以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、例えば、パチンコ遊技機、スロットマシン、雀球機、アレパチ機等の種々の遊技機に適用可能であるが、本実施の形態では、パチンコ遊技機に適用した例を説明する。図1は前面扉と本体枠が開放されたパチンコ遊技機の正面斜視図、図2は前面扉が開放されたパチンコ遊技機の正面斜視図である。パチンコ遊技機は、遊技機本体1と、前面扉2とによって概略構成されており、このうち、遊技機本体1は、縦長な方形状に枠組み形成される外枠3と、外枠3の一側にヒンジ機構4,4によって開閉自在に装着される本体枠5とからなっている。そして、本体枠5の前面一側に前面扉2がヒンジ機構6,6によって開閉自在に装着されている。また、このパチンコ遊技機には、被閉止対象である本体枠5に対し前面扉2を開放及び施錠する施錠装置7Bと、被閉止対象である外枠3に対し本体枠5を開放及び施錠する施錠装置7Aが設けられている。そして、これら施錠装置7Aと施錠装置7Bのそれぞれが請求項1に示されている遊技機の構成要素である施錠装置に該当する。なお、この実施形態において「前側」とは、パチンコ遊技機の正面側、「後側」とは、パチンコ遊技機の背面側、「右側」「左側」とは、パチンコ遊技機を正面から見た場合の右側、左側をそれぞれ指すこととする。
前記外枠3は、上下に配置される上枠板8及び下枠板9、左右に配置される側枠板10,10を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されている。また、下枠板9の前方には、合成樹脂製の装飾カバー11が装着されている。なお、外枠3の開放側内側面、すなわち、右側の側枠板10内側面の上部と下部の2箇所に、後述する施錠装置7Aの本体枠用上側係止部25と本体枠用下側係止部28のそれぞれを係止させる本体枠用上側被係止部12aと本体枠用下側被係止部12bが設けられている。この本体枠用上側被係止部12aと本体枠用下側被係止部12bは、平板状の金属板を直角に折曲した断面L字形の部材で、一方の板部が外枠3の内側に延出するように他方の板部が外枠3の右側の側枠板10の内側面に固着されている。そして、外枠3の内側に延出する一方の板部に施錠装置7Aの本体枠用上側係止部25と本体枠用下側係止部28のそれぞれを受け容れる縦長矩形状の長孔13a,13bが開設されている。
前記本体枠5は、上下に配置される上囲繞部材14及び下囲繞部材15、左右に配置される側部囲繞部材16,16を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されており、そのサイズは、外枠3の装飾カバー11を除く前面を略覆うサイズになっている。また、本体枠5の下囲繞部材15の上側に、方形状の遊技盤収納凹部17が形成されており、この遊技盤収納凹部17に図示はしないが遊技球を流下させる遊技盤が配設されることになる。そして、この遊技盤の前面には、入賞装置、遊技釘、球誘導レール等が配設され、遊技盤の後側には、球タンク、通路部材、球払出装置、各種制御基板等が配設されることになる。また、下囲繞部材15には、図示はしないが打球発射装置等が配設されることになる。さらに、本体枠5の開放側の上下のそれぞれ、具体的には、上囲繞部材14と下囲繞部材15の右側端部前面に、後述する施錠装置7Bの前面扉用上側係止部91と前面扉用下側係止部94のそれぞれを係止させる前面扉用上側被係止部18aと前面扉用下側被係止部18bが設けられている。この前面扉用上側被係止部18aは、図9に示されているように、上囲繞部材14の右端部に前方へ突出状に固着されており、その内側に施錠装置7Bの前面扉用上側係止部91を受け容れるラッチ受容部19aが形成されている。また、前面扉用上側被係止部18aの前側下端に斜め上方に延出し、先端が上方へ折曲された押圧片20aが形成されている。また、前面扉用下側被係止部18bは、前面扉用上側被係止部18aと同様の部材で、その違いは、下囲繞部材14の右端部に、前面扉用上側被係止部18aと上下反対向きに装着されている点である。従って、前面扉用下側被係止部18bには、その前側上端に斜め下方に延出し、先端が下方へ折曲された押圧片20bが形成されている。さらに、右側部囲繞部材16の前面上下方向中央部に前方へ突出する係合部材としての係合ピン21が設けられている。この係合ピン21は、図13に示されているように、後側が円柱形状で、前側は先端に向かって次第に先細となるテーパー状に形成されていると共に、円柱形状の部分とテーパー状に形成されている部分の境目に細幅の溝21aが周設されている。また、右側部囲繞部材16の下方、具体的には、右側部囲繞部材16であり、これと下囲繞部材17とが交差する辺りに、後述する施錠装置7Aの押下ピン49を露出させるための開口部22が形成されている。なお、本体枠5の開放側右外側面、具体的には、右側部囲繞部材16の右外側面に支持基板23を介して施錠装置7Aが装着されている。
