JP7111603B2 - 透明トマト果汁含有飲料、その濃縮物及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、以下に例示する一態様により、本願発明における課題を解決することができる。
〔1〕 透明トマト果汁含有飲料であって、
前記透明トマト果汁含有飲料に対して、
0.0重量体積(w/v)%超過5.0重量体積(w/v)%未満の透明トマト果汁と、
1mg/100mL以上25mg/100mL以下のナトリウムと、
1mg/100mL以上25mg/100mL以下のカリウムとを含んでなる、透明トマト果汁含有飲料。
〔2〕 前記透明トマト果汁は、
吸光度(420nm)が1.6以下であり、
吸光度(430nm)が1.7以下であり、又は
吸光度(660nm)が0.1以下である、〔1〕に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔3〕 前記ナトリウム及び前記カリウムの総量に対して、前記ナトリウムの存在率〔Na/(Na+K)×100〕が50%以上100%未満である、〔1〕又は〔2〕に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔4〕 前記ナトリウム及び前記カリウムの総量に対して、前記カリウムの存在率〔K/(Na+K)×100〕が0%超過50%以下である、〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔5〕 前記ナトリウムと前記カリウムの重量比が6:1~3:10である、〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔6〕 前記透明トマト果汁含有飲料は、吸光度(660nm)が1.1未満である、〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔7〕 前記透明トマト果汁含有飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔8〕 前記透明トマト果汁含有飲料のエキス値が、1.0%以上45%以下である、〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
〔9〕 透明トマト果汁含有飲料用濃縮物であって、
〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、透明トマト果汁含有飲料用濃縮物。
〔10〕 前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物のpHが、3.0以上5.0以下であり、
前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物の酸度が、クエン酸換算で、0.5以上2.0以下であり、又は、
前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物のブリックスが、10以上25以下である、〔9〕に記載の透明トマト果汁含有飲料用濃縮物。
(トマト)
「トマト」は、学名:Solanum lycopersicumであり、南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー、エクアドル)原産のナス科ナス属の植物である。日本名としては、「トマト」は、蕃茄、唐柿、赤茄子、小金瓜、珊瑚樹茄子等が知られている。トマトは、世界中で約9000種類、日本では品種登録されているものも含めて約150種類程度のものがあり、食用とされるものであれは、品種、大小の形状等に拘わらず使用することが可能である。トマトは、色による分類ではピンク系と赤系と緑系に大別される。ピンク系トマトの果実はピンク色を呈し、赤系トマトの果実は濃い赤やオレンジ色を呈する。トマトは、カロテノイドの一種であるリコピン及びβ-カロテンを包含し、それ以外に様々なビタミン、ミネラルを包含する。本発明にあっては、原料としてこれらのトマトを使用する。
「吸光度」とは、分光法において、光が試料物体を通った際に、強度がどの程度弱まるかを示す無次元量として表されるものである。分析化学においては、入射光強度I0と、透過光強度Iとし、波長λにおける吸光度A(λ)は、即ち、A(λ)=-log10(I/I0)とされる。試料が液体(成分又は飲料)である場合、「I0」は試料を入れる空のセルの透過光強度を示し、「I」は試料を入れたセルの透過光強度を示す。「吸光度」は、測定する光の波長を呈する光源と、測定する検出器とを備えた分光光度計を用いて測定されてよい。
1グラムのショ糖が20℃の水溶液100gに溶存している場合、その溶液のBrix(ブリックス)値が1度(Bx)であるとされ、このショ糖溶液と同じ糖度屈折計の値を示す溶液のBrix値と定義される。
