JP2019210393A - 撥液性表面およびその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に製造できる積層体の構成であって、油などの低表面張力の付着物が高速に滑り落ちる優れた撥液性機能を有する撥液性表面を提供することを課題とする。【解決手段】基材と、接着層と、撥液層がこの順に接している積層体からなり、前記撥液層は、少なくとも平均粒子径が2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m2/g以上であり、かつフッ素化アルキル基を表面に有する多孔性微粒子を含むことを特徴とする撥液性表面。【選択図】図1
Description
本発明は、優れた撥液性機能を持つ撥液性表面およびその作製方法に関する。
近年、超撥水機能を有するコーティングの開発が盛んである。超撥水機能を有する表面の上では雨滴等の高速滑落による窓の視野確保機能、埃等固体付着物のセルフクリーニング機能や、食品等の付着防止機能、着氷防止機能など様々な機能が期待されている。これらは微細な凹凸構造と固体の低表面エネルギー化処理により達成される。
超撥水表面は水のような表面張力が高い液体に対しては優れた滑落機能を示すものの、大半の場合、油のような低表面張力の液体に対しては滑落機能を示さない。油に対して150°以上の接触角、低い転落角を示す、いわゆる超撥液性表面の達成には、マイクロスケールの凹凸とナノスケールの凹凸が共存するミクロ・ナノ階層凹凸構造であり、かつ凹凸表面上を低表面張力材料で被覆することが好ましいとされるが、現在までにその達成事例は非常に少ない。
特許文献1には、疎水性粒子による凹凸構造が超撥水機能を示すことが述べられている。ポリジメチルシロキサン処理、2−7μmの平均粒子径を有する湿式合成シリカ粒子を用いたものである。しかしながらこの構成では、油のような低表面張力液体は高い接触角を示さず、むしろよく浸透することが分かっている。
特許文献2にはストーバー法により形成したサブミクロンサイズシリカ粒子とTEOS加水分解物の混合物からなる塗料への浸漬・乾燥工程と、ナノシリカ粒子とTEOSならびにフッ素化アルキル基含有アルコキシシランの加水分解物からなる塗料への浸漬・乾燥を4回繰り返すことで得られる、撥液膜の製造方法が報告されている。
このようにして得られる表面は、表面張力25mN/m程度までの付着物に対して140°以上の高い接触角が得られると報告されているが、この方法は製造プロセスが煩雑であり実用上の制限が大きいといわざるを得ない。
このようにして得られる表面は、表面張力25mN/m程度までの付着物に対して140°以上の高い接触角が得られると報告されているが、この方法は製造プロセスが煩雑であり実用上の制限が大きいといわざるを得ない。
また、特許文献3では油の接触角が150度を超える超撥液状態を作製するための方法として、表面粗さを600nm以上に調整し、フルオロアルキルシランなどの表面エネルギーを低下させる材料で撥液層を形成する方法が開示されている。
具体的には、ベーマイトのエマルジョンを準備し、ガラス表面にスピンコートし焼成するサイクルを12回繰り返すことで凹凸構造を形成した後に、パーフルオロアルキルシランのCVD処理により低表エネルギー化することで達成されるが、この方法では工程数も多く複雑である。
具体的には、ベーマイトのエマルジョンを準備し、ガラス表面にスピンコートし焼成するサイクルを12回繰り返すことで凹凸構造を形成した後に、パーフルオロアルキルシランのCVD処理により低表エネルギー化することで達成されるが、この方法では工程数も多く複雑である。
またさらに、非特許文献1においては、特定撥液剤の有機溶媒を浸漬することにより、羽毛や繊維表面を撥液処理する方法で、有機溶媒を含む低表面張力液体に対して150°以上の接触角を示すと報告されている。しかし、この文献に記載されているのは、元々凹凸を有する羽毛や繊維表面に対する撥液処理であり、汎用的な表面処理とはいえない。
Adv.Mater.2009,21,2190-2195
上記問題点に鑑み、本発明の課題は、簡便に製造できて、かつ優れた撥液機能を有する撥液性表面およびその作製方法を提供することである。
上記の課題を達成する手段として、請求項1に記載の発明は、
基材と、接着層と、撥液層がこの順に接している積層体からなり、
前記撥液層は、少なくとも平均粒子径が2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m2/g以上であり、かつフッ素化アルキル基を表面に有する多孔性微粒子を含むことを特徴とする、撥液性表面である。
基材と、接着層と、撥液層がこの順に接している積層体からなり、
前記撥液層は、少なくとも平均粒子径が2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m2/g以上であり、かつフッ素化アルキル基を表面に有する多孔性微粒子を含むことを特徴とする、撥液性表面である。
この撥液層は、上記の多孔性微粒子と溶媒を含む粒子分散液を、基材上に塗布した後に乾燥することで、簡便かつ大面積に形成することが可能であり、かつ優れた撥液機能を有する撥液性表面が得られる。
また、請求項2に記載の発明は、
前記多孔性微粒子が、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物からなることを特徴とする、請求項1に記載の撥液性表面である。
