラント制御装置、プラント制御方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】周期的外乱の除去を目的としたプラントの制御時に、外乱除去の効果を極力早く得る。【解決手段】制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から周期的外乱を抽出するフィルタ101と、周期的外乱の周波数成分よりなる制御対象状態量の波形を記憶する基準波形テーブル200と、基準波形テーブルから得た基準波形と、制御対象プラントより取得した周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、基準波形と周期的外乱が含まれる制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、フィルタでのフィルタリング結果を予測して、予測結果に基づいてフィルタを初期化する設定部250と、を備える。【選択図】図11

Description

本発明は、プラント制御装置、プラント制御方法およびプログラムに関する。
さまざまな工業製品を生産するプラントにおいては、定時間間隔または定長間隔(圧延部材の一定の長さ)で周期的外乱が発生することが有り、この外乱を除去するための制御装置が導入されている。以下、制御対象プラントの一例として圧延機につき説明するが、一般的なプラントにおいても同様である。
薄い金属材料を効率的に生産するプラントである圧延機においては、ロールの回転方向の半径変動(以下、「ロール偏心」と略記)に起因する出側板厚変動が発生する。
ロール偏心による板厚変動は、ロールの回転周期に依存する周期的板厚変動となるため、ロール偏心周波数成分で出側板厚をフィルタリングし、ロール偏心成分に応じてロールギャップを操作することで制御していた(例えば、特許文献1参照)。
同様な方式を利用して、ロールに起因する周波数成分以外の、周期的外乱についても制御することが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭62−27884号 特開2015−166093号
上述した従来技術においては、ロール偏心等の周期的板厚変動を除去するために、周期的変動の周波数で板厚偏差をフィルタリングして制御ゲインを掛けて制御出力とする制御が行われている。
ロール偏心制御の方法として、ロールの1回転を検出する検出器を設置し、ロール空転時に、荷重変動からロールギャップ変動量を推定してロールの回転方向位置に対応した補正量を決定して、圧延中はそれを出力するようにしたものがある。ロール空転時とは、上下作業ロール間に被圧延材がない状態でロールを回転させる状態をいう。
この従来方法を用いた場合、ロール偏心に起因するロールギャップ変動そのものが除去されるためロール偏心成分の板厚変動をほぼ100%除去することが可能である。
しかしながら、この方法は、ロール偏心成分の板厚変動を除去できる効果は大きいが、ロールの1回転を検出する検出器が必要であるため、設備投資額の増大、および検出器保守作業量の増大を招く。また、荷重変動からロール偏心成分を得るため、ロール空転が必要であり、その分だけ操業効率が低下する。
また、板厚偏差検出値よりロール偏心周波数成分をフィルタで取り出す場合には、該当するロール偏心周波数成分を取り出すフィルタリング処理が必要となる。また、フィルタリング処理を計算機上のソフトウェアで実施するデジタルフィルタを用いる場合、分解能の鋭いフィルタ特性を得るためには、ロール偏心周波数成分の周期の数10倍のサンプリング時間が必要になる。
そのため、このロール偏心周波数成分をフィルタで取り出す方法では、制御効果が現れるようになって、圧延機の出側板厚偏差が小さくなるまでに時間を要するという問題があった。そもそも、圧延機におけるロール偏心は、圧延機を停止している場合等、ロールの円周方向の熱分布が不均一となるために発生するものが多く、圧延開始後しばらくするとロールの円周方向の熱分布が均一となってくるため圧延機出側の板厚変動も減少する。そのため、ロール偏心制御の制御効果が現れるまでに時間がかかると、制御が一番必要な部分で充分な制御効果が得られないという結果を生じることになる。
本発明は、周期的外乱が発生するプラントを制御して外乱を除去する制御を行う際に、その外乱除去の効果が極力早く得ることができるプラント制御装置、プラント制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から周期的外乱を抽出するフィルタと、周期的外乱の周波数成分よりなる制御対象状態量の波形を記憶する基準波形テーブルと、基準波形テーブルから得た基準波形と、制御対象プラントより取得した周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、基準波形と周期的外乱が含まれる制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、フィルタでのフィルタリング結果を予測して、予測結果に基づいてフィルタを初期化する設定部と、を備える。