「アルコール飲料」は、酒税法で「アルコール分一度以上の飲料」と定義されており、食品衛生法でも食品として扱われ、当該法律の適用を受けるものである。「アルコール飲料」としては、醸造酒、蒸留酒、その他の酒類、又はこれらの一種又は二種以上の混合酒が含まれる。なお、酒税法に定義されている通り、「アルコール分」とは、温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。「アルコール度数」とは、アルコール飲料に対するエタノールの体積濃度を百分率(%)で表した割合である。
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作った酒であり、基本的に、アルコール度数が高いアルコール飲料である。酒税法では、蒸留酒類として、次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。):イ)連続式蒸留しようちゆう、ロ)単式蒸留しようちゆう、ハ)ウイスキー、ニ)ブランデー、ホ)原料用アルコール、ヘ)スピリッツと定義されている。蒸留酒には、蒸留したアルコールに加水をしたもの、或いは、木製の樽等で熟成したもの等も含まれる。
「ジン」は、穀類(大麦、ライ麦、ジャガイモ等)を原料とし、麦芽及び酵素剤を利用して、糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツに、ジュニパーベリー(杜松の実)などの草根木皮を浸すなどして、香りをつけ、再度蒸溜した無色透明の酒をいい、草根木皮の香気成分固有の香味及び風味を有する酒(スピリッツ)である。
「ウォッカ」は、穀類(ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、大麦等)を原料として、糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した酒(スピリッツ)をいい、スピリッツの中でも最もクセのない香味及び風味を有し、まろやかな爽快感を特徴とするものである。
「ラム」はサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられる酒(スピリッツ)である。
醸造酒は、原料を酵母によりアルコール発酵のみで作られ、蒸留等を行わず製造される酒類の総称である。酒税法では、醸造酒類として、イ)清酒、ロ)果実酒、ハ)その他の醸造酒と定義されている。そのほかに、酒税法では発泡性酒類として分類されているが、ビール及び発泡酒等もまた醸造によって作られる醸造酒である。醸造酒には、糖類をそのまま発酵させて酒類を得る単発酵酒〔例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒等〕と、でんぷんを糖化し、その糖類を発酵させて酒類を得る複発酵酒〔例えば、ビール(単行複発酵酒)、日本酒(並行複発酵酒)〕とがある。醸造酒は、酵母によるアルコール発酵のみによるものであることから、アルコール度数は高くとも約22%程度である。
(透明トマト果汁)
飲料は、透明トマト果汁を含んでなり、透明トマト果汁は、好ましくは、トマトから着色成分及び固形成分を取り除いたトマト成分である。透明トマト果汁は、より透明性の液体成分として用いることにより、製造容易性、成分調製の容易性、飲料成分の安定性及び保存性の観点から好ましいものとなる。
本発明において、用語「トマトらしさ(トマト感)」とは、トマト果実を想起させる香りと、果実らしい甘酸バランスが感じられることであり、より具体的には、トマト本来のフレッシュ感、完熟感、飲み応えを包含する概念である。
「フレッシュ感」とは、新鮮な果実特有の、すっきりとしたグリーン香があることを主として意味する。
「完熟感」とは、熟した果実特有の(トマトピューレのようなうまみを想起させるような)コク感があることを主として意味する。
「飲み応え感」とは、しっかりとした濃厚感が感じられるような喉越しがあることを主として意味する。
透明トマト果汁は、究極には(最も好ましくは)無色透明であるが、半透明、有色透明、有色半透明、混濁透明等であり、本発明にあっては、ある程度着色成分及び固形成分を取り除いたものを使用する。従って、透明トマト果汁には、この趣旨において、ある程度の着色成分及び固形成分等の存在を許容するものである。
透明トマト果汁は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(420nm)が1.6以下であり、好ましくは1.4以下であり、より好ましくは0.5以下であり、
吸光度(430nm)が1.7以下であり、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは0.6以下であり、
吸光度(660nm)が0.1以下であり、好ましくは0.07以下であり、より好ましくは0.04以下である。
