JP2019216684A - セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、以下に例示する一態様により、本願発明における課題を解決することができる。
〔1〕 セロリ成分含有透明飲料であって、
セロリ成分と、
デカナール及び/又はリナロールとを含んでなる、セロリ成分含有透明飲料。
〔2〕 前記セロリ成分は、
吸光度(420nm)が0.50以下であり、
吸光度(530nm)が0.10以下であり、
吸光度(630nm)が0.10以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.10以下である、〔1〕に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔3〕 前記セロリ成分の含有量は、前記セロリ成分含有透明飲料全質量を基準にして2.0質量%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔4〕 前記デカナールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、0.1ppb以上100ppb以下である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔5〕 前記リナロールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、50ppb以上2000ppb以下である、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔6〕 前記セロリ成分含有透明飲料は、
吸光度(420nm)が1.5以下であり、
吸光度(530nm)が0.8以下であり、
吸光度(630nm)が0.6以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.4以下である、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔7〕 前記セロリ成分含有透明飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔8〕 セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物。
〔9〕 デカナール及び/又はリナロールとを有効成分として含んでなる、セロリ様成分添加剤。
〔10〕 セロリ成分含有透明飲料にセロリ様成分を付与する方法であって、
デカナール及び/又はリナロールとを含有させてなることを含んでなる、セロリ様成分を付与する方法。
(デカナール)
デカナール(Decanal:C10H21O,CAS No.112−31−2)はデシルアルデヒドとも呼ばれるものであり、下記化学式(I)で表される直鎖状脂肪族アルデヒドである。柑橘類等の果実の香りの重要な要素であり、特にグレープフルーツ及びレモングラス等の精油に含まれ、また、ソバの香りの要素でもある。本発明にあっては、食品添加物(香料)、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として利用される。
リナロール(linalool:C10H18O、CAS No.78−70−6)は、下記化学式(II)で表されるモノテルペンアルコールの一種である。リナロールは、(S)−d体の慣用名コリアンドロール(オレンジ様香)と、(R)−l体の慣用名リカレオール(ラベンダー様香)の異性体が存在する。工業的にも製造されるが、スズラン、ラベンダー、ベルガモット、ローズウッド、リナロエ、芳樟、ネロリ(ダイダイの花)、クラリセージ、コリアンダー(種子)の精油から抽出される。食品添加物(香料)として用いられるものである。本発明にあっては、食品添加物(香料)、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として利用される。
「セロリ」は、学名が「Apium graveolens var. dulce」であり、セリ科の植物である。セロリは、淡色野菜に分類され、大別して、中間種、緑色種、黄色種、東洋在来種の4品種が流通している。セロリは、炭水化物、蛋白質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、残部としての水で構成されている。特に、セロリは、約50種類の香味、風味、旨味等の成分を含有し、また、神経安定剤、食欲増進剤、整胃・腸剤等の有効な薬理成分を含有する。
「吸光度」とは、分光法において、光が試料物体を通った際に、強度がどの程度弱まるかを示す無次元量として表されるものである。分析化学においては、入射光強度I0と、透過光強度Iとし、波長λにおける吸光度A(λ)は、即ち、A(λ)=−log10(I/I0)とされる。試料が液体(成分又は飲料)である場合、「I0」は試料を入れる空のセルの透過光強度を示し、「I」は試料を入れたセルの透過光強度を示す。「吸光度」は、測定する光の波長を呈する光源と、測定する検出器とを備えた分光光度計を用いて測定されてよい。
