以下、本明細書で開示する車両制御システムの好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図1は、本明細書に開示する車両制御システムの一実施形態の構成を示す図である。図2は、車両システムの構成を示す図である。図3は、事故処理装置の処理部を説明する図である。図4は、サーバの構成を示す図である。
本実施形態の車両制御システム1は、車両100a〜100dに搭載される車両システム10と、ネットワークNを介して、各車両システム10と通信可能に接続され、センタCに配置されるサーバ80を備える。なお、図1では、4つの車両が示されているが、車両制御システム1は、少なくとも2台の車両に搭載される車両システム10を備えていればよい。また、車両制御システム1は、5台以上の車両に搭載される車両システム10を備えていてもよい。
車両100a〜100dに搭載される車両システム10は、当該車両システム10が搭載される車両が歩行者と衝突したことを検知すると、センタCのサーバ80に対して、周辺を走行する他の車両の動作の介入制御を求める制御処理要求を送信する。サーバ80は、事故を起こした車両から所定の距離以内に位置する他の車両の車両システム10に対して、他の車両の動作を介入制御する制御要求の内容を決定して送信する。制御要求は、例えば制動の制御又は車両速度の制御を含み、事故を起こした車両の傍を走行して2次被害が発生することを防止するものである。制御要求を受信した他の車両は、制御要求の内容に基づいて動作が介入制御される。
また、車両システム10は、介入制御により停止している他の車両の停止した位置に基づいて、この他の車両に対する介入制御の実行を解除するか否かを判定する。例えば、他の車両の停止している道路上の位置が走行車線上の場合、他の車両を、緊急車両の走行を妨げない位置に移動させることが好ましい。そのため、介入制御により停止している他の車両に対して、介入制御の実行を一時的に解除して、他の車両が緊急車両の走行経路外へ移動した後、他の車両を停止させる介入制御を再開する。
車両100a〜100dに搭載される車両システム10は、事故処理装置20と、車載装置30と、GPS情報受信部40と、運転制御装置50と、操舵装置61と、駆動装置62と、制動装置63と、車両状態測定部64と、前照灯65と、エアバッグ電子制御ユニット(ECU)70と、衝突検知センサ71と、エアバッグ72を有する。
事故処理装置20は、処理部21と、記憶部22と、通信部23を有する。
処理部21は、一つまたは複数のプロセッサと、周辺回路とを有する。処理部21は、記憶部22に予め記憶されている所定のコンピュータプログラムに従い、事故処理装置20の各ハードウェア構成要素の制御及び各種処理を行い、処理中に生じるデータを一時的に保存するために記憶部22を利用する。
記憶部22は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)等の半導体メモリ又は磁気ディスク又はフラッシュメモリを有していても良い。記憶部22は、所定のコンピュータプログラムを非一時的に記憶する記憶媒体を読み出し可能なドライブを有していても良い。
通信部23は、無線通信を用いて、ネットワークNを介して、サーバ80又他の車両に搭載された車両システム10との間で情報の送受信が可能である。通信部23は、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)又はLTE(Long Term Evolution)等の所定の無線通信規格に準拠して、基地局を介して、ネットワークNと接続する。通信部23は、無線で送受信を行う通信回路及びアンテナを有し得る。処理部21は、通信部23を用いて受信された情報に基づいて、各種の処理を行う。また、処理部21は、各種の処理を行った結果を、通信部23を用いて送信する。
また、通信部23は、車内のネットワークC(Controller Area Network:CANに準拠)を介して、車載装置30及び運転制御装置50及びエアバッグECU70との間で情報の送受信を行う。通信部23は、有線で送受信を行う通信回路及び通信線を有し得る。
図3に示すように、事故処理装置20の処理部21は、事故通知部21aと、位置通知部21bと、制御要求処理部21cを有する。
処理部21が有するこれらの各部は、例えば、処理部21が有するプロセッサ上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。なお、処理部21が有するこれらの各部は、それぞれ、別個の回路として、事故処理装置20に実装されてもよい。
事故通知部21aは、車両が歩行者と衝突する事故を起こした時に実行される機能モジュールである。事故通知部21aは、車両システム10が搭載される車両が歩行者と衝突した時に、事故が発生したことを通知する事故通知及び上述した制御処理要求をサーバ80へ送信する。
位置通知部21bは、所定の間隔又は不定のタイミングで、車両の位置及び目的地を、車載装置30から入力してサーバ80へ送信する機能モジュールである。
制御要求処理部21cは、サーバ80から制御要求を受信した時に実行される機能モジュールである。制御要求処理部21cは、サーバ80から上述した制御要求を受信すると、制御要求に基づいて車両の動作を制御する。
処理部21の各部については更に後述する。
車載装置30は、処理部31と、記憶部32と、表示部33と、操作部34と、音響出力部35と、通信部36を有する。
処理部31は、一つまたは複数のプロセッサと、周辺回路とを有する。処理部31は、記憶部32に予め記憶されている所定のコンピュータプログラムに従い、車載装置30の各ハードウェア構成要素の制御及び各種処理を行い、処理中に生じるデータを一時的に保存するために記憶部32を利用する。
記憶部32は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)等の半導体メモリ又は磁気ディスク又はフラッシュメモリを有していても良い。記憶部32は、所定のコンピュータプログラムを非一時的に記憶する記憶媒体を読み出し可能なドライブを有していても良い。
表示部33は、処理部31に制御されて、車載装置30の動作に伴う各種の情報を表示可能である。表示部33として、例えば、液晶ディスプレイを用いることができる。また、表示部33は、事故処理装置20の動作においても、情報を表示するために使用され得る。