前記施錠装置7Aは、支持基板23の上方に上下動可能に設けられる本体枠用上側施錠杆24と、本体枠用上側施錠杆24の上端に設けられる本体枠用上側係止部25と、本体枠用上側係止部25を上側に付勢する上部付勢手段としてのバネ26と、支持基板23の下方に上下動可能に設けられる本体枠用下側施錠杆27と、本体枠用下側施錠杆27の下端に設けられる本体枠用下側係止部28と、本体枠用下側係止部28を下側に付勢する下部付勢手段としてのバネ29と、本体枠用上側施錠杆24と本体枠用下側施錠杆27の間に位置してこれら施錠杆を連結する本体枠用リンク機構30とによって概略構成されている。ちなみに、施錠装置7Aは、これら構成要素の他に前述した外枠3の本体枠用上側被係止部12b、本体枠用下側被係止部12b及び前面扉2の後述するシリンダ錠87も構成要素としている。
前記支持基板23は、図3に示されているように、縦長な金属製の帯状板からなり、その上下方向の長さが本体枠5の上下方向の長さと略同じに設定されている基板本体23aと、基板本体23aの上側縁が直角に折曲されて形成された細幅の上側壁部23bと、基板本体23aの下側縁が直角に折曲されて形成された細幅の下側壁部23cと、基板本体23aの前側縁が直角に折曲されて形成された細幅の前側壁部23dと、基板本体23aの後側縁が直角に折曲されて形成された細幅の後側壁部23eとによって構成されている。そして、支持基板23には、その上端部と下端部のそれぞれにバネ掛け片31,32が形成されており、上端やや下方と中央部やや下方の2箇所に螺子孔33,34が穿設され、螺子孔34のやや下方にボス35が形成されている。また、上側壁部23bと下側壁部23cには、横長矩形状のスリット36,37が開設されている。さらに、前側壁部23dの下端やや上方には縦長矩形状に切り欠かれた切欠部38が形成されている。また、前側壁部23dと後側壁部23eのそれぞれの上下と中央の3箇所に取付片部39,39・・が形成されており、これら取付片部39,39・・にネジを螺着することにより、支持基板23が本体枠5の右側の側部囲繞部材16に取り付けられている。
前記本体枠用上側施錠杆24は、縦長な金属製の帯状板からなり、その上下方向の長さは、支持基板23の上下方向の長さの7割程度の長さに設定されている。また、本体枠用上側施錠杆24の上部と下部には、幅方向の両側を円弧状に膨出させた円弧状膨出部40a,40b,41a,41bが形成されている。なお、本体枠用上側施錠杆24の幅方向の長さは、支持基板23の内法よりもやや短く設定されている一方、円弧状膨出部が形成されている部分の幅方向の最長部は支持基板23の内法と略同じ長さに設定されている。また、円弧状膨出部40a,40bと41a,41bの各々の間に支持基板23側(右側)へ擂鉢状に突出させた円形摺動部42,43が形成されている。従って、本体枠用上側施錠杆24が支持基板23内で上下動する際、本体枠用上側施錠杆24の円弧状膨出部の最長部のみが支持基板23の前側壁部23dと後側壁部23eに接触して摺動すると共に、円形摺動部のみが基板本体23aに接触して摺動するため、最小限の摩擦でスムーズ且つ安定して上下動することになる。さらに、本体枠用上側施錠杆24の上方の2箇所と下方の1箇所にスライド用長孔45,46,47が開設されており、本体枠用上側施錠杆24の下端部に連結ピン用孔44が穿設されている。そして、スライド用長孔46,47のそれぞれにネジを挿通し、支持基板23の螺子孔33,34に螺着することで、本体枠用上側施錠杆24が支持基板23に所定範囲で上下動自在に装着されている。さらに、本体枠用上側施錠杆24の下端部の前側縁に、直角方向に屈曲形成された矩形状の押下板48が形成されており、この押下板48には前方へ突出する押下部材としての押下ピン49が設けられている。そして、押下板48は、支持基板23の切欠部38の内側に位置し、押下ピン49が切欠部38の範囲内で上下に移動可能になっている。なお、押下ピン49は、後述する施錠装置7Bの作動リンク部材130の押圧片部137の直下に位置することになる。前記本体枠用上側係止部25は、縦長矩形状の金属板からなり、その上半部両側縁のそれぞれに、両側縁が直角に折曲されて形成された細幅のガイド壁52,52が設けられている。また、本体枠用上側係止部25の上側縁53は、後側に下傾するスロープ状になっており、その前側はガイド壁52よりも上方に突出している。さらに、本体枠用上側係止部25の上端部に縦長矩形状の長孔54が開設されており、中央部にバネ掛け片55が設けられ、下端部に螺子挿通孔56が穿設されている。そして、本体枠用上側係止部25は、その上側縁53が支持基板23のスリット36に上方へ突出するように挿入されていると共に、支持基板23のバネ掛け片31が本体枠用上側係止部25の長孔54から突出するようにし、支持基板23のバネ掛け片31と本体枠用上側係止部25のバネ掛け片55にバネ26が装着されている。これにより、本体枠用上側係止部25は、常態において、上側へ付勢されることになる。また、本体枠用上側施錠杆24のスライド用長孔45と本体枠用上側係止部25の螺子挿通孔56とを螺子によって螺着することで、本体枠用上側施錠杆24と本体枠用上側係止部25が連結されている。