「アルコール飲料」は、酒税法で「アルコール分一度以上の飲料」と定義されており、食品衛生法でも食品として扱われ、当該法律の適用を受けるものである。「アルコール飲料」としては、醸造酒、蒸留酒、その他の酒類、又はこれらの一種又は二種以上の混合酒が含まれる。なお、酒税法に定義されている通り、「アルコール分」とは、温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。「アルコール度数」とは、アルコール飲料に対するエタノールの体積濃度を百分率(%)で表した割合である。
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作った酒であり、基本的に、アルコール度数が高いアルコール飲料である。酒税法では、蒸留酒類として、次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。):イ)連続式蒸留しようちゆう、ロ)単式蒸留しようちゆう、ハ)ウイスキー、ニ)ブランデー、ホ)原料用アルコール、ヘ)スピリッツと定義されている。蒸留酒には、蒸留したアルコールに加水をしたもの、或いは、木製の樽等で熟成したもの等も含まれる。
「ジン」は、穀類(大麦、ライ麦、ジャガイモ等)を原料とし、麦芽及び酵素剤を利用して、糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツに、ジュニパーベリー(杜松の実)などの草根木皮を浸すなどして、香りをつけ、再度蒸溜した無色透明の酒をいい、草根木皮の香気成分固有の香味及び風味を有する酒(スピリッツ)である。
「ウォッカ」は、穀類(ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、大麦等)を原料として、糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した酒(スピリッツ)をいい、スピリッツの中でも最もクセのない香味及び風味を有し、まろやかな爽快感を特徴とするものである。
「ラム」はサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられる酒(スピリッツ)である。
醸造酒は、原料を酵母によりアルコール発酵のみで作られ、蒸留等を行わず製造される酒類の総称である。酒税法では、醸造酒類として、イ)清酒、ロ)果実酒、ハ)その他の醸造酒と定義されている。そのほかに、酒税法では発泡性酒類として分類されているが、ビール及び発泡酒等もまた醸造によって作られる醸造酒である。醸造酒には、糖類をそのまま発酵させて酒類を得る単発酵酒〔例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒等〕と、でんぷんを糖化し、その糖類を発酵させて酒類を得る複発酵酒〔例えば、ビール(単行複発酵酒)、日本酒(並行複発酵酒)〕とがある。醸造酒は、酵母によるアルコール発酵のみによるものであることから、アルコール度数は高くとも約22%程度である。
(セロリ成分)
透明飲料は、セロリ成分を含んでなり、好ましくは、セロリから着色成分及び固形成分を取り除いたセロリ成分であり、より好ましくは、透明セロリ成分(液体;汁)を用いる。セロリ成分は、より透明性の液体成分として用いることにより、飲料成分の安定性及び保存性の観点から好ましいものとなる。
セロリ成分は、究極には(最も好ましくは)無色透明であるが、半透明、有色透明、有色半透明、混濁透明等であり、着色成分及び固形成分をある程度取り除いたものを使用する。従って、(透明)セロリ成分には、この趣旨において、ある程度の着色成分及び固形成分等の存在を許容するものである。
セロリ成分(液体;汁)は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(420nm)が0.50以下であり、好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.35以下であり、
吸光度(530nm)が0.1以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.05以下であり、
吸光度(630nm)が0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下であり、
吸光度(720nm)が0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下である。
セロリ成分の吸光度の測定は、分光光度計(例えば、島津製作所製 UV−2450)を用いて測定する。幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、530nm、630nm、及び720nmにおける吸光度測定を行う。
セロリ成分は、原料であるセロリの調達、洗浄、選別、破砕、搾汁、濾過、分離を基本工程とし、さらに、次工程として、任意に、加熱、冷却、均質化等の諸工程を採用し、これらを適宜組み合わせて、調整することができる。原料として、濃縮セロリ汁又は還元セロリ汁を使用することにより、前記セロリの調達、洗浄、選別、破砕及び搾汁と云った工程を省くことも可能である。前記濾過及び分離は、食品化学の分野及びそれを管理する法律で許容されている方法を用いることができ、例えば、珪藻土濾過、遠心分離、膜分離等が挙げられ、好ましくは珪藻土濾過を使用することが可能である。これによって、着色成分及び不溶性固形分を除去した所望のセロリ成分を得ることが可能となる。
