JP2017206777A - 繊維製品、および、被膜付き物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維製品やその他の物品において、繊維表面や物品表面にナノ粒子を含む被膜を形成した場合に、ナノ粒子の凹凸構成による撥水性を十分に発揮することができ、かつ、その機械的な耐久性も改善されるような繊維製品を提供すること。【解決手段】繊維基材としての不織布と、前記不織布を構成する各繊維22の表面に形成された撥水性被膜24と、を備えた繊維製品であって、撥水性被膜24は、疎水性シリカ微粒子26およびバインダー樹脂(シアノアクリレート系接着剤)28を含み、繊維基材の一方の表面付近にある各繊維22の表面に形成されており、繊維基材の反対側の表面付近にある各繊維の表面には形成されていない、ことを特徴とする。【選択図】 図10

Description

本発明は、超撥水コーティングを付与した繊維製品および被膜付き物品に関する。
繊維(織布、不織布)に対しては、防汚・防水の観点から撥水性を付与させたいというニーズがあり、1本1本の繊維表面に撥水性の被膜を形成する技術が長年研究されてきた。
超撥水コーティングとしては、ナノ粒子を利用した被膜の形成技術がある。従来型として、繊維表面にナノ粒子を配列させたもの(Nanoparticles assembled surface structure 以下NPsS構造と記載)がある。繊維表面には、自然界における「蓮の葉」表面の微細構造と同様に、ナノ粒子によるナノメートルオーダーの凹凸構造が形成される。しかし、被膜表面の凸部先端が、ナノ粒子によって先鋭化されており、耐摩耗性が低くなるという機械的な耐久性の問題があった。
これに対し、繊維表面とナノ粒子との接着力を向上させるという観点で、ナノ粒子とバインダー樹脂の混合物による構造体(Adhesive resin mixed structure 以下AMNS構造と記載)が提案されている。しかし、耐久性は改善されるが、バインダー樹脂がナノ粒子の表面を覆ってしまい易く、肝心の撥水性が低下してしまうという問題がある。
バインダー樹脂による粒子表面の被覆を回避するため、樹脂の下地層とナノ粒子の撥水層からなる二層コート(Dual Layered structure以下DLS構造と記載)も提案されている。樹脂の硬化前にナノ粒子の層を形成するといった方法で、下地層にナノ粒子が適度に埋め込められている。これによって、撥水性と機械的耐久性の両方を備えさせることができるが、成分の異なる層を順番に形成する必要があり、プロセスが多くなり、設備の複雑化といった問題点がある。
一例として、特許文献1にPET繊維の不織布に撥水加工を施す手法が開示されている。この手法では、水中に分散されたアルミナ微粒子とアクリル系ラテックス(結着剤)を混合して塗液とし、塗液を厚み 16 μmの不織布に含浸させて、アルミナ微粒子を結着剤で繊維表面に結着させる。さらに、シランカップリング剤が付与され、アルミナ微粒子の表面水酸基と反応して、微粒子表面が撥水加工される。この特許文献1では、塗液を不織布に含浸させているので、塗液中のラテックスがアルミナ微粒子を覆ってしまい、微粒子の撥水加工が不十分になってしまう可能性がある。
特開2015−175069号公報
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、繊維製品やその他の物品において、繊維表面や物品表面にナノ粒子を含む被膜を形成した場合に、ナノ粒子の凹凸構成による撥水性を十分に発揮することができ、かつ、その機械的な耐久性も改善されるような繊維製品および被膜付き物品を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討を行った結果、繊維製品にシリカ微粒子とバインダー樹脂を含む塗液をスプレーコーティングすることにより、ある噴霧条件下において、被スプレー面付近の1本1本の繊維表面に、超撥水性と優れた耐久性の両方を備えた被膜を形成することが可能であることを見出した。しかも、従来の二層コートのように複数のプロセスを必要としないことを確認し、本発明を完成するに至った。
また、繊維製品の一方の面のみに超撥水コーティングを施せば、被スプレー面付近の繊維層にある繊維表面に被膜が形成され、反対側のスプレー無しの表面付近の繊維層には被膜が形成されないようにすることができる。よって、超撥水性の面と吸水性の面の両方を備えた繊維製品が得られる。
さらに、本発明者は、スプレーコーティングの噴霧距離を変化させることによって、1本1本の繊維表面に粒子濃度勾配型の構造からなる被膜を形成することができることも見出した。
また、発明者は、繊維製品に限らず、アルミニウムやアルミニウム合金、木材、ガラスなどでできた物品に対しても、同様に、シリカ微粒子とバインダー樹脂を含む塗液をスプレーコーティングすることによって、物品表面に、超撥水性と優れた耐久性の両方を備えた被膜を形成することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明の繊維製品は、
繊維基材と、
前記繊維基材を構成する各繊維の表面に形成された被膜と、を備え、
前記被膜は、疎水性粒子およびバインダー樹脂を含み、
前記繊維基材の一方の表面付近にある各繊維の表面に形成されており、
前記繊維基材の反対側の表面付近にある各繊維の表面には形成されていない、
ことを特徴とする。
ここで、前記繊維基材の一方の表面から反対側の表面までの通気性を備えていることが好ましい。なお、不織布を繊維基材として用いた場合、本発明の繊維製品の通気性については、日本工業規格JISL1913(一般不織布試験方法)に準拠したフラジール形試験で、54 cm3/cm2・s 以上を示すとよい。より好ましくは、54〜91 cm3/cm2・s である。
