JP2019210404A - 自己修復性ゲル - Google Patents

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Abstract

【課題】 外部刺激を用いず、配位、凝集などの物理的結合を利用することで繰り返し自己修復機能を発現し、また、入手が容易で安価な原料を用いた簡便な手法で製造される自己修復性ゲルの提供。【解決手段】 本発明の自己修復性ゲルは、水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒中にポリアクリレート又はアクリル酸−アクリルアミド共重合体と3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンを含むゲルであって、ハイドロゲルよりも乾燥に強く耐久性に優れ、自己修復性を有することを特徴とする。【選択図】 図3

Description

本発明は、自己修復性を有するゲルおよびその製造方法に関する。
従来、プラスチックのキズ防止対策として材料の硬度、潤滑性の向上や、弾性・塑性変形を利用していた。このように材料へキズが付かないことでキズを防止していたが、近年、材料が自らキズを治す機能をもつ自己修復性材の研究が盛んに行われている。この自己修復材の中には表面のキズ以外にも材料が完全に切断されても再び修復するものもある。
従来の自己修復材料の機能発現させる手法には大きく分けて4つある。1つは樹脂に反応剤の入ったマイクロカプセルや中空フィラーを混合し、傷が発生するとこれらが破壊され、新たに共有結合が形成され自己修復するものである(非特許文献1)。
2つ目はポリマーの主鎖を化学的結合(共有結合)で架橋させることによる修復である。熱硬化やUV硬化、活性エネルギー線、光重合、電離放射線硬化など外部の刺激により化学的な結合で架橋させる方法がある(特許文献1)。
3つ目は物理的結合(非共有結合)を用い手法である。例えばポリマー内にホストーゲストとなる部位を導入する例がある(特許文献2)。
4つ目はポリウレタンのようにポリマーのもつ弾性・塑性変形の回復と水素結合の再結合を利用する手段がある。
しかしながら、マイクロカプセルや中空フィラーを混ぜる手法はあらかじめ樹脂にそれらを分散させる必要がある。また、不可逆な共有結合による修復は、結合が形成させてもその結合部位が破壊されると回復せず、また、材料が大きく力が加わると変形しやすくなる。
また、ポリマー内にホスト−ゲストとなる部位を導入するには機能を発現するモノマーからの製造工程がかかる。
本願出願人は、上記課題を解決したハイドロゲルに関する特許を特願2018−7555号として出願済みである。
特開2015−160866号公報 特開2017−71710号公報
S.R.White,N.R.Sottos,P.H.Geubelle,J.S.Moore,M.R.Kessler,S.R.Sriram,E.N.Brown,S.Viswanthan;Nature 2001,409,794.
本発明の目的は、外部刺激を用いず、配位、凝集などの物理的結合を利用することで繰り返し自己修復機能を発現し、また、ハイドロゲルより耐久性があり、簡便な手法で製造される自己修復性ゲルを提供することである。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンとポリアクリレートからなるハイドロゲルを水よりも高沸点の有機溶剤に置き換えることで、より耐久性のある自己修復性を持つことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1] 水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒中にポリアクリレート又はアクリル酸−アクリルアミド共重合体と3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンを含むゲルであって、自己修復性を有することを特徴とする自己修復性ゲル。
[2] 前記の3価の鉄イオンが、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、三シュウ酸アンモニウム鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、トリス(シュウ酸)鉄(III)カリウム、リン酸鉄(III)ピロリン酸鉄(III)及びp−トルエンスルホン酸鉄(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の鉄塩に由来する3価の鉄イオンであることを特徴とする前記[1]に記載の自己修復性ゲル。
[3] 前記のアルミニウムイオンが、塩基性乳酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート及び硫酸アンモニウムアルミニウムからなる群より少なくとも1種のアルミニウム塩を含む化合物であることを特徴とする前記[1]に記載の無色透明な自己修復性ゲル。
[4] 前記有機溶媒が、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びトリエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の自己修復性ゲル。
[5] 水溶媒中にアクリル酸モノマー又はアクリル酸モノマー及びアクリルアミドモノマーを3価の鉄塩及び/又はアルミニウムイオンと共存させて、0℃から100℃の温度範囲で重合開始剤を添加して得られたハイドロゲルを水よりも沸点の高い有機溶剤に浸漬することで自己修復性を有するゲルを製造することを特徴とする自己修復性ゲルの製造方法。
[6] 前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のゲルを用いる自己修復材料。
本発明によれば、自己修復性があり、入手が容易で安価な原料を用いた簡便な手法で自己修復性を有するゲルを製造することができる。
本発明のゲルは、大気中、室温というおだやかな条件で表面のキズだけでなく完全に切断された材料でも自己修復する自己修復材料として用いることができる。
本発明の自己修復材料は、内部、外部のダメージを自ら修復し、これを繰り返すことができ材料の長寿命化が可能になる。
比較例1で得られたゲルのFT−IRの結果を示すチャートである。 実施例1で得られたゲルのFT−IRの結果を示すチャートである。 実施例1で得られたゲルを切出し、切断後、修復したサンプルの様子である。 比較例1と実施例1〜9で得られたゲルのTG−DTAの結果を示すチャートである。