前記多孔性微粒子が、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物からなることを特徴とする、請求項1に記載の撥液性表面である。
これらの材質からなる微粒子の表面は、フッ素化アルキル基の導入が容易であり、かつ安価に入手可能なため有利である。
また、請求項3に記載の発明は、
前記フッ素化アルキル基が、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の撥液性表面である。
前記フッ素化アルキル基が、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の撥液性表面である。
フッ素化アルキル基が上記の官能基を有するものであれば、炭素−フッ素結合(CF結合)を多く有するため撥液性が向上する。
また、請求項4に記載の発明は、
前記接着層が、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ビニル系粘着材のいずれかからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性表面である。
前記接着層が、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ビニル系粘着材のいずれかからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性表面である。
これらの粘着材を用いることで、前記の微粒子が基材に密着し、優れた撥液性能と膜強度が両立する。
請求項5に記載の発明は、
前記撥液層に、前記多孔性微粒子とは異なる第2の微粒子を含み、
前記第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が100m2/g以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の撥液性表面である。
前記撥液層に、前記多孔性微粒子とは異なる第2の微粒子を含み、
前記第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が100m2/g以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の撥液性表面である。
撥液層に第2の微粒子として上記のものを含むことで、膜の密着性が高まり、膜強度の向上に有利である。
請求項6に記載の発明は、
多孔性微粒子を溶媒に分散させて粒子分散液とし、該粒子分散液を接着層上に塗布し、乾燥させて撥液層を形成する工程を少なくとも有し、
前記溶媒が、少なくとも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性表面の作製方法である。
多孔性微粒子を溶媒に分散させて粒子分散液とし、該粒子分散液を接着層上に塗布し、乾燥させて撥液層を形成する工程を少なくとも有し、
前記溶媒が、少なくとも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性表面の作製方法である。
これらを含む極性溶媒を用いることで、微粒子の表面を粘着材の溶解成分が汚染することなく、結果的に優れた撥液性能と膜強度が両立する。
本手法を用いることで、油などの低表面張力液体も高速に滑落する、超撥液性表面を簡便に形成することができる。このような材料は、油を多分に含み、これまで除去することが困難だった付着物が、後残り無く高速に滑落する。
以下、本発明について実施形態を具体的に詳述する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る撥液性表面の一実施形態を示している。
撥液性表面4は、基材1上に接着層2と撥液層3を積層してなる。撥液層3は、低表面エネルギー化処理された多孔性微粒子と、バインダー成分とを含む層であって、撥液性を発揮する層である。
撥液性表面4は、基材1上に接着層2と撥液層3を積層してなる。撥液層3は、低表面エネルギー化処理された多孔性微粒子と、バインダー成分とを含む層であって、撥液性を発揮する層である。
次に、本発明での撥液性表面形成のプロセスを、(1.多孔粒子表面処理)、(2.粒子分散液の調製)、(3.塗工)の3段階に分けて説明する。
(1.多孔性微粒子表面処理)
撥液層に用いる多孔性微粒子としては、多孔質性を有する微粒子が用いられる。特にレーザー回折・散乱法により測定される微粒子の平均粒子径が2.5μm以上、かつBET比表面積が100m2/g以上であることが望ましい。
撥液層に用いる多孔性微粒子としては、多孔質性を有する微粒子が用いられる。特にレーザー回折・散乱法により測定される微粒子の平均粒子径が2.5μm以上、かつBET比表面積が100m2/g以上であることが望ましい。
多孔性微粒子の材質については、低表面エネルギー化のためのシランカップリング処理可能な表面であればよく、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムのいずれかの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、湿式合成法による多孔質シリカは低価格で入手可能であり好適である。湿式合成法の多孔質シリカとしては、以下の例に限定するものではないが、具体的には富士ゲル販売社、サイリシアシリーズ、サイロスフェアシリーズ、水澤化学工業社ミズカシルシリーズ、日本シリカ工業社ニップゲルシリーズが挙げられる。