また、不織布を繊維基材として用いた繊維製品の柔軟性(剛軟度)については、上記JISL1913に準拠した41.5°カンチレバー形試験で、不織布の縦方向(MD)の剛軟度が5.4〜7.9 mN・cm であり、かつ、不織布の横方向(CD)の剛軟度が1.7〜2.9 mN・cmであることが好ましい。
また、前記被膜中の前記疎水性粒子の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に減少していることが好ましい。また、前記被膜中の前記バインダー樹脂の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に増加していてもよい。このバインダー樹脂としては、でんぷん、アスファルト、カゼイン、ニカワを代表とする天然樹脂でもよく、熱可塑性樹脂(酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリビニルアセタール樹脂系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリアミド、アクリル樹脂系、セルロース系、シアノアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエチレン系など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂系、ユリア樹脂系、フェノール樹脂、ウレタン樹脂系、ポリイミド樹脂系、レゾルシノール樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリアロマティクス、ポリエステル樹脂系など)、エラストマー(クロロプレン樹脂系、二トリルゴム系、シリコーン樹脂、SBR系、SBS・SIS系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系など)に分類される合成樹脂でもよい。また、これらの複合系(ビニル・フェノリック、エポキシ・フェノリック、クロロプレン・フェノリック、二トリル・フェノリック、ナイロンエポキシ、二トリルエポキシなどの組み合わせ)でも良い。なお、作製方法の簡便性を考えると、前記疎水性粒子が疎水性シリカ微粒子であり、前記バインダー樹脂がシアノアクリレート系接着剤であることが好ましい。
一方、本発明の被膜付き物品は、
物品と、
前記物品の表面に形成された被膜と、を備え、
前記被膜は、疎水性粒子およびバインダー樹脂を含み、
前記被膜中の前記疎水性粒子の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に減少していること(gradient functional structure 以下GFS構造と称する)を特徴とする。
本発明の繊維製品は、ベースとなる繊維基材の一方の表面においては、一本一本の繊維の表面に超撥水性と優れた耐久性を具備する被膜が形成されており、繊維基材の反対側の表面においては、繊維の表面に撥水性の被膜が形成されていない。この結果、被膜による超撥水性・耐久性を強く示す面と、ベースとなる繊維基材の吸水性を強く示す面との両方の特質を備えた繊維製品が得られる。
また、被膜は一本一本の繊維の表面を覆っているけれども、繊維同士の隙間を完全に埋めてはいないので、繊維基材が本来有する通気性が維持される。通気性を必要とする製品への適性が高い。また、不織布を繊維基材とする繊維製品において、超撥水性と吸水性の二面性、および、通気性に加えて、所定の柔軟性(剛軟度)を具備していることが、エプロンや作業着などの素材に適用する際の着心地の改善に大きく寄与する。
さらに、一本一本の繊維表面の被膜自体の構造に注目すると、被膜が粒子濃度勾配型の構造になっていることで、被膜の表面においてはバインダー樹脂に対する疎水性粒子の割合が高く、被膜が優れた超撥水性を示す。被膜の表面では、疎水性粒子によるナノオーダーの凹凸構造がバインダー樹脂に覆われることなく形成されているからである。同時に、被膜の深さ方向に進むにつれて、バインダー樹脂の割合が徐々に高くなっており、繊維表面への疎水性粒子の固着力が段々と強化されている。この結果、超撥水性と優れた耐久性の両方を示す被膜を備えた繊維製品が得られる。
また、本発明の被膜付き物品についても、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、木材、ガラスなどでできた物品の表面に疎水性粒子による粒子濃度勾配型の構造を有する被膜が形成されるので、被膜中の疎水性粒子の分布量が、被膜の表面からの深さ方向において段階的に減少している。従って、超撥水性と優れた耐久性の両方を具備した被膜付き物品が得られる。
繊維製品の被スプレー面の超撥水性およびその裏面の吸水性を示す画像。 繊維製品の断面のSEM画像である。 異なる噴霧距離で被膜を付与した各々の繊維製品についての表面の電子顕微鏡画像であり、(A)のスケールバーは 20μm、(B)のスケールバーは 500 nmである。 X線光電子分光法による表面元素解析結果を示す図であり、(A)は異なる噴霧距離で形成した各繊維製品の解析結果を並べたもの、(B)はスプレー無しの解析結果、(C)は噴霧距離 30 cmの解析結果、(D)は噴霧距離 40 cmの解析結果である。 片面超撥水性の繊維製品について血液を凝固させる前後での通気性の測定値を示す棒グラフであり、比較として、両面に超撥水性の処理を施したもの、および、両面とも処理無しのものについての測定値を並べて示した棒グラフである。 片面超撥水性の繊維製品について吸水・吸血性能および血液凝固指数(Blood Clotting Index, 略称 BCI)(%)を示す棒グラフであり、比較として、両面に超撥水性の処理を施したもの、および、両面とも処理無しのものについての同項目の値を並べて示した棒グラフである。 