前記本体枠用下側施錠杆27は、縦長な金属製の帯状板からなり、その上下方向の長さは、支持基板23の上下方向の長さの1割程度に設定されており、また、その幅方向の長さは、前述した本体枠用上側施錠杆24と比較して短く設定されている。また、本体枠用下側施錠杆27の上端部には、連結ピン用孔60が穿設されており、下端部にはスライド用長孔61が開設されている。前記本体枠用下側係止部28は、前述の本体枠用上側係止部25と同一の部材を上下方向に反転させた状態で装着されている。すなわち、本体枠用下側係止部28は、その下半部両側縁のそれぞれにガイド壁62,62が設けられ、また、下側縁64は、後側に下傾するスロープ状になっており、その前側はガイド壁62よりも下方に突出している。さらに、下端部に縦長矩形状の長孔65が開設されており、中央部にバネ掛け片66が設けられ、上端部に螺子挿通孔67が穿設されている。そして、本体枠用下側係止部28の下側縁64が支持基板23のスリット37に下方へ突出するように挿入されて、支持基板23のバネ掛け片32が本体枠用下側係止部28の長孔65から突出するようにし、支持基板23のバネ掛け片32と本体枠用下側係止部28のバネ掛け片66にバネ29が装着されている。これにより、本体枠用下側係止部28は、常態において、下側へ付勢されることになる。また、本体枠用下側施錠杆27のスライド用長孔61と本体枠用下側係止部28の螺子挿通孔67とを螺子によって螺着することで、本体枠用下側施錠杆27と本体枠用下側係止部28が連結されている。
前記本体枠用リンク機構30は、縦長な金属製の帯状板からなる押下リンク杆70と回動リンク杆71とによって構成されている。このうち押下リンク杆70は、長手方向中央部に段差が形成されており、また、上端部と下端部のそれぞれにピン挿通孔72,73が穿設されている。他方、回動リンク杆71は、上下端部のそれぞれに連結用孔74,75が、中央部に中心孔76が穿設されている。そして、押下リンク杆70のピン挿通孔72と本体枠用上側施錠杆24下端の連結ピン用孔44が連結ピンによって連結されると共に、押下リンク杆70のピン挿通孔73と回動リンク杆71の連結用孔74が連結ピンによって回動自在に連結されている。また、回動リンク杆71の連結用孔75と本体枠用下側施錠杆27の連結ピン用孔60が連結ピンによって連結されている。さらに、回動リンク杆71の中心孔76が支持基板23のボス35に螺子によって回動自在に枢着されている。従って、回動リンク杆71が中心孔76を支点として回動すると、押下リンク杆70と本体枠用下側施錠杆27を互いに反対方向に移動させることになる。
なお、前記施錠装置7Aにおいて、上側施錠杆と上側係止部、下側施錠杆と下側係止部を別部材によって構成し、これらを互いに連結すると共に、上側係止部と下側係止部のそれぞれに付勢手段としてのバネを直接装着した例を示したが、上側施錠杆に上側係止部、下側施錠杆に下側係止部を一体的に形成し、上側施錠杆と下側施錠杆のそれぞれに付勢手段としてのバネを装着するようにしても良い。
前記前面扉2は、上下に配置される上枠部材80及び下枠部材81、左右に配置される側枠部材82,82を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されており、そのサイズは、本体枠5の前面を略覆うサイズになっている。このうち、下枠部材81は、本体枠5の下囲繞部材15の前面全体を覆う板状に形成されている。また、上枠部材80及び下枠部材81、左右に配置される側枠部材82,82は、それぞれの側縁が直角に後側に折曲されて形成された細幅の折返し片部80a,81a,82aが設けられている。なお、右側の側枠部材82の上部と下部の折返し片部82aのそれぞれに、矩形状の開口部83,84が開設されている。また、右側の側枠部材82の側部の折返し片部82aの上下方向中央やや上方にバネ掛け片85が形成されている。また、前面扉2の上枠部材80、下枠部材81、側枠部材82,82の内側部分は開放部になっており、図示はしないが該開放部を後方から塞ぐようにして一対の透明板ユニットが装着されることになる。