低表面エネルギー化のためのシリカ微粒子の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、所定の官能基を有するクロロシランと前記多孔性微粒子を有機溶媒中で混合することで反応させるもの、所定の官能基を有するクロロシランを気相反応で粒子表面に導入するものなどがありえる。
ここで所定の官能基とは、少なくとも、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などのフッ素化アルキル基本を有する分子である。これらの官能基に限定されないが、CF結合を多く含む官能基であれば好ましい。
ここで所定の官能基とは、少なくとも、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などのフッ素化アルキル基本を有する分子である。これらの官能基に限定されないが、CF結合を多く含む官能基であれば好ましい。
(2.粒子分散液の調製)
上記の工程で得られた多孔性微粒子を溶媒に分散させることで、粒子分散液を入手する。粒子分散に用いる溶媒は、少なくともメタノール、エタノール、イソプロパノール、水のいずれかを含む。これらの極性溶媒を含むことで、粘着層の溶解が生じにくく都合がよい。
上記の工程で得られた多孔性微粒子を溶媒に分散させることで、粒子分散液を入手する。粒子分散に用いる溶媒は、少なくともメタノール、エタノール、イソプロパノール、水のいずれかを含む。これらの極性溶媒を含むことで、粘着層の溶解が生じにくく都合がよい。
粒子分散液の固形分濃度は、0.5%〜20%程度に調節して使用する。この範囲であれば、種々のウェットコートプロセスに対して、特段不条理が無いため有利である。この濃度範囲に調製し、攪拌、超音波照射などの攪拌操作を加えることで、粒子分散液を調整する。
必要に応じて、粒子分散液には、膜強度補強のためのバインダー成分を混合してもよい。バインダー成分としては、溶媒に分散可能であり溶媒揮発とともに固化する樹脂成分を用いることができる。このような樹脂成分には、低表面エネルギー化のための、フッ素化アルキル基を有していることが好ましい。
たとえば旭硝子社製アサヒガードシリーズ、ケマーズ社製CAPSTONEシリーズなどを適切に組み合わせることが可能である。その他、膜強度補強のためのバインダー成分としては、アルコキシシランの加水分解物や、アクリルモノマーを含む光硬化材料などを用いることができる。
たとえば旭硝子社製アサヒガードシリーズ、ケマーズ社製CAPSTONEシリーズなどを適切に組み合わせることが可能である。その他、膜強度補強のためのバインダー成分としては、アルコキシシランの加水分解物や、アクリルモノマーを含む光硬化材料などを用いることができる。
また上記の多孔性微粒子を主成分として、撥液層にはそれと異なる第二の微粒子を含んでもよい。その際、第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が100m2/g以上の粒子であると好ましい。具体的には、エボニック社アエロジルシリーズなどのナノシリカ粒子が適切である。これらの粒子を併用すると、膜の密着が優れるため有利である。
(3.塗工)
撥液層を形成するための支持体は、機材と接着層から成る。支持体となる物であれば特に制限はなく、例えばガラス板や金属表面、紙、樹脂を含むフィルム、又は金属箔の少なくとも一種を有する。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、又はクラフト紙等が挙げられる。
樹脂を含むフィルムとしては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、及びセロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔又はニッケル箔等が挙げられる。
撥液層を形成するための支持体は、機材と接着層から成る。支持体となる物であれば特に制限はなく、例えばガラス板や金属表面、紙、樹脂を含むフィルム、又は金属箔の少なくとも一種を有する。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、又はクラフト紙等が挙げられる。
樹脂を含むフィルムとしては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、及びセロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔又はニッケル箔等が挙げられる。
接着層は、支持体層にウェットコート的に形成されてもよいし、ラミネートして形成されてもよい。接着層の材質は、一般的な接着性成分であってよく、粘着材は一般に用いられる粘着剤から適当に選択することができる。
具体的には、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ビニル系粘着材のいずれかの材質である。市販されている粘着材と支持体からなる積層体を用いてもよいし、自身で適切に粘着材を塗布することも可能である。
具体的には、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ビニル系粘着材のいずれかの材質である。市販されている粘着材と支持体からなる積層体を用いてもよいし、自身で適切に粘着材を塗布することも可能である。
上記の接着層の上に、前述の粒子分散体塗料を塗布・乾燥することで、撥液性表面が感染する。接着層の上へのコーティング方法については、グラビアコート、ダイコートに加え、スプレーコート等のウェットコーティングを用いることができる。