操作部34は、ユーザにより操作されて、操作を入力可能である。車載装置30は、操作部34として、例えば表示部33と一体のタッチパネルを用いることができる。また、操作部34は、事故処理装置20の動作においても、操作を入力するために使用され得る。
音響出力部35は、図示しないスピーカと接続されており、処理部31に制御されて、音響を出力する。音響出力部35は、例えば、オーディオインターフェースを有する。
通信部36は、車内のネットワークCを介して、事故処理装置20及び運転制御装置50との間で情報の送受信を行う。通信部36は、有線で送受信を行う通信回路及び通信線を有し得る。
GPS情報受信部40は、車両100a〜100dの位置を取得する位置情報取得部であり、GPS人工衛星が送信するGPS電波を受信して車両の位置を求め、車両の位置情報を車載装置30に出力する。車載装置30は、車両の位置情報を、所定の間隔か又は事故処理装置20の要求に応じて、車内のネットワークCを介して、事故処理装置20へ送信し得る。なお、GPS情報受信部40は、車両の位置情報を事故処理装置20へ直接出力するようにしてもよい。
処理部31は、ナビゲーション機能を有する。ナビゲーション機能は、記憶部32に記憶される地図データを用いて、例えばダイクストラ法を用いた所定の経路探索プログラムの実行により実現される機能モジュールである。処理部31は、GPS情報受信部40により取得された位置に基づいて、車両の現在の位置を随時更新して算出する。処理部31は、ユーザにより目的地が設定された場合には、現時点の車両の位置から目的地までの経路を導出し、当該経路を地図画像上に重畳する。処理部31は、記憶部32に記憶された地図データと車両の位置とに基づき、車両の周辺の地図を示す地図画像及び音声案内情報を表示部33又は音響出力部35に出力する。
運転制御装置50は、図示しないステアリング、アクセルペダル又はブレーキペダル等に対する、運転席に着座したユーザによる操作に基づき、操舵装置61、駆動装置62、制動装置63及び前照灯65へ出力する制御信号を生成して、車両の動作を制御する。また、運転制御装置50は、制御要求を受信した事故処理装置20からの要求に基づいて、操舵装置61、駆動装置62及び制動装置63に対する制御信号を生成する。
車両状態測定部64は、例えば、車速センサ、舵角センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、車輪速センサ及びエンジンの回転数センサ等の車両の状態を検出するセンサを有する。また、車両状態測定部64は、例えば、カメラ、レーダ、音波センサ等の車両の周囲の状況を検出するセンサを有する。運転制御装置50は、検出されたセンサの情報を用いて、車両の周辺にある障害物の監視が可能である。運転制御装置50は、自車両と前方に位置する他の車両等の障害物との距離が所定の監視距離以内にあると判断した場合、自車両と障害物との距離及び前方に障害物が位置することを、ネットワークCを介して、制御要求処理部21cへ通知する。更に、車両状態測定部64は、搭乗者が座席に着座したことを検知する着座センサを有する。車両状態測定部64が検出した情報は、運転制御装置50に出力される。運転制御装置50は、着座センサが検知した情報に基づいて、車両に着座している搭乗者の人数を算出する。運転制御装置50は、搭乗者の人数と、車輪速センサが検知した情報に基づいて求めた車両速度を、所定の間隔で、車内のネットワークCを介して、事故処理装置20へ送信する。
操舵装置61は、運転制御装置50の制御信号に基づいて車両の進行方向を決定する。
駆動装置62は、運転制御装置50の制御信号に基づいて車両の駆動力を生成して、車両を加速する。駆動装置62は、例えば、内燃機関であるエンジン又は電気モータを有する。
制動装置63は、運転制御装置50の制御信号に基づいて車両の制動力を生成する。制動装置63は、例えば、ブレーキディスク、ブレーキキャリパ及び油圧機構を有する。
エアバッグECU70は、衝突検知センサ71を用いて、歩行者等との衝突を検知すると、車両に搭載されるエアバッグ72を膨張させることによりユーザを保護する。衝突検知センサ71は、例えば、車両100a〜100dのボンネットに配置される。衝突検知センサ71として、例えば、圧力センサを用いることができる。さらに、衝突検知センサ71として車両の周辺監視装置として搭載されている車載カメラによる画像認識を用いるようにしても良いし、これらの検知手法を組み合わせて用いるようにしても良い。また、車両100a〜100dは、前方、後方及び側方に他の衝突検知センサ(圧力センサ又は加速度センサ等)を配置して、エアバッグECU70と他の車両等との衝突を検知して、エアバッグ72を膨張させるようにしてもよい。
サーバ80は、処理部81と、記憶部82と、表示部83と、操作部84と、通信部85を有する。
処理部81は、一つまたは複数のプロセッサと、周辺回路とを有する。処理部81は、記憶部82に予め記憶されている所定のコンピュータプログラムに従い、サーバ80の各ハードウェア構成要素の制御及び各種処理を行い、処理中に生じるデータを一時的に保存するために記憶部82を利用する。
記憶部82は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)等の半導体メモリ又は磁気ディスク又はフラッシュメモリを有していても良い。記憶部82は、所定のコンピュータプログラムを非一時的に記憶する記憶媒体を読み出し可能なドライブを有していても良い。
記憶部82には、車両の位置と目的地とに基づいて、経路を探索するのに使用される地図データが記録されている。この地図データには、走行車線の位置、及び路肩の有無及び有る場合の路肩の位置が、道路に関連付けられて登録されている。
表示部83は、処理部81に制御されて、各種の情報を表示可能である。表示部83としては、例えば、液晶ディスプレイを用いることができる。
操作部84は、ユーザにより操作されて、操作を入力可能である。操作部84として、例えば、キーボード及びマウスを用いることができる。
通信部85は、ネットワークNを介して、車両100a〜100dに搭載される車両システム10との間で情報の送受信を行う。処理部81は、通信部85を用いて受信された情報に基づいて、各種の処理を行う。また、処理部81は、各種の処理を行った結果を、通信部85を用いて送信する。通信部85は、送受信を行う通信回路及び通信線を有し得る。
上述した処理部81は、距離算出部81a、制御要求決定部81b及び解除判定部81cを有する。