本発明の自己修復性を有するゲルは、水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒中にポリアクリレート又はアクリル酸−アクリルアミド共重合体と3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンを含むことを特徴とする。
本発明の自己修復性を有するゲルは、3価の鉄イオン1又はアルミニウムイオン分子に対してアクリレートまたはアクリルアミドが位することにより、高次網目構造を構築する。また、この時、3価の鉄イオン又はアルミニウムイオンは架橋点の役割を果たしており、物理的な結合を介して自己修復性を発現している。物理的な結合は、水素結合、イオン結合、配位結合、分子間力、静電的相互作用等が挙げられる。
そして、アルミニウムイオンが架橋点の役割を果たす場合は、金属イオン特有の着色を防ぎ、無色透明なゲルを形成することが可能になる。
前記の3価の鉄イオンは、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、三シュウ酸アンモニウム鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、トリス(シュウ酸)鉄(III)カリウム、リン酸鉄(III)ピロリン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の鉄塩に由来する3価の鉄イオンであることが好ましい。
前記の3価の鉄イオンは、1種単独であっても、または、2種以上を混合していてもよい。なかでも、塩化鉄(III)および鉄(III)アセチルアセトナートの3価の鉄イオンが好ましい。
前記のアルミニウムイオンは、塩基性乳酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、硫酸アンモニウムアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来するアルミニウムイオンであることが好ましい。
前記のアルミニウムイオンは、1種単独であっても、または、2種以上を混合していてもよい。なかでも、酢酸アルミニウム(可溶性)および硫酸アルミニウム13〜14水和物のアルミニウムイオン、アルミニウムアセチルアセトナート、硫酸アンモニウムアルミニウム12水和物のアルミニウムイオンが好ましい。
前記の3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンの前記ゲル中の含有量は、前記原料のアクリル酸モノマーの重量比に対して、3価の鉄塩換算で0.01〜10重量%であり、0.05〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンの前記ゲル中の含有量が、前記原料のアクリル酸モノマーの重量比に対して3価の鉄塩換算で25重量%を超えると、3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンがゲルの形成を妨げるため好ましくない。また、0.05重量%未満であると、自己修復性はあるもののタック性が強くなりハンドリングの面で好ましくない。
本発明のゲルは、前記有機溶媒が、水よりも沸点が高く、脂肪族多価アルコール類であるグリセリン、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びトリエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とするゲル。
本発明のゲルは、前記ポリアクリレートに対して、水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒が重量比で50〜800重量%であることが好ましく、50〜600重量%であることがより好ましく、最も好ましくは50〜400重量%である。
また、アクリル酸−アクリルアミド共重合体もゲルを形成する場合、アクリル酸−アクリルアミド共重合体に対して有機溶媒が重量比で50〜800重量%であることが好ましく、50〜600重量%であることがより好ましく、最も好ましくは50〜400重量%である。
本発明のゲルは、自己修復機能を有しており、自己修復材料として使用できる。
本発明の自己修復材料は、大気中、室温のおだやかな条件で表面のキズだけでなく完全に切断された材料でも自己修復する自己修復材料である。
特に、本発明の金属イオンとしてアルミニウムイオンのみを含むハイドロゲルは、無色透明で自己修復機能を有しており、無色透明な自己修復材料として使用できる。
また、本発明の金属イオンとしてアルミニウムイオンのみを含む自己修復材料は無色透明であるため光学材料分野に使用できる。
本発明のゲルは、弾性を有しており、衝撃吸収特性を有する自己修復材に使用できる。
続いて、本発明の自己修復性を有するゲルの製造方法について説明する。
本発明の自己修復性を有するゲルは、水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒中にアクリル酸モノマー又はアクリル酸モノマー及びアクリルアミドモノマーを3価の鉄塩及び/又はアルミニウム化合物と共存させて、0℃から100℃の温度範囲で重合開始剤を添加することにより得られたハイドロゲルを有機溶媒に浸漬することで耐久性のある自己修復性を有するゲルを製造することができる。
製造は、反応容器中に水、アクリル酸モノマー又はアクリル酸モノマー及びアクリルアミドモノマー並びに3価の鉄塩及び/又はアルミニウム化合物を入れて、撹拌混合した後に、重合開始剤を添加し撹拌し、得られたハイドロゲルを有機溶媒に浸漬することで得ることができる。
反応容器としては、通常化学反応に用いられるステンレス製の容器、ガラス製容器、テフロン(登録商標)でコーティングした容器、プラスチック容器等であれば良く、実験室レベルではバイアル瓶、シュレンク、フラスコ、試験管、ポータブルリアクター、オートクレーブ等がある。
反応容器中に加える水、アクリル酸モノマー又はアクリル酸モノマー及びアクリルアミドモノマー並びに3価の鉄塩及び/又はアルミニウム化合物の加える順序は問わず、加えた後撹拌混合を行う。撹拌時間は、30分も行えば十分である。
その後、反応容器に重合開始剤を加えてハイドロゲルが生成するまで撹拌を行う。反応温度は、室温で行えばよいが0℃〜100℃の範囲の温度で行うこともできる。通常120分もあればハイドロゲルが生成するが、ハイドロゲルの生成が遅い反応においては、100℃以下の温度で加温して反応を促進してもよい。
撹拌方法は、通常化学反応に用いられる撹拌装置を持ちればよい。具体例としては、スターラーバー、撹拌羽、振とう機、超音波、混練機等がある。