所定量の塗料を塗布したのち、乾燥工程に移る。乾燥工程では、溶媒が十分乾燥しきれば十分であり自然乾燥を待ってもよいが、温風で乾燥するなどの手段を経てもよい。特に
基材の変質が生じない範囲の温度であればよく、具体的には100℃以下の温風により乾燥することが好ましい。
所定量の塗料を塗布したのち、乾燥工程に移る。乾燥工程では、溶媒が十分乾燥しきれば十分であり自然乾燥を待ってもよいが、温風で乾燥するなどの手段を経てもよい。特に
基材の変質が生じない範囲の温度であればよく、具体的には100℃以下の温風により乾燥することが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1.多孔性微粒子表面処理)
ヘキサン28.5g中に、1.5gの富士ゲル販売社製サイリシア310p(平均粒子径2.7μmの多孔性粉末シリカ、BET比表面積300m2/g)、東京化成社製(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シラン0.15gを投入し、室温環境下で12時間攪拌した。その後溶媒を乾燥除去することで、パーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を得た。
(1.多孔性微粒子表面処理)
ヘキサン28.5g中に、1.5gの富士ゲル販売社製サイリシア310p(平均粒子径2.7μmの多孔性粉末シリカ、BET比表面積300m2/g)、東京化成社製(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シラン0.15gを投入し、室温環境下で12時間攪拌した。その後溶媒を乾燥除去することで、パーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を得た。
(2.多孔性微粒子とバインダーの調液)
上記のパーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を5.0gに対し、エタノール95.0gを投入し、超音波照射30分を行うことで固形分濃度が5wt%である粒子分散塗料を得た。
上記のパーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を5.0gに対し、エタノール95.0gを投入し、超音波照射30分を行うことで固形分濃度が5wt%である粒子分散塗料を得た。
(3.塗工)
基材として日栄化工社製ソフピール透明80を用い、その粘着面上に、粒子分散塗料をグラビアコートしたのちに、室温化で乾燥することで、撥液性表面を得た。
基材として日栄化工社製ソフピール透明80を用い、その粘着面上に、粒子分散塗料をグラビアコートしたのちに、室温化で乾燥することで、撥液性表面を得た。
<実施例2>
用いる基材を以下のように準備した以外は、請求項1と同様に実施した。
東レ社製PETフィルム ルミラー50S10面に、ゴム系粘着材である3M社製スプレーのり77をスプレーコートし、常温で60秒経過したのちに、60℃オーブン内で60秒間乾燥して得られた面を粘着層として用いた。
用いる基材を以下のように準備した以外は、請求項1と同様に実施した。
東レ社製PETフィルム ルミラー50S10面に、ゴム系粘着材である3M社製スプレーのり77をスプレーコートし、常温で60秒経過したのちに、60℃オーブン内で60秒間乾燥して得られた面を粘着層として用いた。
<実施例3>
用いる基材を以下のように準備した以外は、請求項1と同様に実施した。
東レ社製PETフィルム ルミラー50S10面に、東洋アドレ社製ホットメルト接着材H232をグラビアコートして得られる表面を粘着層として用いた。
用いる基材を以下のように準備した以外は、請求項1と同様に実施した。
東レ社製PETフィルム ルミラー50S10面に、東洋アドレ社製ホットメルト接着材H232をグラビアコートして得られる表面を粘着層として用いた。
<実施例4>
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をパーフルオロブチル基に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変わって、東京化成社トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)シランを用いた。
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をパーフルオロブチル基に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変わって、東京化成社トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)シランを用いた。
<実施例5>
多孔性微粒子の富士シリシア製シリカ粒子 サイリシア370(平均粒子径6.2μm、BET比表面積300m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
多孔性微粒子の富士シリシア製シリカ粒子 サイリシア370(平均粒子径6.2μm、BET比表面積300m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<実施例6>
