JP2019210401A - 部材、流体分離装置、及び、組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
上記のような技術として、特許文献1には、「気体の通過は許容し、かつ液体の通過は毛管力により阻止する複数の通気孔が形成された気液分離膜において、前記複数の通気孔は、レーザー加工によって、互いに独立しかつ均一な孔径に形成されたことを特徴とする気液分離膜。」が記載されている。
そこで、本発明は、より簡易な方法で製造でき、かつ、流体分離膜に適用可能な部材を提供することを課題とする。また、本発明は、流体分離装置、及び、組成物を提供することも課題とする。
[2] 上記硬化性シリコーンゴム成分が、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンを含有する、[1]に記載の部材。
[3] 上記rが0.80以上である、[1]又は[2]に記載の部材。
[4] 少なくとも2種以上の流体を含有する混合物から、上記流体の一方を分離するための分離膜に用いられる、[1]〜[3]のいずれかに記載の部材。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の部材を備える分離膜と、上記分離膜により隔てられた導入部、及び、取り出し部を備え、上記導入部には、少なくとも2種以上の流体を含有する混合物が導入され、上記取り出し部から、上記分離膜によって上記混合物から分離された上記流体の一方が取り出される、流体分離装置。
[6] 硬化性シリコーンゴム成分と、充填材と、を含有する組成物であって、上記充填材は、核部と、上記核部から異なる4軸方向に伸びた針状部と、を有する立体形状を有し、上記組成物中における、上記硬化性シリコーンゴム成分と上記充填材の含有量の合計に対する、前記充填材の含有量の含有質量比rが0.70以上である、組成物。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
本発明の実施形態に係る部材は、硬化性シリコーンゴム成分と、所定の立体形状を有する充填材と、を含有する組成物を硬化させて得られる部材であって、上記組成物中における、上記硬化性シリコーンゴム成分と上記充填材の含有量の合計に対する、上記充填材の含有量の含有質量比r(充填材/(充填材+シリコーンゴム成分))が0.70以上である、部材である。
部材が平板状である場合、より優れた力学強度を有し、分離膜に適用しやすい点で、厚みとしては2000μmを超えることが好ましい。上限値としては特に制限されないが一般に、1cm以下が好ましい。
この部材が膜状である時には、膜の一方の主面から他方の主面に至る細孔を有していることが好ましく、この細孔を、分離される流体(例えば、気液分離膜であれば、気体であることが多い)が通過する。
この時、上記気液分離膜の一方側の主面に気液混合流体が供給されると、分離膜に存在する、より大きな孔径の孔は、本来、気体のみを他方側の主面に透過させる経路となるべきところ、液体をより容易に透過させてしまうことがある。すなわち、より大きな孔径を有する細孔は、液体をより透過させやすいものと推測される。
また、このように一旦液体を透過させてしまった細孔は、その後は、液体が容易に膜中を透過するための経路(リークパス)となるものと推測される。その結果、上記分離膜は、十分な気液分離機能が得られなくなるものと推測される。
本発明の実施形態に係る部材は、上記の問題に鑑みて検討されたものであり、所定の立体形状を有する充填材と、硬化性シリコーンゴム成分を含有し、rが0.70以上である組成物を硬化させて得られた部材である点を特徴点の1つとしている。
上記部材中には、後述する立体形状を有する充填材が分散されているため、多孔質となりやすいものと推測される。
更に、上記組成物を硬化させると、硬化性シリコーンゴム成分の硬化収縮によって充填材同士がより緻密にパッキングされるものの、後述する特定の立体形状を有する充填材は、その構造上、一定以上、密にパッキングされにくいものと推測され、結果として、得られる孔径がより均一となることが推測される。
結果として本発明の実施形態に係る部材は、より多くの細孔を有し、かつ、それぞれの細孔の孔径の孔径分布の半値幅がより小さく(言い換えれば分布ががよりシャープであり)、分離膜に適用した場合には優れた分離能が得られる。以下、本発明の実施形態に係る部材の各成分について詳述する。
本発明の実施形態に係る部材は、硬化性シリコーンゴム成分と、特定の立体形状を有する充填材(以下「特定充填材」ともいう。)とを含有する組成物を硬化させて得られる部材である。