異なる噴霧距離で形成した各々の被膜に対し、40回摩耗する前後での水接触角の変化特性を噴霧距離ごとに示す棒グラフ。 異なる噴霧距離で形成した各々の被膜について、被膜を構成するシリカ微粒子とバインダー樹脂(EAC)の組成比を示す折れ線グラフである。 被膜の画像分析結果(SEM画像およびレーザー顕微鏡の解析結果)を示す図であり、(A)は噴霧距離 10 cm、(B)は噴霧距離 30 cmでの被膜を対象とした。 (A)は本発明に係る粒子濃度勾配型の被膜の構造図であり、(B)〜(C)は、従来型の被膜の構造図である。 (A)は本発明に係る粒子濃度勾配型の繊維製品の構造を多段の繊維層に分割して示した図であり、(B)は従来型の2層コートからなる繊維製品を示した図である。 噴霧されたミストの構造が、噴霧距離の長距離化に応じて変化する様子を模式的に示した図である。 可動噴霧法による粒子濃度勾配型の被膜の形成方法を模式的に示した図。 (A)は粒子濃度勾配型の被膜について、表面からの深さ方向における、シリカ微粒子およびバインダー樹脂(EAC)の濃度変化を示すグラフであり、(B)は被膜のSEM画像である。 粒子濃度勾配型の被膜の耐摩耗性の試験結果を、従来型の被膜の試験結果と合せて示したグラフである。 アルミニウム、木材、ガラスの各基材上に形成された粒子濃度勾配型の被膜の耐摩耗性の試験結果を示したグラフである。 本発明に係る繊維製品の一実施形態であるエプロン、および、その素材となるロール状の繊維製品を説明するための図である。
[繊維製品]
図1に、本発明の繊維製品の一実施形態である綿不織布10の画像を示す。同図(a)に示すように、平均径が約12μmの繊維からなる綿不織布(旭化成(株)製、ベンコット M-3II、正式名称は「セルロース(キュプラ)100%」(キュプラ連続長繊維不織布)である。)の一方の表面には、疎水性シリカ微粒子(SiO2 NPs)と、シアノアクリレート系接着剤であるα-シアノアクリル酸エチル(EAC)と、を含む撥水性被膜が、スプレーコート法(噴霧距離:30cm)によって形成されている。反対側の面には、上記のような被膜が形成されていない。スプレー面は、同図(b)のような水接触角(WCA)が150°以上の超撥水性があり、裏面のスプレー無しの面は、同図(c)のようにWCA=0°となり吸水性がある。具体的には、水接触角が154°、転落角が16°である。なお、スプレー前の綿不織布は本発明の繊維基材に該当し、EACは本発明のバインダー樹脂の一例である。
図1の例のように、本発明の繊維製品は、繊維基材と、その繊維間に入り込んで繊維表面に形成された撥水性の被膜と、からなる。繊維基材としては、特に限定されず、天然繊維・合成繊維・化学繊維のいずれをも用いることができるが、吸水性・耐熱性を考慮すると、天然繊維が好ましい。また、不織布・織布のいずれでもよい。
図2は、綿不織布10の断面を撮像したSEM画像である。画像は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM:日本電子(株)製、JSM-7600F)による。画像ごとにスケールバーが付されている。同図(a)には、約0.6 mmの厚みの繊維基材において、スプレー側である画面上方から約150μmの繊維層に噴霧液が入り込んで、その繊維層にある1本1本の繊維の表面を覆っている被膜14が表示されている。同図(b)は、被膜14の外観であり、100 nm前後のシリカ微粒子16が繊維表面を覆っていて、ナノオーダーの凹凸構造が形成されていることが分かる。同図(c)は、被膜のない繊維層の画像であり、繊維がむき出しになっていることが分かる。
図3は、異なる噴霧距離(SD)で被膜が付与された各々の綿不織布の電子顕微鏡画像である。各画像の下部に付された長さ(10〜60 cm)は、噴霧距離を示す。上段(A)の画像は、20μmのスケールバーであり、被膜の外観を写しているが、一部の画像には繊維も読み取れる。下段(B)の画像は、500 nmのスケールバーであり、被膜部分の拡大画像である。
図3の画像から、噴霧距離によって被膜表面の凹凸構造が変化していることが分かる。噴霧距離が短いと、SD= 10, 20 cmの画像のように、繊維間の隙間が被膜で埋まってしまい、一方、噴霧距離が長いと、SD= 50, 60 cmのように、むき出しの繊維が多く残ってしまうことが認められた。噴霧距離が長くなるに連れて、表面凹凸が増加傾向にあることも認められた。ここでは、通気性の観点から、繊維間の隙間が被膜で埋まってしまわないこと、および、超撥水性を最大限得るという観点から、むき出しの繊維が多く残ってしまわないことを評価基準とした。また。後述のように、耐摩耗試験に基づく被膜の耐久性が一定基準を満たすことも評価基準とした。発明者らは、噴霧距離(SD)を制御することで、被膜の表面状態を所望の凹凸状態にできるという知見を得た。なお、ここでは、SD=30, 40cmの条件が、好ましい表面状態の被膜が得られると言えるが、具体的な噴霧距離の条件は、これらに限定されるものではない。何故なら、他の噴霧条件(噴霧液の成分比率、噴霧圧、液流量、面積当たりの塗付量など)を変更すれば、最適な噴霧距離の条件も変化することが、容易に推測できるからである。
本書で採用したスプレーコート法の噴霧条件は以下の通りである。
・噴霧液:疎水性シリカ粒子+α-シアノアクリル酸エチル(EAC)+アセトン
・噴霧装置:スプレーガン(エアテックス(株)製、エアブラシ XP7、ノズル径0.6mm)
・噴霧圧: 0.3 MPa
・噴霧量: 1〜5 mL/min (繊維表面当たり、0.3 mL/cm2
・噴霧距離: 10〜60 cm可変