本発明によれば、ロール偏心等の周期的な変動に対する制御効果を最大限に維持できるため、周期的外乱が含まれるプラントでの制御精度を向上することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施の形態例によるプラント制御装置(圧延制御装置)における偏心制御の例を示す構成図である。 一般的な圧延制御装置の偏心制御の詳細例を示す構成図である。 定長フィルタの構成を示す図である。 定長フィルタの特性を示す図である。 定長フィルタのフィルタテーブルの例を示す構成図である。 一般的なロール偏心制御例を示すブロック図である。 積分補正ロール偏心制御例を示すブロック図である。 積分補正ロール偏心制御の特性を示す図である。 比例積分補正偏心制御例を示すブロック図である。 積分積分補正偏心制御の特性を示す図である。 本発明の一実施の形態例による圧延制御装置の偏心制御の詳細例を示す構成図である。 本発明の一実施の形態例による基準波形テーブルの例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による基準波形を初期設定した例を示す図である。 本発明の一実施の形態例によるフィルタテーブル設定部の例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による減衰量位相差演算部の出力例を示す特性図である。 本発明の一実施の形態例による修正後の基準波形の例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による減衰量位相差演算部の例を示すブロック図である。 周波数応答法の概要(時間応答)を示す図である。 周波数応答法の概要(周波数応答)を示す図である。 本発明の一実施の形態例による硬度ムラ抑制制御部の例を示す構成図である。 圧延制御装置をコンピュータ装置で構成した場合のハードウェアの例を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施の形態例を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態例では、周期的な変動があるプラントの制御装置として、圧延機の制御装置に適用した場合とする。
[1.圧延制御装置における偏心制御の構成例]
図1は、シングルスタンドの圧延機の構成を示す。
図2は、シングルスタンド圧延機の一般的な制御構成を示す。
シングルスタンド圧延機は、図1に示すように、圧延機1の圧延方向に対して入側に入側テンションリール(以下、テンションリールを「TR」と称する)3a、出側に出側TR3bを持つ。
入側TR3aから巻き出された金属圧延材料である被圧延材2は、圧延機1の作業ロール1aで圧延された後、出側TR3bで巻き取られる。圧延機1は、被圧延材2をはさんで被圧延材2に近い側から作業ロール1a、中間ロール1b、およびバックアップロール1cより構成される。そして、上下の作業ロール1a間のロールギャップを変更することで、被圧延材2の板厚を制御するロールギャップ制御部7と、圧延機1の速度を制御するためのミル速度制御部4が設置される。入側TR3aおよび出側TR3bは電動機にて駆動され、その電動機の駆動制御を行う、入側TR制御部5および出側TR制御部6が設置される。
圧延時は、圧延速度設定部10より速度指令がミル速度制御部4に対して出力され、ミル速度制御部4は、圧延機1の速度を一定とするような制御を実施する。圧延機1の入側、出側では、被圧延材に張力をかける事で圧延を安定かつ効率的に実施する。そのために必要な張力を計算するのが入側張力設定部11および出側張力設定部12である。張力設定部11および12にて計算された入側および出側張力設定値より、入側張力電流変換部15および出側張力電流変換部16が、設定張力を被圧延材に加えるために必要な電動機トルクを得るための電流値を求める。求められた電流値は、入側TR制御部5および出側TR制御部6に与えられる。入側TR制御部5および出側TR制御部6は、与えられた電流となるように電動機電流を制御し、電動機電流より入側TR3aおよび出側TR3bに与えられる電動機トルクにより被圧延材に所定の張力を与える。
張力電流変換部15、16は、TR機械系およびTR制御部のモデルに基づいて、張力設定値となるような電流設定値(電動機トルク設定値)を演算する。ここでの制御モデルには誤差を含むため、圧延機1の入側および出側に設置された入側張力計8および出側張力計9で測定された実績張力を用いて、入側張力制御部13および出側張力制御部14により張力設定値に補正を加える。
図1では、加算器12bおよび13bにより、入側張力計8および出側張力計9で測定された実績張力と、入側張力設定部11および出側張力設定部12にて計算された入側および出側張力設定値の偏差を求める。そして、求めた偏差を入側張力制御部13および出側張力制御部14に入力している。入側張力制御部13および出側張力制御部14で求めた補正量は、加算器12aおよび13aで、入側張力設定部11および出側張力設定部12の出力に加えている。
加算器12aおよび13aで補正を加えた張力設定値は、張力電流変換部15および16に与えられ、入側TR制御部5および出側TR制御部6に設定する電流値が変更される。
また、被圧延材の板厚は製品の品質上重要であるため、板厚制御が実施される。圧延機1出側の板厚は、出側板厚計17にて検出された実績板厚より出側板厚制御部18が圧延機1のロールギャップをロールギャップ制御部7を用いて操作することで制御される。
ロール偏心は、圧延機1の作業ロール1a、中間ロール1b、バックアップロール1cの各ロールの偏心であり、ロールの研磨精度や軸受け精度に起因するロールの回転方向半径の不均一が原因で発生する。一般にバックアップロール1cのロール偏心成分が大きいため、バックアップロール1cに対するロール偏心成分除去制御が行われる。
