JP2019210336A - キナクリドン固溶体顔料、顔料着色剤、インクジェット用インキ及び固溶体顔料の製造方法 - Google Patents

キナクリドン固溶体顔料、顔料着色剤、インクジェット用インキ及び固溶体顔料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新たな色相を持ち、顔料特性に優れる、新規な骨格を有するキナクリドン固溶体顔料、及びそれを用いた顔料着色剤、及びインクジェット用インキを提供すること。【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表されるキナクリドンとの固溶体であるキナクリドン固溶体顔料、その製造方法、固溶体顔料を含む着色剤及びインクジェット用インキ。【選択図】なし

Description

本発明は、キナクリドン固溶体顔料及びその製造方法、並びに、キナクリドン固溶体顔料を用いた顔料着色剤及びインクジェット用インキに関する。
キナクリドン顔料は赤〜マゼンタの耐久性の優秀な顔料として、工業的に広く用いられている。置換基の違いによって、様々な結晶構造をとり、多彩な色相を持つことが知られている。
また、キナクリドン顔料は、異種のキナクリドン顔料と固溶体を形成することが知られている。例えば、Pigment Violet 19とPigment Red 122との固溶体、Pigment Violet 19とPigment Red 202との固溶体などが有名である。そして、上記したような固溶体を形成することで、単なる顔料の混合物によっては再現できない色相を発現することが知られている。
特開2001−002962号公報 特開平11−049998号公報
上記した従来技術に対し、特許文献1及び特許文献2で提案されたキナクリドン固溶体顔料の色相は、未だ改良の余地があり、これまでにない新たな色相を発現する着色剤の開発が要望されている。本発明は、このような従来技術に対する要望に鑑みてなされたものである。すなわち、その目的とするところは、新たな色相を持ち、且つ、顔料特性に優れる、新規な骨格を有するキナクリドン固溶体顔料を提供することにある。更には、上記した新たなナクリドン固溶体顔料を用いることで、これまでにない新たな色相を発現する顔料着色剤や、インクジェット用インキを提供することを目的とする。
上記の目的は、以下に示す本発明のキナクリドン固溶体顔料を提供することで達成される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表されるキナクリドンとの固溶体であることを特徴とするキナクリドン固溶体顔料。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(一般式(1)、(2)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を示す。)
上記したキナクリドン固溶体顔料の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[2]前記一般式(2)で表されるキナクリドンの組成比が60%以上である[1]に記載の固溶体顔料。
[3]前記一般式(2)中のR3が、水素原子または塩素原子またはメチル基のいずれかである[1]又は[2]に記載の固溶体顔料。
[4]前記一般式(1)中のR1及びR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子及びメチル基からなる群から選択されるいずれかである[1]〜[3]のいずれかに記載の固溶体顔料。
本発明は、別の実施形態として下記のものが挙げられる。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の固溶体顔料を含有することを特徴とする顔料着色剤。
[6]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の固溶体顔料を含有することを特徴とするインクジェット用インキ。
また、本発明によれば、別の実施形態として、以下に示すキナクリドン固溶体顔料の製造方法が提供される。
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のキナクリドン固溶体顔料の製造方法であって、下記一般式(3)で表される化合物及び下記一般式(4)で表される化合物を、ポリリン酸の存在下で環化することを特徴とするキナクリドン固溶体顔料の製造方法。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(一般式(3)、(4)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を表す。)
本発明によれば、新たな色相を発現し、着色力、耐溶剤性、耐熱性などの顔料特性に優れる新規な骨格を有するキナクリドン固溶体顔料が提供される。また、本発明によれば、この新たなナクリドン固溶体顔料を用いることで、これまでにない新たな色相を発現でき、顔料特性に優れるキナクリドン固溶体顔料を用いた顔料着色剤、インクジェット用インキを提供することが可能になる。
