JP2019216684A - セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法 - Google Patents

セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019216684A
JP2019216684A JP2018118873A JP2018118873A JP2019216684A JP 2019216684 A JP2019216684 A JP 2019216684A JP 2018118873 A JP2018118873 A JP 2018118873A JP 2018118873 A JP2018118873 A JP 2018118873A JP 2019216684 A JP2019216684 A JP 2019216684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
celery
component
beverage
transparent
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018118873A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7120823B2 (ja
Inventor
明大 井上
Akita Inoue
明大 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Breweries Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Breweries Ltd filed Critical Asahi Breweries Ltd
Priority to JP2018118873A priority Critical patent/JP7120823B2/ja
Publication of JP2019216684A publication Critical patent/JP2019216684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7120823B2 publication Critical patent/JP7120823B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

【課題】 セロリらしさを実現したセロリ成分含有透明飲料を提供する。【解決手段】 セロリ成分と、デカナール及び/又はリナロールとを含んでなる、セロリ成分含有透明飲料によって達成される。【選択図】なし

Description

本発明は、セロリ成分含有透明飲料、特に、特定化合物を含有するセロリ成分含有透明飲料、それ用濃縮物、並びにこれらの製造方法に関する。
1950年代頃から、野菜自体を破砕した野菜飲料(ジュース)、又は野菜抽出物を含有した野菜飲料(ジュース)が市販されている。また、2017年から2018年においては、商品の差別化又は個性化といった「商品戦略」の一環として、原料(例えば、コーヒー、紅茶、乳製品等)由来の着色成分又は固形成分(例えば、皮、種子、繊維物質等)を排除した、スタイリッシュな清涼飲料水である「透明飲料」が新たなコンセプト商品として提案されている。しかしながら、本願の出願時点では、特定野菜成分と特定成分を含有した透明飲料は提案及び市販されてない。
実際、特許文献1(特開2016−136841号公報)では、原材料自体の「固形感」と、「複雑な食感」とを付与する目的で、任意添加成分として、透明な野菜又は果実の汁を添加することが提案されているが、特許文献1では、必須成分として、野菜又は果実の切断した固形物を包含するものであり、透明飲料自体は提案されていない。また、特許文献2(特開2012−223140号公報)では、トマト本来の甘み感を達成するために、必須成分として、透明トマト汁(B)を含有するとしているが、特許文献2では、トマトペースト(A)〔固形分〕を必須成分として含有するものであり、透明飲料自体は提案されていない。そして、特許文献3(特開2001−299323号公報)では、野菜本来の成分及びエキス類を生かすために、野菜成分を抽出及び濃縮したものを含有した、野菜成分含有酒が提案されているが、特許文献3では、透明飲料に関する事項は一切開示されておらず、かつ、特定野菜成分と特定成分を含有した透明飲料は全く提案されていない。
ところで、本発明者は、野菜のセロリを含んでなる飲料を開発するにあたり、セロリ汁を用いた飲料にあっては、着色成分及び固形成分等の安定性及び保存性を改善する必要性があると認識するに至った。一方、破砕したセロリ汁を分離して得たセロリ成分を原料として飲料を調製した所、「セロリらしさ(セロリ感ともいう。)以下同じ」、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感が十分に感じられるものではなかった。
よって、本発明者は、セロリ成分(液体又は汁;以下同じ)を用いても、「セロリらしさ」、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感を十分に達成される、セロリ成分含有透明飲料を開発すべきものとの認識に至ったのである。
特開2016−136841号公報 特開2012−223140号公報 特開2001−299323号公報
本発明者は、今般、セロリ成分に、「セロリらしさ」を付与する物質として、デカナール及び/又はリナロールを採用することにより、本発明者が認識した解決すべき課題を高い次元において解決し、そして、「セロリらしさ」、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、新鮮感等を十分に達成することができ、かつ、十分にセロリを堪能できるセロリ成分含有透明飲料(その濃縮物)及びこれらの製造方法を提供できることを見出した。従って、本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
〔本発明の一態様〕
本発明は、以下に例示する一態様により、本願発明における課題を解決することができる。
〔1〕 セロリ成分含有透明飲料であって、
セロリ成分と、
デカナール及び/又はリナロールとを含んでなる、セロリ成分含有透明飲料。
〔2〕 前記セロリ成分は、
吸光度(420nm)が0.50以下であり、
吸光度(530nm)が0.10以下であり、