浸漬液の吸光度の測定は、分光光度計(例えば、商品名UV-2450:島津製作所製)を用いて測定する。均一な透明トマト果汁を得るために、幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、430nm、及び660nmにおける吸光度測定を行う。
透明トマト果汁は、原料であるトマトの調達、洗浄、選別、破砕、搾汁、濾過、分離を基本工程とし、さらに、次工程として、任意に、加熱、冷却、均質化等の諸工程を採用し、これらを適宜組み合わせて、調整することができる。原料として、濃縮トマト汁又は還元トマト汁を使用することにより、前記トマトの調達、洗浄、選別、破砕及び搾汁と云った工程を省くことも可能である。前記濾過及び分離は、食品化学の分野及びそれを管理する法律で許容されている方法を用いることができ、例えば、珪藻土濾過、遠心分離、膜分離等が挙げられ、好ましくは珪藻土濾過を使用することが可能である。これによって、着色成分及び不溶性固形分を除去した所望の透明トマト果汁を得ることが可能となる。
得られた透明トマト果汁は、透明トマト果汁全質量を基準にして、着色成分及び可溶性固形分(エキス分)を15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下で包含したものが好ましい。このような透明トマト果汁を原料とすることにより、製造容易性、飲料製品の品質安定性及び保存性に優れた飲料を提供することが可能となる。
透明トマト果汁含有飲料は、ナトリウムを含有する。ナトリウムは、特に、トマト様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。飲料は、ナトリウムを含有することにより、「トマトらしさ」、即ち、トマト果実を想起させる香りと、果実らしい甘酸バランスが感じられることであり、付与することが可能となる。特に、透明トマト果汁の含有量が少ない場合であっても、ナトリウムを特定量で含有することにより、その理由は不明ではあるが、「トマトらしさ」が十分発揮される。
透明トマト果汁含有飲料は、カリウムを含有する。カリウムは、特に、トマト様成分添加剤又は促進剤として採用することができる。飲料は、カリウムを含有することにより、「トマトらしさ」、即ち、トマト果実を想起させる香りと、果実らしい甘酸バランスが感じられることであり、付与することが可能となる。特に、透明トマト果汁の含有量が少ない場合であっても、カリウムを特定量で含有することにより、その理由は不明ではあるが、「トマトらしさ」が十分発揮される。
本発明の好ましい一の態様によれば、透明トマト果汁含有飲料は、ナトリウムとカリウムとの混合物を含んでなるものが好ましい。ナトリウムとカリウムをそれぞれ単独で含有するよりも、ナトリウムとカリウムとを併用(混合)することにより、飲料に対する「トマトらしさ」の付与効果は、単なる相加効果ではなく、相乗的な効果を発揮することができる。
透明トマト果汁含有飲料において、ナトリウム及びカリウムの総量に対してのナトリウムの存在率〔Na/(Na+K)×100〕は、50%以上100%未満であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは69%以上であり、好ましくは94%以下であり、より好ましくは90%以下である。
透明トマト果汁含有飲料は透明性を有するものであり、無色透明、半透明、有色透明、有色半透明、混濁透明等であり、好ましくは、無色透明、有色透明であり、最も好ましくは無色透明である。従って、本発明の好ましい態様によれば、透明トマト果汁含有透明飲料(好ましくは、無色透明飲料又は有色透明飲料)を提案することができる。飲料本発明にあっては、透明性の指標として、以下の吸光度を用いることができる。透明性の定義、上記指標については、(透明トマト果汁)の項で説明したのと同様であってよい。
透明トマト果汁含有飲料は、特定の吸光度(λ)を測定した場合に、以下の所定の値を有するものが好ましい。
吸光度(660nm)が1.0未満であり、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.1以下である。
本発明にあっては、透明トマト果汁含有飲料は、必要に応じて、任意成分を含んでなるものであってよい。任意成分としては、野菜汁、果汁、エキス、香料、甘味料、酸味料、pH調整剤、色素、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、食物繊維、安定化剤、乳化剤等が挙げられる。これら任意成分は、厚生労働省、消費者庁等において定められたガイドライン及び関連法規(食品衛生法等)に規定されたものを用いる。
