JP2019219865A - プラント制御装置、プラント制御方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
ロール偏心による板厚変動は、ロールの回転周期に依存する周期的板厚変動となるため、ロール偏心周波数成分で出側板厚をフィルタリングし、ロール偏心成分に応じてロールギャップを操作することで制御していた(例えば、特許文献1参照)。
同様な方式を利用して、ロールに起因する周波数成分以外の、周期的外乱についても制御することが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
ロール偏心制御の方法として、ロールの1回転を検出する検出器を設置し、ロール空転時に、荷重変動からロールギャップ変動量を推定してロールの回転方向位置に対応した補正量を決定して、圧延中はそれを出力するようにしたものがある。ロール空転時とは、上下作業ロール間に被圧延材がない状態でロールを回転させる状態をいう。
しかしながら、この方法は、ロール偏心成分の板厚変動を除去できる効果は大きいが、ロールの1回転を検出する検出器が必要であるため、設備投資額の増大、および検出器保守作業量の増大を招く。また、荷重変動からロール偏心成分を得るため、ロール空転が必要であり、その分だけ操業効率が低下する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から周期的外乱を抽出するフィルタと、周期的外乱の周波数成分よりなる制御対象状態量の波形を記憶する基準波形テーブルと、基準波形テーブルから得た基準波形と、制御対象プラントより取得した周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、基準波形と周期的外乱が含まれる制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、フィルタでのフィルタリング結果を予測して、予測結果に基づいてフィルタを初期化する設定部と、を備える。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、シングルスタンドの圧延機の構成を示す。
図2は、シングルスタンド圧延機の一般的な制御構成を示す。
シングルスタンド圧延機は、図1に示すように、圧延機1の圧延方向に対して入側に入側テンションリール(以下、テンションリールを「TR」と称する)3a、出側に出側TR3bを持つ。
図1では、加算器12bおよび13bにより、入側張力計8および出側張力計9で測定された実績張力と、入側張力設定部11および出側張力設定部12にて計算された入側および出側張力設定値の偏差を求める。そして、求めた偏差を入側張力制御部13および出側張力制御部14に入力している。入側張力制御部13および出側張力制御部14で求めた補正量は、加算器12aおよび13aで、入側張力設定部11および出側張力設定部12の出力に加えている。
加算器12aおよび13aで補正を加えた張力設定値は、張力電流変換部15および16に与えられ、入側TR制御部5および出側TR制御部6に設定する電流値が変更される。
ロール偏心は、圧延機1の作業ロール1a、中間ロール1b、バックアップロール1cの各ロールの偏心であり、ロールの研磨精度や軸受け精度に起因するロールの回転方向半径の不均一が原因で発生する。一般にバックアップロール1cのロール偏心成分が大きいため、バックアップロール1cに対するロール偏心成分除去制御が行われる。
ここで、本例のロール偏心制御装置を説明する前に、前提となる従来のロール偏心制御装置の構成例について説明する。
図2は、従来のロール偏心制御部100を示す。圧延機1の出側に設置された出側板厚計17にて検出した板厚偏差を、ソフトフィルタ101によりフィルタリング処理し、被圧延材上の一定長さ周期の板厚偏差を抽出する。そして、圧下制御部21により圧延機1のロールギャップを操作することにより、ロール偏心の制御が行われる。
すなわち、ロールギャップΔsを減算器141に供給し、ソフトフィルタ101の出力を減算する。そして、減算出力にさらに加算器142でロール偏心外乱(ロールギャップ)ΔSRECを加算し、その加算器142の出力を、換算部143で(M+Q・(1−α))/Mの演算を行い、板厚偏差Δhを得る。
この板厚偏差Δhは、換算部144で、M/(M+Q・(1−α))の演算を行い、さらに、換算部144の出力をソフトフィルタ101に供給する。ソフトフィルタ101の構成は図3で説明したものである。