さらに、前面扉2の下枠部材81の前面には、図示はしないが球受皿、操作ハンドル等が装着されることになり、また、前面扉2の周囲前面には、装飾用の合成製樹脂カバーが装着されることになる。また、前面扉2の右下、具体的には、右側枠部材82の下端のやや上方に、図5に示されているように、錠取付穴86が開設されており、ここにシリンダ錠87が前後方向に貫通状に装着されている。すなわち、シリンダ錠87は、その錠孔が前面扉2の前面に露出し、その錠軸の基端部88が前面扉2の後面側に位置するように装着されている。さらに、右側枠部材82の後面には、施錠装置7Bを装着するための複数のボス89a〜89fが突設されている。そして、前面扉2の開放側裏面、具体的には、右側枠部材82の後面に施錠装置7Bが装着されている。また、右側枠部材82の後面であり、上下方向の中央部に施錠装置7Bの補助的な役割を果たす中央部閉止機構78が設けられている。
前記施錠装置7Bは、右側枠部材82の後面上方に上下動可能に設けられる前面扉用上側施錠杆90と、前面扉用上側施錠杆90の上端に設けられる前面扉用上側係止部91と、前面扉用上側係止部91を上側に付勢する上部付勢手段としてのバネ92と、右側枠部材82の後面の下方に上下動可能に設けられる前面扉用下側施錠杆93と、前面扉用下側施錠杆93の下端に設けられる前面扉用下側係止部94と、前面扉用下側係止部94を下側に付勢する下部付勢手段としてのバネ95と、前面扉用上側施錠杆90と前面扉用下側施錠杆93の間に位置してこれら施錠杆を連結する前面扉用リンク機構96とによって概略構成されている。ちなみに、施錠装置7Bは、これら構成要素の他に前述した本体枠5に設けられた前面扉用上側被係止部18a、前面扉用下側被係止部18b及びシリンダ錠87も構成要素としている。
前記前面扉用上側施錠杆90は、縦長な金属製の帯状板からなり、その上下方向の長さは、右側枠部材82の上下方向の長さの7割程度の長さに設定されている。また、前面扉用上側施錠杆90の上下方向中央部やや下側部分の右側(図5では左側)は、コの字状に凹ませた押部としての凹部90aになっている一方、左側(図5では右側)は、コの字状に膨出している。さらに、前面扉用上側施錠杆90の上下端部のそれぞれに螺子孔100,101が穿設されており、上側の螺子孔100のやや下方にスライド用長孔102が、下側の螺子孔101のやや上方にスライド用長孔103が開設されている。そして、スライド用長孔102,103のそれぞれにネジを挿通し、右側枠部材82のボス89a,89bに螺着することで、前面扉用上側施錠杆90が右側枠部材82の後面上方に上下動自在に装着されている。前記前面扉用上側係止部91は、縦長矩形状のラッチベース105と、ラッチベース105に螺着されているラッチ部材106と、ラッチ部材106を収容するケース体107と、ケース体107の後面を覆う蓋体108とから構成されている。ラッチベース105は、その上半部両側縁のそれぞれに、両側縁が直角に折曲され後方に突出状に形成された細幅のガイド壁109,109が設けられている。また、ラッチベース105の上端部に螺子挿通孔110が穿設されており、下端部に縦長矩形状の長孔111が開設されている。ラッチ部材106は、細厚立方体形状であり、その上端部が前側から後側に向かって下傾するスロープ状に形成されている。また、ラッチ部材106の中央に螺子挿通孔112が穿設されている。また、ケース体107は、上下方向の長さが、ラッチベース105よりも短く設定されており、その上面と後面が開口する箱枠状に形成されている。そして、ラッチベース105の螺子挿通孔110とラッチ部材106の螺子挿通孔112に前方からネジを挿通して螺着することで、ラッチ部材106がラッチベース105の左右のガイド壁109,109の内側に収まるように固着されている。また、ラッチベース105の長孔111と前面扉用上側施錠杆90の螺子孔100がピンによって連結されることで、ラッチベース105は、前面扉用上側施錠杆90に対し上下動自在に装着されている。さらに、ラッチベース105及びこれに固着されたラッチ部材106の上端部が右側枠部材82上側の折返し片部82aの開口部83に上方へ突出するように挿入されている。また、ケース体107をラッチベース105の後面に臨むように配置し、且つケース体107にラッチ部材106が収容された状態にして、ケース体107の後面に蓋体108を被せ、右側枠部材82に共締めすることで螺着されている。さらに、ケース体107の内部であり、ラッチ部材106の下方に位置するようにバネ92が配置されている。これにより、前面扉用上側係止部91は、常に上方へ付勢された状態となる。