処理部81が有するこれらの各部は、例えば、処理部81が有するプロセッサ上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。なお、処理部81が有するこれらの各部は、それぞれ、別個の回路として、サーバ80に実装されてもよい。
距離算出部81aは、車両100a〜100dから送信される各車両の現在の位置及び目的地を取得する。また、距離算出部81aは、事故を起こした車両と他の車両との間の距離を算出する。距離算出部81aは、事故を起こした車両及び他の車両の位置に基づいて、例えば、ダイクストラ法を用いた経路探索プログラムといった所定の経路探索プログラムの実行により記憶部82に記憶される地図データを用いて、2つの車両間を結ぶ走行経路及び距離を算出する。そして、距離算出部81aは、事故を起こした車両から所定の距離以内に位置する他の車両を、制御要求を決定する対象として選択する。
制御要求決定部81bは、制御要求を決定する対象として選択された他の車両に対して、他の車両の動作を介入制御する制御要求の内容を決定して、他の車両へ送信する。
解除判定部81cは、制御要求を実行して介入制御により停止している他の車両の停止した位置に基づいて、他の車両に対する介入制御の実行を解除するか否かを判定する。
処理部81の各部については更に後述する。
次に、上述した車両制御システム1の動作を、図5〜図10を参照しながら、以下に説明する。
まず、ステップS501において、動作している車両100a〜100dは、現在の位置及び目的地を、ネットワークNを介して、サーバ80へ送信する。車両100a〜100dは、所定の間隔で、現在の位置及び目的地を、ネットワークNを介して、サーバ80へ送信している。車両100a〜100dが自車両の現在の位置及び目的地をサーバ80へ送信する所定の間隔は、例えば1m秒から50m秒程度の間隔であることが好ましい。車両100aは、この後事故を起こすが、この時点では事故はまだ起きていない。
次に、ステップS503において、サーバ80は、車両100a〜100dの現在の位置及び目的地を受信して、記憶部82に記憶する。
まず、ステップS505において、車両100aは、歩行者と衝突したとする。以下、車両100aを、事故を起こした事故車両100aともいう。
図6は、事故車両及び周辺の他の車両の位置を説明する図である。
事故車両100aは、交差点を通過した後、歩行者601と衝突する事故を起こした。他の車両100b〜100dは、事故車両100aの周辺を走行している。
事故車両100aでは、エアバッグECU70が、衝突検知センサ71を用いて、歩行者との衝突を検知すると、車両に搭載されるエアバッグ72を膨張させることにより搭乗しているユーザを保護する。また、エアバッグECU70は、エアバッグ72を膨張させたことを通知する衝突通知を、車内のネットワークCを介して、事故処理装置20へ送信する。
次に、ステップS507において、事故車両100aの事故通知部21aは、エアバッグECU70から衝突通知を受信する前後の車両速度の差を、速度差として求める。速度差は、歩行者との衝突による衝撃の目安となる。また、事故車両100aの事故通知部21aは、車載装置30から事故車両100aの現在の位置を受信する。そして、事故車両100aの事故通知部21aは、他の車両の動作を介入制御することを求める制御処理要求と、事故車両100aの現在の位置と、速度差と、搭乗者の人数を、ネットワークNを介してサーバ80へ送信する。以下、速度差及び搭乗者の人数を車両情報ともいう。
次に、ステップS509において、サーバ80の処理部81は、制御処理要求と、事故車両100aの現在の位置と、車両情報を受信して、記憶部82に記憶する。センタCでは、サーバ80が受信した事故車両100aの現在の位置及び車両情報に基づいて、車両に搭乗しているユーザを救護する活動を開始する。例えば、センタCから事故発生の通知を受けて、緊急車両が、事故車両100aが事故を起こした事故発生位置へ向かって走行を開始し得る。緊急車両は、目的地及び現在の位置を、センタCに対して所定の間隔で送信する。
次に、ステップS511において、サーバ80の処理部81の距離算出部81aは、事故車両100a及び他の車両100b〜100dのそれぞれの位置に基づいて、事故車両100aと一の他の車両との間を結ぶ走行経路及び距離を算出する。距離算出部81aは、事故車両100aとの距離が事故車両近接距離以下にある他の車両100b〜100dを、制御処理の対象である車両として決定する。事故車両近接距離以下の位置を走行している他の車両は、2次被害を発生するおそれがある。事故車両近接距離としては、2次被害の発生が懸念される距離として適宜設定され得るが、例えば、200mとすることができる。なお、距離算出部81aは、事故車両100aを中心として、半径が事故車両近接距離以下にある他の車両を、周辺車両として選択してもよい。
図6に示す例では、他の車両100b〜100dのそれぞれは、事故車両100aと自車両との距離が、事故車両近接距離以下の位置を走行しているとする。以下、制御処理の対象である他の車両100b〜100dを、周辺車両100b〜100dともいう。なお、他の車両100b〜100dが歩行者と衝突した場合には、事故を起こしていない車両100aを含む他の車両が周辺車両となり得る。
次に、ステップS513において、サーバ80の処理部81の制御要求決定部81bは、周辺車両100b〜100dの動作を介入制御する制御要求の内容を決定する。制御要求決定部81bは、周辺車両が1つも決定されていない場合、事故車両100aから事故車両近接距離以内を走行する車両はないと判断して、制御要求の内容を決定する処理を中止して、他の車両からの現在の位置及び目的地を受信することを続ける。事故車両100aから事故車両近接距離以内を走行する他の車両が発生した場合には、制御要求の内容を決定する処理が行われる。
以下、図7に示すフローチャートを参照して、サーバ80の処理部81の制御要求決定部81bが、周辺車両のそれぞれに対して、制御要求の内容を決定する処理を説明する。
まず、ステップS701において、サーバ80の処理部81の制御要求決定部81bは、周辺車両が、事故車両100aに近づくように移動しているか否かを判断する。距離算出部81aは、所定の間隔で受信される周辺車両のそれぞれの位置と、事故車両100aの位置とに基づいて、2つの車両間を結ぶ走行経路及び距離を算出する。そして、制御要求決定部81bは、周辺車両と事故車両100aとの距離が縮まるように経時変化する周辺車両は、事故車両100aに近づくように移動していると判定する(ステップS701―Yes)。