噴霧液は、平均粒径 12 nmの疎水性シリカ微粒子(アエロジル社製、RX200)2.0 gに対して、有機溶剤(アセトン: Kanto Chemical社製, 99.5%)46.0 gを添加し、10分間攪拌して分散させた後、この混合物にα-シアノアクリル酸エチル(EAC:東亞合成(株)製)2.0 gを添加して、さらに180分間攪拌して溶解させたものである。なお、シリカ微粒子の含有量は、これに限られず、EAC 100質量部に対して、例えば、30〜200 質量部としてもよい。また、シリカ微粒子およびEACからなる固形分が、噴霧液全体の例えば、5〜30 質量%になるように、噴霧液を調製してもよい。噴霧後は、綿不織布を室温で乾燥させた。
次に、繊維表面の被覆性について評価した。図4は、異なる噴霧距離(10〜60 cm)による被膜を有した各々の綿不織布について、X線光電子分光分析装置(XPS:日本電子(株)製、JPS-9010TR)により、被膜表面の元素解析をした結果である。同装置は通常深さ方向分解能10nmと高感度であり、表面をスパッタリングにより削りながら深さ高分解能で深さ方向分析を行うことができる。同図(A)のように、スプレー処理した不織布はいずれも、疎水性シリカのSiピーク、および、EACのNピークが確認された。また、全ての不織布から280〜290 eV のエネルギー範囲にC1sのピークが確認された。このエネルギー範囲を拡大したのが同図(B)〜(D)であり、炭素結合のタイプごとのピークを示す。同図(B)はスプレー無しの解析結果であり、セルロース由来の O-C-O ピークの存在が明白に表れた。一方、10〜30 cmの噴霧距離のものには、O-C-O ピークが表れなかった。繊維表面の全体が被膜でコーティングされているため、と判断できる。同図(C)参考。40 cmの噴霧距離のものには、僅かなO-C-O ピークしか認められない。同図(D)参照。従って、10〜30 cmの噴霧距離であれば、繊維表面のコーティングが可能で、繊維表面を露出させないようにすることができる。
図5は、綿不織布の通気性(水蒸気透過率)の評価結果であり、片面超撥水性の不織布のままでの通気性と、これに付いた血液が凝固した後での通気性とを並べて示した。比較のため、両面に超撥水性のスプレー処理を施したもの、および、両面ともスプレー無しのものについての測定値も示した。通気性試験は、蒸留水を満たしたガラス容器を綿不織布で覆い、その後、蒸留水を200℃に加熱して6時間沸騰させた。加熱前の容器内の水の質量(V0)および加熱後の質量(Va)を測定し、水蒸気透過率(V%)を次式に従って算出した。
V%=(Va‐V0)/V0×100%
当然、スプレー無しの不織布が最も良い通気性を示すのであるが、本発明の片面超撥水性の不織布であっても、スプレー無しの場合の80%〜95%の通気性が得られる。また、両面にスプレー処理をした両面超撥水性のものと比較すると、片面超撥水性の通気性は非常に良いことが分かる。
また、豚の血液(0.3wt%クエン酸Na添加、東京芝浦臓器(株)製)を用いて、血液凝固後の綿不織布の通気性を測定した。綿不織布に血液(100 μL/cm2)を吸収させて室温で乾燥させたものを測定対象にした。血液凝固後の通気性については、スプレー無しのものの通気性が大きく低下したが、片面超撥水性のものの低下は小さかった。結果として、血液凝固後の通気性は、スプレー無しのものよりも片面超撥水性のものの方が高いことが分かった。
図6は、片面超撥水性の不織布についての吸水・吸血性能および血液凝固指数BCI(%)を示す棒グラフであり、比較として、両面超撥水性のもの、および、スプレー無しのものについての値を並べて示す。
吸水・吸血性能の試験は、まず、綿不織布を10分間、蒸留水または血液に浸漬し、次いで、10分間、表面に付着した残留液を除去するために吊り下げて室温にて乾燥させた。浸漬前の綿不織布の質量(w0)および浸漬後の質量(wa)を測定し、綿不織布の水または血液の吸収能力(w%)を次式に従って算出した。
w%=(wa‐w0)/w0×100%
血液凝固指数BCI(%)の試験は、綿不織布を1 cm2の大きさに切り、100 mL容器に入れた。まず、綿不織布を37 ℃で10分間保持した後、綿不織布に血液(100 μL)をゆっくり滴下した。綿不織布を入れた容器を37℃で15分間保持した後、凝固血液を乱さないように蒸留水50mLを加えた。その後、容器中の溶液10 mLを取り出し、1分間、1000rpmで遠心分離した。その上澄みを回収し、37℃で1時間保持した。これらの工程が済んだ後、上澄み液について540nmの光の吸光度を紫外-可視分光光度計(UV-VIS:(株)島津製作所製、UV mini-1240)を用いて測定した。また、蒸留水50mLに血液100μLを添加したものについて、添加後すぐに540nmの光の吸光度を参照として測定した。そして、血液凝固指数BCIを次式から計算した。高いBCI値は、血液凝固の量が少ないことを示す。
図6に示すように、両面超撥水性の不織布に比べて、片面超撥水性のものの方が高い吸水・吸血性を示しているが、その理由は、不織布の反対側の面が本来の不織布による超親水性を具備しているからである。
また、片面超撥水性の綿不織布は、被膜を有する繊維層がある分だけ水や血液が浸入しにくくなるので、スプレー無しのものよりも吸水・吸血性は低下するが、それでも、スプレー無しのものの50%〜60%の吸水性、吸血性を維持している。
発明者は、図3の説明で述べたように、被膜表面の凹凸構造などがスプレーコーティングの噴霧距離(SD)に依存することに着目した。そして、以下の図7〜図9に示す測定を行って、被膜に関する噴霧距離(SD)への依存性を明らかにした。
図7に、異なる噴霧距離(SD= 0〜50 cm)で形成した被膜を摩耗処理した後の水接触角を示す。摩耗処理は、摩耗試験装置(新東科学(株)製、トライボギア連続加重式引掻強度試験機 Type 18L)を用いて、5 kPa の押付圧でサンドペーパー(10000番)を綿不織布に押し当てて、その表面を擦った。水接触角(WCA)の測定では、試験片の塗膜表面に10μLの蒸留水(表面張力γlv=72.8 mN/m)を滴下し、接触角計(協和界面科学(株)製、FACE)を用いて、水接触角を測定した。