[2.実施の形態で前提となる構成]
ここで、本例のロール偏心制御装置を説明する前に、前提となる従来のロール偏心制御装置の構成例について説明する。
図2は、従来のロール偏心制御部100を示す。圧延機1の出側に設置された出側板厚計17にて検出した板厚偏差を、ソフトフィルタ101によりフィルタリング処理し、被圧延材上の一定長さ周期の板厚偏差を抽出する。そして、圧下制御部21により圧延機1のロールギャップを操作することにより、ロール偏心の制御が行われる。
出側板厚計17は、圧延機1から離れた位置に設置されるため、圧延機1にて圧延された被圧延材の板厚を検出するまでに無駄時間が生じる。そのため、出側板厚計17にて測定した出側板厚偏差を圧延機1におけるロール角度に変換する位相合わせが必要となる。それを行うのが位相合わせ部110である。その後、出側板厚偏差−ロールギャップ換算部111にて、圧延機のロールギャップに換算した後、ロール周長に対応する長さで定長フィルタリング処理がソフトフィルタ101にて実施される。
ここで、定時間間隔でなく被圧延材の長さでフィルタリング処理を実施するのは、圧延機1は停止状態から最大速度まで加速し、減速して停止するといった速度を変更する操業を実施するためである。圧延機1の加減速中であっても、ロール偏心制御を実施するためには、一定長さでフィルタリング処理を実施する必要がある。また、圧延は上下ロール間で被圧延材を潰す事で行われるが、その時の上下ロール間隔の機械的振動により発生する板厚変動を除去するのがロール偏心制御の目的であるから、一定長さでフィルタリングする必要がある。バックアップロールのロール偏心制御を実施する場合は、一定長さでフィルタリングする際の、一定長さとしてバックアップロールのロール周長を用いる。
定長フィルタであるソフトフィルタ101の構成を図3に示す。ソフトフィルタ101は、後述するように、上側のロールを制御する系(符号の末尾にUを付した構成要素による系)と、下側のロールを制御する系(符号の末尾にLを付した構成要素による系)とを有する。
図3に示すように、ソフトフィルタ101は、一定長の無駄時間要素e−TSの設定部121U、121Lと、フィルタゲインG、G、Gの設定部122U、122L、125U、125L、124U、124Lと、加算器123U、123Lより構成される。一定長の無駄時間Tに応じて、入力xから出力yまでの、ゲインおよび位相が、以下に示す式で定まる。
Figure 2019219865
Figure 2019219865
なお、cos(ωT)=1のとき、ゲインが最大となる。最大ゲイン=1.0とするには、1−G=Gとすればよい。φを位相としたとき、以下のようになる。
Figure 2019219865
したがって、図3の上側に示すソフトフィルタ101は、図3の下側に示す構成に等価変換することができる。すなわち、ソフトフィルタ101は、フィルタゲインGの設定部131と、加算器132と、一定長の無駄時間要素e−TSの設定部133と、フィルタゲインGの設定部134とで示すことができる。
ソフトフィルタ101のゲイン特性、位相特性の一例を図4に示す。図4(A)はゲイ特性を示し、図4(B)は位相特性を示す。図4において、横軸の規格化周波数は、無駄時間Tの逆数を1とした場合の周波数である。図4(A)の縦軸はゲイン、図4(B)の横軸は位相である。規格化周波数が整数のところでゲインが1となっており、ソフトフィルタ101は、無駄時間Tに相当する周波数の整数倍の周波数成分も抽出する。
図2に示す従来制御においては、バックアップロール(以下、「BUR」と称する)1cのロール偏心の除去が目的であったことから、BUR径DBURと圧延速度Vから決定されるBUR回転周波数fBURでフィルタリング処理を実施していた。BUR1cは、表面が傷ついた場合等、研磨処理して使用される。ロール偏心は、研磨処理の不均一が一因であり、一般にBUR径の1倍周波数である。また、ロール偏心は、圧延加工により発熱したBURが、不均一に冷却されることでも発生し、これは一般にBUR径の2倍周波数である。したがって、ソフトフィルタ101により、BUR径に対応する周波数成分のフィルタを構成した場合、その整数倍の周波数についても抽出されるため、2倍以上の周波数成分についても制御が行われることになる。
ソフトフィルタ101は、図5に示すように、ロール1回転をn分割(nは整数)し、各々の分割点に対応するn個の領域をフィルタテーブル121に設定する。そして、ロールの回転に応じて、ロール直下に圧延材が来た時点で、1回転前のデータと今回のデータを用いて、出力タイミング調整部120が、位相遅れ設定値とフィルタテーブル121の出力に基づいて、図3で説明した演算を行う。
そして、その結果をロール直下位置のフィルタテーブル121の領域に書き戻すことでフィルタリング処理を実施する。図5に示す構成では、ロール直下位置に対応する1番のメモリからデータを読み出して、今回の板厚偏差から図3で説明した演算を行い、1番のメモリに書き戻す。この操作を繰り返すことにより、n個のメモリより構成されるフィルタテーブル121上には、ロール1回転に対応したフィルタリング結果が格納される。
一般に、ロール径は上下で異なる場合が多く、上下バックアップロールにおける定長サンプリング長さが異なる。このため、図2に示す従来のロール偏心制御装置においては、上下ロールに対応した制御ゲインG1U、G1L、G2U、G2L、G3U、G3Lを設ける。さらに、フィルタテーブル121についても、上フィルタテーブル121Uと下フィルタテーブル121Lを設け、上下のロールで別個に制御できるようにしている。