図6に示す例では、周辺車両100b、100cは、事故車両100aに近づくように移動している。周辺車両100b、100cに対しては、処理はステップS703へ進む。
一方、図6に示す例では、周辺車両100dは、事故車両100aから遠ざかるように移動している。制御要求決定部81bは、周辺車両100dについて、事故車両100aに近づくように移動していないと判定する(ステップS701―No)。
次に、ステップS711において、制御要求決定部81bは、周辺車両100dに対して、記憶部82に記憶されている情報を参照して、過去に制御要求を送信しているか否かを判断する。周辺車両100dに対しては、過去に制御要求を送信していないので(ステップS711―No)、制御要求決定部81bは、制御要求の内容を決定する処理を終了する。事故車両100aから離れるように移動する周辺車両が2次被害を起こすおそれは低いので、このような周辺車両に対して動作の介入制御を実行しない。
一方、周辺車両が事故車両100aに近づくように移動していると判定された場合(ステップS701―Yes)、制御要求決定部81bは、距離算出部81aを用いて事故車両100aと周辺車両との距離を求める(ステップS703)。上述したステップS511において、事故車両100aと周辺車両との距離は求められているが、周辺車両は走行して移動しているので、最新の距離を求めるものである。なお、ステップS703の処理を省略して、次のステップS705へ進んでもよい。
次に、ステップS705において、制御要求決定部81bは、事故車両100aと周辺車両との距離が基準距離である50m以内であるか否かを判断する。基準距離は、周辺車両が2次被害を起こすと考えられる範囲として適宜決定され得る。
図6に示す例では、周辺車両100cは、事故車両100aから50m以内の位置を走行している(ステップS705―Yes)。周辺車両100cに対しては、処理はステップS707へ進む。
次に、ステップS707において、制御要求決定部81bは、周辺車両100cに対して、非常点滅表示灯を点灯させること、及び、制動させて車両を停止させること、及び、注意して走行することを喚起する走行注意の表示を表示させることを含む制御要求を決定する。これにより、事故車両100aの傍を走行している周辺車両100cを停止させて、周辺車両が事故車両100aの周囲にいる人と衝突しないようにできる。また、制御要求決定部81bは、現在の時間が夜間である場合には、前照灯を点灯させることを制御要求に含めることを決定する。夜間は、季節によって変更してもよいが、例えば18時〜6時の間の時刻とすることができる。非常点滅表示灯を点灯させる理由は、周辺車両100cに後続する他の車両がある場合に、当該他の車両を運転している搭乗者に対して、停止する周辺車両100cを注意喚起するためである。当該他の車両が、本実施形態の車両システムを搭載していれば、周辺車両100cと同様に介入制御されるが、車両システムを搭載していない場合もある。そこで、注意喚起するために非常点滅表示灯を点灯させる。
事故車両100aから50m以内を走行している周辺車両は、事故が生じた位置とかなり近いので、周辺車両を停止させて2次災害を防止するものである。
一方、周辺車両100bは、事故車両100aから50m以内の位置を走行していない(ステップS705―No)。周辺車両100bに対しては、処理はステップS709へ進む。
次に、ステップS709において、制御要求決定部81bは、周辺車両100bに対して、周辺車両100bを操作するユーザに対して注意して走行することを喚起する走行注意の表示を表示させることを含む制御要求を決定する(ステップS709)。また、制御要求決定部81bは、現在の時間が夜間である場合には、前照灯を点灯させることを制御要求に含めることを決定する。
このように事故車両100aと周辺車両との距離に基づいて、周辺車両に対する制御要求の内容を決定することにより、周辺車両の走行を過渡に制限することなく、2次被害の発生を抑制できる。
次に、ステップS801(図8参照)において、制御要求決定部81bは、制御要求の内容が決定された周辺車両100b、100cのそれぞれに対して、ネットワークNを介して制御要求を送信する。制御要求決定部81bは、周辺車両100b、100cに対して制御要求を送信したことを記憶部82に記憶する。周辺車両100b、100cのそれぞれは、制御要求を受信する。
次に、ステップS803において、周辺車両100b、100cのそれぞれは、受信した制御要求に基づいて、動作が介入制御される。
具体的には、周辺車両100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、非常点滅表示灯を点灯させる要求、及び、制動して車両を停止させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。運転制御装置50は、非常点滅表示灯を点灯し、且つ、制動装置63及び駆動装置62を制御して、自車両を停止させる。
周辺車両100cにおいて、制御要求に基づく動作の制御は、ユーザの操作に基づいて生成される手動動作信号よる制御よりも優先される。例えば、ユーザがアクセルペダルを操作して、周辺車両100cを加速しようと試みた場合でも、運転制御装置50は、制御要求に基づいた制動を優先するので、周辺車両100cを加速することは許容されない。
また、周辺車両100cの制御要求処理部21cは、注意して走行することを喚起する走行注意の表示を表示させる要求を、車内のネットワークCを介して車載装置30に送信する。車載装置30の処理部31は、走行注意の表示を表示部33に表示する。また、制御要求に前照灯を点灯させることが含まれる場合には、周辺車両100cの制御要求処理部21cは、前照灯を点灯させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。運転制御装置50は、前照灯が点灯していない場合には、前照灯を点灯する。周辺車両を操作するユーザが前照灯を点灯していない場合には、介入制御により前照灯を点灯させて、2次被害の発生をより抑制できる。
