JP2019214238A - 転舵制御装置 - Google Patents

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彰 南部
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Abstract

【課題】ステアリングシャフトにアシストトルクを入力した場合に転舵輪に加わるトルクに対して実際のトルクがずれることを抑制できるようにした転舵制御装置を提供する。【解決手段】ステアリングシャフト14のピニオン歯14dは、ラック軸20のラック歯20aと係合している。ラック歯20aは、ステアリングシャフト14の回転に対するラック軸20の軸方向の変位量が転舵角に応じて変化するバリアブルギアである。CPU52は、操舵トルクTrqに応じて、ステアリングシャフト14を基準とした値を有したトルクであるアシストトルクを算出する。そしてCPU52は、操舵角θsから把握される電動機34の回転軸34aからステアリングシャフト14までの減速比に基づき、アシストトルクを電動機34に対する要求トルクに換算する。【選択図】図1

Description

本発明は、ステアリングシャフトの回転によって軸方向に変位することにより転舵輪を転舵させるラック軸と、前記ラック軸を前記軸方向に変位させる電動機とを備え、前記電動機から前記ステアリングシャフトへ動力を伝達させる機構が前記電動機の回転量に対する前記ステアリングシャフトの回転量の比率を前記転舵輪の転舵角に応じて変化させるように形成されている転舵装置に適用される転舵制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、ステアリングシャフトの回転に伴ってラック軸が回転することによって転舵輪を転舵させる転舵装置が記載されている。この転舵装置は、ラック軸のラック歯がバリアブルギアとなっており、転舵角が中立位置であるゼロに対してより大きい場合に、ステアリングシャフトの回転量に対する転舵角の変化量である舵角比がより大きくなるものである。また、この転舵装置は、上記ステアリングシャフトとは別に、電動機の回転量をラック軸の軸方向の変位量に変換する機構を備えている。そして、電動機の回転量に対する転舵角の変化量は、転舵角の大きさによらずに一定値とされている。
特開2014−210495号公報
上記転舵装置では、電動機の回転量に対するステアリングシャフトの回転量の比率が操舵角の大きさに応じて変化する。一方、電動機に対する要求トルクは、電動機の生成するトルクとして直接指定されることなく、ステアリングシャフトを基準とする値を有したトルクである基準トルクとして指定されることがある。この場合において、上記バリアブルギアを備える転舵装置のように上記比率が変化するものにあっては、上記比率が一定であるとしてアシストトルクを要求トルクに換算した値を電動機のトルクとする場合に実際に転舵輪に加わるトルクが、ステアリングシャフトに基準トルクを入力した場合の値からずれるおそれがある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.ステアリングシャフトの回転によって軸方向に変位することにより転舵輪を転舵させるラック軸と、前記ラック軸を前記軸方向に変位させる電動機とを備え、前記電動機から前記ステアリングシャフトへ動力を伝達させる機構が前記電動機の回転量に対する前記ステアリングシャフトの回転量の比率を前記転舵輪の転舵角に応じて変化させるように形成されている転舵装置に適用され、前記電動機が生成すべきトルクであって前記ステアリングシャフトを基準とするトルクである基準トルクを取得する取得処理と、中立位置の情報を有して且つ前記転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータの検出値から把握される前記比率に関する情報に基づき、前記基準トルクを前記電動機に対する要求トルクに換算する換算処理と、前記電動機のトルクを前記要求トルクに制御するために操作信号を生成して出力する操作信号生成処理と、を実行する。
上記転舵装置では、転舵角に応じて上記比率が変化するため、基準トルクが同一であっても、要求トルクは、転舵角に応じて変動する。そこで上記構成では、上記パラメータから把握される上記比率に関する情報に基づき、基準トルクを要求トルクに換算する。そして電動機のトルクを要求トルクに制御することによって、ステアリングシャフトに基準トルクが入力された場合に転舵輪に加わるトルクに対して、転舵輪に実際に加わるトルクがずれることを抑制できる。
2.前記転舵装置は、前記電動機の回転量に対する前記転舵角の変化量が一定となるものであり、前記ステアリングシャフトの回転量に対する前記転舵角の変化量が前記転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも大きくなるものであり、前記換算処理は、前記転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも前記基準トルクに対する前記要求トルクの相対的な大きさをより小さくする処理を含む上記1記載の転舵制御装置である。