多孔性微粒子の東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E-170(平均粒子径3.0μm、BET比表面積110m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
多孔性微粒子の東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E-170(平均粒子径3.0μm、BET比表面積110m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<実施例7>
粒子分散体調整時に用いる溶媒を、メタノールとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
粒子分散体調整時に用いる溶媒を、メタノールとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例1>
用いる基材をルミラー50S10面とし、粘着層を用いず、直接基材に撥液層を用いた以外は請求項1と同様に実施した。
用いる基材をルミラー50S10面とし、粘着層を用いず、直接基材に撥液層を用いた以外は請求項1と同様に実施した。
<比較例2>
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をトリフルオロメチル基に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて東京化成社製トリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シランを用いた。
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をトリフルオロメチル基に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて東京化成社製トリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シランを用いた。
<比較例3>
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、トリメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製クロロトリメチルシランを用いた。
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、トリメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製クロロトリメチルシランを用いた。
<比較例4>
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、ジメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製ジクロロジメチルシランを用いた。
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、ジメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製ジクロロジメチルシランを用いた。
<比較例5>
多孔性微粒子の表面処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。
多孔性微粒子の表面処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。
<比較例6>
多孔性微粒子として東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E−74p(平均粒子径3.2μm、BET比表面積40m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
多孔性微粒子として東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E−74p(平均粒子径3.2μm、BET比表面積40m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<比較例7>
多孔性微粒子として日本アエロジル社製AEROSIL200(平均粒子径1μm以下、BET比表面積200m2/g)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
多孔性微粒子として日本アエロジル社製AEROSIL200(平均粒子径1μm以下、BET比表面積200m2/g)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例8>
粒子分散体調整時に用いる溶媒をヘキサンとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
粒子分散体調整時に用いる溶媒をヘキサンとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例9>
粒子分散体調整時に用いる溶媒をメチルエチルケトン(MEK)としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
粒子分散体調整時に用いる溶媒をメチルエチルケトン(MEK)としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例10>