実施例1、2及び比較例1の濃色塗料の反射率(横軸:波長[nm],縦軸:反射率[%])を表すグラフである。 実施例1、2及び比較例1の淡色塗料の反射率(横軸:波長[nm],縦軸:反射率[%])を表すグラフである。 実施例3、4及び比較例2の濃色塗料の反射率(横軸:波長[nm],縦軸:反射率[%])を表すグラフである。 実施例3、4及び比較例2の淡色塗料の反射率(横軸:波長[nm],縦軸:反射率[%])を表すグラフである。
<固溶体顔料>
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のキナクリドン固溶体顔料は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表されるキナクリドンとで表される固溶体であるため、これらの異なる骨格(構造)をいずれも有するものになる。以下、本発明のキナクリドン固溶体顔料の詳細について説明する。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(一般式(1)、(2)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を示す。)
本発明のキナクリドン固溶体顔料は、新規な前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を固溶体の材料にしたことを重要な特徴の一つとする。一般式(1)で表される構造を有する化合物は、その顔料特性の点で他の縮合多環形顔料と同等以上に優れており、耐溶剤性や耐熱性に優れた顔料である。なお、本発明のキナクリドン固溶体顔料には、一般式(1)で表される化合物だけでなく、一般式(1)で表される化合物の互変異性体も含まれる場合がある。したがって、以下、一般式(1)で表される構造を有する化合物を「化合物(1)」と呼ぶ場合があるが、当然に、互変異性体を含む場合があることを意味している。
本発明のキナクリドン固溶体顔料は、前記した顔料特性に優れる化合物(1)と、前記一般式(2)で表されるキナクリドン顔料(以下、「キナクリドン(2)」と呼ぶ場合がある。)との固溶体であるので、固溶体を構成する原料のキナクリドン(2)のもつ顔料特性を大きく損なうことはない。
また、前記した一般式から明らかなように、化合物(1)は、キナクリドン(2)と大きく骨格が異なるが、本発明者らの検討によれば、その色調はキナクリドン(2)と類似している。そのため、化合物(1)とキナクリドン(2)との固溶体である本発明の固溶体顔料は、原料に用いたキナクリドン(2)と、色調において大きく異なることはなく、また、著しく「くすむ」こともない。
本発明を構成する化合物(1)の具体例としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2019210336
<キナクリドン固溶体顔料の製造方法>
本発明のキナクリドン固溶体顔料は、本発明で規定した、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」と呼ぶ場合がある)及び下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」と呼ぶ場合がある)を、ポリリン酸の存在下で環化する製造方法とすることで、所望する品質のキナクリドン固溶体顔料を、簡便に得ることができる。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(一般式(3)、(4)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を表す。)
固溶体顔料の製造方法としては、化合物(1)と化合物(2)とを別々に製造した後、これらを混合し、固溶体顔料とする方法が公知である。本発明で規定する前記した構成の製造方法は、このような従来公知の方法と比較して、工程を簡略化できることに加えて、安定した品質の固溶体が得られる点で優れている。
また、本発明の製造方法によれば、下記に述べるように、所望する組成のキナクリドン固溶体顔料を容易に得ることができる。本発明の製造方法では、化合物(3)と化合物(4)とを原料に使用して、前記した化合物(1)とキナクリドン(2)との固溶体からなるキナクリドン固溶体顔料を得ている。本発明者らの検討によれば、化合物(1)と化合物(3)との転化率と、化合物(2)と化合物(4)との転化率が、大きくは異ならないため、本発明のキナクリドン固溶体顔料を構成する化合物(1)とキナクリドン(2)との組成比は、反応に使用する化合物(3)並びに化合物(4)の使用量によって適宜に調節することができる。
本発明者らの検討によれば、製造コストと色調の面から、本発明のキナクリドン固溶体顔料を構成するキナクリドン(2)の組成比は、本発明のキナクリドン固溶体顔料中に、質量基準で、少なくとも60%以上、更には、70%〜90%となるように構成することが好ましい。
本発明で使用するキナクリドン(2)の具体例としては、公知であるキナクリドン顔料が挙げられる。本発明者らの検討によれば、公知のキナクリドン顔料の中でも、特に、以下に示す構造の、Pigment Violet 19、Pigment Red 122、Pigment Red 202或いはPigment Red 209は、色調、顔料特性が優れており、また、塗料、インクジェット用途など広く利用されているため、本発明に好適に利用できる。