上記組成物においては、硬化性シリコーンゴム成分と充填材の含有量の合計に対する、充填材の含有量の含有質量比rが0.70以上である。上記含有質量比が0.70以上であると、得られる部材は、分離膜として十分な分離能を発揮できる程度の、十分な量の細孔を有するものと推測される。
後述する水銀圧入法で得られた数値は開孔の値であり、本明細書において、部材の全体積に対する開孔の総体積の体積比を「気孔率(体積%)」とする。
この気孔率は、部材中における開孔の量を表しており、すなわち上記定義によれば、貫通細孔と非貫通細孔の合計を表す。この開孔の量が多い(すなわち気孔率が高い)ほど、分離膜としてより優れた機能を有する。
なお、含有質量比rの上限値としては特に制限されないが、一般に1.0未満が好ましい。
なお、本明細書において、含有質量比rは、各成分の仕込み量から計算でき、少数第3位を切り捨てて得られる数値を意味する。
なお、部材から、含有質量比rを計算する方法には燃焼式全有機炭素分析(TOC)法を用いることができる。すなわち、予め硬化性シリコーンゴム成分からの二酸化炭素発生量を定量化し、どのくらいの割合の硬化性シリコーンゴム成分が含まれているかを計測することにより、含有質量比rが計算できる。
硬化性シリコーン成分は硬化してバインダとなる成分であり、溶媒を含まない固形分を意図する。また、硬化性シリコーンゴム成分は硬化性を示す。硬化性シリコーン成分を含有する上記組成物によれば、高い撥水性を示す表面を有する部材が得られる。
なお、本明細書において、水に対する静的接触角は、実施例に記載した方法により測定される水接触角を意味する。
反応硬化型のシリコーンゴム組成物としては、縮合型のシリコーンゴム組成物、及び、付加重合型のシリコーンゴム組成物が挙げられ、公知のシリコーンゴム組成物を特に制限なく使用できる。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する部材が得られやすい点で、縮合型のシリコーンゴム組成物が好ましく、常温硬化型のシリコーンゴム組成物がより好ましい。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基(シラノール基)、アルコキシ基(アルコキシシリル基)、メルカプト基、エポキシ基、及び、エチレン性不飽和基(ビニル基、(メタ)アクリル基等)等が挙げられる。
ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンは、縮合反応により硬化し、硬化の際に水、及び/又は、アルコール等が脱離するため、一般に硬化収縮がより大きいことが多い。このようなケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンを用いると、特定充填材同士が十分に接触し、より均一な孔径を有する細孔が得られやすい。
より具体的には、オルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
ただし、本明細書において、反応硬化型のシリコーンゴム組成物を構成する成分としては、溶媒は含めないものとする。
一般に、市販の硬化性シリコーンゴム(分散)液には、溶媒が含有されることがある。
しかし、本明細書における硬化性シリコーンゴム成分は固形分を意味し、従って、硬化性シリコーンゴム成分として、上記のような市販の硬化性シリコーンゴム(分散)液を用いる場合には、「硬化性シリコーンゴム成分」としては、上記のような市販の硬化性シリコーンゴム液の固形分を「硬化性シリコーンゴム成分」として、含有質量比rを計算するものとする。
シラン添加剤は、ヒドロキシ基(シラノール基)を有するオルガノポリシロキサン(典型的には、分子鎖末端にヒドロキシ基を有するジオルガノポリシロキサン)と反応可能な化合物である。
分子鎖両末端にヒドロキシ基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン添加剤とは、室温又は加温等によって化学的に反応して硬化可能である。
反応硬化型シリコーンゴム組成物は、例えば、室温で硬化する湿気硬化型のシリコーンゴム組成物であることが好ましい。
(R1)mSiXn (1)
mは0又は1を表す。nは3又は4を表す。ただし、mが0のときnが4であり、mが1のときnが3である。
反応硬化型シリコーンゴム組成物は、シラン添加剤の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併せて含有してもよい。