前記前面扉用下側施錠杆93は、縦長な金属製の帯状板からなり、その上下方向の長さは、右側枠部材82の上下方向の長さの1割程度に設定されている。また、前面扉用下側施錠杆93の上下両端部のそれぞれに螺子挿通孔115,116が穿設されており、螺子挿通孔115の下方と螺子挿通孔116の上方のそれぞれにスライド用長孔117,118が開設されている。そして、スライド用長孔117,118のそれぞれにネジを挿通し、右側枠部材82のボス89e,89fに螺着することで、前面扉用下側施錠杆93が右側枠部材82の後面下方に上下動自在に装着されている。なお、前面扉用下側施錠杆93は、その下端が上端よりも右側枠部材82の内側よりに位置するようにやや斜めになった状態で右側枠部材82に装着されている。前記前面扉用下側係止部94は、前述の前面扉用上側係止部91と同一の構成要素からなり、それら構成要素が上下逆向きになっている。すなわち、ラッチベース120の螺子挿通孔125とラッチ部材121の螺子挿通孔127に前方からネジを挿通して螺着することで、ラッチ部材121がラッチベース120の左右のガイド壁122,122の内側に収まるように固着されている。また、ラッチベース120の長孔126と前面扉用下側施錠杆93の螺子孔116がピンによって連結されることで、ラッチベース120は、前面扉用下側施錠杆93に対し上下動自在に装着されている。さらに、ラッチベース120及びこれに固着されたラッチ部材121の下端部が右側枠部材82下側の折返し片部82aの開口部84に下方へ突出するように挿入されている。また、ケース体123をラッチベース120の後面に臨むように配置し、且つケース体123にラッチ部材121が収容された状態にして、ケース体123の後面に蓋体124を被せ、右側枠部材82に共締めすることで螺着されている。さらに、ケース体123の内部であり、ラッチ部材121の上方に位置するようにバネ95が配置されている。これにより、前面扉用下側係止部94は、常に下方へ付勢された状態となる。
なお、前記施錠装置7Bにおいて、上側施錠杆と上側係止部、下側施錠杆と下側係止部を別部材によって構成し、これらを互いに連結すると共に、上側係止部と下側係止部のそれぞれに付勢手段としてのバネを直接装着した例を示したが、上側施錠杆に上側係止部、下側施錠杆に下側係止部を一体的に形成し、上側施錠杆と下側施錠杆のそれぞれに付勢手段としてのバネを装着するようにしても良い。
前記リンク機構96は、シリンダ錠87の錠軸の基端部88に固着された作動リンク部材130と、前面扉用上側施錠杆90に回動自在に連結された上側回動リンク部材131と、前面扉用下側施錠杆93に回動自在に連結された下側回動リンク部材132と、上側回動リンク131と下側回動リンク132を前面扉2に軸支するためのリンクベース133とによって概略構成されている。
前記作動リンク部材130は、中心から四方に延出する延出片130a,130b,130c,130dを備えた略十字状の金属製の板状部材によって形成されており、その中心には軸固着孔135が穿設されている。そして、軸固着孔135にネジを挿通し、シリンダ錠87の錠軸88に固着されている。従って、シリンダ錠87の錠軸が回動すると、これに伴って、作動リンク部材130が回動することになる。また、作動リンク部材130の上下に位置する延出片130a,130bのそれぞれには、前側に突出する係合ピン(当接部材)136a,136bが螺着されている。さらに、左右に位置する延出片130c,130dのそれぞれに丸孔が穿設されている。また、上側の延出片130aの外側端(右側端)に後方へ延出され、その先端部が外方(右側)に折曲された押圧片部(押圧部材)137が設けられている。前記リンクベース133は、所定の厚みを有する略逆L字形の部材で、その上端部内側(左側)と下端部外側(右側)のそれぞれにボス挿入孔138a,138bが開設されている。そして、このリンクベース133のボス挿入孔138a,138bが右側枠部材82後面のボス89c,89dに挿入されて、リンクベース133がシリンダ錠87の後端部を囲うように配置されている。前記上側回動リンク部材131と前記下側回動リンク部材132は、いずれも金属製の板材で、このうち、上側回動リンク部材131は、その上端縁が内側に向かって下傾するスロープ状に形成され、下側回動リンク部材132は、その下端縁が外側に向かって上傾するスロープ状に形成されている。また、上下の回動リンク部材131,132のそれぞれに作動リンク部材130の上下の係合ピン136a,136bを受ける受部としての誘導溝139a,139bが形成されている。具体的には、上側回動リンク部材131は、その下端部に外側が開口する横長な誘導溝139aが形成されており、下側回動リンク部材132は、その上端部に内側が開口する横長な誘導溝139bが形成されている。