上記転舵装置の場合、転舵角の大きさが大きい場合には小さい場合と比較して、電動機からステアリングシャフトまでの減速比がより大きくなる。このため、換算処理において上記パラメータに基づき基準トルクに対する要求トルクの相対的な大きさを可変設定しない場合には、転舵角の大きさが大きい場合には要求トルクが基準トルクに応じた値に対して過大となるおそれがある。これに対し、上記構成では、転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも基準トルクに対する要求トルクの相対的な大きさをより小さくすることにより、要求トルクを基準トルクに応じたものとすることができる。
3.前記検出値の異常の有無を判定する異常判定処理と、前記異常が生じたと判定する場合、前記比率が規定比率で固定されているとして前記換算処理によって前記基準トルクから前記要求トルクを算出させるフェールセーフ処理と、を実行する上記1または2記載の転舵制御装置である。
検出値に異常が生じている場合には、電動機からステアリングシャフトまでの減速比を正確に把握することができないおそれがある。そこで上記構成では、その場合、比率を規定比率に固定して基準トルクを要求トルクに換算することにより、規定比率の設定によって、フェールセーフ処理に適した制御を実行することができる。
4.前記電動機の回転軸の回転量の積算値を算出する積算処理と、前記異常が生じたと判定された後、前記転舵装置が搭載される車両が直進走行をしているか否かを判定する直進走行判定処理と、前記直進走行していると判定されているときの前記積算値を前記中立位置に対応する値として学習する学習処理と、を実行し、前記学習処理が完了する場合、前記フェールセーフ処理を停止し、該学習結果に応じた前記積算処理による前記積算値から把握される前記比率に関する情報に基づき、前記換算処理を実行するである。
通常、電動機の回転軸に対する転舵輪の減速比は、1よりも大きいため、電動機の回転軸の1回転によっては、転舵角の最小値であるゼロから最大値までを表現できない。これに対し、電動機の回転量の積算値によれば、転舵角の最小値であるゼロから最大値までを表現することが可能である。ただし、積算値自体には、中立位置の情報が存在しない。このため、上記構成では、車両が直進走行している場合に中立位置にあるとして積算値のゼロ点を学習する。これにより、電動機の回転角度に基づき、中立位置情報を有して且つ転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータを取得でき、ひいてはこれに基づき換算処理を実行できる。
5.前記検出値は、当該転舵制御装置の外部から当該転舵制御装置に入力される上記1〜4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
6.前記取得処理は、運転者が前記ステアリングシャフトに入力するトルクである操舵トルクの検出値に基づき、前記運転者による操舵をアシストするアシストトルクを前記基準トルクとして算出するアシストトルク算出処理である上記1〜5のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
一実施形態にかかる転舵制御装置および転舵装置を示す図。 同実施形態にかかるバリバブルギアの特性を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
以下、転舵制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す転舵装置10は、運転者によるステアリングホイール12の操作によって左右一対の前方の車輪である転舵輪24を転舵させる手動転舵装置MD、および運転者によるステアリングホイール12の操作を補助する電動転舵装置EDを備えている。
手動転舵装置MDは、ステアリングホイール12と、ステアリングホイール12に固定されたステアリングシャフト14とを備えている。ステアリングシャフト14は、ステアリングホイール12と連結されたコラムシャフト14aと、コラムシャフト14aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト14bと、インターミディエイトシャフト14bの下端部に連結されたピニオンシャフト14cとを備えている。ピニオンシャフト14cの下端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン歯14dが形成されており、ピニオン歯14dは、ラック軸20に形成されたラック歯20aと係合している。ラック軸20の両端には、タイロッド22を介して、転舵輪24が連結されている。したがって、ステアリングホイール12の回転動力は、ピニオンシャフト14cおよびラック軸20からなるラックアンドピニオン機構を介してラック軸20の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。ラック軸20の往復直線運動は、ラック軸20の両端にそれぞれ連結されたタイロッド22を介して、転舵輪24にそれぞれ伝達されることにより、各転舵輪24の転舵角が変化する。ここで、転舵角は、転舵輪24に接触する路面に直交して且つ直進方向に平行な面に対する、路面および転舵輪24の回転軸の双方に直交する面のなす角度(タイヤ切れ角)である。