吸光度(630nm)が0.10以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.10以下である、〔1〕に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔3〕 前記セロリ成分の含有量は、前記セロリ成分含有透明飲料全質量を基準にして2.0質量%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔4〕 前記デカナールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、0.1ppb以上100ppb以下である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔5〕 前記リナロールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、50ppb以上2000ppb以下である、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔6〕 前記セロリ成分含有透明飲料は、
吸光度(420nm)が1.5以下であり、
吸光度(530nm)が0.8以下であり、
吸光度(630nm)が0.6以下であり、又は
吸光度(720nm)が0.4以下である、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔7〕 前記セロリ成分含有透明飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
〔8〕 セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物。
〔9〕 デカナール及び/又はリナロールとを有効成分として含んでなる、セロリ様成分添加剤。
〔10〕 セロリ成分含有透明飲料にセロリ様成分を付与する方法であって、
デカナール及び/又はリナロールとを含有させてなることを含んでなる、セロリ様成分を付与する方法。
本発明によれば、セロリ成分に、デカナール及び/又はリナロールを含有させることにより、セロリ成分と相俟って又はセロリ成分を補完して、「セロリらしさ」を有意に発揮及び促進させ、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、新鮮感等が十分に感じられるセロリ成分含有透明飲料(その濃縮物)及びその製造方法を提供することができる。
〔定 義〕
(デカナール)
デカナール(Decanal:C1021O,CAS No.112−31−2)はデシルアルデヒドとも呼ばれるものであり、下記化学式(I)で表される直鎖状脂肪族アルデヒドである。柑橘類等の果実の香りの重要な要素であり、特にグレープフルーツ及びレモングラス等の精油に含まれ、また、ソバの香りの要素でもある。本発明にあっては、食品添加物(香料)、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として利用される。
(リナロール)
リナロール(linalool:C1018O、CAS No.78−70−6)は、下記化学式(II)で表されるモノテルペンアルコールの一種である。リナロールは、(S)−d体の慣用名コリアンドロール(オレンジ様香)と、(R)−l体の慣用名リカレオール(ラベンダー様香)の異性体が存在する。工業的にも製造されるが、スズラン、ラベンダー、ベルガモット、ローズウッド、リナロエ、芳樟、ネロリ(ダイダイの花)、クラリセージ、コリアンダー(種子)の精油から抽出される。食品添加物(香料)として用いられるものである。本発明にあっては、食品添加物(香料)、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として利用される。
(セロリ)
「セロリ」は、学名が「Apium graveolens var. dulce」であり、セリ科の植物である。セロリは、淡色野菜に分類され、大別して、中間種、緑色種、黄色種、東洋在来種の4品種が流通している。セロリは、炭水化物、蛋白質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、残部としての水で構成されている。特に、セロリは、約50種類の香味、風味、旨味等の成分を含有し、また、神経安定剤、食欲増進剤、整胃・腸剤等の有効な薬理成分を含有する。
(吸光度)
「吸光度」とは、分光法において、光が試料物体を通った際に、強度がどの程度弱まるかを示す無次元量として表されるものである。分析化学においては、入射光強度I0と、透過光強度Iとし、波長λにおける吸光度A(λ)は、即ち、A(λ)=−log10(I/I0)とされる。試料が液体(成分又は飲料)である場合、「I0」は試料を入れる空のセルの透過光強度を示し、「I」は試料を入れたセルの透過光強度を示す。「吸光度」は、測定する光の波長を呈する光源と、測定する検出器とを備えた分光光度計を用いて測定されてよい。
(アルコール飲料)
「アルコール飲料」は、酒税法で「アルコール分一度以上の飲料」と定義されており、食品衛生法でも食品として扱われ、当該法律の適用を受けるものである。「アルコール飲料」としては、醸造酒、蒸留酒、その他の酒類、又はこれらの一種又は二種以上の混合酒が含まれる。なお、酒税法に定義されている通り、「アルコール分」とは、温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。「アルコール度数」とは、アルコール飲料に対するエタノールの体積濃度を百分率(%)で表した割合である。
〈蒸留酒〉
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作った酒であり、基本的に、アルコール度数が高いアルコール飲料である。酒税法では、蒸留酒類として、次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。):イ)連続式蒸留しようちゆう、ロ)単式蒸留しようちゆう、ハ)ウイスキー、ニ)ブランデー、ホ)原料用アルコール、ヘ)スピリッツと定義されている。蒸留酒には、蒸留したアルコールに加水をしたもの、或いは、木製の樽等で熟成したもの等も含まれる。
蒸留酒には、ジン(原料:大麦、ライ麦、ジャガイモ、香草等)、ウォッカ(原料:ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ等)、スピリタス(原料:穀物、ジャガイモ、香草等)、泡盛(原料:インディカ米、穀物等)、焼酎(原料:米、麦、サツマイモ、黒糖、そば、栗、酒粕、糖蜜等)、ソジュ「韓国焼酎」(原料:米、ジャガイモ、コムギ、オオムギ、サツマイモ、タピオカ等)、白酒〔穀物を原料としたパイチュ、及び高粱を原料とした茅台酒等〕、メスカル又はテキーラ(原料:竜舌蘭)、ウイスキー(原料:大麦、ライ麦、トウモロコシ等)、ブランデー〔果実酒が原料のブランデー、白ブドウが原料のアルマニャック、リンゴが原料のカルヴァドス、ブドウの搾りかすが原料のグラッパ、ブドウが原料のコニャック、ブドウが原料のシンガニ、ブドウ果汁が原料のピスコ等〕、カシャッサ又はピンガ(原料:サトウキビ)、ラム酒(原料:サトウキビ、糖蜜等)、アラック〔ジャガイモが原料のアクアビット、家畜乳又は穀物が原料のアルヒ、ブドウが原料のラク等〕、コルン(原料:小麦、ライ麦等)、キルシュヴァッサー(原料:サクランボ)等が挙げられる。