Figure 2019210336
上記した本発明のキナクリドン固溶体顔料の製造には、必要であれば、更に公知のキナクリドン顔料化の工程を設けてもよい。すなわち、顔料化の工程を経ることによって、粒子径を使用に適した大きさに調整し、結晶形を整えることができる。
<顔料着色剤>
本発明の顔料着色剤は、上記のキナクリドン固溶体顔料を含有する。本発明の顔料着色剤は、画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、及び塗料用の着色剤などとして、広範な分野で用いることができる。特に、本発明の顔料着色剤は、着色画素(着色層)の透明性の向上が課題とされている画像表示材料として、なかでもカラーフィルター用の着色剤として好適である。また、本発明の顔料着色剤は、インクジェット用インキ、電着記録液、電子写真方式用の現像剤などの画像記録剤用の材料としても有用である。これらの画像記録剤用の材料は、インクジェット記録方法、電着記録方式、電子写真方式などの画像記録方法にそれぞれ使用される。本発明の顔料着色剤を用いれば、いずれの画像記録方法であっても高品位な画像を提供しうる画像記録剤用の材料を調製することができる。
本発明の顔料着色剤には、例えば、皮膜形成材料を更に含有させることができる。顔料着色剤中のキナクリドン固溶体顔料の量は、皮膜形成材料100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることが更に好ましい。本発明の顔料着色剤は、例えば、微細化したキナクリドン固溶体顔料と、樹脂((共)重合体)、オリゴマー、或いは、モノマーなどの皮膜形成材料とを混合することで調製することができる。
また、本発明の顔料着色剤は、微細化したキナクリドン固溶体顔料と、上記の皮膜形成材料を含有する液とを混合することでも調製することができる。皮膜形成材料を含有する液としては、感光性の皮膜形成材料を含有する液や、非感光性の皮膜形成材料を含有する液などを用いることができる。感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、紫外線硬化性インキ、電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含有する液などを挙げることができる。また、非感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス;常温乾燥又は焼き付け塗料に使用するワニス;電着塗装に使用するワニス;熱転写リボンに使用するワニスなどを挙げることができる。
感光性の皮膜形成材料の具体例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などの感光性樹脂を挙げることができる。これらの感光性樹脂を含有する液には、反応性希釈剤として各種のモノマーを添加してもよい。
感光性樹脂を皮膜形成材料として含有する顔料着色剤に、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を添加し、従来公知の方法により練肉すれば、光硬化性の感光性顔料分散液とすることができる。また、上記の光重合開始剤に替えて熱重合開始剤を用いれば、熱硬化性顔料分散液とすることができる。
非感光性の皮膜形成材料の具体例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂、これらの水溶性塩、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩などを挙げることができる。
以下、本発明を製造例、実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、製造例、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<中間体の製造>
(製造例1)
メタノール170部に、スクシニロコハク酸ジメチル11部、ベンズアミジン塩酸塩8部、及びトリエチルアミン5部を加え、加熱して2時間還流した。冷却後にろ過し、メタノール及び水で洗浄した。80℃で乾燥して、下記式(A)で表される中間体(A)11部を得た。
Figure 2019210336
(製造例2)
メタノール100部に、中間体(A)10部、アニリン3部、及び35%塩酸1部を加え、加熱して2時間還流した。冷却後、3−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム13部、水酸化ナトリウム9部、及び水45部を加え、加熱して5時間還流した。冷却後にろ過し、得られたろ液を中性として析出物をろ過した。ろ過した析出物をメタノール及び水で洗浄した後、80℃で乾燥して、下記式(B)で表される中間体(B)11部を得た。
Figure 2019210336
(製造例3)
公知の方法により、スクシニロコハク酸ジメチル及びアニリンにより、下記式(C−1)で表される中間体を得た。