電動転舵装置EDは、動力(アシスト力)の発生源である電動機34を備えている。本実施形態では、電動機34として、表面磁石型同期電動機(SPMSM)を例示する。電動機34には、その3つの端子のそれぞれに交流電圧を印加するインバータ36が接続されている。電動転舵装置EDは、ラック軸20の周囲に一体的に取り付けられたボールねじ機構30と、電動機34の回転軸34aの動力をボールねじ機構30に伝達するベルト式減速機構32とを備えている。電動機34の回転軸34aの回転動力は、ベルト式減速機構32およびボールねじ機構30を介して、ラック軸20を軸方向に往復直線運動させる動力に変換される。
本実施形態において、手動転舵装置MDは、バリアブルギアを備えて構成されている。すなわち、ラック歯20aは、ステアリングシャフト14の回転量に対するラック軸20の軸方向の変位量が、操舵角θsに応じて相違するように形成されている。ここで、操舵角θsは、ステアリングシャフト14の回転角度を示し、特に直進走行時の角度をゼロとするものである。
詳しくは、図2に示すように、操舵角θsの大きさ(絶対値)が大きい場合には小さい場合よりも、ステアリングシャフト14の回転量に対するラック軸20の軸方向の変位量の比率である比ストロークが大きく設定されている。すなわち、たとえば操舵角θsがゼロ付近であるときにおいて操舵角θsを所定量だけ回転させた際のラック軸20の軸方向の変位量よりも、操舵角θsがゼロから大きく離れているときに操舵角θsを所定量だけ回転させた際のラック軸20の軸方向の変位量の方が大きくなっている。これは、たとえば直進時にステアリングホイール12を回転させる場合と比較して旋回時にステアリングホイール12を旋回方向にさらに回転させる場合の方が、転舵角の変化量が大きくなることを意味する。
図1に戻り、制御装置50は、転舵装置10を制御対象とし、運転者によるステアリングホイール12の操作を通じた操舵をアシストするアシスト制御を実行すべく、インバータ36に操作信号MSを出力してインバータ36を操作する。制御装置50は、アシスト制御を行う際、舵角センサ62によって検出され、上位ECU60を介して入力される操舵角θsを参照する。また、制御装置50は、トルクセンサ70によって検出されるステアリングシャフト14に入力されるトルク(操舵トルクTrq)や、回転角度センサ72,74によって検出される電動機34の回転軸34aの回転角度、車速センサ76によって検出される車速Vを参照する。なお、回転角度センサ72,74は、互いに90°ずらした角度を検出するものであり、それぞれの検出値を、正弦波信号sinθおよび余弦波信号cosθとしている。
制御装置50は、CPU52、ROM54および、制御装置50内の各箇所に電力を供給する電源回路56を備えており、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより、アシスト制御を実行する。
図3に、制御装置50が実行する処理を示す。図3に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。
アシストトルク算出処理M10は、操舵トルクTrqおよび車速Vに基づき、運転者による操舵をアシストするアシストトルクTAを算出する処理である。アシストトルクTAは、ステアリングシャフト14を基準としたトルクとして適合されている。すなわち、ステアリングシャフト14に、運転者が入力した操舵トルクTrqに上乗せする形で入力された場合に、操舵感が良好となるように適合されている。したがって、アシストトルクTAによって転舵輪24に付与することを意図したトルクを電動転舵装置EDによって生成させるべく、アシストトルクTAを電動機34によって生成したのでは、転舵輪24に実際に付与されるトルクが上記意図したトルクからずれるおそれがある。なお、「意図したトルク」とは、ステアリングシャフト14にアシストトルクTAが入力される場合に転舵輪24に付与されるトルクである。
詳しくは、アシストトルク算出処理M10は、車速Vが同一である場合、操舵トルクTrqが大きい場合に小さい場合よりもアシストトルクTAを大きい値に算出する処理である。また、アシストトルク算出処理M10は、操舵トルクTrqが同一である場合、車速Vが大きい場合に小さい場合よりもアシストトルクTAを小さい値に算出する処理である。