図6に、現状のロール偏心制御のブロック図を示す。図5に示すように、ロール上のロール回転方向の複数点に対してフィルタテーブル121を対応させるが、その複数点に対して、図6に示す構成を適用している。
すなわち、ロールギャップΔsを減算器141に供給し、ソフトフィルタ101の出力を減算する。そして、減算出力にさらに加算器142でロール偏心外乱(ロールギャップ)ΔSRECを加算し、その加算器142の出力を、換算部143で(M+Q・(1−α))/Mの演算を行い、板厚偏差Δhを得る。
この板厚偏差Δhは、換算部144で、M/(M+Q・(1−α))の演算を行い、さらに、換算部144の出力をソフトフィルタ101に供給する。ソフトフィルタ101の構成は図3で説明したものである。
ここで、ソフトフィルタ101は、一次遅れ系140として近似することができ、図6の下側に示す構成に等価変換することができる。図6の下側に示す構成そのものは、図3に示す構成と同じである。
したがって、ロール上のロール回転方向の複数点においては、出側板厚偏差の1次遅れで比例制御が実施されることになる。
図7は、積分補正ロール偏心制御を行うために、偏差補正テーブル145を設けた場合の構成を示す。ソフトフィルタ101の出力を、パラメータG設定部145aと、1/S演算部145bとによる偏差補正テーブル145で補正して、減算器141に供給する。
この図7に示す構成の一巡伝達関数は、
Figure 2019219865
となるから、交差周波数ωcを図8に示すようにとると、
Figure 2019219865
であるから、
Figure 2019219865
とすればよい。
図9は、比例積分補正偏心制御を行うために、偏差補正テーブル145を設けた場合の構成を示す。この場合の偏差補正テーブル145の構成としては、ソフトフィルタ101の出力を、パラメータG設定部145aと、1/S演算部145bとにより補正し、加算器146に供給する。さらに、ソフトフィルタ101の出力を、パラメータG設定部145cで補正し、加算器146に供給する。そして、加算器146の加算出力を、減算器141に供給し、ロールギャップΔsから減算する。
この図9の構成での一巡伝達関数は、
Figure 2019219865
となるから、交差周波数ωcを図10に示すようにとると、
Figure 2019219865
Figure 2019219865
とすればよい。
1次遅れの時定数Tは、サンプリング周期tsと、フィルタリング処理のパラメータGより決定されるが、ここでのサンプリング周期tsは、ロールの1回転周期となる。フィルタリング処理のパラメータGは、目的とするフィルタリング特性に応じて0.03〜0.3位の値を設定するので、ロールの回転周期の3〜30程度が出側板厚修正の時定数となる。
フィルタリング特性において重要なのは、隣接周波数における分解能であり、ロール偏心制御の場合、上下ロールの周波数成分を分離できることが理想である。上下ロール径は同じとなるように管理されているものの、数パーセント程度の誤差がある場合が発生する。その場合においても上下偏心周波数成分を分離したいと考える。例えば、各周波数で10度(上下ロール径差2.8%)ずれた場合に、フィルタリング特性により振幅を0.1倍まで減衰させたいとすると、フィルタリング処理のパラメータGは0.05を設定する必要がある。このとき、ロールの回転周期の20倍の出側板厚修正時定数を持つことになる。
したがって、ロール偏心制御効果が現れるまで、ロール回転周期の10倍以上の時間を要することになる。ロール偏心は、圧延機を長時間停止していた場合のロール冷却の不均一によって発生する場合がほとんどであり、圧延によってロールが加熱すると減少していく。圧延開始後のロール偏心による出側板厚変動が一番大きい時に、ロール偏心制御の効果が小さいのでは出側板厚変動を抑制できないために、圧延開始後すぐに効果が得られるようなロール偏心制御方法が必要である。
ロール偏心制御は、ロール偏心による出側板厚変動を予測してロールギャップを操作するフィードフォワード制御であり、制御出力量とともに制御出力と出側板厚変動との位相関係も重要である。ロール偏心制御におけるフィルタリング処理では、制御出力量とともに位相関係を抽出することが重要となる。逆に言えば、何らかの方法でロール偏心による出側板厚変動に対する制御出力量と位相関係が判れば、効果的な制御を実施することができる。
時系列な変動をする信号波形の周波数成分(各周波数毎の振幅)は、高速フーリエ変換(FFT)により求めることができ、2個の信号波形間の各周波数成分の位相関係およびゲイン関係(ある信号が他方の信号の何倍であるか)も求めることができる。ロール偏心制御においては、圧延機の出側に設置された出側板厚計17にて検出した出側板厚偏差信号を時系列信号として用いることができる。そのため、ロール偏心周波数である基準信号を与えることができれば、その基準信号との位相関係およびゲイン関係を求めることが可能である。
FFTによる周波数成分の解析は、当該周波数成分が1周期あれば原理的には可能であることから、ロール偏心制御に必要な出側板厚偏差におけるロール偏心成分の位相および振幅を制御開始からロール回転周期の2〜3倍の時間で求めることができる。但し、FFTによる周波数成分の解析は、実際には2〜3周期程度必要であり、この程度の周期に設定することで、効果的な制御を開始することが可能となる。つまり、何らかの基準波形を設定し、実際のロール偏心成分が含まれる出側板厚偏差の信号波形とFFTで比較することができれば、ロール偏心制御の効果を早期に得ることが可能となる。