「スピリッツ」は、酒税法上、イ)連続式蒸留しようちゆう、ロ)単式蒸留しようちゆう、ハ)ウイスキー、ニ)ブランデー、又はホ)原料用アルコール以外の酒類でエキス分が二度未満のものである。
「ジン」は、穀類(大麦、ライ麦、ジャガイモ等)を原料とし、麦芽及び酵素剤を利用して、糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツに、ジュニパーベリー(杜松の実)などの草根木皮を浸すなどして、香りをつけ、再度蒸溜した無色透明の酒をいい、草根木皮の香気成分固有の香味及び風味を有する酒(スピリッツ)である。
「ウォッカ」は、穀類(ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、大麦等)を原料として、糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した酒(スピリッツ)をいい、スピリッツの中でも最もクセのない香味及び風味を有し、まろやかな爽快感を特徴とするものである。
「ラム」はサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられる酒(スピリッツ)である。
〈醸造酒〉
醸造酒は、原料を酵母によりアルコール発酵のみで作られ、蒸留等を行わず製造される酒類の総称である。酒税法では、醸造酒類として、イ)清酒、ロ)果実酒、ハ)その他の醸造酒と定義されている。そのほかに、酒税法では発泡性酒類として分類されているが、ビール及び発泡酒等もまた醸造によって作られる醸造酒である。醸造酒には、糖類をそのまま発酵させて酒類を得る単発酵酒〔例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒等〕と、でんぷんを糖化し、その糖類を発酵させて酒類を得る複発酵酒〔例えば、ビール(単行複発酵酒)、日本酒(並行複発酵酒)〕とがある。醸造酒は、酵母によるアルコール発酵のみによるものであることから、アルコール度数は高くとも約22%程度である。
〔セロリ成分含有透明飲料〕
(セロリ成分)
透明飲料は、セロリ成分を含んでなり、好ましくは、セロリから着色成分及び固形成分を取り除いたセロリ成分であり、より好ましくは、透明セロリ成分(液体;汁)を用いる。セロリ成分は、より透明性の液体成分として用いることにより、飲料成分の安定性及び保存性の観点から好ましいものとなる。
セロリ成分の含有量は、セロリ成分含有透明飲料全質量を基準にして、2.0質量%以下、好ましくは、1.0質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下である。セロリ成分の含有量が上記範囲内にあることにより、特定化合物と相俟って、「セロリらしさ」を実現することが可能となる。また、用語「セロリらしさ」とは、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、及び新鮮感等を意味し、より具体的には、セロリ本来の香味、風味、独特の苦味、青味及びグリーン感、並びに旨味を意味し、取り分け、フレッシュ感、適度なセロリ由来の青臭さ、グリーン香、及びスパイシー香を意味するものである。
〈透明性:好ましい態様〉
セロリ成分は、究極には(最も好ましくは)無色透明であるが、半透明、有色透明、有色半透明、混濁透明等であり、着色成分及び固形成分をある程度取り除いたものを使用する。従って、(透明)セロリ成分には、この趣旨において、ある程度の着色成分及び固形成分等の存在を許容するものである。
透明性については、本発明の透明飲料において、その透明性を最終的に調製するものであるが、本発明にあっては、原料であるセロリ成分の透明性もまた、好ましくは定めることができる。その指標として、以下の吸光度を用いることができる。
〈吸光度〉
セロリ成分(液体;汁)は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(420nm)が0.50以下であり、好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.35以下であり、
吸光度(530nm)が0.1以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.05以下であり、
吸光度(630nm)が0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下であり、
吸光度(720nm)が0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下である。
本発明にあっては、上記吸光度の何れか一つを充足するセロリ成分が好ましく、より好ましくは、上記吸光度の二種以上、最も好ましくは全てを充足するセロリ成分が好ましくは用いられる。上記各吸光度が上記数値範囲となることにより、所望のセロリ成分含有透明飲料を達成することが可能となる。
〈吸光度測定/吸光度測定条件〉
セロリ成分の吸光度の測定は、分光光度計(例えば、島津製作所製 UV−2450)を用いて測定する。幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、530nm、630nm、及び720nmにおける吸光度測定を行う。
〈調整〉
セロリ成分は、原料であるセロリの調達、洗浄、選別、破砕、搾汁、濾過、分離を基本工程とし、さらに、次工程として、任意に、加熱、冷却、均質化等の諸工程を採用し、これらを適宜組み合わせて、調整することができる。原料として、濃縮セロリ汁又は還元セロリ汁を使用することにより、前記セロリの調達、洗浄、選別、破砕及び搾汁と云った工程を省くことも可能である。前記濾過及び分離は、食品化学の分野及びそれを管理する法律で許容されている方法を用いることができ、例えば、珪藻土濾過、遠心分離、膜分離等が挙げられ、好ましくは珪藻土濾過を使用することが可能である。これによって、着色成分及び不溶性固形分を除去した所望のセロリ成分を得ることが可能となる。
得られたセロリ成分は、セロリ成分全質量を基準にして、着色成分及び可溶性固形分を2.0質量%以下、好ましくは、1.0質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下で包含したものが好ましい。このようなセロリ成分を原料とすることにより、飲料製品の品質安定性及び保存性に優れた透明飲料を提供することが可能となる。
(デカナール)
透明飲料は、デカナールを採用してよく、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。透明飲料は、デカナールを含有することにより、「セロリらしさ」、即ち、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感及び新鮮感等を付与することが可能となり、特に、フレッシュ感、適度なセロリの青臭さ、グリーン香を付与することが可能となる。ここで、「セロリ様成分」とは、セロリ成分自体、及びセロリ成分に類似する成分(物質)という意味で使用する。