さらに、上側回動リンク部材131には、その上端部内側に支点孔140aが、上端部外側に連結孔141aが穿設されており、下側回動リンク部材132には、その下端部外側に支点孔140bが、下端部内側に連結孔141bが穿設されている。そして、上側回動リンク部材131と下側回動リンク部材132のそれぞれをリンクベース133の後面に臨ませると共に、上下の回動リンク部材131,132の誘導溝139a,139bに作動リンク部材130の係合ピン136a,136bを挿入させた状態で、上下の回動リンク部材131,132がリンクベース133に螺着されている。これにより、上側回動リンク部材131と下側回動リンク部材132がリンクベース133を介して前面扉2の右側枠部材82に回動自在に軸支されることになる。また、上側回動リンク部材131の連結孔141aと前面扉用上側施錠杆90の螺子孔101がネジによって連結され、下側回動リンク部材132の連結孔141bと前面扉用下側施錠杆93の螺子挿通孔115がネジによって連結されている。これにより、上側回動リンク部材131の回動に伴って、前面扉用上側施錠杆90が下動し、下側回動リンク部材132の回動に伴って、前面扉用下側施錠杆93が上動することになる。
前記実施形態において、施錠装置7Bの作動リンク部材130を十字状の金属板により形成した例を示したが、これに限られず、例えば、縦長帯板状の金属板によって形成することも可能である。すなわち、中心にシリンダ錠の錠軸を固着する孔があり、その両側のそれぞれに上下の回動リンク部材に接触する当接部が設けられていればよい。また、回動リンク部材において、作動リンク部材130の係合ピン136a,136bを受ける受部の例として、一方側が開口する誘導溝139a,139bを例示したが、これに限られるわけではない。すなわち、例えば、両側が閉塞された長孔状の溝であってもよいし、単に作動リンク部材の当接部を受ける片状の部材であってもよい。要するに、作動リンク部材の当接部を受けて回動リンク部材を回動させられるようになっていればよい。
前記中央部閉止機構78は、前面扉2の右側枠部材82後面の上下方向略中央部、具体的には、右側枠部材82後面であり、前面扉用上側施錠杆90の凹部90aの内側に位置するよう固着されるスライドベース145と、スライドベース145に摺動自在に重合されるスライドロック部材146と、スライドロック部材146を右側枠部材82に対して付勢する付勢手段としてのバネ147とによって構成されている。このうち、スライドベース145は、後面板145aと側板145bとからなる断面L字形の金属板と、後面板145aの上下両端部のそれぞれに設けられた取着片145c,145cとによって形成されている。また、取着片145c,145cのそれぞれに取着孔148a,148bが穿設されており、この取着孔148a,148bにネジを螺着することにより、スライドベース145が右側枠部材82に固着されている。さらに、スライドベース145の後面板145aの上下両端部には、スライド長孔149a,149bが開設されていると共に、それらスライド長孔149a,149bの間、すなわち、後面板145aの上下方向の略中央に外側(右側)が開口する円弧状切欠150が形成されている。スライドロック部材146は、スライドベース145の後面板145aと側板145bのそれぞれに重合する後面重合板146aと側面重合板146bとを有する断面略L字形の金属板で、その上端部にバネ掛け片151が設けられている。また、後面重合板146aの上下両端部のそれぞれにピン挿通孔152a,152bが穿設されていると共に、それらピン挿通孔152a,152bの間、すなわち、後面重合板146aの上下方向の略中央に外側(右側)が開口する矩形状切欠153が形成されている。そして、スライドベース145の後面板145aのスライド長孔149a,149bとスライドロック部材146のピン挿通孔152a,152bのそれぞれにピンを挿通して、スライドベース145にスライドロック部材146が上下移動可能に取着されている。また、スライドロック部材146のバネ掛け片151と右側枠部材82のバネ掛け部85にバネ147が掛止されている。これにより、スライドロック部材146は、常態において、上方に付勢された状態でスライドベース145に重合することとなる。