減速比算出処理M12は、電動機34の回転速度に対するステアリングシャフト14の回転速度の減速比Kdを算出する処理である。ここで、減速比Kdは、下記の式にて定まるものである。
Kd=(比ストローク)×(プーリ比)/(ボールねじリード長)
ここで、プーリ比とは、ベルト式減速機構32における駆動側である電動機34側のプーリの径によって、従動側であるボールねじ機構30側のプーリの径を除算した値である。また、ボールねじリード長とは、従動側のプーリが1回転する間にラック軸20が軸方向に変位する量である。本実施形態では、プーリ比およびボールねじリード長は、固定値であるものの、ラック歯20aがバリアブルギアとなっているため、比ストロークは操舵角θsに応じて変化する。このことから、減速比Kdは、操舵角θsに応じて変化する。このため、減速比算出処理M12は、操舵角θsに応じて減速比Kdを算出する処理となっている。詳しくは、減速比算出処理M12は、操舵角θsの大きさ(絶対値)が大きい場合に小さい場合よりも減速比Kdを大きい値に算出する処理となる。
電流指令値算出処理M14は、アシストトルクTAを、トルク定数Φおよび減速比Kdにて除算することにより、電動機34のq軸の電流指令値iq*を算出する処理である。ここで、アシストトルクTAを減速比Kdで除算した値は、ステアリングシャフト14にアシストトルクTAを入力した場合に転舵輪24に加わるトルクを実現する上で、電動機34に要求されるトルクである。なお、q軸の電流指令値iq*の設定を、電動機34に対する要求トルクの設定とみなすこともできる。
操作信号生成処理M16は、電動機34に流れるq軸の電流を電流指令値iq*に制御するためのインバータ36の操作信号MSを算出して出力する処理である。なお、操作信号MSは、実際には、インバータ36の各レッグの各アームのスイッチング素子に出力すべき信号からなる。
回転角度算出処理M20は、正弦波信号sinθおよび余弦波信号cosθに基づき、回転軸34aの0〜360°の範囲の回転角度θmを算出する処理である。
積算処理M22は、回転軸34aの正味の回転量を積算値Inθとして算出する処理である。ここで、積算値Inθがゼロであるときは、中立位置(操舵角θsがゼロであるとき)に対応する。また、積算値Inθは、転舵輪24が中立位置から変化するにつれて回転軸34aが所定方向に2回転する場合、720°となる。また、積算値Inθは、転舵輪24が中立位置から変化を開始するのに伴って、回転軸34aが所定方向に2回転した後、所定方向とは逆方向に2回転する場合、0°となる。
操舵角換算処理M24は、減速比算出処理M12が操舵角θsと減速比Kdとの関係を定めていることに鑑み、積算値Inθを操舵角θsに換算した換算操舵角θs1を算出する処理である。上述したように、本実施形態では、プーリ比およびボールねじリード長が固定値であることから、積算値Inθは、ラック軸20のストロークと比例関係にある。そして、ストロークと操舵角θsとの間には、図2に示した比ストロークの関係を有しつつ、1対1の対応関係がある。このため、積算値Inθと操舵角θsとの間にも1対1の対応関係がある。操舵角換算処理M24は、この対応関係に基づく換算データを用いて積算値Inθを換算操舵角θs1に換算する処理となる。
換算操舵角θs1は、操舵角θsに代用できるものであるが、転舵輪24の中立位置を学習して、中立位置である場合に積算値Inθをゼロ等とする必要がある。このため、本実施形態では、操舵角θsに異常が生じた場合に限って、上記学習を行った後、換算操舵角θs1を操舵角θsに代用する。
図4に、上述した処理に関する手順を示す。図4に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU52は、まず操舵角θsに異常があるか否かを判定する(S10)。具体的には、CPU52は、たとえば上位ECU60との通信異常が生じている場合等に、操舵角θsに異常があると判定すればよい。CPU52は、異常があると判定する場合(S10:YES)、学習完了フラグFが「1」であるか否かを判定する(S12)。学習完了フラグFは、「0」である場合に、積算値Inθの中立位置学習が未だなされていないことを示し、「1」である場合に、積算値Inθの中立位置学習がなされていることを示す。なお、学習完了フラグFの初期値は、ゼロとなっている。CPU52は、学習完了フラグFが「0」であると判定する場合(S12:NO)、減速比Kdに規定比率Kd0を代入する(S14)。ここで規定比率Kd0は、固定値である。規定比率Kd0は、操舵角θsの異常時において、アシストトルクTAを電動機34に対する要求トルク(電流指令値iq*)に換算する際に適切な値に設計されている。換言すれば、フェールセーフ処理にとって適切な値に設定されている。具体的には、たとえば、規定比率Kd0を、減速比Kdがとりうる値のうちの比較的大きな値に設定することもできる。これにより、要求トルクが過度に大きくなることを抑制できる。