デカナールの含有量は、セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、0.lppb以上、好ましくは0.2ppb以上、より好ましくは0.3ppb以上であり、100ppb以下、好ましくは10ppb以下、より好ましくは1.0ppb以下である。デカナールの含有量が上記範囲内にあることにより、セロリ成分を補完し、透明飲料に対して、「セロリらしさ」をより実現することが可能となる。
(リナロール)
透明飲料は、リナロールを採用してよく、特に、セロリ様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。透明飲料は、オクタナールを含有することにより、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、即ち、「セロリらしさ」を付与することが可能となり、特に、フレッシュ感や適度な青臭さ、華やかな香りを付与することが可能となる。
リナロールの含有量は、セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、50ppb以上、好ましくは、100ppb以上、より好ましくは500ppb以上であり、2000ppb以下、好ましくは1500ppb以下、特に1200ppb以下、より好ましくは1000ppb以下である。リナロールの含有量が上記範囲内にあることにより、セロリ成分を補完し、透明飲料に対して、「セロリらしさ」をより実現することが可能となる。
(デカナール及びリナロール)
本発明の好ましい一の態様によれば、セロリ成分含有透明飲料は、デカナールとリナロールとの混合物を含んでなるものが好ましい。デカナールとリナロールをそれぞれ単独で含有するよりも、デカナールとリナロールとを併用(混合)することにより、透明飲料に対する「セロリらしさ」の付与効果は、単なる相加効果ではなく、相乗的な効果を発揮することができる。特に、適度なセロリ由来の青臭さ、グリーン香、及びスパイシー香の付与という効果を発揮させることができる。
デカナールとリナロールとは、これを有意量含有した植物又は当該植物からの抽出物、化学合成物、化学的抽出物、又は精油(液体、固体、粉体であってよい)が好ましくは利用される。また、デカナールとリナロールは、食品化学的に許容される手法によって化学合成されたものであってよい。抽出又は化学合成は、食品衛生法によって許容される方法で行なう。デカナールとリナロールは、これを有意量含有した果実又は植物を水、食用アルコール等で抽出されたものが主として用いられる。
(透明飲料の透明性)
セロリ成分含有透明飲料は透明性を有するものであり、その指標として、以下の吸光度を用いることができる。透明性の定義、上記指標については、(セロリ成分)の項で説明したのと同様であってよい。
〈吸光度〉
セロリ成分含有透明飲料は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(420nm)が0.50以下であり、好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.35以下であり、
吸光度(530nm)が0.1以下であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.05以下であり、
吸光度(630nm)が0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下であり、
吸光度(720nm)が0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下である。
本発明にあっては、上記吸光度の何れか一つを充足する透明飲料が好ましく、より好ましくは、上記吸光度の二種以上、最も好ましくは全てを充足する透明飲料が好ましくは用いられる。上記各吸光度が上記数値範囲となることにより、所望のセロリ成分含有透明飲料を達成することが可能となる。
(任意成分)
本発明にあっては、セロリ成分含有透明飲料は、必要に応じて、任意成分を含んでなるものであってよい。任意成分としては、野菜汁、果汁、エキス、香料、甘味料、酸味料、pH調整剤、色素、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、食物繊維、安定化剤、乳化剤等が挙げられる。これら任意成分は、厚生労働省、消費者庁等において定められたガイドライン及び関連法規(食品衛生法等)に規定されたものを用いる。
〈野菜成分/果実成分〉
本発明にあっては、野菜及び/又は果実透明飲料とする場合には、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)を任意成分として含んでよい。好ましくは、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)は、本発明によるセロリ成分と同様の調製又は処理を施したものが好ましくは用いられる。野菜汁としての野菜は、例えば、トマト、ニンジン、ホウレン草、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、レタス、パセリ、クレソン、ケール、大豆、ビート、赤ピーマン、カボチャ、及び小松菜等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物であってよい。
〈酸味料〉
酸味料の具体例としては、アジピン酸、クエン酸、クエン酸(三)ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸及びこれらの塩(カリウム塩、ナトリウム塩)が挙げられる。酸味料は、pH調整剤としても使用可能である。
〈甘味料〉
甘味料としては、例えば、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。
また、高甘味度甘味料、糖類及び糖アルコールが挙げられる。高甘味度甘味料の具体例としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(K)、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ネオテーム、アラビノース、カンゾウ抽出物、キシロース、ステビア、タウマチン、ラカンカ抽出物、ラムノース及びリボースが挙げられる。糖類の具体例としては、異性化糖、ブドウ糖、果糖、砂糖、麦芽糖及び乳糖が挙げられる。糖アルコールの具体例としては、還元麦芽糖水飴、エリスリトール、キシリトール及びマルチトールが挙げられる。
(透明飲料の物性)
〈pH〉