透明飲料は、デカナールを採用してよく、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。透明飲料は、デカナールを含有することにより、「セロリらしさ」、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感及び新鮮感等を付与することが可能となり、特に、フレッシュ感、適度なセロリの青臭さ、グリーン香を付与することが可能となる。ここで、「セロリ様成分」とは、セロリ成分自体、及びセロリ成分に類似する成分(物質)という意味で使用する。
透明飲料は、リナロールを採用してよく、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。透明飲料は、オクタナールを含有することにより、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、即ち、「セロリらしさ」を付与することが可能となり、特に、フレッシュ感や適度な青臭さ、華やかな香りを付与することが可能となる。
本発明の好ましい一の態様によれば、セロリ成分含有透明飲料は、デカナールとリナロールとの混合物を含んでなるものが好ましい。デカナールとリナロールをそれぞれ単独で含有するよりも、デカナールとリナロールとを併用(混合)することにより、透明飲料に対する「セロリらしさ」の付与効果は、単なる相加効果ではなく、相乗的な効果を発揮することができる。特に、適度なセロリ由来の青臭さ、グリーン香、及びスパイシー香の付与という効果を発揮させることができる。
セロリ成分含有透明飲料は透明性を有するものであり、その指標として、以下の吸光度を用いることができる。透明性の定義、上記指標については、(セロリ成分)の項で説明したのと同様であってよい。
セロリ成分含有透明飲料は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(420nm)が0.50以下であり、好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.35以下であり、
吸光度(530nm)が0.1以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.05以下であり、
吸光度(630nm)が0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下であり、
吸光度(720nm)が0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下である。
本発明にあっては、セロリ成分含有透明飲料は、必要に応じて、任意成分を含んでなるものであってよい。任意成分としては、野菜汁、果汁、エキス、香料、甘味料、酸味料、pH調整剤、色素、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、食物繊維、安定化剤、乳化剤等が挙げられる。これら任意成分は、厚生労働省、消費者庁等において定められたガイドライン及び関連法規(食品衛生法等)に規定されたものを用いる。
本発明にあっては、野菜及び/又は果実透明飲料とする場合には、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)を任意成分として含んでよい。好ましくは、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)は、本発明によるセロリ成分と同様の調製又は処理を施したものが好ましくは用いられる。野菜汁としての野菜は、例えば、トマト、ニンジン、ホウレン草、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、レタス、パセリ、クレソン、ケール、大豆、ビート、赤ピーマン、カボチャ、及び小松菜等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物であってよい。
酸味料の具体例としては、アジピン酸、クエン酸、クエン酸(三)ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸及びこれらの塩(カリウム塩、ナトリウム塩)が挙げられる。酸味料は、pH調整剤としても使用可能である。
甘味料としては、例えば、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。
〈pH〉
セロリ成分含有透明飲料のpHは、2.0以上、好ましくは2.5以上であり、5.0以下、好ましくは4.0以下である。透明飲料のpHを上記範囲内にあることにより、透明飲料の飲みやすさ、清涼感を付与すると共に、透明飲料に対して長期間の保存安定性、防黴性又は防菌性を付与することが可能となる。pH値は、例えば、JIS Z 8802:2011に準じて測定することができ、また、pH値は、pH測定器(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製 TTT−510)によって測定されてよい。
セロリ成分含有透明飲料の酸度は、0.2以上、好ましくは0.5以上であり、1.0以下、好ましくは0.9以下である。透明飲料の酸度が上記範囲内にあることにより、透明飲料の飲みやすさ、清涼感を付与する。「酸度」とは、透明飲料に含有される(有機)酸の含有量(質量%)を意味し、透明飲料の酸味を示す指標となる。「酸度」は、中和滴定法により測定され、例えば、日本農業規格(JAS)の酸度測定方法に準じて測定することができ、また、酸度値は、市販されている酸度測定器(AUTO−TITRATOR COM−700 平沼産業株式会社)によって測定されてよい。