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機における前面扉2及び本体枠5の施錠及び解錠方法について説明する。まず、図1に示されているように、本体枠5と前面扉2の双方が開放されている状態において、これらを閉止する方法から説明する。まず、本体枠5を外枠3に対し閉止する場合であるが、本体枠5を外枠3にそのまま押し込むことで閉止することができる。すなわち、本体枠5を外枠3に向けて押すと、図7(a)に示されているように、施錠装置Aの本体枠用上側係止部25の上側縁53が外枠3の本体枠用上側被係止部12aの前縁に接触すると共に、本体枠用下側係止部28の下側縁64が外枠3の本体枠用下側被係止部12bの前縁に接触する。ここで、本体枠用上側係止部25の上側縁53及び本体枠用下側係止部28の下側縁64がスロープ状になっていると共に、本体枠用上側係止部25は、その長孔54の範囲で下動可能になっており、本体枠用下側係止部28は、その長孔65の範囲で上動可能になっているため、これら係止部25,28は、図7(b)に示されているように、被係止部12a,12bを摺動しながらバネ26,29の付勢に抗しつつ徐々に支持基板23内へと引っ込んでいく。そして、図7(c)に示されているように、本体枠用上側係止部25の上側縁53の前端が本体枠用上側被係止部12aの長孔13aに、本体枠用下側係止部28の下側縁64の前端が本体枠用下側被係止部12bの長孔13bに到達すると、これら係止部25,28のそれぞれがバネ26,29の付勢力によって、上下の被係止部12a,12bの長孔13a,13bのそれぞれに嵌まり込み、本体枠5が外枠3に施錠されることになる。
前面扉2を本体枠5に対して閉止する場合も、前面扉2を本体枠5にそのまま押し込むことで閉止することができる。すなわち、前面扉2を本体枠5に向けて押すと、図9(a)に示されているように、前面扉2の右側枠部材82の上側の折返片部82aに開設されている開口部83から突出している施錠装置Bの前面扉用上側係止部91が、本体枠5の右上端部に形成されている前面扉用上側被係止部18aの押圧片20aの前縁に接触する。同時に、右側枠部材82の下側の折返片部82aに開設されている開口部84から突出している前面扉用下側係止部94が、本体枠の右下端部に形成されている前面扉用下側被係止部18bの前縁に接触する。ここで、前面扉用上側係止部91の後端部が後側に向かって下傾するスロープ状に、前面扉用下側係止部94の後端部が後側に向かって上傾するスロープ状になっていると共に、前面扉用上側係止部91は、その長孔111の範囲で前面扉用上側施錠杆90に対して下動可能になっており、前面扉用下側係止部94は、その長孔126の範囲で前面扉用下側施錠杆93に対して上動可能になっているため、図9(b)に示されているように、これら係止部91,94は、それぞれ前面扉用上側被係止部18aの押圧片20aと前面扉用下側被係止部18bの押圧片20bに押されて開口部83,84内へ一旦侵入していく。そして、前面扉用上側係止部91の前端と前面扉用下側係止部94の前端のそれぞれが、前面扉用上側被係止部18aのラッチ受容部19aと前面扉用下側被係止部18bのラッチ受容部19bに到達すると、これら係止部91,94のそれぞれがバネ92,95の付勢力によって、ラッチ受容部19a,19b内に嵌まり込み、前面扉2が本体枠5に施錠されることになる。また、これと同時進行で、中央部閉止機構78によって、前面扉2の中央部分が本体枠5に固定されることになる。すなわち、図13(a)の開放状態から、前面扉2を本体枠5に向けて押すと、図13(b)に示されているように、本体枠5の右側の側部囲繞部材16前面中央部に突出状に設けられた係合ピン21のテーパー部分が、前面扉2の中央部閉止機構78のスライドロック部材146の矩形状切欠153の下縁に接触する。そして、係合ピン21のテーパー部分が矩形状切欠153を越えると、今度は、係合ピン21がスライドロック部材146をバネ147の付勢に抗して押し下げる。さらに、係合ピン21が前方へ進行していって、その溝部21aが矩形状切欠153の下縁に到達すると、スライドロック部材146がバネ147によって押し上げられ、スライドロック部材146の矩形状切欠153の下縁が係合ピン21の溝部21aに嵌まり込む。これによって、前面扉2の右側の前後方向中央部が本体枠5に対して強固に閉止されることになる。
次に、パチンコ遊技機における前面扉2及び本体枠5の解錠方法について説明する。まず、前面扉2を解錠し、本体枠5から開放する場合から説明すると、前面扉2が施錠されている状態では、図9(c)に示されているように、前面扉2に設けられている前面扉用上側係止部91が本体枠5に設けられている前面扉用上側被係止部18aのラッチ受容部19aに嵌まり込んでいる。同様に、前面扉用下側係止部94が前面扉用下側被係止部18bのラッチ受容部19bに嵌まり込んでいる。また、図13(c)に示されているように、前面扉2に設けられている中央部閉止機構78のスライドロック部材146の矩形状切欠153の下縁が、本体枠5に設けられている係合ピン21の溝部21aに嵌まり込んでいる。