したがって、ロール上のロール回転方向の複数点においては、出側板厚偏差の1次遅れで比例制御が実施されることになる。
この図7に示す構成の一巡伝達関数は、
図9は、比例積分補正偏心制御を行うために、偏差補正テーブル145を設けた場合の構成を示す。この場合の偏差補正テーブル145の構成としては、ソフトフィルタ101の出力を、パラメータG4設定部145aと、1/S演算部145bとにより補正し、加算器146に供給する。さらに、ソフトフィルタ101の出力を、パラメータG5設定部145cで補正し、加算器146に供給する。そして、加算器146の加算出力を、減算器141に供給し、ロールギャップΔsから減算する。
1次遅れの時定数Tは、サンプリング周期tsと、フィルタリング処理のパラメータG1G3より決定されるが、ここでのサンプリング周期tsは、ロールの1回転周期となる。フィルタリング処理のパラメータG1G3は、目的とするフィルタリング特性に応じて0.03〜0.3位の値を設定するので、ロールの回転周期の3〜30程度が出側板厚修正の時定数となる。
図11は、本例のロール偏心制御装置の構成を示す。
図11に示すロール偏心制御装置において、図2に示すロール偏心制御装置と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
図11に示すロール偏心制御部100は、基準波形テーブル200と、フィルタテーブル設定装置250を備える点が、図2に示す構成と相違する。
基準波形テーブル200は、基準となる波形を記憶する。
フィルタテーブル設定装置250は、基準波形テーブル200からの基準波形信号と、出側板厚計17からの出側板厚偏差をロールギャップ換算した実績信号より、フィルタテーブル121の初期値を設定する設定処理を行う。
ここでは、図12に示すように、基準波形テーブル(1次成分)201と、基準波形テーブル(2次成分)202とを用い、それらのテーブル201、202を加算して基準波形テーブル200が構成される。各テーブル201、202には、以下に説明する基準波形記憶処理で基準波形が記憶される。
したがって、ソフトフィルタ101が理想的に働いた状態では、BURロール偏心成分の2次成分までが取り出されているはずである。図13においては、判りやすいようにBUR回転3周期を描いているが、実際には領域(A)で示されるBUR回転1周期分のみがフィルタテーブル121に書き込まれる。同様に基準波形テーブル200、基準波形テーブル(1次成分)201、基準波形テーブル(2次成分)202についても、領域(A)のBUR回転1周期分のみを書き込むことになる。
2個の時系列データX、Yが有った場合、ある周波数成分につきXに対してYの減衰量(Y/X)、およびXに対するYの位相差を、高速フーリエ変換(FFT)を用いて求めることができる。
減衰量位相差演算部251を用いるためには、定周期(時間間隔一定)で収集されたデータが必要であり、データ個数として2のべき乗であればFFT演算を高速で実施可能である。ここで、位相合わせ部110の出力に、定周期サンプリング部252が、出側板厚偏差からロール偏心量への変換係数をかけ、ロール直下におけるロール偏心量検出値をx(t)、基準波形テーブル200のBUR回転位置に応じた出力値をy(t)とする。以下の説明では、ロール直下におけるロール偏心量検出値を、「ロール偏心量検出値」とし、基準波形テーブル200のBUR回転位置に応じた出力値を、「基準波形出力値」とする。
減衰量位相差演算部251でのFFTによる演算では、測定したい周期の2〜3倍程度のデータを必要とすることから、ロール偏心周波数成分fBURに応じて、定周期サンプリング方法を変更する必要がある。
サンプリング周期をts[sec]とした場合、最低で、下記のNSがデータ数となる。
すなわち、図13の初期値と図16の修正後とを比較すると分かるように、図16に示す修正後では、基準波形テーブル200の波形は、ロール偏心量検出値(図16のフィルタテーブル121の波形)に一致するようになる。
ここで、図13および図16に示す、フィルタテーブル121の波形は、種々の周波数成分が含まれたロール偏心量検出値より、ロール偏心周波数成分、2倍ロール偏心周波数成分を抽出したものである。このフィルタテーブル121の波形が基準波形テーブル200の波形と一致すれば、フィルタテーブル121がロール偏心制御に使用される場合に必要なフィルタリング結果が、基準波形テーブル200に再現されていることになる。