セロリ成分含有透明飲料のエキス値は、1.0%以上、好ましくは3.0%以上、より好ましくは4.0%以上であり、25%以下、好ましくは20%以下である。透明飲料のエキス値を上記範囲の数値にすることにより、透明飲料の飲みやすさ、旨味、清涼感を付与することが可能となる。「エキス」とは、透明飲料に含有される可溶性固形分濃度(質量%)を意味する。エキス値は、エキス計(例えば、京都電子工業株式会社製 DA−520)によって測定されてよい。
セロリ成分含有透明飲料は、野菜飲料、果汁飲料、野菜果実飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料;果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、エキス入り飲料等の炭酸飲料;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料等の嗜好飲料、アルコール飲料;又はノンアルコール飲料のいずれであってもよい。本発明にあっては、好ましくはアルコール飲料(より好ましい)又はノンアルコール飲料とされてよい。
アルコール飲料は、上記〔定 義〕の項で定義した通りのものであり、食用アルコールを含有することにより、セロリ成分含有透明アルコール飲料として調製されてよい。
アルコール飲料は、好ましくは、醸造酒、蒸留酒及びこれらの混合酒の一種、或いはこれらの二種以上の混合酒としてもよい。より好ましくは、一種又は二種以上の醸造酒と、一種又は二種以上の蒸留酒との混合酒であり、最も好ましいものは、一種又は二種以上の蒸留酒である。本発明にあっては、アルコール飲料は、蒸留酒、特に好ましくはスピリッツまたは焼酎である。
食用アルコールは、醸造アルコールとも云われており、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいう、とされている(「清酒の製法品質表示基準」)。食用アルコールには、加水してアルコール含有濃度を低下させたものも含まれる。また、醸造酒を先ず製造し、その後、製造した醸造酒をそのまま原料として、食用アルコールとして利用してもよい。さらには、蒸留酒(原料用アルコール、ジン、ウオッカ、ブランデー、焼酎等)であって、好ましくは無色透明の蒸留酒を使用することも可能である。
本発明によるセロリ成分含有透明飲料の製造方法は、
セロリ成分と、デカナール及び/又はリナロールと、任意成分と、食用アルコール又は飲料水とを用意し、これらを混合して、セロリ成分含有透明飲料を得ることを含んでなるものである。
本発明の一態様として、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
本発明による透明飲料の濃度を、濃度換算として、1.0倍超過200倍以下としたものである、透明飲料用濃縮物が提案できる。
本発明にあっては、透明飲料用濃縮物は、本発明による透明飲料における含有成分濃度を上げたもの、例えば、飲料水(飲用アルコール)の含有量を減少し、含有成分の含有量を増加し、或いは、本発明による透明飲料における濃度を食品衛生法上許容される方法で濃縮(加熱、乾燥等)したものとして提案することができる。
セロリ成分含有透明飲料用濃縮物は、濃度換算において、上記した本発明による透明飲料の濃度を下限値として1.0超過倍であり、好ましくは1.2倍以上であり、上限値として200倍以下であり、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは10倍以下程度にしたものである。
本発明の一態様として、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物を製造する方法であって、
本発明による透明飲料を用意し、
透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下とすることを含んでなる、透明飲料用濃縮物の製造方法が提案できる。
別の好ましい態様によれば、セロリ成分含有透明飲料又はその濃縮物を容器に詰めた容器詰飲料を提案することができる。容器詰飲料とすることにより、透明香味及び風味を強く呈し、かつ、長期間維持促進させ、透明香味及び風味が劣化又は減少することなく、そして、セロリ本来の風味、香味、旨味、新鮮感、爽快感、及び清涼感を長期間発揮及び維持することができる。また、セロリ成分含有透明飲料又は透明飲料用濃縮物の提供利便性、流通利便性、保存性、品質劣化防止を図ることが可能となる。
本発明にあっては、セロリ成分含有透明飲料において、セロリ様成分添加剤又は促進剤を提案することができ、かつ、セロリ様成分を付与し、増強し、又は促進する方法を提案することができる。
また、製品に、セロリ様成分を付与し、増強し、促進し、或いは改善する方法は、
製品(例えば、セロリ成分、飲料等)に、デカナール及び/又はリナロールを混合することを含んでなることにより、達成される。
セロリ成分、デカナール、リナロール等については、先に説明したのと同様であってよい。
下記〔表1〕に示した組成物を配合して、全体で1000mLとして調製し、これを濃縮液(アルコールベース)、即ち、(1)混濁セロリ成分含有アルコールベース及び(2)セロリ透明成分含有アルコールベースとした。