セロリ成分含有透明飲料のpHは、2.0以上、好ましくは2.5以上であり、5.0以下、好ましくは4.0以下である。透明飲料のpHを上記範囲内にあることにより、透明飲料の飲みやすさ、清涼感を付与すると共に、透明飲料に対して長期間の保存安定性、防黴性又は防菌性を付与することが可能となる。pH値は、例えば、JIS Z 8802:2011に準じて測定することができ、また、pH値は、pH測定器(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製 TTT−510)によって測定されてよい。
〈酸度〉
セロリ成分含有透明飲料の酸度は、0.2以上、好ましくは0.5以上であり、1.0以下、好ましくは0.9以下である。透明飲料の酸度が上記範囲内にあることにより、透明飲料の飲みやすさ、清涼感を付与する。「酸度」とは、透明飲料に含有される(有機)酸の含有量(質量%)を意味し、透明飲料の酸味を示す指標となる。「酸度」は、中和滴定法により測定され、例えば、日本農業規格(JAS)の酸度測定方法に準じて測定することができ、また、酸度値は、市販されている酸度測定器(AUTO−TITRATOR COM−700 平沼産業株式会社)によって測定されてよい。
〈エキス値〉
セロリ成分含有透明飲料のエキス値は、1.0%以上、好ましくは3.0%以上、より好ましくは4.0%以上であり、25%以下、好ましくは20%以下である。透明飲料のエキス値を上記範囲の数値にすることにより、透明飲料の飲みやすさ、旨味、清涼感を付与することが可能となる。「エキス」とは、透明飲料に含有される可溶性固形分濃度(質量%)を意味する。エキス値は、エキス計(例えば、京都電子工業株式会社製 DA−520)によって測定されてよい。
(透明飲料の態様)
セロリ成分含有透明飲料は、野菜飲料、果汁飲料、野菜果実飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料;果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、エキス入り飲料等の炭酸飲料;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料等の嗜好飲料、アルコール飲料;又はノンアルコール飲料のいずれであってもよい。本発明にあっては、好ましくはアルコール飲料(より好ましい)又はノンアルコール飲料とされてよい。
〔アルコール飲料〕
アルコール飲料は、上記〔定 義〕の項で定義した通りのものであり、食用アルコールを含有することにより、セロリ成分含有透明アルコール飲料として調製されてよい。
アルコール飲料は、好ましくは、醸造酒、蒸留酒及びこれらの混合酒の一種、或いはこれらの二種以上の混合酒としてもよい。より好ましくは、一種又は二種以上の醸造酒と、一種又は二種以上の蒸留酒との混合酒であり、最も好ましいものは、一種又は二種以上の蒸留酒である。本発明にあっては、アルコール飲料は、蒸留酒、特に好ましくはスピリッツまたは焼酎である。
(食用アルコール)
食用アルコールは、醸造アルコールとも云われており、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいう、とされている(「清酒の製法品質表示基準」)。食用アルコールには、加水してアルコール含有濃度を低下させたものも含まれる。また、醸造酒を先ず製造し、その後、製造した醸造酒をそのまま原料として、食用アルコールとして利用してもよい。さらには、蒸留酒(原料用アルコール、ジン、ウオッカ、ブランデー、焼酎等)であって、好ましくは無色透明の蒸留酒を使用することも可能である。
アルコール飲料におけるアルコール(エタノール)含有量は、適宜定めることができるが、1.0%(度)以上であり、好ましくは4.0%(度)以上であり、上限値が、20.0%(度)以下であり、好ましくは18.0%(度)以下であるものを使用することができる。
〔透明飲料の製造方法〕
本発明によるセロリ成分含有透明飲料の製造方法は、
セロリ成分と、デカナール及び/又はリナロールと、任意成分と、食用アルコール又は飲料水とを用意し、これらを混合して、セロリ成分含有透明飲料を得ることを含んでなるものである。
より具体的な、セロリ成分含有透明飲料の製造態様は概説すると以下の通りである。セロリ成分と、デカナール及び/又はリナロールと、任意成分と、飲用水、必要に応じてベースアルコールとを所定の量で準備し、これらを混合する。次に、混合液を冷却する。その後、容器に充填・密封することにより、所望の透明飲料を得ることができる。容器に充填する前に膜ろ過フィルターを用いてろ過してもよい。また、本発明による透明飲料用濃縮物を使用し、中間液を作成した後に、飲料水等を添加して飲料を調製してもよい。
〔透明飲料用濃縮物及びその製造方法〕
本発明の一態様として、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
本発明による透明飲料の濃度を、濃度換算として、1.0倍超過200倍以下としたものである、透明飲料用濃縮物が提案できる。
本発明にあっては、透明飲料用濃縮物は、本発明による透明飲料における含有成分濃度を上げたもの、例えば、飲料水(飲用アルコール)の含有量を減少し、含有成分の含有量を増加し、或いは、本発明による透明飲料における濃度を食品衛生法上許容される方法で濃縮(加熱、乾燥等)したものとして提案することができる。
セロリ成分含有透明飲料用濃縮物における『濃縮物』とは、割り材で希釈することで通常の飲用状態にすることができる濃縮タイプの飲料を言い、例えば、コンク飲料、濃縮飲料、飲料コンク、シロップ等とも言われる。希釈用の割り材としては、例えば、水、炭酸水、氷、アルコール、アルコール飲料、果汁、果汁入り飲料、その他の飲料、並びに、これらの一種又は二種以上の組み合わせを用いることができる。通常飲料ベースは、家庭や店舗において、透明飲料用濃縮物に対して、割り材を用いて、例えば1.2〜20倍、好ましくは2〜12倍程度になるよう希釈して提供される。
(濃度/濃縮)
セロリ成分含有透明飲料用濃縮物は、濃度換算において、上記した本発明による透明飲料の濃度を下限値として1.0超過倍であり、好ましくは1.2倍以上であり、上限値として200倍以下であり、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは10倍以下程度にしたものである。
〔透明飲料用濃縮物の製造方法〕
本発明の一態様として、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物を製造する方法であって、
本発明による透明飲料を用意し、
透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下とすることを含んでなる、透明飲料用濃縮物の製造方法が提案できる。
透明飲料用濃縮物の製造方法にあっては、原料等について、先の〔セロリ成分含有透明飲料〕及び〔セロリ成分含有透明飲料の製造方法〕の項で説明したのと同様であってよい。