[3.実施の形態の構成および処理]
図11は、本例のロール偏心制御装置の構成を示す。
図11に示すロール偏心制御装置において、図2に示すロール偏心制御装置と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
図11に示すロール偏心制御部100は、基準波形テーブル200と、フィルタテーブル設定装置250を備える点が、図2に示す構成と相違する。
基準波形テーブル200は、基準となる波形を記憶する。
フィルタテーブル設定装置250は、基準波形テーブル200からの基準波形信号と、出側板厚計17からの出側板厚偏差をロールギャップ換算した実績信号より、フィルタテーブル121の初期値を設定する設定処理を行う。
図12は、基準波形テーブル200の例を示す。基準波形テーブル200は、図2を用いて説明したフィルタテーブル121と同様に、BUR径に対応してn個の領域に分割された周波数成分のフィルタを構成する。
ここでは、図12に示すように、基準波形テーブル(1次成分)201と、基準波形テーブル(2次成分)202とを用い、それらのテーブル201、202を加算して基準波形テーブル200が構成される。各テーブル201、202には、以下に説明する基準波形記憶処理で基準波形が記憶される。
BUR周波数成分の整数倍のロール偏心周波数成分が発生する可能性があるが、ロール偏心制御の操作端である圧下制御部21の応答特性から、BUR周波数成分の2倍程度までについてしか有効な制御ができないと仮定する。したがって、基準波形テーブル200として、基準波形テーブル(1次成分)201と、基準波形テーブル(2次成分)202とを使って、BUR周波数成分およびその2倍周波数の基準波形をここでは準備する。
なお、ロール偏心制御に使用する計算機の性能および、制御により除去が必要とされる周波数成分に応じて、2次成分を超えるn倍周波数成分まで同様な手法で基準波形テーブル(n次成分)を作成してもよい。ここで、基準波形テーブル200には、基準波形テーブル(1次成分)201、基準波形テーブル(2次成分)202を加算したものが書き込まれる。
フィルタテーブル121(上フィルタテーブル121U、下フィルタテーブル121L)上には、BUR周波数成分がn個に分割された領域に記憶される。各テーブルの記憶領域には、BURの一回転毎に今までのデータと今回のデータがそれぞれにフィルタゲインを掛けて加算されて書き込まれる。
図13に、基準波形テーブルの初期設定方法について示す。出側板厚計17にて測定した出側板厚偏差は種々の周波数成分を持つと考えられるが、その中で2次までのBUR周波数成分を理想的に取り出したものがテーブル200である。テーブル200は、基準波形テーブル(1次成分)201の波形と、基準波形テーブル(2次成分)202の波形を加算したものである。
したがって、ソフトフィルタ101が理想的に働いた状態では、BURロール偏心成分の2次成分までが取り出されているはずである。図13においては、判りやすいようにBUR回転3周期を描いているが、実際には領域(A)で示されるBUR回転1周期分のみがフィルタテーブル121に書き込まれる。同様に基準波形テーブル200、基準波形テーブル(1次成分)201、基準波形テーブル(2次成分)202についても、領域(A)のBUR回転1周期分のみを書き込むことになる。
まずは、初期値として、フィルタテーブル121のテーブルnを位相0度、テーブル1を位相360とするようなBUR偏心周波数の振幅1.0の正弦波(テーブル201)およびBUR偏心2倍周波数の振幅1.0の正弦波(テーブル202)を作成する。そして、両波形を加算したものを基準波形テーブル200に書き込む。ここで、正弦波の振幅の単位としては、出側板厚偏差としてμmとする。なお、ここでは出側板厚偏差1.0μmとしたが、圧延スケジュールに応じて適当なデータ種別、適当な数値を設定すればよい。
2個の時系列データX、Yが有った場合、ある周波数成分につきXに対してYの減衰量(Y/X)、およびXに対するYの位相差を、高速フーリエ変換(FFT)を用いて求めることができる。
図14は、フィルタテーブル設定部250の構成例を示す。このフィルタテーブル設定部250により、ロール偏心周波数成分の出側板厚偏差と、基準波形テーブル200間の減衰量、位相差を求める事ができる。
減衰量位相差演算部251を用いるためには、定周期(時間間隔一定)で収集されたデータが必要であり、データ個数として2のべき乗であればFFT演算を高速で実施可能である。ここで、位相合わせ部110の出力に、定周期サンプリング部252が、出側板厚偏差からロール偏心量への変換係数をかけ、ロール直下におけるロール偏心量検出値をx(t)、基準波形テーブル200のBUR回転位置に応じた出力値をy(t)とする。以下の説明では、ロール直下におけるロール偏心量検出値を、「ロール偏心量検出値」とし、基準波形テーブル200のBUR回転位置に応じた出力値を、「基準波形出力値」とする。
これらのロール偏心量検出値x(t)と、基準波形出力値y(t)を定周期サンプリング部252から取得し、減衰量位相差演算部251に供給する。
減衰量位相差演算部251でのFFTによる演算では、測定したい周期の2〜3倍程度のデータを必要とすることから、ロール偏心周波数成分fBURに応じて、定周期サンプリング方法を変更する必要がある。