次にCPU52は、車両の直進状態であるか否かを判定する(S16)。具体的には、CPU52は、たとえば操舵トルクTrqがゼロであって且つ、電動機34の回転角度θmの変化から把握される操舵角θsの変化速度が規定速度以下である状態が所定時間継続する場合に、直進状態であると判定すればよい。
そして、CPU52は、直進状態であると判定する場合(S16:YES)、積算値Inθを初期化する(S18)。これにより、積算値Inθは、中立位置である場合にゼロとなるように学習された値となる。そしてCPU52は、S18の処理がなされるときの回転角度θmが中立位置であるとしたうえで、積算処理M22を開始する(S20)。すなわち、たとえばS18の処理がなされたときの回転角度θmが30°である場合、回転角度θmが増加して360°になった時点において積算値Inθは、330°となり、その後、回転角度θmがゼロを経由して再度360°となる場合、積算値Inθは、690°となる。
次にCPU52は、学習完了フラグFを「1」とする(S22)。
これに対しCPU52は、学習完了フラグFが「1」であると判定する場合(S12:YES)、減速比算出処理M12において換算操舵角θs1を操舵角θsに代用して減速比Kdを算出する(S24)。
なお、CPU52は、S22,S24の処理が完了する場合や、S10,S16の処理において否定判定する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU52は、アシストトルクTAを算出すると、減速比Kdに基づき、電流指令値iq*を算出する。この際、CPU52は、操舵角θsに応じて減速比Kdを算出する。このため、転舵角がいかなる値であるときにも、運転者がステアリングシャフト14に入力する操舵トルクTrqと電動機34の生成するトルクとの協働で、ステアリングシャフト14に操舵トルクTrqおよびアシストトルクTAが入力される場合と同等のトルクを転舵輪24に付与することができる。このため、意図したアシストトルクTAを実現できる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)操舵角θsに異常が生じる場合、減速比Kdを規定比率Kd0としてアシストトルクTAを要求トルクに換算した。これにより、規定比率Kd0の設定によって、操舵角θsの異常に伴うフェールセーフ処理に適した制御を実行することができる。
(2)操舵角θsに異常が生じたと判定された後、車両が直進走行をしているか否かを判定することによって、積算値Inθの中立位置を学習し、学習が完了すると、積算値Inθに基づき減速比Kdを算出した。これにより、操舵角θsに異常が生じる場合であっても、減速比Kdを操舵角θsの相当量によって可変設定することができる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]「電動機からステアリングシャフトへ動力を伝達させる機構」は、ボールねじ機構30、ベルト式減速機構32およびラックアンドピニオン機構に対応する。転舵制御装置は、制御装置50に対応し、検出値は、操舵角θsに対応する。取得処理は、アシストトルク算出処理M10に対応し、基準トルクは、アシストトルクTAに対応する。換算処理は、減速比算出処理M12および電流指令値算出処理M14に対応する。すなわち、比率に関する情報は、減速比Kdに対応し、要求トルクは、「TA/Kd」または、電流指令値iq*に対応する。[3]異常判定処理は、S10の処理に対応し、フェールセーフ処理は、S14の処理に対応する。[4]直進走行判定処理は、S16の処理に対応し、学習処理は、S18の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「フェールセーフ処理について」
たとえば制御装置50においてS12,S16〜S24の処理を実行せず、異常時には、常時S14の処理を実行するようにしてもよい。
・「転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータについて」
上記実施形態では、舵角センサ62によって検出される操舵角θsに基づき、減速比Kdを算出したが、これに限らない。たとえば、ラック軸20の軸方向の変位量であるストロークを検出するストロークセンサによって検出されたストロークが上位ECU60に入力される場合、上位ECU60からのストロークの検出値に基づき減速比Kdを算出してもよい。またたとえば、転舵角を検出するセンサによって検出される転舵角が上位ECU60に入力される場合、上位ECU60からの転舵角の検出値に基づき減速比Kdを算出してもよい。
もっとも、減速比Kdを算出するために用いる、転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータとしては、上位ECU60から入力されるものに限らない。たとえば、制御装置50内で積算処理M22を常時実行し、積算値Inθを上記パラメータとして用いてもよい。ただし、その場合、制御装置50の主電源がオフとなっても、積算値Inθの値を保持するメモリを制御装置50に備えて同メモリに積算値Inθを常時記憶、更新することが望ましい。なお、上記実施形態の場合、積算値Inθは、ストロークや転舵角に比例するものであることから、ストロークや転舵角の相当値の検出値とみなせる。すなわち、積算値Inθは、回転角度センサ72,74の検出値に基づき算出される値であることから、制御上の目標値等とは異なり、上記相当値の検出値とみなせる。