本発明にあっては、野菜及び/又は果実飲料とする場合には、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)を任意成分として含んでよい。好ましくは、野菜成分(汁)、果実成分(果汁)は、本発明による透明トマト果汁と同様の調製又は処理を施したものが好ましくは用いられる。野菜汁としての野菜は、例えば、トマト、トマト、ホウレン草、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、レタス、パセリ、クレソン、ケール、大豆、ビート、赤ピーマン、カボチャ、及び小松菜等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物であってよい。
酸味料の具体例としては、アジピン酸、クエン酸、クエン酸(三)ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸及びこれらの塩(カリウム塩、ナトリウム塩)が挙げられる。酸味料は、pH調整剤としても使用可能である。本発明にあっては、上記列記したものの中、ナトリウム塩及びカリウム塩は、上記ナトリウム及びカリウムを含有させる原料としても用いることが可能である。
甘味料としては、例えば、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。
〈pH〉
透明トマト果汁含有飲料のpHは、2.0以上5.0以下であり、好ましくは2.5以上であり、好ましくは4.0以下である。飲料のpHを上記範囲内にあることにより、飲料の飲みやすさ、甘味を付与すると共に、飲料に対して長期間の保存安定性、防黴性又は防菌性を付与することが可能となる。pH値は、例えば、JIS Z 8802:2011に準じて測定することができ、また、pH値は、pH測定器(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製 TTT-510)によって測定されてよい。
透明トマト果汁含有飲料の酸度は、0.2以上1.0以下であり、好ましくは0.5以上であり、好ましくは0.9以下である。飲料の酸度が上記範囲内にあることにより、飲料の飲みやすさ、清涼感を付与する。「酸度」とは、飲料に含有される(有機)酸の含有量(質量%)を意味し、飲料の酸味を示す指標となる。「酸度」は、中和滴定法により測定され、例えば、日本農業規格(JAS)の酸度測定方法に準じて測定することができ、また、酸度値は、市販されている酸度測定器(AUTO-TITRATOR COM-700 平沼産業株式会社)によって測定されてよい。
透明トマト果汁含有飲料のエキス値は、1.0%以上45%以下であり、好ましくは3.0%以上であり、より好ましくは4.0%以上であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは5.0%以上である。飲料のエキス値を上記範囲の数値にすることにより、飲料の飲みやすさ、旨味、清涼感を付与することが可能となる。「エキス」とは、飲料に含有される可溶性固形分濃度(質量%)を意味する。エキス値は、エキス計(例えば、京都電子工業株式会社製 DA-520)によって測定されてよい。
透明トマト果汁含有飲料は、野菜飲料、果汁飲料、野菜果実飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料;果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、エキス入り飲料等の炭酸飲料;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料等の嗜好飲料、アルコール飲料;又はノンアルコール飲料のいずれであってよもよい。本発明にあっては、好ましくはアルコール飲料(より好ましい)又はノンアルコール飲料とされてよい。
アルコール飲料は、上記〔定 義〕の項で定義した通りのものであり、食用アルコールを含有することにより、透明トマト果汁含有透明アルコール飲料として調製されてよい。
アルコール飲料は、好ましくは、醸造酒、蒸留酒及びこれらの混合酒の一種、或いはこれらの二種以上の混合酒としてもよい。より好ましくは、一種又は二種以上の醸造酒と、一種又は二種以上の蒸留酒との混合酒であり、最も好ましいものは、一種又は二種以上の蒸留酒である。本発明にあっては、アルコール飲料は、蒸留酒、特に好ましくはスピリッツまたは焼酎である。
食用アルコールは、醸造アルコールとも云われており、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいう、とされている(「清酒の製法品質表示基準」)。食用アルコールには、加水してアルコール含有濃度を低下させたものも含まれる。また、醸造酒を先ず製造し、その後、製造した醸造酒をそのまま原料として、食用アルコールとして利用してもよい。さらには、蒸留酒(原料用アルコール、ジン、ウオッカ、ブランデー、焼酎等)であって、好ましくは無色透明の蒸留酒を使用することも可能である。
本発明による透明トマト果汁含有飲料の製造方法は、トマト果実を破砕・搾汁し、膜ろ過し、さらに珪藻土濾過して準備した。