摩耗処理前の被膜については、噴霧距離が20 cm以上であれば、ほぼ150 °を超える水接触角を示し、良好な超撥水性の被膜が得られる。しかし、摩耗処理によって、噴霧距離が30 cm以上のものは、その噴霧距離が長いものほど水接触角が小さくなり、超撥水性が低下することが分かった。一方、噴霧距離が20 cm以下のものは、摩耗処理後であっても、撥水性を維持した。図7の結果より、噴霧距離が20 cmから30 cm程度であれば、良好な超撥水性の被膜が得られ、かつ、その耐久性も高いことが分かる。
次に、異なる噴霧距離(SD= 0〜50 cm)で形成した各々の被膜の表面について、X線光電子分光法による成分解析を行った。シリカ微粒子とEACの組成比を図8に示す。
噴霧距離が10 cm以下のものは、被膜表面におけるEACの割合が高く、噴霧距離が20 cm以上のものは、被膜表面におけるシリカ微粒子の割合が高いことが分かる。シリカ微粒子が多ければ超撥水性が高まると言えるので、この結果は、図7の水接触角(摩耗処理前)の結果と矛盾しない。なお、被膜表面においてEACの割合が高いということは、シリカ微粒子の多くが、樹脂マトリックス(EAC)の内部に埋まっていて、被膜表面に露出しているシリカ微粒子が少ないことを意味していると考えられる。
図9に、2通りの噴霧距離(SD= 10, 30 cm)で形成した被膜について、各被膜の画像分析結果(SEM画像)を示す。また、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、VK-9700 Generation II)を用いた被膜の表面粗さ(二乗平均平方根粗さ: Rms)の測定結果も示す。同図(A)はSD= 10 cmの場合であるが、被膜表面にEAC成分18が多く見られ、露出したシリカ微粒子16が少ない。表面の凹凸状態も小さい。同図(B)はSD= 30 cmの場合であるが、被膜表面は露出したシリカ微粒子でほとんど覆われている。表面の凹凸状態も大きい。
[粒子濃度勾配型の被膜構造]
上記の測定結果から、比較的短い噴霧距離(SD= 0〜10 cm)で形成された被膜の表面は、機械的な耐久性に優れ、比較的長い噴霧距離(SD= 30〜40 cm)で形成された被膜の表面は、超撥水性に優れ、これらの間の噴霧距離(SD= 10〜30 cm)での被膜の表面は、中間的な性質を有することが言える。そこで、発明者は、例えば繊維表面に接する下層には、比較的短い噴霧距離(SD= 0〜10 cm)での被膜を設けて機械的耐久性を高くし、中間層を噴霧距離(SD= 10〜30 cm)での被膜とし、被膜表面となる上層には、比較的長い噴霧距離(SD= 30〜40 cm)での被膜を設けて超撥水性を高めるという、被膜構造を見出した。疎水性粒子の分布状態で説明すると、上記の構造を、疎水性粒子の濃度勾配型の被膜構造と呼ぶことができる。
図10(A)に、粒子濃度勾配型の被膜の模式図を示す。図10(A)〜(D)は、不織布などの繊維基材に含まれる1本の繊維22の表面に形成された各種の被膜の構造を表しており、微小範囲の拡大模型と言える。図10(A)の粒子濃度勾配型の被膜24は、繊維22の表面上に形成されており、疎水性粒子26、および、バインダー樹脂28で構成されている。被膜24の表面では、バインダー樹脂28から疎水性粒子が略半球状に外部に突出した状態となっており、このような疎水性粒子で被膜の表面が覆い尽くされた状態になっている。被膜の内部については、粒子濃度勾配型の構造となっており、疎水性粒子26の分布量が、被膜24の表面からの深さ方向において段階的に減少している。或いは、バインダー樹脂28の分布量が、被膜24の表面からの深さ方向において段階的に増加している。
従来の構造との違いを説明するため、図10(B)〜(D)に従来の被膜の模式図を示す。図10(B)は、NPsS構造であり、疎水性粒子が繊維表面に配列しているだけである。図10(C)は、AMNS構造であり、疎水性粒子とバインダー樹脂とを混合させたことで繊維表面に対する疎水性粒子の接着性が改善されている。図10(D)は、DLS構造であり、バインダー樹脂層および疎水性粒子層の二層コートになっている。このDLS構造は、AMNS構造において粒子が樹脂で覆われてしまいやすいという問題点を回避することができるが、2つの層を別々のプロセスで形成しなければならないと言う欠点がある。
図10(A)の本発明の粒子濃度勾配型の被膜は、疎水性粒子26の分布量が深さ方向に段階的に減少しているという特徴があり、従来の被膜の構造には無かったものと言える。そして、スプレーコート法で噴霧距離を制御することで、1つのプロセスで容易に被膜を形成でき、しかも同図(C)と(D)の利点を兼ね備えた被膜であると言える。
なお、粒子濃度勾配型の被膜を形成する対象は、繊維22に限られず、アルミニウムやアルミニウム合金、木材、ガラスなど、様々な材質でできた物品の表面であってもよい。
図11(A)は、粒子濃度勾配型の被膜24における疎水性粒子26の分布状態を分かりやすくするため、被膜24を多段の層に分割して、それぞれの断面図を示した模式図である。各層には、疎水性粒子26がバインダー樹脂28のマトリックスに分散している。層同士を比較すると、疎水性粒子26の分布量は、繊維22にもっとも近い層で最も少なく、被膜24の外表面となる層で最も多い。つまり、疎水性粒子26の分布量は、被膜24の表層部からの深さ方向において段階的に減少している。従来の繊維製品との違いを説明するため、図11(B)に二層コートの被膜の構造の分解図を示す。
[疎水性粒子]