セロリ破砕汁、即ち、着色成分及び植物繊維(パルプ)を含んだままのセロリ成分(汁)とし、その一部を混濁セロリ成分(汁)とした。
*(2)セロリ透明成分(汁)
上記(1)セロリ成分(汁)の残りの混濁セロリ成分(汁)を、遠心分離および珪藻土濾過により、着色成分及び植物繊維(パルプ)を除去したものを、セロリ透明成分(汁)とした。
〔基本官能評価〕
(基準例の調製)
〔表1〕に記載された組成に従って得た(1)混濁セロリ成分含有アルコールベース及び(2)セロリ透明成分含有アルコールベースそれぞれを、水で4倍に希釈した、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を得た。
本出願人(社内)に勤務する6名(A〜F:社内において飲料評価能力試験を通過したエキスパート)のパネル(20歳から65歳までの男女)により、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料との比較官能試験(目隠しによる試飲)を実施した。
上記6名のフリーコメントは以下の通りであった。下記フリーコメントから、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と比較して、「セロリらしさ」に欠けていることが明らかに理解された。
〈フリーコメント〉
A:(2)は、(1)と比較して、グリーン香が弱く、あっさりとしており、ボリュームが少なかった。
B:(2)は、(1)と比較して、フレッシュ感、土臭さが弱かった。
C:(2)は、(1)と比較して、セロリ特有の青臭さが減り、酸味が目立った。
D:(2)は、(1)と比較して、青臭さが減り、フレッシュ感が弱かった。
E:(2)は、(1)と比較して、グリーン香が弱く、ミント様の香りが減った。
F:(2)は、(1)と比較して、グリーン調の香りが無く、全体の厚みが弱かった。
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これにデカナールを下記〔表2〕に記載した通りに、特定量で各々添加したものを、実施例1〜実施例5としてデカナール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、デカナールを0.005ppb含有していた。
上記6名のパネルにより、基準例と実施例とについて以下の通り、セロリらしさとバランス感とを評価し、その結果を〔表2〕に記載した。
「セロリらしさ」は、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、とりわけフレッシュ感(新鮮感)、適度なセロリ由来の青臭さ、グリーン香とした。この「セロリらしさ」について、官能評価点数として、上記6名のパネルの評価平均値として、下記〔表2〕に記載した。「基準例」の評価は、10段階評価の中間である「5点」とした。この10段階評価は、基準を「5点」とした時に、セロリらしさを強く感じる度合いに応じて段階的に、6点から10点に至るものとし、かつ、セロリらしさを弱く感じる度合いに応じて段階的に5点から1点に至るものとして評価点とした。
「バランス感」は、飲料を試飲した際の、「セロリらしい」香味風味が整っていることとした。この「セロリらしさ」について、以下の評価点数として評価し、上記6名のパネルの人数合計値として、下記〔表2〕に記載した。
(評価手法)
評価○:飲料としてバランスが良い。
評価△: 飲料としてバランスが良いが、評価○よりやや劣る。
評価×:飲料としてのバランスが悪い。
(評価結果)
デカナールが添加されることにより、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。また、上記6名のパネルによれば、基準例は水っぽくて厚みのない飲料であったのに対して、実施例1〜実施例5の何れの飲料も、グリーン感が強く感じられ、飲料としての厚みが強く感じられ、飲料自体に華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例5は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、若干、風味香味が強く感じられた、との官能評価コメントがあった。
リナロール添加評価は、以下の調製及び結果以外は、〔デカナール添加評価〕で行ったのと同一の評価方法によって評価した。
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これにリナロールを下記〔表3〕に記載した通りに、特定量で各々添加したものを、実施例6〜実施例10としてリナロール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、リナロールを0.12ppb含有していた。
リナロールが添加されることにより、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。また、上記6名のパネルによれば、実施例6〜実施例10の何れの飲料も、グリーン感とスパイシー感が強く感じられ、飲料自体に華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例10は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、紅茶的な風味を呈していた、との官能評価コメントがあった。