触媒としては、例えば、ナフテン酸錫、カプリル酸錫、及び、オレイン酸錫等の錫カルボン酸塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、及び、ジブチル錫ベンジルマレート等の錫化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナ)チタン、及び、チタニウム・イソ・プロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物;等が挙げられる。
上記組成物は、核部と、核部から異なる4軸方向に伸びた針状部と、を有する立体形状を有する充填材(特定充填材)を含有する。組成物中における特定充填材の含有量としては、上記硬化性シリコーン成分との関係で上記含有質量比rの範囲を満たせば特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する部材が得られる点で、組成物の固形分の全質量に対して、70〜99質量%が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
組成物は、特定充填材の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併せて含有してもよい。組成物が2種以上の特定充填材を含有する場合には、その合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
特定充填材は、一般に「テトラポッド状」と呼ばれる立体形状(核部と、核部から異なる4軸方向に伸びた針状部と、を有する立体形状)を有するものが好ましい。
無機物としては、アルミナ、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、酸化亜鉛、及び、ホウ酸アルミニウム等の金属酸化物;クロム、銅、鉄、及び、ニッケル等の金属単体;炭化ケイ素、黒鉛、及び、窒化ケイ素等の金属以外の無機酸化物、並びに、上記の複合体が挙げられる。なかでもより優れた本発明の効果を有する部材が得られる点で、無機物としては、金属酸化物が好ましく、特に、上記針状部のそれぞれが、金属酸化物の単結晶であることがより好ましい。
上記組成物は、硬化性シリコーンゴム成分、及び、特定充填材以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては例えば、溶媒が挙げられる。
上記組成物は溶媒を含有することが好ましい。組成物が溶媒を含有することにより、特定充填材がより均一に分散した部材が得られやすい。
上記組成物中における溶媒の含有量としては特に制限されないが、一般に、組成物の固形分が1〜30質量%となるように調整されることが好ましい。
なお、組成物は、溶媒の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併せて含有してもよい。組成物が2種以上の溶媒を含有する場合、2種以上の溶媒の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する部材が得られる点で、組成物は溶媒として脂肪族又は芳香族炭化水素類、及び、エステル類からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましい。
上記組成物の製造方法としては特に制限されず、すでに説明した各成分を混合すればよい。各成分の混合順序としては特に制限されないが、例えば、組成物が溶媒を含有する場合、予め溶媒と硬化性シリコーンゴム成分とを混合して混合液を得て、その混合液に充填材を分散させる方法であってもよい。
また、硬化性シリコーンゴム成分として、市販の硬化性シリコーンゴム(分散)液を用いる場合、硬化性シリコーンゴム(分散)液にその他の成分を混合させて組成物を得る形態であってもよい。
本発明の実施形態に係る部材の製造方法としては特に制限されず、すでに説明した組成物を硬化させればよい。
組成物を硬化させる方法としては特に制限されないが、例えば、基材上に上記組成物を塗布して組成物層を得て、上記組成物層に対して、必要に応じてエネルギ(典型的には熱エネルギ)を加えて硬化せればよい。
すなわち、すでに説明した組成物を鋳型内に注入する工程aと、上記鋳型内で上記組成物を硬化する工程bとを有する、部材の製造方法である。以下では、各工程について詳述する。
工程aは、上記組成物を鋳型内に注入する工程である。本工程は、鋳型(モールド)に組成物を注入する工程であり、組成物の注入方法としては特に制限されず、公知の方法が適用できる。
また、鋳型の形状としては特に制限されず、所望の部材の形状に応じて適宜選択すればよい。また、本工程は、組成物を脱気する工程を更に有していてもよく、具体的には、鋳型に注入した後の組成物を減圧状態で維持する方法が挙げられる。