ここでは、サンプリング周期を一定とし、ロール偏心周波数成分fBURに応じてサンプリングデータ数を変更する方法を述べるが、データ数一定でサンプリング周期を変更、またはデータ数とサンプリング周期の両方を変更する方法をとることも可能である。
サンプリング周期をts[sec]とした場合、最低で、下記のNがデータ数となる。
Figure 2019219865
定周期サンプリング部252においては、ロール偏心量検出値および基準波形出力値を、サンプリング周期ts[sec]で、データ数Nだけサンプリングを実施し、それぞれx(t)テーブル253、y(t)テーブル254に書き込む。
この系列データを用いて、減衰量位相差演算部251においては、ロール偏心量検出値x(t)と、基準波形出力値y(t)についてのFFT演算および複素数演算を実施する。そして、ロール偏心量検出値x(t)を基準とした場合における、基準波形出力値y(t)の減衰量Gおよび位相差θを演算し、基準テーブル修正部255に出力する。基準テーブル修正部255が、基準波形テーブルを取得して修正し、フィルタテーブル書込部256が、上フィルタテーブル121Uおよび下フィルタテーブル121Lに書き込む。
図15は、減衰量位相差演算部251の出力例を示す。図15(A)は、減衰量Gの変化を示し、図15(B)は、位相差θの変化を示す。この図15に示す変化は一例であり、減衰量や位相差は操業状態に応じて変化する。ロール偏心周波数および2倍ロール偏心周波数成分以外の周波数成分をロール偏心量検出値には含むため、減衰量Gおよび位相差θは、周波数に応じて連続的に出力される。
そして、基準テーブル修正部255では、ロール偏心周波数および2倍ロール偏心周波数における減衰量Gおよび位相差θを読み出して、それぞれGBUR、G2BUR、θBUR、θ2BURとする。これを基に基準波形テーブル修正部255は、基準波形テーブル202を修正する。すなわち、基準波形テーブル修正部255は、基準波形テーブル(1次成分)201、基準波形テーブル(2次成分)202を、測定結果の減衰量、位相差を用いて修正する。
基準テーブル(1次成分)201に関しては、減衰量GBUR=1.0であることから、正弦波の振幅を1/GBUR=1/1.0倍する。また、位相差θBUR=90度であることより、位相をθBURだけずらすことを実施する。同様に、基準波形テーブル(2次成分)202に関しては、減衰量G2BUR=0.7であることから、正弦波の振幅を1/G2BUR=1/0.7倍する。また、位相差θ2BUR=60度であることより、位相をθBURだけずらす事を実施する。
図16は、以上説明した処理を実施して修正した基準波形テーブル200の例を示す。
すなわち、図13の初期値と図16の修正後とを比較すると分かるように、図16に示す修正後では、基準波形テーブル200の波形は、ロール偏心量検出値(図16のフィルタテーブル121の波形)に一致するようになる。
ここで、図13および図16に示す、フィルタテーブル121の波形は、種々の周波数成分が含まれたロール偏心量検出値より、ロール偏心周波数成分、2倍ロール偏心周波数成分を抽出したものである。このフィルタテーブル121の波形が基準波形テーブル200の波形と一致すれば、フィルタテーブル121がロール偏心制御に使用される場合に必要なフィルタリング結果が、基準波形テーブル200に再現されていることになる。
図14の説明に戻ると、フィルタテーブル書込部256では、修正した基準波形テーブル200の内容を、上フィルタテーブル121Uおよび下フィルタテーブル121Lに書き込む。
図17は、減衰量位相差演算部251の構成例を示す。
ロール偏心量検出値x(t)と、基準波形出力値y(t)は、それぞれ個別のFFT演算部251aおよび251bにおいて、FFT演算および複素数演算を行い、演算出力X(ω)およびY(ω)を得る。これらの演算出力X(ω)およびY(ω)は、演算部251cで、[Y(ω)/X(ω)]の演算が行われ、減衰量G(ω)が得られる。そして、減衰量位相演算部251dにおいて、減衰量Gと位相θとが得られる。
ここで、周波数応答法の概要を示すと、図18に示すように、入側板厚偏差x(t)は、圧延現象(時間応答)g(t)によって、出側板厚偏差y(t)になる。
一方、図17に示すように、FFT演算で得られる演算出力X(ω)およびY(ω)ついては、図19に示すように、演算出力X(ω)が、圧延現象(周波数応答)G(ω)によって、出側板厚偏差Y(t)になる。
以上により、ロール偏心周波数成分と2倍周波数ロール偏心成分の振幅と位相差を、ロール偏心量検出値にあわせて、ロール偏心制御にて使用する上フィルタテーブル121U、下フィルタテーブル121Lを設定することが可能となる。これを実施することでフィルタテーブルの学習が完了するのを待つことなく、最適なロール偏心制御を実施することが可能である。圧延開始後すぐにフィルタテーブル設定装置250にてフィルタテーブルをイニシャル設定し、その後は通常のデジタルフィルタ機能を用いてフィルタテーブルを学習しながらロール偏心制御を実施する。
フィルタテーブル設定装置250においては、上下バックアップロールの直径差が小さいとし、ロール偏心周波数成分として上下バックアップロールの平均値を用いる前提で説明したが、上下ロール径差が大きい場合は、上下ロール偏心周波数成分ごとに減衰量位相差判定部251を用いて、上フィルタテーブルと下フィルタテーブルに対して、個別に設定すればよい。
[4.変形例]