疎水性粒子としては、無機物質でも有機物質でもかまわないが、変質しない無機物質からなるものが好ましい。nmオーダーの粒径の微粒子を得るためには、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機酸化物が好ましく、特に、シリカ微粒子の表面を疎水化処理して形成された疎水性シリカが最も好適である。疎水性とは、水などの極性分子をはじく性質であり、糖蜜等の粘度の高い物質に対しても、この性質を発揮する。疎水性粒子の平均粒子径は1〜100nm、さらには5〜20nmであることが望ましい。ここに示す平均粒子径は、一次粒子についてのものである。微粒子シリカの市販品として、例えば、アエロジルR972,972V,R972CF,R974,R812,R805,RX200,RX300,RY200(いずれも日本アエロジル株式会社製)等の疎水性シリカを好適に用いることができる。このなかでも、特にR972,RX200,RY200が好ましい。また、その他市販の微粒子として、酸化アルミニウムC,二酸化チタンT805,二酸化チタンP25(いずれも日本アエロジル(株)製)等を用いることもできるが、これらの微粒子のうち、表面が親水性のものは、予め高級脂肪酸、シリコーン油、シランカップリング剤等を用いて疎水化処理しておく必要がある。
[バインダー樹脂]
本発明のバインダー樹脂としては、特に限定されるものではなく、でんぷん、アスファルト、カゼイン、ニカワを代表とする天然樹脂でもよく、熱可塑性樹脂(酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリビニルアセタール樹脂系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリアミド、アクリル樹脂系、セルロース系、シアノアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエチレン系など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂系、ユリア樹脂系、フェノール樹脂、ウレタン樹脂系、ポリイミド樹脂系、レゾルシノール樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリアロマティクス、ポリエステル樹脂系など)、エラストマー(クロロプレン樹脂系、二トリルゴム系、シリコーン樹脂、SBR系、SBS・SIS系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系など)に分類される合成樹脂でもよい。また、これらの複合系(ビニル・フェノリック、エポキシ・フェノリック、クロロプレン・フェノリック、二トリル・フェノリック、ナイロンエポキシ、二トリルエポキシなどの組み合わせ)でも良い。
作製時間が短いという点では特にシアノアクリレートを主成分とする接着剤が好ましい。その他、空気中または繊維に付着した水分に反応して硬化する特性の樹脂や、UV硬化特性の樹脂であれば、採用できる。バインダー樹脂は、疎水性粒子同士の付着の際に、および、疎水性粒子を繊維表面に付着させる際に、そのバインダーとして機能する。
[その他成分]
また、本発明の被膜には、効果に影響のない範囲で、顔料、顔料分散剤、可塑剤、増粘剤、消泡剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等の各種成分を任意で適当量含有していてもよい。
[有機溶剤]
本発明に係る繊維製品は、疎水性粒子、バインダー樹脂および有機溶剤から調整された噴霧液を繊維基材にスプレーして形成される。有機溶剤としては、従来、一般的な塗料に用いられる公知の有機溶剤から、バインダー樹脂を溶解し、且つ、疎水性粒子を分散可能な有機溶剤を選択するとよい。噴霧液は、固形分(疎水性粒子とバインダー樹脂の合計量)が多すぎると粘度が高くなりすぎ、疎水性粒子やバインダー樹脂を製剤中で均一に分散あるいは溶解し難くなる。固形分が少なすぎると、被膜形成に時間がかかるほか、製剤の粘度が低くなって、1回の噴霧で形成される膜厚が薄くなるため、必要な厚さを得るために、複数回の噴霧を行う必要が生じるなど、スプレー性が悪くなる。
本発明に使用可能な揮発性有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、塩化メチル、臭化メチル等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられ、これらを単独であるいは複数を混合して用いてもよい。
ここで、噴霧液について、各構成の関係について説明する。例示したシアノアクリレート系接着剤と疎水性シリカの組合せの場合、両者の親和性が強すぎない方がよい。そうすれば、疎水性シリカは適当な大きさの二次粒子として噴霧液中に分散して存在できる。なお、疎水性粒子の凝集体が所定の大きさで塗料中に分散した状態を保つために、有機溶剤の存在意義が大きい。
[被膜の形成方法]
本発明では、疎水性粒子、バインダー樹脂および有機溶剤を含む噴霧液を用いて、繊維基材の表面に噴霧液を噴霧するスプレーコート法によって、被膜を形成する。特に、噴霧用ノズルから基材表面までの噴霧距離を段階的に長くして、粒子濃度勾配型の被膜を形成することに特徴がある。
図12は、噴霧されたミストの構造が、噴霧距離の長距離化に応じて変化する様子を模式的に示した図である。
ノズルから噴霧されたミストは、同図の左側のように、疎水性粒子26がバインダー樹脂28と有機溶剤の混合溶液中に分散している。疎水性粒子26が混合溶液中に埋もれた状態と言える。噴霧距離が長くなると、同図の中央のように、有機溶剤が徐々に揮発するので、ミスト中の疎水性粒子26の体積比率が上がる。疎水性粒子26が部分的にミストの表面から露出するようになる。更に、噴霧距離が長くなると、同図の右側のように、バインダー樹脂28がミストの中央に集まって、その外側に疎水性粒子26が付着した状態になる。疎水性粒子26の大半がバインダー樹脂から露出するようになる。