・「換算処理について」
上記実施形態では、操舵角θsから減速比Kdを直接的に算出したが、これに限らない。たとえば、プーリ比およびボールねじリード長を予め記憶しておく一方、操舵角θsから比ストロークを算出し、プーリ比およびボールねじリード長と比ストロークとから減速比Kdを算出するようにしてもよい。
なお、減速比Kdを算出するためのパラメータとしては、操舵角θsや換算操舵角θs1に限らない。たとえば、上記「転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータについて」の欄に記載したように、ストロークの検出値や転舵角の検出値を取得可能な場合、ストロークの検出値や転舵角の検出値を用いてもよい。なお、上記実施形態のように回転軸34aの回転量に対する転舵角の変化量が一定である構成の場合、正常時にストロークの検出値や転舵角の検出値に基づき減速比Kdを算出するのであれば、積算値Inθに予め定められた定数を乗算するのみで、ストロークや転舵角に代用できるパラメータが算出できる。
・「アシストトルク算出処理について」
上記実施形態では、操舵トルクTrqおよび車速Vに基づきアシストトルクTAを算出したが、これに限らない。たとえば、操舵トルクTrqのみに基づきアシストトルクTAを算出してもよい。
またたとえば、上記アシストトルクTAおよび操舵トルクTrqの和に基づき、転舵角の目標値を算出し、転舵角の検出値を目標値にフィードバック制御するための操作量と上記アシストトルクTAとの和を、電動機34に対する要求トルクに換算すべき最終的なアシストトルクとしてもよい。なおこの場合、転舵角の検出値に代えて、上記「転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータについて」の欄に記載した転舵角以外のパラメータの検出値を採用してもよい。
もっとも、転舵角のフィードバック制御とは別に、操舵トルクTrqに基づきアシストトルクTAを算出する際、転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータを用いないことは必須ではなく、これを用いてもよい。この場合、比ストロークの変化を考慮してアシストトルクTAを適合することができることから、アシストトルクTAを操舵感を良好とするうえでより適切な値とすることなどができる。
・「取得処理について」
上記実施形態では、基準トルクとして、アシストトルクTAを算出する処理を例示したが、これに限らない。たとえば、制御装置50の外部から衝突回避等のために転舵輪24を強制的に転舵させるためのトルク指令値であってステアリングシャフト14を基準とする値を有した指令値が入力される場合、これを取得する処理としてもよい。この場合であっても、上記減速比Kdを固定値とするなら、ステアリングシャフト14に基準トルクが入力される場合に転舵輪24に加わるトルクに対して実際に転舵輪24に加わるトルクがずれるおそれがあるため、上記実施形態やその変更例の要領で基準トルクを要求トルク(電流指令値iq*)に換算することが有効である。
・「電動機について」
上記実施形態では、SPMを例示したがこれに限らない。たとえばIPMSMであってもよい。もっとも同期電動機にも限らず、たとえばブラシ付き電動機や誘導機であってもよい。
・「電動機の駆動回路について」
上記実施形態では、操作信号MSの出力対象となる電動機の駆動回路として、インバータ36を例示したが、これに限らない。たとえば、「電動機について」の欄に記載したように電動機としてブラシ付き電動機を用いる場合、駆動回路をHブリッジ回路としてもよい。
・「電動転舵装置について」
上記実施形態では、ラック軸20に電動機34の動力を伝達するための機構として、ボールねじ機構30およびベルト式減速機構32を例示したが、これに限らない。たとえば、ラック軸20のうちラック歯20aとは異なる位置にラック歯が形成され、このラック歯と係合するピニオン歯を有した第2ピニオンシャフトを備え、ピニオンシャフトが電動機34の回転軸34aの回転に伴って回転するものであってもよい。
・「転舵装置について」
上記実施形態では、転舵角が大きい場合に小さい場合と比較して、ステアリングシャフト14の回転量に対する転舵輪24の変化量が大きくなるようにしたが、これに限らない。さらに、転舵角の大きさによってステアリングシャフト14の回転量に対する転舵輪24の変化量の比である舵角比が変化するものにも限らない。たとえば舵角比が一定であって且つ上記ボールねじリード長が転舵角の大きさに応じて変化することによって、減速比Kdが転舵角の大きさに応じて変化するものであってもよい。