セロリ成分含有透明飲料用濃縮物の製造方法は、一般的には、透明飲料からベースとなる溶媒(飲料水、飲用アルコール等)を添加せず、又は含有量を減らして調製するものであってよく、或いは、このベース溶媒と同量又はそれ以下の糖類を添加したもの、又は、透明飲料を加熱し又は乾燥させて高濃度のものとして調製してもよい。
〔容器詰め飲料〕
別の好ましい態様によれば、セロリ成分含有透明飲料又はその濃縮物を容器に詰めた容器詰飲料を提案することができる。容器詰飲料とすることにより、透明香味及び風味を強く呈し、かつ、長期間維持促進させ、透明香味及び風味が劣化又は減少することなく、そして、セロリ本来の風味、香味、旨味、新鮮感、爽快感、及び清涼感を長期間発揮及び維持することができる。また、セロリ成分含有透明飲料又は透明飲料用濃縮物の提供利便性、流通利便性、保存性、品質劣化防止を図ることが可能となる。
容器は、内容物が漏洩しない材料であれば、ビニール、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、金属等、様々な形状で形成された容器に詰めることができる。より好ましい態様によれば、容器の内外に、光、熱、酸素、紫外線等を遮断するための素材(例えば、着色又は機能性フィルム、金属箔)を備えたものであってよい。
〔セロリ様成分添加剤又は促進剤(方法)〕
本発明にあっては、セロリ成分含有透明飲料において、セロリ様成分添加剤又は促進剤を提案することができ、かつ、セロリ様成分を付与し、増強し、又は促進する方法を提案することができる。
セロリ様成分添加剤又は促進剤は、デカナール及び/又はリナロールである。デカナール及び/又はリナロールを含有することにより、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、即ち、「セロリらしさ」を付与することが可能となる。
また、製品に、セロリ様成分を付与し、増強し、促進し、或いは改善する方法は、
製品(例えば、セロリ成分、飲料等)に、デカナール及び/又はリナロールを混合することを含んでなることにより、達成される。
セロリ成分、デカナール、リナロール等については、先に説明したのと同様であってよい。
以下の実施例により、本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記実施例に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施例は、本発明の実施態様の一例を示すものであるが、これら実施例により当業者は本発明の全ての範囲について容易に実施することができること当然に理解するものである。
〔調製〕
下記〔表1〕に示した組成物を配合して、全体で1000mLとして調製し、これを濃縮液(アルコールベース)、即ち、(1)混濁セロリ成分含有アルコールベース及び(2)セロリ透明成分含有アルコールベースとした。
*(1)混濁セロリ成分(汁)
セロリ破砕汁、即ち、着色成分及び植物繊維(パルプ)を含んだままのセロリ成分(汁)とし、その一部を混濁セロリ成分(汁)とした。
*(2)セロリ透明成分(汁)
上記(1)セロリ成分(汁)の残りの混濁セロリ成分(汁)を、遠心分離および珪藻土濾過により、着色成分及び植物繊維(パルプ)を除去したものを、セロリ透明成分(汁)とした。
〔評価試験〕
〔基本官能評価〕
(基準例の調製)
〔表1〕に記載された組成に従って得た(1)混濁セロリ成分含有アルコールベース及び(2)セロリ透明成分含有アルコールベースそれぞれを、水で4倍に希釈した、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を得た。
(評価方法)
本出願人(社内)に勤務する6名(A〜F:社内において飲料評価能力試験を通過したエキスパート)のパネル(20歳から65歳までの男女)により、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料との比較官能試験(目隠しによる試飲)を実施した。
(評価結果)
上記6名のフリーコメントは以下の通りであった。下記フリーコメントから、(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、(1)セロリ混濁成分含有アルコール飲料と比較して、「セロリらしさ」に欠けていることが明らかに理解された。
〈フリーコメント〉
A:(2)は、(1)と比較して、グリーン香が弱く、あっさりとしており、ボリュームが少なかった。
B:(2)は、(1)と比較して、フレッシュ感、土臭さが弱かった。
C:(2)は、(1)と比較して、セロリ特有の青臭さが減り、酸味が目立った。
D:(2)は、(1)と比較して、青臭さが減り、フレッシュ感が弱かった。
E:(2)は、(1)と比較して、グリーン香が弱く、ミント様の香りが減った。
F:(2)は、(1)と比較して、グリーン調の香りが無く、全体の厚みが弱かった。
〔デカナール添加評価〕
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これにデカナールを下記〔表2〕に記載した通りに、特定量で各々添加したものを、実施例1〜実施例5としてデカナール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、デカナールを0.005ppb含有していた。
(評価方法)
上記6名のパネルにより、基準例と実施例とについて以下の通り、セロリらしさとバランス感とを評価し、その結果を〔表2〕に記載した。
〈セロリらしさ〉
「セロリらしさ」は、セロリ本来の風味、香味、旨味、清涼感、とりわけフレッシュ感(新鮮感)、適度なセロリ由来の青臭さ、グリーン香とした。この「セロリらしさ」について、官能評価点数として、上記6名のパネルの評価平均値として、下記〔表2〕に記載した。「基準例」の評価は、10段階評価の中間である「5点」とした。この10段階評価は、基準を「5点」とした時に、セロリらしさを強く感じる度合いに応じて段階的に、6点から10点に至るものとし、かつ、セロリらしさを弱く感じる度合いに応じて段階的に5点から1点に至るものとして評価点とした。
〈バランス感〉
「バランス感」は、飲料を試飲した際の、「セロリらしい」香味風味が整っていることとした。この「セロリらしさ」について、以下の評価点数として評価し、上記6名のパネルの人数合計値として、下記〔表2〕に記載した。
(評価手法)
評価○:飲料としてバランスが良い。
評価△: 飲料としてバランスが良いが、評価○よりやや劣る。
評価×:飲料としてのバランスが悪い。
(評価結果)
デカナールが添加されることにより、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。また、上記6名のパネルによれば、基準例は水っぽくて厚みのない飲料であったのに対して、実施例1〜実施例5の何れの飲料も、グリーン感が強く感じられ、飲料としての厚みが強く感じられ、飲料自体に華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例5は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、若干、風味香味が強く感じられた、との官能評価コメントがあった。