透明トマト果汁と、ナトリウムとカリウムと、任意成分と、食用アルコール又は飲料水とを用意し、これらを混合して、透明トマト果汁含有飲料を得ることを含んでなるものである。
本発明の一態様として、透明トマト果汁含有飲料用濃縮物であって、
本発明による透明トマト果汁含有飲料の濃度を、濃度換算として、1.0倍超過200倍以下としたものである、飲料用濃縮物が提案できる。本発明にあっては、飲料用濃縮物は、本発明による飲料における含有成分濃度を上げたもの、例えば、飲料水(飲用アルコール)の含有量を減少し、含有成分の含有量を増加し、或いは、本発明による飲料における濃度を食品衛生法上許容される方法で濃縮(加熱、乾燥等)したものとして提案することができる。
飲料用濃縮物の酸度が、クエン酸換算で、0.3以上2.0以下であり、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.9以下である。
飲料用濃縮物のブリックスが、10以上40以下であり、好ましくは12以上であり、より好ましくは13以上であり、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下である。
pH及び酸度は上記と同様にして測定することができる。ブリックスについては、ブリックス測定器(商品名:アタゴ デジタル屈折計 RX-7000I)を用いて、測定することができる。
透明トマト果汁含有飲料用濃縮物は、濃度換算において、上記した本発明による飲料の濃度を下限値として1.0超過倍であり、好ましくは1.2倍以上であり、上限値として200倍以下であり、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは10倍以下程度にしたものである。
本発明の一態様として、透明トマト果汁含有飲料用濃縮物を製造する方法であって、
本発明による飲料を用意し、
飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下とすることを含んでなる、透明トマト果汁含有飲料用濃縮物の製造方法が提案できる。
別の好ましい態様によれば、透明トマト果汁含有飲料又はその濃縮物を容器に詰めた容器詰飲料を提案することができる。容器詰飲料とすることにより、透明香味及び風味を強く呈し、かつ、長期間維持促進させ、透明香味及び風味が劣化又は減少することなく、そして、トマト本来の風味、香味、旨味、及び甘味等、並びに透明トマト飲料としての新鮮味、完熟感、濃厚感、飲みごたえ感、キレ及びコク等を長期間発揮及び維持することができる。また、透明トマト果汁含有飲料又は飲料用濃縮物の提供利便性、流通利便性、保存性、品質劣化防止を図ることが可能となる。
本発明にあっては、透明トマト果汁含有飲料において、トマト成分活性剤又は促進剤を提案することができ、かつ、トマト成分を付与し、増強し、又は促進する方法を提案することができる。
また、製品に、トマト成分を付与し、増強し、促進し、又は改善する方法は、製品(透明トマト果汁、飲料等)、特定量のナトリウム及びカリウムを混合することを含んでなることにより、達成される。透明トマト果汁、ナトリウム及びカリウム等については、先に説明したのと同様であってよい。
(ベース調製)
下記〔表1〕に示した組成物を配合して、全体で1000mLとして調製し、これを透明トマト果汁含有アルコール飲料のベースとした。透明トマト透明果汁は、トマトを絞った混濁トマト果汁を、遠心分離、珪藻土濾過により、着色成分及び植物繊維(パルプ)を除去したものであった。
(試料調製)
〔表1〕に記載された組成に従って得た透明トマト果汁含有アルコール飲料に、下記〔表2〕の通り、透明トマト果汁添加量を変えて試料T1~T6を得た。
本出願人(社内)に勤務する6名(A~F:社内において飲料評価能力試験を通過したエキスパート)のパネル(20歳から65歳までの男女)により、試料T1~T6による透明トマト果汁含有アルコール飲料との比較官能試験(目隠しによる試飲)を実施した。評価基準は、以下の通り5段階評価とし、「1」~「5」として平均評価をした。その結果は、下記〔表2〕に記載した通りであった。
各評価項目の強度の強さを「感じない」から「強く感じる」まで、以下の基準にて5段階(点数)で評価した。また、フレッシュ感、完熟感、飲み応え感の各個別評価も同様にして行った。
1:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じない。
2:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや感じる。
3:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じる。
4:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや強く感じる。
5:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を強く感じる。
評価結果は、下記表2の通りであったが、考察すれば、透明トマト果汁添加量に伴いトマトらしさ・完熟感は増加するが、添加量が増える事によりトマトのくどさ重さが目立つようになり、フレッシュ感が弱まる事が確認された。
(基準例の調製)
〔表3〕に記載された組成に従って得た透明トマト果汁含有アルコール飲料に、下記〔表4〕の通り、食塩(NaCl)を添加して、試料N1~N6を得た。
評価試験1と同様にして行ったが、評価試験1の試料T3(試料N3)〔透明トマト果汁含有量5g〕を基準にして、評価した。その結果は、下記〔表4〕に記載した通りであった。
(評価基準)
各評価項目の強度の強さを、「感じない」から「強く感じる」まで、以下の基準にて5段階(点数)で評価した。また、フレッシュ感、完熟感、飲み応え感の各個別評価も同様にして行った。
1:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じない。
2:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや感じる。
3:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じる。
(食塩無添加のN1を3点とした)
4:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや強く感じる。
5:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を強く感じる。
評価結果は、下記〔表4〕の通りであったが、考察すれば、試料N1~N6は食塩(Na)を添加することにより、全体のキレと風味の余韻が増すことが分かった。その結果、特にトマトらしいフレッシュ感が強化される事が分かった。なお、資料として記載しなかったが、0.25g/1000ml超過のものは、塩味が目立つようになり飲みにくい飲料となった。
(基準例の調製)
〔表3〕に記載された組成に従って得た透明トマト果汁含有アルコール飲料に、下記〔表5〕の通り、食塩(KCl)を添加して、試料K1~K6を得た。
評価試験1と同様にして行ったが、評価試験1の試料T3(試料N3)〔透明トマト果汁含有量5g〕を基準にして、評価した。その結果は、下記〔表6〕に記載した通りであった。
(評価基準)
各評価項目の強度の強さを、「感じない」から「強く感じる」まで、以下の基準にて5段階(点数)で評価した。また、フレッシュ感、完熟感、飲み応え感の各個別評価も同様にして行った。
1:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じない。
2:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや感じる。
3:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じる。
(KCl無添加のK1を3点とした)
4:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや強く感じる。
5:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を強く感じる。
評価結果は、下記〔表6〕の通りであったが、考察すれば、試料K1~K6は食塩(K)を添加することにより、全体の厚みが増し、複雑味が増すことが分かった。その結果、特にトマトらしい濃厚感と完熟感、フレッシュ感が強化される事が分かった。なお、資料として記載しなかったが、0.25g/1000ml超過のものは、雑味が強調されて、全体的に諄い味になることが強調され、飲みにくい飲料となった。
(基準例の調製)
〔表3〕に記載された組成に従って得た透明トマト果汁含有アルコール飲料に、下記〔表6〕の通り、食塩、NaCl及びKClを添加して、実施例1~5を得た。
評価試験1と同様にして行ったが、新たに調製した試料NK(NaCl:0.012g添加、KCl:0.009g添加)を基準にして、評価した。その結果は、下記〔表6〕に記載した通りであった。
(評価基準)
「全く感じない」と「大変強い」とを追加して、各評価項目の強度の強さを、「全く感じない」から「大変強い」まで、以下の基準にて7段階(点数)で評価した。試料NKの評点を4点とした。また、フレッシュ感、完熟感、飲み応え感の各個別評価も同様にして行った。
1:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を全く感じない。
2:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じない。
3:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや感じる。
4:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を感じる。
(試料NKを4点とした)
5:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)をやや強く感じる。
6:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を強く感じる。
7:トマトらしさ(フレッシュ感、完熟感、飲み応え感)を大変強く感じる。
評価結果は、下記〔表6〕の通りであったが、考察すれば、実施例1~5のように、ナトリウム及びカリウムを混合して添加したものは、トマトらしさが増すことが、単なる相加ではなく、それ以上の相乗効果で得られたことが理解された。
(試料調製)
上記実施例で用いた、透明トマト果汁を用意し、試料として、1)透明トマト果汁、2)透明トマト果汁に合成着色料(添加量:0.02%)を添加したもの、3)前記2)においてカラメル色素(添加量0.03%)を添加したもの、4)前記3)において、乳化香料を添加したもの、を用意した。
合成着色料は、食用青色1号、赤色102号、黄色4号の混合物であり、カラメル色素は、液体カラメルTAであり、乳化香料は、商品名:ネオクラ(三栄源社製)を用いた。
透明トマト果汁、透明トマト果汁含有アルコール飲料について、以下の通り吸光度を測定した値は下記〔表7〕に記載した通りであった。
〈吸光度測定〉
吸光度の測定は、分光光度計(例えば、商品名UV-2450:島津製作所製)を用いて測定した。
〈吸光度測定条件〉
上記吸光度測定計を用いて、各試料について、幅1cmのセルを用いて、各波長(λ):420nm、430nm、660nmにおける各吸光度測定を行った。
〈測定結果〉
下記〔表7〕の結果の通り、透明トマト果汁及び透明トマト果汁含有飲料の透明性は高いものであった。
Claims (10)
- 透明トマト果汁含有飲料であって、
前記透明トマト果汁含有飲料に対して、
0.0重量体積(w/v)%超過5.0重量体積(w/v)%未満の透明トマト果汁と、
1mg/100mL以上25mg/100mL以下のナトリウムと、
1mg/100mL以上25mg/100mL以下のカリウムとを含んでなる、透明トマト果汁含有飲料。 - 前記透明トマト果汁は、
吸光度(420nm)が1.6以下であり、
吸光度(430nm)が1.7以下であり、又は
吸光度(660nm)が0.1以下である、請求項1に記載の透明トマト果汁含有飲料。 - 前記ナトリウム及び前記カリウムの総量に対して、前記ナトリウムの存在率〔Na/(Na+K)×100〕が50%以上100%未満である、請求項1又は2に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 前記ナトリウム及び前記カリウムの総量に対して、前記カリウムの存在率〔K/(Na+K)×100〕が0%超過50%以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 前記ナトリウムと前記カリウムの重量比が6:1~3:10である、請求項1~4の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 前記透明トマト果汁含有飲料は、吸光度(660nm)が1.1未満である、請求項1~5の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 前記透明トマト果汁含有飲料が、アルコール飲料又はノンアルコール飲料である、請求項1~6の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 前記透明トマト果汁含有飲料のエキス値が、1.0%以上45%以下である、請求項1~7の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料。
- 透明トマト果汁含有飲料用濃縮物であって、
請求項1~8の何れか一項に記載の透明トマト果汁含有飲料の濃度を、濃度換算として1.0倍超過200倍以下としたものである、透明トマト果汁含有飲料用濃縮物。 - 前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物のpHが、3.0以上5.0以下であり、
前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物の酸度が、クエン酸換算で、0.5以上2.0以下であり、又は、
前記透明トマト果汁含有飲料用濃縮物のブリックスが、10以上25以下である、請求項9に記載の透明トマト果汁含有飲料用濃縮物。
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