工程bは、上記鋳型内で上記組成物を硬化する工程である。硬化方法としては硬化性シリコーン成分の硬化条件に合わせて適宜選択可能である。例えば、組成物が、縮合型の常温硬化型の硬化性シリコーン成分を含有する場合には、組成物が注入された鋳型を大気下、常温に維持することにより、組成物を硬化させることができる。
本発明の実施形態に係る流体分離装置は、すでに説明した部材を備える分離膜と、上記分離膜により隔てられた導入部、及び、取り出し部を備え、上記導入部には少なくとも2種以上の流体を含有する混合物が導入され、上記取り出し部から、上記分離膜によって上記混合物から分離された流体の一方が取り出される、流体分離装置である。
図1は、本発明の実施形態に係る流体分離装置の第1実施形態を示す模式図である。流体分離装置10は、導入部11と取り出し部12とを備え、導入部11及び取り出し部12は、分離膜13により隔てられている。
流体分離装置10の導入部11は、混合物が導入される導入口14、及び、上記混合物から一部の成分が取り出された後の濃縮物が取り出される濃縮物取出口15とを有している。また、取り出し部12は、分離膜13を透過した流体を取り出すための分離物取出口16を有している。
なお、以下の説明では、上記流体分離装置10を用いて、気液混合流体から、気体を分離する方法を例にして説明するが、本発明の実施形態に係る流体分離装置に適用できる混合物としては気液混合流体(気液二相流)であってもいし、液液二相流(典型的には、水と油の混合流体)であってもよい。
この際、典型的には、取り出し部12よりも導入部11側が高圧であることが好ましい。取り出し部12側が減圧されていてもよい。
分離された流体(上記の例では気体)は、分離物取出口16から、流体分離装置10の外へと取り出される。
図2は本発明の実施形態に係る流体分離装置の第2実施形態を示す模式図である。流体分離装置20は、導入部21と取り出し部22とを備え、導入部21及び取り出し部22は、分離膜23により隔てられている。
流体分離装置20の導入部21は、混合物が導入される導入口24を備える。また、取り出し部22は、分離膜23を透過した流体を取り出すための分離物取出口25を有している。
なお、以下の説明では、上記流体分離装置20を用いて、気液混合流体から気体を分離する方法を例にして説明するが、本発明の実施形態に係る流体分離装置に適用できる混合物としては、上記に制限されない。
この際、典型的には、取り出し部22よりも導入部21側が高圧であることが好ましい。
分離された流体(上記の例では気体)は、分離物取出口25から、流体分離装置20の外へと取り出される(F6方向)。
テトラポッド形状を有する酸化亜鉛(パナソニック、平均繊維長(針状部分):約10μm、「パナテトラ WZ−0501(商品名)」、特定充填材に該当する。)
RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーン(東レ、1成分/アルコール型、「HC2100(商品名)」、固形分96.7質量%)
有機溶媒(酢酸エチル、又は、ヘキサン)
(組成物D1の調製)
B成分0.43gとC成分の12mlをガラス容器中で約1分間混合して混合液を得た。次に、混合液にA成分の1gを加え、約10分間攪拌して組成物D1(白色分散液)を得た。なお、組成物D1における含有質量比rは0.70だった。
B成分0.43gとC成分の3mlをガラス容器中で約1分間混合して混合液を得た。次に、混合液にA成分の1gを加え、約1分間攪拌して組成物E1(白色分散液)を得た。なお、組成物E1における含有質量rは0.70だった。
組成物D1を用いて塗膜状の部材を作成した。すなわち、スプレー缶に組成物D1を入れ、パナテトラが沈降しないように十分に攪拌した後、支持体(ポリエチレンテレフタレート、ガラス、ステンレス、アルミホイル、紙、及び、コットン)にスプレーし、コーティングして乾燥させ、支持体上にと膜状の部材を形成した。得られた部材の水接触角を後述する方法により測定した。
上記の組成物E1をサンプル管瓶(マルエムNo.3、内容積10ml、鋳型に該当する)に注入し、室温で自然乾燥させることにより組成物を硬化させ、モノリス状の部材を作成した。得られた部材(円盤型、直径:21mm、厚み:4mm)は、サンプル管瓶を割って取り出した。
得られる部材中における含有質量比rが表1に記載したとおりとなるよう硬化性シリコーンゴム成分及び充填材の含有量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2及び実施例3の部材(塗膜状、及び、モノリス状)を得た。