ロール偏心量検出値x(t)と、基準波形出力値y(t)は、それぞれ個別のFFT演算部251aおよび251bにおいて、FFT演算および複素数演算を行い、演算出力X(ω)およびY(ω)を得る。これらの演算出力X(ω)およびY(ω)は、演算部251cで、[Y(ω)/X(ω)]の演算が行われ、減衰量G(ω)が得られる。そして、減衰量位相演算部251dにおいて、減衰量Gと位相θとが得られる。
一方、図17に示すように、FFT演算で得られる演算出力X(ω)およびY(ω)ついては、図19に示すように、演算出力X(ω)が、圧延現象(周波数応答)G(ω)によって、出側板厚偏差Y(t)になる。
上述した実施の形態においては、ロール偏心量検出値と基準波形出力値間の減衰量、位相差を、FFTを用いて求める方法につき説明したが、FFT以外にも波形間の相関係数を用いる等、他の方法を用いても同様に実現できる。
また、上述した実施の形態においては、ロール偏心量検出を、圧延機出側に設置された板厚計で検出した板厚偏差を用いて実施したが、圧延機の圧延荷重を用いて検出することも可能である。
Claims (6)
- 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタと、
前記周期的外乱の周波数成分よりなる制御対象状態量の波形を記憶する基準波形テーブルと、
前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と周期的外乱が含まれる制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタでのフィルタリング結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタを初期化する設定部と、を備える
プラント制御装置。 - 前記基準波形と前記周波数成分との比較を、高速フーリエ変換による演算で周波数応答を求めることで行う
請求項1に記載のプラント制御装置。 - 前記制御対象プラントは、材料を圧延する圧延機であり、前記制御対象状態量は、出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
前記周期的外乱は、前記圧延機が備えるロールでの回転方向半径変動により発生する出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
前記フィルタの出力は、前記圧延機のロール間隔またはロール速度、前記圧延機に設置された圧延材料の張力発生器のロール速度の少なくともいずれか一つである
請求項1に記載のプラント制御装置。 - 前記制御対象プラントは、材料を圧延する圧延機であり、前記制御対象状態量は、出側板厚偏差または圧延荷重変動であり、
前記周期的外乱は、前記圧延機の被圧延材における硬さ変動により発生する圧延材料の出側板厚偏差であり、
前記フィルタの出力は、前記圧延機のロール間隔またはロール速度、前記圧延機に設置された圧延材料の張力発生器のロール速度の少なくともいずれか一つである
請求項1に記載のプラント制御装置。 - 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタリング処理と、
前記周期的外乱の周波数成分よりなる波形を基準波形テーブルとして記憶する基準波形記憶処理と、
前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と前記制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタリング処理の結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタリング処理の出力を初期化する設定処理と、を含む
プラント制御方法。 - 制御対象プラントから周期的外乱が含まれる制御対象状態量を取得して、取得した制御対象状態量から前記周期的外乱を抽出するフィルタリング処理と、
前記周期的外乱の周波数成分よりなる波形を基準波形テーブルとして記憶する基準波形記憶処理と、
前記基準波形テーブルから得た基準波形と、前記制御対象プラントより取得した前記周期的外乱が含まれる制御対象状態量とを比較して、前記基準波形と前記制御対象状態量との減衰量差および位相差を求め、求めた減衰量および位相差に基づいて、前記フィルタリングの結果を予測して、予測結果に基づいて前記フィルタリング処理の出力を初期化する設定処理と、
をコンピュータ装置に実行させるプログラム。
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