〔リナロール添加評価〕
リナロール添加評価は、以下の調製及び結果以外は、〔デカナール添加評価〕で行ったのと同一の評価方法によって評価した。
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これにリナロールを下記〔表3〕に記載した通りに、特定量で各々添加したものを、実施例6〜実施例10としてリナロール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、リナロールを0.12ppb含有していた。
(評価結果)
リナロールが添加されることにより、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。また、上記6名のパネルによれば、実施例6〜実施例10の何れの飲料も、グリーン感とスパイシー感が強く感じられ、飲料自体に華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例10は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、紅茶的な風味を呈していた、との官能評価コメントがあった。
〔デカナール及びリナロール混合添加評価〕
デカナール及びリナロール混合添加評価は、以下の調製及び結果以外は、〔デカナール添加評価〕で行ったのと同一の評価方法によって評価した。
(調製)
上記(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料を基準例とし、また、これに、下記〔表4〕に記載した通りに、デカナールを0.3ppb(定量)、及びリナロールを特定量で各々添加したものを、実施例11〜実施例15としてデカナール及びリナロールリナロール及びセロリ透明成分含有アルコール飲料とした。基準例である(2)セロリ透明成分含有アルコール飲料は、リナロールを0.12ppb含有していた。
(評価結果)
デカナールの添加量を「定量」とし、リナロールの添加量を可変していった場合には、基準例と比較して、優れたセロリらしさ及びバランス感が達成されることが明らかに理解された。〔表4〕の結果から理解される通り、デカナールとリナロールとを併用することにより、単なる相加効果ではなく、予想外の相乗効果な結果を示した。また、上記6名のパネルによれば、実施例11〜実施例15の何れの飲料も、グリーン感と飲料としての華やかな重厚感があり、「セロリらしさ」が十分に感じられ、そして、実施例15は華やかな重厚感が高く、飲料として許容されるものの、紅茶的な風味を呈した、との官能評価コメントがあった。
〔透明性評価〕
混濁セロリ成分(汁)、セロリ透明成分(汁)、セロリ透明成分含有アルコールベース、セロリ透明成分含有アルコール飲料について、以下の通り吸光度を測定した値は下記〔表5〕に記載した通りであった。
〈吸光度測定〉
吸光度の測定は、分光光度計(例えば、商品名UV−2450:島津製作所製)を用いて測定した。
〈吸光度測定条件〉
上記吸光度測定計を用いて、4つの試料について、幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、530nm、630nm、及び720nmにおける各吸光度測定を行った。
〈測定結果〉
混濁セロリ成分(汁)はそもそも、混濁しており透明性を示さず、測定できなかった。セロリ透明成分含有アルコールベース及びセロリ透明成分含有アルコール飲料は、任意成分(香料成分)を添加した為か、セロリ透明成分(汁)と比較して、透明度が下がった。しかしながら、いずれも透明飲料(それ用濃縮物)として許容されるものであった。

Claims (10)

  1. セロリ成分含有透明飲料であって、
    セロリ成分と、
    デカナール及び/又はリナロールとを含んでなる、セロリ成分含有透明飲料。
  2. 前記セロリ成分は、
    吸光度(420nm)が0.50以下であり、
    吸光度(530nm)が0.10以下であり、
    吸光度(630nm)が0.10以下であり、又は
    吸光度(720nm)が0.10以下である、請求項1に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  3. 前記セロリ成分の含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全質量を基準にして2.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  4. 前記デカナールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、0.1ppb以上100ppb以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  5. 前記リナロールの含有量が、前記セロリ成分含有透明飲料全体積を基準にして、50ppb以上2000ppb以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  6. 前記セロリ成分含有透明飲料は、
    吸光度(420nm)が1.5以下であり、
    吸光度(530nm)が0.8以下であり、
    吸光度(630nm)が0.6以下であり、又は
    吸光度(720nm)が0.4以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  7. 前記セロリ成分含有透明飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、請求項1〜6の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料。
  8. セロリ成分含有透明飲料用濃縮物であって、
    請求項1〜7の何れか一項に記載のセロリ成分含有透明飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、セロリ成分含有透明飲料用濃縮物。
  9. デカナール及び/又はリナロールとを有効成分として含んでなる、セロリ様成分添加剤。
  10. セロリ成分含有透明飲料にセロリ様成分を付与する方法であって、
    デカナール及び/又はリナロールとを含有させてなることを含んでなる、セロリ様成分を付与する方法。