また、周辺車両100bの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、注意して走行することを喚起する走行注意の表示を表示させる要求を、車内のネットワークCを介して車載装置30に送信する。車載装置30の処理部31は、走行注意の表示を表示部33に表示する。また、制御要求に前照灯を点灯させることが含まれる場合には、周辺車両100bの制御要求処理部21cは、前照灯を点灯させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。運転制御装置50は、前照灯が点灯していない場合には、前照灯を点灯させる。
次に、ステップS805において、介入制御を実行した周辺車両100b、100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、介入制御を実行したことを通知する実行通知を、ネットワークNをサーバ80へ介して送信する。
次に、ステップS807において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、受信した実行通知に基づいて、停止する介入制御を実行している周辺車両100cの停止した位置に基づいて、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除するか否かを判定する。なお、解除判定部81cは、停止する介入制御を実行していない周辺車両100bについては、介入制御の実行を解除するか否かを判定しない。
図9は、サーバ80の処理部81の解除判定部81cが、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除するか否かを判定し、判定結果に基づいた動作を説明するフローチャートである。
まず、ステップS901において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、停止している周辺車両100cからネットワークNを介して送信される周辺車両100cの現在の位置を受信して取得する。
次に、ステップS903において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、記憶部82に記憶する地図データを参照して、周辺車両100cが停止した道路上おける周辺車両100cの位置が、走行車線上にあるか否かを判定する。図10に示す例では、周辺車両100cは、周辺車両100cが走行する道路における走行車線上に停止しているので(ステップS903−Yes)、解除判定部81cは、記憶部82に記憶する地図データを参照して、周辺車両100cが位置する道路は路肩を有するか否かを判定する(ステップS905)。
図10に示す例では、周辺車両100cが位置する道路は、走行車線と隣接する路肩を有するので(ステップS905−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除することを決定する(ステップS907)。
そして、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除すること、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させること、及び、周辺車両100cを操作するユーザに対して車両を走行車線と隣接する路肩まで移動させることを求める移動通知を表示させることを含む解除通知を、ネットワークNを介して周辺車両100cへ送信する。車両速度に上限としては、例えば、10km/hとすることができる。
周辺車両100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、解除通知を受信して、車両を走行車線と隣接する路肩まで移動させることを求める移動通知を表示させる要求を、車内のネットワークCを介して車載装置30に送信する。車載装置30の処理部31は、車両を路肩まで移動させることを求める通知を表示部33に表示する。また、制御要求処理部21cは、制動を解除する要求と、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。
周辺車両100cを操作するユーザは、周辺車両100cを操作して、走行車線と隣接する路肩まで移動させる。周辺車両100cの制御要求処理部21cは、ユーザによる上限までの車両速度の加速操作を許容する。また、周辺車両100cの制御要求処理部21cは、自車両の前方に障害物を検知した場合、周辺車両100cと障害物との距離が所定の警戒距離以上となるまで、制動して車両を停止すること要求を運転制御装置50へ送信する。これにより、周辺車両100cと前方の障害物との衝突が回避される。
次に、ステップS909において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cからネットワークNを介して送信される周辺車両100cの現在の位置に基づいて、周辺車両100cが路肩へ移動したと判定した場合、介入制御の解除を停止して周辺車両100cを停止させる介入制御を再開する。具体的には、解除判定部81cは、上述したステップS707で説明した内容の制御要求を、ネットワークNを介して、周辺車両100cへ送信する。周辺車両100cは、制御要求を受信して、介入制御を実行して路肩で停止する。
一方、周辺車両100cが停止した道路上おける周辺車両100cの位置が、走行車線上に位置しない場合(ステップS903−No)、及び、周辺車両100cが位置する道路が路肩を有さない場合(ステップS905−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除しないことを決定する(ステップS911)。
以上が、ステップS807の説明である。
上述したステップS513〜S807の処理は、センタCのサーバ80が制御要求の解除を通知する解除通知を入力するまで繰り返して実行される。ここで、例えば、他の車両が事故車両100aに対して200m以内に近づいた後、50m以内に近づくことなく事故車両100aから遠ざかるように移動した場合、他の車両は、介入制御を受けているものの停止させられることなく走行し得る。他の車両が、事故車両100aから遠ざかるように移動している場合(ステップS701―No)、ステップS711において、サーバ80の処理部81の制御要求決定部81bは、他の車両に対して、過去に制御要求を送信しているか否かを判断する。過去に制御要求を送信している場合(ステップS711―Yes)、制御要求決定部81bは、制御要求の解除を通知する解除通知を、ネットワークNを介して他の車両に送信する(ステップS713)。解除通知を受信した他の車両は、制御要求の実行を停止する。