・「要求トルクについて」
上記実施形態では、電流指令値算出処理M14において、アシストトルクTAをq軸の電流指令値iq*に換算したが、これに限らない。たとえば、上記「電動機について」の欄に記載したように、電動機としてIPMSMを採用する場合、電動機34に対するトルクの要求値自体を求めてもよい。この場合、操作信号生成処理M16において、要求値から、たとえば最小電流最大トルク制御のためのq軸の電流指令値iq*とd軸の電流指令値id*とを算出し、これに基づき操作信号MSを算出すればよい。
・「転舵制御装置について」
転舵制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
たとえば回転角度算出処理M20の出力する回転角度θmの変化量に減速比Kdを乗算した値を積算処理M22に入力し、積算処理M22の出力値が換算操舵角θs1となるようにしてもよい。
10…転舵装置、12…ステアリングホイール、14…ステアリングシャフト、14a…コラムシャフト、14b…インターミディエイトシャフト、14c…ピニオンシャフト、14d…ピニオン歯、20…ラック軸、20a…ラック歯、22…タイロッド、24…転舵輪、30…ボールねじ機構、32…ベルト式減速機構、34…電動機、34a…回転軸、36…インバータ、50…制御装置、52…CPU、54…ROM、56…電源回路、60…上位ECU、62…舵角センサ、70…トルクセンサ、72…回転角度センサ、74…回転角度センサ。

Claims (6)

  1. ステアリングシャフトの回転によって軸方向に変位することにより転舵輪を転舵させるラック軸と、前記ラック軸を前記軸方向に変位させる電動機とを備え、前記電動機から前記ステアリングシャフトへ動力を伝達させる機構が前記電動機の回転量に対する前記ステアリングシャフトの回転量の比率を前記転舵輪の転舵角に応じて変化させるように形成されている転舵装置に適用され、
    前記電動機が生成すべきトルクであって前記ステアリングシャフトを基準とした値を有したトルクである基準トルクを取得する取得処理と、
    中立位置の情報を有して且つ前記転舵角と1対1の対応関係にあるパラメータの検出値から把握される前記比率に関する情報に基づき、前記基準トルクを前記電動機に対する要求トルクに換算する換算処理と、
    前記電動機のトルクを前記要求トルクに制御するために操作信号を生成して出力する操作信号生成処理と、を実行する転舵制御装置。
  2. 前記転舵装置は、前記電動機の回転量に対する前記転舵角の変化量が一定となるものであり、前記ステアリングシャフトの回転量に対する前記転舵角の変化量が前記転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも大きくなるものであり、
    前記換算処理は、前記転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも前記基準トルクに対する前記要求トルクの相対的な大きさをより小さくする処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
  3. 前記検出値の異常の有無を判定する異常判定処理と、
    前記異常が生じたと判定する場合、前記比率が規定比率で固定されているとして前記換算処理によって前記基準トルクから前記要求トルクを算出させるフェールセーフ処理と、を実行する請求項1または2記載の転舵制御装置。
  4. 前記電動機の回転軸の回転量の積算値を算出する積算処理と、
    前記異常が生じたと判定された後、前記転舵装置が搭載される車両が直進走行をしているか否かを判定する直進走行判定処理と、
    前記直進走行していると判定されているときの前記積算値を前記中立位置に対応する値として学習する学習処理と、を実行し、
    前記学習処理が完了する場合、前記フェールセーフ処理を停止し、該学習結果に応じた前記積算処理による前記積算値から把握される前記比率に関する情報に基づき、前記換算処理を実行する請求項3記載の転舵制御装置。
  5. 前記検出値は、当該転舵制御装置の外部から当該転舵制御装置に入力される請求項1〜4のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  6. 前記取得処理は、運転者が前記ステアリングシャフトに入力するトルクである操舵トルクの検出値に基づき、前記運転者による操舵をアシストするアシストトルクを前記基準トルクとして算出するアシストトルク算出処理である請求項1〜5のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7388292B2 (ja) 2020-05-22 2023-11-29 株式会社ジェイテクト 補助電源装置及びステアリング装置

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