デカナール及びリナロール混合添加評価は、以下の調製及び結果以外は、〔デカナール添加評価〕で行ったのと同一の評価方法によって評価した。
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これに、下記〔表4〕に記載した通りに、デカナールを0.3ppb(定量)、及びリナロールを特定量で各々添加したものを、実施例11〜実施例15としてデカナール及びリナロールリナロール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、リナロールを0.12ppb含有していた。
デカナールの添加量を「定量」とし、リナロールの添加量を可変していった場合には、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。〔表4〕の結果から理解される通り、デカナールとリナロールとを併用することにより、単なる相加効果ではなく、予想外の相乗効果な結果を示した。また、上記6名のパネルによれば、実施例11〜実施例15の何れの飲料も、グリーン感と飲料としての華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例15は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、紅茶的な風味を呈した、との官能評価コメントがあった。
混濁セロリ成分(汁)、セロリ透明成分(汁)、セロリ透明成分含有アルコールベース、セロリ透明成分含有アルコール飲料について、以下の通り吸光度を測定した値は下記〔表5〕に記載した通りであった。
〈吸光度測定〉
吸光度の測定は、分光光度計(例えば、商品名UV−2450:島津製作所製)を用いて測定した。
〈吸光度測定条件〉
上記吸光度測定計を用いて、4つの試料について、幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、530nm、630nm、及び720nmにおける各吸光度測定を行った。
〈測定結果〉
混濁セロリ成分(汁)はそもそも、混濁しており透明性を示さず、測定できなかった。セロリ透明成分含有アルコールベース及びセロリ透明成分含有アルコール飲料は、任意成分(香料成分)を添加した為か、セロリ透明成分(汁)と比較して、透明度が下がった。しかしながら、いずれも透明飲料(それ用濃縮物)として許容されるものであった。
Claims (10)
- セロリ成分含有透明飲料であって、
セロリ成分と、
デカナール及び/又はリナロールとを含んでなる、セロリ成分含有透明飲料。 - 前記セロリ成分は、
吸光度(420nm)が0.50以下であり、
吸光度(530nm)が0.10以下であり、
吸光度(630nm)が0.10以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.10以下である、請求項1に記載のセロリ成分含有透明飲料。 - 前記セロリ成分の含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全質量を基準にして2.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のセロリ成分含有透明飲料。
- 前記デカナールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、0.1ppb以上100ppb以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
- 前記リナロールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、50ppb以上2000ppb以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
- 前記セロリ成分含有透明飲料は、
吸光度(420nm)が1.5以下であり、
吸光度(530nm)が0.8以下であり、
吸光度(630nm)が0.6以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.4以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。 - 前記セロリ成分含有透明飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、請求項1〜6の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
- セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
請求項1〜7の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物。 - デカナール及び/又はリナロールとを有効成分として含んでなる、セロリ様成分添加剤。
- セロリ成分含有透明飲料にセロリ様成分を付与する方法であって、
デカナール及び/又はリナロールとを含有させてなることを含んでなる、セロリ様成分を付与する方法。
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