図13は、可動噴霧法による粒子濃度勾配型の被膜の形成方法を模式的に示した図である。噴霧開始時には、繊維22の表面に、比較的短い噴霧距離(SD:小さい)での被膜を形成し、疎水性粒子26の多くがバインダー樹脂に埋もれた状態の層にする。そして、噴霧距離を徐々に長くしていき、噴霧終了段階では、比較的長い噴霧距離(SD:大きい)での被膜を形成して、疎水性粒子26の大半がバインダー樹脂から露出した状態にする。必要に応じて、噴霧圧や液流量を調整することもできる。このような可動式のスプレーコート法によれば、本発明の被膜形成を1プロセスで実行することができる。
図14(A)に、粒子濃度勾配型の被膜について、被膜表面からの深さ方向における、シリカ微粒子(SiO2 NPs)およびα-シアノアクリル酸エチル(EAC)の濃度変化を示す。X線光電子分光分析装置(XPS)を使って、被膜の縦断面を対象として被膜表面(横軸:0)から繊維表面(横軸:1)までを成分分析した結果である。シリカ微粒子については、被膜表面(横軸:0)での検出強度を1とする相対強度で表示し、EAC については、繊維表面(横軸:1)での検出強度を1とする相対強度で表示した。同図(A)に示すように、シリカ微粒子の相対強度は、被膜の浅い部分では急減し、深い部分にいくに連れて、段々と減少が緩やかになって、繊維表面では約0.5である。EACの相対強度は、被膜表面でほぼゼロであり、浅い部分では急増し、深い部分にいくに連れて、段々と増加が緩やかになっている。また、図14(B)に、被膜のSEM画像を示す。同図(B)中の(a)は、被膜の縦断面を斜め上から観察した画像(スケールバー:2μm)であり、画像の下側から繊維22、被膜24の断面、破線で示す境界線より上側に被膜24の表面が映っている。図中の(b)は、被膜24の表面の拡大画像(スケールバー:500 nm)であり、バインダー樹脂28から略半球状に突出した疎水性粒子が一面に並んでいるのが分かる。図中の(c)は、被膜24の断面の拡大画像(スケールバー:500 nm)であり、(b)よりもバインダー樹脂28の割合が高くなっているのが分かる。
図15に、粒子濃度勾配型の被膜の耐摩耗性の試験結果を、従来型の被膜の試験結果と合せて示す。
被膜への摩耗処理とは、セルロース繊維布を被膜に対してグラフ横軸に示す圧力で押し付けて、被膜の表面を10回擦ることである。それぞれの圧力での摩耗処理後の水接触角(WCA)を測定した。
本発明の被膜では、最大50 kPa での摩耗処理を施しても、接触角の低下はほとんどなく、150 °を維持した。これに対して、二層コートの被膜(DLS構造)、および、噴霧距離を一定にした被膜については、摩耗処理前には150 °の接触角を示したが、摩耗処理後は押付圧力が大きい程、接触角の低下が大きくなった。特に、バインダー樹脂(EAC)を使わないでシリカ微粒子を配列させたもの(NPsS構造)では、10 kPa での摩耗処理を施しただけで、接触角が30°未満まで低下してしまった。
以上の結果より、本発明の被膜を有する綿不織布の優れた耐久性が証明される。
図16に、アルミニウム、木材、ガラスの各基材上に形成された粒子濃度勾配型の被膜の耐摩耗性の試験結果を示す。ガラスに対しては、バインダー樹脂(EAC)を使わないでシリカ微粒子を配列させたもの(NPsS構造)も試験対象にした。
やはり、NPsS構造の試験片では、図15と同様、10 kPa での摩耗処理を施しただけで、接触角が30 °未満まで低下してしまった。一方、本発明の被膜を形成したアルミニウム、木材、ガラスの各基材については、図15と同様、最大50 kPa での摩耗処理を施しても、接触角の低下はほとんどなく、150 °を維持した。このことから、本発明の被膜が、繊維製品に限られず、様々な材質の基材にも適用可能であり、超撥水性と優れた耐久性を兼ね備えた被膜付き物品を提供することができる。
図17に、本発明の繊維製品の一実施形態であるエプロン、および、その素材となるロール状の繊維製品を示す。本発明の繊維製品は、エプロンや作業着、壁紙などに適用することができる。ここでは、エプロンに適用する場合について詳しく説明する。エプロンに要求される性能として、軽量であること(長時間の着用では重いと違和感が生じる。)、撥水性(撥水性がないと水がしみ込んで衣服が濡れてしまう。)および通気性(重ね着になるので通気性が悪いと暑くなってしまう。)などがあるが、これ以外に、柔軟性(剛軟度)という要素がある。剛軟度は、エプロンの着心地に大きく影響するパラメーターと言える。
表1に、本発明の繊維製品を適用したエプロンに関する評価試験結果を示す。この試験では、市販されている様々な不織布を用いて、それぞれ撥水性被膜を施したものを用意した(実施例(1)〜(5)、比較例(1)〜(12))。それぞれの通気性および剛軟度の測定値を示す。製造会社名およびその商品名と型番は以下の通りである。いずれも層構造は単層タイプである。
実施例(1):ユニチカ(株)製、マリックス 70400WSO
実施例(2):東洋紡(株)製、 エクーレ 3401A
実施例(3):ユニチカ(株)製、マリックス 70500WSO
実施例(4):東洋紡(株)製、 エクーレ 3501A
実施例(5):東洋紡(株)製、 エクーレ 3501B
比較例(1):ユニチカ(株)製、マリックス 70300WSO
比較例(2):東洋紡(株)製、 エクーレ 3301A
比較例(3):東洋紡(株)製、 エクーレ 3701B
比較例(4):ユニチカ(株)製、ディラ D0403WPO
比較例(5):ユニチカ(株)製、ディラ D0503WPO
比較例(6):クラレクラフレックス(株)製、クラフレックス MB BTS0040EM
比較例(7):出光ユニテック(株)製、ストラテック RW2040