粒子分散体調整時に用いる溶媒をトルエンとしたこと以外は請求項1と同様に実施した。
粒子分散体調整時に用いる溶媒をトルエンとしたこと以外は請求項1と同様に実施した。
(撥液性評価)
実施例および比較例で得られた撥液基材を15°の傾斜を持つ支持台に貼り付けた。そ
の後、純水、グリセリン、エチレングリコール、オレイン酸を100μL滴下したのちに、10秒以内に、10cm以上液滴が移動した場合を○とし、10秒の移動距離が10cm未満であるか、または液滴が撥液性表面上に後残りしながら滑落した場合には×として、各サンプルの撥液性能の評価を行った。
実施例および比較例で得られた撥液基材を15°の傾斜を持つ支持台に貼り付けた。そ
の後、純水、グリセリン、エチレングリコール、オレイン酸を100μL滴下したのちに、10秒以内に、10cm以上液滴が移動した場合を○とし、10秒の移動距離が10cm未満であるか、または液滴が撥液性表面上に後残りしながら滑落した場合には×として、各サンプルの撥液性能の評価を行った。
(膜強度評価)
また、撥液性能評価を行ったのち、撥液層の成分の脱落など膜の破壊が顕著であった場合があった場合に×として評価した。
また、撥液性能評価を行ったのち、撥液層の成分の脱落など膜の破壊が顕著であった場合があった場合に×として評価した。
前記実施例、および比較例の実施条件と、撥液性能評価、膜強度評価結果をまとめて下記の表1に示す。
以下、表1を参照して評価結果を説明する。
まず、実施例1については今回試験に用いたすべての付着物に対し、優れた撥液性能が得られ、膜強度も十分であった。
まず、実施例1については今回試験に用いたすべての付着物に対し、優れた撥液性能が得られ、膜強度も十分であった。
比較例1は、実施例1に対して、接着層を用いなかったサンプルである。撥液性能が優れるものの、基材との密着が不十分であり、撥液性能評価後の膜強度評価における膜の破損が顕著であった。比較例1と実施例1、2、3との比較から、今回用いた接着層は撥液層の基材固定に効果的であったといえる。
実施例4は低表面エネルギー化のために用いるフッ素化アルキル鎖を、パーフルオロブチル基(C4F)に変更したものであり、比較例2は低表面エネルギー化のために用いるフッ素化アルキルをトリフルオロメチル基(C1F)に変更したものである。パーフルオロヘキシル基(C6F)を用いた実施例1との比較から、用いるパーフルオロアルキルの鎖はC4Fよりも短くなる場合に撥液性が得られなくなるといえる。
比較例3、比較例4は、低表面エネルギー化としてフッ素化アルキル鎖の導入ではなく、トリメチルシリル基、またはジメチルシリル基を用いたものである。これらの表面処理剤では充分な撥液性能が得られていないことから、パーフルオロアルキル基を用いることが撥液性の達成に効果的であるといえる。また比較例5では多孔粒子の表面処理を行わなかったが、この場合も、撥液性能が得られない。
実施例5、実施例6、比較例6、比較例7と実施例1の結果の対比から、多孔性微粒子としてもちいる粒子が、平均粒子径2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m2/g以上であることを満たしている場合に、撥液性能が得られるといえる。
実施例7と、比較例8、比較例9、比較例10の比較から、粒子分散液を調整する際に用いる撥液性表面形成に用いる溶媒がアルコールである場合に、撥液性能が得られるといえる。
1・・・基材
2・・・接着層
3・・・撥液層
4・・・撥液性表面
2・・・接着層
3・・・撥液層
4・・・撥液性表面
Claims (6)
- 基材と、接着層と、撥液層がこの順に接している積層体からなり、
前記撥液層は、少なくとも平均粒子径が2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m2/g以上であり、かつフッ素化アルキル基を表面に有する多孔性微粒子を含むことを特徴とする、撥液性表面。 - 前記多孔性微粒子が、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物からなることを特徴とする、請求項1に記載の撥液性表面。
- 前記フッ素化アルキル基が、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の撥液性表面。
- 前記接着層が、ゴム系粘着材、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ビニル系粘着材のいずれかからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性表面。
- 前記撥液層に、前記多孔性微粒子とは異なる第2の微粒子を含み、
前記第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が100m2/g以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の撥液性表面。 - 多孔性微粒子を溶媒に分散させて粒子分散液とし、該粒子分散液を接着層上に塗布し、乾燥させて撥液層を形成する工程を少なくとも有し、
前記溶媒が、少なくとも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性表面の作製方法。
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2018
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