次に、ステップS809において、センタCのサーバ80は、事故車両100aの事故処理が終了したことを示す制御処理終了通知を、操作部84又は通信部85から入力する。サーバ80の処理部81の制御要求決定部81bは、制御要求が送信された周辺車両100b、100cに対して、制御要求の解除を通知する解除通知を、ネットワークNを介して送信する。
次に、ステップS811において、周辺車両100b、100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、解除通知を受信した後、制御要求の実行を停止する。
上述した実施形態のシステムによれば、事故を起こした車両に対して、2次被害を起こすと考えられる所定の範囲内を走行する周辺車両の動作を制御して、2次被害の発生を抑制できる。また、介入制御により停止している周辺車両の停止した道路上の位置が走行車線上にある場合、走行車線外の位置へ移動するまで周辺車両に対する介入制御の実行を一時的に解除して移動させることにより、緊急車両等の走行を促すことができる。更に、事故車両と周辺車両との距離に基づいて、周辺車両の動作を制御する制御要求を決定することにより、介入制御の程度を適切に決定して、2次災害を確実に防止することができる。
次に、上述したシステムの他の実施形態を、図11〜図15を参照しながら以下に説明する。他の実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
まず、第2実施形態のシステム1について、図11及び図12に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
本実施形態のシステム1では、上述したステップS807における、サーバ80の処理部81の解除判定部81cが、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除するか否かを判定する動作が異なっている。以下、本実施形態のシステム1における上述したステップS807の動作について説明する。
まず、ステップS1101において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、記憶部82に記憶されている地図データを参照して、事故車両100a及び周辺車両100cからネットワークNを介して送信される事故車両100a及び周辺車両100cのそれぞれの現在の位置に基づいて、事故車両100aと周辺車両100cとは、同じ道路上に位置しているか否かを判定する。記憶部82に記憶される地図データには、道路のそれぞれは、道路を識別する識別番号と関連付けられて記憶されている。解除判定部81cは、事故車両100a及び周辺車両100cのそれぞれの位置する道路の識別番号が同じ場合、同じ道路上に位置していると判定する。
事故車両100aと周辺車両100cとが、同じ道路上に位置している場合(ステップS1101−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、事故車両100aが起こした事故による被害者の位置を取得できるか否かを判定する(ステップS1103)。例えば、解除判定部81cは、事故車両100aから車両状態測定部64が有するカメラにより撮像された画像を受信し、画像中に被害者が含まれている場合、被害者が事故車両100aの周囲(例えば、10m以内)に位置すると判定する。解除判定部81cは、例えば、サポートベクトルマシン又はadaBoostの識別器を用いて、事故車両100aから受信した画像を解析し、道路上に横たわっているか又は座っている被害者の画像を検知してもよい。
事故車両100aが起こした事故による被害者の位置を取得できる場合(ステップS1103−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、事故発生位置に向かって走行する緊急車両の有無を判定する(ステップS1105)。サーバ80には、走行している緊急車両の目的地と、現在の位置とが、ネットワークNを介して送信されている。サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、受信した緊急車両の目的地と、事故車両100aの位置とが、所定の範囲内、例えば、30m以内の場合、事故発生位置に向かって走行する緊急車両が有ると判定する。
事故発生位置に向かって走行する緊急車両が有る場合(ステップS1105−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、緊急車両の現在の位置と、被害者の位置とに基づいて、緊急車両が被害者の位置まで走行する走行経路を求める(ステップS1107)。被害者の位置としては、事故車両100aの位置又は事故車両100aの位置を中心として所定の範囲内(例えば、10m以内)の領域内の位置とすることができる。
次に、ステップS1109において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cの停止した位置が、緊急車両の走行経路と重なるか否かを判定する。解除判定部81cは、例えば、緊急車両の走行経路の中心から左右に所定の範囲内、例えば5mの範囲内に周辺車両100cが停止している場合、緊急車両の走行経路と重なると判定する。
図13に示す例では、周辺車両100cの停止した位置が、緊急車両の走行経路と重なっているので(ステップS1109−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除することを決定して、周辺車両100cに対して緊急車両の走行経路外の待避位置へ移動する待避経路情報を生成する(ステップS1111)。解除判定部81cは、緊急車両の走行経路外の待避位置として、緊急車両の走行経路の中心から左右に所定の範囲、例えば5mの範囲を除いた最短の位置を選択し得る。図13に示す例では、解除判定部81cは、記憶部82に記憶されている地図データを参照して、周辺車両100cの位置する走行車線に隣接する路肩を待避位置として選択する。待避経路情報は、周辺車両100cの停止した位置から待避位置までの径路情報を含む。