その後、自己修復性ハイドロゲルを有機溶媒に浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、大気中、室温で一晩乾燥させることで本発明の自己修復性ゲルが得られる。ハイドロゲルを水溶性有機溶媒に長時間浸漬することによって、ハイドロゲルの水が有機溶媒に置換され、本発明の自己修復性ゲルを得ることができる。有機溶媒への浸漬時間は3日〜5日も行えば十分であるが、浸漬時間が長いほど水が有機溶媒に置換割合が高くすることができる。
本発明に係る3価の鉄塩の例は、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、三シュウ酸アンモニウム鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、トリス(シュウ酸)鉄(III)カリウム、リン酸鉄(III)ピロリン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等が挙げられ、このうち1種単独、または、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも塩化鉄(III)および鉄(III)アセチルアセトナートが好ましい。
本発明に係るアルミニウム化合物の例は、塩基性乳酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセテート、硫酸アンモニウムアルミニウム等が挙げられ、このうち1種単独、または、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも酢酸アルミニウム(可溶性)および硫酸アルミニウム13〜14水和物、アルミニウムアセチルアセトナート、硫酸アンモニウムアルミニウム12水和物のアルミニウム化合物が好ましい。
本反応に係る重合開始剤の例は、クメンヒドロペルオキシシド、ペルオキソ二硫化アンモニウム、ペルオキソ二硫化カリウム、アゾビス−2−アミジノプロパン・塩酸塩、過酸化水素、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。これらの重合開始剤のうち、1種単独、または2種以上を混合して重合開始剤として用いてもよい。なかでもペルオキソ二硫化アンモニウムが好ましい。
(FT−IRの測定)
ATR法にてFT−IR(装置名:iS50FT−IR(NICOLET社製))を用いて測定した。
(TG−DTAの測定)
TG−DTA(装置名:STA7200(日立ハイテク社製))を測定した。
(比較例1)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0893gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1249gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。
得られたハイドロゲルのFT−IRを図1に示した。
図1は、比較例1で得られたハイドロゲルのFT−IRの結果を示すチャートである。
図1から1700〜1600cm−1付近にC=O伸縮、1450cm−1にC―H変角振動、1300〜1100cm−1付近にC―O伸縮の吸収帯があり、アクリル酸モノマーからポリアクリレートの骨格を形成していることがわかる。
(実施例1)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0897gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1242gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをグリセリン200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
得られた自己修復性ゲルのFT−IRを図2に、自己修復の様子を図3に示した。
図2は、実施例1で得られた自己修復性ゲルのFT−IRの結果を示すチャートである。
図2から1700〜1600cm−1付近にC=O伸縮、1450cm−1にC―H変角振動、1300〜1100cm−1付近にC―O伸縮の吸収帯があり、アクリル酸モノマーからポリアクリレートの骨格を形成していることがわかる。また、グリセリン由来のC−H伸縮が3000cm−1付近と1000cm−1付近にみられる。このことからゲル中にグリセリンが含まれていることが分かる。
図3は、実施例1で得られたゲルを切断後、接面し、大気中、室温で2日間静置したサンプルの様子である。修復後の表面のキズが薄くなっていることが分かる。
図4は、比較例1、実施例1〜9で得られたサンプルのTG−DTAの結果を示すチャートである。
(実施例2)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0889gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1234gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをジエチレングリコール200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例3)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0890gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1243gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをテトラエチレングリコール200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例4)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0880gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1235gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをトリエタノールアミン200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例5)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0862gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1232gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをポリプロピレングリコール(PPG、分子量3000)200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例6)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0890gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1234gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをクラレポリオール C−3090200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例7)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0876gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1242gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをクラレポリオール P−3010 200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例8)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー1.60g、アクリルアミド6.40g、蒸留水32ml、鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac))0.0890gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1241gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをテトラエチレングリコール200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
(実施例9)
50mlバイアル瓶に回転子を入れ、アクリル酸モノマー8.00g、蒸留水32ml、酢酸アルミニウム(可溶性)(Al(OAc))0.0908gを仕込み、室温で30分撹拌した。その後、ペルオキソ二硫化アンモニウム0.1242gを添加し、さらに1時間撹拌した。続いてこの反応混合液を脱気し、40℃の水浴で1時間加温することで自己修復性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルをテトラエチレングリコール200mlに4日間浸漬し、ゲルを溶液から取り出し、一晩室温で乾燥させることで目的の自己修復性ゲルを得ることができた。
表1には、実施例1〜9及び比較例1で得られた反応混合物についての自己修復性の結果を示している。
得られたゲルを切断し、再度接着したものを自己修復性あり、接着しなかったものを自己修復性なしと判断した。
この結果から、用いる含有溶媒において、実施例1〜9のグリセリン、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエタノールアミン、PPG、C−3090、P−3010では自己修復性を示した。
表1には、実施例1〜9及び比較例1でえられた反応混合物についての耐久性の結果を示している。
サンプルをアルゴン雰囲気下、室温から300℃まで昇温し、重量減少量をTG−DTAで測定した。このときの昇温スピードは10℃/分であった。
比較例1の50%重量減少温度を標準にして、比較例1より50%重量減少温度が高ければ耐久性あり、低ければ耐久性なしと判断した。
この結果から、用いる有機溶媒において、実施例1〜9のグリセリン、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエタノールアミン、PPG、C−3090、P−3010では比較例1のハイドロゲルよりも耐久性があることがわかった。
以上のような本発明の自己修復性ゲルは、自動車や家具のコーティング材料、接着剤、生体デバイス、吸湿剤、放湿材、接着剤、衝撃吸収材、防音材、防振材、電解質等の分野に応用できる可能性がある。


Claims (6)

  1. 水を含む水よりも沸点の高い水溶性有機溶媒中にポリアクリレート又はアクリル酸−アクリルアミド共重合体と3価の鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンを含むゲルであって、自己修復性を有することを特徴とする自己修復性ゲル。
  2. 前記の3価の鉄イオンが、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、三シュウ酸アンモニウム鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、トリス(シュウ酸)鉄(III)カリウム、リン酸鉄(III)ピロリン酸鉄(III)及びp−トルエンスルホン酸鉄(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の鉄塩に由来する3価の鉄イオンであることを特徴とする請求項1に記載の自己修復性ゲル。
  3. 前記のアルミニウムイオンが、塩基性乳酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート及び硫酸アンモニウムアルミニウムからなる群より少なくとも1種のアルミニウム塩を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載の無色透明な自己修復性ゲル。
  4. 前記有機溶媒が、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びトリエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自己修復性ゲル。
  5. 水溶媒中にアクリル酸モノマー又はアクリル酸モノマー及びアクリルアミドモノマーを3価の鉄塩及び/又はアルミニウムイオンと共存させて、0℃から100℃の温度範囲で重合開始剤を添加して得られたハイドロゲルを水よりも沸点の高い有機溶剤に浸漬することで自己修復性を有するゲルを製造することを特徴とする自己修復性ゲルの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲルを用いる自己修復材料。
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