比較例(8):三井化学(株)製、シンテックス PS-108
比較例(9):三井化学(株)製、シンテックス MB MPEU08
比較例(10):三井化学(株)製、シンテックス MB VE3040N2E
比較例(11):三井化学(株)製、シンテックス MB MPNC08
比較例(12):旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ(株)製、タイベック 1442R
表1に示すように、エプロンの通気性については、撥水性コーティング前の原反の通気性は120 cm3/cm2・s 以上(JISL1913フラジール形試験)を示すとよい。より好ましくは、120〜203 cm3/cm2・s の範囲である。原反では、120 cm3/cm2・s未満だと繊維基材に対する撥水剤の含浸性が悪い。一方、通気性が203 cm3/cm2・sを超えるほど大きい場合とは、不織布の繊維間のスペースが大きい場合であり、撥水剤が反対面まで含浸してしまって、超撥水性と吸水性の二面性が得られなくなってしまう。
撥水性コーティング後の不織布の通気性については、54 cm3/cm2・s 以上を示すとよい。より好ましくは、54〜91 cm3/cm2・s の範囲である。エプロン着用時の熱や湿気が外部に抜けやすくなるには、塗布後の通気性が54 cm3/cm2・s以上がよい。
エプロンの剛軟度については、不織布の縦方向(MD)の剛軟度が5.4〜7.9 mN・cm (JISL1913 41.5°カンチレバー形試験)であり、かつ、不織布の横方向(CD)の剛軟度が1.7〜2.9 mN・cmであるとよい。ここで、縦方向とは、不織布の製造装置における製品の流れ方向に対応した方向である。また、横方向とは、流れ方向に直交する方向であり、図17のロール状の不織布では幅方向を指す。
不織布の縦方向については、図17のようにエプロンを着用した際の上下方向になるため、剛軟度が5.4 mN・cm 未満では、エプロン自体の剛性が不足して、腰がないエプロンになってしまう。また、エプロンの形状保持性が足りなくなる。一方、縦方向の剛軟度が7.9 mN・cm を超えると、剛性が過大となり、エプロン打抜き加工時にシワが発生しやすくなって好ましくない。
次に、不織布の横方向については、エプロンを着用した際の胴回り方向になるため、剛軟度が2.9 mN・cm を超えるとフレキシビリティが不足し、衣類との密着性が弱まり、体に密着しにくくなってしまう。一方、横方向の剛軟度が1.7 mN・cm 未満では、エプロン自体の剛性が不足して、腰がないエプロンになってしまう。また、エプロンの形状保持性が足りなくなる。
なお、不織布の材質としては、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)は、熱収縮率が大きいため適さない。また、引張強度が低く、エプロン打抜き工程でのシート送り性が悪くなる。

Claims (9)

  1. 繊維基材と、前記繊維基材を構成する各繊維の表面に形成された被膜と、を備えた繊維製品であって、
    前記被膜は、疎水性粒子およびバインダー樹脂を含み、
    前記繊維基材の一方の表面付近にある各繊維の表面に形成されており、
    前記繊維基材の反対側の表面付近にある各繊維の表面には形成されていない、
    ことを特徴とする繊維製品。
  2. 前記繊維基材の一方の表面から反対側の表面までの通気性を備えていることを特徴とする請求項1記載の繊維製品。
  3. 前記繊維基材が不織布からなり、
    通気性が、54 cm3/cm2・s以上、91 cm3/cm2・s以下であることを特徴とする請求項2記載の繊維製品。
  4. 前記繊維基材が不織布からなり、
    剛軟度が、前記不織布の縦方向において5.4 mN・cm以上、7.9 mN・cm以下であり、かつ、前記不織布の横方向において1.7 mN・cm以上、2.9 mN・cm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の繊維製品。
  5. 前記被膜中の前記疎水性粒子の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に減少していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の繊維製品。
  6. 前記被膜中の前記バインダー樹脂の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に増加していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の繊維製品。
  7. 前記疎水性粒子が疎水性シリカ微粒子であり、
    前記バインダー樹脂が、天然樹脂、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂もしくはエラストマーに分類される合成樹脂、又は、これらの組み合わせである複合樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の繊維製品。
  8. 前記疎水性粒子が疎水性シリカ微粒子であり、前記バインダー樹脂がシアノアクリレート系接着剤であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の繊維製品。
  9. 物品と、前記物品の表面に形成された被膜と、を備えた被膜付き物品であって、
    前記被膜は、疎水性粒子およびバインダー樹脂を含み、
    前記被膜中の前記疎水性粒子の分布量が、当該被膜の表面からの深さ方向において段階的に減少していることを特徴とする被膜付き物品。
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