次に、ステップS1113において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除すること、待避経路情報、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させること、及び、周辺車両100cを操作するユーザに対して車両を待避経路により案内される待避位置まで移動させることを求める通知を表示させることを含む解除通知を、ネットワークNを介して周辺車両100cへ送信する。
周辺車両100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、解除通知を受信して、待避経路情報を表示させる要求を、車内のネットワークCを介して車載装置30に送信する。車載装置30の処理部31は、待避経路を表示部33に表示する。また、制御要求処理部21cは、制動を解除する要求と、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。
周辺車両100cを操作するユーザは、待避位置である路肩に向かって周辺車両100cを操作して、待避位置まで移動させる。周辺車両100cの制御要求処理部21cは、自車両の前方に障害物を検知した場合、周辺車両100cと障害物との距離が所定の警戒距離以上となるまで、制動して車両を停止すること要求を運転制御装置50へ送信する。これにより、周辺車両100cと前方の障害物との衝突が回避される。
次に、ステップS1201において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cからネットワークNを介して送信される周辺車両100cの現在の位置に基づいて、周辺車両100cが待避経路に従って移動しているか否かを判定する。例えば、解除判定部81cは、周辺車両100cが待避経路の中心から左右に所定の範囲、例えば5mの範囲を超えた位置に移動した場合、周辺車両100cが待避経路に従って移動していないと判定する。
周辺車両100cが待避経路に従って移動していない場合(ステップS1201−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、介入制御の解除を停止して周辺車両100cを停止させる介入制御を再開する(ステップS1205)。具体的には、解除判定部81cは、上述したステップS707で説明した内容の制御要求を、ネットワークNを介して、周辺車両100cへ送信する。周辺車両100cは、制御要求を受信して、介入制御を実行して路肩で停止する。これにより、周辺車両100cの勝手な移動を停止させて、周辺車両100cにより2次被害が生ずるが防止される。
一方、周辺車両100cが待避経路に従って移動している場合(ステップS1201−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cが待避位置へ到達したか否かを判定する(ステップS1203)。解除判定部81cは、周辺車両100cからネットワークNを介して送信される周辺車両100cの現在の位置と、待避位置との距離が、所定の値(例えば、5m)以下であれば、周辺車両100cが待避位置へ到達した判定する。周辺車両100cが待避位置へ到達していない場合(ステップS1203−No)、処理は、ステップS1201へ戻る。
一方、周辺車両100cが待避位置へ到達した場合(ステップS1203−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cを停止させる介入制御を再開する(ステップS1205)。具体的には、解除判定部81cは、上述したステップS707で説明した内容の制御要求を、ネットワークNを介して、周辺車両100cへ送信する。周辺車両100cは、制御要求を受信して、介入制御を実行して路肩で停止する(ステップS1205)。
また、事故車両100aと周辺車両100cとが、同じ道路上に位置していない場合(ステップS1101−No)、事故車両100aが起こした事故による被害者の位置を取得できない場合(ステップS1103−No)、及び、事故発生位置に向かって走行する緊急車両が無い場合(ステップS1105−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除しないことを決定する。
以上が、本実施形態のステップS807の説明である。
上述した実施形態のシステムによれば、介入制御により停止した周辺車両が、緊急車両が事故発生位置の被害者の元へ走行することを妨げることを防止することができる。また、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第3実施形態のシステム1について、図14に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
本実施形態のシステム1では、上述したステップS807における、サーバ80の処理部81の解除判定部81cが、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除するか否かを判定する動作が異なっている。以下、本実施形態のシステム1における上述したステップS807の動作について説明する。
まず、ステップS1401において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、事故発生位置に向かって走行する緊急車両の有無を判定する。
事故発生位置に向かって走行する緊急車両が有る場合(ステップS1401−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、緊急車両の現在の位置と、事故車両100aの位置とに基づいて、緊急車両が事故発生位置まで走行する走行経路を求める(ステップ1403)。
次に、ステップS1405において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cの停止した位置が、緊急車両の走行経路と重なるか否かを判定する。
図15に示す例では、周辺車両100cの停止した位置が、緊急車両の走行経路と重なるので(ステップS1405−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除することを決定する。解除判定部81cは、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除すること、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させること、及び、周辺車両100cを操作するユーザに対して、近づいてくる緊急車両の走行を妨げない待避位置へ車両を移動させることを求める移動通知を表示させることを含む解除通知を、ネットワークNを介して周辺車両100cへ送信する。なお、図15に鎖線で示す周辺車両100eの位置は、介入制御により停止しているが、緊急車両の走行経路と重ならない例である。