JP2018118873A 2018-06-22 2018-06-22 セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法 Active JP7120823B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118873A JP7120823B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118873A JP7120823B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019216684A true JP2019216684A (ja) 2019-12-26
JP7120823B2 JP7120823B2 (ja) 2022-08-17

Family

ID=69094519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018118873A Active JP7120823B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7120823B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10219272A (ja) * 1997-02-12 1998-08-18 Shiono Koryo Kk 香質改善剤
JPH119217A (ja) * 1997-06-27 1999-01-19 Yakult Honsha Co Ltd パセリ又はセロリの透明搾汁液の製造方法
JP2004000081A (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Ogawa & Co Ltd 野菜エキスの製造方法
JP2005075881A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 T Hasegawa Co Ltd 香料組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10219272A (ja) * 1997-02-12 1998-08-18 Shiono Koryo Kk 香質改善剤
JPH119217A (ja) * 1997-06-27 1999-01-19 Yakult Honsha Co Ltd パセリ又はセロリの透明搾汁液の製造方法
JP2004000081A (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Ogawa & Co Ltd 野菜エキスの製造方法
JP2005075881A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 T Hasegawa Co Ltd 香料組成物

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
COOKPAD, きび酢入りデトックスウォーター, [ONLINE], レシピID : 3653851, 公開日: 2016年01月30日, [検索, JPN6022005554, ISSN: 0004705699 *
COOKPAD, セロリの葉で♪デトックスウォーター, [ONLINE], レシピID : 3079596, 公開日: 2015年03月21日, [, JPN6022005550, ISSN: 0004705697 *
DECOのベジフルHAPPY LIFE,『グレープフルーツとセロリのデトックスウォーター』からの…『グレープフルー, JPN6022005553, ISSN: 0004705698 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7120823B2 (ja) 2022-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7420862B2 (ja) 柑橘類果実様飲料、柑橘類果実様飲料用濃縮物、及びこれらの製造方法
JP2014128251A (ja) 新規ビールテイスト飲料
TW201424606A (zh) 低pH値飲料
JP2005204585A (ja) ポリフェノール含有アルコール飲料
JP7011894B2 (ja) アルコール飲料及びその製造方法
JP6198906B1 (ja) グレープフルーツ果実様飲料及びその製造方法
JP4994908B2 (ja) 食酢の製造方法及び該方法により製造された食酢
JP7038141B2 (ja) 飲料
JP7316911B2 (ja) 非甘味性飲料、および非甘味性飲料の製造方法
JP6855167B2 (ja) 柑橘の果皮感が増強されたアルコール飲料およびその製造方法
JP7120823B2 (ja) セロリ成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法
JP7250444B2 (ja) ニンジン成分含有透明飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法
JP7111603B2 (ja) 透明トマト果汁含有飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法
JP7430987B2 (ja) アルコール飲料、ならびにアルコール飲料における焦げたパンの香りおよび/またはねっとりとした舌触りの向上方法
JP7356262B2 (ja) アルコール飲料、ならびにアルコール飲料における発酵感および/またはねっとりとした舌触りの向上方法
TWI706033B (zh) 高酒精飲料、高酒精飲料之製造方法、及高酒精飲料之香味提升方法
JP7274346B2 (ja) ビールテイスト飲料、及びビールテイスト飲料の製造方法
JP7212576B2 (ja) ビールテイスト飲料
JP7044560B2 (ja) アルコール飲料及びその製造方法
JP7127961B2 (ja) アルコール飲料及びその製造方法
JP7018482B1 (ja) ビールテイスト飲料、およびビールテイスト飲料の製造方法
JP7015345B2 (ja) ビールテイスト飲料、およびビールテイスト飲料の製造方法
Pokhrel EFFECTS OF JUICE CONTENT AND pH OF MUST ON THE QUALITY OF YACON (SMALLANTHUS SOCNCHIFOLIUS) WINE
RU2443127C1 (ru) Безалкогольный виноградный напиток
JP7324591B2 (ja) グレープフルーツ風味飲料、及び、風味向上方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210409

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7120823

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150