上述した実施の形態においては、ロール偏心量検出値と基準波形出力値間の減衰量、位相差を、FFTを用いて求める方法につき説明したが、FFT以外にも波形間の相関係数を用いる等、他の方法を用いても同様に実現できる。
また、上述した実施の形態においては、ロール偏心量検出を、圧延機出側に設置された板厚計で検出した板厚偏差を用いて実施したが、圧延機の圧延荷重を用いて検出することも可能である。
また、本実施例においては、ロール偏心周波数成分の出側板厚偏差の制御操作端として、圧延機のロール間隔を用いたが、圧延機の出側板厚を制御する操作端として一般的に用いられる圧延機のロール速度、圧延機の入出側に設置された張力発生装置のロール速度のいずれを用いても同様である。ここで、圧延機の入出側に設置された張力発生装置には、タンデム圧延機における前段、後段スタンドの圧延機も含む。
また、本実施例においては、圧延機のバックアップロールの偏心量であるとして説明したが、変動周波数が予測可能な圧延機の各ロール(作業ロール、中間ロール、テンションリール等)の偏心量でも同様である。また、ロールの偏心量に限らず、被圧延材の硬度ムラ等、圧延機の上工程において発生した周期的外乱により発生する板厚変動でも同様である。
プラント設備は、ロールを用いて対象製品を搬送する事がほとんどであるため。搬送時にロールの1回転に起因する外乱が発生し、周期的外乱となる場合が多い。そのため、各種ロールの1回転に起因する外乱を抑制する制御を実施する場合においても、本方法は適用可能である。
また、被圧延材の硬度ムラは、上工程における製品加工時の温度ムラにより発生する硬さのムラであり、圧延機で加工されるときに硬い部分の出側板厚は厚く、柔らかい部分は薄くなるため、出側板厚偏差となり現れる。硬度ムラは周期的変動となっている場合が多く、外乱周期でフィルタリングしてフィードフォワード制御をかけるのが一般的である。
図20は、その場合における硬度ムラ抑制制御装置として構成した場合の概要を示す。硬度ムラ抑制制御部300は、圧延機1の出側に設置された出側板厚計17で検出した出側板厚偏差より、周波数成分抽出部301にて、硬度ムラの周波数成分を抽出する。そして、制御出力演算部302にて制御出力を演算し、各制御操作端に出力する。ここでは、制御操作端としては、入側TRおよび出側TRおよびロール間隔が有る。すなわち、制御出力演算部302にて得られた制御出力は、入側TR制御部5、出側TR制御部6、およびロールギャップ制御部7に供給する。
ここで、周波数成分抽出部301が、図11におけるソフトフィルタ101にあたる部分であり、上述した実施の形態例と同様の処理を実行することで、硬度ムラの周波数成分を抽出するまでの時間を短縮することが可能となり、制御効果を向上することができる。
なお、本例の圧延制御装置の構成は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現される。ここで、本実施形態に係る圧延制御装置の各機能を実現するためのハードウェアの例について、図21を参照して説明する。図21は、本実施形態に係る圧延制御装置を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図21に示すように、本実施形態に係る圧延制御装置は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を有する。
すなわち、本実施形態に係る圧延制御装置は、CPU(Central Processing Unit)C1、ROM(Read Only Memory)C2、RAM(Random Access Memory)C3、不揮発性ストレージC4、およびインタフェースC5がバスラインC8を介して接続されている。また、バスラインC8には、入力部C6および表示部C8が接続されている。
CPU C1は演算処理を実行する処理部であり、圧延制御装置全体の動作を制御する。ROM C2は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM C3は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU C1が情報を処理する際の作業領域として用いられる。
不揮発性ストレージC4は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。インタフェースC5は、バスラインC8と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し、伝送を制御する。また、インタフェースC5は、夫々の処理部が情報をやり取りし、若しくは圧延機に対して情報を入力するためのインタフェースとしても用いられる。
表示部C8は、オペレータが圧延制御装置の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。入力部C6は、キーボードやマウス等、オペレータが圧延制御装置に情報を入力するためのユーザインタフェースである。このようなハードウェア構成において、ROM C2や不揮発性ストレージC4に格納されたプログラムがRAM C3に読み出され、CPU C1がそのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る圧延制御装置の機能が実現される。
また、本発明は、上述した実施の形態例で述べた圧延機のロール偏心の制御に利用できる他、周期的外乱に起因した様々な制御対象プラントの状態量の周期的変動を除去する制御に利用可能である。