周辺車両100cの事故処理装置20の処理部21の制御要求処理部21cは、解除通知を受信して、近づいてくる緊急車両の走行を妨げない待避位置へ車両を移動させることを求める移動通知を表示させる要求を、車内のネットワークCを介して車載装置30に送信する。車載装置30の処理部31は、移動通知を表示部33に表示する。また、制御要求処理部21cは、制動を解除する要求と、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させる要求を、車内のネットワークCを介して運転制御装置50へ送信する。
周辺車両100cを操作するユーザは、周辺車両100cを操作して、近づいてくる緊急車両の走行を妨げない待避位置まで移動させる。周辺車両100cの制御要求処理部21cは、自車両の前方に障害物を検知した場合、周辺車両100cと障害物との距離が所定の警戒距離以上となるまで、制動して車両を停止すること要求を運転制御装置50へ送信する。これにより、周辺車両100cと前方の障害物との衝突が回避される。
次に、ステップS1409において、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、緊急車両が周辺車両の移動前に停止していた位置を通過したか否かを判定する。例えば、解除判定部81cは、受信する緊急車両の位置が、介入制御により停止していた周辺車両100cの位置を通過した場合、緊急車両が周辺車両100cの移動前に停止していた位置を通過したと判定する。また、解除判定部81cは、緊急車両と周辺車両100cとの距離が近づいた後離れた場合、緊急車両が周辺車両100cの移動前に停止していた位置を通過したと判定してもよい。これは、周辺車両の待避位置と、緊急車両の走行経路と、事故発生位置との関係によっては、緊急車両が、周辺車両の待避位置を通過しない場合もあるからである。なお、解除判定部81cは、緊急車両と周辺車両100cとの距離が近づいた後、所定の時間の間距離が変化しない場合、緊急車両が周辺車両100cの移動前に停止していた位置を通過したと判定してもよい。
緊急車両が周辺車両100cの移動前に停止していた位置を通過した場合(ステップS1409−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、介入制御の解除を停止して周辺車両100cを停止させる介入制御を再開する(ステップS1411)。具体的には、解除判定部81cは、上述したステップS707で説明した内容の制御要求を、ネットワークNを介して、周辺車両100cへ送信する。周辺車両100cは、制御要求を受信して、介入制御を実行して路肩で停止する。
一方、緊急車両が周辺車両100cの移動前に停止していた位置を通過していない場合(ステップS1409−No)、処理は、ステップS1409に戻る。
また、事故発生位置に向かって走行する緊急車両が無い場合(ステップS1401−No)、周辺車両100cの停止した位置が、緊急車両の走行経路と重ならない場合(ステップS1405−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cから緊急車両の接近を通知する接近通知を受信したか否かを判定する(ステップS1413)。サーバ80に対して、走行している緊急車両の目的地及び現在の位置が送信されるが、何らかの事情によって、緊急車両の目的地及び現在の位置が受信されないこともあり得る。この場合、周辺車両100cを操作するユーザが接近してく緊急車両を認識した場合、車載装置30の操作部34を操作して、事故処理装置20から接近通知をサーバ80へ送信する。
周辺車両100cから緊急車両の接近を通知する接近通知を受信した場合(ステップS1413−Yes)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除することを決定する。解除判定部81cは、周辺車両100cに対する介入制御の実行を解除すること、車両速度に上限を設けて車両速度を制限させること、及び、周辺車両100cを操作するユーザに対して、近づいてくる緊急車両の走行を妨げない待避位置へ車両を移動させることを求める移動通知を表示させることを含む解除通知を、ネットワークNを介して周辺車両100cへ送信する。
周辺車両100cを操作するユーザは、周辺車両100cを操作して、近づいてくる緊急車両の走行を妨げない待避位置まで移動させる。
サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、解除通知を周辺車両100cへ送信して所定の時間(例えば、5分間)の経過した後、周辺車両100cを停止させる介入制御を再開する。所定の時間の間に、介入制御が解除された周辺車両は、緊急車両が事故発生位置へ走行する走行径路外へ移動したと考えられるので、2次被害を防止するために、周辺車両100cを停止させる介入制御を再開するものである。
一方、周辺車両100cから緊急車両の接近を通知する接近通知を受信しない場合(ステップS1413−No)、サーバ80の処理部81の解除判定部81cは、介入制御の解除を行わないことを決定する。
以上が、本実施形態のステップS807の説明である。
上述した実施形態のシステムによれば、介入制御により停止した周辺車両が、緊急車両が事故発生位置へ走行することを妨げることを確実に防止することができる。また、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
本発明では、上述した実施形態の方法及び装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、センタCのサーバ80の処理部81が、距離算出部及び制御要求決定部の機能を有していたが、図16に示すように、車両100a〜100dの事故処理装置20の処理部21が、距離算出部21d及び制御要求決定部21eを有していてもよい。この場合、事故車両の事故処理装置20が、周辺車両に対して、サーバ80の代わりに周辺車両の制御要求を決定し送信する処理を実行するようにしてもよい。
また、本発明では、車両が自動制御により動作する車両であってもよい。