Figure 2019210336
(製造例4)
公知の方法により、スクシニロコハク酸ジメチル及びо−トルイジンにより、下記式(C−2)で表される中間体を得た。
Figure 2019210336
<キナクリドン固溶体顔料の製造>
(実施例1)
ポリリン酸100部に、先に調製した中間体(B)2部と中間体(C−1)8部を加え、120〜130℃で2時間加熱した。反応物を氷水にあけ、析出物をろ過した。ろ液が中性になるまで析出物を水で洗浄した後、80℃で乾燥して、下記式(D)と(E−1)とで表されるキナクリドン固溶体顔料9部を得た。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(実施例2)
中間体(B)2部と中間体(C−1)8部に替えて、中間体(B)3部と中間体(C−1)7部を使用したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、式(D)と(E−1)とで表される、実施例1の固溶体と組成の異なるキナクリドン固溶体顔料9部を得た。
(実施例3)
ポリリン酸100部に、先に調製した中間体(B)1部と中間体(C−2)9部を加え、120〜130℃で2時間加熱した。反応物を氷水にあけ、析出物をろ過した。ろ液が中性になるまで析出物を水で洗浄した後、80℃で乾燥して、下記式(D)と(E−2)とで表されるキナクリドン固溶体顔料9部を得た。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(実施例4)
中間体(B)1部と中間体(C−2)9部に替えて、中間体(B)2部と中間体(C−2)8部を使用したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、実施例3の固溶体と組成の異なる式(D)と(E−2)とで表されるキナクリドン固溶体顔料9部を得た。
(分子量の測定による確認)
実施例1〜4の各顔料について、島津製作所社製の質量分析(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法の略語)を行った。その結果、実施例1及び2では、顔料(D)と顔料(E−1)の、実施例3及び4では、顔料(D)と顔料(E−2)の、それぞれ以下の顔料の分子量に相当するピークが検出された。使用した原材料と、上記質量分析の結果から、目的とする構造の化合物(顔料)が得られたことを確認した。
・顔料(D) :分子量339
・顔料(E−1) :分子量312
・顔料(E−2) :分子量340
(比較例1、比較例2)
下記式(E−1)で表されるPigment Violet 19を、比較例1の顔料とし、また、下記式(E−2)で表されるPigment Red 202を、比較例2の顔料とした。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
<評価>
評価にあたり、実施例1〜4及び比較例1、2の顔料をそれぞれ用いて、濃色塗料と淡色塗料を調製した。
(濃色塗料の調製)
実施例1〜4及び比較例1、2の顔料をそれぞれ使用して、ペイントコンディショナーを用いて、以下に示す配合で90分間分散させて、顔料の含有率が高い濃色塗料を調製した。
・顔料:1.5部
・商品名「スーパーベッカミンJ−820」(*1):8.5部
・商品名「フタルキッド133〜60」(*2):17.0部
・キシレン/1−ブタノール(2/1質量比)混合溶剤:5.0部
(*1):ブチル化メラミン樹脂(大日本インキ化学工業社製)
(*2):椰子油の短油性アルキド樹脂(日立化成社製)
(淡色塗料の調製)
上記で調製した濃色塗料を用い、顔料:チタンホワイト=1:20(質量比)となるように、チタンホワイト(酸化チタン)を含む白色塗料を用いて希釈し、淡色塗料を調製した。
(1)着色力
着色力の評価は、上記で調製した淡色塗料を用いて、下記のようにして行った。アプリケーター(6ミル)を用いて淡色塗料をアート紙上に展色し、140℃で30分間焼き付けて塗膜を形成した。形成した塗膜を肉眼で観察し、以下に示す基準にしたがって着色力を評価した。結果を表1に示した。その結果、実施例のキナクリドン固溶体顔料を用いた塗料は、いずれも、比較例の従来のキナクリドン顔料を用いた塗料と同様の着色力があることが確認された。
○:着色力良好
△:着色力あり
×:着色力なし
(2)耐溶剤性
実施例1〜4及び比較例1、2の顔料について、下記のようにして、顔料の耐溶剤性を評価した。各顔料1部をメチルエチルケトン50部中に分散させた後、室温で1日放置した。ろ過して得たろ液の着色の程度を観察し、以下に示す基準にしたがって耐溶剤性を評価した。結果を表1に示した。その結果、実施例のキナクリドン固溶体顔料はいずれも、比較例の従来のキナクリドン顔料と同様の耐溶剤性があることが確認された。
○:着色しなかった(耐溶剤性が良好であった)
×:著しく着色した(耐溶剤性が不良であった)
Figure 2019210336
(3)測色
先に調製した濃色塗料及び淡色塗料のそれぞれについて、測色計(商品名「カラコムシステム」、大日精化工業社製)を用いて、L*値、C*値、h値を測定した。測定結果を表2及び表3に示した。その結果、表2及び表3に示されているように、濃色塗料及び淡色塗料とも、比較例のこれまでのキナクリドン顔料とは、色相が異なる。