さらに、本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上述した実施の形態の各図の構成では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…圧延機、1a…作業ロール、1b…中間ロール、1c…バックアップロール、2…被圧延材、3…入側テンションリール(TR)3a、3…出側TR、4…ミル速度制御部、5…入側TR制御部、6…出側TR制御部、7…ロールギャップ制御部、8…入側張力計、9…出側張力計、10…圧延速度設定部、11…入側張力設定部、12…出側張力設定部、13…入側張力制御部、14…出側張力制御部、15…入側張力電流変換部、16…出側張力電流変換部、17…出側板厚計、18…出側板厚制御部、19…回転検知器、21…圧下制御部、101…ソフトフィルタ、110…位置合わせ部、111…出側板厚偏差−ロールギャップ換算部、120…出力タイミング調整部、121…フィルタテーブル、121L…下フィルタテーブル、121U…上フィルタテーブル、200…基準波形テーブル、201…基準波形テーブル(1倍テーブル)、202…基準波形テーブル(2倍テーブル)、250…フィルタテーブル設定部、251…減衰量位相差演算部、252…定周期サンプリング部、255…基準テーブル修正部、256…フィルタテーブル書き込部、300…硬度ムラ抑制制御部、301…周波数成分抽出部、302…制御出力演算部、C1…CPU、C2…ROM、C3…RAM、C4…不揮発性ストレージ、C5…インタフェース、C6…入力部、C7…操作部、C8…バスライン

Claims (6)

  1. 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタと、
    前記周期的外乱の周波数成分よりなる制御対象状態量の波形を記憶する基準波形テーブルと、
    前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と周期的外乱が含まれる制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタでのフィルタリング結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタを初期化する設定部と、を備える
    プラント制御装置。
  2. 前記基準波形と前記周波数成分との比較を、高速フーリエ変換による演算で周波数応答を求めることで行う
    請求項1に記載のプラント制御装置。
  3. 前記制御対象プラントは、材料を圧延する圧延機であり、前記制御対象状態量は、出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
    前記周期的外乱は、前記圧延機が備えるロールでの回転方向半径変動により発生する出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
    前記フィルタの出力は、前記圧延機のロール間隔またはロール速度、前記圧延機に設置された圧延材料の張力発生器のロール速度の少なくともいずれか一つである
    請求項1に記載のプラント制御装置。
  4. 前記制御対象プラントは、材料を圧延する圧延機であり、前記制御対象状態量は、出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
    前記周期的外乱は、前記圧延機の被圧延材における硬さ変動により発生する圧延材料の出側板厚偏差であり、
    前記フィルタの出力は、前記圧延機のロール間隔またはロール速度、前記圧延機に設置された圧延材料の張力発生器のロール速度の少なくともいずれか一つである
    請求項1に記載のプラント制御装置。
  5. 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタリング処理と、
    前記周期的外乱の周波数成分よりなる波形を基準波形テーブルとして記憶する基準波形記憶処理と、
    前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と前記制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタリング処理の結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタリング処理の出力を初期化する設定処理と、を含む
    プラント制御方法。
  6. 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタリング処理と、
    前記周期的外乱の周波数成分よりなる波形を基準波形テーブルとして記憶する基準波形記憶処理と、
    前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と前記制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタリングの結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタリング処理の出力を初期化する設定処理と、
    をコンピュータ装置に実行させるプログラム。
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