得られる部材中における含有質量比rが表1に記載したとおりとなるようにシリコーンゴム及び充填材の含有量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1〜5の部材(塗膜状、及び、モノリス状)を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜5の塗膜状の部材について、20℃における水接触角(静的水接触角)を測定した。測定には、協和界面科学社製「接触角計 DropMasterシリーズ DMs−401」を用いた。結果を表1、及び、図3に示した。
図3によれば、実施例1〜3の部材は、いずれもその表面の水接触角が150°程度であり、優れた撥水性を有することが確認できた。
開口部を有するガラス容器を準備し、アンモニア水を入れた。次に、上記開口部を覆うように、実施例1〜3のモノリス状の部材をガラス容器上に配置した。次に、上記部材上にフェノールフタレイン水溶液の液滴を配置した。その結果、上記液滴は、1分ほどでゆっくりと赤色を呈した。実験方法を図4に示した。
上記から、実施例1〜3の部材は流体分離膜に適用できることがわかった。
実施例1〜3、及び、比較例1〜5のモノリス状の部材について、水銀圧入法により孔径分布を測定した。測定には、島津製作所−マイクロメリテックス社製「細孔分布測定装置 オートポアIV 9520 形」を用いた。結果を図5〜25に示した。
表1には、上記の測定から得られた開孔の総体積(mL/g)、メディアン径(μm)、モード径(μm)、気孔率(体積%)、及び、孔径の均一性(半値幅、μm)の結果をそれぞれまとめて記載した。
ここで、気孔率及び孔径の均一性については以下の基準により評価し、表1にあわせて記載した。
気孔率(体積%)の評価基準は以下のとおりである。なお、流体分離用の膜(分離膜)に使用する部材としては、Aが最も優れており、より優れた順に、A〜Dとなっている。
B 気孔率が65体積%を超え、75体積%以下だった。
C 気孔率が55体積%を超え、65体積%以下だった。
D 気孔率が55体積%以下だった。
孔径の均一性は、孔径分布における半値幅を計算し、その値を以下の基準により評価した。なお、流体分離用の膜(分離膜)に使用する部材としては、AAが最も優れており、より優れた順にAA〜Cの順となっている。
A 半値幅が1.4μm以上、1.9μm未満だった。
B 半値幅が1.9μm以上、2.4μm未満だった。
C 半値幅が2.4μm以上だった。
一方、比較例1〜4の部材は開孔がほとんど見られないか、見られてもその量が不十分であり、本発明の所望の効果を有していないことが分かった。また、比較例5の部材は、開孔の量が不十分であり、かつ、孔径の均一性も不十分であり、本発明の所望の効果を有していないことが分かった。
また、表1に示した結果から、実施例3の部材は、実施例2の部材と比較して、開孔の量は同程度であったが、より優れた孔径の均一性を有していた。従い、実施例3の部材は、実施例2の部材と比較して、流体分離膜に適用した際に、更に優れた分離能を有することが分かった。
11、21 導入部
12、22 取り出し部
13、23 分離膜
14、24 導入口
15 濃縮物取出口
16、25 分離物取出口
Claims (6)
- 硬化性シリコーンゴム成分と、充填材と、を含有する組成物を硬化させて得られる部材であって、
前記充填材は、核部と、前記核部から異なる4軸方向に伸びた針状部と、を有する立体形状を有し、
前記組成物中における、前記硬化性シリコーンゴム成分と前記充填材の含有量の合計に対する、前記充填材の含有量の含有質量比rが0.70以上である、部材。 - 前記硬化性シリコーンゴム成分が、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンを含有する、請求項1に記載の部材。
- 前記rが0.80以上である、請求項1又は2に記載の部材。
- 少なくとも2種以上の流体を含有する混合物から、前記流体の一方を分離するための分離膜に用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の部材を備える分離膜と、
前記分離膜により隔てられた導入部、及び、取り出し部を備え、
前記導入部には、少なくとも2種以上の流体を含有する混合物が導入され、
前記取り出し部から、前記分離膜によって前記混合物から分離された前記流体の一方が取り出される、流体分離装置。 - 硬化性シリコーンゴム成分と、充填材と、を含有する組成物であって、
前記充填材は、核部と、前記核部から異なる4軸方向に伸びた針状部と、を有する立体形状を有し、
前記組成物中における、前記硬化性シリコーンゴム成分と前記充填材の含有量の合計に対する、前記充填材の含有量の含有質量比rが0.70以上である、組成物。
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