Figure 2019210336
Figure 2019210336
(3)反射率
上記で調製した濃色塗料及び淡色塗料について、反射率を測定した。測定結果のグラフを図1〜4に示した。図1は、実施例1、2及び比較例1の顔料をそれぞれ用いた濃色塗料についての結果であり、図2は、同様の顔料をそれぞれ用いた淡色塗料についての結果である。図3は、実施例3、4及び比較例2の顔料をそれぞれ用いた濃色塗料についての結果であり、図4は、同様の顔料をそれぞれ用いた淡色塗料についての結果である。グラフの横軸は波長[nm]を示し、縦軸は反射率%を示す。
図1及び図2に示されているように、比較例1の前記式(E−1)で表される顔料を用いた塗料に比べ、前記式(E−1)で表される顔料と前記式(D)の顔料との固溶体である実施例1及び2の顔料を用いた塗料は、400〜450nmの領域と550〜600nmの領域で、着色力の向上が確認された。具体的には、図1に示されているように、濃色塗料では、400〜600nmの可視光をより吸収し、赤色顔料として好適となり、また、図2に示されているように、淡色塗料では、500〜600nmの可視光をより吸収し、マゼンタ顔料として好適となった。また、式(E−1)で表される顔料と式(D)の顔料との比率が異なる実施例1と実施例2とを比べると、600nm以降の波長の立ち上がりが鋭いため、実施例1の方がより好ましい結果となった。
図3及び図4に示されているように、比較例2の前記式(E−2)で表される顔料を用いた塗料に比べ、前記式(E−2)で表される顔料と前記式(D)の顔料との固溶体である実施例3及び4の顔料を用いた塗料は、400〜450nmと520〜570nmの領域で、着色力の向上が確認された。具体的には、図3に示されているように、濃色塗料は、400〜600nmの可視光をより吸収し、赤色顔料として好適となり、また、図4に示されているように、淡色塗料は、500〜600nmの可視光をより吸収し、マゼンタ顔料として好適となった。また、式(E−2)で表される顔料と式(D)の顔料との比率が異なる実施例3と実施例4とを比べると、600nm以降の波長の立ち上がりが鋭いため、実施例3の方がより好ましい結果となった。
本発明のキナクリドン固溶体顔料の活用例としては、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式・湿式トナー、インクジェット用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどが挙げられ、顔料特性が従来の顔料と同等以上であることに加え、これまでにない新たな色相を発現でき、濃色インキ及び淡色インキのいずれにおいても着色顔料として有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表されるキナクリドンとの固溶体であることを特徴とするキナクリドン固溶体顔料。
    Figure 2019210336
    Figure 2019210336
    (一般式(1)、(2)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を示す。)
  2. 前記一般式(2)で表されるキナクリドンの組成比が60%以上である請求項1に記載のキナクリドン固溶体顔料。
  3. 前記一般式(2)中のR3が、水素原子または塩素原子またはメチル基のいずれかである請求項1又は2に記載のキナクリドン固溶体顔料。
  4. 前記一般式(1)中のR1及びR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子及びメチル基からなる群から選択されるいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載のキナクリドン固溶体顔料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のキナクリドン固溶体顔料を含有することを特徴とする顔料着色剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のキナクリドン固溶体顔料を含有することを特徴とするインクジェット用インキ。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のキナクリドン固溶体顔料の製造方法であって、下記一般式(3)で表される化合物及び下記一般式(4)で表される化合物を、ポリリン酸の存在下で環化することを特徴とするキナクリドン固溶体顔料の製造方法。
    Figure 2019210336
    Figure 2019210336
    (一般式(3)、(4)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、又はニトロ基を表す。w〜zは、それぞれ独立に1または2の数を表す。)
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