この時、施錠装置7Bのリンク機構96に着目すると、図10に示されているように、前面扉用リンク機構96の作動リンク部材130は、その上下の延出片130a,130bに設けられている係合ピン136a,136bがシリンダ錠87の錠軸の基端部88の上下に一直線状に並び、上下の回動リンク部材131,132の誘導溝139a,139bのそれぞれの開口側の端部に位置している。この状態において、パチンコ遊技機の前面に露出するシリンダ錠87の鍵孔にキーを差し込んで反時計回り方向へ回動させると、シリンダ錠87の錠軸と共に、錠軸の基端部88に固着されている作動リンク部材130も、図11に示されているように、反時計回り方向へ回動する(図11では時計回り方向)。これに伴って、作動リンク部材130の係合ピン136a,136bが上下の回動リンク部材131,132の誘導溝139a,139b内を移動すると共に誘導溝139a,139bの縁部に当接し、回動リンク部材131,132をそれぞれの支点孔140a,140bを支点として回動させる。この時、上側の回動リンク部材131は、その連結孔141aが前面扉用上側施錠杆90の螺子孔101と連結されていることから、前面扉用上側施錠杆90を押し下げると同時に、前面扉用上側施錠杆90に連結されている前面扉用上側係止部91を引き下げる。これによって、前面扉用上側係止部91が前面扉用上側被係止部18aのラッチ受容部19aから抜けて、前面扉2の開口部83内に引っ込む。またこの時、前面扉用上側施錠杆90の凹部90aがスライドロック部材146の後面重合板146aの内側上縁に当接すると共に、バネ147の付勢に抗してスライドロック部材146を押し下げる。これにより、係合ピン21の溝部21aがスライドロック部材146の矩形状切欠153の下縁から外れる。他方、下側の回動リンク部材132は、その連結孔141bが前面扉用下側施錠杆93の螺子孔115と連結されていることから、前面扉用下側施錠杆93を押し下げると同時に、前面扉用下側施錠杆93に連結されている前面扉用下側係止部94を引き下げる。これによって、前面扉用下側係止部94が前面扉用下側被係止部18bのラッチ受容部19bから抜けて、前面扉2の開口部83内に引っ込む。そして、このまま前面扉2を本体枠5から開放することで解錠されることになる。
次いで、本体枠5を解錠し、外枠3から開放する場合について説明すると、本体枠5が外枠3に施錠されている状態では、図7(c)に示されているように、本体枠5に設けられている本体枠用上側係止部25の上縁53が外枠3に設けられている本体枠用上側被係止部12aの長孔13aに嵌まり込んでいる。同様に、本体枠用下側係止部28の下縁64が本体枠用下側被係止部12bの長孔13bに嵌まり込んでいる。なお、本体枠5を解錠するにあたっては、前面扉2に形成されている施錠装置7Bのリンク機構96を介在させるので、この時のリンク機構96に着目すると、図10に示されているように、前面扉用リンク機構96の作動リンク部材130は、その上下の延出片130a,130bに設けられている係合ピン136a,136bがシリンダ錠87の錠軸の基端部88の上下に一直線状に並び、上下の回動リンク部材131,132の誘導溝139a,139bのそれぞれの開口側の端部に位置している。この状態において、パチンコ遊技機の前面に露出するシリンダ錠87の鍵孔にキーを差し込んで時計回り方向へ回動させると、図12に示されているように、シリンダ錠87の錠軸と共に、錠軸の基端部88に固着されている作動リンク部材130も時計回り方向へ回動する(図12では反時計回り方向)。この時、作動リンク部材130の係合ピン136a,136bは上下の回動リンク部材131,132の誘導溝139a,139bから外れた位置へと移動する。従って、係合ピン136a,136bは、上下の回動リンク部材131,132を回動させることはない。他方、作動リンク部材130が時計回り方向へ回動することにより、図8(b)に示されているように、作動リンク部材130の延出片130aの外側部に形成されている押圧片137が本体枠用上側施錠杆24の押下ピン49を押し下げ、同時に本体枠用上側施錠杆24がバネ26の付勢に抗して下動する。これによって、本体枠用上側施錠杆24に連結されている本体枠用上側係止部25も押し下げられて、外枠3の本体枠用上側被係止部12aの長孔13aから外れる。また、本体枠用上側施錠杆24が下動すると、これと連結されている押下リンク杆70も押し下げられると共に、押下リンク杆70と連結されている回動リンク杆71が中心孔76を支点として回動し、これと連結されている本体枠用下側施錠杆27をバネ29の付勢に抗して上動させる。これによって、本体枠用下側施錠杆27に連結されている本体枠用下側係止部28も引き上げられて、外枠3の本体枠用下側被係止部12bの長孔13bから外れる。そして、このまま本体枠5を外枠3から開放することで本体枠5が解錠されることになる。